酸化還元電位水溶液並びにその製造方法および使用方法
少なくとも24時間安定である酸化還元電位(ORP)水溶液および該溶液を使用する方法を提供する。本発明は、患者の状態を予防または治療する方法を提供し、当該方法は、治療有効量のORP水溶液を投与することを含む。正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法をさらに提供し、当該方法は、該組織を治療有効量のORP水溶液と接触させることを含む。表面を消毒する方法をさらに提供し、当該方法は、表面を抗感染量のORP水溶液と接触させることを含む。ORP水溶液を製造する方法もまた提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化還元電位水(oxidative reductive potential water)溶液およびその溶液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超酸化水としても知られる酸化還元電位(ORP)水は、種々の環境で、細菌、ウイルス、胞子を含む微生物を根絶するための非毒性の消毒剤として使用できる。例えば、ORP水は、表面や医療装置を消毒する、ヘルスケアや医療デバイスの分野で適用できる。ORP水は環境的に安全であり、従って、コストのかかる使い捨ての必要性が避けられることが有利である。ORP水はまた、創傷のケア、医療デバイスの滅菌、食品の滅菌、病院、消費者の家庭および抗バイオテロにも適用される。
【0003】
ORP水は有効な消毒剤であるが、非常に限られた保存寿命しか有しない(通常、ほんの数時間)。この短い寿命の結果として、ORP水が消毒剤として使用される場所の極めて近くで、ORP水の製造を行う必要がある。このことは、病院等の保健医療施設は、ORP水を製造するのに必要な装置を購入し、備え付け、維持する必要があるということを意味する。さらに、前もって製造する技術では、保険医療施設で消毒剤として広範な使用を可能とするのに十分な商業的規模の量のORP水を製造できなかった。
【0004】
従って、長時間にわたって安定であるORP水およびかかるORP水を使用する方法の必要性が存在する。追加のコストをかけずに商業規模の量のORP水を製造する方法の必要性も存在する。本発明はそういったORP水並びにORP水を製造および使用する方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ORP水はさらに、米国特許出願公開2002/0160053に記載されているように、患者における組織細胞成長プロモーターとしても用いられてきた。しかしながら、組織との接触を素早く失ってしまう水を適用しても、治療の効率を最大にすることにはならない。したがって、治療されるべき組織との接触を維持し、より長い期間にわたって安定であるようなORP水を含有する組成物が必要とされている。本発明のこれらの利点およびその他の利点、そして付加的な発明の特性は、本明細書中で提供される発明の詳細から明らかとなるであろう。
【0006】
本発明は、少なくとも24時間安定である酸化還元電位(ORP)水溶液を提供する。本発明はさらに、少なくとも24時間安定である酸化還元電位水溶液を含有する密封容器を提供する。本発明はまた、アノード水とカソード水とを含む酸化還元電位水溶液に関する。1実施態様では、本発明のORP水溶液は、過酸化水素と1種以上の塩素種とを含む。
【0007】
また本発明は、かかるORP水溶液を使用する方法を対象としている。1実施態様では、本発明は患者の病状を予防または治療する方法を提供し、該方法は患者に治療有効量のORP水溶液を投与することを含む。病状としては、例えば、呼吸器系の病状、全身感染症などの医学的病状が挙げられ得る。
【0008】
加えて、本発明は正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法を提供する。この方法は、正常に機能しないかまたは損傷している組織を、治療有効量のORP水溶液(この溶液は少なくとも24時間安定である)に接触させることを含む。本方法は組織を治療することを含むが、ここで組織とは、外科手術によって機能しなくなったもしくは損傷を受けているものであるか、あるいは必ずしも外科手術に関わるものではない原因、例えば、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷、感染などの原因によって機能しなくなったかまたは損傷を受けているものである。
【0009】
さらに、本発明は表面を消毒する方法を提供する。この方法は、表面を抗感染量のORP水溶液(この溶液は少なくとも24時間安定である)に接触させることを含む。かかる表面とは、生物学的なものでも、無生物であってもよく、あるいはそれら表面を組み合わせたものを本発明により消毒してもよい。生物学的な表面としては、例えば、筋組織、骨組織、器官組織、粘膜組織、およびそれらの組み合わせが挙げられ、それらを本発明によって消毒することができる。無生物の表面としては、例えば、外科的に移植可能な装置、人工装置、および医療装置が挙げられる。
【0010】
本発明の別の局面は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含んだ、局所投与のための製剤を含む。この製剤は少なくとも24時間安定である。
【0011】
また本発明は、(1)酸化還元電位水溶液および増粘剤を含んだ、局所投与のための製剤、および(2)製剤が少なくとも24時間安定である密封容器を含む、薬学的投薬形態に関する。
【0012】
加えて、本発明は患者の病状を治療する方法を対象とし、この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤(この製剤は少なくとも約24時間安定である)の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0013】
本発明はさらに、患者における創傷の治癒を促進する方法を提供する。この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤を創傷に適用することを含む。この製剤は創傷の治癒を促進するのに十分な量で投与され、かつ、この製剤は少なくとも約24時間安定である。
【0014】
加えて、本発明は患者の病状を予防する方法を提供する。この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤(この製剤は少なくとも約24時間安定である)の治療有効量を患者に局所的に投与することを含む。
【0015】
本発明の別の観点は、少なくとも2つの電解セルを備える酸化還元電位水溶液の製造装置を含み、ここで、各セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている。当該装置は、塩イオン濃度を制御し維持するのを可能とするために、塩溶液チャンバーに供給される塩溶液用の再循環システムを備えていてもよい。
【0016】
本発明はさらに、酸化還元電位水溶液の製造方法を提供し、当該方法は、
少なくとも2つの電解セルを提供すること、ここで、各セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れを供給すること;
塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給すること;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れ、および塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れと同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給すること;および
電解セルによって生成した酸化還元電位水溶液を集めること;
を包含する。
【0017】
本発明はまた、アノード水とカソード水とを含む酸化還元電位水溶液の製造方法に関し、当該方法は、
少なくとも1つの電解セルを提供すること、ここで、当該セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れを供給すること;
塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給すること;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れ、および塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れと同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給すること;および
電解セルによって生成した酸化還元電位水を集めること
を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
本発明は、患者の病状を予防または治療する方法を提供する。該方法は、治療有効量の酸化還元電位(ORP)水溶液を患者に投与することを含み、この溶液は少なくとも24時間安定である。病状としては、例えば、医学的病状、疾患、負傷、アレルギーなどを挙げることができ、これらは本発明のORP水溶液で治療可能である。
【0019】
本発明の文脈において、患者(例えば、動物、とりわけヒト)に投与される治療有効量とは、患者の治療的または予防的反応を適度なタイムフレーム(期間)にわたって得るのに十分なものであるべきである。投与量は、当該分野で周知の方法を用いて容易に決めることができる。当業者は、特定の患者のための具体的な投与レベルが様々な要因に依存することを理解するであろう。例えば投与量は、使用される特定のORP水溶液の強度、病状の重篤度、患者の体重、患者の年齢、患者の身体的および精神的状態、健康状態、性別、食生活などに基づいて決めることができる。また投与量のサイズは、特定のORP水溶液の投与に付随して起こりうる任意の有害な副作用の存在、性質、および程度に基づいて決めることもできる。可能な場合は、有害な副作用を最小限に保つことが望ましい。
【0020】
具体的な投与量のために考慮に入れてもよい要因としては、例えば、バイオアベイラビリティ、代謝プロファイル、投与時間、投与経路、排出率、特定の患者における特定のORP水溶液に関する薬力学などが挙げられる。その他の要因としては、例えば、治療を受ける特定の病状に対するORP水溶液の効力または効果、治療期間の前もしくは治療期間中に現れる症状の重篤度などが挙げられ得る。治療有効量を定めるものが、部分的に、例えばバイオアッセイなどのアッセイを1つ以上用いることによって決められる場合もある。ここで、アッセイとは、特定の病状の治療または予防に対する、特定のORP水溶液の有効性を合理的に臨床的に予測できるものである。
【0021】
本発明のORP水溶液は治療上、単独で、あるいは1つ以上のその他の治療剤と共に、患者(例えばヒト)へ、例えば現存する病状を治療するために投与されうる。また本発明のORP水溶液は予防的に、単独で、あるいは1つ以上のその他の治療剤と共に、病状に関わる1つ以上の原因因子に曝された患者(例えばヒト)へ投与されうる。例えば、本発明のORP水溶液を、1つ以上の感染を引き起こす微生物(例えば、ウイルス、バクテリアおよび/または真菌)に曝された患者へ、患者における感染の可能性を阻害もしくは減らすため、またはかかる被曝の結果発症する感染の重篤度を減らすために、予防的に適切に投与してもよい。
【0022】
本発明のORP水溶液を投与する適切な方法が利用できること、また1つ以上の投与経路を用いることができるものの、特定の経路がその他の経路よりもより速くより有効な反応を提供することができるということを、当業者は理解するであろう。治療有効量とは、個々の患者においてORP水溶液の「有効なレベル」を達成するのに必要な投与量であり得る。治療有効量は、例えば、患者の病状を予防または治療するために、個々の患者に投与して本発明のORP水溶液の血液レベル、組織レベルおよび/または細胞内レベルを達成するのに必要な量として規定され得る。
【0023】
この有効なレベルを投与の好ましい終点として用いる場合、実際の投与量および投与スケジュールは、例えば、薬力学、分配、代謝などにおける個体間の差異によって変わりうる。また本発明のORP水溶液を、本発明のORP水溶液以外の1つ以上の治療剤(例えば、1つ以上の抗感染症剤、1つ以上の「減速」、「調節」または「中和剤」(例えば、米国特許第5,334,383号および同第5,622,848号に記載されているもの)、1つ以上の抗炎症剤など)と組み合わせて用いる場合も、その有効レベルは変化し得る。
【0024】
適当なインジケータを、有効なレベルを決定および/またはモニターするために用いることができる。例えば、有効なレベルを、適当な患者の試料(例えば、血液および/または組織)の直接的な分析(例えば、分析化学)または間接的な分析(例えば、臨床化学的インジケータを用いる)によって決定することができる。また有効なレベルを、例えば、尿代謝産物の濃度、病状に関わるマーカー(例えば、ウイルス感染の場合はウイルスの総数)の変化、病状に関わる症状の減少などといった直接的または間接的観察によって決定することもできる。
【0025】
本発明のORP水は、当分野で公知の任意の適切な投与方法を用いて投与することができる。本発明のORP水は、当分野で公知の1つ以上の薬学的に許容される、担体、賦形剤、アジュバント、添加剤、または希釈剤と組み合わせて投与することができる。当業者は、本発明にかかるORP水を投与するための適当な製剤および投与方法を容易に決定することができる。技術を持った医者は、その他の要因(例えば、副作用、患者の全体的な状態の変化など)を考慮して、治療している病状の性質または重篤度に対応するために、投与量におけるいかなる必要な調整も容易に行うことができる。
【0026】
1実施態様では、病状とは呼吸器系の病状であり、これは本発明のORP水溶液によって治療可能である。任意の適切な投与方法が、本発明に従って呼吸器系の病状の治療または予防に使用されうる。好ましくは、ORP溶液を上気道に投与して、例えば、呼吸器系の病状に関わる1つ以上の上気道組織と接触させる。本発明のORP溶液は、蒸気または噴霧として上気道に投与できる。さらに、本発明のORP水溶液は、エアロゾル化、噴霧化、または微粒化によって投与できる。本発明のORP水溶液をエアロゾル化、噴霧化、または微粒化によって投与する場合、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲の直径を有する小滴の形態で投与するのが好ましい。
【0027】
エアロゾル化、噴霧化、および微粒化に有用な方法ならびに装置は当分野で周知である。例えば、定量の生理学的に活性な液体を、レシピエントによる吸入のために吸気ガス流に送達するため、医療用噴霧器が用いられている。例えば、米国特許第6,598,602号参照。医療用噴霧器を操作して液体の小滴を作り、その小滴が吸気ガスと共にエアロゾルを形成することができる。別の環境においては、医療用噴霧器を用いて水滴を吸気ガス流に注入し、適切な湿度を有するガスをレシピエントに提供してもよい。これは、吸気ガス流がレスピレータ、ベンチレータ、または麻酔送達システムなどの機械的呼吸補助器によって提供される場合に特に有用である。
【0028】
代表的な噴霧器は、例えば、WO95/01137に記載されている。該文献には、医療液体の小滴を通過空気流(吸気ガス流)に排出するように操作される携帯用装置が記載されている(かかる気流はマウスピースを通したレシピエントの吸入によって発生するものである)。別の例は、米国特許第5,388,571号に見い出され得る。該文献は正圧(positive-pressure)ベンチレータシステムを記載しており、そのシステムは呼吸不全を有する患者の呼吸の制御および増強を提供し、液剤の粒子を患者の肺の気道および肺胞に送達するための噴霧器を含んでいる。米国特許第5,312,281号には超音波噴霧器が記載されており、該噴霧器は水または液体を低温で微粒子化し、記載によるとミストのサイズを調節できるようである。加えて、米国特許第5,287,847号には、医療用エアロゾルを新生児、小児および成人に送達するための、計測可能な流速および出量を有する空気圧式噴霧器が記載されている。さらに、米国特許第5,063,922号には超音波アトマイザーが記載されている。
【0029】
本発明の方法は、1つ以上の上気道組織、特に鼻腔組織、副鼻腔組織、及び肺組織に影響を及ぼす呼吸器系の病状を予防または治療するために用いることができる。かかる呼吸器系の病状としては、例えば、副鼻腔炎(例えば、副鼻腔炎(rhinosinusitis)、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎など)、咽頭炎、喘息などを挙げることができ、これらは本発明のORP溶液で予防可能もしくは治療可能である。
【0030】
通常、慢性副鼻腔炎とは、少なくとも3週間、しばしば数ヶ月または数年間も続く、副鼻腔の炎症を言う。アレルギーが慢性副鼻腔炎に関わっている場合が多い。加えて、喘息を患っている患者が特に高い頻度で慢性副鼻腔炎を有している。埃、かび、および花粉などの空中を浮遊するアレルギー源(アレルギー反応を引き起こす物質)を吸引すると、しばしばアレルギー反応(アレルギー性鼻炎)を誘発し、次いで、それが副鼻腔炎の原因となり得る。真菌に対してアレルギーを持つ人々は、「アレルギー性真菌性副鼻腔炎」と呼ばれる病状を発症し得る。湿った天候または空中や建物の中の汚染物もまた、慢性副鼻腔炎にかかっている人々に影響を及ぼし得る。
【0031】
急性副鼻腔炎と同様に慢性副鼻腔炎は、免疫不全または粘液分泌もしくは運動の異常(例えば、免疫不全、HIV感染、嚢胞性線維症、カルタゲナー症候群)を有する患者においてより頻繁にみられる。さらに、重篤な喘息、鼻ポリープおよびアスピリンやアスピリン様薬物(いわゆる非ステロイド抗炎症剤、すなわちNSAIDs)に対して重い喘息反応を有する患者もいる。後者の患者は、高い頻度で慢性副鼻腔炎を有している。
【0032】
医者は、病歴、健康診断、X線、および必要に応じてMRIもしくはCTスキャン(磁気共鳴画像法およびコンピュータ断層撮影)によって副鼻腔炎を診断できる。副鼻腔炎を診断し、可能性のある原因を特定した後、医者は炎症を減らし症状を和らげる治療コースを処方できる。急性副鼻腔炎を治療するためには、通常、鼻腔の排液を再確立すること、炎症の源を調節もしくは取り除くこと、および痛みを和らげることが必要とされる。一般的に医者は、鼻詰りを減らすための除去剤、バクテリア感染を抑制するための抗生物質、もし痛みがある場合は痛みを減らすための鎮痛剤を勧める。
【0033】
薬による治療が失敗した場合は、例えば、アデノイドの除去、鼻ポリープの除去、鼻中隔彎曲の修復、内視鏡副鼻腔手術などの外科手術が、慢性副鼻腔炎を治療する唯一の別手段でありうる。本発明の方法によるORP水の投与が、抗生物質や外科手術などのより侵襲的な治療法をできれば避けるための別手段として、慢性副鼻腔炎を治療するために用いられうると考えられている。
【0034】
咽頭炎に関しては、診療所、病院、緊急治療室を訪れる人全体の1〜2%が、咽頭炎が原因であると世界的に推定されている。米国およびメキシコでは、咽頭炎/扁桃炎は1年にそれぞれ1500万および1200万件診察したという報告が計上されている。これらの症例は様々なバクテリアおよびウイルスによって引き起こされていることが確証されている。一方では、A群β−溶血性連鎖球菌(β-hemolytic Streptococcus)によって引き起こされる咽頭炎および扁桃炎が、貧困層においてリューマチ熱の危険性を著しく上げていることがわかっている。他方で、たった5〜15%の咽頭炎のみがこのバクテリアによって引き起こされており、残りの急性の症例はほとんど疫学的に関連のないバクテリアおよびウイルスによって引き起こされていると考えられている。後者の症例は数日間の間自己限定的である傾向があり、後遺症を残さない。
【0035】
世界中の多くの医者が急性咽頭炎に対して無差別に抗生物質を処方していることが確認されている。これは日常的なものとして起こっており、それも患者が強力な抗生物質を要求するためであることが多い。残念ながら、臨床的に連鎖球菌による咽頭炎/扁桃炎の正確な診断を確立するのは困難であり、また急性咽頭炎/扁桃炎を抗生物質で治療するコスト/利点の割合には疑問点が多い。メキシコのように、無駄にした労働日数に加えて抗生物質のコストをカバーするための公共サービスの浪費が、国の予算に関して著しい損失を表している国もある。
【0036】
本発明の方法によるORP水の投与が急性咽頭炎/扁桃炎のアジュバント療法に有用でありうると考えられている。急性咽頭炎/扁桃炎の実証的治療を、本発明によるORP水溶液の投与と共に始めてもよく、また、連鎖球菌に対する簡易試験の進展または結果によって、必要な場合にだけその48〜72時間後に抗生物質を始めてもよい。よって本発明の方法により抗生物質の使用を保留することができ、同時に、咽頭炎/扁桃炎がA群連鎖球菌によるものでない場合、患者の症状を減らし、患者の回復を速めることができる。連鎖球菌による咽頭炎/扁桃炎の治療のために、本発明のORP水溶液を抗生物質に対するアジュバントとして用いることにより、臨床反応の期間を短くし、再発の発生率を下げ得る。
【0037】
本発明の方法はまた、本発明のORP水溶液で治療可能な感染の予防または治療に用いることができる。ここで感染とは、例えば伝染性微生物などの1つ以上の伝染性病原によって引き起こされうるものである。かかる微生物としては、例えば、ウイルス、バクテリア、および真菌が挙げられうる。ウイルスとしては、例えば、アデノウイルス、HIV、ライノウイルス、およびインフルエンザ・ウイルスからなる群より選ばれる1つ以上のウイルスが挙げられうる。バクテリアとしては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)からなる群より選ばれる1つ以上のバクテリアが挙げられうる。真菌としては、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、枯草菌(Bacillus subtilis)およびバチルス・アスロフェウス(Bacillus athrophaeus)からなる群より選ばれる1つ以上の真菌が挙げられうる。本発明の方法はまた、本発明のORP水溶液で治療可能な炎症状態またはアレルギー反応の予防あるいは治療のために用いることができる。
【0038】
別の実施態様では、本発明の方法は、本発明のORP水溶液を非経口で投与することを含む。非経口投与としては、本発明のORP水溶液を、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内に投与することが挙げられうる。好ましい実施態様では、本発明の方法に従って、本発明のORP水溶液を静脈内に投与して病状を予防または治療する。適切な病状としては、例えば、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびエイズが挙げられうる。例えば、米国特許第5,334,383号および同第5,622,848号参照。該文献には、ORP水溶液の静脈投与によって、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびエイズを治療する方法が記載されている。
【0039】
本発明はさらに、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法を提供する。この方法は、正常に機能しないかまたは損傷している組織を、治療有効量の本発明のORP水溶液に接触させることを含む。本発明に従って、任意の適切な方法を正常に機能しないかまたは損傷している組織の接触のために用い、それによりかかる正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療することができる。例えば、本発明に従って、組織をORP水溶液で灌注し、正常に機能しないかまたは損傷している組織をORP水と接触させることにより、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療することができる。あるいは(またさらに加えて)、本発明のORP水溶液を、本明細書に記載したように、蒸気もしくは噴霧として、またはエアロゾル化、噴霧化、もしくは微粒化によって投与し、それにより正常に機能しないかまたは損傷している組織をORP水と接触させることができる。
【0040】
本発明の方法は、例えば外科手術によって正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。例えば、本発明の方法は、切開によって正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。さらに、本発明の方法は、口腔手術、グラフト手術、インプラント手術、トランスプラント手術、焼灼、切断、放射線、化学療法、およびそれらの組み合わせにより正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。口腔手術としては、例えば、根管手術、抜歯、歯茎手術などといった歯科手術が挙げられ得る。
【0041】
本発明の方法はさらに、必ずしも外科手術によるものではない、1つ以上の、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷、それらの組み合わせなどによって、機能しなくなったかまたは損傷している組織を治療することを含む。また、本発明の方法は、機能しなくなったかまたは損傷を受けている感染された組織、または感染により機能しなくなったかまたは損傷している組織を治療するために用いることができる。かかる感染とは、例えば、本明細書に記載したような、ウイルス、バクテリア、および真菌からなる群より選ばれる1つ以上の微生物などの、1つ以上の伝染性病原によって引き起こされうるものである。
【0042】
本発明は、表面を消毒する方法をさらに提供する。この方法は、表面を抗感染量の本発明のORP水溶液と接触させることを含む。本発明の方法によれば、任意の適切な方法を用いて表面を接触させることができる。例えば、本発明に従って、表面を本発明のORP水溶液で灌注することによって接触させ、それにより表面を消毒できる。加えて、本発明に従って、本明細書に記載したように、本発明のORP水溶液を蒸気もしくは噴霧として、あるいはエアロゾル化、噴霧化もしくは微粒化によって表面に適用することによって表面を接触させ、表面を消毒することができる。さらに、本発明のORP水溶液は、本明細書に記載したように、清浄用拭き取り材を用いて表面に適用できる。本発明により表面を消毒することによって、表面から伝染性の微生物を駆除しうる。あるいは(もしくは、さらに)、本発明に従って、本発明のORP水溶液を表面に適用して、感染に対するバリアを提供し、それにより表面を消毒することができる。
【0043】
本発明の方法は、生物学的なもの、無生物、またはそれらの組み合わせである表面を消毒するために用いることができる。生物学的な表面としては、例えば、口腔、副鼻腔、頭蓋腔、腹腔、および胸腔といった1つ以上の体腔内の組織が挙げられうる。口腔内の組織としては、例えば、口腔組織、歯茎組織、舌組織、および咽喉組織が挙げられる。また生物学的な組織としては、筋組織、骨組織、器官組織、粘膜組織、およびそれらの組み合わせが挙げられうる。無生物表面としては、例えば、外科的にインプラント可能なデバイス、人工装具、および医療デバイスが挙げられる。本発明の方法によれば、外科手術中に露出する可能性のある、内部器官、内臓、筋肉などの表面を消毒して、例えば、外科的環境の無菌状態を保つことができる。
【0044】
本発明はまた、酸化還元電位(ORP)水溶液および増粘剤を含む、局所投与用製剤を提供する。これらの製剤は調製されてより一層の有効性と安定性とを提供する。
【0045】
本発明の製剤中に存在する水の量は、製剤の重量に基づいて、通常、約10重量%〜約95重量%である。好ましくは、存在する水の量は約50重量%〜約90重量%である。
【0046】
本発明の製剤は、好ましくは、アノード水およびカソード水を含むORP水溶液を含む。アノード水は、本発明で用いる電解セルのアノードチャンバーで生成される。カソード水は、電解セルのカソードチャンバーで生成される。
【0047】
本発明による局所投与用製剤はさらに増粘剤を含む。任意の適切な増粘剤を用いて、所望の粘度(通常、ORP水溶液単独のものよりも大きい)を有する製剤を製造してもよい。使用される増粘剤は、製剤中のORP水溶液およびその他の任意の成分と適合可能なものである。適切な増粘剤としては、ポリマーおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられるが、それらに限定されない。適切なポリマーはホモポリマーもしくはコポリマーであってもよく、必要に応じて架橋されていてもよい。その他の適切な増粘剤は、当該分野で一般的に公知である(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives、第2版、Asheら編(2002年)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Roweら編、(2003年)参照)。
【0048】
好ましい増粘剤はアクリル酸ベースのポリマーである。より好ましくは、増粘剤は、高分子量で架橋されたアクリル酸ベースのポリマーである。これらのポリマーは以下の一般構造を有する:
【0049】
【化1】
【0050】
かかるポリマーは、NoveonからCarbopol(登録商標)の商品名で販売されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、様々なパーソナルケア製品、医薬、および家庭用洗剤において増粘剤、懸濁剤、および安定剤を用いるための流動性調節剤として一般的に供給されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、固体(例えば粉末)または液体のどちらの形態で用いてもよい。
【0051】
本発明の使用に適切なアクリル酸ベースのポリマーは、ホモポリマーもしくはコポリマーであってもよい。適切なホモポリマーは、好ましくはアリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されていてもよい。適切なアクリル酸のコポリマーは、アクリル酸長鎖(C10−C30)アルキルによって修飾されており、好ましくはアリルペンタエリスリトールで架橋されていてもよい。
【0052】
最大の粘度を得るためには、Carbopol(登録商標)ポリマーは中和される。供給される際、Carbopol(登録商標)ポリマーは、乾燥した、きつくコイル状に巻かれた(coiled)酸性分子であり、水素結合によってコイル状構造に保持されている。いったん水もしくはその他の溶媒に分散されると、それらは水和し、部分的にコイル状が解け(uncoil)始める。Carbopol(登録商標)ポリマーから最大の増粘を得るための最も一般的な方法は、酸性ポリマーを塩に変換することによるものである。これは、水酸化ナトリウム(NaOH)またはトリエタノールアミン(TEA)のような一般的な塩基で中和することにより容易に達成される。この中和は長鎖ポリマーの「コイル状を解き」、分子を有効な増粘形態へと膨潤させる。
【0053】
適切な増粘剤は、製剤のための所望の粘度、並びに、外観、せん断抵抗、イオン抵抗、および熱安定性といったその他の特性をもたらすであろう。例えば、Carbopol(登録商標)934は、3000センチポイズ(cps)より大きい粘度を有する懸濁物またはエマルジョン(透明なゲルよりも)のいずれかである製剤用に好ましい。あるいは、その有利な生体付着性の性質のため、Carbopol(登録商標)974Pを用いてもよい。
【0054】
製剤に所望の粘度をもたらすため、任意の適切な量の増粘剤が本発明の製剤中に存在する。通常、増粘剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1重量%〜約10重量%である。
【0055】
すなわち、ORP水溶液の体積に基づく増粘剤の量は、通常、約0.1%重量/体積(mg/mL)〜約50%重量/体積(mg/mL)である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1%w/v〜約10%w/vである。
【0056】
増粘剤の量は、通常、ORP水溶液の約0.1g/250mL〜約50mg/250mLである。好ましくは、存在する増粘剤の量は、ORP水溶液の約1mg/250mL〜約20mg/250mLであり、最も好ましくは、約3mg/250mL〜約15mg/250mLである。
【0057】
アクリル酸ベースのポリマーが低濃度で用いられる場合、製剤は滑りやすく容易に流動する。より高い濃度では、本発明の製剤は高い粘度を有し、擬塑性であり流動しにくい。せん断力がミキサーやポンプによって加えられる場合、見かけの粘度は減り、製剤は流動する(pumped)。
【0058】
本発明の製剤は、必要に応じて中和剤を含んでいてもよい。所望のpHの製剤を得るために、任意の適切な中和剤を用いることができる。適切な中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、L−アルギニン、AMP−95、ニュートロール(Neutrol)TE、トリスアミノ(Tris Amino)、エソミン(Ethomeen)、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンが挙げられる。その他の中和剤は、当該分野で一般的に公知である(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives、第2版、Asheら編(2002年)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Roweら編、(2003年)参照)。適切な中和剤は、液体または固体の形態のいずれであってもよい。
【0059】
増粘剤がCarbopol(登録商標)のようなアクリル酸ベースのポリマーである場合、好ましくは、中和剤のトリエタノールアミンを用いる。中和剤は製剤をゲルに変える。
【0060】
任意の適切な量の中和剤が本発明の製剤に含まれ得る。通常、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%である。好ましくは、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%である。体積に基づけば、中和剤の量は、ORP水溶液の体積に基づいて、約1体積%〜約50体積%の量で存在する。
【0061】
液体の形態で添加される場合、中和剤をORP水溶液の約1mL/250mL〜約100mL/250mLの量で添加してもよい。好ましくは、中和剤の量は、ORP水溶液の約10mL/250mL〜約90mL/250mLである。さらに、固体の形態の場合、約〜の量で中和剤を添加してもよい。
【0062】
製剤はさらに、着色料、香料、緩衝剤、生理学的に許容される担体および/または賦形剤などの付加的な成分を含有していてもよい。適切な着色料の例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カルバゾールバイオレット、酸化クロム−コバルト−アルミニウム、4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン ビス(2−プロペン酸)エステル コポリマーなどが挙げられるが、それらに限定されない。任意の適切な香料を用いることができる。
【0063】
