説明

重質芳香族炭化水素原料のトランスアルキル化

6および/またはC7芳香族炭化水素でC9+芳香族炭化水素原料をトランスアルキル化することによって、キシレンを生成するためのプロセスにおいて、C9+芳香族炭化水素原料、少なくとも1つのC6および/またはC7芳香族炭化水素および水素を、(i)拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブ、および(ii)元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属、または、それらの金属の化合物を含む第1の触媒と接触させる。C2+アルキル基を含有する原料中の芳香族炭化水素を脱アルキル化し、C2+オレフィンを飽和させ、第1の排水を形成することに効果的な条件で、第1の触媒と接触させる工程を実施する。次に、C9+芳香族炭化水素を前記少なくとも1つのC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化して、キシレンを含む第2の排水を形成することに効果的な条件で、第1の排水の少なくとも一部を、拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブを含む第2の触媒と接触させる工程を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、開示された内容が参照によって本明細書に援用される2010年2月3日に提出された米国仮特許出願第61/301,055号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、重質(C9+)芳香族炭化水素原料をトランスアルキル化してキシレンを生成することに関する。
【背景技術】
【0003】
石油精製でのキシレンの重要な供給源は触媒改質油であって、それは、石油ナフサおよび水素の混合物を、白金などの強水素化/脱水素化触媒と、ハロゲン処理アルミナなど適度の酸性支持のもとで接触させることによって調製される。通常、C6〜C8フラクションが改質油から分離され、および、芳香族または脂肪族に選択性がある溶媒と共に抽出され、脂肪族物質が比較的少ない芳香族化合物の混合物を生成する。芳香族化合物のこの混合物は、通常は、エチルベンゼンと共に、ベンゼン、トルエンおよびキシレン(BTX)を含む。
【0004】
しかしながら、改質から得ることができるキシレン量は制限的であるので、最近、精製所は、C9+芳香族炭化水素をベンゼンおよび/またはトルエンで、貴金属を含有するゼオライト触媒のもとで、トランスアルキル化することによってキシレンを製造することにも注力している。ゼオライト触媒としてMCM−22を使用する、1つの該プロセスが、米国特許第5,030,787号に開示されている。しかしながら、C9+芳香族を、たとえばトルエンでトランスアルキル化してキシレンおよびベンゼンを生成する間に、好ましい芳香族生成物と同一温度範囲で沸騰する、飽和副生成物が一般に生成されるので、高純度レベルで好ましい生成物を分離することが困難になっている。たとえば、市販のベンゼン生成物は99.85重量%、またはそれ以上の純度が必要とされる。しかしながら、トランスアルキル化反応生成物を蒸留した後の初期ベンゼン純度は、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、ジメチルシクロペンタンおよび3−メチルヘキサンなどの共に沸騰する成分の存在によって、一般的には、わずか99.2%から99.5%である。したがって、ベンゼン生成物純度を好ましいレベルまでさらに改良するために、追加の抽出ステップが通常は必要とされる。
【0005】
重質芳香族をトランスアルキル化する最中での、ベンゼン共沸騰物質の生成問題に対する1つの解決法が、米国特許第5,942,651号に開示され、および、それには、C9+芳香族炭化水素およびトルエンを含む供給物を、トランスアルキル化反応条件で、0.5から3の範囲の拘束指数を持つ、ZSM−12などのゼオライトを含む第1の触媒組成物および水素化成分と接触させるステップが含まれる。次に、3から12の範囲の拘束指数を持ち、および、第1の触媒組成物とは分離された床、または、分離された反応器にあるZSM−5などのゼオライトを含む第2の触媒組成物と、第1の接触ステップで発生する排出物を接触させ、ベンゼンおよびキシレンを含むトランスアルキル化反応生成物を生成する。追加の抽出ステップを必要とすることなく、トランスアルキル化反応生成物からベンゼンを蒸留することによって、少なくとも99.85%の純度があるベンゼン生成物が得られる。’651特許によれば、第2の触媒組成物は、第1のおよび第2の触媒組成物の総重量の20重量%までを構成する。
【0006】
触媒コークスは、操業中に時間が経過するとともに、一定の変換率を維持するためには通常は高い温度が要求されるので、重質芳香族アルキル化プロセスに関するもう1つの問題は触媒の経年変化である。最大反応器温度に到達すると、触媒は交換または再生が必要になる。供給物のC9+:C6またはC7組成比に応じて、高C9+:C7比85:15に対するわずか9ヶ月から、低C9+:C7比20:80に対する約5年までサイクル長が変化する。最近の研究によって、既存のトランスアルキル化触媒の経年劣化速度は、供給物における、2つ以上の炭素原子を持つ、エチル基およびプロピル基などのアルキル置換基を含有する芳香族化合物の存在に大きく依存することが分かった。したがって、これらの化合物は不均化反応によりC10+コークス前駆体を生成する傾向がある。
【0007】
