説明

量子井戸と超格子とを有するIII族窒化物系発光ダイオード構造

【課題】III族窒化物系超格子と超格子上のIII族窒化物系活性領域とを有する発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】活性領域は、少なくとも1つの量子井戸構造を有する。量子井戸構造は、第1のIII族窒化物系バリア層と、第1のバリア層上のIII族窒化物系量子井戸層と、第2のIII族窒化物系バリア層とを含む。III族窒化物系半導体デバイスと、少なくとも1つの量子井戸構造を含む活性領域を有するIII族窒化物系半導体デバイスの製造方法とが、提供されている。量子井戸構造は、III族窒化物を含む井戸支持層と、井戸支持層上のIII族窒化物を含む量子井戸層と、量子井戸層上のIII族窒化物を含むキャップ層とを含む。またInXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層(ここで0≦X<1および0≦Y<1、ならびにXはYに等しくない)の少なくとも2つの周期を有する窒化ガリウム系超格子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクスデバイスおよびその製造方法に関し、より詳細には、たとえば発光ダイオード(LED)のようなIII族窒化物半導体デバイスに用いることができる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、仮出願第60/294,445号(2001年5月30日に出願)、発明の名称「MULTI-QUANTUM WELL LIGHT EMITTING DIODE STRUCTURE」、仮出願60/294,308号(2001年5月30日に出願)、発明の名称「LIGHT EMITTING DIODE STRUCTURE WITH SUPERLATTICE STRUCTURE」、および仮出願第60/294,378号(2001年5月30日に出願)、発明の名称「LIGHT EMITTING DIODE STRUCTURE WITH MULTI-QUANTUM WELL AND SUPERLATTICE STRUCTURE」の特典および以下の出願からの優先権を主張する。なおこれらの出願の開示は、本明細書において完全に記載されているかのごとく、本明細書において参照により全体として取り入れられている。
【0003】
発光ダイオードは、消費者向けおよび商用適用分野において広く用いられている。当業者によく知られているように、発光ダイオードは一般に、ダイオード領域をマイクロエレクトロニクス基板上に備えている。マイクロエレクトロニクス基板は、たとえばガリウムヒ素、ガリウムリン、それらの合金、炭化ケイ素、および/またはサファイアを含むことができる。LEDの絶え間ない開発の結果、可視スペクトルおよびそれ以上をカバーすることができる非常に能率的で機械的にも頑丈な光源が得られている。これらの属性は、固体デバイスの潜在的に長い耐用年数と結びついて、種々の新しいディスプレイの応用分野を可能にすることができるとともに、十分に確立されている白熱灯と競合する位置にLEDを置くことができる。
【0004】
III族窒化物系LEDたとえば窒化ガリウム系LEDの製造における問題の1つは、高品質の窒化ガリウムの製造に関するものである。通常、窒化ガリウムLEDは、サファイアまたは炭化ケイ素基板上に製造される。このような基板を使うと、基板の結晶格子と窒化ガリウムとの間に不整合が起こることが考えられる。サファイアおよび/または炭化ケイ素上への窒化ガリウムの成長に関する潜在的な問題を克服するために、種々の技術が用いられている。たとえば炭化ケイ素基板とIII族の活性層、特に窒化ガリウム活性層との間のバッファとして、窒化アルミニウム(AlN)を用いることができる。しかし通常、窒化アルミニウムは導電性ではなく絶縁性である。そのため窒化アルミニウムバッファ層を有する構造では通常、導電性の炭化ケイ素基板をIII族窒化物活性層に電気的につなげるために、窒化アルミニウムバッファをバイパスする短絡コンタクトが必要である。
【0005】
あるいは、導電性のバッファ層材料たとえば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、または窒化ガリウムと窒化アルミニウムガリウムとの組み合わせによって、AlNバッファ層の場合に通常用いられる短絡コンタクトを省くことができる。通常、短絡コンタクトを省くことによって、エピタキシャル層の厚みが小さくなり、デバイスの製造に必要な製造ステップの数が減り、チップ全体のサイズが小さくなり、および/またはデバイス効率が高まる。その結果、III族窒化物デバイスを、より低いコストで、より高い性能で作製することができる。これらの導電性バッファ材料はこのような利点を示すが、それでも、炭化ケイ素との間の結晶格子整合は、窒化アルミニウムの場合ほど満足のできるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,393,993号明細書
【特許文献2】米国特許第5,523,589号明細書
【特許文献3】米国特許出願第09/154,363号明細書、発明の名称「Vertical Geometry InGaN Light Emitting Diode」(本発明の譲受人に譲渡されている)
