説明

配管の抜け止め装置

【課題】溶接固定しなくてもストッパの着脱が行え、且つ、内管と外管の着脱が容易に行える配管の抜け止め装置を提供する。
【解決手段】外管12の半径方向外側に突出する突出部14と、内管30の半径方向内側に陥没する凹陥部32と、突出部14に対応して外管12に取り付けられるストッパ40とを備える。突出部14は、低突出部16と挿入孔18と高突出部24と突出部側係合部(係合孔20)と、低突出部16より高く突出する乗り上げ部22とを有する。ストッパ40は、外辺42と内辺52と第1の係合部(係合部58)と第2の係合部(係合辺48)とを有する。外辺42と内辺52で突出部14を挟んだ状態で、外管12より内管30を引き抜く方向に内管30が移動した場合、第1の係合部(係合部58)が内管30の凹陥部32に係合し、且つ、第2の係合部(係合辺48)が突出部14の突出部側係合部に係合することで引き抜きが阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房用及び給湯用機器としてガスや化石燃料を用いた機器に接続される配管の抜け止め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より暖房用や給湯用機器などには比較的熱効率が高いガスや化石燃料などが使用された燃焼機器が広く用いられてきている。近年では住宅の室内も高気密化してきており、このような燃焼機器の室内使用においては、充分な換気を行わなければならない。特に寒い北国の家屋や建物については長時間に渡ってそれらの機器を使用しなければならず、室内換気の重要性は極めて高いものである。
【0003】
係る燃焼機器には外気の導入や給排気用の配管(給排気管)として、単配管或いは二重配管が、予め一定の長さに製作されたものを複数本接続して延長しているのが一般的である。このような施工方法で配管を延長した場合、何れかの接続部が外れて配管が抜け落ちたりしないように、通常各配管の接続部毎に配管の抜け止め装置が設けられている。
【0004】
このような燃焼機器に設けられた配管の抜け止め装置として、一方の配管(外管)の受け口内に他の配管(内管)の挿入口側が差し込まれると、ロック部が挿入口の先端で押し上げられて、切り窓から当該切り窓の外に溶接固定され、逃げ空間とロック壁及びスライドガイドを形成したカバー内(逃げ空間)に収まる。更に内管の挿入口側が外管の受け口内に差し込まれると、ロック部の下に内管に形成した円周溝が合い、ロック部材の弾性作用でロック部が円周溝内に落ち込み内管と外管とがロックされる。
【0005】
そして、内管と外管とに引き抜き方向の力が加わったとき、係合部がロック壁で押さえられ、これによりロック部にくさび効果が作用して、円周溝との嵌合関係が強化される。これにより、内管と外管とが接続部で抜け落ちてしまうのを防止していた。また、内管と外管と引き抜いて外す場合には、挿入口側を一旦押し込んで一緒にロック部材を後退させてロック部の係合部をロック壁から逃げ空間側に逃がす。そして、この状態で、ロック部材のストッパ操作部を指先で押さえ、挿入口側を引くことにより、ロック部が円周溝の縁に沿って持ち上げられて切り窓から逃げ空間内に収まり、そのまま両配管を相互に離間させることにより引き抜けるように構成していた。これにより、内管と外管とを容易に着脱できるように構成していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−304182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、内管と外管とを接続する従来の配管の抜け止め装置は、カバーを外管に溶接固定してからでは、スライドガイドと外管との隙間にロック部材を挿入することができなかった。そこで、スライドガイドと外管との隙間にロック部材を挿入した後、カバーを外管に溶接固定していた。このため、ロック部材が変形して、抜け止め装置の役割を果たさない場合には、外管から溶接したカバーを外し、再度ロック部材をスライドガイドと外管との隙間に挿入した後、カバーを外管に溶接固定しなければならないという手間のかかる問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、溶接固定をしなくても簡単にストッパの着脱を行うことができ、且つ、内管と外管との着脱が容易に行うことができる配管の抜け止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の配管の抜け止め装置は、外管と、該外管の一端より当該外管内に挿入される内管と、外管の一端近傍に構成され、当該外管の半径方向外側に突出する突出部と、内管の外管内に挿入される側の端部に形成され、該内管の半径方向内側に陥没する凹陥部と、突出部に対応して外管に取り付けられる弾性を有したストッパとを備え、突出部は、低突出部と、該低突出部の外管一端側の側面に形成された挿入孔と、低突出部の外管一端側とは反対側に連続する高突出部と、低突出部に形成された突出部側係合部と、該突出部側係合部の高突出部側に位置して低突出部より高く突出する乗り上げ部とを有し、ストッパは、外辺と、該外辺一端の屈曲部にて連続して折り返された内辺と、該内辺の他端に構成された第1の係合部と、該第1の係合部よりも屈曲部側に位置して形成された第2の係合部とを有し、内辺が突出部の挿入孔から当該突出部内に進入し、外辺と内辺により突出部を挟んだ状態で外管に取り付けられ、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、ストッパの内辺他端の第1の係合部が内管の凹陥部に係合し、且つ、第2の係合部が突出部の突出部側係合部に係合することで引き抜きが阻止されると共に、突出部の高突出部に内管の凹陥部が対応した状態で、外辺の他端が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、該ストッパの内辺他端の第1の係合部は内管の凹陥部より離脱することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明の配管の抜け止め装置は、上記において、突出部の突出部側係合部は、低突出部の上面に形成された係合孔であり、ストッパの第2の係合部は、外辺より内辺側に突出する係合辺であって、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、ストッパの係合辺が突出部の係合孔内に進入して係合することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明の配管の抜け止め装置は、請求項2に加えて、ストッパは、外辺の他端部に形成され、先端側が内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、内辺の他端部に形成され、外辺側に湾曲して先端が第1の係合部となる湾曲部とを有し、傾斜部が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、湾曲部が高突出部の外管一端側の壁の内面に当接しながら当該高突出部内側に進入し、第1の係合部が凹陥部より離脱すると共に、高突出部の外管一端側の壁とストッパの傾斜部は、当該傾斜部の先端に向かう程、相互に離間することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明の配管の抜け止め装置は、請求項1において、突出部の突出部側係合部は、低突出部に凹陥形成された係合凹部であり、ストッパの第2の係合部は、内辺に形成された透孔であって、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、突出部の係合凹部がストッパの透孔内に進入して係合することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明の配管の抜け止め装置は、請求項4において、ストッパは、外辺の他端部に形成され、先端側が内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、該傾斜部の屈曲部側の外辺に形成され、内辺側に突出する突部とを有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明の配管の抜け止め装置は、請求項4又は請求項5において、ストッパは、内辺の他端部に形成され、外辺側に湾曲して先端が第1の係合部となる湾曲部を有し、ストッパの透孔は湾曲部の屈曲部側の面まで延在しており、該透孔両側に位置する湾曲部の外辺とは反対側の面には、補強リブが形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明の配管の抜け止め装置は、請求項1乃至請求項6の何れかにおいて、ストッパの屈曲部は湾曲していると共に、外管の挿入孔下縁には、当該外管の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部が形成され、外辺の他端が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、当該ストッパの屈曲部が案内部の外管一端側とは反対側の湾曲面に対応することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明の配管の抜け止め装置は、請求項1乃至請求項7の何れかにおいて、突出部は、外管と一体に突出形成されていると共に、凹陥部は内管の全周に渡って連続して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外管と、該外管の一端より当該外管内に挿入される内管と、外管の一端近傍に構成され、当該外管の半径方向外側に突出する突出部と、内管の外管内に挿入される側の端部に形成され、該内管の半径方向内側に陥没する凹陥部と、突出部に対応して外管に取り付けられる弾性を有したストッパとを備え、突出部は、低突出部と、該低突出部の外管一端側の側面に形成された挿入孔と、低突出部の外管一端側とは反対側に連続する高突出部と、低突出部に形成された突出部側係合部と、該突出部側係合部の高突出部側に位置して低突出部より高く突出する乗り上げ部とを有し、ストッパは、外辺と、該外辺一端の屈曲部にて連続して折り返された内辺と、該内辺の他端に構成された第1の係合部と、該第1の係合部よりも屈曲部側に位置して形成された第2の係合部とを有し、内辺が突出部の挿入孔から当該突出部内に進入し、外辺と内辺により突出部を挟んだ状態で外管に取り付けられ、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、ストッパの内辺他端の第1の係合部が内管の凹陥部に係合し、且つ、第2の係合部が突出部の突出部側係合部に係合することで引き抜きが阻止されると共に、突出部の高突出部に内管の凹陥部が対応した状態で、外辺の他端が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、該ストッパの内辺他端の第1の係合部は内管の凹陥部より離脱するので、例えば、請求項2の如く、突出部の突出部側係合部は、低突出部の上面に形成された係合孔であり、ストッパの第2の係合部は、外辺より内辺側に突出する係合辺であって、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、ストッパの係合辺が突出部の係合孔内に進入して係合するので、外管から内管が抜けてしまうのを確実に防止することができる。これにより、従来のロック部材のようにストッパが変形して配管の抜け止め装置の役割を果たさない場合に、外管から溶接したカバーを外し、再度ロック部材をスライドガイドと外管との隙間に挿入した後、カバーを外管に溶接固定するなどといった煩雑な手間が掛かることがない。従って、ストッパが変形した場合、傾斜部を手で持ち上げて係合辺を係合孔から離脱させ、外管の一端方向に移動させるだけでストッパを取り外して交換することができ、配管の抜け止め装置の利便性を大幅に向上させることができるようになるものである。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、ストッパは、外辺の他端部に形成され、先端側が内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、内辺の他端部に形成され、外辺側に湾曲して先端が第1の係合部となる湾曲部とを有し、傾斜部が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、湾曲部が高突出部の外管一端側の壁の内面に当接しながら当該高突出部内側に進入し、第1の係合部が凹陥部より離脱すると共に、高突出部の外管一端側の壁とストッパの傾斜部は、当該傾斜部の先端に向かう程、相互に離間するので、外辺と内辺とを近接させようとするストッパの弾性力により、ストッパは傾斜部が乗り上げ部から降下し、且つ、湾曲部が高突出部内側から外管一端側に離脱する方向に自動的に移動させることができる。これにより、ストッパを外管に取り付けた状態で、当該ストッパの内辺先端の係合部を内管の凹陥部に確実に係合させることができるので、外管内に内管を差し込むだけで、ストッパは確実に抜け止め機能を奏するようになる。
【0018】
特に、ストッパの傾斜部は、当該傾斜部の先端に向かう程、相互に離間するようにしているので、ストッパの湾曲部が外管の他端方向で止まってしまうのを防止し、外管の一端方向に位置させておくことができると共に、第1の係合部を常時凹陥部に係合させておくことが可能となる。これにより、第1の係合部が内管の凹陥部に係合しない、或いは、第1の係合部が内管の凹陥部から離脱してしまうのを未然に防止することが可能となる。従って、外管内に挿入した内管が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、突出部の突出部側係合部は、低突出部に凹陥形成された係合凹部であり、ストッパの第2の係合部は、内辺に形成された透孔であって、外管より内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、突出部の係合凹部がストッパの透孔内に進入して係合するので、係合凹部と透孔間のストッパ寸法を極めて短寸法にすることができる。これにより、外管より内管を引き抜く方向のストッパの強度を大幅に向上させることができる。従って、ストッパが変形して、外管内に挿入した内管が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0020】
また、請求項5の発明によれば、ストッパは、外辺の他端部に形成され、先端側が内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、該傾斜部の屈曲部側の外辺に形成され、内辺側に突出する突部とを有するので、突部が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、ストッパの内辺と外辺との離間距離を大きくすることが可能となる。これにより、離間した内辺と外辺とが狭まる付勢力を更に大きくすることができる。従って、ストッパの湾曲部が外管の他端方向で停止してしまうのを未然に阻止して、外管の一端方向に確実に位置させておくことができるので、第1の係合部が内管の凹陥部に係合しない、或いは、第1の係合部が内管の凹陥部から離脱してしまうのを未然に防止し、外管内に挿入した内管が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0021】
また、請求項6の発明によれば、ストッパは、内辺の他端部に形成され、外辺側に湾曲して先端が第1の係合部となる湾曲部を有し、ストッパの透孔は湾曲部の屈曲部側の面まで延在しており、該透孔両側に位置する湾曲部の外辺とは反対側の面には、補強リブが形成されているので、湾曲部の変形応力を大幅に向上させることができる。これにより、内管と外管とに引き抜き方向の力が加わった場合に、ストッパの湾曲部が変形してしまうなどと言った不都合を防止することが可能となる。従って、ストッパにて外管内に挿入した内管が抜けてしまうのを確実に防止することができる。
【0022】
また、請求項7の発明によれば、ストッパの屈曲部は湾曲していると共に、外管の挿入孔下縁には、当該外管の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部が形成され、外辺の他端が突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向にストッパが移動された場合、当該ストッパの屈曲部が案内部の外管一端側とは反対側の湾曲面に対応するので、この湾曲面と屈曲部の湾曲形状を利用して、ストッパの外辺の他端を突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向に移動させれば、そのままストッパの屈曲部を内管側に円滑に押し込むことができる。これにより、内辺の他端に構成された第1の係合部は、より内管から離間する方向に移動することになるので、より確実且つ容易に第1の係合部を凹陥部から高突出部内に離脱させることができる。
【0023】
また、請求項8の発明によれば、突出部は、外管と一体に突出形成されていると共に、凹陥部は内管の全周に渡って連続して形成されているので、ストッパが内管周囲のどの位置でも内管と外管との抜け止め機能を奏することが可能となる。従って、配管の抜け止め装置の利便性を極めて向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、ストッパが変形して、抜け止め装置の役割を果たさない場合に、溶接固定をしなくても簡単にストッパの着脱を行えることを最も主要な特徴とする。溶接固定をしなくても簡単にストッパの着脱を行えるという目的を、外辺の他端部に形成され、先端側が内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、内辺の他端部に形成され、外辺側に湾曲して先端が係合部となる湾曲部とを備えたストッパにより実現した。
【実施例1】
【0025】
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施例を示す配管の抜け止め装置10を備えた配管(外管12内に内管30が挿入される状態を示す)の斜視図、図2は外管12に形成した突出部14へストッパ40を挿入する状態を示す外管12の斜視図、図3は本発明の配管の抜け止め装置10を構成するストッパ40の正面図をそれぞれ示している。
