説明

酸素濃縮システム

本システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システム(100)であり、空気源、その空気源を受け入れ且つ圧縮し、そして圧縮空気源を供給するコンプレッサ(115)、及び、その圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料を有する。その吸着システムは、その分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する。そのシステムは、LPM当たりの比総重量が9ポンド/LPMである。更に、その濃縮ガスの出力量は、その吸着システムによって供給され、且つ、その濃縮ガスのパージ量は、パージサイクルを受ける吸着システムの篩チャンバに注入される。そのパージ量は、その最大量とその出力量との間の差に等しいかその差より小さい値を有し、また、そのパージ量は、その出力量に基づいて制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づいて2006年8月28日に出願された米国仮特許出願第60/840523号からの優先権を主張し、また、合衆国法典第35巻第120/365条の規定に基づいて2006年12月6日に出願された米国特許出願第11/636235号からの優先権を主張し、それらの内容は、参照により本書に援用される。
【0002】
本発明は、圧力スイング吸着システムに関し、また、より詳細には、コンプレッサから圧縮空気を受け入れる多チャンバ型容器(multi-chamber canister)を有し、且つ、圧力スイング吸着システムで、濃縮された酸素を産生するために、単一アセンブリ内に一体化された一連のチャンバ(室)にその空気を通過させる酸素濃縮器システムに関し、そのシステムは、少なくとも90%の酸素濃度で5LPMを供給する。
【背景技術】
【0003】
吸着分離プロセスは、ガス状混合物から一以上の成分を選択的に吸着する特定の固体の能力を当てにしている。患者用の酸素濃縮器では、その吸着分離プロセスは通常、吸着ステップ及び脱着ステップの二つの主要なステップを含む、固定床オペレーションである。
【0004】
圧力スイング吸着(PSA)は、そのような医学的用途におけるガス状混合物の成分分離にとって有用な技術である。ガス状混合物は、典型的には周囲空気であり、成分が分離されるところであるチャンバに供給され、一成分を高い割合で含む流れを生み出す。空気は、多くの成分、すなわち、約21%の酸素、78%の窒素、0.9%のアルゴン、及び、0.1%の他の微量ガスを含む。PSAは、その流入空気からその酸素を分離し、より高い濃度の酸素をその患者に供給するために使用され得る。
【0005】
一般的に、そのチャンバにおけるそのような成分分離は、その混合物における特定の成分に選択的親和性を有するゼオライト又は分子篩を用いることによって実現される。ゼオライトは、均一の微細孔又は結晶キャビティを有する天然に或いは人工的に産生される分子篩である。そのゼオライトの孔に適合するのに十分小さい化学成分は、そのゼオライト材料の表面に吸着される。成分がそのゼオライトにどの程度簡単に吸着されるかは、そのゼオライトペレットにおけるその孔の形状及びサイズと比較したその分子の形状及びサイズに依存する。ゼオライトは、その孔自身のサイズまでの何れの直径を有する分子をも吸着することができる。
【0006】
圧力スイング吸着は、選択的な吸着から脱着へそのチャンバを順番に循環させるための圧力の変動を当てにしている。このスイング(変動)は、高圧から大気圧まで、又は、大気圧から真空までで生じ得る。そのスイングが大気圧から真空までで生じる場合、それは、技術的に真空圧力スイング吸着(VPSA)であると考えられる。成分分離のためのPSAとVPSA技術とが全く異なるものであり、それぞれの技術がそれ自身の付随する利点及び欠点を有することは当業者にとって周知である。
【0007】
典型的な圧力スイング吸着システムは、患者による後の吸入のために、空気から酸素を分離する酸素濃縮器である。従来のシステムは、毎分0.5リットル(LPM)と10LPMとの間で供給する。そのような酸素濃縮器は、そのガスを酸素及び窒素画分に分離するための複数の分子篩ベッド(層)を含み、それによって、酸素はその後患者に提供され、一方で、窒素はその篩に保持され且つその後に取り除かれる。これらの酸素濃縮器は、エアコンプレッサ、二つの三方エアバルブ、それぞれ別々の分子篩を収容する複数の容器、及び産物リザーバタンクのような、複数の構成要素を含む。そのような構造は、これらのシステムの効率及びコストに影響する大規模なバルブ設置及び配管を必要とする。
【0008】
従来技術におけるいくつかのPSAシステムは、少なくとも三つのチャンバを含む圧力スイング吸着システムのための多チャンバ容器を含む。その容器は、一般的な長さのハウジングを有する。第一分子篩チャンバは、周囲環境からの空気を濃縮ガス成分に分離するための第一分子篩を受け入れるためにハウジング内に配置される。少なくとも一つの第二分子篩チャンバもまた、周囲環境からの空気を濃縮ガス成分に分離するための第二分子篩を受け入れるためにハウジング内に配置される。供給チャンバは、周囲環境からの空気を受け入れ、且つ、その空気をその第一又は第二分子篩チャンバの何れかに送るために、ハウジング内に配置される。
【0009】
多くの従来システムは患者のニーズに合致するのに十分な流量を供給し得るが、高い効率、高い産出ガス濃度、及び軽量に対する願望を含む患者の要求の多くを満たすことはできていない。例えば、多くの従来システムは、かなりの量の分子篩材料と動作用の電力とを必要とする。他のシステムは、特定の流量では不十分な純度で酸素を供給してしまう。従来システムのいくつかは、これら不十分さのいくつかの解決を試みる機能及び方法を実現した。
【0010】
例えば、米国特許第6683256号(以下、「256特許」とする。)は、産生ガスの所望の濃度に応じて脱着再生フェーズ及び吸着産生フェーズの期間を変える分子篩型ガス分離装置を開示する。より詳細には、その256特許は、その産生ガスの成分濃度に反応する酸素センサを用いるガス分離装置のための適応制御方法を開示する。その酸素センサから受けるデータに基づいて、そのガス分離装置は、吸着産生フェーズ及び脱着再生フェーズの期間を変更することができる。その産生ガスの成分濃度が所望のものより高いことをそのセンサが示す場合、その脱着フェーズは短縮され、その結果、入力ガスの供給のための要件が緩和され得る。
【0011】
同様に、米国特許第5906672号(以下、「672特許」とする。)は、酸素濃縮器を開示する。その酸素濃縮器は、その酸素濃縮器からの産生ガスの産出量を見積もるためのマイクロプロセッサを内蔵する。また、供給されるデバイスは、圧力スイング吸着サイクルのフェーズの期間を見積もるための閉ループフィードバック回路を含む。そのマイクロプロセッサは、酸素産出量の低下が感知されるまでそのバルブタイミングを徐々に増大させるようにそのデバイスを指示する。酸素産出量の低下が検出された場合、そのマイクロプロセッサは、前回のタイミングに後退するようそのデバイスを指示する。
【0012】
米国特許第4627860号(以下、「860特許」とする。)は、酸素濃縮器及びテスト装置を開示する。860特許は、その濃縮器における種々の構成要素の感知機能及び能力を監視するためにマイクロプロセッサを使用することを教示する。更に、860特許は、その濃縮器における選択された被監視機能を表示するためにその濃縮器と連通するテスト装置を教示する。そのテスト装置は、操作者がそのマシンの能力レベルを監視し且つ構成要素の問題を診断できるようにする。
【0013】
米国特許第5474595号(以下、「595特許」とする。)は、コンプレッサのための容量制御システムを備えた圧力スイング吸着装置を開示する。その容量制御システムは、周囲空気のそのコンプレッサへの吸入を制限するために手動で設定され得る、そのユニットのハウジング内にあるメカニカルバルブを備える。その制限された量の周囲空気は、そのコンプレッサに掛かる負荷を低減させ、その結果、そのシステムによって消費されるパワーを低減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6683256号明細書
【特許文献2】米国特許第5906672号明細書
【特許文献3】米国特許第4627860号明細書
【特許文献4】米国特許第5474595号明細書
【特許文献5】米国特許第5183483号明細書
【特許文献6】米国特許第5997617号明細書
【特許文献7】米国特許第6062260号明細書
【特許文献8】米国特許第5183483号明細書
【特許文献9】米国特許第5071453号明細書
【特許文献10】米国特許第5858062号明細書
【特許文献11】米国特許第5988165号明細書
【特許文献12】米国特許第6342090号明細書
【特許文献13】米国特許第6446630号明細書
【特許文献14】米国特許第6889726号明細書
【特許文献15】米国特許第6904913号明細書
【特許文献16】米国特許第5858062号明細書
【特許文献17】米国特許第5892275号明細書
【特許文献18】米国特許第5979440号明細書
【特許文献19】米国特許第6212904号明細書
【特許文献20】米国特許第6651653号明細書
【特許文献21】米国特許第6681764号明細書
【特許文献22】米国特許第6989423号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2006/0086099号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2006/0086102号明細書
【特許文献25】米国特許明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術におけるシステム群は、それらの使用目的に適しているが、それらは、最低限の重量、サイズ、音レベル、及び電力消費の特性を持つシステムにおいて5LPMで90%以上の酸素濃度を信頼性高く供給することができない。更に、従来技術は、0から5LPMの流量で実現可能な最大限の酸素濃度純度を産生できるデバイスを開示していない。更に、従来技術は、0から5LPMの流量で最小限の電力条件で動作可能なシステムを教示していない。更に、従来技術は、低電力モード及び増大酸素モードの双方で動作可能なシステムを教示していない。本発明が主に対象とするのは、そのような酸素濃縮器システムである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の目的は、従来の吸着システムの欠点を克服する吸着システムを提供することである。この目的は、本発明の一実施例に従って、空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムを提供することによって実現され、そのシステムは、エアサプライ(空気源)、圧縮空気源を供給するためにその空気源を受け入れ且つ圧縮するためのコンプレッサ、及び、その圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料を含む。更に、その吸着システムは、少なくとも毎分5リットル(LPM)の濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給し、そのシステムは、LPM当たりの比総重量が9ポンド/LPM未満である。
【0017】
別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、その圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料、及び、少なくとも5LPMの濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口を含む。その分子篩材料は、総重量を有し、その吸着システムは、LPM当たりの比総分子篩材料重量が0.7ポンド/LPM以下である。
【0018】
更に別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、分子篩材料、及び、少なくとも5LPMの濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口を含む。この実施例における吸着システムは、総体積を有し、LPM当たりの比体積が0.43立方フィート/LPM未満である。
【0019】
更に別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、分子篩材料、及び、少なくとも5LPMの濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口を含む。この吸着システムは、作動中に音レベルを生み出し、LPM当たりの比音レベルが9.5dBA/LPM以下である。
【0020】
別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、分子篩材料、及び、少なくとも5LPMの濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口を含む。その吸着システムは、作動中に電力を利用し、LPM当たりの比電力レベルが80W/LPM以下である。
【0021】
更に別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、分子篩材料、及び、少なくとも95.7%の純度の濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口を含む。
