説明

金−スズ共晶合金のための電気めっき用溶液

本発明は、電気めっき可能な基板上への金-スズ合金の沈着に関連して使用される電解質に関する。この溶液は、一般的に水、第一スズ及び/又は第二スズイオン、該第一スズ及び/又は第二スズイオンに可溶性を与える錯化剤、錯化金イオン、及びホスフェートエステル官能基を有するエトキシ化化合物を含む合金安定化剤、エトキシ化ホスフェートエステルに基づく光沢性添加剤及びアルカリ金属脂肪酸ジプロピオネートを含む。光沢剤は、単独か、又は有益な相乗効果を達成するために互いに組み合わせて用いられ得る。合金安定化剤は、使用可能な電流密度範囲で金-スズ沈着物の組成を安定化させるのに十分な量で存在する。該溶液は約2〜10のpHを有し、及び該金イオン及び該スズイオンは、約90質量%よりも少ない金含有量及び約10質量%よりも多いスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ接着及びウェファーバンプめっきを含む種々のマイクロエレクトロニクス用途に有用な共晶金-スズ合金の沈着のための電解質を記載する。80-20質量%(70-30原子%)の共晶金-スズ合金の使用は、はんだとして特に望ましい。現時点では、真空蒸着又は80-20質量%のAuSn合金共晶金-スズ合金予備成形物が、電子部品の製造のための既存の方法である。しかし、その低コスト及び汎用性のために、電気沈着が用途の好ましい方法である。
【背景技術】
【0002】
金-スズ合金の沈着のための電気めっき浴は、本発明者によって、使用可能な電流密度範囲で共晶合金を沈着することができないことが見出された。これは、Djurfors及びIvey(GaAs MANTECH, 2001)による“Film growth characterization of pulse electro deposited Au/Sn tin films”に明確に説明されており、それらは約1.5mA/cm2の電流密度でSnに関して16原子%から50原子%へのステップ遷移を示す。該著者らによると、これは、2種の異なる相;低電流密度におけるAu5Sn(16原子% Sn)及び高電流密度におけるAuSn(50原子% Sn)の沈着の結果である。これは、先行技術の電解質が典型的に所望の共晶合金を生じないことを示した我々の研究により、さらに確認されている。
【0003】
先行技術の電解質は、クエン酸、ピロホスフェート、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸(“EDTA”)などの錯化剤を用い、典型的にスズリッチ(<50%Au)又は金リッチ(95%Au)のいずれかである合金を生じるか、又は異なる電流密度においてスズリッチ又は金リッチな領域を有する。80/20質量%の共晶金-スズ合金は、使用可能な電流密度範囲で沈着することができない。さらに、種々の先行技術の浴は、実用的関心を少なくする乏しい安定性に苦しんでいる。
【0004】
Kuhnらによる米国特許第4,634,505号明細書は、pH3以下で操作する三価のシアン化金錯体及びシュウ酸スズIV錯体を用いる電解質を記載している。該調合物は、導電性塩としてシュウ酸も用いる。しかし、この浴は1%よりも少ないSnを有する沈着物を与え、及び従って共晶合金を沈着するのに有用でない。
【0005】
Stevensらによる米国特許第4,013,523号明細書は、三価の金錯体及びハロゲン化第二スズ錯体としてのスズを用いる浴を記載している。pHは3よりも少なく、及び該浴は80-20質量%の金合金を沈着できることを主張している。
【0006】
Uchidaらによる米国特許出願第2002063063-A1号明細書は非シアン化物調合物を記載しており、この場合、金錯体は特に塩化金、亜硫酸金及びチオ硫酸金を含む。電解質は、スルホン酸、スルホサクシネート、塩化物、硫酸塩、酸化物及びシュウ酸塩の第二スズ及び第一スズ塩を含む。スズは、特にEDTA、DTPA、NTA、IDA、IDP、HEDTA、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、グルコヘプタン酸(glucoheptonic acid)によって錯化される。沈着物は、カチオン性高分子界面活性剤によって磨かれる。シュウ酸塩は可能な緩衝化合物の中から列挙される。
【0007】
日本国特許出願第56136994号明細書は、pH7〜13で亜硫酸金錯体をピロリン酸第一スズ錯体と組み合わせて用いる溶液を記載している。
独国特許第4406434号明細書は、三価のシアン化金錯体と共に第二スズ錯体を用いる。PHは3〜14であり、及び80-20共晶合金が報告されている。
