説明

配管内部検査システム

【課題】配管内の撮影を効率的に行い、メンテナンス作業を効率化する配管内部検査システムを実現すること。
【解決手段】 カプセル型撮影装置がプラントにおける流体が流れる配管内を移動して配管内を撮影することにより、前記配管の内部を検査する配管内部検査システムにおいて、前記配管の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかを備え、前記カプセル型撮影装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号を受信する無線通信手段と、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ前記配管内を撮影する撮影手段を備え、前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ前記配管内を撮影することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル型撮影装置が流体とともにプラントの配管内を移動して配管内を撮影することにより、配管の内部を検査する配管内部検査システムに関し、配管内の撮影を効率的に行いメンテナンス作業を効率化する配管内部検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の配管内部検査システムの一例を示す機能説明図である。
配管内部検査システム1は、プラント、工場等における配管10内を流体と共に進行して配管10内をカメラにより撮影し、内部のメモリに撮影結果である画像データを記憶するカプセル型撮影装置20と、配管10から回収されたカプセル型撮影装置20から画像データ等を取得し、画像データに基づき配管10の内部を検査する管理装置30から構成される。
【0003】
なお特に図示しないが、配管10の流入口には配管10内を流れる流体が蓄えられるタンクが設置され、配管10には開閉バルブが設置され、配管10の排出口には流体が排出される仮設排水プールが設置される。
【0004】
また配管10は、各種形状(直線状、L字形状など)の配管部材から構成され、途中で分岐することがある。配管10を構成する各配管部材は、接続口フランジ等により接合される。
【0005】
カプセル型撮影装置20は、内部に有する電池電源から供給される電力により動作し、配管10内を撮影する際に発光して配管10内を照らす発光手段を有する。
【0006】
管理装置30は、回収したカプセル型撮影装置20から取得した画像データをモニタなどの表示手段に表示して、配管内の状態を解析する。具体的には、管理装置30は、取得した画像データに基づき、配管10内の腐食・破損・亀裂を検出する。
【0007】
このように、従来の配管内部検査システムは、管理装置30が、カプセル型撮影装置20が取得した画像データに基づき、配管10内の腐食・破損・亀裂を検出することにより、配管の状態を(作業員等の)視覚を通じて判断することができ、配管やフィールド機器の定常的なメンテナンス等に貢献できる。
【0008】
たとえば、従来の配管内部検査システムに関連する先行技術文献として下記の特許文献1がある。特許文献1は、カプセル型撮影装置を用いて配管内部の状態を視覚的に確認する技術についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−10513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の配管内部検査システムでは、カプセル型撮影装置の発光手段が配管内を撮影する際に発光して配管内を照らしているが、カプセル型撮影装置から配管の内壁までの距離が長く、撮影する際には多くの光量を必要としていた。このため、1度の撮影にかかるカプセル型撮影装置内の電池使用量が多く、全ての配管の内部を撮影するためには電池容量が足りないという問題点があった。
【0011】
また配管全体の距離も長いので、カプセル型撮影装置内の電池の電池容量では配管設備全てを撮影するのは困難であるという問題点があった。
【0012】
つまり、従来の配管内部検査システムでは、カプセル型撮影装置内の電池の寿命が尽きやすくので、全ての配管内を撮影できないことにより、メンテナンス時に配管の腐食・破損・亀裂を見逃してしまい適切なメンテナンスができないという問題点があった。
【0013】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、その目的は、配管内の撮影を効率的に行い、メンテナンス作業を効率化する配管内部検査システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、
カプセル型撮影装置がプラントにおける流体が流れる配管内を移動して配管内を撮影することにより、前記配管の内部を検査する配管内部検査システムにおいて、
前記配管の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかを備え、
前記カプセル型撮影装置は、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置から無線信号を受信する無線通信手段と、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ前記配管内を撮影する撮影手段を備え、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ前記配管内を撮影することを特徴とする配管内部検査システム。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の配管内部検査システムにおいて、
