説明

配線回路基板およびそれを備えた燃料電池

【課題】電極膜と導体層との導電性を確保しつつ十分に高いフレキシブル性を有する配線回路基板およびそれを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】FPC基板1のベース絶縁層2の一面には、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは被覆層6a〜6nにより被覆される。被覆層6a〜6nはカーボンナノチューブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびそれを備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のモバイル機器には、小型でかつ高容量の電池が求められる。そこで、リチウム二次電池等の従来の電池に比べて、高エネルギー密度を得ることが可能な燃料電池の開発が進められている。燃料電池としては、例えば直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cells)がある。
【0003】
直接メタノール型燃料電池では、メタノールが触媒によって分解され、水素イオンが生成される。その水素イオンと空気中の酸素とを反応させることにより電力を発生させる。この場合、化学エネルギーを極めて効率良く電気エネルギーに変換することができ、非常に高いエネルギー密度を得ることができる。
【0004】
このような直接メタノール型燃料電池の内部では、燃料極、空気極および電解質極からなる電極膜が屈曲されたフレキシブル配線回路基板(以下、FPC基板と略記する)間に配置される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−300238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているFPC基板においては、ベース絶縁層上に所定のパターンを有する導体層が形成される。また、導体層は、カーボンブラックまたは黒鉛を含む導電性の被覆層により被覆される。これにより、メタノール等の付着による導体層の腐食が防止されつつ電極膜と導体層との導電性が確保されている。
【0007】
近年の燃料電池の構造の多様化によりFPC基板が十分に高いフレキシブル性を有することが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、電極膜と導体層との導電性を確保しつつ十分に高いフレキシブル性を有する配線回路基板およびそれを備えた燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る配線回路基板は、燃料電池に用いられる配線回路基板であって、絶縁層と、絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、カーボンナノチューブを含み、導体層の表面を被覆する被覆層とを備えるものである。
【0010】
この配線回路基板においては、絶縁層上に設けられた導体層の表面が被覆層により被覆されている。また、被覆層はカーボンナノチューブを含むことにより導電性を有する。これにより、この配線回路基板を燃料電池に用いる場合、配線回路基板は、導体層と燃料電池の電極膜との導電性を確保しつつ十分に高いフレキシブル性を得ることができる。
【0011】
また、燃料として供給されるメタノール等の酸が配線回路基板に接触する状態であっても、導体層の集電作用を阻害することなく、導体層の腐食を防止することができる。
【0012】
(2)被覆層は樹脂組成物をさらに含んでもよい。この場合、被覆層のフレキシブル性がより向上する。これにより、配線回路基板を屈曲させて使用する場合でも、被覆層に亀裂が発生することが十分に防止される。
【0013】
(3)被覆層は、樹脂組成物100重量部に対して3重量部以上80重量部以下のカーボンナノチューブを含んでもよい。この場合、配線回路基板において、導体層と燃料電池の電極膜との導電性を十分に確保しつつ十分に高いフレキシブル性を得ることができる。
【0014】
(4)樹脂組成物はエポキシ樹脂を含んでもよい。この場合、被覆層のフレキシブル性が十分に向上する。これにより、配線回路基板を屈曲させて使用する場合でも、被覆層に亀裂が発生することがより十分に防止される。
【0015】
(5)絶縁層は、一面および他面を有するとともに、互いに隣接する第1の領域および第2の領域を一面に有し、導体層は、絶縁層の第1の領域内に形成される複数の第1の導体部と、絶縁層の第2の領域内に形成される複数の第2の導体部と、複数の第1の導体部のいずれかと複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する接続導体部とを有し、被覆層は、複数の第1の導体部をそれぞれ被覆する複数の第1の被覆部と、複数の第2の導体部をそれぞれ被覆する複数の第2の被覆部と、接続導体部を被覆する第3の被覆部とを有し、絶縁層は、第1の領域と第2の領域との間の屈曲部で複数の第1の導体部と複数の第2の導体部とがそれぞれ対向するように屈曲可能であり、接続導体部は、互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続するように形成されてもよい。
【0016】
この場合、第1の領域および第2の領域が、絶縁層の一面上に互いに隣接するように形成される。複数の第1の導体部および複数の第2の導体部は、それぞれ第1の領域および第2の領域に形成される。接続導体部は、複数の第1の導体部のいずれかと複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する。複数の第1の被覆部、複数の第2の被覆部および第3の被覆部は、それぞれ複数の第1の導体部、複数の第2の導体部および接続導体部を被覆する。
