説明

酸化イリジウムのナノ構造パターニング

【課題】酸化イリジウムのナノ構造が、好適に、基板上に選択的に形成され、またはパターン化される方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成すること、第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させること(704)、第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させること(706)、非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングすること(708)、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフすること(710)を含む。典型的に、第1の領域は第1の材料から形成され、第2の領域は第1の材料と異なる第2の材料から形成される。非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲の選択的なエッチングは、IrOxより第2の材料とよく反応するエッチャントに基板をさらすことを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年10月21日出願のZhangらによる出願番号第10/971,280号、「IRIDIUM OXIDE NANOTUBES AND METHOD FOR FORMING SAME」という係属特許出願の一部継続出願である。
【0002】
本出願は、2004年10月21日出願のZhangらによる出願番号第10/971,330号、「IRIDIUM OXIDE NANOWIRE AND METHOD FOR FORMING SAME」という係属特許出願の一部継続出願である。
【0003】
上記の出願は両方とも援用される。
【0004】
本出願は、一般的に、集積回路(IC)製造に関し、より詳細には、パターン化された酸化イリジウムのナノ構造および製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0005】
(関連技術の説明)
近年、ナノ構造の製造は、ナノデバイスアプリケーションと、マイクロエレクトロメカニカル(MEM)デバイスアプリケーションと、ナノエレクトロメカニカルNEMデバイスアプリケーションとにおける基礎としての潜在的重要性のために探求されてきた。例えば、Charles Lieberとか係わり合いを有する研究者らは、シリコン(Si)、Si−ゲルマニウム(SiGe)、InP、およびGaNといった材料から成る様々な半導体ナノワイヤの合成と、ナノコンピュータシステムの構築における使用とを報告した。他のグループは、テンプレート構造を用いて、Ni、NiSi、Au、およびPtといった材料から成る金属ナノワイヤを成長させることを報告した。金属ナノワイヤは、相互接続として用いられ得、ナノワイヤの鋭いチップは、電界放出を目的とする分野においてナノワイヤを効率的にする。ZnOナノワイヤは、潜在的に、発光素子(light emission element)として有用である。
【0006】
IrOは、DRAMアプリケーションおよびFeRAMアプリケーションにおいて既に幅広く使用されている導電性金属酸化物である。IrOは、高温でOの環境条件においてでも安定した電気的性質と化学的性質とを有するので、導電性電極として使用され得る。IrOはまた、pHセンサの材料として使用され得る。Ir薄膜は、優れた多結晶構造および強い(111)配向を有して、PVDを用いて容易に堆積され得る。IrOは、その後、Ir膜を酸化させることによって形成され得、あるいは、酸素環境中、より高温において反応性スパッタリング法を用いることによって直接形成され得る。CVD法は、近年、Ir薄膜およびIrO薄膜を成長させるために開発されてきた。CVDプロセスで、組成を十分に制御することは比較的容易であり、この方法はいくつかの材料に関して優れたステップカバレージを提供することで知られている。
【0007】
多孔質材の型またはテンプレートを使用せずに金属ナノワイヤを形成することができるプロセスは、これまでに報告されたことがなかった。テンプレートを使用すると、プロセスはかなり複雑になる。よって、より実用的で、かつ商業的に実行可能な金属ナノワイヤの形成方法の公開が所望される。これを受けて、上記の関連出願は、テンプレートなしで有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いて形成された酸化イリジウム(IrO)のナノ構造の成長について記載する。この関連出願は、ナノチップ(nanotip)およびナノロッド(nanorod)を形成する効率的なMOCVDプロセスについて記載する。これらMOCVDプロセスを用いて、IrOはTi基板、TiN基板、TaN基板およびSiO基板の上にうまく成長した。成長長さ、密度、垂直配向は、温度、圧力、フロー、基板、および時間によって制御され得る。
【0008】
酸化イリジウムのナノ構造が、いかに形成されようとも、基板上に選択的に形成され、またはパターン化されると有利である。
【0009】
酸化イリジウムのナノ構造が、隣接している基板材料の特徴の違いを利用して、基板上に選択的に形成されると有利である。
【0010】
酸化イリジウムのナノ構造が、酸化イリジウムが隣接している基板材料に重なる方法における違いを利用して、基板上に選択的に形成されると有利である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
ナノチップおよびナノロッドが従来のCMOSプロセスを用いて効率的に形成され得ることを示してきたので、次に、実用的な酸化イリジウムナノチップ構造を形成する手段を詳細に調べる。これを受けて、本アプリケーションは、IrOナノロッドをパターニングして、IrOナノロッドが継ぎ目なくCMOSデバイス、ICデバイス、および液晶ディスプレイ(LCD)デバイスに組み込まれ得るプロセスについて記載する。
【0012】