【特許文献4】米国特許第6,201,262号明細書、発明の名称「Group III Nitride Photonic Devices on Silicon Carbide Substrates With Conductive Buffer Interlay Structure」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高品質の窒化ガリウムの製造における前述の問題によって、デバイスの効率が下がる可能性がある。III族窒化物系デバイスの出力を向上させるための試みとしては、デバイスの活性領域の構成を変えることが挙げられる。このような試みとしては、たとえば単一および/または二重のヘテロ構造の活性領域を用いることが挙げられる。同様に、1つまたは複数のIII族窒化物量子井戸を有する量子井戸デバイスについての記述もなされている。このような試みによってIII族系デバイスの効率は向上しているが、さらなる向上を引き続き実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によって、III族窒化物系超格子と、超格子上のIII族窒化物系活性領域とを有する発光ダイオードが提供される。活性領域は、少なくとも1つの量子井戸構造を有する。量子井戸構造は、第1のIII族窒化物系バリア層と、第1のバリア層上のIII族窒化物系量子井戸層と、量子井戸層上の第2のIII族窒化物系バリア層とを含む。
【0009】
本発明のさらなる実施形態においては、発光ダイオードは、少なくとも1つの量子井戸構造の約2から約10の繰り返しを含む。
【0010】
本発明のさらなる実施形態においては、超格子は、InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層(alternating layer)(ここで0≦X<1および0≦Y<1、ならびにXはYに等しくない)の少なくとも2つの周期を有する窒化ガリウム系超格子を含む。第1のIII族窒化物系バリア層は、III族窒化物を含む井戸支持層(well support layer)を与え、第2のIII族窒化物系バリア層は、量子井戸層上のIII族窒化物を含むキャップ層(cap layer)を与える。
【0011】
このような実施形態においては、キャップ層は、井戸支持層よりも結晶品質が低くてもよい。
【0012】
本発明のさらなる実施形態においては、井戸支持層は窒化ガリウム系の層を含み、量子井戸層は窒化インジウムガリウム層を含み、バリア層は窒化ガリウム系の層を含む。このような実施形態においては、井戸支持層とキャップ層とは、InXGa1-XN(ここで0≦X<1)の層によって与えられてもよい。さらに、井戸支持層とキャップ層とのインジウム組成は、量子井戸層のインジウム組成より低くてもよい。
【0013】
井戸支持層とキャップ層とは、AlXInYGa1-X-YN(ここで0<X<1、0≦Y<1、X+Y≦1)によって与えられてもよい。さらに、井戸支持層とキャップ層とはアンドープであってもよい。あるいは、井戸支持層とキャップ層とは、約5×1019cm-3未満のn型ドーピングレベルを有していてもよい。またキャップ層と井戸支持層とは、量子井戸層よりもバンドギャップが大きくてもよい。井戸支持層とキャップ層とを組み合わせた厚みは、約50から約400Åであってもよい。井戸支持層の厚みは、キャップ層の厚みより大きくてもよい。量子井戸層は、厚みが約10から約50Åであってもよい。たとえば量子井戸層は、厚みが約20Åであってもよい。さらに量子井戸層中のインジウムの割合は、約15%から約40%であってもよい。
【0014】
本発明のさらなる実施形態においては、井戸支持層と超格子との間にIII族窒化物系スペーサ層が設けられている。スペーサ層はアンドープGaNであってもよい。
【0015】
本発明の他の実施形態においては、量子井戸のバンドギャップは超格子のバンドギャップよりも小さい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態においては、発光ダイオードは、キャップ層上のIII族窒化物を含む第2の井戸支持層と、第2の井戸支持層上のIII族窒化物を含む第2の量子井戸層と、第2の量子井戸層上のIII族窒化物を含む第2のキャップ層とを含む。
【0017】
本発明のさらなる実施形態においては、窒化ガリウム系超格子は、約5から約50の周期を含む。InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層は、組み合わせた厚みが約10から約140Åであってもよい。
【0018】
本発明の特定の実施形態においては、超格子のInXGa1-XN層に対してX=0である。このような実施形態においては、InGaN層は厚みが約5から約40Åであり、GaN層は厚みが約5から約100Åである。
【0019】
本発明のさらなる実施形態においては、窒化ガリウム系超格子には、n型不純物が約1×1017cm-3から約5×1019cm-3のレベルまでドープされている。窒化ガリウム系超格子のドーピングレベルは、交互層の層の実際のドーピングレベルであってもよい。またドーピングレベルは、前記交互層の層の平均のドーピングレベルであってもよい。したがって、たとえば発光ダイオードは、超格子に隣接するドープされたIII族窒化物層を含み、ドープされたIII族窒化物層にはn型不純物がドープされて、ドープされたIII族窒化物層と超格子との平均のドーピングとして約1×1017cm-3から約5×1019cm-3が与えられてもよい。超格子のバンドギャップは、約2.95eVから約3.35eVであってもよく、ある実施形態においては約3.15eVであってもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態においては、少なくとも1つの量子井戸構造を含む活性領域を有するIII族窒化物系半導体デバイスが提供される。量子井戸構造は、III族窒化物を含む井戸支持層と、井戸支持層上のIII族窒化物を含む量子井戸層と、量子井戸層上のIII族窒化物を含むキャップ層とを含む。
【0021】
キャップ層は井戸支持層より結晶品質が低くてもよい。井戸支持層は窒化ガリウム系の層によって与えられてもよく、量子井戸層は窒化インジウムガリウム層によって与えられてもよく、バリア層は窒化ガリウム系の層によって与えられてもよい。このような実施形態においては、井戸支持層とキャップ層とは、InXGa1-XN(ここで0≦X<1)の層によって与えられてもよい。さらに井戸支持層とキャップ層とのインジウム組成は、量子井戸層のインジウム組成より低くてもよい。同様に、井戸支持層とキャップ層とは、AlXInYGa1-X-YN(ここで0<X<1、0≦Y<1、X+Y≦1)の層によって与えられてもよい。
