説明

配管カバー

【課題】ベース体と蓋体との嵌合状態の安定化を図った配管カバーを提供する点にある。
【解決手段】被取付け部Eに取付け可能な底板部1aの幅方向両側に側板部1cが一体形成されているベース体1と、天板部2aの幅方向両側に側板部2bが一体形成されている蓋体2とを備え、ベース体1の両側板部1cと蓋体2の両側板部2bとの相対向する部位には、ベース体1と蓋体2とを筒状に嵌合連結するために脱着可能に嵌合する嵌合受け部Aと嵌合部Bが長手方向に沿って一体形成されている配管カバーH1、H2であって、蓋体2側の嵌合部B又は嵌合受け部Aには、ベース体1側の嵌合受け部A又は嵌合部Bへの嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体1側の嵌合受け部A又は嵌合部Bを正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面B1が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用配管等の配管類を配管経路に沿って配管収容する配管カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空調用室外機から室内機に接続される空調用配管等の配管類においては、空調用配管の保護と配管類を外部から見えないように配管ダクトに収容した配管がなされ、建屋の美観性の向上が図られることが行われている。
この種の配管ダクトは、直管状の配管カバーと、直管状や屈曲状の継手等を用いて、被取り付け体(例えば、室外壁、室内壁、床、天井等)に沿うように取り付け可能な構成になっている。
具体的には、配管カバーは、ベース体と蓋体とを備え、ベース体は、被取り付け体にネジ止めによって取付け可能であるとともに、蓋体は、前記ベース体に対して嵌脱自在に構成されている。継手は、前記配管カバーのベース体の端部を内嵌状態に受止め支持可能で、且つ、被取り付け体にネジ止めによって取付け可能な継手用ベース体と、ベース体に嵌合された蓋体の端部を内嵌状態に受止め支持可能な継手用蓋体とから構成されている。
そして、配管カバーは、ベース体の両端を継手用ベース体に受止め支持させた状態で該ベース体を被取り付け体にネジ止めし、配管類をベース体内に配置した後、ベース体の両側板部に各別に設けられた嵌合受け部に、蓋体の両側板部に各別に設けられた嵌合部を嵌合させることで、ベース体と蓋体を嵌合した後、継手用ベース体に継手用蓋体を嵌合して取り付け状態となる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3018979号公報(第2頁、第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の配管カバーにおいて、配管カバーのベース体の両端が継手の継手用ベース体に受止め支持した内嵌状態では、継手用ベース体の肉厚さ(2mm〜3mm程度)だけ底板部が被取り付け体から浮き上がった架橋状態になる。
ところが、特に、配管カバーが、約500mm以下の長さで長手方向中央部の一箇所でネジ止めされる場合、ベース体の両端部を継手用ベース体に内嵌して被取付け体にネジ止めした状態では、ネジ止め部分は被取付け体に接当状態となり両端部は被取り付け体から浮き上がった状態となり、ベース体の長手方向中央部で被取り付け体側に弯曲するようなたわみを生じ、多くの場合、図13に示すように、ベース体100の長手方向中央部の両側板101,101が最も大きく内側に倒れ込むような変形を生じ、その結果、ベース体100の両端部では蓋体110との嵌合状態を維持するが、端部からベース体100の長手方向中央部に向う程、嵌合受け部100Aと嵌合部110Aとの隙間が大きくなり蓋体110との嵌合状態が不安定になることによって、ベース体100に対して蓋体110にガタツキやずれ落ち等を生じる問題がある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ベース体と蓋体との嵌合状態の品質の向上を図った配管カバーを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