説明

酸化型毛髪染料組成物、方法及び製品

【課題】
【解決手段】酸化型染料組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害する働きを有する少なくとも1種類の抗酸化性植物抽出物を含む酸化型毛髪染料組成物、毛髪の染色方法、並びに複数回使用酸化型染料容器を可能とする方法及び製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化型毛髪染料組成物、毛髪の着色方法及び関連する製品の分野におけるものである。
【背景技術】
【0002】
基本的に、ヘアカラーには一時的、半永久的及び永久的という3種類がある。一時的ヘアカラーには、1日限りの事象のために個人が毛髪を着色するのに用い(例えば、バレンタインデーの赤色毛髪)、代表的には1回のシャンプーで洗い落とす、いわゆるリンス等がある。半永久的ヘアカラーは、より長い期間にわたり毛髪を着色したい個人が使用する。代表的な半永久的ヘアカラーは、6〜24回のシャンプー後に洗い落とされる。永久的又は酸化型のヘアカラーは、シャンプー洗髪で洗い落とされない永久的な色を提供する。一時的及び半永久的の両方のヘアカラーが直接使用である。すなわち、ヘアカラーを直接毛髪に使用し、直ちに着色する。未使用のヘアカラーは保存し、他の用途に再度用いることができる。毛髪の着色を行うほとんどの個人が、小売りのキット又は美容院環境で酸化型ヘアカラーを用いる。酸化型ヘア着色プロセスでは、別個に保存された酸化型染料組成物を水系の酸化剤と混合し、直ちにその混合物を、毛髪を着色するのに必要な期間にわたり、通常は5分間〜80分間、個人の毛髪に適用する。酸化型染料組成物は水系酸化剤と反応して、毛幹中に吸収されると着色した染料分子を形成して色を与える。そうして得られた染料混合物は非常に不安定で、それを調製してから非常に短い間に毛髪に塗布しなければならない。実際、酸化剤と組み合わせる前であっても、酸化型染料組成物単独ですら、経時的に酸化型染料組成物単独の効力を失う。酸化型染料がこのように極めて不安定であることから、酸化型毛髪染料手順がその仕事の主要部分である美容院にとって問題が生じる。代表的な美容院環境では、酸化型染料組成物はチューブ等の容器に入れて保存される。美容院は多くの異なる染料の色を有して、色の混合を行いやすくすることで、顧客に所望の毛髪色を提供する。ほとんどの場合、容器中の酸化型染料のごく少量部分を1回の手順で用いるのであり、残った酸化型染料組成物は他の用途で後に使用するために保存される。しかしながら、通常の大気条件下で染料組成物が不安定であるため、それは効果を失う場合があるか、さらに悪いことには、毛髪を染色するのに用いると、結果が不首尾となり、顧客が不満を持つことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
毛髪染料の製造者は、酸化型染料組成物を各種酸化防止剤とともに製剤することで、それの安定性を高めようとしている。アスコルビン酸は、一般的に使用される酸化剤である。しかしながら、それは空気に曝露されると非常に急速に活性を失うために、染料容器を開けると、アスコルビン酸は有効な酸化防止剤としての役割を果たさない。結果的に、染料は空気によって急速に酸化され、有効性を失うことになる。別の代表的に使用される酸化防止剤であるジチオン酸ナトリウムは、ニトロ系染料との望ましくない二次反応を受ける性向に加えて、悪臭性である。エリソルビン酸も広く使用されるが、ある種の望ましくない特性を示す。酸化型染料の安定性を大きく高めて、使い切るまでの酸化型染料組成物の複数回の使用や暫定的保存を容易にする、毛髪染料組成物の製剤で使用される酸化防止剤が必要とされている。さらに、そのような酸化防止剤は、合成有機化合物ではなく天然成分であることが望ましい。
【0004】
ある種の酸化防止剤、具体的には少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含むものが、酸化型毛髪染料組成物に製剤されると優れた酸化防止特性を提供して、容器を開けた場合の酸化型染料組成物の長期保存及び複数回使用を容易にすることが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、酸化型染料組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害する働きを有する、1以上の酸化型染料及び少なくとも1種類の抗酸化性植物抽出物を含む酸化型染料組成物に関する。
【0006】
本発明は、1以上の酸化型染料と、酸化型染料組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解の阻害を行う上で十分な量で存在する少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む、少なくとも1種類の酸化防止剤とを含む酸化型染料組成物に関するものでもある。
【0007】
本発明はさらに、1以上の酸化型染料、組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解の阻害を行う上で十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤、並びに密封された酸化に対して耐性の金属容器を含む、パッケージ化された酸化型毛髪染料組成物を包含する。
【0008】
本発明はさらに、有機酸化防止剤の少なくとも一部、好ましくは全てが、少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む酸化防止剤に置き換わっている、有機酸化防止剤により酸化分解に対して安定化された1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物に関するものでもある。
【0009】
本発明はさらに、組成物中に存在する1以上の酸化型染料を酸化分解に対して安定化させる上で十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を用いて組成物を製剤する段階を有する、1以上の酸化型染料を含む酸化型毛髪染料組成物を酸化分解に対して安定化する方法を包含する。
【0010】