本発明の製剤は、任意の適切な手段によって調製されうる。ORP水溶液および増粘剤などの製剤の成分は、任意の方法で一緒に混合され、均一な混合物を生じ得る。好ましくは、成分は、電気混合またはその他の適切な装置を用いて数分間一緒に混合され、均一性を確実にする。製剤の成分は、通常、約400rpm〜約1000rpm、好ましくは、約500rpm〜約800rpm、より好ましくは、約500rpm〜約600rpmで混合される。
【0064】
該製剤は、均一な混合物を生成するのに十分な時間、一般的には、全ての成分を配合した後、約1分間〜約10分間、混合される。
【0065】
増粘剤が粉末の形態であるとき、均一な製剤の調製を可能とするために、最初に篩にかけて大きな塊をばらばらに砕いてもよい。
【0066】
トリエタノールアミンのような中和剤を、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤に続けて添加してもよい。上述の通り、トリエタノールアミンの添加は、Carbopol(登録商標)のような増粘剤のコイル状を解き、そして、従って、所望の粘度を有する製剤を生成することを可能とし得る。
【0067】
着色剤および香料は、Carbopol(登録商標)のような増粘剤をORP水に溶解する前または後のどちらで混合物に添加してもよいが、中和段階の前である。
【0068】
本発明の製剤の物理的特性は、製剤中に存在するORP水溶液の特性と通常は同じである。ORP水溶液の特性は、増粘剤や任意の中和剤の添加の後でさえ残っている。例えば、ORP水溶液自身の安定性およびpHとORP水溶液を含有する製剤の安定性およびpHとは、一般的に同じである。従って、本明細書記載のORP水溶液の特性の全ては、本発明の製剤に適用される。
【0069】
例えば、本発明の製剤は、一般的に少なくとも24時間、典型的には少なくとも2日間安定である。より典型的には、該製剤は少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、等)、そして好ましくは少なくとも2ヶ月間安定である。より好ましくは、製剤はその調製後少なくとも6ヶ月間安定である。より一層好ましくは、該製剤は少なくとも1年間、そして最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0070】
該製剤のpHは、一般的に約6〜約8の間である。好ましくは、該製剤のpHは、約6.2〜約7.8の間であり、そして最も好ましくは約7.4〜約7.6の間である。
【0071】
本発明の製剤は、患者に局所的に投与するのに適切な任意の形態で使用され得る。適切な形態とは、限定されないが、ゲル、ローション、クリーム、ペースト、軟膏、等を含み、その形態は当該分野で公知である(例えば、Modern Pharmaceutics,第3版,Bankerら編(1996)参照)。ゲルは、典型的には、3次元構造を有する半固形のエマルジョンまたは懸濁液である。好ましくは、該製剤はゲルの形態である。
【0072】
ペーストは、一般的に、水性または脂性の賦形剤に分散した、固形部が大部分を占めることが多い(例えば、20%〜50%)半固形の懸濁液である。ローションは、典型的には、水性の賦形剤と揮発物(50%以上)とを含む乳濁液であり、注ぐのに十分な低粘度(30,000cps未満)を有する。軟膏およびクリームは、一般的に、他の揮発性成分と共に担体の一部として、炭化水素またはポリエチレングリコールを含んでいても良い、半固形のエマルジョンまたは懸濁液である。
【0073】
本発明の製剤がゲルの形態であるとき、ゲルの粘度は約10,000〜約100,000センチポイズ(cps)の範囲である(例えば、約15,000cps、約20,000cps、約25,000cps、約30,000cps、約35,000cps、約40,000cps、約45,000cps、約50,000cps、約55,000cps、約60,000cps、約65,000cps、約70,000cps、約75,000cps、約80,000cps、約85,000cps、約90,000cps、約95,000cps、またはその範囲)。
【0074】
該ゲルのpHは通常は6.0〜8.0の範囲である。このpHより高いと、Carbopol(登録商標)ポリマーなどの増粘剤の粘度は減少し、不十分な局所的製剤となり得る。好ましくは、ゲルのpHは約6.4〜約7.8であり、そしてより好ましくは、約7.4〜約7.6である。
【0075】
本発明の製剤は、多様な状態を治療するために、ヒトおよび/または動物を含む患者に局所的投与するのに適している。具体的には、該製剤は動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、トリ)およびヒトに適用され得る。局所的投与には、経口、経鼻、経気管支、および経直腸の投与経路と同様に皮膚への適用も含まれる。
【0076】
他の実施態様では、本発明は、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤を局所的に投与することにより、患者における状態を治療する方法も対象とする。
【0077】
本発明により治療され得る患者の状態とは、例えば、以下のものを含む:手術/開口創傷の洗浄剤;皮膚病原菌の消毒(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオンに対する);創傷消毒(例えば、争い傷);創傷治癒促進;やけど治癒促進;皮膚真菌の治療;乾癬;水虫;耳感染(例えば、外耳炎);外傷性創傷;急性、亜慢性、慢性感染(例えば、糖尿病性の足の感染が後者の例となる)、褥創、皮膚剥離、清拭した創傷、レーザー剥皮、採皮層/移植片、部分層および全層創傷滲出、浅い傷(裂傷、切り傷、擦り傷、軽微な皮膚炎)およびヒトまたは動物の体上または体内の他の医療適用。本発明により治療される潰瘍は、現在膿瘍または壊死組織を有していてもいなくてもよい。
【0078】
さらに、本発明は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤を創傷に適用することによる、患者における創傷治癒促進のための方法も対象とする。治療される創傷は、任意の手術、潰瘍または他の手段により引き起こされるものであり得る。治療され得る腫瘍には、例えば、糖尿病性の足の潰瘍が含まれる。
【0079】
本発明はさらに、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤を局所的投与することによる、患者における状態を予防する方法に関する。例えば、該製剤(例えば、ゲルの形態で)は、開裂した創傷に対して感染予防のバリアとして使用できる。具体的には、該製剤(例えば、ゲルの形態で)は、神経系および血管合併症の傾向がある糖尿病性の足の潰瘍のような、創傷の表面に適用することができる。これらの創傷は糖尿病患者にとって感染の主な入り口であるので、該製剤は従って感染に対するバリアを提供することができる。
【0080】
該製剤は、例えば感染を含む、患者における性感染症を予防するために使われ得る。予防され得る感染には、ヘルペス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および膣感染症が含まれる。該製剤がゲルの形態の場合、殺精子剤として用いられてもよい。
【0081】
本発明の製剤は、治療有効量で使用または適用され、細菌、ウイルス、および/または病原菌に対して所望の治療効果を提供し得る。本明細書において、治療有効量とは、治療中または予防される状態の改善がもたらされる該製剤の量を示す。例えば、感染を治療するために使われる場合、該製剤の治療有効量は、感染の程度を減少させおよび/またはさらなる感染を予防する。当業者により理解されるように、該製剤を投与することによりもたらされる本発明の製剤の有効性は、短期間(例えば、2、3日)および/または長期間(例えば、数ヶ月)であり得る。
【0082】
該製剤は、患者に所望の効果が観察されるまで十分な期間、例えば、1日、2日、数日、1週間、または数週間、にわたってさらに適用しても良い。
【0083】
該製剤は、いかなる適切な方法で適用しても良い。例えば、多量の製剤を治療対象の患者の表皮に適用し、それから患者自身の指を用いて十分に広げてもよい。あるいは、医療提供者が該製剤を患者の組織に適用しても良い。製剤を適用するのに、適切な道具、例えば、使い捨てのティッシュまたは布、を用いてもよい。
【0084】
本発明のORP水溶液は酸化還元方法によって製造され、それは電解反応またはレドックス反応とも呼ばれ得、そこでは、電気エネルギーを用いて、水溶液中で化学変化を起こす。電気エネルギーは、電流の形態で1点から別の点への電荷の伝導によって、水に導入されそして水を通って輸送される。電流が生じ、存続するために、水中に電荷担体が存在し、この担体を動かす力が存在する必要がある。電荷担体は、金属や半導体の場合のように電子であってもよく、あるいは溶液の場合は陽イオンおよび陰イオンであってもよい。
【0085】
本発明によれば、ORP水溶液の製造の過程において、カソードで還元反応が生じ、一方、アノードで酸化反応が生じる。生じる特異的還元および酸化反応は、国際出願WO03/048421A1に記載されている。
【0086】
本明細書では、アノードで生成した水をアノード水といい、カソードで生成した水をカソード水という。アノード水は、電解反応から生成した酸化された種を含み、一方、カソード水は、当該反応からの還元された種を含む。
【0087】
アノード水は、一般的には、典型的に約1〜約6.8の低いpHを有する。アノード水は一般的に、種々の形態の塩素を含み、例えば、塩素ガス、塩化物イオン、塩酸および/または次亜塩素酸が挙げられる。種々の形態の酸素も存在し、例えば、酸素ガス、過酸化物および/またはオゾンが挙げられる。カソード水は、一般的には、典型的に約7.2〜約11の高いpHを有する。カソード水は、一般的に、水素ガス、ヒドロキシルラジカルおよび/またはナトリウムイオンを含む。
【0088】
本発明のORP水溶液は、酸性、中性または塩基性であり得、一般的に、約1〜約14のpHを有する。このpHで、ORP水溶液は、表面に損傷を与えたり対象物を害することなく、ORP水溶液と接触するヒト皮膚等の硬表面に適当な量で安全に適用できる。典型的には、ORP水溶液のpHは約3〜約8である。より好ましくは、ORP水溶液のpHは約6.4〜約7.8であり、最も好ましくは、そのpHは約7.4〜約7.6である。
【0089】
本発明のORP水溶液は、一般的に、−1000ミリボルト(mV)〜+1150ミリボルト(mV)の間の酸化還元電位を有する。この電位は、電子を受容するか移動させる同溶液の傾向(即ち、電位)の尺度であり、溶液中で金属電極によって感知され、そして参照電極と比較される。この電位は、標準技術によって測定でき、例えば、標準参照の銀/塩化銀電極に対して、ORP水溶液のミリボルトでの電気電位を測定することが挙げられる。ORP水は、一般的に、−400mVと+1300mVとの間の電位を有する。好ましくは、ORP水溶液は、0mVと+1250mVとの間、より好ましくは+500mVと+1250mVとの間の電位を有する。より一層好ましくは、本発明のORP水は、+800mVと+1100mVとの間、最も好ましくは+800mVと+1000mVとの間の電位を有する。
【0090】
本発明のORP水溶液に、種々のイオン種や他の種が存在してもよい。例えば、ORP水溶液は、塩素(例えば、遊離塩素および結合塩素)、オゾンおよび過酸化物(例えば、過酸化水素)を含んでもよい。これらの種の1種以上の存在が、細菌、真菌およびウイルス等の種々の微生物を殺害するORP水溶液の消毒力に貢献する、と考えられる。
【0091】
遊離塩素としては、限定されないが、典型的には、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、塩化物イオン(Cl−)、亜塩素酸イオン(ClO2−)、二酸化塩素(ClO2)、溶解塩素ガス(Cl2)および他のラジカル塩素種が挙げられる。次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとの比は、pHに依存する。pH7.4で、次亜塩素酸レベルは約25ppm〜約75ppmである。温度もまた、遊離塩素成分の比に影響する。
【0092】
結合塩素は、アンモニアまたは有機アミンと化学的に結合した塩素である(例えば、クロラミン)。結合塩素は、一般的に、約20ppmまでの量で存在する。
【0093】
塩素、オゾンおよび過酸化水素は、本発明のORP水溶液に任意の適切な量で存在し得る。これらの成分のレベルは、当該分野で公知の方法によって測定できる。
【0094】
典型的には、遊離塩素と結合塩素の両方を含む全塩素含量は、約50百万分率(ppm)〜約200ppmである。好ましくは、全塩素含量は、約80ppm〜約150ppmである。
【0095】
塩素含量は、DPD比色計法(Lamotte Company,Chestertown,Maryland)または米国環境保護局によって確立された他の公知の方法等の当該分野で公知の方法によって測定できる。DPD比色計法では、遊離塩素とN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)との反応によって黄色が形成され、ppmでアウトプットを与える較正された比色計でその強度が測定される。ヨウ化カリウムをさらに添加することによって、溶液がピンク色になり、全塩素値が与えられる。次いで、全塩素から遊離塩素を差し引くことによって、存在する結合塩素量が決定される。
【0096】
典型的には、二酸化塩素は、約0.01ppm〜約5ppm、好ましくは約1.0ppm〜約3.0ppm、より好ましくは約1.0ppm〜約1.5ppmの量で存在する。二酸化塩素レベルは、改変DPD比色計試験を用いて測定できる。二酸化塩素以外の塩素の形態は、アミノ酸であるグリシンの添加によって除去される。二酸化塩素は、DPD試薬と直接反応してピンク色となり、比色計によって測定される。
【0097】
オゾンは一般的に、約0.03ppm〜約0.2ppm、好ましくは約0.10ppm〜約0.16ppmの量で存在する。オゾンレベルは、BaderおよびHoigne,Water Research,15,449−456(1981)に記載の比色法等の公知の方法によって測定できる。
【0098】
ORP水溶液中の過酸化水素レベルは、一般的に、約0.01ppm〜約200ppmの範囲であり、好ましくは約0.05ppmと約100ppmとの間である。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmと約40ppmとの間、最も好ましくは約1ppmと4ppmとの間の量で存在する。過酸化物(例えば、H2O2、H2O2−、HO2−)は、一般的に、0.12ミリモル(mM)未満の濃度で存在する。
【0099】
過酸化水素のレベルは、電子スピン共鳴(ESR)分光法によって測定できる。あるいは、BaderおよびHoigne,Water Research,22,1109−1115(1988)に記載のDPD法または当該分野で公知の任意の他の適切な方法によっても測定できる。
【0100】
ORP水溶液に存在する酸化性化学種の全量は、約2ミリモル(mM)の範囲であり、これには、上記の塩素種、酸素種、さらにはCl−、ClO3、Cl2−、ClOx等の測定するのが困難であり得る種が含まれる。存在する酸化性化学種のレベルもまた、ESR分光法(スピントラップ分子としてTempone Hを用いる)によって測定できる。
【0101】
本発明のORP水溶液は、一般的に、少なくとも24時間、典型的には少なくとも2日間安定である。より典型的には、当該水溶液は少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間等)安定であり、好ましくは少なくとも2ケ月間安定である。より好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月間安定である。より一層好ましくは、ORP水溶液は少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0102】
本明細書では、用語「安定」は、一般的に、通常の保存条件下(即ち、室温)で、製造後特定期間、ORP水溶液の能力が、意図する使用(例えば、汚染除去、消毒、滅菌、抗微生物洗浄、創傷洗浄)に適して維持されていることを指す。
【0103】
本発明のORP水溶液はまた、加速条件下(典型的には、約30℃〜約60℃で少なくとも90日間、好ましくは180日間)で保存された場合も安定である。
【0104】
溶液に存在するイオン種や他の種の濃度は、一般的に、ORP水溶液の保存寿命中は維持される。典型的には、遊離塩素、二酸化塩素、オゾンおよび過酸化水素の濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度から約70%以上維持される。好ましくは、これらの濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度の約80%以上維持される。より好ましくは、これらの濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度の約90%以上、最も好ましくは約95%以上維持される。
【0105】
本発明のORP水溶液の安定性は、ORP水溶液に曝した後のサンプルに存在する生物量の減少に基づいて決定できる。生物濃度の減少の測定は、細菌、真菌、酵母またはウイルスを含む任意の適切な生物を用いて行い得る。適切な生物としては、限定されないが、大腸菌、ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンスおよびバチルス・アスロフェウス(以前は枯草菌(B. subtilis))が挙げられる。ORP水溶液は、生きた微生物の濃度を4log(104)減少できる低レベル消毒剤、および生きた微生物の濃度を6log(106)減少できる高レベル消毒剤の両方として有用である。
【0106】
本発明の1局面では、ORP水溶液は、溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度を少なくとも4log(104)減少させることができる。好ましくは、ORP水溶液は、溶液の製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、生物濃度のこのような減少が可能である。より好ましくは、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも1年で測定したとき、生物濃度のこのような減少が可能であり、最も好ましくは、ORP水溶液の製造後少なくとも3年で測定したとき、このような減少が可能である。
【0107】
本発明の別の局面では、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物サンプルの濃度を少なくとも6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは製造後少なくとも1年で測定したとき、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌またはカンジダ・アルビカンス生物のこのような減少を達成できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、このような生きた微生物の濃度を少なくとも7log(107)減少できる。
【0108】
本発明のORP水溶液は、一般的に、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、約1×106と約1×108微生物/mlとの間の初期濃度から約ゼロ微生物/mlの最終濃度まで、生きた微生物サンプル(限定されないが、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスを含む)を減少させることができる。これは、生物濃度で6log(106)と8log(108)との間の減少である。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌またはカンジダ・アルビカンス生物のこのような減少を達成できる。
【0109】
あるいは、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約5分以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度を6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、バチルス・アスロフェウス胞子の濃度のこのような減少を達成できる。
【0110】
ORP水溶液はさらに、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約30秒以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度を4log(104)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、バチルス・アスロフェウス胞子の濃度のこのような減少を達成できる。
【0111】
ORP水溶液はまた、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約5〜約10分以内の曝露で、アスペルギルス・ニガー(Aspergillis niger)胞子等の真菌胞子の濃度を6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、真菌胞子の濃度のこの減少を達成できる。
【0112】
1実施態様では、本発明のORP水溶液は、過酸化水素(H2O2)と1種以上の塩素種とを含む。好ましくは、存在する塩素種は遊離塩素種である。遊離塩素種は、次亜塩素酸(HOCl)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、亜塩素酸イオン(ClO2−)、塩化物イオン(Cl−)、二酸化塩素(ClO2)、溶解塩素ガス(Cl2)およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0113】
過酸化水素は、一般的に、約0.01ppm〜約200ppmの範囲で、好ましくは約0.05ppmと約100ppmとの間で、ORP水溶液に存在する。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmと約40ppmとの間、最も好ましくは約1ppmと4ppmとの間の量で存在する。
【0114】
遊離塩素種の全量は、一般的に、約10ppmと約400ppmとの間、好ましくは約50ppmと約200ppmとの間、最も好ましくは約50ppmと約80ppmとの間である。次亜塩素酸の量は、一般的に、約15ppmと約35ppmとの間である。次亜塩素酸ナトリウムの量は、一般的に、約25ppm〜約50ppmの範囲である。二酸化塩素のレベルは、一般的に、約5ppm未満である。
【0115】
過酸化水素と1種以上の塩素種とを含むORP水溶液は、本明細書に記載のように安定である。一般的に、ORP水溶液は少なくとも1週間安定である。好ましくは、ORP水溶液は少なくとも2ケ月間安定であり、より好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月間安定である。より一層好ましくは、ORP水溶液は、少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0116】
この実施態様でのORP水溶液のpHは、一般的に、約6〜約8の間である。好ましくは、ORP水溶液のpHは、約6.2と約7.8との間、最も好ましくは約7.4と約7.6との間である。本発明の模範的なORP水溶液は、例えば、約1ppm〜約4ppmの過酸化水素、約15ppm〜約35ppmの次亜塩素酸、約25ppm〜約50ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含み得、約6.2〜約7.8のpH、そして少なくとも1週間安定である。
【0117】
本発明を決して限定するものではないが、pHの制御によって、過酸化水素と塩素種(例えば、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン等)とが共存している安定なORP水溶液が可能となる、と考えられる。
【0118】
製造後、本発明のORP水溶液または製剤は、例えば、保健医療施設(病院、療養所、医院、外来手術センター、歯科医院等を含む)等のエンドユーザーへの配布および販売のために、密封容器に移してもよい。本発明による薬学的投与形態は、本明細書記載の局所的投与のための製剤および該製剤が配置された密封容器を含む。
【0119】
容器に保持されるORP水溶液または製剤の滅菌性と安定性とを維持する、任意の適切な密封容器を使用できる。容器は、ORP水溶液または該製剤の成分、例えば、ORP水溶液および増粘剤、と適合性のある任意の材料から構成され得る。ORP水溶液中に存在するイオンが任意の感知できる程度まで容器と反応しないように、容器はほぼ非反応性であるべきである。
【0120】
好ましくは、容器は、プラスチックまたはガラスから構成される。容器が棚の上で保存できるように、プラスチックは硬質であってもよい。あるいは、プラスチックは、フレキシブル(可撓性)バッグのようにフレキシブルであってよい。
【0121】
適切なプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエステルテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリビニルクロライドおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、容器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる群から選択されるポリエチレンを含む。最も好ましくは、容器は高密度ポリエチレンである。
【0122】
容器は、患者に投与するためにORP水溶液または製剤の分配を可能とする開口部を備える。容器の開口部は、任意の適切な方法で密封され得る。例えば、容器は、回転してはずれるキャップまたはストッパーで密封されてもよい。必要に応じて、開口部は、フォイル層でさらに密封されてもよい。
【0123】
密封容器の頭部空間のガスは、空気であってもよく、ORP水溶液またはORP水溶液を含む製剤の他の成分と反応しない他の適切な気体であってもよい。適切な頭部空間のガスとしては、窒素、酸素およびそれらの混合物が挙げられる。
【0124】
本発明はさらに、アノード水とカソード水とを含むORP水溶液を提供する。アノード水は、本発明で使用される電解セルのアノードチャンバーで生成される。カソード水は、電解セルのカソードチャンバーで生成される。
【0125】
カソード水は、一般的に、溶液の約10体積%〜約90体積%の量で、溶液のORP水溶液に存在する。好ましくは、カソード水は、溶液の約10体積%〜約50体積%、より好ましくは溶液の約20体積%〜約40体積%、最も好ましくは溶液の約20体積%〜約30体積%の量でORP水溶液に存在する。さらに、アノード水は、溶液の約50体積%〜約90体積%の量でORP水溶液に存在していてもよい。
【0126】
本明細書に記載するように、アノード水とカソード水の両方を含むORP水溶液は、酸性、中性または塩基性であり得、一般的に、約1〜約14のpHを有する。典型的には、ORP水溶液のpHは約3〜約8である。好ましくは、pHは約6.4〜約7.8、より好ましくは、約7.4〜約7.6である。
【0127】
本発明のORP水溶液は、消毒剤、洗浄剤、洗剤、防腐剤等として種々の広範な用途を有し、環境中に存在する望まれないまたは有害な物質の活性を抑制する。ORP水溶液で処理され得る物質としては、例えば、生物やアレルゲンが挙げられる。
【0128】
ORP水溶液は、消毒剤、滅菌剤、汚染除去剤、防腐剤および/または洗浄剤として使用してもよい。本発明のORP水溶液は、以下の代表的な用途での使用に適している:医療、歯科および/または獣医用の装置およびデバイス;食品産業用(例えば、硬表面、果実、野菜、肉);病院/保健医療施設用(例えば、硬表面);化粧品産業用(例えば、皮膚洗浄剤);家庭用(例えば、床、カウンター、硬表面);エレクトロニクス産業用(例えば、回路洗浄、ハードドライブ);およびバイオテロ用(例えば、炭疽菌、感染性微生物)。
【0129】
ORP水溶液はまた、例えば、以下のもの:手術/開口創傷の洗浄剤;皮膚病原菌消毒剤(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオン用);争い傷の消毒剤;創傷治癒促進;やけど治癒促進;胃潰瘍治療;創傷灌注;皮膚真菌;乾癬;水虫;はやり目および他の眼の感染;耳感染(例えば、外耳炎);肺/鼻/鼻腔感染;および、ヒトまたは動物の体上または当該体内の他の医療適用;を含む種々の状態を処置するために、ヒトおよび/または動物にも適用できる。組織細胞増殖促進剤としてのORP水溶液の使用はさらに、米国特許出願公開2002/0160053A1に記載されている。
【0130】
本発明を決して限定するものではないが、ORP水溶液が、それが接触する細菌を撲滅し、蛋白質やDNAを含む細菌細胞成分を破壊する、と考えられる。
【0131】
ORP水溶液での処理によって抑制、減少、殺害または撲滅できる生物としては、限定されないが、細菌、真菌、酵母およびウイルスが挙げられる。感受性細菌としては、限定されないが、大腸菌、ブドウ球菌、バチルス・アスロフェウス、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、豚コレラ菌(Salmonella choleraesuis)、緑濃菌、シゲラ・ディセンテリアエ(Shingella dysenteriae)および他の感受性細菌が挙げられる。ORP水溶液で処理できる真菌および酵母としては、例えば、カンジダ・アルビカンスや毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)が挙げられる。ORP水溶液はまた、例えば、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ライノウイルス、インフルエンザ(例えばインフルエンザA)、肝炎(例えば、肝炎A)、コロナウイルス(重度急性呼吸器症候群(SARS)の原因である)、ロタウイルス、呼吸器シンシチウムウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ルベラウイルスおよび他の感受性ウイルスを含むウイルスにも適用できる。
【0132】
本発明のORP水はまた、環境中に存在するアレルゲンの活性の抑制に使用するのにも適している。本明細書では、アレルゲンとしては、感受性のあるヒトまたは動物において、有害な免疫応答、即ちアレルギーを引き起こし得る、細菌、真菌、酵母またはウイルス以外の任意の物質が挙げられる。ぜんそくは、1種以上のアレルゲンに曝された後の一般的な生理的応答である。アレルゲンは、生存能力があるもの(即ち、生きているまたは死んでいる生物由来)や、そうでないもの(例えば、織物等の非生命体)のいずれかであり得、例えば、家庭および/または仕事場等の環境中に存在しうる。
【0133】
ORP水で処理できる蛋白質ベースの家庭のアレルゲンとしては、例えば、動物の毛、皮膚および排泄物、ハウスダスト、雑草、草、木、ダニ、花粉が挙げられる。動物のアレルゲンとしては、例えば、猫上皮、犬上皮、馬フケ、牛フケ、犬フケ、モルモット上皮、ガチョウの羽、マウス上皮、マウス尿、ラット上皮、ラット尿が挙げられる。
【0134】
職業性アレルゲンとしては、例えば、通常、植物もしくは動物蛋白質由来の天然蛋白質等の高分子量の薬品、およびジイソシアネート等の低分子量の化学物質、並びに一部の布地に見られる他の材料が挙げられる。仕事場に存在しうる他の化学アレルゲンとしては、例えば、無水物、抗生物質、木ダストおよび染料が挙げられる。植物ゴム、酵素、動物蛋白質、昆虫、植物蛋白質、マメを含む多数の蛋白質は、職業性アレルゲンでありうる。
【0135】
ORP水溶液による処理に適した他のアレルゲンは、KorenblatおよびWedner,Allergy Theory and Practice(1992)およびMiddleton,Jr.,Allergy Principles and Practice(1993)に記載されている。
【0136】
本発明のORP水溶液は、所望の殺細菌、殺ウイルス、殺菌および/または抗アレルギー効果を与える任意の適切な量で使用または適用され得る。
【0137】
ORP水溶液は、任意の適切な方法で消毒および滅菌に適用してもよい。例えば、医療または歯科装置を消毒および滅菌するために、装置上に存在する生物のレベルを所望レベルまで減少させるのに十分な時間、装置はORP水溶液と接触して保持される。
【0138】
硬表面の消毒および滅菌については、ORP水溶液は、ORP水溶液が保存されている容器から直接に硬表面に適用してもよい。例えば、ORP水溶液は、硬表面に、注ぎ、噴霧しまたは直接塗布してもよい。次いで、このORP水溶液は、例えば、布、織物またはペーパータオル等の適切な基材を用いて硬表面上に分配してもよい。病院用途では、この基材は好ましくは滅菌性である。あるいは、ORP水溶液は、最初に、布、織物またはペーパータオル等の基材に適用してもよい。次いで、この湿った基材を硬表面と接触させる。あるいは、ORP水溶液は、本明細書に記載のように、空気中に溶液を分散させることによって硬表面に適用してもよい。ORP水溶液は、同様の方法で、ヒトや動物に適用してもよい。
【0139】
床、壁、天井等の硬表面にORP水溶液を適用するために、必要に応じて道具を使用してもよい。例えば、床に適用するために、モップのヘッドにORP水溶液を分配してもよい。硬表面にORP水溶液を適用するのに適切な他の道具は、米国特許第6,663,306号に記載されている。
【0140】
本発明はさらに、本明細書に記載のように、水不溶性基材とORP水溶液とを含む清浄用拭き取り材(cleaning wipe)を提供し、ORP水溶液は基材上に分配される。ORP水溶液は、基材にしみ込ませ、コートし、被覆しまたは塗布してもよい。好ましくは、基材は、清浄用拭き取り材をエンドユーザーへ配布する前に、ORP水溶液で予め処理される。
【0141】
清浄用拭き取り材用の基材は、任意の適切な水不溶性の吸収材料または吸着材料でありうる。種々の広範な材料が基材として使用できる。それは、十分な湿強度、磨耗性、厚み(loft)および多孔性を有すべきである。さらに、基材は、ORP水溶液の安定性に悪影響を与えてはいけない。例としては、不織基材、織物基材、水で絡ませた(hydroentangled)基材およびスポンジが挙げられる。
【0142】
基材は1層以上を有してもよい。各層は、同一または異なるテクスチャー(組織)および磨耗性を有してもよい。異なるテクスチャーは、材料の異なる組み合わせの使用または異なる製造方法の使用、あるいはその組み合わせから生じ得る。基材は、水に溶解すべきではないし、水でばらばらになるべきではない。基材は、処理すべき表面にORP水溶液を送る媒体を提供する。
【0143】
基材は、単一の不織シートまたは複数の不織シートであってもよい。不織シートは、木材パルプ、合成繊維、天然繊維およびそれらの混合物から製造されてもよい。基材で使用される適切な合成繊維としては、限定されないが、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、他のセルロースポリマーおよびこのような繊維の混合物が挙げられる。不織物としては、メルトブローした(meltblown)、共形成した(coform)、エアーレイした(air-laid)、スパンボンドした(spun bond)、ウエットレイした(wet laid)、ボンドしてカードした(bonded-carded)ウェブ材料、水で絡ませた(スパンレースした(spunlaced)としても知られる)材料、およびそれらの組み合わせを含む不織繊維シート材料が挙げられる。これらの材料は、合成もしくは天然繊維またはそれらの組み合わせを含んでもよい。必要に応じて、結合剤が基材中に存在してもよい。
