説明

配向させたナノワイヤーおよび他の電気的素子をプリントするための方法およびシステム

ナノワイヤーおよび電気的素子を表面に成長させるための方法およびシステムについて説明する。第1の態様では、少なくとも1つのナノワイヤーを、電極対に近接するように供給する。電極対の2つの電極によって電界を発生させて、2つの電極に少なくとも1つのナノワイヤーを関連付ける。電極対を、転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。少なくとも1つのナノワイヤーを電極対からその領域に堆積させる。別の態様では、複数の電気的素子を電極対に近接するように供給する。電極対の2つの電極によって電界を発生させて、2つの電極に、複数の電気的素子のうちの1つの電気的素子を関連付ける。電極対を、転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。上記1つの電気的素子を、電極対からその領域に堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造体に関するものであり、さらに詳細には、配向させたナノ構造体および電気的素子の堆積に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤーのようなナノ構造体は、全く新規の次世代電子デバイスを実現する可能性を有している。ナノ構造体に基づいたこの次世代電子デバイスの出現を主に妨げているものは、基板などの様々な表面に、ナノ構造体を効果的に配向して堆積させる能力である。懸濁液中に懸濁されたナノワイヤーを電界によって配向させることは可能であるが、現在の技術を広面積の基板に拡張させることについては、厳しく制限されている。同様に、集積回路、ダイ、光学部品等の電気的素子を堆積させる現在の技術も、広面積の基板に良好に拡張することはできない。
【0003】
ナノ構造体を使用可能な電子デバイスを大きなアレイとして製造することに適した、ナノ構造体および他の電気的素子の質の高い堆積を実現するシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
ナノワイヤーを表面に成長させるための方法およびシステムについて説明する。典型的な一態様では、ナノワイヤーを1つの電極対に近接するように供給する。電極対の2つの電極によって電界を発生させることにより、ナノワイヤーをこれらの電極に関連付ける。電極対を転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。ナノワイヤーを電極対からその領域に堆積させる。
【0005】
また、様々な方法で、ナノワイヤーを上記領域に堆積させることが可能である。例えば、パッシブ力もしくはアクティブ力、または、これらの力を組み合わせて用いて、ナノワイヤーを、電極から転写対象となる目標面まで移動させてもよい。その力の例には、電界(ACおよび/またはDC)、真空力、静電力、重力、および/または、他の力が含まれる。
【0006】
第1の実施例では、電極対を転写表面に形成することが可能である。この転写表面は、第1電荷を有するように構成されている。第1電荷は、ナノワイヤーに静電反発力を印加する(例えばナノワイヤーは、第1電荷と同じ電荷を有していてよい)。これらの電極によって発生した電界は、この静電反発力に反発して、ナノワイヤーを転写表面に引き付ける。例えば、その電界に交流(AC)電界によるバイアスをかけて、ナノワイヤーを転写表面に引き付ける。電界を低くして(完全に取り除くことも含まれる)、ナノワイヤーが、第1電荷の静電反発力によって転写対象となる目標面の方に移動することを可能にする。
【0007】
他の一実施例では、転写対象となる目標面は、第1電荷とは反対の電荷である第2電荷を有している。第2電荷の静電引力は、ナノワイヤーを転写対象となる目標面まで引き付ける。この静電引力を増大させるためには、ナノワイヤーと転写対象となる目標面との間隔を狭めることが好ましい。
【0008】
他の一実施例では、転写表面を(例えば超音波で)振動させ、第2電荷の静電引力が、ナノワイヤーを転写対象となる目標面の方に引き付けることを可能にする。
【0009】
他の一実施例では、転写対象となる目標面から転写表面に真空を印加して、ナノワイヤーを転写対象となる目標面の方に移動させる。例えば、真空は、ナノワイヤーが入った溶液を、転写対象となる目標面の方に引き込むことが可能である。この溶液の流れが、ナノワイヤーを転写対象となる目標面の方に引き寄せる。
【0010】
他の一実施例では、転写対象となる目標面に関連付けられた第2電界を発生させて、ナノワイヤーを、転写対象となる目標面の方に引き付ける。
【0011】
本発明の他の一態様として、ナノワイヤーを転写対象となる目標面に成長させるためのシステムについて説明する。このシステムは、転写表面を備える筐体、転写表面上に形成された電極対、電極対に近接するように供給された複数のナノワイヤーを含む懸濁液、信号発生器、および、位置合わせ機構を有している。信号発生器は、電極対に結合されている。信号発生器は、電気信号を供給して、電極対の2つの電極に電界を発生させ、これらの電極に複数のナノワイヤーを関連付けることが可能なように構成されている。位置合わせ機構は、電極対を転写対象となる目標面の領域に位置合わせして、ナノワイヤーを電極対からその領域に堆積させることが可能なように構成されている。
【0012】
本発明の他の一態様では、本明細書の他の箇所でナノワイヤーについて説明した方法と同様の方法で、電気的素子を表面に転写する。複数の態様では、1つまたは複数の電気的素子を、転写表面の1つの電極対に近接するように供給する。電極対に電圧を印加することによって、この電極対に1つの電気的素子を関連付ける。次に、この電気的素子を電極対から転写対象となる目標面に堆積させる。
【0013】
本発明の他の一態様では、ナノワイヤー等のナノ構造体を、転写対象となる目標面に転写する。1つのプリントヘッドの転写表面を、転写対象となる目標面の近傍に配置する。この転写表面に1つのナノワイヤーを関連付ける。転写表面と転写対象となる目標面との間隔を狭める。転写表面と転写対象となる目標面との間隔を狭める間に、流体を、転写表面と転写対象となる目標面との間から転写表面内の1つまたは複数の開口部の中に受け入れる。流体が開口部の中に流入することによって、ナノワイヤーにかかる剪断力が小さくなる。ナノワイヤーを、転写表面から転写対象となる目標面に堆積させる。
【0014】
本発明のさらに他の一態様では、ナノワイヤー等のナノ構造体を、転写対象となる目標基板に転写する。ナノワイヤー転写システムは、関連付けステーション、プリントステーション、および清浄化ステーションを有している。関連付けステーションは、複数のプリントヘッドを受け入れ、受け入れた複数のプリントヘッドの転写表面それぞれにナノ構造体を関連付けるように構成されている。プリントステーションは、転写対象となる目標基板と、複数のプリントヘッドのうちの少なくとも1つのプリントヘッドとを受け入れ、受け入れたプリントヘッドから転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に、ナノ構造体を転写するように構成されている。清浄化ステーションは、プリントステーションから複数のプリントヘッドを受け入れ、受け入れた複数のプリントヘッドを清浄化するように構成されている。
【0015】
複数の態様において、プリントステーションは、ナノ構造体の転写を、「ウェット」転写または「ドライ」転写として行うように構成されていてもよい。
【0016】
他の一態様では、ナノワイヤー転写システムは、検査ステーションを備えていてもよい。検査ステーションは、複数のプリントヘッドの転写表面を検査し、この検査に基づいて、複数のプリントヘッドのうちの少なくとも1つのプリントヘッドを選択するように構成されている。プリントステーションは、選択された少なくとも1つのプリントヘッドからナノ構造体を転写するように構成されていてよい。
【0017】
さらに他の一態様では、ナノワイヤー転写システムは、修復ステーションを備えていてもよい。修復ステーションは、転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体を検査するように構成されている。修復ステーションは、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定した場合には、その構造を修復するように構成されている。
【0018】
さらに他の一態様では、ナノワイヤー転写システムは、プリントヘッド乾燥ステーションおよび修復ステーションを備えていてもよい。プリントヘッド乾燥ステーションは、複数のプリントヘッドの転写表面に関連付けられたナノ構造体を乾燥するように構成されている。修復ステーションは、乾燥させた転写表面の検査を行うように構成されている。修復ステーションは、1つの転写表面に関連付けられたナノ構造体のうち、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定した場合には、特定されたナノ構造体の構造を修復するように構成されている。プリントヘッド乾燥ステーションは、プリントステーションにおいて、ナノワイヤーのドライ転写を行うことを可能にする。
【0019】
さらに他の一態様では、ナノワイヤー転写システムは、パネル乾燥ステーションを備えていてもよい。パネル乾燥ステーションは、転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体を乾燥させるように構成されている(例えば、プリントステーションによってナノワイヤーのウェット転写が行われる場合)。
【0020】
以下に、本発明の他の実施形態、特徴、および利点、並びに、本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。
【0021】
添付の図面を参照しながら本発明について説明する。図面では、同様の参照番号は、同一または同様の機能を有する部材を示している。部材が初出する図面は、その参照番号の最も左の桁によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、単結晶半導体ナノワイヤーを示す図である。
【図1B】図1Bは、コア−シェル(CS)構造に基づいてドープされたナノワイヤーを示す図である。
【図1C】図1Cは、コア−シェル−コア(CSS)構造に基づいてドープされたナノワイヤーを示す図である。
【図2】図2は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体転写システムを示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体を転写するための典型的なステップを提供するフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における図2のナノ構造体転写システムを示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における図2のナノ構造体転写システムを示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における図2のナノ構造体転写システムを示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係るナノワイヤープリントヘッドを示す図である。
【図8】図8は、本発明の複数の実施形態に係る典型的なナノワイヤー転写システムの一部を示す図である。
【図9】図9は、本発明の複数の実施形態に係る典型的なナノワイヤー転写システムの一部を示す図である。
【図10】図10は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノワイヤー溶液のフローシステムを示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の典型的な一実施形態に係る、カンチレバーを有する典型的なプリントヘッドを示す図である。
【図12】図12は、本発明の典型的な一実施形態に係る、カンチレバーを有する典型的なプリントヘッドを示す図である。
【図13】図13は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写システム用の電界発生システムを示す図である。
【図14】図14は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノワイヤーを電極対に関連付けるために電界を発生させる転写システムを示す図である。
【図15】図15は、本発明の典型的な一実施形態に係る、関連付けられた1つのナノワイヤーを有する図14の転写システムを示す図である。
【図16】図16は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写システム内の1つのナノワイヤーに作用する力を示す図である。
【図17】図17は、本発明の典型的な実施形態に係る、関連付けられた複数のナノワイヤーを有する図11のプリントヘッドを示す上面図である。
【図18】図18は、本発明の典型的な実施形態に係る、関連付けられた複数のナノワイヤーを有する図11のプリントヘッドを示す側面図である。
【図19】図19は、本発明の典型的な一実施形態に係る位置合わせシステムを示す図である。
【図20】図20は、本発明の一実施形態に係る、位置合わせ機構によって表面領域と位置合わせされたプリントヘッドを示す図である。
【図21】図21は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面に位置合わせされた図9の溶液中のプリントヘッドを示す図である。
【図22】図22は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面に位置合わせされた図9の溶液中のプリントヘッドを示す図である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態に係る、スペーサーを有する典型的なプリントヘッドを示す図である。
【図24】図24は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面に位置合わせされた図11のプリントヘッドを示す側面図である。
【図25】図25は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面に位置合わせされた図11のプリントヘッドを示す側面図である。
【図26】図26は、本発明の典型的な一実施形態に係る、真空源を有するナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図27】図27は、本発明の典型的な一実施形態に係る、真空ポートを有する転写表面を示す典型的な上面図である。
【図28】図28は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図29】図29本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図30】図30は、本発明の一実施形態に係る、酸化物層を有する転写表面のポテンシャルエネルギー準位、および、窒化物層を有する転写対象となる目標面のポテンシャルエネルギー準位を示すプロットである。
【図31A】図31Aは、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図31B】図31Bは、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図31C】図31Cは、本発明の一実施形態に係る、イソプロピルアルコール内でのナノワイヤーの慣性運動を示すプロットである。
【図32】図32は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図33】図33は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノワイヤーを堆積させるように構成された典型的なナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図34】図34は、本発明の一実施形態に係る、2つの電極対を有するプリントヘッドを備えるナノワイヤー転写システムを示す図である。
【図35】図35は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、電気的素子を転写するための典型的なステップを提供するフローチャートである。
【図36】図36は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階中の電気的素子転写システムを示すブロック図である。
【図37】図37は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における電気的素子転写システムを示すブロック図である。
【図38】図38は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における電気的素子転写システムを示すブロック図である。
【図39】図39は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、異なる動作段階における電気的素子転写システムを示すブロック図である。
【図40】図40は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体転写システムを示す断面図である。
【図41】図41は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図40に示したプリントヘッドの転写表面を示す図である。
【図42】図42は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体転写システムを示す断面図である。
【図43】図43は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図42に示したプリントヘッドの転写表面を示す図である。
【図44】図44は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面にナノ構造体を転写するためのフローチャートである。
【図45】図45は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面に堆積されたナノワイヤーを示す図42のナノ構造体転写システムの断面図である。
【図46】図46は、本発明の一実施形態に係るナノ構造体転写システムを示す図である。
【図47】図47は、本発明の典型的な一実施形態に係るプリントヘッドを示す断面図である。
【図48】図48は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体プリントシステムを示すブロック図である。
【図49】図49は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図48のナノ構造体プリントシステムにおけるプリントヘッドの流路部でのフローチャートである。
【図50】図50は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図48のナノ構造体プリントシステムにおけるパネルの流路部でのフローチャートである。
【図51】図51は、本発明の複数の実施形態に係る典型的な関連付けステーションを示す図である。
【図52】図52は、本発明の複数の実施形態に係る典型的な関連付けステーションを示す図である。
【図53】図53は、本発明の一実施形態に係る、典型的な検査ステーションを示す図である。
【図54】図54は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のプリントステーションを示す図である。
【図55】図55は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のプリントステーションを示す図である。
【図56】図56は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のプリントステーションを示す図である。
【図57】図57は、本発明の一実施形態に係る典型的な清浄化ステーションを示す図である。
【図58】図58は、本発明の典型的な複数の実施形態に係るパネル修復ステーションを示す図である。
【図59】図59は、本発明の典型的な複数の実施形態に係るパネル修復ステーションを示す図である。
【図60】図60は、本発明の一実施形態に係る典型的なパネル乾燥ステーションを示す図である。
【図61】図61は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体プリントシステムを示すブロック図である。
【図62】図62は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図61のナノ構造体プリントシステムにおけるプリントヘッドの流路部でのフローチャートである。
【図63】図63は、本発明の典型的な一実施形態に係る、図61のナノ構造体プリントシステムにおけるパネルの流路部でのフローチャートである。
【図64】図64は、発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のナノ構造体転写システムを示す図である。
【図65】図65はは、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、図64に示すナノ構造体転写システムの顕微鏡によって撮像された画像である。
【図66】図66は、発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のナノ構造体転写システムを示す図である。
【図67】図67は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、図66に示すナノ構造体転写システムの顕微鏡によって撮像された画像である。
【図68】図68は、発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のナノ構造体転写システムを示す図である。
【図69】図69は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、図68に示すナノ構造体転写システムの顕微鏡によって撮像された画像である。
【図70】図70は、発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体転写プロセス中のナノ構造体転写システムを示す図である。
【図71】図71は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、図70に示すナノ構造体転写システムの顕微鏡によって撮像された画像である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明について説明する。図面では、同様の参照番号は、同一または同様の機能を有する部材を示している。また、参照番号の最も左の桁は、当該参照番号が初出した図面を特定している。
【0024】
ここで図面を参照しながら説明する特定の形態は、本発明の実施例であって、本発明の範囲を多少なりとも制限することを意図するものではないことは明らかであろう。実際には、簡潔にするために、従来の、電子機器と、製造方法と、半導体素子と、ナノワイヤー(NW)技術、ナノロッド技術、ナノチューブ技術およびナノリボン技術と、システムの他の機能面(およびこのシステムの個々の動作部材)とについては、ここでは詳細に説明しない。また、簡潔にするために、ここでは本発明をナノワイヤーに関連させて説明する場合が多い。
【0025】
また、ナノワイヤーについて頻繁に言及しているが、ここに記載する技術は、他のナノ構造体、例えば、ナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン、および/または、これらを組み合わせたものにも適用可能であることは明らかであろう。さらに、ここに記載する製造技術を用いて、任意の種類の半導体デバイス、および、他の種類の電子部品を形成可能であることも明らかであろう。さらにこの技術は、電気的システム、光学的システム、家庭用電化製品、産業電子機器、ワイヤレスシステム、宇宙応用、または、他の任意の用途にも好適であろう。
【0026】
ここで用いるように、「アスペクト比」とは、ナノ構造体の第1軸の長さを、ナノ構造体の第2軸の長さと第3軸の長さとの平均で割ったものであり、これら第2軸および第3軸は、長さが互いにほぼ同一な2つの軸である。例えば、完全なロッドのアスペクト比は、その長軸の長さを、当該長軸に垂直な(当該長軸の法線上の)断面の直径で割ったものである。
【0027】
「ヘテロ構造」という用語は、ナノ構造体に関して用いられる場合には、少なくとも2つの異なる、および/または、区別可能な材料の種類によって特徴付けられるナノ構造体を指す。典型的には、ナノ構造体のある領域が第1材料の種類を含む一方、ナノ構造体の第2領域は第2材料の種類を含む。特定の実施形態では、ナノ構造体は、第1材料から成るコアと、第2材料(または第3材料等)から成る少なくとも1つのシェルとを含んでいる。これらの異なる材料の種類は、例えば、ナノワイヤーの長軸の周りに、分枝状のナノ結晶のアームの長軸の周りに、または、ナノ結晶の中心に放射状に分散されている。シェルは、シェルと看做される近傍の物質、または、ヘテロ構造と看做されるナノ構造体を完全に覆っている必要はない。例えば、1材料のコアを第2材料が小島状に覆うことによって特徴付けられるナノ結晶は、ヘテロ構造といえる。他の実施形態では、異なる種類の材料が、ナノ構造体中の異なる位置に分散されている。例えば、ナノワイヤーの主軸(長軸)に沿って、または、分枝状のナノ結晶のアームの長軸に沿って、複数種類の材料が分散されていてもよい。ヘテロ構造内の異なる領域が、完全に異なる材料を含んでいてもよいし、または、この異なる領域が1つの基材を含んでいてもよい。
【0028】
