説明

配線基板の製造方法

【課題】露光装置を用いたフォトリソグラフィ法によって配線パターンを形成してなる配線基板を製造する際に、露光装置におけるマスクパターンの静電破壊を防止するとともに、マスクパターンの除塵を効果的に行って製品不良の割合を低減し、低コストで配線基板を製造する。
【解決手段】露光ステージ上に感光性レジストが配置された基板を設置するとともに、露光ステージと対向するようにして、絶縁性の透明基材上に所定のパターンが描画されてなるマスクパターンを配置し、マスクパターンを介して感光性レジストに対して露光処理を行い、感光性レジストにパターンの潜像を形成する。次いで、マスクパターンに対して除塵ローラを接触及び回転させてマスクパターンの清浄を行い、マスクパターン及び除塵ローラが接触している状態において、マスクパターン及び除塵ローラに対してイオン化装置よりイオンを照射し、マスクパターン及び除塵ローラの除電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストなどの感光材料を塗布した基板表面に所定のパターンを露光装置により露光焼き付けし、その後基板上にパターンを形成するフォトリソグラフィ法が種々の分野で広く応用されている。
【0003】
上述した露光装置は、感光性レジストが配設された基板を設置する露光ステージと、この露光ステージと対向するようにホルダーに狭持されたマスクパターンと、このマスクパターンを挟んで露光ステージと反対の側に配設された光源とを有している。
【0004】
また、マスクパターン上に塵埃が存在すると、露光した時、この塵埃が露光ステージ上に設置した基板に対して影となるため、基板に対して未露光部分が形成されるようになる。この結果、基板の露光を精度良く行うことができず、得ようとする配線基板が不良となって、製造歩留まりが低下するという問題が生じる。このため、上記露光装置には、一般に、マスクパターン上に付着した塵埃を除去するための除塵装置が設けられている。
【0005】
除塵装置としては、従来、粘着ゴムローラ(除塵ローラ)や粘着テープローラ等を用い、これらローラをマスクパターンと接触させることによって、マスクパターンの除塵を行っていた。
【0006】
しかしながら、上述した粘着ゴムローラや粘着テープローラを用いた場合は、その使用過程においてマスクパターンと接触する際の摩擦によって帯電するようになるので、これらローラを除塵後にマスクパターンから剥離すると、マスクパターンは剥離帯電するようになる。一般に、マスクパターンは、通常、絶縁性の透明基材上に所定の、例えば金属のパターンが描画されているため、上述のような剥離帯電が生じると、パターンが静電破壊してしまい、マスクパターンが破損してしまうという問題が生じる。
【0007】
特許文献1では、除電ブラシと集塵機とを配設し、マスクパターン上の静電気を除電ブラシで除去した後に、粘着テープローラ及び集塵機で塵埃を除去することが開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、マスクパターンのみに除電ブラシを作用させ、粘着テープローラには除電ブラシを作用させていないため、粘着テープローラは帯電した状態であり、上述したように、粘着テープローラをマスクパターンから剥離する際に剥離帯電を生ぜしめ、描画されたパターンに対して静電破壊を生ぜしめるという問題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−216433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、露光装置を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際に、露光装置におけるマスクパターンの静電破壊を防止するとともに、マスクパターンの除塵を効果的に行って製品不良の割合を低減し、低コストで配線基板を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
露光ステージ上に感光性レジストが配置された基板を設置するとともに、前記露光ステージと対向するようにして、絶縁性の透明基材上に所定のパターンが描画されたマスクパターンを配置し、前記マスクパターンを介して前記感光性レジストに対して露光処理を行うことにより、前記感光性レジストに前記パターンの潜像を形成する工程と、
前記マスクパターンに対して粘着表面を有する除塵ローラを接触させつつ回転させて、前記マスクパターンの清浄を行う工程と、
前記マスクパターン及び前記除塵ローラが接触している状態において、前記マスクパターン及び前記除塵ローラに対してイオン化装置よりイオンを照射し、前記マスクパターン及び前記除塵ローラの除電を行う工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、
被露光体を設置するための露光ステージと、
前記露光ステージと対向配置された絶縁性の透明基材上に所定のパターンが描画されたマスクパターンと、
前記マスクパターンを介して前記露光ステージを照射する光源と、
前記マスクパターンと接触して前記マスクパターン表面を除塵をする粘着表面を有する除塵ローラと、