高レベルのエチル置換基およびプロピル置換基を含有するC9+供給物の問題を解決するために、米国特許出願公開第2009/0112034号は、C9+芳香族原料をC6〜C7芳香族原料でトランスアルキル化するために用いられる触媒系を開示し、該触媒系は、(a)拘束指数(Constraint Index)の範囲が3−12である第1のモレキュラーシーブ、および、6〜10族の第1の金属元素の少なくとも1つを0.01重量%から5重量%を含む第1の触媒;および(b)拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブ、および、6〜10族の第2の金属元素の少なくとも1つを0から5重量%を含む第2の触媒を含み、前記第1の触媒と前記第2の触媒の重量比の範囲は5:95から75:25である。水素の存在下で第1の触媒および第2の触媒を前記C9+芳香族原料および前記C6〜C7芳香族原料と接触させる場合には、供給物のエチル基およびプロピル基の脱アルキル化に適した第1の触媒は、トランスアルキル化に適した前記第2の触媒の前に位置する。
【0008】
米国特許出願公開第2009/0112034号の多重触媒床系では、重質芳香族供給物のトランスアルキル化で、単一の触媒床プロセスで著しい改善を示すが、第1の触媒は、エチルおよびプロピル置換芳香族を脱アルキル化し、および結果として生じるオレフィンを飽和させるほかに、さらに、芳香族飽和副反応を促進する傾向があるという不利益に苦しんでいる。この反応は、反応器温度が最も低い温度である場合のサイクルの開始時に主に係わっており、並びに、芳香族生成を低減し、および飽和生成物を生成するので好ましくない。さらに、これらの飽和生成物のいくつか、たとえばシクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンは、ベンゼンに近い沸点を持つので、高純度ベンゼンの回収を困難にしている。この問題は、開始時に金属触媒を硫化し、芳香族の飽和活性を低減することによって緩和できるけれども、これには、施設の追加、および金属硫化を生じさせる硫化剤を添加する必要があるので、大抵の場合に好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、触媒の事前硫化を必要とせずに、芳香族の飽和問題を低減するとともに、多重床触媒系の利益を保持する、C9+芳香族トランスアルキル化プロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、本発明は、C6および/またはC7芳香族炭化水素でC9+芳香族炭化水素原料をトランスアルキル化することによって、キシレンを生成するためのプロセスに関し、該プロセスは、
(a)C2+アルキル基を含有する原料中の芳香族炭化水素を脱アルキル化し、および形成されたC2+オレフィンを飽和させることに効果的な条件で、C9+芳香族炭化水素原料、少なくとも1つのC6および/またはC7芳香族炭化水素、並びに水素を、第1の触媒と接触させて、第1の排出物を生成する工程であって、該第1の触媒は、(i)拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブ、および(ii)元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属、または、それらの金属の化合物を含む工程と、
(b)C9+芳香族炭化水素を前記少なくとも1つのC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化することに効果的な条件で、前記第1の排出物の少なくとも一部を、拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブを含む第2の触媒と接触させて、キシレンを含む第2の排出物を形成する工程を含む。
【0011】
都合良くは、第1の金属は、白金、パラジウム、イリジウム、およびレニウムの少なくとも1つであり、および第2の金属は、銅、銀、金、ルテニウム、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、スズおよび亜鉛の少なくとも1つである。
【0012】
一実施形態では、第1の金属は白金を含有し、および前記第2の金属は銅を含有する。
【0013】
都合良くは、第1の金属は第1の触媒中に第1の触媒の約0.001重量%から約5重量%の量で存在し、および第2の金属は第1の触媒中に第1の触媒の約0.001重量%から約10重量%の量で存在する。
【0014】
都合良くは、前記第1のモレキュラーシーブは、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58の少なくとも1つを含む。都合良くは、第2のモレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミ化されたY(DealY)、モルデナイト、NU−87、ZSM−3、ZSM−4(マザイト(Mazzite))、ZSM−12、ZSM−18、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、EMM−10、EMM−10−PおよびZSM−20の少なくとも1つを含む。一実施形態では、前記第1のモレキュラーシーブはZSM−5であり、および第2のモレキュラーシーブはZSM−12である。
【0015】
都合良くは、第1のモレキュラーシーブのアルファ値の範囲は100から1500であり、および第2のモレキュラーシーブのアルファ値の範囲は20から500である。
【0016】
都合良くは、第2の触媒は、第1の触媒に含有されているものと同一の第1の金属および第2の金属またはそれらの金属の化合物をも含有する。
【0017】
都合良くは、第1の触媒と第2の触媒の重量比の範囲は、5:95から75:25である。
【0018】
都合良くは、接触工程(a)および(b)で使用される条件には、約100から800℃の温度範囲、約790から約7000kPa−aの圧力範囲、約0.01から約20のH2:HCモル比の範囲、および約0.01時間-1から約100時間-1のWHSVの範囲が含まれる。
