説明

重送検出装置及び画像形成装置

【課題】超音波を利用して封筒の重送を適切に検出する手法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、発信手段と受信手段とを含む重送検出センサー53と、受信手段から出力される検出信号に基づいて、用紙Pの重送を判定する超音波式重送判定を行う重送判定部としての制御部50と、を有している。この場合、制御部50は、用紙Pとして封筒が搬送された場合、封筒の通過期間における検出信号の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないことを条件に、封筒の重送を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重送検出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、給紙トレイから用紙を給紙する際に、重送、すなわち、互いに分離した2枚以上の用紙を重ね合わせたままの状態で搬送してしまうという事態が発生するため、重送を検出する手法を備えている。また、この類の画像形成装置が取り扱う用紙としては、普通紙や厚紙といった種類に限らず、封筒といった特殊な種類にも及ぶことがある。
【0003】
例えば特許文献1には、超音波式センサーを利用して用紙の重送を検出する手法が開示されている。この手法によれば、例えば封筒といった種類の用紙を搬送する場合には、用紙が重送であるのか、それとも正常に搬送されているのかが区別できないため、センサーからの検出結果に基づいて重送が判定された場合であっても、重送を判定した際に実行する処理を実行しないこととしている。
【0004】
なお、例えば特許文献2には、搬送される封筒の厚みを検出することにより、封筒の重送を検出する手法が開示されている。また、例えば特許文献3には、発光素子と受光素子とを組合せた封筒センサーの検出結果に基づいて、先行する封筒が重送防止部に入った後は、新たな封筒を送出部から送らないことにより、封筒の重送を抑制する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−168928号公報
【特許文献2】特開平11−24506号公報
【特許文献3】特開平9−278231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波方式を利用した手法は、封筒の厚みを事前に設定する手間が不要なこと、光学センサーのように厚紙について検出が困難となるといった不都合がないことから、重送の検出手法として優れる点も多い。一方で、封筒の重送が発生した場合には、未印刷な封筒を搬送するという不都合のみならず、ジャムの発生や搬送部材の損傷を招来するため、封筒の重送を適切に検出する手法が望まれていた。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波を利用して封筒の重送を適切に検出する手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、用紙の重送を検出する重送検出装置を提供する。この重送検出装置は、超音波を発信する発信手段と、用紙を搬送する搬送路を挟んで発信手段と対向配置されて、受信した超音波の強度に応じたレベルの検出信号を出力する受信手段と、受信手段から出力される検出信号に基づいて、用紙の重送を判定する超音波式重送判定を行う重送判定部と、を有する。この場合、重送判定部は、用紙として封筒が搬送された場合、封筒の通過期間における検出信号の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないことを条件に、封筒の重送を判定する。
【0009】
ここで、第1の発明は、用紙の搬送路において発信手段及び受信手段よりも上流側に配置されており、用紙搬送方向と平行な用紙の長さを用紙長として検出する用紙長検出センサーをさらに有することが好ましい。この場合、重送判定部は、用紙長検出センサーにより検出された用紙長が、当該用紙に対して予め規定された基準用紙長と対応する場合に、超音波式重送判定を実行することが望ましい。
【0010】
また、第1の発明において、重送判定部は、封筒の底部が先端、封筒のフラップ部が後端となるように搬送される封筒を対象として、超音波式重送判定を行うことが望ましい。
【0011】
また、第2の発明は、用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部に用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙搬送部により搬送される用紙の重送を検出する、第1の発明のいずれかに記載された重送検出装置と、を有する画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紙の枚数に応じた超音波の減衰特性と、封筒の形態的な特徴とを組み合わせることで、超音波を利用して封筒の重送を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図
【図2】用紙としての封筒を示す説明図
【図3】本実施形態にかかる画像形成装置の制御系を概略的に示すブロック図
【図4】重送検出センサーの構成を示す模式図
【図5】本実施形態にかかる重送検出処理を示すフローチャート
【図6】封筒を透過する超音波の様子を模式的に示す説明図
