配線案内具およびこれを備える籠ドア装置
【課題】エレベータの籠ドアに装着される配線案内具として、安価な構成で騒音を生じないメンテナンスフリーの配線案内具を提供する。
【解決手段】配線案内具10Aは、エレベータの籠ドア装置2の第1のドアパネル21に設けられる検出装置から乗籠1の上に設けられるドア駆動装置4の制御装置44までの間に配線されるケーブル5を保持し、第1のブラケット11と第2のブラケット12と帯状部材13とを備える。第1のブラケットは、第1のドアパネルに固定され、第2のブラケットは、乗籠側に固定される。帯状部材13は、第1のブラケット11に一端が固定され第2のブラケット12に他端が固定されて、第1のドアパネル21の外面に垂直な向きに幅を有する。そして、配線案内具10Aは、第1のドアパネル21が移動することに伴って第1のドアパネル21の外面に沿う方向に帯状部材13が湾曲する。
【解決手段】配線案内具10Aは、エレベータの籠ドア装置2の第1のドアパネル21に設けられる検出装置から乗籠1の上に設けられるドア駆動装置4の制御装置44までの間に配線されるケーブル5を保持し、第1のブラケット11と第2のブラケット12と帯状部材13とを備える。第1のブラケットは、第1のドアパネルに固定され、第2のブラケットは、乗籠側に固定される。帯状部材13は、第1のブラケット11に一端が固定され第2のブラケット12に他端が固定されて、第1のドアパネル21の外面に垂直な向きに幅を有する。そして、配線案内具10Aは、第1のドアパネル21が移動することに伴って第1のドアパネル21の外面に沿う方向に帯状部材13が湾曲する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの籠ドア装置に装備されるセンサなどから乗籠側まで配線されるケーブルを保持する配線案内具、およびこれを備える籠ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの籠ドア装置は、利用者およびその携行物を挟まないために安全装置を備えている。この安全装置は、籠ドア装置のドアパネルの縁に設けられて利用者や荷物に接触したことを検知する検出装置と、検出された信号を基に閉じかけたドアパネルを開く方向に作動させる制御装置とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のエレベータにおいて、制御装置は、乗籠の上に設けられ、検出装置から制御装置までの間は、ケーブルによって接続されている。ケーブルは、乗籠に対して移動するドアパネルの裏面(外側面)と平行な面に沿って垂れ下がるローラチェーンに添い付けられている。ローラチェーンは、ドアパネルが開かれると、それ自身の自重によって垂れ下がる。
【特許文献1】特許第2505378号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローラチェーンは、一般に金属製のものと樹脂製のものとが有るが、いずれも多数の継手ピンにおいて均等に曲がるのではなく、ケーブルとの兼ね合いによって部分的に曲がりやすいところが生じる。そのため、当該部のケーブルは、小さい半径で繰り返し屈曲されることとなり、ケーブルの内部で断線するおそれがある。
【0005】
また、ローラチェーンの場合、自重によって常に張力が掛かる。したがって、乗籠側およびドアパネル側に固定されるローラチェーンの端部は、ドアパネルが繰り返し開け閉めされることによって、回動部分が摩耗しやすい。そして、ローラチェーンは、チェーンを構成するリンクどうしが擦れて騒音を発生することもある。ローラチェーンが滑らかに曲がるようにグリス等の潤滑剤を塗布すると、この潤滑材によってケーブルの被覆が経年的に劣化しやすくなる場合がある。さらに、ローラチェーンは、単位長さあたりの製品単価が高い。
【0006】
そこで、本発明は、エレベータの籠ドア装置に装着される配線案内具として、安価な構成で騒音を生じないメンテナンスフリーの配線案内具、およびこれを備える籠ドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配線案内具は、エレベータの籠ドア装置のドアパネルに設けられる検出装置から乗籠の上に配置されるドア駆動装置の制御装置までの間に配線されるケーブルを保持するものであり、第1のブラケットと第2のブラケットと帯状部材とを備える。第1のブラケットは、ドアパネル側に固定される。第2のブラケットは、乗籠側に固定される。帯状部材は、第1のブラケットに一端が固定され第2のブラケットに他端が固定されて、ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有する。そして、この配線案内具は、ドアパネルが移動することに伴ってドアパネルの外面に沿う方向に帯状部材が湾曲する。
【0008】
この場合、帯状部材は、バネ鋼、もしくは、可撓性を有した合成樹脂材であることが好ましい。また、帯状部材は、ケーブルを保持するための結束具を通す固定孔、もしくは、結束具を係止する溜めの切欠を、中間部に複数有する。
【0009】
また、湾曲した帯状部材が所定の範囲に納まるように、第1の押え部材と第2の押え部材とを設ける。第1の押え部材は、第1のブラケットの下方でドアパネルに固定され、鉛直方向に沿って延び帯状部材の幅方向に立ち上がる。第2の押え部材は、第2のブラケットの下方で乗籠に固定され、鉛直方向に沿って延び帯状部材の幅方向に立ち上がる。または、この配線案内具において、ドアパネルが開かれた状態で鉛直方向に長く撓ませる錘を、帯状部材の中間部に有する。
【0010】
また、本発明に係る籠ドア装置は、ドアパネルとドア駆動装置と制御装置と検出装置とケーブルと配線案内具を備える。ドアパネルは、エレベータの乗籠の乗口に設ける。ドア駆動装置は、乗籠の上部に配置されてドアパネルを所定方向に移動させる。制御装置は、乗籠の上部に配置されてドア駆動装置の動作を制御する。検出装置は、ドアパネルの端部の近傍に設けられて干渉物を検出する。ケーブルは、制御装置から検出装置までの間に配線される。配線案内具は、ケーブルを保持する。そして、この配線案内具は、第1のブラケットと第2のブラケットと帯状部材とを具備する。第1のブラケットは、ドアパネル側に固定する。第2のブラケットは、乗籠側に固定する。帯状部材は、第1のブラケットに一端が固定され第2のブラケットに他端が固定する。帯状部材は、ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有している。ドアパネルが移動することに伴って、帯状部材は、ドアパネルの外面に沿う方向に湾曲する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る配線案内具は、上記構成の帯状部材を備えているので、ドアパネルが開放されることに伴い、ドアパネルの外面に沿う方向に帯状部材が湾曲し、ドアパネルと交差する方向に曲がらない。したがって、この配線案内具の帯状部材に、ドアパネルに装備される検出装置から乗籠の上に配置される制御装置まで配線されるケーブルを添わせて保持することにより、ドアパネルが移動する際にケーブルが周囲に触れたり引っかかったりすることが無い。
