説明

配管ライニング装置

【課題】ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことなく、ライナー層を補強することにより配管の耐震性の強化に寄与する配管ライニング装置を提供する。
【解決手段】施工作業時、補強用の樹脂製チューブ13がライニングクロス管10の内周部に一体的に密着してライナー層7の内表層を成すので、ライナー層7を補強することができ、配管6の耐震性の向上に寄与する。しかも、補強用の樹脂製チューブ13は、ライニングクロス管10の施工と同時に設けられるので、ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の給排水管などの配管をライナー層により補修更生する配管ライニング装置に係り、とりわけライナー層を補強して配管に耐震性を付与するように改良した配管ライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションや賃貸ビルなどの建造物では、給排水管などの配管の衛生と耐久性などを回復更生させるため、ライニング装置により配管の内壁を補修すべく所定の厚みの塗料をライナー層として施工している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1のライニング装置では、膨縮自在に設けられた落下傘状の袋体を用いて、配管内の塗料を内壁に押し付けてライニング層を形成する。
特許文献2のライニング装置では、配管内に駆動圧を供給して索条体を繰出すに伴い、表裏に反転させたライニングクロス管の内周面を配管の内壁に密着させながら奥行方向に移動させてライナー層を形成している。このライニング装置においては、略均一な厚みで耐久性のある堅牢なライナー層を良好な作業効率で施工できることから、配管更生業界から注目される優れた施工技術となっている。
【0004】
一方、多くの建造物は耐震構造となって近年多発する地震に備えているので、ライナー層による補修更生後の配管にも、補強を加えて耐震性を付与することが配管更生業界の懸案となっている。
配管などのパイプを補強する技術としては、樹脂パイプの補強方法として、樹脂パイプの突き合わせ部に繊維強化樹脂層を塗布して乾燥させることで補強層を形成している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
既設配管内に常温でパイプを変形させながら牽引挿入する補修用パイプでは、多層パイプの可撓性樹脂層内に補強条材を埋設してパイプの引張り強度を高めている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4181405号公報
【特許文献2】特許第4181439号公報
【特許文献3】特開平01−234231号公報
【特許文献4】特開平09−072464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ライニング装置を用いてライナー層を形成する場合、迅速で効率的な施工が求められるため、作業性に優れた特許文献1、2は好適となっている。
しかしながら、特許文献1、2では、塗料を内壁に押し付けたり、ライニングクロス管を反転させたりするため、特許文献3の補強層や特許文献4の補強条材は、特許文献1、2のライナー層に組み込むことが難しく、新たな補強部材に対する模索が続いていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことなく、ライナー層を補強することができ、配管の耐震性の向上に寄与する配管ライニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1について)
配管ライニング装置では、液状の塗料が含浸されて表裏に反転可能なライニングクロス管を押圧して、表裏に反転させたライニングクロス管の内周面を配管の内壁に密着させながら、反転状態で配管の奥行方向に移動させてライナー層を形成する。
ライニングクロス管に応じた長さ寸法を有する補強用の樹脂製チューブが設けられ、ライニングクロス管の外周部を被覆してライニングクロス管とともに反転し、反転後のライニングクロス管の内周部に貼着により一体的に密着してライナー層の内表層を成す。
【0010】
ライニングクロス管の施工作業時、補強用の樹脂製チューブがライニングクロス管の内周部に一体的に密着してライナー層の内表層を成すので、ライナー層を補強することができ、配管の耐震性の向上に寄与する。しかも、補強用の樹脂製チューブは、ライニングクロス管の施工と同時に設けられるので、ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことがない。
