説明

配線基板及びその製造方法

【課題】導電性材料から成るコア基板を貫通するヴィア構造が複雑化し、ヴィアを狭ピッチ形成し難い従来の配線基板の課題を解決する。
【解決手段】導電性材料から成るコア基板12aの両面側に絶縁層を介して配設された配線パターン12cが、コア基板12aを貫通するスルーホール14内に形成されたヴィア22によって電気的に接続されているコア層12を具備する配線基板10であって、ヴィア22が、スルーホール14内に挿入され、スルーホール14の各開口部方向の一部を除いて導電面が絶縁性部材22bによって被覆されている導体球22aと、導体球22aの露出している導電面の各々に一端が接続された導体部22c、22cとによって形成され、導体部22c、22cの各々の他端が、スルーホール14の内周面に接触することなく開口部方向に延出されて、対応する配線パターン12cに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板及びその製造方法に関し、更に詳細には導電性材料から成るコア基板の両面側に絶縁層を介して配設された配線パターンが、前記コア基板を貫通するスルーホール内に形成されたヴィアによって電気的に接続されているコア層を具備する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば下記特許文献1に提案されている様に、配線基板の熱膨張率を低減すべく、コア基板として、主として炭素繊維と絶縁性樹脂とから形成され、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板(以下、単に低熱膨張率のコア基板と称することがある)が用いられるようになってきた。
しかし、かかる低熱膨張率のコア基板では、導電性の炭素繊維が用いられている。このため、図7に示す様に、配線基板100を構成するコア層102では、低熱膨張率のコア基板102aの両面側に絶縁性樹脂から成る絶縁層102b,102bを介して形成された配線パターン102c,102cを電気的に接続するヴィア106が、コア基板102aを貫通するスルーホール104内に、その内壁面との間に絶縁層102bを介して形成されている。
かかるヴィア106は、スルーホール104内に絶縁層102bを介して形成されている筒状ヴィア106aであって、筒状ヴィア106aの中空部には樹脂106bが充填されている。
尚、図7に示す配線基板100では、コア層102の両面側に絶縁層108を介して配線パターン110,110・・が形成されている。
【0003】
図7に示す配線基板100を製造するには、先ず、図8(a)に示す様に、炭素繊維と絶縁性樹脂とから成る低熱膨張率のコア基板102aにドリル等によってスルーホール104を形成した後、図8(b)に示す様に、コア基板102aの両面に絶縁性樹脂によって絶縁層102bを形成し、スルーホール104を絶縁性樹脂によって充填する。
更に、図8(c)に示す様に、コア基板102aのスルーホール104内に、ドリル等によってスルーホール104よりも小径の貫通孔105を形成した後、めっき又は蒸着によって絶縁層102bの表面及び貫通孔105の内壁面に金属層114を形成する[図8(d)]。
次いで、図9(e)に示す様に、貫通孔105に絶縁性樹脂106bを充填した後、研磨を施して貫通孔105から突出している絶縁性樹脂106bの突起部を除去し、金属層114の表面と面一とする[図8(f)]
更に、図9(a)に示す様に、金属層114の表面及び絶縁性樹脂106bの研磨面に、めっき又は蒸着によって金属層116を形成した後、金属層114,116にパターンニングを施して配線パターン102cを形成して、コア層102を形成する[図9(b)]。
かかるコア層102には、導電性のコア基板102aを貫通するスルーホール104内に、ヴィア106が絶縁層102bを介して形成されている。このヴィア106は、スルーホール104内に絶縁層102bを介して形成されている筒状ヴィア106aであって、筒状ヴィア106a内には、絶縁層116を形成した絶縁性樹脂106bが充填されている。
その後、コア層102の両面側に、公知のアディティブ方式やセミアディティブ方式によって配線パターン110,110・・を絶縁層108を介して積層して、図7に示す配線基板100を形成できる。
【0004】
また、下記特許文献2には、ヴィアの形成方法として、金属線を被覆する樹脂皮膜の表面をめっき金属で覆った同軸線を、基板のスルーホール内に挿入してヴィアを形成することが提案されている。この形成方法によれば、簡単にヴィアを形成できる。
