説明

酸化染毛剤

【課題】本発明の目的は、使用時の刺激臭がなく、染毛効果に優れ、かつ使用後の感触不良を低減させ、従来品にない軽やかでなめらかな感触を付与することができる酸化染毛剤を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)アルカノールアミン、(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種、(C)カチオン化グアーガム、及び(D)中性アミノ酸を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤からなる酸化染毛剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を染色するための酸化染毛剤に関わり、使用時の刺激臭がなく、染毛効果に優れ、かつ使用後の感触不良を低減させ、従来品にない軽やかでなめらかな感触を付与することができる酸化染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤としては、第1剤にアルカリ剤や酸化染料を、第2剤に酸化剤をそれぞれ必須成分として含有する2剤型の酸化染毛剤が知られている。これら2剤型のものは使用時に第1剤と第2剤とを混合して用いる。
【0003】
これら酸化染毛剤において、アルカリ剤は重要な作用を有している。すなわち、アルカリ剤は系をアルカリ性にすることによって毛髪を柔軟、膨潤させて染毛しやすくする他、第1剤と第2剤を混合した際に、第2剤の有効成分である過酸化水素のような酸化物をアルカリ性にすることによって分解させ、発生する酸素によって毛髪中のメラニン色素を分解し、毛髪を脱色する作用を有する。また同時に、発生した酸素が酸化染料を毛髪中に酸化定着させる基礎的な作用も有している。
【0004】
酸化染毛剤において、最もよく用いられるアルカリ剤としてはアンモニアが挙げられる。アンモニアは他のアルカリ剤に比べて分子量が小さく、毛髪を膨潤させる効果に富んでいるため、優れた染毛効果を発揮する。しかしながら、揮発性のため、アンモニア特有の刺激臭が問題である。また、他のアルカリ剤として、モノエタノールアミンやアミノメチルプロパノール等の不揮発性アルカノールアミンを使用することもある。しかし、これらのアルカノールアミンは、確かに無臭性であるが、アンモニアに比べて分子量が大きい為に毛髪を膨潤させる効果が劣るため染毛効果が劣ることや、不揮発性のため毛髪中に残留するおそれもあり、それが染毛後の感触不良につながるという問題があることが知られている。
【0005】
また、毛髪表面には普通、日常生活における洗髪行為により、水道水内に含まれる金属イオンが結合してできる不溶性の金属塩が付着していると考えられている。毛髪に付着した金属イオンは、染毛作用を阻害することがあり、手触りも悪くするという懸念がある。そのため、一般的に酸化染毛剤には該金属塩乃至金属イオンの影響を軽減させるためにエデト酸塩が配合されるが、やはり染毛後の手触りは満足できるものではない。このため、染毛後の手触りをさらに改良することが求められている。
【0006】
また、酸化染毛剤を塗布する際の薬剤の毛髪への延びの良さ、染毛後の洗髪時における指通りの良さ、ドライ後の手触りの良さなどを得るために、一般的にカチオン化セルロース、シリコーン類、タンパク質加水分解物などの高分子剤を用いる。しかしながら、高分子であるがゆえに、ドライ後に毛髪表面に被膜を形成し、それが「がさつき」や「べたつき」といった手触りの悪さに繋がることもある。さらに、染毛中に毛髪に吸着した高分子剤が邪魔をして、日常のコンディショニング剤の効果を低下させるという懸念もある。
【0007】
かかる問題点を解消することを提唱すべく、多くの特許出願がなされている。例えば、特許文献1〜5はアルカノールアミン等を配合し、使用時の刺激臭と毛髪に対するダメージが少なく、更に高い染毛効果も得られるという技術内容である。しかしながら、消費者には、より軽やかでなめらかな仕上がりが求められている。
【特許文献1】特開2000−264822公報
【特許文献2】特開2000−336020公報
【特許文献3】特開2004−262886公報
【特許文献4】特開2005−053821公報
【特許文献5】特開2007−001890公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、使用時の刺激臭がなく、染毛効果に優れ、かつ使用後の感触不良を低減させ、従来品にない軽やかでなめらかな感触を付与することができる酸化染毛剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなる酸化染毛剤において、該第一剤中にアンモニアのような刺激臭を持たないアルカノールアミン、不溶性の金属塩の除去に効果があると言われているクエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種、特定の高分子剤であるカチオン化グアーガム、ならびに中性アミノ酸を併用することにより、使用時の刺激臭がなく、染毛効果に優れていて、毛髪の損傷を低減させ、「がさつき」や「べたつき」といった使用後の感触不良が改善され、日常のコンディショニング剤の効果が向上された、従来にないより軽やかでなめらかな感触を得られる酸化染毛剤を提供することができることを見出した。本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0010】
項1.次の成分(A)〜(D)
(A)アルカノールアミン
(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種
