説明

酸発生剤用の塩、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】優れたフォーカスマージン(DOF)を有するレジストパターンを得ることができる塩、酸発生剤及びレジスト組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】式(I)で表される塩。


[式(I)中、R及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す;Xは、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい;Rは、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のスルホラン環を表す;Z1+は、有機対イオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる酸発生剤用の塩、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、酸発生剤用の塩として、下記式で表される塩を含有するレジスト組成物が記載されている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−161707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の酸発生剤を含むレジスト組成物では、得られるパターンのフォーカスマージン(DOF)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のスルホラン環を表す。
1+は、有機対イオンを表す。]
〔2〕前記式(I)のRが、式(b)で表されるスルホラン環である〔1〕記載の塩。

[式(b)中、
nは0〜7の整数を表す。
Rは、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、隣接する炭素原子に各々結合する2つのRが結合して、前記炭素原子とともに環を形成してもよく、該環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
---は、単結合又は二重結合を表す。
*は、Xとの結合手である。]
【0006】
〔3〕前記式(I)のRが、式(c−1)〜式(c−5)の中から選ばれるスルホラン環である〔1〕又は〔2〕記載の塩。

[式(c−1)〜式(c−5)中、
*は、Xとの結合手を表す。]
【0007】
〔4〕Z1+が、トリアリールスルホニウムカチオンである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の塩。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
〔6〕上記〔5〕記載の酸発生剤と樹脂とを含有するレジスト組成物。
〔7〕樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解しえる樹脂である〔6〕記載のレジスト組成物。
〔8〕さらに、塩基性化合物を含有する〔6〕又は〔7〕記載のレジスト組成物。
【0008】
〔9〕(1)上記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塩によれば、前記塩を含むレジスト組成物を用いて、優れたフォーカスマージン(DOF)を有するパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環状をとることができるものは、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。また、*は結合手を表す。
【0011】
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
脂肪族炭化水素基は、鎖式及び環式の双方を含み、特に定義しない限り、鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。また、これら脂肪族炭化水素基は、その一部に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の基が好ましい。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち1価のものとしては、典型的にはアルキル基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、ヘキサデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキシルデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などが挙げられる。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち2価のものとしては、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、1−エチル−1,3−プロピレン基、2−エチル−1,3−プロピレン基、2−プロピル−1,2−プロピレン基、1−ブチル−1,4−ブチレン基、2−プロピル−1,4−ブチレン基等が挙げられる。
【0012】
環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という)は、典型的には、シクロアルキル基を意味し、以下に示す単環式及び多環式のいずれをも包含する。
【0013】
脂環式炭化水素基のうち1価のものとして、単環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。

【0014】
多環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−8)〜(KA−19)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。

