説明

重量物用ターンテーブル装置

【課題】専用のケーブル収容スペースをなくして施工費を低減するとともに、外観見栄えを良くする。
【解決手段】躯体に設けられた主制御盤51から延びる通電ケーブル53をターンテーブル13に接続する。基端がターンテーブル13の旋回中心C0から外れた位置で躯体に水平回転自在に枢着された第1アーム59と、先端が第1アーム59先端に水平回転自在に枢着され基端がターンテーブル13下面の旋回中心C0から外れた位置に水平回転自在に枢着された第2アーム61とを備えたケーブル処理装置57をターンテーブル13直下に設ける。ターンテーブル13旋回時、第1アーム59及び第2アーム61の共働により通電ケーブル53をターンテーブル13の旋回動作に追従して過不足なく案内させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両等の重量物を搭載して方向転換する重量物用ターンテーブル装置の改良に関し、特にターンテーブルに付設された電気系統のケーブル処理対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パレットが出入りする矩形状の開口部を有するターンテーブルを備えたターンテーブル装置を地下の格納部と昇降路で連絡された地上の入出庫部に設け、車両が前進運転で入出庫部から退出できるように上記ターンテーブルを水平面内で旋回させて車両を方向転換するようにした箱形循環式駐車装置が開示されている。
【0003】
上記の特許文献1に開示されているターンテーブル装置では、入出庫部の床に形成された円形のターンテーブル設置用凹部の一部を外径方向に拡げてケーブル収容スペース(電気配線スペース)としている。このようにケーブル収容スペースを設けているのは、ターンテーブルには、中継リフタの駆動源及びこれに付随する検知器類が設置されており、これらに対する動力線や信号線の通電ケーブルがターンテーブルの旋回動作に追従して移動するため、旋回時における通電ケーブルの捻れ、湾曲、伸縮に対する防護処理が必要だからである。しかし、特許文献1では、ターンテーブルの旋回に伴う具体的なケーブル処理については言及していない。
【0004】
このようなケーブル処理は、一般には、図18及び図19に示すようになっている。つまり、ターンテーブルaに内蔵された中継制御器bからの通電ケーブル(動力線及び信号線)cの一部をターンテーブルa外周縁の凹所eに巻き掛け、途中からUターンさせてターンテーブルa外側のケーブル収容スペースfに導入されているキャタピラ型等の可撓性ケーブル運搬器dの中を通してターンテーブル旋回駆動装置格納部gまで通線し、最終的には地下の格納部に設置された駐車装置全体の主制御盤hに接続されている。そして、ターンテーブルaの旋回に伴い、余剰分の通電ケーブルcが上記凹所e及びケーブル収容スペースfで進退蛇行しながら引き取られるようなケーブル処理が行われる。図18及び図19中、iは、車両jを搭載したパレットkが昇降リフトに支持されて入出庫部lに上昇し、ターンテーブルaの矩形状の開口部mに臨んだ際、上記パレットkを昇降リフトから切り離して支持するためのパレット持上げ装置である。nはターンテーブルaの調心支持ローラであり、oは、上記ケーブル収容スペースfを上方から覆って内部のケーブル運搬器dが見えないようにするための蓋板である。pはターンテーブル設置用凹部である。
【特許文献1】特開2003−253902号公報(段落0019欄、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般に、入出庫部lの床qはコンクリート製であるため、ターンテーブル設置用凹部p以外にケーブル収容スペースfを余分に形成しなければならず、施工費が嵩む。また、旋回に必要なスペース以外にケーブル収容スペースf分だけ余分に場所を必要とし、かつ上記ケーブル収容スペースfを蓋板oで上方から覆っているため外観見栄えが悪くなる。