(C)カチオン化グアーガム、及び
(D)中性アミノ酸
を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤からなる酸化染毛剤。
【0011】
項2.前記第1剤100重量%に対して、成分(A)〜(D)を下記の割合で含有する項1に記載の酸化染毛剤。
(A)アルカノールアミン:0.5〜16重量%、
(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種:0.05〜4重量%
(C)カチオン化グアーガム:0.04〜1.2重量%及び
(D)中性アミノ酸:0.04〜2.2重量%
項3.前記第1剤及び第2剤において、陽イオン性界面活性剤を含有しないことを特徴とする項1又は2に記載の酸化染毛剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、酸化染毛剤の第1剤に(A)アルカノールアミン、(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種、(C)カチオン化グアーガム、及び(D)中性アミノ酸を配合することによって、使用時の刺激臭を完全にないか殆どなくすることができ、優れた染毛効果が得られ、毛髪の損傷を低減させることができ、使用後の感触不良が改善され、日常のコンディショニング剤の効果が向上された、より軽やかでなめらかな感触を付与することができる酸化染毛剤を提供することができる。
【0013】
また、例えば、従来、例えばアルカリ剤としてアンモニアに代えて単にアルカノールアミンを使用いた場合には、その刺激臭の問題は解消されるが、染毛効果の低下及び染毛後の感触不良が生じていた。本発明の酸化染毛剤によれば、アルカノールアミンを使用しているにもかかわらず、刺激臭だけでなく、染毛効果の低下及び染毛後の感触不良の点でも、その問題を解消することができる。
【0014】
また、従来より使用後の感触不良を向上さるために陽イオン性界面活性剤が酸化染毛剤に含有されている。本発明は、従来通りの陽イオン性界面活性剤の併用を排除するものではないが、本発明の酸化染毛剤によれば、陽イオン性界面活性剤を併用しなくとも、満足のできる手触りの良さを付与することができる。また、本発明の酸化染毛剤によれば、このように陽イオン性界面活性剤を併用しなくとも満足のできる効果が得られることから、従来問題とされていた陽イオン界面活性剤による染毛中および染毛後の頭皮への刺激も排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
I.酸化染毛剤
本発明の酸化染毛剤は、次の成分(A)〜(D)を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤からなる。
(A)アルカノールアミン
(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種
(C)カチオン化グアーガム、及び
(D)中性アミノ酸
以下、本発明の酸化染毛剤の構成について詳細に説明する。
I−1.第1剤
第1剤には、次の成分(A)〜(D)が含有される。第1剤の形態は、本発明の効果を奏する形態であれば各種形態のものが使用でき、液状、クリーム状、フォーム状、ジェル状、乳液状等を問わない。
(A)アルカノールアミン
(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種
(C)カチオン化グアーガム、及び
(D)中性アミノ酸
(A)アルカノールアミン
アルカノールアミンとしては限定されないが、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、テトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)エチレンジアミン(TE)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)などが挙げられる。染毛効果を考慮すると、分子量が小さいアルカノールアミンがより好ましい。この点から、上記例示した中では、例えば分子量が比較的小さいモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)がより好ましく、モノエタノールアミンがさらに好ましい。
【0016】
本発明において、アルカノールアミンの配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、アルカノールアミンの配合量が少なすぎると十分な染毛効果が得られず、多すぎると毛髪に対してのダメージが大きくなる傾向がある。このため、アルカノールアミンの配合量は、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して0.5〜16重量%、好ましくは0.6〜15重量%、より好ましくは1〜13重量%、さらに好ましくは1.5〜12重量%とすることができる。
【0017】
アルカノールアミンは公知化合物であり、公知の方法によって製造できる。また、本発明において、アルカノールアミンは市販のものを使用することもできる。市販されているアルカノールアミンの例示としては、商品名:モノエタノールアミン Care(BASF ジャパン(株))、AMP Ultra PC 1000(アンガスケミカル(株))等が挙げられる。
(B)クエン酸及びその塩
クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種としては限定されないが、例えば、クエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸アンモニウムが挙げられる。本発明において水への溶解性及び臭いの点を考慮すると、クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種としては、クエン酸、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
【0018】
本発明において、クエン酸及びその塩の配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、クエン酸及びその塩の配合量が少なすぎると十分な染毛効果及び感触改良効果が得られず、多すぎると感触が悪くなる傾向がある。このため、クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種の配合量は、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して0.05〜4重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%、さらに好ましくは0.3〜1重量%とすることができる。
【0019】
クエン酸及びその塩は公知化合物であり、公知の方法によって製造できる。また、本発明において、クエン酸及びその塩は市販のものを使用することもできる。市販されているクエン酸又はその塩の例示としては、商品名:精製クエン酸M(扶桑化学工業(株))、精製クエン酸ナトリウムM(扶桑化学工業(株))等が挙げられる。
(C)カチオン化グアーガム
カチオン化グアーガムとしては限定されないが、例えば、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等が挙げられる。本発明において、より一層ドライ後のなめらかな感触を得ることができる点から、カチオン化グアーガムとしては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドがより好ましく、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドがさらに好ましい。
【0020】
本発明において、カチオン化グアーガムの配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、カチオン化グアーガムの配合量が少なすぎると洗髪時にきしみが感じられ、ドライ後のなめらかな感触が得られず、また多すぎるとグアーガム特有の臭いが出て、更にドライ後に被膜感も感じるようになる傾向がある。このため、カチオン化グアーガムの配合量は、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して0.04〜1.2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.08〜0.8重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%とすることができる。
【0021】
カチオン化グアーガムは公知化合物であり、公知の方法によって製造できる。また、本発明において、カチオン化グアーガムは市販のものを使用することもできる。市販されているカチオン化グアーガムの例示としては、商品名:COSMEDIA GUAR C261(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:コグニス ジャパン(株))等が挙げられる。
(D)中性アミノ酸
中性アミノ酸としては、アミノ基とカルボキシル基を1個ずつ持っているアミノ酸であれば限定されないが、例えば、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、バリン、スレオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、トリプトファン、シスチン、メチオニン、プロリン、グルタミン及びアスパラギン等が挙げられる。製剤のpHに影響を及ぼさずに、保湿性が高く、ドライ後のなめらかな感触を付与することが比較的低コストで可能な点から、本発明において、中性アミノ酸としては、グリシン、アラニン及びセリンが好ましい。
【0022】
また、中性アミノ酸にはL−体、D−体という光学異性体が存在する(グリシンは除く)が、毛髪ケラチンを構成しているのはL−体である点から、本発明においてはL−体の中性アミノ酸がより好ましい。
【0023】
本発明において、中性アミノ酸の配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、中性アミノ酸の配合量が少なすぎると、ドライ後のなめらかな感触が得られず、多すぎるとドライ後の感触がべたつく傾向がある。このため、中性アミノ酸の配合量は、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して0.04〜2.2重量%、好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.08〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%とすることができる。
【0024】
中性アミノ酸は公知化合物であり、公知の方法によって製造できる。また、本発明において、中性アミノ酸は市販のものを使用することもできる。市販されている中性アミノ酸としては、例えば、商品名:グリシン(昭和電工(株))、L−アラニン(味の素(株))、L−セリン(純正化学(株))等が挙げられる。
【0025】
本発明の酸化染毛剤の第1剤には、必要に応じて以下の成分等をさらに配合してもよい。以下、これら成分について説明する。
そのほかの成分