【0017】
さらに、絶縁層を屈曲部で屈曲することにより、複数の第1の導体部と複数の第2の導体部とがそれぞれ対向する。ここで、接続導体部は互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続する。
【0018】
この場合、複数の第1の導体部を被覆する複数の第1の被覆部と複数の第2の導体部を被覆する複数の第2の被覆部との間に燃料電池の複数の電極膜をそれぞれ配置することにより、複数の電極膜を容易に直列接続することができる。
【0019】
(6)絶縁層の第1の領域および導体層の複数の第1の導体部を貫通するように第1の貫通孔が形成され、絶縁層の第2の領域および導体層の複数の第2の導体部を貫通するように第2の貫通孔が形成されてもよい。
【0020】
この場合、第1および第2の貫通孔を通して燃料および空気を効率よく燃料電池の電極膜に供給することが可能になる。
【0021】
(7)第2の発明に係る燃料電池は、配線回路基板と、複数の電池要素と、配線回路基板および複数の電池要素を収容する筺体とを備え、配線回路基板は、絶縁層と、絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、カーボンナノチューブを含み、導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、絶縁層は、一面および他面を有するとともに、互いに隣接する第1の領域および第2の領域を一面に有し、導体層は、絶縁層の第1の領域内に形成される複数の第1の導体部と、絶縁層の第2の領域内に形成される複数の第2の導体部と、複数の第1の導体部のいずれかと複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する接続導体部とを有し、被覆層は、複数の第1の導体部をそれぞれ被覆する複数の第1の被覆部と、複数の第2の導体部をそれぞれ被覆する複数の第2の被覆部と、接続導体部を被覆する第3の被覆部とを有し、絶縁層は、第1の領域と第2の領域との間の屈曲部で複数の第1の導体部と複数の第2の導体部とがそれぞれ対向するように屈曲可能であり、接続導体部は、互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続するように形成され、配線回路基板の絶縁層の第1の領域および第2の領域が一面を内側にして屈曲部に沿って屈曲された状態で、複数の第1の導体部を被覆する複数の第1の被覆部と複数の第2の導体部を被覆する複数の第2の被覆部との間に複数の電池要素がそれぞれ配置されるものである。
【0022】
この燃料電池の配線回路基板においては、第1の領域および第2の領域が、絶縁層の一面上に互いに隣接するように形成される。複数の第1の導体部および複数の第2の導体部は、それぞれ第1の領域および第2の領域に形成される。接続導体部は、複数の第1の導体部のいずれかと複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する。
【0023】
また、複数の第1の被覆部、複数の第2の被覆部および第3の被覆部は、それぞれ複数の第1の導体部、複数の第2の導体部および接続導体部を被覆する。さらに、絶縁層を屈曲部で屈曲することにより、複数の第1の導体部と複数の第2の導体部とがそれぞれ対向する。接続導体部は互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続する。
【0024】
ここで、複数の電池要素が複数の第1の導体部を被覆する複数の第1の被覆部と複数の第2の導体部を被覆する複数の第2の被覆部との間にそれぞれ配置される。それにより、複数の電池要素が直列に接続される。
【0025】
複数の第1の被覆部、複数の第2の被覆部および第3の被覆部はカーボンナノチューブを含むことにより導電性を有する。これにより、複数の電池要素と複数の第1および第2の導体部との導電性を確保しつつ十分に高いフレキシブル性を得ることができる。特に、絶縁層とともに屈曲される第3の被覆部の破損が防止される。
【0026】
また、燃料として供給されるメタノール等の酸が配線回路基板に接触する状態であっても、複数の第1および第2の導体部の集電作用を阻害することなく、複数の第1および第2の導体部ならびに接続導体部の腐食を防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電極膜と導体層との導電性を確保しつつ配線回路基板のフレキシブル性を十分に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は本実施の形態に係るフレキシブル配線回路基板の平面図であり、(b)は(a)のフレキシブル配線回路基板のA−A線断面図である。
【図2】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】(a)はFPC基板を用いた燃料電池の外観斜視図であり、(b)は(a)の燃料電池内における作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態に係る配線回路基板および燃料電池について説明する。なお、本実施の形態では、配線回路基板の例として、屈曲性を有するフレキシブル配線回路基板について説明する。
【0030】
(1)フレキシブル配線回路基板の構成
図1(a)は本実施の形態に係るフレキシブル配線回路基板の平面図であり、図1(b)は図1(a)のフレキシブル配線回路基板のA−A線断面図である。以下の説明においては、フレキシブル配線回路をFPC基板と略記する。