【0019】
都合良くは、該プロセスは、
(c)前記第2の排出物中の非芳香族環状炭化水素を分解し、およびキシレンを含有する第3の排出物を形成することに効果的な条件で、キシレンを含む前記第2の排出物の少なくとも一部を、拘束指数の範囲が約3から約12である第3のモレキュラーシーブを含む第3の触媒と接触させる工程と、
(d)前記第3の排出物からキシレンを回収する工程をさらに含む。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、C9+芳香族炭化水素原料をC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化するための触媒系に関する。該触媒系は、
(a)(i)拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブ、および(ii)異なるベンゼン飽和活性を有する、元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属またはそれらの金属の化合物を含む第1の触媒床と、
(b)拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブを含む第2の触媒床とを含み、
ここで前記第2の触媒に対する前記第1の触媒の重量比の範囲は約5:95から約75:25であり、および、触媒系が、水素の存在下で、前記C9+芳香族炭化水素原料および前記C6〜C7芳香族炭化水素と接触する場合には、前記第1の触媒床は前記第2の触媒床の上流に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Pt/ZSM−5触媒、硫化Pt/ZSM−5触媒およびPtCu/ZSM−5触媒を用いた実施例1のC9+芳香族トランスアルキル化プロセスで、反応器温度に対して飽和芳香族環の重量%をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
重質芳香族炭化水素原料をC6および/またはC7芳香族炭化水素でトランスアルキル化することによって、キシレンを生成するためのプロセスおよび多重床触媒系が本明細書には記載されている。特に、触媒系は、少なくとも2つ、オプションで3つの触媒床を含み、触媒系が重質芳香族炭化水素原料およびC6〜C7芳香族炭化水素に接触する場合には、第1の触媒床は、第2の触媒床の上流に位置し、もし存在する場合には、第3の触媒床は、第2の触媒床の下流に位置するように触媒床が配置される。第1の触媒床は、C2+アルキル基を含有する重質芳香族原料の芳香族炭化水素を脱アルキル化し、結果として生じるC2+オレフィンを飽和させることに効果的であり、一方、第2の触媒床は、重質芳香族炭化水素をC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化し、キシレンを生成することに効果的である。オプションの第3の触媒床は、該第1のおよび第2の触媒床からの排出物中の非芳香族環状炭化水素を分解することに効果的である。
【0023】
(原料)
本明細書で使用される用語「Cn+」は、少なくともn個の炭素原子を含有する化合物、または、基を意味し、ここでnは正の整数である。さらに、「Cn+芳香族炭化水素原料」という用語は、少なくともn個の炭素原子を1分子当たり含む芳香族炭化水素を、50重量%を超えて含有する原料を意味し、ここでnは正の整数である。
【0024】
このように、本発明のプロセスに使用される重質芳香族原料は、少なくとも9つの炭素原子を含有する1つまたは複数の芳香族化合物を50重量%よりも多く、都合良くは少なくとも80重量%、典型的には少なくとも90重量%含む。典型的な供給物中に見い出される具体的なC9+芳香族化合物には、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、ジュレン(1,2,4,5−テトラメチルベンゼン)、ヘミメリテン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、エチルトルエン、エチルキシレン、プロピル置換ベンゼン、ブチル置換ベンゼン、およびジメチルエチルベンゼンが含まれる。C9+芳香族の適切な供給源は、触媒改質油、FCCナフサまたはTCCナフサなどの、芳香族が豊富ないずれかの精製プロセスのいずれかのC9+フラクションである。
【0025】
プロセスへの供給物には、ベンゼンおよび/またはトルエン、典型的にはトルエンも含む。該供給物は、トランスアルキル化反応の排出物からキシレン生成物を分離した後に再利用される、未反応トルエンおよびC9+芳香族原料も含んでもよい。典型的には、C6および/またはC7芳香族炭化水素は、総供給物の10重量%から70重量%などの、90重量%までを構成し、一方、C9+芳香族成分は、トランスアルキル化反応への総供給物の30重量%から85重量%などの、少なくとも10重量%を構成する。
【0026】
原料は、単一の芳香族環に対するメチル基のモル比によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、混合された原料(C9+芳香族原料とC6〜C7芳香族原料の混合)の単一の芳香族環に対するメチル基のモル比の範囲は、1から2.5、たとえば1.5から2.25などを含む0.5から4である。
【0027】
(第1の触媒床)
本発明の触媒系に用いられる第1の触媒床は、拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブと、元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属、または、それらの金属の化合物を含む第1の触媒を有する。
【0028】