従って、酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造をパターニングする方法が提供される。この方法は、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することと、第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることと、第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることと、非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることと、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフ(lifting off)すること、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフすることに応じて、第1の領域の上に重なるナノ構造を有する基板を形成することとを包含する。
【0013】
典型的に、第1の領域は、第1の材料から形成され、第2の領域は、第1の材料とは異なる第2の材料から形成される。例えば、第1の材料は、高融点金属または高融点金属酸化物であり得る。第2の材料はSiOxであり得る。
【0014】
非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングするステップは、IrOxより第2の材料とよく反応するエッチャントに基板をさらすことを包含する。例えば、第1の材料が高融点金属であり、第2の材料がSiOである場合、HFまたはバッファドオキサイドエッチャント(buffered oxide etches:BOE)が適切なエッチャントである。
【0015】
1つの局面において、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成するステップは、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、第1の領域において第2の材料の上に重なる第1の材料を選択的に形成することとを包含する。第2の局面において、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成するステップは、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、第1の領域において第2の材料の上に重なる上面を有する第1の材料を選択的に形成することと、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、第2の材料を第1の材料の上面の高さまで化学機械的研磨(CMP)することとを包含する。
【0016】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0017】
(項目1)
酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造をパターニングする方法であって、
第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することと、
該第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることと、
該第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることと、
該非連続的なIrOx膜によって露出された該第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることと、
該第2の領域の上に重なる該IrOxナノ構造をリフトオフすることと
を包含する、方法。
【0018】
(項目2)
上記第2の領域の上に重なる上記IrOxナノ構造をリフトオフすることに応じて、上記第1の領域の上に重なるナノ構造を有する基板を形成することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
【0019】
(項目3)
上記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、該第1の領域を第1の材料から形成し、該第2の領域を該第1の材料と異なる第2の材料から形成することを包含する、項目1に記載の方法。
【0020】
(項目4)
上記第1の領域を上記第1の材料から形成することは、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される材料から該第1の領域を形成することを包含する、項目3に記載の方法。
【0021】
(項目5)
上記第1の領域を上記第1の材料から形成することは、1〜100ナノメートル(nm)の範囲における厚さを有する該第1の材料を形成することを包含する、項目3に記載の方法。
【0022】
(項目6)
上記第2の領域を上記第2の材料から形成することは、該第2の領域をSiOxから形成することを包含する、項目3に記載の方法。
【0023】
(項目7)
上記非連続的なIrOx膜によって露出された上記第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることは、該IrOxよりも上記第2の材料とよく反応するエッチャントに上記基板をさらすことを包含する、項目3に記載の方法。
【0024】
(項目8)
上記非連続的なIrOx膜によって露出された上記第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることは、HFとバッファドオキサイドエッチャント(BOE)とを含む群から選択されるエッチャントに上記基板をさらすことを包含する、項目7に記載の方法。
【0025】
(項目9)
上記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる上記第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第1の領域において該第2の材料の上に重なる上記第1の材料を選択的に形成することと