Iveyらによる米国特許第6,245,208号明細書は、塩化金を亜硫酸ナトリウム、第一スズ、錯化剤(クエン酸アンモニウム)と組み合わせて使用し、及びアスコルビン酸を用いて二価のスズの酸化を防ぐ非シアン化物調合物を開示している。共晶合金沈着物が請求されており、及び約数週間の浴安定性が報告されている。
【0008】
上記のように、先行技術の電解質は常に安定ではなく、及び共晶金スズ合金を提供するのに効果的でなく、特に電子部品又はコンポジット基板のための小さい部品の電気めっきをするのに効果的でないことが見出されている。
従って、種々の基盤上への共晶金-スズ合金の沈着のための安定な電気めっき浴が必要とされており、及びこれは本発明によってここで提供される。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、電機めっき可能な基板上への金-スズ合金の沈着に関連して使用するための水性電解質に関する。この電解質は、一般的には水、錯化金イオン、スズイオン、溶液にスズイオンを溶解させるための錯化性化合物、及び沈着される合金組成物を安定化するのに十分な量の合金安定化剤を含む溶液を含む。有利には、該溶液は約2〜10のpHを有し、及び金イオン及びスズイオンは、約90質量%よりも少ない金含有量及び約10質量%よりも多いスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する。好ましくは、金イオン及びスズイオンは、75〜85質量%の金含有量及び15〜25質量%のスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する。
【0010】
合金安定化剤は、沈着した合金を安定化するのに十分な量で存在し、及び共晶金-スズ沈着物が使用可能な電流密度範囲で提供されるのを可能にする。本発明の合金安定化剤は、以下の一般式のホスフェートエステルに基づくアニオン性界面活性剤を含む。
【化1】

式中、Rはアルキル又はアルキルアリール基であり、nは7〜10モルのエチレン及び/又はプロピレンオキシドであり、Mは水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は他の対イオンであり、及びR'はエチル及び/又はプロピル基である。
【0011】
本発明の電解質は、光沢剤を含んでいてもよく、これは単独か、又は相乗効果を達成するために合金安定化剤と一緒に作用し得る。光沢剤は、限定はしないが、以下の一般的な構造式を有する両性イミダゾリン誘導体を含む。
【化2】

式中、Rは脂肪酸アルキル基であり、及び該誘導体は電解質に可溶性である。ヘキサシアノ鉄酸塩のアルカリ金属塩は、強力な光沢剤であるだけでなく、さらに強力なスズ抗酸化剤でもある。
【0012】
最後に、アスコルビン酸、又はそのアルカリ金属又はアンモニウム塩を、シュウ酸及びそのアルカリ金属又はアンモニウム塩と組み合わせると、強力な相乗光沢効果及びAu-Sn共晶合金安定化効果が提供されることが見出されている。
【0013】
本発明は、基板とここに開示されている溶液の1種とを接触させること、及び該溶液に電流を通してそこに金-スズ合金沈着物を提供することを含む、共晶金-スズ(80質量%Au及び20質量%Sn)合金沈着物の電気めっき方法にも関する。この方法は、電気めっき可能及び電気めっき不可能な部分を含むコンポジット物品上に共晶合金沈着物を電気めっきするのに適用可能である。そのためには、そのような物品を該溶液と接触させ、及び電流を該溶液に通して、該物品の電気めっき不可能な部分に有害な影響を及ぼすことなく、該物品の電気めっき可能な部分上に金-スズ合金電着物を提供する。
【0014】
ここで、共晶80/20金-スズ合金によって例証される有意なスズ含有量を有する合金を、ここで開示されている電解質から使用可能な範囲の電流密度で沈着することができることが見出された。従って、70原子%金-30原子%スズ及び90質量%金-10質量%スズなどの白色合金が得られ、共晶合金、又はできる限り共晶合金に近いものが、そのような合金のよく知られた利点のために好ましい。
【0015】
金イオン源は、一価又は三価のカリウム又はアンモニウムシアン化金にすることができる。二価のスズ化合物の存在下では、三価の金がほぼ即座に一価カリウム、ナトリウム又はアンモニウムシアン化金錯体に還元される。以下の式は、還元プロセスを明らかにしている。
K[Au(CN)4]+Sn(C2O4)+K2C2O4=K[Au(CN)2]+Sn(C2O4)2+2KCN
【0016】
金イオンのための錯化剤は、一般的に有機酸又はそれらの塩であり、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、マロン酸、アスコルビン酸、イミノ二酢酸又はそれらの溶液に可溶な塩が好ましい。錯化金イオンは、有利にはシアン化金又は亜硫酸金錯体である。好ましくは、錯化金イオンは、約0.1〜100g/Lの量で存在する。