そのほかの成分−高級アルコール
第1剤には、さらに高級アルコールを加えてもよい。これにより、染毛において、安定性、操作性(例えば毛髪への塗布のしやすさ、垂れ落ちない、混合操作の容易さ等)、染色性、堅牢性の点で優れた効果が得られる。
【0026】
その配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して、高級アルコールの純分に換算して合計で1〜40重量%とすることができる。1重量%より少ないと十分な安定性、操作性、染色性、堅牢性が得られず、また40重量%を超えても増加分の向上が認められない。さらに効果及び経済性を考慮すると、2〜35重量%の範囲が好ましく、3〜30重量%の範囲がより好ましい。
【0027】
ここで、本発明に用いられる高級アルコールとしては、炭素数8〜24のアルコールが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。これらの中でも特にセタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール及びヘキシルデカノールが安定性の面から好ましい。
そのほかの成分−界面活性剤
第1剤には、さらに界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤は高級アルコールと同様の目的で添加される。
【0028】
その配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、例えば酸化染毛剤の第1剤の全重量に対して、界面活性剤の純分に換算して合計で1〜40重量%とすることができる。1重量%より少ないと十分な安定性、操作性、染色性、堅牢性が得られず、また40重量%を超えても増加分の向上が認められない。さらに効果及び経済性を考慮すると、2〜35重量%の範囲が好ましく、3〜30重量%の範囲がより好ましい。
【0029】
また、本発明に用いられる界面活性剤としては、公知のものを広く使用できる。具体的には非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、以下の通りで少なくともいずれか1種以上加えるとより効果的である。
【0030】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0031】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジヒドロキシエチルベタインナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン及びセチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0032】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシル−L−グルタミン酸ジエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエトキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレオイルザルコシン、オレオイルメチルタウリンナトリウム、カルボキシ化ポリオキシエチレントリデシルエーテル、L−グルタミン酸トリエタノールアミン硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウム硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウムヤシ油脂肪酸アミド、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、ジウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、トリデシル硫酸トリエタノールアミン、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ジエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸・牛脂脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウムアミド、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシン、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミンラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルβ−アラニンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0033】
両性界面活性剤としては、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシノイル−カルボキシルメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ステアリルベタイン、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン及びラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等が挙げられる。
【0034】
染毛中および染毛後の頭皮への刺激を考えると、陽イオン性界面活性剤以外の界面活性剤を使用することが好ましい。また、非イオン性界面活性剤を使うことが製剤の安定性の向上及び、さらなる染毛中の皮膚刺激緩和という点でより好ましい。
