説明

重合性液晶化合物、液晶組成物および重合体

【課題】スピロビインダン骨格を有する重合性液晶化合物及びこの化合物を含有する液晶組成物の提供。
【解決手段】式1で表される重合性液晶化合物。Gは単結合又は酸素であり;RはH、メチル又は式(a)で表される基であって、少なくとも2つのRは式(a)で表される基であり;Pは重合性の基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてスピロビインダン骨格を有する重合性液晶化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性化合物が液晶性を有するとき、この化合物を重合させることによって光学異方性を有する重合体が得られることが知られている(特許文献1)。これは液晶分子の配向が重合によって固定化されるからである。このような化合物としては−O−CO−CH=CHを有する液晶化合物が用いられている(特許文献2)。紫外線の照射によって空気中で重合する液晶化合物も知られている(特許文献3)。このような重合性の液晶化合物は液晶性を有しない重合性化合物と共重合させることができる。このとき、この非液晶化合物は得られる重合体の特性を制御する役割を有する。したがって、重合性の非液晶化合物の開発は、適切な光学異方性を有する重合体を得るために重要である。
【0003】
スピロビインダン骨格を有する重合性化合物やポリマーからなる光学部品が、透明性、機械強度、耐熱性が良好で、低複屈折性を有していることが知られている(特許文献4および特許文献5)。また、スピロビダインと安息香酸等との重合性基を有しないポリエステル化合物が液晶相を発現することが知られている(非特許文献1)。しかしながら、これらの化合物を液晶組成物に添加することの有用性については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−055573号公報
【特許文献2】特開2001−154019号公報
【特許文献3】特開2005−060373号公報
【特許文献4】特開平11−29526号公報
【特許文献5】特開平2002−241348号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kricheldorf, Hans R. et al, Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry (1998), 36(9), 1387-1395.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第一の目的は、他の液晶化合物との溶解性に優れており、この化合物を含有する液晶組成物の配向が安定化し、そして架橋密度の高い重合体を得ることができる重合性液晶化合物を提供することである。第二の目的は、透明性、機械強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性などの特性の多くに優れた重合体、およびこの重合体から製造した光学異方性を有する成形体を提供することである。第三の目的は、この重合体を含有する偏光板、光学補償板、配向膜、液晶表示素子、非線形光学素子などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成すべく検討した結果、スピロビインダン骨格を有する重合性液晶化合物が、他の液晶化合物との溶解性に優れ、垂直配向性が高く、これを含有する液晶組成物が広い液晶相を有することを見出した。そして、本発明の化合物を含有する液晶組成物やその重合体が光学補償フィルムなどとして優れていることをも見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の化合物は、次の[1]項に示される。
[1] 式(1)で表される重合性液晶化合物:


ここに、Gは単結合または−O−であり;Rは独立して水素、メチルまたは式(a)で表される基であって、Rの少なくとも2つは式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aは1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
mは0〜3の整数であり;mが2または3であるとき、複数のAはすべて同じ環であってもよく、少なくとも2つの異なる環で構成されてもよく、複数のZもすべて同じ基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよく;
は単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は単結合、−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
Xは単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pは式(P1)〜式(P8)のいずれか1つで表される重合性の基である:


(これらの式におけるWは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルである。)
但し、Pが式(P1)で表される基であり、Z、XおよびXがいずれも単結合であるとき、mは0ではなく;Pが式(P3)で表される基であり、Zが−O−であり、Xが単結合であり、そしてXが−CH−であるときも、mは0ではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の重合性液晶化合物は、液晶相温度範囲が広い、電磁波の照射で重合できる、広い液晶相温度範囲を有する、他の液晶化合物との溶解性に優れている、などの利点の多くを充足する。この化合物は液晶分子の配向を制御するために用いることができ、特に垂直配向に優れている。この化合物を含有する液晶組成物から得られる重合体は、透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性などの特性の多くにも優れる。この重合体は偏光板、光学補償板、配向膜、液晶表示素子、非線形光学素子などの多くに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例2で得られた光学薄膜(C−1)のレタデーション測定結果
【発明を実施するための形態】
【0011】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。
「液晶性化合物」は、液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と表記することがある。
式(1)で表わされる化合物を化合物(1)または式(1)の化合物と表記することがある。他の式についても同様に略記することがある。
アクリレートおよびメタアクリレートの総称として(メタ)アクリレートを用いることがある。
化学構造式において文字(例えばA)を六角形で囲んだ記号は、それが環(環A)であることを示す。
【0012】
化学式の定義において用いる用語「任意の」は、「位置だけでなく数においても自由に選択できること」を意味する。例えば、「任意のAがB、C、DまたはEで置き換えられてもよい」という表現は、1つのAがB、C、DまたはEで置き換えられてもよいという意味と、複数のAのどれもがB、C、DおよびEのいずれか1つで置き換えられてもよいという意味とに加えて、Bで置き換えられるA、Cで置き換えられるA、Dで置き換えられるA、およびEで置き換えられるAの少なくとも2つが混在してもよいという意味をも有する。任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよいとするとき、結果として結合基−O−O−が生じるような置き換えは含まれない。
環を構成する炭素との結合位置が明確でない置換基は、その結合位置が化学的に問題のない範囲内で自由であることを意味する。
複数の式において同じ記号が用いられている場合は、その基が同じ定義範囲を有することを意味するが、すべての式において同時に同じ基でなければならないことを意味しない。そのような場合は、複数の式において同じ基が選択されてもよいし、式ごとに異なる基が選択されてもよい。
なお、化学式における置換基Meはメチルを意味する。
【0013】
本発明は前記の[1]項と次の[2]〜[18]項で構成される。
[2] Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
が単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
Xが単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pが式(P1)、式(P6)、式(P7)または式(P8)で表される基である、[1]項に記載の重合性液晶化合物。
【0014】
[3] Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
が単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
Xが単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pが式(P3)、式(P4)または式(P5)で表される基である、[1]項に記載の重合性液晶化合物。
【0015】
[4] 式(1)において、Gが単結合であり;Rが式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はフッ素、塩素、メチル、またはトリフルオロメチルで置き換えられてもよく;Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CH=CH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Zが−O−または−OCO−であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Pが式(P1)、式(P3)または式(P5)で表される基であり;Wが水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである、[1]項に記載の重合性液晶化合物。
【0016】
[5] 式(1)において、Gが単結合であり;Rが式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aが1,4−フェニレンであり、そしてこの環の任意の水素はフッ素、で置き換えられてもよく;Zが単結合、または−OCOO−であり;Xが単結合であり;Zが−OCO−であり;mが1であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Pが式(P1)、式(P3)または式(P5)で表される基であり;Wが水素、メチルまたはエチルである、[1]項に記載の重合性液晶化合物。
【0017】
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも2つの化合物からなる液晶組成物。
【0018】
[7] 成分の全てが重合性化合物である、[6]項に記載の液晶組成物。
【0019】
[8] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の式(1)で表される化合物の少なくとも1つと式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有する組成物であって、式(1)で表される化合物と式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される化合物の合計量を基準とする割合で、式(1)で表される化合物が1〜50重量%であり、式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される化合物が50〜99重量%である液晶組成物:




