説明

配線基板及び電子装置

【課題】配線レイアウトの自由度が高く、且つ、信号を高品質で伝送可能な配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板に、交差する第1,第2配線11,12を設ける。ここで、第1配線11は、交差領域AR1では第1層に形成し、周辺領域AR2では第1層、第1層より下層の第2、及び第1,第2層間の第3層に形成する。第2配線12は、交差領域AR1では第2層に形成し、周辺領域AR2では第1層、第2層及び第3層に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、及び配線基板を用いた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品が実装される配線基板には、様々な形状、配置で配線が形成される。配線基板では、異なる配線を交差させて配置することも、しばしば行われる。
交差させる方法としては、例えば、異なる配線をそれぞれ配線基板内の別々の層に形成して交差させる方法、或いは、配線基板内の同じ層に形成されている異なる配線のうち、交差させる領域で一方の配線のみ別の層に迂回させる方法が知られている。
【0003】
また、一の配線を跨ぐ架橋構造物を設け、その架橋構造物の上に、他の配線を、その一の配線と交差するように形成する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−48306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線基板内に、配線が交差する部分を設けることは、配線レイアウトの自由度が高まる点で好ましい。
一方、配線基板には、それに実装する半導体素子等の電子部品の種類、そのような電子部品のレイアウト、配線基板の外部接続用端子のレイアウト等により、配線幅の小さい配線、配線長の長い配線が形成される場合がある。このような配線幅の小さい配線、配線長の長い配線では、その配線を伝送する信号の品質、強度の劣化が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、第1層、第2層、及び前記第1層と前記第2層との間の第3層を有し、第1領域では前記第1層に形成され、前記第1領域周辺の第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第1配線と、前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第2配線と、を含む配線基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の配線基板によれば、配線レイアウトの自由度を高めることができ、更に、配線を伝送する信号の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】配線の一例を示す要部斜視模式図である。
【図2】配線の一例を示す要部断面模式図である。
【図3】配線の別の構成例を示す図(その1)である。
【図4】配線の別の構成例を示す図(その2)である。
【図5】配線の別例を示す要部斜視模式図である。
【図6】配線の別例を示す要部断面模式図である。
【図7】電子装置の一例の平面模式図である。
【図8】第1実施例に係る配線の要部斜視模式図である。
【図9】図8の要部断面模式図(その1)である。
【図10】図8の要部断面模式図(その2)である。
【図11】第1溝形成工程の一例の説明図である。
【図12】第1埋め込み工程の一例の説明図である。
【図13】第2溝形成工程の一例の説明図である。
【図14】第2埋め込み工程の一例の説明図である。
【図15】外部接続用端子形成工程の一例の説明図である。
【図16】半導体素子接続用端子形成工程の一例の説明図である。
【図17】電子装置の一例の要部断面模式図である。
【図18】配線基板の周波数と透過率の関係の一例を示す図である。
【図19】第2実施例に係る配線の要部斜視模式図である。
【図20】図19の要部断面模式図(その1)である。
【図21】図19の要部断面模式図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は配線の一例を示す要部斜視模式図である。図2は配線の一例を示す要部断面模式図であって、(A)は図1のX1−X1断面模式図、(B)は図1のY1−Y1断面模式図である。
【0010】
図1には、第1,第2配線11,12が交差する領域(交差領域AR1)と、その周辺の領域(周辺領域AR2)の一部を模式的に図示している。尚、図1では、第1,第2配線11,12の周囲に形成される絶縁層(図2に示す第1,第2,第3絶縁層21,22,23)については、図示を省略している。
【0011】
第1,第2配線11,12は、例えば、銅、アルミニウム等の導電材料を用いて形成される、配線基板内の配線である。第1,第2配線11,12は、いずれも信号線である場合、いずれもグランド線である場合、或いは、いずれか一方が信号線でもう一方がグランド線である場合があり得る。
【0012】
図1及び図2には、第1,第2配線11,12がそれぞれ、積層された第1,第2,第3層L1,L2,L3の3層に跨って形成されている場合を例示している。
第1配線11は、第1層L1の第1絶縁層21内に形成された上層部11a、第2層L2の第2絶縁層22内に形成された下層部11b、及び第1層L1と第2層L2の間に設けられた第3層L3の第3絶縁層23内に形成された導体部11cを含んでいる。第2配線12は、第1層L1の第1絶縁層21内に形成された上層部12a、第2層L2の第2絶縁層22内に形成された下層部12b、及び第3層L3の第3絶縁層23内に形成された導体部12cを含んでいる。
【0013】
ここで、第1配線11の上層部11aは、図1及び図2(A)に示したように、交差領域AR1及び周辺領域AR2の双方の第1層L1に、連続して、形成されている。
第1配線11の下層部11bは、図1及び図2(A)に示したように、交差領域AR1の第2層L2には形成されず、周辺領域AR2の第2層L2に形成されている。交差領域AR1の第2層L2には、第1配線11と交差する第2配線12の下層部12b、及び第2配線12の下層部12bと第1配線11の下層部11bとを電気的に分離する第2絶縁層22が存在している。
【0014】
