説明

配線基板および電子モジュール

【課題】フェライトを有する配線基板の放熱特性を向上させること。
【解決手段】配線基板1は、複数のガラスセラミック層11と、フェライト層12とを含んでいる。フェライト層12は、複数のガラスセラミック層11の間に設けられているとともに、複数のフェライト副層121と複数のコイルパターン122と金属パターン123とを含んでいる。複数のコイルパターン122は、複数のフェライト副層121の間に設けられている。金属パターン123は、複数のコイルパターン122の各々の内側領域に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト層を有している配線基板および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、DC−DCコンバータ等の電子モジュールにおいて、フェライト層を含む配線基板を有しているものがある。フェライト層には、例えばコイル等の素子が形成されている。フェライト層は、例えば複数のガラスセラミック層によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−198225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェライト層は比較的低い熱伝導率を有するため、フェライト層を有する配線基板は、放熱特性に関する改善を行う必要がある。特に、フェライト層に素子を有する配線基板においては、放熱特性に関する改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、配線基板は、複数のガラスセラミック層と、フェライト層とを含んでいる。フェライト層は、複数のガラスセラミック層の間に設けられているとともに、複数のフェライト副層と複数のコイルパターンと金属パターンとを含んでいる。複数のコイルパターンは、複数のフェライト副層の間に設けられている。金属パターンは、複数のコイルパターンの各々の内側領域に設けられている。
【0006】
本発明の他の態様によれば、電子モジュールは、配線基板と、電子部品とを含んでいる。電子部品は、配線基板に実装されており、複数のコイルパターンに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、配線基板は、複数のコイルパターンの各々の内側領域に設けられた金属パターンを有していることにより、放熱特性に関して改善されている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子モジュールは、複数のコイルパターンの各々の内側領域に設けられた金属パターンを有していることにより、放熱特性に関して改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一つの実施形態における電子モジュールを示している。
【図2】図1に示されたフェライト副層121の例示的な上面構造を示している。
【図3】図1に示されたフェライト副層121の他の例示的な上面構造を示している。
【図4】図1に示された電子モジュールの断面構造を模式的に示している。
【図5】配線基板1の例示的な製造方法を示している。
【図6】フェライト予備成形体62の断面構造の模式的を示している。
【図7】フェライト予備層624の例示的形成方法を模式的に示している。
【図8】第1のフェライト副予備層625の例示的な形成方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示されているように、本発明の一つの実施形態における電子モジュールは、配線基板1、配線基板1の上面に実装された半導体素子2および電子部品3を含んでいる。
【0012】
配線基板1は、複数のガラスセラミック層11およびフェライト層12を含んでいる。
【0013】
複数のガラスセラミック層11の各々は、複数のガラスセラミック副層111および導体パターン112を含んでいる。複数のガラスセラミック副層111は積層されている。導体パターン112は、ガラスセラミック副層111の上面に形成されている。導体パターン112の例示的な材料は、銅(Cu)である。導体パターン112の他の例示的な材料は、銀(Ag)である。導体パターン112の他の例示的な材料は、金(Au)、白金(Pt)、銀−パラジウム(Ag−Pd)合金または銀−白金(Ag−Pt)合金である。導体パターン112は、複数のガラスセラミック副層とともに一体的に焼成されている。
【0014】
フェライト層12は、複数のフェライト副層121、コイルパターン122および金属パターン123を含んでいる。複数のフェライト副層121は積層されている。コイルパターン122は、フェライト副層121の上面に形成されている。コイルパターン122の例示的な材料は、銀(Ag)である。金属パターン123は、複数のコイルパターン122の各々の内側領域に設けられている。コイルパターン122の“内側領域”とは、図2および3に示されているように、コイルパターン122によって規定される領域1221のことをいう。領域1221は、図2および3において、破線によって囲まれた領域のことである。
【0015】
図4に示されているように、複数の金属パターン123は、フェライト層12の厚み方向に配置されている。フェライト層12の厚み方向とは、図4において、上下方向のことをいう。複数の金属パターン123は、電気的にフローティング状態にある。金属パターン123の例示的な材料は、銀(Ag)である。銀(Ag)の熱伝導率は、約420W/mKであり、フェライト副層121の熱伝導率(約10W/mK)より大きい。フェライト層12において、熱は、複数の金属パターン123を経由して、下層方向へ伝導される。下層方向とは、図4において下方向のことをいう。配線基板1において、熱は、下面方向へ伝導される。図4において、“熱の伝導”が矢印によって示されている。本実施形態における電子モジュールは、放熱特性に関して改善されている。
【0016】
銀(Ag)の磁化率は、約−24×10−6であり、比較的小さい。本実施形態においてフェライト層12に形成されているコイルは重畳特性に関して改善されている。
【0017】
以下、配線基板1の例示的な製造方法について説明する。図5に示されているように、配線基板1の例示的な製造方法は、工程502、504および506を含んでいる。
【0018】
工程502は、フェライト予備成形体を形成することと、ガラスセラミック予備成形体を形成することとを含んでいる。“フェライト予備成形体”とは、図1におけるフェライト層12を形成するために、予め準備される予備成形体のことをいう。“ガラスセラミック予備成形体”とは、図1におけるガラスセラミック層11を形成するために、予め準備される予備成形体のことをいう。
【0019】
図6に示されているように、フェライト予備成形体62は、複数のフェライト予備層624を含んでいる。図6において、フェライト予備成形体62は、分解された状態で示されている。複数のフェライト予備層624は積層されている。
【0020】
図7に示されているように、フェライト予備層624は、ポリエチレン・テレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)627に形成された第1のフェライト副予備層625に、第2のフェライト副予備層626を積層することによって形成される。第2のフェライト副予備層626は、グリーンシートである。
【0021】
図8に示されているように、第1のフェライト副予備層625は、PETフィルム627上に形成されたコイルパターン用ペースト層632および金属パターン用ペースト層633の上に、フェライトペースト層634を塗布することによって形成される。層634は、ペースト状である。
【0022】
フェライト予備成形体62は、コイルパターン用ペースト層632および金属パターン用ペースト層633の上に、ペースト状の層634を形成することによって、層634とコイルパターン用ペースト層632および金属パターン用ペースト層633との間に設けられる隙間に関して低減されている。
【0023】
再び図5を参照して、工程504は、工程502において得られたガラスセラミック予備成形体61とフェライト予備成形体とを積層することである。工程506は、工程504において得られた予備積層体を焼成することである。
【符号の説明】
【0024】
1 配線基板
11 ガラスセラミック層
12 フェライト層
121 フェライト副層
122 コイルパターン
123 金属パターン
2 半導体素子
3 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラスセラミック層と、
前記複数のガラスセラミック層の間に設けられているとともに、複数のフェライト副層と複数のコイルパターンと金属パターンとを含んでおり、前記複数のコイルパターンが前記複数のフェライト副層の間に設けられており、前記金属パターンが前記複数のコイルパターンの各々の内側領域に設けられている、フェライト層と、
を備えた配線基板。
【請求項2】
前記金属パターンが銀を含んでいることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
請求項1に記載された配線基板と、
前記配線基板に実装されており、前記複数のコイルパターンに電気的に接続された電子部品と、
を備えた電子モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−232437(P2010−232437A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78682(P2009−78682)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】