説明

金属アルコキシドの製造方法

【課題】金属アルコキシドを効率良く製造することができ、金属アルコキシドの製造コストの大幅な低減を図ることができる金属アルコキシドの製造方法を提供する。
【解決手段】製造しようとする金属アルコキシドを構成する金属を、この金属の表面の酸化皮膜を劣化させた状態、または、この金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害する状態で、この金属のアノード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位より貴なカソード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位を示すアルコール中において加熱することにより金属アルコキシドを製造する。例えば、金属としてアルミニウム、アルコールとしてエチルアルコールを用いることによりアルミニウムアルコキシドを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は金属アルコキシドの製造方法に関し、特に、ゾル−ゲル法の前駆体として用いて好適な金属アルコキシドの製造に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
材料合成の手段の一つであるゾル−ゲル法は、ガラスやセラミックスなどを得る手段の一つとしてよく知られている(例えば、非特許文献1参照。)。ゾル−ゲル法は、(1)従来の溶融法に比べてはるかに低温で合成可能であり、(2)ゾルは溶液から作られるので分子または原子レベルの微粒子で混合することができることにより材質の均質性が担保でき、(3)従来の溶融法ではできない成分の組み合わせばかりではなく全く新しい成分の組み合わせでガラスなどを作ることができ、(4)化学気相蒸着法やスパッタリング法などに比べ生産効率が高い、などの長所がある。
【0003】
【非特許文献1】作花済夫:ゾル−ゲル法の科学, アグネ承風社(2006)
【非特許文献2】J.D.Mackenzie:Ultrastructure processing of Ceramics, Glassesand composites,John Wily & Sons(1984)
【非特許文献3】G.Charlot, J.Badoz-Lambling and B.Tremillon: Electrochemical Reactions,Elsevier(1962)
【非特許文献4】世利修美:金属材料の腐食と防食の基礎, 成山堂書店(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゾル−ゲル法の前駆体としての金属アルコキシドは生産効率が悪く、高価であるため、これがゾル−ゲル法の各分野への適用を妨げている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、金属アルコキシドを効率良く製造することができ、金属アルコキシドの製造コストの大幅な低減を図ることができる金属アルコキシドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は、
製造しようとする金属アルコキシドを構成する金属を、当該金属の表面の酸化皮膜を劣化させた状態、または、当該金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害する状態で、当該金属のアノード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位より貴なカソード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位を示すアルコール中に浸漬することを特徴とする金属アルコキシドの製造方法である。
【0006】
この金属アルコキシドの製造方法により金属アルコキシドを製造した後には、典型的には、アルコールを蒸発させて金属アルコキシドを固化する。
製造しようとする金属アルコキシドを構成する金属は、具体的には、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)などのほか、イットリウム(Y)やハフニウム(Hf)などの各種の希土類金属、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)などの各種のアルカリ土類金属、リチウム(Li)やカリウム(K)などの各種のアルカリ金属などである。この金属の形態は特に問わず、板、線、粒などのいずれの形態であってもよいが、比表面積の大きい粉末状とすることが最も好ましい。この金属としては、表面に酸化皮膜が形成されていないものを用いるのが好ましい。あるいは、表面に酸化皮膜が既に形成されている金属の場合は、この金属の表面を擦過したりすることにより酸化皮膜を劣化させるのが好ましい。ここで、酸化皮膜を劣化させるとは、例えば、酸化皮膜を物理的に破壊したり損傷を生じさせたりすることにより、酸化皮膜の厚さを部分的または全体的に小さくしたり、酸化皮膜を部分的または全体的に除去して金属の表面を露出させたり、膜質を悪化させて物理的に弱くしたりすることをいう。金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害するためには、例えば、酸素(O2 )や水分(H2 O)などの酸素供給源を遮断した環境で金属をアルコール中に浸漬するようにする。
【0007】
