説明

酸不安定性の抗潰瘍性ベンゾイミダゾール化合物の顆粒剤製剤

当該製剤は、最初は、ベンゾイミダゾール化合物(オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール等)、Rが(C-C20)-脂肪酸のアルキル基である式R-O-SOHの酸のナトリウム及び/又はカリウム塩(好ましくはラウリル硫酸ナトリウム)、(C-C20)-脂肪酸(好ましくはオレイン酸)、(C-C20)-脂肪酸のナトリウム及び/又はカリウム塩(好ましくはオレイン酸カリウム)、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリビニルピロリドンを含有する非アルカリ性の活性層でコーティングされ;第二に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する、非アルカリ性の障壁層でコーティングされ;最後に、腸溶層でコーティングされる、糖/デンプンの不活性な顆粒を含有する。好ましいモル比(ラウリル硫酸ナトリウム):(オレイン酸+オレイン酸カリウム)は4:1〜6:1である。全てのコーティングは、比較的高い温度で、水溶液、懸濁液又は分散液を用いてなされ、全ての乾燥は比較的低温、比較的短時間でなされる。当該製剤は経時的に安定で、経口投与に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、既知の酸不安定性のベンゾイミダゾール化合物の経口投与のための新規な顆粒剤(pellet)製剤、及びその製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
R1が水素、メトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から選択され;R2がメチル及びメトキシからなる群から選択され;R3がメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ及び3-メトキシプロポキシからなる群から選択され;R4が水素及びメチルからなる群から選択される、式(I)のベンゾイミダゾール化合物は、胃腸の病気及び/又は疾患の治療に有用であることが知られている薬学的活性成分群である。この群には、市販の薬学的活性成分、例えばオメプラゾール(R1=R3=メトキシ;R2=R4=メチルのもの)、ランソプラゾール(R1=R4=水素;R2=メチル;R3=2,2,2-トリフルオロエトキシのもの)、パントプラゾール(pantoprazole)(R1=ジフルオロメトキシ;R2=R3=メトキシ;R4=水素のもの)、及びラベプラゾール(rabeprazole)(R1=R4=水素;R2=メチル;R3=3-メトキシプロポキシのもの)が含まれる。以下、単独でのこれら化合物の任意のもの、又はそれらの任意の選択された群を、単に「ベンゾイミダゾール化合物」と称する。
【化1】

【0003】
前記ベンゾイミダゾール化合物が、経時的な安定性に乏しいことはよく知られている。固体状態では、湿気(水分)、光及び熱に対して敏感であり、水溶液又は懸濁液では、pHが減少すると安定性が低下する。その分解は脱色によって明らかとなり、酸物質によって触媒される。該化合物は、主として腸に吸収されるので、ベンゾイミダゾール化合物の任意の経口用医薬製剤は、胃酸から活性成分を保護するために、ある種の腸溶性コーティングを外側に施す必要がある。従来の腸溶性コーティングは酸性であるため、ベンゾイミダゾール化合物の酸不安定の性質が公知になるやいなや、腸溶性コーティングからの薬学的活性成分の保護の必要性が明白な問題になった。腸溶層から薬学的活性成分を保護するために一又は複数の障壁層を有する顆粒剤製剤を使用することがこの問題に対する最も頻繁に選択された解決策であった。しかしながら、高い安定度を維持しつつ、効率的な製造プロセスを提供するために、顆粒剤製剤において、コア部と障壁層の特定の組合せを選択することには、難しい問題が残っている。これは、この問題に対していくつかの異なったアプローチといくつかの異なった解決策が従来報告されていることに顕れている。
【0004】
前記問題へのアプローチの一つは、水が粒子に吸収されるか添加されると、アルカリ性のpHが得られるように、ベンゾイミダゾール化合物と接触させて固体状のアルカリ性反応物質を使用することを含んでいる。EP244.380-A及びEP247.983-A(双方ともHassle、現在はAstraZenecaのもの)では、固体状のアルカリ性反応物質と共にベンゾイミダゾール化合物の活性コア部を含む顆粒剤製剤が、混合-押出-球形化(spherification)の伝統的な顆粒剤製造方法によって調製されていた。実施例に記載されている固体状のアルカリ性反応物質は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、合成ヒドロタルサイド(hydrotalcite)、及びそれらの混合物であり;他の固体状のアルカリ性反応物質も、潜在的に有用であることが示唆されている。好ましい実施態様では、同じ固体状のアルカリ性反応物質が、外側腸溶層と活性層とを分離する障壁層に含まれている。
