説明

配線基板およびその製造方法

【課題】樹脂フィルムがウェットブラストや液体ホーニング等のウェット処理による粗面化工程や、フォトレジストのパターン化工程、金属層のめっき工程等のウェット処理工程で、吸湿または吸液して導体パターン等に乱れを生じない配線基板を提供する。
【解決手段】 熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルム1を、ウェットブラスト処理または液体ホーニング処理により粗面化し、その粗面化された面に直接めっき法で導体層2を形成し、導体層2の表面に金めっき層3を形成するとともに、樹脂フィルム1にバイアホール5を形成して露出した導体層2に金めっき層6を形成した配線基板およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器等に用いられる配線基板に関し、より詳細には、片面配線基板、両面配線基板、ビルドアップ配線基板等のフィルムを多層に積層して形成した配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】各種電子機器の組み立てに用いられる配線基板として、従来はガラスエポキシ等の硬質基板に、銅箔等の導体層を接着した後、導体層を所望の回路配線パターン形状に加工したものが使用されてきたが、最近では樹脂フィルムを用いた配線基板が賞用されている。この種の配線基板としては、例えば特開平10−173303号公報に開示されている。そのような配線基板について、以下説明する。図7は従来の配線基板と、それを用いた半導体装置の縦断面図である。図7において、31はポリイミド樹脂等からなる樹脂シートで、その上に銅箔等の導体層32、32がパターン形成されている。33、33は前記導体層32、32の上に必要により形成された金めっき層、34は前記金めっき層33、33を一部露出させて周囲部分を覆っているソルダーレジスト層、35、35は前記樹脂シート31に穿設したバイアホール、36、36はバイアホール35、35に露出する導体層32、32に形成された金めっき層で、前記樹脂シート31ないし金めっき層36、36で配線基板を形成している。図中2点鎖線で示す37は前記配線基板のソルダーレジスト層34の上に組み付けられる電子部品、例えば半導体チップ、同じく2点鎖線で示す38、38は前記表面側の金めっき層33と半導体チップ37の電極との間を接続するボンデイングワイヤ、39、39は半導体チップ37およびボンデイングワイヤ39、39を被覆する封止樹脂である。40はバイアホール35、35から露出する金めっき層36、36に必要に応じて設けられた半田ボールである。上記の構成において、樹脂フィルム31の材質として、例えば前記の特開平10−173303号公報では、弾性率が500kg/mm2以上、熱膨張係数が1.5×10-5/℃以下、湿度膨張係数が1.2×10-5/%RH以下、水蒸気透過率が15g/m2/mil・day以下、吸水率が2%以下、融点が280℃以下であるポリエチレンナフタレートフィルムを用い、この樹脂フィルム上に導体回路が接着剤層を介して積層一体化された配線基板が開示されている。
【0003】ところが、上記配線基板では、上記諸特性を有する樹脂フィルム31と導体層32、32とが接着剤層を介して積層一体化されており、製造が煩雑であるのみならず、ウェット処理を実施すると、この接着剤層が剥離するばかりでなく、樹脂フィルム31自体の吸水率や水蒸気透過率が大きいため、水分または湿気の浸入により素子の劣化を生じたり、半田リフロー時に水分の瞬時の蒸発による気泡の発生(ポップコーン現象)が往々にして起こるという問題がある。すなわち、本発明者らは、先に樹脂フィルムをウェットブラスト処理して、その表面を0.1〜10μmの表面粗度にすることにより、接着剤層を介することなく導体層を直接めっきで形成する技術を開発したが、上記の樹脂フィルムでは、上記新開発の技術を適用することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ウェットブラスト処理や液体ホーニング処理に耐え得る配線基板を提供することを目的とする。本発明はまた、上記の配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の配線基板は、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく一体化されていることを特徴とするものである。本発明の配線基板の製造方法は、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂シートをウェットブラスト処理または液体ホーニング処理して粗面化し、この粗面に対して直接導体層を無電解めっきにより形成することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく積層一体化されていることを特徴とする配線基板である。