【0144】
適切な不織の水不溶性基材の例としては、Little Rapids Corporationから入手できる100%セルロースWadding Grade 1804、American Non−wovens Corporationから入手できる100%ポリプロピレンニードルパンチ材料NB701−2.8−W/R、Ahlstrom Fibre Compositesから入手できるセルロース繊維と合成繊維とのブレンド−Hydraspun 8579、PGI Nonwovens Polymer Corp.から入手できる70%ビスコース/30%PESコード9881が挙げられる。清浄用拭き取り材で使用するのに適切な不織基材の更なる例は、米国特許第4,781,974号、同第4,615,937号、同第4,666,621号、同第5,908,707号、国際特許出願公開WO98/03713、WO97/40814、WO96/14835に記載されている。
【0145】
基材は、綿繊維、綿/ナイロンブレンド等の織物材料、または他の布地から製造されてもよい。スポンジを製造するのに使用される再生セルロース、ポリウレタンフォーム等もまた使用に適している。
【0146】
基材の液体負荷能力は、その乾燥重量の少なくとも約50%〜1000%、最も好ましくは、少なくとも約200%〜800%であるべきである。これは、基材の重量の1/2〜10倍の負荷として表される。基材の重量は、限定されないが、平方メートル当り約0.01〜約1,000g、最も好ましくは、25〜120g/m2まで変わり(「ベース重量」という)、典型的には、シートまたはウェブとして製造され、それは、適当な形状およびサイズに切断され、ダイ切断され、またはサイジングされる。清浄用拭き取り材は、好ましくは、一定の湿潤引張り強度を有し、それは限定されないが、約25〜約250ニュートン/m、より好ましくは、約75〜170ニュートン/mである。
【0147】
ORP水溶液は、任意の適切な方法によって、基材に分配し、染み込ませ、コートし、被覆しまたは塗布してもよい。例えば、基材の個々の部分は、異なった量のORP水溶液で処理されてもよい。好ましくは、ORP水溶液による基材材料の連続したウェブの大量処理が行われる。基材材料のウェブ全体をORP水溶液に浸漬してもよい。あるいは、基材ウェブが巻かれているとき、または不織基材の製造中であっても、ORP水溶液はウェブ上に噴霧され、または計量しながら供給される。基材を個々に切断しサイズを合わせた多数の部分は、製造業者によって、容器内でORP水溶液を染み込ませるかまたはORP水溶液でコートしてもよい。
【0148】
清浄用拭き取り材は、拭き取りの性質を改良するために、必要に応じて追加の成分を含んでもよい。例えば、清浄用拭き取り材は、拭き取りの性質を改良するために、ポリマー、界面活性剤、多糖類、ポリカルボキシレート、ポリビニルアルコール、溶媒、キレート剤、緩衝液、増粘剤、染料、着色剤、香料およびそれらの混合物をさらに含んでもよい。これらの任意の成分は、ORP水溶液の安定性に悪影響を与えるべきではない。清浄用拭き取り材に必要に応じて含まれてもよい種々の成分の例は、米国特許第6,340,663号、同第6,649,584号、同第6,624,135号に記載されている。
【0149】
本発明の清浄用拭き取り材は、熱密封可能なまたは接着可能な熱可塑性オーバーラップ(ポリエチレン、Mylar等)で個々に密封され得る。拭き取り材は、より経済的な分配のために、多数の個別のシートとして包装することもできる。清浄用拭き取り材は、最初に、ディスペンサー中に基材の複数のシートを入れ、次いで、基材シートを本発明のORP水溶液と接触させることによって製造できる。あるいは、清浄用拭き取り材は、製造工程中に基材にORP水溶液を適用し、次いで、ディスペンサーにこの湿った基材をつめることによって、連続ウェブとして形成できる。
【0150】
ディスペンサーとしては、限定されないが、クロージャ(closure)を有するキャニスターまたはクロージャを有するタブが挙げられる。ディスペンサー上のクロージャは、湿った拭き取り材を外部環境から密封し、液体成分の早すぎる揮発を防止する。
【0151】
ディスペンサーは、基材とORP水溶液の両方に適合性のある任意の適切な材料から製造されてもよい。例えば、ディスペンサーは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVC)または他の硬質プラスチック等のプラスチックから製造できる。
【0152】
拭き取り材の連続ウェブは、ディスペンサーのトップ(上端部)の細い開口部、最も好ましくは、クロージャに通され得る。次いで、ウェブから所望の長さまたは大きさの拭き取り材にサイズを合わせる手段が必要であろう。ナイフブレード、のこぎり歯状エッジまたは所望の大きさにウェブを切断する他の手段が、ディスペンサーのトップ(上端部)に備えられてもよく、非限定の例として、細い開口部は、切断エッジとして実際に二重の仕事を行う。あるいは、拭き取り材の連続ウェブに(連続ウェブを)、均一または不均一のサイズもしくは長さに、刻み目を付け、折り畳み、分割し、ミシン目を入れ、または部分的に切断してもよく、これは、鋭い切断エッジの必要性をなくすであろう。さらに、1つの拭き取り材を除くと次が出てくるように、拭き取り材を交互に差し挟んでもよい。
【0153】
あるいは、本発明のORP水溶液は、空気等の気体媒質を介して環境中に分散させてもよい。ORP水溶液は、任意の適切な手段で空気中に分散させてもよい。例えば、ORP水溶液は、任意の適切なサイズの小滴を形成して室内に分散させてもよい。
【0154】
小規模の適用として、ORP水溶液は、スタンドパイプとポンプとを備える噴霧ボトルを通して分配してもよい。あるいは、ORP水溶液は、エアロゾル容器に充填してもよい。エアロゾル容器は、一般的に、分配される製品、噴射剤、容器、および弁を含む。弁には、アクチュエーターとディップチューブの両方が含まれる。容器の内容物は、アクチュエーターを下に押すことによって分配される。エアロゾル容器の種々の成分は、ORP水溶液と適合性がある。適切な噴射剤としては、液化ハロカーボン、炭化水素またはハロカーボン−炭化水素ブレンド、あるいは二酸化炭素、窒素または亜酸化窒素等の圧縮気体が挙げられ得る。エアロゾルシステムは、典型的には、約0.15μm〜約5μmのサイズの範囲の小滴を与える。
【0155】
ORP水溶液は、肺および/または気道における感染の治療のために、または身体のこのような部分での創傷の治癒のために、吸入器システムの一部としてエアロゾル形態で分配してもよい。
【0156】
大規模の適用として、任意の適切なデバイスを用いて、空気中にORP水溶液を分散させてもよく、限定されないが、加湿器、ミスター(霧吹き器)、フォガー(噴霧器)(fogger)、気化器、アトマイザー、水スプレーおよび他のスプレーデバイスが挙げられる。このようなデバイスは、連続したベースの上へのORP水溶液の分配を可能とする。ノズルで空気と水とを直接的に混合するエジェクタを使用してもよい。ORP水溶液は、低圧蒸気等の蒸気に変換して、気流中に放出してもよい。超音波加湿器、ストリーム加湿器もしくは気化器、および蒸発性加湿器等の種々のタイプの加湿器を使用してもよい。
【0157】
ORP水溶液を分散させるのに使用される特定のデバイスは、家屋または保健医療施設(例えば、病院、療養所等)全体にわたってORP水溶液の広範な適用を提供するために、換気システムに組み込まれてもよい。
【0158】
ORP水溶液は、必要に応じて漂白剤を含んでもよい。漂白剤は、基材を明るくまたは白くする任意の適切な材料であり得る。漂白剤を含むORP水溶液は、家庭での洗濯において使用して細菌や微生物を消毒および滅菌することができ、また衣類を明るくすることができる。適切な漂白剤としては、限定されないが、塩素含有漂白剤および過酸化物含有漂白剤が挙げられる。漂白剤の混合物もまた、ORP水溶液に加えてもよい。好ましくは、漂白剤は水溶液の形態でORP水溶液に加えられる。
【0159】
本発明で有用な塩素含有漂白剤としては、塩素、次亜塩素酸塩、N−クロロ化合物、二酸化塩素が挙げられる。好ましくは、ORP水溶液に加える塩素含有漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸である。他の適切な塩素含有漂白剤としては、塩素、次亜塩素酸カルシウム、ブリーチリカー(例えば、次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウムとの水溶液)、漂白粉(例えば、次亜塩素酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウムおよびそれらの水和物の混合物)、二塩基性次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化リン酸三ナトリウムが挙げられる。塩素含有漂白剤の混合物を使用してもよい。
【0160】
ORP水溶液への漂白剤の添加は、任意の適切な方法で行われ得る。好ましくは、漂白剤を含む水溶液をまず調製する。漂白剤を含む水溶液は、家庭用ブリーチ(例えば、Clorox(登録商標)ブリーチ)または塩素含有漂白剤の他の適切な供給源または他の漂白剤を用いて調製できる。次いで、漂白剤溶液はORP水溶液と混合される。
【0161】
漂白剤は、任意の適切な量でORP水溶液に加えられ得る。好ましくは、漂白剤を含むORP水溶液は、ヒトまたは動物皮膚に対して非刺激性である。好ましくは、塩素含有漂白剤を含むORP水溶液の全塩化物イオン含量は、約1000ppm〜約5000ppm、好ましくは、約1000ppm〜約3000ppmである。塩素含有漂白剤を含むORP水溶液のpHは、好ましくは、約8〜約10であり、酸化還元電位は約+700mV〜約+800mVである。
【0162】
ORP水溶液は、家庭および仕事場のクリーニング環境に適した添加剤を必要に応じて含んでもよい。適切な添加剤としては、洗剤や洗浄剤等の界面活性剤が挙げられる。ORP水溶液の消費者の受け入れを高めるために、香料や他の香りを出す化合物も含まれていてもよい。
【0163】
本発明はさらに、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを備える少なくとも1つの電解セルを用いるORP水溶液の製造方法を提供する。ここで、当該ORP水溶液はアノード水とカソード水とを含んでいる。本発明に有用な典型的な3つのチャンバーを有する(three chamber)電解セルの略図を図1に示す。
【0164】
電解セル100は、アノードチャンバー102、カソードチャンバー104および塩溶液チャンバー106を備える。塩溶液チャンバーは、アノードチャンバー102とカソードチャンバー104との間に位置する。アノードチャンバー102は、アノードチャンバー102を通る水の流れを可能とするために、インレット108およびアウトレット110を備える。同様に、カソードチャンバー104は、カソードチャンバー104を通る水の流れを可能とするために、インレット112およびアウトレット114を備える。塩溶液チャンバー106は、インレット116およびアウトレット118を備える。好ましくは、電解セル100は、全てのコンポーネントを一緒に収納するためのハウジングを備える。
【0165】
アノードチャンバー102は、アノード電極120とアニオンイオン交換膜122とによって塩溶液チャンバーから分離されている。アノード電極120がアノードチャンバー102に隣接して位置決めされてもよく、膜122がアノード電極120と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。あるいは、膜122がアノードチャンバー102に隣接して位置決めされてもよく、アノード電極120が膜122と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。
【0166】
カソードチャンバー104は、カソード電極124とカソードイオン交換膜126とによって塩溶液チャンバーから分離されている。カソード電極124がカソードチャンバー104に隣接して位置決めされてもよく、膜126がカソード電極124と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。あるいは、膜126がカソードチャンバー104に隣接して位置決めされてもよく、カソード電極124が膜126と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。
【0167】
電極は、一般的に金属から構成され、アノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に電圧電位が印加されるのを可能とする。金属電極はほぼ平面であり、イオン交換膜と同様の寸法および断面積を有する。電極は、それぞれのアノードチャンバーとカソードチャンバーとにおいて、イオン交換部材の表面の実質的な部分を水に曝すように構成されている。これにより、塩溶液チャンバーとアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間でイオン種の移動が可能となる。好ましくは、電極は、電極表面にわたって均等に間隔を置いて配置された複数の通路または孔を有する。
【0168】
電位の供給源は、アノードチャンバー102で酸化反応を誘導しかつカソードチャンバー104で還元反応を誘導するように、アノード電極120とカソード電極124とに接続されている。
【0169】
電解セル100で使用されるイオン交換膜122および126は、塩溶液チャンバー106とアノードチャンバー102との間で塩化物イオン(Cl−)等のイオンの交換を可能とし、かつ塩溶液チャンバー106とカソードチャンバー104との間でナトリウムイオン(Na+)等のイオンの交換を可能とする、任意の適切な材料から構成され得る。アノードイオン交換膜122およびカソードイオン交換膜126は、同一または異なる構成材料から製造されてもよい。好ましくは、アノードイオン交換膜は、フッ素化ポリマーを含む。適切なフッ素化ポリマーとしては、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーや、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマーおよびパーフルオロスルホン酸/TFEコポリマー等のコポリマーが挙げられる。イオン交換膜は、単一の材料層または複数層から構成されてもよい。
【0170】
電解セル100のアノードチャンバー102およびカソードチャンバー104のための水の供給源は、任意の適切な水供給源であり得る。水は、市の上水道からでもよく、あるいは電解セルでの使用前に前処理してもよい。好ましくは、前処理水は、軟水、精製水、蒸留水、および脱イオン水からなる群から選択される。より好ましくは、前処理水源は、逆浸透精製装置を用いて得られる超純粋水である。
【0171】
塩水溶液チャンバー106で使用するための塩水溶液は、ORP水溶液を製造するのに適切なイオン種を含む、任意の塩水溶液であり得る。好ましくは、塩水溶液は、生理食塩水とも通常言われる、塩化ナトリウム(NaCl)塩水溶液である。他の適切な塩溶液としては、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム等の他の塩化物塩、並びにカリウムおよび臭素塩等の他のハロゲン塩が挙げられる。塩溶液は、塩の混合物を含んでもよい。
【0172】
塩溶液は、任意の適切な濃度を有し得る。塩溶液は、飽和でも濃縮されていてもよい。好ましくは、塩溶液は、飽和塩化ナトリウム溶液である。
【0173】
本発明で有用な、3つのチャンバーを有する(three chambered)電解セルで生成する種々のイオン種を、図2に示す。3つのチャンバーを有する電解セル200は、アノードチャンバー202とカソードチャンバー204と塩溶液チャンバー206とを備える。アノード208とカソード210とに適切な電流を流したとき、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液中に存在するイオンは、アノードイオン交換膜212およびカソードイオン交換膜214を通って、それぞれ、アノードチャンバー202およびカソードチャンバー204を通って流れる水中に移動する。
【0174】
陽イオンは、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液216から、カソードチャンバー204を通って流れるカソード水218に移動する。陰イオンは、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液216から、アノードチャンバー202を通って流れるアノード水220に移動する。
【0175】
好ましくは、塩溶液216は、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−)の両方を含む塩化ナトリウム(NaCl)水溶液である。陽Na+イオンは、塩溶液216からカソード水218に移動する。陰Cl−イオンは、塩溶液216からアノード水220に移動する。
【0176】
ナトリウムイオンおよび塩化物イオンは、アノードチャンバー202およびカソードチャンバー204でさらに反応を受け得る。例えば、塩化物イオンは、アノード水220中に存在する種々の酸素イオンや他の種(例えば、酸素フリーラジカル、O2、O3)と反応して、ClOn−やClO−を生成し得る。酸素フリーラジカル、水素イオン(H+)、酸素(O2として)、オゾン(O3)、および過酸化物の形成を含む他の反応も、アノードチャンバー202で起こり得る。カソードチャンバー204では、水素ガス(H2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化物イオン(OH−)、ClOn−イオンおよび他のラジカルが形成され得る。
【0177】
本発明は、少なくとも2つの3つのチャンバーを有する電解セルを用いた、ORP水溶液を製造するための方法および装置をさらに提供する。本発明の2つの電解セルを用いたORP水溶液の製造方法の略図を図3に示す。
【0178】
方法300は、2つの、3つのチャンバーを有する電解セル、特に第1電解セル302と第2電解セル304とを含む。水は、水供給源305から、第1電解セル302のアノードチャンバー306およびカソードチャンバー308、および第2電解セル304のアノードチャンバー310およびカソードチャンバー312に導入され、ポンプでくみ上げられ、または分配される。典型的には、本発明の方法は、約1リットル/分〜約50リットル/分のORP水溶液を製造できる。製造能力は、追加の電解セルを用いることによって増加させてもよい。例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の3つのチャンバーを有する電解セルを用いて、本発明のORP水溶液の生産量を増加させてもよい。
【0179】
アノードチャンバー306およびアノードチャンバー310で生成したアノード水は、混合タンク314に集められる。カソードチャンバー308およびカソードチャンバー312で生成したカソード水の一部は、混合タンク314に集められ、アノード水と混合される。本方法で生成したカソード水の残りの部分は廃棄される。カソード水は、必要に応じて、混合タンク314への添加前に、気体分離器316および/または気体分離器318に供されてもよい。気体分離器は、製造方法の間にカソード水中で形成される水素ガス等の気体を除去する。
【0180】
混合タンク314は、電解セル302および304からのアノード水とカソード水の一部との均一な混合を可能とするために、必要に応じて再循環ポンプ315に接続されていてもよい。さらに、混合タンク314は、必要に応じて、ORP水溶液のレベルおよびpHをモニターするのに適切なデバイスを備えていてもよい。ORP水溶液は、混合タンクの位置でまたはその近傍で消毒または滅菌に適用するために、混合タンク314からポンプ317を介して移動させてもよい。あるいは、ORP水溶液は、離れた場所(例えば、倉庫、病院等)へ輸送するために、適当な容器に分配してもよい。
【0181】
方法300は、第1電解セル302の塩溶液チャンバー322および第2電解セル304の塩溶液チャンバー324に塩溶液を提供するために、塩溶液再循環システムをさらに含む。塩溶液は塩タンク320で調製される。塩溶液は、ポンプ321を介して塩溶液チャンバー322および324に移動させる。好ましくは、塩溶液は、まず塩溶液チャンバー322、次いで塩溶液チャンバー324を通って順次流れる。あるいは、塩溶液は、両方の塩溶液チャンバーに同時にポンプで送ってもよい。
【0182】
塩溶液は、必要であれば、ORP水溶液の温度を制御するために、塩タンク320に戻る前に、混合タンク314中の熱交換器326を通って流れてもよい。
【0183】
塩溶液中に存在するイオンは、第1電解セル302および第2電解セル304中で時間の経過につれて減少する。アノード水およびカソード水に移動するイオンの代わりを補充するために、追加のイオン供給源を混合タンク320に定期的に加えてもよい。追加のイオン供給源を使用して、時間の経過につれて下降する傾向がある(即ち、酸性になる)塩溶液の一定のpHを維持してもよい。追加のイオン供給源は、例えば、塩化ナトリウム等の塩を含む任意の適切な化合物であり得る。好ましくは、アノード水およびカソード水に移動するナトリウムイオン(Na+)の代わりを補充するために、水酸化ナトリウムが混合タンク320に加えられる。
【0184】
別の実施態様では、本発明は、少なくとも2つの3つチャンバーを有する電解セルを備える、酸化還元電位水溶液の製造装置を提供する。電解セルの各々は、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとを分離する塩溶液チャンバーを備える。当該装置は、電解セルによって生成したアノード水および1つ以上の電解セルによって生成したカソード水の一部を集めるための混合タンクを備える。好ましくは、当該装置は、電解セルの塩溶液チャンバーへ供給される塩溶液の再利用を可能とするために、塩再循環システムをさらに備える。
【実施例】
【0185】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、勿論、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0186】
実施例1−3
これらの実施例は、本発明のORP水溶液の独自の特徴を示す。実施例1−3のORP水溶液のサンプルは、本明細書に記載の方法に基づいて分析し、各サンプルに存在するイオン種および他の化学種の物理的特性およびレベルを決定した。ORP水溶液の各サンプルについて、pH、酸化還元電位(ORP)および存在するイオン種を表1に示す。
【0187】
【表1】
【0188】
これらの結果が示すように、本発明は、消毒、滅菌および/または洗浄における使用に適切な物理的特徴を有するORP水溶液を提供する。
【0189】
実施例4−10
これらの実施例は、本発明のORP水溶液への種々の量の漂白剤の添加を示す。特に、
これらの実施例は、組成物の抗微生物活性および織物漂白能力を示す。
【0190】
蒸留水を用いて10%Clorox(登録商標)ブリーチ溶液を調製した。次いで、10%漂白溶液を用いて、以下の溶液を調製した:80%ORP水溶液/20%ブリーチ(実施例4);60%ORP水溶液/40%ブリーチ(実施例5);40%ORP水溶液/60%ブリーチ(実施例6);20%ORP水溶液/80%ブリーチ(実施例7);0%ORP水溶液/100%ブリーチ(実施例8)。100%ORP水溶液/0%ブリーチ(実施例9)および0.01%Tween20洗剤を含むORP水溶液(実施例10)を含む2つの対照溶液も比較のために使用した。これらのサンプルの物理的特徴、特にpH、酸化還元電位(ORP)、全塩素(Cl−)含量、次亜塩素酸(HClO−)含量、二酸化塩素含量および過酸化物含量を測定し、表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
漂白剤の一部として加えた多量の塩素イオンは、n.d.表示によって示すように、二酸化塩素および過酸化物のレベルの正確な測定を妨げた。これらの実施例が示すように、漂白剤の添加のありとなしでORP水溶液の次亜塩素酸レベルは類似している。
【0193】
バチルス・ズブチリス変異体ニガー(Bacillus subtilis var. niger)胞子(SPS Medical of Rush,New Yorkから得たATCC♯9372)を用いて、実施例4−10のサンプルを、高胞子計測試験に供した。胞子懸濁液は、4×106胞子/100μlまで濃縮した(滅菌フード中での蒸発によって)。胞子懸濁液の100μlサンプルを、実施例4−10の各サンプルの900μlと混合した。表3に示すように、サンプルを1〜5分間室温でインキュベートした。示した時間で、インキュベートされたサンプル100μlを個々のTSAプレート上に載せ、35℃±2℃で24時間インキュベートし、その後、各プレート上で生じたコロニーの数を測定した。対照プレートは、出発胞子濃度が>1×106胞子/100μlであることを示した。種々のサンプルについて、種々のインキュベーション時間でのバチルス胞子の濃度(2回測定の平均として)を表3に示す。
【0194】
【表3】
【0195】
これらの結果が示すように、2〜3分間インキュベートしたサンプルについて、ブリーチ(10%ブリーチ水溶液として)の濃度が増加するにつれて、殺害されたバチルス胞子の量は減少した。しかし、5分間インキュベートしたサンプルについては、ブリーチの濃度は、バチルス胞子の殺害に影響を与えなかった。さらに、この結果は、ORP水溶液への0.01%洗剤の添加が胞子の殺害量を減少させないことを示している。
【0196】
実施例4−10のサンプルを織物漂白試験に供した。サンプルを試験した織物は、濃青染料パッチのある100%レーヨンの子供のTシャツであった。染色した織物の2インチ平方の断片を、50mlプラスチックチューブに入れた。各織物断片を、実施例4−10の溶液のサンプルで覆った。織物の白化によって決定される、完全な漂白が得られるまでの経過時間を表4に示す。
【0197】
【表4】
【0198】
これらの実施例が示すように、組成物中のORP水溶液の濃度が増加するにつれて、完全漂白が達成されるまでの時間が増加する。
【0199】
実施例11
本実施例は、本発明のORP水溶液の毒性プロフィールに関する。本発明の代表的ORP水溶液であるMicrosyn60(即ちM60)をこれらの研究で用いた。
【0200】
安全性の点で、M60は、国際標準(AAMI1997;NV SOP 16G−44;PFEUM2000)に従って試験して、ウサギの皮膚又は結膜に対して刺激性ではなかった。更に、ラットにおける急性吸入毒性試験は、この経路によるMicrosyn60の投与が安全であることを示した。
【0201】
Microsyn60の潜在的刺激効果を、ウサギでの1次眼刺激研究で評価した。Microsyn60の体積0.1mLを、3羽のニュージーランド白ウサギの右眼に点眼した。各動物の左眼は、対照として未処置のままにした。角膜潰瘍化又は混濁、虹彩の炎症、及び結膜の赤さ又は結膜浮腫について、1、24、48および72時間で眼を観察し、評価した。全ての動物はまた、死亡及び不健康の徴候について、1日1回観察した。
【0202】
研究の間のどの時点でも、処置した眼又は対照の眼のいずれにおいても、眼の刺激の徴候は観察されなかった。研究の持続期間中、全ての動物は、臨床的に健康のようであった。これらの知見は、Microsyn60が陽性の刺激応答を引き起こさないことを示す。
【0203】
また、ラットにおいて急性吸入毒性研究を行って、Microsyn60の潜在的吸入毒性を決定した。10羽のSprauge−Dawleyアルビノラットを、非希釈Microsyn60から発生させたエアロゾルに4時間曝した。Microsyn60の濃度は、2.16mg/Lであると測定した。死亡及び毒性の臨床的/行動的徴候について、曝露日にしばしば、そしてその後14日間で1日1回、全ての動物を観察した。14日目に全ての動物を安楽死させ、死体全体解剖を行った。
【0204】
曝露を始めて4.5時間後および6時間後、全ての動物は、非常に僅か乃至僅かの立毛並びに非常に僅かの活動減少を示したが、翌日までに無症状であり、研究の持続期間中、臨床的に正常であるようであった。1羽の雄は、0日目と7日目との間に体重の増加に失敗した。死亡は無く、死体全体解剖は、観察できる異常を示さなかった。本研究からの推定急性吸入LD50は、2.16mg/Lよりも大きい。
【0205】
更なる毒性研究をウサギで行った。超酸化水(1mL)のエアロゾルを、15、30、45および60日間、1日3回、20羽のニュージーランドウサギの右鼻孔に正圧デバイスにより送達する。左の対照鼻孔は、いかなる処置もしないままにする。未処置の鼻孔およびM60処置した鼻孔からの鼻粘膜バイオプシーを、各時点で5羽の動物から得る。次いで、これらの組織を、光学及び電子顕微鏡検査下、観察する。完全な医学検査は、各動物で1日おきに行い、鼻閉塞、顔面疼痛、圧力、膿性鼻汁、及び倦怠感を記載する。副作用は、稀、中程度、及び一過性として報告する。
【0206】
M60の60日間の鼻内適用後、鼻粘膜の変化が現れた。60日目に、全てのサンプルにおいて、上皮の中程度の破壊、上皮下領域の別個の炎症性湿潤、及び腺と血管との過形成があった。超構造観察下、我々は以下を見出した:上皮細胞内に種々の嚢様変化が現れた;ミトコンドリアは濃縮し、変形し、膜の一部は溶解した。上皮細胞の一部は脱着した;上皮繊毛は殆ど消失し、その膜は溶解し、細胞間空間は拡がった。細胞の一部は基底膜から脱着していた。固有層は中程度に浮腫状であった。
【0207】
本研究は、M60が60日間の鼻内投与後、鼻粘膜を温和に刺激しうることを示す。しかし、このダメージは最小限で可逆性であったので、M60投与の鼻内経路は安全であると考えられ得た。これは、以下の事実に基づく:数年間の血管収縮剤の適用後、鼻粘膜は重度に損傷を受けうるが、これらの薬剤の停止後、鼻粘膜はなお正常まで回復する。このことは、鼻粘膜の再生の過程(これは、基細胞および基底膜が、損傷後、無傷のままであるかどうかに依存する)のせいで可能である。近接の基細胞は、基底膜に沿って病巣に遊走しえ、病巣を覆い得る。従って、M60処置後、いくつかの領域での上皮細胞の温和な脱着の存在下でさえ、基底膜は生存し、病的領域近傍の生存上皮細胞は、上皮を欠く領域に向かって増殖した。更に、局所ステロイドを適用して、鼻粘膜の構造および機能の回復を促進し得た。
【0208】
結論として、5日間のM60鼻内投与は、このコホートにおいて安全であった。病的粘膜変化は、温和で可逆性であった。従って、M60の鼻内投与は広範に使用できた。
【0209】
実施例12
本実施例は、ORP水又はゲル形態のORP水を使用する場合、口腔法及び上顎顔面法で直面する血液損失の減少を記載する。
【0210】
60人の患者の比較研究を行った−56人は口腔手術患者であり、4人は主要な上顎顔面法を受けた。2つの研究群は、A群(総合的医療、通常の消毒剤および抗生物質で処置)とB群(総合的医療及び抗生物質無しのORP水で処置)からなっていた。試験データは表5に要約する。
【0211】
【表5】
【0212】
本研究は、B群(ORP水で処置)が、対照群と比較して、感染および肺胞炎の欠如、ならびにより少ない手術後感染および血液損失の減少を有したことを示す。
【0213】
実施例13
本実施例は、咽頭炎治療について本発明のORP水溶液の有効性を決定するために使用できる臨床研究を示す。
【0214】
本研究で使用される1つのこのようなORP水溶液は、消毒剤として最近メキシコ市場に導入された「エステリサイド(Estericide)」として知られる。エステリサイドは、メキシコ健康事務局から得た証明書に従って、殺菌活性、滅菌活性及び創傷消毒活性を有する中性pHの超酸化溶液である。エステリサイドは、純水と塩(NaCl)とから製造され、小濃度のナトリウム(55ppm未満)および小濃度の塩素(80ppm未満)、7.2〜7.8の範囲のpH、840mV〜960mVの範囲の酸化還元電位を有する。エステリサイドは、1濃度でのみ製造され、活性化又は希釈される必要がない。
【0215】
本溶液は、逆浸透によって得られる水(これは、次いで、高電圧および塩化ナトリウムによって生じる電気化学グラジエントに供せられる)から製造される。こうして、電気化学グラジエントが生じる多重チャンバーで形成される反応種が、制御された方法で選択され、エステリサイドが製造される。結果は、高い酸化還元電位(+840mV〜+960mV)および結果として高い抗微生物活性を与えるフリーラジカルの制御された含量を有する溶液である。
【0216】
次亜塩素酸および次亜塩素酸ナトリウムは、エステリサイドに含まれる最も豊富な構成成分であり、他の構成成分、とりわけ、過酸化水素、オゾン、塩化物イオン、ヒドリド、及び水酸化ナトリウムなどを微量濃度で有する。出願人は、特定の理論に縛られることを望まないが、消毒効果は必ずしも塩素量に依存するのではなく、むしろフリーラジカル含量によると考えられる。なぜなら、エステリサイド中のナトリウムおよび塩素のレベルは、それぞれ50ppm未満および60ppm未満であるからである。また、そして、文献で報告されている他の超酸化溶液とは対照的に、エステリサイドは、中性pH(6.4−7.8)を有し、腐食性ではなく、2年までの貯蔵で安定である。これらの全ての特徴は、高レベル消毒剤として有効であってかつ無生物表面上および組織中の両方での使用に適合性のある超酸化溶液を製造することを可能とした。
【0217】
エステリサイドが、2年間の期間、消毒活性を失うこと無く、4〜65℃の広範な種々の温度条件で保存できることを、加速安定性試験は示した。この保管に対する安定性の長さという特性はまた、製造直後に使用される場合のみ有効である以前に報告された超酸化溶液との差異である。換言すれば、エステリサイドは、抗微生物活性を失うこと無く、極端な条件でさえ貯蔵し配布することができるが、他の溶液は、該溶液を使用しようとする各病院において特殊かつ高価な機械によって製造されなければならないであろう。それにもかかわらず、製造業者は、一旦エステリサイドの容器が開封されれば、均一な活性および一貫した結果を保証する目的のために、30日以内に使用されることを推奨する。
【0218】
エステリサイドは1濃度でのみ製造されるので、エステリサイドの投与量は、皮膚の単位面積あたりに適用される体積の変化によってのみ変化させうる。毒性研究では、無傷の皮膚に局所適用されるエステリサイドの投与量は、0.05と0.07mL/cm2との間で変化する;急性皮膚毒性の研究および皮膚刺激の調査では、8.0mL/cm2までであり、深い創傷における適用を調査した研究では、エステリサイドは、投与量0.09mL/cm2で適用された。
【0219】
4〜24時間の曝露の単一適用を用いて、無傷の皮膚へエステリサイドを局所的に適用した毒性研究を行った。7日の期間中に1日1回又は2回のエステリサイドの複数回適用を、ラットの深い創傷について評価した。
【0220】
2つの研究をウサギの無傷の皮膚において行い、急性刺激および皮膚毒性についてエステリサイドの効果を評価した。オートプシーで皮膚の臨床的徴候、皮膚刺激、又は皮膚の異常は、エステリサイドに曝されたいずれの動物でも見られなかった。
【0221】
