説明

重金属用の混合原子価金属硫化物ソーベント

バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む造形ユニットの形態の、水素及び/又は一酸化炭素を含有する流体から最高550℃までの温度で、水銀を含めた重金属を除去するのに好適なソーベント。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、重金属(例えば、還元ガスストリームからの水銀)を除去するのに好適なソーベントに関する。
重金属は、工業プロセスによって使用されるか又はつくり出される多くの還元剤含有流体(特に、石炭埋蔵物、原油埋蔵物、及び一部の天然ガス埋蔵物から誘導される流体)中に見出される。重金属の除去は、これら流体の安全な且つ環境に優しいプロセシングに必要である。例えば、合成ガス[特に、ガス化複合発電(Integrated Gasification Combined Cycle;IGCC)プロセス等の石炭ガス化プロセスから誘導される、水素と炭素酸化物を含有するガス]からの重金属(水銀、ヒ素、セレン、及びカドミウム等)の放出は、大きな環境問題になっている。元素形態もしくは第二水銀(すなわちHg2+)化合物として存在することがある水銀を除去するための従来法は、ガス化プロセスによって形成される灰中の水銀を捕捉すること、あるいはガスストリームを冷却・精製するのに使用される水洗段階において添加剤を使用することを含む。これとは別に、水銀は、炭素ソーベントを低温で使用して捕捉することもできる。このようなソーベントは、有効性が限定されており、プロセスの進行時に水銀を放出することがある。
【0002】
これらのガスストリーム中に水素及び/又は二酸化炭素が存在することが、さらなる複雑化を招く。重金属を除去するのが望ましい条件下では、従来の金属硫化物ソーベントは不安定になることがある。例えば、銅化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物、及び鉄化合物は、水素ガスストリーム中において還元されることがある。この還元プロセスは、このようなソーベントを不安定にし、捕捉されていた水銀を放出しがちである。
【0003】
米国特許出願第2008/0184884号は、水素及び/又は一酸化炭素、ならびに硫化水素及び/又は硫化カルボニルの少なくとも一方を含有する還元ガスストリームと分散銅含有ソーベントとを25〜300℃の範囲の温度で接触させることによって、該還元ガスストリームから水銀を除去する方法を開示している。形成されるCu(II)硫化物ソーベントは、定常状態の条件下では有効のようであるが、異なるプロセス条件下では捕捉されていた水銀を放出することがあるようである。
【0004】
石炭燃焼や還元ガスストリームを生成する他のプロセスからのガス組成物が種々変わることを考慮すると、先行技術の金属硫化物ソーベントよりも安定な、還元ガスストリームから水銀を回収するための高容量ソーベントを提供することが求められている。
【0005】
したがって本発明は、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む造形ユニットの形態のソーベントを提供する。
本発明はさらに、
(i)バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの金属硫化物前駆体化合物を含有するソーベント前駆体を、水素含有ガスでより低い酸化状態に還元して還元組成物を形成させる工程;及び、
(ii)該還元組成物を硫化用化合物で硫化してソーベントを形成させる工程;を含み、ここで該ソーベント前駆体または該ソーベントが造形されている、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む造形ユニットの形態のソーベントの製造方法を提供する。
【0006】
本発明はさらに、還元ガスストリームとソーベントとを最高550℃までの温度で接触させることによって、還元ガスストリーム等の流体から重金属を除去する方法を提供する。
【0007】
本願発明者らは、“ソーベント(sorbent)”という用語に吸着剤(adsorbent)と吸収剤(absorbent)を含める。
“重金属”という用語は、水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、アンチモン、スズ、白金、パラジウム、及び金などを含むが、本発明のソーベントは、水銀、ヒ素、セレン、及びカドミウム(特に水銀)を捕捉するのにとりわけ有用である。
【0008】
本発明のソーベントは、還元性条件下にて改良された安定性を有するソーベントを生じる、混合原子価に基づいて従来使用されているものとは異なる。したがって、本発明のソーベントは、プロセスの進行時あるいは運転停止時に水銀を放出しにくい。
【0009】
本発明のソーベントは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む。混合原子価金属硫化物の存在は、X線回折法(XRD)を使用して容易に確認することができる。混合原子価金属硫化物は、Co、Co、Co、V、Ni、及びNiから選択するのが好ましい。これらの硫化物は、より製造しやすいことが見出されているからである。混合原子価金属硫化物の1種以上がソーベント中に存在してよい。非混合原子価(すなわち単一原子価)硫化物が存在してもよいが、この結果、重金属の望ましくない放出が起こることがある。硫化物は、実質的に1種以上の混合原子価金属硫化物(特に1種以上のニッケル硫化物、とりわけNi及び/又はNi)からなるのが好ましい。硫化ニッケルソーベントは、他の混合原子価金属硫化物ソーベントより高い水銀容量と水銀除去速度を有することが見出されている。
