配電線路図の表示方法
【課題】オペレータに視覚的なショックを与えることなく、必要とする縮尺した表示が簡単にできる。
【解決手段】街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、(a)オペレータは、現在の縮尺と変更後の縮尺の数値を認識する必要なく、縮尺変更方向(拡大/縮小)のみを指示する。(b)オペレータからの縮尺変更方向(拡大/縮小)の通知でイベントを起動する。(c)このイベント起動により、現在の縮尺より1段階、指定方向(拡大/縮小)へ縮尺を変更してして表示する。
【解決手段】街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、(a)オペレータは、現在の縮尺と変更後の縮尺の数値を認識する必要なく、縮尺変更方向(拡大/縮小)のみを指示する。(b)オペレータからの縮尺変更方向(拡大/縮小)の通知でイベントを起動する。(c)このイベント起動により、現在の縮尺より1段階、指定方向(拡大/縮小)へ縮尺を変更してして表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電設備の図形と名称を街路図に対応させて表示する配電線路図の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(その1)
この種の配電線路図の表示には、図の表示中心と縮尺が指定されると、線路図上の表示対象領域を特定し、それに含まれる配電設備図形を検索して表示する。従来、配電線路図は専用の表示装置に表示していたが、最近ではパソコンやワークステーションなどのウィンドウOSを装備した汎用CPUを配電システムの操作卓とし、そのウィンドウに配電線路図を表示するようになってきた。
【0003】
これにより、従来の専用装置ではCRT上の線路図の表示領域は固定であったが、ウィンドウでは任意に大きさを変えることができる。一旦、線路図を表示後でもウィンドウの大きさを変えて表示範囲を変更できる。この例を図7に示し、ウィンドウAの表示に対して、ウィンドウBでは縮小表示ができ、ウィンドウCでは拡大表示できる。
【0004】
(その2)
最初に配電線路図を表示する際、図8に示すように、(a)オペレータはフィーダを指定し、その際、各フィーダのデータにはあらかじめ表示縮尺と表示中心座標が設定されているので、当該フィーダの表示中心座標の特定(b)と縮尺特定(c)により、線路図上の表示対象の矩形領域を特定する。
【0005】
続いて、図9に示すように、表示対象の矩形領域に対し表示対象の設備図形を検索するが、全設備を逐一検索すると膨大な時間がかかるため、各フィーダを囲む最小の矩形座標を持ち、表示対象の矩形領域に重なるフィーダの矩形を検索してフィーダを特定し、当該フィーダに所属する設備図形を表示対象としている。
【0006】
(その3)
配電線路図の縮尺を何段階かに切り替えて表示する場合、図形や名称の大きさを倍率に比例させて表示すると、極端に小さくなったり大きくなったりして見づらくなるため、図形や名称の大きさはほぼ固定にし、位置関係だけを倍率に比例させて表示する。この例を図10に示し、ウィンドウDに対して縮尺を倍にしたウィンドウEでは開閉器CBとその名称T−0101,M−2450の縮尺をそのままに固定した表示を行う。このような表示の仕方により、ハードウェアやファームウェアによる単純なズーム機能は採用されていない。
【0007】
なお、編集対象画像の縮尺を切り換える手法として、編集対象の入力とコマンドを入力することで、編集対象のサイズを取得して画面全体に表示する倍率を算出し、拡大表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−298291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(その1)
従来の線路図ウィンドウの伸縮では縮尺が固定のまま表示領域が変化する。しかし、ウィンドウの伸縮に際しても表示領域は固定のまま保持したいという要求がある。
【0009】
例えば、特定のフィーダについて操作中に他のウィンドウも並列して表示する必要があり線路図ウィンドウを縮めるが、当該フィーダの全域を表示したままとしたい場合である。また、特定のフィーダについて操作中に、より詳細に見る必要があり当該フィーダの全域を保持したままウィンドウを拡大したい場合などである。
