説明

金属ストリップの製造装置及び製造方法

【課題】金属ストリップの生産のための装置および方法を提供する。
【解決手段】急速凝固技術により延性があり,非結晶質又はナノ結晶である金属ストリップ2を製造する装置1において,回転軸5を中心に回転することができる可動ヒートシンク3の外部表面7を清浄化するのに使用される圧延装置11含む装置であり,ヒートシンクの外部表面の粗さを連続的に軽減しつつ、溶融物8が注がれ,凝固しストリップ2が製造される。圧延装置はロール12を含みヒートシンクが動いている間に、外部表面に対して押し付け可能であるとともに、ローラーは,可動ヒートシンクの外部表面とらせん状に接触するように,可動ヒートシンクの回転軸に平行に,可動ヒートシンクの外部表面を動くことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,金属ストリップの製造装置及び製造方法に関する。特に,急速凝固技術を利用した金属ストリップの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速凝固技術では,溶融物は,動きの速いヒートシンクに注がれ,また,熱伝導率に起因して,ヒートシンクで凝固する。溶融物が,運動しているヒートシンクに継続的に注がれることで,ストリップが製造される。
【0003】
米国特許第4,793,400号には,金属ストリップの製造に関し,このタイプの装置が開示されている。この装置は,溶融物がヒートシンクに注がれる前に,ヒートシンクの表面を清浄化するのに使用される2つの回転ブラシで構成されている。これらのブラシは,表面から粉塵,破片及び溶融残留物を除去するのに使用される。この構成の目的は,より少ない誤差で急速に凝固されたストリップを提供すること,及びより均一なストリップを提供することである。この装置は,粉塵等が確実に除去され,表面に戻されないようにするために,削除される対象物を吸い上げる真空源をさらに含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,793,400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,ストリップの品質,例えば均質性が改良されることが,さらに望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,急速凝固技術により,金属ストリップを製造する装置を提供する。この装置は,外部表面を有する可動ヒートシンクと圧延装置を含む。溶融物が外部表面に注がれ,凝固することで,ストリップが製造される。ヒートシンクが動いている間,圧延装置を可動ヒートシンクの外部表面に対して押しつけることができる。
【0007】
本発明に係る装置において,外部表面は,ヒートシンクが動いている間,圧延装置と接触している。圧延装置は,溶融物が凝固する前に,繰り返し外部表面を調製するために使用される。外部表面が平滑化するように,圧延装置によって外部表面をローラーバニシングさせ,それによって外部表面は作動することができる。本明細書において,‘作動する’は,材料の再分配を意味すると理解される。ブラシによって達成することができる外部表面の物質の除去は,本発明の圧延装置の使用目的ではない。製造プロセスでは,チップは生成されず,悪影響を及ぼす可能性のあるゴミやほこりもほとんどない。
【0008】
外部表面を作動させるために必要な圧力は,材料とヒートシンク又はヒートシンクの外部表面の状態によって決まる。低い圧力は,鋼のような硬質材料よりも銅などの軟質材料に使用される。
【0009】
圧延装置は,ストリップがヒートシンクから分離する位置と注湯表面,すなわち溶融物がヒートシンクに到達する位置との間に位置する,可動ヒートシンクの外部表面に対して特に押しつけられる。外部表面は,ストリップがその上で凝固した後,次の溶融物との接触の前に,圧延装置によって作動することができる。
【0010】
ある態様では,圧延装置は,外部表面が圧延装置で平滑化されるように,可動ヒートシンクの外部表面に押し付けられる。その結果,圧延装置と接触する前よりも,圧延装置と接触した後又は圧延装置により作動した後のほうが,外部表面の粗さはより少なくなる。これは,可動ヒートシンクの外部表面上のストリップの凝固によって製造されるストリップの粗さ,特にストリップの表面の粗さを低く抑えることができるという利点がある。その結果,ストリップの均質性は,長い区間にわたって保証されることになる。
【0011】
これは長い鋳造プロセスを可能にし,生産コストを削減する。加えて,低い表面粗さは,製造されるストリップの様々な特性を向上させることができる。いくつかの磁気合金の表面粗さは,例えば,それらの磁気特性に影響を与える。均質で低い表面粗さの長いストリップを生産することによって,均質な特性を有する複数の磁心が,1つの鋳造プロセスで製造することができることになる。これは,無駄がより少なくなることにより,製造コストを削減する。
【0012】
ある態様では,圧延装置は,溶融物が可動ヒートシンクの外部表面に注がれている間に,継続的に可動ヒートシンクの外部表面に接触するように設計されている。この構成によって,溶融物が凝固する表面を,外部表面が再び溶融物と接触する前に,作動させることができる。この結果,より均質な外部表面が生じることで,急速に凝固されたストリップが生成される。
【0013】
他の態様では,圧延装置は,溶融物が可動ヒートシンクの外部表面に注がれている間,外部表面を作動させることによって可動ヒートシンクの外部表面の粗さを取り除くように設計されている。外部表面が作動することによって,表面の粗さが取り除かれる。
【0014】
ある態様では,可動ヒートシンクは,回転軸を中心に動く。すなわち運動は回転である。所望の冷却速度と,目的のストリップの厚さを達成するために,ヒートシンクの周速は,それに応じて設定されている。周速が増加するにつれて,ストリップの厚さは,薄くなっていく。典型的な冷却速度は,10K/s以上である。周速度は10m/sから50m/sでもよい。