前記除塵ローラを前記マスクパターンと接触させつつ前記マスクパターンの表面を転動させる除塵ローラ駆動手段と、
前記マスクパターン及び前記除塵ローラが接触している状態において、イオン照射により前記マスクパターン及び前記除塵ローラの除電を行うイオン化装置と、
を備えることを特徴とする、露光装置に関する。
【0012】
本発明によれば、イオン化装置を有する露光装置を用い、必要に応じて導体層が形成されるとともに、感光性レジストが配設された基板を、露光装置内の露光ステージ上に設置し、対向して配置したマスクパターンから基板に対して露光処理を行うとともに、マスクパターンに対して除塵ローラを接触及び回転させてマスクパターンの除塵を行うようにしている。したがって、基板上に配設された感光性レジストに対する、マスクパターン上に付着した塵埃に基づく影の形成を極力防止することができ、未露光部分が存在することによる製品の歩留まり低下を抑制することができる。
【0013】
また、マスクパターンと除塵ローラとが接触している状態において、これらに対してイオン化装置からイオンを照射し、マスクパターン及び除塵ローラの除電を行うようにしている。したがって、マスクパターンの除塵ローラによる除塵終了後において、除塵ローラをマスクパターンから剥離した際の、マスクパターンの剥離帯電を防止し、描画されたパターンの静電破壊を防止することができ、マスクパターンの破損を防止することができる。
【0014】
このように本発明によれば、製品の歩留まり低下を抑制することができ、さらにはマスクパターンの破損を防止することができるので、露光装置を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0015】
なお、本発明の一例においては、上記除塵ローラをウレタンから製造することができる。ウレタンは、現在汎用されている除塵ローラの構成材料であるシリコーンと比較して高い導電性を有している。したがって、上述したようなマスクパターンと接触した際においても、除塵ローラ自体の帯電を抑制することができ、上述のようなマスクパターンの破損をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、露光装置を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際に、露光装置におけるマスクパターンの静電破壊を防止するとともに、マスクパターンの除塵を効果的に行って製品不良の割合を低減し、低コストで配線基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態における配線基板の平面図である。
【図2】実施形態における配線基板の平面図である。
【図3】図1及び図2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図4】実施形態で使用する露光装置の概略構成を示す図である。
【図5】図4に示す露光装置の動作を説明するための図である。
【図6】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図7】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図8】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図9】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図10】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図11】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図12】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図13】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図14】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【図15】実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(配線基板)
最初に、本発明の方法によって製造すべき配線基板の構成について説明する。但し、以下に示す配線基板はあくまでも例示であって、コア層の第1の主面上において少なくとも第1の導体層及び第1の樹脂絶縁層が積層されるとともに、最表面に第1のソルダーレジスト層が形成され、この第1のソルダーレジスト層に形成された第1の開口部から前記少なくとも第1の導体層が露出し、前記コア層の、前記第1の主面と相対する第2の主面上において少なくとも第2の導体層及び第2の樹脂絶縁層が積層されるとともに、最表面に第2のソルダーレジスト層が形成されていれば特に限定されるものではない。また、コア基板2を有しない配線基板においても適用することができる。
【0019】
図1及び2は、本実施形態における配線基板の平面図であり、図1は、配線基板を上側から見た場合の状態を示し、図2は、図1に示す配線基板を下側から見た場合の状態を示している。また、図3は、図1及び図2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【0020】