【0022】
更なる実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、コンプレッサ、分子篩材料、その分子篩材料を受け入れるための第一分子篩チャンバ、その分子篩材料を受け入れるための第二分子篩チャンバ、並びに、圧縮空気源を受け入れ且つその圧縮空気源をその第一及び第二分子篩チャンバに連通させるための供給チャンバを含む。そのシステムはまた、濃縮ガス成分をその分子篩材料から供給する出口、及び、その第一分子篩チャンバとその第二分子篩チャンバとの間でその濃縮ガス成分を連通させるための固定オリフィスを含む。その分子篩材料は、総分子篩材料重量を有し、その固定オリフィスの面積の平方インチ当たりの総分子篩材料重量が3000ポンド/平方インチ未満である。
【0023】
更に別の実施例において、吸着システムは、空気を濃縮ガス成分に分離するために提供され、そのシステムは、空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮して圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ、分子篩、その分子篩材料を受け入れるための第一分子篩チャンバ、その分子篩材料を受け入れるための第二分子篩チャンバ、その圧縮空気源を受け入れ且つその圧縮空気源をその第一及び第二分子篩チャンバに連通させるための供給チャンバ、並びに、その分子篩材料からの濃縮ガス成分を供給する出口を含む。そのコンプレッサの性能は、その分子篩材料の性能に適合される。
【0024】
本発明におけるこれらの並びに他の目的、特徴、及び特性は、操作方法、構造における関連要素の機能、部品の組み合わせ、及び生産効率に加え、添付図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することでより明確となり、それらの全てがこの明細書の一部を形成し、同様の参照数字が複数の図における対応する部品を指定する。しかしながら、それらの図は、図解及び説明のみを目的とするものであり、本発明の境界を定義することが意図されていない点を明確に理解しなければならない。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、文脈で明示的に記載されない限り、複数参照をも含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの概略図である。
【図2】PSAプロセス中のPSA産物タンクにおける典型的な圧力を示すチャートである。
【図3】流れを評価する目的のために圧力信号の傾きが採取された場合のウィンドウ“T”の例を示す図2と同じチャートである。
【図4】産物タンク圧力信号の傾きとシステムからの酸素流量との間の関係を示すチャートである。
【図5A】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの一部の上面斜視図である。
【図5B】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの一部の底面斜視図である。
【図6A】本発明の原理に従った図5A及び図5Bの圧力スイング吸着システムにおけるトップカバーアセンブリの上面斜視図である。
【図6B】本発明の原理に従った図5A及び図5Bの圧力スイング吸着システムにおけるトップカバーアセンブリの底面斜視図である。
【図7A】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システムにおけるトップカバーの上面斜視図である。
【図7B】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システムにおけるトップカバーの底面斜視図である。
【図8A】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システムにおけるバルブの底面斜視図である。
【図8B】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システムにおけるバルブの上面斜視図である。
【図9】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システムにおけるエンドカバーアセンブリの底面斜視図である。
【図10】本発明の原理に従った図5A及び5Bの圧力スイング吸着システム内の流体流を連通させるためのエンドカバーの斜視図である。
【図11】本発明の圧力スイング吸着システム内の流体流を連通させるためのアクティブパージ制御デバイスを含む図10のエンドカバーの斜視図である。
【図12】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの実施例における、圧力スイング吸着サイクルの特定フェーズの期間に対する流量のチャートである。
【図13】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの実施例における産出ガスの酸素濃度のチャートである。
【図14A】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの実施例である固定パージデバイスにおける圧力値に対する時間のチャートである。
【図14B】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの実施例であるアクティブパージデバイスにおける圧力値に対する時間のチャートである。
【図15】電力節約モードで動作する本発明に係る圧力スイング吸着システムの実施例における圧力スイング吸着サイクルの種々のフェーズに対する時間の値のチャートである。
【図16】電力節約モードで動作する本発明に係る圧力スイング吸着システムの実施例における電力消費のチャートである。
【図17】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの様々な実施例による産出ガスの酸素濃度及び電力消費のチャートである。
【図18】本発明の原理に従った音低減モードのためのバルブタイムチャートである。
【図19】システムが音低減モードで動作する場合におけるPSAシステムにおける種々の構成要素のピーク圧を示すチャートである。
【図20】システムが増大酸素モードで動作する場合におけるPSAシステムにおける種々の構成要素のピーク圧を示すチャートである。
【図21】延長バランスモードにある本発明に係る圧力スイング吸着システムの運転の酸素濃度に対する影響を示すチャートである。
【図22】本発明の原理に従った圧力スイング吸着システムの実施例における、バランス時間と切り替え圧と酸素出力濃度との間の関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、図を詳細に参照する。なお、複数の図を通じて同様の参照番号が同様の部品を表す。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100の概略的な(ブロック)図を示す。圧力スイング吸着システム100は、当業者に知られたいくつかの標準的な構成要素を含む。圧力スイング吸着システム100の従来の態様の操作及びデザインは、米国特許第5183483号及び第5997617号で開示されており、それらの双方がここで参照により援用される。当業者は、本書の開示は酸素の産生のための圧力スイング吸着システムに焦点を合わせたものであるが、本発明の実施例が他の多くのタイプの圧力スイング吸着システムを受け入れ且つそれらに適用するということを理解するであろう。
【0028】
用語“分子篩チャンバ”、“篩チャンバ”及び“篩ベッド(層)”は、本書では、ガス成分の分離で使用される分子篩材料を格納可能なデバイスを参照するための同義語として使用される。用語“吸着”及び“フィード”は、本書では、分離のために圧縮ガスを分子篩チャンバに入れるプロセスを参照するための同義語として使用される。用語“脱着”、“パージ”及び“再生”は、本書では、分子篩チャンバから非産生ガスを取り除くプロセスを参照するための同義語として使用される。
【0029】
本発明の圧力スイング吸着システム100は、0.5〜5LPMの範囲の産出量で酸素を産出可能な、軽量、小型、低騒音レベル、低消費電力の酸素濃縮器を提供する。これらの有利点を提供するために、圧力スイング吸着システム100は、極めて効率的な構造、並びに、高い吸着性の分子篩及び最適化されたコンプレッサを含む戦略的に適合した構成要素群を当てにしている。図1は、本発明の典型的な実施例に従ったこの極めて効率的な構造の説明図を提示する。
【0030】
圧力スイング吸着システム100に対する入力は、周囲空気“A”である。この空気Aは、ほとんどの場合、未処理の大気中の空気である。しかしながら、入力ガスとして、加圧容器に保管されたガスのような他のソースも本発明によって予期される。圧力スイング吸着システム100は、その入力空気を最初にフィルタリングするためのフィルタ110を含む。フィルタ110は、典型的には周囲空気Aにおける混入物質を集めることができる不規則に配列された繊維のマットで構成される、高性能微粒子吸収(HEPA)フィルタであってもよい。フィルタ110は、その周囲空気Aにおける、埃、花粉、カビ、バクテリア、及び、任意の十分に大きな粒子を含む混入物質のかなりの部分をフィルタリングすることができる。その入力される周囲空気Aのフィルタ110によるフィルタリングは、コンプレッサ115への混じりけのない周囲空気の入力を可能とする。本発明はまた、キャビネットフィルタースクリーン(図示せず。)がその圧力スイング吸着システムのハウジングに備えられることをも意図する。その混入物質のない状態の空気のコンプレッサ115へのフィードは、そのコンプレッサの効率的な働きに貢献し、また、処理した空気にある混入物質によってそのコンプレッサが詰まったり腐食したりするのを防止するのに役立つ。
【0031】
コンプレッサ115は、その圧力スイング吸着システム内の加圧をもたらすことができ、それ故に、それは、そのシステムの中心的な構成要素である。コンプレッサ115は、フィルタリングされた空気入力111を受け、その空気を圧縮し、且つ、その圧力スイング吸着システムが求める圧力で空気116の出力を供給する。典型的な実施例において、コンプレッサ115は、ツインヘッドの注油不要のデバイスである。代替的な実施例において、そのコンプレッサは、単一ヘッドのデバイスである。本発明は、そのコンプレッサが本発明に係るシステムでの使用に適した動作的及び/又は機能的能力を実現する限り他の構成を有し得ることを意図する。
【0032】
コンプレッサ115の典型的な実施例は、その圧力スイング吸着システムのパラメータ及び必要条件に適合したデバイスを提供する。例えば、これに限定されることはないが、コンプレッサ115のキャパシティ(限度容量)は、その圧力スイング吸着システムにおける篩チャンバの限度容量に個別に適合される。そのシステムのパラメータに個別に適合されたコンプレッサを提供することは、多くの有利点をもたらし、且つ、従来のシステムにおける不利点を克服するための圧力スイング吸着システム100の能力に貢献する。
【0033】
圧力スイング吸着システム100の篩チャンバは、所定量の周囲空気を所定の気圧で処理し、且つ、その周囲空気からの酸素の回収率を特定のレベルに維持するよう設計される。その圧力スイング吸着システムの典型的な実施例において、その篩チャンバは、少なくとも30%の回収率を維持しながら、平方インチ当たり20ポンド(psi)に加圧された70リットルの周囲空気を処理するよう設計される。この典型的な実施例において、圧力スイング吸着システム100は、コンプレッサ115がそのコンプレッサ及びその圧力スイング吸着システム全体の効率の良さを確保するためにその篩ベッドの限度容量の仕様に適合するよう、詳細に設計される。具体的には、コンプレッサ115は、その篩チャンバのパラメータに適合する産出量を生み出すよう設計される。
【0034】
典型的な実施例において、コンプレッサ115は、その篩チャンバの能力に適合するよう、20psiで毎分70リットルのガスを産出するよう設計される。その篩チャンバの限度容量に対するコンプレッサ115の適合は、そのコンプレッサの最適な効率を可能とするばかりでなく、そのコンプレッサが比較的軽量となることを可能にし、また、そのシステムの要求を満たすのに必要な最低限の電力量のみを要求する。本発明の典型的な実施例において、コンプレッサ115の重量は、15ポンド未満である。実施例によっては、そのコンプレッサの重量は、10ポンド未満である。
【0035】
典型的な実施例において、圧力スイング吸着システム100におけるコンプレッサ115のための仕様は、以下の表1に規定されるようなものである。
【0036】
【表1】

理想気体の法則PV=nRT(圧力×体積=ガスのモル数×ガス定数×温度)に従って、空気圧の増大は、その圧縮された空気の温度の増大をもたらす。その結果、コンプレッサ115の出力116は、典型的には、高温である。この熱を緩和するために、実施例によっては、出力116は、熱交換器117に接続され得る。熱交換器117は、コンプレッサ115の出力116における空気の効率的な熱移動をもたらすために構成され得る。言い換えれば、そのコンプレッサの出力116における空気の温度は、熱交換器117によって低減され得る。
【0037】