ここに、Pは独立して、式(P9)〜式(P12)のいずれか1つで表される重合性の基であり;Wは水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルであり;
は水素、フッ素、塩素、シアノまたは炭素数1〜20のアルキルであり;この炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく;
は独立して単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であり;
21は独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3のアルキルであり;
22は独立して水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルであり;
24は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルであり;
11は1または2であり;s11が2であるとき、2つのAは同じ環であってもよく異なる環であってもよく、2つのZも同じ基であってもよく異なる基であってもよく;
そして、s24は1または2であり;s24が2であるとき、2つの環の置換基は同じであってもよく異なってもよい。
【0020】
[9] Pが式(P9)〜式(P12)のいずれか1つで表される基であり;
がフッ素、シアノ、炭素数2〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシであり;これらのアルキルおよびアルコキシにおける任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、これらの環の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンであり;
が独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−または−OCO(CH−であり;
21が独立して水素、フッ素またはメチルであり;
22が独立して水素、フッ素、メチル、シアノ、イソプロピル、ターシャリーブチルまたはトリフルオロメチルであり;
24が独立して水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり;
11が1または2であり;s11が2であるとき、2つのAは同じ環であってもよく異なる環であってもよく、2つのZも同じ基であってもよく異なる基であってもよく;
そして、s24が1または2であり;s24が2であるとき、2つの環の置換基は同じであってもよく異なってもよい、[8]項に記載の液晶組成物。
【0021】
[10] 非液晶性の重合性化合物を更に含有する、[8]項または[9]項に記載の液晶組成物。
【0022】
[11] 光学活性化合物を更に含有する、[8]〜[10]のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0023】
[12] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物を重合させて得られる重合体。
【0024】
[13] [6]〜[11]のいずれか1項に記載の組成物を重合させて得られる重合体。
【0025】
[14] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つまたは[6]〜[11]のいずれか1項に記載の液晶組成物を配向させた後、電磁波を照射して化合物または組成物を重合させることにより液晶相における分子の配向を固定化した、光学異方性を有する成形体。
【0026】
[15] 固定化した分子の配向が垂直配向である[14]項に記載の成形体。
【0027】
[16] [14]項または[15]項に記載の成形体からなる光学素子。
【0028】
[17] [1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物、[6]〜[11]のいずれか1項に記載の組成物、[12]項または[13]項に記載の重合体、[14]項または[15]項に記載の成形体および[16]項に記載の光学素子からなる群から選択される少なくとも1つを含有する液晶表示素子。
【0029】
[18] [12]項または[13]項に記載の重合体からなるフィルム。
【0030】
本発明の化合物は式(1)で表される。


式(1)中のGは単結合または−O−である。Rは独立して水素、メチルまたは式(a)で表される基であり、Rの少なくとも2つは式(a)で表される基である。
【0031】
式(a)中のAは環構造の2価基である。Aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、好ましいAは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンである。これらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよい。
【0032】
特に好ましいAは、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、および基中の任意の水素がフッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルで置き換えられた1,4−フェニレンである。具体例を次に示す。


【0033】
これらの環は式(a)において左右逆向きに結合してもよい。1,4−シクロへキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はトランス型が好ましい。本発明の化合物の各元素は同位体元素を自然に存在する割合より多く含んでも、物性に大きな差異はない。
【0034】
式(a)のZは結合基である。Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCF−、―CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−である。単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、―CH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、および−OCOCH=CH−は液晶性を向上させる傾向がある。フッ素を有する−CFCF−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−および−OCFCHCH−は、光学異方性を小さく、または誘電率異方性を大きくする傾向がある。三重結合を有する−C≡C−、−C≡CCOO−および−OCOC≡C−は、大きな光学異方性を誘起する傾向がある。好ましいZは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−および−OCOCH=CH−である。特に好ましいZは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−C=C−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−および−OCOCH=CH−である。
【0035】
mは0〜3の整数である。好ましいmは0〜2の整数であり、特に好ましいmは0または1である。mが2または3であるとき、複数のAはすべて同じ環であってもよく、少なくとも2つの異なる環で構成されてもよい。そして、複数のZもすべて同じ基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよい。
【0036】
式(a)のZは単結合、−O−、−OCO−または−OCOO−である。好ましいZは−O−または−OCO−であり、そして特に好ましいZは−OCO−である。
【0037】
式(a)のXは単結合または炭素数1〜20のアルキレンである。このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。好ましいXは単結合または炭素数1〜10のアルキレンである。この炭素数1〜10のアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0038】
式(a)のXは単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレンの任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよい。好ましいXは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、および任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜20のアルキレンである。特に好ましいXは、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−および任意の−CH−が−O−で置き換えられてもよい炭素数1〜10のアルキレンである。Xは分岐構造を有していてもよい。これらのXにおいて任意の水素は、フッ素で置き換えられてもよい。Xが不斉炭素を有する場合、ラセミ体であっても光学活性体であってもよい。
【0039】
式(a)のPは式(P1)〜式(P8)のいずれか1つで表される重合性の基である。