図1〜3に示す配線基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状コア2の両表面に、所定のパターンに形成されてなる金属配線7aをなすコア導体層M1,M11(単に導体層ともいう)がCuメッキによりそれぞれ形成されている。これらコア導体層M1,M11は板状コア2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。
【0021】
他方、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0022】
また、コア導体層M1,M11の上層には、熱硬化性樹脂組成物6にて構成された第1のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面には、所定のパターンに形成されてなる金属配線7bをなす第1の導体層M2,M12がCuメッキによりそれぞれ形成されている。なお、コア導体層M1,M11と第1の導体層M2,M12とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。同様に、第1の導体層M2,M12の上層には、熱硬化性樹脂組成物6を用いた第2のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V2,V12がそれぞれ形成されている。
【0023】
第2のビア層V2及びV12上には、それぞれ金属端子パッド10,17を有する第2の導体層M3,M13が形成されている。これら第1の導体層M2,M12と第2の導体層M3,M13とは、それぞれビア34により層間接続がなされている。ビア34は、ビアホール34hとその内周面に設けられたビア導体34sと、底面側にてビア導体34sと導通するように設けられたビアパッド34pと、ビアパッド34pと反対側にてビア導体34hの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34lとを有している。
【0024】
以上のように、板状コア2の第1の主面MP1上には、コア導体層M1、第1のビア層V1、第1の導体層M2、第2のビア層V2及び第2の導体層M3が順次に積層され、第1の配線積層部L1を形成している。また、板状コア2の第2の主面MP2上においては、コア導体層M11、第1のビア層V11、第1の導体層M12、第2のビア層V12及び第2の導体層M13が順次に積層され、第2の配線積層部L2を形成している。そして、第1の主表面CP1上には複数の金属端子パッド10が形成されており、第2の主表面CP2上には、複数の金属端子パッド17が形成されている。
【0025】
なお、金属端子パッド10は、後に形成する半田バンプを介して図示しない半導体素子をフリップチップ接続するためのパッド(FCパッド)であり、半導体素子搭載領域を構成する。図1に示すように、金属端子パッド10は、配線基板1の略中央部において形成され、矩形状に配列されている。
【0026】
また、金属端子パッド17は、配線基板1をマザーボード接続するための裏面ランド(LGAパッド)として利用されるものであって、配線基板1の裏面全体に亘って矩形状に配列されている。
【0027】
さらに、第1の主表面CP1上には開口部8aを有するソルダーレジスト層8が形成されており、開口部8aに露出した金属端子パッド10上には、無電解Snメッキや電解Snメッキなどのメッキ法によって形成したSn含有下地層10aが形成されている。また、下地層10a上には、半田ペーストを印刷した後、リフローすることによって得た半田バンプ11が形成されている。
【0028】
なお、上記半田ペーストは、酸化膜除去用のフラックスを含むものであってもよいし、当該フラックスを含まないものであってもよい。後者の場合、以下に説明するように、下地膜10aの表面に形成された酸化膜を除去すべく、別途、酸化膜除去用のフラックスを用いて下地膜10aを処理し、その表面に形成された酸化膜を除去することが好ましい。
【0029】
なお、半田バンプ11は、例えばSn−Pb,Sn−Ag及びSn−Ag−Cuなどから構成することができる。
【0030】
また、図1〜3から明らかなように、本実施形態における配線基板1は矩形の略板形状を呈しており、その大きさは、例えば約35mm×約35mm×約1mmとすることができる。
【0031】
(配線基板の製造方法)
次に、図1〜3に示す配線基板の製造方法について説明する。図4は、本実施形態で使用する露光装置の概略構成を示す図であり、図5は、図4に示す露光装置の動作を説明するための図であり、図6〜15は、本実施形態における配線基板の製造方法の工程図である。なお、以下に示す工程図は、図3に相当する、配線基板のI−I線に沿って切った場合の断面で見た場合の順次の工程を中心に示すものである。
【0032】
図4に示す露光装置50は、必要に応じて導電層が形成されるとともに、感光性レジストが配設された基板を配置するための露光ステージ51と、この露光ステージ51と対向するようにして設けられたマスクパターン52とを有している。なお、特に図示しないが、マスクパターン52は、絶縁性の透明基材上に、金属、例えばクロムからなる所定のパターンが形成されてなる。
