説明

酸素濃縮装置

【課題】動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】コンプレッサ10は、出力軸15を有する駆動用モータ11と、駆動用モータの出力軸15の第1端部に連結されて、出力軸15の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第1ポンプ部21と、駆動用モータ11の出力軸15の第2端部に連結されて、出力軸15の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第2ポンプ部22とを備える。また、第1ポンプ部21のピストン31P、32Pと第2ポンプ部22のピストン41P、42Pは、互いに逆位相で往復移動するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃縮装置に関し、特に取り込んだ原料空気を圧縮して、この圧縮空気を吸着剤に供給して酸素を供給可能な医療用の酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素濃縮装置は、原料空気中の酸素を透過させて窒素を選択的に吸着するゼオライトを吸着剤として用いることで酸素を生成する圧力スイング吸着法を利用することにより、酸素を得るようにされている。
この方式の酸素濃縮装置によれば、取り込んだ原料空気を圧縮手段であるコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する。そして、生成された酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、患者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。
【0003】
この酸素濃縮装置はAC電源(商用交流電源)のが利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法患者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
特に、在宅酸素療法患者が就寝中も使用する場合には、酸素濃縮装置は騒音発生が極めて少ないことが好ましい。例えば、酸素濃縮装置の騒音は、室内の空調設備から発生する騒音レベル以下となることが望ましい。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の患者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、患者が外出先に持ち出せるようには構成されていない。
そこで、患者がやむなく外出する場合には、例えば、所定の収容容器に酸素を充填した酸素ボンベを搭載したカートを押しながら、その酸素ボンベから濃縮酸素を吸うようにしている。この酸素ボンベに対する酸素の充填は専用設備にて行なわなければならない。
そこで、可搬型や移動型の酸素濃縮装置が提案されており、可搬型や移動型の酸素濃縮装置は、原料空気を取り込んで圧縮空気を発生する圧縮手段と減圧空気を発生する減圧手段とを備えて電池駆動可能なコンプレッサを備えている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の酸素濃縮装置では、コンプレッサのモータの出力軸が回転することでピストンを動作させるが、この動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動が生じてしまい、消費電力の低減が図れないという問題がある。
特に、可搬型や移動型の酸素濃縮装置の場合には、重量の低減と小型化の要求から搭載電池の小型化が要望されており、コンプレッサのモータについても消費電力の低減が要望されている。
そこで、本発明は、動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材を備える酸素濃縮装置であって、前記コンプレッサは、出力軸を有する駆動用モータと、該駆動用モータの出力軸の第1端部に連結されて、前記出力軸の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第1ポンプ部と、前記駆動用モータの前記出力軸の第2端部に連結されて、該出力軸の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第2ポンプ部とを備えることを特徴とする。
これにより、第1ポンプ部と第2ポンプ部が出力軸の第1端部と第2端部にそれぞれ左右対称的に設けられているので、ポンプ部が出力軸の1つの端部に設けられている場合に比べて、動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる。特に、可搬型や移動型の酸素濃縮装置の場合には、重量の低減と小型化の要求により求められている搭載電池の小型化が図れる。
【0008】
本発明の酸素濃縮装置では、前記第1ポンプ部は、第1ピストンを有する第1ヘッド部と、第2ピストンを有する第2ヘッド部とを有し、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部は、前記第1ピストンと前記第2ピストンとを反対方向に往復動作させるように対向配置され、前記第2ポンプ部は、第3ピストンを有する第3ヘッド部と、第4ピストンを有する第4ヘッド部とを有し、前記第3ヘッド部と前記第4ヘッド部は、前記第3ピストンと前記第4ピストンとを反対方向に往復動作させるように対向配置されていることを特徴とする。これにより、ピストンは反対方向に往復動作するので、騒音と振動を低減できる。酸素濃縮装置は、患者が例えば就寝時においても常時使用するので、騒音と振動が低いことが望ましい。