【0015】
脂環式炭化水素基のうち2価のものとしては、式(KA−1)〜式(KA−19)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
なお、上述した単環式及び多環式の脂肪族炭化水素基のうち、特に飽和の基を、場合により「飽和環状炭化水素基」という。また、上述した脂肪族炭化水素基のうち、特に飽和の基を、場合により「飽和炭化水素基」という。
【0016】
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、特に限定されない限り、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C7)、オクチルオキシ基(C8)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、アルコキシ基の酸素原子が硫黄原子に置き換わったものが挙げられ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基及びドデシルチオ基などが挙げられる。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキシルカルボニル基(C)、ヘプチルカルボニル基(C7)、オクチルカルボニル基(C8)、デシルカルボニル基(C10)及びドデシルカルボニル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの並びにベンゾイル基(C7)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが包含される。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C7)、フェネチル基(C8)、フェニルプロピル基(C9)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C)、ナフチルオキシ基(C10)、アントニルオキシ基(C14)、ビフェニルオキシ基(C12)、フェナントリルオキシ基(C14)及びフルオレニルオキシ基(C13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
【0017】
芳香族炭化水素基としては、典型的には、アリール基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントニル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などが挙げられる。
芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。このような置換基は、特に限定されない限り、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
【0018】
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0019】
〈式(I)で表される塩〉
本発明の塩は、式(I)で表される。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のスルホラン環を表す。
1+は、有機対イオンを表す。]
【0020】
ペルフルオロアルキル基としては、例えばペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
2価飽和炭化水素基としては、アルカンジイル基、飽和環状炭化水素基及びこれらが組み合わせられた基が挙げられる。アルカンジイル基は、直鎖状及び分枝鎖状のいずれでもよい。
飽和環状炭化水素基としては、シクロアルカンジイル基(例えば、シクロヘキサンジイル基等の式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を2個取り去った基)、2価の多環式の環状炭化水素基(橋かけ環を含む、例えば、アダマンタンジイル基等の式(KA−8)〜(KA−19)で表されるシクロアルカンの水素原子を2個取り去った基)が挙げられる。
【0021】
式(I)においては、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくはペルフルオロメチル基又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わったもののなかでも、メチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わったものが好ましい。メチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わったものとしては、例えば、以下の式(X1−A)〜式(X1−F)が挙げられ、好ましくは式(X1−A)又は式(X1−B)、より好ましくは式(X1−A)である。式(X1−A)〜式(X1−F)で表される基は、左側でC(R)(R)と結合し、右側で酸素原子と結合する。
【0022】

式(X1−A)〜式(X1−F)において、
11は、炭素数1〜15の飽和炭化水素基を表す。
12は、炭素数1〜14の飽和炭化水素基を表す。
13〜X17は、それぞれ独立に、炭素数1〜13の飽和炭化水素基を表す。]
【0023】
これらの式においては、X11〜X17は、それらに含まれるメチレン基が硫黄原子で置き換わっていてもよいが、なかでも、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH12−であることが好ましい。
【0024】
式(X1−B)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0025】
式(X1−C)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0026】
式(X1−D)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0027】
式(X1−E)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0028】
式(X1−F)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0029】
におけるスルホラン環としては、式(b)で表されるスルトン環が挙げられる。

[式(b)中、
nは0〜7の整数を表す。
Rは、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。また、隣接する炭素原子に各々結合する2つのRが結合して、前記炭素原子とともに環を形成してもよく、該環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
---、つまり、破線と直線との組み合わせは、単結合又は二重結合を表す。
*は、Rとの結合手である。]
【0030】
スルトン環では、---(破線と直線との組み合わせ)で表される3つの炭素−炭素結合のうち、少なくとも1つが二重結合であることが好ましく、1つの炭素−炭素結合が二重結合であることがより好ましい。
隣接する炭素原子に各々結合する2つのRが結合して、これらの炭素原子とともに形成する環としては、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素が挙げられ、脂環式炭化水素が好ましい。
環に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基で置き換わったものとしては、例えば、オキサノルボルナン環等が挙げられる。
このような環としては、なかでも、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、オキサノルボルナン環などが適している。
【0031】
構造単位(a)のRとしては、式(b−1)〜式(b−5)の中から選ばれるスルホラン環であることが好ましい。

[式(c−1)〜式(c−5)中、*は、Xとの結合手を表す。]
【0032】
式(I)で表される塩としては、例えば以下の塩が挙げられる。

【0033】

【0034】
1+としては、オニウムカチオン、例えば、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン、ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、スルホニウムカチオン及びヨードニウムカチオンが好ましく、アリールスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0035】
1+は、好ましくは式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表される。