【0011】
(請求項2について)
ライニングクロス管は、グラスファイバーおよびポリエチレンなどの化学繊維を含む可撓性の織布からなっている。このため、ライニングクロス管は、堅牢で耐久性に優れたタフネスクロスとなり、長期にわたる配管の保護に使用することができる。
【0012】
(請求項3について)
塗料により内周面にライナー層を形成した配管内に挿入した与圧バルーンの膨張によりライナー層の内周面に押圧密着させて内表層を成す補強用の樹脂製チューブを設けている。
【0013】
ライナー層の施工時、与圧バルーンの膨張により補強用の樹脂製チューブをライナー層の内周面に押圧密着させているので、樹脂製チューブがライナー層の形状を保持する機能を発揮するとともに、請求項1と同様にライナー層を補強することができ、配管の耐震性の向上に寄与する。
【0014】
(請求項4について)
樹脂製チューブは、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂あるいは天然ゴムから形成されている。
この場合、ライニングクロス管にエポキシ樹脂を含浸させると、樹脂製チューブはライニングクロス管とのなじみが良くなり、ライニングクロス管に対する密着性が向上して一体化し易くなる。
【0015】
(請求項5について)
樹脂製チューブの外表面は、長手方向に沿って凹凸状に起伏を成す波状部を形成している。この場合、樹脂製チューブの断面形状が長手方向に沿って変化するため、多様な方向からの外力に対応でき、配管に対する樹脂製チューブの耐震性が強化される。
【0016】
(請求項6について)
樹脂製チューブの内表面は、長手方向に沿って凹凸状に起伏を成す断面円弧形の波状部を形成している。
波状部により多様な方向からの外力に対応でき、配管に対する樹脂製チューブの耐震性が強化される。
【0017】
(請求項7について)
樹脂製チューブには、縦細線と横細線とから網状に織られた筒状網が埋め込まれている。このため、樹脂製チューブ自体が堅牢化し、配管に対する樹脂製チューブの耐震性が強化される。
【0018】
(請求項8について)
樹脂製チューブには、所定のピッチをなす螺旋状のスパイラル細線が埋め込まれている。このため、請求項7と同様に、樹脂製チューブ自体が堅牢化し、配管に対する樹脂製チューブの耐震性が強化される。
【0019】
(請求項9について)
所定のピッチは、長手方向に沿って等差、等比、あるいは一般項が前項と次項との和で表されるフィボナッチ数列に基づいた離間寸法関係になっている。
このため、樹脂製チューブの可撓性が増し、ライニングクロス管とともに用いた場合、樹脂製チューブがライニングクロス管と一緒に反転変位し易くなる利点が得られる。
【0020】
(請求項10について)
樹脂製チューブの長手方向の一側面部は、所定の幅寸法を有する伸縮自在な織布製の帯リボンにより形成されている。
このため、樹脂製チューブの可撓性が増し、ライニングクロス管とともに用いた場合、樹脂製チューブがライニングクロス管と一緒に反転変位し易くなるとともに、反転後は帯リボンがライニングクロス管と一体化して補強に寄与する。
【0021】
(請求項11について)
樹脂製チューブは、樹脂製筒部と所定の幅寸法を有する伸縮自在な織布製の筒リボンとを長手方向に交互に連結して形成されている。
このため、請求項10と同様に、樹脂製チューブの可撓性が増し、ライニングクロス管とともに用いた場合、樹脂製チューブがライニングクロス管と一緒に反転変位し易くなるとともに、反転後は筒リボンがライニングクロス管と一体化して補強に寄与する。
【0022】
(請求項12について)
ライナー層の施工後に、樹脂製チューブに直接接触させる湯水を配管内に循環流動させる給湯循環手段を設けている。
この場合、ライナー層の施工直後から湯水により塗料層を乾かせ得るので、短時間で迅速に次の作業工程に移行することができて作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は排水管のライニング施工例を示す概略図、(b)は配管と分岐管との接続を示す縦断面図である(実施例1)。
【図2】(a)は配管にライナー層を施工する態様を示す縦断面図、(b)は配管網にライナー層が形成された態様を示す縦断面図である(実施例2)。
【図3】(a)は樹脂製チューブの斜視図、(b)、(c)は与圧バルーンを用いて樹脂製チューブを形成する配管網の縦断面図である(実施例2)。
【図4】給湯循環手段を備えて湯水を樹脂製チューブに接触させる配管網の縦断面図である(実施例2の変形例)。