【0009】
本発明の酸素濃縮装置では、前記第1ポンプ部が原料空気を吸入する吸入工程では、前記第2ポンプ部が吸入した空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮工程を行い、前記第1ポンプ部が吸入した空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮工程では、前記第2ポンプ部が原料空気を吸入する吸入工程を行うことを特徴とする。
これにより、第1ポンプ部が吸入工程の場合には、第2ポンプ部は圧縮工程であるので、第2ポンプ部から駆動用モータの出力軸に負荷がよりかかるが、第1ポンプ部が圧縮工程の場合には、第2ポンプ部は吸入工程であるので、第1ポンプ部から駆動用モータの出力軸に負荷がよりかかる。このように、圧縮工程と吸入工程を第1ポンプ部と第2ポンプ部が交互に行うことで、出力軸には、一定の負荷がかかるようにして、駆動用モータに対する負荷変動を低減できるので、消費電力の低減を図ることができる。本発明の酸素濃縮装置では、前記駆動用モータは、交流同期モータであることを特徴とする。これにより、交流同期モータは、同期回転数で第1ポンプ部と第2ポンプ部を動作させることができ、誘導モータを用いる場合に比べて消費電力の低減が図れ、誘導モータに比べて構造も簡単である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すコンプレッサを示す斜視図である。
【図3】図2に示すコンプレッサの一部を切り欠いた斜視図である。
【図4】図2のコンプレッサの内部構造を示す縦方向断面図である。
【図5】コンプレッサの外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサにおける原料空気の導入経路と排出経路を矢印で示す図である。
【図6】第1ポンプ部と第2ポンプ部の構造例を示す縦断面図である。
【図7】第1ヘッド部の構造を一例として示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示すブロック図である。
図1に示す酸素濃縮装置1は、好ましい実施形態として携帯型(可搬型や移動型ともいう)の酸素濃縮装置である。図1に示す酸素濃縮装置1は、例えば、酸素生成原理として圧縮空気による圧縮空気力変動吸着法(PSA:正圧変動吸着法)を用いている。
圧縮空気のみによる正圧変動吸着法は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送って窒素を吸着させる。正圧変動吸着法は、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサの構造が簡単化できるメリットがある。
【0013】
図1に示す二重線は、原料空気、酸素、窒素ガスの流路となる配管を示している。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。図1に示す酸素濃縮装置1の主筐体2は破線で示しており、主筐体2は内部に配置された要素を密閉している密閉容器である。主筐体2は、例えば射出成形樹脂製品であり耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂により作られている。図1に示す主筐体2は、外気である原料空気を導入するための吸気口2cと、排気するための排気口2bを有している。吸気口2cには空気中の不純物を除去するためのフィルタ3が配置されており、原料空気は、コンプレッサ10が作動すると、吸気口2cのフィルタ3を介してF方向に沿って内部の配管4に導入される。原料空気は、配管4を介してコンプレッサ10に導入されて圧縮されることで圧縮空気になるが、原料空気を圧縮する際に熱が発生する。このため、コンプレッサ10から排出される圧縮空気は送風ファン5の回転により冷却する。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトの昇温を抑制できるので、これにより、窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになり、酸素を90%程度以上にまで濃縮できることとなる。
【0014】
第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、吸着部材の一例であり、縦方向に並列に配置されている。これら第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bには、それぞれ切換え弁としての三方向切換弁109a,109bが接続されている。これら切換弁のうち、3方向切換弁109aの一端部が配管6に接続されている。また、3方向切換弁109aと109bとが互いにが接続され、さらに、3方向切換弁109bの一端部が配管7に接続されている。配管7と配管6とは互いには接続されている。この配管7は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための浄化工程を行うために、配管6に接続されている。3方向切換弁109aと109bは、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにそれぞれ対応して接続されている。コンプレッサ10から発生する圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。
【0015】