【0036】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記飽和環状炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0037】
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0038】
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9〜Rb11の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜12であり、飽和環状炭化水素基は、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12である。
b12は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表し、前記芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基で置換されていてもよい。
b9とRb10と、及びRb11とRb12とは、それぞれ独立に、互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの環に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
【0039】
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、硫黄原子又は酸素原子を表す。
o2、p2、s2、及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2〜t2のいずれかが2であるとき、それぞれ、複数のRb13〜Rb18のいずれかは互いに同一でも異なってもよい。
【0040】
飽和環状炭化水素基としては、シクロアルキル基等の脂環式炭化水素基と同様のものが挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0041】
好ましい脂肪族炭化水素基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基である。
好ましい飽和環状炭化水素基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキル基、及びイソボルニル基である。
好ましい芳香族炭化水素基は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。
置換基が芳香族炭化水素基である脂肪族炭化水素基(アラルキル基)としては、ベンジル基などが挙げられる。
b9及びRb10が形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環、1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11及びRb12が形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環、オキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0042】
カチオン(b2−1)〜カチオン(b2−4)の中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、式(b2−1−1)で表されるカチオンがより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0)がさらに好ましい。
【0043】

式(b2−1−1)中、
b19〜Rb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、前記脂肪族炭化水素基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、前記飽和環状炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基で置換されていてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19はそれぞれ独立であり、w2が2以上のとき、複数のRb20はそれぞれ独立であり、x2が2以上のとき、複数のRb21はそれぞれ独立である。
【0044】
式(b2−1−1)においては、脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜12であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基がより好ましい。
なかでも、Rb19〜Rb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0045】
カチオンとしては、具体的には、特開2010−204646号公報に記載されたカチオンが挙げられる。
【0046】
式(I)で表される塩は、上述のアニオン及びカチオンの組合せである。上述のアニオンとカチオンとは任意に組み合わせることができるが、以下で表される塩が好ましい。
【0047】

【0048】

【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】
式(I)で表される塩のうち、式(b1)で表される塩は、式(b1−c)で表される塩を、式(b1−d)で表される化合物と、溶剤中で反応させることにより、製造することができる。ここでの溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。

(式中、R、R、R及びZ1+は、それぞれ上記と同義である。)
式(b1−d)で表される化合物としては、以下の化合物等が挙げられる。

また、式(b1−c)で表される塩は、式(b1−a)で表される塩と式(b1−b)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。

式(b1−a)で表される塩は、例えば、特開2008−13551号公報に記載された方法で合成することができる。
【0059】
〈酸発生剤〉
本発明の酸発生剤(以下、場合により「酸発生剤(B)」という)は、式(I)で表される塩を含有する。
式(I)で表される塩を酸発生剤(B)として使用する場合、単独でも複数種を同時に用いてもよい。
また、本発明の酸発生剤は、さらに、塩(I)以外の公知の塩(例えば、塩(I)に含まれる有機カチオン及び公知のアニオン(塩(I)に含まれるスルホン酸アニオン以外のアニオン)からなる塩並びに塩(I)に含まれるスルホン酸アニオン及び公知のカチオン(塩(I)に含まれる有機カチオン以外のカチオン)からなる塩等)を含んでいてもよい。
【0060】
塩(I)と併用する酸発生剤(B)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−17)で表されるものが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−6)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び式(B1−14)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
【0061】

【0062】

【0063】


【0064】

【0065】

【0066】
塩(I)の含有量は、酸発生剤全量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上(より好ましくは30質量部以上)、好ましくは90質量部以下(より好ましくは70質量部以下)である。
【0067】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、式(I)で表される塩を有効成分として含有する酸発生剤(B)と樹脂(以下、場合により「樹脂(A)」という)とを含有する。また、任意に、クエンチャーとして作用する塩基性化合物(C)を含むことが好ましい。
上述した酸発生剤(B)がレジスト組成物の酸発生剤として用いられる場合、酸発生剤(B)の含有量は、後述する樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、好ましくは40質量部以下(より好ましくは35質量部以下)である。
【0068】
〈樹脂(A)〉
樹脂(A)は、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である。
樹脂(A)は、酸に不安定な基を有するモノマー(以下、場合により「酸に不安定な基を有するモノマー(a1)」という)を重合することによって製造することができ、酸の作用によりアルカリ可溶となる。ここで、「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、酸との接触前にはアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。
酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
〈酸に不安定な基を有するモノマー(a1)〉
「酸に不安定な基」とは、酸と接触すると脱離基が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、式(1)で表される基、式(2)で表される基などが挙げられる。
【0070】