拘束指数は、アルミノケイ酸塩または他のモレキュラーシーブが、種々のサイズの分子に対して、その内部構造への制御されたアクセスをどの程度まで可能とするかの簡便な尺度である。たとえば、その内部構造へのアクセス、およびその内部構造からの脱出を高度に制限するモレキュラーシーブの拘束指数は高い値である。この種のモレキュラーシーブの細孔の直径は一般的に小さく、たとえば5オングストローム未満である。その一方で、それらの内部の細孔構造に比較的自由にアクセスできるモレキュラーシーブの拘束指数の値は小さく、一般的に細孔のサイズは大きい。拘束指数が決定される方法は、米国特許第4,016,218号に十分に記載されており、その方法の詳細を参照によって本明細書に援用する。
【0029】
第1の触媒に使用される適切なモレキュラーシーブは、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58の少なくとも1つを含む。ZSM−5は、米国特許第3,702,886および再発行第29,948号に詳細に記載されている。ZSM−11は、米国特許第3,709,979号に詳細に記載されている。ZSM−22は、米国特許第4,556,477号および5,336,478号に記載されている。ZSM−23は、米国特許第4,076,842号に記載されている。ZSM−35は、米国特許第4,016,245号に記載されている。ZSM−48は、米国特許第4,234,231号および4,375,573号により詳細に記載されている。ZSM−57は、米国特許第4,873,067号に記載されている。ZSM−58は、米国特許第4,698,217号に記載されている。
【0030】
好ましい1つの実施形態では、第1のモレキュラーシーブは、ZSM−5、特に平均の結晶の大きさが約0.05マイクロメータなどの0.1マイクロメータ未満の大きさであるZSM−5を含有する。
【0031】
都合良くは、第1のモレキュラーシーブのアルファ値の範囲は約100から約1500であり、約150から約1000、たとえば約300から約600などである。アルファ値は触媒の分解活性の測定値であり、および、その記載がそれぞれ参照によって本明細書に援用される、米国特許第3,354,078号、およびJournal of Catalysis, Vol. 4, 527頁(1965); Vol. 6, 278頁(1966);およびVol.61, 395頁(1980)に記載されている。本明細書で使用した試験の実験条件は、詳細がJournal of Catalysis、Vol.61、395頁に記載される一定温度538℃および可変流量を含む。
【0032】
通常、第1のモレキュラーシーブは、アルミナに対するシリカのモル比が1000未満であり、典型的には約10から約100である、アルミノケイ酸塩である。
【0033】
典型的には、第1の触媒は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、および最も好ましくは少なくとも65重量%の第1のモレキュラーシーブを含む。
【0034】
モレキュラーシーブの拘束指数の範囲は約3から約12であることに加えて、第1の触媒は、元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属、または、それらの金属の化合物を含む。本明細書で使用する場合、周期表の族番号付け体系は、Chemical and Engineering News、63(5)、27(1985)で使用されている例にならう。
【0035】
第1の金属は、白金、パラジウム、イリジウム、レニウムおよびそれらの混合物から、通常、選択され、一方、第2の金属は、第1の金属のベンゼン飽和活性よりも低くくなるように選択され、および、都合良くは、銅、銀、金、ルテニウム、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、スズおよび亜鉛の少なくとも1つから選択される。一実施形態では、第1の金属は白金を含み、および前記第2の金属は銅を含む。
【0036】
都合良くは、第1の金属は第1の触媒中に、第1の触媒の約0.001重量%から約5重量%の間の量で存在し、および第2の金属は第1の触媒中に、第1の触媒の約0.001重量%から約10重量%の間の量で存在する。
【0037】
ほとんどの場合、第1の触媒は、今回のトランスアルキル化プロセスで用いられる温度および他の条件に耐えられる、バインダーまたはマトリックス材料も含む。該材料としては、活性および非活性材料並びに合成または自然発生的なゼオライトばかりではなく、粘土、シリカおよび/またはアルミナなどの金属酸化物などの無機材料が挙げられる。無機材料は、シリカおよび金属酸化物の混合物を含む、自然発生的な形態、またはゼラチン状沈殿物またはゲルの形態の何れであってもよい。それ自体に触媒活性があるバインダーまたはマトリックス材料の使用によって、変換率を変化させ、および/または、触媒組成物の選択制を変化させることができる。非活性材料は、変換量を制御する希釈剤として好適に機能するので、反応速度を制御するための他の方法を用いることなく、トランスアルキル化生成物を経済的および秩序正しい方法で得ることができる。これらの触媒活性がある、または非活性な材料には、たとえばベントナイトおよびカオリンなどの自然発生的な粘土があり、商業的な動作条件で、触媒組成物の破壊強度を改良する。
【0038】
第1のモレキュラーシーブと、触媒組成物のためのバインダーとして混合できる自然発生的な粘土としては、モンモリナイト属とカオリン属が挙げられ、その属としては、サブベントナイト類、およびディクシー(Dixie)、マクナミー(McNamee)、ジョ−ジア(Georgia)およびフロリダ粘土として一般に知られるカオリン類、または、主要無機成分がハロイサイト、カオリナイト、ディクタイト、ナクライト、またはアナウザイトである他の物質が挙げられる。該粘土は最初に採鉱されたままの状態、または、最初に焼成、酸処理または化学修飾した状態で使用できる。
