説明

重合可能なポリオール(アリルカーボネート)組成物

重合可能組成物が記載され、その組成物は、多量のポリオール(アリルカーボネート)モノマー(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマー)、および以下の一般式によって表される、少量のラジカル重合可能な第2のモノマーから構成され、第2のモノマー中のRは、ウレタン結合のない多価の結合基(例えば、Rは、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネートの残基であり得る)であり;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する。第2のモノマーはまた、組成物から得られる重合体(例えば、プラス眼鏡レンズ)が実質的に着色失敗(例えば、シダ(fern)および/または月(moon))がないように、少なくとも十分な量で、この組成物中に存在し得る。
【化14】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、1999年12月13日に提出され、そして米国特許商標庁において係争中である、連続番号09/459,796を有する米国特許出願の一部継続出願(CIP)である。
【0002】
本発明は、重合可能組成物に関連する。より詳細には、本発明は、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、および、少なくとも2個のアリル基または置換されたアリル基を有するウレタンを含む重合可能組成物に関連する。本発明はまた、例えば、重合可能組成物から得られたレンズのような、重合体に関連する。
【背景技術】
【0003】
ポリオール(アリルカーボネート)、特に、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、およびそれらから得られる重合体に基づく重合可能な有機組成物は、当該分野で周知である。ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のホモポリマーに基づく重合可能な有機組成物の重合体は、優れた透明性、良好な可撓性および耐摩耗性を有する。そのような重合体が使用され得る適用例としては、眼鏡レンズ、サングラス、および自動車の透明材(transparency)ならびに飛行機の透明材が挙げられる。そのような組成物から調製された重合体の、染料の表面含浸による着色は、ある例においては、この表面の一様ではない着色を発生させることが観察されている。そのような一様でない着色は、着色失敗という。
【0004】
着色失敗が生じる場合、それは、この重合体の着色された表面上の、視覚的に観察可能な欠損としてしばしば表され、慣用的に「シダ(fern)」または「月(moon)」と称される。正のジオプトリを有する眼鏡レンズ、すなわち、正レンズ、および非矯正レンズ、例えば、サングラスのような着色された眼鏡レンズの場合、そのような着色失敗は、しばしばこの着色されたレンズの拒絶および廃棄を生じる。着色失敗の解決は、着色失敗を有するレンズの廃棄から発生する経済的損失を避けるために望ましい。
【0005】
米国特許第4,994,208号、同5,084,529号、同5,110,881号、同5,221,721号、同5,236,978号および同5,246,630号は、ポリオール(アリルカーボネート)モノマーおよび少なくとも10重量パーセントの脂肪族ポリウレタン(その末端部分がアリル官能基を含む)から構成される重合可能組成物を記載する。米国特許第5,200,483号は、ポリオール(アリルカーボネート)モノマーおよび脂肪族ウレタンの混合物(その末端部分が、アリル官能基またはアクリル官能基を含む)を含む有機樹脂組成物を述べる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の重合可能組成物から調製された硬化した重合体は、例えば、シダまたは月のような当該分野で称される着色失敗のような、着色失敗が実質的にないことを発見した。本発明に従って、以下を含む重合可能組成物が提供される:
(a)以下の一般式Iによって表される、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー、
【0007】
【化11】

ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価残基であり、Rはアリル基または置換されたアリル基であり、およびiは2〜4の自然数である;および
(b)以下の一般式IIによって表される、少量のラジカル重合可能な第2のモノマー、
【0008】
【化12】