ここで用いるように、「ナノ構造体」とは、約500nm未満(例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または、さらに約20nm未満)の寸法を有する、少なくとも1つの領域または特徴的な寸法を有する構造体である。典型的には、この領域または特徴的な寸法は、ナノ構造体の最も小さい軸に沿ったものである。このような構造体の例には、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分枝状のナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分枝状のテトラポッド(例えば、無機デンドリマー)等が含まれる。ナノ構造体は、材料特性においてほぼ均一であってもよく、特定の実施形態では異質であってもよい(例えばヘテロ構造)。ナノ構造体は、例えば、ほぼ結晶質、ほぼ単結晶質、多結晶質、アモルファスであるか、または、これらの組み合わせであってもよい。一形態では、ナノ構造体の3つの寸法は、それぞれ約500nm未満であり、例えば、それぞれ約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または、さらに約20nm未満の寸法であってもよい。
【0029】
本明細書に用いるように、「ナノワイヤー」という用語は、概して、任意の細長い導電性材料または半導電性材料(または、本明細書に記載する他の材料)を指すものであり、この材料の少なくとも1つの断面の寸法は、500nm未満、好ましくは、約100nmであるか、または、約100nm未満であると共に、アスペクト比(長さ:幅)は10よりも大きい、好ましくは50よりも大きい、より好ましくは100よりも大きい。本発明の方法およびシステムの実施に際して用いられる典型的なナノワイヤーは、長さが数十ミクロン(例えば、約10、20、30、40、50ミクロンなど)であり、直径は約100nmである。
【0030】
本発明のナノワイヤーは、材料特性において、ほぼ均一であってもよいし、または、特定の実施形態では、異質(例えばナノワイヤーヘテロ構造)であってもよい。このナノワイヤーは、基本的に、任意の好都合な1つの材料または複数の材料から製造されていてもよく、例えば、ほぼ結晶質、ほぼ単結晶質、多結晶質、または、アモルファスであってもよい。ナノワイヤーは、可変の直径を有していてもよいし、または、ほぼ均一な直径を有していてもよい。すなわち、ほぼ均一な直径とは、最も変動が大きい領域に対して、および、少なくとも5nm(例えば、少なくとも10nm、少なくとも20nm、または、少なくとも50nm)の線寸法に対して、約20%未満(例えば、約10%未満、約5%未満、または、約1%未満)の差異を示すということである。典型的には、この直径は、ナノワイヤーの端部から算出されたものである(例えば、ナノワイヤーの中心の20%、40%、50%、または、80%に亘って)。ナノワイヤーは、その長軸の全長または一部に亘って、直線状であってもよいし、または、例えば曲線状若しくは湾曲していてもよい。特定の実施形態では、ナノワイヤーまたはそのナノワイヤーの一部は、二次元または三次元の量子閉じ込めを示すことが可能である。本発明に係るナノワイヤーには、カーボンナノチューブは含まれないことは明らかであり、特定の実施形態では、「ウィスカー」または「ナノウィスカー」、特に100nmまたは約200nmよりも大きな直径を有するウィスカーも除外される。
【0031】
このようなナノワイヤーの例には、国際特許出願公開第WO 02/17362号、WO 02/48701号、および、WO 01/03208号に記載された半導体ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、および、同様の寸法の他の細長い導電性または半導電性の構造が含まれる。
【0032】
ここで用いるように、「ナノロッド」という用語は、概して、ナノワイヤーに類似した任意の細長い導電性材料または半導電性材料(または本明細書に記載する他の材料)に関するものであるが、アスペクト比(長さ:幅)についてはナノワイヤーのアスペクト比よりも小さい。なお、複数のナノロッドを、これらの縦軸に沿って結合させて、この結合されたナノロッドが、電極の端から端まで伸びているようにしてもよい。あるいは、複数のナノロッドを、実質的にこれらの縦軸に沿って並べるが結合せず、これら複数のナノロッドの端と端との間に小さな隙間が存在するようにしてもよい。この場合、電子は、1つのナノロッドから別のナノロッドまでホッピングしてこの小さな隙間を横断することによって、あるナノロッドから別のナノロッドへと流れることが可能である。実質的には、この複数のナノロッドは通路を形成するように配向されてもよい。この通路によって、電子は電極間を移動することができる。
【0033】
ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボンには、広範囲の種類の材料を用いることが可能である。その材料としては、例えば、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B-C、B-P(BP)、B-Si、Si-C、Si-Ge、Si-SnおよびGe-Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN、CaCN、ZnGeP、CdSnAs、ZnSnSb、CuGeP、CuSi、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Tl、Fe)(S、Se、Te)、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、および、複数のこのような半導体を好適に組み合わせたものから選択された半導体材料が含まれる。
【0034】
このナノワイヤーはまた、金、ニッケル、パラジウム、イリジウム、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、スズ等の金属、合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミックス、および/または、これらを組み合わせたような他の材料から形成されていてもよい。現在公知のまたは後に開発された、他の導電性材料または半導体材料を用いてもよい。
【0035】
特定の形態では、半導体は、周期表の第III族元素からのp型ドーパント;周期表の第V族元素からのn型ドーパント;B、Al、およびInより成る群から選択されるp型ドーパント;P、As、およびSbより成る群から選択されるn型ドーパント;周期表の第II族元素からのp型ドーパント;Mg、Zn、Cd、およびHgより成る群から選択されるp型ドーパント;周期表の第IV族元素からのp型ドーパント;CおよびSiより成る群から選択されるp型ドーパント;または、Si、Ge、Sn、S、Se、およびTeより成る群から選択されるn型ドーパント、より成る群から選択される1つのドーパントを含んでいてもよい。現在公知のまたは後に開発された、他のドーパント材料を用いてもよい。
【0036】
さらに、ナノワイヤーまたはナノリボンは、導電性または半導電性の有機ポリマー材料(例えばペンタセンおよび遷移金属酸化物)から形成された、カーボンナノチューブまたはナノチューブを含んでいてもよい。
【0037】
従って、「ナノワイヤー」という用語を、説明のために本明細書の全体に亘って用いているが、本明細書では、ナノチューブ(例えば、中空管が軸方向に形成されたナノワイヤーと同様の構造)の使用も含まれることを意図している。ナノワイヤーの代わりに、ナノチューブだけを(または、ここに記載するようにナノチューブの薄膜と組み合わせて)形成するか、または、ナノワイヤーと組み合わせて形成して、ここに記載する特性および利点を提供することが可能である。
【0038】
ここに記載する空間描写(例えば、「〜の上方」、「〜の下方」、「上に」、「下に」、「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」等)は、専ら説明のためであって、本発明のデバイスは、空間的に任意の方向または任意の形態に配置可能であることは明らかであろう。
【0039】
図1Aは、単結晶の半導体ナノワイヤーコア(以下「ナノワイヤー」と称する)100を示す図である。図1Aは、均一にドープされた単結晶のナノワイヤーであるナノワイヤー100を示している。このような単結晶のナノワイヤーを、p型半導体またはn型半導体中に正しく制御してドープすることが可能である。ナノワイヤー100等のドープされたナノワイヤーは、改善された電子物性を示す。例えば、このようなナノワイヤーをドープすると、単結晶バルク材に相当するレベルのキャリア移動度を有することが可能になる。
【0040】
図1Bは、コア−シェル構造を有するナノワイヤー110を示す図であり、ナノワイヤーのコアの周りにはシェル112が配置されている。ナノワイヤーにパッシベーションアニーリング処理を施すこと、および/または、コア−シェル構造をナノワイヤーに用いること等、ナノワイヤーの外層を形成することによって、表面散乱を低減することが可能である。ナノワイヤー上に、酸化物コーティング等の絶縁層をシェル層として形成してもよい。さらに、例えば酸化物コーティングを有するシリコンナノワイヤーの場合は、水素(H)においてナノワイヤーをアニーリングすることによって、表面エネルギー準位を大幅に小さくすることができる。複数の実施形態において、コア−シェルの組み合わせは、次の条件を満たすように構成されている。(1)導電性キャリアがコア内に閉じ込められるように、シェルエネルギー準位がコアエネルギー準位よりも高くなければならない。(2)コア材料およびシェル材料は、格子整合が良好であり、表面エネルギー準位および表面電荷が低くなければならない。単結晶半導体のコア、ゲート誘電体のインナーシェル、および、図1Cに示すような均一なゲートのアウターシェルを含めるために、より複雑な他のNWコア−シェル構造を用いてもよい。図1Cは、コア−シェル−シェル構造を有するナノワイヤー114を示す図であり、ナノワイヤーのコアの周りにはインナーシェル112およびアウターシェル116が配置されている。これは、例えば、(上述の)Si/SiOのコア−シェル構造の周りに、アウターゲートシェルとして、TaAlN、WN、または、高濃度にドープされたアモルファスシリコンから成る層を堆積させることによって実現可能である。
【0041】
絶縁シェルの価電子帯は、p型ドープされたワイヤ用のコアの価電子帯よりも低くてもよいし、または、このシェルの伝導帯が、n型ドープされたワイヤ用のコアの伝導帯よりも高くてもよい。一般的に、このコアのナノ構造体は、どのような金属材料または半導体材料から構成されていてもよく、コア上に堆積された1つまたは複数のシェル層は、同一の材料または異なる材料から構成されていてもよい。例えば、第1コア材料は、第II〜VI族の半導体、第III〜V族の半導体、第IV族の半導体、および、それらの合金より成る群から選択される第1半導体を含むことが可能である。同様に、1つまたは複数のシェル層の第2材料は、酸化物層、および、上記第1半導体と同一または異なる第2半導体を含むことが可能である。この第2半導体は、例えば、第II〜VI族の半導体、第III〜V族の半導体、第IV族の半導体、および、それらの合金より成る群から選択されるものである。半導体の例としては、CdSe、CdTe、InP、InAs、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InSb、Si、Ge、AlAs、AlSb、PbSe、PbS、および、PbTeが含まれるが、これらに限定されることはない。上述のように、金、クロム、スズ、ニッケル、アルミニウム等の金属材料、および、それらの合金をコア材料として用いてもよく、この金属製のコアは、二酸化シリコンまたは他の絶縁材のような適切なシェル材料で上塗りされていてもよい。より複雑なコア−シェル−シェル型ナノワイヤー構造体を形成するために、このシェル材料を、上述の材料から成る他の1つまたは複数のシェル層によって順にコーティングしてもよい。
【0042】
様々な材料に適用可能な多数の好都合な方法のうちのいずれかによって、ナノ構造体を製造すると共にその寸法を制御することが可能である。例えば、以下の文献には、様々な組成のナノ結晶の合成について記載されている。Peng et al.の「Shape Control of CdSe Nanocrystals」Nature 404,59-61 (2000年)、Puntes et al.の「Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt」Science 291,2115-2117 (2001年)、Alivisatos et al.の「Process for forming shaped group III-V semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するUS特許第6,306,736号 (2001年10月23日)、Alivisatos et al.の「Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するUS特許第 6,225,198(2001年5月1日)、Alivisatos et al.の「Preparation of III-V semiconductor nanocrystals」と題するUS特許第 5,505,928 (1996年4月9日)、Alivisatos et al.の「semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self-assembled monolayers」と題するUS特許第 5,751,018 (1998年5月12日)、Gallagher et al.の「Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same」と題するUS特許第 6,048,616 (2000年4月11日)、および、Weiss et al.の「Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes」と題するUS特許第 5,990,479 (1999年11月23日)。
【0043】
様々なアスペクト比を有するナノワイヤーの成長については、例えば次の文献に記載されている。このナノワイヤーには、制御された直径を有するナノワイヤーも含まれる。Gudiksen et al.の「Diameter-selective synthesis of semiconductor nanowires」J. Am. Chem. Soc. 122, 8801-8802 (2000年)、Cui et al.の「Diameter-controlled synthesis of single-crystal silicon nanowires」Appl. Phvs. Lett. 78, 2214-2216 (2001年)、Gudiksen et al.の「Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires」J. Phys. Chem. B 105,4062-4064 (2001年)、Morales et al.の「A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires」Science 279, 208-211(1998年)、Duan et al.の「General synthesis of compound semiconductor nanowires」Adv. Mater. 12, 298-302(2000年)、Cui et al.の「Doping and electrical transport in silicon nanowires」J. Phys. Chem. B 104, 5213-5216 (2000年)、Peng et al.の「Shape control of CdSe nanocrystals」Nature 404, 59-61 (2000年)、Puntes et al.の「Colloidal nanocrystal shape and size control: The case of cobalt」Science 291, 2115-2117(2001年)、Alivisatos et al.の「Process for forming shaped group III- V semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するUS特許第6,306,736号 (2001年10月23日)、Alivisatos et al.の「Process for forming shaped group II-VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process」と題するUS特許第6,225,198号 (2001年5月1日)、Lieber et al.の「Method of producing metal oxide nanorods」と題するUS特許第6,036,774号 (2000年3月14日)、Lieber et al.の「metal oxide nanorods」と題するUS特許第5,897,945号 (1999年4月27日)、Lieber et al.のUS特許第5,997,832号「Preparation of carbide nanorods」 (1999年12月7日)、Urbau et al.の「Synthesis of single-crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate」J. Am. Chem. Soc., 124, 1186 (2002年)、および、Yun et al.の「Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy」Nanoletters 2, 447 (2002年)。
【0044】
分枝状のナノワイヤーの成長(例えば、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、および、分枝状のテトラポッド)については、例えば次の文献に記載されている。Jun et al.の「Controlled synthesis of multi-armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system」J. Am. Chem. Soc. 123, 5150-5151 (2001年)、および、Manna et al.の「Synthesis of Soluble and Processable Rod-,Arrow-, Teardrop-, and Tetrapod-Shaped CdSe Nanocrystals」J. Am. Chem. Soc. 122, 12700-12706 (2000年)。
【0045】
ナノ粒子の合成については、例えば次の文献に記載されている。Clark Jr. et al.の「Method for producing semiconductor particles」と題するUS特許第5,690,807号 (1997年11月25日)、El-Shall, et al.の「nanoparticles of silicon oxide alloys」と題するUS特許第 6,136,156号 (2000年10月24日)、Ying et al.の「Synthesis of nanometer-sized particles by reverse micelle mediated techniques」と題するUS特許第6,413,489号 (2002年7月2日)、および、Liu et al.の「Sol-Gel Synthesis of Free-Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate nanoparticles」J. Am. Chem. Soc. 123, 4344(2001年)。ナノ結晶、ナノワイヤーおよび分枝状のナノワイヤーの成長に関する上記の引用文献にはナノ粒子の合成についても記載されており、結果として生じるナノ構造体は約1.5未満のアスペクト比を有している。
【0046】
コア−シェル型ナノ構造体のヘテロ構造の合成、すなわちナノ結晶およびナノワイヤー(例えばナノロッド)のコア−シェル型ヘテロ構造の合成については、例えば次の文献に記載されている。Peng et al.の「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」J. Am. Chem. Soc. 119, 7019-7029 (1997年)、Dabbousi et al.の「(CdSe)ZnS core-shell quantum dots: Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites」J. Phys. Chem. B 101, 9463- 9475 (1997年)、Manna et al.の「Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods」J. Am. Chem. Soc. 124, 7136-7145 (2002年)、および、Cao et al.の「Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores」J. Am. Chem. Soc. 122, 9692-9702 (2000年)。同様の方法を適用して、他のコア−シェル型ナノ構造体を成長させることも可能である。
【0047】
異なる材料がナノワイヤーの長軸に沿った異なる位置に分散されている、ナノワイヤーヘテロ構造の成長については、例えば次の文献に記載されている。Gudiksen et al.の「Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics」Nature 415, 617-620 (2002年)、Bjork et al.の「One-dimensional steeplechase for electrons realized」Nano Letters 2, 86-90(2002年)、Wu et al.の「Block-by-block growth of single-crystalline Si/SiGe superlattice nanowires」Nano Letters 2, 83-86 (2002年)、および、Empedoclesの「Nanowire heterostructures for encoding information」と題するUS特許出願第60/370,095号 (2002年4月2日)。同様の方法を適用して、他のヘテロ構造を成長させることも可能である。
【0048】
〔ナノワイヤーを転写するための典型的な実施形態〕
この章では、ナノワイヤーのようなナノ構造体を表面に成長させる実施形態について説明する。複数の実施形態において、1つまたは複数のナノワイヤーを転写表面上の電極対に近接するように供給する。電極対に電圧を印加することよってその電極対にナノワイヤーを関連付ける。次に、ナノワイヤーを電極対から転写対象となる目標面に堆積させる(正確に置く)。
【0049】
明細書全体を通して用いる「配置する」という用語は、複数のナノワイヤーを基板上に、例えば1つの電極対に、配向および関連付けること、および、堆積または結合させることを指す。この配置することには、配向されたナノワイヤーおよび配向されていないナノワイヤーの両方が含まれる。明細書全体を通して用いる「配向された」ナノワイヤーという用語は、互いにほぼ平行なナノワイヤー、または、互いに同一の方向またはほぼ同一の方向に方向付けられたナノワイヤー(つまり、複数のナノワイヤーが同じ方向に配向されているか、または、互いに約45°以内に配向されているナノワイヤー)に関するものである。本発明のナノワイヤーは、全てが互いにほぼ平行、且つ、電極対の各電極にほぼ垂直であるように配向される(例えば、2つの電極を通る軸に平行に配向される)(さらなる実施形態では、1つの電極に平行に複数のナノワイヤーが配向され得る)。ナノワイヤーを1つの電極対上に配置することは、ナノワイヤーを電極対に橋渡しするように配置することを含む。ナノワイヤーの方が電極対の2つの電極を分離している間隔よりも長い実施形態では、ナノワイヤーは、これら電極を越えて伸びていてもよい。
【0050】
本発明の方法およびシステムにおいて用いるためのナノワイヤーを供給する方法は、従来技術において公知である。一実施形態では、ナノワイヤーは懸濁液中に供給されている。懸濁液とは、液体中に懸濁させた複数のナノワイヤーである。一実施形態では、この液体は、水または水溶液のイオン(塩を含む)、および、例えば界面活性剤のような他の成分等の水媒体である。ナノワイヤー懸濁液の調合に適した液体のさらなる例には、有機溶媒、無機溶媒、アルコール(例えばイソプロピルアルコール)(IPA)等が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0051】
ここで用いるように、ナノワイヤーを供給することに関する「電極対に近接するように」という表現は、電極対に発生した電界がナノワイヤーに作用することが可能なように、ナノワイヤーを供給するまたは配置することを意味している。これは、ナノワイヤーが電極に関連付けされることが可能な電極対からの距離のことである。典型的な実施形態では、ナノワイヤーを、電極対から約10mm未満離して供給する。例えば、ナノワイヤーが電極対から約100μm未満、約50μm未満、または、約1μm未満にあるように、ナノワイヤーを供給してもよい。
【0052】
本発明は、複数の実施形態において、ナノ構造体を配向および堆積するためのシステムまたは装置を提供している。例えば、図2は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体転写システム200を示す図である。図2に示すように、転写システム200は、ナノ構造体プリントヘッド202、ナノ構造体204、および転写対象となる目標基板212を含む。ナノ構造体プリントヘッド202は、ナノ構造体204を受け取り、ナノ構造体204を基板212まで転写するように構成された筐体である。図2に示すように、ナノ構造体プリントヘッド202は、転写表面206を備え、電極対208を有している。基板212は、ナノ構造体204を受け取る表面210を有している。この表面210を「転写対象となる目標面」と称する。電極対208は転写表面206上に位置している。ナノ構造体204は、転写表面206の電極対208が受け取り、転写対象となる目標面210に転写される。ナノ構造体204は、本明細書の他の箇所に記載した種類のナノ構造体のうち、どのナノ構造体を含んでいてもよく、1つまたは複数のナノワイヤーを含んでいてもよい。転写システム200の構成部材に関する更なる説明は、後に記載する。