【0012】
また、この配線案内具は、ドアパネルが開放される動作に伴って、帯状部材が全体的に撓むので、この帯状部材に添い付けられたケーブルにとって、繰り返し屈曲されることによる負荷が少ない。さらに、この配線案内具は、構成が簡素であるので安価に提供できる。そして、可動部を有していないので作動音が発生しないだけでなく、メンテナンスを必要としない。
【0013】
帯状部材をバネ鋼で形成すると、湾曲した状態の帯状部材が沿う平面に垂直な方向に対する曲げ剛性が高くなるだけでなく、第1のブラケットおよび第2のブラケットに対して張力が掛かることを抑制することができる。また、帯状部材の中間部に間隔を空けて複数の孔または切欠を設け、これらに係合するように結束具を装着する。このようにすることで、帯状部材が繰り返し曲げられた場合にも、帯状部材に対して添いつけたケーブルをそのままの状態に維持しやすい。
【0014】
防犯を目的として籠ドア装置およびホールドア装置に窓が設けられる場合、配線案内具は、ドアパネルが開放される方向に窓の外側となる位置のドアパネルに第1の押え部材を有し、この第1の押え部材に対向させて第2の押え部材を乗籠に有する。第1の押え部材および第2の押え部材は、籠ドア装置が乗籠の乗口を開放する開状態において、帯状部材を鉛直方向に長く扁平させる。したがって、籠ドア装置が開状態である場合に、帯状部材が揺れて周囲に接触することを防止できる。
【0015】
また、帯状部材を鉛直方向に長く撓ませる錘を帯状部材の中間部に装着することでも第1の押え部材および第2の押え部材と同様の効果を得ることができる。
【0016】
本発明に係る籠ドア装置は、上述の配線案内具を備えることによって、ドアパネルに設けられる検出装置から籠の上に設置される制御装置までの間に配線されるケーブルを緩やかな曲線に沿って湾曲させるように保持することができるので、ケーブルの耐用年数を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る第1の実施形態の配線案内具10Aについて、エレベータの乗籠1に設けられる籠ドア装置2に適用された状態を例に、図1から図5を参照して説明する。図1に示す籠ドア装置2は、片開き式であって、第1のドアパネル21と第2のドアパネル22とを有する2連ドアである。籠ドア装置2が閉じられる場合に先行する第1のドアパネル21の縁には、干渉物や障害物を検出する検出装置3が取り付けられている。
【0018】
検出装置3は、アーム31とバンパーバー32とリミットスイッチ33とを備える。アーム31は、第1のドアパネル21の外側に、上下の2か所に取り付けられたベース板34に1つずつ枢着されている。バンパーバー32は、枢着端から斜め上に向かって延びるアーム31の回動端に連結されており、自重によって第1のドアパネル21の縁から突出している。
【0019】
また、係合片311が、下部側のアーム31の枢着端に一体に成形されている。下部側のベース板34は、バンパーバー32の出代を調整するストッパボルト35を有している。リミットスイッチ33は、下部側のベース板34に固定されている。リミットスイッチ33のレバー331は、バンパーバー32がストッパボルト35によって止まっている状態で、係合片311に付勢されたオン(ON)状態であり、バンパーバー32が第1のドアパネル21に少し押し込まれた状態で、係合片311と離れてオフ(OFF)状態になる。
【0020】
図1に示すように、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22は、上部にハンガローラ23を有し、下部にガイドローラ24を有している。ハンガローラ23は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22のハンガローラ23に対応して設けられたハンガレール25に案内される。また、ガイドローラ24は、乗籠1の下部に設けられる敷居26に案内される。第1のドアパネル21は、乗籠1の上に載せられたドア駆動装置4に連結されている。
【0021】
ドア駆動装置4は、プーリ411,412と、駆動用ロープ42と、駆動モータ43と、制御装置44とを備える。プーリ411,412は、ハンガレール25の端部の上方に一対に設けられ配置されている。駆動用ロープ42は、ハンガレール25に沿う方向にプーリ411,412に掛け渡されている。駆動モータ43は、乗籠1の上に据えられており、籠ドア装置2が乗籠1の乗口を閉じる状態における第1のドアパネル21側のプーリ411にベルト431で連結されている。制御装置44は、駆動モータ43の駆動制御を行う。この他にドア駆動装置4は、第1のドアパネル21が移動する距離に対して半分の距離で第2のドアパネル22を移動させるリンク機構を備える。
【0022】
また、制御装置44は、第1のドアパネル21に取り付けられた検出装置3とケーブル5で接続されている。このケーブル5は、籠ドア装置2が乗籠1の乗口を開放する状態において第1のドアパネル21および第2のドアパネル22が寄せられるハンガレール25の戸袋P側の端部251およびプーリ412を迂回して、配線されている。
【0023】
図1に示すように、リミットスイッチ33から延びるケーブル5は、第1のドアパネル21の外面に沿って鉛直方向に結束具51で固定されている。第1のドアパネル21の上部に達したケーブル5は、配線案内具10Aによって乗籠1側に渡される。配線案内具10Aは、第1のブラケット11と第2のブラケット12と帯状部材13とを備える。
【0024】