【0022】
さらに井戸支持層とキャップ層とはアンドープであってもよい。あるいは井戸支持層とキャップ層とは、ドーピングレベルが約5×1019cm-3未満であってもよい。
【0023】
本発明のさらなる実施形態においては、キャップ層と井戸支持層とは、量子井戸層よりもバンドギャップが大きい。井戸支持層とキャップ層とを組み合わせた厚みは、約50から約400Åであってもよい。たとえば、井戸支持層とキャップ層とを組み合わせた厚みは、約90Åより大きくてもよい。同様に、井戸支持層とキャップ層とを組み合わせた厚みは、約225Åであってもよい。井戸支持層の厚みは、キャップ層の厚みより大きくてもよい。
【0024】
本発明のさらなる実施形態においては、量子井戸層は、厚みが約10から約50Åである。たとえば量子井戸層は厚みが約25Åであってもよい。さらに量子井戸層中のインジウムの割合は、約5%から約50%であってもよい。
【0025】
本発明によるIII族窒化物系半導体デバイスのさらなる実施形態においては、超格子が設けられ、井戸支持層は超格子上にある。超格子はバンドギャップが約3.15eVであってもよい。さらに井戸支持層と超格子との間にIII族窒化物系スペーサ層を設けてもよい。スペーサ層はアンドープGaNであってもよい。また少なくとも1つの量子井戸のバンドギャップは、超格子のバンドギャップより小さくてもよい。
【0026】
本発明のさらなる実施形態においては、III族窒化物を含む第2の井戸支持層がキャップ層上に設けられている。III族窒化物を含む第2の量子井戸層が第2の井戸支持層上に設けられ、III族窒化物を含む第2のキャップ層が第2の量子井戸層上に設けられている。
【0027】
本発明の特定の実施形態においては、III族窒化物系半導体デバイスは、少なくとも1つの量子井戸構造の約2から約10の繰り返しを含む。
【0028】
本発明の実施形態においては、少なくとも2つの周期のInXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層(ここで0≦X<1および0≦Y<1、ならびにXはYに等しくない)を有する窒化ガリウム系超格子を含むIII族窒化物系半導体デバイスがさらに提供される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態においては、窒化ガリウム系超格子は約5から約50の周期を含む。たとえば窒化ガリウム系超格子は25の周期を含んでいてもよい。同様に、窒化ガリウム系超格子は10の周期を含んでいてもよい。
【0030】
本発明のさらなる実施形態においては、窒化ガリウム系超格子は約5から約50の周期を含む。InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層は、組み合わせた厚みが約10から約140Åであってもよい。
【0031】
本発明の特定の実施形態においては、超格子のInXGa1-XN層に対してX=0である。このような実施形態においては、InGaN層は厚みが約5から約40Åであり、GaN層は厚みが約5から約100Åである。本発明のさらなる実施形態においては、窒化ガリウム系超格子には、n型不純物が約1×1017cm-3から約5×1019cm-3のレベルまでドープされている。窒化ガリウム系超格子のドーピングレベルは、交互層の層の実際のドーピングレベルであってもよい。またドーピングレベルは、交互層の層の平均のドーピングレベルであってもよい。
【0032】
本発明のある実施形態においては、ドープされたIII族窒化物層が超格子に隣接して設けられている。ドープされたIII族窒化物層にはn型不純物がドープされて、ドープされたIII族窒化物層と超格子との平均のドーピングとして約1×1017cm-3から約5×1019cm-3が与えられてもよい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態においては、超格子のバンドギャップは約3.15eVである。
【0034】
III族窒化物系半導体デバイスが発光ダイオードを含む本発明の実施形態においては、発光ダイオードは、超格子上にIII族窒化物系活性領域を含む。さらに活性領域と超格子との間に、III族窒化物系スペーサ層を設けてもよい。このようなスペーサ層はアンドープGaNであってもよい。
【0035】
本発明のある実施形態においては、活性領域は少なくとも1つの量子井戸を含む。このような実施形態においては、量子井戸のバンドギャップは超格子のバンドギャップより小さくてもよい。
【0036】
本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも1つの量子井戸構造を含む活性領域を有するIII族窒化物系半導体デバイスの製造方法が提供される。量子井戸構造は、III族窒化物を含む井戸支持層を形成することと、量子井戸支持層上にIII族窒化物を含む量子井戸層を形成することと、量子井戸層上にIII族窒化物を含むキャップ層を形成することとによって製造される。
【0037】
本発明の特定の実施形態においては、III族窒化物を含む井戸支持層を形成することは、第1の温度で井戸支持層を形成することによって与えられる。量子井戸層を形成することは、第1の温度よりも低い第2の温度で量子井戸層を形成することによって与えられる。キャップ層を形成することは、第1の温度よりも低い第3の温度でキャップ層を形成することによって与えられる。本発明のある実施形態においては、第3の温度は第2の温度と実質的に同じである。
【0038】
