説明

配線用差込接続器

【課題】安全性の高い配線用差込接続器を提供する。
【解決手段】本発明に係る差込プラグ1は、一対の栓刃11と、一対の栓刃11に電気的に接続されたアレスタ素子15と、アレスタ素子15を収容すると共に、栓刃11の差込部を外部に露出させつつ、栓刃11の基部を収容し固定するケーシング10と、を備えた差込プラグ1であって、アレスタ素子15と栓刃11とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差込プラグ、コンセント、コードコネクタボディ、コーナータップ、マルチタップ等の配線用差込接続器に関する。
【背景技術】
【0002】
落雷又はノイズ等に起因する一時的な高電圧(サージ電圧とも呼称される)及び高電流(サージ電流とも呼称される)から電気機器を保護するため、アレスタ(サージ防護デバイス、サージアブソーバ、避雷器とも呼称される)が用いられる。
【0003】
例えば、本願発明者の一人による特許文献1には、ショートモードを可及的に少なくできるサージアブソーバが記載されている。
【0004】
このようなアレスタを実装している電気機器はサージ電圧及びサージ電流から保護されるが、直撃雷等の場合には、電源コンセントと電気機器とを結ぶ電源コードに過大なサージ電流が流れ、当該電源コードから発火し、最悪の場合火災に至る可能性も排除できない。
【0005】
このような事態を避けるためには、電源プラグまたは電源コードにアレスタを実装することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4178165号公報(2008年8月29日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電源コードにアレスタを実装したとしても、直撃雷等の場合には、過大なサージ電流によって、アレスタと電源プラグまたは電源コードとを接続するために用いた半田等の接着剤が溶融し、当該電源プラグまたは電源コードを再度使用することが出来なくなるといった問題があった。さらには、溶融した接着剤によって電源コードの両極がショートし、最悪の場合火災に至る危険性があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、過大なサージ電流が流れた場合であっても、再度使用することが可能であり、かつ従来に比べて安全性の高い配線用差込接続器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る配線用差込接続器は、上記の課題を解決するために、一対の栓刃と、上記一対の栓刃に電気的に接続されたアレスタ素子と、上記アレスタ素子を収容すると共に、上記栓刃の差込部を外部に露出させつつ、上記栓刃の基部を収容し固定するケーシングと、を備えた配線用差込接続器であって、上記アレスタ素子と上記栓刃とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、ことを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子と上記栓刃とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって上記接着剤が溶融し、上記アレスタ素子と上記栓刃との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した上記接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0011】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子と上記栓刃とは、カシメ加工によって接続されている、ことが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子と上記栓刃とをカシメて接続しているので、上記アレスタ素子が上記栓刃に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、上記アレスタ素子と上記栓刃との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0013】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子の長さは上記一対の栓刃間の距離と略等しく、上記アレスタ素子の端面が上記栓刃に直接接続されている、ことが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子の長さが上記一対の栓刃間の距離と略等しいため、上記アレスタ素子を上記一対の栓刃間に設けることができる。これによれば、上記アレスタ素子を設けるためにケーシングを大きくしたり、上記アレスタ素子を上記一対の栓刃に電気的に接続するための新たな配線等を設ける必要がない。したがって、コンパクトかつ単純な構成によって、アレスタ素子を備えた配線用差込接続器が実現される。
【0015】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子は、上記栓刃の差込部に近い側において上記栓刃に接続されている、ことが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子は上記栓刃の差込部に近い側に接続されているので、雷などに起因した高電流が流れ得る経路を短くすることができる。一般に、高電流が流れ得る経路が長いほど、発熱等による火災のリスクが高まる。したがって、上記の構成によれば、高電流が流れ得る経路が短いので、発熱等による火災のリスクを低減させることができる。
【0017】
また、本発明に係る配線用差込接続器は、上記一対の栓刃に対して、バリスタ及び温度ヒューズの少なくとも何れかが更に接続されている、ことが好ましい。
【0018】