1番目の配管カバーの特徴構成は、被取付け部に取付け可能な底板部の幅方向両側に側板部が一体形成されているベース体と、天板部の幅方向両側に側板部が一体形成されている蓋体とを備え、前記ベース体の両側板部と蓋体の両側板部との相対向する部位には、ベース体と蓋体とを筒状に嵌合連結するために脱着可能に嵌合する嵌合受け部と嵌合部が長手方向に沿って一体形成されている配管カバーであって、前記蓋体側の嵌合部又は嵌合受け部には、前記ベース体側の嵌合受け部又は嵌合部への嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部又は嵌合部を正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面が形成されている。
【0006】
上記特徴構成によれば、蓋体側の嵌合部又は嵌合受け部と、ベース体側の嵌合受け部又は嵌合部の嵌合に連れて、蓋体側の傾斜押圧面によって嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部又は嵌合部を正規開口幅にまで外方側に押し出すことにより、ベース体と蓋体の嵌合状態では、嵌合受け部と嵌合部が互いに圧接する状態になりベース体から蓋体が外れ難い配管カバーを形成することができる。
また、使用状態においては、継手用ベース体に装着自在な継手用蓋体を備える直管状や屈曲状の継手等を用いて、被取り付け体(例えば、室外壁、室内壁、床、天井等)に沿うように取り付け可能な構成になっており、ベース体の両端を継手用ベース体に受止め支持させた状態で該ベース体を被取り付け体に取り付け、このベース体に配管類を配置し蓋体を嵌合させた後継手用ベース体に継手用蓋体を装着して、配管カバーが継手に拘束状態に取り付けられる。
この配管カバーの取り付けの際、ベース体の両端部を継手の継手用ベース体に内嵌して被取付け体に取り付けた状態では、取り付け部分は被取付け体に接当状態になるが、両端部は継手用ベース体に内嵌されているので被取り付け体から浮き上がった状態となることにより、特に、長さが500mm以下で長手方向中央部の一箇所で被取り付け体に取り付けられるような場合、配管カバーにおいて、ベース体自体に変形を生じてベース体の両側板が内側に倒れ込むような変形を生じて、ベース体の側板に変形を生じて側板部間の間隔が無負荷状態よりも小さくなり、嵌合受け部と嵌合部との嵌合が不適切な状態になっても、蓋体側の嵌合部又は嵌合受け部と、ベース体側の嵌合受け部又は嵌合部の嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部又は嵌合部を正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面が形成されているので、ベース体の側板部間の間隔を正規開口幅にまで矯正されてベース体と蓋体とを安定した嵌合状態にすることができる。
【0007】
従って、ベース体と蓋体との嵌合を良好な状態にすることができるとともに、被取り付け体への取り付け等で生じる配管カバーの変形に起因して、蓋体の嵌合が不安定となる問題を解消することができるので、この種の配管カバーの品質を向上することができる。
【0008】
本発明の第2番目の配管カバーの特徴構成は、被取付け部に取付け可能な底板部の幅方向両側に側板部が一体形成されているベース体と、天板部の幅方向両側に側板部が一体形成されている蓋体とを備え、前記ベース体の両側板部の先端部には、蓋体の両側板部の先端部に形成された嵌合部が脱着可能に嵌合する嵌合受け部が形成されている配管カバーであって、
前記蓋体側の嵌合部には、前記ベース体側の嵌合受け部への嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面が形成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、ベース体側の嵌合受け部と蓋体側の嵌合部の嵌合に連れて、蓋体側の傾斜押圧面によって、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出すことにより、ベース体と蓋体の嵌合状態では、嵌合受け部と嵌合部が互いに圧接する状態になりベース体から蓋体が外れ難い配管カバーを形成することができる。