熱交換器117を出た後、その圧縮された入力空気は、メインプロセスバルブ120に移動し得る。メインプロセスバルブ120は、その圧力スイング吸着サイクルを通じてガスの流れを伝えるために用いられる。当業者は、プロセスバルブ120が様々な異なるデバイスで実現され得ることを理解するであろう。例えば、米国特許第6062260号(以下、「260特許」とする。)は、メインプロセスバルブ120としての実装に適したSMC(登録商標)sure cycle valveを開示する。実施例によっては、メインプロセスバルブ120は、論理制御デバイス150によって制御されてもよい。論理制御デバイス150は、メインプロセスバルブ120を監視し且つそれに命令を与えることが可能なマイクロプロセッサを含み得る。非限定的な例において、メインプロセスバルブ120は、ソレノイドによって操作され、そして、論理制御デバイス150は、それらソレノイドを制御可能である。実施例によっては、それらソレノイドは、5〜8psiの間の最小切換圧を有する。コンプレッサ115と同様に、論理制御デバイス150は、所与のLPM出力における圧力スイング吸着サイクルのための所定のパラメータセットに従って、メインプロセスバルブ120の操作を指示し得る。
【0038】
典型的な実施例において、メインプロセスバルブ120は、四つのポートを有し、第一ポートである排気ポート121は、排気デバイス125に接続され、第二ポート122は、第一篩チャンバ130に接続され、第三ポート123は、第二篩チャンバ135に接続され、そして、第四ポート124は、熱交換器117に接続される。ポート121、122、123、及び124は、その圧力スイング吸着サイクルの動作に従った多くの異なる流れ経路をメインプロセスバルブ120が接続できるようにする。篩チャンバに接続されるポート122及び123は、その圧力スイング吸着サイクルの動作中に分子篩チャンバのそれぞれに圧縮空気が入れるように開閉する。
【0039】
非限定的な実施例の構成において、メインプロセスバルブ120は、その圧縮空気が第一篩チャンバ130に供給されるように、熱交換器117からの供給入力ポート124を開き、且つ、第一篩チャンバ130への第二ポート122を開くように設定されてもよい。同様に、メインプロセスバルブ120は、その圧縮空気が第二篩チャンバ135に供給されるように、供給入力ポート124を開き、且つ、第二篩チャンバ135への第三ポート123を開くように設定されてもよい。或いは、メインプロセスバルブ120は、圧縮空気が第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135の双方に供給されるように、第二ポート122及び第三ポート123の双方を開くように設定されてもよい。メインプロセスバルブ120のこれらの設定は、圧力スイング吸着システム100におけるサイクルの吸着フェーズで使用される。その吸着フェーズにおいて、周囲空気は、コンプレッサ115から、メインプロセスバルブ120を通じて、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135の一方又は双方に送られる。
【0040】
第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135は、ゼオライト材料、又は、空気を酸素と窒素を含む廃棄物とに分画するのに適した他の材料を有する。ゼオライトは、[SiO44-及び[AlO4]5-の四面体ユニットを有する高結晶質のアルミノ珪酸構造である。T原子(Si、Al)は、酸素橋によって結合される。全体として負である表面電荷の導入は、例えばNa+、K+、Ca2+である対イオンを必要とする。そのゼオライト結晶は、水を含み、そして、その水は、加熱により蒸発させられるので、その骨格構造における識別可能な崩壊が存在しない。これは、かなり多数の成分を吸着するために簡単に調整され得る内部構造を有する高結晶質で微細孔のある吸着材をもたらす。ゼオライトは、有利的な分子篩特性を有する。その孔サイズの分布は、変更が可能であり、そのゼオライトがいわゆる分子篩として使用されるのを可能にする。大きすぎてその孔まで拡散できない分子は排除され、一方で、その孔のサイズより小さい動的分子径(kinetic diameter)を有する分子はその孔にまで拡散し、吸着し、そして、特定の条件の下で、触媒反応を起こすことができる。この例には、ガソリンのオクタン価を増大させるための直鎖及び分枝鎖の炭化水素の篩におけるものがある。
【0041】
5LPMの範囲の産出量を備えた、比較的軽量で、小型で、低騒音レベルで、低電力消費のPSA酸素濃縮器を本システムが提供できるようにするために、好適には、高吸着性の分子篩が採用される。SILIPORITE(登録商標)分子篩は、注目すべき選択吸着特性を備えた鉱物性人工生産物(ゼオライト)であり、本システムでの使用のために空気を酸素と窒素等の廃棄物とに分画するのに適した材料の一例である。ATOFINA Chemical, Inc.社は、関連会社であるCECA S.A. of Paris, FranceのためにSILIPORITE(登録商標)Molecular Sieveに関する技術的サービスを流通させ且つ提供している。分子篩材料であるSILIPORITE(登録商標)の取り扱い品目であるNitroxy51及びNitroxy51R、並びに、UOP LLC of Des Plaines, ILのMDX分子篩の双方は、本発明での使用に適している。
【0042】
Nitroxy51、Nitroxy51R、及びMDXは、従来の分子篩に比べて、更に高い窒素吸着能力と更に高い酸素に対する窒素選択性とを有する分子篩である。例えば、Nitroxy5のような従来の分子篩は、8Nl/kgの窒素吸着能力と、「3」の酸素に対する窒素の選択係数(selectivity factor N2/O2)とを有する。対照的に、例えば、Nitroxy51は、18Nl/kgの最小窒素吸着能力と、少なくとも「6」の酸素に対する窒素の選択係数とを有する。要するに、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力と少なくとも「6」である酸素に対する窒素の選択係数(すなわち、「6」以上の選択性である。)とを有する篩材料が、本発明での使用に適している。
【0043】
そのサイクルの吸着、すなわちフィードフェーズにおいて、周囲空気Aは、産生ガス、すなわち原則的には酸素及びアルゴンと、窒素、水蒸気、及び他の微量ガスを含む廃棄物ガスとに分離される。チャンバ130及び135等の篩チャンバにおけるゼオライト材料は、その篩チャンバ内で適切な圧力が創出された場合に、その材料の表面にある孔の中にその廃棄物ガスを集める。酸素は、未結合のガスとしてその篩チャンバ内に残存し得る。
【0044】
吸着フェーズの設定に加えて、メインプロセスバルブ120は、様々なパージ又は脱着フェーズ用に設定されてもよい。あるパージ設定では、排気デバイス125への第一ポート121が開かれ、且つ、第一篩チャンバ130への第二ポート122が開かれる。メインプロセスバルブ120のこの設定は、第一篩チャンバ130のパージを可能にする。典型的な実施例において、圧力スイング吸着システム100は、篩チャンバ130及び135に収容されたガスを引き出し、且つ、排気ポート126を介してそのガスを出すことができる排気デバイス125を含む。排気デバイス125は、排気マフラであってもよく、吹き下ろしデバイスであってもよく、その篩チャンバからガスを引っ張り出すことができる他のデバイスであってもよい。
【0045】
酸素濃縮器の脱着フェーズは、篩チャンバ130及び135からの廃棄物ガスの除去を含む。このように、篩チャンバは、それら篩の孔の中に収容された廃棄物ガスの分子が取り除かれ、周囲空気の次の注入からの新たな廃棄物ガスの分子を受け入れられるよう更新される。従って、篩チャンバ130及び135の限度容量は、その脱着フェーズに直接的に依存する。
【0046】
第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135はまた、第一チェックバルブ141及び第二チェックバルブ142の二つのチェックバルブに接続される。チェックバルブ141及び142は、産生ガスを保管する産物タンク140に接続される。チェックバルブ141及び142は、篩チャンバ130及び135から産物タンク140への産生ガスの流れを調整する。一実施例において、チェックバルブ141及び142は、篩チャンバ130及び135から来る産生ガスの圧力がその産物タンクの圧力よりも大きい場合に、その産生ガスが産物タンク140へ流入できるように構成される。更に、チェックバルブ141及び142は、産生ガスの逆流を防止するよう構成され得る。
【0047】
パージ制御デバイス190は、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135の二つの出力を結合する。パージ制御デバイス190は、実施例によっては、固定径の制限がある受動的なオリフィスであってもよい。更に、パージ制御デバイス190は、論理制御デバイス150によって制御可能なアクティブな(能動的な)バルブであってもよい。典型的な実施例において、パージ制御デバイス190は、ソレノイドによって操作され、また、論理制御デバイス150は、それらソレノイドを制御可能である。従って、能動パージ制御デバイス190は、第一篩チャンバ130と第二篩チャンバ135との間のガスの通過を制御することができる。
【0048】
図1で示される典型的な実施例において、パージ制御デバイス190は、そのパージ制御デバイスを通って一方の篩チャンバから他方の篩チャンバに流れるガスが産生ガスとなるよう、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135の産生ガス側にある。パージ制御デバイス190は、圧力スイング吸着サイクルの様々なステージで使用され得る。典型的な実施例において、パージ制御デバイス190は、脱着プロセスを促進すべく、吸着中の篩チャンバから脱着中の篩チャンバに産生ガスを移すために使用される。
【0049】
図1で示されるように、産物タンク140は、圧力調整器143を含む。圧力調整器143は、産生ガスのその出力への流れを制御するために使用される。図1で示されるようなものであるいくつかの実施例において、産物タンク140は、圧力センサ160に接続され得る。圧力センサ160は、圧力スイング吸着システム100における流量を評価するときに使用され得る情報を提供することが可能である。
【0050】
典型的な実施例において、圧力センサ160は、論理制御デバイス150に情報を伝え且つ送信することが可能とされる。典型的な実施例において、論理制御デバイス150は、圧力スイング吸着システム100における流量を評価するために、圧力センサ160から受信したデータに基づいて計算を実行する。
【0051】
多くの場合、システムから出力される酸素の流量に基づいてPSAプロセスを最適化する必要がある。最適化は、流量の関数としてバルブタイミングを連続的に調節することによって実現される。本物の流量トランスデューサは商業的に実現可能なシステムに付け加えるには高価であるので、本発明は、産物タンク140における圧力の変化、すなわち、圧力センサ160によって出力される圧力信号を通じて、そのシステムから出力される酸素の流量を間接的に評価する。図2は、PSAサイクルの間に圧力センサ160によって供給される圧力信号161を示す。
【0052】
具体的には、その流量は、その圧力信号の負の傾きの大きさに正比例する。従って、システムからの出力の実際の流量(FlowLPM)はどの時点においても、以下のようにその圧力信号から算出され得る。
FlowLPM = K × ABS(Slope)・・・(1)
ここで、Kは、定数であり、また、ABS(Slope)は、その圧力信号の勾配の絶対値である。
【0053】
流量の算出は、圧力センサ160からの信号を変換し、その変換した信号を調整し、その調整した信号をサンプリングし、そして、そのサンプリングした信号の、二分の一サイクル毎の固定時間ウィンドウTにわたる勾配の大きさを算出することによって実現される。図3は、この“ウィンドウ化”プロセスを示す。
【0054】
算出された勾配値のそれぞれは、再帰的平均化フィルタを用いて先行する値で平均化される。圧力センサ160は通常較正されていないので、その平均化フィルタの出力は、不揮発性メモリに記憶された二つの較正値を用いて、スケーリングされ、且つ、正規化される。マシン毎に一貫性のある値を得るためである。最終的に、スケーリング/正規化プロセスから得られた計算結果は、実際の酸素流量に対応する値である。その結果は、例えば、図4で示されるように、負の勾配と酸素出力流量との間の直線関係163となる。関係163及び/又は式(1)を用いることによって、そのシステムからの酸素流量は、その産物タンク内の圧力に基づいて決定され、より詳細には、時間間隔Tにおける圧力信号の負の勾配に基づいて決定され得る。
【0055】
論理制御デバイス150は、この評価された流量に従って、圧力スイング吸着システムにおける他のデバイスを制御することができる。典型的な実施例において、その論理制御デバイスは、その評価された流量に従って、パージ制御デバイス190の動作を変更することができる。更なる実施例において、その論理制御デバイスは、その評価された流量に基づいて圧力スイング吸着サイクルを修正することができる。
【0056】