【0053】
図3は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、ナノ構造体を転写するための典型的なステップを提供するフローチャート300を示す図である。例えば、フローチャート300に従って、図2のナノ構造体プリントヘッド202を用いてナノ構造体204を転写することが可能である。フローチャート300を、本発明の実施形態を示す様々なブロック図である図2および図4〜6を参照しながら以下のように説明する。以下の説明に基づいて、当業者には他の構造的および動作的な実施形態も明らかとなるであろう。必ずしも、フローチャート300の全てのステップを全ての実施形態において行う必要はない。
【0054】
フローチャート300は、ステップ302から始まる。ステップ302では、少なくとも1つのナノ構造体を1つの電極対に近接するように供給する。例えば図2に示すように、ナノ構造体204を電極対208に近接するように供給する。例えば、ナノ構造体204は、電極対208と接触しながら流れる溶液中にあることで、ナノ構造体204を電極対208に近接するように配置させることを可能にしている。あるいは、他の方法で、ナノ構造体204を電極対208に近接するように供給してもよい。
【0055】
ステップ304では、電極対の2つの電極によって電界を発生させ、これらの電極に1つまたは複数のナノ構造体を関連付ける。例えば、電極対208に電位を結合させて、電界を発生させることができる。電極対208によって発生した電界を用いて、電極対208に近接するように位置しているナノ構造体204を電極対208に関連付けることが可能である。図4に示すように、ナノ構造体204が電極対208に関連付けられる。一実施形態では、関連付けられたナノ構造体204は、電界によって、転写表面206から離れた位置に懸濁した状態で保持される。以下に、電極対によって電界を発生させてナノ構造体を関連付ける典型的な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0056】
ステップ306では、電極対を、転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。例えば、図5に示すように、ナノ構造体プリントヘッド202を転写対象となる目標面210の方に(例えば図5の破線の矢印によって示した方向に)動かすことによって、電極対208を転写対象となる目標面210に位置合わせする。一実施形態では、電極対208を転写対象となる目標面210に接触させて位置合わせする。他の一実施形態では、電極対208を、転写対象となる目標面210に隣接させ、転写対象となる目標面210から少し間隔を空けて位置合わせする。電極対208を表面210の任意のどの領域に位置合わせしてもよく、この領域には、一般的には開口した領域(つまり表面210に接触している必要はない)、電極対208に対応する電気接点(電気接点対)を有する領域、または、他の領域が含まれる。電極対208を、ナノ構造体204が配置される表面210の領域に位置合わせする。
【0057】
ステップ308では、1つまたは複数のナノ構造体を、電極対から上記領域に堆積させる。ナノ構造体204が、様々な方法で、転写対象となる目標面210に堆積され得る。以下に、ナノ構造体を表面に堆積させる実施形態の様々な例について詳細に説明する。
【0058】
ステップ310では、転写対象となる目標面の領域に位置合わせされている電極対を当該領域から取り除く。例えば、図6に示すように、ナノ構造体プリントヘッド202を転写対象となる目標面210から(例えば図6の破線の矢印の方向に)離す。ナノ構造体204は、表面210に堆積されたまま残る。このナノ構造体プリントヘッド202を用いて、表面210の同じ領域、表面210の異なる領域、および/または、基板212以外の構造物の表面に、フローチャート300を繰り返し行って、さらなるナノ構造体を次々と堆積させることが可能である。
【0059】
以下に、ナノ構造体転写システム200およびフローチャート300を行うための典型的な実施形態について詳細に説明する。これらの実施形態を、以下では、ナノワイヤーに関連して説明する。これらの実施形態は、説明のために提供されるものであり、制限することを意図するものではない。これらの実施形態をナノワイヤー以外の種類のナノ構造体を転写するために用いてもよいことは、当業者には明らかであろう。さらに、これらの様々な実施形態を様々な方法で適合および/または組み合わせてもよいことは、本明細書の教示から当業者には明らかであろう。
【0060】
図7は、図2に示したナノ構造体プリントヘッド202の一例である、本発明の一実施形態に係るナノワイヤープリントヘッド702を示す図である。図7に示すように、ナノワイヤープリントヘッド702は、転写表面206上に電極対208を有している。転写表面206は、電極対208が(例えばパターニング、メッキ等によって)形成されるプリントヘッド702の基板または他の構造物の表面である。電極対208は、第1電極704および第2電極706を有している。転写表面206は、半導体ウェハまたは誘電体等の任意の好適な材料から形成されていてもよい。好適な材料の例には、Si、SiO、GaAs、InP、および、本明細書に記載する他の半導体材料が含まれるが、これらに限定されることはない。第1電極704および第2電極706として使用するための典型的な材料には、Al、Mo(Moly電極)、Cu、Fe、Au、Ag、Pt、Cr/Au、ドープされたポリシリコン等が含まれるが、これらに限定されることはない。本発明の実施に際して用いられる電極は、所望により、その表面に、酸化物コーティングまたは他の層をさらに含んでいてもよい。第1電極704および第2電極706には、任意の好適な位置付けまたは形態が用いられてもよい。なお、複数の実施形態において、プリントヘッド702に1つまたは複数のさらなる電極が(例えば電極704と706との間に)配置されていてもよい。このようなさらなる電極は、プリントヘッド702に関連付けられたナノワイヤーと、転写表面206および/または転写対象となる目標面との間の引力または反発力(例えば静電力)を変化させるように構成されていてもよい。
【0061】
様々な方法で、フローチャート300のステップ302に従ってナノワイヤーを第1電極704および第2電極706に近接するように供給してもよい。例えば、図8は、本発明の一実施形態に係るナノワイヤー転写システム800の一部を示す図である。図8に示すように、転写システム800は、プリントヘッド702および溶液容器802を備えている。容器802は、複数のナノワイヤー806を含有する溶液804を収容している。溶液804を「ナノワイヤー懸濁液」とも称する。図8の実施形態では、プリントヘッド702の転写表面206を一時的に溶液804の中に移動させることで(例えば「浸すことで」)、ナノワイヤー806がフローチャート300のステップ302に従って電極対208に近接することを可能にする。
【0062】
図9は、本発明の他の一実施形態に係るナノワイヤー転写システム900の一部を示す図である。図9に示すように、転写システム900は、プリントヘッド702および溶液容器802を備えている。容器802は、複数のナノワイヤー806を含有する溶液804を収容している。図9の実施形態では、転写表面206(およびプリントヘッド702の残り部分)が溶液804中にあることで、ナノワイヤー806がフローチャート300のステップ302に従って電極対208に近接することを可能にしている。
【0063】
電極対208は、図9では溶液804内で上方を向いているように示され、図8では下方を向いているように示されているが、プリントヘッド702は、電極対208が、上方、下方、側方を含む他の方向を向くように方向付けられていてもよい。
【0064】
ナノワイヤー806は、ここに記載する任意の好適な種類のナノワイヤーであってもよいし、または、他の知られた種類のナノワイヤーであってもよい。例えばナノワイヤー806は、半導体コア、および、コアの周りに配置された1つまたは複数のシェル層(つまりコアを包囲するシェル層)(例えば図1Bおよび図1Cに示したようなシェル層)を有していてもよい。典型的な半導体材料およびシェル材料には、本明細書の他の箇所に記載した材料が含まれる。典型的な一実施形態では、コアはシリコン(Si)を含み、少なくとも1つのコア層、例えば最外シェル層(つまり外部環境と接触しているシェル層)は、TaAlNまたはWN等の金属を含む。金属製のシェル層のさらなる例には、本明細書の他の箇所に記載した材料が含まれる。さらなる典型的なナノワイヤーには、コア−シェル(CS)型ナノワイヤー(例えば、SiO)、コア−シェル−シェル(CSS)型ナノワイヤー(例えば、SiO:金属)、および、コア:非酸化物シェル:金属シェル型ナノワイヤー(CNOS)(例えばSi:金属)が含まれる。
【0065】
一実施形態では、容器802は、ナノワイヤー806を含有する溶液804の流れを受け入れる。例えば、図10は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノワイヤー溶液のフローシステム1000を示すブロック図である。図10に示すように、フローシステム1000は、ナノワイヤー懸濁液源の貯水槽1002、容器802、およびナノワイヤー懸濁液回収チャンバー1004を含む。ナノワイヤー懸濁液源の貯水槽1002は、溶液804の供給物を含むタンクまたは他の種類の貯水槽である。所望により、貯水槽1002内の溶液804の中にナノワイヤー806を導入して、懸濁液を形成することが可能である。溶液804は、ナノワイヤー806を収容するための、水、イソプロピルアルコール(IPA)、本明細書に記載する他の液体などを含む任意の好適な種類の液体であってもよい。
【0066】
図10に示すように、ナノワイヤー懸濁液源の貯水槽1002は、ナノワイヤー懸濁流1006を排出する。ナノワイヤー懸濁流1006は容器802に収容される。貯水槽1002は、1つまたは複数の流路、パイプ、弁などによって、ナノワイヤー懸濁流1006を容器802に供給することが可能である。懸濁液がプリントヘッド702と相互作用することが可能になった後、容器802は、残りのナノワイヤー懸濁流1008を排出する。このナノワイヤー懸濁流1008は、ナノワイヤー懸濁液回収チャンバー1004に収容される。ナノワイヤー懸濁液回収チャンバー1004は、タンクまたは他の種類の貯水槽である。チャンバー1004に収容された残りのナノワイヤー懸濁流は、例えば、濾過され、および/または、システム1000内を再循環するために再びナノワイヤー懸濁液源の貯水槽1002に供給されたり、また、ここから回収された残りのナノワイヤーを有していたり、または、廃棄されたりする。
【0067】
従って、上述の実施形態では、ナノワイヤーの懸濁液(例えばナノワイヤー「インク」)を電極対208に提供することによって、1つまたは複数のナノワイヤー806が供給される。図10に示したように、ナノワイヤーを含有する溶液を転写表面上の電極対に対して流すことによって、ナノワイヤー懸濁液が供給される。ナノワイヤー806が供給されるとき、その懸濁流は、ナノワイヤーが流れの方向に配向するのに有効である。
【0068】
一実施形態では、均一なナノワイヤー806の懸濁液を保持するために、容器802を攪拌、揺動、または、動かすことが可能である。ナノワイヤーの懸濁液が層状であることが望ましい他の一実施形態では、重力、電界、および/または、同様の濃度もしくはより低い濃度のナノワイヤーを有していない溶媒によるオーバーフローを用いて、成層構造を形成することが可能である。様々な方法で、層化されたナノワイヤーの懸濁液を用いることが可能である。例えば、プリントヘッド702を、層化された懸濁液のナノワイヤーの密度が高い領域に配置して、ナノワイヤーを堆積させ、その後、ナノワイヤーの密度が低い「クリーンな溶媒」の領域に配置することにより、余分なナノワイヤーを取り除いてもよい。
【0069】
ナノワイヤーを電極対に供給するさらなる方法は従来技術において公知であり、スプレーコーター、スプレー塗装、メニスカスコーター、浸漬コーター、バーコーター、グラビアコーター、マイヤーロッド、ドクターブレード、押し出し成形、マイクログラビア、ウェブコーター、ドクターブレードコーター、インラインプリント機またはインクジェットプリンターが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0070】
上述のように、電極対208の様々な構成を複数の実施形態において用いてもよい。例えば、電極対208は定位置電極であってもよい。他の一実施形態では、電極対208は、当該電極対が適用される転写対象となる目標面に整合可能なように構成されていてもよい。例えば、図11は、本発明の一実施形態に係る典型的なプリントヘッド1100を示す上面図である。プリントヘッド1100は転写表面1102を有している。転写表面1102は、電極対208が実装される第1カンチレバー1104および第2カンチレバー1106を備えている。図12は、プリントヘッド1100を示す側断面図である。図12および図13に示すように、第1カンチレバー1104および第2カンチレバー1106は、一般的には、同一平面上にある同軸の筐体であり、隣接するように配置されている移動可能な端部と、その反対側に配置されている固定端部とを有している。第1カンチレバー1104は、その移動可能な端部に、隆起した端部1112を有しており、第2カンチレバー1106は、その移動可能な端部に、隆起した端部1114を有している。第1電極704が第1カンチレバー1104の隆起した端部1112上に形成され、第2電極706が、第2カンチレバー1106の隆起した端部1114上に形成されている。第1電極704を外部の回路に電気的に結合するために、第1カンチレバー1104上に第1導体1108(例えば金属トレース)が形成されており、第2電極706を外部の回路に電気的に結合するために、第2カンチレバー1106上に第2導体1110(例えば金属トレース)が形成されている。例えば、第1導体および第2導体1110は、第1電極704および第2電極706を、DCおよび/またはAC電気信号源に電気的に結合させることが可能である。
【0071】
第1カンチレバー1104および第2カンチレバー1106は、転写表面1102の水平面においては実質的に可塑性を有していないが、転写表面1102の面に対して接線方向(図12のZ軸に示した)には可塑性を有している。従って、第1電極704および第2電極706が表面(例えば転写対象となる目標面210)と接触して配置されると、第1カンチレバー1104の自由端および第2カンチレバー1106の自由端は、これらの自由端の下にある隙間1202の中に屈曲し、第1電極704および第2電極706を損傷から保護するための伸展性を提供すると共に、同一平面にない転写対象となる目標面と整合するときの補助となる。
【0072】
カンチレバー1104・1106は、どのような種類および構成のカンチレバーであってもよい。一実施形態では、カンチレバー1104・1106は、微小電気機械システム(MEMS)のカンチレバーである。
【0073】
フローチャート300(図3)のステップ304に従って、電極対の2つの電極によって電界を発生させ、これら電極にナノ構造体を関連付ける。図13は、フローチャート300(図3)のステップ304を行うために用いられ得る、本発明の典型的な一実施形態に係るナノワイヤー転写システム1300を示す図である。図13に示すように、システム1300は電圧源1302を備えている。電圧源1302は、電気信号1304によって電極対208に結合される信号/波形発生器である。電圧源1302は、電気信号1304を直流(DC)および/または交流(AC)信号として発生させ、電極対208に電界を発生させる。例えば、図14は図8の転写システム800を示す図である。この図では、電極対208に電圧を印加することによって、第1電極704と第2電極706との間に矢印1402によって示される電界が発生している。電気信号1304で電極対に電圧を印加することによって、電極対208の電極704と電極706との間に電界1402を発生させて、少なくともいくつかのナノワイヤー806を電極対208に関連付ける。なお、電界1402は、ナノワイヤーの製造期間/ナノワイヤーを容器802内への導入期間前、その期間後、または、その期間中に発生可能であってもよい。ここで用いるように、「電界」および「電磁界」という用語は入れ替え可能に用いられ、電荷の近傍において荷電された対象物に印加される力のことを指す。ここで用いるように、「電極対に電圧を印加する」とは、電流を電極に供給して、電極対の両電極間に電界を生成させる任意の好適な機構またはシステムに関するものである。
【0074】
電界1402を発生させるために電極対208に電圧を印加することを、ナノワイヤーの配向および堆積工程の一部または全工程の間に行うことが可能である。例えば、電極対208は、フローチャート300のステップ306(プリントヘッドの位置合わせ工程)の間、および、フローチャート300のステップ308(ナノワイヤーの堆積工程)の一部または全ての工程の間、電圧が印加された状態を維持することが可能である。典型的な一実施形態では、(例えばワイヤまたは他の接続を用いて)第1電極704を電圧源1302の正極端子に結合させると共に第2電極706を電圧源1302の負極端子に結合させることによって、電界1402を発生させる。電流がオン状態にされ、電気信号1304によって供給されると、負端子および正端子は、転写表面206上に配置された電極704・706に電荷を移動させ、これによって、電極対208の電極704と電極706との間に電界1402を発生させる。複数の実施形態では、電界1402は、定電界、パルス状のAC電界等のパルス電界、または、他の種類の電界であってよい。
【0075】
電界1402を発生させるために電極対208に電圧を印加することは、電極対208に電磁波を供給することによっても可能である。従来から公知のように、様々な寸法および構成(例えば、円筒形、長方形)の導波管を用いて、電磁波を方向付けると共に供給することが可能である(例えば、Guru, B. S. et al.の「Electromagnetic Field Theory Fundamentals,」Chapter 10, PWS Publishing Company, Boston, MA(1998年)を参照)。本発明の実施に際して用いるための導波管の動作周波数は、当業者が容易に決定可能であり、約100MHz〜10GHzの範囲であってもよく、例えば、約1GHz〜5GHz、約2〜3GHz、約2.5GHz、または、約2.45GHzであってもよい。
【0076】
以下にさらに詳細に説明するように、ナノワイヤー806が、電極704と電極706との間に発生したAC電界1402に曝されると、電界の勾配が結果として生じる。ナノワイヤー806(例えば図14のナノワイヤー806)の近傍には正味の双極子モーメントが生成され、AC電界によって双極子上に回転力がかかり、これによって、近接するナノワイヤーが電界の方向に対して平行に配向される。例えば図15は、電界1402によって電界1402に平行に配向され、電極対208に関連付けられたナノワイヤー806aを示す図である。
【0077】
複数の実施形態において、第1電極704および第2電極706は、ナノワイヤー806の長軸の長さよりも短い間隔、その長軸の長さと同じ長さの間隔、または、その長軸の長さよりも長い間隔で分離されている。本発明の方法を用いて、任意の長さのナノワイヤー806を配向および配置可能である。一実施形態では、電極対の2つの電極間の間隔は、ナノワイヤーが電極の第1端部をちょうど超える程度に延びている。一実施形態では、ナノワイヤー806は、第1端部をちょうど超えて、各電極の中心まで伸びており、ナノワイヤー806の端部において電極材料と数十ナノメートルから数ミクロン重複している。電極704と電極706との間隔よりも短いナノワイヤー806の場合には、(仮に結合するならば)一対の電極のうちの一方の電極とだけ結合することが可能であり、必要に応じて、次の除去段階の間に除去してもよい。同様に、実質的に電極704と電極706との間隔よりも長いナノワイヤー806の場合には、電極704・706のうちの1つまたは複数の電極の上に張り出し、(広範囲に露出された表面領域については)次の除去段階に間に除去され得る。従って、本実施形態では、様々な寸法のナノワイヤーの懸濁液から特定の長さのナノワイヤー806を優先的に選択し、これらを電極対208上に配向および堆積させる方法をさらに提供する。複数の実施形態では、曲線状または湾曲したナノワイヤーでなく「直線状」のナノワイヤー806を関連付けると共に結合させることが可能である。従って、このような実施形態では、好ましくない曲線状または湾曲したナノワイヤー806よりも、直線状のナノワイヤー806を優先的に堆積させるというさらなる利点を提供する。
【0078】
ナノワイヤーをAC電界に平行に配向することに加えて、電界の勾配が近接するナノワイヤー間に誘電泳動力を与えて、そのナノワイヤーを電極対208に引き付ける。図16は、ナノワイヤー806をプリントヘッド702の電極対208の方に引き付ける力1602を示す図である。一実施形態では、力1602は誘電泳動力である。電界の勾配は、電極対208において最も高く、この電極により強く引き付ける。電極対208の各電極の表面には電気的二重層が生成されることにより、逆帯電したイオンが各電極に生じるようになる。これらのイオンは、電界1402の存在下で各電極から離れ、まずそのイオンに近接して浮かんでいるナノワイヤー806aの方(例えば上方または下方)に向かう。イオンは、逆帯電したナノワイヤー806aに接近すると、同種の電荷によって退けられて各電極の方に戻されることにより、結果的に、イオンの循環パターンが生じる。そこに存在する液体(つまりナノワイヤー懸濁液)も循環して、電気浸透力が生成される。この電気浸透力は、ナノワイヤー806aをこれらの電極に引き付ける誘電泳動力に反発する力である。従って、一実施形態では、図16に示した力1606が浸透力である。力1602、1606が平衡状態(または比較的平衡状態)に達すると、ナノワイヤー806aは、ナノワイヤー806aが電極対208に関連付けられるように所定の位置に保持される。ここで用いるように、「関連付けられる」および「ピン止め(固定)される」という用語は、ナノワイヤー(例えばナノワイヤー806a)が、電気浸透力および誘電泳動力が平衡状態にあり、そのためナノワイヤーが電極対208から(つまり転写表面206および電極対208に対して接線方向またはほぼ接線方向に)全く移動しないか、または、実際少ししか移動しないことを示している。これを、本明細書を通して「関連付け段階」とも称する。
【0079】
さらに、一実施形態では、ナノワイヤー806の電荷値および転写表面206の電荷値は、ナノワイヤーを電極対208に関連付けるまたはピン止めする工程に影響を与える。例えば図16は、関連付けられたナノワイヤー806a(不図示のさらなるナノワイヤーも関連付けられ得る)を有するプリントヘッド702を示す図である。図16に示すように、転写表面206は、酸化物層等の層1604を有していてもよい。層1604は、転写表面206に表面電荷を供給する層である。層1604の電荷の極性としては、ナノワイヤー806aを引き付けるまたは反発する極性を所望のように選択することが可能である。例えば、層1604は、転写表面206に負の表面電荷を提供する。この負の表面電荷は、結果的に、同じく負の表面電荷を有し得る(例えばイソプロピルアルコール中の)ナノワイヤー806a上の反発力となる。このため、図16においてナノワイヤー806aを反発する力1606は、ナノワイヤー806aの電荷と層1604の電荷とが同じ極性を示していることに起因する静電反発力を含んでいてもよい。
【0080】
関連付けられたまたはピン止めされた状態において、ナノワイヤーは、電界に平行に配向されるが、電極の端部に沿って(つまり電極表面の直ぐ上方の面において)十分に移動可能である。例えば、図17および図18は、図11のカンチレバー1104・1106上の電極対208を示す上面図および側面図である。図17および図18に示すように、第1電極704および第2電極706には、複数のナノワイヤー1702が関連付けまたはピン止めされている。ナノワイヤー1702は、電極対208から間隔1802を隔ててピン止めされている。間隔1802の長さは、印加される電界1402の強度、電界1402の周波数、ナノワイヤー1702の電荷の強度、層1604の電荷の強度などを含む、様々な要因によって決定される。
【0081】
関連付けられたまたはピン止めされた状態において、ナノワイヤー1702は、自由に、再配置、移動、および/または、電極704・706の長さ方向に沿って配向可能である。既に電界1402によりほぼ配向されたナノワイヤー1702は、最も近接したナノワイヤーに接触するまで、および/または、そのナノワイヤーに反発されるまで、電極対208に沿って移動する傾向がある。実質的に配向されていないナノワイヤー1702は、最も近接したナノワイヤーに接触し、および/または、そのナノワイヤーに反発される時、および、ナノワイヤー1702に作用する様々な力が平衡状態に達する時に配向されるように移動する傾向にある。ナノワイヤー1702が横方向に(つまり電界1402の方向に垂直な電極対208に沿って)移動可能であるため、ナノワイヤーを群がらせずに、ナノワイヤー1702の配向工程および関連付け工程を、時間的に順番に行うことを可能にする。つまり、ナノワイヤーを(懸濁液から)電極対208に連続的に供給すると、既に関連付けられたナノワイヤーは自由に移動可能になり、さらなるナノワイヤーを収容するために道を空けるため、さらなるナノワイヤーが電極に関連付けられることが可能になる。
【0082】
ナノワイヤーを電極対に関連付けることに関する典型的な説明のさらなる例では、ナノワイヤーの様々な密度、様々な交流電流周波数、電界の変調、ナノワイヤーを電極対に「ロックする」こと等は、関連出願の「Methods for Nanowire Alighnment and Deposition」と題するUS特許出願第60/857,765号 (出願日2006年11月9日)に言及されている。