前記撮影補助装置は、前記配管の所定の位置に設置された前記フィールド機器に隣接して設置されることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の配管内部検査システムにおいて、
前記撮影手段は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも小さい場合は前記配管内を撮影しないことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1または2に記載の配管内部検査システムにおいて、
前記カプセル型撮影装置は、前記撮影手段により撮影された前記配管内部の画像データ及び当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を記憶する記録手段と、前記無線通信手段が前記フィールド機器から受信する信号に基づき、前記フィールド機器のタグ情報を取得し、このタグ情報および前記撮影の時刻を示す撮影時間情報を前記画像データと関連付けて前記記憶手段に記憶する制御手段を備え、
前記配管から回収された前記カプセル型撮影装置の前記記憶手段から前記画像データ、前記撮影時間情報および前記タグ情報を取得し、これらの情報および前記画像データに基づき前記カプセル型撮影装置が流れた前記配管の経路を特定し、前記配管の内部を検査する管理装置を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の配管内部検査システムにおいて、
前記カプセル型撮影装置は、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、前記撮影手段により撮影された前記配管内部の画像データを前記フィールド機器または前記撮影補助装置に送信し、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置は、前記カプセル型撮影装置から受信した前記配管内部の画像データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかから受信した前記配管内部の画像データに基づき、前記配管の内部を検査することを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項4または5に記載の配管内部検査システムにおいて、
前記カプセル型撮影装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、自機の識別情報を示す識別データを前記フィールド機器または前記撮影補助装置に送信し、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置は、前記カプセル型撮影装置から受信した識別データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかから受信した前記カプセル型撮影装置の識別データに基づき、前記カプセル型撮影装置が流れている前記配管の経路を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配管の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかを備え、カプセル型撮影装置は、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号を受信する無線通信手段と、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ配管内を撮影する撮影手段を備え、フィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ配管内を撮影することにより、配管内の撮影を効率的に行い、メンテナンス作業を効率化することができる。
すわなち、本発明の配管内部検査システムによれば、上述の構成とすることにより、カプセル型撮影装置による撮影タイミングを非連続にし、カプセル型撮影装置の電池寿命を延ばし、電池切れによる未撮影を防止ことができる。
【0021】
また、請求項5によれば、カプセル型撮影装置は、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、撮影手段により撮影された配管内部の画像データをフィールド機器または撮影補助装置に送信し、フィールド機器または撮影補助装置は、カプセル型撮影装置から受信した配管内部の画像データを管理装置に送信し、管理装置は、フィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかから受信した配管内部の画像データに基づき、配管の内部を検査することにより、カプセル型撮影装置の記憶手段の記憶容量が減るため、部品を簡素化し、小型化することができる。
また本発明の配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置を使い捨てにしてカプセルの回収なしに画像を解析することができる。
【0022】
請求項6によれば、本発明に係る配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置が自機の識別情報を示す識別データ(ID)をフィールド機器または撮影補助装置に送信し、管理装置がフィールド機器または撮影補助装置から受信したカプセル型撮影装置の識別データに基づき、カプセル型撮影装置が流れている配管の経路を特定することにより、カプセル型撮影装置の経路をたどることが可能となる。このため、経路をたどることで配管内の流れが滞っていないか、想定した配管経路上を流れているかなどの確認に用いることが可能となる点で有効である。