典型的な実施例において、圧力調整器143は、酸素センサ165に接続される。酸素センサ165は更に流量計170に接続される。流量計170は、視覚的な出力をユーザに提供するために、或いは、圧力スイング吸着システム100の出力量を監視するために使用され得る。流量計170は、チェックバルブ171を通じて、出力フィルタ175に接続される。出力フィルタ175は、圧力スイング吸着システム100により患者に提供されるその産生ガスの完全性を確保するのに役立つ。出力フィルタ175は、HEPAバクテリアフィルタ又は他の適切なフィルタであってもよい。出力フィルタ175の出力ポートは、その産生ガス或いは酸素をその患者に供給することができるデバイスに取り付けられ得る。実施例によっては、出力フィルタ175は、その患者が酸素を受けるところであるDISS又はホースバーブ接続金具(hose barb fitting)に接続される。
【0057】
図5Aは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100の一部の斜視図である。図5Aは、その圧力スイング吸着システムの様々な構成要素の組み立てを図解する。図5Aで示される典型的な実施例において、その圧力スイング吸着システムの中心部分は、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135を含む。更に、圧力スイング吸着システム100の中心部分は、産物タンク140を含み得る。産物タンク140は、その圧力スイング吸着システムによって産生された主に酸素であるその産生ガスを保持することができる。典型的な実施例において、産物タンク140は、分子篩材料を収容していない。第一篩チャンバ130、第二篩チャンバ135、及び産物タンク140は、取り付けロッド205の上に固定され得る。
【0058】
トップカバーアセンブリ210及びエンドカバーアセンブリ215は、第一篩チャンバ130、第二篩チャンバ135、及び産物タンク140の端部と連通して提供される。トップカバーアセンブリ210及びエンドカバーアセンブリ215は、圧力スイング吸着システム100の機能及び動作を促進するための種々の構成要素を備え得る。トップカバーアセンブリ210及びエンドカバーアセンブリ215は、取り付けロッド205に取り付けられ得る。典型的な実施例において、取り付けロッド205は、圧力スイング吸着システム100の構成要素の荷重に耐えることができる軽量だが堅い部材である。
【0059】
圧力スイング吸着システムの構成要素の大部分が一つの取り付けロッド205を介して取り付けられ得るので、追加的な取り付けブラケット、ボルト、及びロッドの必要性を排除することによりシステムの重量は低減され、それにより、そのシステムの効率を増大させることができる。例えば、その圧力スイング吸着システムにおける構成要素の大部分を取り付けるために、大部分の構成要素毎の別々のボルト、ナット、及びワッシャとは対照的に、取り付けロッド205のみが必要とされる。
【0060】
図5Aで示されるように、圧力スイング吸着システム100はまた、排気デバイス125を備える。排気デバイス125は、パージされた、産物でない排気ガスをその圧力スイング吸着システムから放出することができる、“吹き下ろし(blow down)”マフラのような、排気システムの構成要素である。
【0061】
図5Bは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100の一部の斜視図である。図5Bで示されるように、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135は、円柱構造である。篩チャンバ130及び135は、天然の又は人工のゼオライトのような分子篩材料を保管可能である。一実施例において、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135の双方は、SILIPORITE(登録商標)Nitroxy51Rビーズのような人工のゼオライトで構成される。更に、産物タンク140は、円筒容器である。典型的な実施例において、産物タンク140は、圧力スイング吸着システム100によって産出された産生ガスを保管するための単なる中空のシリンダである。
【0062】
図6Aは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100におけるトップカバーアセンブリ210の上面斜視図である。トップカバーアセンブリ210は、トップカバー305を含む。典型的な実施例において、トップカバー305は、図6Aで示されるようにトラス形状によって定義される構造である。トップカバー305の複雑なトラス構造は、その構造の負荷力に耐える能力を増大させ、また、トップカバー305に適用される力を均等に分布させる。従って、トップカバー305のトラス形状は、そのトップカバーがプラスチックや他のポリマーのような軽量材料で構成されるのを可能にする。このようにして、トップカバー305は、その圧力スイング吸着システムの軽量特性に更に貢献する。
【0063】
図6Aで示されるように、トップカバー305は、バルブ取り付け面310を含む。トップカバー305はまた、第一篩チャンバプレナム306及び第二篩チャンバプレナム307を含む。第一篩チャンバプレナム306内でバルブ取り付け面310と一致するところに配置されるのは、第一篩チャンバポート410(図7B)であり、それは、第一篩チャンバ130にガス流を供給する。第二篩チャンバプレナム307内でバルブ取り付け面310と一致するところに配置されるのは、第二篩チャンバポート415(図7B)であり、それは、第二篩チャンバ135にガス流を供給する。トップカバー305はまた、排気出口320を含む。この排気出口は、排気デバイス125と連通する。更に、トップカバー305内に配置されるのは、供給吸気ポート315であり、それは、コンプレッサ115からの加圧ガスを連通させる。
【0064】
典型的な実施例において、バルブ取り付け面310は、トップカバー305のボディ内に位置付けられ得る。バルブ取り付け面310は、トップカバー305の前述のポートに対応する種々のポートを含む。バルブ取り付け面310は、第一篩チャンバ130に連通するバルブ取り付け面第一篩チャンバポート311と、第二篩チャンバ135に連通するバルブ取り付け面第二篩チャンバポート312と、を有する。バルブ取り付け面310はまた、排気出口320に連通するバルブ取り付け面排気ポート313と、吸気ポート315に連通するバルブ取り付け面吸気ポート314と、を有する。
【0065】
図6Aで示されるように、トップカバーアセンブリ210は、産物タンク140への産物タンクポート340を備える。産物タンクポート340は、取り付け金具330がその産物タンクを圧力調整器335に接続できるようにする。典型的な実施例において、圧力調整器335は、その圧力スイング吸着システムが、所定の圧力及び流量で産生ガスを提供するために、産物タンク140からの出力を制御できるようにする。
【0066】
圧力スイング吸着システム100はまた、圧力スイング吸着サイクル全体にわたってガスの流れを連通させるために、バルブ取り付け面310によって支持されるバルブ120を含む。バルブ120は、受動的なデバイスであってもよく、或いは、能動的なデバイスであってもよい。典型的な実施例において、バルブ120は、論理制御デバイス150によって制御され得る。その論理制御デバイスは、バルブ120のポートの開閉及び他の動作を制御するために、バルブ120に信号及び/又は命令を送信することができる。
【0067】
図6Bは、本発明の典型的な実施例に従った圧力スイング吸着システム100におけるトップカバーアセンブリ210の底面斜視図である。トップカバーアセンブリ210を第一篩チャンバ130、第二篩チャンバ135、及び産物タンク140に接続する構成要素がこの図で図解される。トップカバーアセンブリ210は、そのトップカバーが第一篩チャンバ130、第二篩チャンバ135、及び産物タンク140との間で密閉接続を創出できるようにする密封リング351、352、及び353を含む。更に、その分子篩ゼオライト材料を各分子篩チャンバ内の適切な位置で維持するために、スプリング361及び362がそのトップカバーアセンブリによって支持されている。トップカバーアセンブリ210は、スプリング361及び362によって篩チャンバ130及び135に適用される負荷に耐えるよう、スプリング支持ウエハ371及び372を含む。典型的な実施例において、トップカバーアセンブリ210はまた、圧力スイング吸着システム100を通じてやり取りされるガスに含まれる大きな混入物質の何れをもフィルタリングするために、381及び382のような受動フィルタリングデバイスを備える。
【0068】
図7Aは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100における、図6A及び6Bのトップカバーアセンブリで使用されるトップカバー305の上面斜視図である。記載されるように、トップカバー305は、バルブ取り付け面310、供給吸気ポート315、排気出口320、及び産物タンクポート340を含むように構成され得る。図7Aで示されるように、これらの構成要素は、トップカバー305内に組み込まれ得る。更に、カバー305は、そのトップカバーをその圧力スイング吸着システムにおける他の構成要素に取り付けられるように取り付けロッド205が貫通可能な取り付け導管405を備え得る。
【0069】
図7Bは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100のトップカバー305の底面斜視図である。図7Bは、ガスが流れるのを許容する、トップカバー305における導管を示す。トップカバー305における第一篩チャンバポート410は、第一篩チャンバ130に入るガスの流れを許容するために、バルブ取り付け面第一篩チャンバポート311に連通する。トップカバー305における第二篩チャンバポート415は、第二篩チャンバ135に入るガスの流れを許容するために、バルブ取り付け面第二篩チャンバポート312に連通する。更に、産物タンクポート340は、産生ガスが産物タンク140からトップカバー305を通じて圧力調整器335まで流れるのを可能にする。
【0070】
図8Aは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100におけるバルブ120の底面斜視図である。バルブ120の種々のポートは、図8Aで示される底面斜視図で図解される。バルブ120は、バルブ取り付け面310のポート群に合致するポート群を有する。バルブ120は、第一篩チャンバ130に連通するバルブ第一篩チャンバポート505、及び、第二篩チャンバ135に連通するバルブ第二篩チャンバポート510を有する。バルブ120はまた、排気出口320に連通するバルブ排気ポート515、及び、供給吸気ポート315に連通するバルブ吸気ポート520を有する。これらのポートは、バルブ取り付け面310上のポート群に合致するように構成される。
【0071】
図8Bは、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100におけるバルブ120の上面斜視図である。そのバルブは、制御連結部525及び530を備える。信号は、バルブ120の操作を指図するために、制御連結部525及び530で受け入れられ得る。一実施例において、論理制御ユニット150は、制御信号をバルブ120に供給する。例えば、信号は、バルブ吸気ポート520及びバルブ第一篩チャンバポート505を開き、且つ、他の全てのポートを閉じたままとするために、制御連結部525及び530で受け入れられ、その結果、圧縮空気が第一篩チャンバ130に注入されるようにする。当然ながら、それら篩ベッドのサイクル(循環)を制御するために必要とされる、バルブ操作における他の多くの組み合わせが、本発明によって予期される。
【0072】
図9は、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100におけるエンドカバーアセンブリ215の底面斜視図である。エンドカバーアセンブリ215は、エンドカバー605を含み、それは、典型的な実施例では複雑なトラス形状によって定義される構造であり、その例が図9で示される。605a、605b、及び605cのような支持トラス部材のそれぞれは、エンドカバー605の剛性、耐久性、及び強度をサポートするのに役立つ。図9で示されるように、605aのようなトラス部材は、三角形の基部としての機能を果たすエンドカバー605の底部、及び、三角形の垂直部材としての機能を果たすそのエンドカバーの中央部を備えた、三角形状の支持要素を創出する。エンドカバー605のトラス部材におけるその三角配置は、負荷力に耐え且つそのエンドカバーに適用される力を均等に分布させるというその構造の能力を増大させる。
【0073】
トップカバーアセンブリ210と同様に、エンドカバーアセンブリ215は、第一篩チャンバ130、第二篩チャンバ135、及び産物タンク140との間で密閉接続を創出するための密封リング610、615、及び620を含む。エンドカバーアセンブリ215は、篩チャンバ130及び135によって適用される負荷に耐えるよう、支持ウエハ631及び632を含む。更に、エンドカバーアセンブリ215は、圧力スイング吸着システム100を通じてやり取りされるガスに含まれる大きな混入物質の何れをもフィルタリングするために、641及び642のような受動フィルタリングデバイスを備える。
【0074】
