説明

配線基板及びこれを用いた半導体装置

【課題】半導体チップへの負担を低減させ、半導体チップの破壊を防ぐことができる配線基板及びこれを用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップが実装される領域12の回路配線13の幅Aを145μm以下にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを実装する配線基板及びこれを用いた半導体装置に関し、特に、厚さが150μm以下というような薄い半導体チップを実装するための配線基板及びこれを用いた半導体装置を関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の小型化に伴い、図9に示すように、半導体チップを実装するための配線基板100には、絶縁基板101上の半導体チップが実装される領域102に回路配線103が形成されている。また、配線基板100には、半導体チップに所定のピッチで設けられた突起電極(以下、バンプという。)に対応する位置に接続パッド104が配置されている。
【0003】
ところで、近年、半導体装置を構成する半導体チップなどの薄型化が進んでいる。この薄型の半導体チップを実装した半導体装置は、例えば、研削により薄型化された半導体チップを配線基板上に実装したり、薄型化される前の半導体チップを配線基板に実装した後、半導体チップを薄型化したりすることにより製造されている(例えば、特許文献1、2参照。)。具体的には、図10に示すように、回路配線103が形成された配線基板100上に熱硬化樹脂105を供給し、薄型の半導体チップ106を圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングし、加圧、加熱により熱融着させている。又は、図11に示すように、薄型化される前の半導体チップ107を熱融着させた後、研削碇石108により半導体チップ107を研削している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−298115号公報
【特許文献2】特開2001−210781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10に示すように薄型の半導体チップ106を圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングする際、又は配線基板100に熱融着され接続された半導体チップ107を図11に示すように研削碇石108により薄型化する際、熱硬化樹脂105よりも硬い回路配線103が存在する部分110に負荷が集中するため、図12に示すような半導体チップ106の破壊が生じていた。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、半導体チップへの負担を低減させ、半導体チップの破壊を防ぐことができる配線基板及びこれを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上述した目的を達成するために、本発明に係る配線基板は、厚さが150μm以下の半導体チップを実装するための配線が配置された配線基板において、上記配線は、145μm以下の幅であることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る半導体装置は、配線が配置された配線基板に厚さが150μm以下の半導体チップが実装されており、上記配線は、145μm以下の幅であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る配線基板は、配線の幅が145μm以下であることにより、厚さが150μm以下である薄型の半導体チップを圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングする際、又は配線基板に接続され熱融着された半導体チップを研削碇石により厚さを150μm以下に薄型化する際、半導体チップへの負担を低減させ、半導体チップの破壊を防ぐことができる。
【0010】
また、本発明に係る半導体装置は、厚さが150μm以下である半導体チップが実装されており、配線の幅が145μm以下であることにより、衝撃に強く、信頼性の高い接続を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における配線基板10の一部を示す平面図である。この配線基板10は、ポリイミド樹脂などの基板で形成された絶縁基材11の片面に銅やアルミニウムなどの導体箔を貼着し、エッチングにより半導体チップが実装される領域12を含む部分に回路配線13を配置したものである。また、この配線基板10は、半導体チップに所定のピッチで設けられた突起電極(以下、バンプという。)に対応する位置に接続パッド14を配置しており、所定の回路配線13と接続されている。回路配線13の幅Aは、接続パッド14の幅Bよりも小さい幅で形成され、具体的には、145μm以下の幅で形成されている。特に、半導体チップが実装される領域12では、145μm以下の幅で形成されていることが好ましい。
【0012】
ここで、図1に示すような配線基板10を用いた半導体装置の製造工程について、図2〜図4を参照して説明する。図2は図1に示すような配線基板10の断面図、図3は薄型の半導体チップ16を圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングする際の半導体チップ16及び配線基板10の断面図、及び図4は半導体装置18の断面図である。
【0013】
先ず、図2に示すような回路配線13が形成された配線基板10上に、図3に示すように、異方導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)等の熱硬化性樹脂15を供給する。そして、厚さが150μm以下である薄型の半導体チップ16を圧着ヘッドにより加熱して圧力を加える。
【0014】
このとき、樹脂が溶融し、樹脂内に分散している導電性微粒子により半導体チップ16のバンプと接続パッド14との間が電気的に接続される。この導電性粒子は分散しているため、バンプ間の横方向の導通はなく、バンプと接続パッド14間の縦方向は導通状態となる。