【0010】
この例を図11に示し、ウィンドウAに対して、縮小ウィンドウBではフィーダも縮小して表示し、拡大ウィンドウCではフィーダも拡大して表示する場合であるが、従来方法ではこの要求に対応できない。
【0011】
(その2)
従来、配電線路図は専用の表示装置に表示しており、当該CRT上の表示領域は固定サイズであった、そのため、それに合わせてフィーダ毎に表示中心座標と縮尺を設定していた。パソコンやワークステーションなどのウィンドウOSを装備した汎用CPUを配電システムの操作卓とし、そのうちの1つのウィンドウに配電線路図を表示する場合、当該ウィンドウのサイズは固定ではなく、オペレータが自由に伸縮できる。そのウィンドウにフィーダ指定で表示する際、フィーダデータに設定された固定的な縮尺ではフィーダ全域を表示できない場合がある。また、逆に必要のない他フィーダも表示してしまう場合もあり得る。
【0012】
フィーダ全域を表示しきれない場合を図12に示す。このような場合、再度オペレータが最適な縮尺を設定しなければならず、オペレータに不快感と不当な労力を強いる。
【0013】
(その3)
従来の表示では、ハードウェアやファームウェアによるズーム機能を採用していないため、オペレーションもズーム操作に相当するものはない。縮尺は4〜5段階で、メニューやダイアログにより直接、目的の縮尺を指定して表示するようにしている。倍率も例えば、1/1000、1/2000、1/5000、1/10000、1/25000など、縮尺間の変化が非常に大きい。
【0014】
しかし、直接、縮尺を指定させる方法では、オペレータが現在の縮尺を認識し、それから必要な表示範囲を考えて変更先の縮尺を決定するので素早く操作できない。また、縮尺間の表示範囲の変化が大きいので、縮尺を変更すると視覚的なショックが大きくそれまでの思考が中断してしまう。
【0015】
本発明の目的は、オペレータに視覚的なショックを与えることなく、必要とする縮尺した表示が簡単にできる表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記の課題を解決するため、街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、以下の効果がある。
【0018】
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示するため、オペレータに視覚的なショックを与えることなく、必要とする縮尺した表示が簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の実施形態を説明するための装置構成図である。ウィンドウOSを搭載したCPU1を中枢部とするコンピュータ構成にされ、配電線路データやフィーダ表示テーブルになる表示データは図示省略の外部記憶装置からメモリ2に転送され、表示処理のためのソフトウェアとして縮尺変更プロセス3や縮尺変更操作手段4が搭載される。また、配電線図の画面表示のための表示制御部5とCRT等の表示装置6が設けられ、さらにオペレータによる入力装置としてキーボード7やマウス8が設けられる。
【0020】
このような装置を使った本実施形態の表示方法は、図1に示すように、ウィンドウの伸縮に応じて表示対象の縮尺を変化させることにより表示領域を確保する。この手順を以下に説明する。
【0021】
(a)ウィンドウの伸縮の指示があると、現時点での線路図上の表示対象領域と各縮尺倍率を掛算する。
【0022】
(b)CRT上の表示対象領域を求める。
【0023】
(c)求めた表示対象領域でウィンドウに含まれるもののうち最小の縮尺倍率を求める。
【0024】
(d)この縮尺倍率と表示中心座標およびウィンドウの大きさにより線路図上の表示対象領域を再設定し、表示する。
【0025】
なお、このような動作モードと、表示領域が変化する従来のモードを切り替えることができるものとする。
【0026】
したがって、本実施形態によれば、従来方法がウィンドウを伸縮すると縮尺が同じなので表示領域が変化してしまう。その際、元の表示領域が重要な意味を持つ場合がある。元の表示領域を再現するには、縮尺変更を行う必要があるが、1回の操作で元の表示領域を再現するのは難しく、何回か試行錯誤的に縮尺変更を繰り返さなければならず非常に煩わしい等の問題を解消できる。