図10は、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100内の流体流をやり取りするためのエンドカバー605の上面斜視図である。エンドカバー605は、脱着サイクル中における篩チャンバ130及び135のそれぞれの間の流れを制御し、また、篩チャンバ130及び135のそれぞれから産物タンク140への産生ガスの供給をも制御する。図10で示されるエンドカバーアセンブリ215の斜視図は、エンドカバー605内に含まれる導管を図解する。エンドカバー605内の導管は、圧力スイング吸着システム100のチャンバ間を接続するのに使用されるチューブ類や他のデバイスの必要性を排除する。結果として、その圧力スイング吸着システムの全体重量は、これら不必要な構成要素を取り除くことによって軽減され得る。
【0075】
典型的な実施例において、エンドカバー605は、第一篩チャンバ130の底部を密閉する第一篩チャンバ底部プレナム705、及び、第二篩チャンバ135の底部を密閉する第二篩チャンバ底部プレナム710を含む。更に、エンドカバー605は、産物タンク140の底部を密閉する産物タンク底部プレナム715を含む。エンドカバー605内の導管は、篩チャンバ130及び135から産物タンク140へのガスの流れ、並びに、篩チャンバ130及び135の間のガスの流れを許容する。図10で示されるように、産生ガス出口ポート706は、第一篩チャンバ130から産物タンク140への導管を提供する。図10では見えないが、同様のポートが、第二篩チャンバ135からその産物タンクへの導管を提供する。
【0076】
各篩チャンバから産物タンク140への産生ガスの供給は、双方の篩チャンバからの産生ガス出口ポートを含む供給システム720によって制御される。これらの産生ガス出口ポートは、産物タンク底部プレナム715で終端し、且つ、各篩チャンバから産物タンクへの濃縮酸素の供給を可能にする。供給システム720はまた、二重チェックバルブ725を含んでいてもよい。この二重チェックバルブ725は、産物タンク底部プレナム715における産生ガス出口ポートの上に横たわることができる。二重チェックバルブ725は、第一篩チャンバ130から供給される産生ガスのためのチェックバルブ141、及び、第二篩チャンバ135から供給される産生ガスのためのチェックバルブ142を提供し得る。二重チェックバルブ725は、そのガス出口ポートにおける圧力を維持することができ、各篩チャンバへの産生ガスの逆流を防止する。
【0077】
当業者は、圧力スイング吸着システム100の種々の実施例における構成要素が本発明の範囲を逸脱することなく多くの方法で変更され且つ改良され得ることを理解するであろう。非限定的な例において、圧力スイング吸着システム100は、三以上の篩チャンバを備えていてもよく、或いは、多目的バルブの代わりに複数の二方向バルブを備えていてもよい。
【0078】
下表2は、圧力スイング吸着システム100の二つの典型的な実施例のための仕様の概要を提示する。
【0079】
【表2】

上表における仕様は、全体として軽量で、高効率で、静音動作の圧力スイング吸着システム100を示す。例えば、これに限定されることはないが、圧力スイング吸着システム100の国内向けの実施例は、360ワットの電力を消費するだけであり45dBA未満の騒音しか出さないようにしながら、90%以上の純度の酸素を5LPMで産生することができる。非限定的な更なる実施例において、圧力スイング吸着システム100の海外向けの実施例は、280〜295ワットの電力を消費するだけであり43dBA未満の騒音しか出さないようにしながら、90%以上の純度の酸素を5LPMで産生することができる。
【0080】
図10で示されるように、パージ制御デバイス190は、隣接する第一篩チャンバ底部プレナム705の表面と第二篩チャンバ底部プレナム710の表面との間に位置付けられる。前述のように、パージ制御デバイス190は、受動的なオリフィスであってもよく、或いは、論理制御デバイス150によって制御可能な能動的なバルブであってもよい。パージ制御デバイス190が受動的なオリフィス要素である実施例では、そのオリフィスは、通常、固定の機械加工されたオリフィスである。この固定オリフィスは、その圧力スイング吸着サイクルの吸着ステップ中における第一篩チャンバ130から第二篩チャンバ135への産生ガスのパージ流を制御するために使用され得る。これらの実施例において、一の篩チャンバからの減圧ガスは、分子篩材料内に収容された残余の窒素及び他の非産生ガスを脱着し、且つ、その圧力スイング吸着サイクルの排気フェーズを支援するために使用され得る。このようにして、一の篩チャンバの吸着フェーズは、他の篩チャンバにおける分子篩材料をより効果的にパージするために使用される。
【0081】
有意的に、圧力スイング吸着システム100のいくつかの実施例は、能動パージ制御デバイス190を有する。実施例によっては、能動パージ制御デバイス190は、酸素と相性がよく、且つ、10〜30psiの間の動作圧力範囲を有する双方向のソレノイドバルブであってもよい。当業者は、能動パージ制御デバイス190の固有の特性が、本発明の範囲を逸脱することなく、特定のシステム又は所望の結果に対応して変更され得ることを理解するであろう。能動パージ制御デバイス190は、論理制御デバイス150によって制御されるように構成され得る。前述のように、その論理制御デバイスは、プリント回路基板上のマイクロプロセッサを含んでもよく、或いは、他の適切な論理制御機構を含んでもよい。能動パージ制御デバイス190は、その圧力スイング吸着サイクルの種々のフェーズに対応する所定のパラメータに従って篩チャンバ間におけるパージガスの流れを変更することができる。従って、能動パージ制御デバイス190は、一方の篩チャンバから他方の篩チャンバへの加圧ガスの移動における制御された操作を可能にする。
【0082】
図11は、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着システム100内の流体流のやり取りのための能動パージ制御デバイス190を含むエンドカバー605の斜視図である。図11で示される典型的な実施例において、能動パージ制御デバイス190は、エンドカバー605に接続された二方向バルブである。エンドカバー605は、第一パージポート805及び第二パージポート810を含む。パージポート805及び810は、篩チャンバ底部プレナムに収容される導管と連通する。図11で示されるように、第一篩チャンバ導管815は、第一篩チャンバ底部プレナム705内に位置付けられる。第一篩チャンバ導管815は、第一篩チャンバ130から第一パージポート805へのガスの流れを許容する。同様に、第二篩チャンバ導管820は、第二篩チャンバ底部プレナム710内に位置付けられ、第二パージポート810と連通する。従って、典型的な実施例において、ガスは、パージ制御デバイス190を通じて、第一篩チャンバ130と第二篩チャンバ135との間を流れることができる。図11で表された典型的な実施例で示されるように、パージ制御デバイス190は、篩チャンバ130と135との間を流れるガスが産生ガスとなるように、篩チャンバ130及び135の底部に位置付けられてもよい。
【0083】
図11で示される典型的な実施例において、能動パージ制御デバイス190は、論理制御デバイス150に接続される。非限定的な例において、能動パージ制御デバイス190は、論理制御デバイス150によって駆動されるソレノイドを含む。この実施例において、論理制御デバイス150は、第一篩チャンバ130から第二篩チャンバ135へのガスの流れ制御することができる。典型的な実施例において、論理制御デバイス150は、所定の圧力スイング吸着サイクルに従ってパージ制御デバイス190の動作を制御することができる。更に、その論理制御デバイスは、その論理制御デバイスによって計算されるその圧力スイング吸着システムの流量における変化に従ってそのパージ制御デバイスの動作を変更できるようにされる。
【0084】
能動パージ制御デバイス190におけるその制御された管理は、従来システムにおける多くの欠点を克服する。圧力スイング吸着システム100の動作特性及び出力に対し極めて望ましい多くの影響を与えることができるからである。典型的な実施例において、能動パージ制御デバイス190は、その圧力スイング吸着システムによって産生される酸素の純度を増大させる増大酸素モードで運転され得る。代替的な実施例において、その能動パージ制御デバイスは、その圧力スイング吸着システムによって消費される電力を低減させる電力節約モードで運転され得る。更なる実施例において、その能動パージ制御デバイスは、音低減モードで運転され得る。その能動パージ制御デバイスを運転するためのこれらのモード、及び、これら種々のモードの間を切り替えるための技術を以下で説明する。
【0085】
A.増大酸素モード
パージ制御デバイス190の制御された運転は、圧力スイング吸着システム100によって産生される産生ガスの酸素濃度の増大を可能にする。既存のデバイスは、その圧力スイング吸着サイクルのフィードステップ中における一方の篩チャンバから他方の篩チャンバへのパージ流を制御するために、単に固定の機械加工されたオリフィスを使用する。
【0086】
従来、酸素濃縮器は、コンプレッサのストローク及び/又はボアを増大させることによって圧力スイング吸着システムの酸素濃度を増大させることを試みた。そのシステムにおけるコンプレッサのストローク及び/又はボアを増大させることは、そのシステム内の圧力を増大させるが、それは、その産生ガスの酸素濃度を増大させるかどうか分からない。この方法は極めて非効率であるばかりでなく、より多くの電力を必要とし、その圧力スイング吸着システムの動作パラメータを悪化させ、その結果、そのシステムの寿命を短縮させる。増大した需要をそのコンプレッサに背負わすことは、そのシステムによって産生される騒音の量、そのシステムによって産生される熱の量、及び、そのシステムによって消費される電力の量を増大させる。これらの要因のすべては、そのシステムの使用可能時間全体を短縮させる。しかしながら、能動パージ制御デバイス190の使用は、その篩チャンバ内の圧力及びその産生ガスにおける酸素濃度を増大させるために、そのコンプレッサのストローク及び/又はボアの増大を必要としない。
【0087】
能動パージ制御デバイス190は、そのパージされている篩チャンバからの非産生ガスの脱着を促進することによって、また、増大した全体的な圧力レベルを提供することによりそのフィードされている篩チャンバの吸着を促進することによって、従来技術のデバイスに比べて、より低い流量における出力酸素の濃度の増大に貢献する。低流量での圧力スイング吸着システム100の動作における非限定的な実施例において、第一篩チャンバ130は、圧力スイング吸着サイクルのフィードステップの少なくとも大部分にわたって能動パージ制御デバイス190を開いたままとしパージステップを受けている第二篩チャンバ135に圧縮ガスを移動させながら、そのフィードステップを受ける。開いた状態にある能動パージ制御デバイスを通じた過剰の圧縮ガスの移動は、窒素等の非産生ガスの第二篩チャンバ135からの脱着を促進する。これは、その第二篩チャンバが第二篩チャンバ135の次のフィードフェーズの間に注入される圧縮周囲空気から非産生ガスをより効率的に分離できるようにする。
【0088】
別の非限定的な実施例では、そのパージステップの開始前に遅延(delay)が挿入され、それは、その吸着フェーズのピーク圧の増大を可能にする。この実施例において、フィードされている篩チャンバは、閉位置にあるパージデバイス190によって迅速に加圧され得る。従って、その吸着フェーズ中にその篩チャンバ内でより大きな圧力がより早期に得られ、且つ、より長い期間にわたって維持される。一旦、その能動的なパージ遅延期間が終了すると、パージデバイス190は開かれ、そして、その濃縮産生ガスが、パージされている篩チャンバに、その篩チャンバを再生するために転送され得る。
【0089】
従って、能動パージ制御デバイス190は、圧力スイング吸着サイクルのパージステップの初めに遅延を挿入し、且つ、脱着フェーズにある篩チャンバに産生ガスを転送することによって、酸素濃度を増大できるということが理解され得る。そのパージステップの初めの遅延は、従来の圧力スイング吸着サイクルとの違いをもたらす。従来、圧力スイング吸着サイクルにおけるフィードステップとパージステップとは組み合わされていた。本発明の典型的な実施例に従って、能動パージ制御デバイス190は、パージを実行することによる如何なる圧力の解放もなしに、圧縮周囲空気がその篩チャンバ内に挿入される純粋なフィードステップを可能にさせる。従って、実施例によっては、その能動パージ制御デバイスは、その圧力スイング吸着システムの所望の出力流量に従ってそのパージステップに遅延を入れるために使用され得る。典型的な実施例において、遅延の量は、その圧力スイング吸着システムの出力流量における増大に比例して増大される。その圧力スイング吸着サイクルにおいて、この純粋なフィードステップの後には、フィード+パージステップが続く。
【0090】
能動パージ制御デバイス190のいくつかの実施例は、従来の固定オリフィスよりも大きなオリフィスを備えて構成される。典型的な実施例において、能動パージ制御デバイス190は、典型的な固定オリフィス型パージデバイスよりも30%〜50%大きなオリフィスを有する。一実施例において、能動パージ制御デバイス190にとっての酸素体積流量の目標値は、15psiで18LPM、20psiで21LPM、及び、25psiで24LPMである。その大型オリフィスは、圧力スイング吸着システム100がそのパージステップの短縮された時間を補償できるようにする。より詳細には、大型のオリフィスを有する能動パージ制御デバイス190は、より大きな体積の圧縮された濃縮産生ガスがそのフィードされている篩チャンバを出て、その再生されている篩チャンバに入ることを可能にする。
【0091】