図2に示すように、第1のブラケット11は、ドアパネル側の固定部となる第1のドアパネル21の上部に固定されている。図3に示すように第2のブラケット12は、乗籠1側の固定部となるハンガレール25の戸袋P側の端部251に固定されている。第1のブラケット11および第2のブラケット12は、互いに対面する支持片111,121を有している。帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に垂直な向きに幅を有している。
【0025】
帯状部材13の一端131は、図2に示すように中間部132が下方に延びる向きに第1のブラケット11の支持片111に固定され、他端133は、図3に示すように中間部132が下方に延びる向きに第2のブラケット12の支持片121に固定されている。帯状部材13は、可撓性の部材、本実施形態ではバネ鋼を用いている。バネ鋼を用いる代わりに、耐屈曲性に優れた合成樹脂材、例えばポリウレタン製のバンドを用いることも好ましい。
【0026】
ケーブル5は、第1のブラケット11から第2のブラケット12まで、中間部132の上面側に間隔を空けて複数設けられる結束具51によって帯状部材13に保持されている。この結束具51は、帯状部材13の上面に接着固定されるアンカー部511と、このアンカー部511に装着されてケーブル5を固縛するバンド512とを備える。バンド512は、合成樹脂製でも良いし針金であっても良い。
【0027】
ケーブル5を配線案内具10Aに対して保持する他の形態として、図6や図7に示す構成でも良い。図6に示す配線案内具10Aの帯状部材13は、幅方向に切り込まれた切欠134を中間部132に複数箇所有している。ケーブル5は、切欠134に係合する結束具51によって帯状部材13に保持される。
【0028】
また、図7に示す配線案内具10Aの帯状部材13は、結束具51を通すための固定孔135を中間部132に間隔を空けて複数箇所備えている。1箇所に設けられる固定孔135は、図7に示すように幅方向にケーブル5を挟む位置に2個を一対ずつ設ける以外に、幅方向に1個ずつであっても良い。ケーブル5は、固定孔135に通された結束具51によって帯状部材13に保持される。
【0029】
また、図6および図7のいずれの形態においても、結束具51は、針金や合成樹脂製の結束バンド、あるいは、切欠134や固定孔135の寸法に合うC形の可撓性のクリップで留めても良い。なお、ケーブル5は、図5において1本のみ取り付けられている状態である。検出装置3がリミットスイッチ33以外に複数の光学式センサ等を備える場合は、これらから延びるケーブルを同じ要領で配線することとなる。
【0030】
したがって、配線案内具10Aに添いつけるケーブルは、1本に限らず2本以上であっても良い。センサの数が多い場合は、第1のドアパネル21の外側に信号処理部を設け、ここで複数のセンサの信号を処理したのち、1つのケーブルで制御装置44に接続しても良い。
【0031】
以上のように構成された配線案内具10Aが装着された籠ドア装置2は、乗籠1が目的のフロアに停止すると、第1のドアパネルおよび第2のドアパネルをドア駆動装置4によって戸袋P側に移動させ、乗籠1の乗口を開放する。第1のドアパネル21が戸袋Pに向かって移動し、第1のブラケット11が第2のブラケット12に接近する。
【0032】
帯状部材13は、バネ鋼で形成されているので、配線案内具10Aの帯状部材13は、第1のドアパネル21が戸袋Pに近づくにつれてその自重およびケーブル5の重さによって、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に沿って下方へ撓む。図4に示すように第1のドアパネル21と第2のドアパネル22とが互いに重なり合う位置まで移動すると、帯状部材13は、曲げ半径の大きな円弧状に湾曲され、最下部となる中央部においてなだらかな円弧を描く。
【0033】
この結果、この帯状部材13に抱き合わされたケーブル5もまたなだらかな円弧状に曲げられ、局部的に折曲げられることがない。また、帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に対して垂直な方向に幅を有しており、端部が第1のブラケット11および第2のブラケット12に固定されている。したがって、図1に示した進捗状態から図4に示した湾曲状態まで、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22を横切る方向に曲がらない。
【0034】
帯状部材13は、ローラチェーンに比べて重量も軽く、真直性を有している。したがって、籠ドア装置2が閉じられた状態において、帯状部材13およびケーブル5の重量が、第1のブラケット11および第2のブラケット12に対して互いに引き寄せる方向に作用することなく、重力方向に作用する。また、帯状部材13は、均一な厚みで一続きに成形されており、曲げられると全体的に撓む。したがって、籠ドア装置2が開放された状態でケーブル5の曲げ半径を大きくすることができるので、ケーブル5中の信号線の断線を防止できる。
【0035】
このように、配線案内具10Aは、構成が簡単であり、かつ、特に可動部を有していないので、潤滑剤を供給する必要もないし作動音も発生しない。したがって、メンテナンスフリーで安価な配線案内具10Aを提供できる。
【0036】
次に、本発明に係る第2の実施形態の配線案内具10Bについて、図8および図9を参照して説明する。第1の実施形態に記載の配線案内具10Aの構成と同じ機能を有する構成は、図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図8に示す籠ドア装置2Bは、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の中央に窓27が設けられている。この窓27は、防犯を意図して設けられることが多く、各フロアに設けられる乗り場ドアは、この窓27に対応する位置にほぼ同じ大きさの窓を有しており、乗り場側から乗籠1の中を見ることができる。
【0038】
また、配線案内具10Bは、第1のブラケット11の下方で第1のドアパネル21の外面に固定された第1の押え部材14を有し、第2のブラケット12の下方で乗籠1側に固定された第2の押え部材15を有している。第1の押え部材14および第2の押え部材15は、鉛直方向に沿って延び、それぞれ第1のドアパネルおよび乗籠1の外壁から帯状部材13の幅方向となる垂直方向に立ち上がっている。本実施形態では、特に、第1の押え部材は、第1のドアパネル21に設けられる窓27に対して、第1のドアパネル21が開かれる方向に移動する場合の進行方向側、つまり、戸袋P側に設けられている。