触媒吸着剤であるゼオライトは、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内にそれぞれ貯蔵されている。このゼオライトは、例えばSi/Al比が2.0〜3.0であるX型ゼオライトであり、かつこのAlの四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと結合させたものを用いることで、単位重量当たりの窒素の吸着量を増やせるようにしている。このゼオライトは、特に1mm未満の顆粒測定値を有するとともに、四面体単位の少なくとも88%以上をリチウムカチオンと融合させたものが好ましい。ゼオライトを使用することで、他の吸着剤を使う場合に比べて酸素を生成するために必要となる原料空気の使用量を削減できるようになる。この結果、圧縮空気と減圧空気とを発生するためのコンプレッサ10をより小型のタイプとすることができ、コンプレッサ10の低騒音化を図ることができる。
【0016】
図1に示すように、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの出口側には、逆止弁と絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が接続されている。均等圧弁107の下流側には、合流する配管8が接続されており、この配管8には製品タンク111が接続されている。この製品タンク111は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bにおいて分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器である。
【0017】
図1に示すように、製品タンク111の下流側には、圧力調整器112が接続されており、圧力調整器112は製品タンク111の出口側の酸素の圧力を一定に自動調整するレギュレータである。圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素濃度センサ114が接続されており、酸素濃度センサ114は、酸素濃度の検出を間欠的に(10〜30分毎に)または連続的に行うようになっている。
【0018】
図1に示すように、酸素濃度センサ114には、比例開度弁115が接続されている。この比例開度弁115は、中央制御部200の指令により流量制御部202からの信号により、酸素流量設定ボタン308の設定ボタン操作に連動して開閉する。比例開度弁115には酸素流量センサ116が接続されている。この酸素流量センサ116には、好ましくは呼吸同調制御のための減圧空気回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、デマンド弁117は滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置1の酸素出口7に接続されている。デマンド弁117を制御して呼吸同調制御を行なうことで、一般にIE比(吸気時間(秒)と呼気時間(秒)の比)は、1:2であることを考えると、呼吸同調制御により、患者には90%以上に濃縮された酸素が実質的に5L/分〜8L/分で供給するのと同等の効果が得られるようになる。
酸素出口7には、鼻カニューレ314のアダプタ313が着脱可能に接続される。アダプタ313は、チューブ315を介して鼻カニューレ314に接続されている。患者は、鼻カニューレ314を経て、例えば最大流量3L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0019】
次に、図1に示す電源系統を説明する。
図1に示すAC(商用交流)電源のコネクタ430は、スイッチングレギュレータ式のACアダプタ419に電気的に接続され、ACアダプタ419は商用交流電源の交流電圧を所定の直流電圧に整流する。内蔵電池228は、主筐体2の底部に内蔵されている。外部電池227は、コネクタ431を介して着脱自在可能に設けられる。電源制御回路226は、コネクタ430,431に電気的に接続されている。内蔵電池228および外部電池227は、繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵電池228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電できる。外部電池227については、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備される電池充電器を用いて繰り返し充電されることになる。
【0020】
これにより、図1の中央制御部200が電源制御回路226を制御することで、電源制御回路226は、ACアダプタ419からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵電池228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部電池227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態の合計3系統の電力供給状態の内の1つの供給状態に自動切換して使用できる。内蔵電池228および外部電池227は充電時のメモリ効果が少なく再充電時にも満杯充電できるリチウムイオン、リチウム水素イオン2次電池が良いが、従来からのニッカド電池やニッケル水素電池でも良い。さらに、緊急時に備えて、どこでも入手可能な例えば単2乾電池のボックスとして外部電池227を構成しても良い。
【0021】