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)は樹脂製チューブの斜視図である(実施例3、4、5、6)。
【図6】(a)、(b)は樹脂製チューブの斜視図である(実施例7、8)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、ライニングクロス管の施工作業時、補強用の樹脂製チューブがライニングクロス管の内周部に一体的に密着してライナー層の内表層を成す。このため、ライナー層を補強することができ、配管の耐震性の向上に寄与する。しかも、補強用の樹脂製チューブは、ライニングクロス管の施工と同時に設けられるので、ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことがない。
【実施例1】
【0025】
図1ないし図3は本発明の実施例1を示す。図1(a)は建物の排水管網におけるライニング施工例であり、排水管網としての配管6は、ライニング施工に先立って、クリーニングが行われ、流れ落ちた錆瘤やスケールなどの付着物は外部枡から万能配管更生車(図示せず)により回収される。
【0026】
クリーニング後には、後述のライニングクロス管10を有する配管ライニング方法に基づいて配管6の内壁6aに塗料をライナー層7として施す。
ライニング施工用の塗料は、彩色用の顔料やエポキシ樹脂などを含有した液状のものである。ライニングクロス管10を作製するにあたっては、配管6の内径に見合った寸法で、グラスファイバーおよびポリエチレンなどの化学繊維を含む可撓性の織布からタフネスクロス(厚み1〜4mm)を構成する。タフネスクロスに塗料を含浸させることにより、堅牢で耐久性に優れて表裏に反転可能なライニングクロス管10が形成される。
【0027】
塗料を含浸したライニングクロス管10は、その外周部を補強用の樹脂製チューブ13で全長にわたって覆っている。ライニングクロス管10の先端部10aは、樹脂製チューブ13の先端部13aと一緒に索条体Gの先端部G1に対して解放可能に接続されている。索条体Gは、圧送管20内を挿通して反転機18の巻回部18aに巻き取られている。
【0028】
樹脂製チューブ13は、例えば、0.1〜0.5mm程度の厚みを有する半透明の筒状体をなし、内径寸法をライニングクロス管10の外径に略等しく設定している。樹脂製チューブ13の厚みである0.1〜0.5mm程度に限らず、使用状況や配管6の内径寸法によって所望に変更することができる。
樹脂製チューブ13は、エポキシ樹脂になじみの良いウレタン系の樹脂の他、ナイロン系樹脂あるいは天然ゴムから形成されてもよい。樹脂製チューブ13に合成ゴム(ACM、NBR、IR、EPM、EPDM、ECO、CR、SBR、BR、FKM、IIR)を用いた場合には、シリコン系統のゴムを除く。
【0029】
反転工程では、ライニングクロス管10を樹脂製チューブ13の先端部13aと一緒に巻回部18aから繰り出し、ライニングクロス管10の先端部10aを樹脂製チューブ13と一緒に配管6内に押し込み、裏返しに反転させて配管6に嵌め込む。
反転機18からライニングクロス管10にわたっては、遠隔操作カメラ(図示せず)が配置されており、索条体Gの移動量により配管6に対するライニングクロス管10の繰出し態様をモニターPにより監視できるようになっている。
【0030】
圧力付与工程では、送風機51の駆動圧によりライニングクロス管10に配管6の奥行方向への移動力を付与して、ライニングクロス管10を押圧する{図1(a)の矢印M参照}。
移動工程では、圧力付与工程で発生させた駆動圧により、裏返しに反転させたライニングクロス管10の内周面を筒状網42と一緒に配管6の内壁6aに密着させながら配管6の奥行方向に反転移動させる。これに伴い、樹脂製チューブ13も反転し、反転後のライニングクロス管10の内周面に接触した状態で進行する。
【0031】
反転移動の終了時、索条体Gを巻回部18aに巻き取ることにより、図1(a)に矢印Nで示す方向に引き出して、ライニングクロス管10の先端部10aおよび樹脂製チューブ13の先端部13aに対する索条体Gの先端部G1の連結を解く。これに伴い、同図の二点鎖線で示すように、樹脂製チューブ13の先端部13aが膨張してライニングクロス管10の先端開口部10Aを自由にして配管6の終端内壁部6Aに密着させる。
【0032】
硬化工程では、ボイラーや圧送装置(図示せず)により発生させた湯水またはホットエアーなどを乾燥硬化のため配管6に送る。
これにより、ライニングクロス管10が裏返しになって配管6の内壁6aに密着したライナー層7(例えば、2〜3mm程度の厚みで)を形成し、反転した樹脂製チューブ13は、ライナー層7の内周面に密着した内表層を形成する。