を包含する、項目3に記載の方法。
【0026】
(項目10)
上記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる上記第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第1の領域において該第2の材料の上に重なる上面を有する上記第1の材料を選択的に形成することと
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる該第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第2の材料を該第1の材料の上面の高さまで化学機械的研磨(CMP)することと
を包含する、項目3に記載の方法。
【0027】
(項目11)
上記第2の領域の上に重なる上記非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることは、100nm〜100マイクロメートルの間の範囲で面積を有する膜における非連続的なゾーンであって、ゾーン間の間隔は1nm〜5000nmの間の範囲である非連続的なゾーンを形成することを包含する、項目3に記載の方法。
【0028】
(項目12)
上記第1の領域の上に重なる上記連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることは、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有するナノ構造を形成することを包含する、項目11に記載の方法。
【0029】
(項目13)
パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板であって、
第1の領域と、該第1の領域に隣接している第2の領域とを有する基板と、
該第1の領域の上に重なる第1の材料と、
該第2の領域の上に重なる第2の材料と、
該第1の材料の上に重なる連続的なIrOx膜であって、成長したIrOxナノ構造を有する連続的なIrOx膜と、
該第2の材料の上に一時的に重なる非連続的なIrOx膜であって、成長したIrOxナノ構造を有する非連続的なIrOx膜と
を備える、パターン化された基板。
【0030】
(項目14)
上記第1の材料は上記第2の材料と異なる、項目13に記載されたパターン化された基板。
【0031】
(項目15)
上記第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0032】
(項目16)
上記第1の材料は、1〜100ナノメートル(nm)の範囲における厚さを有する、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0033】
(項目17)
上記第2の材料はSiOxである、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0034】
(項目18)
上記第2の材料は、上記基板の上記第1の領域および第2の領域の両方の上に重なり、
上記第1の材料は、該第1の領域における該第2の材料の上に重なる、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0035】
(項目19)
上記第2の材料は、上記基板の上記第1の領域の上に重なり、
上記第1の材料は、該基板の該第1の領域における該第2の材料の上に重なって形成される、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0036】
(項目20)
上記第2の材料の上に一時的に重なる上記非連続的なIrOx膜は、100nm〜100マイクロメートルの間の範囲で面積を有する膜における非連続的なゾーンであって、ゾーン間の間隔は10nm〜5000nmの間の範囲である非連続的なゾーンを備える、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0037】
(項目21)
上記第1の領域の上に重なる上記連続的なIrOx膜から成長したIrOxナノ構造は、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有する、項目14に記載されたパターン化された基板。
【0038】
(項目22)
パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板であって、
第1の領域と、該第1の領域に隣接している第2の領域とを有する基板と、
該第1の領域の上に重なる第1の材料と、
該第2の領域の上に重なる第2の材料と、
該第1の材料の上に重なる連続的なIrOx膜であって、1:1〜100:1の範囲のアスペクト比を有する成長したIrOxナノ構造を有する、連続的なIrOx膜と、
を備える、パターン化された基板。
【0039】
(項目23)
上記第1の材料は上記第2の材料と異なる、項目22に記載されたパターン化された基板。
【0040】
(項目24)
上記第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される、項目23に記載されたパターン化された基板。
【0041】
(項目25)
上記第2の材料はSiOxである、項目23に記載されたパターン化された基板。
【0042】
(項目26)
上記第2の材料は、上記基板の上記第1の領域および第2の領域の両方の上に重なり、
上記第1の材料は、該第1の領域における該第2の材料の上に重なる、項目23に記載されたパターン化された基板。
【0043】
(項目27)
上記第2の材料は、上記基板の上記第1の領域の上に重なり、
上記第1の材料は、該基板の該第1の領域における該第2の材料の上に重なって形成される、項目23に記載されたパターン化された基板。
【0044】
(項目28)
上記第1の領域の上に重なる上記連続的なIrOx膜から成長したIrOxナノ構造は、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有する、項目23に記載されたパターン化された基板。
(摘要)
酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造をパターニングする方法が提供される。この方法は、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することと、第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることと、第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることと、非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることと、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフすることとを包含する。典型的に、第1の領域は、第1の材料から形成され、第2の領域は、第1の材料とは異なる第2の材料から形成される。例えば、第1の材料は、高融点金属または高融点金属酸化物であり得る。第2の材料はSiOxであり得る。非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングするステップは、IrOxより第2の材料とよりよく反応するエッチャントに基板をさらすことを包含する。
【0045】
上記の方法および対応するIrOxナノ構造を有するパターン化された基板のさらなる詳細が、以下に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は、パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板の部分的な断面図である。パターン化された基板100は、第1の領域104と、第1の領域104に隣接する第2の領域106とを有する基板102を備える。第1の材料108は、第1の領域104において第2の材料110の上にある。成長したIrOxナノ構造114を有する連続的なIrOx膜112は、アスペクト比(aspect ratio)が1:1〜100:1の範囲にあり、第1の材料108の上にある。
【0047】
「アスペクト比」は、ここでは、ナノ構造の直径118に対するナノ構造114の長さ116であると定義される。IrOxは、ここでは、任意の酸化イリジウム化合物であると定義され、「x」は、0〜2の間(0と2とを含む)の任意の値である。他の局面において、連続的なIrOx膜112における「x」値は、ナノ構造における「x」値と異なる。例えば、連続的なIrOx膜112は、Ir(x=0)であり得るが、ナノ構造114はIrOxであり、xは0より大きい。
【0048】
典型的に、第1の材料108は、第2の材料110と異なる。例えば、第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、またはWNであり得る。より一般的には、第1の材料108は、高融点金属または高融点金属酸化物であり得る。典型的に、第2の材料110はSiOxであり、「x」は0より大きく2以下の任意の値である。留意すべき点は、パターン化された基板100は必ずしも記載された材料のみに限られないということである。類似する性質を有する他の材料もまた使用され得ることが期待される。
【0049】
図2は、図1のパターン化された基板の変形の部分的な断面図である。この局面において、第2の材料110は、基板102の第1の領域104と第2の領域106との両方の上にある。第1の材料108は、基板の第1の領域104における第2の材料110の上に形成される。
【0050】
特に図1を参照して、同一の分析が図2にも適用されるが、第1の領域104の上に重なる連続的なIrOx膜112から成長したIrOxナノ構造114は、直径118が10nm〜1000nmの範囲にあり、長さ116が10nm〜10マイクロメートルの間の範囲にあり、間隔120が10nm〜1000nmの間の範囲にある。1つの局面において、第1の材料108は、1〜100ナノメートル(nm)の範囲の厚さ122を有する。上記のパターン化された基板は、ナノチップ、ナノワイヤ、ナノチューブ、あるいはナノロッドと呼ばれるかどうかにかかわらず幅広い種類のナノ型IrOx構造が成長して形成され得ることを理解されたい。典型的に、ナノロッドは鋭いチップを有する必要がないロッド構造であることと理解される。ナノチップは、ロッドの形を有する必要がなく、鋭いチップを有する任意の形であり得る。同様に、パターン化された基板は必ずしも、上記の例示的なナノ構造の寸法のみに限られることはない。
【0051】
留意すべき点は、ナノ構造114は、比較的均一な長さ、直径、および間隔を有するものとして図示されているが、長さ116の変形は100nm〜10マイクロメートルの間であり得、直径118の変形は10nm〜1000nmの間であり得、間隔120の変形は10nm〜10マイクロメートルの間であり得ることである。
【0052】
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、従来のプロセスステップにおける図1のパターン化された基板の部分的な断面図および平面図である。図3Aに示される1つの局面において、成長したIrOxナノ構造114を有する非連続的なIrOx膜300は、一時的に第2の材料110の上に重なる。図示されるように、ナノ構造114は、一群の非連続的な「アイランド」構造から成長したものとして示される。しかしながら、他の局面において、少なくともナノ構造114のうちいくつかの直径118は、アイランドの直径304に等しいことがある。すなわち、非連続的な膜の面積(area)304はナノ構造の直径118によって規定され得る。膜の面積の大部分がナノ構造の直径によって規定される場合、次いで「成長したIrOxナノ構造を有する非連続的な膜」が代わりに、IrOxナノ構造の不連続的な分野であるものと考えられ得る。再び図示されるように、全ての膜の面積が必ずしも非連続的である必要はない。
【0053】
非連続的なIrOx膜300は、100nm〜100マイクロメートルの範囲の(ハッチングで示される)面積を有する(図3B参照)膜の非連続的なゾーン302を含み、ゾーン302の間の間隔306は、10nm〜5000nmの範囲にある。上記の非連続的な膜300の重要性は以下に記載される。