上述の構成によれば、上記配線用差込接続器は、アレスタ素子においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、配線用差込接続器及び配線用差込接続器に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【0019】
また、本発明に係る配線用差込接続器は、上記の課題を解決するために、栓刃が挿入される栓刃挿入孔を少なくとも一対有するカバーと、挿入された各栓刃と係合する刃受部を有する一対の端子板と、上記一対の端子板に電気的に接続されたアレスタ素子と、を備えた配線用差込接続器であって、上記アレスタ素子と上記端子板とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、ことを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子と上記端子板とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって上記接着剤が溶融し、上記アレスタ素子と上記端子版との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した上記接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0021】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子と上記端子板とは、カシメ加工によって接続されている、ことが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子と上記端子板とをカシメて接続しているので、上記アレスタ素子が上記端子板に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、上記アレスタ素子と上記端子版との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0023】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子の長さは上記一対の端子板間の距離と略等しく、上記アレスタ素子の端面が上記端子板に直接接続されている、ことが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子の長さが上記一対の端子板間の距離と略等しいため、上記アレスタ素子を上記一対の端子板間に設けることができる。これによれば、上記アレスタ素子を設けるためにカバーを大きくしたり、上記アレスタ素子を上記一対の端子板に電気的に接続するための新たな配線等を設ける必要がない。したがって、コンパクトかつ単純な構成によって、アレスタ素子を備えた配線用差込接続器が実現される。
【0025】
また、本発明に係る配線用差込接続器において、上記アレスタ素子は、上記刃受部に近い側において上記端子板に接続されている、ことが好ましい。
【0026】
上述の構成によれば、上記アレスタ素子は上記端子板の刃受部に近い側に接続されているので、雷などに起因した高電流が流れ得る経路を短くすることができる。一般に、高電流が流れ得る経路が長いほど、発熱等による火災のリスクが高まる。したがって、上記の構成によれば、高電流が流れ得る経路が短いので、発熱等による火災のリスクを低減させることができる。
【0027】
また、本発明に係る配線用差込接続器は、上記一対の端子板に対して、バリスタ及び温度ヒューズの少なくとも何れかが更に接続されている、ことが好ましい。
【0028】
上述の構成によれば、上記配線用差込接続器は、アレスタ素子においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、配線用差込接続器及び配線用差込接続器に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る配線用差込接続器は、以上のように、一対の栓刃と、上記一対の栓刃に電気的に接続されたアレスタ素子と、上記アレスタ素子を収容すると共に、上記栓刃の差込部を外部に露出させつつ、上記栓刃の基部を収容し固定するケーシングと、を備えた配線用差込接続器であって、上記アレスタ素子と上記栓刃とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、ことを特徴としている。
【0030】
また、本発明に係る配線用差込接続器は、栓刃が挿入される栓刃挿入孔を少なくとも一対有するカバーと、挿入された各栓刃と係合する刃受部を有する一対の端子板と、上記一対の端子板に電気的に接続されたアレスタ素子と、を備えた配線用差込接続器であって、上記アレスタ素子と上記端子板とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、ことを特徴としている。
【0031】
上記の構成によれば、上記アレスタ素子と上記栓刃又は上記端子板とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって上記接着剤が溶融し、上記アレスタ素子と上記栓刃又は上記端子板との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した上記接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係る差込プラグの構成の詳細を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る差込プラグの概観を示す三面図であり、(a)は差込プラグの正面図を示し、(b)は差込プラグの側面図を示し、(c)は差込プラグの上面図を示している。
【図3】本発明の実施例1に係る差込プラグが備える栓刃の形状を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例1に係る差込プラグが備えるアレスタ素子と栓刃との接続方法の一例を示す図であり、(a)はアレスタ素子の備えるリードを栓刃の備える貫入孔に圧入する前の状態を示し、(b)はリードを貫入孔に圧入した後の状態を示し、(c)は貫入孔から露出したリードの先端を潰した後の状態を示している。