【0039】
前述の材料に加えて、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、トリア、ベリリア、マグネシア、並びに、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア、ばかりではなく、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニアなどの三元組成物等、それらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物などの多孔質マトリックスバインダー材料と第1のモレキュラーシーブは混合できる。触媒組成物の押出成形を補助するように、前述の多孔質マトリックスバインダー材料の少なくとも一部をコロイド状で供給することも有利である。
【0040】
典型的には、第1のモレキュラーシーブは、バインダーまたはマトリックス材料と混合されて、第1の触媒組成物は5重量%から95重量%、典型的には10重量%から60重量%の量のバインダーまたはマトリックス材料を含有する。
【0041】
(第2の触媒床)
第2の触媒床は、拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブ、および、オプションで、元素の周期表の6族から12族の1つまたは複数の金属、または、それらの金属の化合物を含有する第2の触媒を有する。
【0042】
第2の触媒組成物に使用することに適切なモレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミ化されたY(DealY)、モルデナイト、NU−87、ZSM−3、ZSM−4(マザイト(Mazzite))、ZSM−12、ZSM−18、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、MCM−36、MCM−49、MCM−56、EMM−10、EMM−10−PおよびZSM−20の少なくとも1つを含む。ゼオライトZSM−4は、米国特許第3,923,636号に記載されている。ゼオライトZSM−12は、米国特許第3,832,449号に記載されている。ゼオライトZSM−20は、米国特許第3,972,983号に記載されている。ゼオライトベータは、米国特許第3,308,069号、および再発行番号28,341号に記載されている。低ナトリウム超安定Yモレキュラーシーブ(USY)は、米国特許第3,293,192号および3,449,070号に記載されている。脱アルミ化されたYゼオライト(DealY)は、米国特許第3,442,795号で見い出される方法によって調製することができる。ゼオライトUHP−Yは、米国特許第4,401,556号に記載されている。希土類交換Y(REY)は、米国特許第3,524,820号に記載されている。モルデナイトは自然発生的な材料であるが、TEA−モルデナイト(たとえば、テトラエチルアンモニウム誘導剤を含有する反応混合物から調製される合成モルデナイト)などの合成形態によっても入手することができる。TEA−モルデナイトは、米国特許第3,766,093号および3,894,104号に開示されている。MCM−22は、米国特許第4,954,325号に記載されている。PSH−3は、米国特許第4,439,409号に記載されている。SSZ−25は、米国特許第4,826,667号に記載されている。MCM−36は、米国特許第5,250,277号に記載されている。MCM−49は、米国特許第5,236,575号に記載されている。MCM−56は、米国特許第5,362,697号に記載されている。
【0043】
好ましい1つの実施形態では、第2のモレキュラーシーブは、ZSM−12であって、特に、平均の結晶の大きさが約0.05マイクロメータなどの0.1マイクロメータ未満であるZSM−12を含む。
【0044】
都合良くは、第2のモレキュラーシーブのアルファ値は少なくとも20であり、約20から約500、たとえば約30から約100などである。
【0045】
通常、第2のモレキュラーシーブは、アルミナに対するシリカのモル比が500未満、典型的には約50から約300であるアルミノケイ酸塩である。
【0046】
典型的には、第2の触媒は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、および最も好ましくは少なくとも65重量%の第2のモレキュラーシーブを含有する。
【0047】
オプションで、第2の触媒は、元素の周期表の6族から12族の少なくとも1つの金属および好ましくは少なくとも2つの金属、またはそれらの金属の化合物を含有する。通常、第2の触媒には、第1の触媒に含有される量と同量の第1の金属および第2の金属が存在する。
【0048】
通常、第2の触媒も、バインダーまたはマトリックス材料を含み、それらは、第1の触媒に適切なものとして挙げられている材料のいずれかであってもよく、第2の触媒組成物の5重量%から95重量%の範囲、典型的には10重量%から60重量%であってもよい。
【0049】
都合良くは、第1の触媒と第2の触媒の重量比の範囲は、5:95から75:25である。
【0050】
(オプションの第3の触媒床)
本発明の多重床触媒系に使用される第1のおよび第2の触媒床に加えて、第2の触媒床の下流に第3の触媒床を組み込み、および、第1のおよび第2の触媒床からの排出物中の非芳香族環状炭化水素を効果的に分解することが望ましい場合がある。第3の触媒床は、約1から約12の拘束指数を持つ第3のモレキュラーシーブを含む第3の触媒を含む。第3の触媒として使用するのに適切なモレキュラーシーブは、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ゼオライトベータ、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58の少なくとも1つを含み、好ましくはZSM−5である。