【0031】
図1(a)および図1(b)に示すように、FPC基板1は、例えばポリイミドからなるベース絶縁層2を備える。ベース絶縁層2は第1絶縁部2a、第2絶縁部2b、第3絶縁部2cおよび第4絶縁部2dからなる。第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bは、それぞれ矩形形状を有し、互いに隣接するように一体的に形成される。以下、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線に平行な辺を側辺と称し、第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bの側辺に垂直な一対の辺を端辺と称する。
【0032】
第3絶縁部2cは、第1絶縁部2aの1つの角部における側辺の一部から延出する。第4絶縁部2dは、第1絶縁部2aの上記角部の対角に位置する第2絶縁部2bの角部における側辺の一部から延出する。
【0033】
第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線上にベース絶縁層2をほぼ二等分するように折曲部B1が設けられる。後述のように、ベース絶縁層2は、折曲部B1に沿って折曲可能である。折曲部B1は、例えば線状の浅い溝であってもよく、または、線状の印等でもよい。あるいは、折曲部B1でベース絶縁層2を折曲可能であれば、折曲部B1に特に何もなくてもよい。ベース絶縁層2を折曲部B1に沿って折曲する場合、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとが対向する。この場合、第3絶縁部2cと第4絶縁部2dとは対向しない。
【0034】
第1絶縁部2aには、複数(本例では端辺方向に沿って4個かつ側辺方向に沿って5個の合計20個)の開口H1が形成される。また、第2絶縁部2bには、複数(本例では端辺方向に沿って4個かつ側辺方向に沿って5個の合計20個)の開口H2が形成される。
【0035】
ベース絶縁層2の一面には、矩形の集電部3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3j、接続導体部3k,3l,3m,3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは例えば銅からなる。
【0036】
集電部3a〜3jの各々は長方形状を有する。集電部3a〜3eは、第1絶縁部2aの端辺に沿って平行に延びかつ第1絶縁部2aの側辺方向に沿って設けられる。ここで、集電部3a〜3eの各々は、第1絶縁部2aの端辺に平行に並ぶ4個の開口H1を含む第1絶縁部2aの領域に形成される。
【0037】
同様に、集電部3f〜3jは、第2絶縁部2bの端辺に沿って平行に延びかつ第2絶縁部2bの側辺方向に沿って設けられる。ここで、集電部3f〜3jの各々は、第2絶縁部2bの端辺に平行に並ぶ4個の開口H2を含む第2絶縁部2bの領域に形成される。
【0038】
この場合、集電部3a〜3eと集電部3f〜3jとは、屈曲部B1を中心として対称な位置に配置される。
【0039】
接続導体部3k〜3nは、屈曲部B1をまたぐように第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bにわたって形成される。接続導体部3kは集電部3bと集電部3fとを電気的に接続し、接続導体部3lは集電部3cと集電部3gとを電気的に接続し、接続導体部3mは集電部3dと集電部3hとを電気的に接続し、接続導体部3nは集電部3eと集電部3iとを電気的に接続する。
【0040】
第1絶縁部2aの開口H1上における集電部3a〜3eの部分には、開口H1よりも径大の開口H11が形成される。また、第2絶縁部2bの開口H2上における集電部3f〜3jの部分には、開口H2よりも径大の開口H12が形成される。
【0041】
引き出し導体部3oは、集電部3aの外側の短辺から第3絶縁部2c上に直線状に延びるように形成される。引き出し導体部3pは、集電部3jの外側の短辺から第4絶縁部2d上に直線状に延びるように形成される。
【0042】
集電部3aおよび引き出し導体部3oの一部を覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6aが形成される。これにより、引き出し導体部3oの先端部は被覆層6aに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3oの部分を、引き出し電極5aと称する。また、集電部3b〜3eをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6b,6c,6d,6eが形成される。集電部3a〜3eの開口H11内において、被覆層6a〜6eは第1絶縁部2aの上面に接する。
【0043】
集電部3jおよび引き出し導体部3pの一部を覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6jが形成される。これにより、引き出し導体部3pの先端部は被覆層6jに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3pの部分を、引き出し電極5bと称する。また、集電部3f〜3iをそれぞれ覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6f,6g,6h,6iが形成される。集電部3f〜3jの開口H12内において、被覆層6f〜6jは第2絶縁部2bの上面に接する。
【0044】
