説明

重質芳香族変換触媒組成物、及びその生産プロセス及びそれを用いるプロセス

本発明は重質芳香族、特にC9+芳香族をより軽質の芳香族製品、特にベンゼン、トルエン、及びキシレンに変換するために有用な触媒組成物、前記組成物を生産するプロセス及び重質芳香族変換プロセスにおいて前記組成物を用いる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重質芳香族、特にC9+芳香族をより軽質の芳香族製品、特にベンゼン、トルエン、及びキシレン(以下集合的にBTXと呼ぶ)に変換するために有用な触媒組成物、前記組成物を生産するプロセス及び重質芳香族変換プロセスにおいて前記組成物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゼン及びキシレンのソースは触媒改質ガソリンであり、これは石油ナフサ及び水素の混合物を、ハロゲン処理されたアルミナの様な適度に酸性の担持体上でプラチナの様な強力な水素化/脱水素化触媒に接触させて生成される。通常C6からC8の部分は改質ガソリンから分離され、比較的脂肪族を含まない芳香族化合物の混合物を生産するために、芳香族又は脂肪族に選択的な溶媒を用いて抽出される。この芳香族化合物の混合物は通常、エチルベンゼンと共にBTXを含む。
【0003】
製油所では、又C9芳香族及びトルエンを貴金属を含むゼオライト触媒上で、トランスアルキル化反応によりベンゼン及びキシレンを生産することを目指して来た。エチルベンゼンと共に、ベンゼン及びキシレンの様な高付加価値の石油化学製品は、C9芳香族及びトルエンを貴金属を含む触媒上で、トランスアルキル化反応する間に生成される。結果の翻訳生成物は、更に非芳香族、ベンゼン、C8芳香族(すなわち、エチルベンゼン、パラキシレン、メタキシレン、及びオルトキシレン)、未反応トルエン及び未反応C9芳香族を分離する処理がなされる。通常、C8芳香族製品は、キシレン、特にパラキシレンを生産するために更に分離処理がなされる。C8芳香族中のエチルベンゼンの量を低下させることによりキシレンの回収効率は向上する。したがって、トランスアルキル化製品中のエチルベンゼンの濃度を減少させることに対する強い経済的及び技術的動機が存在する。
【0004】
トランスアルキル化製品中のエチルベンゼンの量は、主に(a)原料の組成、及び(b)トランスアルキル化触媒及びトランスアルキル化条件によって変わる。通常、C9芳香族原料及び/又は原料のトルエンはエチルベンゼンを、原料の全重量に基づき0.001 から 4 重量%の不純物として含む。原料中のエチルベンゼン以外に、エチルベンゼンはトランスアルキル化プロセスにおいて、エチルを含むC9芳香族を含む原料、及び/又は種々の副反応から生成される。
【0005】
重質芳香族をトランスアルキル化する間のトランスアルキル化製品中のエチルベンゼンの問題の一つの解決方法が米国特許番号5,942,651に開示されており、これはC9芳香族炭化水素を含む原料、及びトルエンをトランスアルキル化反応条件下において、ZSM-12の様な、0.5から3の範囲の抑制指数(constraint index)を持つゼオライトを含む第一の触媒組成物、及び水素化成分と接触させるステップを含む。第一の接触ステップからの流出物は、ベンゼン及びキシレンを含むトランスアルキル化反応製品を生産するために、その後ZSM-5の様な、3から12の範囲の抑制指数(constraint index)を持つゼオライトを含み、第一の触媒組成物のものとは別の床又は反応器にあってもよい、第二の触媒組成物と接触させる。原料中のエチルベンゼン、及び/又はトランスアルキル化プロセスにおいて生成されたエチルベンゼンは、エチルベンゼンのベンゼン及びエチレンへの脱アルキル化によって部分的に破壊される。
【0006】
米国特許番号5,905,051は、炭化水素流を第一の触媒組成物及び第二の触媒組成物を含む触媒システムと接触させることにより、例えば、C9芳香族化合物の様な炭化水素流を、例えば、キシレンの様なC6からC8芳香族炭化水素に変換するプロセスを開示する。この場合、その触媒組成物は別々の段階に存在し、そして物理的に混合され、又はブレンドされず、また前記第一の触媒組成物は金属促進剤により促進された(metal-promoted)、アルミナ又はシリカ結合ゼオライトベータであり、第二の触媒組成物は、シリコン、燐、硫黄及びこれらの組合せよりなる群から選択される活性促進剤を取り込んだZSM-5である。
【0007】
米国特許番号5,905,051によれば、別の触媒の段階を設けることにより、C9芳香族化合物及びナフタレンのキシレンへの変換を向上させ、そして製品中の望ましくないエチルベンゼンの量を減らすことが出来る。米国特許番号5,905,051の製品中のエチルベンゼンは、結果の製品のC8芳香族の部分の重量に基づき約3−7重量%を占める。
【0008】
分子篩を持つ触媒システムは、C9の原料をキシレンの様な有用な化合物に変換する場合、全体の変換度を減少させることなく、C9芳香族原料中の芳香族化合物を含むエチル基を本質的に除去するのために酸性度及び水素化活性を向上させることが判明した。
【発明の概要】
【0009】
ある実施の形態においては、本発明は、
i) 少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分、及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分
を含む触媒組成物に関する。
【0010】
他の実施の形態においては、本発明は、