本発明はさらに、酸化型染料組成物と水系酸化剤組成物を組み合わせることで形成される酸化型染料混合物を毛髪に適用する段階を有し、前記酸化型染料混合物が少なくとも1種類の酸化型染料並びに少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を含むものである、酸化的に毛髪を着色する方法を包含する。
【0011】
本発明はさらに、1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害することで容器中の組成物を複数回使用可能とする上で十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤とともに酸化型染料組成物を製剤する段階を有する、気密性の酸化耐性パッケージ中に1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物を含む複数回使用の酸化型染料製品を製造する方法を包含する。
【0012】
本発明はさらに、気密性の酸化耐性容器中に詰め込まれた1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物を含み、該染料組成物が該組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害するのに十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を含む、複数回使用の酸化型染料製品を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.酸化型染料組成物
本発明の酸化型染料組成物は水系であり、組成物全体の約0.01〜99重量%、好ましくは約0.1〜98重量%、より好ましくは約45〜95重量%の水を含む。
【0014】
A.酸化防止剤
酸化型染料組成物は、酸化型染料組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害するのに十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を含む。「酸化防止剤」という用語は、酸化防止剤が染料組成物中に存在する酸化型染料のうちの1以上の酸化分解の全体又は一部を阻害する働きを有するように、存在する成分が抗酸化特性を有することを意味する。好ましくはそのような酸化防止剤は、フリーラジカル捕捉能力を有する。
【0015】
そのような量は、組成物全体の約0.0001〜35重量%、好ましくは約0.001〜25重量%、より好ましくは約0.01〜20重量%の範囲であることができる。酸化防止剤は植物抽出物であっても良い。「植物抽出物」という用語は、成分が樹木、花、果実等の植物由来の天然材料であることを意味する。より具体的には、その抽出物は、植物の種子、果実、皮、花、幹、根又はいずれか他の部分由来のものであることができる。植物抽出物は、水、アルコールその他の標準的な溶媒による抽出により、又は所望の植物部分の絞り、微粉砕又は圧搾によって製造することができる。
【0016】
ある好ましい実施形態において、酸化防止剤はフラボノイド成分及びフェノール酸成分の両方を含む。好適なフラボノイドには、アスパラチン、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン又はカテキン等がある。好適なフェノール酸には、プロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸、フェルラ酸等がある。より好ましくは、前記酸化防止剤は、少なくとも1種類のフラボノイド成分及び少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む植物抽出物である。ある最も好ましい実施形態では、前記フラボノイド成分はアスパラチンを含む。
【0017】
前記のフェノール酸及び/又はフラボノイド成分を含み得る植物抽出物の例には、ナナカマドの実、サクラの実、ブルーベリー、サスカトーンベリー、ダークプラム、サクランボ、ある種のリンゴ類、紅茶、桑の実、ジューンベリー類、アロエ・フェロックス、マルメロの実等からの抽出物等があるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
より具体的には、下記の植物抽出物等が好適となり得るが、これらに限定されるものではない。
【表1】

【0019】
より好ましいものは、アスパラサス・リネアリス抽出物、ルスティフィナ抽出物、ユチャ抽出物、セイヨウリンゴ抽出物、ヤナギラン抽出物、ヨーロッパブドウ(ブドウ)種子抽出物、ザクロ抽出物、ローズマリー等、フラボノイド成分及びフェノール酸成分の両方を含む抽出物又はその成分である。
【0020】
ある特に好適な抗酸化性植物抽出物は、ルイボスティー又はアスパラサス・リネアリスの抽出物である。この抽出物は、アスパラチン、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン又はカテキン等の重要なフラボノイド成分;及びプロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸、フェルラ酸等の重要なフェノール酸成分を含む。
【0021】
B.酸化型染料
酸化型染料組成物は、水系酸化剤と組み合わせると毛髪を着色する働きを有する1以上の酸化型染料を含む。通常、そのような染料は一次中間体であり、発色剤であっても良い。
【0022】
1.一次中間体
染料成分には、酸化型染料形成のための一次中間体及び適宜に発色剤が含まれる。一次中間体は、組成物全体の約0.001〜25重量%、好ましくは約0.005〜20重量%、より好ましくは約0.01〜15重量%の範囲の量で酸化型染料組成物中に存在することができる。そのような一次中間体には、オルト置換もしくはパラ置換のアミノフェノール類又はフェニレンジアミン類等があり、下記式のパラ−フェニレンジアミン類等がある。
【化1】

【0023】
式中、
及びRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル又はヒドロキシ、メトキシ、メチルスルホニルアミノ、フルフリル、アミノカルボニル、置換されていないフェニルもしくはアミノ置換されたフェニル基で置換されたC106アルキルであり;