【0083】
ナノワイヤー1702を電極704・706に関連付けた後、結合されていないナノワイヤーを電極対208から除去し、完全に配向されていない、完全に結合されていない、重複した、交差した、または、電極対208に理想的には結合されていないナノワイヤーを実質的に排除することが可能である。ここでは、結合段階後に除去されていないナノワイヤーを「結合されていないナノワイヤー」と称する。結合されていないナノワイヤーを除去するための好適な任意の方法を用いてもよい。例えば、ピンセット(例えば光ピンセット(例えばUS特許第6,941,033号、第6,897,950号、および第6,846,084号を参照))または同様の器具を用いて、または、結合されていないナノワイヤーを振り落とすか、もしくは物理的に取り除くことによって、結合されていないナノワイヤーを除去してもよい。好適には、ナノワイヤーを洗い流すことによって、結合されていないナノワイヤーを除去する。ここで用いるように、「洗い流す」という用語は、結合されていないナノワイヤーを電極対から徐去するために、液体(気相または液相)をナノワイヤー上またはその周りに流すプロセスを含む。好適に変調された電界を用いることにより、交差したナノワイヤーの交差を解くことが可能となり、第3電極を用いることにより、誘電泳動的または電気浸透的に「結合されていないナノワイヤー」を除去することが可能となる。結合されていないナノワイヤーを非慣性的に除去してもよいし、他の技術によって除去してもよい。
【0084】
フローチャート300(図3)のステップ306に従って、電極対を転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。図19は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノワイヤー転写システムを用いてステップ306を実施するために用いられ得るプリントヘッド位置合わせシステム1900を示す図である。図19に示すように、システム1900は、プリントヘッド702に結合された位置合わせ機構1902を含む。位置合わせ機構1902は、電極対208が、基板212の転写対象となる目標面210上の指定されたナノワイヤー転写領域1904に位置合わせされるように、プリントヘッド702を移動させるように構成されている。位置合わせ機構1902は、電極対208が領域1904に隣接するが接触しないようにプリントヘッド702を移動させるように、および/または、電極対208が領域1904に接触するようにプリントヘッド702を移動させるように構成されていてもよい。例えば、位置合わせ機構1902は、プリントヘッド702を領域1904に移動させるためのモーター(例えばリニアモーター)または他の駆動機構を備えていてもよい。さらに、位置合わせ機構1902は、プリントヘッド702を領域1904に対して正確に配置するために、プリントヘッド702の位置および/または基板212の位置を検出する位置検出センサーを備えていてもよい。位置検出センサーの例には、相対的な位置を検出するための、光学センサー(例えば視覚システム)、近接センサー、機械センサー等が含まれる。
【0085】
基板212は、ナノ構造体の配置に適した任意の種類の構造であればよい。例えば、基板212は様々な材料から形成されていてもよく、これらの材料には、半導体材料(例えば、シリコン、GaAs等)、ポリマー(例えばプラスチック材料)、ガラス、セラミック材料、複合材料、プリント基板(PCB)等が含まれる。
【0086】
なお、図19は、電極対208および関連付けられた複数のナノワイヤー1702が流動床1906で覆われている一実施形態を示したものである。例えば、図8に示すようにプリントヘッド702を溶液804に浸漬して、図14および図15に示すようにナノワイヤー1702が電極対208に関連付けられる。次に、プリントヘッド702が溶液804から引き上げられる。しかしながら、流動床1906は転写表面206に残り、ナノワイヤー1702を湿ったままの状態にする。このようにして、ナノワイヤー1702は、電極対208に関連付けられたまま保持される。これには、ナノワイヤー1702が第1電極704および第2電極706に対して配向および位置付けされることを含まれる。例えば、転写表面206は、流動床1906が転写表面206に固着することを可能にする親水性材料で覆われていてもよい。複数の実施形態では、転写対象となる目標面210上の領域1904は、溶液で覆われていてもよいし、或いは、比較的乾燥していてもよい。
【0087】
図20は、位置合わせ機構1902によって領域1904に(例えば図20に示す破線の下向き矢印の方向に)位置合わせされたプリントヘッド702を示す図である。図20に示すように、第1電極704および第2電極706は、ナノワイヤー1702を領域1904と接触させながら物理的に保持している。さらに、ナノワイヤー1702は、実質的に領域1904と接触するときに、電界1402の作用およびナノワイヤー1702に作用する他の力によって、電極対208上におけるその配向および位置を保持している。
【0088】
図21および図22は、本発明の典型的な一実施形態に係る、転写対象となる目標面210に位置合わせされた図9のプリントヘッド702を示す図である。図21および図22では、ナノワイヤー806が溶液804から除去された状態を示しているが、これらはまだ溶液804内に存在している状態であってもよい。図21に示すように、基板212およびプリントヘッド702は、溶液804に浸っている。(例えばフローチャート300のステップ304に従って)電極704・706に関連付けられたナノワイヤー1702が示されている。図22に示すように、プリントヘッド702は、(例えば、図21および図22には不図示の位置合わせ機構1902によって)領域1904に位置合わせされている。図22では、第1電極704および第2電極706は、ナノワイヤー1702を領域1904に接触させながら物理的に保持している。さらに上述のように、ナノワイヤー1702は、実質的に領域1904と接触するときに、電極対208上におけるその配向および位置を保持している。
【0089】
なお、図23に示すように、一実施形態では、転写表面206/電極対208を転写対象となる目標面210から所定の間隔を空けて保持するため、および/または、接触する際の電極704・706と転写対象となる目標面210との間の衝撃を小さくするために、転写表面206(および/または転写対象となる目標面210)上に、1つもしくは複数のスペーサ、または間隔保持部材2302が設けられていてもよい。間隔保持部材2302はまた、ステップ306に従って転写表面206を転写対象となる目標面210に位置合わせする時に、関連付けられたナノワイヤー1702がその配向および位置から離れるようにするために有効であり得る。この間隔保持部材2302は、本明細書に記載する任意の実施形態と組み合わせて用いてもよい。間隔保持部材2302は、特定の用途で規定される任意の高さを有していてもよい。例えば一実施形態では、間隔保持部材2302は約100μmの高さを有している。
【0090】
図24および図25は、図11、図17および図18のプリントヘッド1100の構成におけるプリントヘッドの位置合わせの例を示す図である。図24に示すように、プリントヘッド1100は、(例えば、図24および図25には不図示の位置合わせ機構1902によって)領域1904に位置合わせされている。図22では、第1電極704および第2電極706は、ナノワイヤー1702を領域1904と接触させながら物理的に保持している。さらに、ナノワイヤー1702は、上述のように、実質的に領域1904と接触している間、電極対208上における配向および位置を保持している。
【0091】
図25では、基板212は、平坦ではなく、その代わり高低のある表面を有している。第2電極706に対応する領域1904の一部は、第1電極704に対応する領域1904の部分よりも高い。従って、プリントヘッド1100の第2カンチレバー1106は、第2電極706が領域1904と接触した状態を維持するために、(例えば、破線の矢印によって示される上向きの方向に)屈曲している。さらに、この屈曲した第2カンチレバー1106によって、第1電極704は、ナノワイヤー1702の各両端を領域1904上で保持することが可能である。
【0092】
なお、プリントヘッドが溶液中で転写対象となる目標面に位置合わせされている一実施形態では、プリントヘッドと転写対象となる目標面との間の溶液は、位置合わせ中に移動してしまうことがある。溶液が横方向に移動すると、関連付けられたナノワイヤーの位置がずれて、プリントヘッドの領域を増大させるという問題、および/または、さらなる問題を生じさせる。図26は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノワイヤー転写システム2600を示す図である。システム2600は、図13に示したシステム1300と同様の構成であるが、システム2600には真空源2602が加えられている。さらに、転写表面206には、真空源2602に結合された1つまたは複数の真空ポート2604が設けられている。真空源2602は、真空または吸引力2606を、真空ポート2604を介して転写表面206と基板212との間に印加して、余分な溶液を除去する。従って、転写表面206および基板212が互いに接近しているときに、余分な溶液が除去され、関連付けられたナノワイヤー等の位置ずれを回避することができる。
【0093】
図27は、本発明の典型的な一実施形態に係る転写表面206を示す典型的な上面図である。図27に示すように、転写表面206は、第1電極704および第2電極706、並びに、複数の真空ポート2604a〜2604cを有している。図27の実施例では、3つの真空ポート2604a〜2604cが示されている。第1真空ポート2604aは、転写表面206上において、第1電極704の近傍に配置されている。第2真空ポート2604bは、転写表面206上において、第1電極704と第2電極706との間の配置されている。第3真空ポート2604cは、転写表面206上において、第2電極706の近傍に配置されている。真空ポート2604を任意の数だけ配置してもよく、所望のように転写表面206上に分散させてもよい。図27の実施例では、真空ポート2604a〜2604cは長方形である。他の実施形態では、真空ポート2604は、円形、正方形などを含む他の形をしていてもよい。
【0094】
フローチャート300(図3)のステップ308に従って、電極対から上記領域に1つまたは複数のナノ構造体を堆積させる。ナノワイヤーは、様々な方法で、転写対象となる目標面210上に堆積され得る。以下に、表面上にナノワイヤーを堆積させるための様々な実施例について説明する。
【0095】
例えば、図28は、本発明の一実施形態に係るナノワイヤー転写システム2800を示す図である。図28に示すように、ナノワイヤー2802を、電極対208から領域1904上に堆積させる。図28の実施形態では、力2802(1つまたは複数の力を含む)が存在している。力2802は、ナノワイヤー1702を配向する間に、ナノワイヤー1702をプリントヘッド702から転写対象となる目標面210に引き付ける力であり、および/または、ナノワイヤー1702をプリントヘッド702の転写表面206に引き付ける任意の力よりも強い、ナノワイヤー1702をプリントヘッド702から引き離す力である。力2802として存在し得る力の例には、電界(ACおよび/またはDC)、真空力、静電力、重力、超音波励起、および/または、他の力が含まれる。当業者にとっては公知であるように、これらの力、並びに、他のパッシブ力およびアクティブ力を、ナノワイヤー1702を引き付ける/はね返すために用いることが可能である。以下に、これらの力のうちのいくつかを利用するための典型的な実施形態について説明する。
【0096】
例えば、図29は、本発明の一実施形態に係る転写システム2900を示す図である。転写システム2900は、概して、図28の転写システム2800と同様の構成である。しかしながら、図29に示すように、転写表面206は、転写表面206上に形成された負に帯電した層2902を有している。負に帯電した層2902は、結果的に、転写表面206に対して負の表面電荷を生じさせ、これによって、(負に帯電した)ナノワイヤー1702へのDC反発力を生じさせる。例えば、層2902は酸化物層であってもよい。電極対208(例えば電界1402)によって発生した電界にAC電界の状態によるバイアスをかけて、上述のフローチャート300のステップ304に従って、電極対208は溶液からナノワイヤー1702を前もって捕らえている。
【0097】
さらに、図29に示すように、転写対象となる目標面210は、表面210上に形成された正に帯電した層2904を有している。例えば正に帯電した層2904は、アルミナ層であってもよい。正に帯電した層2904は、結果的に、転写対象となる目標面210に対して正の表面電荷を生じさせ、これによって、ナノワイヤー1702へのDC引力を生じさせる。転写表面206と転写対象となる目標面210とが十分に(例えば1μm〜4μmの範囲に)(これらが互いに接触することを含む)接近すると、ナノワイヤー1702は、図29に示すように、転写対象となる目標面210上に転写される。これは、層2904のDC引力が、電極対208によって発生したAC電界による引力(誘電泳動力)よりも強いからである。一実施形態では、転写を可能にするために、AC電界を(例えば電圧源1302によって)低くしてもよいし、または、AC電界を完全に取り除いて、誘電泳動力を小さくまたは取り除いてもよい。
【0098】
図30は、転写表面206または転写対象となる目標面210からの距離に応じた、ナノワイヤーのポテンシャルエネルギーを示すプロット3000である。本発明の一実施形態によれば、転写表面206は、負に帯電した層2902を酸化物層として有していてもよく、転写対象となる目標面210は、正に帯電した層2904を窒化物層として有していてもよい。プロット線3002は、転写表面206の上方で溶液中に懸濁しているナノワイヤーのポテンシャルエネルギーを示し、プロット線3004は、転写対象となる目標面210の上方で溶液中に懸濁しているナノワイヤーのポテンシャルエネルギーを示している。
【0099】
図30に示すように、転写表面210用のプロット線3002上の第1ポテンシャル最小値を示す第1プロット領域3006では、ナノワイヤー1702は、電極対208に関連付けられている(ピン止めされている)。このピン止めされたナノワイヤーは、転写表面とは接触せずに、比較的、固定した/配向された状態に保持されている。本実施例では、転写表面206および転写対象となる目標面210が約1μm〜4μmほど離間されている時に、第1プロット領域(第1ポテンシャル最小値)3006が生じる。転写対象となる目標面210の、プロット線3004上のポテンシャル最小値を示す第2プロット領域(第2ポテンシャル最小値)3008では、ナノワイヤー1702は、窒化物層による静電引力のため、転写対象となる目標面210に引き付けられる。このようにして、ナノワイヤー1702は、転写対象となる目標面210に「ロックされる」。ナノワイヤーおよび転写対象となる目標面210が約0.1μm〜0.4μmほど離間されている時に、第2プロット領域3008が生じる。
【0100】
ナノワイヤー1702を転写表面206から転写対象となる目標面210上に転写することは、まず低電界および低周波数においてナノワイヤー1702を転写表面206上に「弱く」ピン止めし、低電界および高周波数を用いてナノワイヤー1702を転写表面206上に「強く」ピン止めし、転写表面206を移動させて転写対象となる目標面210に近接させ、最後に転写表面206の電極704・706上のAC電界を低くすることによって、転写表面206のポテンシャル最小値3006からナノワイヤー1702を離すことによって実現する。ナノワイヤー1702と転写表面206(例えば転写表面206上の層2902)との間のポテンシャル最大値3010によって示される静電反発力のため、ナノワイヤー1702は、引き付けるAC電界が低くなった後に転写表面206から離れる。回転拡散時間(つまり、重力およびブラウン運動に曝されている間に、ナノワイヤーを、予め配向された方向から角度θだけ回転させるために必要な時間)内では、ナノワイヤー1702は、転写表面206の電極704・706中のAC電界によって決定される所望の配向を維持する。溶液中の予め配向されたナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に近接させる(例えば1μm未満)と、ポテンシャル最小値3008(例えば転写対象となる目標面210上の層2904)によって示される静電引力によって、転写対象となる目標面210上への転写が可能になる。ナノワイヤーがポテンシャル最小値3006からポテンシャル最小値3008の方に移動する並進運動の拡散時間よりも回転拡散時間が大きい時に、ナノワイヤー1702の効果的な転写が可能になる。ナノワイヤー1702および転写対象となる目標面210上の機能層を用いて、並進運動の拡散時間を最小化し、回転拡散時間に影響を及ぼさないようにすることが可能である。
【0101】
なお、上記で説明した工程を強化するために、一実施形態において、超音波励起/超音波振動を用いてもよい。例えば、図31Aは、本発明の一実施形態に係る転写システム3100を示す図である。転写システム3100は、概して、図29の転写システム2900と同様の構成であるが、転写システム3100には、超音波振動源3102が加えられている。超音波振動源3102は、プリントヘッド702および転写表面206を超音波振動させる、圧電変換器または他の超音波振動源を含む。一実施形態では、プリントヘッド702の超音波振動によって、ナノワイヤーは、約100μm以下で、転写ヘッドから分離される。これによって、転写表面206と転写対象となる目標面210との間隔は広がるが、それでもなおナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に堆積させることが可能である。プリントヘッド702が転写対象となる目標面210の方に移動する速度は、最初は速く、プリントヘッド702が転写対象となる目標面210に近づくにつれて徐々に遅くなる。例えば、転写表面206が転写対象となる目標面210の100μm以内に近づくと、超音波振動源3102が起動される。これによって、電極対208が転写対象となる目標面210に近づくよりも、または接触するよりも早くに(大きな間隔をおいて)、ナノワイヤー1702を、電極対208に良好に配向させた状態を維持しながら、(例えば重力、静電引力等によって)転写対象となる目標面210に堆積させることが可能になる。
【0102】
図31Bは、本発明の一実施形態に係る転写システム3150を示す図である。転写システム3150は、概して、図31Aの転写システム3100と同様の構成であるが、超音波振動源3102はプリントヘッド702に結合されているが、超音波振動源3152は基板212に結合されている点が異なっている。超音波振動源3152は、基板212の底面に結合されている状態が示されているが、上面に結合させること、または、基板212内に埋め込むことを含む任意の方法で、基板212に結合されていてもよい。超音波振動源3152は、超音波チャックまたは他の用途の機構内に固定されていてもよい。
【0103】
超音波振動源3152は、基板212を超音波振動させ、これにより、転写対象となる目標面210を超音波振動させる、圧電変換器または他の超音波振動源を備えている。さらに、転写表面206と転写対象となる目標面210とが互いに近接するとき、(プリントヘッド702および/または基板212上の)スペーサ2302が、プリントヘッド702と転写対象となる目標面210とを互いに接触させる。このようにして、超音波振動源3152はまた、プリントヘッド702および転写表面206を振動させる。超音波振動源3152が転写表面206および転写対象となる目標面210を振動させるため、これらは同期して振動し、同時に同じ方向に振動する。このため、転写表面206および転写対象となる目標面210のうちのいずれか一方だけが振動する場合よりも乱れが少なくなり、これにより、ナノワイヤー1702は、転写表面206から転写対象となる目標面210へ(例えば重力、静電引力などによって)転写される間、その配向をより良好に保持することが可能になる。
【0104】
図31Cは、本発明の一実施形態に係る、イソプロピルアルコール(IPA)溶液中のナノワイヤーの慣性運動を示すプロット3170である。プロット3170のX軸3172は、超音波振動源3152によって生じた、転写対象となる目標面210と転写表面206との変位振幅をセンチメートルで示したものである。プロット3170のY軸3174は、超音波振動源3152によって生じた変位周波数を示すものである。プロット3170のZ軸3176は、結果として生じるナノワイヤー1702の変位振幅をμmで示したものである。プロット表面3178は、一般的に、(X軸3172上の)表面の変位振幅が増大するにつれて、(Z軸3176上の)ナノワイヤーの変位振幅も増大することを示している。同様に、(Y軸3174上の)変位周波数が増大するにつれて、ナノワイヤーの変位振幅(Z軸3176上)も増大することを示している。
【0105】
典型的な一実施形態では、転写表面206および/または転写対象となる目標面210を、10KHzのような比較的高い周波数、且つ、50〜100ミクロンのような小さな振幅で超音波振動させ、ナノワイヤー1702を転写表面206から転写対象となる目標面210に効果的に転写する。プロット3170からは、変位振幅(X軸3172)と変位周波数(Y軸3174)との様々な組み合わせが明らかであり、これらの様々な組み合わせを用いて、ワイヤの変位(Z軸3176)を生じさせ、特定の用途において所望のようにナノワイヤーを転写する。
【0106】
図32は、本発明の他の一実施形態に係る典型的な転写システム3200を示す図である。転写システム3200は、図28の転写システムと同様の構成であるが、転写システム3200には真空源3202が加えられている。真空源3202は、真空ポート3206を介して基板212に真空力3204を印加して、ナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に引き付ける。例えば、真空力3204を用いて、真空源3202は、ナノワイヤー1702を包囲する溶液を、真空ポート3206を介して引き寄せる。結果として生じる溶液の流れにより、ナノワイヤー1702が転写対象となる目標面210の方に引き寄せられる。
【0107】
図33は、本発明の他の一実施形態に係る典型的な転写システム3300を示す図である。転写システム3300は、図28の転写システム2800と同様の構成であるが、転写システム3300には、ナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に引き付ける電界3304を発生させる電界源3302が加えられている。例えば、一実施形態において、電界源3302は、電界3304用のDC電界を発生させることが可能である。DC電界(例えば正電荷)は、ナノワイヤー1702を移動させるナノワイヤー1702の逆電荷(例えば負電荷)によって、ナノワイヤー1702上に引力を与える。ナノワイヤー1702のこのような動きは、電界3304および/または他の力によって、ナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に引き付けることを可能にする。他の一実施形態では、電界源3302は、電界3304用のAC電界を発生させる。AC電界は、同様に、ナノワイヤー1702を移動させ、ナノワイヤー1702を転写対象となる目標面210に引き付けることを可能にするように機能する。さらに他の一実施形態では、DC電界とAC電界とを組み合わせて用いてもよい。一実施形態では、電界源3302は、信号発生器、電圧源、若しくは、電界を発生させることが可能な他の部材または装置である。
【0108】
なお、本明細書の教示から当業者には明らかであるように、フローチャート300(図3)のステップ308に従って、ナノワイヤーを転写対象となる目標面上に堆積させるための上述の実施形態を好適に組み合わせてもよい。
【0109】
フローチャート300(図3)のステップ310に従って、転写対象となる目標面の領域に位置合わせされている電極対を当該領域から取り除く。例えば、図28に示すように、プリントヘッド702を(破線の矢印によって示した)上向きの方向に移動させて、領域1904に位置合わせされているプリントヘッド702を当該領域1904から取り除く。例えば、位置合わせ機構1902(図19に示した)を用いて、領域1904に位置合わせされているプリントヘッド702を移動させることが可能である。一実施形態では、転写表面206と転写対象となる目標面210との間に、(例えば、図26のポート2604および/または図32のポート3206を介して)流体を供給して、これらの表面を引き離すための圧力(例えば気体圧または液体圧)を提供することが可能である。このようにして、プリントヘッド702によって、図3のフローチャート300を繰り返し行い、さらなるナノワイヤーを、領域1904、基板212の他の領域、および/または、別の表面に関連付けると共に堆積させることができる。
【0110】
さらに、フローチャート300は、単一の転写表面に多数の電極対を用いて、基板上にナノワイヤー群を並列に堆積させる場合にも適用可能である。例えば図34は、本発明の一実施形態に係るナノワイヤー転写システム3400を示す図である。ナノワイヤー転写システム3400は、2つの電極対を備えるプリントヘッド3402を有している。図34に示すように、プリントヘッド3402は、第1電極対208aと第2電極対208bとを有する転写表面3404を備えている。図示した第1電極対208aは、関連付けられたナノワイヤー1702aを有しており、図示した第2電極対208bは、関連付けられたナノワイヤー1702bを有している。ナノワイヤー1702aは、転写対象となる目標面210の第1領域1904a上に堆積されるようになっており、ナノワイヤー1702bは、転写対象となる目標面210の第2領域1904b上に堆積されるようになっている。