【0010】
ソーベントは、造形された形態にて、混合原子価金属硫化物のほかに、担体及び/又はバインダーを含むのが望ましい。
したがって1つの実施態様においては、本発明のソーベントは、造形された担体上に担持された、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの混合原子価金属硫化物を含む。造形された担体は、モノリス又はフォームを含んでよいが、適切な担体材料(例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アルミノケイ酸塩、金属アルミン酸塩、水和金属酸化物、混合金属酸化物、セメント、ゼオライト、又はセラミック材料)から作製されるペレット、押出物、又はグラニュールであるのが好ましい。好適な金属酸化物ウォッシュコートもしくは混合金属酸化物ウォッシュコートで被覆された金属担体も使用することができる。高温安定性の耐火性酸化物は、要求の厳しいプロセスにおいて使用するためのソーベントを製造する際に特に有用である。ソーベント前駆体は、好適な金属硫化物前駆体化合物(例えば硝酸ニッケル等の金属塩)の溶液を、公知の方法を使用して造形担体に含浸させることによって製造することができる。含浸担体は、乾燥、還元、及び硫化することができ、このとき金属化合物は、容易に硫化可能であるか、あるいは乾燥材料を必要に応じて焼成して、金属化合物をそれぞれの酸化物に転化させ、それから焼成材料を硫化・還元してソーベントを得ることもできる。
【0011】
他の実施態様では、ソーベントは、バインダーで造形され、還元され、そして硫化されている、1種以上の粉末状で硫化可能なバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケル含有材料を含む。したがって造形されたソーベントは、1種以上の混合原子価金属硫化物とバインダーを含む。造形ユニット(shaped units)を製造するのに使用できるバインダーとしては、クレー[例えばマイニューゲル(Minugel)クレーやアタパルジャイトクレー];セメント(特に、ciment fondu等のアルミン酸カルシウムセメント);有機ポリマーバインダー(例えばセルロースバインダー);又はこれらの混合物;などがある。特に強い造形ユニットは、バインダーが、アルミン酸カルシウム等のセメントと、アスペクト比が2より大きいアルミノケイ酸塩クレー(例えばアタパルジャイトクレー)との組み合わせ物である場合に作製することができる。このような材料では、セメントバインダーとクレーバインダーとの相対量は、1:1〜3:1(第1のバインダー:第2のバインダー)の範囲である。バインダーの総量は、硫化組成物の重量を基準として1〜20重量%の範囲、好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0012】
他の実施態様では、ソーベントは、粉末状の担体材料と混合されてバインダーで造形され、次いで乾燥され、還元され、そして硫化されている、1種以上の粉末状のバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケル含有材料を含む。したがって造形されたソーベントは、1種以上の混合原子価金属硫化物、担体材料、及びバインダーを含む。担体は、ソーベントを製造する際に使用するのに適した任意の不活性担体材料であってよい。このような担体材料は公知であり、アルミナ、金属アルミン酸塩、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、金属炭酸塩、炭素、又はこれらの混合物などがある。担体材料は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、及びアルミノケイ酸塩等の酸化物材料であるのが望ましい。水和酸化物(例えば、ベーマイトやアルミナ三水和物)も使用することができる。好ましい担体は、水和アルミナ又は遷移アルミナ(例えば、γ−アルミナ、θ−アルミナ、及びδ−アルミナ)である。担体は、硫化組成物の重量を基準として25〜90重量%、好ましくは70〜80%の量にて存在してよい。
【0013】
ソーベントは、モノリス、ハニカム、もしくはフォーム等の造形された形態物となっているか、あるいはペレット、押出物、もしくはグラニュール等の造形されたユニットとなっている。ペレット、押出物、又はグラニュールは、1〜15mmの範囲の最小寸法(すなわち、幅もしくは長さ)と1〜25mmの範囲の最大寸法を有していて、アスペクト比(最大寸法を最小寸法で除した値)が4以下であるのが好ましい。円筒体、球体、ローブ状の押出物やペレット、又はフルート状の押出物やペレット等の造形担体を使用することができる。特に好ましいのはトリローブ状の押出物である。粒状物である場合は、1〜15mmの範囲の直径を有する球状グラニュールが好ましい。
【0014】
本発明のソーベントを製造する方法は、(i)バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、もしくはニッケルの金属硫化物前駆体化合物と、必要に応じて担体もしくはバインダーとを含有するソーベント前駆体を、水素含有ガスでより低い酸化状態に還元して還元組成物を形成させる工程;及び(ii)該還元組成物を硫化用化合物で硫化してソーベントを形成させる工程;を含んでよい。担体、ソーベント前駆体、もしくはソーベントそれ自体を造形することができる。