深い創傷に局所的に適用したエステリサイドからの局所及び全身毒性のキャラクタリゼーションを、ラットにおいて評価した。血液化学又は血液細胞学のパラメーターにおける異常、有意な差異も、オートプシーでの異常も、観察されなかった。創傷および適用場所の周りの組織の皮膚刺激グレーディングおよび組織病理学は、エステリサイドで処置した創傷と、生理食塩水で処置した対照群の創傷との間の差異を何ら示さなかった。
【0222】
エステリサイドの全身毒性はまた、マウスでの腹腔内注射によって評価した。このために、腹腔内経路によってエステリサイドの単一投与量(50mL/kg)を5匹のマウスに注射した。同様に、生理食塩水(塩化ナトリウム0.9%)の単一投与量(50mL/kg)を5匹の対照マウスに注射した。この研究では、エステリサイドの単一腹腔内投与量を受けたいずれの動物においても、死亡も全身毒性の証拠も観察されなかった。エステリサイドのLD50は、50mL/kgを超える。
【0223】
エステリサイドを経口経路でラットに投与し、その吸収を可能とし、製品の固有の毒性効果を特徴付けた。このために、単一投与量(4.98mL/kg)を、Sprague−Dawley株の3匹のアルビノラットに、食道チューブによって投与した。エステリサイドの単一経口投与量に曝されたいずれの動物のオートプシーにおいても、死亡も臨床兆候も異常もなかった。
【0224】
眼の刺激について、局所的に適用したエステリサイドの潜在性もまた、ウサギで評価した。眼経路を介した局所投与によってエステリサイドに曝されたいずれの動物においても、眼の刺激も他の臨床徴候も観察されなかった。
【0225】
エステリサイドを吸入経路によってラットに適用し、吸入による潜在的急性毒性を決定した。全ての動物は、曝露後、活動の非常に僅か乃至僅かの減少、及び立毛を示したが、翌日、全ては無徴候であった。吸入によってエステリサイドに曝された動物のオートプシーにおいて、死亡も異常も観察されなかった。
【0226】
エステリサイドによる皮膚の感作についての潜在性の評価を、改変閉塞パッチ法(Buehler)を用いてモルモットで行った。単一処置チャレンジ(challenge)後の対照群の動物においても、処置でのチャレンジ後に評価した動物(誘導によって処置した)においても、刺激は観察されなかった。
【0227】
従って、エステリサイドが、経口及び吸入経路によって、又は腹腔内注射によって、無傷の皮膚、深い開かれた皮膚創傷、結膜嚢に適用されたとき、エステリサイドは、該製品に関連する副作用を示さなかった。皮膚および粘膜に非常に多様な性質の創傷を有する500人を超える患者を処置した経験もあり、良好な消毒結果および化粧結果が得られた。従って、局所的に適用したエステリサイドは、この臨床試験において有効でかつ良好な耐性であるはずである。
【0228】
エステリサイドは、透明な240mLのPETボトルにパッケージされる。この製品は、ボトルが開封されなければ、外界温度で保存され、保管に対して2年まで安定に保持される。開封されると、製品の全てを90日未満で使用することが推奨される。エステリサイドは、高い生物学的安全性のプロフィールから、汚染や腐食の危険性が無く、皮膚に空けられ得る。
【0229】
米国とメキシコの両方において、エステリサイドを用いた多重微生物試験が行われた。曝露の最初の数秒で細菌の90%を上回る撲滅が起こる。エステリサイドが、この標準に従って示す抗細菌活性及び抗真菌活性を表6に要約する。
【0230】
【表6】
【0231】
殺胞子活性試験をPAHO[全米保健機構]/WHOプロトコルに従って行った。
【0232】
殺ウイルス活性について、エステリサイドは、ヒト免疫不全ウイルス(SF33株)のウイルス量を5分で3logを超えて減少させることが見出された。これは、エステリサイドで処置したウイルス試験において、細胞変性効果の欠如および抗原Agp24の欠如によって証明された。これらの試験は、米国環境保護局の殺ウイルスプロトコル(DIS/TSS−7/1981年11月12日)に従って行った。
【0233】
エステリサイドの殺ウイルス活性は、HIVおよびポリオウイルスに対して、米国で行われた研究で最近確認され、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、MRSAおよび結核菌に対する活性もまた報告された。従って、エステリサイドは、推奨されるように投与されるとき、曝露の1〜15分で、細菌、真菌、ウイルス、胞子を撲滅できることが証明された。
【0234】
この臨床研究では、A群β溶血性連鎖球菌によって引き起こされた急性咽頭炎/扁桃炎を有し、治療を受けなかった40人の患者を採用する。含める基準は以下の通りである:年齢12〜40歳及び以下の症状の2つ以上:口咽頭やけど;嚥下疼痛;咽頭紅斑又は扁桃腺紅斑(滲出物の有無の両方);頚部リンパ節症;及び、A群連鎖球菌抗原(StrepA試験−Abbott Labs)について陽性免疫アッセイ。除外基準は以下の通りである:38℃を超える熱;気管支痙攣(クリニックによって除外);重い咳;副鼻腔炎−鼻炎(クリニックによって除外);食道逆流(クリニックによって除外);本研究の2週間前に抗生物質の使用;最近8週間で別の臨床試験に参加した患者;リウマチ熱;溶連菌感染後糸球体腎炎;重度の慢性心臓障害;重度の腎、肝又は肺不全;及び妊娠又は授乳。
【0235】
研究の開始で、患者は、パラセタモールやアセチルサリチル酸(acetylsalicylics)を含む解熱剤や鎮痛剤のような共同医薬を使用しうるが、イブプロフェン、メスリド(Mesulid)、COX−2阻害剤、又はステロイドなどの抗炎症剤は使用しえない。患者が研究の任意の特定の手法を受ける前に、記載されたインフォームド・コンセントを得なければならない。
【0236】
患者は3回の訪問で評価される。第1回目の訪問では、患者は臨床的に急性咽頭炎/扁桃炎を示し、病歴がとられ、医学検査、連鎖球菌についての簡易免疫アッセイ、および咽頭滲出物の採取が行われる。適格であるとの告知後、及びインフォームド・コンセントの書類にサインした後、患者は、各々30秒で5mLのエステリサイドの2回の口咽頭洗浄を処方される。これらの濯ぎは、3日間、3時間毎に1日合計4回行われる。
【0237】
第2回目は、エステリサイドでの処置72時間後になされる。第2回目の訪問では、エステリサイドの臨床的進展及び副作用が評価される。新たな咽頭滲出物が採取され、続く治療が抗生物質又は一時的緩和剤を用いるかどうかは、臨床的進展に従って決定される。第3回目の訪問は、10日後になされ、患者は解放される。
【0238】
本研究において適格でありかつ臨床的に評価されるために、各患者は、培養によって確認されるA群β溶血性連鎖球菌咽頭炎/扁桃炎でなければならない。全ての患者は、各々30秒で5mLのエステリサイドの18回の濯ぎ、又は72時間の間隔で24回の濯ぎに応じなければならない。
【0239】
有効性の第1のパラメーターは、エステリサイドの投与後に採取された培養物と比べて、最初の培養物の細菌量の3桁の減少である。この細菌学的評価は、エステリサイドでの処置72時間後に実現する。有効性の第2のパラメーターは、臨床的に報告される改善であり、咽頭疼痛及び嚥下障害の減少が特に強調される。臨床症状は、訪問1、2、3で報告される。
【0240】
耐性は、有害な事象の報告によって評価される。有害な事象は、治療の過程で現れる、該消毒剤に関連するまたは関連しない、エステリサイドによる治療を受ける患者の症候的申告として定義される。
【0241】
細菌学的有効性の結果(有効性の主要基準)は、臨床症状とは独立して細菌学者によって出される。A群連鎖球菌抗原についての試験及び最初の咽頭滲出物培養は、エステリサイドの投与前に、「評価のスケジュール」に従って、第1回目の訪問(訪問1)で行われる。咽頭滲出物の第2回採取および培養は、エステリサイドの投与72時間後に行われる(訪問2)。アンチバイオグラムが全ての培養物に対してなされ、標準拡散ディスク試験によって、ペニシリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン及びリンコマイシンに対する細菌耐性を決定する。細菌学的有効性は、最初の培養物と、エステリサイド投与72時間後に採取した培養物との間の細菌数の3桁の減少として定義される。
【0242】
細菌学的失敗は、処置後72時間での培養物中の細菌数の3桁未満の減少によって示される。不確かな応答は、サンプルの搬送が48時間を超えて遅延された場合、スワブが搬送培地に含浸されなかった場合、又はサンプルが失われた場合に記録される。これらの場合は、本研究の分析外であり、40人の適格患者の場合が完了するまで、新たなケースによって置き換えられる。
【0243】
患者がエステリサイドの投与を完了したとき、そして第2回目の訪問から、追跡及び報告段階が始まる。この評価では、臨床進展及び可能な副作用の存在に従って、患者は以下のように分類される:
【0244】
最初の徴候及び症状が無くならなかった場合、又は全身的症状と共に全般的条件の悪化がある場合、治療上の失敗。これらの場合、プロカインペニシリン、クラリスロマイシン、又はアジスロマイシンなどの経口抗生物質が、治療する医師が指示する投与量と時間で処方され、1週間で評価される。
【0245】
訪問1で存在した症状および徴候が無くなった場合、臨床上治癒。急性過程(acute process)が解消されるこれらの場合、患者は解放され、臨床的に治癒したと報告される。いずれの場合にも、患者は、1週間で第3回目のチェック訪問のために戻るように求められる。
【0246】
不確かな進展。何かの良い理由のために(例えば、重感染)臨床的に評価されることができなかった患者の進展、又は評価が非常に遅く、72時間よりも遅くなされた場合。これらの場合、72時間での咽頭滲出物および培養の結果を記載することが可能ならば、患者はまだ、本研究の分析に含めることができる。
【0247】
本臨床研究で使用する統計学的分析は、72時間の期間で、各々30秒のエステリサイドの少なくとも18回の濯ぎを受けた全ての患者を考慮する。この同じ基準は、耐性の分析に任意の患者を含めると考えられる。有効性の分析についての主要な基準は、エステリサイドでの治療後72時間で行われる培養における、β溶血性連鎖球菌の細菌数の3桁の減少である。統計的分析は、Wilcoxonペアサンプル試験(paired samples test)によって実現する。定量的変数についてANOVA試験を用いて、臨床的変数の統計的分析が実現する。患者の最小の評価可能数は30人の患者である。
【0248】
有害な事象は、医薬製品が投与される臨床研究の患者又は被験体における任意の反対の医学事象であり、必ずしもその医薬との原因関係を有するわけではない。従って、有害な事象は、医薬製品の使用と一時的に関連した、任意の好ましくなくかつ意図しない徴候(異常な実験室の知見を含む)、症状または疾患でありうる(それが、この使用に関連していると考えられようと、又はそうでないとしても)。研究の間に悪化する以前からの状態は、有害な事象として報告される。
【0249】
強度が中程度乃至重度の有害な事象の場合、治療は、72時間の持続期間の任意の時点で中止される。次なる治療は、治療する医師によって決定される。よって、本実施例に基づいて、副鼻腔炎の治療に対する本発明のORP水溶液の有効性が示される。
【0250】
実施例14
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0251】
実施例15
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 1000mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0252】
実施例16
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 7g
トリエタノールアミン(中和剤) 12mL
【0253】
実施例17
本実施例は、ORP水溶液と増粘剤とを含有する本発明の製剤の製造を記載する。
【0254】
ORP水溶液を、ガラスビーカーやジャーなどの適切な容器に入れる。Carbopol(登録商標)974Pポリマーを、粗い篩い(又は濾過器)に通し、これによって、急速な分散を可能とし、同時に、いかなる大きな塊もばらばらに砕くことを可能とする。次いで、ポリマーCarbopol(登録商標)974Pを増粘剤として加える。Carbopol(登録商標)ポリマーをゆっくりと加え、塊の形成を防止し、このようにして、過剰に長い混合サイクルを避ける。
【0255】
Carbopol(登録商標)ポリマーの添加の間、溶液を急速に混合し、それによって、粉末は室温で溶解する。次いで、中和剤のトリエタノールアミンを溶液に加え、均一なゲルが得られるまで、電気ミキサー又は他の適切なデバイスによって混合する。Carbopol(登録商標)ポリマー組成物への中和剤の添加によって、製剤はゲルに変換される。
【0256】
実施例18
本実施例は、糖尿病性の足の潰瘍の治療のための、本発明のゲル製剤の使用を記載する。
【0257】
6人のヒト患者を、実施例6のゲル製剤(これを確認されたい)で治療した。これらの患者の全ては、肉芽形成期(granulating phase)の大きな糖尿病性の足の潰瘍を有していた。各創傷は、治療前に洗浄し、創傷清拭(debribed)した。ゲルを、創傷の領域全体及び創傷の外側1cmまでの周りの皮膚上を覆うように、優しく適用した。
【0258】
ゲルの適用の頻度は、各患者の潰瘍の性質に基づいて変化し、平均頻度は3日おきに1回であった。治療は、平均60日間続けた。各患者について、肉眼赤色肉芽組織(gross red granulating tissue)、及び健康な皮膚の増大は、1〜2週間以内に達成された。従って、本発明のゲル製剤は、大きな糖尿病性の足の潰瘍を治療するために有利に使用できる。
【0259】
本明細書で引用した刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、引用により含まれるべく個々にかつ具体的に示され、本明細書にその全体が記載されているのと同じ程度まで、引用により本明細書に含まれるものである。
【0260】
本発明の説明の文脈において(特に、以下のクレームの文脈において)、用語“a”および“an”および“the”および同様の指示語の使用は、本明細書でそうでないことが記載されるか、文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語“含む(comprising)”“有する(having)”“含む(including)”および“含む(containing)”は、そうでないことが特筆されていない限り、許容範囲が制約のない(open-ended)用語(即ち、「・・を含むが、・・に限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の記載は、単に、本明細書でそうでないことが記載されていない限り、その範囲内のそれぞれの個々の値に独立して言及する略記方法として役割を与えようとしているにすぎず、それぞれの個々の値は、それが本明細書に独立して記載されているかのように本明細書に含まれるものである。本明細書に記載される方法の全ては、本明細書でそうでないことが記載されるか、さもなければ文脈によって明確に否定されない限り、いかなる適切な順序で行うことができる。本明細書で提供されるいかなる全ての例または例示的言葉(例えば、“等の”)の使用も、単に、本発明をより明確にしようとするにすぎず、そうでないと主張していない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書の言葉が、クレームしていないいかなる構成要素も本発明の実施に必須であると示している、と解釈されるべきではない。
【0261】
本発明を実施するための本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書で記述する。上記記述を読むと、それらの好適な実施態様のバリエーションが当業者には明白となりうる。本発明者らは、当業者が適切にこのようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記述されたものとは異なって、本発明が実施されることを意図する。それ故、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付したクレームに記載の主題の全ての改変および均等物を含むものである。さらに、本明細書でそうでないことが記載されていないか、さもなければ文脈によって明確に否定されていない限り、その全ての可能なバリエーション中の上記の構成要素のいかなる組み合わせも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0262】
【図1】図1は、本発明の酸化還元電位水溶液を製造するための、3つのチャンバーを有する電解セルの概略図である。
【図2】図2は、3つのチャンバーを有する電解セルを表し、またそこに発生したイオン種を示す。
【図3】図3は、本発明の酸化還元電位水溶液を製造するためのプロセスの概略的なフロー図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化還元電位水(oxidative reductive potential water)溶液およびその溶液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超酸化水としても知られる酸化還元電位(ORP)水は、種々の環境で、細菌、ウイルス、胞子を含む微生物を根絶するための非毒性の消毒剤として使用できる。例えば、ORP水は、表面や医療装置を消毒する、ヘルスケアや医療デバイスの分野で適用できる。ORP水は環境的に安全であり、従って、コストのかかる使い捨ての必要性が避けられることが有利である。ORP水はまた、創傷のケア、医療デバイスの滅菌、食品の滅菌、病院、消費者の家庭および抗バイオテロにも適用される。
【0003】
ORP水は有効な消毒剤であるが、非常に限られた保存寿命しか有しない(通常、ほんの数時間)。この短い寿命の結果として、ORP水が消毒剤として使用される場所の極めて近くで、ORP水の製造を行う必要がある。このことは、病院等の保健医療施設は、ORP水を製造するのに必要な装置を購入し、備え付け、維持する必要があるということを意味する。さらに、前もって製造する技術では、保険医療施設で消毒剤として広範な使用を可能とするのに十分な商業的規模の量のORP水を製造できなかった。
【0004】
従って、長時間にわたって安定であるORP水およびかかるORP水を使用する方法の必要性が存在する。追加のコストをかけずに商業規模の量のORP水を製造する方法の必要性も存在する。本発明はそういったORP水並びにORP水を製造および使用する方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ORP水はさらに、米国特許出願公開2002/0160053に記載されているように、患者における組織細胞成長プロモーターとしても用いられてきた。しかしながら、組織との接触を素早く失ってしまう水を適用しても、治療の効率を最大にすることにはならない。したがって、治療されるべき組織との接触を維持し、より長い期間にわたって安定であるようなORP水を含有する組成物が必要とされている。本発明のこれらの利点およびその他の利点、そして付加的な発明の特性は、本明細書中で提供される発明の詳細から明らかとなるであろう。
【0006】
本発明は、少なくとも24時間安定である酸化還元電位(ORP)水溶液を提供する。本発明はさらに、少なくとも24時間安定である酸化還元電位水溶液を含有する密封容器を提供する。本発明はまた、アノード水とカソード水とを含む酸化還元電位水溶液に関する。1実施態様では、本発明のORP水溶液は、過酸化水素と1種以上の塩素種とを含む。
【0007】
また本発明は、かかるORP水溶液を使用する方法を対象としている。1実施態様では、本発明は患者の病状を予防または治療する方法を提供し、該方法は患者に治療有効量のORP水溶液を投与することを含む。病状としては、例えば、呼吸器系の病状、全身感染症などの医学的病状が挙げられ得る。
【0008】
加えて、本発明は正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法を提供する。この方法は、正常に機能しないかまたは損傷している組織を、治療有効量のORP水溶液(この溶液は少なくとも24時間安定である)に接触させることを含む。本方法は組織を治療することを含むが、ここで組織とは、外科手術によって機能しなくなったもしくは損傷を受けているものであるか、あるいは必ずしも外科手術に関わるものではない原因、例えば、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷、感染などの原因によって機能しなくなったかまたは損傷を受けているものである。
【0009】
さらに、本発明は表面を消毒する方法を提供する。この方法は、表面を抗感染量のORP水溶液(この溶液は少なくとも24時間安定である)に接触させることを含む。かかる表面とは、生物学的なものでも、無生物であってもよく、あるいはそれら表面を組み合わせたものを本発明により消毒してもよい。生物学的な表面としては、例えば、筋組織、骨組織、器官組織、粘膜組織、およびそれらの組み合わせが挙げられ、それらを本発明によって消毒することができる。無生物の表面としては、例えば、外科的に移植可能な装置、人工装置、および医療装置が挙げられる。
【0010】
本発明の別の局面は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含んだ、局所投与のための製剤を含む。この製剤は少なくとも24時間安定である。
【0011】
また本発明は、(1)酸化還元電位水溶液および増粘剤を含んだ、局所投与のための製剤、および(2)製剤が少なくとも24時間安定である密封容器を含む、薬学的投薬形態に関する。
【0012】
加えて、本発明は患者の病状を治療する方法を対象とし、この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤(この製剤は少なくとも約24時間安定である)の治療有効量を患者に投与することを含む。
【0013】
本発明はさらに、患者における創傷の治癒を促進する方法を提供する。この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤を創傷に適用することを含む。この製剤は創傷の治癒を促進するのに十分な量で投与され、かつ、この製剤は少なくとも約24時間安定である。
【0014】
加えて、本発明は患者の病状を予防する方法を提供する。この方法は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤(この製剤は少なくとも約24時間安定である)の治療有効量を患者に局所的に投与することを含む。
【0015】
本発明の別の観点は、少なくとも2つの電解セルを備える酸化還元電位水溶液の製造装置を含み、ここで、各セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている。当該装置は、塩イオン濃度を制御し維持するのを可能とするために、塩溶液チャンバーに供給される塩溶液用の再循環システムを備えていてもよい。
【0016】
本発明はさらに、酸化還元電位水溶液の製造方法を提供し、当該方法は、
少なくとも2つの電解セルを提供すること、ここで、各セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れを供給すること;
塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給すること;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れ、および塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れと同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給すること;および
電解セルによって生成した酸化還元電位水溶液を集めること;
を包含する。
【0017】
本発明はまた、アノード水とカソード水とを含む酸化還元電位水溶液の製造方法に関し、当該方法は、
少なくとも1つの電解セルを提供すること、ここで、当該セルは、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、アノードチャンバーは、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、そしてカソードチャンバーは、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されている;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れを供給すること;
塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給すること;
アノードチャンバーとカソードチャンバーとを通る水の流れ、および塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れと同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給すること;および
電解セルによって生成した酸化還元電位水を集めること
を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
本発明は、患者の病状を予防または治療する方法を提供する。該方法は、治療有効量の酸化還元電位(ORP)水溶液を患者に投与することを含み、この溶液は少なくとも24時間安定である。病状としては、例えば、医学的病状、疾患、負傷、アレルギーなどを挙げることができ、これらは本発明のORP水溶液で治療可能である。
【0019】
本発明の文脈において、患者(例えば、動物、とりわけヒト)に投与される治療有効量とは、患者の治療的または予防的反応を適度なタイムフレーム(期間)にわたって得るのに十分なものであるべきである。投与量は、当該分野で周知の方法を用いて容易に決めることができる。当業者は、特定の患者のための具体的な投与レベルが様々な要因に依存することを理解するであろう。例えば投与量は、使用される特定のORP水溶液の強度、病状の重篤度、患者の体重、患者の年齢、患者の身体的および精神的状態、健康状態、性別、食生活などに基づいて決めることができる。また投与量のサイズは、特定のORP水溶液の投与に付随して起こりうる任意の有害な副作用の存在、性質、および程度に基づいて決めることもできる。可能な場合は、有害な副作用を最小限に保つことが望ましい。
【0020】
具体的な投与量のために考慮に入れてもよい要因としては、例えば、バイオアベイラビリティ、代謝プロファイル、投与時間、投与経路、排出率、特定の患者における特定のORP水溶液に関する薬力学などが挙げられる。その他の要因としては、例えば、治療を受ける特定の病状に対するORP水溶液の効力または効果、治療期間の前もしくは治療期間中に現れる症状の重篤度などが挙げられ得る。治療有効量を定めるものが、部分的に、例えばバイオアッセイなどのアッセイを1つ以上用いることによって決められる場合もある。ここで、アッセイとは、特定の病状の治療または予防に対する、特定のORP水溶液の有効性を合理的に臨床的に予測できるものである。
【0021】
本発明のORP水溶液は治療上、単独で、あるいは1つ以上のその他の治療剤と共に、患者(例えばヒト)へ、例えば現存する病状を治療するために投与されうる。また本発明のORP水溶液は予防的に、単独で、あるいは1つ以上のその他の治療剤と共に、病状に関わる1つ以上の原因因子に曝された患者(例えばヒト)へ投与されうる。例えば、本発明のORP水溶液を、1つ以上の感染を引き起こす微生物(例えば、ウイルス、バクテリアおよび/または真菌)に曝された患者へ、患者における感染の可能性を阻害もしくは減らすため、またはかかる被曝の結果発症する感染の重篤度を減らすために、予防的に適切に投与してもよい。
【0022】
本発明のORP水溶液を投与する適切な方法が利用できること、また1つ以上の投与経路を用いることができるものの、特定の経路がその他の経路よりもより速くより有効な反応を提供することができるということを、当業者は理解するであろう。治療有効量とは、個々の患者においてORP水溶液の「有効なレベル」を達成するのに必要な投与量であり得る。治療有効量は、例えば、患者の病状を予防または治療するために、個々の患者に投与して本発明のORP水溶液の血液レベル、組織レベルおよび/または細胞内レベルを達成するのに必要な量として規定され得る。
【0023】
この有効なレベルを投与の好ましい終点として用いる場合、実際の投与量および投与スケジュールは、例えば、薬力学、分配、代謝などにおける個体間の差異によって変わりうる。また本発明のORP水溶液を、本発明のORP水溶液以外の1つ以上の治療剤(例えば、1つ以上の抗感染症剤、1つ以上の「減速」、「調節」または「中和剤」(例えば、米国特許第5,334,383号および同第5,622,848号に記載されているもの)、1つ以上の抗炎症剤など)と組み合わせて用いる場合も、その有効レベルは変化し得る。
【0024】
適当なインジケータを、有効なレベルを決定および/またはモニターするために用いることができる。例えば、有効なレベルを、適当な患者の試料(例えば、血液および/または組織)の直接的な分析(例えば、分析化学)または間接的な分析(例えば、臨床化学的インジケータを用いる)によって決定することができる。また有効なレベルを、例えば、尿代謝産物の濃度、病状に関わるマーカー(例えば、ウイルス感染の場合はウイルスの総数)の変化、病状に関わる症状の減少などといった直接的または間接的観察によって決定することもできる。
【0025】
本発明のORP水は、当分野で公知の任意の適切な投与方法を用いて投与することができる。本発明のORP水は、当分野で公知の1つ以上の薬学的に許容される、担体、賦形剤、アジュバント、添加剤、または希釈剤と組み合わせて投与することができる。当業者は、本発明にかかるORP水を投与するための適当な製剤および投与方法を容易に決定することができる。技術を持った医者は、その他の要因(例えば、副作用、患者の全体的な状態の変化など)を考慮して、治療している病状の性質または重篤度に対応するために、投与量におけるいかなる必要な調整も容易に行うことができる。
【0026】
1実施態様では、病状とは呼吸器系の病状であり、これは本発明のORP水溶液によって治療可能である。任意の適切な投与方法が、本発明に従って呼吸器系の病状の治療または予防に使用されうる。好ましくは、ORP溶液を上気道に投与して、例えば、呼吸器系の病状に関わる1つ以上の上気道組織と接触させる。本発明のORP溶液は、蒸気または噴霧として上気道に投与できる。さらに、本発明のORP水溶液は、エアロゾル化、噴霧化、または微粒化によって投与できる。本発明のORP水溶液をエアロゾル化、噴霧化、または微粒化によって投与する場合、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲の直径を有する小滴の形態で投与するのが好ましい。
【0027】
エアロゾル化、噴霧化、および微粒化に有用な方法ならびに装置は当分野で周知である。例えば、定量の生理学的に活性な液体を、レシピエントによる吸入のために吸気ガス流に送達するため、医療用噴霧器が用いられている。例えば、米国特許第6,598,602号参照。医療用噴霧器を操作して液体の小滴を作り、その小滴が吸気ガスと共にエアロゾルを形成することができる。別の環境においては、医療用噴霧器を用いて水滴を吸気ガス流に注入し、適切な湿度を有するガスをレシピエントに提供してもよい。これは、吸気ガス流がレスピレータ、ベンチレータ、または麻酔送達システムなどの機械的呼吸補助器によって提供される場合に特に有用である。
【0028】
代表的な噴霧器は、例えば、WO95/01137に記載されている。該文献には、医療液体の小滴を通過空気流(吸気ガス流)に排出するように操作される携帯用装置が記載されている(かかる気流はマウスピースを通したレシピエントの吸入によって発生するものである)。別の例は、米国特許第5,388,571号に見い出され得る。該文献は正圧(positive-pressure)ベンチレータシステムを記載しており、そのシステムは呼吸不全を有する患者の呼吸の制御および増強を提供し、液剤の粒子を患者の肺の気道および肺胞に送達するための噴霧器を含んでいる。米国特許第5,312,281号には超音波噴霧器が記載されており、該噴霧器は水または液体を低温で微粒子化し、記載によるとミストのサイズを調節できるようである。加えて、米国特許第5,287,847号には、医療用エアロゾルを新生児、小児および成人に送達するための、計測可能な流速および出量を有する空気圧式噴霧器が記載されている。さらに、米国特許第5,063,922号には超音波アトマイザーが記載されている。
【0029】
本発明の方法は、1つ以上の上気道組織、特に鼻腔組織、副鼻腔組織、及び肺組織に影響を及ぼす呼吸器系の病状を予防または治療するために用いることができる。かかる呼吸器系の病状としては、例えば、副鼻腔炎(例えば、副鼻腔炎(rhinosinusitis)、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎など)、咽頭炎、喘息などを挙げることができ、これらは本発明のORP溶液で予防可能もしくは治療可能である。
【0030】
通常、慢性副鼻腔炎とは、少なくとも3週間、しばしば数ヶ月または数年間も続く、副鼻腔の炎症を言う。アレルギーが慢性副鼻腔炎に関わっている場合が多い。加えて、喘息を患っている患者が特に高い頻度で慢性副鼻腔炎を有している。埃、かび、および花粉などの空中を浮遊するアレルギー源(アレルギー反応を引き起こす物質)を吸引すると、しばしばアレルギー反応(アレルギー性鼻炎)を誘発し、次いで、それが副鼻腔炎の原因となり得る。真菌に対してアレルギーを持つ人々は、「アレルギー性真菌性副鼻腔炎」と呼ばれる病状を発症し得る。湿った天候または空中や建物の中の汚染物もまた、慢性副鼻腔炎にかかっている人々に影響を及ぼし得る。
【0031】
急性副鼻腔炎と同様に慢性副鼻腔炎は、免疫不全または粘液分泌もしくは運動の異常(例えば、免疫不全、HIV感染、嚢胞性線維症、カルタゲナー症候群)を有する患者においてより頻繁にみられる。さらに、重篤な喘息、鼻ポリープおよびアスピリンやアスピリン様薬物(いわゆる非ステロイド抗炎症剤、すなわちNSAIDs)に対して重い喘息反応を有する患者もいる。後者の患者は、高い頻度で慢性副鼻腔炎を有している。
【0032】
医者は、病歴、健康診断、X線、および必要に応じてMRIもしくはCTスキャン(磁気共鳴画像法およびコンピュータ断層撮影)によって副鼻腔炎を診断できる。副鼻腔炎を診断し、可能性のある原因を特定した後、医者は炎症を減らし症状を和らげる治療コースを処方できる。急性副鼻腔炎を治療するためには、通常、鼻腔の排液を再確立すること、炎症の源を調節もしくは取り除くこと、および痛みを和らげることが必要とされる。一般的に医者は、鼻詰りを減らすための除去剤、バクテリア感染を抑制するための抗生物質、もし痛みがある場合は痛みを減らすための鎮痛剤を勧める。
【0033】
薬による治療が失敗した場合は、例えば、アデノイドの除去、鼻ポリープの除去、鼻中隔彎曲の修復、内視鏡副鼻腔手術などの外科手術が、慢性副鼻腔炎を治療する唯一の別手段でありうる。本発明の方法によるORP水の投与が、抗生物質や外科手術などのより侵襲的な治療法をできれば避けるための別手段として、慢性副鼻腔炎を治療するために用いられうると考えられている。
【0034】