ここで、Rは、ウレタン結合のない多価の結合基であり;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rはウレタン結合、アクリロイル基およびメタクリロイル基がなく;およびjは2〜4の数(例えば、2、3または4)である。
【0009】
本発明の実施形態では、上記第2のモノマー(b)は、上記組成物の重合体が、実質的に着色失敗がないように、少なくとも十分な量で、上記組成物中に存在する。
【0010】
本発明を特徴付ける特徴は、特許請求の範囲の中で詳細に示され、特許請求の範囲は、この開示の一部に添付され、およびこの開示の一部を形成する。本発明のこれらの特徴および他の特徴、その作動的利点およびその使用によって得られる特定の目的は、以下の詳細な記載および添付する実証図からより十分に理解される。
【0011】
具体例、または別に示される場合を除いて、明細書および特許請求の範囲において使用される成分、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての例示において、用語「約」によって修飾されるように理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施形態では、一般式IIに関して記載された第2のモノマーは、重合可能組成物中に、そのような組成物から調製される重合体が、実質的に着色失敗がないように、少なくとも十分な量で存在する。本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、用語「着色失敗」および同様の用語は、着色されたレンズのような、着色された重合体の表面上の染料の、視覚的に観察可能な一様でない分布を、一般的に言及する。より詳細には、着色失敗は、時々、シダまたは月の形態における、より明るい色の表面模様および着色されていない表面模様として、しばしば視覚的に観察可能である。
【0013】
シダの形態における着色失敗は、図1に関してさらに記載され得る。図1の着色された重合体4は、着色された正レンズ11であり、正レンズ11は、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマーから調製され、およびその上に着色失敗15を有する。例示の目的として、図1の着色失敗15は、負の画像として示される。本明細書で使用されるように、「正レンズ」によって、正の(+)ジオプトリを有するレンズ、すなわち、正の焦点距離または現実の焦点を有するレンズが、意味される。図1に描写されたレンズ中で示された着色失敗は、プラス5(+5)ジオプトリを有するレンズにおいて観察された。
【0014】
月の形態においての着色失敗(図1には示されていない)は、典型的に、この着色されたレンズの表面上にある、様々な色合いの強さの一連の同心性円として観察される。いくつかの例では、着色されたレンズは、月型とシダ型の着色失敗の両方の組み合わせを表す。
【0015】
ポリオール(アリルカーボネート)モノマーから調製された重合体を用いた着色失敗の発生は、大部分は、統計学的な現象である。従って、重合可能組成物が、「実質的に、着色失敗がない」重合体を調製するために使用され得るかどうかを決定するために、1つより多い重合体、例えば、いくつかのレンズが調製されるべきである。必要に応じて、一連の比較の重合体はまた、着色失敗を発生することを知られている組成物から、同様の状態下(例えば、同じ硬化サイクル)において調製され得る。調製されなければならない重合体の特定数はしばしば、試行錯誤によって決定される。眼鏡レンズの場合、典型的に、10個と100個との間のレンズは、それらが実質的に着色失敗がないかどうかを決定されるために調製される。そのような決定は、本明細書の実施例においてさらに詳細に記述される。典型的に、一連の重合体、例えば100個の眼鏡正レンズが、本発明に従って重合可能組成物から調製され、この着色された重合体の10%以下、好ましくは5%以下、およびより好ましくは0%が、シダのような着色失敗を有する場合、着色失敗が実質的にないと考えられる。
【0016】
第2のモノマー(b)は、少量(例えば、この組成物の全体の重量に基づいて0.1重量パーセント〜49重量パーセント)で、本発明の重合可能組成物中に存在する。典型的に、第2のモノマー(b)は、この組成物の全体の重量に基づいて少なくとも0.1重量パーセント、好ましくは少なくとも0.2重量パーセント、およびより好ましくは少なくとも0.3重量パーセントの量で、本発明の組成物中に存在する。第2のモノマー(b)はまた、典型的に、この組成物の全体の重量に基づいて10重量パーセントより少なく、好ましくは5重量パーセントより少なく、およびより好ましくは3重量パーセントより少なく、本発明の組成物に存在する。本発明の組成物中に存在する第2のモノマー(b)の量は、例えば、この組成物の全体の重量に基づいて、例えば、0.1重量パーセント〜10重量パーセント、または0.3重量パーセント〜3重量パーセントの記述された値を含む、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲内で変動し得る。
【0017】
一般式IIに対する参考文献を用いて、第2のモノマー(b)は、例えば、米国特許第4,994,208号、同第5,084,529号、同第5,110,881号、同第5,221,721号、同第5,236,978号、および同第5,246,630号に記載されるように、末端アリル官能基を有するポリウレタンから区別される。一般式IIにおいて、RおよびRはそれぞれ、ウレタン結合がなく、より詳細には、RおよびRはそれぞれ、内部のウレタン結合がない。本明細書および特許請求の範囲に使用されるように、用語「ウレタン結合」は、次の構造的結合、−N(H)−C(O)−O−を示すことを意味する。Rがポリイソシアネートの残基である場合、第2のモノマー(b)は、Rが残基である、モノヒドロキシ官能基材料を用いてキャップされたポリイソシアネートとして記載され得る。
【0018】
第2のモノマー(b)が調製される方法によると、Rは、例えば、ポリイソシアネート(すなわち、少なくとも2つのイソシアネート基を有する材料)、またはポリアミン(すなわち、少なくとも2つの第一級アミン基を有する材料)の残基であり得る。第2のモノマーが、Rが残基である、モノヒドロキシ官能基材料を用いて、ポリイソシアネートをキャップすることによって調製される場合、Rはポリイソシアネートの残基である。第2のモノマーはまた、Rが残基である、モノヒドロキシ官能基材料をホスゲンと最初に反応させて、対応するクロロギ酸エステルを形成し、次いで、Rがポリアミンの残基であるポリアミンと反応させることによって調製され得る。
【0019】
本発明の実施形態では、Rは、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートの残基であり、およびこのポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、環状脂肪族ポリイソシアネート、およびその混合物から選択され得る。本明細書および特許請求の範囲において使用されるように、用語「ポリイソシアネート」は、ポリイソシアネートのダイマーおよびトリマー(例えば、コアのイソシアネート環を含むジイソシアネートのトリマー)を含むことを意味される。
【0020】
が残基である得る、芳香族ポリイソシアネートの種類としては、例えば、イソシアネート基が芳香環に直接結合されない芳香族ポリイソシアネート(例えば、α,α’−キシレンジイソシアネート);およびイソシアネートが芳香環に直接結合する芳香族ポリイソシアネート(例えば、ベンゼンジイソシアネート)が挙げられる。
【0021】
が残基であり得る、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートの例としては、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、オルト−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、重合体の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、およびジクロロカルバゾールジイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。Rが残基であり得る、イソシアネート基が直接芳香環に結合されていない芳香族ポリイソシアネートの例としては、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、および2,5−ジ(イソシアナトメチル)フランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
が残基であり得る、脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2,4,4,−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−(イソシアナトメチル)オクタン、ビス(イソシアナトエチル)−カルボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(hexanoate)、リジンジイソシアネートメチルエステル、およびリジントリイソシアネートメチルエステルから選択され得る。
【0023】
本発明の実施形態では、一般式IIのRは、脂環式ポリイソシアネートの残基である。Rが残基であり得る、脂環式ポリイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)−1,2−エタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、および2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態では、Rは、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトへキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物から選択される脂環式ジイソシアネートの残基である。Rが、脂環式ジイソシアネートのようなジイソシアネートの残基である場合、一般式IIのjは2である。
【0024】
が残基であり得るポリアミンの種類としては、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン(それぞれ少なくとも2つの第一級アミンを有する)、およびそれらの混合物が挙げられる。当業者に公知のように、ポリイソシアネートは、典型的に、2つ以上の第一級アミンを有する対応するポリアミン先駆物質から調製される。従って、これらの記載された種類の中のポリアミンの特定の例としては、以前に本明細書で記載されたような、これらのポリイソシアネートに相当するポリアミン先駆物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
一般式IIにさらに関して、Rは、単一のヒドロキシ基および1個以上のアリル基を有する材料の残基である。Rが残基である、モノヒドロキシ官能基材料は、アクリロイル基およびメタクリロイル基がない。アリル基は、以下の一般式IIIによって表されるような、置換されていないアリル基または置換されたアリル基であり得る。
【0026】
【化13】