【0017】
スズイオンは、第一スズ又は第二スズイオンを提供する任意の可溶性形態で加えることができる。該溶液における全スズイオン濃度は、一般的に約0.1〜50g/Lであるが、これは他の溶液成分に依存して変えることができる。硫酸塩、塩化物、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、又は任意の他の好適な第一スズ又は第二スズ塩;を含む任意の二価又は四価スズ塩を用いて、これらの第一スズ又は第二スズイオンを提供することができ、及び特異的なスズ塩は重要でない。第一スズを該溶液に加えてもよいが、一部の第一スズは適切に機能するために本発明の電解質に存在していなければならない。本発明の第一スズイオン濃度は1〜30g/Lであり、及びさらに好ましくは2〜10g/Lである。第二スズは、0g/L〜40g/Lで本発明の電解質に存在し得る。
【0018】
第二スズイオンの濃度は、金イオン濃度に関連して調節され、所望の合金を提供し得る。当業者は、任意の特別な溶液における金属濃度を最適化し、所望の金-スズ合金を得ることができる。
【0019】
スズイオンのための錯化剤が電解質に存在し、操作上のpHで第一スズ及び/又は第二スズイオンに可溶性を与える及び保持するのを補助する。任意の好適な有機酸をこの目的のために用いることができる。本発明に有用な錯化剤の例は、限定はしないが、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、マロン酸、酒石酸及びイミノ二酢酸を含む。これらの酸の溶液に可溶性な塩も用いることができる。一般的にはカルボン酸が好ましいが、カルボン酸ではないアスコルビン酸も好ましい錯化剤である。さらに、溶液における第一スズ及び/又は第二スズを錯化することのできる任意の他の錯化剤を用いることができる。最も好ましい錯化剤は、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、ヘプタグルコン酸及びマロン酸及びそれらの塩である。溶液に可溶なシュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリセリン酸塩、アスコルビン酸塩、グルコン酸塩、ヘプタグルコン酸塩、マロン酸塩、イミノ二酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレン二アミノ四酢酸塩又はピロリン酸塩も有用である。
【0020】
錯化剤は、電解質のpHで第一スズ及び/又は第二スズの可溶性を保持するのに十分な濃度で溶液に存在する。溶液の伝導率を改善し、且つpH緩衝作用を提供するのに最小限な濃度を超えて、過剰な錯化剤を保持するのが望ましい。スズイオンのための錯化剤は、一般的に約5g/Lからおよそ飽和するまで溶液に存在する。スズイオン錯化剤濃度は、典型的に10〜300g/Lであり、及び最も好ましくは40〜150g/Lである。
【0021】
金イオンは、好ましくはシアン化金錯体、最も好ましくは一価のシアン化金として電解質に提供されるが、三価のシアン化金も用いられ得る。電解質の短縮寿命が許容されるとき、非シアン化物である亜硫酸金錯体も本発明に用いることができる。それにも関わらず、この錯体は、この錯体の安定性が他よりも劣るとして好ましくない。最も好ましいのは、カリウム、ナトリウム、リチウム及びアンモニウムシアン化金錯体である。本発明における金イオン錯体の好ましい濃度は、2〜40g/Lであり、及び最も好ましくは3〜10g/Lである。
【0022】
以下の一般式のホスフェートエステルに基づくアニオン性界面活性剤を含む合金安定化剤の添加が、許容範囲の電流密度で所望の共晶合金又は類似の金-スズ合金を沈着する電解質を製造することが見出された。
【化3】

式中、Rはアルキル又はアルキルアリール基であり、nは7〜10モルのエチレン及び/又はプロピレンオキシドであり、Mは水素、ナトリウム、カリウム又は他の対イオンであり、及びR'はエチル及び/又はプロピル基である。そのような添加剤の不存在下では、沈着物がスズ又は金リッチのいずれでもよく、又は異なる電流密度によって引き起こされる異なる領域にスズ又は金リッチな領域を有してもよい。
【0023】
電解質における合金安定化剤の濃度は、0.01〜10mL/Lの範囲であり、及び最も好ましくは0.05〜1mL/Lの範囲である。
【0024】
他の添加剤を溶液に加え、沈着物の粒状構造を改良することができる。これらは、ニッケル、コバルト、ヒ素、鉛、タリウム又はセレンなどの金属添加剤を含む。米国特許出願第2002063063号明細書に記載されているものなどの有機添加剤も、必要に応じて用いられ得る。一般的にアニオン性又は両性界面活性剤、又はそれらの組み合わせを含む光沢剤を、必要に応じて用いることができる。特に、以下の一般的な構造式を有する両性イミダゾリン誘導体の光沢剤を用いるのが好ましい。