【0007】本発明の請求項2記載の発明は、前記樹脂フィルムが、液晶ポリマ,芳香族ポリエステル,液晶ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱硬化性または熱可塑性の樹脂からなる請求項1記載の配線基板である。
【0008】本発明の請求項3記載の発明は、前記樹脂フィルムの導体層形成表面が粗面であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線基板である。
【0009】本発明の請求項4記載の発明は、前記導体層が、無電解めっき層単独または無電解めっき層の上に電解めっき層を積層形成したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の配線基板請求項1記載の配線基板である。
【0010】本発明の請求項5記載の発明は、前記導体層が、銅よりなる請求項1ないし請求項4記載の配線基板である。
【0011】本発明の請求項6記載の発明は、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムに、ウェットブラスト処理または液体ホーニング処理を施して粗面化する工程と、その粗面化された面に導体層をめっき形成する工程とを含むことを特徴とする、樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく積層一体化されている配線基板の製造方法である。
【0012】本発明の請求項7記載の発明は、前記導体層を、樹脂フィルム上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジスト層に回路配線のパターン形状の窓孔を形成する工程と、前記窓孔から露出する樹脂フィルム上に無電解めっき法または無電解めっき層上に電解めっき法にて金属層を形成する工程とによって形成することを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法である。
【0013】本発明の請求項8記載の発明は、前記導体層を、樹脂フィルム上に無電解めっきによる金属薄膜を形成する工程と、前記金属薄膜上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジスト層に回路配線のパターン形状の窓孔を形成する工程と、前記フォトレジスト層の窓孔から露出する金属薄膜上に無電解めっき法または電解めっき法にて金属層を形成する工程と、前記金属薄膜上のフォトレジスト層を除去する工程と、前記フォトレジスト層の除去により露出した金属薄膜を除去する工程とによって形成することを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法である。
【0014】
【実施例】本発明の実施例について、以下、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の配線基板Aの断面図である。図1において、1は熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である厚さが25〜50μm程度の樹脂フィルムで、例えば、全芳香族ポリエステル液晶ポリマが用いられる。全芳香族ポリエステル液晶ポリマは、例えば、K社製のNP/CTで、熱膨張係数が15〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が0.13g・20μ/m2・day(40℃,90%RH)、吸水率が0.04%(23℃,24H )、融点が280℃(NPタイプ)および325℃(CTタイプ)の諸特性を有する。2はその上に接着剤層を介することなく形成された銅箔等の厚さが18μm程度の導体層である。3は前記導体層2の上に必要により形成された厚さが1.0〜2μm程度の金めっき層単独層または厚さが2μm程度のニッケルめっき層の上に厚さが0.5〜1.0μm程度の金めっき層3を積層形成したものである。4は前記金めっき層3を一部露出させて周囲部分を覆っているソルダーレジスト層、5は前記樹脂シート1に穿設したバイアホール、6はバイアホール5に露出する導体層2に形成された厚さが1.0〜2μm程度の金めっき層単独層または厚さが2μm程度のニッケルめっき層の上に厚さが0.5〜1.0μm程度の金めっき層3を積層形成したものである。以上が本発明の配線基板の実施例である。