【0033】
また、マスクパターン52の除塵を行うための除塵ローラ53及びイオン化装置54を有している。除塵ローラ53及びイオン化装置54は、図示しない搬送系によって搬出されるべき搬出キャリア55に設置されている。
【0034】
なお、露光装置50の前後には、外部から運ばれてきた配線基板1を露光装置50内に導入するための搬入部及び露光後の配線基板1を露光装置50から外部に搬出するための排出部が配設されている。
【0035】
搬入部には、搬入キャリア56と、この搬入キャリアの下面に設けられた吸着パッド57と、配線基板を搬送するための搬送ローラ58とが配設されている。同様に、搬出部には、上記搬出キャリア55と、この搬出キャリアの下面に設けられた吸着パッド57と、配線基板を搬送するための搬送ローラ58とが配設されている。
【0036】
次に、図5により、露光装置50の動作を説明する。外部から搬送ローラ58で運ばれてきた配線基板1が搬入部にあり、移動式の搬入キャリア56に設けられた吸着パッド57により、これを露光ステージ51上に搬入する。搬入キャリア56は、配線基板1を所定の位置まで搬入すると、下降して、配線基板1を露光ステージ51に載置し、配線基板1の吸着を解除する。搬入キャリア56は配線基板1の吸着を解除した後、露光ステージ51上から搬入部へ移動を開始する。
【0037】
露光が行われた後、移動式の搬出キャリア55(徐塵ローラ駆動手段)が、配線基板1の上に移動する。搬出キャリア55が下降し、搬出キャリア55に設けられた吸着パッド57により配線基板1を吸着した後、露光ステージ51上から搬出部へ移動を開始する。搬出部にて、搬出キャリア55が下降し、吸着パッド57の吸着を解除することにより、配線基板1は搬送ローラ58上に載置され搬出される。
【0038】
配線基板1が搬出され、露光ステージ51上に配線基板がない状態で、マスクパターン52の清浄が行われる。まず、除塵ローラ53及びイオン化装置54が設けられた搬出キャリア55が露光ステージ上に移動する。この際、吸着パッド57に配線基板1は吸着していない。次に、搬出キャリア55が上昇し、除塵ローラ53がマスクパターン52に接触する。搬出キャリア55に設けられた徐塵ローラ53が回転し、マスクパターン52に付着している塵埃の除去を行う。また、同時にイオン化装置54により、イオンを照射し、マスクパターン52及び徐塵ローラ53の徐電を行う。徐塵、徐電を行いながら、搬出キャリアが搬出部に移動することにより、マスクパターン52の清浄が行われる。その後、徐塵ローラ53は下降し、転写ローラ59と接触し、図示しない駆動力を得て回転し、徐塵ローラ53に付着している塵埃を除去する。
【0039】
本露光装置によると、搬出キャリア55が搬出部に移動する方向に対して、徐塵ローラ53が前に、イオン化装置54が後ろに設けられている。換言すると、徐塵ローラ53により徐塵を行ったマスクパターン52に対して、イオン化装置54により、イオンを照射し、徐電を行う。このように、マスクパターン52に対して、徐塵ローラ53により、徐塵を行った後、イオン化装置54により、徐電が行われることで、徐塵ローラ53が接触した箇所には、イオン化装置54による徐電が行われ、確実に静電破壊を防止することができる。
【0040】
次に、上述のような露光装置50を用いた配線基板1の製造方法について具体的に説明する。最初に、図6に示すように、板形状の耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)または繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)を、コア2として用意し、ドリリング等の方法でスルーホール12を穿孔する。次いで、図示しない通電経路としての無電解Cuメッキ層を形成した後、コア2の両主面MP1及びMP2においてドライフィルムレジスト61を一様に形成する。
【0041】
次いで、図6に示すドライフィルムレジスト61が配設されたコア(基板)2を、上述したような操作によって、図4に示す露光装置50の露光ステージ51上に設置し、上述した図示しない光源からマスクパターン52を介してドライフィルムレジスト61を露光し、このドライフィルムレジスト61に対してマスクパターン52のパターンの潜像を形成する。
【0042】
本工程では、コア導体層M1,M11を形成することを目的としているので、マスクパターン52のパターンも上記コア導体層M1,M11のパターンと合致するように形成されている。
【0043】
なお、露光装置50においては、上述した露光処理前において、マスクパターン52の除塵が行われる。すなわち、搬出キャリア55をマスクパターン52の表面に沿って駆動させることにより、マスクパターン52に対して除塵ローラ53を接触及び回転させてマスクパターン52の除塵を行うようにしている。したがって、コア2上に形成されたドライフィルムレジスト61に対する、マスクパターン52上に付着した塵埃に基づく影の形成を極力防止することができ、未露光部分が存在することによる製品の歩留まり低下を抑制することができる。
【0044】