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、専用のケーブル収容スペースをなくして施工費を低減するとともに、外観見栄えを良くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、この発明は、ターンテーブルの裏側をケーブル収容スペースとして利用するとともに、ケーブル処理に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、建物の躯体に旋回可能に設けられたターンテーブルを備え、該ターンテーブルに搭載した重量物をターンテーブルの旋回動作により方向転換する重量物用ターンテーブル装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記ターンテーブルには、上記躯体に設けられた制御装置から延びる通電ケーブルが接続され、上記ターンテーブル直下の躯体には、基端がターンテーブルの旋回中心から外れた位置で躯体に水平回転自在に枢着された第1アームと、先端が上記第1アーム先端に水平回転自在に枢着され基端が上記ターンテーブル下面の旋回中心から外れた位置に水平回転自在に枢着された第2アームとを備え、ターンテーブル旋回時、上記第1アーム及び第2アームの共働により上記通電ケーブルをターンテーブルの旋回動作に追従して過不足なく案内する可動式ケーブル処理装置が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1アーム及び第2アームは共に、筒状に形成され、上記第1アームは、アクチュエータにより水平面内で回転可能になっており、上記第1アーム及び第2アームの内部には、通電ケーブルが連続して収容され、ターンテーブルが旋回していない平時、上記第1アーム及び第2アームは、ターンテーブルの旋回中心から外れた位置で第1アーム基端の枢着中心と第2アーム基端の枢着中心とが合致した状態で上下に重合し、ターンテーブル旋回に際し、上記アクチュエータの作動により上記第1アームと第2アームとが上下に重合した状態で第1アーム基端の枢着中心回りに回転して第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心が上記ターンテーブルの旋回中心に合致し、ターンテーブル旋回時、上記第1アームをアクチュエータにより回転規制した状態でターンテーブルの旋回動作により上記第2アームが第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心回りに回転して第1アームとの重合状態が解除され、上記通電ケーブルを第2アームの回転軌跡に沿って案内するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1アーム及び第2アームの外側には、通電ケーブルが連続して沿わされ、ターンテーブルが旋回していない平時、上記第1アーム及び第2アームは、ターンテーブルの旋回中心から外れた位置で互いに接近して略「く」の字形に折れ曲がった状態になっており、ターンテーブル旋回時、上記第1アーム及び第2アームが各々の枢着中心回りに回転して互いに離反し、上記通電ケーブルを第1アーム及び第2アームの回転軌跡に沿って案内するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ターンテーブル直下の躯体に可動式ケーブル処理装置を設け、今まではデッドスペースとなっているターンテーブル裏側の空間をケーブル収容スペースとして有効利用しているので、特許文献1の如きケーブル収容スペースをターンテーブル設置用凹部の側方に別設する必要がなく、その分だけ施工費を低減することができるとともに、ケーブル処理装置を追設するだけでそれ以外の施工工事がいらず、既存のターンテーブル装置に短時間にかつ安価に設けることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ケーブル処理装置は、ターンテーブルの旋回に先立ち、第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心をターンテーブルの旋回中心に合致させるために第1アームを回転させるアクチュエータを必要とするのみであり、大掛かりな装置がいらず、構造の複雑化及び価格の高騰を抑制することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ケーブル処理装置は、第1アーム及び第2アームが略「く」の字形に折れ曲がった状態からターンテーブルの旋回動作に追従して離反する自動追従式であるため、専用の駆動源が不要でその分だけ簡素な構造でかつ安価なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1及び図2は昇降リフト付き端部乗入れ方式の箱形循環式駐車装置1を示す。この駐車装置1は建物の躯体3内に設置されている。該躯体3は地下埋設部分3aと地上露出部分3bとからなり、地下埋設部分3aで構成される空間を重量物としての車両Vの格納部5とし、地上露出部分3bで構成される1階の一部の空間を車両Vが出入りする入出庫部7としている。