【図7】封筒の通過期間における検出信号の推移を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図である。この画像形成装置は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0015】
画像形成装置は、原稿読取装置SC、4組の画像形成部10Y,10M,10C,10K、定着装置40を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0016】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部50に入力される。なお、制御部50に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0017】
4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成部10Kである。
【0018】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成部10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0019】
感光体ドラム1Y〜1Kは、帯電部2Y〜2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Yによる走査露光により、感光体ドラム1Y〜1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y〜4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y〜1K上の潜像を顕像化する。これにより、各感光体ドラム1Y〜1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックに対応するトナー画像がそれぞれ形成される。各感光体ドラム1Y〜1K上に形成されたトナー画像は、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写される。
【0020】
中間転写ベルト6上に転写された各カラーよりなるトナー画像は、用紙Pが所定のタイミングで搬送されることにより、2次転写ローラー9により用紙Pに転写される。
【0021】
用紙搬送部20は、用紙Pを搬送する。用紙Pは、種類毎に異なる給紙トレイ21に収容されており、所定の給紙トレイ21に収容された用紙Pは、第1給紙部22により最上面の一枚が取り込まれ、搬送路へと送り出される。この搬送路において、用紙Pに画像を形成する画像形成位置、本実施形態では、用紙Pにトナー画像を転写する転写位置(すなわち、中間転写ベルト6と2次転写ローラー9とのニップ部)よりも上流側には、複数の中間搬送ローラーや、レジストローラー23が配置されている。第1給紙部22から送り出された用紙Pは、複数の中間搬送ローラー及びレジストローラー23によって搬送されることにより、転写位置へと搬送される。
【0022】
給紙トレイ21に収容される用紙としては、A4,A3といった各種サイズの普通紙が挙げられるが、これ以外にも、長型3号、角形3号といった各種サイズの封筒が挙げられる。図2は、用紙Pとしての封筒Saを示す説明図であり、封筒Saは、一辺が開放されて封入口として機能する袋状の胴部S1と、封入口を閉じるためのフラップS2とを備えている。封筒Saは、封入物を胴部S1に封入する方向を用紙搬送方向FDと対応させて搬送されるが、特に、フラップS2側を先端として封筒を搬送した場合には、封入口により搬送不良を引き起こす場合がある。そのため、封筒Saを搬送する場合には、封入口と対向する胴部S1の底辺が先端となるように、給紙トレイ21への収容方向が予め設定されている。
【0023】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置40へ搬送される。定着装置40は、未定着な状態のトナー画像を用紙Pに定着する装置であり、例えば、定着ニップ部を形成する一対の定着部材(例えば定着ローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒータとで構成されている。この定着装置40は、搬送過程において当該用紙Pが定着ニップ部を通過することより、一対の定着部材による加圧と、定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0024】
定着装置40により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラーにより、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ24に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、ガイド部材30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、複数の中間搬送ローラーによって搬送され、これにより、転写位置へと至る搬送路へと用紙Pを回帰させる。
【0025】
図3は、本実施形態にかかる画像形成装置の制御系を概略的に示すブロック図である。制御部50は、画像形成装置を統合的に制御する機能を担っており、CPU11a、ROMやRAMなどのメモリ11b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)11c、通信I/F部11dなどを備えるコンピューターであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。