i)前記水素化成分を前記酸性成分に組み入れ、修飾された酸性成分に形成するに十分な条件下で、少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分を、少なくとも一つの水素化成分に接触させ、;及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ前記触媒を生産するために、前記修飾された酸性成分を焼成する
ことを含む触媒組成物を生産するためのプロセスに関する。
【0011】
他の実施の形態においては、本発明は、C9芳香族炭化水素を含む原料を変換させ、より軽質の芳香族、及び結果の製品中のC8芳香族部分の重量に基づき、約0.5重量%未満のエチルベンゼンを含む製品作り出すプロセスに関する。このプロセスは前記原料をトランスアルキル化反応条件下で以下を含む触媒組成物と接触させることを含む:
(i) 少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分; 及び
(ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分であり、前記C9芳香族炭化水素はトランスアルキル化反応条件の下でキシレンを含む反応製品に変換される。
【0012】
好ましくは芳香族製品中のエチルベンゼンは、前記の結果の製品中のC8芳香族部分の重量に基づき約0.3重量%未満であるのがよい。より好ましくは芳香族製品中のエチルベンゼンは、前記の結果の製品中の、C8芳香族割合の重量に基づき約0.2重量%未満であるのがよい。
【0013】
好ましくは、酸性成分はMTW構造を持つ第一の分子篩、MOR構造持つ分子篩、及び 12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07で最大d‐間隔(Å)を持つX線回折パターンを持つ多孔質結晶性無機酸化物材料の一以上のより成る群から選択される分子篩を含むのが良い。より好ましくは、触媒は分子篩ZSM-12を含むのが良い。代替的に、多孔質結晶性無機酸化物材料は一以上のMCM‐22, PSH-3, SSZ‐25, MCM‐36,MCM‐49 及びMCM‐56よりなる群から選択される。
【0014】
他の実施の形態においては、触媒は3から12の範囲の制約指数(constraint index)を持つ第二の分子篩を含む。好ましくは第二の分子篩は ZSM-5であるのが良い。好ましくは、触媒は二つの分子篩を持ち、第一の分子篩はZSM‐12であり、第二の分子篩はZSM‐5であるのが良い。都合の良いことには、触媒組成物は微粒子であり、第一及び第二の分子篩はそれぞれ同じ触媒粒子に含まれる。
【0015】
好ましくは、水素化成分は一以上のVIIIB族及びVIIB族金属よりなる群から選択されるのが良い。より好ましくは、水素化成分はレニウム、プラチナ及びパラジウムの一以上よりなる群から選択されるのが良い。
【0016】
通常、原料はベンゼン又はトルエンを含む。更なる特徴として、本発明は以下のステップを含むベンゼンを生産するプロセスである:すなわち、(a)次の(i)及び(ii)を含む触媒組成物上で、トランスアルキル化反応条件の下でC9芳香族炭化水素及びトルエンを反応させるステップであって、前記触媒組成物は(i)少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分、及び(ii)ベンゼン及びキシレンを含む結果製品流を生産するために、少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分を含み、及び(b)ベンゼン製品を得るために前記製品流からベンゼンを蒸留するステップである。好ましくは、芳香族製品は、前記結果製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.5重量%未満のエチルベンゼンを含むのが良い。より好ましくは、芳香族製品中のエチルベンゼンは前記結果製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.3重量%未満であるのが良い。より好ましくは、芳香族製品中のエチルベンゼンは前記結果製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.2重量%未満であるのが良い。
【0017】
本発明の更なる特徴としては、本発明は1時間当たり少なくとも10キログラムの割合でC9芳香族炭化水素を処理するプロセスである。
【発明の詳細な説明】
【0018】
ある好ましい実施の形態においては、本発明は(i)少なくとも300のアルファ値、好ましくは400のアルファ値、より好ましくは500のアルファ値を持つ酸性成分、及び(ii)少なくとも300の水素化活性、好ましくは500の水素化活性、より好ましくは1,000の水素化活性を持つ水素化成分を持つ触媒組成物を提供する。
【0019】
好ましくは、酸性成分は、MTW構造を持つ分子篩、MOR構造を持つ分子篩、及び12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07において最大d‐間隔(Å)を持つX線回折パターンを持つ多孔質結晶性無機酸化材料の一以上より成る群から選択される第一の分子篩を含むのが良い。より好ましくは、触媒は分子篩ZMS-12を含むのが良い。代替的に、多孔質結晶性無機酸化材料はMCM-22、PSH‐3, SSZ‐25, MCM-36, MCM-49 及び MCM-56よりなる群から選択される。
【0020】