接続導体部3k〜3nをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上および第2絶縁部2b上に被覆層6k,6l,6m,6nが形成される。
【0045】
被覆層6a〜6nは、CNT(Carbon Nano Tube:カーボンナノチューブ)を含有した樹脂組成物からなる。被覆層6a〜6nの形成方法を以下に説明する。
【0046】
(2)被覆層
被覆層6a〜6nのCNTを含有する樹脂組成物は、超音波ホモジナイザーまたは3本ロール等の一般的な分散機を用いてCNTの粉末を樹脂組成物に混合することにより形成される。
【0047】
樹脂組成物はエポキシ樹脂を含有することが好ましい。また、エポキシ樹脂の添加量は、10重量部以上100重量部未満であることが好ましく、15重量部以上95重量部未満であることがより好ましい。この場合、樹脂組成物を確実に硬化させることができる。
【0048】
CNTの粉末は、触媒気相合成法またはアークプラズマ法等の一般的な方法により形成される。CNTの平均繊維径は、1nm以上500nm以下であることが好ましく、1nm以上300nm以下であることがより好ましい。また、CNTの平均繊維長は、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、平均繊維径および平均繊維長は次のようにして測定される。
【0049】
平均繊維径の測定として、走査型電子顕微鏡を用いてCNTの100〜30000倍像の写真を撮影する。次に、その写真の画像を画像解析装置(例えば株式会社ニレコ製LUZEX−AP)に取り込む。画像解析装置により画像に基づいてCNT300個分の繊維径を計測し、それらの繊維径の平均値を平均繊維径として算出する。
【0050】
平均繊維長の測定として、走査型電子顕微鏡を用いてCNTの100〜3000倍像の写真を連続的にパノラマ状に撮影する。次に、その写真の画像を画像解析装置に取り込む。画像解析装置により画像に基づいてCNT300個分の繊維長を計測し、それらの繊維長の平均値を平均繊維長として算出する。
【0051】
被覆層6a〜6nの表面抵抗値は、10000Ω/□以下であり、5000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがより好ましく、500Ω/□以下であることがさらに好ましい。
【0052】
(3)FPC基板の製造方法
次に、図1に示したFPC基板1の製造方法を説明する。図2および図3は、FPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。なお、図2および図3は、図1のFPC基板1のA−A線から見た工程断面図である。
【0053】
まず、図2(a)に示すように、例えばポリイミドからなる絶縁膜20と例えば銅からなる導体膜30とからなる2層CCL(Copper Clad Laminate:銅張積層板)を用意する。絶縁膜20の厚みは例えば12.5μmであり、導体膜30の厚みは例えば12μmである。
【0054】
次に、図2(b)に示すように、導体膜30上に所定のパターンを有するエッチングレジスト22が形成される。エッチングレジスト22は、例えば、ドライフィルムレジスト等により導体膜30上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜を所定のパターンで露光し、その後、現像することにより形成される。
【0055】
次に、図2(c)に示すように、エッチングにより、エッチングレジスト22の下の領域を除く導体膜30の領域が除去される。次に、図2(d)に示すように、エッチングレジスト22を剥離液により除去する。これにより、絶縁膜20上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1参照)が形成される。なお、図2(d)には、集電部3c,3h、接続導体部3lおよび引き出し導体部3oのみが表される。
【0056】
スパッタ、蒸着またはめっき等の一般的な方法により絶縁膜20上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを形成してもよい。
【0057】
続いて、図3(e)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように絶縁膜20上にCNTを含有する樹脂組成物の塗布またはラミネートにより被覆膜60が形成される。被覆膜60の厚さは例えば20μmである。
【0058】
次に、図3(f)に示すように、被覆膜60を所定のパターンで露光し、その後、現像することにより、被覆層6a〜6n(図1(a)参照)が形成される。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。
【0059】
そして、図3(g)に示すように、絶縁膜20が所定の形状に切断されることにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0060】
なお、ベース絶縁層2の厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。ベース絶縁層2の厚さが1μm未満であると、FPC基板1の耐久性および取り扱い性が低下する。また、ベース絶縁層2の厚さが100μmを超えると、FPC基板1のフレキシブル性が低下するとともに、FPC基板1の小型化が困難になる。
【0061】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの厚さは、3μm以上35μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。被覆層6a〜6nの厚さは、5μm以上25μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下であることがより好ましい。