【0026】
本実施形態における配管の抜け止め装置10は、暖房用及び給湯用機器としてガスや化石燃料を用いた機器に接続される配管(内管30と外管12)が接続部で抜け落ちてしまうのを防止するためのもので、図1に示すように、突出部14を備えた外管12内に、凹陥部32を備えた内管30が挿入され、突出部14と凹陥部32とがストッパ40で係合されて抜け落ちないように構成している。
【0027】
該配管の抜け止め装置10は、外管12と一体に突出形成されている突出部14と、内管30と一体に凹陥形成された凹陥部32と、外管12内に挿入された内管30が抜けないように、外管12に形成した突出部14と内管30に形成した凹陥部32とに係合されるストッパ40とから構成されている。該外管12は、図2に示すように一端近傍に突出部14を備えており、この突出部14は外管12の半径方向外側に突出形成され、凹陥部32は内管30の半径方向内側に凹陥形成されている。この外管12及び内管30は、板厚約0.3mmのステンレス製の金属板にて円筒形に形成されている。尚、ストッパ40については後に詳しく説明する。
【0028】
該突出部14は、低突出部16と高突出部24とか構成されており、低突出部16は幅約10.2mm(外管12の円周方向寸法)、高さ約1.0mm(突出寸法)、長さ約10.2mm(外管12の長手方向寸法)に形成されており、この低突出部16の一端側(外管12の内管30が挿入される側)の側面が開口して挿入孔18が形成されている。高突出部24は低突出部16に連続して突出形成されると共に、この高突出部24は、外管12の一端側とは反対側に形成され、低突出部16より約2倍の高さに突出形成されている。尚、挿入孔18は、低突出部16同様の幅約10.2mm、高さは低突出部16と同様の約1.0mmに形成されている。
【0029】
低突出部16の上面には、当該低突出部16の内外を貫通する係合孔20(本発明の突出部側係合部に相当)が形成されており、この係合孔20の高突出部24側に位置して低突出部16より高く突出する乗り上げ部22が形成されている。係合孔20は、低突出部16の一端側と他端側(外管12の一端側方向と他端側方向)との略中心から乗り上げ部22まで形成されると共に、乗り上げ部22は、高突出部24と同等高さに形成されている。また、係合孔20と乗り上げ部22は、幅約3mmに形成され、低突出部16の幅方向(外管12の円周方向)略中心に位置して形成されている。
【0030】
また、高突出部24の低突出部16側には、傾斜壁26(図6に図示)が形成されており、この傾斜壁26は、乗り上げ部22の両側に形成されると共に、高突出部24の長手方向略中心から外管12の一端方向に行くに従って外管12の径中心方向に傾斜している。即ち、傾斜壁26は、高突出部24の最も突出している箇所から低突出部16間に形成されている。該高突出部24の低突出部16と反対側も、傾斜壁26同様低突出部16側から離間するに従って外管12の径中心方向に傾斜している。そして、この高突出部24は、当該高突出部24内にストッパ40の湾曲部56が位置して収まるように構成している。尚、28は、Oリング挿入突部で、このOリング挿入突部28に図示しないOリングが挿入され、このOリングによって外管12と内管30との隙間が閉塞される。
【0031】
また、内管30には、当該内管30の半径方向内側に所定寸法陥没する凹陥部32が形成されており、この内管30の凹陥部32は当該内管30が外管12内に挿入される側の端部(内管30の他端)近傍の周囲全体に形成されている。この凹陥部32には、内管30の他端側に後述するストッパ40の係合部58が当接する係合壁34を備えている。詳しくは、凹陥部32の係合壁34は、内管30の他端近傍側に位置して当該内管30の長手方向に直交して形成されると共に、内管30の径中心方向に向かって形成されている。これにより、係合壁34に当接したストッパ40の係合部58が凹陥部32より離脱しないように構成されている。
【0032】
また、外管12内に内管30が挿入されて、当該外管12の突出部14(高突出部24)と内管30の凹陥部32とが対応した状態で、内管30の所定位置には、外管12の一端部が当接する位置決め突部36が半径方向外側に突出形成されている。即ち、外管12内に内管30が挿入されるとき、外管12の一端を内管30の位置決め突部36に当接させるだけで、外管12の高突出部24と内管30の凹陥部32とを対応させられるように構成している。これにより、外管12の高突出部24と内管30の凹陥部32との位置合わせが容易に行えるように構成している。
【0033】
一方、前記外管12の突出部14に対応してストッパ40(湾曲部56)が位置するように設けられており、このストッパ40は弾性を有し、熱に強く、錆び難い部材(例えば、板厚約0.4mmのステンレス、或いは、リン青銅などのバネ材)にて構成されている。即ち、ストッパ40が変形しないように内管30及び外管12よりも強度が強い金属板にて構成されている。該ストッパ40は、図3に示すように幅約10mmに形成されると共に、長さ約13.5mmの外辺42と、この外辺42の一端より連続して折り返された長さ約16.6mmの内辺52とから構成されている。該外辺42と内辺52は、ストッパ40の一端側に位置し、湾曲した屈曲部62の両側に連続して一体に形成されると共に、屈曲部62によって側面ヘアピン形状に形成されている。この場合、屈曲部62から延在し、前記突出部14の挿入孔18内に挿入される一方の辺を内辺52、他方の辺を外辺42と称す。
【0034】
外辺42は、図4に示すように外辺本体44と、この外辺本体44の他端部に形成された傾斜部46と係合辺48(本発明の第2の係合部に相当)とを備えている。傾斜部46は、外辺本体44の先端側が内辺52から離間する方向に折れ曲がって傾斜した形状に形成されると共に、係合辺48は、傾斜部46に連続して係合孔20一端側(挿入孔18側)の低突出部16に係合可能に構成されている。尚、ストッパ40の屈曲部62側を一側、傾斜部46及び湾曲部56側を他側と称す。
【0035】
該係合辺48は、外辺本体44の幅方向略中央に位置して長さ約1.9mm、幅約2.5mmに形成されている。詳しくは、係合辺48は、外辺本体44の一部が打ち抜かれて、先端は内辺52側に延在すると共に、基部は傾斜部46と一体に接続されて前記傾斜部46と略一直線状態に形成されている。この傾斜部46と、前記高突出部24の低突出部16側に形成された傾斜壁26とは、Oリング挿入突部28方向に行くに従って拡開している(図9)。尚、Oリング挿入突部28方向に行くに従って傾斜部46と傾斜壁26とを拡開させている理由は後に詳しく説明する。
【0036】
また、内辺52は、内辺本体54と、この内辺本体54の他端部に形成された湾曲部56と、内辺本体54に形成された透孔60(図5のみ図示)とを備えている(図4、図5)。湾曲部56は、内辺本体54の他端部が外辺42の傾斜部46方向に湾曲突出し、先端は傾斜部46から離間する方向に延在することにより形成されている。この湾曲部56の先端に係合部58(本発明の第1の係合部に相当)を形成している。尚、透孔60は、係合辺48の下端(外辺42側)を逃がすためのものである。
【0037】
該係合部58は、内辺本体54よりも所定寸法下方に延在(この場合、内辺52を基準にして外辺42から離間方向に約1.8mm延在)している。内辺52と外辺42は平行、若しくは、ストッパ40の一端側(屈曲部62側)に対して他端側(傾斜部46及び傾斜部46側)が狭い形状(図4に点線で図示)に形成されている。そして、内辺52と外辺42の他端側が離間されると、当該内辺52と外辺42の他端側が近接する方向に弾性力が働くように構成されている。この係合部58は、前述した如き前記内管30に形成した凹陥部32内に係合されるものである。
【0038】
次に、本実施例における配管の抜け止め装置10を用いた配管(内管30と外管12)の接続と引き抜きを図1、図2、図6、図7を参照して説明する。先ず、ストッパ40を外管12に挿着する。この場合ストッパ40の取り付け方は、図2に矢印で示すように外管12の低突出部16一端側側面に形成した挿入孔18内に、係合部58を挿入し、つづいて湾曲部56、内辺本体54を挿入して、外管12の突出部14にストッパ40を挿着する(図1、図6)。この状態で、外辺42の係合辺48は、低突出部16を乗り越え、係合孔20内に挿入される。
【0039】
次に、図1に矢印で示すように、内管30の他端側を外管12の一端より、当該外管12内に挿入すると共に、内管30に設けた位置決め突部36に外管12の一端を当接させる。この状態で、前述した如き外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とが対応した状態となって、ストッパ40の係合部58が、内管30に形成した凹陥部32内に入り込み、外管12と内管30とが接続部(外管12の一端部と内管30の他端部)で接続される(図6)。これにより、外辺本体44の略全体が外管12に当接した状態となり、内辺52の湾曲部56が傾斜部46に接触した状態となる。即ち、ストッパ40は、外管12の板厚を挟むように弾性作用が働く(傾斜部46及び湾曲部56にて突出部14の乗り上げ部22と、傾斜壁26に弾性力が働く)ように構成されている(図7)。
【0040】
