説明

配線基板およびその製造方法

【課題】電気検査用のプローブを半導体素子接続パッドに良好に接触させることが可能であるとともに、半導体素子の電極と半導体素子接続パッドとを良好に接続することが可能であり、かつ配線導体と保護用の樹脂層とが強固に密着し、両者間に剥がれが発生することが有効に防止された配線基板を提供すること。
【解決手段】絶縁基板1の上面に複数の半導体素子接続パッド6を含む配線導体3が埋入されているとともに絶縁基板1の上面および配線導体3上に半導体素子接続パッド6およびその周囲の絶縁基板1を露出させる樹脂層4が被着されて成る配線基板であって、配線導体3は樹脂層4の絶縁基板1側の面にセミアディティブ法により被着形成されたものであり、樹脂層4およびその下の絶縁層2の一部が半導体素子接続パッド6の上面より低い位置まで除去されて半導体素子接続パッド6およびその周囲の絶縁基板1が露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等を搭載するために用いられる配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子を搭載するための配線基板を製造する方法として、剛性を有する平坦な支持基板上に金属箔を剥離可能に支持するとともにその金属箔上に絶縁層と導体層とを交互に積層して金属箔を含む配線基板用の積層体を形成した後、その積層体を支持基板と金属箔の間から剥離することにより支持基板から分離し、しかる後、金属箔をサブトラクティブ法によりエッチングして半導体素子の電極に接続される半導体素子接続パッドを含む配線導体を形成し、最後に積層体の表面に半導体素子接続パッドを露出させる開口部を有する保護用の樹脂層であるソルダーレジスト層を被着させることにより多層で薄型の配線基板を製造する方法が知られている。あるいは、支持基板上に支持された金属箔の表面に半導体素子の電極に接続される半導体素子接続パッドを含む配線導体をセミアディティブ法により形成し、次にその上に絶縁層と導体層とを交互に積層して金属箔を含む積層体を形成した後、その積層体を支持基板と金属箔の間から剥離することにより支持基板から分離し、しかる後、金属箔を全面エッチング除去し、最後に積層体の表面に半導体素子接続パッドを露出させる開口部を有する保護用の樹脂層であるソルダーレジスト層を被着させることにより多層で薄型の配線基板を製造する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、初めに述べた方法によると、半導体素子接続パッドを含む配線導体がサブトラクティブ法により形成されるため、例えば幅および間隔が30μm以下の微細な半導体素子接続パッドを含む配線導体を形成することが困難である。また、後から述べた方法によると、半導体素子接続パッドを含む配線導体はセミアディティブ法で形成されるため、幅および間隔が例えば20μm以下の微細な半導体素子接続パッドを含む配線導体を形成することが可能であるが、銅箔をエッチング除去する際にその下の配線導体もエッチングされるので半導体素子接続パッドを含む配線導体がその周囲の絶縁層の表面から凹んでしまうとともに配線導体が不均一にエッチングされて半導体素子接続パッドの高さにばらつきが発生する。半導体素子接続パッドが絶縁層の表面から凹んでいると、例えば電気検査用のプローブを半導体素子接続パッドに接触させることが困難になる。また、半導体素子接続パッドの高さにばらつきがあると、半導体素子接続パッドと半導体素子の電極との接続が困難になる。さらに、配線導体とソルダーレジスト層とは配線導体表面の微細な凹凸にソルダーレジスト層の樹脂がかみ合うアンカー効果によりその密着が保たれており、両者のかみ合いが十分でないと、例えば半導体素子を搭載する際にフラックスを用いて半導体素子の電極と半導体素子接続パッドとを半田接合すると、フラックスがソルダーレジスト層と配線導体との間に滲入して両者間に剥がれが発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−218450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、例えば幅および間隔が20μm以下の微細な半導体素子接続パッドを含む配線が絶縁層の表面から凹むことなく均一な高さで絶縁層表面に埋設されており、それにより電気検査用のプローブを半導体素子接続パッドに良好に接続することが可能であるとともに、半導体素子の電極と半導体素子接続パッドとを良好に接続することが可能であり、かつ配線導体と保護用の樹脂層とが強固に密着し、両者間に剥がれが発生することが有効に防止された配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配線基板は、樹脂を含有する単層または多層の絶縁層から成る絶縁基板の上面に半導体素子の電極に接続される複数の半導体素子接続パッドを含む配線導体が埋入されているとともに前記絶縁基板の上面および前記配線導