、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン又は1以上のアミノもしくはヒドロキシル基で置換されたC1−6アルキルである。
【0024】
そのような一次中間体には、パラ−フェニレンジアミン(PPD)、2−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2−クロロ−1,4−ジアミノベンゼン、2−メトキシ−1,4−ジアミノベンゼン,1−フェニルアミノ−4−アミノベンゼン、1−ジメチルアミノ−4−アミノベンゼン、1−ジエチルアミノ−4−アミノベンゼン、2−イソプロピル−1,4−ジアミノベンゼン、1−ヒドロキシプロピルアミノ−4−アミノベンゼン、2,6−ジメチル−3−メトキシ−1,4−ジアミノベンゼン、1−アミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−4−アミノベンゼン、1−メトキシエチルアミノ−4−アミノベンゼン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ジアミノベンゼン、2−ヒドロキシエチル−1,4−ジアミノベンゼン、ならしにそれらの誘導体、並びにそれらの酸もしくは塩基性塩等がある。2,3,4,5−テトラアミノピリミジンサルフェート及び2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノール−サルフェート等の各種種類のピリミジン類も好適である。
【0025】
好ましい一次中間体は、p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、それらの塩及びそれらの混合物である。
【0026】
2.発色剤
存在する場合、発色剤は、酸化型染料組成物全体の約0.000〜10重量%、より好ましくは約0.0005〜8重量%、最も好ましくは約0.001〜7重量%の範囲であることができる。そのような発色剤には、例えば下記の一般式のもの等がある。
【化2】

【0027】
式中、Rは、置換されていないヒドロキシもしくはアミノ、又は1以上のC1−6ヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシもしくはアミノであり;R及びRはそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、アミノ又はC1−6アルキル、C1−6アルコキシもしくはC1−6ヒドロキシアルキル基で置換されたアミノであり;R、R及びRはそれぞれ独立に、水素、C1−6アルコキシ、C1−6ヒドロキシアルキルもしくはC1−6アルキルであり、又はR及びRが一体となって、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシ基を形成することできる。
【0028】
そのような化合物の例には、フェノール類、カテコール、メタ−アミノフェノール類、メタ−フェニレンジアミン類等のメタ−誘導体等があり、それらは置換されていないか、アミノ基もしくはベンゼン環上でアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアミノ基等で置換されていても良い。好適な発色剤には、m−アミノフェノール、2,4−ジアミノトルエン、4−アミノ、2−ヒドロキシトルエン、フェニルメチルピラゾロン、1,3−ジアミノベンゼン、6−メトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、6−ヒドロキシエトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、6−メトキシ−5−エチル−1,3−ジアミノベンゼン、6−エトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、1−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−アミノベンゼン、2−メチル−1,3−ジアミノベンゼン、6−メトキシ−1−アミノ−3−[(β−ヒドロキシエチル)アミノ]−ベンゼン、6−(β−アミノエトキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、6−(β−ヒドロキシエトキシ)−1−アミノ−3−(メチルアミノ)ベンゼン、6−カルボキシメトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、6−エトキシ−1−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−アミノベンゼン、6−ヒドロキシエチル−1,3−ジアミノベンゼン、3,4−メチレンジオキシフェノール、3,4−メチレンジオキシ−1−[(β−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン、1−メトキシ−2−アミノ−4−[(β−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン,1−ヒドロキシ−3−(ジメチルアミノ)ベンゼン、6−メチル−1−ヒドロキシ−3−[(β−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼン、2,4−ジクロロ−1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン、1−ヒドロキシ−3−(ジエチルアミノ)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−メチル−3−アミノベンゼン、2−クロロ−6−メチル−1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン、1−ヒドロキシ−2−イソプロピル−5−メチルベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、5,6−ジクロロ−2−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1−ヒドロキシ−3−アミノ−ベンゼン、1−ヒドロキシ−3−(カルバモイルメチルアミノ)ベンゼン、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、4−メチル−2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジアミノピリジン、6−アミノベンゾモルホリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−ヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2−メチルフェノール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドリン、6−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドリン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール及びこれらの混合物等がある。
【0029】
C.エモリエントオイル
所望に応じて、酸化型染料組成物は1以上のエモリエントオイルを含むことができる。そのようなオイルは、毛髪にコンディショニング効果をもたらす。存在する場合、そのようなオイルは、組成物全体の約0.001〜45重量%、好ましくは約0.01〜40重量%、より好ましくは約0.1〜35重量%の範囲であることができる。好適なオイルには、ジメチコン、フェニルシリコーン類、セチルもしくはステアリルジメチコン等の脂肪族アルキルシリコーン類、又は一般にジメチコンコポリオール類と称されるシリコーン系界面活性剤、又はセチルジメチコンコポリオール等のシリコーン類等がある。植物もしくは動物又は合成オイル由来の各種動物油、植物油又は鉱油も好適である。例としては、紅花、トウゴマ、オレンジ、レモン、ホホバからの油、鉱油等がある。
【0030】
D.界面活性剤
酸化型染料組成物は、1以上の界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤には、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等がある。存在する場合、界面活性剤は、最初の組成物の約0.001〜50重量%、好ましくは約0.005〜45重量%、より好ましくは約0.1〜40重量%の範囲であることができる。
【0031】
1.ノニオン系界面活性剤
ノニオン系界面活性剤の例には、アルコキシル化アルコール類もしくはエーテル類、アルコキシル化カルボン酸類、ソルビタン誘導体等がある。アルコキシル化アルコール類又はエーテル類は、アルキレンオキサイド、通常はエチレンもしくはプロピレンオキサイドとアルコールの反応によって形成される。好ましくはそのアルコールは、炭素原子6〜30個及び直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和炭素鎖を有する脂肪族アルコールである。そのような成分の例には、繰り返しエチレンオキサイド単位の数が2〜30であるステアリルアルコールとエチレンオキサイドの反応によって形成されるステアレス2〜30;繰り返しエチレンオキサイド単位の数が2〜30であるオレイルアルコールとエチレンオキサイドの反応によって形成されるオレス2〜30;分子中の繰り返しエチレンオキサイド単位の数が2〜100であるセチル及びステアリルアルコールの混合物とエチレンオキサイドとの反応によって形成されるセテアレス2〜100;セチルアルコールとエチレンオキサイドの反応によって形成され、繰り返しエチレンオキサイド単位の数が1〜45であるセテス1〜45等がある。特に好ましいのは、ノニオン系界面活性剤がステアレス−21である場合である。
【0032】
カルボン酸とアルキレンオキサイド又はポリマーエーテルとの反応によって形成されるアルコキシル化カルボン酸も好適である。得られる製品は下記一般式を有する。
【化3】

【0033】
式中、RCOはカルボン酸エステル基であり、Xは水素又は低級アルキルであり、nは重合したアルコキシ基の数である。ジエステルの場合、二つのRCO−基が同一である必要はない。好ましくは、RはC6−30の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和アルキルであり、nは1〜100である。
【0034】
各種のアルコキシル化ソルビタン及びアルコキシル化ソルビタン誘導体も好適である。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にはエトキシル化によって、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が得られる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化によって、ポリソルベート類等のソルビタンエステルが得られる。そのような成分の例には、ポリソルベート20〜85、オレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン等がある。ある好ましい実施形態では、ポリソルベート20が好ましい。
【0035】
2.アニオン系界面活性剤
染料組成物は、1以上のアニオン系界面活性剤を含んでいても良い。アニオン系界面活性剤の好ましい範囲は、酸化型組成物全体の約0.01〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。好適なアニオン系界面活性剤には、式ROSOM及びRO(CO)SOMを有するアルキル及びアルキルエーテルサルフェート等があり、Rは炭素原子数約10〜20のアルキル又はアルケニルであり、xは1〜約10であり、Mはアンモニウム、ナトリウム、カリウム又はトリエタノールアミンカチオン等の水溶性カチオンである。
【0036】
本発明の組成物で用いることができる別の種類のアニオン系界面活性剤は、一般式R−SO−M(Rは炭素原子数約8〜約24、好ましくは炭素原子数12〜約18である直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族炭化水素基からなる群から選択され、Mはカチオンである)の有機硫酸反応生成物の水溶性塩である。そのようなアニオン系界面活性剤の例は、炭素原子数8〜24であるn−パラフィン類等の炭化水素及び三酸化硫黄等のスルホン化剤の有機硫酸反応生成物の塩である。