他の実施の形態においては、触媒は3から12の範囲の制約指数(constraint index)を持つ第二の分子篩を含む。好ましくは第二の分子篩はZSM-5であるのが良い。 好ましくは、触媒は二つの分子篩を持ち、第一の分子篩はZSM‐12であり、第二の分子篩はZSM‐5であるのが良い。都合の良いことには、触媒組成物は微粒子であり、第一及び第二の分子篩はそれぞれ同じ触媒粒子に含まれる。
【0021】
好ましくは、水素化成分は一以上のVIIIB族及びVIIB族金属よりなる群から選択されるのが良い。より好ましくは、水素化成分はレニウム、プラチナ及びパラジウムの一以上よりなる群から選択されるのが良い。
【0022】
他の実施の形態においては、本発明は以下を含む触媒組成物を生産するプロセスに関する:
i) 前記水素化成分を前記酸性成分に組み入れ、修飾された酸性成分を形成させるに十分な条件下で、少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分を、少なくとも一つの水素化成分に接触させ、;及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ前記触媒を生産するために前記修飾された酸性成分をか焼する。
【0023】
好ましくは、前記水素化成分は、イオン交換、初期湿潤含浸(incipient wetness impregnation)、固相反応、又は、これらの2以上の組合せにより前記酸性成分に組み入れられるのが良い。より好ましくは、前記水素化成分は、イオン交換、及び/又は初期湿潤含浸により前記酸性成分に組み入れられるのが良い。
【0024】
他の実施の形態においては、本発明は、より軽質の芳香族製品、及び結果の製品中のC8芳香族部分の重量に基づき約0.5重量%を超えないエチルベンゼンを含む結果の製品を生産するために、C9芳香族炭化水素を含む原料の変換プロセスに関する。前記プロセスは前記原料を
i) 少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分、及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分
を含む触媒組成物に、トランスアルキル化反応条件下で接触させることを含む。
【0025】
C9芳香族炭化水素は前記トランスアルキル化反応条件下でキシレンを含む反応製品に変換される。好ましくは、芳香族製品中のエチルベンゼンは、結果の製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.3重量%を超えないのが良い。より好ましくは、芳香族製品中のエチルベンゼンは、結果の製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.2重量%を超えないのが良い。
【0026】
本明細書で用いる「より軽質の芳香族製品」(lighter aromatic products)は原料中の芳香族分子の炭素原子より少ない炭素原子を持つ製品中の芳香族分子を意味する。例えば、トルエン及び/又はベンゼンでC+トランスアルキル化された結果の製品の一つであるパラキシレンは、C+芳香族分子中の9以上の炭素原子より少ない8つの炭素原子を持つ。
【0027】
触媒組成物
本発明のプロセスで用いられる触媒組成物は、
i) 少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分、及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分
を含む。
【0028】
酸性成分は、シリカアルミナ、酸性ジルコニア、MTW構造を持つ分子篩、MOR構造を持つ分子篩、及び 12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3 .42±0.07で、最大d‐間隔(Å)を含むX線回折パターンを持つ多孔質結晶性無機酸化物材料より成る群から選択される分子篩の様な、少なくとも300のアルファ値を持つ材料である。
【0029】
分子篩に関しては、ZSM-12は米国特許番号3,832,449により詳しく記載されている。モルデナイトは天然に存在するが、しかしその合成された形の一つである、例えば、TEAモルデナイト(すなわち、テトラエチルアンモニア指示剤を含む反応混合物から調製される合成モルデナイト)の様なものも用いられる。合成モルデナイトは米国特許番号3,766,093 及び3,894,104に開示されている。
【0030】
明確なX線回折パターンを持つ適当な多孔質結晶性無機酸化物材料の例には、MCM‐22, PSH-3, SSZ-25, MCM-36、MCM−49 又は、MCM-56を含む。MCM-22は米国特許番号4,954,325に、 PSH-3は米国特許番号4,439,409に、SSZ-25は米国特許番号4,826,667に、MCM-36は米国特許番号5,250,277に、MCM-49は米国特許番号5,236,575に、及びMCM-56は米国特許番号5,362,697に記載されている。上記の各特許の内容はその全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0031】
分子篩については、3から12の抑制指数を持つ適当な材料にはZSM-5, ZSM-11, ZSM-22, ZSM-23, ZSM-35、ZSM‐48, ZSM-57及びZSM-58を含む。
【0032】