アルコキシド反応を速くする観点からは、金属をアルコール中において加熱するのが好ましい。加熱温度は高い方が好ましく、例えば、使用する圧力下でのアルコールの沸点近傍で加熱するのが好ましい。また、アルコールにハロゲン化物を添加し、好ましくはこれらの金属およびハロゲン化物をアルコール中において加熱することにより、金属をより激しい腐食環境に保持するのが好ましい。このハロゲン化物は、典型的には、塩化物やフッ化物などであるが、これに限定されるものではない。このハロゲン化物は、例えば、上記の金属のハロゲン化物のほか、フッ化アンモニウムなどである。金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害するためには、このハロゲン化物は、無水ハロゲン化物または極微量の水を含むハロゲン化物であることが好ましい。アルコキシド反応を速くする観点からは、アルコールに超音波を当てたり、アルコールを攪拌したりすることにより、反応物質の拡散を促進するのが好ましい。
【0008】
アルコールは、金属のアノード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位より貴なカソード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位を示すものである限り特に問わず、一価アルコールであっても二価アルコールなどの多価アルコールであってもよく、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールのいずれであってもよく、飽和アルコールであっても不飽和アルコールであってもよく、低級アルコールであっても高級アルコールであってもよく、これらのうちから適宜選択される。これらのアルコールの中でも、例えば、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、プロピルアルコール(プロパノール)、ブチルアルコール(ブタノール)、ペンチルアルコール(ペンタノール)、エチレングリコールなどが好ましい。金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害するためには、このアルコールとしては、脱水アルコールを用いるのが好ましいが、水が含まれていることにより発生する反応熱を金属の加熱に積極的に利用する場合には極微量の水を含むアルコールを用いてもよい。こうすることで、金属の加熱に必要な電力の低減を図ることができ、場合によっては加熱をしなくてもアルコキシド反応を速くすることができる。
【0009】
複合金属アルコキシドを製造する場合は、上記のようにして得られる金属アルコキシドを含むアルコール中に少なくとも1種類の他の金属をアノード電極として浸漬し、外部電源を用いて強制的にこの他の金属の金属イオンを溶出させ、金属アルコキシドに添加し、成分調整を行うようにしてもよい。こうすることで、定量的に任意の組成を有する複合金属アルコキシドを効率的に製造することができる。あるいは、上記のようにして得られる金属アルコキシドを含むアルコール中に少なくとも1種類の他の金属アルコキシドの粉末を混合することによっても、複合金属アルコキシドを製造することができる。さらには、上記のようにして得られる金属アルコキシドを粉末にして少なくとも1種類の他の金属アルコキシドの粉末を混合することによっても、複合金属アルコキシドを製造することができる。
上記のようにして金属アルコキシドを製造する際には水素ガスが発生するが、この水素ガスを回収して再利用することができる。また、蒸発させたアルコールや水素ガス以外の反応生成物(例えば、塩化エチルや塩化フッ素など)も回収して再利用することができる。こうすることで、資源の有効利用を図ることができる。
【0010】
上述のように構成されたこの発明においては、金属がアノード、この金属のアノード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位より貴なカソード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位を示すアルコールがカソードとなる。アノード反応としての金属の溶解反応は、この金属の表面の酸化皮膜を劣化させた状態、または、この金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害する状態で起きるため、速やかに進行する。特に、アルコールにハロゲン化物を添加すると、金属はこのハロゲン化物により激しい腐食状態に置かれるため、アノード反応は極めて高速に進行する。カソードとなるアルコールは溶媒として大量に存在し、しかも反応抵抗としての分極抵抗は小さいため、反応を効率的に進行させることができる。すなわち、この発明によれば、電気化学反応としての金属アルコキシド反応にいわゆる早い系(fast system) の条件を具備させることができるため、金属アルコキシド反応を速やかに進行させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、金属アルコキシドを効率良く製造することができ、金属アルコキシドの製造コストの大幅な低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施形態による金属アルコキシドの製造方法について図面を参照しながら説明する。
まず、金属アルコキシド反応について説明する。
メチルアルコール(CH3 OH、以下「Me−OH」と略記する)やエチルアルコール(C2 5 OH、以下「Et−OH」と略記する)などに代表されるアルコールは、炭化水素の水素原子を一つの水酸基(ヒドロキシ基)(−OH)で置換した化合物であり、R−OHと表記される場合が多い。このアルコールの化学的特徴の一つとしてアルコキシド反応がある。アルコキシド反応とは、R−OH中の水酸基−OH中のHを金属Mで置換する反応で、 (1)式のように生成物としてR−O−M(アルコキシド(alokoxide)あるいはアルコラート(alcohlate) とも呼ばれる)と水素ガスとが得られる。
【0013】
【化1】