【0039】
このように、配線案内具10Bは、第1の押え部材14および第2の押え部材15をさらに備えていることにより、図9に示すように、籠ドア装置2が第1のドアパネル21および第2のドアパネル22を戸袋P側に移動させ、乗籠1の乗口が開かれた開状態となった場合に、帯状部材13が揺れて周囲に当たることを防止することができる。
【0040】
籠ドア装置2が開かれた状態である間、配線案内具10Bの第1のブラケット11および第2のブラケット12は、互いに接近しており、帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面と平行に揺れやすい状態になる。しかし、本実施形態の第1の押え部材14および第2の押え部材15を備えているので、帯状部材13は、これらに押挟まれ、鉛直方向に長く扁平される。この結果、帯状部材13は、それ自身の可撓性により、第1の押え部材14および第2の押え部材15の間に押さえ込まれた状態に保持され、揺れてしまうことを防止される。
【0041】
本発明に係る第3の実施形態の配線案内具10Cについて、図10を参照して説明する。第1の実施形態に記載の配線案内具10Aの構成と同じ機能を有する構成は、図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図10に示す籠ドア装置2に設けられた配線案内具10Cは、帯状部材13の中間部132において第1のブラケット11および第2のブラケット12からほぼ同じ距離となる位置に錘16を備えている。したがって、籠ドア装置2が開かれた状態となると、帯状部材13は、錘16の重量によって鉛直方向へ長く引き伸ばされる。
【0043】
以上のように構成された本実施形態の配線案内具10Cは、第1の実施形態の配線案内具10Aが奏する効果と同じ効果を得ることができ、さらに、第2の実施形態に記載の配線案内具10Bのように第1の押え部材14および第2の押え部材15を備えていなくても、これらがある場合と同様の効果を得ることができる。
【0044】
上述の各実施形態における籠ドア装置は、いわゆる片開き式の籠ドア装置を示している。本発明の配線案内具は、左右対称にドアパネルが移動する両開き式の籠ドア装置にも適用することができる。また、籠ドア装置のドアパネルの枚数は、片開きの場合は、2枚に限らず、さらに3枚のドアパネルであっても良い。さらに、両開きの場合は、片側1枚ずつであっても、両方共に2枚ずつであっても適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す斜視図。
【図2】図1に示した配線案内具のドアパネル側の固定端およびその周辺の正面図。
【図3】図1に示した配線案内具の乗籠側の固定端およびその周辺の正面図。
【図4】図1に示したドアパネルが開かれた状態における配線案内具およびその周辺の斜視図。
【図5】図1に示した配線案内具のケーブル固定部の斜視図。
【図6】図5に示したケーブル固定部の他の形態の斜視図。
【図7】図5に示したケーブル固定部の他の形態の斜視図。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す斜視図。
【図9】図8に示した籠ドア装置が開かれた状態における配線案内具およびその周辺の正面図。
【図10】本発明に係る第3の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0046】
1…乗籠、2,2B…籠ドア装置、3…検出装置、4…ドア駆動装置、5…ケーブル、10A,10B,10C…配線案内具、11…第1のブラケット、12…第2のブラケット、13…帯状部材、14…第1の押え部材、15…第2の押え部材、16…錘、21…第1のドアパネル(ドアパネル)、44…制御装置、51…結束具、131…(帯状部材の)一端、132…(帯状部材の)中間部、133…(帯状部材の)他端、134…切欠、135…固定孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの籠ドア装置に装備されるセンサなどから乗籠側まで配線されるケーブルを保持する配線案内具、およびこれを備える籠ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの籠ドア装置は、利用者およびその携行物を挟まないために安全装置を備えている。この安全装置は、籠ドア装置のドアパネルの縁に設けられて利用者や荷物に接触したことを検知する検出装置と、検出された信号を基に閉じかけたドアパネルを開く方向に作動させる制御装置とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のエレベータにおいて、制御装置は、乗籠の上に設けられ、検出装置から制御装置までの間は、ケーブルによって接続されている。ケーブルは、乗籠に対して移動するドアパネルの裏面(外側面)と平行な面に沿って垂れ下がるローラチェーンに添い付けられている。ローラチェーンは、ドアパネルが開かれると、それ自身の自重によって垂れ下がる。
【特許文献1】特許第2505378号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローラチェーンは、一般に金属製のものと樹脂製のものとが有るが、いずれも多数の継手ピンにおいて均等に曲がるのではなく、ケーブルとの兼ね合いによって部分的に曲がりやすいところが生じる。そのため、当該部のケーブルは、小さい半径で繰り返し屈曲されることとなり、ケーブルの内部で断線するおそれがある。
【0005】
また、ローラチェーンの場合、自重によって常に張力が掛かる。したがって、乗籠側およびドアパネル側に固定されるローラチェーンの端部は、ドアパネルが繰り返し開け閉めされることによって、回動部分が摩耗しやすい。そして、ローラチェーンは、チェーンを構成するリンクどうしが擦れて騒音を発生することもある。ローラチェーンが滑らかに曲がるようにグリス等の潤滑剤を塗布すると、この潤滑材によってケーブルの被覆が経年的に劣化しやすくなる場合がある。さらに、ローラチェーンは、単位長さあたりの製品単価が高い。
【0006】