【0037】
イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物もアニオン系界面活性剤として好適であるか、脂肪酸をアルカノールアミン又は水酸化アンモニウムと反応させる。脂肪酸は、例えばヤシ油由来のものであることができる。脂肪酸の例には、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等もある。
【0038】
さらに、コハク酸塩及びスクシニメート類(succinimates)も好適なアニオン系界面活性剤である。この種類には、N−オクタデシルスルホコハク酸ジナトリウム;N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸テトラナトリウム;及び例えばスルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステル等のスルホコハク酸ナトリウムのエステル類等の化合物等がある。
【0039】
他の好適なアニオン系界面活性剤には、炭素原子約12〜24個を有するオレフィンスルホネート類等がある。「オレフィンスルホネート」という用語は、錯形成していない三酸化硫黄によるα−オレフィンのスルホン化と、次にその反応で生成しているスルトン類を加水分解して相当するヒドロキシアルカンスルホネートを得るような条件下での酸反応混合物の中和によって製造することができる化合物を意味する。そのオレフィンスルホネートの原料となるα−オレフィンは、炭素原子約12〜24個、好ましくは約14〜16個を有するモノオレフィンである。
【0040】
他の種類の好適なアニオン系有機界面活性剤は、例えばココナッツ及び獣脂系の石鹸等のC10−20脂肪酸の塩のようなβ−アルコキシアルカンスルホネート類又はそれの水溶性石鹸である。好ましい塩は、アンモニウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩である。
【0041】
さらに別の種類のアニオン系界面活性剤には、RがC8−24アルキル又はアルケニル基、好ましくはC10−18であり;RがH、C1−4アルキル、フェニル又は−CHCOOMであり;RがCX−又はC1−2アルコキシであり、各Xが独立にH又はC1−6アルキルもしくはアルキルエステルであり、nが1〜4であり、MがH又は上記の塩形成カチオンである式を有するN−アシルアミノ酸界面活性剤及びそれの塩(アルカリ、アルカリ土類及びアンモニウム塩)等がある。そのような界面活性剤の例には、好ましくはナトリウム型又はカリウム型でのサルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸ココイル及びサルコシン酸オレオイル等のN−アシルサルコシネート類がある。
【0042】
3.カチオン系、両性イオン性又はベタイン系界面活性剤
ある種の両性、両性イオン性又はカチオン系界面活性剤も、両親媒性表面活性材料として用いることができる。そのような界面活性剤については、米国特許第5,843,193号明細書(参照により、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)に記載がある。
【0043】
本発明の組成物で使用することができる両性界面活性剤は、一方の脂肪族基が炭素原子数8〜18の直鎖もしくは分岐のアルキルであり、他方の脂肪族基がカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート等のアニオン性基を含む脂肪族2級もしくは3級アミンの誘導体と記載されている。
【0044】
コカンフォ(cocampho)カルボキシプロピオネート、ココアンフォ(cocoampho)カルボキシプロピオン酸、コカンフォカルボキシグリシネート及びココアンフォアセテート等のモノカルボキシレート又はジカルボキシレートも、好適な両性界面活性剤である。
【0045】
他の種類の両性界面活性剤には、式R−NH(CHCOOMのアミノアルカノエート類又は式R−[(CHCOOM]のイミノジアルカノエート類及びそれらの混合物(n及びmは1〜4であり、RはC8−22アルキル又はアルケニルであり、Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムもしくはアルカノールアンモニウムである)等がある。そのような両性界面活性剤の例には、ミラノール社(Miranol, Inc.)によってミラテイン(MIRATAINE)の商品名で、又はヘンケル(Henkel)によってデリファット(DERIPHAT)の商品名で販売されているn−アルキルアミノプロピオネート類及びn−アルキルイミノジプロピオネート類等があり、例えばN−ラウリル−β−アミノプロピオン酸、N−ラウリル−β−イミノ−ジプロピオン酸又はこれらの混合物がある。
【0046】
両性イオン性界面活性剤も、本発明の組成物での使用に好適であり、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルα−カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ−カルボキシルエチルベタイン及びこれらの混合物等の高級アルキルベタイン類等のベタイン類等がある。ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン等のスルホ−及びアミド−ベタイン類も好適である。特に好ましいものは、コカミドプロピルベタインである。
【0047】
E.極性溶媒
酸化型染料組成物は、1価、2価又は多価アルコール類及び同様の水溶性成分等の、各種の水以外の非水系極性溶媒を含むことができる。存在する場合、そのような極性溶媒は、極性溶媒の第1の組成物の約0.01〜25重量%、好ましくは約0.05〜15重量%、より好ましくは約0.1〜10重量%の範囲であることができる。好適な1価アルコールの例には、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、エトキシエタノール等がある。2価もしくは多価アルコール、並びに使用可能な糖類その他の種類の保湿剤の例には、グリセリン、グルコース、果糖、マンノース、マニトール、マリトール(malitol)、ラクチトール、イソシトール等がある。好適なグリコール類には、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、4〜250個の繰り返しエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール類、エトキシジグリコール等がある。
