説明

野菜酢及びこれを用いた加工食品

【課題】コーンを含む野菜原料を酢酸発酵させたにも拘らず、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされた野菜酢及びこれを用いた加工食品の提供。
【解決手段】コーンを酢酸発酵させてなる野菜酢において、コーンと下記第1野菜群の1種以上と、更に、下記第2野菜群の1種以上をを含む野菜原料を酢酸発酵させてなることを特徴とする野菜酢。第1野菜群:セロリ、パセリ、クレソン、小松菜又はコリアンダー。第2野菜群:カボチャ、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネギ又はトマト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンを含む野菜原料を酢酸発酵させたにも拘らず、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされた野菜酢及びこれを用いた加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食酢は、高血圧等の生活習慣病を防ぐ効果を有しており、一般的にヒトの健康に良い調味料である。中でも、リンゴを原料として醸造されたりんご酢や、玄米を原料として醸造された玄米酢は、健康イメージが強く、近年では調味料としてだけではなく、健康飲料のべースとしても用いられている。
【0003】
また、野菜についても同様に、摂取によって生活習慣病予防等の効果が報告されており、野菜の健康機能についても近年注目されている。特に、コーンは、必須脂肪酸のリノール酸を豊富に含み、コレステロールを下げる働きにより、高血圧や動脈硬化の予防効果がある。他にもコーンには、糖質の代謝を助けるビタミンB1、発育に欠かせないビタミンB2、風邪を予防し、肌や皮膚を若々しく保つビタミンCなどのビタミン類や、骨や歯を丈夫にするカルシウム、貧血を防ぐ鉄、むくみの解消や高血圧予防に効果があるカリウムなどのミネラル成分を多く含んでいるため、様々な加工食品に使用されており、今後もその用途の拡大が期待されている。
【0004】
しかしながら、野菜の搾り汁、特にコーンの搾り汁には、コーン特有の青臭みがあることから、不得手とする消費者も多い。更に、原料としてコーンの搾り汁等を用い、それらを酢酸発酵させる野菜酢においては、コーン特有の青臭みが強くなってしまい好まれないという問題があった。
【0005】
コーン等の野菜特有の青臭みを解決する方法として、例えば、特開2003−334045号公報(特許文献1)に、野菜ジュースにガラクトマンナン分解物を含有させる方法が記載されている。しかしながら、この方法は、コーン等の野菜を酢酸発酵させた野菜酢において、青臭みの軽減はされるものの、消費者の要望を十分に解決できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−334045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、コーンを含む野菜原料を酢酸発酵させたにも拘らず、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされた野菜酢及びこれを用いた加工食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、野菜原料として、コーンと、少なくとも1種以上の特定の野菜を組み合わせて用い、これらと特定の野菜を含む野菜原料を同時に酢酸発酵させるならば、意外にも、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)コーンを酢酸発酵させてなる野菜酢において、コーンと下記第1野菜群の1種以上とを含む野菜原料を酢酸発酵させてなる野菜酢、
第1野菜群:セロリ、パセリ、クレソン、小松菜又はコリアンダー
(2)上記第1野菜群として少なくともセロリを用いる、(1)記載の野菜酢、
(3)前記野菜原料として、更に、下記第2野菜群の1種以上を含む(1)又は(2)記載の野菜酢、