ZSM-5は米国特許番号3,702,886に記載されており、Z8M-11は米国特許番号3,709,979に、ZSM-22は米国特許番号5,336,478に、ZSM-23は米国特許番号4,076,842に、ZSM-35は米国特許番号4,016,245に、ZSM-48は米国特許番号4,375,573に、ZSM-57は米国特許番号4,873,067に、ZSM-58は米国特許番号4,698,217に記載されている。
【0033】
抑制指数及びその決定方法は米国特許番号4,016,218に記載されている。上記に記載の、各特許の内容の全ては参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
通常第二の分子篩は、触媒組成物中の第一及び第二の分子篩の全重量に基づき、0から95重量%、例えば、20より大きく80重量%までを占める。
【0035】
第一の分子篩がZSM-12,である場合、ZSM-12はモル関係がX203:(n)YO2で表される組成を持つことが出来、Xはアルミニウム、ホウ素、鉄、インジウム及び/又はガリウム、好ましくはアルミニウムである三価元素であり;Yは、シリコン、スズ、及び/又はゲルマニウム、好ましくはシリコンである三価元素であり;そしてnは75より小さく、例えば、20から60未満の数字である。ZSM-12は、更に平均結晶サイズが0.1ミクロンより小さく、例えば、約0.05ミクロン、及びメシチレ−ンの拡散パラメータD/r2が、温度100℃、メシチレ−ン圧力2トールで測定した場合、少なくとも1000 x 10-6-1、例えば、2000 x 10-6-1となるように選択しても良い。
【0036】
本明細書で用いる特定の多孔質結晶性無機酸化物材料の拡散パラメータは D/r2xl06と定義され、ここでDは拡散係数(cm2/秒)であり、rは結晶の半径(cm)である。プレーンシート(plane sheet)モデルが拡散プロセスを表わしているとの想定で、必要な拡散パラメータは収着測定(sorption measurements)から得られる。この様に、ある、与えられるソルベート負荷Qに対してQ∞が均衡ソルベート負荷とすると、Q/Q∞は数学的に(Dt2/r)1/2に関連する。ここでtはソルベート負荷Qに到達する時間(秒)である。プレーンシート(plane sheet)モデルの図解法は、”The Mathematics of Diffusion”, Oxford University Press, Ely House, London, 1967においてJ. Crankによって与えられる。
【0037】
第一の分子篩として用いられるZSM-12は、例えば、少なくとも300の様に、少なくとも150のアルファ値を持つ様に配置されることもある。アルファ値テストは触媒の分解活性を測定することであり、米国特許番号3,354,078及びJournal of Catalysis, Vol. 4, 527ページ、(1965); Vol. 6、278ページ、(1966); 及びVol. 61, p. 395ページ、(1980)、に記載されており、これら文献は参照により本明細書に組み入れられる。本明細書で用いられるテストでの実験条件には538℃の一定温度、及びJournal of Catalysis, Vol. 61, 395ページに詳細に記載されている可変流量を含む。
【0038】
前パラグラフに記載された前記組成、結晶サイズ、拡散パラメータ及びアルファ値を持つZSM-12は、アルカリ、又はアルカリ土類金属(M)陽子、通常ナトリウム、三価元素(X)の酸化物、通常アルミナ、四価元素(Y)の酸化物、通常シリカ、メチルトリエチルアンモニア イオン(R),通常ヨウ化物塩として存在する、ヒドロオキシイオン及び水のソースを含む合成混合物の結晶化により作ることが出来る。この合成混合物は、以下に示す酸化物のモル比で表わされる組成物を持つこともある。
【数1】

【0039】
前記合成混合物はまたZSM-12核形成種を含み、その様な種が存在する場合には、その種は通常混合物の0.05-5重量%を占める。合成混合物の結晶化は攪拌し、又は静止状態において実施されることもあり、好ましくは160℃以下、例えば、140 から 160℃で48から500時間の間攪拌されるのが良い。その後、結果物のZSM-12の結晶は母液から分離され、回収される。
【0040】
各分子篩を、本発明のトランスアルキル化プロセスで用いられる温度及び他の条件に耐えうる他の材料と共に、触媒組成物に組み入れるのが望ましい。その様な材料には、粘度、シリカ及び/又はアルミナのような金属酸化物の様な無機材料のみならず、活性及び不活性材料及び合成または天然のゼオライトを含む。無機材料は天然の形の、又はシリカ及び金属酸化物の混合物を含むゲル状沈殿物、又はゲルの形であることもある。
【0041】
各分子篩と共に材料を用いること、すなわち、それと共に、又はその合成中に存在し、その材料自体触媒として活性を持つものを用いることにより、触媒組成物の変換度及び選択性を変えても良い。不活性材料は変換する量をコントロールする希釈剤として適切に作用するため、トランスアルキル化された製品は、反応速度をコントロールするための他の手段を用いることなく、経済的且つ秩序だった方法で得ることができる。これらの触媒的に活性又は不活性な材料は、例えば、ベントナイト及びカオリンなどの様な天然の粘度に組み込み、商業的な操業条件下で触媒組成物の粉砕力を向上させることが出来る。商業的な使用条件では、触媒組成物が粉末状の材料に粉砕されない様にすることが望まれるため、良好な粉砕力を持つ触媒組成物を提供することが望ましい。
【0042】