しかし、かかるヴィアの形成方法では、同軸線をスリーホール内に挿入する際に、同軸線の位置合わせを行うと共に、同軸線の金属線を露出する露出方向をスルーホールの開口方位とすることを要し、工程が複雑化する。更に、同軸線をスリーホール内に挿入するためには、同軸線にある程度の強度が必要である。このため、ヴィアの狭ピッチ化を図るべく、同軸線の細化を図ると、同軸線の坐屈や脱落等が生じ易い。
【特許文献1】国際公開第WO2004/064467号パンフレット
【特許文献2】特開2007−12746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示す配線基板100には、コア基板102として、炭素繊維と絶縁性樹脂とから成り、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板を用いているため、従来の樹脂製のコア基板を用いて形成した配線基板に比較して、配線基板の熱膨張率を低下できる。このため、図7に示す配線基板100に半導体素子を搭載しても、半導体素子と配線基板との熱膨張率差に因るクラック等の発生の減少を図ることができる。
しかしながら、図7に示す配線基板100では、コア基板102を貫通するヴィア106が、コア基板102に形成したスルーホール104内に、その内壁面に沿って形成された絶縁層102bを介して形成されている。
このため、図7に示す配線基板100の製造工程では、コア基板102aにスルーホール104を形成した後、スルーホール104内に絶縁性樹脂を充填してから再度貫通孔105を形成することを要する。この貫通孔105はスルーホール104の中心部に精度よく形成することが要求される。貫通孔105がスルーホール104の中心部から多少なりとも偏って形成された場合、絶縁層106aの厚さにバラツキが生じ、得られるヴィア106の信頼性が低下するおそれがあるからである。
また、絶縁層106aの厚さのバラツキを可及的に少なくしてヴィア106の信頼性を確保するには、スルーホール104内に貫通孔105を形成する加工精度の観点から、コア基板102aに形成するスルーホール104の径をある程度確保することを要し、ヴィア106を狭ピッチで形成することは困難である。
そこで、本発明では、導電性材料から成るコア基板を貫通するヴィア構造が複雑化し、ヴィアを狭ピッチ形成し難い従来の配線基板の課題を解決し、導電性材料から成るコア基板を貫通するヴィア構造を簡易化し、信頼性を保持してヴィアを狭ピッチで形成できる配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するには、導電性材料から成るコア基板を貫通するスルーホール内に、球状の銅粒子の全周面を絶縁性樹脂で被覆した導体球を挿入してヴィアを形成することが有効ではないかと考えて検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、導電性材料から成るコア基板の両面側に絶縁層を介して配設された配線パターンが、前記コア基板を貫通するスルーホール内に形成されたヴィアによって電気的に接続されているコア層を具備する配線基板であって、前記ヴィアが、前記スルーホール内に挿入され、前記スルーホールの各開口部方向の一部を除いて導電面が絶縁性部材によって被覆されている導体球と、前記導体球の露出している導電面の各々に一端が接続された金属から成る導体部とによって形成され、前記導体部の各々の他端が、前記スルーホールの内周面に接触することなく開口部方向に延出されて、対応する前記配線パターンに接続されていることを特徴とする配線基板にある。
また、本発明は、導電性材料から成るコア基板を貫通するスルーホール内に、全導電面が絶縁性部材で被覆された導体球を挿入した後、前記スルーホール内を含むコア基板の両面側に形成した絶縁層の各々に、前記スルーホールよりも小径で且つ底面に前記導体球の導電面の一部が露出する凹部を形成し、次いで、前記凹部の底面に露出する導体球の導電面と接続する金属から成る導体部を形成して、前記スルーホール内に導体球と導体部とから成るヴィアと、前記コア基板の両面側に前記ヴィアの導体部に接続した配線パターンとを具備するコア層を形成し、その後、前記コア層の両面側に絶縁層を介して配線パターンを積層することを特徴とする配線基板の製造方法でもある。
【0007】
かかる本発明において、導体球として、球状の金属粒子の周面を絶縁樹脂皮膜によって覆った導体球を、導電性材料から成るコア基板のスルーホール内に挿入する粒子として好適に用いることができる。特に、金属粒子として、銅粒子を好適に用いることができる。