【0015】
好適な金属硫化物前駆体化合物は、工業的に調達することもできるし、あるいは公知の方法を使用して合成することもでき、金属の水溶性塩(特に金属硝酸塩)、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、又は金属ヒドロキシ炭酸塩などがある。
【0016】
金属硫化物前駆体化合物を担持させ、この担持されたソーベント前駆体材料を引き続き還元及び硫化するのが好ましい。
1つの実施態様では、ソーベント前駆体は、粉末、モノリス、ハニカム、フォーム、又は造形ユニット(例えば、タブレット、押出物、もしくはグラニュール)の形態をとってよい担体材料に、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの可溶性塩の溶液を含浸させ、次いで含浸担体を乾燥することによって製造することができる。好適な可溶性塩としては、硝酸塩、酢酸塩、及びヘキサアンミン塩などがある。必要に応じて、乾燥材料を焼成して、塩をそれぞれの酸化物に転化させてから、還元工程と硫化工程を施すことができる。
【0017】
これとは別に、ソーベント前駆体は、粉末状の金属硫化物前駆体化合物(例えば、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト又はニッケルの、酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はヒドロキシ炭酸塩)と、粉末状担体材料及び/又は1種以上のバインダーとを混合することによって製造することができる。この場合も、金属硫化物前駆体化合物は、工業的に調達することもできるし、あるいは公知の方法(例えば、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属水酸化物等のアルカリ沈殿剤を使用して金属塩の溶液から沈殿させ、次いで乾燥し、必要に応じて焼成することによって)を使用して生成させることもできる。
【0018】
硫化工程は、還元工程の後に引き続いて行うこともできるし、あるいは還元工程と硫化工程を同時に行うこともできる。硫化工程を還元工程の後に行うと、改良された結果(特にNiソーベントに対して)が得られる。
【0019】
ソーベント前駆体が粉末の形態をとっている場合、還元と硫化の前にソーベント前駆体を造形することができる。これとは別に、材料は、還元の後で硫化の前に造形することもできるし、あるいは還元・硫化された材料(すなわちソーベント)を造形することもできる。造形された担体を使用するか、あるいは還元と硫化の前にソーベント前駆体組成物を造形するのが好ましい、ということが見出された。
【0020】
担体が造形されている場合、ソーベント前駆体とソーベントは造形工程が不要である。
ソーベント前駆体が粉末である場合、ソーベント前駆体タブレットは、粉末組成物(一般には、グラファイトやステアリン酸マグネシウムを等の材料を成形助剤として含有する)を、適切なサイズのモールド中にて、例えば従来のタブレット化操作のように成形することによって製造することができる。これとは別に、ソーベント前駆体は、適切な組成物と、しばしば少量の水及び/又は上記のような成形助剤とをダイに強制的に通し、次いでダイから出てくる材料を短い長さに切断することによって形成される押出ペレットの形態をとってよい。例えば、押出ペレットは、動物飼料をペレット化するのに用いられるタイプのペレットミルを使用して製造することができ、この場合、ペレット化しようとする混合物を回転有孔シリンダーに装入し、シリンダー内のバーもしくはローラーによって混合物を、有孔を通して強制的に送り出す。こうして得られる押出混合物を、回転シリンダーの表面から、所望の長さの押出ペレットをもたらすように配置されたドクターナイフによって切断する。これとは別に、ソーベント前駆体は、粉末組成物と少量の水(スラリーを形成するには不十分な量)とを混合し、次いでこの組成物を、球状に近いが一般には不規則なグラニュールに凝集させることによって形成される凝集物の形態をとってよい。この異なる造形法は、造形品の表面積、気孔率、及び細孔構造に影響を及ぼし、その結果として収着特性と嵩密度に大きな影響を及ぼすことが多い。
【0021】
したがって、成形タブレットの形態でのソーベントの層が、比較的広い吸収フロントを示すことがあるのに対して、凝集物の層は、これよりはるかにシャープな吸収フロントを示すことがある。これにより、理論的な吸収能力に対してより密接なアプローチを果たすことが可能となる。その一方で、凝集物は一般に、タブレット化組成物よりも低い嵩密度を有する。
【0022】
還元ガスストリームは水素を含む。純粋な水素を使用することもできるし、あるいは水素を含有するガス混合物[例えば、窒素中に水素を含んでなる混合物、又は合成ガス(水素と炭素酸化物との混合物)]も使用することができる。100〜700℃の範囲の還元温度を使用することができ、150〜500℃の範囲の還元温度を使用するのが好ましく、Niソーベントに対しては、350〜450℃の範囲の還元温度を使用するのが特に好ましい。
【0023】
前駆体を硫化するのに使用されるイオウ化合物は、硫化水素、硫化カルボニル、メルカプタン、及びポリスルフィドから選択される1種以上のイオウ化合物であってよい。好ましいのは、硫化水素を含む硫化ガスである。硫化水素を、0.1〜5重量%の濃度にてガスストリームで前駆体に供給するのが好ましい。20〜500℃、例えば100〜450℃、Niソーベントの場合は、特に200〜300℃、の範囲の硫化温度を使用することができる。
【0024】