本発明のさらなる実施形態においては、井戸支持層は窒化ガリウム系の層を含み、量子井戸層は窒化インジウムガリウム層を含み、キャップ層は窒化ガリウム系の層を含む。このような実施形態においては、第1の温度は約700から約900℃であってもよい。さらに第2の温度は、第1の温度より約0から約200℃低くてもよい。窒化インジウムガリウム層を、窒素雰囲気または他の雰囲気中で形成してもよい。
【0039】
好ましくは、井戸支持層を形成することとキャップ層を形成することとは、InXGa1-XN(ここで0≦X<1)のキャップ層を形成することとInXGa1-XN(ここで0≦X<1)の井戸支持層を形成することとによって与えられる。また井戸支持層とキャップ層とのインジウム組成は、量子井戸層のインジウム組成より低くてもよい。
【0040】
本発明のさらなる実施形態においては、井戸支持層を形成することとキャップ層を形成することとは、AlXInYGa1-X-YN(ここで0<X<1、0≦Y<1、X+Y≦1)のキャップ層を形成することとAlXInYGa1-X-YN(ここで0<X<1、0≦Y<1、X+Y≦1)の井戸支持層を形成することとによって与えられる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態においては、超格子を形成することが含まれ、井戸支持層は超格子上にある。本発明のさらなる実施形態においては、井戸支持層と超格子との間にIII族窒化物系スペーサ層を形成することが含まれる。スペーサ層はアンドープGaNであってもよい。本発明のさらなる実施形態においては、キャップ層上にIII族窒化物を含む第2の井戸支持層を形成することと、第2の井戸支持層上にIII族窒化物を含む第2の量子井戸層を形成することと、第2の量子井戸層上にIII族窒化物を含む第2のキャップ層を形成することとが含まれる。このような実施形態においては、第2の井戸支持層は実質的に、第1の温度で形成してもよく、第2の量子井戸層は実質的に、第1の温度よりも低い第2の温度で形成してもよく、第2のキャップ層は実質的に、第1の温度よりも低い第3の温度で形成してもよい。
【0042】
本発明の他の特徴は、本発明の具体的な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面とともに読むことで、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態を取り入れたIII族窒化物発光ダイオードを示す概略図である。
【図2】本発明のさらなる実施形態を取り入れたIII族窒化物発光ダイオードを示す概略図である。
【図3】本方法のさらなる実施形態による単一の量子井戸構造と多重量子井戸構造とを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、より十分に説明する。しかし本発明は、多くの異なる実施形態で具体化することができ、本明細書で述べる実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全で完璧になり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように与えられている。図面では、層および領域の厚みは、明瞭にするために誇張されている。同様の番号は、全体に渡って同様の要素を指す。層、領域、または基板などの要素が、他の要素「上に」あるかまたは他の要素「上まで」延びると言うときには、それは他の要素上に直接あることもできるし、もしくは他の要素上まで直接延びることもできるし、または介在要素が存在していてもよいことが理解される。対照的に、要素が他の要素「上に直接」あるかまたは他の要素「上まで直接」延びると言うときには、介在要素は全く存在していない。また本明細書で説明および例示する各実施形態には、その相補的な導電型の実施形態も含まれる。
【0045】
図1を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1では、発光ダイオード(LED)構造40が例示されている。図1のLED構造40は、基板10を含む。基板10は、好ましくは4Hまたは6Hのn型炭化ケイ素である。また基板10は、サファイア、バルク状窒化ガリウム、または他の好適な基板を含んでいてもよい。また図1のLED構造40に含まれているのは、基板10上の窒化ガリウム系半導体層を含む層状の半導体構造である。すなわち、例示したLED構造40には、以下の層が含まれている。導電性バッファ層11、第1のシリコンドープGaN層12、第2のシリコンドープGaN層14、シリコンドープGaNおよび/またはInGaNの交互層を含む超格子構造16、多重量子井戸構造として与えることができる活性層18、アンドープGaNおよび/またはAlGaN層22、p型不純物がドープされたAlGaN層30、やはりp型不純物がドープされたGaNコンタクト層32。この構造にはさらに、基板10上のn型オーミックコンタクト23と、コンタクト層32上のオーミックコンタクト24とが含まれる。
【0046】
バッファ層11は、n型AlGaNであることが好ましい。炭化ケイ素とIII族窒化物材料との間のバッファ層の例は、特許文献1および特許文献2、ならびに特許文献3に与えられている。なおこれらの文献の開示は、本明細書において完全に記載されているかのごとく参照により取り入れられている。同様に、本発明の実施形態は、特許文献4に記載されているような構造を含んでいてもよい。なおこの文献の開示は、本明細書において完全に記載されているかのごとく参照により取り入れられている。
【0047】
GaN層12は好ましくは、約500と4000nmとの間の厚み(500と4000も含めて)であり、最も好ましくは約1500nmの厚みである。GaN層12には、シリコンが約5×1017から5×1018cm-3のレベルでドープされていてもよい。GaN層14は好ましくは、約10と500Åとの間の厚み(10と500も含めて)であり、最も好ましくは約80Åの厚みである。GaN層14には、シリコンが約5×1019cm-3未満のレベルでドープされていてもよい。