【0026】
制御部50は、これを機能的に捉えた場合、画像形成制御部50aと、重送判定部50bとを有している。
【0027】
画像形成制御部50aとしての制御部50は、画像形成装置の各部(例えば、画像形成部10Y〜10K、用紙搬送部20及び定着装置40など)を制御することにより、以下に示す各プロセスを実行し、用紙Pにトナー画像を形成する。
(1)感光体ドラム1Y〜1Kを帯電させる
(2)光書込部3Y〜3Kにより感光体ドラム1Y〜1K上に静電潜像を形成する
(3)形成された静電潜像にトナーを付着させる
(4)感光体ドラム1Y〜1K上のトナー画像を中間転写ベルト6に一次転写させる
(5)用紙搬送部20により用紙Pを搬送する
(6)中間転写ベルト6上のトナー画像を用紙Pに二次転写させる
(7)定着装置40により用紙Pに転写されたトナー画像に定着処理を施す
【0028】
操作部60は、画像形成装置の上部に配置されており(図1参照)、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部50に出力する。操作部60としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部60を通じて、ユーザーは、印刷条件、用紙Pの種類(例えば、普通紙又は封筒といった用紙形態やサイズ)、印刷部数などを設定することができる。また、制御部50は、操作部60を制御することにより、当該操作部60を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0029】
また、重送判定部50bとしての制御部50は、後述する重送検出センサー53から出力される検出信号に基づいて、用紙Pの重送を判定する超音波式重送判定を行う。この場合、制御部50は、用紙Pとして封筒Saが搬送された場合、封筒Saの通過期間における検出信号の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないことを条件に、封筒Saの重送を判定する。
【0030】
このような制御を行うために、制御部50には、用紙長検出センサー51,52及び重送検出センサー53からの検出信号が入力されている。
【0031】
用紙長検出センサー51,52は、用紙Pの搬送路に配置されており、用紙搬送方向FDにおける用紙Pの長さを用紙長として検出する。用紙長検出センサー51は、例えば給紙トレイ21の近傍に配置されており、用紙長検出センサー52は、例えば手差し用の給紙トレイの近傍に配置されている。個々の用紙長検出センサー51,52は、例えば発光素子と受光素子とを有する反射型の光学センサーである。用紙長検出センサー51,52は、通常オフ信号を出力しており、用紙Pがセンサーの検出位置を通過している間においてオン信号を出力する。かかる用紙長検出センサー51,52のオン期間に基づいて、制御部50は用紙長を認識することができる。
【0032】
図4は、重送検出センサー53の構成を示す模式図である。重送検出センサー53は、2枚のガイド板G1、G2の間に画定される用紙Pの搬送路に配置されている。この重送検出センサー53は、超音波センサーであり、発信手段53aと、用紙Pの搬送路を挟んで発信手段53aと対向配置される受信手段53bとで構成されている。発信手段53aは、例えば図示しない電力増幅回路等を介して制御部50と接続されており、制御部50から出力される所定周波数のパルスを電力増幅回路で増幅し、増幅されたパルス信号に応じて発信手段53aが駆動することにより超音波を発信する。一方、受信手段53bは、例えば図示しない出力増幅回路及び整流平滑回路等を介して制御部50と接続されており、受信した超音波の強度に応じたレベルの検出信号を制御部50に出力する。
【0033】
図5は、本実施形態にかかる重送検出処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ジョブの実行をトリガーとして、制御部50によって実行される。
【0034】
まず、ステップ1(S1)において、制御部50は、用紙Pの搬送を開始する。制御部50は、ユーザーによって指定される印刷条件から搬送対象となる用紙Pの種類を認識すると、複数の給紙トレイ21のうちのユーザーの指定に対応した給紙トレイ21から用紙Pを第1給紙部22により給紙する。第1給紙部22により搬送路へと送り出された用紙Pは、その後、中間搬送ローラー及びレジストローラー23を経て、転写位置へと搬送されることとなる。
【0035】
ステップ2(S2)において、制御部50は、用紙長検出センサー51,52から出力される検出信号に基づいて、搬送される用紙Pの用紙長を検出する。
【0036】
ステップ3(S3)において、制御部50は、検出された用紙長が、基準用紙長と対応するか否かを判断する。制御部50は、用紙Pの種類と、その種類の用紙Pに対して予め規定された基準用紙長との対応関係を保持しており、印刷条件より認識した用紙Pの種類と対応する用紙基準長を、検出された用紙長と比較する。用紙Pが重送状態であっても、用紙P同士が用紙搬送方向FDにずれて重なり合っている場合には、検出される用紙長は基準用紙長よりも長くなる。そこで、このステップ3により、制御部50は、用紙Pが重送状態のうち、用紙P同士がずれて重なり合っている状態であるか否かを判断する。このステップ3において肯定判定された場合、すなわち、検出された用紙長が基準用紙長と対応する場合には、ステップ4(S4)に進む。一方、ステップ3において否定判定された場合、後述するステップ7(S7)に進む。