【0017】
上記入出庫部7の側壁7aには、上下方向に開閉する扉9を有する出入り兼用の出入り口7bが形成されているとともに、入出庫部7の床7cには、ターンテーブル設置用凹部7dが円形に窪んで形成され、該ターンテーブル設置用凹部7dの中央には、パレットPの形状に略対応した矩形状の昇降口7eが後述する昇降路35の真上に開口されている。
【0018】
上記入出庫部7のターンテーブル設置用凹部7dには、この実施形態1に係る重量物用ターンテーブル装置11が設置されている。該ターンテーブル装置11は、パレットPが出入りする矩形状の開口部13aを有する円形のターンテーブル13を備え、該ターンテーブル13が上記ターンテーブル設置用凹部7dに水平面内で旋回可能に配置されている。該ターンテーブル13裏側の外周縁には、図3に拡大して示すように、断面コ字状の円形環状部材15が固設され、該環状部材15は、複数個の調心ローラ16により内側及び下側から摺接支持されている。
【0019】
上記ターンテーブル設置用凹部7dの出入り口7b近傍外周には、旋回駆動装置17が設置されている。該旋回駆動装置17は、旋回モータ19、減速機21、回転検知器23、スプロケット25、及びターンテーブル13外周縁と上記スプロケット25に巻き掛けられた旋回用チェーン27等で構成され、上記旋回モータ19の回転トルクを上記スプロケット25を介してチェーン27に伝達し、ターンテーブル13を開口部13aに車載パレットPが進入した状態で水平面内で180°旋回させることにより、車両Vを前進運転で入出庫部7から退出できるように方向転換するようになっている。つまり、実施形態1の駐車装置1は180°乗入タイプである。
【0020】
上記パレットPの両短辺側には、車輪p1が2個ずつ転動自在に取り付けられ、一方、上記パレットPの両長辺側の各々には雄連結器p2と雌連結器p3とがそれぞれ1個ずつ取り付けられている。そして、隣り合うパレットPを雄連結器p2と雌連結器p3とで係合連結し、後述する上層及び下層横移送路31a,31bを横移送するようになっている。また、上記ターンテーブル13の開口部13a長辺側内周縁の一端寄りには、パレットPの雌連結器p3と係合する雄連結器29aが取り付けられているとともに、他端寄りにはパレットPの雄連結器p2と係合する雌連結器29bが取り付けられている。これら雄連結器p2と雌連結器29b、及び雌連結器p3と雄連結器29aは、パレットPが昇降口7eに上昇することで係合し、パレットPが昇降口7eから下降することで離脱するようになっている。
【0021】
一方、上記格納部5には上層及び下層横移送路31a,31bが上下に2層設けられている。これら上層及び下層横移送路31a,31bには、パレットPの車輪p1が転動する2条の横行レール33が水平に配設され、複数枚のパレットPを長辺側がパレット横移送方向に向くように、つまり短辺側が横行レール33側に向いた横向き姿勢で雄連結器p2及び雌連結器p3により連結した状態で格納するとともに、入出庫時は横行レール33上を1パレット分ずつ横移送するようになっている。この横移送は、各横移送路31a,31bに設置された例えば従来より周知のクランクアーム旋回式のパレット横送り装置(図示せず)により行われる。つまり、パレット横送り装置のクランクアーム先端の係合ローラをパレットP裏面の案内溝部材に係合させ、クランクアームを旋回させることで行われる。
【0022】
上記2層の横移送路31a,31bのパレット横移送方向両端には、これら横移送路31a,31bとで箱形循環路を構成する昇降路35がそれぞれ設置されている。該各昇降路35には昇降リフト37が配置され、この昇降リフト37は、従来より周知のチェーンスプロケット機構からなる昇降機構39をパレットPの両短辺側に対応するように2組備えている。図1中、41は昇降機構39を作動させるための昇降モータ、42は昇降機構39が組み付けられた枠組体を構成する支柱である。そして、上記昇降リフト37はこの2組の昇降機構39でパレットPを下方から支持して昇降路35を昇降し、車両VをパレットPごと各横移送路31a,31bとの間で受け渡すようにしている。