体上に前記半導体素子接続パッドおよび該半導体素子接続パッド間の前記絶縁基板を露出させる樹脂層が被着されて成る配線基板であって、前記配線導体は前記樹脂層の前記絶縁基板側の面にセミアディティブ法により被着形成されたものであり、前記樹脂層およびその下の前記絶縁層の一部が前記半導体素子接続パッドの上面より低い位置まで除去されて前記半導体素子接続パッドおよび該半導体素子接続パッド間の前記絶縁基板が露出していることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の配線基板の製造方法は、樹脂層を準備する工程と、前記樹脂層の一方の主面に半導体素子の電極に接続される半導体素子接続パッドを含む配線導体をセミアディティブ法により被着形成する工程と、前記一方の主面および前記配線導体上に樹脂を含有する単層または多層の絶縁層を積層する工程と、前記樹脂層の他方の主面側から該樹脂層の一部をブラスト加工またはレーザ加工により除去して前記半導体素子接続パッドを含む配線導体の一部を露出させる工程とを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線基板によれば、半導体素子接続パッドを含む配線導体はセミアディティブ法により形成されていることから、例えば幅および間隔が20μm以下の微細な半導体素子接続パッドを形成することができる。また、配線基板の上面および配線導体上に被着された樹脂層が半導体素子接続パッドの上面より低い位置まで除去されて半導体素子接続パッドおよびその間の絶縁基板が露出していることから、半導体素子接続パッドがその周囲の絶縁層の表面から高い位置に突出した状態となるので、半導体素子接続パッドに電気検査用のプローブを良好に接触させることができる。また、半導体素子接続パッドの高さが均一となるので、半導体素子の電極と半導体素子接続パッドとを良好に接続することができる。さらに、半導体素子接続パッドを含む配線導体は絶縁基板上の樹脂層における絶縁基板側の面にセミアディティブ法により被着形成されていることから、樹脂層に強固に密着し、樹脂層との間に剥がれが発生することがない。
【0009】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、半導体素子接続パッドを含む配線導体はセミアディティブ法により形成されることから、例えば幅および間隔が20μm以下の微細な半導体素子接続パッドを形成することができる。また、樹脂層の一部をブラスト加工またはレーザ加工により除去して半導体素子接続パッドを含む配線導体の一部を露出させることから、半導体素子接続パッドがその周囲の絶縁層の表面から高い位置に突出した状態となる。したがって、半導体素子接続パッドに電気検査用のプローブを良好に接触させることが可能な配線基板を提供することができる。また、半導体素子接続パッドの高さが均一となるので、半導体素子の電極と半導体素子接続パッドとを良好に接続することが可能な配線基板を提供することができる。さらに、半導体素子接続パッドを含む配線導体は絶縁基板上の樹脂層における絶縁基板側の面にセミアディティブ法により被着形成されていることから、樹脂層に強固に密着し、樹脂層との間に剥がれが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の配線基板の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示す配線基板の要部上面図である。
【図3】図3は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図4】図4は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図5】図5は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図6】図6は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図7】図7は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図8】図8は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図9】図9は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図10】図10は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図11】図11は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図12】図12は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図13】図13は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