これらの式において、Wは水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルである。好ましいWは水素、フッ素、塩素、メチル、エチルおよびトリフロロメチルである。
【0040】
式(P1)、式(P2)、式(P6)、式(P7)または式(P8)で表される重合性の基はラジカル重合に適している。式(P3)、式(P4)または式(P5)で表される重合性の基はカチオン重合に適している。これらの重合性基は、重合開始剤を添加することでより敏速に重合できる。より好ましいPは式(P1)、式(P3)、式(P5)または式(P6)で表される重合性の基であり、Wは水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。特に好ましいPは式(P1)、式(P3)または式(P5)で表される重合性の基であり、Wは水素、メチルまたはエチルである。これらの重合性基の重合速度を大きくするためには、反応温度の最適化が有効である場合もある。
【0041】
化合物(1)の製法を説明する。式(P1)および式(P7)で表される重合性の基はそれぞれ、水酸基およびアミノ基を持つ液晶性残基にアクリル酸クロリド類を作用させることにより導入できる。式(P2)で表される重合性の基は水酸基を有する液晶性残基にブチルビニルエーテルを作用し、エーテル交換反応を行うことにより導入できる。式(P3)および式(P4)で表される重合性の基は、不飽和結合を有する液晶性残基を酸化することにより導入できる。オキシラン環およびシクロへキセンオキシド環を含む公知の中間体を使用してもよい。式(P5)重合性の基はオキセタン環を含む公知の中間体、例えば、工業的に入手可能な3−アルキルオキセタン−3−イルメタノール等を使用して導入できる。式(P6)で表される重合性の基は水酸基を有する液晶性残基に無水マレイン酸を作用することで導入できる。式(P8)で表される重合性の基は、ハロゲンを有する液晶性残基にβ−クロロプロピオン酸クロリド類を作用させ、次いで脱HClすることにより導入できる。なお、液晶性残基は式(a)から末端基Pを除いた残基を意味する。
【0042】
化合物(1)の重合性の基以外の構造は、フーベン・バイル(Houben-Wyle, Methoden der Organische Chemie, Georg-Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセセス(John & Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(John & Wily & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Pergamon Press)等に記載された有機合成化学的手法を適宜組み合わせることで製造できる。具体的には、6員環構造を有する有機残基を結合することで構築できる。次に結合方法を説明する。以下においてMGおよびMGは6員環構造を一つ以上有する1価の有機残基であり、互いに異なっても同一でもよい。
【0043】
<スキーム1>


【0044】
スキーム1について説明する。ボロン酸(i1)と臭化物(i2)の交錯カップリング反応でZが単結合である化合物(1A)を合成できる。カルボン酸(i3)と水酸基を有する化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−COO−である化合物(1B)を合成でき、更にカルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CFO−である化合物(1C)を合成できる。臭化物(i5)と化合物(i4)および塩基(B)から、結合基に−CHO−を有する化合物(1D)を合成できる。ホスホニウム塩(i6)と塩基から得られるイリドにアルデヒド(i7)を作用しウイティッヒ反応を行うことで結合基が−CH=CH−である化合物(1E)を合成できる。塩(i6)は臭化物(i5)にPPhを作用し合成できる。結合基が−CHCH−である化合物(1F)は化合物(1E)を還元することで合成できる。ジケトン(i8)をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CFCF−である化合物(1G)を合成できる。反応は2段階で進行するので、フッ素アニオンの力価を調整すれば、結合基が−CFCO−である化合物(i9)を取出せる。テトラフルオロエチレンにリチオ化物(i10)と(i11)を順次作用することで、結合基が−CF=CF−である化合物(1H)を合成できる。アルキン(i12)と臭化物(i12)を遷移金属触媒の存在下、交錯カップリング反応することで、結合基が−C≡C−である化合物(1J)を合成できる。
【0045】
<スキーム2>


【0046】
スキーム2について説明する。カルボン酸(i14)と化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−CH=CHCOO−である化合物(1K)を合成できる。カルボン酸(i14)はアルデヒド(i13)のウイティッヒ反応で合成できる。結合基が−CHCHCOO−である化合物(1L)は化合物(1K)の還元で合成でき、更にカルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CHCHCFO−である化合物(1M)を合成できる。カルボン酸(i15)と化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−C≡CCOO−である化合物(1N)を合成できる。更にカルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−C≡CCFO−である化合物(1P)を合成できる。カルボン酸(i15)はアルキン(i12)をリチオ化しCOを作用することで合成できる。
【0047】
<スキーム3>


【0048】
スキーム3について説明する。臭化物(i16)と化合物(i4)と塩基から−(CHO−基を有する化合物(1Q)を合成できる。ホスホニウム塩(i17)と塩基から得られるイリドにアルデヒド(i7)を作用しウイティッヒ反応を行うことで結合基が−(CHCH=CH−である化合物(1R)を合成できる。結合基が−(CH−である化合物(1S)は化合物(1R)を還元することで合成できる。塩(i17)は臭化物(i16)にPPhを作用し合成できる。塩化物(i18)と化合物(i4)と塩基とから−CH=CHCHO−基を有する化合物(1T)を合成できる。
【0049】
上記方法で合成できる好ましい化合物(1)の例は化合物(1−1)〜化合物(1−5)である。このとき、Rは式(a)で表される基であり、式(a)の具体例は式(R−1−1)〜式(R−1−14)、式(R−2−1)〜式(R−2−14)、式(R−3−1)〜式(R−3−12)、および式(R−4−1)〜式(R−4−14)である。これらの化合物において、ベンゼン環、およびシクロヘキサン環の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはフルオロアルキルで置き換えられてもよく、rは1〜20の整数である。Wは前記の[1]項で示したものと同一の意味を有する。


【0050】


【0051】


【0052】


【0053】


【0054】
式(1−1)〜式(1−5)において、Pが式(P1)で表される基であり、式(P1)におけるWが水素である場合の具体例を次に示す。以下の具体例においてnは2〜12の整数である。
【0055】


【0056】


【0057】


【0058】


【0059】


【0060】


【0061】


【0062】
式(1−1)〜式(1−5)において、Pが式(P3)で表される基であり、式(P3)におけるWが水素である場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nは2〜12の整数である。
【0063】




【0064】




【0065】


【0066】


【0067】




【0068】
式(1−1)〜式(1−5)において、Pが式(P5)で表される基であり、式(P5)におけるWがメチルまたはエチルである場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nは2〜12の整数である。
【0069】