図12は、圧力スイング吸着システム100の実施例における圧力スイング吸着サイクルの特定フェーズの持続期間に対する流量のチャートである。図12は、固定オリフィスのパージ制御デバイス190が実装された圧力スイング吸着システム100の実施例と能動パージ制御デバイス190が同様に実装された別個の実施例との双方に対するフェーズ持続期間を示す。図12で示されるように、“能動パージ遅延”に対するデータプロット線905は、その圧力スイング吸着システムの流量又はLPMが増大するにつれて増大する。図示されるように、0.5LPMで、“能動パージ遅延”はゼロ秒であり、また、5LPMで“能動パージ遅延”は3秒である。このように、そのパージ遅延は、その流量が増大するにつれて増大する。流量に従って“能動パージ遅延”を変更することは、その産生ガスの酸素濃度を増大させる。
【0092】
図13は、圧力スイング吸着システム100の実施例に対する産生ガスの酸素濃度のチャートである。そのチャートは、パージ制御デバイス190が固定オリフィスである圧力スイング吸着システムの実施例、及び、パージ制御デバイスが能動的である実施例によって産生された産生ガスの酸素濃度を示す。図示されるように、“固定オリフィス”の実施例は、低流量及び高流量の双方で酸素濃度の低減を提示する。例えば、“固定オリフィス”の実施例に対する酸素濃度は、0.5LPMで約92.4%まで減少し、また同様に、5LPMで約94.4%まで減少する。“固定オリフィス”の実施例に対するデータプロット線1005のベル形状の特性は、“能動パージバルブ”の実施例において補正される。図13で示されるように、“能動パージバルブ”の実施例に対するデータプロット線1010は、原則的にゆっくりと減少する線である。能動パージ制御デバイス190は、より高い濃度の酸素が産出される、より効率的な圧力スイング吸着サイクルを可能にする。例えば、0.5LPMで“能動パージバルブ”の実施例に対する酸素濃度は、約96.4%である。
【0093】
有意的に、当業者は、増大酸素モードにある圧力スイング吸着システムの典型的な実施例の実現が、酸素濃度に対する従来の最大値以上での酸素の産生を可能にすることを理解するであろう。従来のデバイスは、95.6%の最大酸素濃度をもたらした。図13で提供されるデータで示されるように、増大酸素モードにある圧力スイング吸着システムの典型的な実施例は、この以前の最大酸素濃度をはるかに超えて96%以上のレベルにまで到達する。従来技術の圧力スイング吸着デバイスは、運転モードにおいて、95.6%より高いレベルで濃縮された酸素を提供することができなかった。このように、圧力スイング吸着システム100は、従来技術の欠点を克服し、且つ、極めて純粋な酸素の産生を、圧力スイング吸着システムにとって実現可能なものとする。
【0094】
図13で示される“能動パージバルブ”の実施例に対するデータプロット線1010が示すように、その酸素濃度は、その流量が増大するにつれて、ほんの僅かだけ減少する。図13でグラフ化された典型的な実施例では、その酸素濃度は、5LPMの高流量で約95%である。その能動パージ制御デバイスの実装は、その圧力スイング吸着システムによって産生される酸素の純度における全体的な増大を可能にする。
【0095】
図14Aは、圧力スイング吸着システム100における固定パージデバイスの実施例の時間に対する圧力値のチャートを提示する。図14Bは、その圧力スイング吸着システムにおける能動パージデバイスの実施例の時間に対する圧力値のチャートを提示する。そのチャート群で示されるように、能動パージ制御デバイスを備えた圧力スイング吸着システムの実施例に対する圧力値のトレース(図14B)は、受動パージ制御デバイスを備えた圧力スイング吸着システムの実施例に対するトレースよりも均一(四角)である。図14Aは、受動パージ制御デバイスを備えた篩チャンバに対する加圧が約12psi〜約20psiの比較的緩やかな勾配に沿ってどのように生じるかを図示する。対照的に、その圧力スイング吸着サイクルにおいてパージ遅延が実施される能動パージ制御デバイスを備えた篩チャンバに対する加圧は、かなり迅速に生じ、そして、原則的に、約21psiで一定のままとなる。従って、より高い圧力がより早期に得られ、且つ、吸着中のより長い期間にわたって維持される。能動パージ制御デバイスを実装する実施例に対する圧力トレースのより均一な特性から、より高い酸素濃度が結果として得られる。非限定的な実施例において、能動パージ制御デバイスの実施例における酸素純度は、受動パージ制御デバイスの実施例における5LPMで94.42%(酸素)と比べて、5LPMで95.03%(酸素)である。
【0096】
能動パージ制御デバイスによってもたらされる別の有利点は、より低い流量での運転に対するサイクル時間を延長する能力である。より低い流量での増大されたサイクル時間は、圧力スイング吸着システムのユーザによって強く望まれている。サイクル時間が増大するとマシンの音がより滑らかになると思われているからである。より滑らかに動くマシンの関連は、排気又は脱着フェーズの低い頻度に起因する。圧力スイング吸着システムが速いサイクル時間で動作している場合、その排気デバイスは、より頻繁に動作することになり、また、時には“吹き下ろし”マフラと呼ばれるその排気デバイスの騒音は、装置の迅速に動く部品に否定的に関連している。高頻度の排気パルスは、そのデバイスの運転の感じ方に悪影響をもたらす。更に、高頻度の排気パルスは、そのシステムの構成要素にかなりのストレス、擦り切れ、損傷を与え、その結果、そのシステムの使用可能時間を短縮させる。
【0097】
図12に戻ると、そのチャートは、受動デバイスを備えた圧力スイング吸着システム及び能動パージデバイスを備えた圧力スイング吸着システムの双方のための圧力スイング吸着サイクルにおける複数のフェーズに対するデータプロット線を提示する。図示されるように、“能動パージサイクル”のためのデータプロット線910は、より低い流量で増加し、また、“固定オリフィスサイクル”のためのデータプロット線915は、より低い流量で減少する。非限定的な例では、図12のチャートデータで示されるように、“能動パージサイクル”の時間は、0.5LPMで約18秒であり、“固定オリフィスサイクル”の時間は、0.5LPMで約5.5秒である。このようにして、能動パージデバイス190は、より長いサイクル時間、より滑らかな操作感、及び、より長い装置寿命を可能にする。
【0098】
B.電力節約モード
増大酸素濃度モードを可能にすることに加え、パージ制御デバイス190の制御された動作は、圧力スイング吸着システム100によって消費される電力の減少を可能にする。電力節約モードで動作する圧力スイング吸着システムの実施例は、その能動パージ制御デバイスのための流量アルゴリズムを実行することによって、そのシステムの電力消費を極小化する。その圧力スイング吸着システムの電力節約モードのための流量アルゴリズムは、その能動パージ制御デバイスのタイミングを、最大限の酸素濃度を実現するために実行されるアルゴリズムとは異なるものに変更する。
【0099】
図15は、電力節約モードで動作する圧力スイング吸着システム100の実施例のための圧力スイング吸着サイクルにおける種々のフェーズに対する時間値のチャートを提示する。図15で示される時間値は、電力節約モードにある圧力スイング吸着システム100の典型的な実施例のための流量アルゴリズムに対応する。図15で示される圧力スイング吸着システムの典型的な実施例では、その流量アルゴリズムは、そのフィード時間を4.5LPMにおける5秒の最大値まで直線的に増加させる。そのバランス時間、すなわち篩チャンバの均一化は、4.5LPMにおける0.8秒の最小値まで直線的に減少する。その能動パージ制御デバイスのパージ遅延は、2.5LPM以下の流量ではゼロで保持され、そして、2.5LPMと4.5LPMとの間の流量で直線的に増加する。図15で提示されたデータに対応する流量アルゴリズムの実行は、その圧力スイング吸着システムによるより少ない電力消費をもたらす。
【0100】
図16は、電力節約モードにある圧力スイング吸着システム100の実施例における電力消費のチャートを提示する。図示されるように、能動パージ制御デバイス190のための電力節約流量アルゴリズムの実行は、そのデバイスによって消費される電力の顕著な減少をもたらす。非限定的な例において、1LPMで電力節約モードにある圧力スイング吸着システムの典型的な実施例によって消費される電力は、1LPMで酸素増大モードにある圧力スイング吸着システムの実施例よりも約30ワット少ない。その能動パージ制御デバイスの知的な管理によってもたらされる電力消費の減少は、その圧力スイング吸着システムのための電力消費の節約に加え、多くの重要な有利点をもたらす。電力の低下はまた、その圧力スイング吸着サイクル中の圧力スイング吸着システムで維持される圧力の低下にもつながる。この圧力の低下は、運転によってそのシステムに掛かるストレスを低減させる。更に、低下した圧力は、理想気体の法則に従って、動作温度の低下につながる。この温度の低下は、運転によってそのシステムに掛かるストレスを更に緩和するのに役立つ。有意的に、電力、圧力、及び温度の低下は、その圧力スイング吸着システムのより長い寿命をもたらす。
【0101】
図17は、種々のモードで動作する圧力スイング吸着システム100の実施例における産生ガスの酸素濃度及び電力消費のチャートである。本発明の典型的な実施例に従って、同じ圧力スイング吸着システムが、能動パージ制御デバイス190の動作を変更することによって、増大酸素濃度モード又は電力節約モードの何れかで運転され得る。より具体的には、その能動パージ制御デバイスの使用によってその圧力スイング吸着サイクルを変えることは、同じシステムが増大酸素モード又は電力節約モードの何れかで運転できるようにし得る。
【0102】
典型的な実施例において、その圧力スイング吸着システムは、論理制御デバイス150によって、増大酸素モードから電力節約モードに切り替えられ得る。典型的な実施例では、増大酸素モード又は電力節約モード運転に従ったその能動パージ制御デバイスの動作を変えるために、命令がその論理制御デバイスに送信され得る。典型的な実施例では、ユーザは、その論理制御デバイスに所望のモードで動作するよう指示するために、その圧力スイング吸着システムにおけるユーザインタフェースにアクセスできる。代替的な実施例では、その論理制御デバイスに送信される命令は、その圧力スイング吸着システムにあるスイッチを入れることによってもたらされる。当業者は、その圧力スイング吸着システムがあるモードから別のモードに切り替えられるようにする方法は本発明の範囲を逸脱することなく変更され得ることを理解するであろう。
【0103】
図17におけるデータプロット線1405によって示されるように、増大酸素モードにある圧力スイング吸着システム100の動作は、0.5LPMから5LPMまでの流量範囲全体にわたって通常の酸素濃度出力よりも高い出力をもたらす。増大酸素モードにおいて酸素濃度は改善されるが、圧力スイング吸着システム100の電力消費は、データプロット線1410で示されるように、従来デバイスに匹敵するものである。酸素濃度が最重要である場合、圧力スイング吸着システム100は、増大酸素モードで運転され得る。一方で、電力消費が最重要である場合、その同じ圧力スイング吸着システムが、電力節約モードで運転されるよう切り替えられ得る。図17におけるデータプロット線1420で示されるように、その圧力スイング吸着システムによって消費される電力は、電力節約モードで運転する場合に最小となる。しかしながら、電力節約モード中にもたらされる酸素濃度は、図17におけるデータプロット線1415のベル形状のカーブ特性で示されるように、従来システムに匹敵する以上のものである。このように、その圧力スイング吸着システムは、患者の要求に従って運転され得る。
【0104】
C.音低減モード
増大酸素モード及び電力節約モードを可能とすることに加え、本発明は、圧力スイング吸着システム100が音低減モードで運転できるように、パージ制御デバイス190の動作を制御することを意図する。音低減モードにある圧力スイング吸着システムの実施例は、その能動パージ制御デバイスのための流量アルゴリズムを実行することによってそのシステムの音を極小化する。その圧力スイング吸着システムにおける音低減モードのための流量アルゴリズムは、その能動パージ制御デバイスのタイミングを、最大酸素濃度又は最小電力消費の何れかを実現するために実行されるアルゴリズムとは異なるものに変更する。
【0105】
酸素濃縮システムの音レベルは、不変的な性質のものと循環的な性質のものとの双方の音を含む。不変的な音の例には、コンプレッサ115及び冷却ファン(図示せず。)からの騒音がある。これらの構成要素は、そのシステムの運転の間中作動し、且つ、原則的に不変の騒音を生み出す。循環的な音は、それら不変の騒音の上に、或いは、それらに加えて発生する。これらは、状態を切り替えるバルブ120及び190による騒音、並びに、排気マフラ125を出る排ガスの騒音を含む。その音低減モードが極小化しようとするのは、状態を切り替えるバルブ120及び190に関連する音、並びに、排気マフラ125から発せられる音である。
【0106】