【0048】
図1に例示するように、本発明の実施形態による超格子構造16には、InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層が含まれている。ここで、Xは0と1との間(0と1も含めて)であり、XはYと等しくない。好ましくは、X=0であり、InGaNの交互層のそれぞれの厚みは約5〜40Åの厚み(5と40も含めて)であり、GaNの交互層のそれぞれの厚みは約5〜100Åの厚み(5と100も含めて)である。ある実施形態では、GaN層は約30Åの厚みであり、InGaN層は約15Åの厚みである。超格子構造16は、約5から約50の周期を含んでいてもよい(ここで1周期は、超格子を構成するInXGa1-XNおよびInYGa1-YNの層のそれぞれの1回の繰り返しに等しい)。ある実施形態では、超格子構造16は25の周期を含んでいる。他の実施形態では、超格子構造16は10の周期を含んでいる。しかし周期の数を、たとえば個々の層の厚みを増やすことによって減らしてもよい。したがって、たとえば層の厚みを2倍にすることを用いて、周期の数を半分にしてもよい。その代わりに周期の数および厚みを、互いと独立にしてもよい。
【0049】
好ましくは、超格子16には、n型不純物たとえばシリコンが約1×1017cm-3から約5×1019cm-3のレベルでドープされている。このようなドーピングレベルは、超格子16の層の実際のドーピングであってもよいし、平均のドーピングであってもよい。このようなドーピングレベルが平均のドーピングレベルである場合には、所望の平均ドーピングを与えるように、ドープ層を超格子構造16に隣接して設けることが有益であると考えられる。平均のドーピングは、隣接する層のドーピングを、隣接する層と超格子構造16とに渡って平均することで得られる。超格子16を基板10と活性領域18との間に設けることによって、InGaN系活性領域18をその上に成長させるための、より良好な表面を得ることができる。どんな動作理論に拘束されることも望まないが、発明者らは、超格子構造16における歪み効果によって、高品質のInGaN含有活性領域の成長を促す成長表面が得られると考えている。また超格子はデバイスの動作電圧に影響を及ぼすことが知られている。超格子の厚みおよび組成のパラメータを適切に選ぶことによって、動作電圧を下げ、光学的効率を上げることができる。
【0050】
超格子構造16は、窒素または他のガスの雰囲気中で成長させてもよい。その結果、より高品質のInGaN層を構造内に成長させることができる。窒素雰囲気中でシリコンドープGaN層上にシリコンドープのInGaN/GaN超格子を成長させることによって、結晶性および導電性が改善され歪みが最適化された構造を実現することができる。
【0051】
本発明のある実施形態においては、活性領域18は、単一または多重の量子井戸構造とともに、単一または二重のヘテロ接合活性領域を含んでいてもよい。本発明の特定の実施形態においては、活性領域18は、バリア層によって分離された複数のInGaN量子井戸層を含む多重量子井戸構造を含む(図1では示さず)。
【0052】
層22が活性領域18上に設けられている。層22は好ましくは、約0と120Åとの間の厚み(0と120も含めて)のアンドープのGaNまたはAlGaNである。本明細書で用いる場合、アンドープというのは、意図的にドープされているわけではないことを示す。層22は好ましくは約35Åの厚みである。層22がAlGaNを含む場合、このような層におけるアルミニウムの割合は好ましくは、約10〜30%であり、最も好ましくは約24%である。また層22内のアルミニウムレベルは、段階的にまたは連続的に減少するように、勾配がつけられていてもよい。層22の成長温度を量子井戸領域25での成長温度よりも高くして、層22の結晶品質を向上させてもよい。アンドープGaNまたはAlGaNのさらなる層を、層22の付近に含ませてもよい。たとえばLED1は、活性領域18と層22との間に約6〜9Åの厚みのアンドープAlGaNのさらなる層を含んでいてもよい。
【0053】
p型不純物たとえばマグネシウムがドープされたAlGaN層30を、層22上に設ける。AlGaN層30は、約0と300Åとの間の厚み(0と300も含めて)であってもよく、好ましくは約130Åの厚みである。p型GaNのコンタクト層32を、層30上に設ける。コンタクト層32は好ましくは、約1800Åの厚みである。オーミックコンタクト24と25とを、p型GaNコンタクト層32と基板10との上に、それぞれ設ける。
【0054】
図2に、多重量子井戸活性領域を取り入れた本発明のさらなる実施形態を例示する。図2に例示した本発明の実施形態は、基板10上に成長させた窒化ガリウム系半導体層を含む層状の半導体構造100を含む。前述したように、基板10は、SiC、サファイア、またはバルク状窒化ガリウムであってもよい。図2に示したように、本発明の特定の実施形態によるLEDは、以下のものを含んでいてもよい。導電性バッファ層11、第1のシリコンドープGaN層12、第2のシリコンドープGaN層14、シリコンドープGaNおよび/またはInGaNの交互層を含む超格子構造16、多重量子井戸構造を含む活性領域125、アンドープGaNまたはAlGaN層22、p型不純物がドープされたAlGaN層30、同様にp型不純物がドープされたGaNコンタクト層32。LEDは、基板10上のn型オーミックコンタクト23と、コンタクト層32上のp型オーミックコンタクト24とをさらに含んでいてもよい。基板10がサファイアの場合の本発明の実施形態においては、n型オーミックコンタクト23を、n型GaN層12および/またはn型GaN層14上に設ける。
【0055】