【0015】
また、このとき、半導体チップ16が実装される領域内の回路配線13の幅Aが145μm以下の幅で形成されていることにより、回路配線13部分における応力が緩和されるとともに半導体チップ16にかかる負荷が低減され、半導体チップ16の実装を安定して行うことができる。
【0016】
その後、樹脂が硬化して、図4に示すような半導体装置20が完成する。この半導体装置20は、実装された半導体チップ16の領域内において、回路配線13の幅Aが145μm以下の幅で形成されているため、強度が強く、高い接続信頼性を有するものとなっている。
【0017】
なお、上述の半導体装置の製造工程では、厚さが150μm以下である薄型の半導体チップ16を配線基板10に実装することとしたが、厚さが150μmより大きい半導体チップを配線基板10に実装し、その後、研削碇石により150μm以下の厚さまで薄型化するようにしてもよい。この薄型化する場合も、回路配線13部分における応力が緩和され、半導体チップ16にかかる負荷が低減されるため、半導体チップ16の破壊を防ぐことができる。また、半導体チップ16を研削する際、研削速度を遅くする必要がないため、研削を複数回分けて研削しなくてもよい。
【0018】
また、上述の実施の形態では、絶縁基材11の片面に回路配線13が形成された片面の配線基板10について説明したが、絶縁基材11の両面に回路配線13が形成された両面配線基板30に半導体チップを実装するようにしてもよい。この両面配線基板30は、図1に示すような回路配線13を両面に有している。
【0019】
この両面配線基板30を用いた半導体装置の製造工程について、図5〜図8を参照して説明する。図5は回路配線13を両面に有する両面配線基板30の断面図、図6及び図7は薄型の半導体チップ16を圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングする際の半導体チップ16及び両面配線基板30の断面図、及び図8は半導体装置40の断面図である。
【0020】
先ず、片面の配線基板10を用いた場合と同様に、図5に示す両面配線基板30の一方の面に、異方導電性フィルム等の熱硬化性樹脂15を供給する。そして、図6に示すような状態から、薄型の半導体チップ16を圧着ヘッドにより加熱して圧力を加える。このとき、樹脂が溶融し、樹脂内に分散している導電性微粒子により半導体チップ16のバンプと接続パッド14との間が電気的に接続される。この導電性粒子は分散しているため、バンプ間の横方向の導通はなく、バンプと接続パッド14間の縦方向は導通状態となる。これにより、一方の面には、半導体チップ16が実装される。
【0021】
そして、図7に示すように、両面配線基板30の他方の面に、異方導電性フィルム等の熱硬化性樹脂15を供給し、一方の面と同様に半導体チップ16を実装して、図8に示すような半導体装置40が完成する。
【0022】
このように、本発明に係る配線基板によれば、回路配線13の幅Aが145μm以下であることにより、厚さが150μm以下である薄型の半導体チップ16を圧着ヘッドによりフェースダウンボンディングする際、又は配線基板に熱融着され接続された半導体チップを研削碇石により厚さを150μm以下に薄型化する際、半導体チップへの負担を低減させ、半導体チップの破壊を防ぐことができる。
【0023】
また、本発明に係る半導体装置によれば、厚さが150μm以下である半導体チップ16が実装されており、回路配線13の幅Aが145μm以下であることにより、衝撃に強く、信頼性の高い接続を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態における配線基板の一部を示す平面図である。
【図2】本実施の形態における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図3】本実施の形態における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図4】本実施形態における半導体装置を示す断面図である。
【図5】本実施の形態における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図6】本実施の形態における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図7】本実施の形態における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図8】本実施形態における半導体装置を示す断面図である。
【図9】従来における配線基板の一部を示す平面図である。
【図10】従来における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図11】従来における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【図12】従来における半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 配線基板、 11 絶縁基板、 12 半導体チップが実装される領域、 13 配線パターン、 14 接続パッド、 15 熱硬化性樹脂、 16 半導体チップ、 20 半導体装置、 30 両面配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが150μm以下の半導体チップを実装するための配線が配置された配線基板において、
上記配線は、145μm以下の幅であることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
配線が配置された配線基板に厚さが150μm以下の半導体チップが実装されており、
上記配線は、145μm以下の幅であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−135092(P2006−135092A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322622(P2004−322622)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】