[式(1)中、
a1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。]

[式(2)中、
a1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成し、前記炭化水素基及び2価の基に含まれるメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子で置き換わってもよい。
a2’及びRa3’が互いに結合して形成される炭化水素基は、Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環と同様のものが含まれていてもよい。
【0071】
式(1)では、脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは炭素数3〜16である。
−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基において、Ra1及びRa2が互いに結合して形成する環としては、例えば、以下のものが挙げられる。



このような環の炭素数は、好ましくは3〜12である。
【0072】
式(1)で表される酸に不安定な基としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、2−アルキル−2−アダマンチルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1、Ra2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0073】
式(2)では、Ra1’及びRa2’のうち少なくとも1つが水素原子であるものが好ましい。
酸不安定基(2)としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0074】

【0075】
酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
酸に不安定な基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するものが挙げられる。脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂を使用すれば、レジストの解像度を向上させることができる。
【0076】
酸に不安定な基と脂環式炭化水素基とを有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは式(a1−1)で表されるモノマー又は式(a1−2)で表されるモノマーが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】

[式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−を表し、k1は1〜7の整数を表し、*は−CO−との結合手を表す。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n2は0又は1の整数を表す。]
【0078】
式(a1−1)及び式(a1−2)においては、La1及びLa2は、好ましくは、−O−又は−O−(CH2k1−CO−O−であり、より好ましくは−O−である。k1は、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7は、それぞれ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8の脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜6の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0079】
式(a1−1)で表されるモノマーとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a1−1−1)〜(a1−1−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−1−1)〜(a1−1−3)で表されるモノマーがより好ましい。

【0080】
式(a1−2)で表されるモノマーとしては、例えば、1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−シクロヘプチル(メタ)アクリレート、1−メチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。下式(a1−2−1)〜(a1−2−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a1−2−3)〜(a1−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a1−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。

【0081】
樹脂における式(a1−1)で表されるモノマー又は式(a1−2)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有率は、樹脂の全単位において、通常10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0082】
樹脂(A)は、好ましくは、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と、酸に不安定な基を有さないモノマー(以下、場合により「酸安定モノマー」という)との共重合体である。酸安定モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂(A)が酸に不安定な基を有するモノマー(a1)と酸安定モノマーとの共重合体である場合、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に由来する構造単位は、全構造単位100モル%に対して、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜60モル%である。また、アダマンチル基を有するモノマー(特に酸に不安定な基を有するモノマー(a1−1))に由来する構造単位の含有率は、好ましくは酸に不安定な基を有するモノマー(a1)に対して15モル%以上である。アダマンチル基を有するモノマーの比率が増えると、レジストのドライエッチング耐性が向上する。
【0083】
〈酸安定な基を有するモノマー〉
酸安定モノマーとしては、好ましくは、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するモノマーが挙げられる。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下、場合により「ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)」という)又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下、場合により「ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)」という)に由来する構造単位を有する樹脂を使用すれば、レジストの解像度及び基板への密着性を向上させることができる。
【0084】
〈ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)〉
レジスト組成物をKrFエキシマレーザ露光(248nm)、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線露光に用いる場合、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、ヒドロキシスチレン類であるフェノール性水酸基を有する酸安定モノマー(a2−0)を使用する。短波長のArFエキシマレーザ露光(193nm)などを用いる場合は、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)として、好ましくは、式(a2−1)で表されるヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーを使用する。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0085】
フェノール性水酸基を有するモノマー(a2−0)として、式(a2−0)で表されるp−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。
【0086】