また、マスクパターン52と除塵ローラ53とが接触している状態において、これらに対してイオン化装置54からイオンを照射し、マスクパターン52及び除塵ローラ53の除電を行うようにしている。したがって、マスクパターン52の除塵ローラ53による除塵終了後において、除塵ローラ53をマスクパターン52から剥離した際の、マスクパターン52の剥離帯電を防止し、描画された図示しないパターンの静電破壊を防止することができ、マスクパターン52の破損を防止することができる。
【0045】
したがって、配線基板の歩留まり低下を抑制することができ、さらにはマスクパターンの破損を防止することができるので、露光装置50を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0046】
なお、除塵ローラ53はウレタンから製造することが好ましい。ウレタンは、現在汎用されている除塵ローラの構成材料であるシリコーンと比較して高い導電性を有している。したがって、マスクパターン52と接触した際においても、除塵ローラ53自体の帯電を抑制することができ、マスクパターン52の破損をより確実に抑制することができる。
【0047】
次いで、図7に示すように、ドライフィルムレジスト61に対して現像処理を施し、ドライフィルムレジスト61に形成された潜像に合致したレジストパターン62を形成する。その後、電解Cuメッキ処理を行い、レジストパターン62の非形成領域にCuメッキ層を選択的に形成するとともに、レジストパターン62を薬液によって除去する。その後、レジストパターン62の下方に残存した無電解Cuメッキ層をクイックエッチングによって除去することにより、図8に示すように、コア2の第1の主面MP1及び第2の主面MP2上にコア導体M1,M11及びスルーホール導体30を形成する。なお、スルーホール12内には樹脂製穴埋め材31を充填する。
【0048】
次に、コア導体層M1,M11に粗化処理を施したのち、図9に示すように、コア導体層M1,M11を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V1,V11を得る。樹脂フィルムは、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0049】
次いで、絶縁層V1,V11(ビア層)に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34hを形成し、ビアホール34hを含む絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を実施する。なお、絶縁層V1及びV11が、フィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V1及びV11上に残存するようになるので、適宜水洗浄を実施して、遊離したフィラーを除去する。
【0050】
次いで、デスミア処理及びアウトラインエッチングを実施してビアホール34h内を洗浄する。なお、本実施形態では、水洗浄を実施しているので、デスミア工程における水洗浄の際に、上記フィラーの凝集を抑制することができる。
【0051】
また、本例では、上述した高水圧による水洗浄と上記デスミア処理の間に、エアーブローを行うことができる。これによって、上述した水洗浄によって遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブローにおいてフィラーの除去を補完することができる。
【0052】
次いで、図10に示すように、絶縁層V1及びV11の主面上に、図示しない通電経路用の無電解Cuメッキ層を形成した後、この無電解Cuメッキ層上にドライフィルムレジスト71を一様に形成し、図10に示すコア導体層M1,M11及びスルーホール導体30を有し、ドライフィルムレジスト72が形成されてなるアセンブリを、図4に示す露光装置50の露光ステージ51上に設置し、図示しない光源からマスクパターン52を介してドライフィルムレジスト71を露光し、このドライフィルムレジスト71に対してマスクパターン52のパターンの潜像を形成する。
【0053】
本工程では、第1の導体層M2,M12を形成することを目的としているので、マスクパターン52のパターンも上記第1の導体層M2,M12のパターンと合致するように形成されている。
【0054】
なお、上述したように、露光装置50においては、上述した露光処理前において、マスクパターン52の除塵が行われる。具体的には、ドライフィルムレジスト61の露光が完了してから、本工程における露光を行うまでのいずれかの時点で行う。
【0055】
マスクパターン52の除塵は、上述したように、搬出キャリア55をマスクパターン52の表面に沿って駆動させることにより、マスクパターン52に対して除塵ローラ53を接触及び回転させてマスクパターン52の除塵を行う。したがって、ドライフィルムレジスト71に対する、マスクパターン52上に付着した塵埃に基づく影の形成を極力防止することができ、未露光部分が存在することによる製品の歩留まり低下を抑制することができる。
【0056】
また、マスクパターン52と除塵ローラ53とが接触している状態において、これらに対してイオン化装置54からイオンを照射し、マスクパターン52及び除塵ローラ53の除電を行うようにしている。したがって、マスクパターン52の除塵ローラ53による除塵終了後において、除塵ローラ53をマスクパターン52から剥離した際の、マスクパターン52の剥離帯電を防止し、描画された図示しないパターンの静電破壊を防止することができ、マスクパターン52の破損を防止することができる。