【0051】
(触媒の生成)
第1のおよび第2の触媒の金属成分は、共結晶化によって触媒組成物に取り込むか、、たとえばアルミニウムなどの13族元素がモレキュラーシーブ構造中にあるという限度において組成物中に変換するか、モレキュラーシーブ構造中に含浸させるか、または、モレキュラーシーブおよびバインダーと混合することができる。たとえば、金属成分は、たとえば白金の場合には、白金金属含有イオンを含む溶液でモレキュラーシーブを処理することによって、モレキュラーシーブの中または上に含浸させることができる。触媒に白金を含浸させるための適切な白金化合物には、クロロ白金酸、塩化第一白金およびPt(NH34Cl22Oなどの白金アミン錯体を含むさまざまな化合物が挙げられる。かわりに、モレキュラーシーブをバインダーと混合する場合に、または、押出成形、またはペレット化によって、モレキュラーシーブおよびバインダーを粒子に形成後に、水素化成分の化合物をモレキュラーシーブに添加してもよい。第2の金属成分を、第1の金属成分と同時に、第1の金属成分と同一の方法で触媒組成物に取り込んでもよい。かわりに、第1の金属成分の取り込み後に、第2の金属成分を触媒組成物に取り込んでもよく、これは、同一の方法または代わりの方法で実施される。
【0052】
金属成分の取り込み後に、モレキュラーシーブは、通常、温度65℃〜160℃、典型的には110℃〜143℃で、少なくとも1分から通常24時間以下で、圧力100kPa−aから200kPa−aの範囲で加熱して乾燥させる。その後、モレキュラーシーブは空気または窒素などの乾性ガス流中で、260℃から650℃の温度で1時間から20時間焼成される。焼成は、典型的には、100kPa−aから300kPa−aの範囲の圧力で実施される。
【0053】
本発明の多重床触媒系の有利な点の1つは、芳香族水素化活性が低いことであるが、場合によっては、触媒床の1つまたは複数を、使用前に水蒸気処理および/または硫化処理することが望ましい場合がある。水蒸気処理は、少なくとも260℃から650℃の温度で、少なくとも1時間、典型的には1時間から20時間、100kPa−aから2590kPa−aの圧力で、触媒組成物を5%から100%の水蒸気に接触させることによって実施される。硫化処理は、都合良くは、約320℃から480℃の温度範囲で約1時間から約24時間、触媒を硫化水素などの硫黄源に接触させることによって実施される。
【0054】
(トランスアルキル化装置およびプロセス)
第1のおよび第2の触媒床および、存在する場合には、第3の触媒床はそれぞれ別の反応器の中に位置してもよいが、都合良くは単一の反応器の中に位置し、典型的には、アルミナボールまたはアルミナサンドなどのスペーサまたは不活性材料によって、相互に分離される。かわりに、第1のおよび第2の触媒床が1つの反応器の中に位置し、および第3の触媒床が異なる反応器に位置してもよい。さらに別の形態として、第1の触媒床が1つの反応器に位置し、および第2のおよび第3の触媒床が異なる反応器に位置してもよい。すべての場合に、第1の触媒は第2の触媒および炭化水素原料と混合されず、および、第2の触媒床に接触する前に、水素は第1の触媒床と接触するように構成される。同様に、第3の触媒床がある場合には、炭化水素原料および水素は、第3の触媒床に接触する前に、第2の触媒床に接触するように構成される。
【0055】
動作中、第1の触媒床は、重質芳香族原料中のC2+アルキル基を含有する芳香族炭化水素を脱アルキル化し、結果として生じるC2+オレフィンを飽和させるのに効率的な条件下で維持される。第1の触媒床を運転するための適切な条件には、約100℃から約800℃、好ましくは約300℃から約500℃の温度範囲、約790から約7000kPa−a、好ましくは約2170から3000kPa−aの圧力範囲、約0.01から約20、好ましくは約1から10のH2:HCのモル比の範囲、および約0.01時間-1から約100時間-1、好ましくは約2時間-1から約20時間-1のWHSVの範囲が含まれる。
【0056】
第2の触媒床は、C9+芳香族炭化水素を前記少なくとも1つのC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化するのに効率的な条件下で維持される。第2の触媒床を運転するための適切な条件には、約100℃から約800℃、好ましくは約300℃から約500℃のの温度範囲、約790から約7000kPa−a、好ましくは約2170から3000kPa−aの圧力範囲、約0.01から約20、好ましくは約1から10のH2:HCのモル比の範囲、および約0.01から約100時間-1、好ましくは約1から約10時間-1のWHSVの範囲が含まれる。
【0057】
存在する場合には、第3の触媒床は、第2の触媒床からの排出物中の非芳香族環状炭化水素を分解するのに効率的な条件下で維持される。第3の触媒床を運転するための適切な条件には、約100℃から約800℃、好ましくは約300℃から約500℃の温度範囲、約790から約7000kPa−a、好ましくは約2170から3000kPa−aの圧力範囲、約0.01から約20であり、好ましくは約1から10のH2:HCのモル比の範囲、および約0.01から約100時間-1であって、好ましくは約1から約50時間-1のWHSVの範囲が含まれる。
【0058】
第1の触媒床、第2の触媒床およびオプションの第3の触媒床は単一の反応器に位置する場合、それぞれの床は実質的に同一条件で運転されることが明らかである。
【0059】
本発明は、実施例および添付図面を参照してより詳細に記載される。
【実施例】
【0060】