図1の中央制御部200は、モータ制御部201とファンモータ制御部203に電気的に接続されている。中央制御部200は生成する酸素量に応じた最適な動作モードに切り替えるプログラムが記憶されている。モータ制御部201とファンモータ制御部203は、中央制御部200の指令により、多くの酸素生成をする場合は自動的にコンプレッサ1と送風ファン5を高速駆動し、少ない酸素生成時の場合にはコンプレッサ1と送風ファン5を低速に回転駆動する制御を行う。
【0022】
この中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROM(読み出し専用メモ)が内蔵されるとともに、中央制御部200には、外部記憶装置210と、揮発メモリと一時記憶装置208とリアルタイムクロックからなる回路207が電気的に接続されている。中央制御部200は、外部コネクタ433を介して通信回線444等と接続することで記憶内容へのアクセスが可能となる。
【0023】
また、図1に示す3方向切換弁109a、109bと均等圧弁107とをオンオフ制御することで第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるように制御する制御回路(図示せず)と、流量制御部202と、酸素濃度センサ114が、中央制御部200に電気的に接続されている。流量制御部202は、比例開度弁115と、流量センサ116と、デマンド弁117とを駆動制御する。その他に図1に示す中央制御部200には、酸素流量設定ボタン308と、表示部128と、電源スイッチ306が電気的に接続されている。酸素流量設定ボタン308は、例えば90%程度以上に濃縮された酸素を、毎分当たり0.25L(リットル)から最大で3Lまで0.01L段階で操作するごとに、酸素流量を設定できる。呼吸同調制御により、90%以上の濃度の酸素を実質的に5L/分で患者に供給するため、好ましくは、患者が操作できる同調モード選択スイッチ(不図示)を設ける。呼吸同調制御が作動している時には、表示部128は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置が利用されている。表示部128には、例えば運転ランプ、酸素ランプ、「同調モード」、充電ランプ、「バッテリ残量」、「積算時間」、「酸素流量」等の表示項目を点灯表示することができる。呼吸同調制御が作動している時には、「同調モード」の表示を例えば緑色で点灯させる。
【0024】
次に、図2〜図4を参照して、図1に示すコンプレッサ10の好ましい構造例を説明する。ここで、コンプレッサ10の重量は、1kg程度に抑えられている。図2は、コンプレッサ10を示す斜視図であり、図3は、図2に示すコンプレッサ10の一部を切り欠いた斜視図である。図4は、図2のコンプレッサ10の内部構造を示す縦方向(V方向)断面図である。
【0025】
図2〜図4に示すコンプレッサ10は、すでに説明したように圧縮空気のみを発生させることで正圧変動吸着法(PSA)により、圧縮空気のみを図1に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に送り第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤により圧縮空気中の窒素を吸着させる。コンプレッサ10は、駆動用モータ11としての同期モータと、4つのヘッドを有する4ヘッド仕様のコンプレッサである。同期モータ11の一方側には、第1ポンプ部21が設けられ、駆動用モータ11の他方側には、第2ポンプ部22が設けられている。つまり、駆動用モータ11は第1ポンプ部21と第2ポンプ部22の間に配置されている。
【0026】
駆動用モータ11は、例えば単相4極交流同期モータである。第1ポンプ部21と第2ポンプ部22はほぼ左右対称形状を有しており、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22は、駆動用モータ11の1つの出力軸15により駆動されるレシプロ駆動のポンプである。駆動用モータ11のロータは、交流波形から作られた回転磁界により回転する。駆動用モータ11は、AC電源使用時において、始動時には整流ブリッジ回路により、DC(直流)ブラシレスモータとして運転し、同期回転数に達した運転時には整流ブリッジ回路を用いないでAC同期モータに切り替わり、回転磁界と同速で回る。こうして、定常運転動作中のモータ効率が約80%に上昇し、消費電力が低減される。
【0027】
まず、図3と図4を参照して、駆動用モータ11の構造を説明する。図3と図4に示す駆動用モータ11は、アウターロータ型のモータであり、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22の間に配置されており、図4に示すようにハウジング12と、ロータ(回転子)13と、ステータ(固定子)14を備える。ロータ13とステータ14は、ハウジング12に内に組み付けられている。ハウジング12は、円筒型の外ケース12Aと、外ケース12Aの一端側の開口部と他端側の開口部を覆う左右のフタ部材12B、12Cを有する。
【0028】
図4に示すロータ13は、ロータケース(マグネットケース)23と、リング状の永久磁石24を有しており、ロータケース23は、出力軸15に対して同軸状に形成されていて、該出力軸15の外周面に一体的に固定されている。永久磁石24はロータケース23の内周面に固定されている。出力軸15は、フタ部材12B、12Cの軸受け12F、12Gにより回転可能に支持されている。ステータ14は、ステータコア25と、ステータ磁極26を有している。ステータコア25の中心孔25H内には、出力軸15が通っている。4つのステータ磁極26が90度間隔で配置されている。その他に、ステータ磁極26の付近には、モータ基板やモータコイルが収納されたコイルボビンが組み付けられている。