【化4】

式中、Rは、これらの誘導体が電解質で可溶性となるような脂肪酸アルキル基である。最も好ましい光沢剤は、1リットル当たり0.1〜10gの濃度のポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アルファ-トリデシル-オメガ-ヒドロキシ-ホスフェートであるアニオン性界面活性剤である。
【0025】
ヘキサシアノ鉄酸塩のアルカリ金属塩も、本発明における非常に有効な光沢剤であることがさらに見出された。従って、光沢剤と合金安定化剤との組み合わせ使用は、本発明に従うものである。この組み合わせのために、合金安定化剤は、好ましくは1リットル当たり約0.1〜10gの濃度で存在し、及び光沢剤は好ましくは1リットル当たり約0.05〜5gの濃度で存在する。
【0026】
抗酸化剤は、当然に還元剤である。本発明は、好ましくは抗酸化剤を含み、第一スズとしてスズイオンを保持するのを補助する。説明のためであり且つ限定はしないが、抗酸化剤は、カテコール、ヒドロキノン、アスコルビン酸、ヘキサシアノ鉄酸塩、又はフェノールスルホン酸を含んでよく、又は他の試薬、例えばフェロヘキサシアン化カリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ピロガロール、タイロン、クレゾールスルホン酸、ピロカテコール、レゾルシノール、フロログルシノール、2-アミノジフェニルメタン又はp-ヒドロキシアニソールを用いてスズの酸化を防ぐことができる。好ましい抗酸化剤は、ヒドロキノンである。抗酸化剤は、溶液の約0.1〜5g/Lの量で存在し、及び好ましくは約0.5〜2g/Lである。
【0027】
他の塩又は緩衝液を任意に電解質に加え、伝導率又はpH安定性を改善してもよい。そのような添加剤の例は、カリウムメタンスルホン酸、硫酸カリウムなどの単純な塩、並びに当技術分野でよく知られている他のものを含む。
【0028】
電解質のpHは約2〜10、最も好ましくは3〜5.5である。溶液の好ましいpHは、用いられる金錯体に依存する。例えば、シアン化金カリウムはpH3以下では安定しないが、三価のシアン化金錯体はより低いpH値で安定である。亜硫酸金錯体は、一般的にはpH6以下で安定ではないが、pH8以上では主として安定である。本発明の溶液はマイクロエレクトロニクスの用途に有用であるため、8よりも少なく及び好ましくは7よりも少ないpHを有し、電着された物質にしばしば適用されるフォトレジストマスクに悪影響を及ぼすのを防ぐのが望ましい。さらに、共晶スズ-金合金の沈着物の外観が、4.7よりも多いpH値で分解し始めることが見出された。これらの理由のために、電解質は好ましくは約4のpH値を有する。
【0029】
溶液温度は、典型的に20〜70℃であり、及び最も好ましくは38〜60℃である。温度は、沈着された合金の組成に対して直接的な効果を有し、より高い温度では沈着した共晶合金においてより高い金含有量を生じる。
【0030】
本発明の電解質は、白金めっきチタン、白金めっきニオブ、又はイリジウムオキシド電極を含む不溶性陽極を用いて操作され得る。可溶性陽極を用いることもできるが、これは典型的に正確な金属めっきを行わない。
【0031】
実施例
以下の例は、本発明の単なる説明であり、及びこれらは決して本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、これらの実施例及び他のそれらの同等のものは、本開示及び添付する請求項を考慮することで当業者に明らかとなるであろう。
【0032】
実施例1
共晶金-スズ合金電着物は、以下の電解質から得られる:
クエン酸 52g/L
クエン酸カリウム 67g/L
スズ(硫酸スズとして) 3g/L
金(シアン化金カリウムとして) 6g/L
エトキシ化フェノールエステル 0.15mL/L
カテコール 1g/L
KOHで調整したpH 4.0
クエン酸電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は10ASFであり、温度は60℃(140゜F)であった。
【0033】
実施例2
アスコルビン酸 100g/L
スズ(硫酸スズとして) 3g/L
金(シアン化金カリウムとして) 13g/L
エトキシ化フェノールエステル 0.15mL/L
KOHで調整したpH 4
アスコルビン酸電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は10ASFであり、温度は49℃(120゜F)であった。
【0034】