咽頭炎に関しては、診療所、病院、緊急治療室を訪れる人全体の1〜2%が、咽頭炎が原因であると世界的に推定されている。米国およびメキシコでは、咽頭炎/扁桃炎は1年にそれぞれ1500万および1200万件診察したという報告が計上されている。これらの症例は様々なバクテリアおよびウイルスによって引き起こされていることが確証されている。一方では、A群β−溶血性連鎖球菌(β-hemolytic Streptococcus)によって引き起こされる咽頭炎および扁桃炎が、貧困層においてリューマチ熱の危険性を著しく上げていることがわかっている。他方で、たった5〜15%の咽頭炎のみがこのバクテリアによって引き起こされており、残りの急性の症例はほとんど疫学的に関連のないバクテリアおよびウイルスによって引き起こされていると考えられている。後者の症例は数日間の間自己限定的である傾向があり、後遺症を残さない。
【0035】
世界中の多くの医者が急性咽頭炎に対して無差別に抗生物質を処方していることが確認されている。これは日常的なものとして起こっており、それも患者が強力な抗生物質を要求するためであることが多い。残念ながら、臨床的に連鎖球菌による咽頭炎/扁桃炎の正確な診断を確立するのは困難であり、また急性咽頭炎/扁桃炎を抗生物質で治療するコスト/利点の割合には疑問点が多い。メキシコのように、無駄にした労働日数に加えて抗生物質のコストをカバーするための公共サービスの浪費が、国の予算に関して著しい損失を表している国もある。
【0036】
本発明の方法によるORP水の投与が急性咽頭炎/扁桃炎のアジュバント療法に有用でありうると考えられている。急性咽頭炎/扁桃炎の実証的治療を、本発明によるORP水溶液の投与と共に始めてもよく、また、連鎖球菌に対する簡易試験の進展または結果によって、必要な場合にだけその48〜72時間後に抗生物質を始めてもよい。よって本発明の方法により抗生物質の使用を保留することができ、同時に、咽頭炎/扁桃炎がA群連鎖球菌によるものでない場合、患者の症状を減らし、患者の回復を速めることができる。連鎖球菌による咽頭炎/扁桃炎の治療のために、本発明のORP水溶液を抗生物質に対するアジュバントとして用いることにより、臨床反応の期間を短くし、再発の発生率を下げ得る。
【0037】
本発明の方法はまた、本発明のORP水溶液で治療可能な感染の予防または治療に用いることができる。ここで感染とは、例えば伝染性微生物などの1つ以上の伝染性病原によって引き起こされうるものである。かかる微生物としては、例えば、ウイルス、バクテリア、および真菌が挙げられうる。ウイルスとしては、例えば、アデノウイルス、HIV、ライノウイルス、およびインフルエンザ・ウイルスからなる群より選ばれる1つ以上のウイルスが挙げられうる。バクテリアとしては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)からなる群より選ばれる1つ以上のバクテリアが挙げられうる。真菌としては、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、枯草菌(Bacillus subtilis)およびバチルス・アスロフェウス(Bacillus athrophaeus)からなる群より選ばれる1つ以上の真菌が挙げられうる。本発明の方法はまた、本発明のORP水溶液で治療可能な炎症状態またはアレルギー反応の予防あるいは治療のために用いることができる。
【0038】
別の実施態様では、本発明の方法は、本発明のORP水溶液を非経口で投与することを含む。非経口投与としては、本発明のORP水溶液を、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内に投与することが挙げられうる。好ましい実施態様では、本発明の方法に従って、本発明のORP水溶液を静脈内に投与して病状を予防または治療する。適切な病状としては、例えば、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびエイズが挙げられうる。例えば、米国特許第5,334,383号および同第5,622,848号参照。該文献には、ORP水溶液の静脈投与によって、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびエイズを治療する方法が記載されている。
【0039】
本発明はさらに、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法を提供する。この方法は、正常に機能しないかまたは損傷している組織を、治療有効量の本発明のORP水溶液に接触させることを含む。本発明に従って、任意の適切な方法を正常に機能しないかまたは損傷している組織の接触のために用い、それによりかかる正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療することができる。例えば、本発明に従って、組織をORP水溶液で灌注し、正常に機能しないかまたは損傷している組織をORP水と接触させることにより、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療することができる。あるいは(またさらに加えて)、本発明のORP水溶液を、本明細書に記載したように、蒸気もしくは噴霧として、またはエアロゾル化、噴霧化、もしくは微粒化によって投与し、それにより正常に機能しないかまたは損傷している組織をORP水と接触させることができる。
【0040】
本発明の方法は、例えば外科手術によって正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。例えば、本発明の方法は、切開によって正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。さらに、本発明の方法は、口腔手術、グラフト手術、インプラント手術、トランスプラント手術、焼灼、切断、放射線、化学療法、およびそれらの組み合わせにより正常に機能しなくなったかまたは損傷している組織の治療に用いることができる。口腔手術としては、例えば、根管手術、抜歯、歯茎手術などといった歯科手術が挙げられ得る。
【0041】
本発明の方法はさらに、必ずしも外科手術によるものではない、1つ以上の、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷、それらの組み合わせなどによって、機能しなくなったかまたは損傷している組織を治療することを含む。また、本発明の方法は、機能しなくなったかまたは損傷を受けている感染された組織、または感染により機能しなくなったかまたは損傷している組織を治療するために用いることができる。かかる感染とは、例えば、本明細書に記載したような、ウイルス、バクテリア、および真菌からなる群より選ばれる1つ以上の微生物などの、1つ以上の伝染性病原によって引き起こされうるものである。
【0042】
本発明は、表面を消毒する方法をさらに提供する。この方法は、表面を抗感染量の本発明のORP水溶液と接触させることを含む。本発明の方法によれば、任意の適切な方法を用いて表面を接触させることができる。例えば、本発明に従って、表面を本発明のORP水溶液で灌注することによって接触させ、それにより表面を消毒できる。加えて、本発明に従って、本明細書に記載したように、本発明のORP水溶液を蒸気もしくは噴霧として、あるいはエアロゾル化、噴霧化もしくは微粒化によって表面に適用することによって表面を接触させ、表面を消毒することができる。さらに、本発明のORP水溶液は、本明細書に記載したように、清浄用拭き取り材を用いて表面に適用できる。本発明により表面を消毒することによって、表面から伝染性の微生物を駆除しうる。あるいは(もしくは、さらに)、本発明に従って、本発明のORP水溶液を表面に適用して、感染に対するバリアを提供し、それにより表面を消毒することができる。
【0043】
本発明の方法は、生物学的なもの、無生物、またはそれらの組み合わせである表面を消毒するために用いることができる。生物学的な表面としては、例えば、口腔、副鼻腔、頭蓋腔、腹腔、および胸腔といった1つ以上の体腔内の組織が挙げられうる。口腔内の組織としては、例えば、口腔組織、歯茎組織、舌組織、および咽喉組織が挙げられる。また生物学的な組織としては、筋組織、骨組織、器官組織、粘膜組織、およびそれらの組み合わせが挙げられうる。無生物表面としては、例えば、外科的にインプラント可能なデバイス、人工装具、および医療デバイスが挙げられる。本発明の方法によれば、外科手術中に露出する可能性のある、内部器官、内臓、筋肉などの表面を消毒して、例えば、外科的環境の無菌状態を保つことができる。
【0044】
本発明はまた、酸化還元電位(ORP)水溶液および増粘剤を含む、局所投与用製剤を提供する。これらの製剤は調製されてより一層の有効性と安定性とを提供する。
【0045】
本発明の製剤中に存在する水の量は、製剤の重量に基づいて、通常、約10重量%〜約95重量%である。好ましくは、存在する水の量は約50重量%〜約90重量%である。
【0046】
本発明の製剤は、好ましくは、アノード水およびカソード水を含むORP水溶液を含む。アノード水は、本発明で用いる電解セルのアノードチャンバーで生成される。カソード水は、電解セルのカソードチャンバーで生成される。
【0047】
本発明による局所投与用製剤はさらに増粘剤を含む。任意の適切な増粘剤を用いて、所望の粘度(通常、ORP水溶液単独のものよりも大きい)を有する製剤を製造してもよい。使用される増粘剤は、製剤中のORP水溶液およびその他の任意の成分と適合可能なものである。適切な増粘剤としては、ポリマーおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられるが、それらに限定されない。適切なポリマーはホモポリマーもしくはコポリマーであってもよく、必要に応じて架橋されていてもよい。その他の適切な増粘剤は、当該分野で一般的に公知である(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives、第2版、Asheら編(2002年)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Roweら編、(2003年)参照)。
【0048】
好ましい増粘剤はアクリル酸ベースのポリマーである。より好ましくは、増粘剤は、高分子量で架橋されたアクリル酸ベースのポリマーである。これらのポリマーは以下の一般構造を有する:
【0049】
【化1】
【0050】
かかるポリマーは、NoveonからCarbopol(登録商標)の商品名で販売されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、様々なパーソナルケア製品、医薬、および家庭用洗剤において増粘剤、懸濁剤、および安定剤を用いるための流動性調節剤として一般的に供給されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、固体(例えば粉末)または液体のどちらの形態で用いてもよい。
【0051】
本発明の使用に適切なアクリル酸ベースのポリマーは、ホモポリマーもしくはコポリマーであってもよい。適切なホモポリマーは、好ましくはアリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されていてもよい。適切なアクリル酸のコポリマーは、アクリル酸長鎖(C10−C30)アルキルによって修飾されており、好ましくはアリルペンタエリスリトールで架橋されていてもよい。
【0052】
最大の粘度を得るためには、Carbopol(登録商標)ポリマーは中和される。供給される際、Carbopol(登録商標)ポリマーは、乾燥した、きつくコイル状に巻かれた(coiled)酸性分子であり、水素結合によってコイル状構造に保持されている。いったん水もしくはその他の溶媒に分散されると、それらは水和し、部分的にコイル状が解け(uncoil)始める。Carbopol(登録商標)ポリマーから最大の増粘を得るための最も一般的な方法は、酸性ポリマーを塩に変換することによるものである。これは、水酸化ナトリウム(NaOH)またはトリエタノールアミン(TEA)のような一般的な塩基で中和することにより容易に達成される。この中和は長鎖ポリマーの「コイル状を解き」、分子を有効な増粘形態へと膨潤させる。
【0053】
適切な増粘剤は、製剤のための所望の粘度、並びに、外観、せん断抵抗、イオン抵抗、および熱安定性といったその他の特性をもたらすであろう。例えば、Carbopol(登録商標)934は、3000センチポイズ(cps)より大きい粘度を有する懸濁物またはエマルジョン(透明なゲルよりも)のいずれかである製剤用に好ましい。あるいは、その有利な生体付着性の性質のため、Carbopol(登録商標)974Pを用いてもよい。
【0054】
製剤に所望の粘度をもたらすため、任意の適切な量の増粘剤が本発明の製剤中に存在する。通常、増粘剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1重量%〜約10重量%である。
【0055】
すなわち、ORP水溶液の体積に基づく増粘剤の量は、通常、約0.1%重量/体積(mg/mL)〜約50%重量/体積(mg/mL)である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1%w/v〜約10%w/vである。
【0056】
増粘剤の量は、通常、ORP水溶液の約0.1g/250mL〜約50mg/250mLである。好ましくは、存在する増粘剤の量は、ORP水溶液の約1mg/250mL〜約20mg/250mLであり、最も好ましくは、約3mg/250mL〜約15mg/250mLである。
【0057】
アクリル酸ベースのポリマーが低濃度で用いられる場合、製剤は滑りやすく容易に流動する。より高い濃度では、本発明の製剤は高い粘度を有し、擬塑性であり流動しにくい。せん断力がミキサーやポンプによって加えられる場合、見かけの粘度は減り、製剤は流動する(pumped)。
【0058】
本発明の製剤は、必要に応じて中和剤を含んでいてもよい。所望のpHの製剤を得るために、任意の適切な中和剤を用いることができる。適切な中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、L−アルギニン、AMP−95、ニュートロール(Neutrol)TE、トリスアミノ(Tris Amino)、エソミン(Ethomeen)、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンが挙げられる。その他の中和剤は、当該分野で一般的に公知である(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives、第2版、Asheら編(2002年)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Roweら編、(2003年)参照)。適切な中和剤は、液体または固体の形態のいずれであってもよい。
【0059】
増粘剤がCarbopol(登録商標)のようなアクリル酸ベースのポリマーである場合、好ましくは、中和剤のトリエタノールアミンを用いる。中和剤は製剤をゲルに変える。
【0060】
任意の適切な量の中和剤が本発明の製剤に含まれ得る。通常、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約50重量%である。好ましくは、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%である。体積に基づけば、中和剤の量は、ORP水溶液の体積に基づいて、約1体積%〜約50体積%の量で存在する。
【0061】
液体の形態で添加される場合、中和剤をORP水溶液の約1mL/250mL〜約100mL/250mLの量で添加してもよい。好ましくは、中和剤の量は、ORP水溶液の約10mL/250mL〜約90mL/250mLである。さらに、固体の形態の場合、約〜の量で中和剤を添加してもよい。
【0062】
製剤はさらに、着色料、香料、緩衝剤、生理学的に許容される担体および/または賦形剤などの付加的な成分を含有していてもよい。適切な着色料の例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カルバゾールバイオレット、酸化クロム−コバルト−アルミニウム、4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン ビス(2−プロペン酸)エステル コポリマーなどが挙げられるが、それらに限定されない。任意の適切な香料を用いることができる。
【0063】
本発明の製剤は、任意の適切な手段によって調製されうる。ORP水溶液および増粘剤などの製剤の成分は、任意の方法で一緒に混合され、均一な混合物を生じ得る。好ましくは、成分は、電気混合またはその他の適切な装置を用いて数分間一緒に混合され、均一性を確実にする。製剤の成分は、通常、約400rpm〜約1000rpm、好ましくは、約500rpm〜約800rpm、より好ましくは、約500rpm〜約600rpmで混合される。
【0064】
該製剤は、均一な混合物を生成するのに十分な時間、一般的には、全ての成分を配合した後、約1分間〜約10分間、混合される。
【0065】
増粘剤が粉末の形態であるとき、均一な製剤の調製を可能とするために、最初に篩にかけて大きな塊をばらばらに砕いてもよい。
【0066】
トリエタノールアミンのような中和剤を、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤に続けて添加してもよい。上述の通り、トリエタノールアミンの添加は、Carbopol(登録商標)のような増粘剤のコイル状を解き、そして、従って、所望の粘度を有する製剤を生成することを可能とし得る。
【0067】
着色剤および香料は、Carbopol(登録商標)のような増粘剤をORP水に溶解する前または後のどちらで混合物に添加してもよいが、中和段階の前である。
【0068】
本発明の製剤の物理的特性は、製剤中に存在するORP水溶液の特性と通常は同じである。ORP水溶液の特性は、増粘剤や任意の中和剤の添加の後でさえ残っている。例えば、ORP水溶液自身の安定性およびpHとORP水溶液を含有する製剤の安定性およびpHとは、一般的に同じである。従って、本明細書記載のORP水溶液の特性の全ては、本発明の製剤に適用される。
【0069】
例えば、本発明の製剤は、一般的に少なくとも24時間、典型的には少なくとも2日間安定である。より典型的には、該製剤は少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、等)、そして好ましくは少なくとも2ヶ月間安定である。より好ましくは、製剤はその調製後少なくとも6ヶ月間安定である。より一層好ましくは、該製剤は少なくとも1年間、そして最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0070】
該製剤のpHは、一般的に約6〜約8の間である。好ましくは、該製剤のpHは、約6.2〜約7.8の間であり、そして最も好ましくは約7.4〜約7.6の間である。
【0071】
本発明の製剤は、患者に局所的に投与するのに適切な任意の形態で使用され得る。適切な形態とは、限定されないが、ゲル、ローション、クリーム、ペースト、軟膏、等を含み、その形態は当該分野で公知である(例えば、Modern Pharmaceutics,第3版,Bankerら編(1996)参照)。ゲルは、典型的には、3次元構造を有する半固形のエマルジョンまたは懸濁液である。好ましくは、該製剤はゲルの形態である。
【0072】
ペーストは、一般的に、水性または脂性の賦形剤に分散した、固形部が大部分を占めることが多い(例えば、20%〜50%)半固形の懸濁液である。ローションは、典型的には、水性の賦形剤と揮発物(50%以上)とを含む乳濁液であり、注ぐのに十分な低粘度(30,000cps未満)を有する。軟膏およびクリームは、一般的に、他の揮発性成分と共に担体の一部として、炭化水素またはポリエチレングリコールを含んでいても良い、半固形のエマルジョンまたは懸濁液である。
【0073】
本発明の製剤がゲルの形態であるとき、ゲルの粘度は約10,000〜約100,000センチポイズ(cps)の範囲である(例えば、約15,000cps、約20,000cps、約25,000cps、約30,000cps、約35,000cps、約40,000cps、約45,000cps、約50,000cps、約55,000cps、約60,000cps、約65,000cps、約70,000cps、約75,000cps、約80,000cps、約85,000cps、約90,000cps、約95,000cps、またはその範囲)。
【0074】
該ゲルのpHは通常は6.0〜8.0の範囲である。このpHより高いと、Carbopol(登録商標)ポリマーなどの増粘剤の粘度は減少し、不十分な局所的製剤となり得る。好ましくは、ゲルのpHは約6.4〜約7.8であり、そしてより好ましくは、約7.4〜約7.6である。
【0075】
本発明の製剤は、多様な状態を治療するために、ヒトおよび/または動物を含む患者に局所的投与するのに適している。具体的には、該製剤は動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、トリ)およびヒトに適用され得る。局所的投与には、経口、経鼻、経気管支、および経直腸の投与経路と同様に皮膚への適用も含まれる。
【0076】
他の実施態様では、本発明は、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤を局所的に投与することにより、患者における状態を治療する方法も対象とする。
【0077】
本発明により治療され得る患者の状態とは、例えば、以下のものを含む:手術/開口創傷の洗浄剤;皮膚病原菌の消毒(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオンに対する);創傷消毒(例えば、争い傷);創傷治癒促進;やけど治癒促進;皮膚真菌の治療;乾癬;水虫;耳感染(例えば、外耳炎);外傷性創傷;急性、亜慢性、慢性感染(例えば、糖尿病性の足の感染が後者の例となる)、褥創、皮膚剥離、清拭した創傷、レーザー剥皮、採皮層/移植片、部分層および全層創傷滲出、浅い傷(裂傷、切り傷、擦り傷、軽微な皮膚炎)およびヒトまたは動物の体上または体内の他の医療適用。本発明により治療される潰瘍は、現在膿瘍または壊死組織を有していてもいなくてもよい。
【0078】
さらに、本発明は、酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む製剤を創傷に適用することによる、患者における創傷治癒促進のための方法も対象とする。治療される創傷は、任意の手術、潰瘍または他の手段により引き起こされるものであり得る。治療され得る腫瘍には、例えば、糖尿病性の足の潰瘍が含まれる。
【0079】
本発明はさらに、ORP水溶液および増粘剤を含む製剤を局所的投与することによる、患者における状態を予防する方法に関する。例えば、該製剤(例えば、ゲルの形態で)は、開裂した創傷に対して感染予防のバリアとして使用できる。具体的には、該製剤(例えば、ゲルの形態で)は、神経系および血管合併症の傾向がある糖尿病性の足の潰瘍のような、創傷の表面に適用することができる。これらの創傷は糖尿病患者にとって感染の主な入り口であるので、該製剤は従って感染に対するバリアを提供することができる。
【0080】
該製剤は、例えば感染を含む、患者における性感染症を予防するために使われ得る。予防され得る感染には、ヘルペス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および膣感染症が含まれる。該製剤がゲルの形態の場合、殺精子剤として用いられてもよい。
【0081】
本発明の製剤は、治療有効量で使用または適用され、細菌、ウイルス、および/または病原菌に対して所望の治療効果を提供し得る。本明細書において、治療有効量とは、治療中または予防される状態の改善がもたらされる該製剤の量を示す。例えば、感染を治療するために使われる場合、該製剤の治療有効量は、感染の程度を減少させおよび/またはさらなる感染を予防する。当業者により理解されるように、該製剤を投与することによりもたらされる本発明の製剤の有効性は、短期間(例えば、2、3日)および/または長期間(例えば、数ヶ月)であり得る。
【0082】
該製剤は、患者に所望の効果が観察されるまで十分な期間、例えば、1日、2日、数日、1週間、または数週間、にわたってさらに適用しても良い。
【0083】
該製剤は、いかなる適切な方法で適用しても良い。例えば、多量の製剤を治療対象の患者の表皮に適用し、それから患者自身の指を用いて十分に広げてもよい。あるいは、医療提供者が該製剤を患者の組織に適用しても良い。製剤を適用するのに、適切な道具、例えば、使い捨てのティッシュまたは布、を用いてもよい。
【0084】
本発明のORP水溶液は酸化還元方法によって製造され、それは電解反応またはレドックス反応とも呼ばれ得、そこでは、電気エネルギーを用いて、水溶液中で化学変化を起こす。電気エネルギーは、電流の形態で1点から別の点への電荷の伝導によって、水に導入されそして水を通って輸送される。電流が生じ、存続するために、水中に電荷担体が存在し、この担体を動かす力が存在する必要がある。電荷担体は、金属や半導体の場合のように電子であってもよく、あるいは溶液の場合は陽イオンおよび陰イオンであってもよい。
【0085】
本発明によれば、ORP水溶液の製造の過程において、カソードで還元反応が生じ、一方、アノードで酸化反応が生じる。生じる特異的還元および酸化反応は、国際出願WO03/048421A1に記載されている。
【0086】
本明細書では、アノードで生成した水をアノード水といい、カソードで生成した水をカソード水という。アノード水は、電解反応から生成した酸化された種を含み、一方、カソード水は、当該反応からの還元された種を含む。
【0087】
アノード水は、一般的には、典型的に約1〜約6.8の低いpHを有する。アノード水は一般的に、種々の形態の塩素を含み、例えば、塩素ガス、塩化物イオン、塩酸および/または次亜塩素酸が挙げられる。種々の形態の酸素も存在し、例えば、酸素ガス、過酸化物および/またはオゾンが挙げられる。カソード水は、一般的には、典型的に約7.2〜約11の高いpHを有する。カソード水は、一般的に、水素ガス、ヒドロキシルラジカルおよび/またはナトリウムイオンを含む。
【0088】
本発明のORP水溶液は、酸性、中性または塩基性であり得、一般的に、約1〜約14のpHを有する。このpHで、ORP水溶液は、表面に損傷を与えたり対象物を害することなく、ORP水溶液と接触するヒト皮膚等の硬表面に適当な量で安全に適用できる。典型的には、ORP水溶液のpHは約3〜約8である。より好ましくは、ORP水溶液のpHは約6.4〜約7.8であり、最も好ましくは、そのpHは約7.4〜約7.6である。
【0089】
本発明のORP水溶液は、一般的に、−1000ミリボルト(mV)〜+1150ミリボルト(mV)の間の酸化還元電位を有する。この電位は、電子を受容するか移動させる同溶液の傾向(即ち、電位)の尺度であり、溶液中で金属電極によって感知され、そして参照電極と比較される。この電位は、標準技術によって測定でき、例えば、標準参照の銀/塩化銀電極に対して、ORP水溶液のミリボルトでの電気電位を測定することが挙げられる。ORP水は、一般的に、−400mVと+1300mVとの間の電位を有する。好ましくは、ORP水溶液は、0mVと+1250mVとの間、より好ましくは+500mVと+1250mVとの間の電位を有する。より一層好ましくは、本発明のORP水は、+800mVと+1100mVとの間、最も好ましくは+800mVと+1000mVとの間の電位を有する。
【0090】
本発明のORP水溶液に、種々のイオン種や他の種が存在してもよい。例えば、ORP水溶液は、塩素(例えば、遊離塩素および結合塩素)、オゾンおよび過酸化物(例えば、過酸化水素)を含んでもよい。これらの種の1種以上の存在が、細菌、真菌およびウイルス等の種々の微生物を殺害するORP水溶液の消毒力に貢献する、と考えられる。
【0091】
遊離塩素としては、限定されないが、典型的には、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、塩化物イオン(Cl−)、亜塩素酸イオン(ClO2−)、二酸化塩素(ClO2)、溶解塩素ガス(Cl2)および他のラジカル塩素種が挙げられる。次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとの比は、pHに依存する。pH7.4で、次亜塩素酸レベルは約25ppm〜約75ppmである。温度もまた、遊離塩素成分の比に影響する。
【0092】
結合塩素は、アンモニアまたは有機アミンと化学的に結合した塩素である(例えば、クロラミン)。結合塩素は、一般的に、約20ppmまでの量で存在する。
【0093】
塩素、オゾンおよび過酸化水素は、本発明のORP水溶液に任意の適切な量で存在し得る。これらの成分のレベルは、当該分野で公知の方法によって測定できる。
【0094】
典型的には、遊離塩素と結合塩素の両方を含む全塩素含量は、約50百万分率(ppm)〜約200ppmである。好ましくは、全塩素含量は、約80ppm〜約150ppmである。
【0095】
塩素含量は、DPD比色計法(Lamotte Company,Chestertown,Maryland)または米国環境保護局によって確立された他の公知の方法等の当該分野で公知の方法によって測定できる。DPD比色計法では、遊離塩素とN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)との反応によって黄色が形成され、ppmでアウトプットを与える較正された比色計でその強度が測定される。ヨウ化カリウムをさらに添加することによって、溶液がピンク色になり、全塩素値が与えられる。次いで、全塩素から遊離塩素を差し引くことによって、存在する結合塩素量が決定される。
【0096】
典型的には、二酸化塩素は、約0.01ppm〜約5ppm、好ましくは約1.0ppm〜約3.0ppm、より好ましくは約1.0ppm〜約1.5ppmの量で存在する。二酸化塩素レベルは、改変DPD比色計試験を用いて測定できる。二酸化塩素以外の塩素の形態は、アミノ酸であるグリシンの添加によって除去される。二酸化塩素は、DPD試薬と直接反応してピンク色となり、比色計によって測定される。
【0097】
オゾンは一般的に、約0.03ppm〜約0.2ppm、好ましくは約0.10ppm〜約0.16ppmの量で存在する。オゾンレベルは、BaderおよびHoigne,Water Research,15,449−456(1981)に記載の比色法等の公知の方法によって測定できる。
【0098】
ORP水溶液中の過酸化水素レベルは、一般的に、約0.01ppm〜約200ppmの範囲であり、好ましくは約0.05ppmと約100ppmとの間である。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmと約40ppmとの間、最も好ましくは約1ppmと4ppmとの間の量で存在する。過酸化物(例えば、H2O2、H2O2−、HO2−)は、一般的に、0.12ミリモル(mM)未満の濃度で存在する。
【0099】
過酸化水素のレベルは、電子スピン共鳴(ESR)分光法によって測定できる。あるいは、BaderおよびHoigne,Water Research,22,1109−1115(1988)に記載のDPD法または当該分野で公知の任意の他の適切な方法によっても測定できる。
【0100】
ORP水溶液に存在する酸化性化学種の全量は、約2ミリモル(mM)の範囲であり、これには、上記の塩素種、酸素種、さらにはCl−、ClO3、Cl2−、ClOx等の測定するのが困難であり得る種が含まれる。存在する酸化性化学種のレベルもまた、ESR分光法(スピントラップ分子としてTempone Hを用いる)によって測定できる。
【0101】
本発明のORP水溶液は、一般的に、少なくとも24時間、典型的には少なくとも2日間安定である。より典型的には、当該水溶液は少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間等)安定であり、好ましくは少なくとも2ケ月間安定である。より好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月間安定である。より一層好ましくは、ORP水溶液は少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0102】
本明細書では、用語「安定」は、一般的に、通常の保存条件下(即ち、室温)で、製造後特定期間、ORP水溶液の能力が、意図する使用(例えば、汚染除去、消毒、滅菌、抗微生物洗浄、創傷洗浄)に適して維持されていることを指す。
【0103】
本発明のORP水溶液はまた、加速条件下(典型的には、約30℃〜約60℃で少なくとも90日間、好ましくは180日間)で保存された場合も安定である。
【0104】
溶液に存在するイオン種や他の種の濃度は、一般的に、ORP水溶液の保存寿命中は維持される。典型的には、遊離塩素、二酸化塩素、オゾンおよび過酸化水素の濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度から約70%以上維持される。好ましくは、これらの濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度の約80%以上維持される。より好ましくは、これらの濃度は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月間、初期濃度の約90%以上、最も好ましくは約95%以上維持される。
【0105】
本発明のORP水溶液の安定性は、ORP水溶液に曝した後のサンプルに存在する生物量の減少に基づいて決定できる。生物濃度の減少の測定は、細菌、真菌、酵母またはウイルスを含む任意の適切な生物を用いて行い得る。適切な生物としては、限定されないが、大腸菌、ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンスおよびバチルス・アスロフェウス(以前は枯草菌(B. subtilis))が挙げられる。ORP水溶液は、生きた微生物の濃度を4log(104)減少できる低レベル消毒剤、および生きた微生物の濃度を6log(106)減少できる高レベル消毒剤の両方として有用である。
【0106】
本発明の1局面では、ORP水溶液は、溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度を少なくとも4log(104)減少させることができる。好ましくは、ORP水溶液は、溶液の製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、生物濃度のこのような減少が可能である。より好ましくは、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも1年で測定したとき、生物濃度のこのような減少が可能であり、最も好ましくは、ORP水溶液の製造後少なくとも3年で測定したとき、このような減少が可能である。
【0107】
本発明の別の局面では、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物サンプルの濃度を少なくとも6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは製造後少なくとも1年で測定したとき、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌またはカンジダ・アルビカンス生物のこのような減少を達成できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、このような生きた微生物の濃度を少なくとも7log(107)減少できる。