触媒組成物のバインダーとしての分子篩と合成されうる天然の粘度には、サブベントナイトを含むモントモリロナイト及びカオリン族、及びDixie, McNamee, Georgia 及び Florida粘土と通常呼ばれるカオリン種、又はその主要鉱物成分が ハロイサイト(halloysite), カオリナイト(kaolinite), ディッカイト(dickite), ナクライト (nacrite)、又はアノキサイト(anauxite)であるその他のものを含む。その様な粘度は元の採掘されたままの生の状態、又はか焼、酸による処理又は化学的修飾された状態のままで用いることができる。
【0043】
前記の材料に加えて、分子篩はシリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニアのような三つ組み組成物のみならず、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、トリア、ベリリア、マグネシア、及びこれらを組み合わせたもの、例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、から成る群から選択される無機酸化物のような多孔マトリクス結合材料と合成されうる。
【0044】
触媒組成物の押出しを容易にするために、前記多孔マトリクス結合材料の少なくとも一部をコロイド状で提供することが有利であることもある。
【0045】
各分子篩は、最終触媒組成物がバインダー又はマトリクス材料を5から90重量%、及び典型的には10から60重量%の範囲で含む様に、通常バインダー又はマトリクス材料と混合される。
【0046】
本発明のプロセスにおいては、第一及び第二の分子篩は同じ触媒床に含まれる。これは、通常個々の分子篩の別々の粒子を物理的に混合することにより、好ましくは結合した形で混合するか、又は分子篩の混合物を、典型的にはバインダーと共押出しことにより実現され、それにより最終触媒組成物の各粒子は第一及び第二の分子篩を両方含むこととなる。代替的に、第一及び第二の分子篩のいずれか一方の粒子は、国際特許出願番号WO 97/45198に記載されている様に、前記第一及び第二の分子篩の他の分子篩のバインダーとして形成されうる。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
触媒組成物中の、少なくとも第一の分子篩、及び好ましくは各分子篩は、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、クロミウム、マンガン、元素周期表(CAS version, 1979)の IB族, IIB族, IIIB族, IVB族, VB族, VIB族, VIIB族 及びVIIIB族から選択される金属及びこれらの混合物のような、少なくとも一つの水素化成分と関連しているのが良い。有用なVIIIB族金属には、鉄、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、ロジウム、イリジウム、及びプラチナ、レニウム、又は、パラジウムのような貴金属を含む。好ましくは水素化成分はパラジウム、プラチナ又は、レニウムを含むのが良い。
【0048】
水素化成分の量は水素化活性と触媒の機能性のバランスによって選択される。プラチナ程の強い水素化活性を持たないパラジウムと比較して、プラチナの様なもっとも活性の高い金属が用いられる場合、水素化成分は少なくて済む。通常触媒組成物は10重量%より少ない水素化成分を含み、典型的にはその成分の0.01重量%から2重量%含む。
【0049】
水素化成分は触媒組成物に共結晶化により組み入れることができ、例えば、アルミニウムの様なIIIA族元素が分子篩構造にある範囲において組成物に変換され、そこに含浸され、又は分子篩及びバインダーと混合される。その様な成分は、例えば、プラチナの場合、プラチナ金属を含むイオン溶液で分子篩を処理することにより、分子篩中、又は、分子篩上に含浸させることができる。触媒にプラチナを浸透させるための適当なプラチナ化合物には、塩化白金酸、塩化第一白金、及びPt(NH34CI2・H2Oの様なプラチナアンミン(platinum ammine)複合物を含む種々の化合物を含む。
【0050】
代替的に、分子篩がバインダーと合成された状態で、又は、分子篩が押出し又はペレット化により粒子に成形された後に、水素化成分の化合物は分子篩に添加されることもある。
【0051】
水素化成分はまた、少なくとも300の水素化値の水素化活性を持ち、例えば、少なくとも500、好ましくは少なくとも1,000の水素化活性を持つように準備されることもある。水素化機能はエチレンの量の、トランスアルキル化製品中のエタンの量と対比することにより測定する。エチレンはエチル基置換の芳香族分子の脱アルキル化によるトランスアルキル化プロセス、及び脂肪族及びナフテン炭化水素の熱分解により生成される。水素化成分は、これらのエチレン分子が副反応を起す前にこれらのエチレン分子をエタンに飽和させるようにデザインされている。水素化成分が良質であればあるほど、エチレンのエタンに対する、トランスアルキル化製品中の存在量は少ない。水素化値はエチレンに対するエタンの比率と定義される。本明細書で用いるテストでの実験条件には412℃の一定温度、2170 kPAaの圧力、炭化水素に対する水素のモル比率は2、トルエン/1,4−メチルエチルベンゼン比率が2、及びWHSVが2.7h-1を含む。エタン/エチレン比率で測定された水素化値は、製品中のエタンのモル%を製品中のエチレンのモル%で除して計算される。
【0052】