350〜450℃での還元と200〜300℃での硫化との特定の組み合わせがNiを製造する上で特に有用である、ということを本願出願者らは見出した。
本発明を使用して、1種以上の還元剤(例えば、水素及び/又は一酸化炭素)を含有する液状流体及びガス状流体を処理することができる。1つの実施態様では、流体は、溶解した水素及び/又は一酸化炭素を含有する液状炭化水素ストリームである。このような液体は、0〜150℃(好ましくは10〜100℃)の範囲の温度にてソーベントで処理するのが好ましい。他の実施態様では、流体は、水素及び/又は一酸化炭素を含有するガスストリーム(すなわち還元ガスストリーム)である。このようなガスは、10〜550℃の範囲の温度にてソーベントで処理するのが好ましい。
【0025】
ソーベントによって処理されやすい流体はさらに、本質的に重金属とイオウ化合物とを含有する流体、あるいはイオウ化合物が加えられている重金属含有ストリーム、を含んでよい。しかしながら、前記の米国特許出願第2008/0184884号とは異なり、流体中へのイオウ化合物の存在は、本発明のソーベントの使用に対して必須ではない。
【0026】
好ましい実施態様では、本発明のプロセスは、水素及び/又は一酸化炭素を含む還元ガスストリームから、重金属(特に、水銀、ヒ素、セレン、及びカドミウム)を除去するのに使用される。このような還元ガスストリームを、重金属を放出することなく、最高550℃まで(好ましくは最高500℃まで、さらに好ましくは最高450℃まで)の温度でソーベントと接触させることができる。例えば、混合原子価Coソーベントを使用する場合、本発明は最高約470℃までの温度で使用することができ、Niソーベントを使用する場合、本発明は最高約550℃までの温度で使用することができる。より高い温度で操作できることは、先行技術のソーベントを凌ぐ明確な利点である。
【0027】
このプロセスから恩恵を受けることのあるガスストリームとしては、従来の水蒸気改質プロセス及び/又は部分酸化プロセスからの合成ガスストリーム、特に石炭ガス化装置からの合成ガスストリーム[例えば、ガス洗浄工程と熱回収(冷却)工程の前もしくは後の、そしてサワーシフト(sour shift)段階の前での、IGCCプロセスの一部としての]がある。こうした利用での温度範囲は、200〜550℃の範囲であってよい。
【0028】
本発明から恩恵を受けることのある他のストリームとしては、製油所排気ストリーム(refinery vent streams)、製油所熱分解装置ストリーム(refinery cracker streams)、高炉ガス、ガラス工業もしくはスチール硬化プロセスによって使用される還元ガス、エチレン高含量ストリーム、及び液状もしくはガス状の炭化水素ストリーム(例えば、水素化脱硫や水素化脱窒素等の水素化処理プロセスに対して供給又は回収されるナフサ)などがある。
【0029】
使用する際には、ソーベント材料の造形ユニットを、固定床の形態にて収着容器中に配置し、重金属を含有する流体ストリームをその固定床に通す。容器中のソーベントを、公知の方法に従って1つ以上の固定床として使用することができる。2つ以上の固定床を使用することができ、これらの固定床は、組成が同一であっても異なっていてもよく、例えば、現行の固定床イオウ除去技術等の他のソーベント技術を、本発明と組み合わせて使用することができる。ソーベントに通すガス空間速度は、通常使用される範囲であってよい。
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1:バナジウムソーベント
下記の処方を使用して、グラニュレータにて球状グラニュール(37%wt V)を製造した:金属硫化物前駆体V(アルファ・エイサー社)1kg(70pts);アルミナ三水和物担体429g(30pts);クレーバインダー(マイニューゲル社)100g(7pts)。
【0031】
これらの粉末をプレミックスし、次いで水と粉末を交互に加えることによって造粒した。得られたグラニュールをふるい分け、105℃で一晩乾燥した。ソーベント前駆体が既に混合原子価バナジウムを含んでいるので、還元工程は不要であった。ソーベント前駆体グラニュールを、1%HS/N中にて400℃で、飽和状態(すなわち、入口[HS]=出口[HS])になるまで硫化した。得られた材料(1a)をXRDによって分析し、VとVからなることが分かった。
【0032】
1aソーベントが水銀を捕捉する能力を、液相静的試験にて以下のように調べた:元素状水銀で飽和させた60mlのヘキサンを三角フラスコ中にて撹拌した。0.5gの1aソーベント材料をフラスコに加え、本溶液のサンプルを規則的な時間間隔で採取し、原子蛍光検出によって水銀含量に関して分析した。時間に対するHgの除去から、一次速度を算出することができる。室温にて30分後、ソーベントは36重量%の水銀を除去した。一次除去速度は0.013s−1と決定された。
【0033】
1aソーベントが気相中の水銀を捕捉する能力を、以下のように、単純な気相試験においてノリット活性炭(Norit Activated Carbon)(RB3等級)のそれと比較した:それぞれ5gのソーベント材料を、内径20mmのガラス反応器に装入した。10〜11mg/mの元素状水銀蒸気を含有する窒素ガスを、ソーベント材料上にて下流方向へ、大気圧及び200ml/分の流量にて通した。こうした条件下にて、この試験を1950時間続けた。試験の最後に、材料に清浄な窒素ガスをパージしてから、ソーベント材料を反応器から排出した。このソーベント材料に対し、酸分解法によって、次いでICP−OES分析によって、水銀含量に関して分析した。
【0034】
【表1】