【図5】本発明の実施例1に係るアレスタ素子と栓刃との接続方法の他の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る差込プラグが備えるアレスタ素子と栓刃との接続方法のさらに他の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例1に係る差込プラグが備えるアレスタ素子と栓刃との接続方法のさらに他の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係る差込プラグが備えるアレスタ素子と栓刃との接続方法のさらに他の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例1に係る差込プラグに用いられるアレスタ素子の一例の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例1の変形例に係る差込プラグの構成の詳細を示す断面図である。
【図11】本発明の実施例2に係る差込プラグの概観を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例2に係る差込プラグの構成の詳細を示す断面図である。
【図13】本発明の実施例3に係るコンセントの構成を示す三面図であり、(a)はコンセントの正面図を示し、(b)はコンセントの側面図を示し、(c)はコンセントの裏面図を示している。
【図14】本発明の実施例4に係るコーナータップの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の実施例に記載されている構成部品の材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0034】
<実施例1>
本発明の配線用差込接続器に関する実施の一形態について図1から図9に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施例に係る配線用差込接続器は、差込プラグによって実現されているため、以下では本実施例に係る配線用差込接続器を、単に差込プラグと呼称する。
【0035】
(差込プラグの概観)
まず、図2を参照して、差込プラグ1の概観について説明する。図2は、差込プラグ1の概観を示す三面図であり、(a)は差込プラグ1の正面図を示し、(b)は差込プラグ1の側面図を示し、(c)は差込プラグ1の上面図を示している。
【0036】
図2に示すように、差込プラグ1は、ケーシング10、1対の栓刃11a、11b、導電線12a、12bを備えている。また、差込プラグ1は、図2(a)(b)に示すように、ケーシング10内において、1対の栓刃11aと11bとの間にアレスタ素子15が接続されている。また、栓刃11aの外部に露出していない一端には導電線12aが接続され、栓刃11bの外部の露出していない一端には導電線12bが接続されている。なお、差込プラグの構成の詳細については、図面を代えて後述する。
【0037】
なお、アレスタ素子15は、落雷又はノイズ等に起因するサージ電圧及びサージ電流を遮断し、電気機器を保護するための素子(いわゆる、サージ保護素子又はサージアブソーバ)である。
【0038】
(差込プラグの構成)
次に、図1及び図3を参照して、差込プラグ1の構成の詳細について説明する。図1は、本実施例に係る差込プラグ1の構成の詳細を示す断面図である。また、図3は、図1に示す差込プラグ1が備える栓刃11a、11bの形状を示す斜視図である。
【0039】
図1に示すように、本実施例に係る差込プラグ1は、ケーシング10、栓刃11、導電線12、ネジ13、接合部14、アレスタ素子15を備えている。また、アレスタ素子15の両端面にはそれぞれリード16a及び16bが電気的に接続されている。
【0040】
栓刃11は、コンセント等に差し込まれる導電性の板材であり、図3に示すように、1対の栓刃11a及び11bを含んで構成されている。以下では、栓刃11a及び11bを合わせて栓刃11とも表記する。栓刃11は、図3に示すように、差込部111(図1において、ケーシング10から露出している部分)、及び、基部112(図1において、ケーシング10に収容されている部分)から構成されている。
【0041】
栓刃11a、11bには、アレスタ素子15が備えるリード16a及び16bとそれぞれ電気的に接続される貫入孔114a及び114bが形成されている。また、栓刃11aは、ネジ止め部113aにおいて、ネジ13aによって導電線12aと共にケーシング10に固定されることにより、導電線12aに電気的に接続される。栓刃11bも同様に、ネジ止め部113bにおいて、ネジ13bによって導電線12bと共にケーシング10に固定されることにより、導電線12bに電気的に接続される。
【0042】
なお、栓刃11に形成されている貫入孔114は、栓刃11の基部112のうち、差込部111に近い側に形成されていることがより好ましい。このように貫入孔114を形成することにより、アレスタ素子15は、栓刃11の差込部111に近い側において、栓刃11の基部112に接続される。
【0043】
上述の構成によれば、アレスタ素子15は栓刃11の差込部111に近い側に接続されているので、雷などに起因した高電流が流れ得る経路を短くすることができる。一般に、高電流が流れ得る経路が長いほど、発熱等による火災のリスクが高まる。したがって、上記の構成によれば、高電流が流れ得る経路が短いので、発熱等による火災のリスクを低減させることができる。
【0044】
ケーシング10は、アレスタ素子15を収容すると共に、栓刃11の差込部111を外部に露出させつつ、栓刃11の基部112を収容し固定する。また、ケーシング10は、栓刃11a、11bと導電線12a、12bとの接続部分(ネジ止め部113a、113b)を保護すると共に、栓刃11a、11bを所定の間隔で固定する。なお、ケーシング10は、2つのカバーを組み合わせて1つのケーシング10を形成するように構成されており、接合部14においてネジ(不図示)にて2つのカバーが固定されている。