また、配管カバー自体は、継手用ベース体に装着自在な継手用蓋体を備える直管状や屈曲状の継手等を用いて、被取り付け体に沿うように取り付け可能な構成になっており、ベース体の両端を継手用ベース体に受止め支持させた状態で該ベース体を被取り付け体に取り付け、このベース体に配管類を配置し蓋体を嵌合させた後継手用ベース体に継手用蓋体を装着して、配管カバーが継手に拘束状態に取り付けられる。
この配管カバーの取り付けの際、ベース体の両端部を継手の継手用ベース体に内嵌して被取付け体に取り付けた状態では、取り付け部分は被取付け体に接当状態になるが、両端部は継手用ベース体に内嵌されているので被取り付け体から浮き上がった状態となることにより、特に、長さが500mm以下で長手方向中央部の一箇所で被取り付け体に取り付けられるような場合、配管カバーにおいて、ベース体自体に変形を生じてベース体の両側板が内側に倒れ込むような変形を生じて、ベース体の側板に変形を生じて側板部間の間隔が無負荷状態よりも小さくなり、嵌合受け部と嵌合部との嵌合が不適切な状態になっても、ベース体側の嵌合受け部と蓋体の嵌合部の嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出して、ベース体の側板部間の間隔を正規開口幅にまで矯正されてベース体と蓋体とを安定した嵌合状態にすることができる。
【0010】
従って、ベース体と蓋体との嵌合を良好な状態にすることができるとともに、被取り付け体への取り付け等で生じる配管カバーの変形に起因して、蓋体の嵌合が不安定となる問題を解消することができるので、この種の配管カバーの品質を向上することができる。
【0011】
本発明の第3番目の配管カバーの特徴構成は、前記ベース体側の嵌合受け部には、嵌合連結時に前記蓋体側の嵌合部に形成された傾斜押圧面と面接当する受圧傾斜面が形成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、ベース体側の嵌合受け部と蓋体側の嵌合部の嵌合に連れて、ベース体側の受圧傾斜面と蓋体側の傾斜押圧面とを面接当状態にすることにより、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出して、ベース体と蓋体を正規の嵌合状態にすることができる。
【0013】
従って、嵌合品質が良好な配管カバーを形成することができる。
【0014】
本発明の第4番目の配管カバーの特徴構成は、前記嵌合受け部が、幅方向中央側ほど底板部側に位置する傾斜姿勢の受圧傾斜面を有する下側嵌合受け板部分と、これの先端から蓋体の天板部側に延びる垂直嵌合受け板部分と、これの上端から蓋体の側板部の内面側に向かって斜め上方に延びる上側嵌合受け板部分と、これらで形成される嵌合凹部内に前記嵌合部を誘導するべく幅方向中央側ほど天板部側に位置する傾斜姿勢の嵌合案内面を有する嵌合誘導板部分とから構成されているとともに、前記嵌合部には、前記受圧傾斜面と面接当する傾斜押圧面を備えた下側嵌合押圧板部分が備えられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、例えば、ベース体の一方の嵌合受け部の嵌合凹部内に、これと対向する蓋体の一方の嵌合部を嵌め入れた状態から、ベース体の他方の嵌合受け部の嵌合誘導板部の嵌合案内面に蓋体の他方の嵌合部を当て付けながら対応する嵌合凹部内に誘導して嵌め入れることによって、ベース体側の嵌合受け部と蓋体側の嵌合部を嵌合状態にすることによって、ベース体側の受圧傾斜面と蓋体側の傾斜押圧面とが面接当することにより、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出して、ベース体と蓋体とを正規の嵌合状態にすることができる。
【0016】
従って、ベース体に対して蓋体をスムーズに嵌合状態にすることができるので、配管施工を能率よく実施することができる。
【0017】