【0027】
すなわち、本実施形態によれば、ウィンドウを伸縮に応じて表示領域を保持したまま縮尺変更を自動的に行うので、縮尺変更の煩わしさを解消できる。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態の処理手順を示す。従来、フィーダごとに保持していた縮尺と表示中心を廃し、フィーダ矩形のみを保持する構成とする。この手順を以下に説明する。
【0029】
(a)フィーダを指定して表示する際、当該フィーダ矩形の中心を表示対象領域の中心として決定する。
【0030】
(b)現時点での線路図上のフィーダ矩形に各縮尺倍率を掛算する。
【0031】
(c)CRT上のフィーダ矩形を求める。
【0032】
(d)フィーダ矩形がウィンドウに含まれるか否かチェックする。
【0033】
(e)フィーダ矩形が含まれる縮尺のうち一番小さい縮尺を表示対象領域と決定する。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、
(1)線路図用のウィンドウがいかなる大きさであっても、フィーダ指定表示時には当該ウィンドウにフィーダ矩形がジャストフィットするように縮尺を自動設定するため、必ずフィーダ全域を表示することができ、オペレータの余分な労力を省き、快適な操作感を与える。
【0035】
(2)フィーダ指定表示時の表示中心と縮尺はフィーダ矩形から求めるため、従来フィーダごとに持っていた表示中心座標と縮尺は不要になり、保存領域を節約できる。
【0036】
(第3の実施形態)
図4の(a)と(b)は、本実施形態の処理態様を示す。本実施形態では、オペレータの拡大/縮小指示に素早く自動的に縮尺を切り替える方法になる。
【0037】
(a)オペレータは、現在の縮尺と変更後の縮尺の数値を認識する必要なく、縮尺変更方向(拡大/縮小)のみを指示する。このため、装置にはGUIリソースまたはハードウェアを設ける。
【0038】
(b)オペレータからの縮尺変更方向(拡大/縮小)の通知でイベントを起動する。
【0039】
(c)このイベント起動により、現在の縮尺より1段階、指定方向(拡大/縮小)へ縮尺を変更してして表示する。
【0040】
図5は、縮尺変更指示の具体例を示し、同図の(a)では押釦による方法を、(b)ではスライダ等による方法を示す。
【0041】
同図の(a)に示すように、操作手段がUP釦とD0WN釦の場合。UP釦の操作には縮尺拡大イベントを、D0WN釦の操作には縮尺縮小イベントを発生させる。
【0042】
同図の(b)に示すように、操作手段がスライダやスクロールバーの中釦などのようにドラッグして操作するGUIリソースまたはハードウェアの場合、所定の操作幅ごとに、操作方向に応じて縮尺拡大イベント/縮尺縮小イベントを発生させる。
【0043】
なお、縮尺段階の大きさは、縮尺変更時に視覚的ショックを緩和するため、各縮尺間で表示面積が2倍程度になるよう縮尺倍率を設定する。
【0044】
面積比で2倍ということは距離比では√2=1.414倍である。例えば、1/1000→1/1414→1/2000→という具合である。面積比で2倍というのは、図6で示すように、拡大時に元の地図領域が拡大後の領域中央の大半を占めるので、視覚的ショックを少なくすることができる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、以下の効果がある。
【0046】
(1)通常、オペレータは現在の縮尺倍率の数値など意識せずに作業している。操作中により広い地図領域が必要になった際も、目的の縮尺倍率の数値を論理的(デジタル的)に考えるのではなく、「現在よりもっと広い地図領域が欲しい」と感覚的(アナログ的)に考えるだけである。本来、オペレータはこのような思考形態であるにもかかわらず、現状、縮尺の数値を意識させて数値を直接指定する方法を強要するため、素早く操作ができない。さらに、感覚的にマッチしないため、操作に疲労や不快感を伴わせる。
【0047】
本実施形態では、オペレータの1動作で現在の縮尺から1段階隔てた次の縮尺に変更するため素早く操作できる。また、オペレータは現在の縮尺も変更後の縮尺もその数値を意識する必要がなく、「現在よりもっと広い地図領域が欲しい」という感覚にマッチしているため、操作に疲労や不快感を覚えることはなく、精神衛生上も非常に優れている。