【0111】
従って、一実施形態では、図3に示したフローチャート300の各ステップを、第1電極対208aおよび第2電極対208bのために並行して行ってもよい。ステップ302では、第1電極対208aに近接するようにナノワイヤー1702aを供給する工程と並行して、第2電極対208bに近接するようにナノワイヤー1702bを供給することが可能である。ステップ304では、第1電極対208aを用いて第1電界(例えば図14の電界1402)を発生させる工程と並行して、第2電極対208bを用いて第2電界を発生させて、第2電極対208bにナノワイヤー1702bを関連付けることが可能である。複数の実施形態において、第1電極対208aおよび第2電極対208bに同一の電気信号(例えば電気信号1304)を供給してもよいし、異なる電気信号を発生させて供給してもよい。
【0112】
ステップ306では、第1電極対208aを第1領域1904aに位置合わせする工程と並行して、第2電極対208bを第2領域1904bに位置合わせすることが可能である。ステップ308では、ナノワイヤー1702aを第1電極対208aから第1領域1904aに堆積させる工程と並行して、ナノワイヤー1702bを第2電極対208bから第2領域1904bに堆積させることが可能である。ステップ310では、転写対象となる目標面210からプリントヘッド3402を引き上げることによって、第1電極対208aおよび第2電極対208bに対応する各領域に位置合わせされている第1電極対208aおよび第2電極対208bを当該目標面210から並行して取り除くことが可能である。
【0113】
なお、用いられる転写表面に電極対を任意の数だけ形成して、図34の構成と同様の方法で、対応するナノワイヤーの組を任意の数だけ並行して転写することが可能である。さらなる電極対を使用可能にするために転写表面206の寸法を増大させることによって、より多くの数のナノワイヤーを同時に転写することを並行して行い、製造速度を増大させることが可能である。プリントヘッド上の電極対の電極704・706の間隔を変化させて、異なる長さ、異なるドーピング、異なるシェル材料などを含む、異なる種類のナノワイヤーを関連付けると共に堆積させることが可能である。
【0114】
〔電気的素子を転写するための典型的な実施形態〕
この章では、集積回路、電子部品、半導体ダイ、光学素子等の電気的素子を、ナノワイヤーの場合に説明した方法と同様の方法で、表面に成長させるための実施形態について説明する。複数の実施形態において、転写表面の電極対に近接するように1つまたは複数の電気的素子を供給する。この電極対に電圧を供給して、電極対に電気的素子を関連付ける。次に、電気的素子を電極対から転写対象となる目標面に堆積させる。
【0115】
図35は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、電気的素子を転写するための典型的なステップを提供するフローチャート3500を示す図である。例えば、図7のプリントヘッド702を用いて、フローチャート3500に従って電気的素子を転写する。フローチャート3500を、図36〜図39を参照しながら以下のように説明する。図36〜図39は、本発明の一実施形態に係る電気的素子転写システム3600を示すブロック図である。以下の説明に基づいて、当業者には他の構造的および動作的な実施形態も明らかとなるであろう。全ての実施形態において、フローチャート3500の必ずしも全てのステップを行う必要はない。
【0116】
フローチャート3500はステップ3502から始まる。ステップ3502では、少なくとも1つの電気的素子を電極対に近接するように供給する。例えば、図36に示すように、電気的素子3602を電極対208に近接するように供給する。図36では、電気的素子3602は溶液804中にあり、溶液804は電極対208に接触して流れ、電気的素子3602を電極対208に近接するように配置することを可能にしている。或いは、他の方法で、電気的素子3602を電極対208に近接するように供給してもよい。複数の実施形態では、電気的素子3602は全て、同じ種類の電気的素子であってもよいし、または、異なる種類を含んでいてもよい。
【0117】
ステップ3504では、電極対の2つの電極によって電界を発生させ、これらの電極に電気的素子を関連付ける。例えば、電極対208に電位を結合させて、電界を発生させることが可能である。電極対208によって発生させた電界を用いて、電気的素子3602のうちの、電極対208に近接するように位置する1つの電気的素子を、電極対208に関連付ける。図37に示すように、電気的素子3602aが電極対208に関連付けられる。一実施形態では、関連付けられた電気的素子3602aが、電界によって、転写表面206から間隔を置いた位置に懸濁した状態で保される。
【0118】
上述の、電極対によって電界を発生させてナノ構造体を関連付けるための典型的な実施形態を、電気的素子を関連付けることにも適用可能である。例えば、図14に関連して説明したように、電極対208の電極704と電極706との間に電界1402を発生させる。電界1402を用いて、電気的素子3602aを位置合わせして、電極704と電極706との間に、電気的素子3602aを配置することが可能である。電気的素子3602aが、電極704と電極706との間に発生したAC電界に曝されると、結果的に電界の勾配が生じる。近接する電気的素子3602において正味の双極子モーメントが生成され、AC電界が双極子に回転力を生じさせ、これによって、近接する電気的素子3602aが電界の方向に対して平行に配向される。
【0119】
さらに、一実施形態では、電界の勾配が、近接した電気的素子3602aに誘電泳動力を与え、ナノワイヤーの場合に図16に関連して説明したように、電気的素子3602aを電極対208の方に引き付ける。上述のように、電気的素子3602aを電極に引き付ける誘電泳動力に反発する電気浸透力も生成される。これらの力が平衡状態(または比較的平衡状態)に達すると、電気的素子3602aは所定の場所に保持され、電気的素子3602aは電極対208に関連付けられるか、または「ピン止め」される。
【0120】
上述のように、図36の電気的素子3602は、全て同じ種類の電気的素子であってもよいし、または、異なる種類の電気的素子を含んでいてもよい。異なる種類の電気的素子が存在するときには、電極704・706は、所定の種類の電気的素子だけを引き付けるように電界を発生するような寸法に形成され、および/または、配置されてもよい。一実施形態において、電気的素子3602aは、電気的素子3602aを電極208に引き付けることを強化するために、パターニングされた金属(または他の材料)を有していてよい。
【0121】
ステップ3506では、電極対を、転写対象となる目標面の領域に位置合わせする。例えば、図38に示すように、転写対象となる目標面210の方に移動するプリントヘッド702によって、電極対208を転写対象となる目標面210に位置合わせする。一実施形態では、電極対208を転写対象となる目標面210に接触させて位置合わせする。他の一実施形態では、電極対208を転写対象となる目標面210に隣接させて、転写対象となる目標面210から短い間隔を置いて位置合わせする。電極対208を表面210の任意の領域に位置合わせしてもよい。この任意の領域には、一般的に開口した領域(つまり表面210に接触している必要はない)、電極対208に対応する電気接点を有する領域、または、他の領域が含まれる。電極対を、電気的素子3602aが配置される表面210の領域に位置合わせする。
【0122】
ステップ3508では、電気的素子を電極対から上記領域に堆積させる。電気的素子3602aを、様々な方法で、転写対象となる目標面210上に堆積させることが可能である。ナノ構造体を表面に堆積させるための様々な実施例の詳細については上述した。例えば、図28〜図33に関連して説明したナノ構造体を堆積させるための実施形態を用いて、電気的素子3602aを堆積させることが可能である。例えば、図28には、ナノワイヤー1702をプリントヘッド702から転写対象となる目標面210に引き付ける、および/または、ナノワイヤー1702をプリントヘッド702から引き離す力2802(1つまたは複数の力を含んでよい)が存在している。力2802を用いて、電気的素子3602aをプリントヘッド702から転写対象となる目標面210に堆積させることができる。力2802として存在し得る力の例には、電界(ACおよび/またはDC)、真空力、静電力、重力、超音波励起、および/または、他の力が含まれる。電気的素子3602aを引き付ける/はね返すために、これらの力、並びに、他のパッシブ力およびアクティブ力を用いてもよいことは、当業者には公知であろう。さらに、図31A〜図31Cに関連して説明したように、超音波振動を用いることにより、電気的素子3602aがプリントヘッド702から離され、(例えば重力、静電力等の力によって)転写対象となる目標面210に転写されてもよい。
【0123】
ステップ3510では、転写対象となる目標面の領域に位置合わせされている電極対を当該領域から取り除く。例えば、図39に示すように、プリントヘッド702が転写対象となる目標面210から離される。電気的素子3602aは、表面210上に堆積されたまま保持される。次に、プリントヘッド702を用いて、フローチャート3500を、表面210の同じ領域、表面210の異なる領域、および/または、基板212以外の構造物の表面に対して繰り返し行い、さらなる電気的素子を堆積させることが可能である。さらに、一実施形態において、プリントヘッド702を用いて、ナノ構造体と電気的素子とを同時に転写することが可能である。
【0124】
本明細書に記載した技術を用いれば、プリントヘッドを用いて、ナノ構造体および電気的素子を基板に転写することによって、複雑な電子回路を形成することが可能である。
【0125】
〔プリントヘッドの他の実施形態〕
この章では、プリントヘッドを用いてナノ構造体を表面に成長させるための他の実施形態について説明する。流体の存在下でナノワイヤーを基板上に「プリントする」ために用いられる上述のプリントヘッドは、プリントヘッドが基板に接近するにつれて、プリントヘッドの動きに対して直角な剪断力を生じさせる。結果的に流体は、この剪断力によって、プリントヘッドと基板との間の領域から押し出される。この流体の剪断力は、ナノワイヤーを横方向にずらし、そのため、プリント工程中にナノワイヤーを間違って配置させることが起こり得る。
【0126】
例えば、図40は、本発明の一実施形態に係るナノ構造体転写システム4000を示す断面図である。図40に示すように、システム4000は、プリントヘッド702および基板212を備えている。図41は、プリントヘッド702の転写表面206を示す図である。プリントヘッド702は、液体の溶液4004において、ナノワイヤー1702(図40では紙面垂直に示されている)等のナノ構造体を、電極704・706から転写対象となる目標面210に転写するように構成されている。
【0127】
転写工程の間、プリントヘッド702が矢印4002の方向に基板212に向かって移動し、転写表面206と転写対象となる目標面210との間隔が狭まる。矢印4006は、プリントヘッド4002が基板212の方に動き、溶液4004が転写表面206と転写対象となる目標面210との間の領域から押し出される時の、溶液4004の流れの方向を示している。図40に関していえば、矢印4006の相対的長さは、矢印4006の位置における相対的流速を示している。例えば、転写表面206と転写対象となる目標面210との間の中間点にある溶液4004の流速よりも、転写表面206および転写対象となる目標面210のうちのいずれか一方に近接した溶液4004の流速の方が小さい。図41を参照すると、矢印4006は、溶液4004が、転写表面2006の中心領域から、外側に向かって全ての方向に押し出される様子を示している。
【0128】
図41に示すように、プリントヘッド702が基板212の方に移動する時に、溶液4004は、押し出されてナノワイヤー1702を横切って流れる。この流体は、ナノワイヤー1702に剪断力を与えるため、望ましくないナノワイヤー1702の横方向のずれを生じさせ、プリント工程において、ナノワイヤー1702を誤って配置させてしまう。
【0129】
複数の実施形態では、プリントヘッドが転写対象となる目標面に接近するときに、流体をプリントヘッドと転写対象となる目標面との間の領域から除去するための排水孔が、プリントヘッド内に形成されている。排水孔は、ナノワイヤーにかかる剪断力を小さくし、ナノワイヤーを、プリントヘッドから転写対象となる目標面により確実に転写することを可能にする。例えば、図42は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体転写システム4200を示す図である。図42に示すように、システム4200は、プリントヘッド4202および基板212を含む。図43は、プリントヘッド4202の転写表面206を示す図である。図42および図43に示すように、転写表面206は、第1開口部4204aおよび第2開口部4204b(「排水孔」とも称する)を備えている。第1開口部4204aおよび第2開口部4204bは、プリントヘッド4202が基板210の方に移動する時に、転写表面206と転写対象となる目標面210との間の領域から溶液4004を受け入れる。第1開口部4204aおよび第2開口部4204bによって溶液4004が除去されることによって、ナノワイヤー1702が転写表面206から転写対象となる目標面210に堆積される間に、ナノワイヤー1702にかかる剪断力は小さくなる。
【0130】
図44は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノ構造体を転写対象となる目標面に転写するためのフローチャート4400を示す図である。例えば、システム4200がフローチャート4400の処理を行う。フローチャート4400については、以下に説明する。以下の説明に基づいて、当業者には他の構造的および動作的な実施形態も明らかとなるであろう。
【0131】
ステップ4402では、プリントヘッドの転写表面を転写対象となる目標面の近傍に配置する。例えば、図42に示すように、プリントヘッド4202の転写表面206を、基板212の転写対象となる目標面210の近傍に配置する。
【0132】
ステップ4404では、転写表面と転写対象となる目標面との間隔を狭める。図42によれば、プリントヘッド4202を矢印4002の方向に動かして、転写表面206と転写対象となる目標面210との間隔4208を狭める。
【0133】
ステップ4406では、ステップ4404の処理中に、流体が、転写表面と転写対象となる目標面との間から転写表面内の少なくとも1つの開口部を介して受け入れられる。図42および図43の矢印4206によって示すように、転写表面206が転写対象となる目標面210の方に移動することによって、転写表面206と転写対象となる目標面210との間の溶液4004は、転写表面206の中心領域から外側に向かって流れる。さらに、図42の矢印4210によって示されるように、溶液4004は、転写表面206内の開口部4204a・4204bの中に流入する。開口部4204a・4204bは、溶液4004を受け入れることによって、ナノワイヤー1702が受ける剪断力の少なくとも一部を緩和する。
【0134】
ステップ4408では、転写表面に関連付けられたナノワイヤーを転写対象となる目標面に堆積させる。例えば、図45は、転写表面206が転写対象となる目標面210に近接し、ナノワイヤー1702が転写対象となる目標面210に堆積可能になった、図42のシステム4200を示す図である。図3のフローチャート300に関連して説明した方法を含む、本明細書の他の箇所に記載した任意の方法によって、ナノワイヤー1702を転写表面206から転写対象となる目標面210に堆積させることが可能である。ナノワイヤー1702を堆積させた後は、プリントヘッド4202と基板212とを分離させてもよい。
【0135】
図42および図43では、2つの開口部4204(開口部4204a・4204b)を示したが、開口部4204を任意の数だけ転写表面206に設けてもよい。例えば、(図42および図43に示したような)一対の開口部4204の代わりに、開口部4204を任意の数だけアレイ状に、開口部4204a・4204bの位置に設けてもよい。このような開口部は、円形、長方形、またはその他の形状を含む、任意の形状を有していてもよい。
【0136】
さらに、開口部4204は、剪断力をさらに小さくするために、電極704・706に対して、どのように分散または配置されていてもよい。例えば、図43に示すように、開口部4204a・4204bは、ナノワイヤー1702が開口部4204aと開口部4204bとの中間点に位置するように、電極704・706に対して位置していてもよい。このようにして、ナノワイヤー1702の位置においては、溶液4004の流れの「デッドゾーン」が生成され(例えば、この溶液流はナノワイヤー1702において分割される)、ナノワイヤー1702にかかる剪断力は、ほとんどゼロになり得る。図43の実施形態では、開口部4204は、ナノワイヤー1702の長軸の両側方に沿って対称的に配置された孔および/またはスロットであってよい。
【0137】
さらに、図43に示すように、開口部4202の長さは、ナノワイヤー1702の長軸の長さよりも長くてもよい。或いは、開口部4202の長さは、ナノワイヤー1702の長軸の長さと同一、またはそれよりも短くてもよい。開口部4204a・4204bの幅は、ナノワイヤー1702の各側方における開口部4204aと4204bとの間の溶液4004の相当量が、開口部4204a・4204bを通って排出されるように選択されていればよい。
【0138】
図42では、開口部4204は、ナノワイヤー1702の長さ方向に沿って位置しているように示されているが、別の形態またはさらなる形態として、転写表面206上で、ナノワイヤー1702の一方の端部または両方の端部の近傍に位置していてもよい。開口部4204a・4204bはさらに、図42では、プリントヘッド4202を端から端まで貫通しているように示されているが、開口部4204は、プリントヘッド4204の一部を貫通していてもよい(例えば、任意の好適な深さを有する、転写表面206内の窪んだ領域であってもよい)。
【0139】
図42および図43の実施例では、溶液4004を、受動的に開口部4204の中に流れ込ませることができる。他の一実施形態では、溶液4004は、能動的に開口部4204の中に引き込まれてもよい。例えば、ピストン/シリンダ構造、コルクスクリュー、真空吸引、および/または、他の機構を用いて、溶液4004を能動的に開口部4204の中に引き込むことが可能である。例えば、図46は、本発明の一実施形態に係るナノ構造体転写システム4600を示す図である。システム4600は、概して、図42のシステム4200と同様の構成であるが、システム4600には、第1ピストン4602aおよび第2ピストン4602bが加えられている。ピストン4602a・4602bは、それぞれ、開口部4204a・4204b内に配置されている。第1ピストン4602aと開口部4204aとが、第1ピストン/シリンダ構造を形成しており、第2ピストン4602bと開口部4204bとが、第2ピストン/シリンダ構造を形成している。第1ピストン4602aおよび第2ピストン4602bは、フローチャート4400のステップ4404の間に矢印4604の方向に移動するように構成されている場合には、フローチャート4400のステップ4406に従って、溶液4004を開口部4204a・4204bの中に引き込むことができる。
【0140】
〔電極の典型的な実施形態〕
ナノ構造体および/または汚染物質がプリントヘッドの転写表面の付着すると、これによって性能が低下してしまう。複数の実施形態では、ナノ構造体プリントヘッドの転写表面を処理して、汚染物質が粘着することを回避し、また、転写表面の耐久性を増大させる。このような実施形態は、プリントヘッド/転写表面の交換が高価である場合に、プリントヘッド/転写表面の寿命を延ばすために特に有効であり得る。例えば、転写表面に、非粘着性材料のコーティング等のコーティングを塗布してもよい。一実施形態では、このコーティングは除去可能である。この場合、コーティングが摩滅したときには、プリントヘッドを完全に廃棄する代わりに、コーティングを除去して、必要に応じて再び塗布することが可能である。
【0141】
例えば図47は、本発明の典型的な一実施形態に係るプリントヘッド4700を示す断面図である。図47に示すように、プリントヘッド4700の転写表面206上に、非粘着性材料層4702を形成する。非粘着性材料層4702は、ナノワイヤーおよび汚染物質の粘着を低減するように構成された非粘着性材料のコーティングである。さらに、非粘着性材料層4702は、転写表面206から除去可能(例えば剥離可能)であると共に、転写表面206に再び塗布して、プリントヘッド4700に長い寿命を提供することが可能である。
【0142】
転写表面206上の非粘着性材料層4702の典型的な利点には、ナノワイヤーの接着および粘着を回避する点、(例えば図41および図42に関連して説明したように)ナノワイヤー転写工程中にナノワイヤーが剪断力によって分散しないように(例えば図3のフローチャート300のステップ304中に)ナノワイヤー取得用の高電圧の使用を可能にする点、ナノワイヤーの転写効率を強化する点、および/または、プリントヘッド4700の汚染および腐食を低減してプリントヘッド4700の寿命を延ばす点が含まれる。
【0143】
非粘着性材料層4702を転写表面206上に、どのような方法で形成してもよい。その方法には、転写表面206を溶液からコーティングする方法(つまりスピンコーティングまたは浸漬コーティング)、または、気相堆積処理が含まれる。非粘着性材料層4702は、ファンデルワールス力によって特徴付けられる接着特性といった弱い接着特性を有するように構成されていてもよい。非粘着性材料層4702が転写表面206から薄い層として裂かれることを回避するために、転写表面206は、接着促進剤によって処理されていてもよい。非粘着性材料層4702用の材料の例には、例えば有機分子またはフッ化有機体(例えばテフロン(登録商標))等の、無機材料で引き付けられる極めて弱いファンデルワールス力を有する材料(汚染物質およびナノワイヤー)が含まれる。テフロン等のフッ化有機材料は、典型的な酸化物表面のファンデルワールス力よりも3桁ほど小さいので、汚染物質が転写表面206に接着する強度は比較的弱い。非粘着性材料層4702の厚みおよび/または化学的性質は、特定の用途に合わせて所望のように選択され得る。
【0144】
さらに、上述のように、非粘着性材料層4702を除去することが可能である。例えば、1回または複数回の使用後に、ナノワイヤーおよび/または他の汚染物質が転写表面206に接着しないのであれば、非粘着性材料層4702は、溶媒、プラズマ、熱分解、または他の除去可能な材料または技術を用いて除去されてもよい。非粘着性材料層4702を除去した後、転写表面206上に、非粘着性材料層4702の差し替え用コーティングを新たに形成してもよい。この差し替え工程は、比較的高コストであるプリントヘッド4700の差し替え品を製造する工程よりも、簡易且つ低コストである。
【0145】
例えば、転写表面206に塗布される他の種類の非粘着性材料は、SiOまたはSi等の材料の膜である。このような膜を、プラズマ化学気相成長(PECVD)処理または他の処理によって、転写表面206に堆積させることが可能である。このような膜は、ナノワイヤーが転写表面206に粘着することを静電荷によって回避することを可能にする。さらに、このような膜は、使用後に除去可能であり、必要に応じて、転写表面206に再び塗布可能である。これによって、転写表面206の寿命を延ばすことが可能である。
【0146】
〔典型的なナノ構造体プリント工程およびシステム〕
この章では、ナノ構造体プリント工程およびシステムの典型的な実施形態について説明する。ナノ構造体を組み込む装置を製造するための実施形態について説明する。これらの実施形態は、説明のために提供するものであって、制限することを意図するものではない。
【0147】
例えば図48は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体プリントシステム4800を示すブロック図である。図48に示すように、システム4800は、関連付けステーション4802、検査ステーション4804、プリントステーション4806、清浄化ステーション4808、パネル修復ステーション4812、およびパネル乾燥ステーション4814を備えている。関連付けステーション4802、検査ステーション4804、プリントステーション4806、および清浄化ステーション4808は、システム4800におけるプリントヘッドの流路部を形成しており、プリントステーション4806、パネル修復ステーション4812、およびパネル乾燥ステーション4814は、システム4800におけるパネルの流路部を形成している。
【0148】
図49および図50の各フローチャート4900・5000を参照しながらシステム4800について説明する。フローチャート4900は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、システム4800におけるプリントヘッドの流路部での工程を示すものであり、フローチャート5000は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、システム4800におけるパネルの流路部での工程を示すものである。フローチャート4900・5000を、システム4800を参照しながら以下のように説明する。以下の説明に基づいて、当業者には他の構造的および動作的な実施形態も明らかとなるであろう。図48に示すシステム4800の全ての部材が、必ずしも全ての実施形態において必要ではあるわけではなく、フローチャート4900・5000の全てのステップが、必ずしも全ての実施形態において行われる必要はない。
【0149】