第1配線11の導体部11cは、図1及び図2(A)に示したように、上層部11a及び下層部11bの双方に達し、それらを接続するように、周辺領域AR2の第3層L3に形成されている。交差領域AR1の第3層L3には、第3絶縁層23が存在している。
【0015】
第1配線11の上層部11a、下層部11bは、第1層L1、第2層L2に、互いに並行に延在されるように形成されている。また、第1配線11の導体部11cは、例えば、上層部11a及び下層部11bと並行に延在する層状の導体層として、形成することができる。
【0016】
一方、第2配線12の上層部12aは、図1及び図2(B)に示したように、交差領域AR1の第1層L1には形成されず、周辺領域AR2の第1層L1に形成されている。交差領域AR1の第1層L1には、第2配線12と交差する第1配線11の上層部11a、及び第1配線11の上層部11aと第2配線12の上層部12aとを電気的に分離する第1絶縁層21が存在している。
【0017】
第2配線12の下層部12bは、図1及び図2(B)に示したように、交差領域AR1及び周辺領域AR2の双方の第2層L2に、連続して、形成されている。
第2配線12の導体部12cは、図1及び図2(B)に示したように、上層部12a及び下層部12bの双方に達し、それらを接続するように、周辺領域AR2の第3層L3に形成されている。交差領域AR1の第3層L3には、第3絶縁層23が存在している。
【0018】
第2配線12の上層部12a、下層部12bは、第1層L1、第2層L2に、互いに並行に延在されるように形成されている。また、第2配線12の導体部12cは、例えば、上層部12a及び下層部12bと並行に延在する層状の導体層として、形成することができる。
【0019】
このように第1配線11は、上層部11a、下層部11b及び導体部11cのうち、交差領域AR1には、上層部11aのみが形成され、周辺領域AR2には、上層部11a、下層部11b及び導体部11cが形成されている。そして、下層部11bが形成されない交差領域AR1の第2層L2に、第2配線12の下層部12bが、第1配線11と交差するように、形成されている。
【0020】
第2配線12は、上層部12a、下層部12b及び導体部12cのうち、交差領域AR1には、下層部12bのみが形成され、周辺領域AR2には、上層部12a、下層部12b及び導体部12cが形成されている。そして、上層部12aが形成されない交差領域AR1の第1層L1に、第1配線11の上層部11aが、第2配線12と交差するように、形成されている。
【0021】
このように、交差領域AR1において、第1,第2配線11,12は、それぞれ上層部11a、下層部12bの1層である。周辺領域AR2において、第1配線11は、導体部11cで接続された上層部11aと下層部11bを含み、第2配線12は、導体部12cで接続された上層部12aと下層部12bを含む。交差する第1,第2配線11,12をこのような構成とすることにより、実効的な配線断面積を増加させることが可能になっている。
【0022】
ここで、比較のため、配線の別の構成例について、次の図3及び図4を参照して説明する。
図3は配線の別の構成例を示す図であって、(A)は斜視模式図、(B)は(A)のX3−X3断面模式図、(C)は(A)のY3−Y3断面模式図である。
【0023】
この図3には、第1配線111が、第1層L1の第1絶縁層21内に形成され、第1配線111と交差する第2配線112が、第2層L2の第2絶縁層22内に形成されている場合を例示している。第1,第2配線111,112は、第1,第2層L1,L2間に設けられた第3層L3の第3絶縁層23によって電気的に分離されている。
【0024】
また、図4は配線の更に別の構成例を示す図であって、(A)は斜視模式図、(B)は(A)のX4−X4断面模式図、(C)は(A)のY4−Y4断面模式図である。
この図4に示す例において、第1配線121が、第1層L1の第1絶縁層21内に形成されている点は、上記図3の例と同じである。この図4に示す例では、第2配線122が、第1配線121と交差しない領域では、第1配線121と同じく第1層L1の第1絶縁層21内に形成されている。そして、この第2配線122は、第1配線121と交差する領域では、第3層L3の第3絶縁層23を貫通するビア123で第2層L2に迂回され、第2絶縁層22内に形成されている。
【0025】
図3及び図4に示したような例では、第1配線111,121は、第1層L1に形成され、第2配線112,122は、第2層L2、或いは領域によって第1層L1又は第2層L2に形成される。
【0026】
これに対し、上記図1及び図2に示した例では、第1,第2配線11,12を、交差領域AR1周辺の周辺領域AR2においては、第1,第2,第3層L1,L2,L3を用いて形成する。そのため、図3及び図4の場合と、図1及び図2の場合とで、層数及び層厚が同じときには、図1及び図2に示した第1,第2配線11,12では、実効的な配線断面積が増加することになる。
【0027】
その結果、配線抵抗を低減することが可能になる。更に、第1配線11及び/又は第2配線12を信号線として用いた場合には、配線断面積の増加により、第1配線11及び/又は第2配線12を伝送する信号の減衰を効果的に低減することが可能になる。
【0028】
従って、第1,第2配線11,12の配線幅が微細になり、或いは配線長が長くなる場合で、それらを交差するようにレイアウトする場合であっても、配線抵抗を低減することが可能になり、また、信号の減衰量を低減することが可能になる。
【0029】
尚、上記図1及び図2には、第1,第2配線11,12間を接続する、第3層L3に形成する導体部11c,12cとして、層状の導体層を用いる場合を例示した。このほか、導体部11c,12cは、第1,第2配線11,12間の第3層L3に形成された、少なくとも1つのビアとすることも可能である。
【0030】
図5は配線の別例を示す要部斜視模式図である。図6は配線の別例を示す要部断面模式図であって、(A)は図5のX5−X5断面模式図、(B)は図5のY5−Y5断面模式図である。
【0031】
第1,第2配線11,12は、導体部11c,12cとして、例えば、この図5及び図6に示すように、第3層L3に一定の間隔で形成した複数のビア11d,12dを用いて、形成することも可能である。ビア11d,12dは、第1,第2層L1,L2間に設けられる第3層L3の第3絶縁層23を貫通し、それぞれ、第1配線11の上層部11aと下層部11b、第2配線12の上層部12aと下層部12bを、接続するように形成される。
【0032】