【0045】
上述のように、アレスタ素子15の両端面にそれぞれ接続されたリード16a及び16bは、一対の栓刃11a、11bにそれぞれ電気的に接続されていが、ここで重要な点は、アレスタ素子15が、接着剤を介さずに栓刃11と物理的に圧着されている点にある。具体的には、アレスタ素子15の備えるリード16aが栓刃11aの備える貫入孔114aと接着剤を介さずに物理的に圧着され、リード16bが栓刃11bの備える貫入孔114bと接着剤を介さずに物理的に圧着されている。なお、アレスタ素子15と栓刃11a及び11bとのより具体的な接続方法については、後述することとする。
【0046】
なお、本実施例では、栓刃11と導電線12とをネジ13を用いて電気的にする構成を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ネジを用いずに直接栓刃11と導電線12とを接続する構成を採用してもよい。
【0047】
また、本発明に係る差込プラグは、上述した構成を備える代わりに、栓刃11と、栓刃11に電気的に接続されたアレスタ素子と、栓刃11と電気的に接続された導電線12とを、絶縁樹脂などで一体的封止することによって形成されてもよい。
【0048】
(アレスタ素子と栓刃との接続方法)
本実施例の一態様として、アレスタ素子15と栓刃11とは、カシメ加工によって接続されていることが好ましい。以下では、アレスタ素子15と栓刃11との接続方法について、図4から図8を参照して説明する。
【0049】
まず、図4を参照して、本実施例に係る差込プラグ1におけるアレスタ素子15と栓刃11との接続方法について説明する。図4は、本実施例に係るアレスタ素子15と栓刃11との接続方法の一例を示す図であり、(a)はアレスタ素子15の備えるリード16を栓刃11の備える貫入孔114に圧入する前の状態を示し、(b)はリード16を貫入孔114に圧入した後の状態を示し、(c)は貫入孔114から露出したリード16の先端を潰した後の状態を示している。
【0050】
図4(a)に示すように、アレスタ素子15の備えるリード16は、アレスタ素子15側に行くにつれて直径が細くなるように形成されており、栓刃11の備える貫入孔114は、リード16のアレスタ素子15が装着される側と反対側の先端よりも小さい径となるように形成されている。
【0051】
図4(b)に示すように、リード16を貫入孔114に圧入して、その後、(c)に示すように、リード16の先端をハンマー等で叩き、潰すことによって、リード16と栓刃11との(すなわち、アレスタ素子15と栓刃11との)接着剤を用いない物理的な圧着を実現している。これにより、リード16は貫入孔114から抜け落ちることはない。
【0052】
上述の構成によれば、アレスタ素子15が有するリード16と栓刃11とをカシメて接続しているので、アレスタ素子15が栓刃11に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、アレスタ素子15と栓刃11との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0053】
また、上述の構成によれば、アレスタ素子15と栓刃11とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって接着剤が溶融し、アレスタ素子15と栓刃11との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0054】
なお、本発明におけるアレスタ素子15と、栓刃11との接続方法は、上述の方法に限定されるものではない。以下では、本発明における本発明におけるアレスタ素子15と、栓刃11との接続方法の他の例について、図5から図8を参照して説明する。図5から図8は、それぞれ、本実施例に係るアレスタ素子15と栓刃11との接続方法の他の一例を示す図である。
【0055】
図5に示すように、アレスタ素子15と栓刃11との接続方法として、栓刃11の備える切込孔に、アレスタ素子15の備えるリード16を圧入する方法を採用してもよい。
【0056】
具体的には、栓刃11には、図5に示すように、リード16の径よりも小さい圧入口を有する切込孔を形成しておき、当該切込孔にリード16を圧入することによって、リード16と切込孔とが勘合する構成としてもよい。これによって、アレスタ素子15が、接着剤を介さずに栓刃11と物理的に圧着される。
【0057】
また、上記では、アレスタ素子15がリード16を有する場合を例に挙げて説明したが、もちろん、アレスタ素子15がリード16を有している場合に限られない。
【0058】
例えば、アレスタ素子15の長さが1対の栓刃11”間の距離(間隔)と略等しく、アレスタ素子15の端面が栓刃11”に直接接続されていてもよい。具体的には、図6に示すように、アレスタ素子15に固定用孔16’を、栓刃11”に固定用突起をそれぞれ設けておき、アレスタ素子15が1対の栓刃11”に圧入されると、アレスタ素子15に設けられた固定用孔16’が栓刃11”に設けられた固定用突起とが勘合する構成としてもよい。これによって、アレスタ素子15と栓刃11とが接着剤を用いない物理的な圧着によって接続される。
【0059】
なお、アレスタ素子15に設けられる固定用孔16’、及び、栓刃11”に設けられる固定用突起は、それぞれ、1つに限られるものではない。アレスタ素子15に設けられる固定用孔16’と栓刃11”に設けられる固定用突起との数が同じであれば、いくつ設けられていても良い。
【0060】
例えば、図7に示すように、栓刃11”に設けられる固定用突起は3つであってもよい。この場合には、アレスタ素子15に設けられる固定用孔16’も同様に、3つであればよい。
【0061】
さらに、アレスタ素子15の長さが1対の栓刃間の距離と略等しく、アレスタ素子15の端面が栓刃に直接接続される構成を採用する場合に、必ずしもアレスタ素子15に固定用孔16’が設けられている必要はない。
【0062】