【0023】
上記2つの昇降路35のうち入出庫部7下方の昇降路35は、上記昇降口7eに通ずるように入出庫部7直下まで延出して入出庫部7と格納部5とを連絡し、車両VをパレットPごと入出庫部7と格納部5との間で受け渡して搬出入するようにしている。つまり、入出庫部7下方の昇降リフト37(昇降機構39)は、パレットPの搬出入用も兼ねている。
【0024】
上記ターンテーブル13の裏側には、パレット持上げ装置43が開口部13aの両長辺側に1基ずつ配置され、駆動モータ45の作動により両端の持上げアーム47を開口部13aに進出させてパレットPを下方から支持して持ち上げ、昇降リフト37から切り離すようになっている。上記ターンテーブル13の一方(図2右側)のパレット持上げ装置43側には、中継制御器49が内蔵されている。この中継制御器49は、上記パレット持上げ装置43の駆動モータ45に給電する役目や、ターンテーブル13に設置されている図示しない検知器類(リミットスイッチ、光電・超音波等検知器等)の信号授受を格納部5に設置された駐車装置全体の制御装置である主制御盤51との間で中継する役目を担っており、上記中継制御器49は通電ケーブル(動力線及び信号線)53で上記主制御盤51に接続され、これにより、上記ターンテーブル13に上記主制御盤51から延びる通電ケーブル53が接続されている。また、上記主制御盤51には、昇降リフト37の昇降モータ41、ターンテーブル旋回駆動装置17の旋回モータ19や回転検知器23、入出庫部7の扉9側方の運転制御盤55等も接続されている。
【0025】
上記ターンテーブル13直下におけるターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e縁部(図2右側)には、ターンテーブル13旋回時、後述する第1アーム59及び第2アーム61の共働により上記通電ケーブル53をターンテーブル13の旋回動作に追従して過不足なく案内する可動式ケーブル処理装置57が設置されている。このケーブル処理装置57が実施形態1の特徴とするところである。
【0026】
上記ケーブル処理装置57は、図3及び図4に示すように、第1アーム59、第2アーム61及びアクチュエータ(エアシリンダ、パワーシリンダ等)63を備え、上記第1アーム59と第2アーム61とは共に、筒状に形成されてほぼ同じ長さに設定されている。
【0027】
上記第1アーム59下面の基端は、筒状枢支軸69が突設され、該筒状枢支軸69は、ターンテーブル13の旋回中心C0から図5右側に外れた位置でターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e寄りに支持筒65及び軸受67を介して水平回転自在に枢着されている。また、上記支持筒65内には、主制御盤51から延びる通電ケーブル53が挿通孔65aから挿通され、該通電ケーブル53は第1アーム59基端の筒状枢支軸69を経て第1アーム59内部に収容されている。上記通電ケーブル53と枢支軸69との間には保護材71が介装されて通電ケーブル53を固縛し、第1アーム59が枢支軸69回りに水平面内で回転しても通電ケーブル53が捻れないようにしているとともに、通電ケーブル53が長手方向に移動しないようにしている。
【0028】
上記第1アーム59上面の先端には筒状枢支軸73が突設され、該枢支軸73は上記第2アーム61下面の基端に軸受75を介して連結され、第2アーム61基端が上記第1アーム59先端に水平回転自在に枢着されている。上記枢支軸73内には通電ケーブル53が第1アーム59側から挿通されて第2アーム61内部に収容されている。そして、ターンテーブル13が旋回していない平時、上記第1アーム59及び第2アーム61は、ターンテーブル13の旋回中心C0から図5右側方に外れた位置で、第1アーム59基端の枢着中心C1と第2アーム61基端の枢着中心C3とが合致した状態で上下に重合して折り畳まれている。
【0029】
上記ターンテーブル13下面の旋回中心C0から図5右側に外れた位置(昇降口7e縁部)には、鉛直筒体77が取付プレート79を介して垂設され、一方、上記第2アーム61上面の基端には筒状枢支軸81が突設され、該枢支軸81は上記鉛直筒体77下端に軸受83を介して連結され、第2アーム61基端が上記鉛直筒体77下端に水平回転自在に枢着されている。これにより、上記第2アーム61基端が、上記ターンテーブル13下面の旋回中心C0から図5右側に外れた位置(昇降口7e縁部)に水平回転自在に枢着されている。上記鉛直筒体77内部にも上記第2アーム61から延出する通電ケーブル53が収容されている。