【0057】
したがって、配線基板の歩留まり低下を抑制することができ、さらにはマスクパターンの破損を防止することができるので、露光装置50を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0058】
次いで、図11に示すように、ドライフィルムレジスト71に対して現像処理を施し、ドライフィルムレジスト71に形成された潜像に合致したレジストパターン72を形成する。その後、電解Cuメッキ処理を行い、レジストパターン72の非形成領域にCuメッキ層を選択的に形成するとともに、レジストパターン72を薬液によって除去する。その後、レジストパターン72の下方に残存した無電解Cuメッキ層をクイックエッチングによって除去することにより、図12に示すように、絶縁層V1,V11上に、それぞれ第1の導体層M1,M12を形成する。
【0059】
次いで、第1の導体層M2,M12に粗化処理を施したのち、図13に示すように、第1の導体層M2,M12を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V2,V12を得る。この樹脂フィルムも、上述したように、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0060】
その後、絶縁層V2,V12に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34hを形成し、ビアホール34hを含む絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を実施する。絶縁層V2及びV12がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V2及びV12上に残存するようになるので、上記同様に適宜水洗浄、エアーブローを行う。次いで、ビアホール34hに対して、デスミア処理及び外形エッチング(アウトラインエッチング)を実施してビアホール34h内を洗浄する。
【0061】
その後、図10〜11と同様の工程を施すことにより、図14に示すように、絶縁層V2,V12上に第2の導体層M3,M13を形成する。また、第2の導体層M3,M13上に、ビアホール34h内を埋設するようにしてレジスト層8及び18をそれぞれ形成する。
【0062】
次いで、図14に示すアセンブリを、図4に示す露光装置50の露光ステージ51上に設置し、図示しない光源からマスクパターン52を介してレジスト層8及び18を順次露光し、このレジスト層8及び18に対してマスクパターン52のパターンの潜像を形成する。すなわち、レジスト層8を露光する場合は、露光ステージ51上にレジスト層8が上向きとなるようにして配置し、レジスト層18を露光する場合は、露光ステージ51上にレジスト層18が上向きとなるようにして配置する。
【0063】
本工程では、レジスト層8及び18に対して開口8a及び18aを形成するようにしているので、マスクパターン52のパターンも適宜開口8a及び18aのパターンと合致するように形成する。
【0064】
なお、上述したように、露光装置50においては、上述した露光処理前において、マスクパターン52の除塵が行われる。具体的には、第2の導体層M3,M13を形成するためのドライフィルムレジストの露光が完了してから、本工程における露光を行うまでのいずれかの時点で行う。
【0065】
マスクパターン52の除塵は、上述したように、搬出キャリア55をマスクパターン52の表面に沿って駆動させることにより、マスクパターン52に対して除塵ローラ53を接触及び回転させてマスクパターン52の除塵を行う。したがって、レジスト層8及び18に対する、マスクパターン52上に付着した塵埃に基づく影の形成を極力防止することができ、未露光部分が存在することによる製品の歩留まり低下を抑制することができる。
【0066】
また、マスクパターン52と除塵ローラ53とが接触している状態において、これらに対してイオン化装置54からイオンを照射し、マスクパターン52及び除塵ローラ53の除電を行うようにしている。したがって、マスクパターン52の除塵ローラ53による除塵終了後において、除塵ローラ53をマスクパターン52から剥離した際の、マスクパターン52の剥離帯電を防止し、描画された図示しないパターンの静電破壊を防止することができ、マスクパターン52の破損を防止することができる。
【0067】
したがって、配線基板の歩留まり低下を抑制することができ、さらにはマスクパターン52の破損を防止することができるので、露光装置50を用いたフォトリソグラフィ法によって配線基板を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0068】
次いで、図15に示すように、レジスト層8及び18に対して現像処理を施し、レジスト層8及び18に形成された潜像に合致した開口部8a及び18aを形成する。
【0069】