【0035】
この結果は、材料1aの優れた水銀収着性を明確に示している。
実施例2:コバルトソーベント
下記の処方を使用して、グラニュレータにて球状グラニュール(48%Co)を製造した:金属硫化物前駆体Co(アルファ・エイサー社)500g(70pts);アルミナ三水和物担体214g(30pts);クレーバインダー(マイニューゲル社)50g(7pts)。
【0036】
これらの粉末をプレミックスし、次いで水と粉末を交互に加えることによって造粒した。得られたグラニュールをふるい分け、105℃で一晩乾燥した。造形されたソーベント前駆体グラニュールを、下記の条件を使用して還元及び硫化した。
【0037】
【表2】

【0038】
いずれの場合も700h−1のGHSVを使用し、材料を飽和状態(入口[HS]=出口[HS])になるまで硫化した。こうして得られた材料をXRDによって分析した。
【0039】
【表3】

【0040】
実施例2aのグラニュールの水素に対する安定性(還元可能性)は、4%H/He中にて最高550℃まで加熱し、発生したガスを質量分析法で分析することによって調べた。ソーベントは、最高約470℃(この温度でHSを生成し始めた)までは安定であった。
【0041】
2つのCoソーベント材料(2aと2b)の能力を、実施例1に記載の方法に従って、液相静的試験における水銀除去に関して試験した。室温にて30分後、コバルトソーベント2aが78重量%の水銀を除去したのに対し、コバルトソーベント2bは72重量%の水銀を除去した。一次速度定数は、それぞれ0.049s−1及び0.039s−1であることが求められた。
【0042】
コバルトソーベントの水銀除去能力はさらに、25mlの試験材料を内径19mmのガラス反応器に装入する流動試験(a flowing test)を使用して調べた。元素状水銀(約1ppmw)で飽和したn−ヘキサンを、床を介して(上向き流れ)任意のLHSVにてポンプ送りした。反応器を出るヘキサンのサンプルを定期的に採取し、原子蛍光検出によって水銀含量に関して分析した。特に明記しない限り、各試験の長さは750時間であった。試験終了後、穏やかな窒素流れを使用してソーベントを乾燥し、反応器から取り出した。
【0043】
実施例2aを試験した。最初は7h−1の液空間速度(LHSV)を使用したが、床出口からのHgの漏れ(Hg slip)が観察されたので、LHSVを4h−1に、次いで2h−1に下げた。これにより、Hgの漏れは一桁ppbのレベルに減少した。材料を365時間試験した時点にて、出口の水銀漏れが増大し始めた。この時点で試験を停止し、床を乾燥し、使用済みソーベントを回収した。床の累積水銀含量は38.21mgであった。
【0044】
実施例2bも、実施例1に記載の方法に従って、単純な気相試験にて試験した。得られた水銀取り込み量を、下記炭素の場合のそれと比較した。
【0045】
【表4】

【0046】
この場合も、混合原子価金属硫化物は炭素よりも有効であった。
実施例3:ニッケルソーベント
使用したソーベント前駆体は、1.2mmのアルミナトリローブ担体上に酸化ニッケル(29.9重量%のNi)を含む市販材料(ジョンソン・マッセイ・キャタリスト社から市販の“HTC−600”)であった。2つの還元及び硫化実験を下記のように行った。
【0047】
【表5】

【0048】
いずれの場合も700h−1のガス空間速度(GHSV)を使用し、材料を飽和状態(入口[HS]=出口[HS])になるまで硫化した。サンプルに対するXRD分析により、下記の結果が得られた。
【0049】
【表6】