実施例3
マロン酸カリウム 100g/L
スズ(硫酸スズとして) 1g/L
金(シアン化金カリウムとして) 6g/L
エトキシ化フェノールエステル 0.35mL/L
アスコルビン酸 2g/L
KOHで調整したpH 4
マロン酸カリウム電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は10ASFであり、温度は54℃(130゜F)であった。
【0035】
実施例4
二ナトリウム二水素ピロホスフェート 100g/L
スズ(硫酸スズとして) 5g/L
金(シアン化金カリウムとして) 3g/L
エトキシ化フェノールエステル(1%溶液) 0.35mL/L
アスコルビン酸 2g/L
KOHで調整したpH 3.7
ピロホスフェート電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は7.5ASFであり、温度は54℃(130゜F)であった。
【0036】
実施例5
シュウ酸カリウム 100g/L
スズ(硫酸スズとして) 5g/L
金(シアン化金カリウムとして) 5g/L
エトキシ化フェノールエステル(1%溶液) 0.30mL/L
二ナトリウムココアンフォジプロピネート 0.1mL/L
pH 4
シュウ酸塩電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は10ASFであり、温度は60℃(140゜F)であった。
【0037】
実施例6
シュウ酸カリウム 100g/L
アスコルビン酸 24g/L
スズ(硫酸スズとして) 5g/L
金(シアン化金カリウムとして) 3.5g/L
エトキシ化フェノールエステル(1%溶液) 0.30mL/L
二ナトリウムココアンフォジプロピオン酸塩 0.1mL/L
pH 4
シュウ酸塩/アスコルビン酸塩電解質は、やや明るい外観の80-20質量%の金-スズ合金を沈着する。電流密度は5ASFであり、温度は54℃(130゜F)であった。
【0038】
実施例7
シュウ酸カリウム 100g/L
スズ(硫酸スズとして) 3.5g/L
金(シアン化金カリウムとして) 5g/L
エトキシ化フェノールエステル(1%溶液) 0.3mL/L
二ナトリウムココアンフォジプロピオン酸塩 0.1g/L
ヘキサシアノ鉄酸カリウム 0.3g/L
アスコルビン酸 0.5g/L
pH 4
電流密度は5ASFであり、温度は54℃(130゜F)であった。80-20金-スズ合金めっきは、明るい外観であった。
【0039】
本発明は、それらの操作的な実施態様に関して詳細に記載及び指摘され、種々の変化、改良、置換及び省略を本発明の意図を逸脱することなく行うことができることは、当業者によって理解されるだろう。従って、本発明は、請求項の範囲内におけるそれらの同等なものを包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的導電性基板上への金-スズ合金の沈着に関連して使用するための溶液であって、水、錯化金イオン、スズイオン、溶液に該スズイオンを溶解させるための錯化性化合物、及び沈着される合金組成物を安定化するのに十分な量で存在する合金安定化剤を含み、約2〜10のpHを有し、及び該金イオン及び該スズイオンが、約90質量%よりも少ない金含有量及び約10質量%よりも多いスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する、溶液。
【請求項2】
金イオン及びスズイオンが、75〜85質量%の金含有量及び15〜25質量%のスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
錯化金イオンが、一価のシアン化金錯体、三価のシアン化金錯体又は亜硫酸金錯体を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
スズイオンが、二価の酸化状態、四価の酸化状態、又はそれらの組み合わせで存在する、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
スズイオンのための錯化剤が、溶液に可溶なシュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グリセリン酸塩、アスコルビン酸塩、グルコン酸塩、ヘプタグルコン酸塩、マロン酸塩、イミノ二酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレン二アミノ四酢酸塩又はピロリン酸塩である、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