【0037】
ステップ4(S4)において、制御部50は、重送検出センサー53による重送検出を行う。具体的には、制御部50は、用紙Pが重送検出センサー53を通過する期間(通過期間)に合わせて、発信手段53aより超音波の発信の開始及び終了を実行する。また、制御部50は、発信手段53aが発信した超音波に対応して、受信手段53bから出力される検出信号をモニタリングする。
【0038】
ステップ5(S5)において、制御部50は、重送検出の対象となる用紙Pの種類が封筒であるか否かを判断する。このステップ5において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの種類が封筒である場合には、ステップ6(S6)に進む。一方、ステップ5において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの種類が封筒でない場合には、後述するステップ8(S8)に進む。
【0039】
ステップ6において、制御部50は、重送検出において検出された検出信号の推移に基づいて、1枚相当の出力、すなわち、1枚の紙に対応する信号レベルがあったか否かを判定する。
【0040】
ここで、図6は、封筒Saを透過する超音波の様子を模式的に示す説明図である。同図に示すように、発信手段53aから発信された超音波が封筒Saの胴部S1を通過する際には、重ね合わせられた2枚の紙を通過することとなる。この場合、発信手段53aからの超音波は、紙1枚あたりの通過に対応して減衰する。なぜならば、胴部S1を構成する2枚の紙の間には、封入物を収容するための空間としての空気層が存在しており、超音波は、異なる種類の媒体の境界、すなわち、紙と空気との境界を通過する際に著しく減衰するという特性を有するからである。また、重ね合わせた2枚の紙を超音波が通過する場合には、個々の紙においてそれぞれ超音波が減衰するため、受信手段53bにより受信される超音波の強度は著しく低下したものとなる。この場合、重ね合わせた2枚の紙を通過した際の超音波の強度は、重ね合わせた3枚以上の紙を通過した際のそれと同等の値を示す傾向となる。したがって、紙の重ね合わせがないケースと、2枚以上の紙が重ね合わさっているケースとで、受信手段53bにより受信される超音波の強度は区別されることとなる。
【0041】
よって、胴部S1に対応する領域では、複数枚の封筒Saが重送されている場合(すなわち、重ね合わせた4枚以上の紙が存在する場合)であっても、封筒Saが重送されていない場合(すなわち、重ね合わせた2枚の紙が存在する場合)であっても、受信部53bからの信号レベルには、概ね相違がないこととなる。
【0042】
一方、フラップ部S1に対応して出力される検出信号は、複数枚の封筒Saが重送されている場合(すなわち、重ね合わせた2枚以上の紙(フラップ部)が存在する場合)と、封筒Saが重送されていない場合(すなわち、紙(フラップ部)に重ね合わせがない場合)とにおいて、受信部53bからの信号レベルに差異が生じることとなる。
【0043】
すなわち、図7に示すように、封筒Saが重送されていない場合であれば、胴部S1に対応して出力される検出信号と、フラップ部S2に対応して出力される検出信号とについて、信号レベルが明確に相違することとなる。すなわち、封筒Saの通過期間における検出信号(V)の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れることとなる(同図(a)参照)。一方、複数枚の封筒Saが重送されている場合であれば、胴部S1に対応して出力される検出信号と、フラップ部S2に対応して出力される検出信号とが対応する。すなわち、封筒Saの通過期間における検出信号(V)の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないこととなる(同図(b)参照)。
【0044】
このような超音波の特性を踏まえ、制御部50は、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れた場合、すなわち、1枚の紙に相当する信号レベルがあった場合には、封筒Saの重送を判定しない。この場合、ステップ6の肯定判定に従い、本ルーチンを抜ける。一方、制御部50は、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れない場合、すなわち、1枚の紙に相当する信号レベルがない場合には、封筒Saの重送を判定する。この場合、ステップ6の否定判定に従い、ステップ7(S7)に進む。
【0045】
ステップ7において、制御部50は、重送処理を行う。この重送処理は、重送の発生に伴い実行する処理であり、例えば、用紙Pの搬送の中止や、重送が発生した旨のメッセージを操作部60へ表示するといった如くである。
【0046】
一方、ステップ5における否定判定に続くステップ8において、制御部50は、重送検出において検出された検出信号の推移に基づいて、複数枚相当の出力、すなわち、複数枚の紙に相当する信号レベルがあったか否かを判定する。普通紙を搬送するケースであっても、前述の超音波の特性の通り、重送であれば、重ね合わせた2枚の紙を通過するため、受信手段53bにより受信される超音波の強度は著しく低下したものとなる。