【0108】
本発明のORP水溶液は、一般的に、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、約1×106と約1×108微生物/mlとの間の初期濃度から約ゼロ微生物/mlの最終濃度まで、生きた微生物サンプル(限定されないが、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスを含む)を減少させることができる。これは、生物濃度で6log(106)と8log(108)との間の減少である。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌またはカンジダ・アルビカンス生物のこのような減少を達成できる。
【0109】
あるいは、ORP水溶液は、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約5分以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度を6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、バチルス・アスロフェウス胞子の濃度のこのような減少を達成できる。
【0110】
ORP水溶液はさらに、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約30秒以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度を4log(104)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、バチルス・アスロフェウス胞子の濃度のこのような減少を達成できる。
【0111】
ORP水溶液はまた、ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約5〜約10分以内の曝露で、アスペルギルス・ニガー(Aspergillis niger)胞子等の真菌胞子の濃度を6log(106)減少できる。好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月で測定したとき、より好ましくは、製造後少なくとも1年で測定したとき、真菌胞子の濃度のこの減少を達成できる。
【0112】
1実施態様では、本発明のORP水溶液は、過酸化水素(H2O2)と1種以上の塩素種とを含む。好ましくは、存在する塩素種は遊離塩素種である。遊離塩素種は、次亜塩素酸(HOCl)、次亜塩素酸イオン(ClO−)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、亜塩素酸イオン(ClO2−)、塩化物イオン(Cl−)、二酸化塩素(ClO2)、溶解塩素ガス(Cl2)およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0113】
過酸化水素は、一般的に、約0.01ppm〜約200ppmの範囲で、好ましくは約0.05ppmと約100ppmとの間で、ORP水溶液に存在する。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmと約40ppmとの間、最も好ましくは約1ppmと4ppmとの間の量で存在する。
【0114】
遊離塩素種の全量は、一般的に、約10ppmと約400ppmとの間、好ましくは約50ppmと約200ppmとの間、最も好ましくは約50ppmと約80ppmとの間である。次亜塩素酸の量は、一般的に、約15ppmと約35ppmとの間である。次亜塩素酸ナトリウムの量は、一般的に、約25ppm〜約50ppmの範囲である。二酸化塩素のレベルは、一般的に、約5ppm未満である。
【0115】
過酸化水素と1種以上の塩素種とを含むORP水溶液は、本明細書に記載のように安定である。一般的に、ORP水溶液は少なくとも1週間安定である。好ましくは、ORP水溶液は少なくとも2ケ月間安定であり、より好ましくは、ORP水溶液は、製造後少なくとも6ケ月間安定である。より一層好ましくは、ORP水溶液は、少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0116】
この実施態様でのORP水溶液のpHは、一般的に、約6〜約8の間である。好ましくは、ORP水溶液のpHは、約6.2と約7.8との間、最も好ましくは約7.4と約7.6との間である。本発明の模範的なORP水溶液は、例えば、約1ppm〜約4ppmの過酸化水素、約15ppm〜約35ppmの次亜塩素酸、約25ppm〜約50ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含み得、約6.2〜約7.8のpH、そして少なくとも1週間安定である。
【0117】
本発明を決して限定するものではないが、pHの制御によって、過酸化水素と塩素種(例えば、次亜塩素酸や次亜塩素酸イオン等)とが共存している安定なORP水溶液が可能となる、と考えられる。
【0118】
製造後、本発明のORP水溶液または製剤は、例えば、保健医療施設(病院、療養所、医院、外来手術センター、歯科医院等を含む)等のエンドユーザーへの配布および販売のために、密封容器に移してもよい。本発明による薬学的投与形態は、本明細書記載の局所的投与のための製剤および該製剤が配置された密封容器を含む。
【0119】
容器に保持されるORP水溶液または製剤の滅菌性と安定性とを維持する、任意の適切な密封容器を使用できる。容器は、ORP水溶液または該製剤の成分、例えば、ORP水溶液および増粘剤、と適合性のある任意の材料から構成され得る。ORP水溶液中に存在するイオンが任意の感知できる程度まで容器と反応しないように、容器はほぼ非反応性であるべきである。
【0120】
好ましくは、容器は、プラスチックまたはガラスから構成される。容器が棚の上で保存できるように、プラスチックは硬質であってもよい。あるいは、プラスチックは、フレキシブル(可撓性)バッグのようにフレキシブルであってよい。
【0121】
適切なプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエステルテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリビニルクロライドおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、容器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる群から選択されるポリエチレンを含む。最も好ましくは、容器は高密度ポリエチレンである。
【0122】
容器は、患者に投与するためにORP水溶液または製剤の分配を可能とする開口部を備える。容器の開口部は、任意の適切な方法で密封され得る。例えば、容器は、回転してはずれるキャップまたはストッパーで密封されてもよい。必要に応じて、開口部は、フォイル層でさらに密封されてもよい。
【0123】
密封容器の頭部空間のガスは、空気であってもよく、ORP水溶液またはORP水溶液を含む製剤の他の成分と反応しない他の適切な気体であってもよい。適切な頭部空間のガスとしては、窒素、酸素およびそれらの混合物が挙げられる。
【0124】
本発明はさらに、アノード水とカソード水とを含むORP水溶液を提供する。アノード水は、本発明で使用される電解セルのアノードチャンバーで生成される。カソード水は、電解セルのカソードチャンバーで生成される。
【0125】
カソード水は、一般的に、溶液の約10体積%〜約90体積%の量で、溶液のORP水溶液に存在する。好ましくは、カソード水は、溶液の約10体積%〜約50体積%、より好ましくは溶液の約20体積%〜約40体積%、最も好ましくは溶液の約20体積%〜約30体積%の量でORP水溶液に存在する。さらに、アノード水は、溶液の約50体積%〜約90体積%の量でORP水溶液に存在していてもよい。
【0126】
本明細書に記載するように、アノード水とカソード水の両方を含むORP水溶液は、酸性、中性または塩基性であり得、一般的に、約1〜約14のpHを有する。典型的には、ORP水溶液のpHは約3〜約8である。好ましくは、pHは約6.4〜約7.8、より好ましくは、約7.4〜約7.6である。
【0127】
本発明のORP水溶液は、消毒剤、洗浄剤、洗剤、防腐剤等として種々の広範な用途を有し、環境中に存在する望まれないまたは有害な物質の活性を抑制する。ORP水溶液で処理され得る物質としては、例えば、生物やアレルゲンが挙げられる。
【0128】
ORP水溶液は、消毒剤、滅菌剤、汚染除去剤、防腐剤および/または洗浄剤として使用してもよい。本発明のORP水溶液は、以下の代表的な用途での使用に適している:医療、歯科および/または獣医用の装置およびデバイス;食品産業用(例えば、硬表面、果実、野菜、肉);病院/保健医療施設用(例えば、硬表面);化粧品産業用(例えば、皮膚洗浄剤);家庭用(例えば、床、カウンター、硬表面);エレクトロニクス産業用(例えば、回路洗浄、ハードドライブ);およびバイオテロ用(例えば、炭疽菌、感染性微生物)。
【0129】
ORP水溶液はまた、例えば、以下のもの:手術/開口創傷の洗浄剤;皮膚病原菌消毒剤(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオン用);争い傷の消毒剤;創傷治癒促進;やけど治癒促進;胃潰瘍治療;創傷灌注;皮膚真菌;乾癬;水虫;はやり目および他の眼の感染;耳感染(例えば、外耳炎);肺/鼻/鼻腔感染;および、ヒトまたは動物の体上または当該体内の他の医療適用;を含む種々の状態を処置するために、ヒトおよび/または動物にも適用できる。組織細胞増殖促進剤としてのORP水溶液の使用はさらに、米国特許出願公開2002/0160053A1に記載されている。
【0130】
本発明を決して限定するものではないが、ORP水溶液が、それが接触する細菌を撲滅し、蛋白質やDNAを含む細菌細胞成分を破壊する、と考えられる。
【0131】
ORP水溶液での処理によって抑制、減少、殺害または撲滅できる生物としては、限定されないが、細菌、真菌、酵母およびウイルスが挙げられる。感受性細菌としては、限定されないが、大腸菌、ブドウ球菌、バチルス・アスロフェウス、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、豚コレラ菌(Salmonella choleraesuis)、緑濃菌、シゲラ・ディセンテリアエ(Shingella dysenteriae)および他の感受性細菌が挙げられる。ORP水溶液で処理できる真菌および酵母としては、例えば、カンジダ・アルビカンスや毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)が挙げられる。ORP水溶液はまた、例えば、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ライノウイルス、インフルエンザ(例えばインフルエンザA)、肝炎(例えば、肝炎A)、コロナウイルス(重度急性呼吸器症候群(SARS)の原因である)、ロタウイルス、呼吸器シンシチウムウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ルベラウイルスおよび他の感受性ウイルスを含むウイルスにも適用できる。
【0132】
本発明のORP水はまた、環境中に存在するアレルゲンの活性の抑制に使用するのにも適している。本明細書では、アレルゲンとしては、感受性のあるヒトまたは動物において、有害な免疫応答、即ちアレルギーを引き起こし得る、細菌、真菌、酵母またはウイルス以外の任意の物質が挙げられる。ぜんそくは、1種以上のアレルゲンに曝された後の一般的な生理的応答である。アレルゲンは、生存能力があるもの(即ち、生きているまたは死んでいる生物由来)や、そうでないもの(例えば、織物等の非生命体)のいずれかであり得、例えば、家庭および/または仕事場等の環境中に存在しうる。
【0133】
ORP水で処理できる蛋白質ベースの家庭のアレルゲンとしては、例えば、動物の毛、皮膚および排泄物、ハウスダスト、雑草、草、木、ダニ、花粉が挙げられる。動物のアレルゲンとしては、例えば、猫上皮、犬上皮、馬フケ、牛フケ、犬フケ、モルモット上皮、ガチョウの羽、マウス上皮、マウス尿、ラット上皮、ラット尿が挙げられる。
【0134】
職業性アレルゲンとしては、例えば、通常、植物もしくは動物蛋白質由来の天然蛋白質等の高分子量の薬品、およびジイソシアネート等の低分子量の化学物質、並びに一部の布地に見られる他の材料が挙げられる。仕事場に存在しうる他の化学アレルゲンとしては、例えば、無水物、抗生物質、木ダストおよび染料が挙げられる。植物ゴム、酵素、動物蛋白質、昆虫、植物蛋白質、マメを含む多数の蛋白質は、職業性アレルゲンでありうる。
【0135】
ORP水溶液による処理に適した他のアレルゲンは、KorenblatおよびWedner,Allergy Theory and Practice(1992)およびMiddleton,Jr.,Allergy Principles and Practice(1993)に記載されている。
【0136】
本発明のORP水溶液は、所望の殺細菌、殺ウイルス、殺菌および/または抗アレルギー効果を与える任意の適切な量で使用または適用され得る。
【0137】
ORP水溶液は、任意の適切な方法で消毒および滅菌に適用してもよい。例えば、医療または歯科装置を消毒および滅菌するために、装置上に存在する生物のレベルを所望レベルまで減少させるのに十分な時間、装置はORP水溶液と接触して保持される。
【0138】
硬表面の消毒および滅菌については、ORP水溶液は、ORP水溶液が保存されている容器から直接に硬表面に適用してもよい。例えば、ORP水溶液は、硬表面に、注ぎ、噴霧しまたは直接塗布してもよい。次いで、このORP水溶液は、例えば、布、織物またはペーパータオル等の適切な基材を用いて硬表面上に分配してもよい。病院用途では、この基材は好ましくは滅菌性である。あるいは、ORP水溶液は、最初に、布、織物またはペーパータオル等の基材に適用してもよい。次いで、この湿った基材を硬表面と接触させる。あるいは、ORP水溶液は、本明細書に記載のように、空気中に溶液を分散させることによって硬表面に適用してもよい。ORP水溶液は、同様の方法で、ヒトや動物に適用してもよい。
【0139】
床、壁、天井等の硬表面にORP水溶液を適用するために、必要に応じて道具を使用してもよい。例えば、床に適用するために、モップのヘッドにORP水溶液を分配してもよい。硬表面にORP水溶液を適用するのに適切な他の道具は、米国特許第6,663,306号に記載されている。
【0140】
本発明はさらに、本明細書に記載のように、水不溶性基材とORP水溶液とを含む清浄用拭き取り材(cleaning wipe)を提供し、ORP水溶液は基材上に分配される。ORP水溶液は、基材にしみ込ませ、コートし、被覆しまたは塗布してもよい。好ましくは、基材は、清浄用拭き取り材をエンドユーザーへ配布する前に、ORP水溶液で予め処理される。
【0141】
清浄用拭き取り材用の基材は、任意の適切な水不溶性の吸収材料または吸着材料でありうる。種々の広範な材料が基材として使用できる。それは、十分な湿強度、磨耗性、厚み(loft)および多孔性を有すべきである。さらに、基材は、ORP水溶液の安定性に悪影響を与えてはいけない。例としては、不織基材、織物基材、水で絡ませた(hydroentangled)基材およびスポンジが挙げられる。
【0142】
基材は1層以上を有してもよい。各層は、同一または異なるテクスチャー(組織)および磨耗性を有してもよい。異なるテクスチャーは、材料の異なる組み合わせの使用または異なる製造方法の使用、あるいはその組み合わせから生じ得る。基材は、水に溶解すべきではないし、水でばらばらになるべきではない。基材は、処理すべき表面にORP水溶液を送る媒体を提供する。
【0143】
基材は、単一の不織シートまたは複数の不織シートであってもよい。不織シートは、木材パルプ、合成繊維、天然繊維およびそれらの混合物から製造されてもよい。基材で使用される適切な合成繊維としては、限定されないが、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、他のセルロースポリマーおよびこのような繊維の混合物が挙げられる。不織物としては、メルトブローした(meltblown)、共形成した(coform)、エアーレイした(air-laid)、スパンボンドした(spun bond)、ウエットレイした(wet laid)、ボンドしてカードした(bonded-carded)ウェブ材料、水で絡ませた(スパンレースした(spunlaced)としても知られる)材料、およびそれらの組み合わせを含む不織繊維シート材料が挙げられる。これらの材料は、合成もしくは天然繊維またはそれらの組み合わせを含んでもよい。必要に応じて、結合剤が基材中に存在してもよい。
【0144】
適切な不織の水不溶性基材の例としては、Little Rapids Corporationから入手できる100%セルロースWadding Grade 1804、American Non−wovens Corporationから入手できる100%ポリプロピレンニードルパンチ材料NB701−2.8−W/R、Ahlstrom Fibre Compositesから入手できるセルロース繊維と合成繊維とのブレンド−Hydraspun 8579、PGI Nonwovens Polymer Corp.から入手できる70%ビスコース/30%PESコード9881が挙げられる。清浄用拭き取り材で使用するのに適切な不織基材の更なる例は、米国特許第4,781,974号、同第4,615,937号、同第4,666,621号、同第5,908,707号、国際特許出願公開WO98/03713、WO97/40814、WO96/14835に記載されている。
【0145】
基材は、綿繊維、綿/ナイロンブレンド等の織物材料、または他の布地から製造されてもよい。スポンジを製造するのに使用される再生セルロース、ポリウレタンフォーム等もまた使用に適している。
【0146】
基材の液体負荷能力は、その乾燥重量の少なくとも約50%〜1000%、最も好ましくは、少なくとも約200%〜800%であるべきである。これは、基材の重量の1/2〜10倍の負荷として表される。基材の重量は、限定されないが、平方メートル当り約0.01〜約1,000g、最も好ましくは、25〜120g/m2まで変わり(「ベース重量」という)、典型的には、シートまたはウェブとして製造され、それは、適当な形状およびサイズに切断され、ダイ切断され、またはサイジングされる。清浄用拭き取り材は、好ましくは、一定の湿潤引張り強度を有し、それは限定されないが、約25〜約250ニュートン/m、より好ましくは、約75〜170ニュートン/mである。
【0147】
ORP水溶液は、任意の適切な方法によって、基材に分配し、染み込ませ、コートし、被覆しまたは塗布してもよい。例えば、基材の個々の部分は、異なった量のORP水溶液で処理されてもよい。好ましくは、ORP水溶液による基材材料の連続したウェブの大量処理が行われる。基材材料のウェブ全体をORP水溶液に浸漬してもよい。あるいは、基材ウェブが巻かれているとき、または不織基材の製造中であっても、ORP水溶液はウェブ上に噴霧され、または計量しながら供給される。基材を個々に切断しサイズを合わせた多数の部分は、製造業者によって、容器内でORP水溶液を染み込ませるかまたはORP水溶液でコートしてもよい。
【0148】
清浄用拭き取り材は、拭き取りの性質を改良するために、必要に応じて追加の成分を含んでもよい。例えば、清浄用拭き取り材は、拭き取りの性質を改良するために、ポリマー、界面活性剤、多糖類、ポリカルボキシレート、ポリビニルアルコール、溶媒、キレート剤、緩衝液、増粘剤、染料、着色剤、香料およびそれらの混合物をさらに含んでもよい。これらの任意の成分は、ORP水溶液の安定性に悪影響を与えるべきではない。清浄用拭き取り材に必要に応じて含まれてもよい種々の成分の例は、米国特許第6,340,663号、同第6,649,584号、同第6,624,135号に記載されている。
【0149】
本発明の清浄用拭き取り材は、熱密封可能なまたは接着可能な熱可塑性オーバーラップ(ポリエチレン、Mylar等)で個々に密封され得る。拭き取り材は、より経済的な分配のために、多数の個別のシートとして包装することもできる。清浄用拭き取り材は、最初に、ディスペンサー中に基材の複数のシートを入れ、次いで、基材シートを本発明のORP水溶液と接触させることによって製造できる。あるいは、清浄用拭き取り材は、製造工程中に基材にORP水溶液を適用し、次いで、ディスペンサーにこの湿った基材をつめることによって、連続ウェブとして形成できる。
【0150】
ディスペンサーとしては、限定されないが、クロージャ(closure)を有するキャニスターまたはクロージャを有するタブが挙げられる。ディスペンサー上のクロージャは、湿った拭き取り材を外部環境から密封し、液体成分の早すぎる揮発を防止する。
【0151】
ディスペンサーは、基材とORP水溶液の両方に適合性のある任意の適切な材料から製造されてもよい。例えば、ディスペンサーは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVC)または他の硬質プラスチック等のプラスチックから製造できる。
【0152】
拭き取り材の連続ウェブは、ディスペンサーのトップ(上端部)の細い開口部、最も好ましくは、クロージャに通され得る。次いで、ウェブから所望の長さまたは大きさの拭き取り材にサイズを合わせる手段が必要であろう。ナイフブレード、のこぎり歯状エッジまたは所望の大きさにウェブを切断する他の手段が、ディスペンサーのトップ(上端部)に備えられてもよく、非限定の例として、細い開口部は、切断エッジとして実際に二重の仕事を行う。あるいは、拭き取り材の連続ウェブに(連続ウェブを)、均一または不均一のサイズもしくは長さに、刻み目を付け、折り畳み、分割し、ミシン目を入れ、または部分的に切断してもよく、これは、鋭い切断エッジの必要性をなくすであろう。さらに、1つの拭き取り材を除くと次が出てくるように、拭き取り材を交互に差し挟んでもよい。
【0153】
あるいは、本発明のORP水溶液は、空気等の気体媒質を介して環境中に分散させてもよい。ORP水溶液は、任意の適切な手段で空気中に分散させてもよい。例えば、ORP水溶液は、任意の適切なサイズの小滴を形成して室内に分散させてもよい。
【0154】
小規模の適用として、ORP水溶液は、スタンドパイプとポンプとを備える噴霧ボトルを通して分配してもよい。あるいは、ORP水溶液は、エアロゾル容器に充填してもよい。エアロゾル容器は、一般的に、分配される製品、噴射剤、容器、および弁を含む。弁には、アクチュエーターとディップチューブの両方が含まれる。容器の内容物は、アクチュエーターを下に押すことによって分配される。エアロゾル容器の種々の成分は、ORP水溶液と適合性がある。適切な噴射剤としては、液化ハロカーボン、炭化水素またはハロカーボン−炭化水素ブレンド、あるいは二酸化炭素、窒素または亜酸化窒素等の圧縮気体が挙げられ得る。エアロゾルシステムは、典型的には、約0.15μm〜約5μmのサイズの範囲の小滴を与える。
【0155】
ORP水溶液は、肺および/または気道における感染の治療のために、または身体のこのような部分での創傷の治癒のために、吸入器システムの一部としてエアロゾル形態で分配してもよい。
【0156】
大規模の適用として、任意の適切なデバイスを用いて、空気中にORP水溶液を分散させてもよく、限定されないが、加湿器、ミスター(霧吹き器)、フォガー(噴霧器)(fogger)、気化器、アトマイザー、水スプレーおよび他のスプレーデバイスが挙げられる。このようなデバイスは、連続したベースの上へのORP水溶液の分配を可能とする。ノズルで空気と水とを直接的に混合するエジェクタを使用してもよい。ORP水溶液は、低圧蒸気等の蒸気に変換して、気流中に放出してもよい。超音波加湿器、ストリーム加湿器もしくは気化器、および蒸発性加湿器等の種々のタイプの加湿器を使用してもよい。
【0157】
ORP水溶液を分散させるのに使用される特定のデバイスは、家屋または保健医療施設(例えば、病院、療養所等)全体にわたってORP水溶液の広範な適用を提供するために、換気システムに組み込まれてもよい。
【0158】
ORP水溶液は、必要に応じて漂白剤を含んでもよい。漂白剤は、基材を明るくまたは白くする任意の適切な材料であり得る。漂白剤を含むORP水溶液は、家庭での洗濯において使用して細菌や微生物を消毒および滅菌することができ、また衣類を明るくすることができる。適切な漂白剤としては、限定されないが、塩素含有漂白剤および過酸化物含有漂白剤が挙げられる。漂白剤の混合物もまた、ORP水溶液に加えてもよい。好ましくは、漂白剤は水溶液の形態でORP水溶液に加えられる。
【0159】
本発明で有用な塩素含有漂白剤としては、塩素、次亜塩素酸塩、N−クロロ化合物、二酸化塩素が挙げられる。好ましくは、ORP水溶液に加える塩素含有漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸である。他の適切な塩素含有漂白剤としては、塩素、次亜塩素酸カルシウム、ブリーチリカー(例えば、次亜塩素酸カルシウムと塩化カルシウムとの水溶液)、漂白粉(例えば、次亜塩素酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウムおよびそれらの水和物の混合物)、二塩基性次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化リン酸三ナトリウムが挙げられる。塩素含有漂白剤の混合物を使用してもよい。
【0160】
ORP水溶液への漂白剤の添加は、任意の適切な方法で行われ得る。好ましくは、漂白剤を含む水溶液をまず調製する。漂白剤を含む水溶液は、家庭用ブリーチ(例えば、Clorox(登録商標)ブリーチ)または塩素含有漂白剤の他の適切な供給源または他の漂白剤を用いて調製できる。次いで、漂白剤溶液はORP水溶液と混合される。
【0161】
漂白剤は、任意の適切な量でORP水溶液に加えられ得る。好ましくは、漂白剤を含むORP水溶液は、ヒトまたは動物皮膚に対して非刺激性である。好ましくは、塩素含有漂白剤を含むORP水溶液の全塩化物イオン含量は、約1000ppm〜約5000ppm、好ましくは、約1000ppm〜約3000ppmである。塩素含有漂白剤を含むORP水溶液のpHは、好ましくは、約8〜約10であり、酸化還元電位は約+700mV〜約+800mVである。
【0162】
ORP水溶液は、家庭および仕事場のクリーニング環境に適した添加剤を必要に応じて含んでもよい。適切な添加剤としては、洗剤や洗浄剤等の界面活性剤が挙げられる。ORP水溶液の消費者の受け入れを高めるために、香料や他の香りを出す化合物も含まれていてもよい。
【0163】
本発明はさらに、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを備える少なくとも1つの電解セルを用いるORP水溶液の製造方法を提供する。ここで、当該ORP水溶液はアノード水とカソード水とを含んでいる。本発明に有用な典型的な3つのチャンバーを有する(three chamber)電解セルの略図を図1に示す。
【0164】
電解セル100は、アノードチャンバー102、カソードチャンバー104および塩溶液チャンバー106を備える。塩溶液チャンバーは、アノードチャンバー102とカソードチャンバー104との間に位置する。アノードチャンバー102は、アノードチャンバー102を通る水の流れを可能とするために、インレット108およびアウトレット110を備える。同様に、カソードチャンバー104は、カソードチャンバー104を通る水の流れを可能とするために、インレット112およびアウトレット114を備える。塩溶液チャンバー106は、インレット116およびアウトレット118を備える。好ましくは、電解セル100は、全てのコンポーネントを一緒に収納するためのハウジングを備える。
【0165】
アノードチャンバー102は、アノード電極120とアニオンイオン交換膜122とによって塩溶液チャンバーから分離されている。アノード電極120がアノードチャンバー102に隣接して位置決めされてもよく、膜122がアノード電極120と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。あるいは、膜122がアノードチャンバー102に隣接して位置決めされてもよく、アノード電極120が膜122と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。
【0166】
カソードチャンバー104は、カソード電極124とカソードイオン交換膜126とによって塩溶液チャンバーから分離されている。カソード電極124がカソードチャンバー104に隣接して位置決めされてもよく、膜126がカソード電極124と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。あるいは、膜126がカソードチャンバー104に隣接して位置決めされてもよく、カソード電極124が膜126と塩溶液チャンバー106との間に位置してもよい。
【0167】
電極は、一般的に金属から構成され、アノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に電圧電位が印加されるのを可能とする。金属電極はほぼ平面であり、イオン交換膜と同様の寸法および断面積を有する。電極は、それぞれのアノードチャンバーとカソードチャンバーとにおいて、イオン交換部材の表面の実質的な部分を水に曝すように構成されている。これにより、塩溶液チャンバーとアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間でイオン種の移動が可能となる。好ましくは、電極は、電極表面にわたって均等に間隔を置いて配置された複数の通路または孔を有する。
【0168】
電位の供給源は、アノードチャンバー102で酸化反応を誘導しかつカソードチャンバー104で還元反応を誘導するように、アノード電極120とカソード電極124とに接続されている。
【0169】
電解セル100で使用されるイオン交換膜122および126は、塩溶液チャンバー106とアノードチャンバー102との間で塩化物イオン(Cl−)等のイオンの交換を可能とし、かつ塩溶液チャンバー106とカソードチャンバー104との間でナトリウムイオン(Na+)等のイオンの交換を可能とする、任意の適切な材料から構成され得る。アノードイオン交換膜122およびカソードイオン交換膜126は、同一または異なる構成材料から製造されてもよい。好ましくは、アノードイオン交換膜は、フッ素化ポリマーを含む。適切なフッ素化ポリマーとしては、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーや、パーフルオロスルホン酸/PTFEコポリマーおよびパーフルオロスルホン酸/TFEコポリマー等のコポリマーが挙げられる。イオン交換膜は、単一の材料層または複数層から構成されてもよい。
【0170】
電解セル100のアノードチャンバー102およびカソードチャンバー104のための水の供給源は、任意の適切な水供給源であり得る。水は、市の上水道からでもよく、あるいは電解セルでの使用前に前処理してもよい。好ましくは、前処理水は、軟水、精製水、蒸留水、および脱イオン水からなる群から選択される。より好ましくは、前処理水源は、逆浸透精製装置を用いて得られる超純粋水である。
【0171】
塩水溶液チャンバー106で使用するための塩水溶液は、ORP水溶液を製造するのに適切なイオン種を含む、任意の塩水溶液であり得る。好ましくは、塩水溶液は、生理食塩水とも通常言われる、塩化ナトリウム(NaCl)塩水溶液である。他の適切な塩溶液としては、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム等の他の塩化物塩、並びにカリウムおよび臭素塩等の他のハロゲン塩が挙げられる。塩溶液は、塩の混合物を含んでもよい。
【0172】
塩溶液は、任意の適切な濃度を有し得る。塩溶液は、飽和でも濃縮されていてもよい。好ましくは、塩溶液は、飽和塩化ナトリウム溶液である。
【0173】
本発明で有用な、3つのチャンバーを有する(three chambered)電解セルで生成する種々のイオン種を、図2に示す。3つのチャンバーを有する電解セル200は、アノードチャンバー202とカソードチャンバー204と塩溶液チャンバー206とを備える。アノード208とカソード210とに適切な電流を流したとき、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液中に存在するイオンは、アノードイオン交換膜212およびカソードイオン交換膜214を通って、それぞれ、アノードチャンバー202およびカソードチャンバー204を通って流れる水中に移動する。
【0174】
陽イオンは、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液216から、カソードチャンバー204を通って流れるカソード水218に移動する。陰イオンは、塩溶液チャンバー206を通って流れる塩溶液216から、アノードチャンバー202を通って流れるアノード水220に移動する。
【0175】
好ましくは、塩溶液216は、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−)の両方を含む塩化ナトリウム(NaCl)水溶液である。陽Na+イオンは、塩溶液216からカソード水218に移動する。陰Cl−イオンは、塩溶液216からアノード水220に移動する。
【0176】
ナトリウムイオンおよび塩化物イオンは、アノードチャンバー202およびカソードチャンバー204でさらに反応を受け得る。例えば、塩化物イオンは、アノード水220中に存在する種々の酸素イオンや他の種(例えば、酸素フリーラジカル、O2、O3)と反応して、ClOn−やClO−を生成し得る。酸素フリーラジカル、水素イオン(H+)、酸素(O2として)、オゾン(O3)、および過酸化物の形成を含む他の反応も、アノードチャンバー202で起こり得る。カソードチャンバー204では、水素ガス(H2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化物イオン(OH−)、ClOn−イオンおよび他のラジカルが形成され得る。
【0177】
本発明は、少なくとも2つの3つのチャンバーを有する電解セルを用いた、ORP水溶液を製造するための方法および装置をさらに提供する。本発明の2つの電解セルを用いたORP水溶液の製造方法の略図を図3に示す。
【0178】
方法300は、2つの、3つのチャンバーを有する電解セル、特に第1電解セル302と第2電解セル304とを含む。水は、水供給源305から、第1電解セル302のアノードチャンバー306およびカソードチャンバー308、および第2電解セル304のアノードチャンバー310およびカソードチャンバー312に導入され、ポンプでくみ上げられ、または分配される。典型的には、本発明の方法は、約1リットル/分〜約50リットル/分のORP水溶液を製造できる。製造能力は、追加の電解セルを用いることによって増加させてもよい。例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の3つのチャンバーを有する電解セルを用いて、本発明のORP水溶液の生産量を増加させてもよい。
【0179】