ここで、Rは、水素、ハロゲンまたはC〜Cのアルキル基である。より典型的には、Rは、水素であり、従って、一般式IIIは、置換されていないアリル基、HC=CH−CH−を表す。より詳細には、単一のヒドロキシ基を有する材料のアリル基(Rが残基である)は、アリルエーテル基、アリルカーボネート基またはアリルエステル基であり得る。Rが残基である材料は、典型的に、少なくとも1つのアリルエーテル基を有する。
【0027】
が残基である、モノヒドロキシ官能基材料は、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、ポリ(アルキレングリコール)(それぞれは、少なくとも1個のアリル基を有する)、およびそれらの組み合わせから選択され得る。少なくとも1個のアリル基を有する芳香族アルコールの例としては、アリルオキシフェノール(例えば、4−アリルオキシフェノール)、アリルオキシベンジルアルコール(例えば、4−アリルオキシベンジルアルコール、および4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール)が挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも1個のアリル基を有する脂環式アルコール(Rが残基であり得る)としては、例えば、アリルオキシメチルシクロへキシルメタノール(例えば、4−アリルオキシメチルシクロへキシルメタノール)が挙げられる。
【0028】
が残基であり得る、少なくとも1個のアリル基を有する脂肪族アルコールの例としては、アリルアルコール、置換されたアリルアルコール(例えば、メタリルアルコール)、例えば、エチレングリコールアリルエーテルおよび1,2−プロピレングリコールアリルエーテルまたは1,3−プロピレングリコールアリルエーテルのような、アルキレングリコール(例えば、C〜Cのアルキレングリコール)のアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。Rが残基であり得る、脂肪族アルコールの好ましい種類は、例えば、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、ペンタエリトリトールトリ(アリルエーテル)、ジ−トリメチロールプロパントリ(アリルエーテル)のような脂肪族ポリオールのポリ(アリルエーテル)である。
【0029】
が残基であり得る、ポリ(アルキレングリコール)としては、単一のアリルエーテル基および単一のヒドロキシ基を有するポリ(C〜Cアルキレングリコール)のような、例えば、ホモポリマーのポリ(アルキレングリコール)、ブロック共重合体のポリ(アルキレングリコール)(例えば、ジブロック共重合体のポリ(アルキレングリコール)およびトリブロック共重合体のポリ(アルキレングリコール)、およびランダム共重合体のポリ(アルキレングリコール))が挙げられる。Rが残基であり得る、ポリ(アルキレングリコール)アリルエーテルの例としては、例えば、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−ブチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)−b−ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−ブチレングリコール)−b−ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(1,2−ブチレングリコール)アリルエーテル、およびポリ(エチレングリコール)−b−ポリ(1,2−プロピレングリコール)−b−ポリ(1,2−ブチレン)アリルエーテルが挙げられる。
【0030】
が残基であり得る、ポリ(アルキレングリコール)アリルエーテルは、少なくとも2つのアルキレンエーテル単位を有する。例えば、ジエチレングリコールアリルエーテルは、2つ(2)エチレンエーテル単位、すなわち、HC=CHCHO−(−CHCH−O−)−Hを有する。典型的に、ポリ(アルキレングリコール)アリルエーテルは、100より少ないアルキレンエーテル単位、例えば、50より少ないアルキレンエーテル単位、20より少ないアルキレンエーテル単位、または15より少ないアルキレンエーテル単位を有する。ポリ(アルキレングリコール)アリルエーテルは、記述された値(例えば、2〜100アルキレンエーテル単位、2〜50アルキレンエーテル単位、2〜20アルキレンエーテル単位または2〜15アルキレンエーテル単位)を含む、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲を変動するアルキレンエーテル単位の数を有し得る。
【0031】
本発明の実施形態では、Rが残基である材料は、C〜Cアルキレングリコールアリルエーテル、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、ペンタエリトリトールトリ(アリルエーテル)、ジ−トリメチロールプロパントリ(アリルエーテル)、およびそれらの混合物から選択される。本発明の好ましい実施形態では、Rが残基である材料は、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテルおよびそれらの混合物から選択される。
【0032】
本発明の重合可能な有機組成物はまた、一般式Iに関して、上記で記載されたような、ラジカル重合可能な最初のモノマーを含み、それはさらに、ポリオール(アリルカーボネート)モノマーとして記載され得る。上記で記載された重合可能な有機組成物中で使用され得るポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、例えば、直鎖状脂肪族ポリオールまたは分枝状脂肪族ポリオール(例えば、脂肪族グリコールビス(アリルカーボネート)化合物、および脂環式ポリオール)の、アリルカーボネートである。本発明の範囲はまた、芳香族ポリオールのアリルカーボネート、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノールビス(アリルカーボネート)を含む。これらのモノマーはさらに、ポリオールの不飽和ポリカーボネート(例えば、グリコール)として記載され得る。ポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、例えば、米国特許第2,370,567号および同第2,403,113号で記載されるような、当該分野で周知の手順によって調製され得る。
【0033】
一般式Iに関して、Rはアリル基であり、このアリル基は、一般式IIIに関して記載され得る。一般式Iのアリル基Rは、2位においてハロゲンで置換され得、特に著しくは、塩素もしくは臭素、または1〜4個の炭素原子、例えば1〜2個の炭素原子を含むアルキル基(その場合は、Rは、置換アリル基である)で置換され得る。より一般的に、および一般式IIIに関して、Rは水素であり、従って一般式IのRは、非置換アリル基、HC=CH−CH−である。
【0034】
一般式Iに関して、Rはポリオールの多価の残基であり、例えば、2個のヒドロキシ基、3個のヒドロキシ基、または4個のヒドロキシ基を含む、脂肪族ポリオールまたは脂環式ポリオールであり得る。典型的に、このポリオールは、2個のヒドロキシ基、すなわち、グリコールを含む。このポリオールが脂肪族ポリオールである場合、そのポリオールは、直鎖型または分枝型であり得、および2〜10個の炭素原子を含む。一般的に、この脂肪族ポリオールは、2〜4個の炭素原子を有するアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール)またはポリ(C〜Cアルキレングリコール)(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなど)である。
【0035】
本発明で使用され得るポリオール(アリルカーボネート)モノマーの特定の例としては、エチレングリコールビス(2−クロロアリルカーボネート)、エチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(2−メチルアリルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、トリエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、プロピレングリコールビス(2−エチルアリルカーボネート)、1,3−プロパンジオールビス(アリルカーボネート)、1,3−ブタンジオールビス(アリルカーボネート)、1,4ブタンジオールビス(2−ブロモアリルカーボネート)、ジプロピレングリコールビス(アリルカーボネート)、トリメチレングリコールビス(2−エチルアリルカーボネート)、ペンタメチレングリコールビス(アリルカーボネート)、1,4−シクロへキサンジオールビス(アリルカーボネート)および4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキサノ−ルビス(アリルカーボネート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の組成物中の好ましいポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)である。商業的に入手できる、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマーの例としては、PPG Industries,Incから入手できる、CR−39(登録商標)モノマーおよびHIGH ADC CR−39(登録商標)モノマー、Chemical Abstracts (CAS)142−22−3番が挙げられる。
【0037】
本発明の重合可能な有機組成物において使用され得るポリオール(アリルカーボネート)モノマーの詳細な説明は、米国特許第4,637,698号の第3欄33行目〜第5欄61行目において、見出され得る。その開示は、本明細書において参考として援用され、上記に要約される。
【0038】
一般式Iによって表される、ラジカル重合可能なモノマーに関して、本説明において使用されるように、用語「ポリオール(アリルカーボネート)モノマー」および同様の名前(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))は、命名されたモノマー、またはそのプレポリマー、および、その中に含まれる、任意の関連するモノマー種またはオリゴマー種を意味することおよび含むことを意図される。
【0039】
このポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、多量(例えば、この重合可能組成物の全体重量に基づいて51重量パーセント〜99.9重量パーセント)で、本発明の重合可能組成物中に存在する。典型的に、このポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、この重合可能組成物の全体重量に基づいて、少なくとも90重量パーセント、好ましくは少なくとも95重量パーセント、より好ましくは少なくとも97重量パーセントの量で、本発明の重合可能組成物中に存在する。また、このポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、典型的に、この重合可能組成物の全体重量に基づいて、99.9重量パーセント以下の量、好ましくは99.8重量パーセント以下の量、より好ましくは99.7重量パーセント以下の量で、この組成物中に存在する。このポリオール(アリルカーボネート)モノマーは、記載された値を含む、これらの値の任意の組み合わせの間の範囲を変動する量で、本発明の組成物中に存在し得る。
【0040】
本発明の重合可能組成物の重合は、有機ペルオキシ化合物のようなフリーラジカルを発生する能力のある材料(すなわち、開始剤)の開始の量を、この組成物を加えることによって達成され得る。ポリオール(アリルカーボネート)組成物を重合する方法は、当業者に周知であり、任意の周知の技術は、上記で記載された重合組成物を重合するために使用され得る。
【0041】
開始剤として使用され得る有機ペルオキシ化合物の適切な例として、第三級ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートのような、ペルオキシモノカーボネートエステル;ジ(2−エチルへキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(第二級ブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネートのような、ペルオキシジカーボネートエステル;2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシドのような、ジアシルペルオキシド;t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレート、およびt−ブチルペルオキシイソブチレートのような、ペルオキシエステル;メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルシクロへキサンスルホニルペルオキシド、およびアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。好ましい開始剤は、結果として生じる重合物が変色しない開始剤である。好ましい開始剤は、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートである。
【0042】
本発明の重合可能組成物を開始するため、および重合するために使用される開始剤の量は、様々であり、使用される特定の開始剤に依存する。重合反応を開始するため、および維持するために必要である量のみ、すなわち、開始する量が必要である。好ましいペルオキシ化合物、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートに関して、典型的に、重合可能な有機組成物100部につき、その開始剤の2.0〜5.0部(phm)の間が使用され得る。より通常には、2.5〜4.0phmの間が、この重合を開始するために使用される。開始剤の量およびその後の硬化サイクルは、少なくとも1、好ましくは少なくとも4(例えば4〜35)の、15第二バーコル(15 second Barcol)硬度を有する重合体を生産するために十分であるべきである。典型的に、この硬化サイクルは、この開始剤の存在下において、15時間〜30時間の時間にわたって、室温〜85℃で、重合可能な有機組成物を加熱することを含む。
【0043】
様々な慣用の添加剤は、本発明の重合可能組成物に組み込まれ得る。そのような慣用の添加剤としては、ラジカル重合しない、光安定剤、熱安定剤、紫外線光吸収剤、離型剤、顔料および可塑性添加物(flexibilizing additives)(例えば、アルコキシル化されたフェノールベンゾエートおよびポリ(アルキレングリコール)ジベンゾエート)が挙げられ得る。慣用の添加剤は、典型的に、この重合可能組成物の全体重量に基づいて10重量パーセント未満、より典型的には5重量パーセント未満、慣用的には3重量パーセント未満の量で、本発明の組成物中に存在する。
【0044】
本発明の重合可能な有機組成物の重合から得られた重合体は、固体で、透明で、および着色失敗が実質的にない。本発明の重合可能組成物から調製され得る固体物品としては、平面レンズおよび眼鏡レンズのような光学レンズ、サンレンズまたはサングラス、窓、自動車の透明材(例えば、フロントガラス、サイドランプならびにバックライト)および飛行機の透明材が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
非限定的な実施形態では、本発明の重合可能な有機組成物の重合から得られた重合体は、レンズのような、フォトクロミック物品を調製するために使用され得る。この実施形態では、この重合体は、このマトリックスに組み込まれたフォトクロミック物質を活性化させる電磁気スペクトル部分、すなわち、フォトクロミック物質の着色された形態またはオープン(open)形態を生じる紫外(UV)光およびフォトクロミック物質のUV活性化形態(すなわち、オープン形態)におけるその吸収最大波長を含む可視スペクトル部分に対して透明でなければならない。本発明の重合体を用いて利用され得る、フォトクロミック物質の非限定な例としては、例えば、そのような重合体へ組み込まれ得る(溶解される、分散されるまたは拡散される)、有機フォトクロミック化合物または有機フォトクロミック物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
非限定的な実施形態では、本発明においての使用に対して適切な有機フォトクロミック物質は、590ナノメーターより大きい可視範囲内で、または590より大きい可視範囲〜700ナノメーターの間の可視範囲内で、活性化される吸収最大を有し得る。これらの材料は、適切な溶媒または適切なマトリックス中で紫外光に対して露光された場合、青色、青みがかかった緑色、または青みがかかった紫を示し得る。そのような物質の非限定的な例としては、スピロ(インドリン)ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンゾオキサジンが挙げられ得るが、これらに限定されない。これらのフォトクロミック物質および他のフォトクロミック物質のさらに非限定的な例は、公開文献に記載されている。例えば、米国特許第3,562,172号;同第3,578,602号;同第4,215,010号;同第4,342,668号;同第5,405,958号;同第4,637,698号;同第4,931,219号;同第4,816,584号;同第4,880,667号;同第4,818,096号を参照とのこと。
【0047】
別の非限定的な実施形態では、本発明における使用のための適切な有機フォトクロミック物質は、400ナノメートル〜500ナノメートル未満の間の可視範囲内で、少なくとも1つの吸収最大を含み得る。さらに非限定的な実施形態では、この有機フォトクロミック物質は、2つの吸収最大を含み得る。これらの材料は、適切な溶媒または適切なマトリックス中で紫外光に対して露光された場合、黄色がかった橙色を表し得る。非限定的な例としては、ベンゾピランおよびナフトピランのような(これらに限定されない)、クロメンを含み得る。そのようなクロメンのさらに非限定的な例は、公開文献に記載され、例えば、米国特許第3,567,605号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第5,466,398号;同第5,384,077号;同第5,238,931号;および同第5,274,132号を参照とのこと。
【0048】
代替の非限定的な実施形態では、本発明における使用のための適切な有機フォトクロミック物質は、400〜500ナノメートルの間の可視範囲内で、吸収最大を有し、500〜700ナノメートルの間の可視範囲内で、別の吸収最大を有する有機フォトクロミック物質である。これらの材料は、適切な溶媒または適切なマトリックス中で、黄色/茶色〜紫/灰色の範囲の色を示し得る。これらの物質の非限定的な例としては、ピラン環の2位に置換基を有するベンゾピラン化合物、およびベンゾピランのベンゼンの位置に縮合されたベンゾチエノ環またはベンゾフラノ環(これらに限定されない)のような、置換複素環または非置換複素環が挙げられ得る。そのような材料の非限定的な例は、米国特許第5,429,774号において開示されている。
【0049】
さらに非限定的な実施形態では、本発明における使用のためのフォトクロミック物質としては、(アリールアゾ)−チオギ酸アリールヒドラジデート(これに限定されない)(例えば米国特許第3,361,706号に記載されている水銀ジチゾネート(これに限定されない))のようなフォトクロミック有機金属ジチゾネート(dithizonate);および、米国特許第4,931,220号の第20欄5行目〜第21欄38行目に記載の3−フリルフルギド類およびフルギミド類、ならびに3−チエニルフルギド類およびフルギミド類(これらに限定されない)のような、フルギド類(fulgide)およびフルギミド類(fulgimide)が挙げられ得る。
【0050】
非限定的な実施形態では、本発明における使用のためのフォトクロミック物質は、少なくとも、1つのナフトピランを含み得る。さらに非限定的な実施形態では、このフォトクロミック物質は、少なくとも2つのナフトピランの混合物を含み得る。
【0051】
上記に記載の特許においてのそのようなフォトクロミック物質に関連する特定の開示は、全体で、参考として本明細書に援用される。本発明のフォトクロミック物品は、当業者に理解され得るように、1つのフォトクロミック物質またはフォトクロミック物質の混合物を包含し得る。非限定的な実施形態では、フォトクロミック物質の混合物は、くすんだ(neutral)灰色またはくすんだ茶色に近い色のような、活性化された色を達成するために使用され得る。
【0052】
本明細書に記載のフォトクロミック物質のそれぞれは、このフォトクロミック物質が適用されるまたは組み込まれる重合体が、結果として、所望の色を示すような、量または比率(すなわち、混合物が使用される場合)で使用され得る。非限定的な実施形態では、フォトクロミック物質は、重合体へ適用されまたは組み込まれ、フィルタ処理されていない太陽光を用いて活性化された場合、灰色または茶色の影のような、実質的にくすんだ色が生じ得る。使用される上記のフォトクロミック物質の相対的な量は、変動し得、そのような化合物の活性化された種の色の強度、および最終の所望の色に依存し得る。
【0053】