隣接するビア11dの間隔、隣接するビア12dの間隔は、それぞれ、第1,第2配線11,12の配線長、配線幅等に基づいて設定することができる。例えば、第1,第2配線11,12を、配線長20mm、配線幅5μmで形成する場合、ビア11dの間隔及びビア12dの間隔は、0.01mm〜1mmの範囲に設定することができる。
【0033】
便宜上、図5では、ビア11d,12dを、第3層L3の平面方向の断面が平面視で矩形状となる場合を例示したが、勿論、当該方向の断面の形状が平面視で円状や楕円状となるように、ビア11d,12dを形成することが可能である。
【0034】
尚、以上の説明では、第1,第2層L1,L2をいずれも1層とした場合を例示したが、第1,第2層L1,L2はそれぞれ、2層以上の層を含む積層構造としてもよい。その場合、上層部11a,12aは、積層構造の第1層L1を貫通するように形成すればよく、下層部11b,12bは、積層構造の第2層L2を貫通するように形成すればよい。
【0035】
また、以上の説明では、第1,第2層L1,L2間の第3層L3を1層とした場合を例示したが、第3層L3は、2層以上の層を含む積層構造としてもよい。その場合、導体部11c,12c(ビア11d,12dを含む)は、その積層構造を貫通し、それぞれ、上層部11aと下層部11b、上層部12aと下層部12bに接続されるように、形成すればよい。尚、その際には、積層構造の第3層L3に、その積層方向に導体層とビアを繰り返して配置するようにしてもよい。
【0036】
また、第1,第2配線11,12は、導体部11c,12cを、上記のような導体層とビアを組み合わせて、形成してもよい。例えば、第1,第2配線11,12のうちの一方について、上層部と下層部の接続に導体層を用い、もう一方について、上層部と下層部の接続にビアを用いることもできる。或いは、第1,第2配線11,12の双方又はいずれか一方について、一部の上層部と下層部の接続に導体層を用い、他の一部の上層部と下層部の接続にビアを用いることもできる。
【0037】
以下、上記のような配線を適用した実施例について、説明する。
まず、第1実施例について説明する。
図7は電子装置の一例の平面模式図である。
【0038】
この図7に示す電子装置30は、電子部品の1種である半導体素子41,42、及び配線基板50を有している。
半導体素子41,42には、例えば、IC(Integrated Circuit)チップ、或いはICチップがパッケージングされたものが用いられる。半導体素子41,42は、ここでは、配線基板50の所定位置に、フリップチップ実装されている。尚、この図7では、半導体素子41,42と配線基板50との接続部の図示を省略するが、半導体素子41,42と配線基板50には、予め対応する位置にそれぞれ電極(端子)が形成されており、対応する電極同士がバンプを介して電気的に接続される。
【0039】
配線基板50にフリップチップ実装された半導体素子41,42は、配線基板50に形成されている、比較的高密度に配置された、複数の配線(素子間配線)51によって電気的に接続されている。また、配線基板50には、半導体素子41,42の実装面側と反対の面側の端部に配設された外部接続用の複数の電極(端子)60、及び半導体素子41,42と各端子60間を電気的に接続するための複数の配線(素子−端子間配線)53が形成されている。
【0040】
配線基板50は、例えば、セラミックス(窒化アルミニウム等)、ガラス、有機樹脂(ポリイミド等)、固体酸化物(酸化シリコン、炭素含有酸化シリコン、窒素含有酸化シリコン等)、半導体(シリコン等)等の材料を用いて形成することができる。
【0041】
例えば、セラミックス、ガラス、有機樹脂、固体酸化物等の絶縁材料を用いて、異なる素子間配線51、異なる素子−端子間配線53、素子間配線51と素子−端子間配線53との間を電気的に分離するための絶縁層を形成することができる。また、半導体、セラミックス、ガラス等の基板の上に、有機樹脂、固体酸化物等の絶縁材料を用いて、異なる素子間配線51、異なる素子−端子間配線53、素子間配線51と素子−端子間配線53との間を電気的に分離するための絶縁層を形成することもできる。
【0042】
配線基板50に形成する素子間配線51及び素子−端子間配線53は、例えば、銅やアルミニウム、或いは銅やアルミニウムを含む金属材料を用いて、形成することができる。
尚、素子間配線51及び素子−端子間配線53の微細化や高密度化の観点からは、半導体基板上に固体酸化物を絶縁層として形成し、その絶縁層内に素子間配線51及び素子−端子間配線53を形成することによって、配線基板50を得ることが好ましい。このような配線基板50の形成方法については後述する。
【0043】
配線基板50に形成される素子−端子間配線53は、配線基板50及びそれに実装する半導体素子41,42の平面サイズ、半導体素子41,42及び端子60のレイアウト等により、比較的長い配線長で形成される場合がある。また、複数の素子−端子間配線53のレイアウトにあたり、例えば、図7に示した領域D1のように、それらのうちの何本かを交差させてレイアウトする場合がある。
【0044】
図8は第1実施例に係る配線の要部斜視模式図である。また、図9は図8のX8−X8断面模式図、図10は図8のY8−Y8断面模式図である。
図8には、一例として、図7の領域D1に形成されている4本の素子−端子間配線53の部分を示している。これら4本の素子−端子間配線53を、ここでは、第1配線531、第2配線532、第3配線533及び第4配線534とする。
【0045】
第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534はそれぞれ、グランド線と信号線のいずれであっても構わない。例えば、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534がいずれもグランド線又はいずれも信号線である場合や、第1,第2配線531,532がグランド線で、第3,第4配線533,534が信号線である場合(コプレーナ配線)等があり得る。
【0046】
図8に示した例では、第1,第3配線531,533が並行に延在され、第2,第4配線532,534が並行に延在されて、第1,第3配線531,533と、第2,第4配線532,534とが交差している。
【0047】
第1配線531は、図8〜図10に示すように、上層部531a、下層部531b、及び複数の導体部531cを含んでいる。ここでは、導体部531cとして、ビアを形成した場合を例示している。