このとき、内管30には、当該内管30の周囲全体に凹陥部32を形成しており、内管30の全周囲のどの位置においても、外管12に形成した突出部14と、内管30周囲に形成した凹陥部32とを対応状態にさせることができる。これにより、内管30周囲の凹陥部32のどの位置にでも、ストッパ40の係合部58を入り込ませることができる。従って、内管30或いは外管12を回転させて、ストッパ40の係合部58を位置合わせする必要もなくなり、外管12と内管30との接続作業を極めて容易に行うことができるようになる。
【0041】
そして、外管12と内管30とが接続部で接続された状態で、図8に矢印で示すように、外管12と内管30とが離間する方向に移動(外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動)させると、ストッパ40の内辺52他端の係合部58は、内管30の凹陥部32(係合壁34)に当接する。この状態で、外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とは対応状態から左右にずれる(Oリング挿入突部28と凹陥部32とが離間する方向にずれる)。これにより、ストッパ40の内辺52他端の係合部58が、内管30の凹陥部32内に係合し、外辺42の係合辺48が係合孔20内に進入して、低突出部16の係合孔20縁に係合する。即ち、ストッパ40によって外管12と内管30との引き抜きが阻止される。
【0042】
次に、ストッパ40の係合により外管12と内管30の引き抜きが阻止された状態から、外管12から内管30の取り外し方を図9、図10を参照して説明する。先ず、図9に示すように、内管30の位置決め突部36に外管12の一端を当接させて、外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とを対応させる。この状態で、傾斜部46と湾曲部56にて突出部14の乗り上げ部22と、傾斜壁26に弾性力が働いているストッパ40をOリング挿入突部28方向に押して移動させる。尚、内管30に位置決め突部36を設けていない場合には、目視にて外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とを対応させれば良い。
【0043】
具体的には、ストッパ40をOリング挿入突部28方向に押して移動させて行くと、傾斜部46は乗り上げ部22に当接し、更にストッパ40をOリング挿入突部28方向に移動させて行くと、外管12(板厚)を挟むように弾性力が働いているストッパ40の傾斜部46は、乗り上げ部22に当接しながら、当該乗り上げ部22に乗り上げて行く。このとき、湾曲部56は、傾斜壁26の内面に当接(本発明の外管12一端側の壁の内面に当接に相当)しながらOリング挿入突部28方向(詳しくは、高突出部24の最も突出している方向)に移動して行く。
【0044】
そして、ストッパ40の屈曲部62を外管12の一端に押し付けた状態では、図10に示すように、ストッパ40の傾斜部46は乗り上げ部22に乗り上げ、湾曲部56は、ストッパ40の弾性力で傾斜壁26の最も突出している部分(高突出部24)、若しくは、高突出部24近傍に位置する。これにより、傾斜部46は、凹陥部32から外管12側に離脱して、突出部14の高突出部24内に位置して収まる。
【0045】
この状態で、外管12から内管30を離間させれば、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32(係合壁34)に引っ掛かることなく、引き抜くことができる。即ち、外管12内から内管30を引き抜く場合は、ストッパ40をOリング挿入突部28方向に移動して、当該ストッパ40の屈曲部62を外管12の一端に押し付けることにより、湾曲部56が高突出部24内に収納されるので、内管30の凹陥部32内からストッパ40の係合部58を容易に離脱させることができる。そして、この状態で、外管12内から内管30を離間させれば、係合部58が凹陥部32(係合壁34)に引っ掛かることなく、当該外管12内から内管30を容易に引き抜くことができる。
【0046】
次に、ストッパ40の係合により外管12と内管30の引き抜きが阻止された状態では、外管12から内管30の取り外し操作を行わない限り、外管12内から内管30を引き抜くことができないという説明を図11、図12を参照して説明する。先ず、外管12内から内管30が抜けてしまう例を説明しておく。それは、傾斜部46と、高突出部24の低突出部16側に形成された傾斜壁26が、Oリング挿入突部28方向に行くに従って拡開せずに平行の場合である。
【0047】
即ち、内辺本体54と外辺本体44が平行な状態(図7矢印A間とB間)で、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32内に入り込んでいる場合、ストッパ40の係合部58が外管12の突出部14内(高突出部24内)に位置した状態においては、ストッパ40全体は、湾曲部56側が高突出部24内に入り外管12の半径方向外側に傾く(図11)ものの、内辺52と外辺42は平行状態である。また、湾曲部56が傾斜壁26に当接している状態で、ストッパ40がOリング挿入突部28方向に移動した場合でも、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32より離脱しても内辺52と外辺42は平行状態のままとなる。この場合、ストッパ40の他側(Oリング挿入突部28方向)は拡開していないので、当該ストッパ40には低突出部16方向へ復帰させる弾性力が働かず、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32内から離脱したままとなって、外管12内から内管30が抜けてしまう。
【0048】
このように、傾斜壁26と傾斜部46とが平行な場合、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32内から離脱している状態で、ストッパ40が外管12(突出部14)に挿着されてしまった場合、ストッパ40には低突出部16方向へ復帰させる弾性力が働かずに、外管12から内管30が抜けてしまう不都合が発生してしまう。また、何らかの外力が加わり、ストッパ40が動いて、当該ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32内から離脱した状態になった場合でも、ストッパ40には低突出部16方向へ復帰させる弾性力が働かず、係合部58は内管30の凹陥部32内に戻らないので、同様に外管12から内管30が抜けてしまう不都合が発生してしまう。
【0049】
そこで、本発明では、前述した如き傾斜部46と傾斜壁26は、リング挿入突部28側に行くに従って拡開するように構成している(図9)。この場合、図12に示すようにストッパ40がOリング挿入突部28方向に移動し、湾曲部56が高突出部24内に位置して、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32より離脱した場合は、ストッパ40の他側(傾斜部46と凹陥部32)は、乗り上げ部22と傾斜壁26とによって拡開し、湾曲部56を低突出部16方向へ復帰させる弾性力が働く。これにより、拡開しているストッパ40の湾曲部56は、傾斜壁26によって高突出部24側から低突出部16方向に移動する弾性力が働く。従って、ストッパ40の係合部58を、内管30の凹陥部32から離脱した状態より、内管30の凹陥部32内に復帰させる、若しくは、復帰し易くさせることができる。
【0050】
即ち、ストッパ40がOリング挿入突部28方向に移動して、傾斜部46が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げた場合、ストッパ40は他側が拡開される(傾斜部46と湾曲部56とが離間する)ので、拡開したストッパ40は狭まる方向の弾性力が増大して、Oリング挿入突部28方向に移動する負荷が大きくなる。また、突出部14の乗り上げ部22に乗り上げたストッパ40の傾斜部46を、乗り上げ部22から降りる方向(外管12の一端側)にストッパ40を移動させた場合、当該ストッパ40の傾斜部46と湾曲部56は狭まるので、ストッパ40をOリング挿入突部28から離間させる方向へ負荷は小さくなる。
【0051】
これにより、湾曲部56を常時低突出部16側に位置させておくことができるようになるので、ストッパ40の内辺52他端の係合部58が、内管30の凹陥部32から離脱してしまうといった不都合を未然に防止することができる。従って、ストッパ40の弾性力により、係合部58を常時内管30の凹陥部32内に位置させておくことができるので、外管12内に挿入した内管30が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0052】
他方、ストッパ40が変形して抜け止め装置の役割を果たさない場合、外管12から内管30を引き抜いた状態で、傾斜部46を手で持ち上げ、低突出部16に形成した係合孔20から係合辺48を離脱させ、そのままストッパ40を外管12の一端方向に移動させる。これにより、突出部14からストッパ40を外すことができる。後は、前述した如き外管12の低突出部16に形成した挿入孔18内に、変形せずに配管の抜け止めに不具合のない新たなストッパ40の係合部58から挿入し、つづいて湾曲部56も挿入して、外管12の突出部14に位置させれば、ストッパ40を突出部14に取り付けることができる。これにより、従来のように、溶接によりカバーを外す手間を省くことができ、極めて容易にストッパ40の着脱を行うことができる。