そこで、本発明は、エレベータの籠ドア装置に装着される配線案内具として、安価な構成で騒音を生じないメンテナンスフリーの配線案内具、およびこれを備える籠ドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配線案内具は、エレベータの籠ドア装置のドアパネルに設けられる検出装置から乗籠の上に配置されるドア駆動装置の制御装置までの間に配線されるケーブルを保持するものであり、第1のブラケットと第2のブラケットと帯状部材とを備える。第1のブラケットは、ドアパネル側に固定される。第2のブラケットは、乗籠側に固定される。帯状部材は、第1のブラケットに一端が固定され第2のブラケットに他端が固定されて、ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有する。そして、この配線案内具は、ドアパネルが移動することに伴ってドアパネルの外面に沿う方向に帯状部材が湾曲する。
【0008】
この場合、帯状部材は、バネ鋼、もしくは、可撓性を有した合成樹脂材であることが好ましい。また、帯状部材は、ケーブルを保持するための結束具を通す固定孔、もしくは、結束具を係止する溜めの切欠を、中間部に複数有する。
【0009】
また、湾曲した帯状部材が所定の範囲に納まるように、第1の押え部材と第2の押え部材とを設ける。第1の押え部材は、第1のブラケットの下方でドアパネルに固定され、鉛直方向に沿って延び帯状部材の幅方向に立ち上がる。第2の押え部材は、第2のブラケットの下方で乗籠に固定され、鉛直方向に沿って延び帯状部材の幅方向に立ち上がる。または、この配線案内具において、ドアパネルが開かれた状態で鉛直方向に長く撓ませる錘を、帯状部材の中間部に有する。
【0010】
また、本発明に係る籠ドア装置は、ドアパネルとドア駆動装置と制御装置と検出装置とケーブルと配線案内具を備える。ドアパネルは、エレベータの乗籠の乗口に設ける。ドア駆動装置は、乗籠の上部に配置されてドアパネルを所定方向に移動させる。制御装置は、乗籠の上部に配置されてドア駆動装置の動作を制御する。検出装置は、ドアパネルの端部の近傍に設けられて干渉物を検出する。ケーブルは、制御装置から検出装置までの間に配線される。配線案内具は、ケーブルを保持する。そして、この配線案内具は、第1のブラケットと第2のブラケットと帯状部材とを具備する。第1のブラケットは、ドアパネル側に固定する。第2のブラケットは、乗籠側に固定する。帯状部材は、第1のブラケットに一端が固定され第2のブラケットに他端が固定する。帯状部材は、ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有している。ドアパネルが移動することに伴って、帯状部材は、ドアパネルの外面に沿う方向に湾曲する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る配線案内具は、上記構成の帯状部材を備えているので、ドアパネルが開放されることに伴い、ドアパネルの外面に沿う方向に帯状部材が湾曲し、ドアパネルと交差する方向に曲がらない。したがって、この配線案内具の帯状部材に、ドアパネルに装備される検出装置から乗籠の上に配置される制御装置まで配線されるケーブルを添わせて保持することにより、ドアパネルが移動する際にケーブルが周囲に触れたり引っかかったりすることが無い。
【0012】
また、この配線案内具は、ドアパネルが開放される動作に伴って、帯状部材が全体的に撓むので、この帯状部材に添い付けられたケーブルにとって、繰り返し屈曲されることによる負荷が少ない。さらに、この配線案内具は、構成が簡素であるので安価に提供できる。そして、可動部を有していないので作動音が発生しないだけでなく、メンテナンスを必要としない。
【0013】
帯状部材をバネ鋼で形成すると、湾曲した状態の帯状部材が沿う平面に垂直な方向に対する曲げ剛性が高くなるだけでなく、第1のブラケットおよび第2のブラケットに対して張力が掛かることを抑制することができる。また、帯状部材の中間部に間隔を空けて複数の孔または切欠を設け、これらに係合するように結束具を装着する。このようにすることで、帯状部材が繰り返し曲げられた場合にも、帯状部材に対して添いつけたケーブルをそのままの状態に維持しやすい。
【0014】
防犯を目的として籠ドア装置およびホールドア装置に窓が設けられる場合、配線案内具は、ドアパネルが開放される方向に窓の外側となる位置のドアパネルに第1の押え部材を有し、この第1の押え部材に対向させて第2の押え部材を乗籠に有する。第1の押え部材および第2の押え部材は、籠ドア装置が乗籠の乗口を開放する開状態において、帯状部材を鉛直方向に長く扁平させる。したがって、籠ドア装置が開状態である場合に、帯状部材が揺れて周囲に接触することを防止できる。
【0015】
また、帯状部材を鉛直方向に長く撓ませる錘を帯状部材の中間部に装着することでも第1の押え部材および第2の押え部材と同様の効果を得ることができる。
【0016】
本発明に係る籠ドア装置は、上述の配線案内具を備えることによって、ドアパネルに設けられる検出装置から籠の上に設置される制御装置までの間に配線されるケーブルを緩やかな曲線に沿って湾曲させるように保持することができるので、ケーブルの耐用年数を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る第1の実施形態の配線案内具10Aについて、エレベータの乗籠1に設けられる籠ドア装置2に適用された状態を例に、図1から図5を参照して説明する。図1に示す籠ドア装置2は、片開き式であって、第1のドアパネル21と第2のドアパネル22とを有する2連ドアである。籠ドア装置2が閉じられる場合に先行する第1のドアパネル21の縁には、干渉物や障害物を検出する検出装置3が取り付けられている。
【0018】
検出装置3は、アーム31とバンパーバー32とリミットスイッチ33とを備える。アーム31は、第1のドアパネル21の外側に、上下の2か所に取り付けられたベース板34に1つずつ枢着されている。バンパーバー32は、枢着端から斜め上に向かって延びるアーム31の回動端に連結されており、自重によって第1のドアパネル21の縁から突出している。
【0019】
また、係合片311が、下部側のアーム31の枢着端に一体に成形されている。下部側のベース板34は、バンパーバー32の出代を調整するストッパボルト35を有している。リミットスイッチ33は、下部側のベース板34に固定されている。リミットスイッチ33のレバー331は、バンパーバー32がストッパボルト35によって止まっている状態で、係合片311に付勢されたオン(ON)状態であり、バンパーバー32が第1のドアパネル21に少し押し込まれた状態で、係合片311と離れてオフ(OFF)状態になる。