【0014】
以下においては、一例として、金属Mがアルミニウムの場合(M=Al)について説明するが、金属Mはアルミニウム以外の金属であってもよいことは言うまでもない。
金属Mがアルミニウムの場合(M=Al)は、アルミニウムエトキシドAl(O−Et)3 が得られる。このときの反応式は (2)式の通りである。
【化2】

(2) 式のアルミニウムアルコキシド反応は反応前後で酸化数が変化する、いわゆる電気化学反応である。
【0015】
電気化学反応はアノード反応とカソード反応とに分割して取り扱うことができ、
【化3】

の組み合わせとなる。これらの反応は共に早い系(fast system) であり、アノード反応の(3) 式の電極電位Eと電流密度ia との関係は (5)式のようにアノード内部分極曲線E〜ia で表され、カソード反応の(4) 式の電極電位Eと電流密度ic との関係は (6)式のようにカソード内部分極曲線E〜|ic |で表される(非特許文献3、4参照。)。
【0016】
【数1】

ただし、
【数2】


【数3】

とはそれぞれ(3) 式と(4) 式の標準式量電極電位、Fはファラデー定数、Rは気体定数、Tは絶対温度、
【数4】

はそれぞれAl3+イオン、Et−O- イオン、水素ガスのアルコール溶媒中における拡散に関する係数。
【0017】
通常、アルミニウム表面には酸化皮膜として酸化アルミニウム(Al2 3 )が形成されており、現実のE〜ia 式は電気化学的な (5)式にこの酸化皮膜による物理的な分極抵抗
【数5】

の項を加えた (7)式となる。
【数6】

ただし、
【数7】

は酸化アルミニウムの比抵抗、l は酸化皮膜の厚さ。
【0018】
従って、分極曲線の測定などで得られる電位と電流密度との関係、すなわち外部分極曲線E〜iは次の連立方程式を解いた曲線となる。
【数8】

【0019】
自然浸漬状態で起こるアルコキシド反応 (2)式は
【数9】

の条件下で起こっている現象であり、アルコキシド反応を速くするにはia と−ic とを共に増加させる方法を考えればよい。
【0020】
具体的な方法を説明する前に(8) 式の関係を図式化する。 (8)式に具体的に概略の数値を代入し、概略の分極曲線を求めてみる。ここでは
【数10】

とし、温度は室温(T=298K)とする。ここで、この計算結果より、Et−OHの標準式量電極電位は−0.76Vであり、Alの標準式量電極電位−1.67Vより約0.9V貴であることがわかる。酸化皮膜の比抵抗
【数11】

は絶縁性の程度に応じて107 、109 、1011Ω・cmの3種類を考える。lは10-7cm(バリヤー層厚さ相当) の一定値とすると、
【数12】

の3種類の場合のE〜ia 曲線が得られる。これら3種類のE〜ia 曲線とE〜|ic |曲線との関係を図1に示す.
【0021】
図1において、E〜ia 曲線とE〜|ic |曲線との交点(icorr,Ecorr) は、それぞれ反応が起こっているときの電極電位(腐食電位、Ecorr) およびそのときの反応電流(腐食電流密度、icorr)を表している。

【数13】

すなわち
【数14】

の場合、腐食電流は2μA・cm-2程度流れる。104 Ω・cm2 から102 Ω・cm2 、100 Ω・cm2 へと酸化皮膜の絶縁性が劣化すると腐食電流密度icorrは大きく増加する。例えば、点
【数15】

では2μA・cm-2であったものが、点
【数16】

では約0.01A・cm-2、点
【数17】

ではおよそ0.8A・cm-2へと増加している。酸化皮膜の強弱に応じ、流れる電流は数十倍から数十万倍と大きく変化することがわかる。このことから、アルミニウムアルコキシド反応は表面酸化皮膜の性状に大きく依存していることがわかる。
【0022】
従って、アルミニウムアルコキシド反応を速くするにはアルミニウムの表面に酸化皮膜のない環境下、あるいは酸化皮膜が弱い(酸化皮膜を劣化させた)環境下で反応を起こせば良いことになる。具体的には、例えば、
1.表面に形成される酸化皮膜が弱い、あるいは表面の酸化皮膜がないアルミニウム合金(Al−Zn合金、Al−In合金など)などを用いる
2.超音波や擦過などによりアルミニウムの表面の酸化皮膜を物理的に破壊し、あるいは劣化させる
3.アルミニウムの塩化物イオンによる腐食反応などの、アノード分極抵抗の小さいアルミニウムのアノード反応を付加する
【0023】
アルミニウムの塩化物イオンによる腐食反応は (10) 式に示す通りである。
【化4】