【0048】
上層部531aは、第1層L1の第1絶縁層541内で、交差領域AR1及び周辺領域AR2に形成されている。下層部531bは、第2層L2の第2絶縁層542内で、周辺領域AR2に形成されている。交差領域AR1の第2層L2には、第1配線531と交差する第2,第4配線532,534の下層部532b,534bが形成されている。導体部531cは、第3層L3の第3絶縁層543内で、周辺領域AR2に形成され、第3絶縁層543を貫通し、上層部531aと下層部531bとを接続している。
【0049】
この第1配線531と並行に延在された第3配線533も同様に、図8に示すように、上層部533a、下層部533b、及び複数の導体部(ビア)533cを含んでいる。
上層部533aは、交差領域AR1及び周辺領域AR2の第1層L1に形成されている。下層部533bは、周辺領域AR2の第2層L2に形成されている。交差領域AR1の第2層L2には、第3配線533と交差する第2,第4配線532,534の下層部532b,534bが形成されている。導体部533cは、周辺領域AR2の第3層L3に形成され、上層部533aと下層部533bとを接続している。
【0050】
これら第1,第3配線531,533と交差する第2配線532もまた、図8〜図10に示すように、上層部532a、下層部532b、及び複数の導体部(ビア)532cを含んでいる。
【0051】
上層部532aは、第1層L1の第1絶縁層541内で、周辺領域AR2に形成されている。交差領域AR1の第1層L1には、第2配線532と交差する第1,第3配線531,533の上層部531a,533aが形成されている。下層部532bは、第2層L2の第2絶縁層542内で、交差領域AR1及び周辺領域AR2に形成されている。導体部532cは、第3層L3の第3絶縁層543内で、周辺領域AR2に形成され、第3絶縁層543を貫通し、上層部532aと下層部532bとを接続している。
【0052】
この第2配線532と並行に延在された第4配線534も同様に、図8に示すように、上層部534a、下層部534b、及び複数の導体部(ビア)534cを含んでいる。
上層部534aは、周辺領域AR2の第1層L1に形成されている。交差領域AR1の第1層L1には、第4配線534と交差する第1,第3配線531,533の上層部531a,533aが形成されている。下層部534bは、交差領域AR1及び周辺領域AR2の第2層L2に形成されている。導体部534cは、周辺領域AR2の第3層L3に形成され、上層部534aと下層部534bとを接続している。
【0053】
このように、並行に配置された第1,第3配線531,533は、交差領域AR1で第2,第4配線532,534(下層部532b,534b)と交差し、その交差領域AR1では、第1層L1に上層部531a,533aのみが形成されている。第1,第3配線531,533は、周辺領域AR2では、第1,第2,第3層L1,L2,L3にそれぞれ、上層部531a,533a、下層部531b,533b、導体部531c,533cが形成されている。
【0054】
一方、並行に配置された第2,第4配線532,534は、交差領域AR1で第1,第3配線531,533(上層部531a,533a)と交差し、その交差領域AR1では、第2層L2に下層部532b,534bのみが形成されている。第2,第4配線532,534は、周辺領域AR2では、第1,第2,第3層L1,L2,L3にそれぞれ、上層部532a,534a、下層部532b,534b、導体部532c,534cが形成されている。
【0055】
第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534は、周辺領域AR2では、第1,第2,第3層L1,L2,L3を用いて形成され、それにより一定の配線断面積を確保することが可能になっている。その結果、配線抵抗を低減することが可能になる。更に、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の全部或いはいくつかを信号線として用いた場合には、その信号線として用いたものについて、配線抵抗に起因した伝送信号の減衰を効果的に低減することが可能になる。
【0056】
続いて、上記のような第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534を含む配線基板50の形成方法について説明する。
ここでは一例として、シリコン基板上に絶縁層及び配線が形成される形態の配線基板50の形成方法について説明する。以下、その形成工程を順に説明する。
【0057】
図11は第1溝形成工程の一例の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX11−X11断面模式図、(C)は(A)のY11−Y11断面模式図である。
配線基板50の形成では、まず、シリコン基板55の表面に、絶縁層(下地絶縁層)56を形成し、更にその上に、上記した第2絶縁層542を形成する。下地絶縁層56としては、例えば、膜厚0.7μmの酸化シリコン層を形成する。また、第2絶縁層542としては、例えば、膜厚1μmの酸化シリコン層を形成する。
【0058】
下地絶縁層56及び第2絶縁層542の形成後は、第2絶縁層542に、上記した第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の下層部531b,532b,533b,534bを形成するための溝542Aを形成する。即ち、図11(A),(C)に示したように、第2,第4配線532,534の下層部532b,534bの形状に相当する平面屈曲形状の連続した溝542Aを形成する。それと共に、図11(A),(B)に示したように、第1,第3配線531,533の下層部531b,533bの形状に相当する平面直線形状の、交差領域で離間した溝542Aを形成する。
【0059】
溝542Aは、例えば、第2絶縁層542に対するドライエッチングにより、形成することができる。
図12は第1埋め込み工程の一例の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX12−X12断面模式図、(C)は(A)のY12−Y12断面模式図である。
【0060】