まずフローチャート4900について説明する。フローチャート4900のステップ4902では、ナノ構造体をプリントヘッドの転写表面に関連付ける。例えば、図48に示すように、関連付けステーション4802は、プリントヘッド4810を含む複数のプリントヘッド4818を受け入れる。関連付けステーション4802は、受け入れた複数のプリントヘッド4818の各プリントヘッドの転写表面にナノ構造体を関連付けるように構成されている。ナノ構造体をプリントヘッド4818に関連付けることは、図3のフローチャート300に関連して説明した方法のような本明細書の他の箇所において説明した任意の方法、または、当業者にとって公知の他の方法で行うことが可能である。図48に示すように、関連付けステーション4802は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体4820を排出する。
【0150】
例えば、図51は、関連付けステーション4802における、溶液中の(例えば液体環境において)プリントヘッド4810の転写表面に関連付けられたナノ構造体を示す図である。一実施形態では、プリントヘッド4810は、関連付けステーション4802において受け入れられた複数のプリントヘッドのうちのいずれか1つである。他の一実施形態では、1つのプリントヘッド4810だけが受け入れられる。図51の実施例では、プリントヘッド4810は、6つの転写表面206a〜206fを有している。他の実施形態では、プリントヘッド4810は、2次元アレイ状の転写表面206を含む、他の数の転写表面206を有していてもよい。転写表面206a〜206fは、貯水槽5104によって収容されるナノワイヤー溶液5106(例えばナノワイヤーインク)に浸っている。図51に示すように、プリントヘッド4810は、5つの貫通孔または開口部5108a〜5108eを有しており、各開口部5108は、対応する、隣接する一対の転写表面206間に配置されている。開口部5108は、図42に関連して上述した開口部4204と同様の構成であってもよい。複数の実施形態では、プリントヘッド4810は、開口部5108を任意の数だけ有していてもよく、任意の構成の開口部5108を有していてもよい。
【0151】
図51には示していないが、本実施形態では、各転写表面206a〜206fは、各電極対(例えば図7に示した電極704・706を含む図2の電極対208)を有している。これらの電極は、電界(例えば図14に示した電界1402)を発生させて、ナノワイヤー溶液5106中の1つまたは複数のナノワイヤー5110を各転写表面206に関連付ける。例えば、図51は、どの転写表面206a〜206bとも関連付けられていない、溶液5106中の第1ナノワイヤー5110aを示す図である。第2ナノワイヤー5110bは、第2転写表面206bに関連付けられているところが示されている。第3ナノワイヤー5110cは、第1転写表面206aに隣接しているが、関連付けられていない。
【0152】
ステップ4902の間またはその後、図48のプリントヘッド4810は、任意で、関連付けステーション4802において、余分なナノ構造体を複数のプリントヘッド4818の転写表面206から洗い流すように構成されていてもよい。例えば、図52は、プリントヘッド4810の転写表面206a〜206fから洗い流される余分なナノワイヤーを示す図である。図51の実施例では、(矢印5202に示されるように)開口部5108a〜5108eを通って流れ、余分なナノワイヤー5110を転写表面206a〜206fから洗い流す流体(例えば溶液5106)が示されている。開口部5108a〜5108eを通って流れる流体を供給するために、好適な流体圧を生成するように構成された流体源(図52には不図示)が、プリントヘッド4810の注入口5102に結合されているか、または、プリントヘッド4810に結合されていてもよい。流体源によって供給される流速および洗い流し時間は、特定の用途に合わせて決定され得る。例えば、複数の実施形態では、60分以内(例えば1分以内)の洗い流し時間においては、1〜100μm/sの範囲の流速を用いればよい。
【0153】
転写表面206から洗い流されることが好ましい、ナノワイヤー5110cのような余分なナノワイヤー5110は、転写表面206に弱く関連付けられたナノワイヤー、関連付けられた他のナノワイヤー5110と絡まったナノワイヤー、および/または、他の方法でプリントヘッド4810の表面に付着した(しかし関連付けられていない)ナノワイヤーである。例えば、図52では、転写表面206aから洗い流されたナノワイヤー5110cが示されている。
【0154】
再びフローチャート4900を参照する。ステップ4904では、プリントヘッドの検査を行う。例えば、図48に示すように、検査ステーション4804は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体4820を受け入れる。検査ステーション4804は、受け入れた複数のプリントヘッドの転写表面206の検査を行い、その検査に基づいて、受け入れた複数のプリントヘッドのうちの少なくとも1つのプリントヘッドを選択するように構成されている。図48に示すように、検査ステーション4804は、選択された少なくとも1つのプリントヘッドと関連付けられたナノ構造体4822とを排出する。
【0155】
例えば、図53は、本発明の一実施形態に係る検査ステーション4804の一実施例を示す図である。図53に示すように、検査ステーション4804は、複数のプリントヘッド4810a〜4810cを受け入れる。プリントヘッド4810a〜4810cはそれぞれ、複数の転写表面206a〜206fを有している。検査装置5302は、プリントヘッド4810a〜4810cの転写表面206に関連付けられたナノワイヤー5110の構造を検査するように構成されている。検査装置5302は、光学的検査装置(例えば顕微鏡、カメラ、および/または他の光学的検査装置)、電気的検査装置、機械的検査装置、および/または、他の種類の検査装置であってもよい。検査装置5302は、各転写表面206に十分な数のナノ構造体が存在しているかどうか、転写表面206に不適切な構造のナノ構造体が存在しているかどうか(例えば、存在するナノ構造体によって、電極間に十分な接触が生じているかどうか)、および/または、プリントヘッド4810a〜4810cの転写表面206におけるナノ構造体の構造としての適切および/または不適切を判定するように構成されている。
【0156】
例えば、図53では、検査装置5302は、プリントヘッド4810aの転写表面206cは十分な数のナノワイヤー5110ナノワイヤーを有していない(例えば0個のナノワイヤー)が、プリントヘッド4810b・4810cの全ての転写表面は十分な数および構造のナノワイヤー5110を有していると判定する。検査装置5302が、プリントヘッド4810の転写表面206cには十分な数のナノワイヤー5110が関連付けられていないと判定したために、プリントヘッド4810aは検査に合格しなかったことを示す一方、プリントヘッド4810b・4810cは検査に合格したことを示す。
【0157】
ステップ4906では、この検査に基づいて、1つまたは複数のプリントヘッドを選択する。ステップ4904の検査に合格した1つまたは複数のプリントヘッドが選択され得る。本実施例では、検査装置5302が、プリントヘッド4810b・4810cは検査に合格したが、プリントヘッド4810aは検査に合格していないと判定したため、プリントヘッド4810b・4810cが選択され、システム4800においてさらに処理されることが可能である。なお、一実施形態では、検査に合格していないプリントヘッド4810におけるナノワイヤー5110の構造を修復することが可能であってもよい。例えば、この実施例では、(ステップ4904において)転写表面206cには十分な数のナノワイヤーが有していないと判定した後、1つまたは複数のさらなるナノワイヤー5110を転写表面206cに関連付けることが可能である。次に、プリントヘッド4810aを再検査する(ステップ4904を繰り返す)。プリントヘッド4810aが再検査に合格すると、ステップ4906においてプリントヘッド4810aが選択される。表面(例えば転写表面、転写対象となる目標面)上のナノ構造体の構造を修復するための典型的な実施形態について、以下にさらに詳細に説明する。
【0158】
ステップ4908において、選択されたプリントヘッドから転写対象となる目標面にナノ構造体を転写する。例えば、図48に示すように、プリントステーション4806は、選択された少なくとも1つのプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体4822を受け入れる。本実施例では、選択された少なくとも1つのプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体4822として、プリントヘッド4810b・4810cを含む。プリントステーション4806はまた、図2に示した転写対象となる目標基板212の一例であるパネル4816を受け入れる。プリントステーション4806は、ナノ構造体を、複数のプリントヘッドのうち、受け入れた少なくとも1つのプリントヘッドから、パネル4816の表面の複数の領域に転写するように構成されている。図48に示すように、プリントステーション4806は、複数のプリントヘッド4824と、ナノ構造体4828が堆積された1つのパネルとを排出する。
【0159】
複数の実施形態では、プリントステーション4806は、図3のフローチャート300に関連して説明した方法等の本明細書の他の箇所に記載した方法、または、当業者にとって公知の他の方法で、ナノ構造体を、プリントヘッド4810からパネル4816に転写するように構成されている。例えば、図54〜図56は、本発明の典型的な一実施形態に係る、ナノ構造体転写工程中のプリントステーション4806を示す図である。典型的な一実施形態では、プリントヘッド4802の転写表面206と、転写対象となる目標面210とは、ロックおよびキー機構を介して相互に作用する分子でコーティングされている。転写表面206またはプリントヘッド4802のうちの1つは、第1分子でコーティングされており、他の転写表面206またはプリントヘッド4802は、第2分子でコーティングされている。第1分子と第2分子とは、生物系において生じる分子結合工程に従って相互に作用している。この種の分子認識を用いて、ナノワイヤー5110をより高性能に多段階に堆積させることが可能である。このような分子コーティングを、本明細書の他の箇所に記載したナノ構造体を転写する他の実施形態において、転写表面および転写対象となる目標面に用いてもよい。
【0160】
図54は、溶液5106中にあるプリントヘッド4810bおよびパネル4816を示す図である。図54では、1つまたは複数のナノワイヤー5110が、プリントヘッド4810bの各転写表面206a〜206fに関連付けられている。図55では、プリントヘッド4810bは、パネル4816の近傍まで移動しており、各転写表面206a〜206fは、それぞれ対応するパネル4816の各領域1902a〜1902fに位置合わせされている。図56では、プリントヘッド4810bは、パネル4816上にナノワイヤー5110を堆積させ、パネル4816から引き上げられている。例えば、図56に示すように、ナノワイヤー5110bは、転写表面206bから、パネル4816の転写対象となる目標面210の領域1904bに堆積されている。
【0161】
ステップ4910では、プリントヘッドを清浄化する。例えば、図48に示すように、清浄化ステーション4808は複数のプリントヘッド4824を受け入れる。本実施形態では、複数のプリントヘッド4824は、プリントヘッド4810a〜4810cを含む。清浄化ステーション4808は、受け入れた複数のプリントヘッド4824を清浄化するように構成されている。清浄化ステーション4808は、任意の方法でプリントヘッド4824を清浄化して、残留しているあらゆるナノ構造体(例えばプリントステーション4806においてプリントヘッドから堆積されなかったナノ構造体)、および/または、他のあらゆる汚染物質を除去するように構成されていてもよい。
【0162】
例えば、図57は、本発明の一実施形態に係る清浄化ステーション4808の一例を示す図である。図57のように、流体を、矢印5704が示すように転写表面206a〜206fに排出および/または方向付けて、汚染物質を転写表面206a〜206fから除去/取り除く流体源5702が存在していてもよい。流体源5702は、好適な圧力の流体の流れを供給する任意の機構であればよい。流体源5702によって排出/方向付けられた流体は、溶液5106および/または他の流体であってもよく、このような流体は、転写表面206a〜206fを清浄化するように構成されている。
【0163】
図48に示すように、清浄化ステーション4808は、複数のプリントヘッド4818を排出する。複数のプリントヘッド4818は、システム4800によって行われるナノ構造体プリント工程の次のサイクルのために、関連付けステーション4802に受け入れられる。一実施形態では、システム4800において、一組のプリントヘッドをステーションからステーションに移行させ、所定の時点においては全てのプリントヘッドが同一のステーション上に存在するようにする。他の一実施形態では、所定の時点において、各ステーションが対応する一組のプリントヘッドに対して動作していてもよい。その対応する一組のプリントヘッドは、所定の時間間隔で次のステーションに移行する。
【0164】
ここで、転写対象となる目標パネルの流路に関するフローチャート5000について説明する。フローチャート5000のステップ5002では、ナノ構造体を転写対象となる目標面上に受け入れる。例えば、図54〜図56に示すと共に、上記において(フローチャート4900のステップ4908に関連して)説明したように、ナノワイヤー5110をパネル4816の転写対象となる目標面210に転写する。
【0165】
ステップ5004では、転写対象となる目標面上に受け入れられたナノ構造体の配置を修復する。ステップ5004は任意の工程である。例えば、図48に示すように、パネル修復ステーション4812は、ナノ構造体4828が堆積されたパネルを受け入れる。パネル修復ステーション4812は、受け入れたパネルの表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行うように構成されている。例えば、図58および図59は、本発明の複数の実施形態に係るパネル修復ステーション4812の一例を示す図である。図58には、パネル4816の領域1904におけるナノワイヤー5110の構造を検査するように構成された検査装置5802が存在している。検査装置5802は、光学的検査装置(例えば、顕微鏡、カメラ、および/または、他の光学的検査装置)、電気的検査装置、機械的検査装置、および/または、他の種類の検査装置であってよい。検査装置5802は、各領域1904に十分な数のナノ構造体が存在しているかどうか、領域1904に不適切な構造のナノ構造体が存在しているかどうか(例えば、存在するナノ構造体によって、表面210上の導体と十分な接触が生じていないどうか)、および/または、転写対象となる目標面210の領域1904におけるナノ構造体の構造としての適切および/または不適切を判定するように構成されている。
【0166】
例えば、図58では、検査装置5802は、パネル4816の領域1904cに十分な数のナノワイヤー5110を有していない(例えば0個のナノワイヤー)と判定する。検査装置5802が、領域1904cが十分な数のナノワイヤー5110を有していないと判定したため、領域1904cに対して修復の必要があることが示される。
【0167】
図59は、領域1904cにおいて行われているナノ構造体の構造の修復工程を示す図である。図59の実施例では、ナノワイヤー5110cを含む1つまたは複数のナノ構造体を領域1904c上に堆積させることによって、領域1904cを修復しているプリントヘッド5902が示されている。従って、一実施形態では、プリントヘッド5902は、修復の必要がある領域1904に1つまたは複数のナノ構造体を加えるように構成されていてもよい。別の形態またはさらなる形態として、領域1904内に修復の必要があるナノ構造体が存在するならば、プリントヘッド5902は、存在するナノ構造体を再配置(例えば、ナノ構造体を動かして領域1904の所望の導体と接触させる)、および/または、1つまたは複数存在するナノ構造体を除去して十分なナノ構造体の構造を生成するように構成されていてもよい。
【0168】
図48に示すように、パネル修復ステーション4812は、ナノ構造体4830が堆積されたパネルを排出する。
【0169】
ステップ5006では、転写対象となる目標面を乾燥させる。例えば、図48に示すように、パネル乾燥ステーション4814は、ナノ構造体4830が堆積されたパネルを受け入れる。パネル乾燥ステーション4814は、パネル4814上に堆積されたナノ構造体を乾燥させるように構成されている。例えば、図60は、本発明の一実施形態に係るパネル乾燥ステーション4814の一例を示す図である。図60に示すように、ここには、乾燥機6002が存在している。乾燥機6002は、パネル4814上のナノワイヤー5110を乾燥させるように構成されている。乾燥機6002は、任意の好ましい方法でパネル4814上のナノワイヤー5110を乾燥させるように構成されていてもよい。任意の好ましい方法には、電磁エネルギーを放射すること(例えば赤外線加熱)、空気6004を吹き込むこと(図60に示す)、および/または、他の任意の方法が含まれる。
【0170】
図48に示すように、パネル乾燥ステーション4814は、ナノ構造体4826が堆積されたパネル4816を排出する。パネル4816には、堆積させたナノ構造体を周囲環境から保護するためのコーティングを施す等のさらなる処理が行われてもよい。ナノ構造体4826を有するパネル4816は、ディスプレイといった電子デバイスであってよく、および/または、電子デバイス内に組み込まれていてもよい。このような電子デバイスの例については、後に説明する。
【0171】
ナノ構造体プリントシステム4800は、プリントステーション4806を有している。プリントステーション4806は、図54〜図56の実施例では、「ウェット」式のナノ構造体転写工程を行う(例えば図54〜図56では、ナノワイヤー5110は、溶液5106を収容する貯水槽5104内で転写される)(「ウェットスタンピング」とも称する)。他の一実施形態では、ナノ構造体プリントシステムは、「ドライ」式のナノ構造体転写工程を行ってもよい。例えば、図61は、本発明の典型的な一実施形態に係るナノ構造体プリントシステム6100を示す図である。ナノ構造体プリントシステム6100は、関連付けステーション6102、乾燥ステーション6104、プリントヘッド修復ステーション6106、プリントステーション6108、清浄化ステーション6110、およびパネル修復ステーション6114を有している。システム6100のプリントステーション6108は、ドライ式のナノ構造体転写工程を行うように構成されている。関連付けステーション6102、乾燥ステーション6104、プリントヘッド修復ステーション6106、プリントステーション6108、および清浄化ステーション6110は、システム6100におけるプリントヘッドの流路部を形成し、プリントステーション6108およびパネル修復ステーション6114がシステム6100におけるパネルの流路部を形成している。
【0172】
システム6100を、図62および図63に示す各フローチャート6200・6300に関して説明する。フローチャート6200は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、システム6100におけるプリントヘッドの流路部の工程を示し、フローチャート6300は、本発明の典型的な複数の実施形態に係る、システム6100におけるパネルの流路部の工程を示している。システム6100に関するフローチャート6200・6300を、以下のように説明する。以下の説明に基づいて、当業者には他の構造的および動作的な実施形態も明らかとなるであろう。図61に示すシステム6100の全ての部材が全ての実施形態に必要であるわけではなく、必ずしも、フローチャート6200・6300の全てのステップを全ての実施形態において行う必要はない。
【0173】
まず、フローチャート6200について説明する。フローチャート6200のステップ6202では、ナノ構造体をプリントヘッドの転写表面に関連付ける。例えば、図61に示すように、関連付けステーション6102は、プリントヘッド6112を含む複数のプリントヘッド6118を受け入れる。関連付けステーション6102は、受け入れた複数のプリントヘッド6118の各プリントヘッドの転写表面にナノ構造体を関連付けるように構成されている。ナノ構造体をプリントヘッド6118に関連付ける工程は、図3のフローチャート300に関連して説明した方法等の本明細書の他の箇所に記載した任意の方法、または、当業者にとって公知の他の方法で行ってもよい。例えば、関連付けステーション6102は、図48の関連付けステーション4802において説明した方法と同様の方法で、ナノ構造体をプリントヘッドに関連付けることが可能である。図61に示すように、関連付けステーション6102は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6120を排出する。
【0174】
ステップ6204では、プリントヘッドを乾燥させる。例えば、図61に示すように、乾燥ステーション6104は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6120を受け入れる。乾燥ステーション6104は、受け入れた複数のプリントヘッドの転写表面および関連付けられたナノ構造体を乾燥させるように構成されている。例えば、乾燥ステーション6104は、乾燥工程を行うために、図60に示した上述の乾燥機6002と同様の乾燥機を有していてもよい。図61に示すように、乾燥ステーション6104は、乾燥させた複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6122を排出する。
【0175】
ステップ6206では、1つまたは複数のプリントヘッド上のナノ構造体の配置を修復する。ステップ6206は任意の工程である。例えば、図61に示すように、プリントヘッド修復ステーション6106は、乾燥させた複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6122を受け入れる。プリントヘッド修復ステーション6106は、図48のパネル修復ステーション4812と同様の方法で、プリントヘッドに関連付けられたナノ構造体を検査すると共に修復するように構成されていてもよい。例えば、プリントヘッド修復ステーション6106は、修復の必要がある、プリントヘッド上のナノ構造体の構造を特定するために、図58に示した検査装置5802にと同様の検査装置を備えていてもよい。さらに、プリントヘッド修復ステーション6106は、図59に示したプリントヘッド5902等のプリントヘッドまたは他の修復装置を備えていてもよい。このプリントヘッドまたは他の修復装置は、修復の必要があると特定したナノ構造体の構造を、ウェット式またはドライ式に修復するために用いられ得る。図61に示すように、パネル修復ステーション6106は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6124を排出する。
【0176】
ステップ6208では、ナノ構造体を1つまたは複数のプリントヘッドから転写対象となる目標面に転写する。例えば、図61に示すように、プリントステーション6108は、複数のプリントヘッドおよび関連付けられたナノ構造体6124を受け入れる。プリントステーション6108はまた、図2に示した転写対象となる目標基板212の一例であるパネル6116を受け入れる。プリントステーション6108は、ナノ構造体を、受け入れた複数のプリントヘッドからパネル6116の表面の複数の領域に転写するように構成されている。受け入れた全てのプリントヘッドからナノ構造体を転写してもよいし、または、そのプリントヘッドのうちの選択された(例えば、フローチャート4900のステップ4906に関連して説明した方法と同様の方法で選択された)一部のプリントヘッドからナノ構造体を転写してもよい。複数の実施形態では、プリントステーション6108は、図3のフローチャート300に関連して説明した方法のような本明細書の他の箇所に記載した任意のドライ式転写工程、または当業者にとって公知の他の方法に従って、ナノ構造体をパネル6116に転写するように構成されていてもよい。例えば、プリントヘッドの転写表面の接着性と、転写対象となる目標面の接着性とが異なることを利用して、ナノ構造体を転写することが可能である。転写対象となる目標面は、転写表面よりも強い(ナノ構造体に対する)粘着力を有しているように構成されていてもよい。このようにして、転写表面に関連付けられたナノ構造体を、転写対象となる目標面に接触させることが可能である。転写表面が転写対象となる目標面から離される時に、転写対象となる目標面がより強い粘着力を有しているため、ナノ構造体は転写対象となる目標面上に留まる。
【0177】
一実施形態では、プリントステーション6108は、図54〜図56に示したプリントステーション4806と同様の構成であってもよいが、プリントステーション6108には、貯水槽5104および溶液5106は存在しない。図61に示すように、プリントステーション6108は、複数のプリントヘッド6126と、ナノ構造体6130が堆積されたパネルとを排出する。
【0178】
ステップ6210では、プリントヘッドを清浄化する。例えば、図61に示すように、清浄化ステーション6110は、複数のプリントヘッド6126を受け入れる。清浄化ステーション6110は、受け入れた複数のプリントヘッド6126を清浄化するように構成されている。清浄化ステーション6110は、任意の方法でプリントヘッド6126を清浄化して、残留しているあらゆるナノ構造体(例えば、プリントステーション6108においてプリントヘッドから堆積されていなかったナノ構造体)、および/または、他のあらゆる汚染物質を除去するように構成されていてもよい。例えば、清浄化ステーション6110は、図48に示した清浄化ステーション4808と同様の方法で、プリントヘッドを清浄化するように構成されていてもよい。典型的な一実施形態では、清浄化ステーション6110は、プリントヘッド6126の転写表面を清浄化するために、図57に示した流体源5702のような流体源を備えていてもよい。図61に示すように、清浄化ステーション6110は、複数のプリントヘッド6118を排出する。複数のプリントヘッド6118は、システム6100によって行われるナノ構造体プリント工程の次のサイクルのために、関連付けステーション6102に受け入れられる。一実施形態では、システム6100において、一組のプリントヘッドをステーションからステーションに移行させ、所定の時点においては全てのプリントヘッドが同一のステーション上に存在するようにする。他の一実施形態では、所定の時点において、各ステーションが対応する一組のプリントヘッドに対して動作していてもよい。その対応する一組のプリントヘッドは、所定の時間間隔で次のステーションに移行する。