【0062】
さらに、図2および図3では、サブトラクティブ法によるFPC基板1の製造方法を示したが、これに限定されず、セミアディティブ法等の他の製造方法を用いてもよい。さらに、図2および図3では、露光法を用いて被覆層6a〜6nを形成する例を示したが、これに限定されず、印刷技術を用いて所定のパターンの被覆膜を形成し、その後、熱硬化処理を行うことに被覆層6a〜6nを形成してもよい。
【0063】
(4)FPC基板を用いた燃料電池
次に、上記のFPC基板1を用いた燃料電池について説明する。図4(a)は、FPC基板1を用いた燃料電池100の外観斜視図であり、図4(b)は、燃料電池100内における作用を説明するための図である。なお、図4(b)は、図4(a)の燃料電池100のB−B線から見た断面図である。
【0064】
図4(a)に示すように、燃料電池100は、半体31a,31bからなる直方体状の筐体31を有する。なお、図4(a)では、半体31aを破線により示している。FPC基板1は、被覆層6a〜6nが形成された一面を内側にして図1の折曲部B1に沿って折曲された状態で半体31a,31bにより狭持される。
【0065】
FPC基板1の引き出し電極5a,5bは、筐体31の外側に露出される。引き出し電極5a,5bには、種々の外部回路の端子が電気的に接続される。
【0066】
図4(b)に示すように、筐体31内において、複数(本実施の形態では5個)の電極膜35が、折曲されたFPC基板1の被覆層6aと被覆層6fとの間、被覆層6bと被覆層6gとの間、被覆層6cと被覆層6hとの間、被覆層6dと被覆層6iとの間、および被覆層6eと被覆層6jとの間にそれぞれ配置される。これにより、複数の電極膜35が直列接続される。なお、図4(b)には、被覆層6eおよび被覆層6jの間の電極膜35のみが表される。
【0067】
各電極膜35は燃料極35a、空気極35bおよび電解質膜35cからなる。燃料極35aは電解質膜35cの一面に形成され、空気極35bは電解質膜35cの他面に形成される。複数の電極膜35の燃料極35aはFPC基板1の被覆層6f〜6jにそれぞれ対向し、複数の電極膜35の空気極35bはFPC基板1の被覆層6a〜6eにそれぞれ対向する。
【0068】
各電極膜35の燃料極35aには、FPC基板1の開口H2,H12を通して燃料が供給される。なお、本実施の形態では、燃料としてメタノールを用いる。電極膜35の空気極35bには、FPC基板1の開口H1,H11を通して空気が供給される。
【0069】
この場合、複数の燃料極35aにおいて、メタノールが水素イオンと二酸化炭素とに分解され、電子が生成される。生成された電子は、FPC基板1の集電部3j(図1参照)から引き出し電極5bに導かれる。メタノールから分解された水素イオンは、電解質膜35cを透過して空気極35bに達する。複数の空気極35bにおいて、引き出し電極5aから集電部3a(図1参照)に導かれた電子を消費しつつ水素イオンと酸素とが反応し、水が生成される。このようにして、引き出し電極5a,5bに接続された外部回路に電力が供給される。
【0070】
(5)効果
上記実施の形態に係るFPC基板1においては、ベース絶縁層2上に設けられた集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの表面が被覆層6a〜6nにより被覆されている。また、被覆層6a〜6nはCNTを含むことにより導電性を有する。これにより、FPC基板1において、集電部3a〜3jと電極膜35との導電性を確保しつつ十分に高いフレキシブル性を得ることができる。
【0071】
被覆層6a〜6nは樹脂組成物100重量部に対して3重量部以上80重量部以下のCNTを含むことが好ましく、3重量部以上60重量部以下のCNTを含むことがより好ましく、5重量部以上50重量部以下のCNTを含むことがさらに好ましい。これにより、FPC基板1は、集電部3a〜3jと電極膜35との導電性を十分に確保しつつ十分に高いフレキシブル性を得ることができる。
【0072】
本実施の形態では、被覆層6a〜6nの樹脂組成物がエポキシ樹脂を含むので、被覆層6a〜6nのフレキシブル性が十分に向上する。これにより、FPC基板1を屈曲させて使用する場合でも、被覆層6a〜6nに亀裂が発生することがより十分に防止される。特に、ベース絶縁層2とともに屈曲される被覆層6k〜6nの破損が防止される。
【0073】
また、本実施の形態に係るFPC基板1においては、第1絶縁部2aおよびの集電部3a〜3eを貫通するように開口H1,H11が形成され、第2絶縁部2bおよび集電部3f〜3jを貫通するように開口H2,H12が形成される。これにより、開口H1,H11および開口H2,H12をそれぞれ通して空気およびメタノールを効率よく燃料電池100の電極膜35に供給することが可能になる。
【0074】
さらに、複数の電極膜35が被覆層6a〜6eと被覆層6f〜6jとの間にそれぞれ配置されることより、複数の電極膜35が直列に接続される。それにより、高い電圧を有する小型の燃料電池が実現される。
【0075】
また、燃料として供給されるメタノールがFPC基板1に接触する状態であっても、集電部3a〜3eおよび集電部3f〜3jの集電作用を阻害することなく、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの腐食を防止することができる。
【0076】
(6)他の実施の形態