【0005】
先行技術に記載されているベンゾイミダゾール化合物の殆どの顆粒剤製剤、特に以下に記載のものは、混合-押出-球形化の顆粒剤製造法は使用しないが、代替法では、ベンゾイミダゾール化合物を含有する活性層で、スクロース/デンプンの不活性な核部をコーティングし;乾燥させ;障壁層でコーティングし;乾燥させ;腸溶層でコーティングし、乾燥させることが含まれる。それにもかかわらず、以下に記載する文献のいくつかにおいては、混合-押出-球形化による顆粒剤製造法又は錠剤製造法がなお記載されている。
【0006】
EP237.200-A(Takeda)に記載されている顆粒剤製剤では、固体状のアルカリ性反応物質は、ベンゾイミダゾール化合物と接触さえするマグネシウム又はカルシウムの塩基性無機塩である。EP277.741-A(Takeda)には、活性層に低置換ヒドロキシプロピルセルロースを用いる改善策が記載されている。
【0007】
上述した全ての文献では、ベンゾイミダゾール化合物と接触する、固体状のアルカリ性反応物質が常に存在する。しかしながら、同課題の解決に対する異なったアプローチは、ベンゾイミダゾール化合物と接触する固体状のアルカリ性反応物質を何ら含有せず、障壁層に固体状のアルカリ性反応物質を含まないことがよくある顆粒剤製剤に関与している。
【0008】
WO9938511-A及びWO0071121-A(双方ともEthypharm)に記載されている顆粒剤製剤では、非アルカリ性反応物質は、疎水性物質、好ましくはグリセリド又はシリコーン油である。これらの顆粒剤製剤の他の重要な技術的特徴は、それらがアニオン性界面活性剤(例えば、明示的に除かれているラウリル硫酸ナトリウム)を何ら有していないということである。
【0009】
WO9623500-A(Esteve)に記載されている顆粒剤製剤では、非アルカリ性反応物質は、活性層及び障壁層の双方にあるタルクである。これらの顆粒剤製剤の他の重要な技術的特徴は、それらが、活性層及び障壁層の双方にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有しているということである。
【0010】
WO9637195-A(Mepha)に記載されている顆粒剤製剤では、非アルカリ性反応物質は、活性層及び障壁層の双方にある二酸化チタンである。活性層におけるヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用についても記載されている。
【0011】
WO9325204-A(Ethypharm)に記載されている顆粒剤製剤では、活性層はラウリル硫酸ナトリウムとカルボキシメチルデンプンナトリウム(Explotab(登録商標))を含んでいる;しかし、顆粒剤のいずれにも脂肪酸及び脂肪酸塩は存在せず、非アルカリ性反応物質はマンニトールである。他の重要な特徴は、活性層及び障壁の双方とも、アルコール溶液(95゜のエタノール、80%;水、20%)で適用されていることで、水溶液又は懸濁液ではないということである。
【0012】
従来から知られているベンゾイミダゾール化合物の顆粒剤製剤は比較的数が多いのにもかかわらず、工業的製造パラメータ(例えば、より高い温度及び/又はより短い時間)、費用(賦形剤のより少ない量及び/又はより低い価格)、胃耐性、腸吸収性(生物学的利用能)、及び/又は保管安定性において、なお改善される領域が存在しているために、この分野において活発な研究がなされている。本発明は、いくつかの市販製剤、特に技術的観点から考慮して最も近いものと比較しても、いくつかの利点を有する、従来既知のものに対する代替の解決法を提供する。
【0013】
(発明の要約)