【0020】
図1に示すように、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22は、上部にハンガローラ23を有し、下部にガイドローラ24を有している。ハンガローラ23は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22のハンガローラ23に対応して設けられたハンガレール25に案内される。また、ガイドローラ24は、乗籠1の下部に設けられる敷居26に案内される。第1のドアパネル21は、乗籠1の上に載せられたドア駆動装置4に連結されている。
【0021】
ドア駆動装置4は、プーリ411,412と、駆動用ロープ42と、駆動モータ43と、制御装置44とを備える。プーリ411,412は、ハンガレール25の端部の上方に一対に設けられ配置されている。駆動用ロープ42は、ハンガレール25に沿う方向にプーリ411,412に掛け渡されている。駆動モータ43は、乗籠1の上に据えられており、籠ドア装置2が乗籠1の乗口を閉じる状態における第1のドアパネル21側のプーリ411にベルト431で連結されている。制御装置44は、駆動モータ43の駆動制御を行う。この他にドア駆動装置4は、第1のドアパネル21が移動する距離に対して半分の距離で第2のドアパネル22を移動させるリンク機構を備える。
【0022】
また、制御装置44は、第1のドアパネル21に取り付けられた検出装置3とケーブル5で接続されている。このケーブル5は、籠ドア装置2が乗籠1の乗口を開放する状態において第1のドアパネル21および第2のドアパネル22が寄せられるハンガレール25の戸袋P側の端部251およびプーリ412を迂回して、配線されている。
【0023】
図1に示すように、リミットスイッチ33から延びるケーブル5は、第1のドアパネル21の外面に沿って鉛直方向に結束具51で固定されている。第1のドアパネル21の上部に達したケーブル5は、配線案内具10Aによって乗籠1側に渡される。配線案内具10Aは、第1のブラケット11と第2のブラケット12と帯状部材13とを備える。
【0024】
図2に示すように、第1のブラケット11は、ドアパネル側の固定部となる第1のドアパネル21の上部に固定されている。図3に示すように第2のブラケット12は、乗籠1側の固定部となるハンガレール25の戸袋P側の端部251に固定されている。第1のブラケット11および第2のブラケット12は、互いに対面する支持片111,121を有している。帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に垂直な向きに幅を有している。
【0025】
帯状部材13の一端131は、図2に示すように中間部132が下方に延びる向きに第1のブラケット11の支持片111に固定され、他端133は、図3に示すように中間部132が下方に延びる向きに第2のブラケット12の支持片121に固定されている。帯状部材13は、可撓性の部材、本実施形態ではバネ鋼を用いている。バネ鋼を用いる代わりに、耐屈曲性に優れた合成樹脂材、例えばポリウレタン製のバンドを用いることも好ましい。
【0026】
ケーブル5は、第1のブラケット11から第2のブラケット12まで、中間部132の上面側に間隔を空けて複数設けられる結束具51によって帯状部材13に保持されている。この結束具51は、帯状部材13の上面に接着固定されるアンカー部511と、このアンカー部511に装着されてケーブル5を固縛するバンド512とを備える。バンド512は、合成樹脂製でも良いし針金であっても良い。
【0027】
ケーブル5を配線案内具10Aに対して保持する他の形態として、図6や図7に示す構成でも良い。図6に示す配線案内具10Aの帯状部材13は、幅方向に切り込まれた切欠134を中間部132に複数箇所有している。ケーブル5は、切欠134に係合する結束具51によって帯状部材13に保持される。
【0028】
また、図7に示す配線案内具10Aの帯状部材13は、結束具51を通すための固定孔135を中間部132に間隔を空けて複数箇所備えている。1箇所に設けられる固定孔135は、図7に示すように幅方向にケーブル5を挟む位置に2個を一対ずつ設ける以外に、幅方向に1個ずつであっても良い。ケーブル5は、固定孔135に通された結束具51によって帯状部材13に保持される。
【0029】
また、図6および図7のいずれの形態においても、結束具51は、針金や合成樹脂製の結束バンド、あるいは、切欠134や固定孔135の寸法に合うC形の可撓性のクリップで留めても良い。なお、ケーブル5は、図5において1本のみ取り付けられている状態である。検出装置3がリミットスイッチ33以外に複数の光学式センサ等を備える場合は、これらから延びるケーブルを同じ要領で配線することとなる。
【0030】
したがって、配線案内具10Aに添いつけるケーブルは、1本に限らず2本以上であっても良い。センサの数が多い場合は、第1のドアパネル21の外側に信号処理部を設け、ここで複数のセンサの信号を処理したのち、1つのケーブルで制御装置44に接続しても良い。
【0031】
以上のように構成された配線案内具10Aが装着された籠ドア装置2は、乗籠1が目的のフロアに停止すると、第1のドアパネルおよび第2のドアパネルをドア駆動装置4によって戸袋P側に移動させ、乗籠1の乗口を開放する。第1のドアパネル21が戸袋Pに向かって移動し、第1のブラケット11が第2のブラケット12に接近する。
【0032】
帯状部材13は、バネ鋼で形成されているので、配線案内具10Aの帯状部材13は、第1のドアパネル21が戸袋Pに近づくにつれてその自重およびケーブル5の重さによって、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に沿って下方へ撓む。図4に示すように第1のドアパネル21と第2のドアパネル22とが互いに重なり合う位置まで移動すると、帯状部材13は、曲げ半径の大きな円弧状に湾曲され、最下部となる中央部においてなだらかな円弧を描く。
【0033】