本発明の第5番目の配管カバーの特徴構成は、前記蓋体の両側板部の内面には、前記嵌合部と嵌合受け部との嵌合連結時に前記嵌合受け部の上側嵌合受け板部分を弾性復元力に抗して幅方向内方側に押圧する凸条部が形成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、ベース体の嵌合受け部に蓋体の嵌合部が嵌合した状態で、蓋体の凸条部がベース体の嵌合受け部の上側嵌合受け板部分を弾性復元力に抗して幅方向内方側に押圧することにより、嵌合受け部の受圧傾斜面に対して嵌合部の傾斜押圧面が押圧する反力となることによって、ベース体と蓋体とを正規の嵌合状態に保持することができるとともに、ベース体と蓋体との嵌合性を高めることができる。
【0019】
従って、ベース体と蓋体との嵌合品質の向上を図ることができる。
【0020】
本発明の第6番目の配管カバーの特徴構成は、前記傾斜押圧面の傾斜角が20度〜55度、好ましくは30度〜45度内の傾斜角度に構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、20度以下であれば、嵌合受け部に嵌合部を嵌合状態にするのが難しくなり、55度以上であれば、ベース体の受圧傾斜面と蓋体の押圧傾斜面とに滑りを生じて、ベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出すことが難しくなる。
30度〜45度内であれば、嵌合受け部と嵌合部の嵌合状態が良好であるとともに、ベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出す力を良好に作用させることができる。
【0022】
従って、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで最適に外方側に押し出して、ベース体と蓋体とを正規の嵌合状態にすることができる。
【0023】
本発明の第7番目の配管カバーの特徴構成は、前記ベース体の両側板部が、無負荷状態で開口側ほど幅広に構成されているとともに、前記蓋体の両側板部が、無負荷状態で開口側ほど幅狭に構成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、ベース体の嵌合受け部に蓋体の嵌合部が嵌合された状態では、ベース体の側板部が内側に弾性変形力に抗して変形し、蓋体の側板部が外側に弾性変形力に抗して変形し、嵌合受け部と嵌合部が圧接する状態となって、ベース体に対して蓋体の嵌合状態を強くすることができる。
【0025】
従って、嵌合性の良好な配管カバーを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を適用した配管カバーを図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
空調配管等の冷媒管等の配管類Cにおいては、室内側に設置された室内機Gから室外側に設置された室外機Fに至る配管類Cを、配管ダクトDに収容された状態で配設することが行われており、配管の保護や外観の美観等の向上が図られている。
【0027】
前記配管ダクトDは、直管状の短尺や長尺の配管カバーH1,H2と、直管形態や屈曲管形態の継手Jを用いて、それらを被取り付け体E(例えば、室外壁、室内壁、床、天井等)に組付けて形成されている。
【0028】
室外側では、例えば、図8に示すように、窓mの上部に室内側への貫通孔aがあるような場合、長尺の配管カバーH2と短尺の配管カバーH1を、90角度の継手JA(J)、貫通孔用の継手JB(J)、管端継手JC(J)を用いて、室外に設置されて室外機Fから窓上部の貫通孔aに至る倒立L字状の配管経路に沿って配設される配管ダクトDが形成される。
【0029】
室内側では、例えば、図9に示すように、一対の短尺の配管カバーH1,H1を、貫通孔用の継手JD(J)、90角度の継手JE(J)、室内機接続用の継手JF(J)を用いて、室内に設置されている室内機Gから貫通孔aに至る倒立L字状の配管経路に沿って配設される配管ダクトDが形成される。
【0030】
上述のように用いられる配管カバーH1,H2の両端部は、継手Jに内嵌状態に接続がなされ、配管カバーH1、H2や継手Jは、硬質塩化ビニル等の合成樹脂材から成型されている。
【0031】