第2野菜群:、カボチャ、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネギ又はトマト
(4)前記第1野菜群として少なくともセロリ、前記第2野菜群として少なくともカボチャを用いる、(1)乃至(3)のいずれかに記載の野菜酢、
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載の野菜酢を配合してあることを特徴とする加工食品、
(6)食品が飲料である(5)記載の加工食品、
(7)食品が酸性液状調味料である(5)記載の加工食品、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コーンを含む野菜原料を酢酸発酵させたにも拘らず、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされた野菜酢を提供することができる。これにより、野菜酢について、食品市場、特に、調味料、健康飲料市場等の更なる拡大が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
【0012】
野菜酢とは、野菜を原料として酢酸発酵させてなる醸造酢のことである。また、「野菜酢」と表記できる醸造酢に関しては、JAS規格により「(1)醸造酢のうち穀類及び果実を使用しないものであって、1種類の野菜、その他の農産物又ははちみつをそれぞれ一定重量以上使用しており、かつ、使用した原材料のうち当該野菜、その他の農産物又ははちみつの重量の割合が最も多い場合、または、(2)醸造酢のうち穀類、果実、その他の農産物及びはちみつを使用しないものであって、2種類以上の野菜を使用し、そのうち1種類以上の野菜を一定重量以上使用しており、かつ、使用した原材料のうち野菜の重量の割合が最も多い場合に「醸造酢(○○酢)(野菜酢、当該野菜等)」と記載することができる」と定められている。
【0013】
本発明の野菜酢に用いるコーンは、その種類を限定するものではないが、一般的に食用のものを用いれば良く、例えば色や食味による分類では甘味種(スイートコーン)として味来、サニーショコラ、ゴールドラッシュ、ミエルコーン、甘味バイカラー種としてハニーバンダム、ピーターコーン、ゆめのコーン、カクテルコーン、甘味白色種としてピュアホワイト等を用いることができる。
【0014】
本発明の野菜酢に用いるコーンの配合量は、ストレート換算で野菜酢中20〜95%が好ましく、30〜85%がより好ましい。配合量が前記範囲より少ないと、野菜酢に求められているコーンの風味が感じられず、好ましくない。前記範囲より多いと、野菜の発酵に時間を要するため、効率が悪く、好ましくない。なお、ストレート換算とは、濃縮、希釈等の濃度変化を伴う加工を行っていない原料濃度への換算を指す。
【0015】
他の野菜を加えずにコーンを原料として酢酸発酵させた場合、コーン由来の特有の青臭みが強いオフフレーバーとなって発生してしまうが、本発明においては、野菜原料として、前記コーンと、第1野菜群のセロリ、パセリ、クレソン、小松菜又はコリアンダーから選択される少なくとも1種以上とを含む野菜原料を酢酸発酵させることを特徴とし、これにより、コーン特有の青臭みがマスキングされる。
【0016】
本発明の野菜酢に用いる前記第1野菜群の合計配合量は、ストレート換算で野菜酢中0.1〜60%が好ましく、1〜30%がより好ましい。配合量が前記範囲より少ないと、コーン由来の特有の青臭みが十分にマスキングされず、好ましくない。前記範囲より多いと、前記第1野菜群の風味が強くなり、野菜酢に求められているコーン本来の風味がマスキングされやすいため、好ましくない。
【0017】
本発明の野菜酢に用いるコーンと前記第1野菜群の配合比率は、ストレート換算でコーン1部に対して第1野菜群の合計が0.02〜1部であることが好ましく、0.05〜0.3部であることがより好ましい。第1野菜群の配合比率が前記範囲より少ないと、コーン由来の特有の青臭みが十分にマスキングされず、好ましくない。第1野菜群の配合比率が前記範囲より多いと、第1野菜群の風味が強くなり、野菜酢に求められているコーン本来の風味がマスキングされやすいため、好ましくない。
【0018】