【0050】
実施例3aのNi/Ni材料を4%H/He中にて最高550℃まで加熱し、発生したガスを質量分析法によって分析した。550℃まで安定であり、HSを形成するために硫化物が減少するという形跡は認められなかった。
【0051】
実施例3aを、実施例1に記載の方法に従って、液相静的試験にて水銀除去に関して試験した。室温で30分後、ソーベントは73重量%の水銀を除去した。これと比較すると、セラミック担体に担持のNiSソーベント(Ni含量は、NiOとして約24重量%)は、47重量%しか除去しなかった。一次速度定数は、混合原子価ソーベントに対しては0.040s−1であり、単一原子価のNiSに対しては0.020s−1であることが求められた。実施例3aと3bを、実施例2に記載の方法による流動試験にて試験した。
【0052】
実施例3aを試験した:最初は7h−1の標準的なLHSVを使用したが、床出口からのHgの漏れ(Hg slip)が観察されたので、LHSVを4h−1に、次いで3h−1に下げた。これにより、Hgの漏れはゼロとなった。材料を761時間試験した。床の累積水銀含量は94.27mgであった。
【0053】
実施例3bを試験した:最初は7h−1の標準的なLHSVを使用したが、床出口からのHgの漏れが観察されたので、LHSVを5h−1に、次いで3h−1に下げた。これにより、Hgの漏れは一桁ppbのレベルに減少した。材料を807時間試験した。床の累積水銀含量は97.23mgであった。
【0054】
比較のため、市販のNiSソーベント材料も試験した。最初は7h−1の標準的なLHSVを使用したが、床出口からのHgの漏れが観察されたので、LHSVを4h−1に、次いで3h−1に下げた。これにより、Hgの漏れはゼロとなった。材料を407時間試験し、この時点において、出口に相当の水銀漏れが観察された。床の累積水銀含量は26.39mgであった。
【0055】
これらの結果から、この場合も、混合原子価ニッケル硫化物のほうが、水銀の除去において単一原子価NiSよりも活性が高い、ということがわかる。
実施例4:ニッケルソーベント、硫化プロセスの最適化
2.5mmのトリローブアルミナ担体に担持の市販酸化ニッケル(NiOとして12.4%Ni)をソーベント前駆体として使用した。2つの一般的な硫化方法を使用した:I)硫化の前に別個に予備還元工程を行う;又はII)別個の予備還元工程なし(還元と硫化を同時に行う)。
【0056】
I)予備還元を含む
予備還元法は、100容量%H中にて材料を400℃に加熱すること、及びその温度で4時間保持することを含んだ。材料を硫化温度に冷却し(必要に応じて)、ガスを窒素中1容量%HSに換えた。次いでサンプルを、a)110℃、b)250℃、及びc)400℃にて飽和状態になるまで硫化した。
【0057】
II)予備還元を含まない
予備還元なしで3つの方法を使用した:
a)すべてのガスについて低温からスタートし、400℃に加熱した。400℃にて飽和状態になるまで硫化した。純粋水素中1容量%HS、HとNの50:50容量比混合物中1容量%HS、及びHとNの4:96容量比混合物中1容量%HSという3つのガスストリーム混合物を使用した。
b)H/N中にて400℃に加熱し、次いで1容量%のHSを導入した。400℃にて飽和状態になるまで硫化した。100%H、N中50%H、N中10%H、及びN中4%Hという4つのガス混合物を使用した。
c)N中にて400℃に加熱し、次いでH含有ガスと1容量%のHSを導入した。400℃にて飽和状態になるまで硫化した。100%H、N中50%H、N中10%H、及びN中4%Hという4つのガス混合物を使用した。
【0058】
得られた生成物を、実施例1に記載の方法に従って液相静的試験にて試験した。
【0059】
【表7】

【0060】
これらの結果は、結晶質の混合原子価硫化ニッケルを形成させるには、110℃〜400℃(好ましくは200〜300℃)の硫化温度が要求される、ということを示している。非晶質イオウ又は単一原子価NiS材料に対する静的試験速度定数は、混合原子価硫化ニッケルソーベントに対するそれよりも小さかった。
【0061】
【表8】

【0062】
これらのデータから、予備還元を含む方法が、水銀除去に対してより高い速度定数を有する材料をもたらす、ということがわかる。特に、250℃での硫化を含む方法(実施例4(Ib))は最良の結果(再現性のあることが分かった)をもたらす。
【0063】
実施例5:ニッケルソーベント、前駆体の研究(ルートとニッケル取り込み)
硝酸ニッケル溶液を用いる含浸法を使用し、次いで焼成することによって、アルミナ材料担持NiOを作製した。アルミナトリローブ担体とアルミナ球体担体を担体材料として使用した。
【0064】
【表9】

【0065】
これらの材料を400℃で還元し、引き続き実施例4(I(b))の方法を使用して250℃で硫化した。得られた硫化物材料を、存在する相(XRDによる)及びイオウ含量(燃焼サンプルのLECO So赤外分析法による)に関して分析した。これらの硫化物材料をさらに、実施例1に記載のように、静的試験における水銀除去に関して試験した。得られた結果を以下に示す。
【0066】
【表10】