【0033】
上記構成では、ライニングクロス管10の施工作業時、補強用の樹脂製チューブ13がライニングクロス管10の内周部に一体的に密着してライナー層7の内表層を成すので、ライナー層7を補強することができ、配管6の耐震性の向上に寄与する。しかも、補強用の樹脂製チューブ13は、ライニングクロス管10の施工と同時に設けられるので、ライニング施工の迅速で効率的な作業性を損なうことがない。
次工程では、配管6内にカッター付き作業ロボット(図示せず)を導入し、分岐管11の開口部11Bに対応する位置で、図1(b)に示すようにライナー層7に連通孔7aを形成することができる。
【実施例2】
【0034】
図2および図3は本発明の実施例2を示す。実施例2では、実施例1と同一部分には同一符号を付して異なる部分のみ説明する。
実施例2において、図2(a)に示すように、ライナー層17を施工する際、両端部が開口された配管6の内部に予め塗料14が供給されており、落下傘状の袋体15を用いる。袋体15は配管6内に配置され、開口周縁部15aに結わえられた補助綱16を介して、ワイヤー、ロープや綱などを成す索条体8に接続されている。
【0035】
配管6内に駆動圧を供給すると、袋体15が右端開口部6mから駆動圧を受けて、図2(a)の二点鎖線で示す位置を通過して矢印E方向に実線で示すように移動し、袋体15を配管6の全長を通過させた後、配管6の左端開口部6nから外部に取り出す。この過程で、袋体15が塗料14を押し広げて内壁6aに押し当てるので、図2(b)に示すように、ライナー層17が内壁6aに略均等に形成される。
【0036】
ライナー層17が乾燥しないうちに、図3(a)に示す両端開口形の樹脂製チューブ13を長尺な与圧バルーン19とともに配管6内に挿入する{図3(b)参照}。与圧バルーン19は、樹脂製チューブ13内に挿通されており、バルブ調整ノブ21から圧力計22を介して圧搾気体を導入する。樹脂製チューブ13の外径は、塗料層としてのライナー層17の内径に略等しくなるように設定されている。
【0037】
樹脂製チューブ13は、左右の両端に開口部13n、13mを有し、その長さWは、配管6の長さLと同一となるようにしている。与圧バルーン19の長さは、施工上の都合から配管6の長さLよりも若干大きな長さKに設定されている。
【0038】
圧搾気体の導入により、与圧バルーン19が膨張して樹脂製チューブ13を緊張状態に拡開してライナー層17に押圧して一体的に密着させる。その後、圧搾気体を抜いて与圧バルーン19を収縮させて配管6から引き出すと、図3(c)に示すように、樹脂製チューブ13が内表層として内壁6aに形成される。
【0039】
実施例2では、ライナー層17の施工時、与圧バルーン19の膨張により樹脂製チューブ13をライナー層17の内周面に押圧密着させているので、樹脂製チューブ13がライナー層17の形状を保持するとともに、ライナー層17を強化して配管6の耐震性の向上に寄与する。
【0040】
図4は、実施例2において、給湯ポンプ31を有する給湯循環手段30を設けた例を示す。給湯ポンプ31は、その吐出口31aを出湯パイプ32を介してノズル33に連結されている。給湯ポンプ31の戻り口31bは、入湯パイプ34を介して回収筒35に連結されている。ノズル33は配管6の左端開口部6n内に配置され、回収筒35は配管網6の右端開口部6m内に配されている。
【0041】
樹脂製チューブ13がライナー層17を貼着により覆っていることから、ライナー層17の施工直後から給湯ポンプ31を稼働させることができる。給湯ポンプ31の稼働により、湯水が吐出口31a、出湯パイプ32およびノズル33を介して左端開口部6nから配管6内を循環流動する。この過程で、湯水が樹脂製チューブ13に直接接触するため、ライナー層17を加温して乾燥硬化させる。
【0042】
樹脂製チューブ13に接触して加温した湯水は、配管6内を流動し、右端開口部6mから回収筒35、入湯パイプ34および戻り口31bを介して給湯ポンプ31に戻る。
この場合、ライナー層17の施工直後から湯水によりライナー層17を乾かせ得るので、短時間で迅速に次の作業工程に移行することができて作業能率が向上する。
給湯循環手段30は、実施例2に限らず、ライニングクロス管10を用いて、配管6にライナー層17を形成する実施例1にも適用可能である。
【実施例3】
【0043】
図5(a)は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13の外表面に、長手方向に沿って凹凸状の起伏を成す波状部40を形成したことである。波状部40は所定の幅寸法T1で長手方向に延出形成されている。