本発明においては、特に、前記第1野菜群のうち少なくともセロリを加えると、コーン由来の特有の青臭みマスキング効果がより得られ易く好ましい。
【0019】
セロリとは、オランダミツバ、清正とも呼ばれている。特有の芳香を有しており、香味野菜として一般的に広く用いられている。本発明に用いるセロリは、その種類を限定するものではないが、例えば、コーネルセロリ、ホワイトブルーム、ゴールデンブルーム、トップセラー、セロリアック、ミニセロリ、スープセロリ、芹葉等が挙げられる。
【0020】
以上に記載した通り、酢酸発酵させる野菜原料として、コーンに上述の第1野菜を加え酢酸発酵させるとコーン由来の特有の青臭みマスキング効果が得られる。そして、本発明は、更に、前記野菜原料として、カボチャ、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネギ又はトマトから選択される少なくとも1種以上からなる第2野菜群を用い、前記コーン、第1野菜群、及び第2野菜群を含む野菜原料を酢酸発酵させることが好ましく、これにより、コーン由来の特有の青臭みマスキング効果が高まる。
【0021】
本発明の野菜酢に用いる前記第2野菜群の合計配合量は、ストレート換算で野菜酢中0.1〜60%が好ましく、1〜30%がより好ましい。配合量が前記範囲より少ないと、コーン由来の特有の青臭みの更なるマスキング効果が十分に発揮されず、好ましくない。前記範囲より多いと、前記第2野菜群の風味が強くなり、野菜酢に求められているコーン本来の風味がマスキングされやすいため、好ましくない。
【0022】
本発明の野菜酢に用いるコーンと前記第2野菜群の配合比率は、ストレート換算で1部に対して第2野菜群の合計が0.02〜1部であることが好ましく、0.05〜0.3部であることがより好ましい。第2野菜群の配合比率が前記範囲より少ないと、コーン由来の特有の青臭みが十分にマスキングされず、好ましくない。第2野菜群の配合比率が前記範囲より多いと、第1野菜群の風味が強くなり、野菜酢に求められているコーン本来の風味がマスキングされやすいため、好ましくない。
【0023】
本発明においては、特に、前記第2野菜群のうち、少なくともカボチャを用いると、コーン由来の特有の青臭みマスキング効果がより得られ易く好ましい。
【0024】
本発明の野菜酢に用いるカボチャは、その種類を特に限定するものではないが、西洋カボチャ、東洋カボチャ、ペポカボチャ等が挙げられる。
【0025】
本発明の野菜酢の野菜原料としては、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の野菜を用いても良い。例えば、レタス、カブ、赤カブ、ほうれん草、モロヘイヤ、シソ、ミツバ、バジル、グリーンピース、白菜、ビーツ、大根、ケール、モロヘイヤ、セリ、キュウリ、シュンギク、チシャ、オクラ、エンドウ、ナス、青梗菜、タアサイ等を用いることができる。
【0026】
本発明の野菜酢全体に対する野菜の配合量は、ストレート換算で21〜150%が好ましく、30〜100%がより好ましい。野菜の配合量が前記範囲より少ないと、野菜特有の香りがせず野菜酢として好ましくない。前記範囲より多いと、酢酸発酵に時間を要し、雑菌の増殖等のリスクがあるため好ましくない。
【0027】
本発明の野菜酢において、酢酸発酵に用いる野菜原料の形態は特に限定されず、生野菜、凍結解凍したもの、ペースト状のもの、ジュース状、レトルト処理を施した缶詰等に加工されたもの等を用いることができる。また、これらの野菜には必要に応じて選別洗浄、剥皮、切断、微細化あるいは破砕、粉砕、搾汁、濃縮、加熱殺菌等の処理を施して野菜搾り汁とする。
【0028】
本発明の野菜酢に用いる酢酸発酵の方法としては、公知の酢酸発酵技術を用いることができる。例えば、静置発酵法、通気発酵法(深部発酵法とも呼ばれる)等の一般的な発酵方法を用いて行えばよい。
【0029】
野菜酢の酢酸発酵に用いる酢酸菌としては、公知の酢酸菌を用いることができる。例えば、アセトバクター(Acetobacter)属に属する酢酸菌が良く、アセトバクター・パスツリアヌス(Acetobacter
pasteurianus)やアセトバクター・アセチ(Acetobacter
aceti)等が好ましい。