(実施例1〜3:2元金属MFIゼオライトを使用した重質芳香族供給物の脱アルキル化)
Si/Al2モル比が65で結晶寸法が0.14μmであるZSM−5ゼオライトを、Versal 300アルミナバインダーを使用して、1/16’’円柱状成形(実施例1および3)または1/20’’四葉状成形(実施例2)に成形し、アルミナに対するゼオライト結晶の質量比を1:1とした。ムリング(mulling)中にCuまたはCuPt溶液を添加し、0.115重量%Pt触媒(実施例1および3)または0.115重量%Pt、0.0375重量%Cu触媒(実施例2)を生成した。押出成型品を、538℃で2時間焼成し、次に800°F(427℃)で3時間100%の水蒸気に当てることで、酸性形態に変換し、触媒活性を穏やかにした。次に結果として生じた触媒を固定床マイクロユニットで試験した。反応器の圧力は350psig(2514kPa)であり、H2:HC比は2:1であった。反応器への供給物には、85%の重質芳香族と15%ベンゼン+トルエンが含まれていた。供給物の詳細な解析は表1に示される。
【表1】

【0061】
供給物を入れる前に、触媒を、水素中で410〜420℃で1時間還元した。実施例1および2の触媒では、供給物を入れる前に水素還元で試験したが、一方で実施例3の触媒では、水素還元後に420℃の水素中の400ppmH2Sを使用して、H2Sで硫化した。反応器へ添加された硫黄の総量は、供給物を入れる前に1モルPt当たり5モルSであり、および、供給物を入れた後にさらに1モルPt当たり10モルSであった。触媒の活性は、350psig(2514kPa)、H2:HCのモル比2:1で決定された。総供給流量は、グラム供給/グラム触媒/時間(WHSV)で表現すると、10時間-1であった。60m DB−WAXカラムでオンラインGC−FIDを使用して生成物の解析をした。結果を表2および図1に要約する。
【表2】

【0062】
供給物および生成物組成を表1および表2でそれぞれ比較すると、トランスアルキル化反応を触媒することなく、かなりの程度まで、すべての触媒が供給物を脱アルキル化することに非常に効果的であった。Pt−非硫化(実施例1)およびPt−Cu系(実施例2)では、88%〜90%の間で非常に類似した脱エチル化割合を持つ。Pt−硫化系(実施例3)では、80%とわずかに小さかった。しかしながら、Pt−非硫化系(実施例1)で生成された飽和物は、0.11重量%と、Pt−Cu系およびPt−硫化系で生成された飽和物の0.02重量%飽和物よりもかなり大きかった。この点はさらに、3触媒系に対して温度の関数として飽和環が示されている図1に示される。予想どおり、Pt−非硫化触媒(実施例1)では、温度が低くなるにしたがって、環の飽和化が増大する。二元触媒(実施例2)および硫化Pt−単一触媒(実施例3)の両方では、低温度では環の飽和化が著しく低いことが示さている。
【0063】
(実施例4二重床での重質芳香族のトランスアルキル化)
ベンゼンおよびトルエンによる重質芳香族のトランスアルキル化が、固定床マイクロユニットの二重床触媒系で実施された。以下の触媒系を評価した。
系A
最上床:0.115重量%Pt/50:50ZSM−5B:Al23
中間床:0.1重量%Pt/65:35ZSM−12:Al23
系B
最上床:0.115重量%Pt/0.0375重量%Cu/50:50ZSM−5B:Al2
中間床:0.1重量%Pt/0.0326重量%Cu/65:35ZSM−12:Al23
【0064】
反応器圧力は350psig(2514kPa)であり、WHSVは4であり、およびH2:HC比が2:1であった。反応器への供給物には、60%の重質芳香族と40%のトルエンが含有されていた。供給物の詳細な分析を表3に示す。開始時に、触媒床は、420℃で水素中で還元した。白金だけの触媒系(A)では、水素還元後にH2Sで硫化した。反応器へ添加された硫黄の総量は、供給物を入れる前に1モルPt当たり7モルSであり、および、供給物を入れた後にさらに1モルPt当たり10モルSであった。生成物の解析は、オンラインGC−FIDを使用して実施された。結果を表4に要約する。
【表3】

【表4】

【0065】
表3のデータから、系Bは、ほんのわずかに高い環損失であるが(2.6対3.1)、脱エチル化/脱プロピル化の割合が高く、変換率がわずかに高い。同一の脱エチル化および変換率であるならば、2つの系の環損失は非常に似ているであろうし、硫化が好ましくない場合には、二元金属触媒系の適切な使用が、白金だけの系に置き換わることを示す。二元金属系での高いエタン対エチレン比は、好ましいエチレン飽和に対して、良好な金属機能を示す。
【0066】
本発明は特定の実施形態を参照して記述され、説明されてきたが、当業者であれば、本発明はそれ自体が、本明細書に記載される必要のない変形形態を含むことを理解することができる。このために、本発明の真の範囲を定めるためには、添付の特許請求の範囲のみが参照される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6および/またはC7芳香族炭化水素でC9+芳香族炭化水素原料をトランスアルキル化することによって、キシレンを生成するためのプロセスであって、
(a)C2+アルキル基を含有する原料中の芳香族炭化水素を脱アルキル化し、および形成されたC2+オレフィンを飽和させることに効果的な条件で、C9+芳香族炭化水素原料、少なくとも1つのC6および/またはC7芳香族炭化水素、並びに水素を、第1の触媒と接触させて、第1の排出物を生成する工程であって、前記第1の触媒は、(i)拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブ、および(ii)元素の周期表の6族から12族の少なくとも第1および第2の異なる金属、または、それらの金属の化合物を含む工程と、