更に、コア基板として、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板を用いることによって、配線基板全体の熱膨張率を低減できる。このコア基板としては、炭素繊維と絶縁樹脂とによって形成したコア基板を好適に用いることができる。
また、コア基板を貫通するスルーホールを、前記コア基板の一面側の開口径が他面側の開口径よりも大径のテーパ状に形成することによって、導体球をスルーホール内に容易に挿入できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導電性材料から成る導電性コア基板を貫通するスルーホール内に、導電面を絶縁性部材で被覆した導体球を挿入してヴィアを形成する。このため、導体球の絶縁性部材が、コア基板のスルーホールの内壁面との絶縁層の一部に利用でき、ヴィア構造を簡易化できる。
従って、コア基板に形成したスルーホール内に再度貫通孔を形成することなくヴィアを形成でき、ヴィアを狭ピッチで形成できる。
しかも、導体球の絶縁性部材が、コア基板のスルーホールの内壁面との絶縁層の一部を形成していることから、絶縁層の厚さ等のバラツキも少なくでき、狭ピッチ化したヴィアの信頼性を維持できる。
また、本発明では、従来の導電性コア基板にヴィアを形成する工程のうち、コア基板に形成したスルーホール内に充填した樹脂にドリル等で貫通孔を形成する工程、及び形成した貫通孔の内壁面に金属層を形成する工程、及び研磨工程を省略でき、その製造工程も簡易化できる。
更に、本発明では、全導電面が絶縁性部材で被覆された導体球を用いるため、コア基板のスルーホール内に導体球を挿入する際に、その挿入方向等を決定する工程を省略でき、容易にコア基板のスルーホール内にヴィアを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る配線基板の一例を図1に示す。図1に示す配線基板10には、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板12aが用いられたコア層12が形成されている。かかるコア層12を構成するコア基板12aは、炭素繊維と絶縁樹脂とによって形成されており、導電性を呈するコア基板である。
このコア基板12aの両面側には、絶縁性樹脂から成る絶縁層12bを介して形成された配線パターン12c,12cは、コア基板12aを貫通するスルーホール14内に形成されたヴィア22によって電気的に接続されている。このヴィア22は、スルーホール14の内周面に接触することなく開口部方向に延出されている。
かかるヴィア22は、スルーホール14内に挿入され、スルーホール14の各開口部方向の一部を除いて導電面(銅面)が絶縁性樹脂から成る絶縁性部材22bによって被覆されている導体球22a(球状の銅粒子)と、導体球22aの露出している導電面(銅面)に一端が接続された導体部(銅金属から成る柱状部22c,22c)とから構成されている。この導体部(柱状部22c,22c)の他端は、コア基板102の両面側に形成された絶縁性樹脂から成る絶縁層12bを貫通して配線パターン12c,12cに電気的に接続されている。
【0010】
かかる柱状部22c,22cの一端と接続されている導体球22aの導電面(銅面)が露出している露出面は、コア基板12aに形成したスルーホール14の開口部方向である。一方、かかる露出面を除く導体球22aの導電面(銅面)を被覆する絶縁性部材22bは除去されず残留している。このため、導体球22aの導電面を被覆する絶縁性部材22bの部分は、コア基板12aに形成したスルーホール14の内壁面と導体球22aとの絶縁層を形成している。
かかる柱状部22c,22c及び導体球22aの周面を被覆する絶縁性部材22bとスルーホール14の内壁面との隙間は、コア層12を形成する絶縁層12bの絶縁性樹脂が進入して充填している。
この様に、図1に示す配線基板10では、コア層12のビア構造を、図7に示すコア層102のヴィア構造に比較して簡単化でき、ヴィア22を狭ピッチで形成することも可能である。
尚、図1に示す配線基板10では、コア層12の両面側に絶縁層18を介して配線パターン20,20・・が形成されている。
【0011】
図1に示す配線基板を形成する際には、先ず、コア層12を形成する。かかるコア層12は、図2(a)(b)に示す様に、炭素繊維と絶縁性樹脂とから成る低熱膨張率のコア基板12aにドリル等によってスルーホール14を形成した後、導体球22aの導電面の全面が絶縁性部材22bで覆われた球体24を挿入する。この球体24の挿入は、スルーホール14を形成したコア基板12aの一面側を治具に当接して行うことが容易である。