【0048】
F.キレート剤
酸化型染料組成物は、金属イオンと錯形成して不活性化することで、組成物の安定性もしくは効果に対する悪影響を防止する能力を有する1以上のキレート剤を0.0001〜5%、好ましくは0.0005〜3%、より好ましくは0.001〜2%含んでいても良い。特に、キレート剤は、水中に認められる金属イオンをキレート化し、それらのイオンが染料の沈着及び毛髪繊維表面との反応を妨害するのを防ぐものである。好適なキレート剤には、EDTA及びそれのカルシウム、ナトリウムもしくはカリウム誘導体、HEDTA、クエン酸ナトリウム、TEA−EDTA等がある。
【0049】
G.pH調節剤
少量の酸もしくは塩基を加えることで、酸化型染料組成物のpHを所望のpH範囲に調節することが望ましい場合がある。好適な酸には、塩酸、リン酸等がある。好適な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等がある。1級、2級もしくは3級アミン類又はアミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン等のそれらの誘導体も好適である。推奨のpH調節剤の範囲は、組成物全体の約0.00001〜8重量%、好ましくは約0.00005〜6重量%、より好ましくは約0.0001〜5重量%である。
【0050】
他の植物成分
酸化型染料組成物は、抗酸化性植物成分に加えて、1以上の別の植物成分を含んでいても良い。存在する場合、推奨の範囲は、組成物全体の約0.00001〜10重量%、好ましくは約0.0001〜8重量%、より好ましくは約0.0001〜5重量%である。そのような成分の例には、カメリアシネンシス抽出物、ユチャ抽出物、バニラ抽出物、アロエベラ抽出物等がある。
【0051】
II.水系酸化剤組成物
本発明の酸化型染料組成物は、毛髪に適用する直前に水系酸化剤組成物と組み合わせる。この組成物は、組成物全体の約1〜99.9重量%、好ましくは約2〜98重量%、より好ましくは約3〜95重量%の範囲の量で水を含む。さらに、水系酸化剤組成物は、酸化型染料組成物中に存在する染料と反応して毛髪を着色する酸化剤も含む。最も多くの場合、使用される水系酸化剤は過酸化水素であるが、過酸化カルシウム等の他の過酸化物又は酸化剤を使用しても良い。好ましくは、水系酸化剤組成物における過酸化水素の濃度は、体積基準で組成物中に存在する過酸化水素の量で約10〜40体積の範囲である。
【0052】
水系酸化剤組成物は、酸化型染料組成物に関してセクションIに記載のもの等(それらに限定されるものではない)の1以上の別の成分を、同じ一般的なパーセント範囲で含んでいても良い。
【0053】
III.容器
酸化型染料組成物は好ましくは、気密性で酸化耐性材料製である容器に入れて保存する。好ましくは、そのような容器はチューブ、ジャー、瓶等の形態のものである。容器はチューブである場合が好ましく、好ましくは加圧することでその中に入っている酸化型染料組成物を出すことができるチューブである。好適なチューブは金属製であることができる。チューブは酸化耐性アルミニウムである場合が好ましい。最も好ましい実施形態では、チューブは100ppm未満のカドミウム、水銀、鉛及び6価クロムを含む酸化耐性アルミニウム製である。
【0054】
容器は、その容器をしっかりと密閉し、空気による容器内容物の酸化を防止する封止材を有するものでなければならない。ネジぶた、スナップ式で開ける蓋等の各種封止材が好適である。好ましくは封止材は、複数回使用が望まれる場合であっても再使用可能である。
【0055】
本発明は、美容院環境での酸化型毛髪染料組成物の複数回使用を可能とするものである。容器を開けたら、それを用いて顧客が必要とする所望量の酸化型染料組成物を取り出すことができる。容器は密閉し、数時間、数日、数週間又は数ヶ月にわたって保存してから、残りの内容物を再度用いることができる。本発明に従って製剤され、好適な容器中に保存される酸化型染料組成物を用い、残った内容物は無期限で保存することができる。例えば、酸化防止剤を用いることにより、酸化型毛髪の容器を使用し、1〜6日間、又は1〜3週間、又は1〜4ヶ月保存してから再度使用することが可能となる。
【実施例】
【0056】
以下、下記の実施例との関連で本発明についてさらに説明するが、下記実施例は専ら説明を目的として記載されているものである。
【0057】
(実施例1)
酸化型毛髪染料組成物を、下記のように調製した。
【表2】

【0058】
染料成分を合わせ、全ての染料が溶解するまで85℃で加熱することで、染料組成物を調製した。混合物を冷却して80℃とした。別個に、残りの成分を合わせ、撹拌しながら加熱して80℃とした。両方の混合物が80℃に達したら、それらの相をゆっくり合わせ、混合物を冷却した。バッチ全体を冷却して室温(25℃)とし、チューブに注ぎ入れた。
【0059】
長さ約10.2cm(4インチ)品のヤク毛を重さ1.5gずつの見本に切り分けた。ヘアカラー製剤1及び2の10gずつを、20体積の過酸化水素展開液の水溶液10gと合わせた。各混合物を、ブラシを用いてヤク毛見本に塗布し、30分間そのままで留まらせた。毛を温水で十分に洗い流した。各見本に対して、次の成分リスト:
水(水、精製水、精製)抽出物:カメリアシネンシス抽出物、シトラス・オーランティアム・アマーラ(ダイダイ)皮抽出物、タイツリオウギ(レンゲソウ)根抽出物、チョウセンゴミシ実抽出物、マンシュウクロマツ(マツ)樹皮(park)抽出物、オウシュウブドウ(ブドウ)種子抽出物、イワベンケイ根抽出物、アカヤジオウ根抽出物、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルスルホコハク酸ジナトリウム、ラウラミドプロピルベタイン、シンナミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール、オレイン酸ポリグリセリル−10、ポリクオタニウム−7、香料、ロックローズオイル、グリセリン、クエン酸、EDTAジナトリウム、プロピルパラベン、メチルパラベン、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、