この反応は早い系であり、そのE〜ia 式は次式のように表される。
【数18】

この反応を付加したE〜i曲線は (8)式に(11)式を加えた反応式に相当し、具体的には(12)式の連立方程式を解いた曲線になる。
【数19】

【0024】
同様に(12)式に概略の数値を代入し、関係を図示する。
【数20】

AlCl3 の濃度が10mol・dm-3の場合では、
【数21】

となる。(12)式の連立方程式の関係を図2に示す。
【0025】
(3) 式の反応と(10)式の反応とは互いに競合関係にあり、流れる電流の大きい反応が全反応を支配する。従って、塩化物イオンが存在した場合、(3) 式の反応より(10)式の反応の方が支配的となり、アルミニウムの溶解の全反応は (10) 式となり、大きな電流密度で溶解することがわかる.
【0026】
以上のことから、アルミニウムアルコキシド反応の速度を増大させるには、酸化皮膜に影響されにくい、あるいは影響されない条件下でアルミニウムのアノード反応を起こせばよいことになる。上記のことを補助する手段として下記の項目が挙げられる。
1.酸化皮膜形成に寄与する酸素供給源を絶つ。具体的には、反応中のアルコール環境中へのH2 OやO2 などの侵入を絶つ。
2.アルミニウムの比表面積を大きくするため粉末にする。複合金属アルコキシドを製造する場合は、添加する第2の金属を粉末あるいは金属電極として処理する。粉末を用いる場合、その物理的な衝突により、表面酸化皮膜が弱くなる効果も期待できる。定量的に第2の金属を添加する場合はこの金属をアノード電極として用いて電解を行い、金属イオンとして溶出させる。
3.加熱により反応温度を高くし、あるいは圧力を高くする。
ただし、温度は、使用するアルコールの、反応に用いる圧力下の沸点以上大幅に高くすることはできない。例えば、大気圧下ではEt−OHはその沸点78℃以上に加熱することは困難である。大気圧下のアルコールの沸点以上に大幅に昇温する場合は、オートクレーブなどの圧力容器内で圧力を大気圧より高くして反応を行う必要がある。
4.超音波を付与する。
アルコールに超音波を当てることにより、(11)式の拡散現象に関与する項、特に
【数22】

を大きくする。これにより
【数23】

は大きくなり、大きな電流で電解することができる。
5.使用するアルコールより強力なカソード反応源を付加する。
【0027】
以下に実施例を示すが、この実施例によってこの発明が限定されることはない。
〈実施例1〉
以下の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。
まず、10gのアルミニウム粉末と20gの無水の塩化アルミニウムとを混合した。この混合物に500mlの脱水エチルアルコールを加え、大気圧下で攪拌しながらエチルアルコールの沸点近傍(75〜80℃位)に加熱保持し、エチルアルコールを気化(蒸発)させた。こうして白色粉末を得た。
得られた白色粉末のX線解析を行った。その結果を図3に示す。図3からわかるように、なだらかなパターンが得られた。
この白色粉末を1200℃で25分間焼結し、X線解析を行った。その結果を図4に示す。図4からわかるように、明瞭なα−Al2 3 の結晶パターンが得られた。このことから、得られた白色粉末はアルミニウムアルコキシドであることが確認された。
なお、X線解析は市販のX線解析装置を用いて行った。使用したターゲットはCu、加速電圧は40kV、電流は20mAである。発散スリット角および散乱スリット角はそれぞれ1°、受光スリット幅は0.3mm、走査モードは連続、走査速度は2.0°/分、サンプリング幅は0.020°、走査範囲は10〜60°とした。
【0028】
〈実施例2〉
以下の手順でチタンアルコキシドを製造した。
まず、3gのチタン粉末と10gのフッ化アンモニウムとを混合した。この混合物に300mlの脱水メチルアルコールを加え、大気圧下で攪拌しながらメチルアルコールの沸点近傍(60〜65℃位)に加熱保持し、メチルアルコールを気化(蒸発)させた。こうして粉末を得た。
得られた粉末を500℃で60分間焼結し、X線解析を行った。その結果を図5に示す。図5からわかるように、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト系のTiO2 の結晶パターンが得られた。このことから、得られた白色粉末はチタンアルコキシドであることが確認された。
なお、X線解析には実施例1と同様なX線解析装置を用いた。
【0029】
〈実施例3〉
以下の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。
まず、2.51gのアルミニウム粉末と20.01gの無水の塩化アルミニウムとを混合し、乳鉢ですりつぶした。
この混合物を150mlの脱水エチルアルコールが入ったフラスコ(容量300ml)中に少量ずつ投入した。
上記混合物の投入後、フラスコ中の液体から水素ガスが盛んに発生すると同時に、液体は高温(60〜80℃)になった。
反応が落ち着くまで約1時間放置した後、フラスコをマントルヒーターで3時間加熱した。加熱温度はエチルアルコールの沸点近傍の78℃とした。
このとき、始めは水素ガスの発生が見られるが、30分〜1時間後はフラスコ内の液体からの沸騰は観察されるものの、水素ガスの発生は見られなかった(水上置換法により確認)。フラスコ内にはドロドロの液体が得られた。
得られたドロドロの液体をビーカーに移し、約85℃の乾燥機中で約1日放置し、有機成分を揮発させたところ、16.99gの白色の固体成分が得られた。この固体はアルミニウムエトキシドAl(O−Et)3 である。
こうして得られたAl(O−Et)3 は酸化還元反応と置換反応とにより生成されたものである。その理由は次の通りである。
得られた固体の質量16.99gは2.51gのアルミニウム粉末の下式の酸化還元反応だけでは化学量論的に成り立たない。
【化5】