この結果、この帯状部材13に抱き合わされたケーブル5もまたなだらかな円弧状に曲げられ、局部的に折曲げられることがない。また、帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面に対して垂直な方向に幅を有しており、端部が第1のブラケット11および第2のブラケット12に固定されている。したがって、図1に示した進捗状態から図4に示した湾曲状態まで、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22を横切る方向に曲がらない。
【0034】
帯状部材13は、ローラチェーンに比べて重量も軽く、真直性を有している。したがって、籠ドア装置2が閉じられた状態において、帯状部材13およびケーブル5の重量が、第1のブラケット11および第2のブラケット12に対して互いに引き寄せる方向に作用することなく、重力方向に作用する。また、帯状部材13は、均一な厚みで一続きに成形されており、曲げられると全体的に撓む。したがって、籠ドア装置2が開放された状態でケーブル5の曲げ半径を大きくすることができるので、ケーブル5中の信号線の断線を防止できる。
【0035】
このように、配線案内具10Aは、構成が簡単であり、かつ、特に可動部を有していないので、潤滑剤を供給する必要もないし作動音も発生しない。したがって、メンテナンスフリーで安価な配線案内具10Aを提供できる。
【0036】
次に、本発明に係る第2の実施形態の配線案内具10Bについて、図8および図9を参照して説明する。第1の実施形態に記載の配線案内具10Aの構成と同じ機能を有する構成は、図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
図8に示す籠ドア装置2Bは、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の中央に窓27が設けられている。この窓27は、防犯を意図して設けられることが多く、各フロアに設けられる乗り場ドアは、この窓27に対応する位置にほぼ同じ大きさの窓を有しており、乗り場側から乗籠1の中を見ることができる。
【0038】
また、配線案内具10Bは、第1のブラケット11の下方で第1のドアパネル21の外面に固定された第1の押え部材14を有し、第2のブラケット12の下方で乗籠1側に固定された第2の押え部材15を有している。第1の押え部材14および第2の押え部材15は、鉛直方向に沿って延び、それぞれ第1のドアパネルおよび乗籠1の外壁から帯状部材13の幅方向となる垂直方向に立ち上がっている。本実施形態では、特に、第1の押え部材は、第1のドアパネル21に設けられる窓27に対して、第1のドアパネル21が開かれる方向に移動する場合の進行方向側、つまり、戸袋P側に設けられている。
【0039】
このように、配線案内具10Bは、第1の押え部材14および第2の押え部材15をさらに備えていることにより、図9に示すように、籠ドア装置2が第1のドアパネル21および第2のドアパネル22を戸袋P側に移動させ、乗籠1の乗口が開かれた開状態となった場合に、帯状部材13が揺れて周囲に当たることを防止することができる。
【0040】
籠ドア装置2が開かれた状態である間、配線案内具10Bの第1のブラケット11および第2のブラケット12は、互いに接近しており、帯状部材13は、第1のドアパネル21および第2のドアパネル22の外面と平行に揺れやすい状態になる。しかし、本実施形態の第1の押え部材14および第2の押え部材15を備えているので、帯状部材13は、これらに押挟まれ、鉛直方向に長く扁平される。この結果、帯状部材13は、それ自身の可撓性により、第1の押え部材14および第2の押え部材15の間に押さえ込まれた状態に保持され、揺れてしまうことを防止される。
【0041】
本発明に係る第3の実施形態の配線案内具10Cについて、図10を参照して説明する。第1の実施形態に記載の配線案内具10Aの構成と同じ機能を有する構成は、図中に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図10に示す籠ドア装置2に設けられた配線案内具10Cは、帯状部材13の中間部132において第1のブラケット11および第2のブラケット12からほぼ同じ距離となる位置に錘16を備えている。したがって、籠ドア装置2が開かれた状態となると、帯状部材13は、錘16の重量によって鉛直方向へ長く引き伸ばされる。
【0043】
以上のように構成された本実施形態の配線案内具10Cは、第1の実施形態の配線案内具10Aが奏する効果と同じ効果を得ることができ、さらに、第2の実施形態に記載の配線案内具10Bのように第1の押え部材14および第2の押え部材15を備えていなくても、これらがある場合と同様の効果を得ることができる。
【0044】
上述の各実施形態における籠ドア装置は、いわゆる片開き式の籠ドア装置を示している。本発明の配線案内具は、左右対称にドアパネルが移動する両開き式の籠ドア装置にも適用することができる。また、籠ドア装置のドアパネルの枚数は、片開きの場合は、2枚に限らず、さらに3枚のドアパネルであっても良い。さらに、両開きの場合は、片側1枚ずつであっても、両方共に2枚ずつであっても適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す斜視図。
【図2】図1に示した配線案内具のドアパネル側の固定端およびその周辺の正面図。
【図3】図1に示した配線案内具の乗籠側の固定端およびその周辺の正面図。
【図4】図1に示したドアパネルが開かれた状態における配線案内具およびその周辺の斜視図。
【図5】図1に示した配線案内具のケーブル固定部の斜視図。
【図6】図5に示したケーブル固定部の他の形態の斜視図。
【図7】図5に示したケーブル固定部の他の形態の斜視図。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す斜視図。
【図9】図8に示した籠ドア装置が開かれた状態における配線案内具およびその周辺の正面図。
【図10】本発明に係る第3の実施形態の配線案内具が設けられたエレベータの籠ドア装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0046】