水素化成分で処理した後、分子篩は65℃から160℃の温度で、典型的に110℃から143℃の温度で、少なくとも1分間及び通常24時間を越えない時間、100 から 200 kPAaの範囲の圧力下で加熱して、通常乾燥される。
【0053】
その後、分子篩は、260℃から650℃の温度で1時間から20時間の間、空気又は窒素の様な乾燥気体流で、か焼されることもある。か焼は、通常100から300 kPAaの範囲の圧力、及び約0.002から約20h-1のWHSVで行われる。
【0054】
使用される前に、触媒組成物の芳香族水素化活性を最小にするために、触媒組成物のスチーム処理が行われることもある。このスチーム処理プロセスにおいては、触媒組成物は通常、少なくとも260℃から650℃の温度で少なくとも1時間、特に1時間から20時間の間、100から2590 KPAaの範囲の圧力、及び約0.002から約20h-1のWHSVで5から100%スチームと接触させられる。
【0055】
更に、触媒組成物を炭化水素原料と接触させる前に、水素化成分は硫化されてもよい。都合の良いことには、硫化は触媒を硫化水素の様な硫黄のソースと約320℃から480℃の範囲の温度で接触させることにより実現される。硫黄のソースは、水素又は窒素の様な同伴ガスにより触媒と接触させることも出来る。
【0056】
触媒組成物を炭化水素原料と接触させた後、触媒はコークス化、又は金属凝集により非活性化されることもある。非活性化された触媒は、都合の良いことには、オゾン、オキソクロライン(oxoehlorine)、二酸化炭素など、酸化還元サイクルを用いる金属再分散、酸化塩素(oxochoride)処置などの様な酸素又は、酸素含有化合物を含む流れによりコークスを燃やすことにより、液体炭化水素又は、水、エタノール、酢酸などの無機及び/又は有機化合物の水成溶液で洗うことにより再生することができ、又は水素を含む流れで再活力化させることが出来る。再生又は再活力化は大気温度から約600℃の温度、100から5000KPAaの圧力、及び約0.2から約100h-1のWHSVで行うことが出来る。
【0057】
原料
本発明のプロセスで用いられる芳香族原料は、エチルベンゼン、及び少なくとも9炭素原子を含む一以上の芳香族化合物を含む。典型的な原料に含まれるC9芳香族化合物の典型には、メスチレ−ン(mesitylene (1,3,5-trimethylbenzene)), ジュレン(durene (1,2,4,5-tetramethylbenzene)), ヘミメリテン(hemimellitene (1,2,4-trimethylbenzene)), シュードクメン (pseudocumene (1,2,4-trimethylbenzene)) 1,2−メチルエチルベンゼン (1,2-methylethylbenzene), 1,3−メチルエチルベンゼン (1,3-methylethylbenzene), 1,4−メチルエチルベンゼン (1,4-methylethylbenzene), プロピル置換ベンゼン(propyl-substituted benzene),ブチル置換ベンゼン (butyl-substituted benzene), 及びはジメチルエチルベンゼン (dimethylethylbenzene)を含む。C9芳香族の適当なソースは、芳香族に富む精製プロセスから出るどの様なC9部分でも良い。芳香族部分はC9芳香族の大部分を含んでおり、例えば、少なくとも80重量%のC9芳香族を含み、その芳香族炭化水素の、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは90重量%より多いC9 からC12であるのが良い。有用な、典型的な精製部分には触媒改質ガソリン、FCC ナフサ又はTCCナフサを含む。
【0058】
原料はまたベンゼン、又はトルエンを含むこともある。したがって、ある実施の形態において、トランスアルキル化反応器への原料にはエチルベンゼン、C9芳香族炭化水素及びトルエンを含む。原料はまた再利用される/未反応の/生産されたベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びトランスアルキル化反応自体での流出物を蒸留して得られるC9芳香族を含むこともある。通常、トルエンは約5から約90重量%を占め、C9は約10から約95重量%を占める。典型的な軽質原料の場合、トルエンは全原料の約40から約90重量%、例えば、50から70重量%を占め、C9芳香族成分はトランスアルキル化反応ゾーンの全原料の10から60重量%、例えば、30から50重量%を占める。典型的な重質原料の場合は、トルエンは全原料の15から約50重量%、例えば、25から40重量%を占め、C9芳香族成分はトランスアルキル化反応ゾーンの全原料の50から85重量%、例えば、60から75重量%を占める。
【0059】
炭化水素変換プロセス
このプロセスは、放射状流、固定床、連続流又は流動床反応器を含むどの様な適当な反応器でも実施することが出来る。トランスアルキル化反応条件は、典型的には温度は約343から約510℃、例えば、約400から約454℃; 圧力は約380から約4240kPAa、例えば、約1480から約3550 kPAa;水素の炭化水素に対するモル比率は約1から約5、例えば、約1から約3; WHSVは約0.2 から20 h-1、例えば、約1から5 h-1の範囲を含む。このトランスアルキル化反応条件は、重質芳香族原料をベンゼン、トルエン及びキシレン、特にベンゼン及びキシレンの様なC6-C8芳香族化合物を相当量含む製品に変換するために十分である。このトランスアルキル化反応条件は、また原料中のエチルベンゼンをベンゼンとエタンに変換するに十分である。