この球体24を構成する導体球22aとしては、導電性を呈する球状の金属粒子を好適に用いることができ、導電性等の観点から球状の銅粒子又はアルミニウム粒子、特に球状の銅粒子が好適である。この導体球22aの導電面の全面を覆う絶縁性部材22bとしては、絶縁性樹脂やSiOやAlO等のセラミックを用いることができる。導体球22aの導電面の全面を覆う絶縁性部材22bの厚さは、導体球22aの外径とスルーホール14の内径とによって決定されるが、例えば導体球22aの外径が50μmのとき、絶縁性部材22bの厚さを20〜30μm程度にできる。
絶縁性樹脂としての熱可塑性樹脂で球状の金属粒子の表面に絶縁性皮膜を形成する際には、例えば特許第3262372号公報で提案されている方法を採用できる。この方法では、攪拌機構と加熱機構とを具備する装置内で、球状の金属粒子を攪拌しながら熱可塑性樹脂の軟化温度以上に昇温した後、金属粒子と熱可塑性樹脂とを攪拌混合して、金属粒子による加熱作用によって熱可塑性樹脂を加熱し、軟化・溶融した熱可塑性樹脂を金属粒子の表面に固定化する方法である。かかる熱可塑性樹脂中にSiOやAlO等のセラミックの微粉末を混合してもよい。
【0012】
更に、図2(c)に示す様に、コア基板12aの両面側に、銅箔等の金属箔26がラミネートされている金属箔付き絶縁樹脂層を熱圧着して、スルーホール14の内壁面と球体24との隙間を、絶縁層12bを形成する絶縁性樹脂によって充填する。
次いで、図2(d)に示す様に、レーザー光の照射によって、スルーホール14よりも小径で且つスルーホール14内に挿入した球体24を構成する導体球22aの導電面である金属面の一部が底面に露出する凹部28,28を形成する。
かかる凹部28,28には、図3(a)に示す様に、ヴィアフィルめっきを施してめっき金属を充填する。かかるヴィアフィルめっきは、図2(d)に示す金属箔26,26の表面及び凹部28,28の内壁面に、無電解めっき又は蒸着等によって金属薄膜を形成した後、この金属薄膜を給電層とする電解めっきを施す。このヴィアフィルめっきによって、図3(a)に示す様に、凹部28,28内にめっき金属を充填し、導体球22aの導電面の一部に一端が接続された柱状部22c,22cが形成されると共に、金属箔26,26上にもめっき金属が析出して金属層30を形成する。
その後、図3(b)に示す様に、金属層30にパターニングを施して配線パターン12c、12cを形成することによってコア層12を形成できる。この配線パターン12c、12cは、コア基板12aを貫通するヴィア22によって電気的に接続されている。かかるヴィア22では、スルーホール14内に挿入された導体球22aの導電面が露出した露出面の各々の各一端が接続された柱状部22c,22cが、スルーホール14の内周面に対して、絶縁層12bと導体球22aの導電面を被覆する絶縁性樹脂から成る絶縁性部材22bによって絶縁されて開口部方向に延出されていると共に、柱状部22c,22cの他端がコア基板12aの両面側に形成された配線パターン12c,12cに接続されている。
更に、図3(b)に示すコア層12の両面側に、公知のアディティブ方式やセミアディティブ方式によって配線パターン20,20・・を絶縁層18を介して積層し、図1に示す配線基板10を形成できる。
尚、図2及び図3の配線基板の製造方法では、コア基板12aの一面側を治具に当接してスルーホール14に球体24を挿入しているが、コア基板12aの一面側に絶縁層12bを形成した状態で球体24を挿入してもよい。
【0013】
図1に示す配線基板10のヴィアを構成する導体部である柱状部22c,22cに代えて、図4に示す様に、凹状の導体部23c,23cを採用できる。
この図4に示す配線基板10のコア層12では、図1に示すコア層12の構成部材と同一部材は、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示すコア層12を形成する際には、先ず、図5(a)に示す様に、炭素繊維と絶縁性樹脂とから成る低熱膨張率のコア基板12aにドリル等によって形成したスルーホール14内に、導体球22aの全周面が絶縁性部材22bで覆われた球体24を挿入した後、コア基板12の両面側に絶縁性樹脂によって絶縁層12b,12bを形成して、スルーホール14内を絶縁樹脂によって充填する[図5(a)]。