そのほかの成分−酸化染料及び直接染料
本発明の酸化染毛剤は、通常第1剤に、酸化染料を含有している。酸化染料としては、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、5−アミノオルトクレゾール、硫酸5−アミノオルトクレゾール、塩酸2,4−ジアミノフェノール、塩酸トルエン−2,5−ジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、塩酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、塩酸メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、酢酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、硫酸2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジフェニルアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、ヒドロキノン、ピロガロール、N−フェニルパラフェニレンジアミン、フロログルシン、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、没食子酸、硫酸オルトアミノフェノール、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、 硫酸4,4’−ジアミノジフェニルアミン、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸パラアミノフェノール、硫酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラメチルアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール及び硫酸メタフェニレンジアミン、レゾルシン等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
また、本発明の酸化染毛剤は、第1剤にさらに直接染料を含有してもよい。直接染料としては、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸2−アミノ−5−ニトロフェノール、硫酸ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0036】
酸化染料は単独または直接染料と併用して用いてもよい。なお、直接染料のみを用いることは、洗髪の堅牢度が酸化染料に比べて低いことから、好ましくない。
【0037】
酸化染料及び直接染料の配合量としては、染料の種類、希望の染着の程度等によって適宜選択され、任意の量で配合すればよい。例えば、第1剤全重量に対して、上記染料の少なくとも1種を0.01〜20重量%、好ましくは0.02〜12重量%配合することができる。
そのほかの成分−クエン酸及びその塩以外の金属封鎖剤
第1剤には、クエン酸及びその塩以外の金属封鎖剤を配合してもよい。酸化染毛剤中に、金属イオンが存在すると、酸化染毛剤の第1剤中に含まれる酸化染料の発色を速めたり、酸化染毛剤中に含まれる一部の界面活性剤と不溶性物質を作ったりするので、これらを防止するために第1剤にはさらに金属封鎖剤を配合することができる。
【0038】
金属封鎖剤としては、臭い、特に使用時の刺激臭を考慮して、アンモニウム塩を除く公知のものを広く使用できる。具体的には、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム及びポリリン酸ナトリウムなど挙げられる。これら金属封鎖剤を、1種又は2種以上配合することができる。
【0039】
クエン酸及びその塩以外の金属封鎖剤の配合量としては本発明の効果を妨げない限り限定されないが、第1剤全重量に対して、上記金属封鎖剤の少なくとも1種を0.01〜12重量%、好ましくは0.02〜5重量%配合することができる。
そのほかの成分−油剤
第1剤には、油剤を配合することもできる。油剤としては、従来から酸化染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。具体的には、例えば、オリーブ油、ゴマ油、ヒマシ油、ヤシ油、ホホバ油、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、ワセリン、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、などがあげられる。また、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等を使用することができる。
【0040】
上記油剤を1種又は2種以上配合することができ、油剤の配合量としては、本発明の効果を奏する範囲内で通常配合されている配合量であれば、特に限定されない。例えば、油剤は第1剤全重量に対して、0.1〜35重量%、好ましくは0.2〜20重量%になるよう配合される。
そのほかの成分−酸化防止剤
第1剤には、酸化防止剤を配合してもよい。本発明においては、使用する前に酸化染料が酸化され、無用に発色することを抑える目的で、酸化防止剤を配合することができる。また、酸化染毛剤に含有され得る油剤や界面活性剤などの酸化を防止する目的で、酸化防止剤を配合することができる。酸化防止剤としては特に限定されず、公知のものを広く使用できる。具体的には、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸アンモニウム、没食子酸プロピル、トコフェロール、L−システイン、ホモシステイン及びN−アセチル−L−システインなどが挙げられる。これら酸化防止剤を、1種又は2種以上配合することができる。