アノードチャンバー306およびアノードチャンバー310で生成したアノード水は、混合タンク314に集められる。カソードチャンバー308およびカソードチャンバー312で生成したカソード水の一部は、混合タンク314に集められ、アノード水と混合される。本方法で生成したカソード水の残りの部分は廃棄される。カソード水は、必要に応じて、混合タンク314への添加前に、気体分離器316および/または気体分離器318に供されてもよい。気体分離器は、製造方法の間にカソード水中で形成される水素ガス等の気体を除去する。
【0180】
混合タンク314は、電解セル302および304からのアノード水とカソード水の一部との均一な混合を可能とするために、必要に応じて再循環ポンプ315に接続されていてもよい。さらに、混合タンク314は、必要に応じて、ORP水溶液のレベルおよびpHをモニターするのに適切なデバイスを備えていてもよい。ORP水溶液は、混合タンクの位置でまたはその近傍で消毒または滅菌に適用するために、混合タンク314からポンプ317を介して移動させてもよい。あるいは、ORP水溶液は、離れた場所(例えば、倉庫、病院等)へ輸送するために、適当な容器に分配してもよい。
【0181】
方法300は、第1電解セル302の塩溶液チャンバー322および第2電解セル304の塩溶液チャンバー324に塩溶液を提供するために、塩溶液再循環システムをさらに含む。塩溶液は塩タンク320で調製される。塩溶液は、ポンプ321を介して塩溶液チャンバー322および324に移動させる。好ましくは、塩溶液は、まず塩溶液チャンバー322、次いで塩溶液チャンバー324を通って順次流れる。あるいは、塩溶液は、両方の塩溶液チャンバーに同時にポンプで送ってもよい。
【0182】
塩溶液は、必要であれば、ORP水溶液の温度を制御するために、塩タンク320に戻る前に、混合タンク314中の熱交換器326を通って流れてもよい。
【0183】
塩溶液中に存在するイオンは、第1電解セル302および第2電解セル304中で時間の経過につれて減少する。アノード水およびカソード水に移動するイオンの代わりを補充するために、追加のイオン供給源を混合タンク320に定期的に加えてもよい。追加のイオン供給源を使用して、時間の経過につれて下降する傾向がある(即ち、酸性になる)塩溶液の一定のpHを維持してもよい。追加のイオン供給源は、例えば、塩化ナトリウム等の塩を含む任意の適切な化合物であり得る。好ましくは、アノード水およびカソード水に移動するナトリウムイオン(Na+)の代わりを補充するために、水酸化ナトリウムが混合タンク320に加えられる。
【0184】
別の実施態様では、本発明は、少なくとも2つの3つチャンバーを有する電解セルを備える、酸化還元電位水溶液の製造装置を提供する。電解セルの各々は、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとを分離する塩溶液チャンバーを備える。当該装置は、電解セルによって生成したアノード水および1つ以上の電解セルによって生成したカソード水の一部を集めるための混合タンクを備える。好ましくは、当該装置は、電解セルの塩溶液チャンバーへ供給される塩溶液の再利用を可能とするために、塩再循環システムをさらに備える。
【実施例】
【0185】
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、勿論、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0186】
実施例1−3
これらの実施例は、本発明のORP水溶液の独自の特徴を示す。実施例1−3のORP水溶液のサンプルは、本明細書に記載の方法に基づいて分析し、各サンプルに存在するイオン種および他の化学種の物理的特性およびレベルを決定した。ORP水溶液の各サンプルについて、pH、酸化還元電位(ORP)および存在するイオン種を表1に示す。
【0187】
【表1】
【0188】
これらの結果が示すように、本発明は、消毒、滅菌および/または洗浄における使用に適切な物理的特徴を有するORP水溶液を提供する。
【0189】
実施例4−10
これらの実施例は、本発明のORP水溶液への種々の量の漂白剤の添加を示す。特に、
これらの実施例は、組成物の抗微生物活性および織物漂白能力を示す。
【0190】
蒸留水を用いて10%Clorox(登録商標)ブリーチ溶液を調製した。次いで、10%漂白溶液を用いて、以下の溶液を調製した:80%ORP水溶液/20%ブリーチ(実施例4);60%ORP水溶液/40%ブリーチ(実施例5);40%ORP水溶液/60%ブリーチ(実施例6);20%ORP水溶液/80%ブリーチ(実施例7);0%ORP水溶液/100%ブリーチ(実施例8)。100%ORP水溶液/0%ブリーチ(実施例9)および0.01%Tween20洗剤を含むORP水溶液(実施例10)を含む2つの対照溶液も比較のために使用した。これらのサンプルの物理的特徴、特にpH、酸化還元電位(ORP)、全塩素(Cl−)含量、次亜塩素酸(HClO−)含量、二酸化塩素含量および過酸化物含量を測定し、表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
漂白剤の一部として加えた多量の塩素イオンは、n.d.表示によって示すように、二酸化塩素および過酸化物のレベルの正確な測定を妨げた。これらの実施例が示すように、漂白剤の添加のありとなしでORP水溶液の次亜塩素酸レベルは類似している。
【0193】
バチルス・ズブチリス変異体ニガー(Bacillus subtilis var. niger)胞子(SPS Medical of Rush,New Yorkから得たATCC♯9372)を用いて、実施例4−10のサンプルを、高胞子計測試験に供した。胞子懸濁液は、4×106胞子/100μlまで濃縮した(滅菌フード中での蒸発によって)。胞子懸濁液の100μlサンプルを、実施例4−10の各サンプルの900μlと混合した。表3に示すように、サンプルを1〜5分間室温でインキュベートした。示した時間で、インキュベートされたサンプル100μlを個々のTSAプレート上に載せ、35℃±2℃で24時間インキュベートし、その後、各プレート上で生じたコロニーの数を測定した。対照プレートは、出発胞子濃度が>1×106胞子/100μlであることを示した。種々のサンプルについて、種々のインキュベーション時間でのバチルス胞子の濃度(2回測定の平均として)を表3に示す。
【0194】
【表3】
【0195】
これらの結果が示すように、2〜3分間インキュベートしたサンプルについて、ブリーチ(10%ブリーチ水溶液として)の濃度が増加するにつれて、殺害されたバチルス胞子の量は減少した。しかし、5分間インキュベートしたサンプルについては、ブリーチの濃度は、バチルス胞子の殺害に影響を与えなかった。さらに、この結果は、ORP水溶液への0.01%洗剤の添加が胞子の殺害量を減少させないことを示している。
【0196】
実施例4−10のサンプルを織物漂白試験に供した。サンプルを試験した織物は、濃青染料パッチのある100%レーヨンの子供のTシャツであった。染色した織物の2インチ平方の断片を、50mlプラスチックチューブに入れた。各織物断片を、実施例4−10の溶液のサンプルで覆った。織物の白化によって決定される、完全な漂白が得られるまでの経過時間を表4に示す。
【0197】
【表4】
【0198】
これらの実施例が示すように、組成物中のORP水溶液の濃度が増加するにつれて、完全漂白が達成されるまでの時間が増加する。
【0199】
実施例11
本実施例は、本発明のORP水溶液の毒性プロフィールに関する。本発明の代表的ORP水溶液であるMicrosyn60(即ちM60)をこれらの研究で用いた。
【0200】
安全性の点で、M60は、国際標準(AAMI1997;NV SOP 16G−44;PFEUM2000)に従って試験して、ウサギの皮膚又は結膜に対して刺激性ではなかった。更に、ラットにおける急性吸入毒性試験は、この経路によるMicrosyn60の投与が安全であることを示した。
【0201】
Microsyn60の潜在的刺激効果を、ウサギでの1次眼刺激研究で評価した。Microsyn60の体積0.1mLを、3羽のニュージーランド白ウサギの右眼に点眼した。各動物の左眼は、対照として未処置のままにした。角膜潰瘍化又は混濁、虹彩の炎症、及び結膜の赤さ又は結膜浮腫について、1、24、48および72時間で眼を観察し、評価した。全ての動物はまた、死亡及び不健康の徴候について、1日1回観察した。
【0202】
研究の間のどの時点でも、処置した眼又は対照の眼のいずれにおいても、眼の刺激の徴候は観察されなかった。研究の持続期間中、全ての動物は、臨床的に健康のようであった。これらの知見は、Microsyn60が陽性の刺激応答を引き起こさないことを示す。
【0203】
また、ラットにおいて急性吸入毒性研究を行って、Microsyn60の潜在的吸入毒性を決定した。10羽のSprauge−Dawleyアルビノラットを、非希釈Microsyn60から発生させたエアロゾルに4時間曝した。Microsyn60の濃度は、2.16mg/Lであると測定した。死亡及び毒性の臨床的/行動的徴候について、曝露日にしばしば、そしてその後14日間で1日1回、全ての動物を観察した。14日目に全ての動物を安楽死させ、死体全体解剖を行った。
【0204】
曝露を始めて4.5時間後および6時間後、全ての動物は、非常に僅か乃至僅かの立毛並びに非常に僅かの活動減少を示したが、翌日までに無症状であり、研究の持続期間中、臨床的に正常であるようであった。1羽の雄は、0日目と7日目との間に体重の増加に失敗した。死亡は無く、死体全体解剖は、観察できる異常を示さなかった。本研究からの推定急性吸入LD50は、2.16mg/Lよりも大きい。
【0205】
更なる毒性研究をウサギで行った。超酸化水(1mL)のエアロゾルを、15、30、45および60日間、1日3回、20羽のニュージーランドウサギの右鼻孔に正圧デバイスにより送達する。左の対照鼻孔は、いかなる処置もしないままにする。未処置の鼻孔およびM60処置した鼻孔からの鼻粘膜バイオプシーを、各時点で5羽の動物から得る。次いで、これらの組織を、光学及び電子顕微鏡検査下、観察する。完全な医学検査は、各動物で1日おきに行い、鼻閉塞、顔面疼痛、圧力、膿性鼻汁、及び倦怠感を記載する。副作用は、稀、中程度、及び一過性として報告する。
【0206】
M60の60日間の鼻内適用後、鼻粘膜の変化が現れた。60日目に、全てのサンプルにおいて、上皮の中程度の破壊、上皮下領域の別個の炎症性湿潤、及び腺と血管との過形成があった。超構造観察下、我々は以下を見出した:上皮細胞内に種々の嚢様変化が現れた;ミトコンドリアは濃縮し、変形し、膜の一部は溶解した。上皮細胞の一部は脱着した;上皮繊毛は殆ど消失し、その膜は溶解し、細胞間空間は拡がった。細胞の一部は基底膜から脱着していた。固有層は中程度に浮腫状であった。
【0207】
本研究は、M60が60日間の鼻内投与後、鼻粘膜を温和に刺激しうることを示す。しかし、このダメージは最小限で可逆性であったので、M60投与の鼻内経路は安全であると考えられ得た。これは、以下の事実に基づく:数年間の血管収縮剤の適用後、鼻粘膜は重度に損傷を受けうるが、これらの薬剤の停止後、鼻粘膜はなお正常まで回復する。このことは、鼻粘膜の再生の過程(これは、基細胞および基底膜が、損傷後、無傷のままであるかどうかに依存する)のせいで可能である。近接の基細胞は、基底膜に沿って病巣に遊走しえ、病巣を覆い得る。従って、M60処置後、いくつかの領域での上皮細胞の温和な脱着の存在下でさえ、基底膜は生存し、病的領域近傍の生存上皮細胞は、上皮を欠く領域に向かって増殖した。更に、局所ステロイドを適用して、鼻粘膜の構造および機能の回復を促進し得た。
【0208】
結論として、5日間のM60鼻内投与は、このコホートにおいて安全であった。病的粘膜変化は、温和で可逆性であった。従って、M60の鼻内投与は広範に使用できた。
【0209】
実施例12
本実施例は、ORP水又はゲル形態のORP水を使用する場合、口腔法及び上顎顔面法で直面する血液損失の減少を記載する。
【0210】
60人の患者の比較研究を行った−56人は口腔手術患者であり、4人は主要な上顎顔面法を受けた。2つの研究群は、A群(総合的医療、通常の消毒剤および抗生物質で処置)とB群(総合的医療及び抗生物質無しのORP水で処置)からなっていた。試験データは表5に要約する。
【0211】
【表5】
【0212】
本研究は、B群(ORP水で処置)が、対照群と比較して、感染および肺胞炎の欠如、ならびにより少ない手術後感染および血液損失の減少を有したことを示す。
【0213】
実施例13
本実施例は、咽頭炎治療について本発明のORP水溶液の有効性を決定するために使用できる臨床研究を示す。
【0214】
本研究で使用される1つのこのようなORP水溶液は、消毒剤として最近メキシコ市場に導入された「エステリサイド(Estericide)」として知られる。エステリサイドは、メキシコ健康事務局から得た証明書に従って、殺菌活性、滅菌活性及び創傷消毒活性を有する中性pHの超酸化溶液である。エステリサイドは、純水と塩(NaCl)とから製造され、小濃度のナトリウム(55ppm未満)および小濃度の塩素(80ppm未満)、7.2〜7.8の範囲のpH、840mV〜960mVの範囲の酸化還元電位を有する。エステリサイドは、1濃度でのみ製造され、活性化又は希釈される必要がない。
【0215】
本溶液は、逆浸透によって得られる水(これは、次いで、高電圧および塩化ナトリウムによって生じる電気化学グラジエントに供せられる)から製造される。こうして、電気化学グラジエントが生じる多重チャンバーで形成される反応種が、制御された方法で選択され、エステリサイドが製造される。結果は、高い酸化還元電位(+840mV〜+960mV)および結果として高い抗微生物活性を与えるフリーラジカルの制御された含量を有する溶液である。
【0216】
次亜塩素酸および次亜塩素酸ナトリウムは、エステリサイドに含まれる最も豊富な構成成分であり、他の構成成分、とりわけ、過酸化水素、オゾン、塩化物イオン、ヒドリド、及び水酸化ナトリウムなどを微量濃度で有する。出願人は、特定の理論に縛られることを望まないが、消毒効果は必ずしも塩素量に依存するのではなく、むしろフリーラジカル含量によると考えられる。なぜなら、エステリサイド中のナトリウムおよび塩素のレベルは、それぞれ50ppm未満および60ppm未満であるからである。また、そして、文献で報告されている他の超酸化溶液とは対照的に、エステリサイドは、中性pH(6.4−7.8)を有し、腐食性ではなく、2年までの貯蔵で安定である。これらの全ての特徴は、高レベル消毒剤として有効であってかつ無生物表面上および組織中の両方での使用に適合性のある超酸化溶液を製造することを可能とした。
【0217】
エステリサイドが、2年間の期間、消毒活性を失うこと無く、4〜65℃の広範な種々の温度条件で保存できることを、加速安定性試験は示した。この保管に対する安定性の長さという特性はまた、製造直後に使用される場合のみ有効である以前に報告された超酸化溶液との差異である。換言すれば、エステリサイドは、抗微生物活性を失うこと無く、極端な条件でさえ貯蔵し配布することができるが、他の溶液は、該溶液を使用しようとする各病院において特殊かつ高価な機械によって製造されなければならないであろう。それにもかかわらず、製造業者は、一旦エステリサイドの容器が開封されれば、均一な活性および一貫した結果を保証する目的のために、30日以内に使用されることを推奨する。
【0218】
エステリサイドは1濃度でのみ製造されるので、エステリサイドの投与量は、皮膚の単位面積あたりに適用される体積の変化によってのみ変化させうる。毒性研究では、無傷の皮膚に局所適用されるエステリサイドの投与量は、0.05と0.07mL/cm2との間で変化する;急性皮膚毒性の研究および皮膚刺激の調査では、8.0mL/cm2までであり、深い創傷における適用を調査した研究では、エステリサイドは、投与量0.09mL/cm2で適用された。
【0219】
4〜24時間の曝露の単一適用を用いて、無傷の皮膚へエステリサイドを局所的に適用した毒性研究を行った。7日の期間中に1日1回又は2回のエステリサイドの複数回適用を、ラットの深い創傷について評価した。
【0220】
2つの研究をウサギの無傷の皮膚において行い、急性刺激および皮膚毒性についてエステリサイドの効果を評価した。オートプシーで皮膚の臨床的徴候、皮膚刺激、又は皮膚の異常は、エステリサイドに曝されたいずれの動物でも見られなかった。
【0221】
深い創傷に局所的に適用したエステリサイドからの局所及び全身毒性のキャラクタリゼーションを、ラットにおいて評価した。血液化学又は血液細胞学のパラメーターにおける異常、有意な差異も、オートプシーでの異常も、観察されなかった。創傷および適用場所の周りの組織の皮膚刺激グレーディングおよび組織病理学は、エステリサイドで処置した創傷と、生理食塩水で処置した対照群の創傷との間の差異を何ら示さなかった。
【0222】
エステリサイドの全身毒性はまた、マウスでの腹腔内注射によって評価した。このために、腹腔内経路によってエステリサイドの単一投与量(50mL/kg)を5匹のマウスに注射した。同様に、生理食塩水(塩化ナトリウム0.9%)の単一投与量(50mL/kg)を5匹の対照マウスに注射した。この研究では、エステリサイドの単一腹腔内投与量を受けたいずれの動物においても、死亡も全身毒性の証拠も観察されなかった。エステリサイドのLD50は、50mL/kgを超える。
【0223】
エステリサイドを経口経路でラットに投与し、その吸収を可能とし、製品の固有の毒性効果を特徴付けた。このために、単一投与量(4.98mL/kg)を、Sprague−Dawley株の3匹のアルビノラットに、食道チューブによって投与した。エステリサイドの単一経口投与量に曝されたいずれの動物のオートプシーにおいても、死亡も臨床兆候も異常もなかった。
【0224】
眼の刺激について、局所的に適用したエステリサイドの潜在性もまた、ウサギで評価した。眼経路を介した局所投与によってエステリサイドに曝されたいずれの動物においても、眼の刺激も他の臨床徴候も観察されなかった。
【0225】
エステリサイドを吸入経路によってラットに適用し、吸入による潜在的急性毒性を決定した。全ての動物は、曝露後、活動の非常に僅か乃至僅かの減少、及び立毛を示したが、翌日、全ては無徴候であった。吸入によってエステリサイドに曝された動物のオートプシーにおいて、死亡も異常も観察されなかった。
【0226】
エステリサイドによる皮膚の感作についての潜在性の評価を、改変閉塞パッチ法(Buehler)を用いてモルモットで行った。単一処置チャレンジ(challenge)後の対照群の動物においても、処置でのチャレンジ後に評価した動物(誘導によって処置した)においても、刺激は観察されなかった。
【0227】
従って、エステリサイドが、経口及び吸入経路によって、又は腹腔内注射によって、無傷の皮膚、深い開かれた皮膚創傷、結膜嚢に適用されたとき、エステリサイドは、該製品に関連する副作用を示さなかった。皮膚および粘膜に非常に多様な性質の創傷を有する500人を超える患者を処置した経験もあり、良好な消毒結果および化粧結果が得られた。従って、局所的に適用したエステリサイドは、この臨床試験において有効でかつ良好な耐性であるはずである。
【0228】
エステリサイドは、透明な240mLのPETボトルにパッケージされる。この製品は、ボトルが開封されなければ、外界温度で保存され、保管に対して2年まで安定に保持される。開封されると、製品の全てを90日未満で使用することが推奨される。エステリサイドは、高い生物学的安全性のプロフィールから、汚染や腐食の危険性が無く、皮膚に空けられ得る。
【0229】
米国とメキシコの両方において、エステリサイドを用いた多重微生物試験が行われた。曝露の最初の数秒で細菌の90%を上回る撲滅が起こる。エステリサイドが、この標準に従って示す抗細菌活性及び抗真菌活性を表6に要約する。
【0230】
【表6】
【0231】
殺胞子活性試験をPAHO[全米保健機構]/WHOプロトコルに従って行った。
【0232】
殺ウイルス活性について、エステリサイドは、ヒト免疫不全ウイルス(SF33株)のウイルス量を5分で3logを超えて減少させることが見出された。これは、エステリサイドで処置したウイルス試験において、細胞変性効果の欠如および抗原Agp24の欠如によって証明された。これらの試験は、米国環境保護局の殺ウイルスプロトコル(DIS/TSS−7/1981年11月12日)に従って行った。
【0233】
エステリサイドの殺ウイルス活性は、HIVおよびポリオウイルスに対して、米国で行われた研究で最近確認され、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、MRSAおよび結核菌に対する活性もまた報告された。従って、エステリサイドは、推奨されるように投与されるとき、曝露の1〜15分で、細菌、真菌、ウイルス、胞子を撲滅できることが証明された。
【0234】
この臨床研究では、A群β溶血性連鎖球菌によって引き起こされた急性咽頭炎/扁桃炎を有し、治療を受けなかった40人の患者を採用する。含める基準は以下の通りである:年齢12〜40歳及び以下の症状の2つ以上:口咽頭やけど;嚥下疼痛;咽頭紅斑又は扁桃腺紅斑(滲出物の有無の両方);頚部リンパ節症;及び、A群連鎖球菌抗原(StrepA試験−Abbott Labs)について陽性免疫アッセイ。除外基準は以下の通りである:38℃を超える熱;気管支痙攣(クリニックによって除外);重い咳;副鼻腔炎−鼻炎(クリニックによって除外);食道逆流(クリニックによって除外);本研究の2週間前に抗生物質の使用;最近8週間で別の臨床試験に参加した患者;リウマチ熱;溶連菌感染後糸球体腎炎;重度の慢性心臓障害;重度の腎、肝又は肺不全;及び妊娠又は授乳。
【0235】
研究の開始で、患者は、パラセタモールやアセチルサリチル酸(acetylsalicylics)を含む解熱剤や鎮痛剤のような共同医薬を使用しうるが、イブプロフェン、メスリド(Mesulid)、COX−2阻害剤、又はステロイドなどの抗炎症剤は使用しえない。患者が研究の任意の特定の手法を受ける前に、記載されたインフォームド・コンセントを得なければならない。
【0236】
患者は3回の訪問で評価される。第1回目の訪問では、患者は臨床的に急性咽頭炎/扁桃炎を示し、病歴がとられ、医学検査、連鎖球菌についての簡易免疫アッセイ、および咽頭滲出物の採取が行われる。適格であるとの告知後、及びインフォームド・コンセントの書類にサインした後、患者は、各々30秒で5mLのエステリサイドの2回の口咽頭洗浄を処方される。これらの濯ぎは、3日間、3時間毎に1日合計4回行われる。
【0237】
第2回目は、エステリサイドでの処置72時間後になされる。第2回目の訪問では、エステリサイドの臨床的進展及び副作用が評価される。新たな咽頭滲出物が採取され、続く治療が抗生物質又は一時的緩和剤を用いるかどうかは、臨床的進展に従って決定される。第3回目の訪問は、10日後になされ、患者は解放される。
【0238】
本研究において適格でありかつ臨床的に評価されるために、各患者は、培養によって確認されるA群β溶血性連鎖球菌咽頭炎/扁桃炎でなければならない。全ての患者は、各々30秒で5mLのエステリサイドの18回の濯ぎ、又は72時間の間隔で24回の濯ぎに応じなければならない。
【0239】
有効性の第1のパラメーターは、エステリサイドの投与後に採取された培養物と比べて、最初の培養物の細菌量の3桁の減少である。この細菌学的評価は、エステリサイドでの処置72時間後に実現する。有効性の第2のパラメーターは、臨床的に報告される改善であり、咽頭疼痛及び嚥下障害の減少が特に強調される。臨床症状は、訪問1、2、3で報告される。
【0240】
耐性は、有害な事象の報告によって評価される。有害な事象は、治療の過程で現れる、該消毒剤に関連するまたは関連しない、エステリサイドによる治療を受ける患者の症候的申告として定義される。
【0241】
細菌学的有効性の結果(有効性の主要基準)は、臨床症状とは独立して細菌学者によって出される。A群連鎖球菌抗原についての試験及び最初の咽頭滲出物培養は、エステリサイドの投与前に、「評価のスケジュール」に従って、第1回目の訪問(訪問1)で行われる。咽頭滲出物の第2回採取および培養は、エステリサイドの投与72時間後に行われる(訪問2)。アンチバイオグラムが全ての培養物に対してなされ、標準拡散ディスク試験によって、ペニシリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン及びリンコマイシンに対する細菌耐性を決定する。細菌学的有効性は、最初の培養物と、エステリサイド投与72時間後に採取した培養物との間の細菌数の3桁の減少として定義される。
【0242】
細菌学的失敗は、処置後72時間での培養物中の細菌数の3桁未満の減少によって示される。不確かな応答は、サンプルの搬送が48時間を超えて遅延された場合、スワブが搬送培地に含浸されなかった場合、又はサンプルが失われた場合に記録される。これらの場合は、本研究の分析外であり、40人の適格患者の場合が完了するまで、新たなケースによって置き換えられる。
【0243】
患者がエステリサイドの投与を完了したとき、そして第2回目の訪問から、追跡及び報告段階が始まる。この評価では、臨床進展及び可能な副作用の存在に従って、患者は以下のように分類される:
【0244】
最初の徴候及び症状が無くならなかった場合、又は全身的症状と共に全般的条件の悪化がある場合、治療上の失敗。これらの場合、プロカインペニシリン、クラリスロマイシン、又はアジスロマイシンなどの経口抗生物質が、治療する医師が指示する投与量と時間で処方され、1週間で評価される。
【0245】
訪問1で存在した症状および徴候が無くなった場合、臨床上治癒。急性過程(acute process)が解消されるこれらの場合、患者は解放され、臨床的に治癒したと報告される。いずれの場合にも、患者は、1週間で第3回目のチェック訪問のために戻るように求められる。
【0246】
不確かな進展。何かの良い理由のために(例えば、重感染)臨床的に評価されることができなかった患者の進展、又は評価が非常に遅く、72時間よりも遅くなされた場合。これらの場合、72時間での咽頭滲出物および培養の結果を記載することが可能ならば、患者はまだ、本研究の分析に含めることができる。
【0247】
本臨床研究で使用する統計学的分析は、72時間の期間で、各々30秒のエステリサイドの少なくとも18回の濯ぎを受けた全ての患者を考慮する。この同じ基準は、耐性の分析に任意の患者を含めると考えられる。有効性の分析についての主要な基準は、エステリサイドでの治療後72時間で行われる培養における、β溶血性連鎖球菌の細菌数の3桁の減少である。統計的分析は、Wilcoxonペアサンプル試験(paired samples test)によって実現する。定量的変数についてANOVA試験を用いて、臨床的変数の統計的分析が実現する。患者の最小の評価可能数は30人の患者である。
【0248】
有害な事象は、医薬製品が投与される臨床研究の患者又は被験体における任意の反対の医学事象であり、必ずしもその医薬との原因関係を有するわけではない。従って、有害な事象は、医薬製品の使用と一時的に関連した、任意の好ましくなくかつ意図しない徴候(異常な実験室の知見を含む)、症状または疾患でありうる(それが、この使用に関連していると考えられようと、又はそうでないとしても)。研究の間に悪化する以前からの状態は、有害な事象として報告される。
【0249】
強度が中程度乃至重度の有害な事象の場合、治療は、72時間の持続期間の任意の時点で中止される。次なる治療は、治療する医師によって決定される。よって、本実施例に基づいて、副鼻腔炎の治療に対する本発明のORP水溶液の有効性が示される。
【0250】
実施例14
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0251】
実施例15
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 1000mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0252】
実施例16
本実施例は、患者への局所投与に適した本発明の製剤を提供する。該製剤は以下を含有する。
成分 量
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 7g
トリエタノールアミン(中和剤) 12mL
【0253】
実施例17
本実施例は、ORP水溶液と増粘剤とを含有する本発明の製剤の製造を記載する。
【0254】
ORP水溶液を、ガラスビーカーやジャーなどの適切な容器に入れる。Carbopol(登録商標)974Pポリマーを、粗い篩い(又は濾過器)に通し、これによって、急速な分散を可能とし、同時に、いかなる大きな塊もばらばらに砕くことを可能とする。次いで、ポリマーCarbopol(登録商標)974Pを増粘剤として加える。Carbopol(登録商標)ポリマーをゆっくりと加え、塊の形成を防止し、このようにして、過剰に長い混合サイクルを避ける。
【0255】
Carbopol(登録商標)ポリマーの添加の間、溶液を急速に混合し、それによって、粉末は室温で溶解する。次いで、中和剤のトリエタノールアミンを溶液に加え、均一なゲルが得られるまで、電気ミキサー又は他の適切なデバイスによって混合する。Carbopol(登録商標)ポリマー組成物への中和剤の添加によって、製剤はゲルに変換される。
【0256】
実施例18
本実施例は、糖尿病性の足の潰瘍の治療のための、本発明のゲル製剤の使用を記載する。
【0257】
6人のヒト患者を、実施例6のゲル製剤(これを確認されたい)で治療した。これらの患者の全ては、肉芽形成期(granulating phase)の大きな糖尿病性の足の潰瘍を有していた。各創傷は、治療前に洗浄し、創傷清拭(debribed)した。ゲルを、創傷の領域全体及び創傷の外側1cmまでの周りの皮膚上を覆うように、優しく適用した。
【0258】
ゲルの適用の頻度は、各患者の潰瘍の性質に基づいて変化し、平均頻度は3日おきに1回であった。治療は、平均60日間続けた。各患者について、肉眼赤色肉芽組織(gross red granulating tissue)、及び健康な皮膚の増大は、1〜2週間以内に達成された。従って、本発明のゲル製剤は、大きな糖尿病性の足の潰瘍を治療するために有利に使用できる。
【0259】
本明細書で引用した刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、引用により含まれるべく個々にかつ具体的に示され、本明細書にその全体が記載されているのと同じ程度まで、引用により本明細書に含まれるものである。
【0260】
本発明の説明の文脈において(特に、以下のクレームの文脈において)、用語“a”および“an”および“the”および同様の指示語の使用は、本明細書でそうでないことが記載されるか、文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語“含む(comprising)”“有する(having)”“含む(including)”および“含む(containing)”は、そうでないことが特筆されていない限り、許容範囲が制約のない(open-ended)用語(即ち、「・・を含むが、・・に限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の記載は、単に、本明細書でそうでないことが記載されていない限り、その範囲内のそれぞれの個々の値に独立して言及する略記方法として役割を与えようとしているにすぎず、それぞれの個々の値は、それが本明細書に独立して記載されているかのように本明細書に含まれるものである。本明細書に記載される方法の全ては、本明細書でそうでないことが記載されるか、さもなければ文脈によって明確に否定されない限り、いかなる適切な順序で行うことができる。本明細書で提供されるいかなる全ての例または例示的言葉(例えば、“等の”)の使用も、単に、本発明をより明確にしようとするにすぎず、そうでないと主張していない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書の言葉が、クレームしていないいかなる構成要素も本発明の実施に必須であると示している、と解釈されるべきではない。
【0261】
本発明を実施するための本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書で記述する。上記記述を読むと、それらの好適な実施態様のバリエーションが当業者には明白となりうる。本発明者らは、当業者が適切にこのようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記述されたものとは異なって、本発明が実施されることを意図する。それ故、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付したクレームに記載の主題の全ての改変および均等物を含むものである。さらに、本明細書でそうでないことが記載されていないか、さもなければ文脈によって明確に否定されていない限り、その全ての可能なバリエーション中の上記の構成要素のいかなる組み合わせも本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0262】
【図1】図1は、本発明の酸化還元電位水溶液を製造するための、3つのチャンバーを有する電解セルの概略図である。
【図2】図2は、3つのチャンバーを有する電解セルを表し、またそこに発生したイオン種を示す。
【図3】図3は、本発明の酸化還元電位水溶液を製造するためのプロセスの概略的なフロー図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも24時間安定である、酸化還元電位水溶液。
【請求項2】
pHが約3〜約8であり、かつ少なくとも1週間安定である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
pHが約6.4〜約7.8である、請求項2に記載の溶液。
【請求項4】
pHが約7.4〜約7.6である、請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項6】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項7】
少なくとも1年間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項8】
少なくとも3年間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項9】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項10】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度の少なくとも106の減少を生じうる、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物のサンプルの濃度の少なくとも106の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項12】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、約1×106と約1×108微生物/mlとの間の初期濃度を有する大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物のサンプルを、約0微生物/mlの最終濃度にまで減少させうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項13】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約30秒以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項14】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約10分以内の曝露で、アスペルギルス・ニガー胞子の胞子懸濁液の濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項15】