図14】図14は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図15】図15は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図16】図16は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図17】図17は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図18】図18は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図19】図19は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図20】図20は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図21】図21は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図22】図22は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図23】図23は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図24】図24は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【図25】図25は、図1に示す配線基板を製造する製造方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の配線基板の実施形態の一例を添付の図を基に説明する。図1は本発明の配線基板の一例を示しており、1は絶縁基板、2は絶縁層、3は配線導体、4は樹脂層である。複数の絶縁層2が積層されることにより、絶縁基板1が形成されている。
【0012】
絶縁基板1は、この例では3層の絶縁層2を積層して成る。各絶縁層2は、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂中に酸化ケイ素粉末等の無機絶縁性フィラーを分散させた電気絶縁材料から成る。あるいは、ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料であってもよい。各絶縁層2の厚みは25〜60μm程度である。各絶縁層2には、ビアホール5が形成されている。ビアホール5の直径は例えば30〜100μm程度である。
【0013】
配線導体3は、絶縁層2および樹脂層4の表面にセミアディティブ法により被着されている。配線導体3は無電解めっき層3aと電解めっき層3bとから形成されており、その厚みは5〜20μm程度である。セミアディティブ法は、絶縁層2や樹脂層4の表面に厚みが0.1〜1μm程度の無電解めっき層3aを被着させ、次にその無電解めっき層3aの表面に配線導体3に対応した開口パターンを有するめっきレジスト層を被着し、次にめっきレジスト層の開口パターン内に露出した無電解めっき層3a上に厚みが5〜20μm程度の電解めっき層3bを被着させ、最後にめっきレジスト層を除去した後、電解めっき層3bから露出する無電解めっき層3aをエッチングして除去することにより配線導体3を形成する方法である。セミアディティブ法では、厚みが0.1〜1μm程度の無電解めっき層3aをエッチング除去することで配線導体3を形成できるため、配線導体3のパターン自体が大きくエッチングされることがなく、例えば20μm以下の線幅および間隔の配線導体3を形成することができる。無電解めっき層3aおよび電解めっき層3bとしては、銅めっき層が好適に採用される。
【0014】
絶縁基板1の上面およびこの上面に被着された配線導体3上には、樹脂層4が被着されている。樹脂層4の厚みは5〜10μm程度である。樹脂層4は、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含み、ガラスクロスや感光剤を含まない電気絶縁材料から成る。樹脂層4には、配線導体3の一部を露出させる開口部4aが形成されている。開口部4aから露出した配線導体3は、半導体素子の電極に接続される半導体素子接続パッド6を形成している。この半導体素子接続パッド6は、図2に示すように、20μm以下の幅および間隔で多数が横に並んで形成されている。開口部4aはこれらの複数の半導体素子接続パッド6およびそれらの間の絶縁基板1を露出させるように開口している。この開口部4aは、樹脂層4の一部をブラスト加工やレーザ加工により取り除くことによって形成されている。
【0015】