【0041】
酸化防止剤の配合量としては本発明の効果を妨げない限り限定されないが、第1剤全重量に対して、上記酸化防止剤の少なくとも1種を、0.01〜10重量%、好ましくは、0.02〜5重量%配合するのがよい。
そのほかの成分−pH調整剤
第1剤には、pH調整剤を配合してもよい。
【0042】
第1剤をアルカリ性にするためのpH調整剤としては、刺激臭を発生しない、アンモニア及びアンモニウム塩以外のものを使用できる。例えば、該pH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム及びリン酸三ナトリウム等が挙げられる。
【0043】
第1剤を酸性にするためのpH調整剤としても、刺激臭を発生しない、アンモニウム塩以外のものを使用できる。例えば、リン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸及びピロリドンカルボン酸などが挙げられる。
【0044】
これらpH調整剤は必要であれば1種又は2種以上配合してもよい。
【0045】
pH調整剤の配合量としては本発明の効果を妨げない限り限定されないが、第1剤全重量に対して、上記pH調整剤の少なくとも1種以上を必要に応じて、0.01〜10重量%、好ましくは、0.02〜5重量%配合するのがよい。
【0046】
このほか、公知の毛髪保護剤、着香料、プロピレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール等の溶解剤、高分子化合物、色素、紫外線吸収剤、安定剤、浸透剤、湿潤剤、養毛剤なども本発明の酸化染毛剤の性能を損なわない程度に適宜加えてもよい。
【0047】
前述の成分(A)〜(D)及び前述の任意の成分を水に溶解、混合することにより、第1剤を製造することができる。水としては通常精製水が配合される。水の配合量としては、各成分を所定量配合した場合の残部であり、その配合量は、好ましくは第1剤全重量に対して、10〜95重量%程度である。ただし、本発明の酸化染毛剤が、酸化染料、さらに酸化防止剤等の各種成分を含む場合には、水の配合量は、好ましくは10〜80重量%程度となるが、成分の種類、配合量等により当然に適宜調整される。
I−2.第2剤
第2剤には、酸化剤が含有される。第2剤の形態は、本発明の効果を奏する形態であれば各種形態のものが使用でき、液状、クリーム状、フォーム状、ジェル状、乳液状、粉末状等を問わない。
酸化剤
第2剤に含まれる酸化剤としては、アンモニウム塩を除いて、公知のものを広く使用できる。具体的には、酸化剤としては、例えば、過酸化水素や水と接触して酸素を遊離する物質が挙げられる。
【0048】
より具体的には、酸化剤としては、過酸化水素(通常、10〜35重量%水溶液として使用される)、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム(これらは、水溶液又は原料のままで配合される。)等が挙げられる。好ましくは過酸化水素である。これらの酸化剤を、1種又は2種以上混合して用いても良い。
【0049】
酸化剤の配合量としては、酸化染毛剤においては酸化染料をすべて酸化できる量であれば、また、脱色剤においては脱色するのに十分な酸素が発生する量であれば特に限定されないが、第2剤中全重量に対して、酸化剤を0.01〜40重量%程度、好ましくは、0.1〜30重量%程度配合するのがよい。
【0050】
第2剤には、更に必要に応じて、以下の成分が配合されていてもよい。
安定化剤
第2剤中には安定化剤を配合することもできる。該安定化剤としては、従来から染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。より具体的には、リン酸、ピロリン酸、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、アセトアニリド及びスズ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの安定化剤を、1種或いは2種以上配合することができる。
【0051】
安定化剤の配合量としては、酸化剤が安定化される量であれば特に限定されることなく広い範囲から選択できる。一般には、第2剤全重量に対して、0.00005〜0.5重量%、好ましくは、0.0001〜0.1重量%の量で配合するのがよい。
油剤
第2剤中には、酸化染毛剤に湿潤、保湿及び柔軟作用を与える目的や、第2剤を増粘させる目的で油剤を配合することもできる。油剤としては、特に限定されることなく、従来から染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。より具体的には、ベヘニルアルコール、セタノール等の高級アルコール、アボガド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等の油脂、流動パラフィン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、乳酸ミリスチル等のエステル類等が挙げられる。また、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等を使用できる。
【0052】
上記の油剤は、1種単独で或いは2種以上混合して配合することができ、その配合量としては、添加目的を達成するに足る量であれば限定されることなく広い範囲から選択できる。一般には、第2剤全重量に対して、0.1〜35重量%、好ましくは0.2〜20重量%の量で配合することができる。
界面活性剤