図1を参照して前述したように、バッファ層11は好ましくはn型AlGaNである。同様に、GaN層12は好ましくは、約500と4000nmとの間の厚み(500と4000も含めて)であり、最も好ましくは約1500nmの厚みである。GaN層12には、シリコンが約5×1017から5×1018cm-3のレベルでドープされていてもよい。GaN層14は好ましくは、約10と500Åとの間の厚み(10と500も含めて)であり、最も好ましくは約80Åの厚みである。GaN層14には、シリコンが約5×1019cm-3未満のレベルでドープされていてもよい。また超格子構造16も、図1を参照して前述したように設けてもよい。
【0056】
活性領域125は、バリア層118によって分離された複数のInGaN量子井戸層120を含む多重量子井戸構造を含む。バリア層118は、InXGa1-XN(ここで0≦X<1)を含む。好ましくは、バリア層118のインジウム組成は、量子井戸層120のそれよりも低い。その結果、バリア層118は、量子井戸層120よりもバンドギャップが大きい。バリア層118と量子井戸層120とは、アンドープ(すなわち、シリコンまたはマグネシウムなどの不純物原子が意図的にドープされているわけではない)であってもよい。しかし、特に紫外線放射が求められる場合には、バリア層118に、Siを5×1019cm-3未満のレベルでドープすることが望ましいと考えられる。
【0057】
本発明のさらなる実施形態においては、バリア層118は、AlXInYGa1-X-YN(ここで0<X<1、0≦Y<1、およびX+Y≦1)を含む。バリア層118の結晶中にアルミニウムを含むことによって、バリア層118は、量子井戸層120と格子整合することができる。その結果、量子井戸層120の結晶品質が向上し、デバイスの発光効率が上がる。
【0058】
図3を参照して、窒化ガリウム系デバイスの多重量子井戸構造を与える本発明の実施形態を例示する。図3に例示する多重量子井戸構造は、図1および/または図2に例示するLEDの活性領域を与えることができる。図3に示すように、活性領域225は、周期的に繰り返す構造221を含み、この構造221は、高い結晶品質の井戸支持層218aと、量子井戸層220と、量子井戸層220に対する保護キャップ層として機能するキャップ層218bとを含む。構造221を成長させると、キャップ層218bと井戸支持層218aとが一緒になって、隣接する量子井戸220間のバリア層を形成する。好ましくは、高品質の井戸支持層218aを、InGaN量子井戸層220の成長で用いる温度よりも高い温度で成長させる。本発明のある実施形態においては、井戸支持層218aを、キャップ層218bよりも遅い成長速度で成長させる。他の実施形態においては、より低い温度の成長プロセスの間に、より低い成長速度を用いてもよく、より高い温度の成長プロセスの間に、より高い成長速度を用いてもよい。たとえばInGaN量子井戸層220を成長させるための高品質な表面を実現するために、井戸支持層218aを、約700と900℃との間の成長温度で成長させてもよい。次に高品質のInGaN量子井戸層220が成長できるように、成長チャンバの温度を約0から約200℃だけ下げる。次に低い方のInGaN成長温度に温度を保ったままで、キャップ層218bを成長させる。このようにして、高品質InGaN層を含む多重量子井戸領域を製造することができる。
【0059】
図2および3の活性領域125および225は好ましくは、窒素雰囲気中で成長させる。その結果、InGaNの結晶品質を向上させることができる。バリア層118、井戸支持層218a、および/またはキャップ層218bは、約50〜400Åの間の厚み(50と400も含めて)であってもよい。井戸支持層218aとキャップ層218bとの対応するものを組み合わせた厚みは、約50〜400Åの間の厚み(50と400も含めて)であってもよい。好ましくは、バリア層118、井戸支持層218a、および/またはキャップ層218bは、約90Åの厚みよりも大きく、最も好ましくは約225Åの厚みである。また井戸支持層218aはキャップ層218bよりも厚いことが好ましい。すなわちキャップ層218bは、量子井戸層220からのインジウムの離脱または量子井戸層220の劣化を依然として低減しながら、できるだけ薄いことが好ましい。量子井戸層120および220は、約10〜50Åの間の厚み(10と50も含めて)であってもよい。好ましくは、量子井戸層120および220は、20Åの厚みよりも大きく、最も好ましくは約25Åの厚みである。量子井戸層120および220中のインジウムの濃度および割合は、所望の波長の光を発生させるために、変えてもよい。通常は、量子井戸層120および220中のインジウムの割合は約25〜30%である。しかし所望の波長に依存して、インジウムの割合は、約5%から約50%で変化させている。
【0060】
本発明の好ましい実施形態においては、超格子構造16のバンドギャップは量子井戸層120のバンドギャップよりも大きい。これは、超格子16中のインジウムの平均的な割合を調整することによって実現することができる。超格子層の厚み(または周期)と超格子層の平均的なインジウムの割合とを、超格子構造16のバンドギャップが量子井戸120のバンドギャップよりも大きくなるように選ばなければならない。超格子16のバンドギャップを、量子井戸120のバンドギャップよりも大きく保つことによって、デバイス中の不要な吸収を最小限にして発光(luminescent emission)を最大限にすることができる。超格子構造16のバンドギャップは、約2.95eVから約3.35eVであってもよい。好ましい実施形態においては、超格子構造16のバンドギャップは約3.15eVである。
【0061】