【0029】
駆動用モータ11として好ましくは同期モータが使用されているので、電源電圧が変動しても、出力軸15の回転数が一定にでき、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22を安定した回転数で駆動できる。すなわち、駆動用モータ11は同期回転数で回転できるので、誘導モータに比べて消費電力を低減できる。従って、図1に示す第1ポンプ部21と第2ポンプ部22は、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側へ圧縮空気を安定して供給でき、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bは、90%以上に濃縮した酸素を、例えば0.5L/分〜3.0L/分の範囲で設定された酸素流量で安定して供給できる。
【0030】
次に、図2〜図4を参照して、コンプレッサ10の第1ポンプ部21と第2ポンプ部22の構造を説明する。図2と図3に示すように、コンプレッサ10は、第1ポンプ部21と第2ポンプ部2を有しているが、第1ポンプ部21は駆動用モータ11の一方に配置され、第2ポンプ部22は駆動用モータ11の他方に配置されている。第1ポンプ部21と第2ポンプ部2は、出力軸15の回転中心軸CLと直交する仮想の中心線CK(図4参照)に関して、ほぼ左右対称形状を有している。図2と図3に示すように、第1ポンプ部21は、第1ヘッド部31と第2ヘッド部32と、ケース部33を有している。同様にして、第2ポンプ部22は、第3ヘッド部41と第4ヘッド部42と、ケース部43を有している。
【0031】
ここで、図4に示す第1ヘッド部31、第2ヘッド部32、第3ヘッド部41、第4ヘッド部42について説明する。図4に示すように、ケース部33の一端部には第1ヘッド部31が設置され、ケース部33の他端部には第2ヘッド部32が設置されている。ケース部33の中間部には、駆動用モータ11の出力軸15の第1端部15Aが通っており、出力軸15の第1端部15Aはケース部33の軸受け33Bにより回転可能に支持されている。第1ヘッド部31は、シリンダ部31Sとヘッドカバー31Hとピストン31Pを有している。ピストン31Pはコンロッド31Cに取り付けられている。コンロッド31Cは出力軸15の第1端部15Aに軸受けを用いて取り付けられている。第2ヘッド部32は、シリンダ部32Sとヘッドカバー32Hとピストン32Pを有している。ピストン32Pはコンロッド32Cに取り付けられている。コンロッド32Cは出力軸15の第1端部15Aに軸受けを用いて取り付けられている。
【0032】
図4に示すように、ケース部43の一端部には第3ヘッド部41が設置され、ケース部43の他端部には第4ヘッド部42が設置されている。ケース部43の中間部には、駆動用モータ11の出力軸15の第2端部15Bが通っており、出力軸15の第2端部15Bはケース部43の軸受け43Bにより回転可能に支持されている。第3ヘッド部41は、シリンダ部41Sとヘッドカバー41Hとピストン41Pを有している。ピストン41Pはコンロッド41Cに取り付けられている。コンロッド41Cは出力軸15の第2端部15Bに取り付けられている。第4ヘッド部42は、シリンダ部42Sとヘッドカバー42Hとピストン42Pを有している。ピストン42Pはコンロッド42Cに取り付けられている。コンロッド42Cは出力軸15の第2端部15Bに取り付けられている。
【0033】
このように、コンプレッサ10は、1つの出力軸15を有する駆動用モータ11と、駆動用モータ11の出力軸15の第1端部15Aに連結されて、出力軸15の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第1ポンプ部21と、駆動用モータ11の出力軸15の第2端部15Bに連結されて、出力軸15の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第2ポンプ部22とを備える。
【0034】
図4において、出力軸15が回転中心軸CLを中心として連続回転することにより、第1ヘッド部41のピストン31P、32PはV方向に往復移動し、第2ヘッド部42のピストン41P、42PはV方向に往復移動する。第1ヘッド部31と第2ヘッド部32の各2つのピストンは、反対方向に往復動する水平対向型ピストンである。すなわち、第1ポンプ部21は、第1ピストン31Pを有する第1ヘッド部31と、第2ピストン32Pを有する第2ヘッド部32とを有し、第1ヘッド部31と第2ヘッド部32は、第1ピストン31Pと第2ピストン32PをV方向に沿って反対に往復動作させるように対向配置されている。同様にして、第2ポンプ部22は、第3ピストン41Pを有する第3ヘッド部41と、第4ピストン42Pを有する第4ヘッド部42とを有し、第3ヘッド部41と第4ヘッド部42は、第3ピストン41Pと第4ピストン42PをV方向に沿って反対に往復動作させるように水平対向配置されている。
【0035】