第2剤中には、酸化染毛剤に湿潤及び柔軟作用を与える目的や、第2剤に加脂、さらに第2剤を乳化する目的で界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤としては、公知のものを広く使用できる。具体的には、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、上記第1剤の成分中で記載したものが同様に使用できる。
【0053】
上記の界面活性剤は、1種単独で又は2種以上混合して配合することができる。該界面活性剤の配合量としては、添加目的を達成するに足る量であれば限定されることなく任意の量を使用できる。一般には、第2剤全重量に対して、60重量%程度までではあるが、0.5〜50重量%、好ましくは、1〜40重量%の量で配合することができる。
金属封鎖剤
酸化染毛剤中に金属イオンが存在すると、前記第1剤中に含まれる酸化染料の発色を速めたり、酸化染毛剤中に含まれる一部の界面活性剤と不溶性物質を作ったりするので、これを防止するために、第2剤中にはクエン酸及び/またはその塩、さらにこれらクエン酸及びその塩以外の金属封鎖剤を配合することができる。
【0054】
金属封鎖剤としては、アンモニウム塩以外の、公知のものを広く使用できる。具体的には、例えば、前述のクエン酸、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムなどのクエン酸及び/またはその塩、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム及びポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。これら金属封鎖剤を、1種又は2種以上配合することができる。
【0055】
金属封鎖剤の配合量としては、第2剤全重量に対して、上記金属封鎖剤の少なくとも1種を、0.01〜1重量%、好ましくは、0.05〜0.5重量%配合するのがよい。
【0056】
このほか、本発明では、必要に応じて、公知の毛髪保護剤、着香料、色素、紫外線吸収剤、安定剤、浸透剤、湿潤剤、養毛剤なども、第2剤の性能を損なわない範囲に適宜加えてもよい。
【0057】
酸化剤及び前述の任意の成分を水に溶解、混合することにより、第2剤を製造することができる。水としては通常精製水が配合される。水の配合量としては、各成分を所定量配合した場合の残部であり、その配合量は、好ましくは第2剤全重量に対して、10〜95重量%程度であるが、さらに第2剤に配合される各種成分の種類、配合量等により当然に適宜調整される。
II.酸化染毛剤
本発明の酸化染毛剤における第1剤及び第2剤は、公知の方法、例えば、第1剤、第2剤共に、それぞれ全成分を配合し混合するか、必要に応じて、一部の成分を配合し加温後攪拌混合し、その後冷却して残りの成分を加え混合することによって製造することができる。例えば、第1剤及び第2剤は、後述の実施例に記載の方法に従い製造することができる。
【0058】
この場合、第1剤及び第2剤の形態は限定されず、これらが共に液状であってもよく、共にクリーム状であってもよく、共にフォーム状であってもよい。また、第1剤が液状及び第2剤がクリーム状など、互いに異なる形態にあってもよい。
【0059】
こうして得られた第1剤及び第2剤を、公知の方法、例えば使用直前に第1剤と第2剤を混合することによって染毛に使用することができる。
【0060】
本発明の酸化染毛剤において、第1剤と第2剤の混合割合は、第1剤の重量100重量部に対し、通常、第2剤が100〜200重量部程度であればよく、好ましくは両者は等重量であればよい。
【0061】
また、本発明の酸化染毛剤において、第1剤及び第2剤は各々別々の容器に独立して保存されていてもよい。あるいは、第1剤及び第2剤は、一つの容器の内部で2つあるいは複数に別れた空間に独立して保存されていてもよい。例えば、以下の表1のようなバリエーションが挙げられるが、本発明の酸化染毛剤はこれらに限定されない。
【0062】
【表1】

【0063】
III.酸化染毛剤による染毛方法
本発明の酸化染毛剤は、前述のように第1剤と第2剤を混合した後、例えば、これを毛髪に塗布するなど常法に従って染毛処理することができ、染毛時間は、塗布量、酸化染料の種類、量、希望の染着の程度によって、適宜選択されるが、5分以上、好ましくは5〜50分、より好ましくは10〜45分、通常40分程度までが例示される。
【0064】
このような本発明の酸化染毛剤によれば、臭い、染毛効果、手触り感の点等における従来の問題を軽減乃至解消することができる。
【実施例】
【0065】
以下の本発明の酸化染毛剤及びその効果について実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例において、配合量は重量%で示す。
試験例
酸化染毛剤について、下記表に記載の各成分及び配合割合の第1剤、第2剤を、常法に従って調製した。即ち、第1剤についてはアルカノールアミン以外の各成分を混合して75℃で加熱溶解させ、攪拌しながら冷却し、ついで45℃付近でアルカノールアミンを配合して混合し、室温まで冷却した。これにより、第1剤を得た。
【0066】
第2剤については、室温で、精製水に、過酸化水素水、リン酸を攪拌混合して調整した。これにより、第2剤を得た。
【0067】
得られた第1剤と第2剤とを、以下使用直前に室温で混合し、むらがなくなるまで十分に混ぜた。
【0068】
各実施例及び比較例の評価結果を、後述の表2〜7に示す。
【0069】
なお、本発明の酸化染毛剤の効果については、下記に示した評価方法によって各項目の評価を行なった。
1.刺激臭