【0030】
本発明の野菜酢の酢酸発酵に用いる発酵促進物質は、発酵を促進するための成分、例えば、ビタミン(ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン等)、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、または核酸等を含んだものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、カゼイン加水分解物、卵黄、脱脂粉乳、ビタミン類、補酵素類、ミネラル類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて野菜酢に配合させることが出来る。また、野菜酢に対する発酵促進物質の配合量は、0.01〜1.5%が好ましい。
【0031】
本発明の野菜酢は、酢酸発酵工程において、別途アルコールを配合し酢酸発酵を進行させてもよい。本発明の野菜酢に用いるアルコールの種類は、食用のもの等を用いると良く、その配合量は、酢酸発酵が進行する3〜8%が好ましい。
【0032】
本発明の野菜酢の酸度は、酢酸換算で2〜8%が好ましく、4〜6%がより好ましい。酸度が前記範囲内であると、コーン由来の特有の青臭みのマスキング効果が得られやすい。
【0033】
上述した本発明の野菜酢は、コーンを含む野菜原料を酢酸発酵させているにも拘らず、コーン由来の特有の青臭みがマスキングされ、本来の風味を有するものである。したがって、従来の醸造酢と同様に、幅広い加工食品に用いることで、コーン由来の特有の青臭みがなくコーン本来の風味が感じられる新しい美味しさの加工食品が得られる。このような本発明の野菜酢を配合する加工食品は、特に限定されないが、例えば、酢飲料等の飲料、あるいは、ドレッシング、砂糖やみりんを配合した合わせ酢、酢飯、酢豚、酢の物、カルパッチョ、煮物等の食品の用途に利用できる。特に、一度に多量に摂取する飲料や、野菜にかけて喫食するドレッシング等の酸性液状調味料に対し、本発明のコーン特有の青臭みマスキング効果が得られ易く好ましい。
【0034】
本発明の飲料における野菜酢の配合量は、5〜90%が好ましく、10〜50%がより好ましい。配合量が、前記範囲より少ないと、青臭みをマスキングしながらコーン特有の風味を活かした飲料が得られない。前記範囲より多いと、配合量に応じた効果が得られず経済的でない場合がある。
【0035】
本発明のドレッシングにおける野菜酢の配合量は、0.1〜50%が好ましく、1〜20%がより好ましい。配合量が、前記範囲より少ないと、青臭みをマスキングしながらコーン特有の風味を活かしたドレッシングが得られない。前記範囲より多いと、配合量に応じた効果が得られず経済的でない場合がある。
【実施例】
【0036】
以下に本発明の野菜酢及びこれを用いた加工食品を実施例及び比較例に基づき詳述する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
【0037】
[試験例1]
〈野菜酢の調製〉
まず、野菜酢の原料として、表1に記載のコーン並びに、第1野菜群及び/又は第2野菜群を、ミキサーを用いてそれぞれ粉砕して液状にした後、真空濃縮を行って各野菜濃縮汁を調製した。次に、表1の記載に従って、それぞれ、第1野菜群の濃縮汁6%(ストレート換算30%)、第2野菜群の濃縮汁6%(ストレート換算30%)を配合し、これにコーン濃縮汁8%(ストレート換算40%)、清水75%及び95%アルコール5%を加えて、発酵前の原料混合液25種類を調製した。なお、発酵前の原料混合液に、第1野菜群又は第2野菜群を配合しない場合は、清水に置き換えた。続いて、発酵前の各原料混合液に、通気発酵法を用いて酢酸発酵を行った後、品温10〜30℃で2週間保管して熟成を行い、25種類の野菜酢を得た(実施例1〜23、比較例1〜2)。なお、得られた野菜酢の酸度は、全て酢酸換算で4.5〜5.5%であった。
【0038】
<評価>
コーンのみを上記と同様に酢酸発酵して調製した野菜酢を対照において、得られた実施例1〜23、比較例1〜2の野菜酢の風味を以下の基準で4段階評価した。結果を表1に示す。
【0039】
<評価基準>