【0048】
(2)従来の線路図表示方法は、位置関係は縮尺倍率に比例して変化させるが、図形や文字の大きさは変化させないため、図形表示装置のハードウェアやファームウェアによる単純なズーム機能が使えず、ズームは実現していない。
【0049】
本実施形態では、各縮尺間の倍率比を面積比で2倍程度(距離比で1.414倍程度)に設定することにより、縮尺変更時の視覚的ショックを感じさせず、連続的に見えさせる。さらに、(1)項で述べたように1動作で次段階の縮尺に変更するので、本動作の単純な繰り返しにより連続的な縮尺変更ができる。このことから、連続的な動作とそれに対する視覚的な連続性により、ズーム的な表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す表示対象領域の再設定手順。
【図2】本発明に係る装置構成図。
【図3】本発明の第2の実施形態を示すフィーダ矩形による表示対象領域の決定手順。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す縮尺変更手順。
【図5】第3の実施形態における縮尺変更指示方法。
【図6】第3の実施形態における縮尺間の面積比2倍の例。
【図7】従来の表示対象領域が変化するウィンドウの伸縮例。
【図8】従来のフィーダに設定した縮尺と中心の説明図。
【図9】従来のフィーダ矩形の表示例。
【図10】従来の配電線路図の縮尺表示例。
【図11】従来の表示対象領域固定のウィンドウの伸縮例。
【図12】従来のウィンドウとフィーダ固定縮尺例。
【符号の説明】
【0051】
1…CPU
2…メモリ
3…縮尺変更プロセス
4…縮尺変更操作手段
5…表示制御部
6…表示装置
7…キーボード
8…マウス
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電設備の図形と名称を街路図に対応させて表示する配電線路図の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(その1)
この種の配電線路図の表示には、図の表示中心と縮尺が指定されると、線路図上の表示対象領域を特定し、それに含まれる配電設備図形を検索して表示する。従来、配電線路図は専用の表示装置に表示していたが、最近ではパソコンやワークステーションなどのウィンドウOSを装備した汎用CPUを配電システムの操作卓とし、そのウィンドウに配電線路図を表示するようになってきた。
【0003】
これにより、従来の専用装置ではCRT上の線路図の表示領域は固定であったが、ウィンドウでは任意に大きさを変えることができる。一旦、線路図を表示後でもウィンドウの大きさを変えて表示範囲を変更できる。この例を図7に示し、ウィンドウAの表示に対して、ウィンドウBでは縮小表示ができ、ウィンドウCでは拡大表示できる。
【0004】
(その2)
最初に配電線路図を表示する際、図8に示すように、(a)オペレータはフィーダを指定し、その際、各フィーダのデータにはあらかじめ表示縮尺と表示中心座標が設定されているので、当該フィーダの表示中心座標の特定(b)と縮尺特定(c)により、線路図上の表示対象の矩形領域を特定する。
【0005】
続いて、図9に示すように、表示対象の矩形領域に対し表示対象の設備図形を検索するが、全設備を逐一検索すると膨大な時間がかかるため、各フィーダを囲む最小の矩形座標を持ち、表示対象の矩形領域に重なるフィーダの矩形を検索してフィーダを特定し、当該フィーダに所属する設備図形を表示対象としている。
【0006】
(その3)
配電線路図の縮尺を何段階かに切り替えて表示する場合、図形や名称の大きさを倍率に比例させて表示すると、極端に小さくなったり大きくなったりして見づらくなるため、図形や名称の大きさはほぼ固定にし、位置関係だけを倍率に比例させて表示する。この例を図10に示し、ウィンドウDに対して縮尺を倍にしたウィンドウEでは開閉器CBとその名称T−0101,M−2450の縮尺をそのままに固定した表示を行う。このような表示の仕方により、ハードウェアやファームウェアによる単純なズーム機能は採用されていない。
【0007】