また、本発明の配管内部検査システムは、上述の構成とすることで、カプセル型撮影装置の経路(ルート)を辿る(トレースする)ことでカプセル回収時の指標とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の配管内部検査システムの一実施例を示す構成説明図である。
【図2】図1のカプセル型撮影装置、管理装置の構成説明図である。
【図3】従来の配管内部検査システムの一例を示す機能説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1の実施例>
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の配管内部検査システムの一実施例を示す構成説明図であり、図3と共通する部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0025】
図1と図3との主な相違点は、カプセル型撮影装置が、配管の所定の位置に設置されているフィールド機器または撮影補助装置が出力する無線信号を受信する無線通信手段と、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ配管内を撮影する撮影手段を備え、フィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ配管内部を撮影する点である。
【0026】
(構成の概要)
図1において、配管内部検査システム50は、プラント、工場等における配管10内を移動して(たとえば流体と共に進行して)配管10内を撮影し内部の記憶手段に撮影結果である画像データを記憶し、内部に有する電池電源から供給される電力により動作するカプセル型撮影装置60と、配管10から回収されたカプセル型撮影装置60から画像データ等を取得し、画像データに基づき配管10の内部を検査する管理装置70と、配管10の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器81、82、83と、配管10の所定の位置に設置され、無線信号を出力する撮影補助装置91、92、93とから構成される。
なお、配管内部検査システム50は、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93の少なくともいずれかを備えるものでよい。
【0027】
(各構成要素の構成の説明)
図2は、図1のカプセル型撮影装置、管理装置の構成説明図であり、(A)はカプセル型撮影装置(カプセル型撮影機)の構成説明図、(B)は管理装置の構成説明図である。
【0028】
カプセル型撮影装置60は、図2(A)に示すように、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93からの無線信号(電波)を受信する無線通信手段61と、配管10内を撮影するカメラなどの撮影手段62と、撮影手段62が配管10内を撮影する際に発光して配管10内を照らすレーザ光源などの発光手段63を備える。
【0029】
また、カプセル型撮影装置60は、撮影手段62により撮影された配管10内部の画像データ及び当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を記憶する記録手段64と、無線通信手段61がフィールド機器81〜83から受信する信号に基づき、フィールド機器81〜83のタグ情報を取得し、このタグ情報および撮影の時刻を示す撮影時間情報を画像データと関連付けて記憶手段64に記憶する制御手段65も備える。
【0030】
記録手段64には、フィールド機器または撮影補助装置から受信した無線信号の強度に基づき撮影要否判断するための、予め定められた信号強度の閾値が記憶されているものでもよい。
【0031】
制御手段65は、無線通信手段61を介して受信したフィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93からの無線信号が、予め定められた強度よりも大きい場合は、発光手段63を制御して発光して配管10内を照らすとともに撮影手段62を制御して配管10内を撮影する。
【0032】
また制御手段65は、無線通信手段61を介して受信したフィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93からの無線信号が、予め定められた強度よりも小さい場合は、発光手段63を制御して発光させず(または発光を中止させて)、撮影手段62を制御して配管10内を撮影しない(または撮影を中止させる)。
【0033】
また、カプセル式センサ60は、CPU(Central Processing Unit)などの、カプセル式センサ60の機能を制御する演算制御部を備え、主に無線通信手段61、撮影手段62、制御手段65を制御する。なお、これらの各手段はバスにより相互に接続されるようなそれぞれ独立した機器から構成されている。
【0034】
ここで、演算制御部は、記憶手段64に格納されているOSなどを起動して、このOS上で格納されたプログラムを読み出し実行することにより各手段またはカプセル式センサ60全体を制御し、カプセル式センサ60の動作を行う。
このとき記憶手段64は、演算制御部によって実行されるプログラムやアプリケーションをプログラム格納エリアに展開し、入力されたデータや、プログラムやアプリケーションの実行時に生じる処理結果などのデータをワークエリアに一時的に記憶するものであってもよい。
【0035】
管理装置70は、図2(B)に示すように、配管10から回収されたカプセル型撮影装置60の記憶手段64から取得した画像データ、撮影時間情報およびタグ情報を記憶する記憶手段71と、取得した画像データを表示するモニタなどの表示手段72と、これらの情報および画像データに基づきカプセル型撮影装置が流れた配管の経路を特定し、配管10内の腐食・破損・亀裂を検出する配管検査手段73を備える。