【0070】




【0071】




【0072】


【0073】


【0074】
本発明の組成物は、化合物(1)の少なくとも1つを含有し、少なくとも2つの化合物からなる液晶組成物である。成分の全てが重合性化合物であることが好ましい。即ち、好ましい組成物は、少なくとも1つの化合物(1)と、単官能の重合性液晶化合物の群および多官能の重合性液晶化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有する重合性液晶組成物である。
【0075】
単官能の重合性液晶化合物および多官能の重合性液晶化合物の好ましい例は、化合物(M1)、化合物(M2a)、化合物(M2b)、化合物(M2c)、化合物(M2d)および化合物(M2e)である。




【0076】
式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)における記号の意味は次の通りである。
は独立して、式(P9)〜式(P12)のいずれか1つで表される重合性の基であり、これらの基におけるWは水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のフルオロアルキルである。ハロゲンの好ましい例はフッ素および塩素である。
は水素、フッ素、塩素、シアノまたは炭素数1〜20のアルキルであり、この炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。Rの好ましい例は、フッ素、シアノ、炭素数2〜12のアルキルおよび炭素数2〜12のアルコキシであり、これらのアルキルおよびアルコキシにおける任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0077】
は独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいAは独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、これらの環の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0078】
は独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよい。好ましいYは炭素数2〜12のアルキレンであって、このアルキレンの1つのまた隣接しないは2つの−CH−は−O−で置き換えられてもよい。より好ましいYは独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンである。
【0079】
は独立して単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−である。好ましいZは独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−である。
【0080】
21は独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3のアルキルである。そして、好ましいW21は独立して水素またはメチルである。
22は独立して水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルである。そして、好ましいW22は独立して水素、フッ素、メチル、シアノ、イソプロピル、ターシャリーブチルまたはトリフルオロメチルである。
24は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルである。そして、好ましいW24は独立して水素、フッ素、メチルまたはメトキシである。
【0081】
11は1または2である。そして、s11が2であるとき、2つのAは同じ環であってもよく異なる環であってもよく、2つのZも同じ基であってもよく異なる基であってもよい。
24は1または2である。そして、s24が2であるとき、2つの環の置換基は同じであってもよく異なってもよい。
【0082】
化合物(M1)および化合物(M2a)〜化合物(M2e)の群から選択される重合性化合物の好ましい含有割合は、この(これらの)化合物と化合物(1)との合計量に基づいて50〜99重量%の範囲であり、より好ましい含有割合は70〜95重量%の範囲である。
【0083】
式(M1)を展開した好ましい例を次に示す。


【0084】
式(M1−1)〜式(M1−16)における記号の意味は次の通りである。Xはフッ素、シアノ、炭素数2〜12のアルキルおよび炭素数2〜12のアルコキシであり、これらのアルキルおよびアルコキシにおける任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。Wは水素またはフッ素である。
の好ましい例は式(P9)、式(P10)、式(P11)で表される基であって、式(P9)におけるWは水素であり、式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。
は炭素数2〜12のアルキレンまたは炭素数2〜12のアルキレンオキシである。
なお、式(M1−3)におけるPのより好ましい例は前記の式(P9)および式(P11)で表される基である。そして、Pが式(P11)で表される基であるとき、式(M1−3)におけるYは炭素数2〜12のアルキレンであり、このアルキレンにおける1つのまたは隣接しない2つの−CH−は−O−で置き換えられてもよい。
【0085】
化合物(M1−1)〜化合物(M1−16)において、Pが式(P9)で表される基である場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nは独立して2〜12の整数である。


【0086】


【0087】


【0088】
化合物(M1−3)において、Pが式(P11)で表される基で、式(P11)におけるWがエチルである場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nは独立して2〜9の整数である。


【0089】
式(M2a)を展開した好ましい例を次に示す。


【0090】
上記の式(M2a−1)〜式(M2a−3)において、Yは独立して炭素数2〜12のアルキレンであり、このアルキレンにおける1つのまたは隣接しない2つの−CH−は−O−または−OCOO−で置き換えられてもよく、Wは水素またはフッ素であり、W21は水素またはメチルである。そして、Pの好ましい例は式(P9)、式(P10)および式(P11)で表される基である。このとき、式(P9)および式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。
【0091】
化合物(M2a−1)〜化合物(M2a−3)の具体例を次に示す。


(これらの式におけるnおよびmは独立して2〜11の整数である。)
【0092】


(これらの式におけるnおよびmは独立して2〜12の整数である。)
【0093】


(これらの式におけるnおよびmは独立して2〜9の整数である。)
【0094】


(これらの式におけるnおよびmは独立して2〜9の整数である。)
【0095】
式(M2b)を展開した好ましい例を次に示す。


【0096】


【0097】
上記の式(M2b−1)〜式(M2b−12)、式(M2b−14)および式(M2b−15)において、Yは独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンである。式(M2b−13)において、Yは炭素数2〜12のアルキレンである。Wは水素またはフッ素である。そして、Pの好ましい例は式(P9)、式(P10)および式(P11)で表される基であり、式(P9)におけるWは水素であり、式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。
【0098】
化合物(M2b−1)〜化合物(M2b−15)の具体例を、Pが式(P9)で表される基である場合について次に示す。以下の具体例において、nおよびmは独立して2〜12の整数である。


【0099】


【0100】
式(M2c)を展開した好ましい例を次に示す。


ここに、Yは独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のオキシアルキレンまたは炭素数2〜12のアルキレンオキシであり、Wは水素またはフッ素である。なお、Pは式(P9)、式(P10)および式(P11)で表される基であることが好ましく、このとき式(P9)におけるWは水素であり、式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。
【0101】
化合物(M2c−1)〜化合物(M2c−5)の具体例を、Pが式(P9)で表される基である場合について次に示す。以下の具体例において、nおよびmは独立して2〜12の整数である。


【0102】
式(M2d)を展開した好ましい例を次に示す。


【0103】
式(M2d−1)〜式(M2d−3)および式(M2d−5)〜式(M2d−7)におけるYは、独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンである。式(M2d−4)および式(M2d−8)におけるYは、独立して炭素数2〜12のアルキレンである。Wは水素またはフッ素であり、W24は水素、フッ素、メチルまたはメトキシである。なお、Pは式(P9)、式(P10)および式(P11)で表される基であることが好ましく、このとき式(P9)におけるWは水素であり、式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。
【0104】
化合物(M2d−1)〜化合物(M2d−8)の具体例を、Pが式(P9)で表される基である場合について次に示す。以下の具体例において、nおよびmは独立して2〜12の整数である。