本明細書に記載のフォトクロミック化合物またはフォトクロミック物質は、当該分野で記載の様々な方法によって、重合体へ適用され得、または組み込まれ得る。非限定的な実施形態では、このフォトクロミック物質は、熱転写による、またはフォトクロミック物質の熱い溶液中においてのこの重合体の液浸による、重合体へのフォトクロミック物質の吸収(imbibition)のように、重合体内において溶解し得るかまたは分散し得る。代替の実施形態では、このフォトクロミック物質は、ポリマーフィルムの一部分のように、この重合体の隣接する層の間の別々の層であり得る。別の代替の実施形態では、このフォトクロミック物質は、この重合体の表面上に置かれる被膜または被膜部分として適用され得る。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、用語「吸収」または「吸収する」は、このフォトクロミック物質単独でのこの重合体への浸透、このフォトクロミック物質の多孔性ポリマーへの溶媒補助転写吸収、気相転写、および他のそのような転写機構を含む。
【0054】
非限定的な実施形態では、フォトクロミック物質の、この重合体への吸収は、フォトクロミック物質でフォトクロミック物品をコーティングすること;このフォトクロミック物品の表面を加熱すること;およびこのフォトクロミック物品の表面から、この残りのコーティングを除去することを包含する。
【0055】
その重合体に適用されるまたは組み込まれるフォトクロミック物質またはフォトクロミックを含有する組成物の量は、決定的ではなく広く変動し得る。一般的に、その量は、活性化状態において、裸眼に対して認識可能なフォトクロミック効果を生じさせるために十分であるべきである。そのような量は、フォトクロミック量として称され得る。使用される特定量は、その照射の際に所望される色の強度、およびそのフォトクロミック物質を組み込むまたは適用するために使用される方法に依存し得る。典型的に、適用されまたは組み込まれる物質が、よりフォトクロミックであればあるほど、その色の強度はより強い。非限定的な実施形態では、フォトクロミックな光学的重合体に、組み込まれるまたは適用される、フォトクロミック物質の全体の量は、このフォトクロミック物質が組み込まれるまたは適用される表面の1平方センチメートル当たり0.15〜0.35ミリグラムまで変動し得る。
【0056】
非限定的な実施形態では、このフォトクロミック物質は、本発明の重合可能な有機組成物を重合する(例えば、キャスト硬化)よりも前に、加えられ得る。この実施形態では、このフォトクロミック物質は、存在し得る開始剤と、ならびに/または、第1の成分および第2の成分のイソシアネート基、イソチオシアネート基およびアミン基との、潜在的に有害な相互作用に対して、本質的に抵抗するように選択され得る。これらの有害な相互作用は、例えば、オープン形態または閉じた形態のどちらかの状態において、このフォトクロミック物質を捕捉することによって、フォトクロミック物質の非活性化を生じさせ得る。
【0057】
非限定的な実施形態では、本発明における使用のために適切なフォトクロミック物質は、金属酸化物の中にカプセル化されたフォトクロミック顔料および有機フォトクロミック物質を含み得、後者は、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号に記載されている。さらに非限定的な実施形態では、米国特許第4,931,220号に記載されるような、有機重合体のマトリックス内に十分にカプセル化された有機フォトクロミック物質は、硬化より前に、本発明の多成分組成物へ組み込まれ得る。別の非限定的な実施形態では、このフォトクロミック物質は、第1の成分と第2の成分を混合するよりも前に、第2の成分へ組み込まれ得る。
【0058】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に記載され、それは、ここでの多数の改変および変更が、当業者に対して明白であるため、単なる例示であることを意図される。他に指定されない限り、全ての部およびパーセンテージは、重量によるものである。
【0059】
(キャスティング組成物実施例)
以下は、比較である重合可能なキャスティング組成物、および本発明に従う重合可能なキャスティング組成物の概要を述べる。キャスティング組成物Aは、比較の組成物であり、およびキャスティングBおよびCは、本発明による組成物を表す。
【0060】
【表1】