【0015】図中2点鎖線で示す7は、前記配線基板上に組み付けられる電子部品、例えば半導体チップ、同じく2点鎖線で示す8、8は前記表面側の金めっき層3と半導体チップ7の電極との間を接続するボンデイングワイヤ、9は前記半導体チップ7およびボンデイングワイヤ8、8を被覆している封止樹脂である。10はバイアホール5の金めっき層6に必要に応じて設けられた半田ボールである。
【0016】上記構成の配線基板によれば、樹脂フィルム1の吸水率が0.04%(23℃,24H )と、従来のポリイミド樹脂フィルムの吸水率2.9%(23℃,24H )に比較して約70分の1であり、これに伴って、ウェットブラスト処理または液体ホーニング処理工程や、その後のフォトレジストのパターン化やウェットめっき処理工程における吸湿寸法変化率は4×10−6/℃(RH)と、従来のポリイミド樹脂フィルムの吸湿寸法変化率22×10−6/℃(RH)と比較して約5分の1に低減でき、回路配線パターンの変形等が生じない配線基板が提供できる。
【0017】次に、本発明の配線基板およびそれを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図2(a)〜(m)は本発明の配線基板およびそれを用いた半導体装置の製造方法の工程ブロック図で、図3(a)〜(g)および図4(h)〜(m)は前記各工程における状態を示す縦断面図である。以下、上記図2(a)〜(m)および図3(a)〜(g)および図4(h)〜(m)を用いて本発明の配線基板Aおよびそれを用いた半導体装置の製造方法について説明する。まず、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である厚さが25〜50μmの液晶ポリマからなる樹脂フィルム1を用意する[図2(a)、図3R>3(a)]。この樹脂フィルム1の表面は、図3(a)中の円内に一部拡大して示すように平滑であるため、この表面に直接無電解めっき法で導体層を形成することはできない。そこで、前記樹脂フィルム1の表面をウェットブラスト処理または液体ホーニング処理して、表面粗度が0.1〜10μm程度、好ましくは1〜5μm程度に粗面化する[図2(b)、図3(b)]。このウェットブラスト処理または液体ホーニング処理は、例えば粒径が10〜300μm以下で硬度がヌープ硬度で1300〜2500の範囲(またはモース硬度で7〜15の範囲)の多角状の砥粒を用いて、ポンプ圧力1〜5kg/cm2、砥粒と液体との比率は5〜40vol%程度の条件で実施する。次に、この粗面化した樹脂フィルム1に直接無電解銅めっきを施して、あるいは無電解銅めっきを施した後電解銅めっきを施して、厚さ15〜20μm程度の導体層20を形成する[図2(c)、図3(c)]。次に、この導体層20の上に所望パターンのフォトレジスト層11、11を形成し[図2(d)、図3R>3(d)]、フォトレジスト層11、11に覆われていない導体層20をドライまたはウェットプロセスにより選択的にエッチング除去して、所望のパターンの回路配線となる導体層2、2を形成し[図2(e)、図3(e)]、フォトレジスト層11、11を除去する[図2R>2(f)、図3(f)]。次に、樹脂フィルム1の表面および表面に所望パターンのフォトレジスト層12、13を形成してから[図2(g)、図3(g)]、樹脂フィルム1をドライまたはウェットプロセスで選択エツチングして、バイアホール5、5を形成して、このバイアホール5、5から導体層2、2の一部を露出させる[図2R>2(h)、図4(h)]。次に、前記表面および裏面のフォトレジスト層12、13を利用して、フォトレジスト層12の窓孔12aから露出する導体層2、2およびフォトレジスト層13とバイアホール5から露出する導体層2、2に、フルアディティブ法またはセミアディティブ法により金属層、例えば金めっき層3、3および6、6を形成する[図2(i)、図4(i)]。以上で、本発明の配線基板が製作される。
【0018】次に、上記配線基板の表面および裏面のフォトレジスト層12、13を除去して[図2(j)、図4R>4(j)]、表面にソルダレジスト層4を形成する。[図2(k)、図4(k)]。この後、表面のソルダレジスト層4の上に、電子部品の一例として、例えば半導体チップ7をマウントし、表面の金めっき層3、3と半導体チップ7の電極との間を、ボンディングワイヤ8、8でボンディングし、半導体チップ7およびボンディングワイヤ8、8部分を封止樹脂9で封止する[図2(l)、図4(l)]。次に、所望により、前記バイアホール5から露出する導体層2、2に形成した金めっき層6、6に、半田ボール10、10を形成する[図2(m)、図4(m)]。以上により、図1に示した本発明の配線基板およびそれを用いた半導体装置が得られる。
【0019】以上の諸製造工程のうち、[図2(b)、図3(b)]のウェットブラスト処理または液体ホーニング処理工程を始め、各種エッチング工程やめっき工程等のウェット処理工程において、樹脂フィルム1として前述の特性のものを用いているため、処理液の吸収が少なく、樹脂フィルム1の膨潤による不都合は生じない。