配管カバーH1,H1は、図1〜図5に示すように、底板部1aの幅方向両側に側板部1c,1cが一体形成され略断面上向きコ字状をなし、且つ、底板部1aの幅方向中央に板長手方向に沿って被取り付け体Eにネジ止め可能なネジ止め部1bが形成されているベース体1と、天板部2aの幅方向両側にベース体1の側板部1c,1c間の間隔より僅かに小さな間隔に側板部2b,2bが一体形成され略断面下向きコ字状をなす蓋体2とを備え、ベース体1と蓋体2とを筒状に嵌合連結するために脱着可能に嵌合する嵌合受け部Aと嵌合部Bが長手方向に沿って一体形成されている。
【0032】
ネジ止め部1bは、ベース体1の板中央を長手方向に沿って内側に凸設し外側に蟻溝を形成する凸部に沿って形成され、図示しないが、ネジ止め部1bに対応する箇所には、ネジ受け孔が形成されている。
【0033】
この実施形態では、ベース体1の側板部1c,1cの先端には嵌合受け部Aが形成され、蓋体2の側板部1c,1cの先端には前記嵌合受け部Aに嵌合可能な嵌合部Bが形成され、ベース体1と蓋体2との嵌合状態で両部材1,2内に形成される内部経路に沿って配管類Cを収納可能になっている。前記蓋体2において、天板部2aと側板部2bとのコーナー部分は面取り状に形成されている。
【0034】
前記蓋体2側の嵌合部Bには、前記ベース体1側の嵌合受け部Aへの嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体1側の嵌合受け部Aを正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面B1が形成されている。
【0035】
前記ベース体1側の嵌合受け部Aには、嵌合連結時に前記蓋体2側の嵌合部Bに形成された傾斜押圧面B1と面接当する受圧傾斜面A1が形成されている。
【0036】
前記嵌合受け部Aは、幅方向中央側ほど底板部1a側に位置する傾斜姿勢の受圧傾斜面A1を有する下側嵌合受け板部分1Aaと、これの先端から蓋体2の天板部2a側に延びる垂直嵌合受け板部分1Abと、これの上端から蓋体2の側板部2b,2bの内面側に向かって斜め上方に延びる上側嵌合受け板部分1Acと、これらで形成される嵌合凹部1Ad内に前記嵌合部Bを誘導するべく幅方向中央側ほど天板部2a側に位置する内側に彎曲しながら反り返る傾斜姿勢の嵌合案内面1Eを有する嵌合誘導板部分1Aeとから構成されている。
【0037】
前記嵌合部Bは、前記受圧傾斜面A1と面接当する傾斜押圧面B1を備えた下側嵌合押圧板部分2Baが備えられている。
【0038】
前記蓋体2の両側板部2b,2bの内面には、側板部2bに対して略直角に突出して、前記嵌合部Bと嵌合受け部Aとの嵌合連結時に、嵌合受け部Aの嵌合凹部1Ad内に納まって前記嵌合受け部Aの抜け出しを阻止する凸条部2cが形成されている。
【0039】
前記嵌合受け部Aは、嵌合凹部1Ad内に前記嵌合部Bの全体が嵌合状態で収容状態となり、この嵌合状態でベース体1の側板部1c,1cと、これらに対向する蓋体2の側板部2b,2bとが面一状態となる。
【0040】
前記ベース体1の側板部1c,1cは、図1に示すように、底板部1aに対して基端部よりも先端部が外方に傾斜し、ベース体1の側板部1c,1c間の間隔が底板部1aから離れる程に間隔が広くなる形態に形成されているとともに、蓋体2の側板部2b,2bは、前記ベース体1の側板部1c,1c間の間隔よりも僅かに小さい間隔に構成されている。
【0041】
ベース体1の嵌合受け部Aに蓋体2の嵌合部Bを嵌合した状態では、ベース体1の側板部1c,1cが内側に弾性変形力に抗して傾動し、蓋体2の側板部2b,2bが外側に弾性変形力に抗して傾動し、相対する側板1c,2b同士が圧接する状態となって、ベース体1に対して蓋体2が外れ難い構造を形成している。
【0042】
前記継手Jは、前記配管カバーH1を構成するベース体1と蓋体2の両端部1J,1J,2J,2Jに各々対応して、被取り付け体Eにネジ止めによって取り付け可能でベース体1の端部を内嵌可能な継手用ベース体Jaと、これに係合手段J1を介して係脱可能で前記蓋体2の端部と継手用ベース体Jaを内嵌可能な継手用蓋体Jbとから構成されている。
【0043】