[式(a2−0)中、
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は同一であっても異なってもよい。]
【0087】
ハロゲン原子を有するアルキル基としては、例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルクロロメチル基、ペルブロモメチル基及びペルヨードメチル基などのハロアルキル基が挙げられる。
【0088】
式(a2−0)においては、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0089】
このようなフェノール性水酸基を有するモノマーに由来する構造単位を有する共重合樹脂を得る場合は、該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアセトキシスチレン、及びスチレンをラジカル重合した後、酸によって脱アセチルすることによって得ることができる。
フェノール性水酸基を有するモノマーとしては、例えば、特開2010−204634号公報に記載されたモノマーが挙げられる。下式(a2−0−1)及び(a2−0−2)で表されるモノマーが好ましい。樹脂(A)を製造する際には、これらにあるフェノール性水酸基が適当な保護基で保護したものを用いることもできる。


【0090】
樹脂における式(a2−0)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有率は、樹脂の全単位において、通常5〜90モル%であり、好ましくは10〜85モル%であり、より好ましくは15〜80モル%である。
【0091】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマーとして、式(a2−1)で表されるモノマーが挙げられる。
【0092】

式(a2−1)中、
a3は、−O−又は−O−(CH2k2−CO−O−を表し、
k2は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0093】
式(a2−1)では、La3は、好ましくは、−O−、−O−(CH2f1−CO−O−であり(前記f1は、1〜4の整数である)、より好ましくは−O−である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0094】
ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。特に、下式(a2−1−1)〜(a2−1−6)で表されるモノマーが好ましく、下式(a2−1−1)〜(a2−1−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。


【0095】
樹脂における式(a2−1)で表されるモノマーに由来する構造単位の含有率は、樹脂の全単位において、通常3〜40モル%であり、好ましくは5〜35モル%であり、より好ましくは5〜30モル%である。
【0096】
〈ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)〉
酸安定モノマー(a3)が有するラクトン環は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環のような単環でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、好ましくは、γ−ブチロラクトン環、又は、γ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が挙げられる。
【0097】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、好ましくは、式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表される。これらの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】



式(a3−1)〜式(a3−3)中、
a4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−を表す。
k3は1〜7の整数を表す。*は−CO−との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a21は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
q1及びr1は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。p1、q1又はr1が2以上のとき、それぞれ、複数のRa21、Ra22又はRa23は、互いに同一でも異なってもよい。
【0099】
式(a3−1)〜式(a3−3)では、La4〜La6は、それぞれ独立に、−O−又は−O−(CH2k3−CO−O−であることが好ましく、より好ましくは−O−である。k3は、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1〜r1は、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
【0100】
ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)としては、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。特に、下式(a3−1−1)〜(a3−1−4)、(a3−2−1)〜(a3−2−4)、(a3−3−1)〜(a3−3−4)で表されるモノマーが好ましく、下式(a3−1−1)〜(a3−1−2)、(a3−2−3)〜(a3−2−4)で表されるモノマーがより好ましく、下式(a3−1−1)又は(a3−2−3)で表されるモノマーがさらに好ましい。


【0101】
樹脂におけるラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)に由来する構造単位の含有率は、樹脂の全単位において、通常5〜50モル%であり、好ましくは10〜45モル%であり、より好ましくは15〜40モル%である。
【0102】
〈その他のモノマー(a4)〉
樹脂(A)は、上記のモノマー以外のその他の公知のモノマー(a4)に由来する構造単位を有していてもよい。
【0103】
好ましくは、樹脂(A)は、少なくとも、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)及び/又はラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)を重合させた共重合体である。該共重合体において、酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、より好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1)及びシクロへキシル基を有するモノマー(a1−2)の少なくとも1種(さらに好ましくはアダマンチル基を有するモノマー(a1−1))であり、ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2)は、好ましくはヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)であり、ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)は、より好ましくはγ−ブチロラクトン環を有する酸安定モノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定モノマー(a3−2)の少なくとも1種である。樹脂(A)は、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造することができる。
【0104】
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下)である。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0105】
樹脂(A)の含有率は、好ましくは、組成物の固形分中80質量%以上である。
「固形分」とは、後述する溶剤(E)を除いたレジスト組成物成分の合計を意味する。組成物中の固形分及びこれに対する樹脂(A)の含有率は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0106】
〈塩基性化合物(C)〉
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、1級アミン、2級アミン及び3級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0107】