なお、編集対象画像の縮尺を切り換える手法として、編集対象の入力とコマンドを入力することで、編集対象のサイズを取得して画面全体に表示する倍率を算出し、拡大表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−298291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(その1)
従来の線路図ウィンドウの伸縮では縮尺が固定のまま表示領域が変化する。しかし、ウィンドウの伸縮に際しても表示領域は固定のまま保持したいという要求がある。
【0009】
例えば、特定のフィーダについて操作中に他のウィンドウも並列して表示する必要があり線路図ウィンドウを縮めるが、当該フィーダの全域を表示したままとしたい場合である。また、特定のフィーダについて操作中に、より詳細に見る必要があり当該フィーダの全域を保持したままウィンドウを拡大したい場合などである。
【0010】
この例を図11に示し、ウィンドウAに対して、縮小ウィンドウBではフィーダも縮小して表示し、拡大ウィンドウCではフィーダも拡大して表示する場合であるが、従来方法ではこの要求に対応できない。
【0011】
(その2)
従来、配電線路図は専用の表示装置に表示しており、当該CRT上の表示領域は固定サイズであった、そのため、それに合わせてフィーダ毎に表示中心座標と縮尺を設定していた。パソコンやワークステーションなどのウィンドウOSを装備した汎用CPUを配電システムの操作卓とし、そのうちの1つのウィンドウに配電線路図を表示する場合、当該ウィンドウのサイズは固定ではなく、オペレータが自由に伸縮できる。そのウィンドウにフィーダ指定で表示する際、フィーダデータに設定された固定的な縮尺ではフィーダ全域を表示できない場合がある。また、逆に必要のない他フィーダも表示してしまう場合もあり得る。
【0012】
フィーダ全域を表示しきれない場合を図12に示す。このような場合、再度オペレータが最適な縮尺を設定しなければならず、オペレータに不快感と不当な労力を強いる。
【0013】
(その3)
従来の表示では、ハードウェアやファームウェアによるズーム機能を採用していないため、オペレーションもズーム操作に相当するものはない。縮尺は4〜5段階で、メニューやダイアログにより直接、目的の縮尺を指定して表示するようにしている。倍率も例えば、1/1000、1/2000、1/5000、1/10000、1/25000など、縮尺間の変化が非常に大きい。
【0014】
しかし、直接、縮尺を指定させる方法では、オペレータが現在の縮尺を認識し、それから必要な表示範囲を考えて変更先の縮尺を決定するので素早く操作できない。また、縮尺間の表示範囲の変化が大きいので、縮尺を変更すると視覚的なショックが大きくそれまでの思考が中断してしまう。
【0015】
本発明の目的は、オペレータに視覚的なショックを与えることなく、必要とする縮尺した表示が簡単にできる表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記の課題を解決するため、街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のとおり、本発明によれば、以下の効果がある。
【0018】
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示するため、オペレータに視覚的なショックを与えることなく、必要とする縮尺した表示が簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の実施形態を説明するための装置構成図である。ウィンドウOSを搭載したCPU1を中枢部とするコンピュータ構成にされ、配電線路データやフィーダ表示テーブルになる表示データは図示省略の外部記憶装置からメモリ2に転送され、表示処理のためのソフトウェアとして縮尺変更プロセス3や縮尺変更操作手段4が搭載される。また、配電線図の画面表示のための表示制御部5とCRT等の表示装置6が設けられ、さらにオペレータによる入力装置としてキーボード7やマウス8が設けられる。
【0020】
このような装置を使った本実施形態の表示方法は、図1に示すように、ウィンドウの伸縮に応じて表示対象の縮尺を変化させることにより表示領域を確保する。この手順を以下に説明する。
【0021】