さらに、樹脂層4の上面および絶縁基板1の下面には、ソルダーレジスト層7が被着されている。ソルダーレジスト層7はアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する熱硬化性樹脂に酸化ケイ素粉末等の無機絶縁性フィラーを分散させた電気絶縁材料から成る。ソルダーレジスト層7の厚みは10〜30μm程度である。樹脂層4上のソルダーレジスト層7には、開口部4aに対応した開口部7aが形成されている。下面側のソルダーレジスト層7には、絶縁基板1下面に被着した配線導体3の一部を露出させる開口部7bが形成されている。開口部7bから露出した配線導体3は、外部電気回路基板に接続される外部接続パッド8を形成している。この外部接続パッド8は直径が250〜500μm程度であり、多数が格子状の配列に並んで形成されている。
【0016】
本例の配線基板においては、絶縁基板1の上面に形成された配線導体3は、樹脂層4の絶縁基板1側の面にセミアディティブ法により形成されたものから成る。そのため絶縁基板1の上面に形成された配線導体3は、樹脂層4に対して電気化学的に強固に被着している。また樹脂層4が感光剤等を含まないことから、配線導体3との密着が強い。したがって、例えば半導体素子を搭載する際にフラックスを用いて半導体素子の電極と半導体素子接続パッド6とを半田接合しても、フラックスが樹脂層4と配線導体3との間に滲入して両者間に剥がれが発生することはない。
【0017】
さらに、絶縁基板1の上面に形成された配線導体3は、最上層の絶縁層2の表面に埋入されている。これにより絶縁基板1の上面に形成された配線導体3は、その間が絶縁層2により充填された状態となり、隣接する半導体素子接続パッド6間の電気的な絶縁信頼性が高いものとなっている。
【0018】
半導体素子接続パッド6を露出させる開口部4aは、上述したように樹脂層4の一部をブラスト加工やレーザ加工により取り除くことによって形成されている。ブラスト加工やレーザ加工においては、金属から成る配線導体3に比べて樹脂を含む電気絶縁材料から成る絶縁層2をより多く除去する。その結果、半導体素子接続パッド6の周りの絶縁層2が半導体素子接続パッド6の上面より低い位置まで除去される。したがって、半導体素子接続パッド6がその周囲の絶縁層2の表面から高い位置に突出した状態となるので、半導体素子接続パッド6に電気検査用のプローブを良好に接触させることができる。また、ブラスト加工やレーザ加工では、配線導体3の表面が均一に削れるため半導体素子接続パッド6の高さに大きなばらつきが発生することがない。したがって、半導体素子の電極と半導体素子接続パッド6とを良好に接続することができる。
【0019】
次に、本発明の配線基板の製造方法について、上述した配線基板を製造する場合を例にとって説明する。
【0020】
まず、図3に示すように、支持基板11と、プリプレグ12と、キャリア付き銅箔13と、樹脂層付き銅箔14とを準備する。支持基板11とプリプレグ12と樹脂付き銅箔14は平面視で同じ大きさとし、キャリア付き銅箔13はそれよりも小さいものとする。
【0021】
支持基板11は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた板状体である。支持基板11の厚みは0.2〜0.8mm程度である。支持基板11は、必要な剛性や熱膨張率を有していれば、他の材料を用いることもできる。
【0022】
プリプレグ12は、ガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化させた板状体である。プリプレグ12の厚みは70〜200μm程度である。
【0023】
キャリア付き銅箔13は、厚みが20〜100μm程度の樹脂フィルムや銅箔から成るキャリアシート13aの片面に厚みが2〜18μm程度の銅箔13bを両者間で剥離可能に貼り合わせたものである。
【0024】
樹脂層付き銅箔14は、厚みが2〜18μm程度の銅箔14aの片面にプライマー樹脂と呼ばれる樹脂層4を被着させたものである。樹脂層4は、例えばエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含み、ガラスクロスや感光剤を含まない半硬化状態の電気絶縁材料である。樹脂層4は、その表面を過マンガン酸ナトリウム等を含む粗化液で微細に粗化できる材料を選択することが好ましい。
【0025】
次に、図4に示すように、支持基板11、プリプレグ12、キャリア付き銅箔13、樹脂層付き銅箔14を重ねて上下から加圧しながら加熱してプリプレグ12および樹脂層4を熱硬化させることにより積層一体化させる。
【0026】
次に、図5に示すように、銅箔14aの中央部をエッチング除去する。これにより、樹脂層4の中央部が露出する。
【0027】
次に、図6に示すように、樹脂層4の露出面に無電解めっき層3aを被着する。無電解めっき層3aの厚みは、0.1〜1μm程度である。無電解めっき層3aとしては、無電解銅めっき層が好適に用いられる。なお、無電解めっき層3aを被着する前に樹脂層4の露出面を例えば過マンガン酸カリウムを含む粗化液を用いて粗化することが好ましい。粗化により、無電解めっき層3aと樹脂層4との密着を物理的および電気化学的結合により極めて強固なものとすることができる。
【0028】