【0053】
このように、外管12と、該外管12の一端より当該外管12内に挿入される内管30と、外管12の一端近傍に構成され、当該外管12の半径方向外側に突出する突出部14と、内管30の外管12内に挿入される側の端部に形成され、該内管30の半径方向内側に陥没する凹陥部32と、突出部14に対応して外管12に取り付けられる弾性を有したストッパ40とを備え、突出部14は、低突出部16と、該低突出部16の外管12一端側の側面に形成された挿入孔18と、低突出部16の外管12一端側とは反対側に連続する高突出部24と、低突出部16に形成された係合孔20と、該係合孔20の高突出部24側に位置して低突出部16より高く突出する乗り上げ部22とを有し、ストッパ40は、外辺42と、該外辺42一端の屈曲部62にて連続して折り返された内辺52と、該内辺52の他端に構成された係合部58と、該係合部58よりも屈曲部62側に位置して形成された係合辺48とを有し、内辺52が突出部14の挿入孔18から当該突出部14内に進入し、外辺42と内辺52により突出部14を挟んだ状態で外管12に取り付けられ、外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動した場合、ストッパ40の内辺52他端の係合部58が内管30の凹陥部32に係合し、且つ、係合辺48が突出部14の係合孔20に係合することで引き抜きが阻止されると共に、突出部14の高突出部24に内管30の凹陥部32が対応した状態で、外辺42の他端が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40が移動された場合、該ストッパ40の内辺52他端の係合部58は内管30の凹陥部32より離脱するので、外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動した場合、ストッパ40の係合辺48が突出部14の係合孔20内に進入して係合するので、外管12から内管30が抜けてしまうのを確実に防止することができる。
【0054】
これにより、従来のロック部材のようにストッパ40が変形して配管の抜け止め装置10の役割を果たさない場合に、外管12から溶接したカバーを外し、再度ロック部材をスライドガイドと外管12との隙間に挿入した後、カバーを外管12に溶接固定するなどといった煩雑な手間も掛からない。従って、ストッパ40が変形した場合、傾斜部46を手で持ち上げて係合辺48を係合孔20から離脱させ、外管12の一端方向に移動させるだけでストッパ40を取り外して交換することができ、配管の抜け止め装置10の利便性を大幅に向上させることができる。
【0055】
また、ストッパ40は、外辺42の他端部に形成され、先端側が内辺52から離間する方向に傾斜した傾斜部46と、内辺52の他端部に形成され、外辺42側に湾曲して先端が係合部58となる湾曲部56とを有し、傾斜部46が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40が移動された場合、湾曲部56が高突出部24の外管12一端側の壁の内面に当接しながら当該高突出部24内側に進入し、係合部58が凹陥部32より離脱すると共に、高突出部24の外管12一端側の壁とストッパ40の傾斜部46は、当該傾斜部46の先端に向かう程、相互に離間するので、外辺42と内辺52とを近接させようとするストッパ40の弾性力により、ストッパ40は傾斜部46が乗り上げ部22から降下し、且つ、湾曲部56が高突出部24内側から外管12一端側に離脱する方向に自動的に移動することになる。これにより、ストッパ40を外管12に取り付けた状態で、当該ストッパ40の内辺52先端の係合部は確実に内管30の凹陥部32に係合可能となるので、外管12内に内管30を差し込むことで、ストッパ40は確実に抜け止め機能を奏するようになる。
【0056】
特に、ストッパ40の傾斜部46は、当該傾斜部46の先端に向かう程、相互に離間するので、ストッパ40の湾曲部56が外管12の他端方向で止まってしまうのを防止し、外管12の一端方向に位置させておくことができると共に、係合部58を常時凹陥部32に係合させておくことが可能となる。従って、係合部58が内管30の凹陥部32に係合しない、或いは、係合部58が内管30の凹陥部32から離脱してしまうのを未然に防止することができるので、外管12内に挿入した内管30が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0057】
また、ストッパ40の屈曲部62は湾曲していると共に、外管12の挿入孔18下縁には、当該外管12の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部が形成され、外辺42の他端が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40が移動された場合、当該ストッパ40の屈曲部62が案内部の外管12一端側とは反対側の湾曲面に対応するので、この湾曲面と屈曲部62の湾曲形状を利用して、ストッパ40の外辺42の他端を突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向に移動させれば、そのままストッパ40の屈曲部62を内管30側に円滑に押し込むことができる。これにより、内辺52の他端に構成された係合部58は、より内管30から離間する方向に移動することになるので、より確実且つ容易に係合部58を凹陥部32から高突出部24内に離脱させることができる。
【0058】
また、突出部14は、外管12と一体に突出形成されていると共に、凹陥部32は内管30の全周に渡って連続して形成されているので、ストッパ40が内管30周囲のどの位置においても内管30と外管12との抜け止め機能を奏することが可能となる。従って、配管の抜け止め装置10の利便性を極めて向上させることができる。
【実施例2】
【0059】
次に、図13、図14には本発明の他の実施例の配管の抜け止め装置10を示している。該配管の抜け止め装置10は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。ここで、前記実施例1の構造では、ストッパ40の屈曲部62を外管12の一端に押し付けることにより、当該ストッパ40の湾曲部56を高突出部24内に収めて係合部58を内管30の凹陥部32より脱出させていたが、外管12は金属板にて円筒形に形成されているため、外管12の外側からはストッパ40の係合部58を視認できない。
【0060】
そのため、屈曲部62を外管12の一端に押し付けただけでは、湾曲部56が高突出部24内に収まり、内管30の凹陥部32内より内辺52の係合部58が離脱しているか否か分かり難かった。そこで、実施例2の配管の抜け止め装置10は、図13、図14に示すように、外管12の挿入孔18下縁側に、当該外管12の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部27を形成している。この案内部27は、半径約0.8R、高さ約0.5mm、幅約5.0mmに形成されると共に、挿入孔18の幅方向略中心に位置して形成されている。
【0061】
また、図15、図16に示すように、案内部27の挿入孔18側には、ストッパ40の屈曲部62と対応して接触させるための湾曲面27Aを備えている。該ストッパ40の屈曲部62は、案内部27の外管12一端側とは反対側の湾曲面27Aに対応させている。係るストッパ40の屈曲部62を、案内部27の湾曲面27Aに対応させているので、外辺42の他端(傾斜壁26)を突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40を移動させれば、湾曲面27Aと屈曲部62の湾曲形状により、そのままストッパ40の屈曲部62を円滑に内管30側に押し込むことができる。
【0062】
即ち、ストッパ40の湾曲部56を高突出部24内に納めるには、外辺42の傾斜壁26を突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40を移動させれば、図17の矢印で示すように、湾曲面27Aにストッパ40の屈曲部62を滑らせれば、ストッパ40の屈曲部62を図18点線で示す位置から実線で示すように内管30側に押し込むことができる。
【0063】
そして、ストッパ40による外管12と内管30との引き抜きの阻止は、外管12と内管30とが接続部で接続された状態(図17の湾曲面27Aにストッパ40の屈曲部62を滑らせ以前の状態)から、図19に矢印で示すように、外管12と内管30とが離間する方向に移動(外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動)させると、ストッパ40の内辺52他端の係合部58は、内管30の凹陥部32(係合壁34)に当接する。この状態で、外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とは対応状態から左右にずれる(Oリング挿入突部28と凹陥部32とが離間する方向にずれる)。