更に、図5(b)に示す様に、レーザー光の照射によって、スルーホール14よりも小径で且つスルーホール14内に挿入した球体24を構成する導体球22aの導電面である金属面の一部が底面に露出するテーパ状の凹部28,28を形成する。
次いで、絶縁層12b,12bの表面及び凹部28,28の内壁面に、無電解めっき又は蒸着等によって金属薄膜を形成した後、この金属薄膜を給電層とする電解めっきを施して、金属層23を形成する[図5(c)]。
その後、図5(d)に示す様に、金属層23にパターニングを施して配線パターン12c、12cを形成することによってコア層12を形成できる。この配線パターン12c、12cは、コア基板12aを貫通するヴィア22によって電気的に接続されている。かかるヴィア22では、スルーホール14内に挿入された導体球22aの導電面が露出した露出面に一端が接続された凹状の導体部23c,23cが、スルーホール14の内周面に対して、絶縁層12bと導体球22aの導電面を被覆する絶縁性樹脂から成る絶縁性部材22bによって絶縁されて開口部方向に延出されていると共に、凹状の導体部23c,23cの他端がコア基板12aの両面側に形成された配線パターン12c,12cに接続されている。
更に、図5(d)に示すコア層12の両面側に、公知のアディティブ方式やセミアディティブ方式によって配線パターン20,20・・を絶縁層を介して積層し、図4に示す配線基板10を形成できる。
【0014】
図4に示すコア層12は、図6に示す製造方法でも形成できる。図6に示す製造方法では、先ず、図2(a)〜図2(c)に示す工程と同様にして、炭素繊維と絶縁性樹脂とから成る低熱膨張率のコア基板12aにドリル等によって形成したスルーホール14内に、導体球22aの全周面が絶縁性部材22bで覆われた球体24を挿入した後、コア基板12aの両面側に、銅箔等の金属箔26がラミネートされている金属箔付き絶縁樹脂層を熱圧着して、スルーホール14の内壁面と球体24との隙間を、絶縁層12bを形成する絶縁性樹脂によって充填する。
更に、図6(a)に示す様に、レーザー光の照射によって、スルーホール14よりも小径で且つスルーホール14内に挿入した球体24を構成する導体球22aの導電面である金属面の一部が底面に露出するテーパ状の凹部28,28を形成する。
次いで、絶縁層12b,12bの表面及び凹部28,28の内壁面に、無電解めっき又は蒸着等によって金属薄膜を形成した後、この金属薄膜及び金属箔26を給電層とする電解めっきを施して、金属層23を形成する[図6(b)]。
その後、図6(c)に示す様に、金属層23にパターニングを施して配線パターン12c、12cを形成することによってコア層12を形成できる。
以上、説明してきたコア基板12aには、ドリル等によってストレート状のスルーホール14を形成しているが、コア基板12aの一面側の開口径が他面側の開口径よりも大径のテーパ状のスルーホールを形成してもよい。かかるテーパ状のスルーホールによれば、開口径の大きい開口部から導体球24を容易に挿入でき、且つテーパ面の角度を調整することによって、スルーホール内に挿入された導体球24の挿入位置を所定位置とすることができる。
【0015】
この様に、図2〜3、図5、図6に示す配線基板10の製造工程、特にコア層12の製造工程は、図8〜9に示す従来のコア層102の製造工程に比較して、簡単化されている。
更に、図2〜3、図5、図6に示す製造工程では、図8〜9に示す従来のコア層102の製造工程の如く、コア基板102aに形成したスルーホール104内に再度貫通孔105を形成することを省略でき、ヴィア22の信頼性を維持しつつ、そのピッチを狭ピッチ化できる。
尚、図1〜図3に示す説明では、コア基板12aとして、炭素繊維と絶縁樹脂とによって形成された低熱膨張率のコア基板を用いたが、金属製のコア基板を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る配線基板の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す配線基板の製造工程の一部を説明する説明図である。
【図3】図1に示す配線基板の製造工程のその他の部分を説明する説明図である。
【図4】本発明に係る配線基板の他の例を示す断面図である。
【図5】図4に示す配線基板の製造工程の一例を説明する説明図である。
【図6】図4に示す配線基板の製造工程の他の例を説明する説明図である。
【図7】従来の配線基板を説明する断面図である。
【図8】図7に示す従来の配線基板の製造工程の一部を説明する説明図である。