【0054】
本明細書では詳細に示されていないが、ナノ構造を有する非連続的なIrOx膜は、図2の構造の製造における従来のプロセスステップで形成され得る。ダマシンパターン化された構造の詳細は、図3Aおよび図3Bに示された詳細と本質的に同じである(図6Aおよび図6B参照)。
【0055】
(機能の説明)
図4Aおよび図4Bは、異なる基板材料上に成長したIrOの成長を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。図に示すように、成長メカニズムは、2つの基板で異なる。各図の左側の材料はTiNであり、右側の材料はSiOである。図4Bは、図4Aを拡大させたものである。
【0056】
Ti、TiN、あるいはTaNの薄い層で生成され、1nmから100nmまでの範囲の厚さを有する基板は、連続的なIr−IrO膜の成長を促進する。IrOナノロッドは、Ir−IrO膜上に成長する。隣接するSiO基板とともに、IrOナノロッドはSiO表面上に直接成長する。言い換えると、連続的なIr−IrOは、SiO層とナノ構造との間に形成される必要がない。SiO上のナノロッドの間隔により、HF溶液といったエッチング化学物質が、底面のSiO層に到達し、上に重なるIrOナノロッドをリフトオフ(lift off)することが可能になる。
【0057】
図5Aおよび図5Bは、IrOナノロッドを選択的にエッチングオフする第1の方法を示す。第1の材料(すなわち、TiN、TaN、Ti、Ta、Nb、W、またはWN)がパターン化される。IrOナノロッドがウェハ上に成長し、次いで、ウェハはSiO層をあまり犠牲にせずにIrOナノロッドをリフトオフするのにちょうど十分な時間だけHF溶液に浸される。この技術により、第1の材料の下が切断されることが引き起こされ得る。
【0058】
図6Aおよび図6Bは、IrOxナノ構造を選択的にエッチングする第2の方法を示す。第1の材料(すなわち、Ti、TiN)層をパターン化した後、SiOがCVDによって堆積され、CMPが行われる。第1の材料の層の側壁は、ウェハがHF溶液内に浸されるとき、SiOによって保護される。その結果、第1の材料の下が切断される可能性が少なくなる。
【0059】
いずれか一方の方法について、ウェハがHF溶液内に浸されるとき、フォトレジストが追加されて、連続的な膜から成長するナノ構造の上に重なり得る。よって、第1の材料およびデバイス領域に重なるIrOxナノ構造は、意図しないエッチングからより有効に保護され得る。この方法で、より早く作用するが、より小さい選択性のエッチャントが使用され得る。
【0060】
図7は、IrOxナノ構造をパターニングする方法を示すフローチャートである。この方法は、明確にするために、一連の番号が付けられたステップで示されているが、明記されていない限りは、この番号付けから順番は推論されない。これらステップのなかには省略されたり、並行して行われたり、厳密な順序を維持する必要なく行われたりするものがあり得ることを理解されたい。この方法はステップ700で開始する。
【0061】
ステップ702は、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成する。ステップ704は、第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させる。ステップ706は、(ステップ704と)同時に、第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させる。ステップ708は、非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングする。ステップ710は、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフする。ステップ712は、第2の領域の上に重なるIrOxナノ構造をリフトオフすることに応じて、第1の領域の上に重なるナノ構造を有する基板を形成する。
【0062】
典型的に、第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成すること(ステップ702)は、第1の材料から第1の領域を形成することと、第1の材料と異なる第2の材料から第2の領域を形成することとを包含する。例えば、第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、あるいは、高融点金属酸化物であり得る。第2の材料はSiOxであり得る。他の局面において、ステップ702は、厚さが1〜100ナノメートル(nm)の範囲にある厚さを有する第1の材料を形成する。
【0063】
1つの局面において、非連続的なIrOx膜によって露出された第2の領域の範囲を選択的にエッチングすること(ステップ708)は、IrOxより第2の材料とよく反応するエッチャントに基板を露出することを含む。理想的には、IrOxはエッチャントと反応しない。例えば、HFまたはバッファドオキサイドエッチャント(BOE)が使用され得る。BOEは、HFと、水またはアンモニウムとの混合物であると理解される。例えば、(NH(INF/4)F)はBOEの一例である。第2の材料がSiOではない場合、別のエッチャントが使用され得る。
【0064】
1つの局面において、ステップ702における第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することには、サブステップが含まれる。ステップ702aは、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積し、ステップ702bは、第1の領域において第2の材料の上に重なる第1の材料を選択的に形成する(図5Aおよび図5B参照)。あるいは、ステップ702cは、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積する。ステップ702dは、第1の領域において第2の材料の上に重なる上面を有する第1の材料を選択的に形成する。ステップ702eは、第1の領域および第2の領域の上に重なる第2の材料をコンフォーマルに堆積する。ステップ702fは、第1の材料の上面の高さまで第2の材料を化学機械的研磨(CMP)する(図6Aおよび図6B参照)。