[式(C1)中、Rc1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0108】

[式(C1−1)中、Rc2及びRc3は、上記と同じ意味を表す。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は、互いに同一でも異なってもよい。]
【0109】



[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、Rc5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は、互いに同一でも異なってもよい。]
【0110】
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0111】



[式(C5)及び式(C6)中、Rc10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3又はp3が2以上であるとき、それぞれ、複数のRc14及びRc15は互いに同一でも異なってもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、カルボニル基、−C(=NH)−、硫黄原子又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0112】


[式(C7)及び式(C8)中、Rc18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3、r3及びs3が2以上であるとき、それぞれ、複数のRc18、Rc19及びRc20は互いに同一でも異なってもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、カルボニル基、−C(=NH)−、硫黄原子又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0113】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミンエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン等が挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
【0114】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジン等が挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリン等が挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリン等が挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジン等が挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン、ビピリジン等が挙げられる。
【0115】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリン等が挙げられる。
【0116】
塩基性化合物(C)の含有率は、レジスト組成物の固形分量を基準に、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
【0117】
〈溶剤(以下、場合により「溶剤(E)」という)〉
本発明のレジスト組成物は、溶剤(E)を含んでいてもよい。溶剤(E)の含有率は、例えばレジスト組成物中90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
溶剤(E)の含有率は、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定できる。
【0118】
溶剤(E)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類;等を挙げることができる。溶剤(E)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0119】
〈その他の成分(以下、場合により「その他の成分(F)」という)〉
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、その他の成分(F)を含有していてもよい。成分(F)に特に限定はなく、レジスト分野で公知の添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、染料等を利用できる。
【0120】
<レジスト組成物の調製>
レジスト組成物は、樹脂(A)、酸発生剤(B)及び溶剤(D)を混合するか又は樹脂(A)、酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及び溶剤(D)を混合することにより調製することができる。必要に応じて成分(F)を混合することもある。
混合順序は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂などの種類や樹脂等の溶剤(E)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
【0121】
このように、樹脂(A)、酸発生剤(B)及び溶剤(E)並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)又は成分(F)の各々を好ましい含有量で混合した後、孔径0.2μm程度のフィルタを用いてろ過等することにより、レジスト組成物を調製することができる。
【0122】
〈レジストパターンの製造方法〉
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程を含む。
【0123】
レジスト組成物の基体上への塗布は、スピンコーター等、通常、用いられる装置によって行うことができる。
【0124】
塗布後の組成物を乾燥させて溶剤を除去する。溶剤の除去は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いて溶剤を蒸発させることにより行われるか、あるいは減圧装置を用いて行われ、溶剤が除去された組成物層が形成される。この場合の温度は、例えば、50〜200℃程度が例示される。また、圧力は、1〜1.0×10Pa程度が例示される。
【0125】
得られた組成物層は、露光機を用いて露光する。露光機は、液浸露光機であってもよい。この際、通常、求められるパターンに相当するマスクを介して露光が行われる。露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。
【0126】
露光後の組成物層は、脱保護基反応を促進するための加熱処理が行われる。加熱温度としては、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃程度である。
加熱後の組成物層を、現像装置を用いて、通常、アルカリ現像液を利用して現像する。
ここで用いられるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であればよい。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、超純水でリンスし、基板及びパターン上に残った水を除去することが好ましい。
【0127】
〈用途〉
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、EB用のレジスト組成物又はEUV露光機用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0129】
化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子ピークを測定することで確認した。
【0130】
実施例1:式(I1)で表される塩の合成