(a)PPG Industries,Inc.から商業的に入手できるCR−39(登録商標)ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマー
(b)キャスティング組成物BおよびCのそれぞれにおいての、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート開始剤のレベルを、これらの組成物から得られる着色された重合体が、例えば、約35パーセント透過を有する組成物Aから得られる着色された重合体と(同じ着色条件下で)実質的に同じパーセント透過を有するように、調整した。このパーセント透過率は、CIE Tristimulus XYZ スケール、光源D65および10℃の観察者を使用する、HunterLab Model ColorQuest IIの比色計を用いて決定した。
(c)Sartomer Company,Inc.から得られ、およびNTX−4434の名称を有するジアリルウレタンモノマー
(d)Sartomer Company,Inc.から得られ、およびNTX−4439の名称を有するテトラアリルウレタンモノマー
(キャストレンズ実施例)
このキャスティング組成物A〜Cを、室温でそれぞれ混合し、使用するグラスレンズの型へ別々に注入し、+5のジオプトリおよび6.5cmの外枠直径を有する環状レンズを調製した。20個のレンズの型を、同時に満たし、同じ硬化サイクルを用いてそれらの内容物を重合した。使用した硬化サイクルは、18時間にわたり、電気強制空気乾燥機中で、48℃〜85℃で、徐々に、その型を加熱し、その後60℃まで冷やし、このレンズの型をはずすまで、60℃を維持した。
【0061】
このキャストレンズは、次いで、黒い染料を用いて、それらを吸収させることによって着色した。Brain Power Incorporatedから商業的に入手できる、BPI(登録商標)Molecular CatalyticTM Black Dyeの水性着色溶液、および10部の脱イオン水を、94℃〜95℃まで加熱し、94℃〜95℃で温度を保った。キャスティング組成物A〜C由来のレンズキャストは、加熱した染料溶液に5分間、十分に浸し、そのあと、それらを、脱イオン水を用いて、徹底的にゆすいだ。この着色されたレンズを、着色失敗について評価をして、その結果を、表1に要約した。
【0062】
【表2】