この場合、波状部40により、樹脂製チューブ13の断面形状が長手方向に沿って変化するため、多様な方向からの外力に対応でき、配管6に対する樹脂製チューブ13の耐震性が強化される。
【実施例4】
【0044】
図5(b)は本発明の実施例4を示す。実施例4が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13の内表面は、長手方向L1に沿って凹凸状に起伏を成す断面円弧形の波状部41を形成したことである。波状部41は所定の幅寸法T2を有して、樹脂製チューブ13の内表面に螺旋状を成すように設けられている。
波状部41により多様な方向からの外力に対応でき、配管6に対する樹脂製チューブ13の耐震性が強化される。
波状部41の螺旋ピッチPnは、長手方向L1に沿って等差、等比、あるいは一般項(An)が前項(An−2)と次項(An−1)との和で表されるフィボナッチ数列に基づいた離間寸法関係に設定してもよい。この場合、波状部41の螺旋ピッチPnは、波状部40の幅寸法T1と同一箇所としたが、便宜上、異なる記号で示している。
【実施例5】
【0045】
図5(c)は本発明の実施例5を示す。実施例5が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13に筒状網42が埋設されたことである。
筒状網42は、ともにステンレススチール製などの金属製の縦細線42aと横細線42bとから網状に織られている。このため、樹脂製チューブ13自体が堅牢化し、配管6に対する樹脂製チューブ13の耐震性が強化される。縦細線42aおよび横細線42bは、金属細線に限らず、伸縮可撓性に富むポリアミドなどのプラスチック繊維により編組形成してもよい。
【実施例6】
【0046】
図5(d)は本発明の実施例6を示す。実施例6が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13に、所定のピッチP1をなす螺旋状のスパイラル細線43を埋設したことである。このため、実施例5と同様に、樹脂製チューブ13自体が堅牢化し、配管6に対する樹脂製チューブ13の耐震性が強化される。
所定のピッチP1は等間隔寸法に限らず、長手方向L1に沿って等差、等比、あるいは一般項(An)が前項(An−2)と次項(An−1)との和で表されるフィボナッチ数列に基づいた離間寸法関係に設定してもよい。この場合、樹脂製チューブ13の可撓性が増し、ライニングクロス管10と一緒に反転変位し易くなる利点が得られる。
【実施例7】
【0047】
図6(a)は本発明の実施例7を示す。実施例7が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13の長手方向L1の一側面部は、所定の幅寸法Tdを有する伸縮自在な織布製の帯リボン50により形成したことである。伸縮自在な帯リボン50は、例えば矢印N1、N2方向およびこれに垂直な矢印M1、M2方向に可撓変位を行えるようになっている。
このため、樹脂製チューブ13の可撓性が増し、ライニングクロス管10とともに用いた場合、樹脂製チューブ13がライニングクロス管10と一緒に反転変位し易くなるとともに、反転後は帯リボン50がライニングクロス管10と一体化して補強に寄与する。
【実施例8】
【0048】
図6(b)は本発明の実施例8を示す。実施例8が実施例1と異なるところは、樹脂製チューブ13は、樹脂製筒部51aと所定の幅寸法Teを有する伸縮自在な織布製の筒リボン51bとを長手方向L1に交互に連結して形成されている。伸縮自在な筒リボン51bは、実施例7と同様に、矢印N1、N2方向およびこれに垂直な矢印M1、M2方向に可撓変位を行えるようになっている。
このため、実施例7と同様に、樹脂製チューブ13の可撓性が増し、ライニングクロス管10とともに用いた場合、樹脂製チューブ13がライニングクロス管10と一緒に反転変位し易くなるとともに、反転後は筒リボン51bがライニングクロス管10と一体化して補強に寄与する。
【0049】
(変形例)
(a)樹脂製チューブ13は蛇腹状に形成してもよいなど、形状については使用状況や施工状況に応じて種々に変更してもよい。
(b)配管6としては、排水管ばかりでなく空調ダクトや排気ダクト(工業ダクト、厨房ダクト)などを適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明では、ライニングクロス管の施工作業時、補強用の樹脂製チューブがライニングクロス管の内周部に一体的に密着してライナー層の内表層を成す。このため、ライナー層を補強することができ、配管の耐震性の向上に寄与する。配管に対する耐震性の付与により、配管業者からの需要が喚起され、関連部品などの流通を通して化学・機械業界に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