【0065】
他の局面において、同時に、第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させること(ステップ706)は、100nm〜100マイクロメートルの間の範囲で面積を有する膜の非連続的なゾーンを形成することを含み、ゾーン間の間隔は1nm〜5000nmの間の範囲である。
【0066】
1つの局面において、第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させること(ステップ704)は、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有するナノ構造を形成することを含む。留意すべき点は、一時的な非連続的膜の上に重なって成長したナノ構造は、ほぼ同一の寸法を有することである。
【0067】
IrOxナノ構造の基板をパターニングする方法と、その結果生じるパターン化された基板とが提供された。寸法および材料の例は、本発明を説明する助けとして用いられた。しかしながら、本発明は、これら単なる例に制限されることはないことを理解されたい。本発明の他の変形および実施形態が当業者に生じる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板の部分的な断面図である。
【図2】図1のパターン化された基板の変形の部分的な断面図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、それぞれ、従来のプロセスステップにおける図1のパターン化された基板の部分的な断面図および平面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、異なる基板材料上でのIrOの成長を示す電子顕微鏡(SEM)の写真である。
【図5】図5Aおよび図5Bは、IrOナノロッドを選択的にエッチングオフする第1の方法を示す。
【図6】図6Aおよび図6Bは、IrOxナノ構造を選択的にエッチングする第2の方法を示す。
【図7】IrOxナノ構造をパターニングする方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
102 基板
104 第1の領域
106 第2の領域
108 第1の材料
110 第2の材料
112 連続的なIrOx膜
114 IrOxナノ構造
116 長さ
118 直径
120 間隔
122 厚さ
300 非連続的なIrOx膜
302 非連続的なゾーン
304 直径
306 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造をパターニングする方法であって、
第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することと、
該第1の領域の上に重なる連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることと、
該第2の領域の上に重なる非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることと、
該非連続的なIrOx膜によって露出された該第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることと、
該第2の領域の上に重なる該IrOxナノ構造をリフトオフすることと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記第2の領域の上に重なる前記IrOxナノ構造をリフトオフすることに応じて、前記第1の領域の上に重なるナノ構造を有する基板を形成することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、該第1の領域を第1の材料から形成し、該第2の領域を該第1の材料と異なる第2の材料から形成することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の領域を前記第1の材料から形成することは、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される材料から該第1の領域を形成することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の領域を前記第1の材料から形成することは、1〜100ナノメートル(nm)の範囲における厚さを有する該第1の材料を形成することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の領域を前記第2の材料から形成することは、該第2の領域をSiOxから形成することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記非連続的なIrOx膜によって露出された前記第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることは、該IrOxよりも前記第2の材料とよく反応するエッチャントに前記基板をさらすことを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記非連続的なIrOx膜によって露出された前記第2の領域の範囲を選択的にエッチングすることは、HFとバッファドオキサイドエッチャント(BOE)とを含む群から選択されるエッチャントに前記基板をさらすことを包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる前記第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第1の領域において該第2の材料の上に重なる前記第1の材料を選択的に形成することと
を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の領域と第2の領域とが隣接する基板を形成することは、