【0030】
上記鉛直筒体77内部の上端には、上方に湾曲して延びる案内部材85が軸受87を介して回転自在に取り付けられ、該案内部材85により通電ケーブル53を上方の中継制御器49に案内するようにしている。上記案内部材85内部の下端と通電ケーブル53との間には、ブッシュ89及び保護材91が介装されて通電ケーブル53を固縛し、第2アーム61が軸受87回りに回転しても通電ケーブル53が捻れないようにしているとともに、通電ケーブル53が長手方向に移動しないようにしている。
【0031】
上記アクチュエータ63基端は、上記ターンテーブル13の旋回中心C0から図5右側に外れた位置でターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e縁部に連結され、アクチュエータ63のロッド63a先端は上記第1アーム59下面の基端側に連結され、アクチュエータ63の伸縮作動により第1アーム59を水平面内で回転させるようになっている。
【0032】
このように構成されたケーブル処理装置57は、ターンテーブル13が旋回していない平時、つまり出庫車両Vが入出庫部7に上昇するまでは、図5破線で示すように、第1アーム59及び第2アーム61が上下に重合した状態で折り畳まれ、ターンテーブル13の旋回中心C0から外れた位置でターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e長辺に沿って配置されて車両Vと干渉しないように退避している。
【0033】
そして、出庫車両Vが入出庫部7に上昇停止し、パレット持上げ装置43で持上げ支持されて昇降リフト37から切り離されると、ターンテーブル13旋回に際し、上記アクチュエータ63を伸長作動させ、図5仮想線で示すように、上記第1アーム59と第2アーム61とを上下に重合した状態で第1アーム59基端の枢着中心C1(第2アーム61基端の枢着中心C3)回りに時計回りに90°だけ回転させて第1アーム59先端と第2アーム61先端との枢着中心C2を上記ターンテーブル13の旋回中心C0にほぼ合致させる。
【0034】
その後、図5仮想線の状態からターンテーブル13を反時計回りに旋回させる。この際、アクチュエータ63を伸長状態のままにしておく。したがって、ターンテーブル13旋回時、上記第1アーム59は回転が規制された状態で動かず、ターンテーブル13の旋回動作により上記第2アーム61が第1アーム59先端と第2アーム61先端との枢着中心C2回りに回転して第1アーム59との重合状態が解除され(図6参照)、ターンテーブル13が旋回中心C0回りに水平面内で180°旋回すると、第1アーム59と第2アーム61とが一直線状に伸び(図7参照)、この過程で上記通電ケーブル53が第2アーム61の回転軌跡に沿って案内されるようになっている。また、出庫車両Vが図5の状態から180°方向転換して運転席が出入り口7b側に向けられる。
【0035】
このように車両Vの向きが変わると、出入り口7bの扉9が開き、利用者が入出庫部7に入り車両Vに乗車し前進運転で進出し、扉9が閉じて一連の出庫作業を終える。
【0036】
このように、実施形態1では、ターンテーブル13直下のターンテーブル設置用凹部7dにケーブル処理装置57を設置し、今まではデッドスペースとなっているターンテーブル13裏側の空間をケーブル収容スペースとして有効利用しているので、特許文献1の如きケーブル収容スペースをターンテーブル設置用凹部7dの側方に別設する必要がなく、その分だけ施工費を低減することができるとともに、ケーブル処理装置57を追設するだけでそれ以外の施工工事がいらず、既存のケーブル処理装置57に短時間にかつ安価に設けることができる。
【0037】
また、実施形態1のケーブル処理装置57は、ターンテーブル13の旋回に先立ち、第1アーム59先端と第2アーム61先端との枢着中心C2をターンテーブル13の旋回中心C0に合致させるために第1アーム59を回転させるアクチュエータ63を必要とするのみであり、大掛かりな装置がいらず、構造の複雑化及び価格の高騰を抑制することができる。
【0038】
(実施形態2)