例えば、図8に示す栓刃11'''に設けられた突起状の固定用爪が、1対の栓刃11'''間で対向するように形成されており、当該固定用爪によりアレスタ素子15が固定されるように、アレスタ素子15を1対の栓刃11'''に圧入する構成を採用してもよい。このように、1対の栓刃11'''間に対向するように形成された固定用爪によって圧入したアレスタ素子15を固定することにより、接着剤を用いない物理的な圧着を実現している。この場合には、アレスタ素子15には、リード16及び固定用孔16’の何れも設けられている必要はない。
【0063】
(アレスタ素子)
次に、本実施例において用いられるアレスタ素子15の一例について、図9を参照して説明する。図9は、本実施例に係る差込プラグ1に用いられるアレスタ素子15の一例の構成を示す図である。
【0064】
図9に示すように、本実施例に係る差込プラグ1において用いられるアレスタ素子15は、筒体151、蓋体152、リード16a、及び、16bを備えている。
【0065】
筒体151、及び、蓋体152は、絶縁物(例えば、セラミックなど)からなり、筒体151の両端部を蓋体152により封止され、空間153が形成される。また、空間153には、不活性ガス(例えば、アルゴンなど)が封入されている。
【0066】
蓋体152の中央部には、貫通孔が形成されている。蓋体152の貫通孔にはリード16a、16bが挿通され、リード16a及びリード16bは、空間153内で対向するように配置されている。
【0067】
上述の構成によって、両端面の距離が1対の栓刃11a、11b間の距離と同等もしくはそれよりも小さいアレスタ素子15を実現することができる。また、上述の構成によって、十分高い雷サージ耐量を有するアレスタ素子15を実現することができる。
【0068】
もちろん、本実施例に係る差込プラグ1は、図9に示すアレスタ素子15以外にも、種々のアレスタ素子を用いて構成することができる。
【0069】
上述の構成によれば、アレスタ素子15の長さが一対の栓刃11a、11b間の距離と略等しいため、アレスタ素子15を一対の栓刃11a、11b間に設けることができる。これによれば、アレスタ素子15を設けるためにケーシング10を大きくしたり、アレスタ素子15を上記一対の栓刃11a、11bに電気的に接続するための新たな配線等を設ける必要がない。したがって、コンパクトかつ単純な構成によって、アレスタ素子15を備えた差込プラグ1が実現される。
【0070】
〔変形例〕
なお、本実施例では、差込プラグ1が、一対の栓刃11a、11b間にアレスタ素子15のみを備える構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一対の栓刃11a、11b間に、アレスタ素子15に加えて、バリスタ、及び、温度ヒューズの少なくとも何れかを備える構成を採用してもよい。
【0071】
本実施例に係る差込プラグ1の変形例として、アレスタ素子15に加えて、バリスタ17、及び、温度ヒューズ18を備える差込プラグ1’について、図10を参照して説明する。図10は、本変形例に係る差込プラグ1’の構成の詳細を示す断面図である。
【0072】
図10に示すように、差込プラグ1’は、一対の栓刃11a、11b間に、アレスタ素子15に加えて、バリスタ17、及び、温度ヒューズ18をさらに備えている。
【0073】
バリスタ17は、サージ電流によって発生する続流電流(静電放電)を遮断し、続流電流から電気機器を保護する素子(いわゆる、サージ防護素子)である。
【0074】
温度ヒューズ18は、サージ電流が流れる際に発生する高熱を遮断し、高熱から電気機器を保護する素子(いわゆる、加熱保護装置)である。
【0075】
このように、本変形例に係る差込プラグ1’は、一対の栓刃11a、11bに対して、バリスタ17及び温度ヒューズ18の少なくとも何れかが更に接続されている、ことが好ましい。
【0076】
上述の構成によれば、図10に示す差込プラグ1’は、アレスタ素子15においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタ17においてサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズ18においてサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、アレスタ素子15のみでは遮断しきれない、サージ電流に起因する続流電流、及び、高熱を遮断し、差込プラグ1’及び差込プラグ1’に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【0077】
なお、バリスタ17、及び、温度ヒューズ18は、アレスタ素子15と同様に、接着剤を介さずに栓刃11と物理的に圧着されていることが好ましい。
【0078】
上述の構成によれば、バリスタ17及び温度ヒューズ18と栓刃11とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって接着剤が溶融し、バリスタ17及び温度ヒューズ18と栓刃11との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0079】
<実施例2>
本発明の配線用差込接続器に関する他の実施例について、図11及び図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0080】
(差込プラグの概観)
まず、図11を参照して、本実施例に係る差込プラグ2の概観について説明する。図11は、本実施例に係る差込プラグ2の概観を示す斜視図である。
【0081】
差込プラグ2は、図11に示すように、第1ケーシング(ケーシング)20、1対の栓刃21a、21b、導電線22a、22b、及び、第2ケーシング28を備えている。本実施例に係る差込プラグ2は、第2ケーシング28が駆動することにより、第1ケーシング20に対する栓刃21a、21bの向きが可変に構成されている。
【0082】
(差込プラグの構成)
次に、図12を参照して、差込プラグ2の構成の詳細について説明する。図12は、本実施例に係る差込プラグ2の構成の詳細を示す断面図である。
【0083】