しかも、第1ポンプ部21が原料空気を吸入する吸入工程では、第2ポンプ部22が吸入した空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮工程を行い、第1ポンプ部21が吸入した空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮工程では、第2ポンプ部22が原料空気を吸入する吸入工程を行う。図4と図3に示すように、第1ポンプ部21のピストン31P、32Pと第2ポンプ部22のピストン41P、42Pは、互いに逆位相で往復移動するようになっている。ピストンが空気を圧縮して圧縮空気を発生する場合には出力軸15には負荷がかかり、ピストンが空気を吸入する場合には圧縮する場合に比べて出力軸15には負荷がかからない。本実施形態では、すでに説明したように出力軸15には図4における左側のピストン31P、32Pと右側のピストン41P、42Pは、互いに反対位相になるように往復移動することで、駆動用モータ11の出力軸15にかかる負荷の変動を一定にしている。つまり、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22が圧縮空気を発生する際の負荷バランスを一定になるように調整することができる。
【0036】
従って、例えば図4に示すようにピストン31P、32Pが上死点に位置してシリンダ31S、32S内の原料空気が圧縮された状態である場合には、ピストン41P、42Pが下死点に位置してシリンダ41S、42S内の原料空気が吸入される状態になる。また、逆に、ピストン41P、42Pが上死点に位置してシリンダ41S、42S内の原料空気が圧縮された状態である場合には、ピストン31P、32Pが下死点に位置してシリンダ31S、32S内に原料空気が吸入される状態になる。これにより、本発明の実施形態と異なり左のピストン31P、32Pと右のピストン41P、42Pを同時に圧縮動作と吸入動作を行わせる同位相の場合を採用するのに比較して、本発明の実施形態のように左のピストン31P、32Pと右のピストン41P、42Pの圧縮動作と吸入動作を交互に逆位相にずらすことで、駆動用モータ11の出力軸15に与える負荷を一定にして負荷変動を低減させることができる。駆動用モータ11に対する負荷変動を抑えることで、駆動用モータ11の消費電力を低減できる。
【0037】
次に、図5と図2を参照して、コンプレッサ10の第1ポンプ部21と第2ポンプ部22における原料空気の導入経路と、原料空気が圧縮された後の圧縮空気の排出経路の例を説明する。 図5は、コンプレッサ10の外形形状を2点鎖線で示し、このコンプレッサ10における原料空気の導入経路50を実線で示し、圧縮空気の排出経路60を破線で示している。 図5において実線で示す原料空気の導入経路50は、導入口51A、51Bと、導入通路52A、52Bを有している。導入口51A、51Bは、内部の配管4を介して吸気口2cのフィルタ3に接続されている。導入口51Aと導入通路52Aは、第1ポンプ部21のケース部33に設けられており、導入通路52AはV方向に沿って形成されている。導入口51Aは導入通路52Aにつながっていて、導入通路52Aの上端部は第1ヘッド部31のシリンダ内に通じており、導入通路52Aの下端部は第2ヘッド部32のシリンダ内に通じている。
【0038】
また、導入口51Bと導入通路52Bは、第2ポンプ部22のケース部43に設けられており、導入通路52BはV方向に沿って形成されている。導入口51Bは導入通路52Bにつながっていて、導入通路52Bの上端部は第3ヘッド部41のシリンダ内に通じており、導入通路52Bの下端部は第4ヘッド部42のシリンダ内に通じている。これにより、原料空気70は、4つのピストン31P、32P、41P、42Pの吸入動作によりそれぞれ第1ヘッド部31、第2ヘッド部32、第3ヘッド部41、第4ヘッド部42内に供給できる。
【0039】
一方、図5において破線で示す排出経路60は、排出口61A、61Bと、排出通路62A、62Bと、を有している。排出口61A、61Bは、配管6を介して第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に接続されている。排出口61Aと排出通路62Aは、第1ポンプ部21のケース部33に設けられており、排出通路62AはV方向に沿って形成されている。排出口61Aと排出通路62Aはつながっていて、排出通路62Aの上端部は第1ヘッド部31のシリンダ内に通じており、排出通路62Aの下端部は第2ヘッド部32のシリンダ内に通じている。
【0040】
また、図5において排出口61Bと排出通路62Bは、第2ポンプ部22のケース部43に設けられており、排出通路62BはV方向に沿って形成されている。排出口61Bは排出通路62Bにつながっていて、排出通路62Bの上端部は第3ヘッド部41のシリンダ内に通じており、排出通路62Bの下端部は第4ヘッド部42のシリンダ内に通じている。これにより、4つのピストン31P、32P、41P、42Pにより圧縮された圧縮空気80は、配管6を経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b側に供給できる。
【0041】
図6は、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22の構造例を示す縦断面図である。第1ポンプ部21と第2ポンプ部22とはほぼ同じ構造である。
図6に示すように、第1ポンプ部21のケース部33は、導入通路52Aと排出通路62Aを有している。同様にして、第2ポンプ部22のケース部43は、導入通路52Bと排出通路62Bを有している。図7は、4つの第1ヘッド部31、第2ヘッド部32、第3ヘッド部41、第4ヘッド部42の内の第1ヘッド部31の構造を一例として示す分解斜視図である。ここで、第1ヘッド部31、第2ヘッド部32、第3ヘッド部41、第4ヘッド部42は、ほぼ同じ構造を有している。そこで、第1ヘッド部31の構造を代表して説明する。
【0042】