次いで、開口部8aに露出した金属端子パッド10上に、Sn含有下地層10aを例えば無電解メッキ、電解メッキなどのメッキ法によって形成し、次いで、半田バンプ11を、下地層10aを介して、金属端子パッド10と電気的に接触するようにして形成することにより、図1〜3に示す本実施形態の配線基板1を得ることができる。
【0070】
なお、半田バンプ11を形成する際の半田ペーストが酸化膜除去用のフラックスを含まない場合は、半田バンプ11を形成する前処理として、酸化膜除去用のフラックスを用いて下地膜10aを処理し、下地膜10aの表面に形成された酸化膜を除去した後、半田バンプ11を形成する。但し、上記半田ペーストが上記酸化膜除去用のフラックスを含む場合は、上述した前処理を行わなくても、上記半田ペーストを印刷及びリフローすることによって、下地膜10aの表面に形成された酸化膜を除去することができる。
【0071】
なお、レジスト層8及び18に対しては必要に応じてプラズマ処理を実施することができる。このプラズマ処理は、プラズマ照射によって、レジスト層8及び18の特に表面を活性化するために実施するものであって、これによって、例えばパッケージ化する際に、封止樹脂層に対する濡れ性が向上することになり、封止樹脂層の塗布性が向上するようになる。特に、配線基板と例えば半導体素子等との狭い空隙にアンダーフィル樹脂を充填する際には、上述した濡れ性の向上によってアンダーフィル樹脂が配線基板、すなわちレジスト層8上で容易に広がるようになるので、従来困難であったアンダーフィル樹脂の注入も容易に行うことができる。
【0072】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 配線基板、
M1 コア導体層
V1 第1のビア層
M2 第1の導体層
V2 第2のビア層
M11 コア導体層
V11 第1のビア層
M12 第1の導体層
V12 第2のビア層
34l ビアランド
34p ビアパッド
34s ビア導体
7a,7b 金属配線
8,18 ソルダーレジスト層
8a,18a 開口部
50 露光装置
51 露光ステージ
52 マスクパターン
53 除塵ローラ
54 イオン化装置
55 搬出キャリア
56 搬入キャリア
57 吸着パッド
58 搬送ローラ
59 転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光ステージ上に感光性レジストが配置された基板を設置するとともに、前記露光ステージと対向するようにして、絶縁性の透明基材上に所定のパターンが描画されたマスクパターンを配置し、前記マスクパターンを介して前記感光性レジストに対して露光処理を行うことにより、前記感光性レジストに前記パターンの潜像を形成する工程と、
前記マスクパターンに対して粘着表面を有する除塵ローラを接触させつつ回転させて、前記マスクパターンの清浄を行う工程と、
前記マスクパターン及び前記除塵ローラが接触している状態において、前記マスクパターン及び前記除塵ローラに対してイオン化装置よりイオンを照射し、前記マスクパターン及び前記除塵ローラの除電を行う工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法。
【請求項2】
表面に導体層が形成された前記基板を準備する工程と、
前記露光処理を行った後、前記パターンの潜像が形成された感光性レジストを現像することにより、前記パターンに対応した導体層を露出させる工程と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
露出した前記導体層にめっき処理を施すめっき工程と、
感光性レジストを除去する除去工程と、
感光性レジストを除去することにより露出した導体層をエッチングすることにより前記基板に配線パターンを形成することを工程と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記除塵ローラは、ウレタンを含むことを特徴とする、請求項1乃至3いずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
被露光体を設置するための露光ステージと、
前記露光ステージと対向配置された絶縁性の透明基材上に所定のパターンが描画されたマスクパターンと、
前記マスクパターンを介して前記露光ステージを照射する光源と、
前記マスクパターンと接触して前記マスクパターン表面を除塵をする粘着表面を有する除塵ローラと、
前記除塵ローラを前記マスクパターンと接触させつつ前記マスクパターンの表面を転動させる除塵ローラ駆動手段と、
前記マスクパターン及び前記除塵ローラが接触している状態において、イオン照射により前記マスクパターン及び前記除塵ローラの除電を行うイオン化装置と、
を備えることを特徴とする、露光装置。
【請求項6】
前記除塵ローラは、ウレタンを含むことを特徴とする、請求項5に記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50633(P2013−50633A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189295(P2011−189295)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】