配管カバーH1のベース体1の両端が継手Jの継手用ベース体Jaに受止め支持した状態では、継手用ベース体Jaの肉厚さ(2mm〜3mm程度)tだけ底板部1aが被取り付け体Eから浮き上がった架橋状態になる。
【0044】
このような架橋状態でベース体1の長手方向中央部を被取り付け体Eに一本のネジ(タッピングネジ)bでネジ止めした状態では、特に、約500mm以下の長さの短尺の配管カバーH1の場合、図2〜図4に示すように、ネジ止め部分の底板1aは被取付け体Eに接当状態となり両端部は継手用ベース体Jaに支持されているので、ベース体1が長手方向中央部で被取り付け体E側に弯曲するようなたわみを生じ、多くの場合、ベース体1の長手方向中央部の両側板1c,1cが最も大きく内側に倒れ込むような変形を生じる。
【0045】
このたわみ状態のままで、配管類Cをベース体1内に配置した後、図4に示すように、ベース体1の一方の側板部1cの嵌合受け部Aに蓋体2の一方の嵌合部Bを挿入した姿勢から、ベース体1の他方の側板部1cの嵌合受け部Aに、この嵌合受け部A側の嵌合案内面1Eに蓋体2の他方の嵌合部Bを摺接案内して他方の嵌合部Bに両部材の弾性変形力に抗して挿入する嵌合姿勢にすることによって、ベース体1の嵌合受け部Aに蓋体2の嵌合部Bが嵌合状態となる。
【0046】
特に、上述のベース体1の変形に起因してベース体1の側板部1c、1cが内側に倒れ込む状態が大きいベース体1の長手方向中央部分においても、蓋体2側の嵌合部Bとベース体1側の嵌合受け部Aの嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体1側の嵌合受け部Aを正規開口幅にまで外方側に押し出すことができるので、ベース体1の側板部1c,1c間の間隔を正規開口幅にまで矯正してベース体1と蓋体2とを安定した嵌合状態にすることができる。
【0047】
また、長手方向中央部分以外の他のベース部分においても、ベース体1の側板部1c、1cを外方に押し付けて該嵌合受け部Aに嵌合部Bが適正に対応する嵌合状態に矯正することができるので、ベース体1の長手方向の何れの位置においても蓋体2との嵌合連結が良好な状態となる。
【0048】
そして、図7に示すように、継手用ベース体Jaに対して嵌脱自在で蓋体2の端部を内嵌可能な継手用蓋体Jbを継手用ベース体Jaに嵌合することによって、嵌合状態のベース体1と蓋体2とで形成されるカバー内経路に沿って配管類Cが収納される。
【0049】
前記嵌合部Bの傾斜押圧面B1は、図1に示すように、側板部2bと直交する仮想線X1に対しての傾斜角度βが、20度〜55度、好ましくは30度〜45度内の傾斜角度に構成されている。
【0050】
同様に前記嵌合受け部Aの受圧傾斜面A1は、側板部1cと直交する仮想線X2に対しての傾斜角度βが、20度〜55度、好ましくは30度〜45度内の傾斜角度に構成されている。
【0051】
傾斜角度βが20度以下であれば、一方の嵌合受け部Aに一方の嵌合部Bを嵌合することができても他方の嵌合受け部Aに他方の嵌合部Bを嵌合するのが難しいというように、嵌合受け部Aに嵌合部Bを嵌合するのが難しくなり、55度以上であれば、ベース体1の受圧傾斜面A1と蓋体2の傾斜押圧面B1とに滑りを生じやすく、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に安定的に押し出すのが難しくなる。
【0052】
[別実施形態]
1) 上記実施形態の配管カバーH1、H2においては、前記ベース体1の側板部の先端に嵌合受け部Aが形成され、蓋体2の先端に前記嵌合受け部Aに嵌合可能な嵌合部Bが形成されるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、前記ベース体1の側板部1c,1cの先端に嵌合部Bが形成され、蓋体2の側板部2b,2bの先端に前記嵌合部Bが嵌合可能な嵌合受け部Aが形成されるものであってもよく、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0053】