を有する市販製品であるアヴェダ・カラー・コンサーブ(Aveda Color Conserve)シャンプー5gを各見本に塗布し、泡立たせた。見本を温水で洗い流し、乾燥させた。乾燥見本の肉眼観察で、両方の見本が同じ色及び色調を示していることが明らかになったことから、本発明の酸化防止剤が色沈着に関してエリソルビン酸と同様の結果を与えることが示された。
【0060】
(実施例2)
ルイボスティー抽出物を含む酸化型染料組成物を、酸化防止剤として亜硫酸水素ナトリウムを含む組成物と比較して、ルイボスティー含有組成物が酸化型ニトロ系染料に対して望ましくない影響を有するか否かを確認した。
【0061】
組成物を次のように調製した。
【0062】
(1)HCブルー(HC Blue)No.2の0.02%水溶液
(2)0.5%亜硫酸水素ナトリウムを含むHCブルーNo.2の0.02%水溶液
(3)0.5%ルイボスティー抽出物を含むHCブルーNo.2の0.02%水溶液。
【0063】
これらの組成物をガラス製のジャーに入れ、肉眼観察した。組成物(1)及び(3)は、ほぼ同じダークブルーであった。組成物(2)は着色せず、亜硫酸水素ナトリウムがHCブルーNo.2を分解することが示された。
【0064】
さらに、上記の組成物(1)、(2)及び(3)のそれぞれ約10gを、ヤク毛の見本に塗布した。染料を20分間にわたり毛の上に留まらせた後、水で洗い落とした。(1)及び(3)で染色した見本は、ほぼ同じダークブルー色を示した。(2)で染色した見本は、非常にわずかな色沈着を示した。結論:ルイボスティーはニトロ系染料を妨害しないが、亜硫酸水素ナトリウムはニトロ系染料を妨害する。
【0065】
(実施例3)
ルイボスティー抽出物を標準的な酸化防止剤であるエリソルビン酸と比較することで、相対的抗酸化活性を測定した。フルオスター・オプティマ(Fluostar Optima)マイクロプレートリーダーで測定されるDPPH(2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル)酸化防止剤アッセイを用いて、抗酸化活性を評価した。
【0066】
このアッセイでは、フリーラジカル捕捉活性を有する酸化防止剤を安定なフリーラジカルであるDPPHと反応させて、ディープバイオレットの色である517ナノメートルに非常に強い吸収帯域を与える1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンを製造した。DPPHにおける余分の電子は、フリーラジカル捕捉特性を有する酸化防止剤の存在下にペアとなり、結果的に生じるサンプルの脱色は取り込まれる電子数に関して化学量論的である。
【0067】
この試験を実施するため、ルチン3mgをDMSO 1mLに溶かして原液「A」を得ることで、陽性対照を調製した。次に、原液AをDMSOで希釈して、1.0;0.75;0.375;0.075;及び0.015mg/mLの溶液を得た。DPPH 6.9mgを試薬級アルコール(HPLC用、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific)#A995−4)50mLに溶かした。この溶液を琥珀色瓶中で保存し、試験実施の当日に用いた。
【0068】
試験サンプルを最初に抗酸化活性についてスクリーニングすることで、ウェルを有するプレートで試験サンプル5μLとDPPH 95μLを合わせることで試験を実施する上での適切な濃度を確認した。ウェル中の組成物が直ちに黄色変する場合、サンプル中の酸化防止剤の初期濃度が高すぎたのであり、サンプルをDMSOで50/50希釈した。次に、4、2、1及び0.2mg/mLの試験サンプルのDMSO中希釈液を調製した。
【0069】
溶媒ブランク5μLをウェル1個に分配し、DMSO5μLをウェル9個に分配した。各種濃度の陽性対照溶液5μLを、低濃度から高濃度となるようにウェルに入れた。各サンプルとも三連で分配した。次に、DPPH溶液95μLを多チャンネルピペットを用いて各ウェルに加えることで、ウェル当たりの最終容量を100μLとした。プレートをフルオスター・オプティマ・マイクロプレートリーダーで分析し、最初にリーダーを30℃まで昇温させ、次にDPPHアッセイの装置説明書に従ってプレートの走査を行った。サンプルのフリーラジカル捕捉活性を、吸光度値の生データとして装置から取り出し、エクセルのスプレッドシートに挿入した。組み込まれたエクセルスプレッドシート計算機能を用いて、IC50値を計算した。
【0070】
平均吸光度:三連の読取値の平均
標準偏差:分散の平方根
成長%:(平均吸光度/平均吸光度ブランク)×100
阻害%:(100−成長%)
IC50:10^FORECAST(50、対数(濃度)、阻害%
【0071】
各種被験成分についてのDPPH値を下記に示す。
【表3】

【0072】
最も低いDPPH値を有する成分が最も高いフリーラジカル捕捉活性量を有しており、調べた濃度では、エリソルビン酸に対する最も効果的な代替酸化防止剤であると考えられる。所望に応じて、抽出物濃度を上昇させることで、フリーラジカル捕捉能力を高めることができる。
【0073】
以上、好ましい実施形態との関連で本発明について説明したが、本発明の範囲は記載の特定の形態に限定されるものではなく、逆に本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲に包含されると考えられる代替物、改変及び均等物を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の酸化型染料、並びに酸化型染料組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解の阻害を行う上で十分な量で存在する少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を含む酸化型毛髪染料組成物。
【請求項2】
酸化防止剤が、植物抽出物である請求項1に記載の酸化型染料組成物。
【請求項3】