すなわち、(14)式だけでAl(O−Et)3 が生成されているなら、その収量は
2.51g×(162g・mol-1/27g・mol-1)=15.06g ・・・(15)
となる。実験で得られた質量16.99gとの差
16.99g−15.06g=1.93g ・・・(16)
は下記のAlCl3 の置換反応も加算されなければならない。
【化6】

【0030】
〈実施例4〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにメチルアルコールを用い、実施例3と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムメトキシドAl(O−Mt)3 が得られた。
【0031】
〈実施例5〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにイソプロピルアルコール(Pri −OH)を用い、実施例3と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムプロポキシドAl(O−Pri 3 が得られた。
【0032】
〈実施例6〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにエチレングリコールを用い、実施例3と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムとエチレングリコールとのアルコキシドが得られた。
【0033】
〈実施例7〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにブチルアルコール(Bu−OH)を用い、実施例3と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、液体のアルミニウムブトキシドAl(O−Bu)3 が得られた。
【0034】
〈実施例8〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにペンチルアルコール(Pn−OH)を用い、実施例3と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、液体のアルミニウムペンチキシドAl(O−Pn)3 が得られた。
【0035】
〈実施例9〉
ケイ素アルコキシドを製造した。
脱水エチルアルコール中のケイ素粉末はSiCl4 の添加によってテトラエトキシシラン(以下、Si(O−Et)4 と略記する)にはならず、投入前のケイ素粉末に留まっている。しかし、NH4 ・HFの添加によってケイ素粉末は消失し、Si(O−Et)4 が得られる。この現象はアノード、カソードの標準式量電極電位で説明することができる。
【0036】
ケイ素のアルコキシド化は下式による。
【化7】