アノード水とカソード水とを含む、酸化還元電位水溶液。
【請求項16】
カソード水が、溶液の約10体積%〜約50体積%の量で存在する、請求項15に記載の溶液。
【請求項17】
カソード水が、溶液の約20体積%〜約40体積%の量で存在する、請求項16に記載の溶液。
【請求項18】
アノード水が、溶液の約50体積%〜約90体積%の量で存在する、請求項15に記載の溶液。
【請求項19】
請求項1〜18の1項に記載の酸化還元電位水溶液を含む、密封容器。
【請求項20】
酸化還元電位水溶液を製造する方法であって、当該方法が、
(a)少なくとも1つの電解セルを提供することを含み、ここで、該セルが、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、ここで、アノードチャンバーが、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、かつ、カソードチャンバーが、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており;
(b)アノードチャンバーおよびカソードチャンバーを通る水の流れを供給することを含み;
(c)塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給することを含み;
(d)工程(b)および(c)と同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給することを含み;および
(e)電解セルによって生成した酸化還元電位水溶液を集めることを含み、ここで、該溶液がアノード水とカソード水とを含む、
前記方法。
【請求項21】
酸化還元電位水溶液が、約10体積%〜約50体積%の量のカソード水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
酸化還元電位水溶液が、該溶液の約20体積%〜約40体積%の量のカソード水を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
酸化還元電位水溶液が、該溶液の約50体積%〜約90体積%の量のアノード水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
過酸化水素と少なくとも1種の遊離塩素種とを含む酸化還元電位水溶液であって、少なくとも2ヶ月間安定である、溶液。
【請求項25】
遊離塩素種が、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸イオン、塩化物イオン、二酸化塩素、溶解塩素ガスおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の溶液。
【請求項26】
遊離塩素種の量が約10ppmと約400ppmとの間である、請求項25に記載の溶液。
【請求項27】
遊離塩素種が、約15ppmと約35ppmとの間の量で存在する次亜塩素酸である、請求項26に記載の溶液。
【請求項28】
遊離塩素種が、約25ppmと約50ppmとの間の量で存在する次亜塩素酸ナトリウムである、請求項26に記載の溶液。
【請求項29】
約1ppmと約4ppmとの間の量の過酸化水素、約15ppmと約35ppmとの間の量の次亜塩素酸および約25ppmと約50ppmとの間の量の次亜塩素酸ナトリウムを含む酸化還元電位水溶液であって、少なくとも1週間安定でありかつそのpHが約6.2〜約7.8である、溶液。
【請求項30】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項29に記載の溶液。
【請求項31】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項30に記載の溶液。
【請求項32】
少なくとも1年間安定である、請求項31に記載の溶液。
【請求項33】
少なくとも3年間安定である、請求項32に記載の溶液。
【請求項34】
治療有効量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液を患者に投与することを包含する、患者の病状を予防または治療する方法。
【請求項35】
病状が呼吸器系の病状である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
溶液が上気道に投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
溶液が蒸気または噴霧として投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
溶液が、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
溶液が、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲の直径を有する小滴の形態で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
呼吸器系の病状が、鼻腔組織、副鼻腔組織、および肺組織からなる群から選択される1種以上の上気道組織に影響を与える、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
病状が、溶液を用いて治療可能な副鼻腔炎である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
病状が慢性副鼻腔炎である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
病状が、溶液を用いて治療可能な喘息である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
病状が、溶液を用いて治療可能な感染症である、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
感染症が、ウイルス、細菌、および真菌からなる群から選択される1種以上の微生物によるものである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
1種以上のウイルスが、アデノウイルス、HIV、ライノウイルス、およびインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
1種以上の細菌が、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびヒト結核菌からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
1種以上の真菌が、カンジダ・アルビカンス、枯草菌およびバチルス・アスロフェウスからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
病状が炎症性の病状である、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
病状がアレルギー反応である、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
溶液が非経口投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項52】
溶液が、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
溶液が静脈内に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
病状が、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびAIDSからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項55】
正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療有効量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液と接触させることを包含する、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法。
【請求項56】
組織を溶液で灌注することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
溶液を蒸気または噴霧として組織に投与することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
溶液を、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって組織に投与することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
組織が、手術によって正常に機能しないかまたは損傷している、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
組織が、外科的切開、口腔手術、グラフト手術、インプラント手術、トランスプラント手術、焼灼、切断、放射線、化学療法またはそれらの組み合わせによって、正常に機能しないかまたは損傷している、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
口腔手術が歯科手術を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
歯科手術が、根管手術、抜歯、歯茎手術またはそれらの組み合わせを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
組織が、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷またはそれらの組み合わせによって、正常に機能しないかまたは損傷している、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
正常に機能しないかまたは損傷している組織が感染している、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
感染が、ウイルス、細菌、真菌およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の微生物によるものである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
1種以上のウイルスが、アデノウイルス、HIV、ライノウイルスおよびインフルエンザウイルスから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
1種以上の細菌が、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌、ヒト結核菌からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
1種以上の真菌が、カンジダ・アルビカンス、枯草菌およびバチルス・アスロフェウスからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
表面を抗感染量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液と接触させることを包含する、表面を消毒する方法。
【請求項70】
表面を溶液で灌注することを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
表面を蒸気または噴霧の形態の溶液と接触させることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
表面を、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって溶液と接触させることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
表面が、生物学的なもの、無生物またはそれらの組み合わせである、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
表面が生物学的な組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
生物学的な組織が1種以上の体腔内の組織を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
生物学的な組織が、口腔、副鼻腔、頭蓋腔、腹腔または胸腔内にある、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
生物学的な組織が、筋肉組織、骨組織、器官組織、粘膜組織およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
表面が外科的にインプラント可能なデバイスのものである、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
表面が人工装具のものである、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
表面が医療デバイスのものである、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む局所投与用製剤であって、少なくとも24時間安定である、製剤。
【請求項82】
pHが約3〜約8であり、かつ少なくとも1週間安定である、請求項81に記載の製剤。
【請求項83】
pHが約6.4〜約7.8である、請求項82に記載の製剤。
【請求項84】
pHが約7.4〜約7.6である、請求項83に記載の製剤。
【請求項85】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項86】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項87】
少なくとも1年間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項88】
少なくとも3年間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項89】
ローション、ゲル、クリーム、ペーストおよび軟膏からなる群から選択される、請求項81に記載の製剤。
【請求項90】
ゲルである、請求項89に記載の製剤。
【請求項91】
10,000〜100,000cpsの粘度を有する、請求項90に記載の製剤。
【請求項92】
増粘剤が、約1mg/ORP水溶液250mL〜約20mg/ORP水溶液250mLの量で存在する、請求項90に記載の製剤。
【請求項93】
中和剤をさらに含む、請求項90に記載の製剤。
【請求項94】
中和剤が、ORP水溶液の体積に基づいて約3体積%〜約35体積%の量で存在する、請求項93に記載の製剤。
【請求項95】
酸化還元電位水溶液、約1mg/ORP水溶液250mL〜約20mg/ORP水溶液250mLの量の増粘剤、およびORP水溶液の体積に基づいて約3体積%〜約35体積%の量の中和剤を含む、患者に局所投与するためのゲルであって、製剤が少なくとも2ケ月間安定であり、かつ約6.4〜約7.8のpHを有する、ゲル。
【請求項96】
請求項81〜94のいずれかに記載の局所投与用製剤と密封容器とを含む、薬学的投与形態。
【請求項97】
治療有効量の請求項81〜94のいずれかに記載の製剤を患者に局所投与することを包含する、患者の病状を治療または予防する方法。
【請求項98】
請求項81〜94のいずれかに記載の製剤を創傷に適用することを包含する、患者の創傷治癒を促進する方法であって、該製剤が創傷治癒を促進するのに十分な量で投与され、かつ、該製剤が少なくとも約24時間安定である、方法。
【請求項1】
少なくとも24時間安定である、酸化還元電位水溶液。
【請求項2】
pHが約3〜約8であり、かつ少なくとも1週間安定である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
pHが約6.4〜約7.8である、請求項2に記載の溶液。
【請求項4】
pHが約7.4〜約7.6である、請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項6】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項7】
少なくとも1年間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項8】
少なくとも3年間安定である、請求項3に記載の溶液。
【請求項9】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項10】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分間の曝露後に全生物濃度の少なくとも106の減少を生じうる、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
ORP水溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物のサンプルの濃度の少なくとも106の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項12】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、1分以内の曝露で、約1×106と約1×108微生物/mlとの間の初期濃度を有する大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスからなる群から選択される生きた微生物のサンプルを、約0微生物/mlの最終濃度にまで減少させうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項13】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約30秒以内の曝露で、バチルス・アスロフェウス胞子の胞子懸濁液の濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項14】
溶液の製造後少なくとも2ケ月で測定したとき、約10分以内の曝露で、アスペルギルス・ニガー胞子の胞子懸濁液の濃度の少なくとも104の減少を生じうる、請求項5に記載の溶液。
【請求項15】
アノード水とカソード水とを含む、酸化還元電位水溶液。
【請求項16】
カソード水が、溶液の約10体積%〜約50体積%の量で存在する、請求項15に記載の溶液。
【請求項17】
カソード水が、溶液の約20体積%〜約40体積%の量で存在する、請求項16に記載の溶液。
【請求項18】
アノード水が、溶液の約50体積%〜約90体積%の量で存在する、請求項15に記載の溶液。
【請求項19】
請求項1〜18の1項に記載の酸化還元電位水溶液を含む、密封容器。
【請求項20】
酸化還元電位水溶液を製造する方法であって、当該方法が、
(a)少なくとも1つの電解セルを提供することを含み、ここで、該セルが、アノードチャンバー、カソードチャンバー、およびアノードチャンバーとカソードチャンバーとの間に位置する塩溶液チャンバーを有し、ここで、アノードチャンバーが、アノード電極と第1膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており、かつ、カソードチャンバーが、カソード電極と第2膜とによって塩溶液チャンバーから分離されており;
(b)アノードチャンバーおよびカソードチャンバーを通る水の流れを供給することを含み;
(c)塩溶液チャンバーを通る塩溶液の流れを供給することを含み;
(d)工程(b)および(c)と同時に、アノード電極とカソード電極とに電流を供給することを含み;および
(e)電解セルによって生成した酸化還元電位水溶液を集めることを含み、ここで、該溶液がアノード水とカソード水とを含む、
前記方法。
【請求項21】
酸化還元電位水溶液が、約10体積%〜約50体積%の量のカソード水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
酸化還元電位水溶液が、該溶液の約20体積%〜約40体積%の量のカソード水を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
酸化還元電位水溶液が、該溶液の約50体積%〜約90体積%の量のアノード水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
過酸化水素と少なくとも1種の遊離塩素種とを含む酸化還元電位水溶液であって、少なくとも2ヶ月間安定である、溶液。
【請求項25】
遊離塩素種が、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸イオン、塩化物イオン、二酸化塩素、溶解塩素ガスおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の溶液。
【請求項26】
遊離塩素種の量が約10ppmと約400ppmとの間である、請求項25に記載の溶液。
【請求項27】
遊離塩素種が、約15ppmと約35ppmとの間の量で存在する次亜塩素酸である、請求項26に記載の溶液。
【請求項28】
遊離塩素種が、約25ppmと約50ppmとの間の量で存在する次亜塩素酸ナトリウムである、請求項26に記載の溶液。
【請求項29】
約1ppmと約4ppmとの間の量の過酸化水素、約15ppmと約35ppmとの間の量の次亜塩素酸および約25ppmと約50ppmとの間の量の次亜塩素酸ナトリウムを含む酸化還元電位水溶液であって、少なくとも1週間安定でありかつそのpHが約6.2〜約7.8である、溶液。
【請求項30】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項29に記載の溶液。
【請求項31】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項30に記載の溶液。
【請求項32】
少なくとも1年間安定である、請求項31に記載の溶液。
【請求項33】
少なくとも3年間安定である、請求項32に記載の溶液。
【請求項34】
治療有効量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液を患者に投与することを包含する、患者の病状を予防または治療する方法。
【請求項35】
病状が呼吸器系の病状である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
溶液が上気道に投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
溶液が蒸気または噴霧として投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
溶液が、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
溶液が、約1ミクロン〜約10ミクロンの範囲の直径を有する小滴の形態で投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
呼吸器系の病状が、鼻腔組織、副鼻腔組織、および肺組織からなる群から選択される1種以上の上気道組織に影響を与える、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
病状が、溶液を用いて治療可能な副鼻腔炎である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
病状が慢性副鼻腔炎である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
病状が、溶液を用いて治療可能な喘息である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
病状が、溶液を用いて治療可能な感染症である、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
感染症が、ウイルス、細菌、および真菌からなる群から選択される1種以上の微生物によるものである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
1種以上のウイルスが、アデノウイルス、HIV、ライノウイルス、およびインフルエンザウイルスからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
1種以上の細菌が、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およびヒト結核菌からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
1種以上の真菌が、カンジダ・アルビカンス、枯草菌およびバチルス・アスロフェウスからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
病状が炎症性の病状である、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
病状がアレルギー反応である、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
溶液が非経口投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項52】
溶液が、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
溶液が静脈内に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
病状が、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症およびAIDSからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項55】
正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療有効量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液と接触させることを包含する、正常に機能しないかまたは損傷している組織を治療する方法。
【請求項56】
組織を溶液で灌注することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
溶液を蒸気または噴霧として組織に投与することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
溶液を、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって組織に投与することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
組織が、手術によって正常に機能しないかまたは損傷している、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
組織が、外科的切開、口腔手術、グラフト手術、インプラント手術、トランスプラント手術、焼灼、切断、放射線、化学療法またはそれらの組み合わせによって、正常に機能しないかまたは損傷している、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
口腔手術が歯科手術を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
歯科手術が、根管手術、抜歯、歯茎手術またはそれらの組み合わせを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
組織が、熱傷、切り傷、擦り傷、掻き傷、発疹、潰瘍、刺し傷またはそれらの組み合わせによって、正常に機能しないかまたは損傷している、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
正常に機能しないかまたは損傷している組織が感染している、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
感染が、ウイルス、細菌、真菌およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の微生物によるものである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
1種以上のウイルスが、アデノウイルス、HIV、ライノウイルスおよびインフルエンザウイルスから選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
1種以上の細菌が、大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌、ヒト結核菌からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
1種以上の真菌が、カンジダ・アルビカンス、枯草菌およびバチルス・アスロフェウスからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
表面を抗感染量の請求項1〜18または24〜33のいずれかに記載の酸化還元電位水溶液と接触させることを包含する、表面を消毒する方法。
【請求項70】
表面を溶液で灌注することを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
表面を蒸気または噴霧の形態の溶液と接触させることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
表面を、エアロゾル化、噴霧化または微粒化によって溶液と接触させることを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
表面が、生物学的なもの、無生物またはそれらの組み合わせである、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
表面が生物学的な組織である、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
生物学的な組織が1種以上の体腔内の組織を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
生物学的な組織が、口腔、副鼻腔、頭蓋腔、腹腔または胸腔内にある、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
生物学的な組織が、筋肉組織、骨組織、器官組織、粘膜組織およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
表面が外科的にインプラント可能なデバイスのものである、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
表面が人工装具のものである、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
表面が医療デバイスのものである、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
酸化還元電位水溶液および増粘剤を含む局所投与用製剤であって、少なくとも24時間安定である、製剤。
【請求項82】
pHが約3〜約8であり、かつ少なくとも1週間安定である、請求項81に記載の製剤。
【請求項83】
pHが約6.4〜約7.8である、請求項82に記載の製剤。
【請求項84】
pHが約7.4〜約7.6である、請求項83に記載の製剤。
【請求項85】
少なくとも2ケ月間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項86】
少なくとも6ケ月間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項87】
少なくとも1年間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項88】
少なくとも3年間安定である、請求項83に記載の製剤。
【請求項89】
ローション、ゲル、クリーム、ペーストおよび軟膏からなる群から選択される、請求項81に記載の製剤。
【請求項90】
ゲルである、請求項89に記載の製剤。
【請求項91】
10,000〜100,000cpsの粘度を有する、請求項90に記載の製剤。
【請求項92】
増粘剤が、約1mg/ORP水溶液250mL〜約20mg/ORP水溶液250mLの量で存在する、請求項90に記載の製剤。
【請求項93】
中和剤をさらに含む、請求項90に記載の製剤。
【請求項94】
中和剤が、ORP水溶液の体積に基づいて約3体積%〜約35体積%の量で存在する、請求項93に記載の製剤。
【請求項95】
酸化還元電位水溶液、約1mg/ORP水溶液250mL〜約20mg/ORP水溶液250mLの量の増粘剤、およびORP水溶液の体積に基づいて約3体積%〜約35体積%の量の中和剤を含む、患者に局所投与するためのゲルであって、製剤が少なくとも2ケ月間安定であり、かつ約6.4〜約7.8のpHを有する、ゲル。
【請求項96】
請求項81〜94のいずれかに記載の局所投与用製剤と密封容器とを含む、薬学的投与形態。
【請求項97】
治療有効量の請求項81〜94のいずれかに記載の製剤を患者に局所投与することを包含する、患者の病状を治療または予防する方法。
【請求項98】
請求項81〜94のいずれかに記載の製剤を創傷に適用することを包含する、患者の創傷治癒を促進する方法であって、該製剤が創傷治癒を促進するのに十分な量で投与され、かつ、該製剤が少なくとも約24時間安定である、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公表番号】特表2007−517064(P2007−517064A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547576(P2006−547576)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/043961
【国際公開番号】WO2005/065383
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505234465)オキュラス イノヴェイティヴ サイエンシズ、インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/043961
【国際公開番号】WO2005/065383
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505234465)オキュラス イノヴェイティヴ サイエンシズ、インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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