【0064】
これにより、ストッパ40の内辺52他端の係合部58が、内管30の凹陥部32内に係合し、外辺42の係合辺48が係合孔20内に進入して、低突出部16の係合孔20縁に係合する。即ち、挿入孔18下縁に案内部27を形成した外管12であっても前述した実施例同様、ストッパ40によって外管12と内管30との引き抜きを阻止することができる。
【0065】
これにより、ストッパ40の内辺52他端に形成した係合部58を、より内管30から離間する方向に移動させることができるので、当該係合部58を凹陥部32からより確実且つ容易に高突出部24内に離脱させることができる。即ち、ストッパ40の屈曲部62を、湾曲面27Aから内管30側に押し込むだけで、湾曲部56を高突出部24内に収めることができるので、外管12の外側からストッパ40の係合部58が視認できなくても、内管30の凹陥部32内より内辺52の係合部58が離脱したのを確実に把握することができる。
【0066】
また、実施例1のような構造においても、ストッパ40の湾曲部56を容易且つ確実に高突出部14内に進入させることができるので、ストッパ40の内辺52他端に形成した係合部58を凹陥部32から確実に高突出部24内に離脱させることができる。尚、湾曲面27Aは、ストッパ40の屈曲部62を内管30側に円滑に押し込むことができれば、湾曲面27Aの一番高い箇所から挿入孔18下縁まで傾斜面としても差し支えない。
【0067】
このように、ストッパ40は、外辺42と内辺52の一端側に位置する湾曲した屈曲部62にて連続すると共に、外管12の挿入孔18下縁には、当該外管12の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部27が形成され、外辺42の他端が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40が移動した場合、当該ストッパ40の屈曲部62が案内部27の外管12一端側とは反対側の湾曲面27Aに対応するので、この湾曲面27Aと屈曲部62の湾曲形状を利用して、ストッパ40の外辺42の他端を突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向に移動させれば、ストッパ40の屈曲部62は円滑に湾曲面27Aを内管30方向に滑り落ちて、そのまま屈曲部62を内管30側に押し込むことができる。これにより、ストッパ40の内辺52他端の係合部58は、より内管30から離間する方向に移動することになるので、より確実且つ容易に係合部58を凹陥部32から高突出部24内に離脱させることができる。
【0068】
他方、前述したように低突出部16の一端側に開口した挿入孔18を設けているので、挿入孔18部分の外管12の強度が弱くなるが、本実施の形態では、外管12の挿入孔18下縁側に、当該外管12の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部27を形成しているので、外管12の挿入孔18部分の強度を向上させることができる。これにより、ストッパ40の屈曲部62を、湾曲面27Aを滑らせて内管30方向に移動させる際、外管12が凹んでしまうなどと言った不都合を防止することができる。従って、外管12の凹みによりストッパ40の角度が変わり、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32(係合壁34)から脱出して、配管の抜け止め機能を果たさなくなってしまうなどと言った不都合を未然に阻止することができる。
【実施例3】
【0069】
次に、図20、図21、図22には本発明の他の実施例の配管の抜け止め装置10を示している。該配管の抜け止め装置10は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。該配管の抜け止め装置10は、前記実施例に対して外管12に一体に突出成形されている突出部14と、ストッパ40の一部を変更して、外管12より内管30を引き抜く方向の、ストッパ40の強度を大幅に向上している。
【0070】
即ち、突出部14は、図20、図21に示すように、前実施例の係合孔20の代わりに係合凹部64(本発明の突出部側係合部に相当)を設けている。この係合凹部64は、後述するストッパ40の乗り上げ突部66を逃がすためのもので、突出部14を構成する低突出部16の一部を外管12の径中心方向に凹陥することにより形成している。該係合凹部64は、図22に示すように低突出部16の一端側に開口した挿入孔18より少許離間した位置から高突出部24の所定寸法手前まで凹陥形成され、高突出部24側を開口している。そして、この開口下縁(外管12の径中心側)に、後述するストッパ40の透孔61が係合する係合端部65を構成している。
【0071】
また、ストッパ40は図23、図24に示すように、前実施例の外辺42の係合辺48の代わりに、乗り上げ突部66(本発明の突部に相当)を設けている。該乗り上げ突部66は、内辺52側に半球形に凹陥形成されると共に、この乗り上げ突部66の周縁は略外辺42に接して設けられている。詳しくは、乗り上げ突部66は、前実施例の係合辺48と傾斜部46同様に、傾斜部46から半球形状の乗り上げ突部66の頂点まで傾斜状態が延長されるように形成されている。この場合、乗り上げ突部66を半球形状に形成することにより、前実施例の係合辺48部分の強度を大幅に向上している。
【0072】
そして、ストッパ40は通常状態では、点線状態(外辺42と内辺52とが近接した状態)にあり、外辺42と内辺52とを離間させた状態(図中実線)では、所定の付勢力で、内辺52と外辺42とが近接するように弾性力が働くように構成されている。尚、ストッパ40の通常状態で、ストッパ40の乗り上げ突部66は係合凹部64内に突出している。また、乗り上げ突部66は、前実施例の係合辺48であっても差し支えない。この場合、係合辺48に図示しない補強リブを設るなどして、係合辺48が変形しないようにする必要がある。
【0073】
また、ストッパ40の内辺52には、当該内辺52を貫通して透孔61(本発明の第2の係合部に相当)が設けられている。この透孔61は、縦長略矩形状(長さ約7.3mm、幅約4.0mm)に形成されており、一方の縁61Aを湾曲部56の略中心に位置して、そこから延在して他方の縁61Bを屈曲部62近傍に位置すると共に、ストッパ40の幅方向略中心に位置して形成されている。
【0074】
また、ストッパ40の内辺52には補強リブ68が設けられている。該補強リブ68は、図25に示すように湾曲部56の変形を防止するためのもので、湾曲部56の屈曲部62側から係合部58方向に渡って形成されている。この補強リブ68は、湾曲部56が外辺42と反対側面方向に凹陥されることにより設けられると共に、補強リブ68は透孔61両側にそれぞれ設けられている。即ち、ストッパ40の係合部58が透孔61方向に押圧された場合に湾曲部56が屈曲しないように、透孔61両側に補強リブ68が設けられている。尚、補強リブ68は、図24、図25のみ図示している。
【0075】
次に、本実施例における配管の抜け止め装置10を用いた配管(内管30と外管12)の接続を図26、図27、図28を参照して説明する。先ず、ストッパ40を外管12に挿着する。この場合ストッパ40の取り付け方は、図26に矢印で示すように外管12の低突出部16一端側側面に形成した挿入孔18内に、係合部58を挿入し、つづいて湾曲部56、内辺本体54を挿入して、外管12の突出部14にストッパ40を挿着する。この状態で、外辺42の乗り上げ突部66は、低突出部16を乗り越え、係合凹部64内に挿入される。
【0076】
次に、図27に矢印で示すように、内管30の他端側を外管12の一端より、当該外管12内に挿入すると共に、内管30に設けた位置決め突部36に外管12の一端を当接させる。この状態で、図28に示すように外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とが対応した状態となって、ストッパ40の係合部58が、内管30に形成した凹陥部32内に入り込み、外管12と内管30とが接続部(外管12の一端部と内管30の他端部)で接続される。
【0077】
係る内管30には、当該内管30の周囲全体に凹陥部32を形成しており、内管30の全周囲のどの位置においても、外管12に形成した突出部14と、内管30周囲に形成した凹陥部32とを対応状態にさせることができる。これにより、内管30周囲の凹陥部32のどの位置にでも、ストッパ40の係合部58を入り込ませることができる。従って、内管30或いは外管12を回転させて、ストッパ40の係合部58を位置合わせする必要もなくなり、外管12と内管30との接続作業を極めて容易に行うことができるようになる。
【0078】
また、外管12と内管30とが接続部で接続された状態では、内辺52に設けた透孔61内に突出部14の低突出部16に設けた係合凹部64が挿入された状態となる。この状態から、ストッパ40をOリング挿入突部28側に移動させると、乗り上げ突部66は突出部14の乗り上げ部22に乗り上げ、内辺52と外辺42とが離間する。即ち、内辺52と外辺42が離間すると、ストッパ40は付勢力で内辺52と外辺42とを近接させる。これにより、ストッパ40(乗り上げ突部66)が乗り上げ部22に乗り上げないように構成されている。