抗酸化剤が、カテコール、ヒドロキノン、フェノールスルホン酸、フェロヘキサシアン化カリウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ピロガロール、タイロン、クレゾールスルホン酸、ピロカテコール、レゾルシノール、フロログルシノール、2-アミノジフェニルメタン又はp-ヒドロキシアニソールである、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
錯化金イオンが、約0.1〜100g/Lの量で存在する、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
スズイオンが、約0.1〜50g/Lの量で存在する、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
スズイオンのための錯化剤が、約5g/Lからおよそ飽和するまで溶液に存在する、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
合金安定化剤が、以下の一般的な構造式のホスフェートエステルに基づくアニオン性界面活性剤である、請求項1記載の溶液。
【化1】

式中、Rはアルキル又はアルキルアリール基であり、
nは7〜10モルのエチレン及び/又はプロピレンオキシドであり、
Mは水素、ナトリウム、カリウム又は他の対イオンであり、及び
R'はエチル及び/又はプロピル基である。
【請求項11】
アニオン性界面活性剤が、1リットル当たり0.1〜10gの濃度のポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アルファ-トリデシル-オメガ-ヒドロキシ-ホスフェートである、請求項10記載の溶液。
【請求項12】
少なくとも1種の抗酸化剤化合物又は光沢剤をさらに含む、請求項1記載の溶液。
【請求項13】
抗酸化剤が、約0.005〜約20g/Lの量で存在する、請求項12記載の溶液。
【請求項14】
光沢剤が、以下の一般的な構造式の両性湿潤剤である、請求項12記載の溶液。
【化2】

式中、Rは脂肪酸アルキル基である。
【請求項15】
光沢剤が、ナトリウムココ-ジ-プロピオネートであり、及び1リットル当たり約0.05〜5gの濃度で存在する、請求項14記載の溶液。
【請求項16】
合金安定化剤が、以下の一般的な構造式のホスフェートエステルに基づくアニオン性界面活性剤である、請求項14記載の溶液。
【化3】

式中、Rはアルキル又はアルキルアリール基であり、
nは7〜10モルのエチレン及び/又はプロピレンオキシドであり、
Mは水素、ナトリウム、カリウム又は他の対イオンであり、及び
R'はエチル及び/又はプロピル基である。
【請求項17】
合金安定化剤が1リットル当たり約0.1〜10gの濃度で存在し、及び光沢剤が1リットル当たり約0.05〜5gの濃度で存在する、請求項16記載の溶液。
【請求項18】
溶液が、約3〜約5.5のpHを有する、請求項1記載の溶液。
【請求項19】
基板上に金-スズ沈着物の電気めっきをするための方法であって、該基板を請求項1記載の溶液と接触させること、及び該溶液に電流を通してそこに金-スズ合金沈着物を提供することを含む、方法。
【請求項20】
金イオン及びスズイオンが、75〜85質量%の金含有量及び15〜25質量%のスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
電気めっき可能及び電気めっき不可能な部分を含むコンポジット物品上への金-スズ沈着物を電気めっきするための方法であって、そのような物品を請求項1記載の溶液と接触させること、及び該溶液に電流を通し、該物品の電気めっき不可能な部分に有害な影響を及ぼすことなく、該物品の電気めっき可能な部分上に金-スズ合金沈着物を提供することを含む、方法。
【請求項22】
金イオン及びスズイオンが、75〜85質量%の金含有量及び15〜25質量%のスズ含有量を有する沈着物を提供するのに十分な相対量で存在する、請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2007−537358(P2007−537358A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513255(P2007−513255)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/016193
【国際公開番号】WO2005/110287
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(594042974)テクニック・インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】