次に図7に示すように、無電解めっき層3aの表面に、半導体素子接続パッド6を含む最上層の配線導体3に対応するパターンの開口部を有するめっきレジスト層15を形成する。めっきレジスト層15の厚みは、10〜30μm程度である。
【0029】
次に、図8に示すように、めっきレジスト15から露出する無電解めっき層3aの表面に、電解めっき層3bを被着する。電解めっき層3bの厚みは、5〜20μm程度である。電解めっき層3bとしては、電解銅めっき層が好適に用いられる。
【0030】
次に、図9に示すように、めっきレジスト層15を剥離して除去する。これにより、配線導体3となる部分以外の無電解めっき層3aが電解めっき層3bから露出する。
【0031】
次に、図10に示すように、電解めっき層3bから露出する無電解めっき層3aをエッチング除去する。これにより、無電解めっき層3aと電解めっき層3bとから成る配線導体3が樹脂層4上に被着形成される。この方法は、いわゆるセミアディティブ法と呼ばれる配線導体の形成方法である。この方法の場合、無電解めっき層3aをエッチング除去する際に電解めっき層3bの表面も同時にエッチングされるが、厚みが0.1〜1μm程度の薄い無電解めっき層3aを除去するだけの時間エッチングすればよいので、配線導体3のパターン自体が大きくエッチングされることはない。したがって、例えば20μm以下の線幅および間隔の配線導体3を形成することができる。
【0032】
次に、図11に示すように、銅箔16付きの絶縁層2を樹脂層4および配線導体3を覆うように積層する。絶縁層2は、上述したように、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂中に酸化ケイ素粉末等の無機絶縁性フィラーを分散させた電気絶縁材料から成る。あるいは、ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料であってもよい。絶縁層2の厚みは25〜60μm程度である。銅箔16の厚みは2〜18μm程度である。このような銅箔16付きの絶縁層2を積層するには、片面に銅箔16が貼着された絶縁層2用の半硬化の絶縁シートを樹脂層4および配線導体3を覆うようにして重ねるとともに上下から加圧しながら加熱して絶縁シートを熱硬化させる方法が採用される。
【0033】
次に、図12に示すように、銅箔14aの場合と同様に、銅箔16の中央部をエッチング除去する。これにより、絶縁層2の中央部が露出する。このとき、絶縁層2の露出面には、銅箔16の絶縁層2側の面の凹凸に対応した凹凸が残る。したがって、銅箔16の絶縁層2側の面に微細な凹凸を設けておくと、絶縁層2の露出面にも微細な凹凸を形成することができる。絶縁層2の露出面に微細な凹凸を形成すると、その表面に無電解めっき層3aを極めて強固に被着させることができる。
【0034】
次に、図13に示すように、絶縁層2にビアホール5を形成する。ビアホール5は、直径が30〜100μm程度であり、レーザ加工により形成される。ビアホール5を形成した後には、デスミア処理することが好ましい。
【0035】
次に、図14に示すように、絶縁層2の露出面に無電解めっき層3aを被着する。無電解めっき層3aの厚みは、0.1〜1μm程度である。無電解めっき層3aとしては、無電解銅めっき層が好適に用いられる。
【0036】
次に、図15に示すように、無電解めっき層3aの表面に、次層の配線導体3に対応するパターンの開口部を有するめっきレジスト層17を形成する。めっきレジスト層17の厚みは、10〜30μm程度である。
【0037】
次に、図16に示すように、めっきレジスト17から露出する無電解めっき層3aの表面に、ビアホール5を充填するようにして電解めっき層3bを被着する。電解めっき層3bの厚みは、5〜20μm程度である。電解めっき層3bとしては、電解銅めっき層が好適に用いられる。
【0038】
次に、図17に示すように、めっきレジスト層17を除去した後、図18に示すように、電解めっき層3bから露出する無電解めっき層3aをエッチング除去する。これにより、無電解めっき層3aと電解めっき層3bとから成る次層の配線導体3が絶縁層2上に被着形成される。
【0039】
以下同様にして絶縁層2と配線導体3とを交互に繰り返し形成することにより、図19に示すように、支持基板11の両面に銅箔13bを含む配線基板用の積層体10を形成する。
【0040】
次に、図20に示すように、積層体10の配線基板となる領域10aを支持体11に支持された状態で切り出す。
【0041】
次に、図21に示すように、積層体10の配線基板となる領域10aをキャリアシート13aと銅箔13bとの間で引き剥がして支持体11から分離する。
【0042】
次に、図22に示すように、樹脂層4に密着していた銅箔13bをエッチングにより除去する。これにより、樹脂層4が露出する。
【0043】
次に、図23に示すように、樹脂層4の表面にレジスト層18を被着する。レジスト層18には、樹脂層4の下の配線導体3における半導体素子接続パッド6に対応する領域に開口部18aを形成する。このとき、樹脂層4と反対側の面もレジスト層18を被着させておくことが好ましい。