図7には、第1ヘッド部31のヘッドカバー31Hと、ガスケット91,92と、上方部材93と、リード弁部材94と、下方部材95を示している。ヘッドカバー31Hは、シリンダ31Sに対して、ガスケット91,92、上方部材93、リード弁部材94、下方部材95を、図示した順に挟み込んだ状態で、複数本のボルト96により確実に均等に固定することができる。ガスケット91,92は、原料空気を圧縮する際に漏れないようにする。ガスケット91,92は、開口部99を有している。リード弁部材94は、2つのリード弁94A,94Bを有している。上方部材93は開口部93A、93Bを有し、下方部材95は開口部95A、95Bを有している。
【0043】
次に、上述した酸素濃縮装置1の動作例を説明する。図1の中央制御部200がモータ制御部201に指令して、モータ制御部201がコンプレッサ1の駆動用モータ11である同期モータを始動して、駆動用モータ11が同期回転数で一定回転する。これにより、駆動用モータ11の出力軸15が回転中心軸CLを中心として連続回転をするので、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22を安定した回転数で駆動することができる。このため、第1ポンプ部21の2つのピストン31P、32Pが同時に空気の吸入工程と、圧縮空気を圧縮して排出する圧縮工程とを繰り返すと同時に、第2ポンプ部22の2つのピストン41P、42Pが同時に圧縮空気を圧縮して排出する圧縮工程と、空気の吸入工程とを繰り返す。
【0044】
図4と図3に示すように、第1ヘッド部41のピストン31P、32Pと第2ヘッド部42のピストン41P、42Pは、互いに逆位相で往復移動する。すなわち、例えば図4に例示するように、ピストン31P、32Pが上死点に位置してシリンダ31S、32S内の原料空気が圧縮状態である場合には、ピストン41P、42Pが下死点に位置してシリンダ41S、42S内の原料空気が吸入される状態になる。図4に示す状態とは逆に、ピストン41P、42Pが上死点に位置してシリンダ41S、42S内の原料空気が圧縮状態である場合には、ピストン31P、32Pが下死点に位置してシリンダ31S、32S内の原料空気が吸入される状態になる。
【0045】
このように、ピストンが空気を圧縮して圧縮空気を生成する場合には出力軸15には負荷がかかり、ピストンが空気を吸入する場合には圧縮する場合に比べて出力軸15には負荷がかからない。第1ポンプ部21と第2ポンプ部22が互いに反対位相になるように交互に圧縮工程と吸入工程を繰り返すことで、運転中の出力軸15には常に一定の負荷がかかるようになり、駆動用モータ11の出力軸15にかかる負荷バランスを一定になるように調整することができる。第1ポンプ部21と第2ポンプ部22が出力軸15の第1端部15Aと第2端部15Bにそれぞれ左右対称的に設けられているので、ポンプ部が出力軸の1つの端部に設けられている場合に比べて、動作時に駆動用モータ11の出力軸15に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる。特に、可搬型や移動型の酸素濃縮装置の場合には、重量の低減と小型化の要求により求められている搭載電池の小型化が図れる。
【0046】
図1のコンプレッサ1が原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する際には熱が発生するので、コンプレッサ1は図1に示す送風ファン5により冷却される。このように圧縮空気を冷却することで、高温では機能低下してしまう吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として十分に機能できるようになるので、酸素を90%程度以上にまで濃縮できる。圧縮空気は、配管6と3方向切換弁109a、109bを経て第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の吸着剤を通過して窒素を吸着することにより、酸素が分離して生成される。製品タンク111は、分離して生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵する。
【0047】
そして、図1の酸素濃度センサ114は、製品タンク111からの酸素濃度の検出を行う。比例開度弁115は、酸素流量設定ボタン308に連動して開閉する。そして、酸素は、滅菌フィルタ119と酸素濃縮装置1の酸素出口7を経て、鼻カニューレ314に供給される。これにより、患者は、鼻カニューレ314を経て例えば最大流量3L/分の流量で、約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能である。
【0048】
上述した本発明の実施形態では、圧縮空気のみによる正圧変動吸着法(PSA)は、圧縮空気のみを吸着筒体内に送り窒素を吸着させるので、圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)に比べて、コンプレッサの構造が簡単化できるメリットがある。
コンプレッサ10では、第1ポンプ部21は駆動用モータ11の一方に配置され、第2ポンプ部22は駆動用モータ11の他方に配置されている。第1ポンプ部21と第2ポンプ部2は、ほぼ左右対称形状を有していて、左右の重量バランスを取ることができる構造になっている。
【0049】
そして、出力軸15には図4における左側のピストン31P、32Pと右側のピストン41P、42Pは、互いに反対位相になるように往復移動することで、駆動用モータ11にかかる負荷バランスをできる限り一定になるように調整することができる。これにより、動作時にモータの出力軸に加わる負荷変動を小さくして消費電力の低減を図ることができる。駆動用モータとして駆動用モータ11が好ましくは使用されているので、電源電圧が変動しても、出力軸15の回転数が一定にでき、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22を安定した回転数で駆動できる。駆動用モータ11は同期回転数で回転し、誘導モータに比べて消費電力を低減できる。