溝542Aの形成後は、全面に配線材料を堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、第2絶縁層542の上面に堆積された不要な配線材料を除去し、溝542A内に配線材料を埋め込む。このときの配線材料には、例えば、銅や銅を主体とする金属材料を用いる。配線材料の堆積には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、めっき法を用いることができる。
【0061】
溝542Aのこのような配線材料による埋め込みにより、図12(A)〜(C)に示したように、第2絶縁層542内に、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の下層部531b,532b,533b,534bを形成する。
【0062】
この図11及び図12に示したような、所謂シングルダマシンプロセスを適用することにより、第2絶縁層542内に、下層部531b,532b,533b,534bを形成する。
【0063】
図13は第2溝形成工程の一例の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX13−X13断面模式図、(C)は(A)のY13−Y13断面模式図である。
下層部531b,532b,533b,534bの形成後は、全面に、上記した第3絶縁層543を形成し、更にその上に、上記した第1絶縁層541を形成する。第3絶縁層543としては、例えば、膜厚0.5μmの酸化シリコン層を形成する。また、第1絶縁層541としては、例えば、膜厚1μmの酸化シリコン層を形成する。
【0064】
第3,第1絶縁層543,541の形成後は、所謂デュアルダマシンプロセスを適用し、第3,第1絶縁層543,541にそれぞれ、所定形状の溝543A,541Aを形成する。
【0065】
第3絶縁層543には、上記した第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の導体部531c,532c,533c,534cを形成するためのビア用の溝543Aを形成する。第3絶縁層543に形成するビア用の溝543Aは、図13(A)〜(C)に示したように、先に形成した下層部531b,532b,533b,534bの上に、且つ、それらに達するように、形成する。
【0066】
また、第1絶縁層541には、上記した第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の上層部531a,532a,533a,534aを形成するための溝541Aを形成する。即ち、図13(A),(B)に示したように、第1,第3配線531,533の上層部531a,533aの形状に相当する平面直線形状の連続した溝541Aを形成する。それと共に、図13(A),(C)に示したように、第2,第4配線532,534の上層部532a,534aの形状に相当する平面屈曲形状の、交差領域で離間した溝541Aを形成する。第1絶縁層541に形成する溝541Aは、先に形成した下層部531b,532b,533b,534bと並行に、且つ、下層の溝543Aと連通するように、形成する。
【0067】
図14は第2埋め込み工程の一例の説明図であって、(A)は平面模式図、(B)は(A)のX14−X14断面模式図、(C)は(A)のY14−Y14断面模式図である。
溝543A,541Aの形成後は、全面に配線材料を堆積し、CMP法を用いて、第1絶縁層541の上面に堆積された不要な配線材料を除去し、溝543A,541A内に配線材料を埋め込む。配線材料は、例えば、銅や銅を主体とする金属材料を、CVD法を用いて堆積することができる。
【0068】
溝543A,541Aの配線材料による埋め込みにより、図14(A)〜(C)に示したように、第3絶縁層543内に、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の導体部531c,532c,533c,534cを形成する。それと同時に、第1絶縁層541内には、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の上層部531a,532a,533a,534aを形成する。
【0069】
これにより、シリコン基板55の上方に、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534が形成される。
尚、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534は、例えば、配線幅5μm、配線長20mmとすることができる。第1,第3配線531,533をそれぞれグランド線、信号線として用いる場合には、第1,第3配線531,533間のスペースを、例えば、10μmとすることができる。同様に、第2,第4配線532,534をそれぞれグランド線、信号線として用いる場合には、第2,第4配線532,534間のスペースを、例えば、10μmとすることができる。また、導体部531c,532c,533c,534cは、例えば、0.01mm〜1mmの間隔で配置することができる。
【0070】
また、ここでは、導体部531c,532c,533c,534c及び上層部531a,532a,533a,534aを、デュアルダマシンプロセスにより、一括で形成する場合を例示した。このほか、導体部531c,532c,533c,534cをシングルダマシンプロセスにより形成し、その後、上層部531a,532a,533a,534aをシングルダマシンプロセスにより形成するようにしても構わない。
【0071】
以上の工程により、配線基板50の第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534を形成することが可能であるが、これらの形成過程、或いは形成後若しくは形成前に、配線基板50の端部に設ける外部接続用の端子60を形成することができる。
【0072】
図15は外部接続用端子形成工程の一例の説明図であって、(A)は配線形成後の要部断面模式図、(B)はビア用溝形成工程の要部断面模式図、(C)はビア形成工程の要部断面模式図、(D)はパッド形成工程の要部断面模式図である。
【0073】
例えば、上記の図11及び図12に示したように下層部531b,532b,533b,534bの形成まで行った後の状態から、外部接続用の端子60の形成を行う。
尚、この図15には、便宜上、下層部531b,532b,533b,534bのうち、第1配線531の下層部531bの、図7の領域D2に相当する部分を図示して、端子60の形成の流れを説明する。端子60の形成の流れは、他の下層部532b,533b,534bについても同じである。