【0105】


【0106】
式(M2e)を展開した好ましい例を次に示す。


ここに、Yは独立して炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンである。Pは式(P9)、式(P10)および式(P11)で表される基であることが好ましく、このとき式(P9)におけるWは水素であり、式(P10)におけるWは水素であり、式(P11)におけるWはエチルである。なお、式(M2e−2)におけるPのより好ましい例は前記の式(P9)および式(P10)で表される基であり、このとき式(P10)におけるWは水素である。
【0107】
化合物(M2e−1)〜化合物(M2e−5)において、Pが式(P9)である場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nおよびmは独立して2〜12の整数である。


【0108】
化合物(M2e−2)において、Pが式(P10)である場合の具体例を次に示す。以下の具体例において、nおよびmは独立して2〜12の整数である。


【0109】
化合物(M1)および化合物(M2a)〜化合物(M2e)は、有機合成化学の手法を組み合わせることにより合成できる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、ホーベン−ワイル(Houben-Wyle, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)等の成書に記載されている。
【0110】
化合物(M1)および化合物(M2a)〜化合物(M2e)の具体的製造法が記載されている文献は次の通りである。
化合物(M1−3−4)〜(M1−3−7):特開2005−320317号公報
化合物(M2a−1−1)〜化合物(M2a−1−6):特開2003−238491号公報および特開2006−307150号公報
化合物(M2a−1−9)〜化合物(M2a−1−20):特開2005−60373号公報
化合物(M2a−1−7)および化合物(M2a−1−8):WO2008/136265号パンフレット
化合物(M2b−1−1)および化合物(M2b−2−1):Makromol. Chem., 190, 3201-3215 (1998)
化合物(M2b−3−1)および化合物(M2b−9−1):特開2004−231638号公報
化合物(M2b−6−1):特開2006−337565号公報
化合物(M2b−13−1):WO97/00600号パンフレット
化合物(M2d):特開2008−239873号公報
化合物(M2e−2−2):Macromolecules, 26, 1244-1247 (1993)
【0111】
上記の式(P9)で表される重合性基を有する化合物を含有する組成物には、さらに下記の化合物(M5)を添加してもよい。添加する場合の化合物(M5)の添加割合は、化合物(M1)および化合物(M2a)〜化合物(M2e)の合計量に対する重量比で0.001〜0.20である。


【0112】
式(M5)において、Rb5は水素またはメチルであり、Wは水素またはフッ素であり、Zは単結合、−CHCH−または−CH=CH−であり、n5およびm5は独立して2〜12の整数である。そして、Aは式(A5−1)〜式(A5−18)のいずれか1つで表される基である。


【0113】
化合物(M5)の好ましい例を示す。


【0114】


【0115】


【0116】
これらの化合物の合成方法は、特開2007−16213号公報および特開2008−133344号公報に記載されている。
【0117】
物性を改善する目的で、本発明の組成物に、非重合性の液晶化合物、非液晶性の重合性化合物、重合開始剤、溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、フィラー、紫外線吸収剤、増感剤などを添加してもよい。添加物の化学構造や組成は限定されない。各成分の含有量は、組成物の液晶性を損なわない程度である。非重合性の液晶化合物の例は、データベースLiqCryst(登録商標、LCI Publisher, Hamburg, Germany)およびその掲載文献に記載の化合物である。
【0118】
本発明の組成物には光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好適例は、式(OP−1)〜式(OP−25)で表される化合物である。これらの式において、Akは炭素数1〜15のアルキルまたは炭素数1〜15のアルコキシを、Me、EtおよびPhはそれぞれ、メチル、エチルおよびフェニルを示す。Pは重合性の基であり、(メタ)アクリロイルオキシ、ビニルオキシ、オキシラニル、またはオキセタニルを含む基であることが好ましい。本発明の組成物は以下に説明する重合体の原料として用いる他、液晶表示素子の構成要素である液晶として直接用いてもよい。
【0119】