(a)ウィンドウの伸縮の指示があると、現時点での線路図上の表示対象領域と各縮尺倍率を掛算する。
【0022】
(b)CRT上の表示対象領域を求める。
【0023】
(c)求めた表示対象領域でウィンドウに含まれるもののうち最小の縮尺倍率を求める。
【0024】
(d)この縮尺倍率と表示中心座標およびウィンドウの大きさにより線路図上の表示対象領域を再設定し、表示する。
【0025】
なお、このような動作モードと、表示領域が変化する従来のモードを切り替えることができるものとする。
【0026】
したがって、本実施形態によれば、従来方法がウィンドウを伸縮すると縮尺が同じなので表示領域が変化してしまう。その際、元の表示領域が重要な意味を持つ場合がある。元の表示領域を再現するには、縮尺変更を行う必要があるが、1回の操作で元の表示領域を再現するのは難しく、何回か試行錯誤的に縮尺変更を繰り返さなければならず非常に煩わしい等の問題を解消できる。
【0027】
すなわち、本実施形態によれば、ウィンドウを伸縮に応じて表示領域を保持したまま縮尺変更を自動的に行うので、縮尺変更の煩わしさを解消できる。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態の処理手順を示す。従来、フィーダごとに保持していた縮尺と表示中心を廃し、フィーダ矩形のみを保持する構成とする。この手順を以下に説明する。
【0029】
(a)フィーダを指定して表示する際、当該フィーダ矩形の中心を表示対象領域の中心として決定する。
【0030】
(b)現時点での線路図上のフィーダ矩形に各縮尺倍率を掛算する。
【0031】
(c)CRT上のフィーダ矩形を求める。
【0032】
(d)フィーダ矩形がウィンドウに含まれるか否かチェックする。
【0033】
(e)フィーダ矩形が含まれる縮尺のうち一番小さい縮尺を表示対象領域と決定する。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、
(1)線路図用のウィンドウがいかなる大きさであっても、フィーダ指定表示時には当該ウィンドウにフィーダ矩形がジャストフィットするように縮尺を自動設定するため、必ずフィーダ全域を表示することができ、オペレータの余分な労力を省き、快適な操作感を与える。
【0035】
(2)フィーダ指定表示時の表示中心と縮尺はフィーダ矩形から求めるため、従来フィーダごとに持っていた表示中心座標と縮尺は不要になり、保存領域を節約できる。
【0036】
(第3の実施形態)
図4の(a)と(b)は、本実施形態の処理態様を示す。本実施形態では、オペレータの拡大/縮小指示に素早く自動的に縮尺を切り替える方法になる。
【0037】
(a)オペレータは、現在の縮尺と変更後の縮尺の数値を認識する必要なく、縮尺変更方向(拡大/縮小)のみを指示する。このため、装置にはGUIリソースまたはハードウェアを設ける。
【0038】
(b)オペレータからの縮尺変更方向(拡大/縮小)の通知でイベントを起動する。
【0039】
(c)このイベント起動により、現在の縮尺より1段階、指定方向(拡大/縮小)へ縮尺を変更してして表示する。
【0040】
図5は、縮尺変更指示の具体例を示し、同図の(a)では押釦による方法を、(b)ではスライダ等による方法を示す。
【0041】
同図の(a)に示すように、操作手段がUP釦とD0WN釦の場合。UP釦の操作には縮尺拡大イベントを、D0WN釦の操作には縮尺縮小イベントを発生させる。
【0042】
同図の(b)に示すように、操作手段がスライダやスクロールバーの中釦などのようにドラッグして操作するGUIリソースまたはハードウェアの場合、所定の操作幅ごとに、操作方向に応じて縮尺拡大イベント/縮尺縮小イベントを発生させる。
【0043】
なお、縮尺段階の大きさは、縮尺変更時に視覚的ショックを緩和するため、各縮尺間で表示面積が2倍程度になるよう縮尺倍率を設定する。
【0044】
面積比で2倍ということは距離比では√2=1.414倍である。例えば、1/1000→1/1414→1/2000→という具合である。面積比で2倍というのは、図6で示すように、拡大時に元の地図領域が拡大後の領域中央の大半を占めるので、視覚的ショックを少なくすることができる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、以下の効果がある。