この反応をアノード反応とカソード反応とにそれぞれ分けると、塩化物イオンの場合は
【化8】


【数24】

となり、アルコキシド反応が起こる必要条件を満足していない。
【0037】
しかし、フッ化物イオンの場合は
【化9】

となり、
【数25】

であるため、アルコキシド反応が起こる必要条件を満足している。温度が上がった場合では、例えば78℃ではカソード反応の標準式量電極電位は−0.63Vになり、アノード反応の標準式量電極電位はほとんど変化しないので、室温の標準式量電極電位の大小でアルコキシド反応の可否は概略判定できる。
【0038】
〈実施例10〉
以下の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。
まず、2.51gのアルミニウム粉末と20.01gの無水の塩化アルミニウムとを混合し、乳鉢ですりつぶした。
この混合物を250mlの脱水エチルアルコールが入ったフラスコ(容量300ml)中に少量ずつ投入した。
上記混合物の投入後、フラスコ中の液体から水素ガスが盛んに発生すると同時に、液体は高温(50〜60℃)になった。
反応が落ち着くまで約1時間放置した後、フラスコをマントルヒーターで3時間加熱した。加熱温度はエチルアルコールの沸点近傍の78℃とした。
【0039】
このとき、始めは水素ガスの発生が見られるが、30分〜1時間後はフラスコ内の液体からの沸騰は観察されるものの、水素ガスの発生は見られなかった(水上置換法により確認)。フラスコ内にはドロドロの液体が得られた。
得られたドロドロの液体をビーカーに移し、約100℃の乾燥機中で約1日放置し、有機成分を揮発させたところ、16.99gの白色の固体成分が得られた。この固体はアルミニウムエトキシドAl(O−Et)3 である。
このAl(O−Et)3 を電気炉で1200℃で1時間焼結したところ、α−Al2 3 が得られた。
上記のようにして得られたAl(O−Et)3 は酸化還元反応と置換反応とにより生成されたものである。その理由は実施例3で述べた通りである。
【0040】
〈実施例11〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにメチルアルコールを用い、実施例10と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムメトキシドAl(O−Mt)3 が得られた。そして、このAl(O−Mt)3 を電気炉で1200℃で1時間焼結したところ、α−Al2 3 が得られた。
【0041】
〈実施例12〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにイソプロピルアルコールを用い、実施例10と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムプロキシドAl(O−Pri 3 が得られた。そして、このAl(O−Pri 3 を電気炉で1200℃で1時間焼結したところ、α−Al2 3 が得られた。
【0042】
〈実施例13〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにエチレングリコールを用い、実施例10と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、アルミニウムとエチレングリコールとのアルコキシドが得られた。
このアルコキシドの製造時には、フラスコ中に、灰色固体からなる下層、白色固体からなる中間層およびエチレングリコールからなる上層の3層が形成される。この3層のうち白色固体からなる中間層だけを取り出し、乾燥後、電気炉で1200℃で1時間焼結し、X線解析を行った。その結果を図6に示す。図6において、縦線はα−Al2 3 結晶の回折ピークの位置を示す。図6からわかるように、明瞭なα−Al2 3 の結晶パターンが得られた。このことから、得られた白色固体はアルミニウムアルコキシドであることが確認された。
【0043】
〈実施例14〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにブチルアルコールを用い、実施例10と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、液体のアルミニウムブトキシドAl(O−Bu)3 が得られた。そして、このAl(O−Bu)3 を電気炉で1200℃で1時間焼結したところ、α−Al2 3 が得られた。
【0044】
〈実施例15〉
アルコールとしてエチルアルコールの代わりにペンチルアルコールを用い、実施例10と同様の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。その結果、液体のアルミニウムペンチキシドAl(O−Pn)3 が得られた。そして、このAl(O−Pn)3 を電気炉で1200℃で1時間焼結したところ、α−Al2 3 が得られた。
【0045】
〈実施例16〉
以下の手順でアルミニウムアルコキシドを製造した。
実施例10の反応は、混合物の投入時に発熱する。その傾向は混合物の付着水(大気中の水分に起因する)に依存する。
まず、約3gのアルミニウム粉末と約30gの無水の塩化アルミニウムとを混合し、乳鉢で10分間すりつぶした。
500ccのビーカー中に上記の混合粉末と250mlの脱水エチルアルコールとを投入し、混合物の付着水の有無による温度変化を測定した。その結果、下記のような結果が得られた。
(1)湿潤混合粉末(上記の混合物を湿度100%の容器中に1日保管したもの)の場合:5分前後で最大70℃まで急上昇し、その後30分位かけて徐々に40℃まで下がった。この場合、後工程のマントルヒーターによる加熱時間は短くて済んだ。
(2)乾燥混合粉末(上記の混合物を大気中で数分間焼き、表面の水分を除去したもの)の場合:温度は徐々に上昇した。十数分経過後に最高50℃を示し、その後、1時間位かけて徐々に30〜40℃まで下がった。
(3)塩化アルミニウムを結晶水(AlCl3 ・6H2 O)に変更した場合について同様な実験を行った。しかし、発熱反応は起こらなかった。つまりアルコキシド反応は起こらず、アルミニウムは残存し、水素ガスの発生も認められなかった。
上記の(1)において高温になるのを防ぐため、ビーカーを水で冷やした場合は、得られるドロドロの液体は透明であった。