【0044】
次に、図24に示すように、レジスト層18の開口部18aから露出する樹脂層4をブラスト加工により除去して半導体素子接続パッド6を露出させる。このとき、開口部18a内に露出する半導体素子接続パッド6の周りの絶縁層2が半導体素子接続パッド6の上面より低い位置まで除去される。したがって、半導体素子接続パッド6がその周囲の絶縁層2の表面から1〜3μm程度高い位置に突出した状態となる。また、ブラスト加工では、配線導体3の表面が均一に削れるため半導体素子接続パッド6の高さに大きなばらつきが発生することがない。したがって本発明により製造される配線基板においては、半導体素子接続パッド6に電気検査用のプローブを良好に接触させることができる。さらに半導体素子の電極と半導体素子接続パッド6とを良好に接続することができる。またさらに、半導体素子接続パッド6を含む配線導体3は樹脂層4に対して物理的および電気化学的に強硬に被着しているとともに、樹脂層4は感光剤を含まないことから配線導体3との密着が強い。したがって、例えば半導体素子を搭載する際にフラックスを用いて半導体素子の電極と半導体素子接続パッド6とを半田接合しても、フラックスが樹脂層4と配線導体3との間に滲入して両者間に剥がれが発生することはない配線基板を提供することができる。なお、ブラスト加工に代えてレーザ加工を用いることにより半導体素子接続パッド6を露出させるようにしても良い。この場合も同様の効果が得られる。
【0045】
次に、図25に示すように、樹脂層4の表面からレジスト層18を除去した後、ソルダーレジスト層7を形成することにより、図1に示した配線基板が完成する。なお、本例では樹脂層4の上にソルダーレジスト層7を形成したが、樹脂層4の上のソルダーレジスト層7を形成しなくてもよい。この場合、樹脂層4が単独で保護用の樹脂層として機能する。
【0046】
なお、本発明は上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば上述の例では、銅箔16付き絶縁層2における中央部の銅箔16をエッチング除去した後、ビアホール5の形成および無電解めっき層3aの被着を行なったが、銅箔16を残したままでビアホール5の形成および無電解めっき層3aの被着を行い、その上に電解めっき層3bを配線導体3に対応するパターンに被着させた後、電解めっき層3bから露出する無電解めっき層3aおよび銅箔16をエッチング除去することで、銅箔16およびその上の無電解めっき層およびその上の電解めっき層から成る配線導体3を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 絶縁基板
2 絶縁層
3 配線導体
4 樹脂層
6 半導体素子接続パッド
10 積層体
11 支持基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含有する単層または多層の絶縁層から成る絶縁基板の上面に半導体素子の電極に接続される複数の半導体素子接続パッドを含む配線導体が埋入されているとともに前記絶縁基板の上面および前記配線導体上に前記半導体素子接続パッドおよび該半導体素子接続パッド間の前記絶縁基板を露出させる樹脂層が被着されて成る配線基板であって、前記配線導体は前記樹脂層の前記絶縁基板側の面にセミアディティブ法により被着形成されたものであり、前記樹脂層およびその下の前記絶縁層の一部が前記半導体素子接続パッドの上面より低い位置まで除去されて前記半導体素子接続パッドおよび該半導体素子接続パッド間の前記絶縁基板が露出していることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
樹脂層を準備する工程と、前記樹脂層の一方の主面に半導体素子の電極に接続される半導体素子接続パッドを含む配線導体をセミアディティブ法により被着形成する工程と、前記一方の主面および前記配線導体上に樹脂を含有する単層または多層の絶縁層を積層する工程と、前記樹脂層の他方の主面側から該樹脂層の一部をブラスト加工またはレーザ加工により除去して前記半導体素子接続パッドを含む配線導体の一部を露出させる工程とを行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層は、前記他方の主面側が支持基板上に支持された状態で準備され、前記ブラスト加工またはレーザ加工を行う前に前記支持基板から分離されることを特徴とする請求項2記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−249735(P2011−249735A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124339(P2010−124339)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】