【0120】


【0121】
本発明の重合体は、化合物(1)またはそれらを含有する液晶組成物をラジカル重合またはカチオン重合することで製造できる重合体である。化合物(1)の1つのみを重合させると、単独重合体が得られる。複数の重合性化合物を含有する組成物を重合させると、共重合体が得られる。
【0122】
化合物(1)を含有する重合性液晶組成物は垂直配向性を付与することができる。基板上に本組成物の薄膜をコーティングにより形成し光を照射し重合することで、垂直配向を固定化できる。この重合体は、光学異方性を有する成形体として使用できる。この重合体は、例えば、他の光学機能を有するフィルムと組み合わせることにより、偏光板の視野角特性を改善することができる。垂直配向を有する重合体は、光軸の方向がn方向にあり、光軸方向の屈折率がその直交する方向の屈折率より大きい屈折率楕円体であるためポジティブC−プレートに分類される。このポジティブC−プレートは、他の光学機能を有するフィルムと組み合わせることによって、水平配向した液晶モードいわゆるIPS(In-Plane Switching)モード等の光学補償、例えば偏光板の視野角改善に応用できる。
【0123】
重合はエネルギー(電磁波)を照射することで実施できる。かかる電磁波は、紫外線、赤外線、可視光線、X線、γ線などである。また、イオンやエレクトロンといった高エネルギー粒子を照射してもよい。
【0124】
機械的強度、熱的強度、塗布性、配向性などを調整する目的で液晶性を有しない重合性化合物を添加してもよい。このような非液晶性の重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物、オキシラン化合物、およびオキセタン化合物が好ましい。重合体の機械的強度および熱的強度をより高めるために、多官能性のアクリレート、ビニルエーテル、オキシラン、およびオキセタンを使用してもよい。
【0125】
塗布を容易にするため、または液晶の配向を制御するために、本発明の組成物に界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤の添加量は界面活性剤の種類や目的により異なるが、本発明の液晶組成物に対して、100ppm〜10重量%、さらに好ましくは100ppm〜5重量%の範囲である。
【0126】
光ラジカル重合開始剤の例は、具体的な商品名で、チバ・ジャパン(株)のダロキュアシリーズからTPO、1173および4265、イルガキュアシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、2959などの商品であるが、公知のいずれの開始剤も使用できる。
【0127】
光ラジカル重合開始剤のその他の例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物などであるが、公知のいずれの開始剤も使用できる。
【0128】
熱によるラジカル重合に用いられる開始剤の好ましい例としては、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2´−アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどが挙げられるが、公知のいずれのものも使用できる。アゾ系の市販の開始剤としては、たとえば、和光純薬工業(株)製のV−70、V−65、V−60、V−59、V−40,V−30、V−501、V−601、VE−073、VA−080、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111、VA−044、VA−046B、VA−060、VA−061、V−50、VA−057、VA−067、VR−110、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−1001などが挙げられる。
【0129】
光カチオン重合開始剤の例は、具体的な商品名で、UCC(株)のサイラキューアーUVI−6990および6974、旭電化工業(株)のアデカオプトマーSP−150、152、170および172、ローディア(株)のPhotoinitiator 2074、チバ・ジャパン(株)のイルガキュア250、みどり化学(株)のDTS−102などであるが、公知のいずれの開始剤も使用できる。
【0130】
本発明の成形体は、本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物を基板上に塗布して塗膜を形成させ、その組成物が液晶状態で形成する配向を光などの電磁波の照射により重合させることによって固定化することで製造できる。基板は、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどである。具体的な商品名ではJSR(株)の「アートン」、日本ゼオン(株)の「ゼオネックス」および「ゼオノア」、三井化学(株)の「アペル」などである。基板は一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
【0131】
本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物を溶剤に溶かして塗布することもできる。好ましい溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ブチルセルソルブ、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの単独溶剤またはこれら複数の単独溶剤を混合した混合溶剤である。
【0132】
使用中の取り扱いを容易にするため、または保存中の重合を防止するために、本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物に安定剤を添加してもよい。公知の安定剤のいずれも使用できるが、例えば、4−エトキシフェノール、ハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などである。.
【0133】
本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物は、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコート、デップコート、スプレーコート、メニスカスコート、ダイコートや流延成膜法などの方法で薄膜展開し、溶剤を除去する方法で塗布できる。
【0134】
塗布前に基板表面を配向処理すれば、本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物を基板上で配向させることができる。処理方法は、例えば、ポリイミド、ポリアミドやポリビニルアルコールなどからなる薄膜を形成して、それをレーヨン布などでラビング処理する方法や、酸化ケイ素を斜方蒸着する方法、延伸フィルムまたは光配向膜やイオンビームなどを用いるラビングフリー配向である。または、基板を直接レーヨン布などでラビング処理してもよい。基板表面の処理を行わなくてもよい場合もある。
【0135】
本発明の液晶組成物の溶液から成形体を得るには、支持基板上にこの溶液を塗布してから溶剤を除去して、支持基板上に膜厚の均一な組成物の層を形成させる。溶剤除去の条件は特に限定されない。溶剤がおおむね除去され、組成物の塗膜の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶剤を除去することができる。組成物に用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜を乾燥する過程で、塗膜中の組成物のネマチック配向が完了していることがある。そのような場合には、乾燥工程を経た塗膜は、後述する熱処理工程を経由することなく、重合工程に供することができる。
【0136】
塗膜を熱処理する際の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量などは、組成物に用いる化合物の種類と組成比、光重合開始剤の添加の有無やその添加量などによって、好ましい範囲が異なる。従って、以下に説明する塗膜の熱処理の温度および時間、光照射に用いられる光の波長、および光源から照射する光の量についての条件は、あくまでもおよその範囲を示すものである。
【0137】
塗膜の熱処理は、組成物の均一配向性が得られる条件で行うことが好ましい。組成物の液晶相転移点以上で行ってもよい。熱処理方法の一例は、前記組成物がネマチック液晶相を示す温度まで塗膜を加温して、塗膜中の組成物にネマチック配向を形成させる方法である。組成物がネマチック液晶相を示す温度範囲内で、塗膜の温度を変化させることによってネマチック配向を形成させてもよい。この方法は、上記温度範囲の高温域まで塗膜を加温することによって塗膜中にネマチック配向を概ね完成させ、次いで温度を下げることによってさらに秩序だった配向にする方法である。上記のどちらの熱処理方法を採用する場合でも、熱処理温度は室温〜120℃である。この温度の好ましい範囲は室温〜100℃であり、より好ましい範囲は室温〜90℃、さらに好ましい範囲は室温〜85℃である。熱処理時間は5秒〜2時間である。この時間の好ましい範囲は10秒〜40分であり、より好ましい範囲は20秒〜20分である。組成物からなる層の温度を所定の温度まで上昇させるためには、熱処理時間を5秒以上にすることが好ましい。生産性を低下させないためには、熱処理時間を2時間以内にすることが好ましい。
【0138】
本発明の化合物の少なくとも1つまたは組成物の配向は電磁波の照射で固定できる。電磁波の波長の範囲は150〜500nmが好ましい。さらに好ましい範囲は250〜450nmであり、特に好ましい範囲は300〜400nmである。光源の例は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などである。光源の好ましい例は、メタルハライドランプやキセノンランプ、超高圧水銀ランプおよび高圧水銀ランプである。光源と塗膜層との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量は、2〜5000mJ/cm2である。光量の好ましい範囲は10〜3000mJ/cm2であり、より好ましい範囲は100〜2000mJ/cm2である。光照射時の温度条件は、上記の熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。また、重合環境の雰囲気は窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気、空気雰囲気のいずれでも良いが、窒素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気が硬化性を向上させる観点から好ましい。
【0139】
本発明の成形体の厚さは、要求特性と成形体の光学異方性値により異なる。従って、その範囲を厳密に決定することはできないが、好ましい厚さは0.05〜50μmである。そして、より好ましい範囲は0.1〜20μmであり、さらに好ましい範囲は0.5〜10μmである。成形体の好ましいヘイズ値は、1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。成形体の可視光領域での好ましい透過率は80%以上、より好ましくは85%以上である。十分な偏光性能を得るために、1.5%以下のヘイズ値が好ましい。80%以上の透過率は、この成形体を液晶表示素子に用いる際、明るさを維持するために好ましい。
【0140】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。合成した化合物の化学構造は、H−NMRで確認した。以下において、容量の単位であるリットルを記号Lで記す。
【実施例1】
【0141】
<化合物(A−1)の合成>