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる前記第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第1の領域において該第2の材料の上に重なる上面を有する前記第1の材料を選択的に形成することと
該第1の領域および該第2の領域の上に重なる該第2の材料をコンフォーマルに堆積することと、
該第2の材料を該第1の材料の上面の高さまで化学機械的研磨(CMP)することと
を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の領域の上に重なる前記非連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を同時に成長させることは、100nm〜100マイクロメートルの間の範囲で面積を有する膜における非連続的なゾーンであって、ゾーン間の間隔は1nm〜5000nmの間の範囲である非連続的なゾーンを形成することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の領域の上に重なる前記連続的なIrOx膜からIrOxナノ構造を成長させることは、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有するナノ構造を形成することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板であって、
第1の領域と、該第1の領域に隣接している第2の領域とを有する基板と、
該第1の領域の上に重なる第1の材料と、
該第2の領域の上に重なる第2の材料と、
該第1の材料の上に重なる連続的なIrOx膜であって、成長したIrOxナノ構造を有する連続的なIrOx膜と、
該第2の材料の上に一時的に重なる非連続的なIrOx膜であって、成長したIrOxナノ構造を有する非連続的なIrOx膜と
を備える、パターン化された基板。
【請求項14】
前記第1の材料は前記第2の材料と異なる、請求項13に記載されたパターン化された基板。
【請求項15】
前記第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項16】
前記第1の材料は、1〜100ナノメートル(nm)の範囲における厚さを有する、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項17】
前記第2の材料はSiOxである、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項18】
前記第2の材料は、前記基板の前記第1の領域および第2の領域の両方の上に重なり、
前記第1の材料は、該第1の領域における該第2の材料の上に重なる、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項19】
前記第2の材料は、前記基板の前記第1の領域の上に重なり、
前記第1の材料は、該基板の該第1の領域における該第2の材料の上に重なって形成される、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項20】
前記第2の材料の上に一時的に重なる前記非連続的なIrOx膜は、100nm〜100マイクロメートルの間の範囲で面積を有する膜における非連続的なゾーンであって、ゾーン間の間隔は10nm〜5000nmの間の範囲である非連続的なゾーンを備える、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項21】
前記第1の領域の上に重なる前記連続的なIrOx膜から成長したIrOxナノ構造は、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有する、請求項14に記載されたパターン化された基板。
【請求項22】
パターン化された酸化イリジウム(IrOx)ナノ構造基板であって、
第1の領域と、該第1の領域に隣接している第2の領域とを有する基板と、
該第1の領域の上に重なる第1の材料と、
該第2の領域の上に重なる第2の材料と、
該第1の材料の上に重なる連続的なIrOx膜であって、1:1〜100:1の範囲のアスペクト比を有する成長したIrOxナノ構造を有する、連続的なIrOx膜と、
を備える、パターン化された基板。
【請求項23】
前記第1の材料は前記第2の材料と異なる、請求項22に記載されたパターン化された基板。
【請求項24】
前記第1の材料は、Ti、TiN、TaN、Ta、Nb、W、WN、高融点金属、および高融点金属酸化物を含む群から選択される、請求項23に記載されたパターン化された基板。
【請求項25】
前記第2の材料はSiOxである、請求項23に記載されたパターン化された基板。
【請求項26】
前記第2の材料は、前記基板の前記第1の領域および第2の領域の両方の上に重なり、
前記第1の材料は、該第1の領域における該第2の材料の上に重なる、請求項23に記載されたパターン化された基板。
【請求項27】
前記第2の材料は、前記基板の前記第1の領域の上に重なり、
前記第1の材料は、該基板の該第1の領域における該第2の材料の上に重なって形成される、請求項23に記載されたパターン化された基板。
【請求項28】
前記第1の領域の上に重なる前記連続的なIrOx膜から成長したIrOxナノ構造は、10nm〜1000nmの範囲にある直径と、10nm〜10マイクロメートルの範囲にある長さと、10nm〜1000nmの範囲にある間隔とを有する、請求項23に記載されたパターン化された基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−173576(P2006−173576A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313504(P2005−313504)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】