図12に示すように、本実施例に係る差込プラグ2は、第1ケーシング20、栓刃21、導電線12、ネジ13、接合部14、アレスタ素子25、リード26、第2基部27、及び、第2ケーシング28を備えている。本実施例に係る差込プラグ2は、第2ケーシング28が駆動することによって栓刃21の向きを可変に構成するため、第2基部27を備えていること以外は、実施例1に記載の差込プラグ1と同様である。
【0084】
栓刃21は、図12に示すように、1対の栓刃21a及び21bを含んで構成されている。また、栓刃21は、第2ケーシング28から露出している差込部、及び、第2ケーシング28に収納されている第1基部から構成されている。
【0085】
アレスタ素子25はリード26を備えており、一対の栓刃21a及び21bに電気的に接続されている。また、アレスタ素子25は、接着剤を介さずに栓刃21と物理的に圧着されている。なお、アレスタ素子25と栓刃21a及び21bとの接続方法について、は実施例1に記載の差込プラグ1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
第2ケーシング28は、アレスタ素子25を収容すると共に、栓刃21の差込部を外部に露出させつつ、栓刃21の基部を収容し固定する。
【0087】
さらに、栓刃21は、導電線12に、第2基部27を介して接続されている。具体的には、栓刃21aは、アレスタ素子25の備えるリード26aを軸として回動可能に第2基部27aに電気的に接続される。栓刃21aに電気的に接続された第2基部27aは、ネジ止め部113aにおいて、ネジ13aによって導電線12aと共に第1ケーシング20に固定されることにより、導電線12aに電気的に接続される。また、栓刃21bも栓刃21aと同様に、アレスタ素子25の備えるリード26bを軸として回動可能に、第2基部27bを介して導電線22bに電気的に接続される。
【0088】
なお、本実施例の一態様として、アレスタ素子25と栓刃21とは、実施例1と同様に、カシメ加工によって接続されていることが好ましい。
【0089】
この構成によれば、アレスタ素子25と栓刃21とをカシメて接続しているので、アレスタ素子25が栓刃21に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、アレスタ素子25と栓刃21との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0090】
また、上述の構成によれば、アレスタ素子25と栓刃21とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって接着剤が溶融し、アレスタ素子35と栓刃21との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0091】
第1ケーシング20は、栓刃21a、21bと導電線12a、12bとの接続部分を保護すると共に、栓刃21a、21bを所定の間隔で固定する。なお、第1ケーシング20は、2つのカバーを組み合わせて1つの第1ケーシング20を形成するように構成されており、接合部14においてネジ(不図示)にて2つのカバーが固定されている。
【0092】
なお、本実施例では、第1ケーシング20と第2ケーシング28とでケーシングを構成している。
【0093】
上記のように構成することにより、本実施例に係る差込プラグ2は、第2ケーシング28が駆動することにより、第1ケーシング20に対する栓刃21a、21bの向きが可変に構成されている。
【0094】
なお、本実施例では、差込プラグ2が、一対の栓刃21a、21b間にアレスタ素子25のみを備える構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一対の栓刃21a、21bに対して、バリスタ、及び、温度ヒューズの少なくとも何れかが接続されている構成を採用してもよい。
【0095】
上述の構成によれば、差込プラグ2は、アレスタ素子25においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、差込プラグ2及び差込プラグ2に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【0096】
<実施例3>
本発明の配線用差込接続器に関する他の実施例について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施例に係る配線用差込接続器は、コンセントによって実現されているため、以下では本実施例に係る配線用差込接続器を、単にコンセントと呼称する。
【0097】
(コンセントの構成)
図13を参照して、本実施例に係るコンセントの構成について説明する。図13は、本実施例に係るコンセント3の構成を示す三面図であり、(a)はコンセント3の正面図を示し、(b)はコンセント3の右側面図を示し、(c)はコンセント3の裏面図を示している。
【0098】
図13(a)〜(c)に示すように、コンセント3は、カバー30、端子板31、栓刃挿入孔32、アレスタ素子35、及び、背面カバー39を備えている。
【0099】
カバー30は、栓刃が挿入される栓刃挿入孔32を少なくとも1対有しており、図13(a)に示す例では、栓刃挿入孔32a及び32bを2対有している。
【0100】
端子板31は、差込プラグの1対の栓刃が挿入されたとき、挿入された各栓刃と係合する刃受部を有する導電性の板材であり、図13(c)に示すように、1対の端子板31a及び31bを含んで構成されている。
【0101】
なお、端子板31が有する刃受部は、図13(b)に示すように、2対の栓刃挿入孔32のそれぞれに対応するように設けられている。具体的には、端子板31aは、1対目の栓刃挿入孔32aに対応する刃受部、及び、2対目の栓刃挿入孔32aに対応する刃受部の2つの刃受部を有するように形成されている。また、端子板31bも同様に、1対目の栓刃挿入孔32bに対応する刃受部、及び、2対目の栓刃挿入孔32bに対応する刃受部の2つの刃受部を有するように形成されている。