【0079】
そして、外管12と内管30とが接続部で接続された状態で、図29に矢印で示すように、外管12と内管30とが離間する方向に移動(外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動)させると、ストッパ40の内辺52他端の係合部58は、内管30の凹陥部32(係合壁34)に当接する。この状態で、外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とは対応状態から左右にずれる(Oリング挿入突部28と凹陥部32とが離間する方向にずれる)。
【0080】
この場合、ストッパ40の内辺52他端の係合部58が、内管30の凹陥部32内に係合し、外管12突出部14の係合凹部64(係合端部65)が内辺52の透孔61内に進入する。詳しくは、外管12と内管30が離間する方向に移動すると、内管30(凹陥部32の係合壁34)は、湾曲部56先端の係合部58を、ストッパ40の屈曲部62方向に押し、外管12(係合凹部64の係合端部65)は、透孔61の一方の縁61Aを係合部58方向に押す。これにより、内管30と外辺42は、ストッパ40の湾曲部56部分で突っ張り、引き抜きが阻止されることとなる。この場合、ストッパ40には、湾曲部56に補強リブ68を設けているので、湾曲部56のへたりや、屈曲を防止して、湾曲部56の変形による内管30と外辺42との引き抜きを確実に阻止することができる。
【0081】
尚、係合端部65を高突出部24側に鋭角に形成すると共に、内管30凹陥部32の係合壁34下端(内管30の径中心側)を位置決め突部36よりも離間する方向に傾斜させても差し支えない。この場合、外管12と内管30とがストッパ40により引き抜きが阻止された状態で、外管12と内管30とを引き抜く方向に移動した場合、透孔61の一方の縁61Aは、係合端部65の乗り上げ部22側に付勢され、湾曲部56先端の係合部58は、係合壁34下端(内管30の径中心側)方向に付勢されることになるので、係合端部65とストッパ40の透孔61(一方の縁61A)、内管30凹陥部32の係合壁34下端とストッパ40の係合部58を外れ難くすることができる。
【0082】
次に、ストッパ40の係合により外管12と内管30の引き抜きが阻止された状態から、外管12から内管30の取り外し方を、図30を参照して説明する。先ず、図30に示すように、内管30の位置決め突部36に外管12の一端を当接させて、外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とを対応させる。この状態で、内辺52と外辺42とが相互に近接方向に弾性力が働いているストッパ40をOリング挿入突部28方向に押して移動させる。尚、内管30に位置決め突部36を設けていない場合には、目視にて外管12に形成した突出部14と、内管30に形成した凹陥部32とを対応させれば良い。
【0083】
具体的には、ストッパ40をOリング挿入突部28方向に押して移動させて行くと、乗り上げ突部66は乗り上げ部22に当接し、更にストッパ40をOリング挿入突部28方向に移動させて行くと、外管12(板厚)を挟むように弾性力が働いているストッパ40の乗り上げ突部66は、乗り上げ部22に当接しながら、当該乗り上げ部22に乗り上げて行く。このとき、湾曲部56は、傾斜壁26の内面に当接(本発明の外管12一端側の壁の内面に当接に相当)しながらOリング挿入突部28方向(詳しくは、高突出部24の最も突出している方向)に移動して行く。
【0084】
そして、ストッパ40の屈曲部62を外管12の一端に押し付けた状態では、ストッパ40の乗り上げ突部66は乗り上げ部22に乗り上げ、湾曲部56は、ストッパ40の弾性力で傾斜壁26の最も突出している部分(高突出部24)、若しくは、高突出部24近傍に位置する。これにより、傾斜部46は、凹陥部32から外管12側に離脱して、突出部14の高突出部24内に位置して収まる。即ち、前述した如きストッパ40の屈曲部62を、湾曲面27Aから内管30側に押し込むことにより、湾曲部56を高突出部24内に収めることができるので、外管12の外側からストッパ40の係合部58が視認できなくても、内管30の凹陥部32内より内辺52の係合部58が離脱したのを確実に把握することができる。
【0085】
この状態で、外管12から内管30を離間させれば、ストッパ40の係合部58が内管30の凹陥部32(係合壁34)に引っ掛かることなく、引き抜くことができる。即ち、外管12内から内管30を引き抜く場合は、ストッパ40をOリング挿入突部28方向に移動して、当該ストッパ40の屈曲部62を外管12の一端に押し付けることにより、湾曲部56が高突出部24内に収納されるので、内管30の凹陥部32内からストッパ40の係合部58を容易に離脱させることができる。そして、この状態で、外管12内から内管30を離間させれば、係合部58が凹陥部32(係合壁34)に引っ掛かることなく、当該外管12内から内管30を容易に引き抜くことができる。
【0086】
このように、外管12より内管30を引き抜く方向に当該内管30が移動した場合、突出部14の係合凹部64をストッパ40の透孔61内に進入させて係合させることができるので、係合凹部64と透孔61間のストッパ40寸法を全実施例の外辺42の係合辺48から屈曲部62を介して内辺52端部の係合部58までの寸法に対して極めて短寸法にすることができる。これにより、外管12より内管30を引き抜く方向の、ストッパ40の強度を大幅に向上させることができる。従って、ストッパ40が変形して、外管12内に挿入した内管30が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することが可能となる。
【0087】
また、ストッパ40は、先端側が内辺52から離間する方向に傾斜した傾斜部46と、該傾斜部46の屈曲部62側の外辺42に形成されて、内辺52側に突出する乗り上げ突部66とを有するので、乗り上げ突部66が突出部14の乗り上げ部22に乗り上げる方向にストッパ40が移動された場合、ストッパ40の内辺52と外辺42との離間距離を大きくすることが可能となる。これにより、離間した内辺52と外辺42とが狭まる付勢力を更に大きくすることができる。この場合、ストッパ40の湾曲部56が外管12の他端方向で停止してしまうのを未然に阻止して、外管12の一端方向に確実に位置させておくことができるので、係合部58が内管30の凹陥部32に係合しない、或いは、係合部58が内管30の凹陥部32から離脱してしまうのを未然に防止することができる。これにより、外管12内に挿入した内管30が抜けてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0088】
また、ストッパ40は、内辺52の他端部に形成され、外辺42側に湾曲して先端が係合部58となる湾曲部56を有し、ストッパ40の透孔61は湾曲部56の屈曲部62側の面まで延在している。そして、透孔61両側に位置する湾曲部56の外辺42とは反対側の面には、補強リブ68が外辺42とは反対方向に凹陥形成されているので、湾曲部56の変形応力を大幅に向上させることができる。これにより、内管30と外管12とに引き抜き方向の力が加わった場合に、ストッパ40の湾曲部56が変形してしまうなどと言った不都合を防止することができる。従って、外管12内に挿入した内管30が抜けてしまうのを確実に防止することができる。また、これ以外に前記実施例1、実施例2同様の効果を得ることができる。
【0089】
尚、実施の形態では、配管の抜け止め装置10の形状や寸法或いは角度などを記載したが、配管の抜け止め装置10の要旨を逸脱しない範囲内で形状や寸法或いは角度などを変更しても良いのは言うまでもない。勿論本発明は、上記実施例のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の様々な変更を行っても本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施例を示す配管の抜け止め装置を備えた配管(外管内に内管が挿入される状態を示す)の斜視図である(実施例1)。
【図2】外管に形成した突出部へストッパを挿入する状態を示す外管の斜視図である。
【図3】本発明の配管の抜け止め装置を構成するストッパの正面図である。
【図4】同図3の配管の抜け止め装置を構成するストッパの側面図である。
【図5】同図3の配管の抜け止め装置を構成するストッパの背面図である。
【図6】ストッパが取り付けられて外管内に内管が挿入された状態を示す配管(内管と外辺)の縦断側面図である。
【図7】同図6のストッパが取り付けられて外管内に内管が挿入された状態の要部拡大図である。
【図8】ストッパの係合部が内辺の凹陥部に係合し、外辺の係合辺が係合孔内に進入して係合することにより外管内から内管が引き抜かれるのを阻止している状態を示す図である。
【図9】ストッパの説明図である。
【図10】外管内から内管が引き抜ける状態(ストッパの係合部が内辺の凹陥部から離脱した状態)を示す図である。
【図11】湾曲部先端の係合部が内管の凹陥部から離脱する状態まで挿入された状態で、ストッパの外辺と内辺とが平行なときの配管の抜け止めの説明図である。