【図9】図8に示す配線基板の製造工程のその他の部分を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0017】
10 配線基板
12 コア層
12a コア基板
12b 絶縁層
12c,20 配線パターン
14 スルーホール
18 凹部
22 ヴィア
22a 導体球
22b 絶縁性部材
22c,23c 導体部
24 球体
26 金属箔
28 凹部
30 金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料から成るコア基板の両面側に絶縁層を介して配設された配線パターンが、前記コア基板を貫通するスルーホール内に形成されたヴィアによって電気的に接続されているコア層を具備する配線基板であって、
前記ヴィアが、前記スルーホール内に挿入され、前記スルーホールの各開口部方向の一部を除いて導電面が絶縁性部材によって被覆されている導体球と、前記導体球の露出している導電面の各々に一端が接続された金属から成る導体部とによって形成され、
前記導体部の各々の他端が、前記スルーホールの内周面に接触することなく開口部方向に延出されて、対応する前記配線パターンに接続されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
導体球が、球状の金属粒子の金属面が絶縁樹脂皮膜によって覆われている導体球である請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
金属粒子が、銅粒子である請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
コア基板が、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板である請求項1〜3のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項5】
コア基板が、炭素繊維と絶縁樹脂とによって形成されているコア基板である請求項1〜4のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項6】
コア基板を貫通するスルーホールが、前記基板の一面側の開口径が他面側の開口径よりも大径のテーパ状に形成されている請求項1〜5のいずれか一項記載の配線基板。
【請求項7】
導電性材料から成るコア基板を貫通するスルーホール内に、全導電面が絶縁性部材で被覆された導体球を挿入した後、前記スルーホール内を含むコア基板の両面側に形成した絶縁層の各々に、前記スルーホールよりも小径で且つ底面に前記導体球の導電面の一部が露出する凹部を形成し、
次いで、前記凹部の底面に露出する導体球の導電面と接続する金属から成る導体部を形成して、前記スルーホール内に導体球と導体部とから成るヴィアと、前記コア基板の両面側に前記ヴィアの導体部に接続した配線パターンとを具備するコア層を形成し、
その後、前記コア層の両面側に絶縁層を介して配線パターンを積層することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
導体球として、球状の金属粒子の金属面を絶縁樹脂皮膜によって覆った導体球を用いる請求項7記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
金属粒子として、銅粒子を用いる請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
コア基板として、配線基板を形成する他の部材よりも低熱膨張率のコア基板を用いる請求項7〜9のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
コア基板として、炭素繊維と絶縁樹脂とによって形成したコア基板を用いる請求項7〜9のいずれか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
コア基板を貫通するスルーホールを、前記コア基板の一面側の開口径が他面側の開口径よりも大径のテーパ状に形成する請求項7〜11のいずれか一項記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−99615(P2009−99615A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267116(P2007−267116)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】