本発明のさらなる実施形態においては、図2に例示するLED構造は、超格子16と活性領域125との間に配置されるスペーサ層17を含む。スペーサ層17は好ましくは、アンドープのGaNを含む。ドープされた超格子16と活性領域125との間に随意のスペーサ層17が存在することによって、活性領域125内にシリコン不純物が取り込まれることを防止することができる。この結果、活性領域125の材料品質が向上するため、デバイス特性をより安定させて、均一性を高めることができる。同様に、スペーサ層を、図1に例示するLED構造において、超格子16と活性領域18との間に設けてもよい。
【0062】
図2に戻って、層22を活性領域125上に設けてもよい。層22は好ましくは、約0と120Åとの間の厚み(0と120も含めて)のアンドープのGaNまたはAlGaNである。層22は好ましくは、約35Åの厚みである。層22がAlGaNを含む場合には、このような層内のアルミニウムの割合は、好ましくは約10〜30%であり、最も好ましくは約24%である。また層22内のアルミニウムレベルは、段階的にまたは連続的に減少するように、勾配がつけられていてもよい。層22の成長温度を量子井戸領域125での成長温度よりも高くして、層22の結晶品質を向上させてもよい。アンドープGaNまたはAlGaNのさらなる層を、層22の付近に含ませてもよい。たとえば図2に例示するLEDは、活性領域125と層22との間に約6〜9Åの厚みのアンドープAlGaNのさらなる層を含んでいてもよい。
【0063】
マグネシウムなどのp型不純物がドープされたAlGaN層30が、層22上に設けられている。AlGaN層30は、約0と300Åとの間の厚み(0と300も含めて)であってもよく、好ましくは約130Åの厚みである。p型GaNのコンタクト層32を、層30上に設ける。コンタクト層32は好ましくは、約1800Åの厚みである。オーミックコンタクト24と25とを、p型GaNコンタクト層32と基板10との上に、それぞれ設ける。オーミックコンタクト24と25とを、p型GaNコンタクト層32と基板10との上に、それぞれ設ける。
【0064】
本発明の実施形態を、多重量子井戸について説明してきたが、本発明の教示からの利益は、単一の量子井戸構造においても実現することができる。したがって、たとえば発光ダイオードに、デバイスの活性領域として図3の構造221を1度だけ出現させてもよい。したがって、本発明の実施形態により様々な数の量子井戸を用いることができるが、量子井戸の数は通常、1から10の量子井戸の範囲である。
【0065】
本発明の実施形態を、窒化ガリウム系デバイスを参照して説明してきたが、本発明の教示および利益は、他のIII族窒化物においても得ることができる。したがって本発明の実施形態により、III族窒化物系超格子構造、超格子および/または量子井戸を有する量子井戸構造および/またはIII族窒化物系発光ダイオードが得られる。
【0066】
図面および明細書において、本発明の典型的で好ましい実施形態を開示してきた。特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味で使用しているに過ぎず、限定を目的とするものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0067】
10 基板
11 導電性バッファ層
12 第1のシリコンドープGaN層
14 第2のシリコンドープGaN層
16 超格子構造
17 スペーサ層
18 活性層
22 アンドープGaNおよび/またはAlGaN層
23 n型オーミックコンタクト
24、25 オーミックコンタクト
30 p型不純物がドープされたAlGaN層
32 p型不純物がドープされたGaNコンタクト層
40 LED構造
100 半導体構造
118 バリア層
120、220 InGaN量子井戸層
125、225 活性領域
218a 井戸支持層
218b キャップ層
221 周期構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドープされたIII族窒化物層と、
前記ドープされたIII族窒化物層上に直接形成された窒化ガリウム系超格子であって、少なくとも2つの周期のInXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層(ここで0≦X<1および0≦Y<1、XはYに等しくなく、ならびに第1の前記交互層の厚みが、第2の前記交互層の厚みよりも薄い)を有するn型不純物をドープされた窒化ガリウム系超格子と、
を含むことを特徴とするIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1の前記交互層は、前記交互層の前記第2の交互層の厚みのおよそ半分の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項3】
前記窒化ガリウム系超格子は約5から約50の周期を含むことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項4】
前記窒化ガリウム系超格子は25の周期を含むことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項5】
InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層のInXGa1-XNとInYGa1-YNの層は、組み合わせた厚みが約70Å未満であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項6】
X=0であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項7】
InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層のInGaN層は厚みが約5から約40Åであり、InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層のGaN層は厚みが約5から約100Åであることを特徴とする請求項6に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項8】
InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層のInGaN層は厚みが約15Åであり、InXGa1-XNとInYGa1-YNとの交互層のGaN層は厚みが約30Åであることを特徴とする請求項7に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項9】
前記窒化ガリウム系超格子には、前記n型不純物が約1×1017cm-3から約5×1019cm-3のレベルまでドープされていることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項10】
前記窒化ガリウム系超格子の前記ドーピングレベルは、前記交互層の層の実際のドーピングレベルであることを特徴とする請求項9に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項11】
前記ドーピングレベルは、前記交互層の層の平均のドーピングレベルであることを特徴とする請求項9に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項12】
前記超格子に隣接するドープされたIII族窒化物層をさらに含み、前記ドープされたIII族窒化物層にはn型不純物がドープされて、前記ドープされたIII族窒化物層と前記超格子との平均のドーピングとして約1×1017cm-3から約5×1019cm-3が与えられていることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項13】
前記超格子のバンドギャップは、約2.95eVから約3.15eVであることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体デバイスは発光ダイオードを含み、前記発光ダイオードは、前記ドープされたIII族窒化物層と対向する前記超格子上に、少なくとも1つの量子井戸構造を備えたIII族窒化物系活性領域をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項15】
前記超格子と対向する前記活性領域上にアンドープIII族窒化物系キャップ層をさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項16】
前記アンドープIII族窒化物系キャップ層は、アンドープGaN層又はアンドープAlGaN層を含むことを特徴とする請求項15に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項17】
前記活性領域と前記超格子との間にIII族窒化物系スペーサ層をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項18】
前記スペーサ層はアンドープGaNを含むことを特徴とする請求項17に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの量子井戸のバンドギャップは、前記超格子のバンドギャップよりも小さいことを特徴とする請求項14に記載のIII族窒化物系半導体デバイス。
【請求項20】
n型III族窒化物層と、
前記n型III族窒化物層上に形成された、少なくとも2周期の交互層を有するIII族窒化物系超格子と、
前記n型III族窒化物層と対向する前記超格子上に形成された、少なくとも1つの量子井戸構造を含むIII族窒化物系発光ダイオード活性領域と、
前記発光ダイオード活性領域上であって、前記超格子から離れて形成されたアルミニウムを含むアンドープIII族窒化物キャップ層であって、前記活性領域から遠位の副層よりも前記活性領域の近位の副層が高いアルミニウム組成を有する複数の副層を含む、前記アンドープIII族窒化物キャップ層と、
前記アンドープIII族窒化物キャップ層上であって、前記発光ダイオード活性領域から離れて形成されたp型III族窒化物層と
を備えたことを特徴とする発光ダイオード。
【請求項21】
前記アンドープIII族窒化物キャップ層は、複数のアンドープAlGaN副層を含むことを特徴とする請求項20に記載の発光ダイオード。
【請求項22】
前記複数のAlGaN副層のAl組成は、前記活性領域から遠位の副層から前記活性領域の近位の副層にかけて段階的に傾斜していることを特徴とする請求項21に記載の発光ダイオード。
【請求項23】
前記複数のアンドープAlGaN副層は、前記活性領域から遠位の副層から前記活性領域の近位の副層にかけて連続的に減少するAl組成を含むことを特徴とする請求項21に記載の発光ダイオード。
【請求項24】
前記p型III族窒化物層のAl組成は、前記複数のAlGaN副層の直接接している1つの副層のAl組成よりも低いことを特徴とする請求項21に記載の発光ダイオード。
【請求項25】
前記活性領域と前記アンドープIII族窒化物キャップ層との間にGaN層をさらに備えたことを特徴とする請求項20に記載の発光ダイオード。
【請求項26】
前記GaN層はアンドープであることを特徴とする請求項25に記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−260398(P2009−260398A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184911(P2009−184911)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2003−500987(P2003−500987)の分割
【原出願日】平成14年5月23日(2002.5.23)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】