図8は実施形態2の図3相当図を示し、この実施形態2ではケーブル処理装置57が実施形態1と異なるほかは実施形態1と同様に構成されているので、駐車装置1全体の構成及び入出庫部7の構成については実施形態1の図1及び図2で代用することとする。また、図8において図3と同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
実施形態2で採用したケーブル処理装置57は、図9〜14に拡大して示すように、第1アーム93及び第2アーム95を備え、これら第1アーム93と第2アーム95とはほぼ同じ長さに設定されているとともに、第1アーム93と第2アーム95との合計長さがターンテーブル13の旋回中心C0から第2アーム95基端の枢着中心C3までの距離の2倍よりも長く設定されている。したがって、ターンテーブル13が180°旋回しても、第1アーム93及び第2アーム95が完全に伸びきらずに「く」の字形を維持するようになっている(図17参照)。また、これら第1アーム93及び第2アーム95も実施形態1と同様に筒状に形成されているが、通電ケーブル53は内部に収容されず、外側に連続して沿わされている。
【0040】
上記第1アーム93基端には筒体97が固設され、一方、上記ターンテーブル13の旋回中心C0から図15右側に外れた位置のターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e寄りには、枢支軸99が立設され、該枢支軸99に上記筒体97が軸受101を介して外嵌合されて上記第1アーム93基端が枢支軸99により水平回転自在に枢着されている(図10参照)。上記第1アーム93上面の長手方向両端寄り及び中途部には、ケーブル案内具103がそれぞれ配設されている。これらケーブル案内具103は、第1アーム93上面にブラケット104を介して立設された受け具105と、該受け具105とで通電ケーブル53(動力線53a及び信号線53b)を挟む押さえ具107と、通電ケーブル53を受け具105と押さえ具107とで挟持させる締付具109とで構成され、これらケーブル案内具103で通電ケーブル53を第1アーム93の外側に沿わせている。
【0041】
上記ターンテーブル13下面の旋回中心C0から図15右側に外れた位置(昇降口7e縁部)には、鉛直筒体111が取付プレート113を介して垂設され、一方、上記第2アーム95先端の上方には、外筒115がブラケット117を介して配置され、上記鉛直筒体111が上記外筒115に回転自在に内嵌合されている(図12参照)。また、上記第2アーム95基端の下面には別のケーブル案内具119が取り付けられている(図12及び図14参照)。さらに、第2アーム95基端の上面にも、上記第1アーム93と同様のケーブル案内具103が配設されているとともに、該ケーブル案内具103の隣と第2アーム95先端の上面には、中間ローラ121、上ローラ123及び下ローラ125が回転軸127でL字状のブラケット129に回転自在に軸支されている(図11及び図13参照)。そして、上記中間ローラ121と下ローラ125との間に動力線53aを通すとともに、上記中間ローラ121と上ローラ123との間に信号線53bを通すようになっている。これら中間ローラ121、上ローラ123及び下ローラ125を通過した動力線53a及び信号線53bは、上記ケーブル案内具103,119を経て鉛直筒体111に導入され、さらに、ターンテーブル13側のケーブル案内具103を経て中継制御器49に接続されるようになっている。
【0042】
上記第1アーム93の先端には連結部材131の一端が固設され、該連結部材131の他端は支軸133で上記第2アーム95先端に枢結され、これにより、上記第2アーム95先端が記第1アーム93先端に連結部材131を介して水平回転自在に枢着されている(図9及び図11参照)。また、スペーサ135を介して連結された上円板137及び下円板139が軸受体141を介して上記支軸133に水平面内で回転自在に軸支され、上記上円板137及び下円板139外周の半円形周溝137a,139aに上記動力線53a及び信号線53bを巻き掛けて第1アーム93と第2アーム95との間で向きを変えながら引き回すようになっている。
【0043】
そして、上記ケーブル処理装置57は、ターンテーブル13が旋回していない平時、上記第1アーム93及び第2アーム95は、ターンテーブル13の旋回中心C0から外れた位置で互いに接近して略「く」の字形に折れ曲がった状態になっている一方、ターンテーブル13旋回時、上記第1アーム93及び第2アーム95が各々の枢着中心C1,C2,C3回りに回転して互いに離反し、上記通電ケーブル53を第1アーム93及び第2アーム95の回転軌跡に沿って案内するように構成されている。