【0102】
アレスタ素子35は、接着剤を介さずに端子板31と物理的に圧着されていることにより、一対の端子板31a、31bに電気的に接続されている。具体的には、アレスタ素子35の備えるリード(不図示)が端子板31の備える貫入孔(不図示)と圧着接続されている。なお、アレスタ素子35と端子板31a及び31bとの接続方法については、実施例1に記載の差込プラグ1と同様の方法が用いられる。
【0103】
なお、本実施例の一態様として、アレスタ素子35と端子板31とは、実施例1と同様に、カシメ加工によって接続されていることが好ましい。
【0104】
この構成によれば、アレスタ素子35と端子板31とをカシメて接続しているので、アレスタ素子35が端子板31に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、アレスタ素子35と端子板31との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0105】
また、上述の構成によれば、アレスタ素子35と端子板31とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって接着剤が溶融し、アレスタ素子35と端子板31との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0106】
背面カバー39は、コンセント3を背面から覆うように設けられている。
【0107】
なお、端子板31に形成されている貫入孔は、端子板31のうち、刃受部に近い側に形成されていることがより好ましい。このように貫入孔を形成することにより、アレスタ素子35は、端子板31の刃受部に近い側において、端子板31に接続される。
【0108】
この構成によれば、アレスタ素子35は端子板31の刃受部に近い側に接続されているので、雷などに起因した高電流が流れ得る経路を短くすることができる。一般に、高電流が流れ得る経路が長いほど、発熱等による火災のリスクが高まる。したがって、上述の構成によれば、高電流が流れ得る経路が短いので、発熱等による火災のリスクを低減させることができる。
【0109】
また、実施例1と同様に、本実施例に係るコンセント3において、アレスタ素子35の長さが一対の端子板31間の距離と略等しく、アレスタ素子35の端面が端子板31に直接接続されていてもよい。
【0110】
上記の構成によれば、アレスタ素子35の長さが一対の端子板31間の距離と略等しいため、アレスタ素子35を一対の端子板31間に設けることができる。これによれば、アレスタ素子35を設けるためにカバー30を大きくしたり、アレスタ素子35を一対の端子板31に電気的に接続するための新たな配線等を設ける必要がない。したがって、コンパクトかつ単純な構成によって、アレスタ素子を備えたコンセント3が実現される。
【0111】
なお、本実施例では、コンセント3が、一対の端子板31a、31b間にアレスタ素子35のみを備える構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一対の端子板31a、31bに対して、バリスタ、及び、温度ヒューズの少なくとも何れかが接続されている構成を採用してもよい。
【0112】
上述の構成によれば、コンセント3は、アレスタ素子35においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、コンセント3及びコンセント3に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【0113】
<実施例4>
本発明の配線用差込接続器に関する他の実施例について、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施例に係る配線用差込接続器は、コーナータップ(あるいは、トリプルタップ:3way socket adaptors)によって実現されているため、以下では本実施例に係る配線用差込接続器を、単にコーナータップと呼称する。
【0114】
(コーナータップの構成)
図14を参照して、本実施例に係るコーナータップ4の構成について説明する。図14は、本実施例に係るコーナータップ4の構成を示す分解斜視図である。
【0115】
コーナータップ4は、図14に示すように、第1カバー(カバー)40、1対の端子板41、第2カバー42、ネジ44、アレスタ素子45、及び、スペーサ49を備えている。
【0116】
第1カバー40は、栓刃が挿入される栓刃挿入孔を少なくとも1対有しており、図14に示す例では、栓刃挿入孔を3対(不図示)有している。
【0117】
端子板41は、差込プラグの1対の栓刃が挿入されたとき、挿入された各栓刃と係合する刃受部を有する導電性の板材であり、1対の端子板41a及び41bを含んで構成されていると共に、1対の栓刃を有している。
【0118】
なお、端子板41が有する刃受部は、3対の栓刃挿入孔に対応するよう、図14に示すように、3対設けられている。
【0119】
アレスタ素子45の両端面は、それぞれ接着剤を介さずに端子板31a、31bと物理的に圧着されることにより、当該端子板31a、31bと電気的に接続されている。具体的には、アレスタ素子35の備えるリード(不図示)が端子板31の備える貫入孔(不図示)と接続されている。なお、アレスタ素子35と端子板31a及び31bとの接続方法については、実施例1に記載の差込プラグ1と同様の方法が用いられる。
【0120】
なお、本実施例の一態様として、アレスタ素子45と端子板41とは、実施例1と同様に、カシメ加工によって接続されていることが好ましい。
【0121】
この構成によれば、アレスタ素子45と端子板41とをカシメて接続しているので、アレスタ素子45が端子板41に確実に固定される。したがって、外部からの衝撃等があっても、アレスタ素子45と端子板41との電気的な接続を確実に保つことができる。
【0122】