これは、先ず、何時、パージバルブデバイス190がオフからオンにサイクルする(切り替わる)必要があるか、及び、どこで、それがただ一つの状態(オンすなわち開状態)になり得るかを分析し、それにより、オフからオンにそしてまた元通りに状態を変えることに起因する何れのノイズをも発生させないようにすることによって、実現される。それに対し、増大酸素モードでは、そのパージバルブデバイスは、能動的に状態を変え、その結果、全ての酸素出力流量でノイズを発生させる。一方、音低減モードでは、パージバルブデバイス190は、3LPMより大きい流量でのみサイクルされる(一旦オンにして直ぐにオフにされる)。3LPM未満では、そのバルブは、PSAサイクルを通じて開状態に保持され、事実上恒久的で、それらの流量(すなわち、3LPM未満の流量)で酸素パージガスが効果的に通過できる比較的大きなオリフィスを創出する。3LPM以上では、そのパージバルブは、上述の増大酸素モードで説明されるように動作し、そのバルブは、篩ベッドの圧力を迅速に増大させるために短期間だけ閉じた状態で保持され、そして、パージステップを開始するために開かれる。
【0107】
同時に、バルブ120は、それが全ての酸素出力流量で原則的に同じであるオン/オフのタイミングを有するという態様で操作される。これは、バルブ120がその流量が減少するにつれて徐々に速い速度でサイクルされるという電力節約モードとは対照的である。増大酸素モードは、音低減モードよりも更にずっとバルブ120のサイクル周波数を拡張するが、その酸素増大モードは、マフラ125からのより大きな排気“吹き下ろし”ノイズにつながる、より高い圧力を生み出す。
【0108】
図18は、本発明の原理に従った圧力スイング吸着システム100を用いて音低減モードを実現するために使用され得る特定のバルブタイミングの例を示す。排気マフラ125を通過する排気ガスによる騒音レベルは、バルブ120が切り替わり且つ排気マフラ125を通じてそのパージされたベッド圧を放出する直前の、そのマフラの上流におけるシステム圧に直接関連する。この地点におけるそのシステム圧は、“バランス圧”と呼ばれる。バルブ120が、それら篩ベッドを同じ圧力点に持って行くのに過不足のない時間だけ双方の篩ベッドとコンプレッサとの間の連絡を可能にするからである。そのバランス圧は、増大酸素モードでより高く、音低減モードでより低い。結果として、マフラ圧のピーク及びマフラによる騒音レベルのピークは、その音低減モードでより低いものとなる。
【0109】
図19は、音低減モードにおける典型的な産物タンク圧600a、システムバランス圧601a、及び排気マフラピーク圧602aを示し、また、図20は、増大酸素モードにおける典型的な産物タンク圧600b、システムバランス圧601b、及び排気マフラピーク圧602bを示す。これら二つのモードの間の違いは、5LPMの最大流量の酸素濃縮システムで使用される最も一般的な流量である1〜3LPMの流量で特に明らかであることが、図19と図20とを比較することによって理解され得る。
【0110】
より低いマフラピーク圧の利点は、増大酸素モード及び音低減モードの双方で運転されるそのシステムの最大騒音レベルを測定することによって証明される。3LPMでは、音低減モードで動作する典型的なシステムの騒音レベルのピークは、45.7dBAと記録され、一方で、増大酸素モードで動作する同じシステムの騒音レベルのピークは、同じテスト条件で47.3dBAと記録された。
【0111】
D.モード間の切り替え
本発明は、圧力補助システムのための動作モードの選択が手動又は自動で行われ得ることを意図する。手動による動作モードの選択のために、論理制御デバイス150と通信する入出力デバイス180が提供される。ユーザは、入出力デバイス180を用いて、動作モード(例えば、増大酸素モード、電力節約モード、音低減モードである。)を手動で選択することができる。本発明は、入出力デバイス180が、スイッチ、ノブ、ボタン、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、及び、音声作動式システム又は音声認識システムのような、この機能を可能にするのに適した任意のデバイスであることを意図する。これは、そのユーザの現在の必要性に従ってPSAシステムを最適に動作させるよう選択する上で広い自由度をユーザに与える。
【0112】
上述のように、本発明はまた、自動的にそのシステムにモード間を切り替えさせることを意図する。典型的な実施例において、そのシステムは、通常、初期モードとしての電力節約モードで動作する。しかしながら、酸素センサ165が、出力される酸素の純度の点でシステム性能が所定量だけ悪化したか或いは閾値未満に落ちたことを検出した場合、そのシステムは、現在の動作モード(電力節約モード又は音低減モード)から増大酸素モードに自動的に切り替わることができる。同様に、本発明は、そのシステムの電力消費及び/又は周囲環境の音を監視し、そのような監視の結果に基づいて電力節約モード及び/又は音低減モードに切り替わることを意図する。本発明は、そのシステムの酸素濃度を監視し、その酸素濃度が限界値(例えば、90%である。)より上にある限り、電力節約モード又は音低減モードの何れかに徐々に且つ自動的に近づくようにすることを更に意図する。
【0113】
E.延長バランス
典型的には、圧力スイング吸着サイクルは、バランスフェーズを組み入れている。このバランスフェーズにおいて、その圧力スイング吸着システムにおける篩チャンバは、均一化され得る。そのバランスフェーズは、一方の篩チャンバの加圧を利用することによって他方の篩チャンバの加圧を促進し、それにより、そのコンプレッサに掛かる要求を低減させる。篩チャンバがパージフェーズを終えた後、その篩チャンバ内の圧力は、激減させられる。効率的な後続のフィードフェーズを得るために、その篩チャンバは、再加圧されなければならない。二以上の篩チャンバを備えた圧力スイング吸着システムにおいて、パージフェーズ及びフィードフェーズは、一方の篩チャンバがパージフェーズにある場合に他方がフィードフェーズとなるよう同期され得る。従って、そのパージされているチャンバは、そのフィードされているチャンバの加圧を支援するために使用され得る。バランスフェーズは、そのフィードフェーズとそのパージフェーズとの間に発生する。
【0114】
従来、米国特許第5183483号に記載されるように、そのバランスフェーズは、そのコンプレッサ及びその加圧された篩チャンバからその加圧される篩チャンバに圧縮空気が流入できるように、篩チャンバポート及び供給入力ポートの双方を開くことを含む。典型的な実施例において、使用されるバルブは、最小限の圧力で切り替え可能なパイロット操作のソレノイドデバイスを備えたSMCバルブである。典型的には、一旦、篩チャンバ間の圧力が均一化されると、その篩チャンバポートは閉じられる。
【0115】
圧力スイング吸着システム100の典型的な実施例では、従来のデバイスで用いられる技術に反して、その圧力スイング吸着サイクルにおけるバランスフェーズは、それら篩チャンバが等圧に達する時間を超えて延長され得る。一実施例では、一旦、第一篩チャンバ130及び第二篩チャンバ135が等圧に達すると、それら篩チャンバへのポート122及び123の双方は、コンプレッサ115からの供給入力ポート124に対して開いたままとされ、その結果、篩チャンバ130及び135の双方における圧力を増大させる。
【0116】
その圧力スイング吸着サイクルにおける延長されたバランスフェーズの実行は、多くの重要な有利点を有する。バランス時間の増加は、圧力スイング吸着サイクルのサイクル時間の増加を可能にする。サイクル時間のこの増加は、圧力スイング吸着システム100の動作の間のパルス頻度を減少させる。とりわけ、その延長されたサイクル時間は、排気デバイス125の動作の頻度を減少させ、その結果、そのデバイスによって生み出される騒音を時間とともに減少させる。更に、その延長されたバランスフェーズは、そのシステム内のバルブ切り替え圧を上昇させる。非限定的な例において、その切り替え圧の最小仕様閾値は、7psiであってもよく、また、切り替えは、典型的には、従来技術のマシンにおけるこの閾値で、或いは、この閾値を僅かに上回ったところで発生する。圧力スイング吸着システム100の典型的な実施例におけるその延長されたバランスフェーズは、平均切り替え圧が好適には10〜13psiの範囲内となるように、全体の圧力を増大させる。従って、その延長されたバランスは、コンプレッサ115から入力された圧縮ガスを二つの篩チャンバ130及び135の間で分けるために使用され得る。その入力された圧縮ガスを分割することは、その圧力スイング吸着サイクルにおける吸着フェーズを受けている篩チャンバに入力される圧縮ガスの全体量の減少をもたらす。このようにして、その延長されたバランスフェーズは、低流量での酸素濃度レベルを増大させることができる。
【0117】
図21は、延長バランスモードにある圧力スイング吸着システム100の運転における酸素濃度に対する影響を示すチャートを提示する。図21のチャートは、従来の圧力スイング吸着サイクルの下で動作するシステムによって産生される酸素濃度、及び、本発明の実施例に従った圧力スイング吸着サイクルの延長バランスモードの下で動作するシステムにおける酸素濃度を提示する。図21で示されるように、その圧力スイング吸着システムの圧力スイング吸着サイクルを延長バランスモードで動作するように調節することは、産生される産生ガスの酸素濃度を大きく増大させる。非限定的な例において、従来モードにあるシステムは、0.5LPMで90.1%の酸素を産生し、また、延長バランスモードにあるシステムは、0.5LPMで92.6%の酸素を産生する。更に、延長バランスモードにあるシステムによって産生された酸素濃度は、0.5LPMから3LPMの流量範囲で、従来モードで動作するシステムよりも大きいものとなっている。
【0118】
本発明の実施例に従った延長バランスモードで動作するように圧力スイング吸着システム100における圧力スイング吸着サイクルを調節することは、従来技術における多くの欠点を克服する。酸素濃度を上昇させるための従来の取り組みは、そのサイクル時間の固定、及び、そのフィード時間、すなわち吸着フェーズの延長を必要とする。その従来の取り組みは、その産生ガスの酸素濃度を成功裏に僅かに増大させるかどうか分からない。しかしながら、そのシステムの動作にもたらす損害は、かなり重大なものである。そのフィード時間の増加は、そのシステム内の全体の圧力を増加させる。その全体の圧力の増加は、そのコンプレッサに掛かる負荷を増加させ、その結果、そのシステムによって消費される電力を増加させる。より多くの電力が消費されるばかりでなく、そのシステム内の圧力の増加は、システムにより大きなストレスを与え、そのシステムの寿命を短縮させる。延長バランスモードにある圧力スイング吸着システム100の動作は、実際には、酸素濃度を増大させるが、一方で、そのサイクル時間をも増加させる。その結果、そのシステムに掛かるストレスが低減され、且つ、システム100の寿命が延長され得る。
【0119】
図22は、圧力スイング吸着システム100の実施例におけるバランス時間、切り替え圧、及び酸素出力濃度の間の関係を示すチャートを提示する。図22でグラフ化されたデータによって示されるように、そのバランス時間の延長は、その圧力スイング吸着システムの実施例における出力の酸素濃度、及び、そのシステムの切り替え圧の双方を増大させる。例えば、これに限定されることはないが、2秒間のバランス時間の延長は、14psiの切り替え圧、及び、93.73%の酸素濃度をもたらす。これは、8.8psiの切り替え圧、及び、93.60%の酸素濃度をもたらす、0.8秒である従来のバランス時間からの改善である。
【0120】
その圧力スイング吸着システムの動作は、従来のシステムの動作よりもはるかに優れている。そのシステムにおける構成要素の設計、構造、及び特徴集合は、より効率的に動作し且つより高品質の出力を生み出す、軽量なシステムを可能にする。例えば、これに限定されることはないが、そのコンプレッサの設計をそれら篩チャンバの限度容量に適合することは、その圧力スイング吸着システムにおける二つの重要な構成要素の高度に最適化された組み合わせを可能にする。従って、そのシステムは、軽量なデバイスで優れた産生ガスの生成をもたらすことができる。従来のデバイスと比べて、本発明に係る圧力スイング吸着システムは、より静かであり、また、それほど頻繁にサイクルを行わない。更に、本発明に係る圧力スイング吸着システムは、より多くの制御性及び柔軟性をユーザに提供する。
【0121】
典型的な実施例において、圧力スイング吸着システム100は、増大酸素モードで運転されてもよく、それは、従来技術の如何なるデバイスをも超え且つ当業者が実用的な最大値として認識しているものさえも超えた純度レベルでそのシステムが酸素を産生することを可能にする。当業者による従来の考え方は、そのデバイスが低流量では低い効率でしか酸素を濃縮できないというアプローチに従っている。しかしながら、圧力スイング吸着システム100の典型的な実施例は、その従来の論理に反するものであり、低流量で最大限の酸素生成純度を実現するために、より長いサイクルとそのパージデバイスの正確な制御とを当てにしている。更に、圧力スイング吸着システム100の典型的な実施例は、最小限の電力を消費するよう運転され得る。従って、その圧力スイング吸着システムは、従来の酸素純度レベルで運転され、且つ、従来技術に係るデバイスよりも有意に少ない電力しか消費しない。更に別のモードでは、圧力スイング吸着システム100は、そのシステムがその周囲環境に対して発する音の量を極小化するために、音低減モードで運転されてもよい。そのユーザは、手動操作される入力を介してモード間を手動で切り替えることができ、或いは、そのシステムは、そのシステムの動作特性に基づいてモードを自動的に選択することができる。
【0122】
本発明は、圧力スイング吸着システム100が酸素濃縮及び放出システムで典型的に見出される追加的な特徴を含みうることを意図する。例えば、本発明は、ユーザに供給されるガス流における酸素保存デバイス(Oxygen conserving Device:OCD)190を備えることを意図する。図1で示される実施例において、OCD190は、フィルタ175の上流に備えられる。当然ながら、本発明は、他の適切な位置にそれを備えることも意図する。OCD190は、電子式又は空気圧式の酸素保存器であってもよい。