5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルー1,1’−スピロビインダン(5.0g、15mmol)、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(19g、66mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(14g、66mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.7mg、5.9mmol)およびジクロロメタン(100mL)の混合物を室温で15時間撹拌した。析出した不溶物を濾別除去した。ろ液を1M塩酸、2M水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄後、有機溶剤を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/酢酸エチル(容量比:9/1))で精製し、14g(収率66%)の化合物(A−1)を粘性物質として得た。
【実施例2】
【0142】
<光重合性液晶組成物(Mix−1)の調製と光学薄膜(C−1)の製造>
実施例1で得られた化合物(A−1)[10重量%]、化合物(M2a−1−1)(n=m=6)[63重量%]、化合物(M1−1−1)(n=6)[27重量%]からなる液晶組成物(Mix−1)を調製した。
なお、化合物(M2a−1−1)は、特開2003−238491号公報に記載の方法で合成した。
化合物(M1−1−1)は、Macromolecules, 26, 6132-6134 (1993) に記載の方法と同様にして合成した。


次いで、組成物(Mix−1)(1.0g)にトルエン(4.0g)および重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア907)0.05g]を加えた溶液を、ガラス基板にスピンコーターを用いて塗布した。70℃のホットプレート上で3分間放置し溶剤を除去して液晶層を配向させた。超高圧水銀灯(250W)を用いて紫外線(20mW/cm;365nm)を窒素雰囲気下、25℃で30秒間照射し、光学薄膜(C−1)を得た。目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−1)が透明で均一配向であることが観察された。そして、シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用いて、光学薄膜付基板に波長が550nmの光を照射し、この光の入射角度をフィルム面に対して90度から減少させながらレタデーションを測定したところ、図1のようなプロファイルが得られ、垂直配向であることを確認した。
【0143】
[比較例1]
<光重合性液晶組成物(Mix−2)の調製と光学薄膜(C−2)の製造>
化合物(M2a−1−1)(n=m=6)[70「重量%」、化合物(M1−1−1)(n=6)[30重量%]からなる液晶組成物(Mix−2)を調整した。
次いで、組成物(Mix−2)(1.0g)にトルエン(4.0g)および重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名イルガキュア907)0.05g]を加えた溶液を、ガラス基板にスピンコーターを用いて塗布した。70℃のホットプレート上で3分間放置し溶剤を除去して液晶層を配向させた。超高圧水銀灯(250W)を用いて紫外線(20mW/cm;365nm)を窒素雰囲気下、25℃で30秒間照射し、光学薄膜(C−2)を得た。目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−2)の配向がランダム配向であることが観察された。
【実施例3】
【0144】
<光重合性液晶組成物(Mix−3)の調製と光学薄膜(C−3)の製造>
実施例1で得られた化合物(A−1)[8重量%]、化合物(M2b−2−1)(n=m=6)[60重量%]、化合物(M1−1−1)(n=6)[32重量%]からなる液晶組成物(Mix−3)を調製し、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/シクロペンタノン=1/1(重量比)とし、基板上にポリイミド膜(チッソ(株)製、商品名:リクソンアライナー PIA−5370を塗布し、80℃で3分間溶媒乾燥後、210℃で30分間焼成したもの)付にしたこと以外は、実施例1と同様にして光学薄膜C−3を得た。なお、化合物(M2b−2−1)は、Makromol. Chem., 190, 2255-2268 (1989) に記載の方法で合成した。


目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−3)は透明で均一配向であることが観察された。そして、シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用いて、光学薄膜付基板に波長が550nmの光を照射し、この光の入射角度をフィルム面に対して90度から減少させながらレタデーションを測定したところ、図1と同様なプロファイルが得られ、垂直配向であることを確認した。
【0145】
[比較例2]
<光重合性液晶組成物(Mix−4)の調製と光学薄膜(C−4)の製造>
化合物(M2b−2−1)(n=m=6)[65「重量%」、化合物(M1−1−1)(n=6)[35重量%]からなる液晶組成物(Mix−4)を調整したこと以外は、実施例3と同様にして光学薄膜C−4を得た。目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−4)の配向がランダム配向であることが観察された。
【実施例4】
【0146】
<光重合性液晶組成物(Mix−5)の調製と光学薄膜(C−5)の製造>
化合物(M2b−2−1)(n=m=6)を化合物(M2b−13−1)(n=m=4)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光学薄膜C−5を得た。なお、化合物(M2b―13−1)は、WO97/00600号パンフレットに記載の方法と同様にして合成した。


目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−5)が透明で均一配向であることが観察された。そして、シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用いて、光学薄膜付基板に波長が550nmの光を照射し、この光の入射角度をフィルム面に対して90度から減少させながらレタデーションを測定したところ、図1と同様なプロファイルが得られ、垂直配向であることが確認された。
【0147】
[比較例3]
<光重合性液晶組成物(Mix−6)の調製と光学薄膜(C−6)の製造>
化合物(M2b−13−1)(n=m=4)[65「重量%」、化合物(M1−1−1)(n=6)[35重量%]からなる液晶組成物(Mix−6)を調整したこと以外は、実施例4と同様にして光学薄膜C−6を得た。目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−6)の配向がランダム配向であることが観察された。
【実施例5】
【0148】
<光重合性液晶組成物(Mix−7)の調製と光学薄膜(C−7)の製造>
化合物(M1−1−1)(n=6)を化合物(M1−5−1)(n=6)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光学薄膜C−7を得た。なお、化合物(M1−5−1、n=6)は特開2005―187618号公報記載の方法で合成した。


目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−7)が透明で均一配向であることが観察された。そして、シンテック(株)製のOPTIPRO偏光解析装置を用いて、光学薄膜付基板に波長が550nmの光を照射し、この光の入射角度をフィルム面に対して90度から減少させながらレタデーションを測定したところ、図1と同様なプロファイルが得られ、垂直配向であることが確認された。
【0149】
[比較例4]
<光重合性液晶組成物(Mix−8)の調製と光学薄膜(C−8)の製造>
化合物(M2b−2−1)(n=m=6)[65「重量%」、化合物(M1−5−1)(n=6)[35重量%]からなる液晶組成物(Mix−8)を調整したこと以外は、実施例5と同様にして光学薄膜C−8を得た。目視と顕微鏡によって、光学薄膜(C−8)の配向がランダム配向であることが観察された。
【実施例6】
【0150】
<化合物(A−2)の合成>