また、上述の構成によれば、アレスタ素子45と端子板41とが接着剤を介さずに物理的に圧着されているため、雷などに起因する高電流によって接着剤が溶融し、アレスタ素子45と端子板41との電気的接続が不完全になることがない。また、雷などに起因する高電流によって溶融した接着剤が流れ出て火災等の原因になることもない。
【0123】
スペーサ49は、1対の端子板41a、41bを所定の間隔で、第1カバー40と第2カバーとに固定する。
【0124】
なお、本実施例では、コーナータップ4が、一対の端子板41a、41b間にアレスタ素子45のみを備える構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一対の端子板41a、41bに対して、バリスタ、及び、温度ヒューズの少なくとも何れかが接続されている構成を採用してもよい。
【0125】
上述の構成によれば、コーナータップ4は、アレスタ素子45においてサージ電流を遮断すると共に、バリスタが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する続流電流を遮断し、温度ヒューズが接続されている場合にはさらにサージ電流に起因する高熱を遮断することができる。したがって、コーナータップ4及びコーナータップ4に接続される電気機器をより効果的に保護することができる。
【0126】
本発明は上述した各実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、差込プラグ、コンセント、コードコネクタボディ、コーナータップ、及び、マルチタップ等の配線用差込接続器に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1、2 差込プラグ
3 コンセント
4 コーナータップ
10 ケーシング
11、11’、11”、11'''、11a、11b 栓刃
12、12a、12b 導電線
13、13a、14b ネジ
14 接合部
15 アレスタ素子
16、16a、16b リード
16’ 固定用孔
17 バリスタ
18 温度ヒューズ
20 第1ケーシング(ケーシング)
21、21a、21b 栓刃
25 アレスタ素子
26、26a、26b リード
27、27a、27b 第2基部
28 第2ケーシング
30 カバー
31、31a、31b 端子板
32 栓刃挿入孔
35 アレスタ素子
39 背面カバー
40 第1カバー(カバー)
41、41a、41b 端子板
42 第2カバー
44 ネジ
45 アレスタ素子
49 スペーサ
111 差込部
112 基部
114、114a、114b 貫入孔
151 筒体
152 蓋体
153 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の栓刃と、
上記一対の栓刃に電気的に接続されたアレスタ素子と、
上記アレスタ素子を収容すると共に、上記栓刃の差込部を外部に露出させつつ、上記栓刃の基部を収容し固定するケーシングと、
を備えた配線用差込接続器であって、
上記アレスタ素子と上記栓刃とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、
ことを特徴とする配線用差込接続器。
【請求項2】
上記アレスタ素子と上記栓刃とは、カシメ加工によって接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線用差込接続器。
【請求項3】
上記アレスタ素子の長さは上記一対の栓刃間の距離と略等しく、上記アレスタ素子の端面が上記栓刃に直接接続されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線用差込接続器。
【請求項4】
上記アレスタ素子は、上記栓刃の差込部に近い側において上記栓刃に接続されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の配線用差込接続器。
【請求項5】
上記一対の栓刃に対して、バリスタ及び温度ヒューズの少なくとも何れかが更に接続されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の配線用差込接続器。
【請求項6】
栓刃が挿入される栓刃挿入孔を少なくとも一対有するカバーと、
挿入された各栓刃と係合する刃受部を有する一対の端子板と、
上記一対の端子板に電気的に接続されたアレスタ素子と、
を備えた配線用差込接続器であって、
上記アレスタ素子と上記端子板とは、接着剤を介さずに物理的に圧着されている、
ことを特徴とする配線用差込接続器。
【請求項7】
上記アレスタ素子と上記端子板とは、カシメ加工によって接続されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の配線用差込接続器。
【請求項8】
上記アレスタ素子の長さは上記一対の端子板間の距離と略等しく、上記アレスタ素子の端面が上記端子板に直接接続されている、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の配線用差込接続器。
【請求項9】
上記アレスタ素子は、上記刃受部に近い側において上記端子板に接続されている、
ことを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の配線用差込接続器。
【請求項10】
上記一対の端子板に対して、バリスタ及び温度ヒューズの少なくとも何れかが更に接続されている、
ことを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の配線用差込接続器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−84392(P2013−84392A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222239(P2011−222239)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(511242498)
【出願人】(511242661)
【出願人】(511242672)
【Fターム(参考)】