前記嵌合受け部Aは、図10に示すように、幅方向中央側ほど底板部1a側に位置する傾斜姿勢の受圧傾斜面A1を有する下側嵌合受け板部分2Baと、これの先端からベース体1の底板部1a側に延びる垂直嵌合受け板部分2Bcと、これの下端からベース体1の側板部1c,1cの内面側に向かって斜め上方に延びる上側嵌合受け板部分2Bdと、これらで形成される嵌合凹部2Be内に前記嵌合部Bを誘導するべく幅方向中央側ほど天板部2a側に位置する内側に彎曲しながら反り返る傾斜姿勢の嵌合案内面2Eを有する嵌合誘導板部分2Bfとから構成されている。
【0054】
前記嵌合部Bは、前記受圧傾斜面A1と面接当する傾斜押圧面B1を備えた下側嵌合押圧板部分1dが備えられている。
【0055】
前記蓋体1の両側板部1c,1cの内面には、側板部1cに対して略直角に突出して、前記嵌合部Bと嵌合受け部Aとの嵌合連結時に、嵌合受け部Aの嵌合凹部2Be内に納まって前記嵌合受け部Aの抜け出しを阻止する凸条部1eが形成されている。
【0056】
2) 上記実施形態の配管カバーH1、H2において、蓋体2の両側板部2b,2bの内面に、嵌合部Bと嵌合受け部Aとの嵌合連結時に、嵌合受け部Aの嵌合凹部1Ad内に納まって前記嵌合受け部Aの抜け出しを阻止する凸条部2cが形成されている例を説明したが、本発明はこれに限らず、図11に示すように、蓋体2の両側板部2b,2bの内面に、嵌合部Bと嵌合受け部Aとの嵌合連結時に前記嵌合受け部Aの上側嵌合受け板部分1Acを弾性復元力に抗して幅方向内方側に押圧する凸条部2caが形成されているものであってもよい。
この別実施形態の凸条部2caは、嵌合受け部Aと嵌合部Bとが嵌合する状態で、蓋体の側板部と嵌合受け部Aの垂直嵌合受け板部分1Abとの対向間隔よりも若干長い突出長さに形成されており、垂直嵌合受け板部分1Abとの対向間隔よりも長い部分の存在によって、嵌合受け部Aと嵌合部Bとの嵌合状態で、嵌合受け部Aを幅方向内方側に押圧することが可能になっている。
この場合、上記実施形態と同様に嵌合受け部Aから嵌合部Bが抜け出すのを阻止する機能を備えながら、ベース体1の側板部1cから嵌合受け部Aが内側に弾性変形力を受けることによって、その反力が傾斜押圧面B1から受圧傾斜面A1への弾性付勢力として作用することで、嵌合受け部Aに対する嵌合部Bの嵌合力を強くすることができるので、傾斜押圧面B1と受圧傾斜面A1の面接当性を高めて、ベース体1と蓋体2を正規の嵌合状態に維持する機能の向上を図ることができる。
【0057】
3) 上記実施形態では、蓋体2の嵌合部Bに、前記受圧傾斜面A1と面接当する傾斜押圧面B1を備えた下側嵌合押圧板部分2Baが備えられている例について説明したが、本発明はこれに限らず、図12に示すように、前記嵌合部Bが、前記受圧傾斜面A1と面接当する傾斜押圧面B1を備えた下側嵌合押圧板部分2Baと、これの先端から前記垂直嵌合受け板部分1Abに接触状態で天板部2a側に延びる垂直嵌合板部分2Bfを備える構成であってもよい。
【0058】
4) 上記実施形態では、空調配管の冷媒管などの配管類Cを配管ダクトDに収容するものに本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、給湯配管等の被覆管等の配管類を配管ダクトDに収容するものに本発明を適用してもよい。
【0059】
尚、図面記載された上記別実施形態において上記実施形態と同様構成箇所には同符号を附してその詳細は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】配管カバーを示す分断断面図
【図2】短尺の配管カバーのベース体を被取り付け体に取り付けた状態を示す説明図
【図3】短尺の配管カバーのベース体を被取り付け体にネジ止めした状態を示す説明図
【図4】ベース体に対して蓋体の嵌合の手順を示す断面図
【図5】ベース体に蓋体を嵌合した状態を示す断面図
【図6】ベース体側の嵌合受け部と蓋体側の嵌合部との嵌合状態を示す要部拡大断面図
【図7】継手に配管カバーを内嵌した状態を示す断面図
【図8】室外側の配管ダクトの一例を示す説明図
【図9】室内側の配管ダクトの一例を示す説明図
【図10】別実施形態の嵌合受け部と嵌合部の嵌合状態を示す要部断面図
【図11】別実施形態の配管カバーを示す断面図
【図12】別実施形態の嵌合受け部と嵌合部の嵌合状態を示す要部断面図
【図13】従来の配管カバーのベース体と蓋体との嵌合状態を示す断面図