【0020】なお、上記実施例においては、導体層2を前記[(図2(d)、図3(d)]ないし[図2(f)、図3(f)]の工程による、いわゆるエッチング法で形成する場合について説明したが、導体層2を必要としない部分に所望パターンのフォトレジスト層形成後にその上から導体層20を形成し、その後フォトレジスト層をその上の導体層20とともに除去する、いわゆるリフトオフ法で所望パターンの導体層20,20を形成するようにしてもよい。
【0021】また、上記実施例においては、前記[図2(g)、図3(g)]において、フォトレジスト層12に窓孔12aを穿設した状態で樹脂フィルム1にバイアホール5、5を形成する場合について説明したが、バイアホール5、5の形成に用いる処理液等で導体層2、2がダメージを受けるような場合は、フォトレジスト層12に窓孔12aを形成する前に、バイアホール5、5を穿設し、その後にフォトレジスト層12に窓孔12aを形成するようにしてもよい。
【0022】図5(a)〜(d)は、本発明の配線基板における導体層の形成方法の別の実施例を示す各工程の縦断面図である。まず、樹脂フィルム1を用意し[図5(a)]し、その表面を粗面化した後、表面にフォトレジスト層21を形成し、このフォトレジスト層21を所望の回路配線パターンに除去する[図5(b)]。次に、前記フォトレジスト層21を除去した窓孔から露出している樹脂フィルム1の粗面に、無電解銅めっき単独で、または無電解銅めっきの上に電解銅めっきを積層して、導体層220を形成する[図5(c)]。次に、前記フォトレジスト層21を除去すると、所望パターンの導体層22が形成される[図5(d)]。
【0023】図6(a)〜(d)は、本発明の配線基板における導体層の形成方法のさらに別の実施例を示す各工程の縦断面図である。まず、樹脂フィルム1を用意し[図6(a)]し、その表面を粗面化した後、表面に無電解銅めっきにより厚さ0.1〜0.5μmの銅薄膜230を形成する[図6(b)]。次に、前記銅薄膜230の上にフォトレジスト層24を形成し、このフォトレジスト層24を所望の回路配線パターンに除去する[図6R>6(c)]。次に、前記フォトレジスト層24を除去した窓孔から露出している銅薄膜230の上に、電解銅めっきにより銅層231を積層形成する[図6(d)]。次に、前記フォトレジスト層24を除去すると、所望パターンの銅層231と、それ以外の部分に不所望の銅薄膜230が露出する[図6(e)]。次に、前記不所望の銅薄膜230を除去すると、所望パターンの導体層23が形成される[図6(f)]。
【0024】本発明において、樹脂フィルムの熱膨張係数を5〜20×10−6/℃に限定するのは、従来、配線基板として用いられていたアルミナセラミックおよびガラスエポキシの熱膨張係数がそれぞれ6.8×10−6/℃および15〜18×10−6/℃であるため、これらの材料の代替用途を許容するためである。また、本発明において、樹脂フィルムの水蒸気透過率を1g・20μ/m2・day以下に限定するのは、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・dayを超えると、樹脂フィルムの水蒸気透過による回路配線パターンの変形や配線基板にマウントする電子部品等の特性変動が許容できなくなるためである。なお、ポリテトラフルオロエチレンの水蒸気透過率は0.5〜1.0g・20μ/m2・dayであるため、これを用いることができる。さらに、本発明において、樹脂フィルムの吸水率を0.1%以下に限定するのは、吸水率が0.1%を超えると、樹脂フィルムの膨潤による回路配線パターンの変形量が許容できなくなるためである。なお、ポリテトラフルオロエチレンの吸水率は0.01%であるため、これを用いることができる。さらにまた、本発明において、樹脂フィルムの融点を260℃以上好ましくは300℃以上に限定するのは、半田ボール形成や配線基板のプリント基板等へのマウント等の加熱工程に耐え得るためである。
【0025】