5,5’,6,6’−テトラヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルー1,1’−スピロビインダン(2.3g、6.75mmol)、4−[6−(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸(10g、29.7mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(6.44g、31.2mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.36mg、2.97mmol)およびジクロロメタン(100mL)の混合物を室温で15時間撹拌した。析出した不溶物を濾別除去した。ろ液を1M塩酸、2M水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄後、有機溶剤を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/酢酸エチル(容量比:4/1))で精製し、5.42g(収率47.9%)の化合物(A−2)を粘性物質として得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される重合性液晶化合物:


ここに、Gは単結合または−O−であり;Rは独立して水素、メチルまたは式(a)で表される基であって、Rの少なくとも2つは式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aは1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、または1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
mは0〜3の整数であり;mが2または3であるとき、複数のAはすべて同じ環であってもよく、少なくとも2つの異なる環で構成されてもよく、複数のZもすべて同じ基であってもよく、少なくとも2つの異なる基で構成されてもよく;
は単結合、−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
は単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Xは単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pは式(P1)〜式(P8)のいずれか1つで表される重合性の基である:


(これらの式におけるWは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルである。)
但し、Pが式(P1)で表される基であり、Z、XおよびXがいずれも単結合であるとき、mは0ではなく;Pが式(P3)で表される基であり、Zが−O−であり、Xが単結合であり、そしてXが−CH−であるときも、mは0ではない。
【請求項2】
Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
が単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
Xが単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pが式(P1)、式(P6)、式(P7)または式(P8)で表される基である、請求項1に記載の重合性液晶化合物。
【請求項3】
Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルで置き換えられてもよく;
Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−C≡CCOO−または−OCOC≡C−であり;
が単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が−O−、−OCO−または−OCOO−であり;
Xが単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
Pが式(P3)、式(P4)または式(P5)で表される基である、請求項1に記載の重合性液晶化合物。
【請求項4】
式(1)において、Gが単結合であり;Rが式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aが1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、そしてこれらの環の任意の水素はフッ素、塩素、メチル、またはトリフルオロメチルで置き換えられてもよく;Zが単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CH=CH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Zが−O−または−OCO−であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Pが式(P1)、式(P3)または式(P5)で表される基であり;Wが水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである、請求項1に記載の重合性液晶化合物。
【請求項5】
式(1)において、Gが単結合であり;Rが式(a)で表される基であり;
式(a)において、Aが1,4−フェニレンであり、そしてこの環の任意の水素はフッ素、で置き換えられてもよく;Zが単結合、または−OCOO−であり;Xが単結合であり;Zが−OCO−であり;mが1であり;Xが単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;このアルキレンにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく;Pが式(P1)、式(P3)または式(P5)で表される基であり;Wが水素、メチルまたはエチルである、請求項1に記載の重合性液晶化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも2つの化合物からなる液晶組成物。
【請求項7】
成分の全てが重合性化合物である、請求項6に記載の液晶組成物。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(1)で表される化合物の少なくとも1つと式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有する組成物であって、式(1)で表される化合物と式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される化合物の合計量を基準とする割合で、式(1)で表される化合物が1〜50重量%であり、式(M1)および式(M2a)〜式(M2e)のそれぞれで表される化合物の群から選択される化合物が50〜99重量%である液晶組成物:




ここに、Pは独立して、式(P9)〜式(P12)のいずれか1つで表される重合性の基であり;Wは水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルであり;
は水素、フッ素、塩素、シアノまたは炭素数1〜20のアルキルであり;この炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−で置き換えられてもよく;
は独立して単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であり;
21は独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜3のアルキルであり;
22は独立して水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルであり;
24は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルであり;
11は1または2であり;s11が2であるとき、2つのAは同じ環であってもよく異なる環であってもよく、2つのZも同じ基であってもよく異なる基であってもよく;
そして、s24は1または2であり;s24が2であるとき、2つの環の置換基は同じであってもよく異なってもよい。
【請求項9】
が式(P9)〜式(P12)のいずれか1つで表される基であり;
がフッ素、シアノ、炭素数2〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシであり;これらのアルキルおよびアルコキシにおける任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が独立して1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンであり、これらの環の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
が独立して、炭素数2〜12のアルキレン、炭素数2〜12のアルキレンオキシまたは炭素数2〜12のオキシアルキレンであり;
が独立して単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−(CHCOO−または−OCO(CH−であり;
21が独立して水素、フッ素またはメチルであり;
22が独立して水素、フッ素、メチル、シアノ、イソプロピル、ターシャリーブチルまたはトリフルオロメチルであり;
24が独立して水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり;
11が1または2であり;s11が2であるとき、2つのAは同じ環であってもよく異なる環であってもよく、2つのZも同じ基であってもよく異なる基であってもよく;
そして、s24が1または2であり;s24が2であるとき、2つの環の置換基は同じであってもよく異なってもよい、請求項8に記載の液晶組成物。
【請求項10】
非液晶性の重合性化合物を更に含有する、請求項8または9に記載の液晶組成物。
【請求項11】
光学活性化合物を更に含有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を重合させて得られる重合体。
【請求項13】
請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物を重合させて得られる重合体。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つまたは請求項6〜11のいずれか1項に記載の液晶組成物を配向させた後、電磁波を照射して化合物または組成物を重合させることにより液晶相における分子の配向を固定化した、光学異方性を有する成形体。
【請求項15】
固定化した分子の配向が垂直配向である、請求項14に記載の成形体。
【請求項16】
請求項14または15に記載の成形体からなる光学素子。
【請求項17】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、請求項6〜11のいずれか1項に記載の組成物、請求項12または13に記載の重合体、請求項14または15に記載の成形体および請求項16に記載の光学素子からなる群から選択される少なくとも1つを含有する液晶表示素子。
【請求項18】
請求項12または13に記載の重合体からなるフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−100609(P2010−100609A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195204(P2009−195204)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】