(b)C9+芳香族炭化水素を前記少なくとも1つのC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化することに効果的な条件で、前記第1の排出物の少なくとも一部を、拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブを含む第2の触媒と接触させて、キシレンを含む第2の排出物を形成する工程を含むプロセス。
【請求項2】
請求項1のプロセスにおいて、前記第1の金属は、白金、パラジウム、イリジウム、およびレニウムの少なくとも1つであるプロセス。
【請求項3】
請求項2のプロセスにおいて、前記第2の金属は、銅、銀、金、ルテニウム、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケル、スズおよび亜鉛の少なくとも1つであるプロセス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のプロセスにおいて、前記第1の金属は、白金を含み、および前記第2の金属は、銅を含むプロセス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のプロセスにおいて、前記第1のモレキュラーシーブはZSM−5であり、前記第2のモレキュラーシーブはZSM−12であるプロセス。
【請求項6】
請求項5のプロセスにおいて、前記ZSM−5の粒子サイズは1マイクロメータ未満であり、前記ZSM−12の粒子サイズは0.5マイクロメータ未満であるプロセス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のプロセスにおいて、
(c)前記第2の排出物中の非芳香族環状炭化水素を分解し、およびキシレンを含有する第3の排出物を形成することに効果的な条件で、キシレンを含む前記第2の排出物の少なくとも一部を、拘束指数の範囲が約3から約12である第3のモレキュラーシーブを含む第3の触媒と接触させる工程と、
(d)前記第3の排出物からキシレンを回収する工程をさらに含むプロセス。
【請求項8】
9+芳香族炭化水素原料をC6〜C7芳香族炭化水素でトランスアルキル化するための触媒系であって、
(a)(i)拘束指数の範囲が約3から約12である第1のモレキュラーシーブ、および(ii)元素の周期表の6〜12族の少なくとも第1および第2の異なる金属またはそれらの金属の化合物を含む第1の触媒床と、
(b)拘束指数が3未満である第2のモレキュラーシーブを含む第2の触媒床を含み、
前記第2の触媒に対する前記第1の触媒の重量比の範囲は約5:95から約75:25であり、および、水素の存在下で前記C9+芳香族炭化水素原料および前記C6〜C7芳香族炭化水素と接触させる場合には、前記第1の触媒床は前記第2の触媒床の上流に位置する触媒系。
【請求項9】
請求項8に記載の触媒系において、前記第1の金属は、白金、パラジウム、イリジウム、およびレニウムの少なくとも1つである触媒系。
【請求項10】
請求項9に記載の触媒系において、前記第2の金属は、銅、銀、金、ルテニウム、鉄、タングステン、モリブデン、コバルト、ニッケルおよび亜鉛の少なくとも1つである触媒系。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一項に記載の触媒系において、前記第1の金属は、白金を含み、および前記第2の金属は、銅を含む触媒系。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか一項に記載の触媒系において、前記第1のモレキュラーシーブは、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ZSM−57およびZSM−58の少なくとも1つを含む触媒系。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか一項に記載の触媒系において、前記第2のモレキュラーシーブは、ゼオライトベータ、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミ化されたY(DealY)、モルデナイト、NU−87、ZSM−3、ZSM−4(マザイト(Mazzite))、ZSM−12、ZSM−18、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、EMM−10、EMM−10−PおよびZSM−20の少なくとも1つを含む触媒系。
【請求項14】
請求項8乃至13の何れか一項に記載の触媒系において、前記第1のモレキュラーシーブはZSM−5であり、および前記第2のモレキュラーシーブはZSM−12であり、および前記ZSM−5の粒子サイズは1マイクロメータ未満であり、および前記ZSM−12の粒子サイズは0.5マイクロメータ未満である触媒系。
【請求項15】
請求項8乃至14の何れか一項に記載の触媒系において、
(c)拘束指数の範囲が約3から約12である第3のモレキュラーシーブを含む第3の触媒であって、水素の存在下で前記C9+芳香族炭化水素原料および前記C6〜C7芳香族炭化水素と接触させる場合に、前記第2の触媒床の下流に位置する前記第3の触媒床をさらに含む触媒系。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518715(P2013−518715A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551970(P2012−551970)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061308
【国際公開番号】WO2011/097003
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】