(e)このレンズを、視覚の裸眼での検査によって、着色失敗について評価をした。着色失敗を、着色されたレンズの残りと比較して、より明るい色の筋またはシダのような見かけを有するとして観察した。
(f)100×(着色失敗を有することを観察された、着色されたレンズの数/評価された、着色されたレンズの数)。例えば、キャスティング組成物Aの場合;100×(57/228)=25パーセント(%)。
【0063】
表1において要約された結果は、組成物BおよびCのような、例えば、本発明による重合可能組成物から注型された、レンズのような物品が、組成物Aのような、比較の組成物注型されたレンズより少ない着色失敗を有することを示す。
【0064】
(フォトクロミック物品実施例)
CR−39(登録商標)モノマーの名称で、PPG Industries,Inc.から商業的に入手できる、98.5グラムのジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマー(mid ADC grade)を、磁力棒を用いて、1.5gmのテトラアリルウレタンモノマー(TAU)と混合させた。このTAUは、NTX−4439の名称でSartomer Company,Inc.から得られた。この混合物を、約30分間混合させた。このブレンドに、2.8gmのジイソプロピルペルオキシジカーボネート(IPP)を、フリーラジカル開始剤として加えた。この混合物を、次いで、さらに10分間混合させた。
【0065】
コントロールサンプルを、このサンプルがTAUモノマーを含まないことを除いて、同様の手順を用いて調製した。
【0066】
この結果として生じる混合物を、2つの平らなガラスシートの間に注ぎ、18時間にわたって48℃〜85℃で徐々に電気強制空気乾燥機で加熱し、そのあとで60℃にまで冷やし60℃を保ったことによって硬化させた。この平らなシートを、フォトクロミック染料吸収のために使用する、1.5’’×1.5’’の四角いサンプルに切った。フォトクロミック染料を調製し、4時間135℃の温度で吸収させた。
【0067】
(吸収コーティング)
以下のフォトクロミック混合物を、この吸収コーティングにおいて使用した。このコーティングにおけるフォトクロミックの全体濃度は、4重量パーセントであった。この材料を、以下に示された順番および方法で、攪拌機および加熱するための手段を備え付けた容器に加えた。
【0068】
【表3】