本発明の態様は、R1が水素、メトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から選択され;R2がメチル及びメトキシからなる群から選択され;R3がメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ及び3-メトキシプロポキシからなる群から選択され;R4が水素及びメチルからなる群から選択される式(I)のベンゾイミダゾール化合物、又はその立体異性体の経口投与のための顆粒剤医薬製剤の提供に関し;ここで顆粒剤製剤は:(a)ベンゾイミダゾール化合物(I)、Rが(C-C20)-脂肪酸のアルキル基である式R-O-SOHの酸の薬学的に許容可能なナトリウム及び/又はカリウム塩、非アルカリ性の薬学的に許容可能な崩壊剤、非アルカリ性の薬学的に許容可能なバインダー、多量の(C-C20)-脂肪酸、及び多量の(C-C20)-脂肪酸のナトリウム及び/又はカリウム塩で、これら2つの量が、モル比[酸]:[塩]で1:4〜4:1であるものを含有する、非アルカリ性の反応性活性層で最初にコーティングされ;(b)第二に、一又は複数の薬学的に許容可能なコーティング賦形剤を含有する非アルカリ性の反応性障壁層でコーティングされ;(c)最後に、腸溶性コーティング層でコーティングされる、不活性な顆粒を有する。好ましい実施態様では、モル比[式R-O-SOHの酸の塩]:[(C-C20)-脂肪酸+(C-C20)-脂肪酸塩]は、4:1〜6:1である。さらに好ましい実施態様では、R-O-SOHの酸の塩には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれ、(C-C20)-脂肪酸にはオレイン酸が含まれ、(C-C20)-脂肪酸塩にはオレイン酸カリウムが含まれる。脂肪酸塩、特にオレイン酸ナトリウムと、式(I)のベンゾイミダゾール化合物との医薬製剤は、当該分野においてそのいくつかが公知である(例えば、EP645.140-A、Takeda)が、それらは直腸(経口ではない)投与専用であって、コーティングされた顆粒剤型のものではない。
【化2】

【0014】
「(C-C20)-脂肪酸」なる用語には、6〜20の炭素原子を有する任意の公知の飽和又は不飽和の脂肪酸、例えばカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が含まれる。驚くべきことに、本発明者は、R-O-SOHの酸の塩と、(C-C20)-脂肪酸及びそれらの塩のバッファー様混合物との組合せにより、如何なる固体状のアルカリ性反応物質も必要とすることなく、水残留物、酸性の腸溶層及び環境からのベンゾイミダゾール化合物の保護が改善されることを見出した。さらに、腸におけるベンゾイミダゾール化合物の溶解性は、双方の種類の塩の界面活性によってかなり好ましいものとなる。
【0015】
活性層における薬学的に許容可能な崩壊剤は、腸における顆粒剤の急速な分解に寄与する。当該分野で公知の任意の非アルカリ性崩壊剤、例えばカルボキシメチルデンプンナトリウム(Explotab(登録商標))、クロスポビドン又はクロスカルメロースナトリウムを使用することができる。好ましい実施態様では、障壁層には、幾ばくかの量の崩壊剤がさらに含有される。さらに好ましい実施態様では、カルボキシメチルデンプンナトリウムが選択される崩壊剤である。
【0016】
糖/デンプンの不活性な核部への活性層の噴霧は、当該分野で公知の非アルカリ性バインダー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等から選択され得るバインダーの添加により、かなり好ましいものとなる。ポリビニルピロリドンが好ましいバインダーである。
【0017】
障壁層におけるコーティング剤(バインダー)は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から選択されてよく、後者が好ましいものである。
【0018】
腸溶層の成分は、当業者によく知られている任意のものから選択されてよく、クエン酸トリエチル、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)及び二酸化チタンの組合せが好ましい。より好ましい実施態様では、ある種のクエン酸トリエチルが、障壁層に含有される。
【0019】
添付した実施例において例証されている特定の実施態様では、式(I)のベンゾイミダゾール化合物はオメプラゾール又はランソプラゾールであるが、本発明の顆粒剤製剤では、他の式(I)のベンゾイミダゾール化合物、例えばパントプラゾール又はラベプラゾールを使用することもできる。
【0020】