【0046】
すでに述べたように、室温の標準式量電極電位の大小でアルコキシド反応の可否は概略判定できる。そこで、周期表の代表的な元素について上記の概略関係を計算した。その結果、塩化物イオンに対してアルコキシド反応が可能な元素を挙げると、下記の通りである。ただし、カソード反応の標準式量電極電位を−0.76Vとした。
【0047】
原子番号 元素 電荷数 標準式量電極電位 塩化物,状態
(Vvs. SHE)
3 Li 1 −2.62 LiCl,cr
3 Li 1 −0.89 LiCl,g
3 Li 1 −3.05 LiCl,ai
4 Be 2 −0.95 BeCl2 ,cr
4 Be 2 −0.97 BeCl2 ,cr
5 B 3 0.02 BCl3 ,l
5 B 3 0.01 BCl3 ,l
11 Na 1 −0.68 NaCl,g
11 Na 1 −2.72 NaCl,ai
12 Mg 2 −1.71 MgCl2 ,cr
12 Mg 2 −2.36 MgCl2 ,ai
12 Mg 2 −1.88 MgCl2 .H2 O,cr
12 Mg 2 −1.98 MgCl2 .2H2 O,cr
12 Mg 2 −2.14 MgCl2 .4H2 O,cr
12 Mg 2 −2.23 MgCl2 .6H2 O,cr
13 Al 3 −0.82 AlCl3 ,cr
13 Al 3 −1.74 AlCl3 ,ai
13 Al 3 −0.72 AlCl3 in SiCl4
13 Al 3 −1.54 AlCl3 .6H2 O,cr
13 Al 3 −0.87 Al2 Cl6 ,g
19 K 1 −2.88 KCl,cr
19 K 1 −1.06 KCl,g
19 K 1 −2.93 KCl,ai
20 Ca 2 −2.52 CaCl2 ,cr
22 Ti 2 −1.05 TiCl2 ,cr
22 Ti 3 −0.90 TiCl3 ,cr
25 Mn 2 −0.93 MnCl2 ,cr
25 Mn 2 −1.19 MnCl2 ,ai
25 Mn 2 −1.19 MnCl2 ,a0
25 Mn 2 −1.02 MnCl2 .H2 O,cr
25 Mn 2 −1.07 MnCl2 .2H2 O,cr
25 Mn 2 −1.11 MnCl2 .4H2 O,cr
25 Mn 2 −1.85 MnCl3 - ,a0
30 Zn 2 −0.77 ZnCl2 ,ai
30 Zn 2 −1.45 ZnCl3 - ,a0
30 Zn 2 −2.09 ZnCl4 2-,a0
39 Y 3 −1.51 YCl2 + ,a0
39 Y 3 −2.29 YCl3 ,6H2
40 Zr 4 −0.95 ZrCl4 ,cr
40 Zr 4 −0.81 ZrCl4 ,g
50 Sn 2 −0.87 SnCl3 - ,a0
56 Ba 2 −2.84 BaCl2 ,cr
56 Ba 2 −1.43 BaCl2 ,g
56 Ba 2 −2.91 BaCl2 ,ai
56 Ba 2 −2.89 BaCl2 ,H2 O,cr
56 Ba 2 −2.90 BaCl2 ,2H2 O,cr
82 Pb 2 −0.85 PbCl3 - ,a0
【0048】
また、フッ化物イオンに対してアルコキシド反応が可能な元素を挙げると、下記の通りである。ただし、カソード反応の標準式量電極電位を−0.76Vとした。
原子番号 元素 電荷数 標準式量電極電位 フッ化物,状態
(Vvs. SHE)
3 Li 1 −3.20 LiF,cr
3 Li 1 −0.84 LiF,g
3 Li 1 −3.04 LiF,ai
3 Li 1 −1.98 Li2 2 ,g
3 Li 1 −2.27 Li3 3 ,g
5 B 3 −0.98 BF3 ,g
5 B 3 −1.28 BF4 - ,a0
5 B 3 −1.02 B2 4 ,g
11 Na 1 −2.74 NaF,cr
11 Na 1 −2.72 NaF,ai
12 Mg 2 −2.65 MgF2 ,cr
12 Mg 2 −0.90 MgF2 ,g
13 Al 3 −0.95 Al(F2 + ,a0
13 Al 3 −2.03 AlF3 ,cr
13 Al 3 −1.21 AlF3 ,g
13 Al 3 −1.68 AlF3 ,ai
13 Al 3 −1.99 AlF3 ,a0
14 Si 2 −0.36 SiF2 ,g
14 Si 4 −1.18 SiF4 ,g
14 Si 4 −1.27 SiF4 ,ai
14 Si 4 −2.81 SiF6 2-,a0
19 K 1 −2.93 KF,ai
20 Ca 2 −3.16 CaF2 ,cr
20 Ca 2 −1.20 CaF2 ,g
20 Ca 2 −2.87 CaF2 ,ai
22 Ti 4 −1.15 TiF4 ,am
24 Cr 3 −0.87 CrF3 ,cr
25 Mn 2 0.24 MnF+ ,aq
30 Zn 2 −0.80 ZnF2 ,cr
30 Zn 2 −0.76 ZnF2 ,ai
31 Ga 3 −2.15 (GaF2 + ,a0
31 Ga 3 −0.86 GaF3 ,cr
39 Y 3 −2.79 YF3 ,cr
39 Y 3 −1.52 YF3 ,g
40 Zr 4 −1.80 ZrF4 ,cr
40 Zr 4 −1.35 ZrF4 ,g
56 Ba 2 1.07 BaF,g
56 Ba 2 −3.10 BaF2 ,cr
56 Ba 2 −1.40 BaF2 ,g
【0049】
なお、上記の計算に用いたデータや記号(cr、g、ai、l、a0、am、aq)はASM:"The NBS tables of Chemical Thermodynamics Properties", J.Phys.Chem, Ref.Data, vol.11 Suppl2(1982)より採用した。ここで、crは結晶、gはガス、lは液体、ai、a0、am、aqはそれぞれアクアイオン状態i、0、m、qを意味する。
【0050】