【0074】
端子60を形成する場合、下層部531bの配線基板50端部側の末端には、図15(A)に示すように、ランド531baを形成しておく。
そして、図15(B)に示すように、シリコン基板55側から、シリコン基板55及び下地絶縁層56を貫通し、ランド531baに達するビア用溝61aを形成する。ビア用溝61aの形成後は、例えば、CVD法及びCMP法を用いて、ビア用溝61aに銅等の導電材料を充填し、図15(C)に示すように、ビア61を形成する。
【0075】
ビア61の形成まで行った後は、図15(D)に示すように、ビア61上にアルミニウム等を用いてパッド62を形成し、パッド62の一部を残して、シリコン基板55上に保護膜63を形成する。この保護膜63からのパッド62の表出部が、配線基板50の外部接続用の端子60として利用される。
【0076】
このようにして下層部531b,532b,533b,534bに電気的に接続された端子60を形成する。端子60の形成後は、上記の図13及び図14に示したように、導体部531c,532c,533c,534c及び上層部531a,532a,533a,534aの形成を行うようにすればよい。
【0077】
尚、ここでは、端子60形成を、下層部531b,532b,533b,534bの形成後に行う場合を例示したが、端子60を形成するタイミングは、これに限定されるものではない。
【0078】
例えば、下層部531b,532b,533b,534b、導体部531c,532c,533c,534c、及び上層部531a,532a,533a,534aの形成まで行った後に、この図15の例に従い、端子60を形成することも可能である。また、導体部531c,532c,533c,534cをシングルダマシンプロセスにより形成する場合には、その形成後に、この図15の例に従い、端子60を形成することも可能である。即ち、少なくとも下層部531b,532b,533b,534bの形成まで行っていれば、この図15の例に従って端子60を形成することが可能である。
【0079】
また、端子60の形成は、このように下層部531b,532b,533b,534bの形成以後に行うことが可能であるほか、下層部531b,532b,533b,534bの形成前に行っておくことも可能である。
【0080】
その場合は、例えば、上記図11に示したシリコン基板55表面への下地絶縁層56の形成後に、裏面側から、下層部531b,532b,533b,534bのランド531ba等が形成される位置に、ビア用溝61aを形成し、そこにビア61を形成する。そして、ビア61の形成後、例えば、パッド62及び保護膜63を形成し、第2絶縁層542の形成、下層部531b,532b,533b,534bの形成、及びその上層側の形成を行うようにすればよい。或いは、ビア61の形成後、第2絶縁層542の形成、下層部531b,532b,533b,534bの形成、及び必要に応じて更にその上層側の形成を行った後に、パッド62及び保護膜63の形成を行うようにすればよい。
【0081】
上記のようにして、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の一方の末端、即ち配線基板50の端部側の末端には、端子60が形成される。また、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の他方の末端、即ち配線基板50の中央部側(半導体素子41,42の実装領域側)の末端には、半導体素子41,42を接続するための端子が形成される。
【0082】
図16は半導体素子接続用端子形成工程の一例の説明図であって、(A)はビア形成工程の要部断面模式図、(B)はパッド形成工程の要部断面模式図、(C)はアンダーバンプメタル形成工程の要部断面模式図である。
【0083】
例えば、上記の図11〜図15に示したようにして第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の形成、及び外部接続用の端子60の形成まで行った後の状態から、半導体素子41,42の接続に用いる端子64の形成を行う。
【0084】
尚、この図16には、便宜上、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534のうち、第1配線531の、図7の領域D3に相当する部分を図示して、端子形成の流れを説明する。端子形成の流れは、他の第2,第3,第4配線532,533,534についても同じである。
【0085】
半導体素子41,42の接続に用いる端子64を形成する場合、第1配線531の上層部531a及び下層部531bの配線基板50中央部側の末端には、図16(A)に示すように、それぞれランド531ab及びランド531bbを形成しておく。これらのランド531ab,531bb間には、導体部531cを設けておいてもよい。
【0086】
第1配線531の形成後には、第1絶縁層541上に、更に第4絶縁層544を形成する。そして、第4絶縁層544を貫通してランド531abに達するビア用溝を形成し、例えば、CVD法及びCMP法を用いて、そのビア用溝を銅等の導電材料で埋め、図16(A)に示したように、ビア65を形成する。
【0087】
ビア65の形成後は、図16(B)に示すように、ビア65上にアルミニウム等を用いてパッド66を形成し、パッド66の一部を残して保護膜67を形成する。この保護膜67からのパッド66の表出部が、半導体素子41,42を接続する端子64として利用される。
【0088】
尚、半導体素子41,42と端子64とを、はんだバンプ等、はんだ材料を用いて接続する場合等には、端子64の上に、アンダーバンプメタル(UBM)68を形成するようにしてもよい。但し、UBM68は、必ずしも端子64上に形成することを要しない。
【0089】
また、この図16には、シリコン基板55の裏面側に形成される保護膜63を図示しているが、保護膜63の形成及びそれに先立つ裏面側の端子60の形成は、この図16に示した表面側の端子64の形成後に、行うことも可能である。
【0090】
以上のようにして形成される配線基板50に、半導体素子41,42がフリップチップ実装され、電子装置30が形成される。
図17は電子装置の一例の要部断面模式図である。尚、図17には、一例として、第1配線531に沿った断面の要部を模式的に図示している。
【0091】