【0067】
これらの結果は、アルミナ担持硝酸ニッケルから誘導される還元・不動態化材料がHgを除去するのに効果的である、ということを示している。
実施例6:Niソーベントと炭素との比較
本発明のソーベント(実施例4(Ib))と、還元ガスストリーム中に使用される一般的なソーベントである活性炭(ノリット活性炭、RB3等級)とを比較するために、液相静的試験を行った。
【0068】
三角フラスコ中にて元素状水銀で飽和された特定の体積(60ml)のn−ヘキサンに、ソーベント材料(0.5g)を加えた。本混合物を周囲温度で撹拌した。ヘキサンサンプルを、1分、2分、5分、10分、20分、及び30分にて採取した。これらのサンプルを、原子蛍光分光法を使用して水銀含量に関して分析した。結果は以下のとおりであった。
【0069】
【表11】

【0070】
これらの結果は、本発明の材料の収着性が優れていることを明確に示している。
実施例7:気相試験
実施例4(Ib)の硫化ニッケル材料を、還元ガス試験における水銀除去に関して試験した。
【0071】
内径1インチのステンレス鋼製管状溶液、入口ライン、及び出口ラインを含む実験用気相試験ユニットを使用した。ステンレス鋼表面への水銀の物理吸着を防ぐために、容器と付属機器を不動態化した。
【0072】
25mlの硫化ニッケルソーベントを容器に装入し、この容器をオーブン中に、外部加熱できるように設置した。純粋な水素を、5bargの圧力にて11.25リットル/時の割合で床に通した。床の温度を20〜550℃の範囲の温度に制御した。床が所望の温度になったときに、水素ガスストリームを水銀バブラーに通してガス中の水銀を同伴させてから、このガスストリームを容器に供給する。ガスの水銀含量は、30000μg/m〜140000μg/mの範囲に調節した。
【0073】
試験は、2〜72時間の範囲にわたって行った。入口ガスと出口ガスの全水銀含量を、原子蛍光分光法によって分析した。各試験の始まり付近、中間、及び終わりでの分析結果を以下に示す(ND=検出されず)。
【0074】
【表12】

【0075】
【表13】

【0076】
これらの結果は、水素ガスストリーム中での本材料に関して、20〜550℃の温度範囲にわたって入口Hgのほぼすべてが適切に除去されていることを示している。550℃での拡大試験は、Niソーベントの驚くべき安定性を実証している。
【0077】
実施例8:長期気相試験
実施例4(Ib)のNi硫化ニッケル材料を、還元ガス試験における水銀除去に関して試験した。実施例7において使用した実験用気相試験ユニットを使用した。
【0078】
25mlの還元・硫化したソーベントを反応容器に装入した。80%容量%の水素と20容量%の窒素との混合ガスを、51リットル/時の割合で4.7bargの圧力にて床に通した。床の温度を50℃に制御した。床が所望の温度になったとき、水素/窒素ガスストリームの一部(2リットル/時)を水銀バブラーに通して、ガス中に水銀を同伴させてから反応容器に送った。ガスの水銀含量を約3000μg/mに制御した。試験は700時間行った。試験全体を通して、入口ガスと出口ガスに対し、原子蛍光分光法によって1時間ごとに、全水銀含量に関して分析した。出口ガスの水銀濃度は、700時間にわたってゼロのままであり、この700時間の時点において水銀濃度が約300μg/mに増大し、試験を停止した。
【0079】
試験終了時、ソーベント床を8つの別個のサブベッド層(sub-bed layers)として取り出し、これらの層を、ICP−発光分光法によって全水銀含量に関して分析した。この手法に対する検出限界は10ppm(w/w)である。この分析の結果を以下に示す。
【0080】
【表14】

【0081】
これらの結果は、水銀プロフィールが、床入口でのより高い水銀レベルから床とともに減少していくことを示している。
実施例9:製油所ガス試験
実施例4(Ib)のNi硫化ニッケル材料を、製油所でのサイドストリーム試験における水銀除去に関して試験した。試験した炭化水素ガスは、C−C炭化水素、HS、及びCOのほかに相当量の水素を含有した。
【0082】
ソーベント材料を、1リットルで内径64mmのステンレス鋼製反応器に装入した。反応器を、1.2m/時の流量で試験床上を通過する製油所ストリームに接続した。この系の圧力は4.7bargであり、温度は35℃〜80℃の間で変えた。
【0083】
反応器入口と反応器出口にてガスのサンプルを定期的に採取した。このガスを、原子蛍光分光法により水銀含量に関して分析した。これらの分析結果を以下に示す。
【0084】
【表15】