本発明の他の態様は、(i)不活性な顆粒を用いて出発し;(ii)まず、式(I)のベンゾイミダゾール化合物、Rが(C-C20)-脂肪酸のアルキル基である式R-O-SOHの酸の薬学的に許容可能なナトリウム及び/又はカリウム塩、非アルカリ性の薬学的に許容可能な崩壊剤、非アルカリ性の薬学的に許容可能なバインダー、多量の(C-C20)-脂肪酸、及び多量の(C-C20)-脂肪酸のナトリウム及び/又はカリウム塩で、これら2つの量が、モル比[酸]:[塩]で1:4〜4:1であるものを含有する水性懸濁液でコーティングし;(iii)乾燥させて一層コート顆粒を作製し;(iv)第2に、一又は複数の非アルカリ性の薬学的に許容可能な反応性コーティング賦形剤を含有する水性懸濁液でコーティングし;(v)乾燥させて二層コーティング顆粒を作製し;(vi)第3に、腸溶性コーティング剤を含有する水性懸濁液でコーティングし;(vii)最後に、乾燥させて腸溶性の三層コーティング顆粒を作製することを含む、式(I)のベンゾイミダゾール化合物の経口投与のための顆粒剤医薬製剤の製造方法に言及する。工程(iii)、(v)及び(vii)の乾燥後に得られるコーティング顆粒は、水に分散された場合に非アルカリ性反応性である。任意の予備手段として、コーティング工程(ii)及び(iv)を、約8.5のpHを得るのに必要な量の30%アンモニア水を用いて実施してもよい。この場合、乾燥工程(iii)及び(v)により、顆粒剤からアンモニアガスが完全に除去される。
【0021】
本発明の顆粒剤製剤は、当業者によく知られている全ての製薬的要件、例えば不純物レベル(全体で1%以上低下)、胃耐性(pH1.2、2時間で90%以上増大)、及び生物学的利用能(腸での分解及び吸収)を満たす。さらに、それらは、当該分野で公知の他の顆粒剤製剤(例えば、WO9623500-Aの表1の2つ)よりも、経時的安定性(例えば、40℃、相対湿度75%、6時間での標準的な加速試験)に関して有意な利点を示す。
【0022】
本発明の顆粒剤の活性成分の充填は10重量%程度と多くすることができ、これは当該分野のいくつかの顆粒剤製剤に充填されたものより(例えば、WO9325204-Aに記載されたものでは8.4%)も多い。この特徴は、より短い製造時間及び賦形剤における経済的節約の双方に表れる。WO9325204-Aのものを超える本発明の他の利点は、唯一の溶媒として水が使用されることであり、よってエタノール又は他の有機溶媒の使用によるさらなる問題が回避される。
【0023】
本発明の顆粒剤製剤の製造方法により、当該分野で公知の方法に相当する温度(EP237.200-Aで40℃)よりも実質的に高い、比較的に高い顆粒化温度(約50℃〜約70℃)で、第1の活性コーティングを施すことができる。またそれにより、比較的低温(25〜35℃)及び/又は短時間(20分)での乾燥が可能となり、その全てが当該分野で公知の他の方法(EP237.200-Aでは40℃で16時間;WO0071121-Aでは50℃で4時間)を超える製造利点を表す。
【0024】
明細書及び特許請求の範囲において、「含む」という用語及びその変形態様は、他の特徴、成分、又は工程を排除することを意図するものではない。この出願に添付されている要約における開示は、出典明示によりここに取り込まれる。本発明のさらなる目的、利点、及び特徴は、明細書に一部が説明されており、また一部は明細書を読むと当業者には明らかであり、又は本発明を実施することにより理解されうるであろう。次の実施例は例証を目的として提供するもので、本発明を限定することを意図しているものではない。
【0025】
(特定の実施態様の詳細な記載)
実施例1:オメプラゾール及びランソプラゾールの顆粒剤製剤の工業的製造方法
ベンゾイミダゾール化合物(オメプラゾール又はランソプラゾール)の顆粒剤製剤のバッチ600kgを、次の工程に従って、標準的なフィルム-コーティング機で調製した:
工程1:スクロース(80%)及びデンプン(20%)の不活性な顆粒(302.40kg、直径0.7〜0.9mm)を機械に導入し、30〜35℃まで温めた。
工程2:カルボキシメチルデンプンナトリウム(Explotab(登録商標);11.34kg)、ポリビニルピロリドン(29.925kg)及びラウリル硫酸ナトリウム(18.27kg)の水溶液を、十分な水に成分を添加することにより調製した。
工程3:別の容器で、オレイン酸カリウムとオレイン酸との水溶液を、4.2525kgのオレイン酸と0.214kgの水酸化カリウムを水に溶解させることによって調製した。
工程4:均一な溶液が得られるまで、工程3の溶液を工程2の溶液に添加した。
【0026】
工程5:必要とされる量のベンゾイミダゾール化合物(63.00kgのオメプラゾール又はランソプラゾール)を、工程4の溶液にゆっくりと添加して懸濁液にし、約10℃で維持した。
工程6:工程1の不活性な顆粒を、相対湿度12.5%以下、40〜50℃で、工程5の懸濁液と共に噴霧した。
工程7:工程6で得られた一層コート顆粒を、35〜45℃、相対湿度10.5%以下で20分乾燥させ、水に分散させた場合に約7のpHを付与する2%未満の水分の乾燥顆粒を作製した。
工程8:工程7で得られた乾燥一層コート顆粒を、0.99mmのふるいでふるい分けした。
工程9:工程8のふるいを通過した顆粒を30〜35℃に温めた。
【0027】