特に、小型化,軽量化した可搬型酸素濃縮装置において、90%以上に濃縮された酸素を連続で3L/分まで供給が可能となり、併せて消費電力の低減を図ることができる。また、呼吸同調機能を動作させれば、90%以上に濃縮された酸素を実質的に5L/分〜8L/分で供給可能となる。
【0050】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
例えば、酸素濃縮装置は、図示した携帯型の酸素濃縮装置に限らず、据え置き型の酸素濃縮装置であっても良い。図1に示す酸素濃縮装置は、圧縮空気のみによる正圧変動吸着法(PSA)により酸素を生成しているが、これに限らず圧縮空気と減圧空気による正負圧変動吸着法(VPSA)により酸素を生成するようにしても良い。この正負圧変動吸着法は、圧縮空気に加えてと減圧空気を用いて減圧することで、より積極的に吸着筒体内のゼオライトの洗浄をおこなう。図に示すコンプレッサ10の駆動用モータは、例えば3Lクラス(90%以上に濃縮された酸素を連続して3L/分供給できるという意味)の同期モータであるが、これに限らず他の種類のモータであっても良い。駆動用モータは、単相交流誘導モータであっても良い。
【0051】
第1ポンプ部21と第2ポンプ部22は、それぞれピストンが反対方向に往復移動する水平対向配置になっているが、これに限らず2つのピストンが例えばV字型に配置されていても良い。また、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22に対する原料空気の供給については、第1ポンプ部21の第1ヘッド部31と第2ヘッド部32、第2ポンプ部22の第3ヘッド部41と第4ヘッド部42との間に共通の吸入用の連結配管を接続することで行うことができる。そして、第1ポンプ部21と第2ポンプ部22から発生した圧縮空気を排出するのは、第1ポンプ部21の第1ヘッド部31と第2ヘッド部32、第2ポンプ部22の第3ヘッド部41と第4ヘッド部42との間に共通の排出用の連結配管を接続することで行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・酸素濃縮装置、2・・・主筐体、2c・・・吸気口、3・・・フィルタ、4・・・配管、6・・・配管、10・・・コンプレッサ、11・・・駆動用モータ、15・・・出力軸、21・・・第1ポンプ部、22・・・第2ポンプ部、31・・・第1ヘッド部、32・・・第2ヘッド部、31P,32P・・・ピストン、41・・・第1ヘッド部、42・・・第2ヘッド部、41P,42P・・・ピストン、33,43・・・ケース部、70・・・原料空気、80・・・圧縮空気、108a・・・第1吸着筒体(吸着部材)、108b・・・第2吸着筒体(吸着部材)、109a,109b・・・3方向切換弁、111・・・製品タンク、201・・・モータ制御部、314・・・鼻カニューレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生するコンプレッサと、該圧縮空気から窒素を吸着する吸着剤を収容する吸着部材を備える酸素濃縮装置であって、
前記コンプレッサは、出力軸を有する駆動用モータと、
該駆動用モータの出力軸の第1端部に連結されて、前記出力軸の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第1ポンプ部と、
前記駆動用モータの前記出力軸の第2端部に連結されて、該出力軸の回転により動作して原料空気を吸入して圧縮空気を発生する第2ポンプ部と
を備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項2】
前記第1ポンプ部は、第1ピストンを有する第1ヘッド部と、第2ピストンを有する第2ヘッド部とを有し、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部は、前記第1ピストンと前記第2ピストンとを反対方向に往復動作させるように対向配置され、前記第2ポンプ部は、第3ピストンを有する第3ヘッド部と、第4ピストンを有する第4ヘッド部とを有し、前記第3ヘッド部と前記第4ヘッド部は、前記第3ピストンと前記第4ピストンとを反対方向に往復動作させるように対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
前記第1ポンプ部が前記原料空気を吸入する吸入工程では、前記第2ポンプ部が吸入した前記空気を圧縮して前記圧縮空気を発生する圧縮工程を行い、前記第1ポンプ部が吸入した前記空気を圧縮して前記圧縮空気を発生する圧縮工程では、前記第2ポンプ部が前記原料空気を吸入する吸入工程を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
前記駆動用モータは、交流同期モータであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の酸素濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208878(P2010−208878A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55486(P2009−55486)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【Fターム(参考)】