【0179】
ここで、システム6100における転写対象となる目標パネルの流路部に関するフローチャート6300について説明する。フローチャート6300のステップ6302では、ナノ構造体を転写対象となる目標面上に受け入れる。例えば、既に(フローチャート6200のステップ6208に関連して)説明したように、プリントステーション6108によってナノ構造体をパネル6116に転写する。
【0180】
ステップ6302では、転写対象となる目標面上に受け入れられたナノ構造体の配置を修復する。ステップ6302は任意の工程である。例えば、図61に示すように、パネル修復ステーション6114は、ナノ構造体6130が堆積されたパネルを受け入れる。パネル修復ステーション6114は、受け入れたパネルの表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行うように構成されている。例えば、パネル修復ステーション6114は、図48に関連して説明したパネル修復ステーション4812と同様の構成であってもよく、パネル修復ステーション4812は、図58および図59に示した構成を含んでいてもよい。
【0181】
図61に示すように、パネル修復ステーション6114は、ナノ構造体6128が堆積されたパネル6116を排出する。パネル6116には、ナノ構造体6128を周囲環境から保護するためのコーティングを施す等のさらなる処理が行われてもよい。ナノ構造体6128を有するパネル6116は、ディスプレイ等の電子デバイスであってもよく、および/または、電子デバイス内に組み込まれていてよい。このような電子デバイスの例については、後に説明する。
【0182】
〔ナノ構造体転写工程における典型的な撮像画像〕
この章では、本発明の一実施形態に従って行われるナノ構造体転写工程中に撮像される画像について説明する。図64は、ナノ構造体の転写を行うと共に転写の画像を撮像するために用いられるナノ構造体転写システム6400を示す図である。図64に示すように、システム6400は、プリントヘッド702、転写対象となる目標基板212、および画像撮像顕微鏡6402を備えている。プリントヘッド702の転写表面206は、第1電極704および第2電極706、並びに、複数の間隔保持部材2302を有している。図64では、電極704・706が、関連付けられた第1ナノワイヤー1702a(および、図64には不図示の第2ナノワイヤー1702b)を保持している。第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bは、フローチャート300(図3)のステップ302・304に関連して説明したような本明細書の他の箇所に記載した方法で、第1電極704および第2電極706に関連付けられてもよい。図65は、システム6400の顕微鏡6402によって撮像された第1画像6500を示す図である。第1画像6500は、プリントヘッド702の転写表面206上の第1電極704および第2電極706に関連付けられた、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bを示している。なお、本実施例では、転写対象となる目標基板212は、顕微鏡6402に対して透明であり、これによって、顕微鏡6402は、基板212を介して、ナノワイヤー1702a・1702bの画像を撮像することができる。
【0183】
図66は、ナノ構造体転写システム6400を示す他の図である。この図では、プリントヘッド702は移動して、(例えば、図3のフローチャート300のステップ306に従って)転写対象となる目標基板212に接触している。プリントヘッド702の転写表面206上の間隔保持部材2302は、基板212の転写対象となる目標面210と接触しており、プリントヘッド702を基板212から所定の間隔(間隔保持部材2302の高さ)をおいて保持している。図67は、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bを示す、顕微鏡6402によって撮像された第2画像6700である。第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bは、第1電極704および第2電極706に関連付けられており、プリントヘッド702は、(図66に示すように)転写対象となる目標面210と接触している。
【0184】
図68は、ナノ構造体転写システム6400を示す他の図である。図68では、プリントヘッド702は、(図66に示すように)転写対象となる目標基板212と接触した状態を維持している。さらに、図68では、ナノワイヤー1702a(および、図68には不図示のナノワイヤー1702b)が、基板212の転写対象となる目標面210に転写されている。ナノワイヤー1702a・1702bは、上述のフローチャート300(図3)のステップ308に係る方法等の本明細書の他の箇所に記載した任意の方法で、転写対象となる目標面210に転写されることが可能である。例えば、第1電極704および第2電極706によって発生した(例えばフローチャート300のステップ304)電界を取り除いて、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bを離してもよい。さらに、転写対象となる目標面210は、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bの電荷とは反対の電荷を有しているように構成されていてもよく、この場合、ナノワイヤー1702a・1702bを引き付けることが可能である。図69は、顕微鏡6402によって撮像された、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bの第3画像6900を示す図である。この図では、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bは、(図68に示すように)転写対象となる目標面210に転写されている。
【0185】
図70は、ナノ構造体転写システム6400を示す他の図である。図70では、プリントヘッド702は、(例えば図3のフローチャート300のステップ310に従って)転写対象となる目標基板212から離れている。ナノワイヤー1702a(および、図68には不図示のナノワイヤー1702b)は、基板212の転写対象となる目標面210上に堆積されたまま残留している。図71は、顕微鏡6402によって撮像された、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bの第4画像7100を示す図である。この図では、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bは、転写対象となる目標面210上にあり、プリントヘッド702は、(図70に示すように)転写対象となる目標面210から離れている。なお、図65、図67、図69および図71ではそれぞれ、顕微鏡6402は、ナノワイヤー1702a・1702bにピントを合わせているものとする。従って、図71では、第1ナノワイヤー1702aおよび第2ナノワイヤー1702bには焦点が合っているが、ナノワイヤー1702a・1702bと転写表面206との間が離れているため、プリントヘッド702の転写表面206がぼやけている。
【0186】
以下に、本発明の複数の実施形態に従って形成可能な典型的な電子デバイスおよびシステムについて説明する。
【0187】
〔典型的な装置および用途における、本発明に従って堆積させたナノワイヤーおよび電気的素子の使用〕
多数の電子デバイスおよびシステムは、本発明の方法に従って堆積させたナノワイヤーおよび/または電気的素子の薄膜を有する、半導体または他の種類の装置を組み入れることが可能である。本発明のいくつかの典型的な用途を、以下に、または本明細書の他の箇所において図面を参照しながら説明しているが、これらはその用途を制限するためのものではない。ここに記載の用途は、配向されたまたは配向されていないナノワイヤーの薄膜を含んでいてもよく、ナノワイヤーの薄膜の複合材料または非複合材料を含んでいてもよい。
【0188】
半導体素子(または他の種類の装置)は、他の電子回路の信号に結合されていてもよく、および/または、他の電子回路に集積されていてよい。半導体素子は、大きな基板上に形成されていてもよく、この基板は、後に分割されるか、または、賽の目状の小さな基板に切り分けられてもよい。さらに、大きな基板(つまり従来の半導体ウェハよりも大幅に大きな基板)上には、その上に形成された半導体素子が相互に接続されている。
【0189】
本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーを、単一の半導体素子を必要とする用途に、および、多数の半導体素子に組み入れることが可能である。例えば、本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーは、具体的には、広い面積を有する、複数の半導体素子が形成されるマクロ電子基板の表面に適用可能である。このような電子デバイスは、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(LCD)、有機LEDディスプレイ、電界放出ディスプレイ型のディスプレイ駆動回路を備えている。ナノワイヤーポリマー、量子ドットポリマー複合材料(この複合材料は、発光体およびアクティブ駆動マトリクスとして機能することが可能である)から、他のアクティブディスプレイを形成してもよい。本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーは、スマートライブラリー、クレジットカード、広面積アレイセンサー、および、無線ICタグ(RFID)にも適用可能であり、無線ICタグ(RFID)には、スマートカード、スマート在庫タグ等が含まれる。
【0190】
本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーは、デジタルおよびアナログ回路の用途にも適用可能である。特に、本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーは、広面積の基板に大規模の集積化が必要な用途においても有効である。例えば、本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーの薄膜は、論理回路、記憶回路、プロセッサ、増幅器、および他のデジタルおよびアナログ回路において実施可能である。
【0191】
本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーは、発電用途にも適用可能である。このような用途では、特定の光起電装置の光起電力特性を強化するために、透明な導電基板が用いられる。例えば、このような透明の導電基板を、インジウムスズ酸化物(ITO)等の代わりに、柔軟に、広面積に置き換えて使用してもよい。基板を、大きなバンドギャップ、つまり可視光よりも大きなバンドギャップを有するように形成されたナノワイヤーの薄膜でコーティングする。これによって、基板は、非吸収性になるが、その基板の上部に形成される光起電装置の活物質に配列したHOMOバンドまたはLUMOバンドを有するように形成される。吸収性を有する光起電材料の両側面に透明な導体を配置して、光起電装置から電流を取り除くことも可能である。異なる2つのナノワイヤー材料を選択し、一方が光起電材料のHOMOバンドに配列したHOMOを有し、他方が光起電材料のLUMOバンドに配列したLUMOを有するようにする。これら2つのナノワイヤー材料のバンドギャップは、光起電材料のバンドギャップよりも極めて大きくなるように選択することができる。本実施形態に係るナノワイヤーを低濃度にドープして、ナノワイヤーの薄膜の抵抗値を小さくすることが可能であると共に、基板の大部分を非吸収性のままに維持させることが可能である。
【0192】
従って、広範囲の軍事用品および消費用品に、本発明の工程および方法によって堆積させたナノワイヤーおよび電気的素子を組み入れることが可能である。例えば、このような製品には、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバー、ネットワーク装置、携帯型電子デバイス(例えばPDAおよびパームパイロット)、電話機(例えば携帯電話機および標準型の電話機)、ラジオ、テレビ、コンピュータゲームおよびゲームシステム、家庭用防犯システム、自動車、飛行機、船、他の家電製品および商業用製品等が含まれる。
【0193】
上記では、本発明の典型的な実施形態を記載したが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。これらの実施例は、説明のために本明細書に記載したものであって、限定するために記載したものではない。本明細書に記載した教示内容に基づいて、当業者には、代替例(本明細書に記載した実施例の同等の形態、発展形態、変形例、変更例など)が明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に転写する方法であって、
少なくとも1つのナノワイヤーを電極対に近接するように供給する供給工程と、
上記電極対の2つの電極によって電界を発生させて、上記少なくとも1つのナノワイヤーを当該2つの電極に関連付ける電界発生工程と、
上記電極対を上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせする位置合わせ工程と、
上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記電極対から上記転写対象となる目標面の領域に堆積させる堆積工程とを含む、方法。
【請求項2】
上記電極対は、転写表面に実装されており、
第1電荷を有するように上記転写表面を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1電荷は、上記少なくとも1つのナノワイヤーに静電反発力を印加するものであり、
上記電界発生工程は、上記電界を、上記静電反発力に反発して上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写表面に引き付けるように形成する電界形成工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記電界構成工程は、上記電界に交流(AC)電界によるバイアスをかけて、上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写表面に引き付ける工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記堆積工程は、上記電界に第2AC電界によるバイアスをかけて、上記少なくとも1つのナノワイヤーが上記転写対象となる目標面の方に移動することを可能にする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記転写対象となる目標面が上記第1電荷とは反対の電荷である第2電荷を有するように、上記転写対象となる目標面を形成する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
上記位置合わせ工程は、上記少なくとも1つのナノワイヤーと上記転写対象となる目標面との間隔を狭めることによって、当該少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第2電荷の静電引力によって当該転写対象となる目標面に引き付けることを可能にする工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記堆積工程は、上記第2電荷によって、上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に引き付ける工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記堆積工程は、上記転写表面を超音波振動させて、上記第2電荷の静電引力が、上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に引き付けることを可能にする工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
上記転写表面を超音波振動させる工程は、上記転写表面および上記転写対象となる目標面の両方を超音波振動させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記転写表面を超音波振動させる工程は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面とを同期して超音波振動させる工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記堆積工程は、上記転写対象となる目標面から上記転写表面に真空を印加して、上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に移動させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記堆積工程は、上記転写対象となる目標面に関連付けられた第2電界を発生させて、上記少なくとも1つのナノワイヤーを当該転写対象となる目標面の方に引き付ける工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
上記堆積工程は、上記電界の発生を中止する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
親水性を有するように上記転写対象となる目標面を形成して、上記少なくとも1つのナノワイヤーを含有する溶液を当該転写対象となる目標面の方に引き付けるようにする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
疎水性を有するように上記転写表面を形成して、上記少なくとも1つのナノワイヤーを含有する溶液をはね返すようにする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
上記供給工程は、上記少なくとも1つのナノワイヤーを含有する溶液を上記電極対上に流す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
上記電極対上の上記溶液の流速を変化させる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記電極対は、第1電極および第2電極を含み、
上記少なくとも1つのナノワイヤーは、第1ナノワイヤーを含むものであり、
上記電界発生工程は、上記第1ナノワイヤーの第1端部を上記第1電極の表面の近傍に配置すると共に、上記第1ナノワイヤーの第2端部を上記第2電極の表面の近傍に配置する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
上記電界発生工程は、上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第1電極および上記第2電極を通る軸にほぼ平行に配向する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記電界発生工程は、上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第1端部および上記第2端部が上記第1電極および上記第2電極に接触しないように配置する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
上記転写対象となる目標面の領域は、電気接点対を含むものであり、
上記位置合わせ工程は、上記電極対を上記電気接点対に接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
上記位置合わせ工程は、上記電極対を上記転写対象となる目標面に接触させる接触工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
上記接触工程は、当該接触工程によって、上記電極対の第1電極を実装するカンチレバーを屈曲させる工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
上記接触工程は、当該接触工程によって、上記電極対を実装する一対のカンチレバーを屈曲させる工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
上記位置合わせ工程は、上記電極対を上記転写対象となる目標面の近傍に配置する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせされている電極対を当該領域から取り除く工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つの第2ナノワイヤーを上記電極対に近接するように供給する供給工程と、
上記電極対の2つの電極によって第2電界を発生させて、上記少なくとも1つの第2ナノワイヤーを当該2つの電極に関連付ける電界発生工程と、
上記電極対を、上記転写対象となる目標面の第2領域に位置合わせする位置合わせ工程と、
上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記電極対から上記転写対象となる目標面の第2領域に堆積させる堆積工程とをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第1電極対および第2電極対は、共通の転写表面上に存在するものであり、
上記供給工程と並行して、上記少なくとも1つの第1ナノワイヤーを上記第1電極対に近接するように供給すると共に、少なくとも1つの第2ナノワイヤーを上記第2電極対に近接するように供給する工程と、
第1電界を発生させる上記工程と並行して、上記第2電極対の2つの第2電極によって第2電界を発生させて、少なくとも1つの上記第2ナノワイヤーを上記2つの第2電極に関連付ける工程と、
上記第1電極対を上記転写対象となる目標面の第1領域に位置合わせする上記位置合わせ工程と並行して、上記第2電極対を上記転写対象となる目標面の第2領域に位置合わせする工程と、
上記少なくとも1つの第1ナノワイヤーを上記第1電極対から上記第1領域に堆積させる上記堆積工程と並行して、上記少なくとも1つの第2ナノワイヤーを上記第2電極対から上記転写対象となる目標面の第2領域に堆積させる工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
結合されていないナノワイヤーを上記電極対から除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に転写するためのシステムであって、
転写表面を有する筐体と、
上記転写表面上の電極対と、
上記電極対に近接するように供給された複数のナノワイヤーを含有する懸濁液と、
上記電極対の2つの電極によって電界を発生させて、上記複数のナノワイヤーのうちの少なくとも1つのナノワイヤーを上記2つの電極に関連付けることが可能なように構成されている、当該電極対に結合された信号発生器と、
上記電極対を上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせして、関連付けされた上記少なくとも1つのナノワイヤーを、当該電極対から当該転写対象となる目標面の領域に堆積させることが可能なように構成されている位置合わせ機構とを備える、システム。
【請求項32】
上記転写表面は第1電荷を有している、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
上記第1電荷は、上記少なくとも1つのナノワイヤーに静電反発力を印加し、上記電界は、当該静電反発力に反発して当該少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写表面に引き付ける、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
上記信号発生器は、上記電界に交流(AC)電界によるバイアスをかけて、上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写表面に引き付ける、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
上記信号発生器は、上記電界に第2AC電界によるバイアスをかけて、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に移動させることを可能にする、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
上記転写対象となる目標面は、上記第1電荷とは反対の電荷である第2電荷を有している、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
上記位置合わせ機構は、上記少なくとも1つのナノワイヤーと上記転写対象となる目標面との間隔を狭めて、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第2電荷の静電引力によって当該転写対象となる目標面に引き付けることが可能なように構成されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第2電荷によって上記転写対象となる目標面の方に引き付ける、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