【0085】
水銀に対する結果は、ストリームの水銀含量が108ng/Nm〜8930ng/Nmの間で変動することを示している。試験全体を通じて、ソーベント材料による水銀除去率は61%〜100%の間で変わり、平均除去率は88%であった。
【0086】
入口ガスストリームと出口ガスストリームに対する電気化学的水素分析は、ソーベント材料上にて水素の消費がないことを示しており、したがってソーベント材料が還元されにくいことを実証している。
【0087】
試験は575時間行った。試験終了時、ソーベント床を10個の別個のサブベッドとして取り出し、これらの層を、ICP−発光分光法によって全水銀含量に関して分析した。この手法に対する検出限界は10ppm(w/w)である。取り出した10個の床の平均水銀含量は248ppm(w/w)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む造形ユニットの形態のソーベント。
【請求項2】
混合原子価金属硫化物が、Co、Co、Co、V、Ni、Ni、及びNiからなる群から選択される、請求項1に記載のソーベント。
【請求項3】
混合原子価金属硫化物がNi及び/又はNiを含む、請求項1又は2に記載のソーベント。
【請求項4】
バインダーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のソーベント。
【請求項5】
バインダーが、クレー、セメント、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載のソーベント。
【請求項6】
混合原子価金属硫化物が担体材料上に担持されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のソーベント。
【請求項7】
担体材料が、アルミナ、水和アルミナ、金属アルミン酸塩、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、アルミノケイ酸塩、ゼオライト、金属炭酸塩、クレー、セメント、炭素、又はこれらの混合物から選択される、請求項6に記載のソーベント。
【請求項8】
造形ユニットが、モノリス、ハニカム、又はフォームである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のソーベント。
【請求項9】
造形ユニットが、ペレット、押出物、又はグラニュールである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のソーベント。
【請求項10】
造形ユニットが、1〜15mmの範囲の最小寸法と1〜25mmの範囲の最大寸法を有し、最長寸法を最短寸法で除して得られるアスペクト比が4以下である、請求項9に記載のソーベント。
【請求項11】
バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの1種以上の混合原子価金属硫化物を含む造形ユニットの形態のソーベントを製造する方法であって、
(i)バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの金属硫化物前駆体化合物を、水素含有ガスでより低い酸化状態に還元して還元組成物を形成させる工程;及び
(ii)該還元組成物を硫化用化合物で同時的もしくは逐次的に硫化してソーベントを形成させる工程;を含み、ここでソーベント前駆体又はソーベントが造形されている、製造方法。
【請求項12】
金属硫化物前駆体化合物が、可溶性塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、又はヒドロキシ炭酸塩からなる群から選択される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの可溶性塩の溶液を担体材料に含浸させ、次いでこの含浸担体を乾燥・焼成することによってソーベント前駆体を製造する工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、又はニッケルの酸化物、水酸化物、炭酸塩、もしくはヒドロキシ炭酸塩から選択される金属硫化物前駆体化合物と、1種以上のバインダー及び必要に応じて担体材料とを混合することによってソーベント前駆体を製造する工程をさらに含む、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項15】
還元段階を、水素含有ガスを使用して100〜700℃の範囲の温度で行う、請求項11〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
硫化用化合物が硫化水素を含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
混合原子価硫化物が硫化ニッケルであり、還元工程が350〜450℃の範囲の温度で、そして硫化が200〜300℃の範囲の温度で行われる、請求項11〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のソーベント、又は請求項11〜17のいずれか一項に従って製造したソーベントをソーベント容器中に組み込み、水素及び/又は一酸化炭素を含む流体ストリームを該ソーベントと接触させることによって、流体ストリームから重金属を、特に水銀を除去する方法。
【請求項19】
流体ストリームが液体である、請求項18に記載の除去方法。
【請求項20】
液体が、水素化処理プロセスに供給されるか、あるいは水素化処理プロセスから回収される水素含有炭化水素ストリームである、請求項19に記載の除去方法。
【請求項21】
流体ストリームが還元ガスストリームである、請求項18に記載の除去方法。
【請求項22】
還元ガスストリームを最高550℃までの温度でソーベントと接触させる、請求項21に記載の除去方法。
【請求項23】
還元ガスストリームが、ガス化装置からの合成ガスストリーム、好ましくは粗製合成ガスストリームである、請求項21又は22に記載の除去方法。
【請求項24】
還元ガスストリームが製油所排気ストリームである、請求項21又は22に記載の除去方法。
【請求項25】
還元ガスストリームが、水素化処理プロセスに供給されるか、あるいは水素化処理プロセスから回収される水素含有炭化水素ストリームである、請求項21又は22に記載の除去方法。

【公表番号】特表2012−515645(P2012−515645A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546956(P2011−546956)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050042
【国際公開番号】WO2010/084337
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】