【符号の説明】
【0061】
A 嵌合受け部
A1 受圧案内面
B 傾斜受け部
B1 傾斜押圧面
E 被取り付け体
H1 配管カバー
H2 配管カバー
1 ベース体
1a 底板部
1c 側板部
1e 凸条部
1Aa 下側嵌合受け板部分
1Ab 垂直嵌合受け板部分
1Ac 上側嵌合受け板部分
1Ad 嵌合凹部
1Ae 嵌合誘導板部分
1E 嵌合案内面
2 蓋体
2a 天板部
2b 側板部
2c 凸条部
2ca 凸条部
2Ba 下側嵌合受け板部分
2Bc 垂直嵌合受け板部分
2Bd 上側嵌合受け板部分
2Be 嵌合凹部
2Bf 嵌合誘導板部分
2E 嵌合案内面
β 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付け部に取付け可能な底板部の幅方向両側に側板部が一体形成されているベース体と、天板部の幅方向両側に側板部が一体形成されている蓋体とを備え、前記ベース体の両側板部と蓋体の両側板部との相対向する部位には、ベース体と蓋体とを筒状に嵌合連結するために脱着可能に嵌合する嵌合受け部と嵌合部が長手方向に沿って一体形成されている配管カバーであって、
前記蓋体側の嵌合部又は嵌合受け部には、前記ベース体側の嵌合受け部又は嵌合部への嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部又は嵌合部を正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面が形成されている配管カバー。
【請求項2】
被取付け部に取付け可能な底板部の幅方向両側に側板部が一体形成されているベース体と、天板部の幅方向両側に側板部が一体形成されている蓋体とを備え、前記ベース体の両側板部の先端部には、蓋体の両側板部の先端部に形成された嵌合部が脱着可能に嵌合する嵌合受け部が形成されている配管カバーであって、
前記蓋体側の嵌合部には、前記ベース体側の嵌合受け部への嵌合に連れて、嵌合連結時の正規開口幅よりも小なる開口幅にあるベース体側の嵌合受け部を正規開口幅にまで外方側に押し出す傾斜押圧面が形成されている配管カバー。
【請求項3】
前記ベース体側の嵌合受け部には、嵌合連結時に前記蓋体側の嵌合部に形成された傾斜押圧面と面接当する受圧傾斜面が形成されている請求項2記載の配管カバー。
【請求項4】
前記嵌合受け部が、幅方向中央側ほど底板部側に位置する傾斜姿勢の受圧傾斜面を有する下側嵌合受け板部分と、これの先端から蓋体の天板部側に延びる垂直嵌合受け板部分と、これの上端から蓋体の側板部の内面側に向かって斜め上方に延びる上側嵌合受け板部分と、これらで形成される嵌合凹部内に前記嵌合部を誘導するべく幅方向中央側ほど天板部側に位置する傾斜姿勢の嵌合案内面を有する嵌合誘導板部分とから構成されているとともに、前記嵌合部には、前記受圧傾斜面と面接当する傾斜押圧面を備えた下側嵌合押圧板部分が備えられている請求項2又は3記載の配管カバー。
【請求項5】
前記蓋体の両側板部の内面には、前記嵌合部と嵌合受け部との嵌合連結時に前記嵌合受け部の上側嵌合受け板部分を弾性復元力に抗して幅方向内方側に押圧する凸条部が形成されている請求項4記載の配管カバー。
【請求項6】
前記傾斜押圧面の傾斜角が20度〜55度、好ましくは30度〜45度内の傾斜角度に構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の配管カバー。
【請求項7】
前記ベース体の両側板部が、無負荷状態で開口側ほど幅広に構成されているとともに、前記蓋体の両側板部が、無負荷状態で開口側ほど幅狭に構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の配管カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−185180(P2008−185180A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20774(P2007−20774)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】