上記転写表面を振動させて、上記第2電荷の静電引力が、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に引き付けることが可能なように構成されている超音波振動源をさらに備える、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
上記超音波振動源は、上記転写表面および上記転写対象となる目標面の両方を振動させるように構成されている、請求項36に記載のシステム
【請求項41】
上記超音波振動源は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面とを同期して振動させるように構成されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
上記転写対象となる目標面から上記転写表面に真空を印加して、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを当該転写対象となる目標面に移動させるように構成されている真空源をさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項43】
上記転写対象となる目標面に関連付けられた第2電界を発生させて、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを当該転写対象となる目標面の方に引き付けるように構成されている電界源をさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項44】
上記信号発生器は、電界の強度を弱めて、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記転写対象となる目標面の方に引き付けることが可能なように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項45】
上記転写対象となる目標面は、親水性を有するように構成されており、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを含有する流体を当該転写対象となる目標面の方に引き付ける、請求項31に記載のシステム。
【請求項46】
上記転写表面は、疎水性を有するように構成されており、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを含有する流体をはね返す、請求項31に記載のシステム。
【請求項47】
上記懸濁液および上記電極対を収容している容器をさらに備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項48】
上記電極対上に上記懸濁液を流す、請求項31に記載のシステム。
【請求項49】
上記電極対は、第1電極および第2電極を含み、
上記少なくとも1つのナノワイヤーは、第1ナノワイヤーを含むものであり、
上記電界は、上記第1ナノワイヤーの第1端部を上記第1電極の表面の近傍に配置すると共に、上記第1ナノワイヤーの第2端部を上記第2電極の表面の近傍に配置する、請求項31に記載のシステム。
【請求項50】
上記電界は、上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第1電極および上記第2電極を通る軸にほぼ平行に配向する、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
上記電界は、上記少なくとも1つのナノワイヤーを、上記第1端部および上記第2端部が上記第1電極および上記第2電極に接触しないように配置する、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
上記転写対象となる目標面の領域は、電気接点対を含むものであり、
上記位置合わせ機構は、上記電極対を上記電気接点対に接触させる、請求項31に記載のシステム。
【請求項53】
上記位置合わせ機構は、上記電極対を上記転写対象となる目標面に接触させるように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項54】
上記転写表面は、上記電極対の第1電極を実装するカンチレバーを有し、
上記カンチレバーは、上記電極対が上記転写対象となる目標面に接触する場合に屈曲するように構成されている、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
上記転写表面は、上記電極対の第1電極および第2電極を実装する一対のカンチレバーを有し、
上記一対のカンチレバーは、上記電極対が上記転写対象となる目標面に接触する場合に屈曲するように構成されている、請求項53に記載のシステム。
【請求項56】
上記位置合わせ機構は、上記電極対を、上記転写対象となる目標面の近傍に配置するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項57】
上記転写表面上に複数のスペーサをさらに備える、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
上記位置合わせ機構は、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーが堆積された後に、上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせされている電極対を当該領域から取り除くように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項59】
第2電極対が上記転写表面上にある、請求項31に記載のシステム。
【請求項60】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に成長させるための方法であって、
関連付けられた少なくとも1つのナノワイヤーを有する電極対を、上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせする工程と、
上記少なくとも1つのナノワイヤーを上記電極対から上記転写対象となる目標面の領域に堆積させる工程とを含む、方法。
【請求項61】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に成長させるためのシステムであって、
転写表面を有する筐体と、
上記転写表面上に形成された電極対とを備え、
上記電極対は、電界を発生させて、近接する少なくとも1つのナノワイヤーを当該電極対に関連付けるように構成されており、
上記電極対は、上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせされ、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを当該電極対から当該転写対象となる目標面の領域に堆積させることが可能なように構成されている、システム。
【請求項62】
電気的素子を転写対象となる目標面に転写するための方法であって、
少なくとも1つの電気的素子を電極対に近接するように供給する供給工程と、
上記電極対の2つの電極によって電界を発生させて、電気的素子を当該2つの電極に関連付ける電界発生工程と、
上記電極対を転写対象となる目標面の領域に位置合わせする位置合わせ工程と、
上記電気的素子を上記電極対から上記転写対象となる目標面の領域に堆積させる堆積工程とを含む、方法。
【請求項63】
上記電気的素子は、集積回路ダイであり、
上記堆積工程は、上記集積回路ダイを上記電極対から上記転写対象となる目標面の領域に堆積させる工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
上記電気的素子は、集積回路、電子部品、および光学素子のうちのいずれか1つであり、
上記堆積工程は、上記集積回路、電子部品、および光学素子のうちのいずれか1つを、上記電極対から上記転写対象となる目標面の領域に堆積させる工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
上記堆積工程は、上記転写表面を超音波振動させて、静電引力が、上記電気的素子を上記転写対象となる目標面の方に引き付けることを可能にする工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
上記転写表面を超音波振動させる工程は、上記転写表面および上記転写対象となる目標面の両方を超音波振動させる工程を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
上記転写表面を超音波振動させる工程は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面とを同期して超音波振動させる工程をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
電気的素子を転写対象となる目標面に転写するためのシステムであって、
転写表面を有する筐体と、
上記転写表面上の電極対と、
上記電極対に近接するように供給された複数の電気的素子を含有する懸濁液と、
上記電極対の2つの電極によって電界を発生させて、上記複数の電気的素子のうちの少なくとも1つの電気的素子を上記2つの電極に関連付けることが可能なように構成されている、上記電極対に結合された信号発生器と、
上記電極対を上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせして、関連付けされた上記電気的素子を、当該電極対から当該転写対象となる目標面の領域に堆積させることが可能なように構成されている位置合わせ機構とを備える、システム。
【請求項69】
上記電気的素子は集積回路ダイである、請求項68に記載のシステム。
【請求項70】
上記電気的素子は、集積回路、電子部品、および光学素子のうちのいずれか1つである、請求項68に記載のシステム。
【請求項71】
上記転写表面を振動させて、静電引力が、関連付けられた上記電気的素子を上記転写対象となる目標面の方に引き付けることが可能なように構成されている超音波振動源をさらに備える、請求項68に記載のシステム。
【請求項72】
上記超音波振動源は、上記転写表面および上記転写対象となる目標面の両方を振動させるように構成されている、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
上記超音波振動源は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面とを同期して振動させるように構成されている、請求項72に記載のシステム。
【請求項74】
電気的素子を転写対象となる目標面に成長させるためのシステムであって、
転写表面を有する筐体と、
上記転写表面上に形成された電極対とを備え、
上記電極対は、電界を発生させて、近接した電気的素子を上記電極対に関連付けるように構成されており、
上記電極対は、上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせされ、関連付けられた上記電気的素子を当該電極対から当該転写対象となる目標面の領域に堆積させることが可能なように構成されている、システム。
【請求項75】
上記電気的素子は集積回路ダイである、請求項74に記載のシステム。
【請求項76】
上記電気的素子は、集積回路、電子部品、および光学素子のうちのいずれか1つである、請求項74に記載のシステム。
【請求項77】
上記転写表面を振動させて、静電引力が、関連付けられた上記電気的素子を上記転写対象となる目標面の方に引き付けることが可能なように構成されている超音波振動源をさらに備える、請求項74に記載のシステム。
【請求項78】
上記超音波振動源は、上記転写表面および上記転写対象となる目標面の両方を振動させるように構成されている、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
超音波振動源は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面とを同期して振動させるように構成されている、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に転写する方法であって、
プリントヘッドの転写表面を転写対象となる目標面の近傍に配置し、当該転写表面に1つのナノワイヤーを関連付ける配置工程と、
上記転写表面と上記転写対象となる目標面との間隔を狭める間隔縮小工程と、
上記間隔縮小工程中に、流体を、上記転写表面と上記転写対象となる目標面との間から、上記転写表面内の少なくとも1つの開口部に受け入れる受入工程と、
上記ナノワイヤーを、上記転写表面から上記転写対象となる目標面に堆積させる堆積工程とを含む、方法。
【請求項81】
上記受入工程は、上記流体を、上記転写表面内の第1開口部および第2開口部に受け入れる工程を含み、
上記ナノワイヤーは、上記第1開口部と上記第2開口部との間のほぼ中間地点において、上記転写表面に関連付けられている、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
上記第1開口部および上記第2開口部の長さはそれぞれ、上記ナノワイヤーの長軸の長さよりも長い、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
上記転写表面において、上記第1開口部の長さおよび上記第2開口部の長さは、上記ナノワイヤーの長軸に平行に配置されている、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
上記流体を、上記転写表面内の第1開口部および第2開口部の中に受け入れる工程は、
上記第1開口部および上記第2の開口部それぞれの内部でピストンを動かして、上記流体を、上記転写表面と上記転写対象となる目標面との間から、当該第1開口部および当該第2開口部の中に引き込む工程を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に転写するためのシステムであって、
上記転写表面上の電極対と、
上記転写表面内の少なくとも1つの開口部と、
上記転写表面上に形成された電極対とを備え、
上記電極対は、電界を発生させて、当該電極対に1つのナノワイヤーを関連付けるように構成されており、
上記少なくとも1つの開口部は、上記転写表面と上記転写対象となる目標面との間から、流体を受け入れるように構成されている、システム。
【請求項86】
上記少なくとも1つの開口部は、上記転写表面が上記転写対象となる目標面の方に移動するとき、当該転写表面と当該転写対象となる目標面との間から上記流体を受け入れるように構成されている、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
上記少なくとも1つの開口部は、第1開口部および第2開口部を含み、
上記電極対は、上記第1開口部と上記第2開口部との間のほぼ中間地点において、上記ナノワイヤーを上記転写表面に関連付けるように構成されている、請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
上記第1開口部および上記第2開口部の長さはそれぞれ、上記ナノワイヤーの長軸の長さよりも長い、請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
上記転写表面において、上記第1開口部および上記第2開口部は、当該第1開口部の長さおよび当該第2開口部の長さが上記ナノワイヤーの長軸に並行な構成となるように配置されている、請求項88に記載のシステム。
【請求項90】
上記第1開口部内に第1ピストンと、
上記第2開口部内に第2ピストンとをさらに有し、
上記第1ピストンおよび上記第2ピストンは、上記流体を、上記転写表面と上記転写対象となる目標面との間から上記第1開口部および上記第2開口部の中に引き込むように構成されている、請求項85に記載のシステム。
【請求項91】
ナノワイヤーを転写対象となる目標基板に転写する方法であって、
ナノ構造体を複数のプリントヘッドの転写表面に関連付ける関連付け工程と、
上記複数のプリントヘッドの転写表面の検査を行う検査工程と、
上記検査に基づいて、上記複数のプリントヘッドから少なくとも1つのプリントヘッドを選択する選択工程と、
上記ナノ構造体を、選択された上記少なくとも1つのプリントヘッドから転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写する転写工程とを含む、方法。
【請求項92】
余分なナノ構造体を、上記複数のプリントヘッドの転写表面から洗い流す工程をさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
上記転写工程後に、選択された上記少なくとも1つのプリントヘッドを清浄化する工程をさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行う工程をさらに含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行う工程は、
上記転写対象となる目標基板の表面の領域に転写された、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定する工程と、
特定されたナノ構造体の構造を修復する工程とを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
上記関連付け工程は、
複数のナノ構造体を含有する懸濁液中に上記転写表面を配置する工程と、
上記転写表面それぞれの電極対の2つの電極によって電界を発生させて、当該転写表面それぞれの電極対にナノ構造体を関連付ける工程とを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
上記転写工程は、関連付けられた上記ナノ構造体を、選択された上記少なくとも1つのプリントヘッドの少なくとも1つの電極対から上記転写対象となる目標基板の表面に堆積させる工程を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ナノワイヤーを転写対象となる目標基板に転写する方法であって、
ナノ構造体を複数のプリントヘッドの転写表面に関連付ける関連付け工程と、
関連付けられたナノ構造体を有する転写表面を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥させた、上記関連付けられたナノ構造体を有する転写表面の検査を行う検査工程と、
上記ナノ構造体を、乾燥させた上記転写表面から上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写する転写工程とを含む、方法
【請求項99】
乾燥させた、上記関連付けられたナノ構造体を有する転写表面の検査を行う上記検査工程は、
プリントヘッドの転写表面に関連付けられた、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定する工程と、
特定されたナノ構造体の構造を修復する工程とを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
上記乾燥工程より前に上記複数のプリントヘッドの転写表面から余分なナノ構造体を洗い流す工程をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
上記転写工程後に上記複数のプリントヘッドを清浄化する工程をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行う工程をさらに含む、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行う工程は、
上記転写対象となる目標基板の表面の領域に転写された、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定する工程と、
特定されたナノ構造体の構成を修復する工程とを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
上記関連付け工程は、
複数のナノ構造体を含有する懸濁液中に上記転写表面を配置する工程と、
上記転写表面それぞれの電極対の2つの電極によって電界を発生させて、当該転写表面それぞれの電極対にナノ構造体を関連付ける工程とを含む、請求項98に記載の方法。
【請求項105】
上記転写工程は、関連付けられた上記ナノ構造体を、選択された上記少なくとも1つのプリントヘッドの少なくとも1つの電極対から上記転写対象となる目標表面に堆積させる工程を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
ナノワイヤーを転写対象となる目標基板に転写するためのシステムであって、
複数のプリントヘッドを受け入れて、受け入れた当該複数のプリントヘッドそれぞれの転写表面にナノ構造体を関連付けるように構成されている関連付けステーションと、
転写対象となる目標基板と上記複数のプリントヘッドのうちの少なくとも1つのプリントヘッドとを受け入れると共に、上記ナノ構造体を、受け入れた当該複数のプリントヘッドのうちの少なくとも1つのプリントヘッドから当該転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写するように構成されているプリントステーションと、
上記プリントステーションから上記複数のプリントヘッドを受け入れると共に、受け入れた当該複数のプリントヘッドを清浄化するように構成されている清浄化ステーションとを備える、システム。
【請求項107】
上記関連付けステーションは、上記複数のプリントヘッドの転写表面から余分なナノ構造体を洗い流すように構成されている、請求項106に記載のシステム。
【請求項108】
上記転写対象となる目標基板を受け入れると共に、当該転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体の検査を行うように構成されている修復ステーションをさらに備える、請求項106に記載のシステム。
【請求項109】
上記修復ステーションは、上記検査に基づいて、上記転写対象となる目標基板の表面の領域に転写された、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定すると共に、特定されたナノ構造体の構造を修復するように構成されている、請求項108に記載のシステム。
【請求項110】
上記プリントステーションは、上記ナノ構造体のウェット式転写を行うように構成されている、請求項106に記載のシステム
【請求項111】
上記関連付けステーションから上記複数のプリントヘッドを受け入れて、当該複数のプリントヘッドの転写表面の検査を行い、当該検査に基づいて、当該複数のプリントヘッドの少なくとも1つのプリントヘッドを選択するように構成されている検査ステーションをさらに備え、
上記プリントステーションは、上記ナノ構造体を、選択された上記少なくとも1つのプリントヘッドから上記転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写するように構成されている、請求項110に記載のシステム。
【請求項112】
上記転写対象となる目標基板を受け入れると共に、当該転写対象となる目標基板の表面の複数の領域に転写されたナノ構造体を乾燥させるように構成されている、パネル乾燥ステーションをさらに備える、請求項110に記載のシステム。
【請求項113】
上記プリントステーションは、上記ナノ構造体のドライ式転写を行うように構成されている、請求項106に記載のシステム。
【請求項114】
上記複数のプリントヘッドを受け入れると共に、当該複数のプリントヘッドの転写表面と当該転写表面に関連付けられたナノ構造体とを乾燥させるように構成されている、プリントヘッド乾燥ステーションをさらに備える、請求項113に記載のシステム。
【請求項115】
乾燥させた、関連付けられたナノ構造体を有する上記転写表面の検査を行い、当該検査に基づいて、プリントヘッドの転写表面に関連付けられた修復の必要があるナノ構造体の構造を特定し、特定されたナノ構造体の構造を修復するように構成されている修復ステーションをさらに備える、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
ナノワイヤーを転写対象となる目標面に成長させるためのシステムであって、
転写表面を有する筐体と、
上記転写表面上に形成された非粘着性コーティングと、
上記転写表面上に形成された電極対とを備え、
上記電極対は、電界を発生させて、近接する少なくとも1つのナノワイヤーを当該電極対に関連付けるように構成されており、
上記電極対は、上記転写対象となる目標面の領域に位置合わせされ、関連付けられた上記少なくとも1つのナノワイヤーを、当該電極対から当該転写対象となる目標面の領域に堆積させることが可能なように構成されている、システム。
【請求項117】
ナノワイヤーを転写対象となる目標基板に転写する方法であって、
ナノ構造体を複数のプリントヘッドの転写表面に関連付ける工程と、
上記複数のプリントヘッドの転写表面の検査を行う工程と、
上記複数のプリントヘッドのうちの1つのプリントヘッドの転写表面に関連付けられた、修復の必要があるナノ構造体の構造を特定する工程と、
特定されたナノ構造体の構造を修復する工程と、
修復されたナノ構造体の構造を、上記プリントヘッドの転写表面から転写対象となる目標基板に転写する工程とを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公表番号】特表2010−530810(P2010−530810A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507581(P2010−507581)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/062623
【国際公開番号】WO2009/023305
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(504327085)ナノシス・インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Nanosys, Inc.
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】