【0046】
(1)通常、オペレータは現在の縮尺倍率の数値など意識せずに作業している。操作中により広い地図領域が必要になった際も、目的の縮尺倍率の数値を論理的(デジタル的)に考えるのではなく、「現在よりもっと広い地図領域が欲しい」と感覚的(アナログ的)に考えるだけである。本来、オペレータはこのような思考形態であるにもかかわらず、現状、縮尺の数値を意識させて数値を直接指定する方法を強要するため、素早く操作ができない。さらに、感覚的にマッチしないため、操作に疲労や不快感を伴わせる。
【0047】
本実施形態では、オペレータの1動作で現在の縮尺から1段階隔てた次の縮尺に変更するため素早く操作できる。また、オペレータは現在の縮尺も変更後の縮尺もその数値を意識する必要がなく、「現在よりもっと広い地図領域が欲しい」という感覚にマッチしているため、操作に疲労や不快感を覚えることはなく、精神衛生上も非常に優れている。
【0048】
(2)従来の線路図表示方法は、位置関係は縮尺倍率に比例して変化させるが、図形や文字の大きさは変化させないため、図形表示装置のハードウェアやファームウェアによる単純なズーム機能が使えず、ズームは実現していない。
【0049】
本実施形態では、各縮尺間の倍率比を面積比で2倍程度(距離比で1.414倍程度)に設定することにより、縮尺変更時の視覚的ショックを感じさせず、連続的に見えさせる。さらに、(1)項で述べたように1動作で次段階の縮尺に変更するので、本動作の単純な繰り返しにより連続的な縮尺変更ができる。このことから、連続的な動作とそれに対する視覚的な連続性により、ズーム的な表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す表示対象領域の再設定手順。
【図2】本発明に係る装置構成図。
【図3】本発明の第2の実施形態を示すフィーダ矩形による表示対象領域の決定手順。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す縮尺変更手順。
【図5】第3の実施形態における縮尺変更指示方法。
【図6】第3の実施形態における縮尺間の面積比2倍の例。
【図7】従来の表示対象領域が変化するウィンドウの伸縮例。
【図8】従来のフィーダに設定した縮尺と中心の説明図。
【図9】従来のフィーダ矩形の表示例。
【図10】従来の配電線路図の縮尺表示例。
【図11】従来の表示対象領域固定のウィンドウの伸縮例。
【図12】従来のウィンドウとフィーダ固定縮尺例。
【符号の説明】
【0051】
1…CPU
2…メモリ
3…縮尺変更プロセス
4…縮尺変更操作手段
5…表示制御部
6…表示装置
7…キーボード
8…マウス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示することを特徴とする配電線路図の表示方法。
【請求項1】
街路図に対応させて設備の図形と名称を表示し、縮尺を変える際、位置関係のみ縮尺倍率に比例して変化させ、図形や名称の大きさは変化させない配電線路図の表示方法において、
1動作で縮尺変化方向を指示する毎に現在の縮尺より1段階だけ指定した方向に変化させ、かつ、各縮尺間を面積比で2倍程度に設定して段階的に縮尺を切り替えて表示することを特徴とする配電線路図の表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−285239(P2006−285239A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82049(P2006−82049)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【分割の表示】特願平10−88377の分割
【原出願日】平成10年4月1日(1998.4.1)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【分割の表示】特願平10−88377の分割
【原出願日】平成10年4月1日(1998.4.1)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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