6 配管
7、17 ライナー層
8、G 索条体
10 ライニングクロス管
13 樹脂製チューブ
14 塗料
19 与圧バルーン
30 給湯循環手段
40、41 波状部
42 筒状網
42a 縦細線
42b 横細線
43 スパイラル細線
50 帯リボン
51a 樹脂製筒部
51b 筒リボン
T1、T2 波状部の幅寸法
P1 スパイラル細線のピッチ
Td、Te 幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の塗料が含浸されて表裏に反転可能なライニングクロス管を押圧して、表裏に反転させた前記ライニングクロス管の内周面を配管の内壁に密着させながら、反転状態で前記配管の奥行方向に移動させてライナー層を形成する配管ライニング装置において、
前記ライニングクロス管に応じた長さ寸法を有し、前記ライニングクロス管の外周部を被覆して前記ライニングクロス管とともに反転し、反転後の前記ライニングクロス管の内周部に貼着により一体的に密着して前記ライナー層の内表層を成す補強用の樹脂製チューブを設けたことを特徴とする配管ライニング装置。
【請求項2】
前記ライニングクロス管は、グラスファイバーおよびポリエチレンなどの化学繊維を含む可撓性の織布からなっていることを特徴とする請求項1に記載の配管ライニング装置。
【請求項3】
塗料により内周面にライナー層を形成した配管内に挿入した与圧バルーンの膨張により前記ライナー層の内周面に押圧密着させて内表層を成す補強用の樹脂製チューブを設けたことを特徴とする配管ライニング装置。
【請求項4】
前記樹脂製チューブは、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂あるいは天然ゴムから形成されていることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項5】
前記樹脂製チューブの外表面は、長手方向に沿って凹凸状に起伏を成す波状部を形成していることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項6】
前記樹脂製チューブの内表面は、長手方向に沿って凹凸状に起伏を成す断面円弧形の波状部を形成していることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項7】
前記樹脂製チューブには、縦細線と横細線とから網状に織られた筒状網が埋め込まれていることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項8】
前記樹脂製チューブには、所定のピッチ間隔で螺旋状のスパイラル細線が埋め込まれていることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項9】
前記所定のピッチは、長手方向に沿って等差、等比、あるいは一般項が前項と次項との和で表されるフィボナッチ数列に基づいた離間寸法関係になっていることを特徴とする請求項8に記載の配管ライニング装置。
【請求項10】
前記樹脂製チューブの長手方向の一側面部は、所定の幅寸法を有する伸縮自在な織布製の帯リボンにより形成されていることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項11】
前記樹脂製チューブは、樹脂製筒部と所定の幅寸法を有する伸縮自在な織布製の筒リボンとを交互に連結して形成されていることを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。
【請求項12】
前記ライナー層の施工後に、前記樹脂製チューブに直接接触させる湯水を前記配管内に循環流動させる給湯循環手段を設けたことを特徴とする請求項1、3のいずれか一つに記載の配管ライニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−179619(P2010−179619A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26959(P2009−26959)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(501219002)TEXAS株式会社 (13)
【Fターム(参考)】