【0036】
また、管理装置70は、フィールド機器、撮影補助装置等とフィールドバス、ネットワーク、専用回線、無線通信を介してデータ通信を行う通信手段74と、各手段を制御して管理装置70として動作させるCPU等の制御手段75を備える。
【0037】
なお、管理装置70は、分散型制御システムやPLC等の上位の制御装置であって、フィールドバス100を介してフィールド機器81〜83等からプロセス値を受け取り、バルブ等制御機器(図示せず)へ操作量を送信しプロセス制御を行うものでもよい。
【0038】
フィールド機器81〜83は、差圧計、流量計、温度計、監視カメラ、アクチュエータなどの各種フィールド機器であって、無線通信により測定データやアラーム情報を送受信する。
例えば、フィールド機器81は、温度計であって熱電対によってプロセス流体の温度を測定する。
【0039】
これらのフィールド機器81〜83は、無線通信または互いに接続されるフィールドバスを介して測定データやアラーム情報、図示しない記憶手段に記憶されていたフィールド機器のタグ情報を管理装置70または上位機器等に送信する。
なお、フィールド機器81〜83は、カプセル式センサ60に対して撮影(発光)の要否の判断の基礎となる無線信号(電波)を出力する無線信号出力手段を備えるものでもよい。
【0040】
撮影補助装置91は、カプセル式センサ60に対して撮影の要否(発光)の判断の基礎となる無線信号(電波)を出力する無線信号出力手段(図示せず)を備える。
【0041】
また、撮影補助装置91は、配管10の所定の位置に設置される。たとえば、撮影補助装置91はフィールド機器が設置されていない場所や、重点的に撮影を行いたい配管10の接合部分やカーブなどの任意の場所に必要時のみ設置される。
【0042】
なお、撮影補助装置91は、フィールド機器81に隣接して設置されるものでよい。
撮影補助装置91は、フィールド機器81に隣接して設置される場合には、無線信号出力手段がフィールド機器91の代わりにカプセル型撮影装置に無線信号を出力するものでもよい。
撮影補助装置92、93もほぼ撮影補助装置91と同様の構成であるので説明を省略する。
【0043】
また、フィールド機器81〜83、撮影補助装置91〜93が出力する無線信号の強度は可変のものでもよい。たとえば、広い(狭い)範囲で配管10内の状態を検査する場合には、たとえば管理装置70が、無線通信またはフィールドバスを介してフィールド機器81〜83、撮影補助装置91〜93に、無線信号の強度を高くして(低くして)出力するように制御するものでもよい。
【0044】
なお、カプセル型撮影装置60は撮影開始を次のパターンA、Bで判断するものでもよい。
A:フィールド機器81〜83間のフィールド通信の信号強度(電波強度)に基づき撮影の要否判断を行う
B:撮影補助装置91〜93からの撮影専用の無線信号の信号強度(電波強度)に基づき撮影の要否判断を行う
【0045】
このとき、撮影補助装置91〜93は、フィールド機器81〜83が出力しているフィールド通信用の無線信号を擬似的に送信するものでもよい。
この場合、本発明の配管内部検査システムは、撮影補助装置91〜93がフィールド機器の無線信号を擬似的に出力すれば、既設のフィールド機器に加えて撮影補助装置を複数台配管の周囲に設置することにより、撮影ポイントの増強、任意の配管部位の重点的な撮影を行うことができる点で有効である。
【0046】
(動作の説明)
上述のような構成で、配管内部検査システム50は次の動作(1)〜(10)を行う。
カプセル型撮影装置60は、配管10内を流体とともに流れる。
(2)フィールド機器81(82、83)または撮影補助装置91(92、93)は、無線信号を送信する。
【0047】
(3)カプセル型撮影装置60の無線通信受信手段61は、フィールド機器81(82、83)または撮影補助装置91(92、93)からの無線信号を受信し、制御手段65が無線信号の強度と記憶手段64に予め記憶された強度の閾値とを比較する。
【0048】
カプセル型撮影装置60は、受信したフィールド機器81(82、83)または撮影補助装置9からの無線信号が予め定められた強度(の閾値)よりも大きい場合は、(4)〜(6)の動作に移行する。
また、カプセル型撮影装置60は、受信したフィールド機器81(82、83)または撮影補助装置91(92、93)からの無線信号が、予め定められた強度(の閾値)よりも小さい場合は、(7)の動作に移行する。
【0049】
(4)発光手段63を制御して発光して配管10内を照らすとともに撮影手段62を制御して配管10内を撮影する。
(5)カプセル型撮影装置60の撮影手段62は、撮影結果である画像データを記憶手段64に記憶する。
【0050】
(6)カプセル型撮影装置60の制御手段65は、フィールド機器81(82、83)からの無線信号からフィールド機器81(82、83)のタグ情報を取得する。また制御手段65は、このタグ情報および撮影の時刻を示す撮影時間情報を画像データと関連付けて記憶手段64に記憶する。
【0051】
(7)カプセル型撮影装置60の制御手段65は、発光手段63を制御して発光を中止し、撮影手段62を制御して配管10内の撮影を中止する。
つまり、本発明のカプセル型撮影装置60は、フィールド機器もしくは撮影補助装置からの無線信号(電波)を受信し、ある信号強度(電波強度)に近づくと撮影を開始し、信号強度(電波強度)が弱くなった時点で撮影を中断する。
【0052】
配管内部検査システム50は、(6)、(7)の動作の終了後、カプセル型撮影装置60の現在の位置からまだ配管10が続き、フィールド機器、撮影補助装置が設置されている場合は、(3)の動作に移行する。また、(6)、(7)の動作の終了後、カプセル型撮影装置60が配管10の排出口にまで流れると(8)〜(9)の動作に移行する。
【0053】
(8)カプセル型撮影装置60は配管10から排出される。