【図12】湾曲部先端の係合部が内管の凹陥部から離脱する状態まで挿入された状態で、ストッパの外辺と内辺とが拡開している状態のときの配管の抜け止めの説明図である。
【図13】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する配管(外管内に内管が挿入される状態を示す)の斜視図である(実施例2)。
【図14】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の横断面図(拡大図)である。
【図15】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の平面図(拡大図)である。
【図16】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の縦断側面図(拡大図)である。
【図17】内管に設けた湾曲面にストッパの屈曲部を滑らせて、ストッパの屈曲部を内管側に押し込み、ストッパの外辺に形成した湾曲部を高突出部内に納める図である。
【図18】ストッパの屈曲部を内管側に押し込み、ストッパの外辺に形成した係合部を内管の凹陥部内から円滑に離脱させる場合の説明図である。
【図19】ストッパの係合部が内辺の凹陥部に係合し、外辺の係合辺が係合孔内に進入して係合することにより外管内から内管が引き抜かれるのを阻止している状態を示す図である。
【図20】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の平面図(拡大図)である(実施例3)。
【図21】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の横断面図(拡大図)である。
【図22】本発明の他の一実施例を示す配管の抜け止め装置を構成する外管の要部の縦断側面図(拡大図)である。
【図23】本発明の配管の抜け止め装置を構成するストッパの正面図である。
【図24】同図3の配管の抜け止め装置を構成するストッパの側面図である。
【図25】同図3の配管の抜け止め装置を構成するストッパの背面図である。
【図26】外管に形成した突出部へストッパを挿入する状態を示す外管の斜視図である。
【図27】本発明の他の実施例を示す配管の抜け止め装置を備えた配管(外管内に内管が挿入される状態を示す)の斜視図である。
【図28】ストッパが取り付けられて外管内に内管が挿入された状態を示す配管(内管と外辺)の縦断側面図である。
【図29】ストッパの係合部が内辺の凹陥部に係合し、外辺の透孔内に外管突出部の係合凹部が係合することにより外管内から内管が引き抜かれるのを阻止している状態を示す図である。
【図30】外管内から内管が引き抜ける状態(ストッパの係合部が内辺の凹陥部から離脱した状態)を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
10 配管の抜け止め装置
12 外管
14 突出部
16 低突出部
18 挿入孔
20 係合孔(突出部側係合部)
22 乗り上げ部
24 高突出部
26 傾斜壁
27 案内部
27A 湾曲面
28 Oリング挿入突部
30 内管
32 凹陥部
34 係合壁
36 位置決め突部
40 ストッパ
42 外辺
44 外辺本体
46 傾斜部
48 係合辺(第2の係合部)
52 内辺
54 内辺本体
56 湾曲部
58 係合部(第1の係合部)
60 透孔(第2の係合部)
61 透孔(第2の係合部)
61A 一方の縁
61B 他方の縁
62 屈曲部
64 係合凹部(突出部側係合部)
65 係合端部
66 乗り上げ突部
68 補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、該外管の一端より当該外管内に挿入される内管と、前記外管の一端近傍に構成され、当該外管の半径方向外側に突出する突出部と、前記内管の前記外管内に挿入される側の端部に形成され、該内管の半径方向内側に陥没する凹陥部と、前記突出部に対応して前記外管に取り付けられる弾性を有したストッパとを備え、
前記突出部は、低突出部と、該低突出部の前記外管一端側の側面に形成された挿入孔と、前記低突出部の前記外管一端側とは反対側に連続する高突出部と、前記低突出部に形成された突出部側係合部と、該突出部側係合部の前記高突出部側に位置して前記低突出部より高く突出する乗り上げ部とを有し、
前記ストッパは、外辺と、該外辺一端の屈曲部にて連続して折り返された内辺と、該内辺の他端に構成された第1の係合部と、該第1の係合部よりも前記屈曲部側に位置して形成された第2の係合部とを有し、前記内辺が前記突出部の挿入孔から当該突出部内に進入し、前記外辺と内辺により前記突出部を挟んだ状態で前記外管に取り付けられ、
前記外管より前記内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、前記ストッパの内辺他端の第1の係合部が前記内管の凹陥部に係合し、且つ、前記第2の係合部が前記突出部の突出部側係合部に係合することで引き抜きが阻止されると共に、
前記突出部の高突出部に前記内管の凹陥部が対応した状態で、前記外辺の他端が前記突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向に前記ストッパが移動された場合、該ストッパの内辺他端の第1の係合部は前記内管の凹陥部より離脱することを特徴とする配管の抜け止め装置。
【請求項2】
前記突出部の突出部側係合部は、前記低突出部の上面に形成された係合孔であり、
前記ストッパの第2の係合部は、前記外辺より内辺側に突出する係合辺であって、
前記外管より前記内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、前記ストッパの係合辺が前記突出部の係合孔内に進入して係合することを特徴とする請求項1に記載の配管の抜け止め装置。
【請求項3】
前記ストッパは、前記外辺の他端部に形成され、先端側が前記内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、前記内辺の他端部に形成され、前記外辺側に湾曲して先端が前記第1の係合部となる湾曲部とを有し、
前記傾斜部が前記突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向に前記ストッパが移動された場合、前記湾曲部が前記高突出部の前記外管一端側の壁の内面に当接しながら当該高突出部内側に進入し、前記第1の係合部が前記凹陥部より離脱すると共に、
前記高突出部の前記外管一端側の壁と前記ストッパの傾斜部は、当該傾斜部の先端に向かう程、相互に離間することを特徴とする請求項2に記載の配管の抜け止め装置。
【請求項4】
前記突出部の突出部側係合部は、前記低突出部に凹陥形成された係合凹部であり、
前記ストッパの第2の係合部は、前記内辺に形成された透孔であって、
前記外管より前記内管を引き抜く方向に当該内管が移動した場合、前記突出部の係合凹部が前記ストッパの透孔内に進入して係合することを特徴とする請求項1に記載の配管の抜け止め装置。
【請求項5】
前記ストッパは、前記外辺の他端部に形成され、先端側が前記内辺から離間する方向に傾斜した傾斜部と、該傾斜部の前記屈曲部側の外辺に形成され、前記内辺側に突出する突部とを有することを特徴とする請求項4に記載の配管の抜け止め装置。
【請求項6】
前記ストッパは、前記内辺の他端部に形成され、前記外辺側に湾曲して先端が前記第1の係合部となる湾曲部を有し、前記ストッパの透孔は前記湾曲部の前記屈曲部側の面まで延在しており、該透孔両側に位置する前記湾曲部の前記外辺とは反対側の面には、補強リブが形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の配管の抜け止め装置。
【請求項7】
前記ストッパの屈曲部は湾曲していると共に、前記外管の挿入孔下縁には、当該外管の半径方向外側に突出する断面円弧状の案内部が形成され、前記外辺の他端が前記突出部の乗り上げ部に乗り上げる方向に前記ストッパが移動された場合、当該ストッパの屈曲部が前記案内部の前記外管一端側とは反対側の湾曲面に対応することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の配管の抜け止め装置。
【請求項8】
前記突出部は、前記外管と一体に突出形成されていると共に、前記凹陥部は前記内管の全周に渡って連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の配管の抜け止め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−293732(P2009−293732A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149291(P2008−149291)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(593131666)東京フォーミング株式会社 (8)
【出願人】(593131677)綜合器材株式会社 (3)
【出願人】(390024877)トーセツ株式会社 (28)
【Fターム(参考)】