以上のように、この実施形態によれば、アルミニウムやチタンなどの金属、好ましくは粉末状の金属を、表面の酸化皮膜を劣化させた状態または表面の酸化皮膜の形成を阻害する状態で、好ましくはこの金属に加えてさらに塩化アルミニウムやフッ化アンモニウムなどのハロゲン化物を添加した状態で、エチルアルコールなどのアルコール中に浸漬し、好ましくは加熱することにより、より好ましくはこのアルコールの沸点近傍で加熱することにより、アルミニウムアルコキシドやチタンアルコキシドなどの金属アルコキシドを製造することができる。この金属アルコキシドの製造工程は極めて簡単であるため、極めて効率的に金属アルコキシドを製造することができ、製造コストの大幅な低減を図ることができる。そして、この製造方法によって得られるアルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシドを用いてゾルを生成することにより、ゾル−ゲル法によりガラスやセラミックスなどを製造する際の製造コストの大幅な低減を図ることができる。
【0051】
以上、この発明の一実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】アルミニウムアルコキシド反応の分極曲線を示す略線図である。
【図2】塩化物イオンの反応を加えたアルミニウムアルコキシド反応の分極曲線を示す略線図である。
【図3】この発明の実施例1により得られた白色粉末のX線解析の結果を示す略線図である。
【図4】この発明の実施例1により得られた白色粉末の焼結後のX線解析の結果を示す略線図である。
【図5】この発明の実施例2により得られた粉末の焼結後のX線解析の結果を示す略線図である。
【図6】この発明の実施例13により得られた粉末の焼結後のX線解析の結果を示す略線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造しようとする金属アルコキシドを構成する金属を、当該金属の表面の酸化皮膜を劣化させた状態、または、当該金属の表面の酸化皮膜の形成を阻害する状態で、当該金属のアノード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位より貴なカソード内部分極曲線の標準式量電極電位または半波電位を示すアルコール中に浸漬することを特徴とする金属アルコキシドの製造方法。
【請求項2】
上記金属を上記アルコール中において加熱することを特徴とする請求項1記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項3】
上記金属を上記アルコール中において上記アルコールの沸点近傍で加熱することを特徴とする請求項1記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項4】
上記アルコールにハロゲン化物を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項5】
上記ハロゲン化物は上記金属のハロゲン化物であることを特徴とする請求項4記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項6】
上記ハロゲン化物は無水ハロゲン化物または極微量の水を含むハロゲン化物であることを特徴とする請求項4または5記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項7】
上記アルコールとして脱水アルコールを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項8】
上記金属として粉末状のものを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項9】
上記金属として表面に酸化皮膜が形成されていないものを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項10】
上記金属の表面を擦過することにより上記金属の表面の上記酸化皮膜を劣化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項11】
上記アルコールに超音波を当てることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項12】
上記アルコールを攪拌することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項13】
酸素供給源を遮断した環境で上記金属を上記アルコール中に浸漬することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項14】
上記金属を上記アルコール中に浸漬することにより得られる金属アルコキシドを含む上記アルコール中に少なくとも1種類の他の金属をアノード電極として浸漬し、当該他の金属の金属イオンを溶出させることにより複合金属アルコキシドを製造することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項15】
上記金属を上記アルコール中に浸漬することにより得られる金属アルコキシドを含む上記アルコール中に少なくとも1種類の他の金属の粉末を混合することにより複合金属アルコキシドを製造することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項16】
上記金属を上記アルコール中に浸漬することにより得られる金属アルコキシドを粉末にして少なくとも1種類の他の金属の粉末を混合することにより複合金属アルコキシドを製造することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。
【請求項17】
上記金属を上記アルコール中に浸漬することにより金属アルコキシドを製造する際に発生する水素ガスを回収することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項記載の金属アルコキシドの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−292803(P2009−292803A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234186(P2008−234186)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年4月10日 社団法人軽金属学会発行の「第114回春期大会講演概要集」に発表
【出願人】(504193837)国立大学法人室蘭工業大学 (70)
【Fターム(参考)】