(6)紫外光を用いて照射した場合、青色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(7)紫外光を用いて照射した場合、青緑色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(8)紫外光を用いて照射した場合、黄橙色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(9)紫外光を用いて照射した場合、黄橙色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(10)Ciba−Geigy Corporationから入手できる、ヒンダードアミン紫外光安定剤
(12)紫外光を用いて照射した場合、黄橙色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(13)紫外光を用いて照射した場合、黄緑色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
(14)紫外光を用いて照射した場合、紫色を示すフォトクロミックなナフト[1,2−b]ピラン
この吸収塗装を、このサンプルシートの表面上に、この吸収コーティングのフィルムを適用させることによって、サンプルシートへ吸収させた。このフィルムを、回転コーティングによって適用させた。この適用させたフィルムを、乾かせた。このサンプルシートを、次いで、4時間135℃〜140℃で、熱風乾燥機(hot−air oven)において、加熱した。冷却後、この樹脂フィルムを、水でゆすぎ、およびアセトンを染み込ませた薄織物で拭くことによって、この試験サンプルから除去した。
【0069】
このサンプルを、紫外線吸収に対して遮断させ、そして390ナノメートルにおける比較のUV吸収を有する試験サンプルを、光学実験台上で、フォトクロミック応答について試験した。この紫外吸収値によって、このサンプル中のフォトクロミック化合物の量の指標が得られる。この光学実験台を、72F(22℃)の温度で維持させた。吸収コーティングを用いて吸収させたサンプルシートを、15分間活性化させ、そしてそのパーセント透過率(%Ta)を15分後に測定した。
【0070】
光学実験台上における試験の前に、このフォトクロミックサンプルは、365ナノメートル紫外光に約20分間露光させて、このフォトクロミック化合物を活性化させ、次いで、約20分間75℃乾燥機に置いて、フォトクロミック化合物を漂白させた(不活性化させた)。このサンプルを、次いで、室温にまで冷やし、少なくとも3時間蛍光性の部屋の照明に露光させ、次いで、光学実験台上において試験する前に、少なくとも1時間、覆い続けた。この実験台には、300ワット Xenon アーク灯、遠隔操作させるシャッター、Schott 3mm KG−2 帯域通過フィルター(これは、短波長照射を除去する)、NDフィルター(neutral density filter)、試験するためのサンプルが挿入される際のサンプルの温度を維持するための、石英水セル(quartz water cell)/サンプルホルダーを備え付けた。測定は、光学実験台上で、フォトクロミック性能試験(Photochromic Performance Test)を用いて、0.67ミリワット/平方センチメートル(mW/cm)に調整した出力について行った。
【0071】
この出力を、UV−A検出器(連続番号22411号)を備えたGRASEBY Optronics Model S−371携帯用光度計(連続番号21536番)または類似の装置を用いて測定した。このUV−A検出器を、このサンプルホルダーの中に置き、そしてその光の出力を測定した。この出力の調整を、このランプのワット量を増加させたり減少させたりすることによって、または光の経路にNDフィルターを加えたり除去したりすることによって行った。タングステンランプからのモニタリング視準光線を、サンプルのレンズの表面に対して、30°傾けてサンプル中に通した。タングステンランプからの光を、このサンプルシートの中を通した後、検出器を取り付けた明所視フィルター(photopic filter)を通して指向した。この検出器からの出力シグナルを、放射計によって処理した。この試験条件の制御およびデータの取得は、Labtech Notebook Pro ソフトウェアおよび推奨のI/O板によって処理した。
【0072】
この結果を以下の表2に示す。
【0073】
【表4】

これらの結果は、TAUが、コントロールサンプルと比較した場合、フォトクロミック吸収に対して有意な効果を有することを示す。
【0074】
本発明は、本発明の特定の実施形態の具体的な詳細に関して記載している。そのような詳細は、添付した特許請求の範囲に含まれる範囲までまたは程度までを除いて、本発明の範囲に対しての限定とみなすことは意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、着色失敗を有する着色されたレンズの負の画像の表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rは、アリル基であり、およびiは、2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)以下の一般式によって表され、
【化1】

ここで、Rは、ウレタン結合がない多価の結合基であり;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;およびjは2〜4の数である、少量のラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項2】
第2のモノマー(b)が、前記組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、少なくとも十分な量で、該組成物中に存在する、請求項1に記載の重合可能組成物。
【請求項3】
前記第2のモノマー(b)が、前記重合可能組成物の全体重量に基づいて0.1重量パーセント〜49重量パーセントの量で、該組成物に存在する、請求項2に記載の重合可能組成物。
【請求項4】
前記第2のモノマー(b)が、前記重合可能組成物の全体重量に基づいて0.1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、該組成物中に存在する、請求項2に記載の重合可能組成物。
【請求項5】
が、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、およびそれらの混合物から選択されるポリイソシアネートの残基であり;ならびに、Rが残基である材料が、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、ポリ(アルキレングリコール)(それぞれは、少なくとも1個のアリル基を有する)、およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の重合可能組成物。
【請求項6】
が、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロへキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物から選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり、ならびにjが2である、請求項5に記載の重合可能組成物。
【請求項7】
が残基である材料が、C〜Cアルキレングリコールアリルエーテル、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、ペンタエリトリトールトリ(アリルエーテル)、ジ−トリメチロールプロパントリ(アリルエーテル)、およびそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の重合可能組成物。
【請求項8】
が残基である材料が、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテル、およびそれらの混合物から選択される、請求項7に記載の重合可能組成物。
【請求項9】
Rが、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)の残基であり、およびiが2である、請求項1に記載の重合可能組成物。
【請求項10】
Rが、ジエチレングリコールの残基である、請求項9に記載の重合可能組成物。
【請求項11】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)の二価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)以下の一般式によって表され、
【化2】