上記実施の形態において、FPC基板1のベース絶縁層2の材料としてポリイミドが用いられたが、これに限定されない。例えば、ポリイミドに代えて、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリオレフィン、またはエポキシ等の他の絶縁材料を用いてもよい。
【0077】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの材料として銅が用いられたが、これに限定されない。例えば、銅に代えて金(Au)、銀、もしくはアルミニウム等の他の金属、または銅合金、金合金、銀合金もしくはアルミニウム合金等の合金を用いてもよい。
【0078】
CNTを含有する樹脂組成物は、分散機を用いてCNTの粉末を樹脂組成物に混合することにより生成されたが、これに限定されない。例えば、分散剤を用いて溶媒中に分散させたCNTを樹脂組成物に混合することにより、CNTを含有する樹脂組成物を生成してもよい。
【0079】
また、樹脂組成物はエポキシ樹脂を含有するが、これに限定されない。例えば、エポキシ樹脂に代えて、アクリル樹脂またはウレタン樹脂等の他の合成樹脂が含有されてもよい。
【0080】
上記実施の形態において、FPC基板1は5対の集電部(集電部3a,3f、集電部3b,3g、集電部3c,3h、集電部3d,3iおよび集電部3e,3j)を有するが、これに限定されない。FPC基板1の集電部の数は2対以上であれば、4対以下であってもよいし、6対以上であってもよい。これにより、任意の数の電極膜35を直列接続することができる。
【0081】
また、FPC基板1が1対の集電部を有してもよい。この場合、接続導体部3k〜3nは設けられない。
【0082】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0083】
上記実施の形態においては、ベース絶縁層2が絶縁層の例であり、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが導体層の例であり、被覆層6a〜6nが被覆層の例であり、FPC基板1が配線回路基板の例であり、第1絶縁部2aが第1の領域の例であり、第2絶縁部2bが第2の領域の例であり、集電部3a〜3eが複数の第1の導体部の例であり、集電部3f〜3jが複数の第2の導体部の例であり、接続導体部3k〜3nが接続導体部の例であり、被覆層6a〜6eが複数の第1の被覆部の例であり、被覆層6f〜6jが複数の第2の被覆部の例であり、被覆層6k〜6nが第3の被覆部の例であり、屈曲部B1が屈曲部の例であり、開口H1および開口H11が第1の貫通孔の例であり、開口H2および開口H12が第2の貫通孔の例であり、電極膜35が複数の電池要素の例であり、筺体31が筺体の例であり、燃料電池100が燃料電池の例である。
【0084】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0085】
(8)実施例
(8−1)実施例および比較例のFPC基板
以下の実施例1〜4および比較例1〜3では、異なる被覆層6a〜6nを有する図1のFPC基板1を作製した。
【0086】
実施例1〜4および比較例1〜3のFPC基板1においては、塩化第二鉄を用いて2層CCLをエッチングすることにより、ベース絶縁層2上に所定のパターンを有する集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成されている。また、実施例1〜4および比較例1〜3において、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上に形成される被覆層6a〜6nの厚さは20μmである。
【0087】
実施例1においては、MEK(Methyl Ethyl Ketone:メチルエチルケトン)に溶解させたエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部中に導電材料としてCNT5重量部を混合し、3本ロールにより混練した。
【0088】
次に、硬化剤である酸無水物(新日本理化株式会社製MH−700)8重量部および触媒であるイミダゾール(四国化成工業株式会社製2E4MZ)2重量部を混合することにより、CNTを含有する樹脂組成物を生成した。
【0089】
その後、印刷機を用いてCNTを含有する樹脂組成物を上記のFPC基板1の集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上に印刷し、樹脂組成物を乾燥および硬化させることにより被覆層6a〜6nを形成した。
【0090】
実施例2においては、エポキシ樹脂100重量部中に導電材料としてCNT20重量部を添加した点を除いて、実施例1の被覆層6a〜6nと同様の被覆層6a〜6nを形成した。
【0091】
実施例3のFPC基板1においては、エポキシ樹脂100重量部中に導電材料としてCNT60重量部を添加した点を除いて、実施例1の被覆層6a〜6nと同様の被覆層6a〜6nを形成した。
【0092】
実施例4においては、窒素雰囲気下でフェノキシエチルアクリレート250g、メタクリル酸100g、メタクリル酸メチル150g、触媒であるアゾビスイゾブチロニトリル8g、および溶剤であるエチルジグリコールアセテレート350gを5時間100℃で攪拌することによりアクリル樹脂を生成した。
【0093】
次に、生成されたアクリル樹脂70重量部、エチレン性不飽和基含有重合性化合物(新中村化学工業株式会社製BPE500)20重量部、リン酸基含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製FX305)17重量部および光開始剤(日本チバガイギー株式会社製Irgacure907)3重量部を混合することによりアクリル感光性樹脂を生成した。