【0044】
このように構成されたケーブル処理装置57は、ターンテーブル13が旋回していない平時、つまり出庫車両Vが入出庫部7に上昇するまでは、図15破線で示すように、第1アーム93及び第2アーム95は略「く」の字形に折れ曲げられ、ターンテーブル13の旋回中心C0から外れた位置でターンテーブル設置用凹部7dの昇降口7e長辺に配置されて車両Vと干渉しないように退避している。
【0045】
そして、出庫車両Vが入出庫部7に上昇停止し、パレット持上げ装置43で持上げ支持されて昇降リフト37から切り離されると、図15の状態から図16の状態へとターンテーブル13を反時計回りに旋回させる。この際、第1アーム93及び第2アーム95は時計回りに軌跡を描く。
【0046】
その後、ターンテーブル13をさらに反時計回りに旋回させると、上記第1アーム93及び第2アーム95が各々の枢着中心C1,C2,C3回りに反時計回りに回転して図17の状態に互いに離反して「く」の字形状が大きく開く。この過程で通電ケーブル53が第1アーム93及び第2アーム95の回転軌跡に沿って案内されるようになっている。また、出庫車両Vが図15の状態から180°方向転換して運転席が出入り口7b側に向けられる。
【0047】
このように車両Vの向きが変わると、出入り口7bの扉9が開き、利用者が入出庫部7に入り車両Vに乗車し前進運転で進出し、扉9が閉じて一連の出庫作業を終える。
【0048】
このように、実施形態2では、実施形態1と同様に、ターンテーブル13直下のターンテーブル設置用凹部7dにケーブル処理装置57を設置し、今まではデッドスペースとなっているターンテーブル13裏側の空間をケーブル収容スペースとして有効利用しているので、特許文献1の如きケーブル収容スペースをターンテーブル設置用凹部7dの側方に別設する必要がなく、その分だけ施工費を低減することができるとともに、ケーブル処理装置57を追設するだけでそれ以外の施工工事がいらず、既存のケーブル処理装置57に短時間にかつ安価に設けることができる。
【0049】
また、実施形態2のケーブル処理装置57は、第1アーム93及び第2アーム95が略「く」の字形に折れ曲がった状態からターンテーブル13の旋回動作に追従して離反する自動追従式であるため、専用の駆動源が不要でその分だけ簡素な構造でかつ安価なものにすることができる。
【0050】
なお、上記の各実施形態では、ターンテーブル13が中継制御器49内蔵タイプである場合を示したが、中継制御器49をなくして各機器からの通電ケーブル53(動力線及び信号線)を個別又は途中でまとめてケーブル処理装置57を介して主制御盤51に接続するようにしてもよい。
【0051】
また、上記の各実施形態では、ターンテーブル装置11を箱形循環式駐車装置に適用した場合を示したが、水平循環式駐車装置や円形循環式駐車装置、あるいはパレットを縦横に移動させるパズル式駐車装置等の他の駐車装置にも適用することができるものであり、さらには、重量物の方向転換が要求される駐車装置以外にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明は、例えば車両等の重量物を搭載して方向転換する重量物用ターンテーブル装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1に係るターンテーブル装置が適用された箱形循環式駐車装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図2のIII −III 線における断面図である。
【図4】実施形態1におけるケーブル処理装置の拡大断面図である。
【図5】車両が入出庫部に上昇停止した状態を示す実施形態1の出庫工程図である。
【図6】図5の状態から車両を方向転換し始めた状態を示す実施形態1の出庫工程図である。
【図7】図6の状態から車両を180°方向転換した状態を示す実施形態1の出庫工程図である。
【図8】実施形態2の図3相当図である。
【図9】図8のIX−IX線における平面図である。
【図10】図9のX−X線における矢視図である。
【図11】図9のXI−XI線における断面図である。
【図12】図9のXII −XII 線における矢視図である。