植物抽出物が、アスパラチン、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン、カテキン又はこれらの混合物のうちの1以上から選択される少なくとも1種類のフラボノイド成分を含む請求項2に記載の酸化型染料組成物。
【請求項4】
フェノール酸成分が、プロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸、フェルラ酸又はこれらの混合物のうちの1以上を含む請求項3に記載の酸化型染料組成物。
【請求項5】
酸化防止剤が、植物抽出物であるアスパラサス・リネアリス抽出物である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
気密性酸化耐性金属容器中に保存された、1以上の酸化型染料、並びに組成物中に存在する1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害するのに十分な量で存在する少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤を含む、パッケージ化された酸化型毛髪染料組成物。
【請求項7】
気密性の酸化耐性容器が、100ppm未満のカドミウム、水銀、鉛及び6価クロムを有するアルミニウムである請求項6に記載のパッケージ。
【請求項8】
フラボノイド成分が、アスパラチン、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン又はカテキンのうちの1以上を含む請求項6に記載のパッケージ。
【請求項9】
フェノール酸成分が、プロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸又はフェルラ酸のうちの1以上を含む請求項6に記載のパッケージ。
【請求項10】
有機酸化防止剤の少なくとも一部、好ましくは全てが、少なくとも1種類のフラボノイド成分及び/又は少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む酸化防止剤によって置き換わっている、有機酸化防止剤によって酸化分解に対して安定化された1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物。
【請求項11】
有機酸化防止剤が、エリソルビン酸であり、該エリソルビン酸の全てが酸化防止剤によって置き換わっている請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
酸化防止剤が、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン及びカテキンのうちの1以上を含むフラボノイド成分を含む請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
酸化防止剤が、プロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸及びフェルラ酸のうちの1以上を含むフェノール酸成分を含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害するのに十分な量の、少なくとも1種類のフラボノイド成分及び少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤とともに、酸化型染料組成物を製剤する段階を有する、気密酸化耐性パッケージ中に1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物を有する、複数回使用酸化型染料製品の製造方法。
【請求項15】
フラボノイド成分が、アスパラチン、オリエンチン、イソオリエンチン、ルチン、イソケルセチン、ビテキシン、イソビテキシン、クリセリオール、ケルセチン、ルテオリン、ノトファギン又はカテキンのうちの1以上を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
フェノール酸成分が、プロトカテキュ酸、コーヒー酸、p−ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、p−クマル酸及びフェルラ酸のうちの1以上を含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
1以上の酸化型染料の酸化分解を阻害するのに十分な量で少なくとも1種類のフラボノイド成分及び少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の酸化防止剤とともに酸化型染料組成物を製剤する段階を有する、気密酸化耐性パッケージ中に1以上の酸化型染料を含む酸化型染料組成物を含む複数回使用酸化型染料製品の製造方法。
【請求項18】
気密酸化耐性パッケージが、カドミウム、水銀、鉛及び6価クロムをそれぞれ100ppm未満有するアルミニウムチューブである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
酸化型染料組成物及び水系酸化剤組成物を合わせることで形成された酸化型染料混合物を毛髪に適用する段階を有し、該酸化型染料混合物が少なくとも1種類の酸化型染料と少なくとも1種類のフラボノイド成分及び少なくとも1種類のフェノール酸成分を含む少なくとも1種類の抗酸化性植物抽出物とを含む、酸化的に毛髪を染色する方法。
【請求項20】
混合物を毛髪に5〜60分間適用する請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2011−518829(P2011−518829A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506359(P2011−506359)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/040594
【国際公開番号】WO2009/134618
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(501316998)アヴェダ コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】