ここで、Rは、ウレタン結合がない二価の結合基であり;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;ならびにjは2である、少量のラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項12】
前記第2のモノマー(b)が、前記組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、少なくとも十分な量で、該組成物中に存在する、請求項11に記載の重合可能組成物。
【請求項13】
が、イソホロンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物から選択される、脂環式ジイソシアネートの残基である、請求項11に記載の重合可能組成物。
【請求項14】
が残基である材料が、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、およびそれらの混合物から選択される、請求項13に記載の重合可能組成物。
【請求項15】
Rが、ジエチレングリコールの残基であり、およびRが残基である材料が、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテルである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の重合体。
【請求項17】
請求項11に記載の重合体。
【請求項18】
前記重合体が、正のジオプトリを有するレンズである、請求項17に記載の重合体。
【請求項19】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;および
(b)該重合可能組成物の全体重量に基づいて0.1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、該組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、該組成物に存在する、ラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化3】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり;ならびに、Rが残基である材料が、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、単一のヒドロキシ基を有するポリ(アルキレングリコール)(それぞれは、少なくとも1個のアリル基を有する)およびこれらの混合物からなる群より選択され、Rがウレタン結合が実質的になく;ならびにjが2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項20】
が残基である材料が、C〜Cアルキレングリコールアリルエーテル、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、ペンタエリトリトールトリ(アリルエーテル)、ジ−トリメチロールプロパントリ(アリルエーテル)およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項19に記載の重合可能組成物。
【請求項21】
が残基である材料が、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項20に記載の重合可能組成物。
【請求項22】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)該重合可能組成物の全体重量に基づいて0.1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、前記組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、該組成物中に存在するラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化4】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり;Rが残基である材料は、C〜Cアルキレングリコールアリルエーテル、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)、ペンタエリトリトールトリ(アリルエーテル)、ジ−トリメチロールプロパントリ(アリルエーテル)およびそれらの混合物からなる群より選択され、Rはウレタン結合がなく;ならびにjは2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項23】
が残基である材料が、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項22に記載の重合可能組成物。
【請求項24】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)該重合可能組成物の全体重量に基づいて0.1重量パーセント〜10重量パーセントの量で、該組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、該組成物中に存在するラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化5】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり;およびRが残基である材料が、ポリ(エチレングリコール)アリルエーテル、ポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテル、およびそれらの混合物からなる群より選択され、Rがウレタン結合がなく;ならびにjが2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項25】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)の二価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)該組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、少なくとも十分な量で、該組成物中に存在するラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化6】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり、Rはウレタン結合がなく;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rはウレタン結合がなく;ならびにjは2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項26】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)の二価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)該組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、少なくとも十分な量で、該組成物中に存在するラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化7】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;Rは、ポリ(C〜Cアルキレングリコール)アリルエーテル、トリメチロールプロパンジ(アリルエーテル)、トリメチロールエタンジ(アリルエーテル)およびそれらの混合物から選択された材料の残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;ならびにjは2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項27】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、ジエチレングリコールの残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)該組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような、少なくとも十分な量で、該組成物中に存在するラジカル重合可能な第2のモノマーであって、かつ、以下の一般式によって表され、
【化8】

ここで、Rは、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、脂環式ジイソシアネートの残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;Rはポリ(1,2−プロピレングリコール)アリルエーテルの残基であり、Rはウレタン結合がなく;ならびにjは2である、ラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、重合可能組成物。
【請求項28】
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rはアリル基であり、およびiは2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;ならびに
(b)以下の一般式によって表され、
【化9】

ここで、Rは、ウレタン結合がない多価の結合基であり;Rは、単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rは、ウレタン結合がなく;ならびにjは2〜4の数である、少量のラジカル重合可能な第2のモノマーを含む重合可能組成物の重合体を含む、フォトクロミック物品。
【請求項29】
少なくとも部分的に硬化した基材、少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質、および着色失敗を阻害する添加剤を含む、着色失敗がないように適合されたフォトクロミック物品。
【請求項30】
前記フォトクロミック物質は、少なくとも部分的に前記基材へ吸収されている、請求項29に記載のフォトクロミック物品。
【請求項31】
前記基材が、少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコートされている、請求項29に記載のフォトクロミック物品。
【請求項32】
前記着色失敗を阻害する添加剤が、前記組成物の重合体が実質的に着色失敗がないような量で存在する、請求項29に記載のフォトクロミック物品。
【請求項33】
少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質、着色失敗を阻害する添加剤、ならびに、
(a)以下の一般式によって表され、
R−[−O−C(O)−O−R
ここで、Rは、少なくとも2個のヒドロキシ基を有するポリオールの多価の残基であり、Rはアリル基であり、iは2〜4の整数である、多量のラジカル重合可能な第1のモノマー;および
(b)以下の一般式によって表され、
【化10】

ここで、Rは、ウレタン結合がない多価の結合基であり;Rは単一のヒドロキシ基および少なくとも1個のアリル基を有する材料の残基であり、Rはウレタン結合がなく;jは2〜4の数である、少量のラジカル重合可能な第2のモノマーを含む、少なくとも部分的に硬化した基材
を含む、着色失敗がないように適合されたフォトクロミック物品。
【請求項34】
ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)モノマー、少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック物質、および着色失敗を阻害する添加剤を含む少なくとも部分的に硬化した基材を含む、着色失敗がないように適合されたフォトクロミック物品。
【請求項35】
前記フォトクロミック物質が、少なくとも部分的に前記基材へ吸収されている、請求項34に記載のフォトクロミック物品。
【請求項36】
前記フォトクロミック物質が、少なくとも1個のナフトピランを含む、請求項34に記載のフォトクロミック物品。
【請求項37】
前記フォトクロミック物質が、スピロ(インドリン)ナフタオキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾオキサジン、ベンゾピラン、ナフトピラン、有機金属ジチゾネート、フルギド類およびフルギミド類、およびそれらの混合物から選択される、請求項34に記載のフォトクロミック物品。
【請求項38】
少なくとも部分的に硬化した基材、フォトクロミック量のフォトクロミック材料、および着色失敗を阻害する添加剤を含み、ここで該フォトクロミック材料が少なくとも部分的に該基材へ吸収されている、着色失敗がないように適合されたフォトクロミック物品。
【請求項39】
少なくとも部分的に硬化した基材を含む、着色失敗がないように適合されたフォトクロミック物品であって、ここで、該基材が、少なくともフォトクロミック量のフォトクロミック材料、および着色失敗を阻害する添加剤を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコートされている、フォトクロミック物品。

【公表番号】特表2006−509097(P2006−509097A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566556(P2004−566556)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/039923
【国際公開番号】WO2004/063236
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】