1…乗籠、2,2B…籠ドア装置、3…検出装置、4…ドア駆動装置、5…ケーブル、10A,10B,10C…配線案内具、11…第1のブラケット、12…第2のブラケット、13…帯状部材、14…第1の押え部材、15…第2の押え部材、16…錘、21…第1のドアパネル(ドアパネル)、44…制御装置、51…結束具、131…(帯状部材の)一端、132…(帯状部材の)中間部、133…(帯状部材の)他端、134…切欠、135…固定孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの籠ドア装置のドアパネルに設けられる検出装置から乗籠の上に配置されるドア駆動装置の制御装置までの間に配線されるケーブルを保持する配線案内具において、
前記ドアパネル側に固定される第1のブラケットと、
前記乗籠側に固定される第2のブラケットと、
前記第1のブラケットに一端が固定され前記第2のブラケットに他端が固定されて前記ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有する帯状部材と
を備え、前記ドアパネルが移動することに伴って前記ドアパネルの外面に沿う方向に前記帯状部材が湾曲することを特徴とする配線案内具。
【請求項2】
前記帯状部材は、バネ鋼であることを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項3】
前記帯状部材は、前記ケーブルを保持するための結束具を通す固定孔を中間部に複数有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項4】
前記帯状部材は、前記ケーブルを保持するための結束具を係止する切欠を中間部に複数有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項5】
前記第1のブラケットの下方で前記ドアパネルの外面に固定され、鉛直方向に沿って延び前記帯状部材の幅方向に立ち上がる第1の押え部材と、
前記第2のブラケットの下方で前記乗籠に固定され、鉛直方向に沿って延び前記帯状部材の幅方向に立ち上がる第2の押え部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項6】
前記帯状部材は、前記ドアパネルが開かれた状態で、鉛直方向に長く撓ませる錘を中間部に有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項7】
エレベータの乗籠の乗口に設けられるドアパネルと、
前記乗籠の上部に配置されて前記ドアパネルを所定方向に移動させるドア駆動装置と、
前記乗籠の上部に配置されて前記ドア駆動装置の動作を制御する制御装置と、
前記ドアパネルの端部近傍に設けられて干渉物を検出する検出装置と、
前記制御装置から前記検出装置までの間に配線されるケーブルと、
前記ケーブルを保持する配線案内具と、を備え、
前記配線案内具は、
前記ドアパネル側に固定される第1のブラケットと、前記乗籠側に固定される第2のブラケットと、前記第1のブラケットに一端が固定され前記第2のブラケットに他端が固定されて前記ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有しており前記ドアパネルが移動することに伴って前記ドアパネルの外面に沿う方向に湾曲する帯状部材と、を具備する
ことを特徴とする籠ドア装置。
【請求項1】
エレベータの籠ドア装置のドアパネルに設けられる検出装置から乗籠の上に配置されるドア駆動装置の制御装置までの間に配線されるケーブルを保持する配線案内具において、
前記ドアパネル側に固定される第1のブラケットと、
前記乗籠側に固定される第2のブラケットと、
前記第1のブラケットに一端が固定され前記第2のブラケットに他端が固定されて前記ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有する帯状部材と
を備え、前記ドアパネルが移動することに伴って前記ドアパネルの外面に沿う方向に前記帯状部材が湾曲することを特徴とする配線案内具。
【請求項2】
前記帯状部材は、バネ鋼であることを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項3】
前記帯状部材は、前記ケーブルを保持するための結束具を通す固定孔を中間部に複数有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項4】
前記帯状部材は、前記ケーブルを保持するための結束具を係止する切欠を中間部に複数有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項5】
前記第1のブラケットの下方で前記ドアパネルの外面に固定され、鉛直方向に沿って延び前記帯状部材の幅方向に立ち上がる第1の押え部材と、
前記第2のブラケットの下方で前記乗籠に固定され、鉛直方向に沿って延び前記帯状部材の幅方向に立ち上がる第2の押え部材と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項6】
前記帯状部材は、前記ドアパネルが開かれた状態で、鉛直方向に長く撓ませる錘を中間部に有することを特徴とする請求項1に記載の配線案内具。
【請求項7】
エレベータの乗籠の乗口に設けられるドアパネルと、
前記乗籠の上部に配置されて前記ドアパネルを所定方向に移動させるドア駆動装置と、
前記乗籠の上部に配置されて前記ドア駆動装置の動作を制御する制御装置と、
前記ドアパネルの端部近傍に設けられて干渉物を検出する検出装置と、
前記制御装置から前記検出装置までの間に配線されるケーブルと、
前記ケーブルを保持する配線案内具と、を備え、
前記配線案内具は、
前記ドアパネル側に固定される第1のブラケットと、前記乗籠側に固定される第2のブラケットと、前記第1のブラケットに一端が固定され前記第2のブラケットに他端が固定されて前記ドアパネルの外面に垂直な向きに幅を有しており前記ドアパネルが移動することに伴って前記ドアパネルの外面に沿う方向に湾曲する帯状部材と、を具備する
ことを特徴とする籠ドア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−308221(P2007−308221A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136588(P2006−136588)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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