【0094】
その後、生成されたアクリル感光性樹脂100重量部に対し、導電材料としてCNT5重量部を添加することにより、CNTを含有する樹脂組成物を生成した。
【0095】
さらに、生成されたCNTを含有するアクリル感光性樹脂組成物を上記のFPC基板1の集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p上に塗布、露光および現像することにより被覆層6a〜6nを形成した。
【0096】
比較例1においては、エポキシ樹脂100重量部中に導電材料として黒鉛20重量部を添加した点を除いて、実施例1の被覆層6a〜6nと同様の被覆層6a〜6nを形成した。
【0097】
比較例2においては、エポキシ樹脂100重量部中に導電材料として黒鉛40重量部を添加した点を除いて、実施例1の被覆層6a〜6nと同様の被覆層6a〜6nを形成した。
【0098】
比較例3においては、エポキシ樹脂100重量部中に導電材料として黒鉛40重量部およびCB(Carbon Black:カーボンブラック)4.5重量部を添加した点を除いて、実施例1の被覆層6a〜6nと同様の被覆層6a〜6nを形成した。
【0099】
(8−2)被覆膜の表面抵抗値およびフレキシブル性について
実施例1〜4および比較例1〜3の各FPC基板1の被覆層6a〜6nについて、表面抵抗値の測定および折り曲げ試験を行った。
【0100】
表面抵抗値の測定では、各FPC基板1の被覆層6a〜6nの表面抵抗をローレスター(三菱化学株式会社製)により測定した。
【0101】
また、折り曲げ試験では、被覆層6a〜6nが内側になるように、1kgの荷重を加えてFPC基板1を屈曲部B1に沿って折り曲げた後に、FPC基板1を平坦に戻した。次に、被覆層6a〜6nが外側になるように、1kgの荷重を加えてFPC基板1を屈曲部B1に沿って折り曲げた後に、FPC基板1を平坦に戻した。この折り曲げを3回繰り返した後、屈曲部B1の被覆層6k〜6nに亀裂が発生したか否かを光学顕微鏡により観察した。
【0102】
被覆層6a〜6nの表面抵抗値の測定結果および折り曲げ試験の結果を表1に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
表1に示すように、実施例1のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が10000Ω/□であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測されなかった。
【0105】
実施例2のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が250Ω/□であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測されなかった。
【0106】
実施例3のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が45Ω/□であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測されなかった。
【0107】
実施例4のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が9300Ω/□であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測されなかった。
【0108】
比較例1のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が10000000Ω/□以上であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測されなかった。
【0109】
比較例2のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が250000Ω/□以上であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測された。
【0110】
比較例3のFPC基板1においては、被覆層6a〜6nの表面抵抗が310Ω/□以上であった。また、折り曲げ試験の結果、被覆層6k〜6nに亀裂が観測された。
【0111】
実施例1〜4の結果から、被覆層6a〜6nにCNTを加えることにより、表面抵抗を十分に低減することができるとともに十分なフレキシブル性を得ることができることがわかった。特に、樹脂組成物100重量部に対し、導電材料として4.5重量部以上55重量部以下のCNTを加えた場合に、被覆層6a〜6nの表面抵抗を10000Ω/□以下に低減することができかつ被覆層6k〜6nにおける亀裂の発生を確実に防止することができる。
【0112】
一方、比較例1の結果から、樹脂組成物100重量部に対し、導電材料として18重量部の黒鉛を加えることにより、被覆層6a〜6nの十分なフレキシブル性を確保することができる反面、被覆層6a〜6nの表面抵抗を低減させることが困難になることがわかる。
【0113】
また、比較例2の結果から、樹脂組成物100重量部に対し、36重量部の黒鉛を加えることにより、被覆層6a〜6nの表面抵抗を低減させることが困難になるとともに被覆層6a〜6nの十分なフレキシブル性を確保することが困難になることがわかる。
【0114】
さらに、比較例3の結果から、樹脂組成物100重量部に対し、36重量部の黒鉛および4.5重量部のCBを加えることにより、被覆層6a〜6nの表面抵抗を低減させることができる反面、被覆層6a〜6nの十分なフレキシブル性を確保することが困難になることがわかる。