【0047】
そこで、制御部50は、複数枚の紙に相当する信号レベルがあった場合には、封筒Saの重送を判定する。この場合、ステップ8の肯定判定に従い、ステップ7の処理に進む。一方、制御部50は、複数枚の紙に相当する信号レベルがない場合には、普通紙の重送を判定しない。この場合、ステップ8の否定判定に従い、本ルーチンを抜ける。
【0048】
このように本実施形態において、画像形成装置は、発信手段53aと受信手段53bとを含む超音波センサーである重送検出センサー53と、受信手段53bから出力される検出信号に基づいて、用紙Pの重送を判定する超音波式重送判定を行う重送判定部50bとしての制御部50と、を有している。この場合、制御部50は、用紙Pとして封筒Saが搬送された場合、封筒Saの通過期間における検出信号の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないことを条件に、封筒Saの重送を判定する。
【0049】
かかる構成によれば、紙の枚数に応じた超音波の減衰特性と、封筒の形態的な特徴とを組み合わせることで、超音波を利用して封筒Saの重送を適切に検出することができる。
【0050】
また、本実施形態において、画像形成装置は、用紙搬送方向と平行な用紙Pの長さを用紙長として検出する用紙長検出センサー51,52をさらに有している。そして、制御部50は、用紙長検出センサー51,52により検出された用紙長が、当該用紙Pに対して予め規定された基準用紙長と対応する場合に、超音波式重送判定を実行する。
【0051】
重送の形態としては、重ね合った封筒同士が一致している場合のみならず、封筒同士が用紙搬送方向にずれることもあり得る。この場合、超音波を利用した場合、封筒Saの重送を判定することが困難となり得るが、光学的な検出を併用することで、重送を補完的に判定することができる。
【0052】
また、制御部50は、封筒Saの底部が先端、封筒Saのフラップ部S2が後端となるように搬送される封筒Saを対象として、超音波式重送判定を行っている。
【0053】
かかる構成によれば、その搬送形態に伴い、1枚の封筒Saが単独で搬送されている場合には、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れる。このため、前述した手法により、制御部50による重送判定を行うことができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、重送検出機能を備える画像形成装置だけでなく、発信手段と、受信手段と、重送判定部とを有する重送検出装置自体も、本発明の一部として機能する。
【符号の説明】
【0055】
SC 原稿読取装置
10Y〜10K 画像形成部
1Y〜1K 感光体ドラム
2Y〜2K 帯電部
3Y〜3K 光書込部
4Y〜4K 現像装置
5Y〜5K ドラムクリーナー
6 中間転写ベルト
7Y〜7K 1次転写ローラー
9 2次転写ローラー
20 用紙搬送部
21 給紙トレイ
22 第1給紙部
23 レジストローラー
40 定着装置
50 制御部
50a 画像形成制御部
50b 重送判定部
51,52 用紙長検出センサー
53 重送検出センサー
53a 発信手段
53b 受信手段
60 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の重送を検出する重送検出装置において、
超音波を発信する発信手段と、
用紙を搬送する搬送路を挟んで前記発信手段と対向配置されて、受信した超音波の強度に応じたレベルの検出信号を出力する受信手段と、
前記受信手段から出力される検出信号に基づいて、用紙の重送を判定する超音波式重送判定を行う重送判定部と、を有し、
前記重送判定部は、用紙として封筒が搬送された場合、封筒の通過期間における前記検出信号の推移において、複数枚の紙の重ね合わせに対応する信号レベルから、1枚の紙に対応する信号レベルへの変化が現れないことを条件に、封筒の重送を判定することを特徴とする重送検出装置。
【請求項2】
用紙の搬送路において前記発信手段及び前記受信手段よりも上流側に配置されており、用紙搬送方向と平行な用紙の長さを用紙長として検出する用紙長検出センサーをさらに有し、
前記重送判定部は、前記用紙長検出センサーにより検出された用紙長が、当該用紙に対して予め規定された基準用紙長と対応する場合に、前記超音波式重送判定を実行する請求項1に記載された重送検出装置。
【請求項3】
前記重送判定部は、封筒の底部が先端、封筒のフラップ部が後端となるように搬送される封筒を対象として、前記超音波式重送判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載された重送検出装置。
【請求項4】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部により搬送される用紙の重送を検出する、請求項1から3のいずれかに記載された重送検出装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43732(P2013−43732A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181420(P2011−181420)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】