(9)管理装置70は、配管10から回収されたカプセル型撮影装置60から取得した画像データ、撮影時間情報およびタグ情報を記憶手段71に記憶し、配管検査手段73がこれらの情報および画像データに基づきカプセル型撮影装置が流れた配管の経路を特定し、配管10内の腐食・破損・亀裂を検出する。
【0054】
この結果、本発明に係る配管内部検査システムは、配管の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかを備え、カプセル型撮影装置は、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号を受信する無線通信手段と、フィールド機器または撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ配管内を撮影する撮影手段を備え、フィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ配管内を撮影することにより、配管内の撮影を効率的に行い、メンテナンス作業を効率化することができる。
【0055】
すなわち、本発明に係る配管内部検査システムは、上述の構成とすることにより、カプセル型撮影装置による撮影タイミングを非連続にし、カプセル型撮影装置の電池を効率的に使用し(換言すれば電池寿命を延ばし)、電池切れによる未撮影を防止ことができる。
【0056】
<第2の実施例>
なお、本発明の配管内部検査システムは第1の実施例の構成に加えて、カプセル型撮影装置が、撮影した配管10内の画像データをフィールド機器もしくは撮影補助装置に送信するものでもよい。
【0057】
具体的には、カプセル型撮影装置60の制御手段65は、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、撮影手段62により撮影された配管10の内部の画像データを、無線通信手段61を制御してフィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93に無線通信等を介して送信するものでもよい。
【0058】
また、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93は、受信した画像をフィールド機器81〜83、撮影補助装置91〜93内にある記憶手段に保存したのち、画像データ、撮影時間情報およびタグ情報を無線通信またはフィールドバスを介して管理装置70、ゲートウェイ装置、上位の制御装置(DCS)等に転送する。
【0059】
そして、管理装置70は、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93の少なくともいずれかから受信した配管10内部の画像データ、撮影時間情報およびタグ情報を記憶手段71に記憶する。
また管理装置70はこれらの画像データおよび各情報に基づき、配管検査手段73がこれらの情報および画像データに基づきカプセル型撮影装置が流れた配管の経路を特定し、配管10内の腐食・破損・亀裂を検出する。
【0060】
この結果、本発明の配管内部検査システムは、撮影した画像をフィールド機器もしくは撮影補助装置に送ることにより、カプセル型撮影装置の記憶手段の記憶容量は少量でよいため、カプセル型撮影装置の部品を簡素化し、小型化することができる。
また本発明の配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置を使い捨てにしてカプセルの回収なしに画像を解析することができる。
【0061】
<第3の実施例>
なお、本発明の配管内部検査システムは第1または第2の実施例の構成に加えて、カプセル型撮影装置が、自機の識別情報を示す識別データ(ID)をフィールド機器または撮影補助装置に送信するものでもよい。
【0062】
具体的には、カプセル型撮影装置60の制御手段65は、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、自機の識別情報を示す識別データ(TAG番号等)を、無線通信手段61を制御してフィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93に無線通信等を介して送信するものでもよい。
【0063】
また、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93は、カプセル型撮影装置60から受信した識別データを、無線通信またはフィールドバスを介して管理装置70、ゲートウェイ装置、上位の制御装置(DCS)等に送信する。
【0064】
そして、管理装置70は、フィールド機器81〜83または撮影補助装置91〜93の少なくともいずれかから受信したカプセル型撮影装置60の識別データを記憶手段に記憶する。また管理装置70は、識別データ基づき、カプセル型撮影装置60が流れている配管10の経路を特定し、表示手段に配管10の全体図およびカプセル型撮影装置60の進行経路を表示する。
【0065】
この結果、本発明の配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置が自機の識別情報を示す識別データ(ID)をフィールド機器または撮影補助装置に送信し、管理装置がフィールド機器または撮影補助装置から受信したカプセル型撮影装置の識別データに基づき、カプセル型撮影装置が流れている配管の経路を特定することにより、カプセル型撮影装置の経路をたどることが可能となる。
このため、経路をたどることで配管内の流れが滞っていないか、想定したルート上を流れているかなどの確認に用いることが可能となる点で有効である。
【0066】
また、本発明の配管内部検査システムは、上述の構成とすることで、カプセル型撮影装置のルートをトレースすることでカプセル回収時の指標とすることもできる。