半導体素子41,42には、内部のトランジスタ、容量、抵抗等の回路素子(図示せず)に電気的に接続された電極(端子)43、及び保護膜44が、予め形成されている。半導体素子41,42の端子43と、上記のようにして形成される配線基板50の表面側の端子64とは、互いに対応する位置に、予め形成されている。
【0092】
半導体素子41,42を実装する際には、予め配線基板50の端子64上方(UBM68上)にバンプ45(ここでは一例として、はんだボール)が接続される。
尚、半導体素子41,42の端子43上に、予め金バンプや銅バンプを接続しておいてもよい。また、半導体素子41,42の端子43上にUBM(図示せず)を形成し、その上にバンプ45を接続するようにしてもよい。
【0093】
半導体素子41,42は、その端子43と、配線基板50の端子64との位置合わせを行って、配線基板50上に配置される。その後、リフロー処理を行うことで、半導体素子41,42と配線基板50とを、バンプ45を介して電気的に接続する。
【0094】
また、配線基板50の裏面側の端部に設けた端子60には、バンプ69(ここでは一例として、はんだボール)が接続され、半導体素子41,42が実装された配線基板50は、このバンプ69を介して外部接続されるようになる。
【0095】
上記のような配線基板50によれば、配線抵抗を低減することが可能になり、配線抵抗に起因した伝送信号の減衰を効果的に低減することが可能になるため、高性能、高品質の電子装置30が実現可能になる。
【0096】
図18は配線基板の周波数と透過率の関係の一例を示す図である。
図18には、上記配線基板50のように交差して配置した第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534について、周波数と透過率の関係をシミュレーションした結果の一例を示している(実施例)。このシミュレーションにおいては、第1,第2,第3,第4配線531,532,533,534の配線幅を5μm、配線長(第1,第3配線531,533)を20mmとしている。また、第1,第2配線531,532をグランド線、第3,第4配線533,534を信号線とし、グランド線と信号線の間隔を10μmとしている。尚、透過率は、所定周波数の信号を信号線の一端側から入力し、他端側から出力される信号の波形減衰を基に、求める。
【0097】
また、比較のため、第1,第3配線531,533を第1層L1の上層部531a,533aのみで構成し、第2,第4配線532,534を第2層L2の下層部532b,534bのみで構成したものについても、併せてシミュレーションを行っている(比較例)。即ち、上記図3の例に従い、第1層L1に並行に形成された2本の配線と、第2層L2に並行に形成された2本の配線とを、交差するように配置したものについて、シミュレーションを行っている。この比較例についても、グランド線と信号線の関係は、上記実施例と同じにし、配線幅、配線長、グランド線と信号線の間隔も、上記実施例と同じにしている。
【0098】
図18より、10MHz〜2GHzの範囲について見ると、比較例の交差配線では、透過率が−4.3dB〜−4.8dBであるのに対し、実施例の交差配線では、−2.2dB〜−2.4dBと、高い透過率が得られることがわかる。
【0099】
以上、第1実施例に係る配線基板50、及び配線基板50を用いた電子装置30について説明した。
尚、以上の説明において、上記図7及び図17には、2つの半導体素子41,42が1枚の配線基板50に実装される形態の電子装置30を例示した。上記配線基板50のような交差配線を有する配線基板は、少なくとも1つの半導体素子を実装するための配線基板として、広く適用可能である。
【0100】
また、上記図7及び図17には、配線基板50に半導体素子41,42をフリップチップ実装する形態の電子装置30を例示した。このほか、上記配線基板50のような交差配線を有する配線基板は、少なくとも1つの半導体素子をワイヤボンディングにより接続する配線基板にも、適用可能である。その場合は、交差配線を含む配線に電気的に接続されたワイヤボンディング用の電極(端子)を、当該配線基板の半導体素子搭載領域の周辺に設けるようにすればよい。
【0101】
次に、第2実施例について説明する。
図19は第2実施例に係る配線の要部斜視模式図である。また、図20は図19のX19−X19断面模式図、図21は図19のY19−Y19断面模式図である。
【0102】
この第2実施例には、図19〜図21に示すように、第1,第2配線531,532を、交差領域AR1において接続している場合を例示している。この交差領域AR1では、上層部531a,532a同士が一体になった部分を含む上層部535aと、下層部531b,532b同士が一体になった部分を含む下層部535bとが、導体部535cで接続されている。その他の構成は、上記第1実施例と同じである。
【0103】
この第2実施例のように接続された第1,第2配線531,532は、例えば、いずれもグランド線として用いる。第3,第4配線533,534は、例えば、信号線として用いる。
【0104】
この第2実施例の交差配線を含む配線基板によっても、上記第1実施例同様、配線抵抗を低減することが可能になり、配線抵抗に起因した伝送信号の減衰を効果的に低減することが可能になる。このような配線基板を用いることにより、高性能、高品質の電子装置が実現可能になる。
【0105】
以上、交差配線を含む配線基板、及び配線基板を用いた電子装置について説明した。尚、以上の説明では、コプレーナ配線を例にして述べたが、上記交差配線は、マイクロストリップ型の配線基板についても、同様に適用可能である。その場合は、上記交差配線を形成している層群の下方、或いは上方に、更に別の絶縁層を設け、その絶縁層を介して、平板状の電極層を設けるようにすればよい。
【0106】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 第1層、第2層、及び前記第1層と前記第2層との間の第3層を有し、
第1領域では前記第1層に形成され、前記第1領域周辺の第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第1配線と、
前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第2配線と、
を含むことを特徴とする配線基板。
【0107】
(付記2) 前記第1配線は、前記第1領域及び第2領域の前記第1層に延在された第1部と、前記第2領域の前記第2層に前記第1部と並行に延在された第2部と、前記第2領域の前記第3層に設けられ前記第1部と前記第2部とを接続する第3部とを含み、