【図13】図9のXIII−XIII線における断面図である。
【図14】図12のXIV −XIV 線における矢視図である。
【図15】実施形態2の図5相当図である。
【図16】実施形態2の図6相当図である。
【図17】実施形態2の図7相当図である。
【図18】従来例の図2相当図である。
【図19】図18のXIX −XIX 線における断面図である。
【符号の説明】
【0054】
3 躯体
11 ターンテーブル装置
13 ターンテーブル
51 主制御盤(制御装置)
53 通電ケーブル
57 ケーブル処理装置
59,93 第1アーム
61,95 第2アーム
63 アクチュエータ
C0 ターンテーブルの旋回中心
C1 第1アーム基端の枢着中心
C2 第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心
C3 第2アーム基端の枢着中心
V 車両(重量物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に旋回可能に設けられたターンテーブルを備え、該ターンテーブルに搭載した重量物をターンテーブルの旋回動作により方向転換する重量物用ターンテーブル装置であって、
上記ターンテーブルには、上記躯体に設けられた制御装置から延びる通電ケーブルが接続され、
上記ターンテーブル直下の躯体には、基端がターンテーブルの旋回中心から外れた位置で躯体に水平回転自在に枢着された第1アームと、先端が上記第1アーム先端に水平回転自在に枢着され基端が上記ターンテーブル下面の旋回中心から外れた位置に水平回転自在に枢着された第2アームとを備え、ターンテーブル旋回時、上記第1アーム及び第2アームの共働により上記通電ケーブルをターンテーブルの旋回動作に追従して過不足なく案内する可動式ケーブル処理装置が設けられていることを特徴とする重量物用ターンテーブル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量物用ターンテーブル装置において、
第1アーム及び第2アームは共に、筒状に形成され、
上記第1アームは、アクチュエータにより水平面内で回転可能になっており、
上記第1アーム及び第2アームの内部には、通電ケーブルが連続して収容され、
ターンテーブルが旋回していない平時、上記第1アーム及び第2アームは、ターンテーブルの旋回中心から外れた位置で第1アーム基端の枢着中心と第2アーム基端の枢着中心とが合致した状態で上下に重合し、
ターンテーブル旋回に際し、上記アクチュエータの作動により上記第1アームと第2アームとが上下に重合した状態で第1アーム基端の枢着中心回りに回転して第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心が上記ターンテーブルの旋回中心に合致し、
ターンテーブル旋回時、上記第1アームをアクチュエータにより回転規制した状態でターンテーブルの旋回動作により上記第2アームが第1アーム先端と第2アーム先端との枢着中心回りに回転して第1アームとの重合状態が解除され、上記通電ケーブルを第2アームの回転軌跡に沿って案内するように構成されていることを特徴とする重量物用ターンテーブル装置。
【請求項3】
請求項1に記載の重量物用ターンテーブル装置において、
第1アーム及び第2アームの外側には、通電ケーブルが連続して沿わされ、
ターンテーブルが旋回していない平時、上記第1アーム及び第2アームは、ターンテーブルの旋回中心から外れた位置で互いに接近して略「く」の字形に折れ曲がった状態になっており、
ターンテーブル旋回時、上記第1アーム及び第2アームが各々の枢着中心回りに回転して互いに離反し、上記通電ケーブルを第1アーム及び第2アームの回転軌跡に沿って案内するように構成されていることを特徴とする重量物用ターンテーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−222018(P2008−222018A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62903(P2007−62903)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(593139271)新明和エンジニアリング株式会社 (109)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】