【0067】
なお、本発明の配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置によるルート探索による配管の流れの滞りの有無を検出する目的のみで使用するものでもよく、この際にはカプセル型撮影装置は識別データの送信のみを行うものでもよい。カプセル型撮影装置の記憶手段の記憶容量は少量でよいため、カプセル型撮影装置の部品を簡素化し、小型化することができる。
また、この場合、本発明の配管内部検査システムは、カプセル型撮影装置を使い捨てすることができ、配管からの回収の手間が省かれる点で有効である。
【0068】
なお、本発明の配管内部検査システムは、原子力発電プラントや火力発電プラント等でプラント建設時の配管洗浄作業において、配管内の腐食・破損・亀裂を検出するため、または配管内部に取り残された異物の検出するために、カプセル型撮影装置を配管洗浄時に配管内部に挿入して洗浄水とともに循環させるものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 配管
50 配管内部検査システム
60 カプセル型撮影装置
61 無線通信手段
62 撮影手段
63 発光手段
64 記憶手段
65 制御手段
70 管理装置
71 記憶手段
72 表示手段
81〜83 フィールド機器
91〜93 撮影補助装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル型撮影装置がプラントにおける流体が流れる配管内を移動して配管内を撮影することにより、前記配管の内部を検査する配管内部検査システムにおいて、
前記配管の所定の位置に設置され、無線信号を出力するフィールド機器または撮影補助装置の少なくともいずれかを備え、
前記カプセル型撮影装置は、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置から無線信号を受信する無線通信手段と、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合にのみ前記配管内を撮影する撮影手段を備え、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかの撮影可能範囲のみ前記配管内を撮影することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項2】
前記撮影補助装置は、前記配管の所定の位置に設置された前記フィールド機器に隣接して設置されることを特徴とする請求項1記載の配管内部検査システム。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも小さい場合は前記配管内を撮影しないことを特徴とする請求項1または2記載の配管内部検査システム。
【請求項4】
前記カプセル型撮影装置は、前記撮影手段により撮影された前記配管内部の画像データ及び当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を記憶する記録手段と、前記無線通信手段が前記フィールド機器から受信する信号に基づき、前記フィールド機器のタグ情報を取得し、このタグ情報および前記撮影の時刻を示す撮影時間情報を前記画像データと関連付けて前記記憶手段に記憶する制御手段を備え、
前記配管から回収された前記カプセル型撮影装置の前記記憶手段から前記画像データ、前記撮影時間情報および前記タグ情報を取得し、これらの情報および前記画像データに基づき前記カプセル型撮影装置が流れた前記配管の経路を特定し、前記配管の内部を検査する管理装置を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の配管内部検査システム。
【請求項5】
前記カプセル型撮影装置は、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、前記撮影手段により撮影された前記配管内部の画像データを前記フィールド機器または前記撮影補助装置に送信し、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置は、前記カプセル型撮影装置から受信した前記配管内部の画像データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかから受信した前記配管内部の画像データに基づき、前記配管の内部を検査することを特徴とする請求項4に記載の配管内部検査システム。
【請求項6】
前記カプセル型撮影装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置からの無線信号が所定の強度よりも大きい場合、自機の識別情報を示す識別データを前記フィールド機器または前記撮影補助装置に送信し、
前記フィールド機器または前記撮影補助装置は、前記カプセル型撮影装置から受信した識別データを前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記フィールド機器または前記撮影補助装置の少なくともいずれかから受信した前記カプセル型撮影装置の識別データに基づき、前記カプセル型撮影装置が流れている前記配管の経路を特定することを特徴とする請求項4または5に記載の配管内部検査システム。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−32154(P2012−32154A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169116(P2010−169116)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】