【0060】
本発明は以下の実施例を参照することにより、より詳細に説明する。
【0061】
実施例1触媒の生成
小さい結晶、高活性ZSM-12が11,280gの水、1,210gのメチルトリエチル塩化アンモニア(MTEACI)、Degussaから入手した1950 gのUltrasil PM、229gのアルミン酸ソーダ溶液(45%)、及び364gの50%水酸化ナトリウムを含む混合物から合成された。混合物は以下のモル組成物を持つものであった:
SiO2/ Al2O3 = 50
H2O/ SiO2 = 22
OH/ SiO2 = 0.2
Na+/ SiO2 = 0.2
MTEACLSiO2 = 0.26
混合物は、5ガロンオートクレーブ中で、160℃で、150RPMで144時間攪拌して反応させた。製品はろ過し、脱イオン(DI)水で洗浄し、120℃で乾燥させた。
【0062】
合成されたままの材料のXRD パターンは、ZSM-12のトポロジーの典型的な純粋相を示した。合成されたままの材料のSEMは、材料が小さい結晶(平均結晶サイズは約0.05ミクロン)の集塊より成っていることを示した。
【0063】
合成されたままの結晶は、室温で硝酸アンモニウム溶液により二度イオン交換することにより水素の形に変換され、続いて120℃で乾燥され、540℃で6時間、か焼された。 結果のZSM-12結晶のSiO2/A12O3のモル比率は44.98であり、アルファ値は500、及びメスチレ−ンのD/r2は100℃で5000 x 10-1 /秒より大きく、メスチレ−ン圧力2トールであった。
【0064】
上記の様に生産されたZSM-12を65重量%、ZSM-5を15重量%及びアルミナ20重量%含む混合物を、長さ1.3 mm及び4つの突出する(quadrulobe)断面を持つぺレットに押出し、このぺレットは120℃で乾燥され、その後窒素中で480℃で3時間か焼された。この材料はその後硝酸アンモニウムでイオン交換され、120℃で乾燥され、その後540℃で6時間空気中でか焼された。窒化レニウムテトラアンミン(tetraammine rhenium nitrate)の水性溶液による初期湿潤含浸(incipient wetness impregnation)により0.5重量%のReが触媒に加えられた。含浸された材料は120℃で乾燥され、その後350℃で6時間空気中でか焼され、最終生産物の触媒が生産された。
【0065】
実施例2
実施例1で生成された触媒組成物3gが、表1に示すトルエン及び表1の組成を持つC9芳香族炭化水素混合物との混合物のトランスアルキル化を、約412℃の温度、2170kPAaの圧力、水素の炭化水素に対するモル比率が2、及びWHSVが2.7 h-1 Wで行うために用いられた。流れ(stream)に4.4日置いた後の結果を以下の表1に纏めた。
【表1】

【0066】
表1の結果は、実施例1の触媒は高度に活性を持ち、特にエチルベンゼンの脱エチル化率においては、顕著である(脱エチル化率98% 及びキシレン/エチルベンゼン比率は506)。表1の結果は、また実施例1の触媒は、C9のキシレンへの変換において高度の活性を持っていることを示していた。
【0067】
実施例3
実施例1で生成された触媒組成物3gが、表2に示すトルエンと表2の組成を持つC9芳香族炭化水素混合物との混合物のトランスアルキル化を、約412℃の温度、2170kPAaの圧力、水素の炭化水素に対するモル比率が2、及びWHSVは2.7 h-1 Wで行うために用いられた。流れ(stream)に4.4日置いた後の結果を以下の表2に纏めた。
【表2】

【0068】
表2の結果は、実施例1の触媒は高度に活性を持ち、特にエチルベンゼンの脱エチル化率においては、顕著である(脱エチル化率98% 及びキシレン/エチルベンゼン比率は475)。表2の結果は、また実施例1の触媒はC9のキシレンへの変換において高度の活性を持っていることを示した。
【0069】
全ての特許、特許出願、テストの手順,優先権書類、論文、刊行物、マニュアル及び本明細書に引用された他の書類は、その開示が本発明と矛盾しない限りにおいて、及びその様な組み入れが許される全ての法体制下において、参照により本明細書に組み入れられる。
【0070】
数値の下限及び数値の上限が記載されている場合は、その全ての数値の下限から全ての数値の上限までの範囲が考慮の対象となっている。
【0071】
本発明の実施例における説明では、特別な例について記載されているが、当業者にとっては、種々の他の修飾が可能であることは明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修飾することが可能であることを理解すべきである。したがって、本出願に添付された特許請求の範囲に記載の発明の範囲は本明細書の実施例及び記載に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載は、本発明が属する技術分野の専門家により同等であると取扱われる全ての特徴を含み、本発明に含まれている特許可能な全ての新規な特徴を含むものと解されるベきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 少なくとも300のアルファ値を持つ酸性成分、及び
ii) 少なくとも300の水素化活性を持つ水素化成分
を含む触媒組成物。
【請求項2】