工程10:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(18.90kg)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(Explotab(登録商標);1.89kg)、及びクエン酸トリエチル(1.89kg)の水溶液を調製した。
工程11:工程9の顆粒を、40〜50℃、相対湿度12.5%以下で、工程10の溶液と共にスプレーした。
工程12:工程11の二層コーティング顆粒を、35〜45℃、相対湿度10.5%以下で20分乾燥させ、水に分散させた場合にpH約7を付与する2%未満の水分の顆粒を作製した。
工程13:工程12で得られた乾燥二層コーティング顆粒を、1.18mmのふるいでふるい分けした。
工程14:工程13のふるいを通過した顆粒を30〜32℃で温めた。
【0028】
工程15:ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標);129.185kg)、及びクエン酸トリエチル(12.92kg)の水性分散液を調製し、絶えず攪拌しながら冷却し続けた。
工程16:二酸化チタン(4.72kg)の水性懸濁液を調製した。
工程17:全体的に均一になるまで絶えず攪拌し続けながら、工程15の水性分散液に、工程16の水性懸濁液を添加し、10℃未満の温度に維持した。
工程18:工程13の顆粒を、30〜35℃、相対湿度20%以下で、工程17の分散液と共に噴霧した。
工程19:工程18の顆粒を、25〜35℃、相対湿度10.5%以下で20分乾燥させ、2%未満の水分を含有する腸溶性コーティングされた顆粒を作製した。
工程20:工程19の腸溶性コーティングされた顆粒を、1.25mmのふるいでふるい分けし、タルク(0.6kg)で潤滑し(lubrified)、グラム当たり105mgのベンゾイミダゾール化合物を含有する顆粒剤製剤を作製した。
【0029】
さらなる予防措置として、工程4及び10において、pH8.5にするのに最小必要量の30%アンモニア水を添加し、乾燥工程7及び12において、全てのアンモニアを蒸発させた。このようにして得られたオメプラゾール及びランソプラゾールの顆粒剤製剤は、双方とも1%未満の不純物しか含有せず、またpH1.2で2時間で、90%を超える胃耐性があり;それらの1%水性懸濁液は、7.0未満のpHを有する。
【0030】
実施例2:比較溶解試験
実施例1の方法で調製した同量のオメプラゾール又はランソプラゾールを含む顆粒剤製剤と、同量の同じ製薬的活性成分を含有する商業的に入手可能な顆粒剤製剤とを、同じ装置で、同じ速度(100rpm)、同じ温度(37℃)、及び同じ時間攪拌し、pH6.8の水溶液にてそれぞれ比較溶解試験に供した。
【0031】
実施例1に従って調製されたランソプラゾールの顆粒剤製剤は、市販されているOpiren(登録商標)(Takedaのライセンス下にあるAlmirall Prodesfarmaのランソプラゾール)に類似した溶解特性を示した。例えば、15分後、溶解したランソプラゾールの割合は:Opiren(登録商標)、58.4%;本発明品、69.3%であった。さらに30分後の割合は:それぞれ71.3%と86.5%であった。全ての顆粒剤は、不活性な核部をコーティングすることにより得られたものであり、Takedaのライセンス下にあるものは、おそらく、上述の文献EP237.200-A及び/又はEP277.741-Aに記載の方法で得られたものである。
【0032】
実施例1で調製されたオメプラゾールの顆粒剤製剤は、市販されているLosec(登録商標)(Astra-Zenecaのオメプラゾール)、市販されているMopral(登録商標)(Astra-Zenecaのオメプラゾール)に類似し、Ethypharm WO9325204-Aの方法に従って調製されたオメプラゾールの顆粒剤製剤よりも早い溶解特性を示した。例えば、15分後、溶解したオメプラゾールの割合は:Losec(登録商標)、89.1%;Mopral(登録商標)、89.0%;Ethypharm方法、60.1%;本発明品、93.7%であった。さらに30分後の割合は:それぞれ85.0%、90.9%、80.0%及び92.3%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】

[上式中、R1が水素、メトキシ及びジフルオロメトキシからなる群から選択され;R2がメチル及びメトキシからなる群から選択され;R3がメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ及び3-メトキシプロポキシからなる群から選択され;R4が水素及びメチルからなる群から選択される]
のベンゾイミダゾール化合物、又はその立体異性体の経口投与用の顆粒剤医薬製剤であって、