前記第2配線は、前記第1領域及び第2領域の前記第2層に延在された第4部と、前記第2領域の前記第1層に前記第4部と並行に延在された第5部と、前記第2領域の前記第3層に設けられ前記第4部と前記第5部とを接続する第6部とを含むことを特徴とする付記1に記載の配線基板。
【0108】
(付記3) 前記第3部及び前記第6部は、導体層を含んでいることを特徴とする付記2に記載の配線基板。
(付記4) 前記第3部及び前記第6部は、ビアを含んでいることを特徴とする付記2に記載の配線基板。
【0109】
(付記5) 前記第3層は、1層又は2層以上の層を含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の配線基板。
(付記6) 前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び第3層に形成された第3配線を更に含むことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の配線基板。
【0110】
(付記7) 前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では少なくとも前記第1層及び前記第2層に形成されて前記第1配線に接続され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第4配線を更に含むことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の配線基板。
【0111】
(付記8) 前記第1配線及び前記第2配線の上方、又は下方に、第4層を介して配置された平板状の電極層を更に含むことを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の配線基板。
【0112】
(付記9) 第1層、第2層、及び前記第1層と前記第2層との間の第3層を有し、
第1領域では前記第1層に形成され、前記第1領域周辺の第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第1配線と、
前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第2配線と、
を含む配線基板と、
前記配線基板に電気的に接続された半導体素子と、
を有することを特徴とする電子装置。
【符号の説明】
【0113】
11,111,121,531 第1配線
12,112,122,532 第2配線
11a,12a,531a,532a,533a,534a,535a 上層部
11b,12b,531b,532b,533b,534b,535b 下層部
11c,12c,531c,532c,533c,534c,535c 導体部
11d,12d,61,65,123 ビア
21,541 第1絶縁層
22,542 第2絶縁層
23,543 第3絶縁層
30 電子装置
41,42 半導体素子
43,60,64 端子
44,63,67 保護膜
45,69 バンプ
50 配線基板
51 素子間配線
53 素子−端子間配線
55 シリコン基板
56 下地絶縁層
61a ビア用溝
62,66 パッド
68 アンダーバンプメタル
531ba,531ab,531bb ランド
533 第3配線
534 第4配線
541A,542A,543A 溝
544 第4絶縁層
AR1 交差領域
AR2 周辺領域
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
D1,D2,D3 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層、第2層、及び前記第1層と前記第2層との間の第3層を有し、
第1領域では前記第1層に形成され、前記第1領域周辺の第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第1配線と、
前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第2配線と、
を含むことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第1配線は、前記第1領域及び第2領域の前記第1層に延在された第1部と、前記第2領域の前記第2層に前記第1部と並行に延在された第2部と、前記第2領域の前記第3層に設けられ前記第1部と前記第2部とを接続する第3部とを含み、
前記第2配線は、前記第1領域及び第2領域の前記第2層に延在された第4部と、前記第2領域の前記第1層に前記第4部と並行に延在された第5部と、前記第2領域の前記第3層に設けられ前記第4部と前記第5部とを接続する第6部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第3部及び前記第6部は、導体層を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第3部及び前記第6部は、ビアを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第3層は、1層又は2層以上の層を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配線基板。
【請求項6】
第1層、第2層、及び前記第1層と前記第2層との間の第3層を有し、
第1領域では前記第1層に形成され、前記第1領域周辺の第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第1配線と、
前記第1領域で前記第1配線と交差し、前記第1領域では前記第2層に形成され、前記第2領域では前記第1層、前記第2層及び前記第3層に形成された第2配線と、
を含む配線基板と、
前記配線基板に電気的に接続された半導体素子と、
を有することを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−100871(P2011−100871A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254985(P2009−254985)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】