前記酸性成分が少なくとも1,000のアルファ値を持つ請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記水素化成分が少なくとも1,000の水素化活性を持つ請求項1または2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記酸性成分及び前記水素化成分が両成分を持つ個々の粒子を形成する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記酸性成分が、MTW構造を持つ分子篩、MOR構造持つ分子篩、及び12.4±0.25,6.9±0.15,3.57±0.07及び3.42±0.07で最大d‐間隔(Å)を持つX線回折パターンを持つ多孔質結晶性無機酸化物材料の一以上より成る群から選択される第一の分子篩を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
更に前記多孔質結晶性無機酸化物材料がMCM‐22,PSH-3,SSZ‐25,MCM‐36,MCM‐49及びMCM‐56よりなる群から選択される、請求項5に記載の触媒組成物。
【請求項7】
更に前記触媒が3から12の範囲の制約指数(constraint index)を持つ第二の分子篩を含む請求項5または6に記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記第一の分子篩がZSM-12である、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記第二の分子篩がZSM-5である、請求項7に記載の触媒組成物。
【請求項10】
前記水素化成分が一以上のVIIIB族及びVIIB族金属よりなる群から選択される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項11】
前記水素化成分がレニウム、プラチナ及びパラジウムの一以上よりなる群から選択される、請求項10に記載の触媒組成物。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の触媒組成物を生産するプロセスであって、前記プロセスは:
i) 前記水素化成分を前記酸性成分に組み入れ、修飾された酸性成分を形成させるに十分な条件下で、酸性成分を少なくとも一つの水素化成分に接触させるステップ;及び
ii) 前記触媒を生産するために前記修飾された酸性成分をか焼するステップを含む、プロセス。
【請求項13】
前記接触させるステップが、イオン交換、初期湿潤含浸、前記水素化成分と前記酸性成分、及び/又はバインダーとを機械的に混合すること、及びこれらの組み合わせよりなるリストから選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記か焼条件が、約260℃から約650℃の温度、約100から約300kPa-aの範囲の圧力、及び約0.002から約20h-1のWHSVで行われることを含む、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
原料中のC9芳香族炭化水素より少ないC9芳香族炭化水素を含み、結果の製品のC8芳香族部分の重量に基づき約0.5重量%より少ないエチルベンゼンを含む結果の製品を生産するための、C9芳香族炭化水素を含む原料の変換プロセスであって、前記プロセスは、前記原料をトランスアルキル化反応条件下で請求項1乃至11のいずれか1項に記載の触媒組成物に接触させることを含むプロセス。
【請求項16】
前記エチルベンゼンが、前記原料の重量に基づき約0.001重量%から約4重量%の量で原料中に存在する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記トランスアルキル化反応条件は、温度が約343から約510℃、圧力が約380から約4240kPa-a、水素の炭化水素に対するモル比率が約1から約5、WHSVは約0.2から約20h-1であることを含む、請求項15または16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記触媒の再生及び/又は再活力化が、
i) 前記触媒を再生させるための条件で、前記触媒を酸素を含む流れに接触させるステップ、または、
ii) 前記触媒を再活力化させる条件で、前記触媒を水素を含む流れに接触させるステップ、
を含む、更に触媒の再生及び/又は再活力化させるステップを含む請求項15乃至17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
(a) ベンゼン及びキシレンを含む結果製品流を生産するために、トランスアルキル化反応条件の下でC9芳香族炭化水素及びトルエンを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の触媒組成物上で反応させるステップ;及び
(b) ベンゼン製品を得るために前記製品流からベンゼンを蒸留するステップを含むベンゼンを生産するプロセス。

【公表番号】特表2008−518778(P2008−518778A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540304(P2007−540304)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033658
【国際公開番号】WO2006/052324
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】