【0115】
上記の結果から、CNTを含有する樹脂組成物を用いて被覆層6a〜6nを形成することにより、被覆層6a〜6nの表面抵抗を低減させつつ被覆層6a〜6nの十分なフレキシブル性を得ることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、燃料電池に用いる種々の配線回路基板に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0117】
1 FPC基板
2 ベース絶縁層
2a 第1絶縁部
2b 第2絶縁部
2c 第3絶縁部
2d 第4絶縁部
3a〜3j 集電部
3k〜3n 接続導体部
3o,3p 引き出し導体部
5a,5b 引き出し電極
6a〜6n 被覆層
20 絶縁膜
22 エッチングレジスト
30 導体膜
31 筺体
31a,31b 半体
35 電極膜
35a 燃料極
35b 空気極
35c 電解質膜
60 被覆膜
100 燃料電池
B1 屈曲部
H1,H2,H11,H12 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に用いられる配線回路基板であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、
カーボンナノチューブを含み、前記導体層の表面を被覆する被覆層とを備えることを特徴とする配線回路基板。
【請求項2】
前記被覆層は樹脂組成物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記被覆層は、前記樹脂組成物100重量部に対して3重量部以上80重量部以下のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記樹脂組成物はエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項2または3記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記絶縁層は、一面および他面を有するとともに、互いに隣接する第1の領域および第2の領域を前記一面に有し、
前記導体層は、
前記絶縁層の前記第1の領域内に形成される複数の第1の導体部と、
前記絶縁層の前記第2の領域内に形成される複数の第2の導体部と、
前記複数の第1の導体部のいずれかと前記複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する接続導体部とを有し、
前記被覆層は、
前記複数の第1の導体部をそれぞれ被覆する複数の第1の被覆部と、
前記複数の第2の導体部をそれぞれ被覆する複数の第2の被覆部と、
前記接続導体部を被覆する第3の被覆部とを有し、
前記絶縁層は、前記第1の領域と前記第2の領域との間の屈曲部で前記複数の第1の導体部と前記複数の第2の導体部とがそれぞれ対向するように屈曲可能であり、
前記接続導体部は、互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続するように形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記絶縁層の前記第1の領域および前記導体層の前記複数の第1の導体部を貫通するように第1の貫通孔が形成され、
前記絶縁層の前記第2の領域および前記導体層の前記複数の第2の導体部を貫通するように第2の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項5記載の配線回路基板。
【請求項7】
配線回路基板と、
複数の電池要素と、
前記配線回路基板および前記複数の電池要素を収容する筺体とを備え、
配線回路基板は、
絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、
カーボンナノチューブを含み、前記導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、
前記絶縁層は、一面および他面を有するとともに、互いに隣接する第1の領域および第2の領域を前記一面に有し、
前記導体層は、
前記絶縁層の前記第1の領域内に形成される複数の第1の導体部と、
前記絶縁層の前記第2の領域内に形成される複数の第2の導体部と、
前記複数の第1の導体部のいずれかと前記複数の第2の導体部のいずれかとを電気的に接続する接続導体部とを有し、
前記被覆層は、
前記複数の第1の導体部をそれぞれ被覆する複数の第1の被覆部と、
前記複数の第2の導体部をそれぞれ被覆する複数の第2の被覆部と、
前記接続導体部を被覆する第3の被覆部とを有し、
前記絶縁層は、前記第1の領域と前記第2の領域との間の屈曲部で前記複数の第1の導体部と前記複数の第2の導体部とがそれぞれ対向するように屈曲可能であり、
前記接続導体部は、互いに対向しない第1および第2の導体部とを互いに接続するように形成され、
前記配線回路基板の前記絶縁層の前記第1の領域および前記第2の領域が前記一面を内側にして前記屈曲部に沿って屈曲された状態で、前記複数の第1の導体部を被覆する複数の第1の被覆部と前記複数の第2の導体部を被覆する複数の第2の被覆部との間に前記複数の電池要素がそれぞれ配置されることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−108525(P2011−108525A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263110(P2009−263110)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】