【発明の効果】本発明は以上のように、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく直接一体化されていることを特徴とする配線基板であるから、ウェットブラスト処理や液体ホーニング処理による粗面化工程、各種フォトレジストのパターン化やめっき処理にウェット処理を採用しても、樹脂フィルムが吸湿または吸水して膨潤することに起因する回路配線パターンが乱れるといったことのない配線基板が提供できる。本発明はまた、熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムに、ウェットブラスト処理または液体ホーニング処理を施して粗面化する工程と、その粗面化された面に直接に導体層をめっき形成する工程を含むことを特徴とする、樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく一体化されている配線基板の製造方法であるから、樹脂フィルムをウェットブラスト処理または液体ホーニング処理を施して粗面化して、この粗面化された面に直接導体層をめっき法で形成できる他、フォトレジストのパターン化やめっき層形成工程に各種ウェット処理を樹脂フィルムに悪影響を与えることなく実施できるという製造方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の配線基板とそれを用いた半導体装置の縦断面図
【図2】 図1の配線基板とそれを用いた半導体装置の製造方法について説明する工程ブロック図
【図3】 図1の配線基板とそれを用いた半導体装置の製造方法について説明する一連の工程の内、前半の各工程における状態の縦断面図
【図4】 図1の配線基板とそれを用いた半導体装置の製造方法について説明する一連の工程の内、後半の各工程における状態の縦断面図
【図5】 本発明の配線基板の別の製造方法について説明する各工程における縦断面図
【図6】 本発明の配線基板のさらに別の製造方法について説明する各工程における縦断面図
【図7】 従来の配線基板とそれを用いた半導体装置の縦断面図
【符号の説明】
1 樹脂フィルム
2、22、23 導体層
3 金めっき層
4 ソルダレジスト層
5 バイアホール
6 金めっき層
7 半導体チップ
8 ボンディングワイヤ
9 封止樹脂
10 半田ボール
11、21、24、 フォトレジスト層
20、220、230 導体層(パターン化前)

【特許請求の範囲】
【請求項1】熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく直接一体化されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】前記樹脂フィルムが、液晶ポリマ,芳香族ポリエステル,液晶ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱硬化性または熱可塑性の樹脂からなる請求項1記載の配線基板。
【請求項3】前記樹脂フィルムの導体層形成表面が粗面であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の配線基板。
【請求項4】前記導体層が、無電解めっき層単独または無電解めっき層の上に電解めっき層を積層形成したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の配線基板。
【請求項5】前記導体層が、銅よりなる請求項1ないし請求項4記載の配線基板。
【請求項6】熱膨張係数が5〜20×10-6/℃、水蒸気透過率が1g・20μ/m2・day以下、吸水率が0.1%以下、融点が260℃以上である樹脂フィルムに、ウェットブラスト処理または液体ホーニング処理を施して粗面化する工程と、その粗面化された面に導体層をめっき形成する工程とを含むことを特徴とする、樹脂フィルムと導体層とが接着剤を介することなく積層一体化されている配線基板の製造方法。
【請求項7】前記導体層を、樹脂フィルム上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジスト層に回路配線のパターン形状の窓孔を形成する工程と、前記窓孔から露出する樹脂フィルム上に無電解めっき法または無電解めっき層上に電解めっき法にて金属層を形成する工程とによって形成することを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】前記導体層を、樹脂フィルム上に無電解めっきによる金属薄膜を形成する工程と、前記金属薄膜上にフォトレジスト層を形成する工程と、前記フォトレジスト層に回路配線のパターン形状の窓孔を形成する工程と、前記フォトレジスト層の窓孔から露出する金属薄膜上に無電解めっき法または電解めっき法にて金属層を形成する工程と、前記金属薄膜上のフォトレジスト層を除去する工程と、前記フォトレジスト層の除去により露出した金属薄膜を除去する工程とによって形成することを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−223804(P2000−223804A)
【公開日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−19760
【出願日】平成11年1月28日(1999.1.28)
【出願人】(000156950)関西日本電気株式会社 (26)
【Fターム(参考)】