A:コーン特有の青臭みが完全にマスキングされている。
B:コーン特有の青臭みがマスキングされている。
C:コーン特有の青臭みがややマスキングされている。
D:コーン特有の青臭みがマスキングされておらず、好ましくない。
【0040】
【表1】

【0041】
コーンと、第1野菜群であるセロリ、パセリ、クレソン、小松菜又はコリアンダーを合わせて酢酸発酵する場合、得られた野菜酢は、コーン特有の青臭みをマスキングする効果が見られた(実施例1〜5)。特に、コーンとセロリを用いた場合、オフフレーバーであるコーン特有の青臭みがよりマスキングされており好ましかった(実施例1)。
【0042】
コーンとセロリに加えて、第2野菜群である、カボチャ、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネギ、又はトマトを合わせて酢酸発酵する場合、コーンとセロリを合わせた実施例1と比較して、さらにコーン特有の青臭みが完全にマスキングされており、好ましかった(実施例6〜14)。また、表には示していないが、第2野菜群としてカボチャを用いた野菜酢は、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネ及びトマトと比較して、コーン特有の青臭みをマスキングする効果が高く、更に好ましいものであった(実施例6)。また、実施例15〜23の野菜酢は、コーン特有の青臭みをマスキングする効果がみられた。
【0043】
第1野菜群を用いず、第2野菜群であるカボチャ又はパプリカをコーンと合わせて酢酸発酵した野菜酢は、コーン特有の青臭みがマスキングされておらず、好ましくなかった(比較例1〜2)。
【0044】
[試験例2]
〈野菜酢の調製〉
コーン、第1野菜群であるセロリ、第2野菜群であるカボチャを用いてそれぞれの野菜酢を調製した。次に、コーン酢、セロリ酢及びカボチャ酢を等量ずつブレンドした野菜酢の3種の野菜酢を調製した(比較例3)。なお、得られた野菜酢の酸度は、酢酸換算で5.0%であった。得られた比較例3の野菜酢は、実施例6と同様の原料を個別に酢酸発酵させただけの違いにも拘らず、コーン特有の青臭みがマスキングされておらず、好ましくなかった。
【0045】
[試験例3]
コーンとセロリを合わせて酢酸発酵させてなる実施例1の野菜酢に準じて、コーンと第1野菜群であるセロリの配合量を下記表2の通りに変更し、本発明のコーン特有の青臭みをマスキングする効果について調べた。なお、野菜酢全体に対する配合量の増減は、清水の配合量で調整した。評価方法は、試験例1の評価基準に従い評価した。
【0046】
[表2]

【0047】
その結果、コーン1部に対する第1野菜群の合計量が、ストレート換算で、0.02〜1部である場合、コーン特有の青臭みが完全にマスキングされていた(No.1〜4)。特に、No.1及び4と比較して、No.2及び3の試験例でより高い本発明の効果が得られたことから、コーン1部に対する第1野菜群の合計量が、ストレート換算で、0.05〜0.3部であることがより好ましいことが分かる。
【0048】
[試験例4]
コーンとセロリとカボチャを合わせて酢酸発酵させてなる実施例6の野菜酢に準じて、コーンと第2野菜群であるカボチャの配合量を下記表3の通りに変更し、本発明のコーン特有の青臭みをマスキングする効果について調べた。なお、野菜酢全体に対する配合量の増減は、清水の配合量で調整した。評価方法は、試験例1の評価基準に従い評価した。
【0049】
[表3]

【0050】
その結果、コーン1部に対する第2野菜群の合計量が、ストレート換算で、0.02〜1部である場合、コーン特有の青臭みが完全にマスキングされていた(No.5〜8)。特に、No.5及び8と比較して、No.6及び7の試験例でより高い本発明の効果が得られたことから、コーン1部に対する第2野菜群の合計量が、ストレート換算で、0.05〜0.3部であることがより好ましいことが分かる。
【0051】
[実施例24]
実施例6の野菜酢(コーン、セロリ、カボチャ)30%、三温糖5%、はちみつ5%、レモン果汁0.5%、清水59.5%を攪拌混合し、本発明の野菜酢を配合した飲料を調製した。得られた飲料は、オフフレーバーであるコーン特有の青臭みがマスキングされており好ましかった。