第1剤4g及び第2剤4gを前述のように混合し、得られた混合物の臭いを嗅いだ。その刺激臭について以下の基準で評価した。
【0070】
◎:刺激臭を全く感じない。
【0071】
○:刺激臭をほとんど感じない。
【0072】
△:刺激臭を少し感じる。
【0073】
×:刺激臭を強く感じる。
2.染色性
100%白髪毛束(人毛)2gを水道水に1時間浸し、23時間かけて乾燥させた。この工程を5回繰り返した毛束をテスト用毛束Aとした。
【0074】
第1剤2g及び第2剤2gを前述のように混合し、混合物4gを得た。この混合物4gを、テスト用毛束A2gに塗布した。次いで30℃で30分放置し、水洗、シャンプー後、熱風で乾燥した後のこれら毛束の染色性を目視により以下の基準で評価した。
【0075】
◎:ムラが無く、均一に染まっている。
【0076】
○:ほぼムラが無く、均一に染まっている。
【0077】
△:ややムラがあり、均一性に欠ける。
【0078】
×:ムラがあり、均一に染まっていない。
3.手触り感
黒毛束(人毛)4gを28%アンモニア水3%、35%過酸化水素水6%、エデト酸二ナトリウム0.2%を溶かした精製水に30分間浸した後、水洗し、24時間かけて乾燥させたものを用意する。次にこれを水道水に1時間浸し、23時間かけて乾燥させた。この工程を5回繰り返した毛束をテスト用毛束Bとした。
【0079】
第1剤4g及び第2剤4gを前述のように混合し、混合物8gを得た。この混合物を、テスト用毛束B4gに塗布した。30℃で30分放置し、水洗、シャンプー後、熱風で乾燥した後のこのテスト用毛束Bの手触り感を、くし通りにより以下の基準で評価した。
【0080】
◎:くし通りがとても軽く、なめらかで良い。
【0081】
○:くし通りが引っかからずなめらかであるが、重たい。
【0082】
△:くし通りが悪く、少し引っかかる。
【0083】
×:くし通りがとても悪く、かなり引っかかる。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例1及び比較例1〜4より、第1剤にモノエタノールアミン、クエン酸、カチオン化グアーガム、中性アミノ酸であるL−アラニンを配合することにより、使用時の刺激臭がなく、染毛効果が優れており、かつ仕上がりの感触が従来品に比べて軽やかでなめらかである酸化染毛剤を提供できることがわかった。
【0086】
また、実施例1及び2から明らかなように、モノエタノールアミンではなく、モノイソプロパノールアミンを配合しても所望の効果が得られた。このことから、当該酸化染毛剤に配合すべきアルカリ剤としては、アルカノールアミンにまで範囲を広げることが可能であると推察できた。
【0087】
また、実施例1及び3から明らかなように、クエン酸ナトリウムだけでなくクエン酸を配合しても所望の効果が得られた。このことから、当該酸化染毛剤に配合すべきものとして、クエン酸及びその塩が有効であると考えることができた。
【0088】
【表3】

【0089】
前記実施例1と比較例5より、グアーガムではなくその誘導体であるカチオン化グアーガムを配合することにより、所望の効果が得られることが分かった。また、実施例1及び4と比較例6及び7より、第1剤に配合されるアミノ酸は、特に中性アミノ酸が適しているとこが分かった。
【0090】
【表4】

【0091】
実施例1及び5〜9より、酸化染毛剤に含有される第1剤中のアルカノールアミンの配合量は、第1剤の全量に対して0.5〜16重量%でも十分に所望の効果を得ることができ、0.6〜15重量%でさらに好ましい効果が得られることが分かった。
【0092】
【表5】

【0093】
実施例1及び12〜17より、酸化染毛剤に含有される第1剤中のクエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種の配合量は、第1剤の全量に対して0.05〜4重量%でも十分に所望の効果を得ることができ、0.1〜3重量%でさらに好ましい効果が得られることが分かった。
【0094】
【表6】

【0095】
実施例1及び18〜24より、酸化染毛剤に含有される第1剤中のカチオン化グアーガムの配合量は、第1剤の全量に対して0.04〜1.2重量%でも十分に所望の効果を得ることができ、0.05〜1.0重量%でさらに好ましい効果が得られることが分かった。
【0096】
【表7】

【0097】
実施例1及び25〜31より、酸化染毛剤に含有される第1剤中の中性アミノ酸の配合量は、第1剤の全量に対して0.04〜2.2重量%でも十分に所望の効果を得ることができ、0.05〜2.0重量%でさらに好ましい効果が得られることが分かった。
【0098】
表2〜7より、本発明の酸化染毛剤(実施例1〜31)には、比較例1〜7に記載の酸化染毛剤と比べ、使用時の刺激臭がなく、染毛効果に優れ、かつ使用後の感触不良を低減させ、軽やかでなめらかな感触を付与する効果があることが確かめられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)
(A)アルカノールアミン
(B)クエン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種
(C)カチオン化グアーガム、及び
(D)中性アミノ酸
を含有する第1剤、及び酸化剤を含有する第2剤からなる酸化染毛剤。

【公開番号】特開2009−286713(P2009−286713A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139432(P2008−139432)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(390002141)ヘンケルジャパン株式会社 (5)
【Fターム(参考)】