【0131】
式(I1−a)で表される塩を、特開2008−127367号公報に記載された方法で合成した。
式(I1−a)で表される塩5.00部及びクロロホルム25部を仕込み、30℃で30分間攪拌し、式(I1−b)で表される化合物1.83部を仕込み、60℃で1時間攪拌することにより、式(I1−c)で表される化合物を含む溶液を得た。
【0132】


【0133】
得られた式(I1−c)で表される化合物を含む溶液に、式(I1−d)で表される化合物1.51部を仕込み、23℃で3時間攪拌した。得られた反応マスに、イオン交換水10部を仕込み、攪拌、分液を行った。水洗を5回行った。得られた有機層に活性炭1.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をアセトニトリルに溶解し、濃縮した。その後、得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮することにより、式(I1)で表される塩0.88部を得た。
【0134】
MS(ESI(+)Spectrum):M 263.1
MS(ESI(−)Spectrum):M 305.0
【0135】
以下に示すモノマーを用いて、樹脂を合成した。

〔樹脂A1の合成〕
モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3))が30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.1×10の樹脂A1(共重合体)を収率65%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有する。

〔樹脂A2の合成〕
モノマー(a1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1))が50:25:25となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを80℃で約8時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量9.2×10の樹脂A2(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有する。
【0136】

【0137】
表1に示すように、以下の各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルタで濾過することにより、レジスト組成物を調製した。
【0138】
【表1】

【0139】
<樹脂>
A1:樹脂A1
A2:樹脂A2
<酸発生剤>
I1:式(I−1)で表される塩
B1:

B2:

【0140】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0141】
<レジスト組成物の液浸露光評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、50秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。
次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥後の膜厚が110nmとなるようにスピンコートした。
レジスト組成物塗布後、得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1の「PB」欄に記載された温度で50秒間プリベーク(PB)した。こうしてレジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.30、35 Y軸偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。
露光後、ホットプレート上にて、表1の「PEB」欄に記載された温度で50秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
各レジスト膜において、45nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量となる露光量を実効感度とした。
【0142】
<フォーカスマージン(DOF)評価>
フォーカスマージン(DOF):実効感度において、フォーカスを振った場合、線幅が45nm±5%の幅にある範囲(42.75〜47.25nm)を線幅指標とした。DOFが、
0.14μmを超えるものを◎、
0.05μmを超え、0.14μm以下のものを○、
0.05未満であるものを×とした。
これらの結果を表2に示す。
【0143】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の塩によれば、前記塩を含むレジスト組成物を用いて、優れたフォーカスマージン(DOF)を有するパターンを形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される塩。

[式(I)中、
及びRは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
は、2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、前記2価の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、前記2価の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜18のスルホラン環を表す。
1+は、有機対イオンを表す。]
【請求項2】
前記式(I)のRが、式(b)で表されるスルホラン環である請求項1記載の塩。

[式(b)中、
nは0〜7の整数を表す。
Rは、ヒドロキシ基、アルコキシ基又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、隣接する炭素原子に各々結合する2つのRが結合して、前記炭素原子とともに環を形成してもよく、該環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
---は、単結合又は二重結合を表す。
*は、Xとの結合手である。]
【請求項3】
前記式(I)のRが、式(b−1)〜式(b−5)の中から選ばれるスルホラン環である請求項1又は2記載の塩。

[式(b−1)〜式(b−5)中、
*は、Xとの結合手である。]
【請求項4】
1+が、トリアリールスルホニウムカチオンである請求項1〜3のいずれかに記載の塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の塩を含有する酸発生剤。
【請求項6】
請求項5記載の酸発生剤と樹脂とを含有するレジスト組成物。
【請求項7】
樹脂が、酸に不安定な基を有し、かつアルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸と作用してアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である請求項6記載のレジスト組成物。
【請求項8】
さらに、塩基性化合物を含有する請求項6又は7記載のレジスト組成物。
【請求項9】
(1)請求項6〜8のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−153662(P2012−153662A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14847(P2011−14847)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】