【0052】
[実施例25]
実施例6の野菜酢(コーン、セロリ、カボチャ)20%、食塩3%、レモン果汁1%、液卵黄1%、グルタミン酸ナトリウム0.5%、ブラックペパー0.2%、サラダ油30%、清水44.3%を攪拌混合し、本発明の野菜酢を配合した酸性液状調味料(ドレッシング)を調製した。得られた酸性液状調味料(ドレッシング)30gとカットレタス100gを和えて喫食したところ、野菜酢単独で喫食する時よりも、さらにオフフレーバーであるコーン特有の青臭みがマスキングされており好ましかった。
【0053】
[実施例26]
実施例25の酸性液状調味料(ドレッシング)において、実施例6の野菜酢を実施例15の野菜酢(コーン、小松菜、カボチャ)に置き換えて調製した。得られた酸性液状調味料(ドレッシング)30gとカットレタス100gを和えて喫食したところ、コーン特有の青臭みがマスキングされているものの、実施例25と比べややその効果に劣った。
【0054】
[実施例27]
実施例6の野菜酢(コーン、セロリ、カボチャ)の野菜をコーン濃縮汁8%(ストレート換算40%)、セロリ濃縮汁6%(ストレート換算30%)、カボチャ濃縮汁3%(ストレート換算15%)、ブロッコリー濃縮汁3%(ストレート換算15%)に置き換えた以外は実施例6に準じて野菜酢を調製した。得られた野菜酢は、コーン特有の青臭みをマスキングする効果が見られ、好ましかった。
【0055】
[実施例28]
実施例25の酸性液状調味料(ドレッシング)において、実施例6の野菜酢を実施例27の野菜酢に置き換えて酸性液状調味料(ドレッシング)を調製した。得られた酸性液状調味料(ドレッシング)30gとカットレタス100gを和えて喫食したところ、コーン特有の青臭みがマスキングされ、好ましかった。
【0056】
[実施例29]
実施例6の野菜酢(コーン、セロリ、カボチャ)の野菜をコーン濃縮汁8%(ストレート換算40%)、セロリ濃縮汁3%(ストレート換算15%)、クレソン濃縮汁3%(ストレート換算15%)、カボチャ濃縮汁6%(ストレート換算30%)に置き換えた以外は実施例6に準じて野菜酢を調製した。得られた野菜酢は、コーン特有の青臭みをマスキングする効果が見られ、好ましかった。
【0057】
[実施例30]
実施例25の酸性液状調味料(ドレッシング)において、実施例6の野菜酢を実施例29の野菜酢に置き換えて調製した。得られた酸性液状調味料(ドレッシング)30gとカットレタス100gを和えて喫食したところ、コーン特有の青臭みがマスキングされ、好ましかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンを酢酸発酵させてなる野菜酢において、コーンと下記第1野菜群の1種以上とを含む野菜原料を酢酸発酵させてなることを特徴とする野菜酢。
第1野菜群:セロリ、パセリ、クレソン、小松菜又はコリアンダー
【請求項2】
前記第1野菜群として少なくともセロリを用いる、請求項1記載の野菜酢。
【請求項3】
前記野菜原料として、更に、下記第2野菜群の1種以上を含む請求項1又は2記載の野菜酢。
第2野菜群:カボチャ、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、カリフラワー、タマネギ又はトマト
【請求項4】
前記第1野菜群として少なくともセロリ、前記第2野菜群として少なくともカボチャを用いる、請求項1乃至3のいずれかに記載の野菜酢。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の野菜酢を配合してあることを特徴とする加工食品。
【請求項6】
食品が飲料である請求項5記載の加工食品。
【請求項7】
食品が酸性液状調味料である請求項5記載の加工食品。

【公開番号】特開2013−5778(P2013−5778A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141855(P2011−141855)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【出願人】(591112371)キユーピー醸造株式会社 (17)
【Fターム(参考)】