(a)最初に、ベンゾイミダゾール化合物(I)、Rが(C-C20)-脂肪酸のアルキル基である式R-O-SOHの酸の薬学的に許容可能なナトリウム及び/又はカリウム塩、非アルカリ性の薬学的に許容可能なバインダー、非アルカリ性の薬学的に許容可能な崩壊剤を含有する非アルカリ性の反応性活性層でコーティングされ;
(b)第二に、一又は複数の薬学的に許容可能なコーティング賦形剤を含有する非アルカリ性の反応性障壁層でコーティングされ;
(c)最後に、薬学的に許容可能な腸溶性コーティング層でコーティングされる;
不活性な顆粒を含有する顆粒剤医薬製剤において、
活性層が、多量の(C-C20)-脂肪酸と、多量の(C-C20)-脂肪酸のナトリウム及び/又はカリウム塩を有し、これら2つの量が、モル比[酸]:[塩]で1:4〜4:1であることを特徴とする顆粒剤医薬製剤。
【請求項2】
モル比[式R-O-SOHの酸の塩]:[(C-C20)-脂肪酸+(C-C20)-脂肪酸塩]が、4:1〜6:1である、請求項1に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項3】
R-O-SOHの酸の塩がラウリル硫酸ナトリウムを含み、(C-C20)-脂肪酸がオレイン酸を含み、(C-C20)-脂肪酸塩がオレイン酸カリウムを含む、請求項2に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項4】
活性層が崩壊剤としてカルボキシメチルデンプンナトリウムを含有する、請求項3に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項5】
活性層がバインダーとしてポリビニルピロリドンを含有する、請求項4に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項6】
障壁層中の薬学的に許容可能なコーティング剤が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項7】
腸溶層が、クエン酸トリエチル、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)及び二酸化チタンを含む、請求項6に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項8】
ベンゾイミダゾール化合物がオメプラゾールである、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項9】
ベンゾイミダゾール化合物がランソプラゾールである、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の顆粒剤医薬製剤。
【請求項10】
(i)不活性な顆粒を用いて出発し;(ii)式(I)のベンゾイミダゾール化合物、Rが(C-C20)-脂肪酸のアルキル基である式R-O-SOHの酸の薬学的に許容可能なナトリウム及び/又はカリウム塩、非アルカリ性の薬学的に許容可能な崩壊剤、非アルカリ性の薬学的に許容可能なバインダー、多量の(C-C20)-脂肪酸、及び多量の(C-C20)-脂肪酸のナトリウム及び/又はカリウム塩で、これら2つの量が、モル比[酸]:[塩]で1:4〜4:1であるものを含有する水性懸濁液で先ずコーティングし;(iii)乾燥させて、一層コート顆粒を作製し;(iv)第二に、一又は複数の非アルカリ性の薬学的に許容可能な反応性コーティング賦形剤を含有する水性懸濁液でコーティングし;(v)乾燥させて二層コーティング顆粒を作製し;(vi)第三に、薬学的に許容可能な腸溶性コーティング剤を含有する水性懸濁液でコーティングし;(vii)最後に乾燥させて、腸溶性の三層コーティング顆粒を作製する工程を含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の顆粒剤医薬製剤の製造方法であって、対応する成分がそれぞれ請求項1ないし9のいずれか1項に記載のものである製造方法。

【公表番号】特表2006−524666(P2006−524666A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505576(P2006−505576)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050618
【国際公開番号】WO2004/096218
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505403256)ラボラトリオス ベルマク,エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】