【0123】
システム100のような酸素濃縮システムにおけるOCDの主な有利点は、連続最大定格を超えて実効的な最大流量を拡大する点にある。例えば、篩ベッド及びコンプレッサシステムが1LPMの連続最大流量のために寸法取りされているシステムは、3:1のOCDに結合された場合、事実上3LPMのシステムとして分類され得る。これは、OCDがその患者への酸素の流れを制御し、その呼吸周期の吸入フェーズの間のみで、特定の期間にわたって特定の量の酸素を供給するからである。OCDのための追加的な重量、コスト、及び電力消費は、より大きな連続流量システムを作るために必要な追加的な重量、コスト、及び電力に比べて、小さいものである。
【0124】
本発明は、圧力スイング吸着システム100が、より大きな空気生成、供給、及び/又は保存システムの一部として使用され得ることを更に意図する。例えば、そのPSAシステムが出力するガス流は、ガス搬送充填システム又は液化システムのような他のシステムのためのガス供給源として使用されてもよい。ガス搬送充填システムにおいて、そのガス源からのガスは、典型的には5〜40psiの圧力であり、圧力ブースタ又は増圧システムに供給される。その増圧システムは、そのガスの圧力を2000〜3000psiまで増大させる。この高圧ガスは、患者によって使用されるポータブル容器に供給される。PSAシステムとの併用に適したガス搬送充填システムの例は、米国特許第5071453号、第5858062号、第5988165号、第6342090号、第6446630号、第6889726号、及び第6904913号に記載されている。それらのそれぞれにおける内容は、参照により本書に援用される。
【0125】
一実施例において、PSAシステムによって産生される酸素濃縮ガスは、低圧酸素濃縮ガス流としてユーザ及び増圧システムの双方に供給される。そのユーザは、そのシステム上でその低圧酸素濃縮ガス流から呼吸でき、一方で、そのシステムは、ポータブル容器を充填し、或いは、この低圧ガス流の圧力を増大させる。そのようなシステムは、例えば、米国特許第5858062号で開示されている。別の実施例では、その低圧酸素濃縮ガス流におけるガスの全てが、その増圧アセンブリに供給される。そのユーザは、その高圧ガス流が貯蔵容器に供給されている間であっても、その高圧ガス流から圧力調整器及びオプションである酸素保存器を介して呼吸できる。そのようなシステムは、例えば、米国特許第6904913号に開示されている。更に別の実施例において、その低圧酸素濃縮ガスは、このガス流がユーザ又は増圧システムの何れかに供給されるよう、切り替え器に供給される。そのようなシステムは、例えば、米国特許第6446630号に開示されている。
【0126】
液化システムにおいて、そのガス源からのガスは、その酸素濃縮ガス流を液体酸素(LOX)に液化する液化システムに供給される。そのLOXは、患者によって使用されるポータブル容器に保存され或いは供給される。PSAシステム100との併用に適した液化システムの例は、米国特許第5892275号、第5979440号、第6212904号、第6651653号、第6681764号、及び第6989423号、並びに、米国特許出願第11/131071号(米国特許出願公開第2006/0086099号)及び米国特許出願第11/130646号(米国特許出願公開第2006/0086102号)に開示されている。それらのそれぞれの内容は、参照により本書に援用される。ガス搬送充填システムと同様、一実施例において、その液化システムは、そのユーザがその液化器に供給されるその低圧酸素濃縮ガスから呼吸できるようにしてもよい。別の実施例において、そのユーザは、そのLOX生成システムにおけるリザーバ、又は、そのLOXシステムによって充填されたポータブル容器の何れかからのその液体酸素供給から呼吸してもよい。
【0127】
本発明は、現時点において最も実用的で且つ好適な実施例であるとされるものに基づいて説明目的のために詳細に説明されたが、当然のことながら、その詳細は、単にその目的のためのみのものであり、本発明は、開示された実施例に限定されることはなく、反対に、添付の請求項の精神及び範囲内にある変形例及び均等な構成を包含することを意図している。例えば、当然のことながら、本発明は、可能な範囲内で、任意の実施例における一以上の特徴が、他の任意の実施例における一以上の特徴と組み合わされてもよいことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
当該吸着システムは、総重量を有し、且つ
当該吸着システムは、LPM当たりの比総重量が9ポンド/LPM未満である、
システム。
【請求項2】
当該吸着システムは、運転中の音レベルを生み出し、また、
当該吸着システムは、LPM当たりの比音レベルが10dBA/LPM以下である、
請求項1のシステム。
【請求項3】
当該吸着システムは、運転中に電力を利用し、また、
当該吸着システムは、LPM当たりの比電力レベルが80W/LPM以下である、
請求項1のシステム。
【請求項4】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項1のシステム。
【請求項5】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項1のシステム。
【請求項6】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項1のシステム。
【請求項7】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
前記分子篩材料は、総重量を有し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比総分子篩材料重量が0.7ポンド/LPM以下である、
システム。
【請求項8】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項7のシステム。
【請求項9】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項7のシステム。
【請求項10】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項7のシステム。
【請求項11】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
当該吸着システムは、総体積を有し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比体積が0.40立方フィート/LPM未満である、
システム。
【請求項12】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項11のシステム。
【請求項13】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項11のシステム。
【請求項14】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項11のシステム。
【請求項15】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
当該吸着システムは、運転中に音レベルを生み出し、且つ、
当該吸着システムは、LPM当たりの比音レベルが9.5dBA/LPM以下である、
システム。
【請求項16】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項15のシステム。
【請求項17】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項15のシステム。
【請求項18】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項15のシステム。
【請求項19】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
当該吸着システムは、運転中に電力を利用し、且つ、
当該吸着システムは、LPM当たりの比電力レベルが80W/LPM以下である、
システム。
【請求項20】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項19のシステム。
【請求項21】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項19のシステム。
【請求項22】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項19のシステム。
【請求項23】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも毎分5リットル(LPM)で少なくとも93%の純度の濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
当該吸着システムは、総重量を有し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比総重量が8ポンド/LPM未満であり、
前記分子篩材料は、総重量を有し、且つ、
当該吸着システムは、LPM当たりの比総分子篩材料重量が0.7ポンド/LPM以下であり、
当該吸着システムは、総体積を有し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比体積が0.40立方フィート/LPM未満であり、
当該吸着システムは、運転中に音レベルを生み出し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比音レベルが10dBA/LPM以下であり、
当該吸着システムは、運転中に電力を利用し、
当該吸着システムは、LPM当たりの比電力レベルが80W/LPM以下である、
システム。
【請求項24】
当該吸着システムは、圧力スイング吸着システムを含む、
請求項23のシステム。
【請求項25】
前記分子篩材料は、少なくとも18Nl/kgの窒素吸着能力を有し、また、少なくとも6であるN/O選択性を有する、
請求項23のシステム。
【請求項26】
前記分子篩材料は、二つの分子篩チャンバに格納される、
請求項23のシステム。
【請求項27】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;及び
前記分子篩材料から少なくとも95.7%の純度の濃縮ガス成分を供給する出口;を有するシステム。
【請求項28】
前記出口は、前記分子篩材料から少なくとも96%の純度の濃縮ガス成分を供給する、
請求項27のシステム。
【請求項29】
前記出口は、前記分子篩材料から少なくとも96.4%の純度の濃縮ガス成分を供給する、
請求項27のシステム。
【請求項30】
前記濃縮ガス成分は、酸素である、
請求項27のシステム。
【請求項31】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;
前記分子篩材料を受け入れるための第一分子篩チャンバ;
前記分子篩材料を受け入れるための第二分子篩チャンバ;
前記圧縮空気源を受け入れ、前記第一及び第二分子篩チャンバに前記圧縮空気源を連通させるための供給チャンバ;
前記分子篩材料から前記濃縮ガス成分を供給する出口;及び
前記濃縮ガス成分を前記第一分子篩チャンバと前記第二分子篩チャンバとの間で連通させる固定オリフィス;を有し、
前記分子篩材料は、総分子篩材料重量を有し、且つ、
前記固定オリフィスの面積の平方インチ当たりの総分子篩材料重量は、3000ポンド/平方インチである、
システム。
【請求項32】
空気を濃縮ガス成分に分離するための吸着システムであって:
空気源からの空気を受け入れ且つ圧縮し、そして、圧縮空気源を供給するためのコンプレッサ;
前記圧縮空気源を濃縮ガス成分に分離するための分子篩材料;
前記分子篩材料を受け入れるための第一分子篩チャンバ;
前記分子篩材料を受け入れるための第二分子篩チャンバ;
前記圧縮空気源を受け入れ、前記第一及び第二分子篩チャンバに前記圧縮空気源を連通させるための供給チャンバ;及び
前記分子篩材料から前記濃縮ガス成分を供給する出口;を有し、
前記コンプレッサの限度容量は、前記分子篩材料の限度容量に適合される、
システム。
【請求項33】
前記分子篩材料は、第一時間において第一圧力で第一ガス量を処理可能であり、
前記コンプレッサは、前記第一時間において前記第一圧力で前記第一ガス量の最大値を生み出す、
請求項32のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公表番号】特表2010−502299(P2010−502299A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526802(P2009−526802)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/076002
【国際公開番号】WO2008/027727
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509032254)アールアイシー インヴェストメンツ,エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】