【0015】
ヒートシンクは,車輪又はローラーの形状を有してもよく,それぞれの車輪やローラーの外周面に溶融物が接触してもよい。したがって,回転軸は,車輪の円周の中心に垂直となる。
【0016】
ある態様では,圧延装置は,可動ヒートシンクの回転軸に平行に動く。この構成では,圧延装置は,ヒートシンクの幅の異なる領域,例えば車輪の外周面の一部のみに接触することができる。これは,ヒートシンク上にいくつかの鋳造帯がある場合,有利である。ある鋳造帯は,他の鋳造帯の後に圧延装置により作動することができる。これにより,複数の鋳造物を,ヒートシンクを交換する必要がなく,異なる鋳造帯ではなく,1つでかつ同一のヒートシンクで製造できる。これは,製造時間を短縮させ,生産コストを減らすことになる。
【0017】
圧延装置は,代わりに可動ヒートシンクの外部表面と垂直に動いてもよい。外部表面が,z軸方向に動く場合,圧延装置は,x軸方向及び/又はy軸方向に動いてもよい。x軸方向の運動は,例えば,外部表面の異なるストリップ形状領域を作動させてもよい。y軸方向の運動は,外部表面に圧延装置を押しつける圧力を調整するために使用することができる。
【0018】
ある態様では,圧延装置は,可動ヒートシンクの外部表面に回転自在に押しつけられたローラーを含む。圧延装置のローラーは,繰り返し外部表面を調整するために,可動ヒートシンクの外部表面に接触している。圧延装置は,ローラーが回転自在に取り付けられ,それぞれの外部表面で動くように,例えば,可動ヒートシンクの回転軸に平行な,及び/又はヒートシンクの外部表面に平行な,ローラー保持具をさらに含むことになる。
【0019】
ある態様では,100mm未満の直径を有する球形ローラーでかつ1000N以上の接触力で,圧延装置を可動ヒートシンクの外部表面に対して押しつけることができる。接触力又は表面の圧力は,材料の巨視化,すなわち大規模な表面,又は変位や変形を避けるために,ヒートシンクの降伏強度よりは低いのが一般的である。前述したように,外部表面を適切に作動させる圧力は,圧延装置やローラーの形状だけでなく,外部表面の材料によっても決定される。
【0020】
ある態様では,ローラーは,ローラーの速度を設定する制御装置を別個に有している。これにより,圧延装置のローラーの速度を,ヒートシンクの速度とは無関係に調整することができる。
【0021】
さらなる態様では,本装置は,ヒートシンクの運動によって圧延装置を駆動させるために,圧延装置のローラーを可動ヒートシンクの外部表面に対して押しつけることがきるように設計されている。この場合,ローラーは独自の駆動力を持っていない。そのため,回転するローラーの表面は,ヒートシンクの外部表面を確実に作動させる圧力で回転するヒートシンクの外部表面に押し付けられる。
【0022】
ある態様では,圧延装置のローラーは第1の回転方向を有し,ヒートシンクは第2の回転方向を有する。第1の回転方向は第2の回転方向と逆方向である。この構成では,可動ヒートシンクの外部表面は,圧延プロセス又はローラーバニシングプロセスによって調整される。
【0023】
ある態様では,圧延装置のローラーは,ヒートシンクの第2の回転軸と平行に外部表面にわたって動く。第2の回転軸に平行な方向の運動で,外部表面は,らせん状に接触され,作動することができる。これは,外部表面が曲がっていないという利点を有しているため,ストリップの厚さはその幅全体にわたって同じままである。
【0024】
ある態様では,本装置は,注がれることになる溶融物のコンテナをさらに有している。このコンテナは,1回の量の溶融物が注がれる開口部が,外部の表面からわずかな距離で配置されるため,外部表面に近接するノズルのコンテナであってもよい。
【0025】
コンテナ又は本装置は,それぞれ,さらに溶融材料を溶融する加熱手段及び/又は溶融材料を溶融状態で保つための加熱手段をさらに含んでもよい。
【0026】
本装置は,凝固したストリップを受け取る,受取装置をさらに含んでもよい。この受取装置は,例えばリールでもよい。
【0027】
また,本発明は,急速凝固技術によるストリップの製造方法を提供する。本方法では,溶融物及び外部表面を含む可動ヒートシンクが提供される。溶融物は,可動ヒートシンクの外部表面上に注がれ,ストリップを形成しながら,外部表面で凝固する。圧延装置は,ヒートシンクが動いている間,ヒートシンクの外部表面に押し付けられる。
【0028】
本方法は,ヒートシンクとそれに伴う外部表面を速く運動させながら,金属または合金の溶融物がヒートシンクの外部表面との接触面で急速に凝固させる,急速凝固技術に基づいている。溶融物は,ヒートシンクの運動によって,凝固した金属又は合金から長いストリップが形成されるように,外部表面に続々と注がれている。
【0029】
ヒートシンクの外部表面は,ヒートシンクとそれに伴う外部表面が回転している間に,圧延装置の手段によりローラーバニシングされる。このローラーバニシングは,外部表面が平滑化されながら作動するように行われる。
【0030】
外部表面の粗さと不規則性は,溶融物と外部表面との接触により生じる。外部表面は,繰り返し溶融物と接触するため,その品質は鋳造時間が増えるとますます悪くなる。
【0031】
再度溶融物と接触する外部表面が滑らかになるように,これらの不規則性を圧延装置で平滑化することができる。その結果,溶融物が外部表面で凝固するときに形成されるストリップの底面の粗さを,ストリップの長さにわたってより均一に保つことができる。
【0032】
ある態様では,圧延装置は,溶融物がヒートシンクの外部表面に注がれている間に,継続的に,外部表面と接触し,外部表面を作動させるように,ヒートシンクの外部表面に押し付けられている。これにより,溶融物が凝固する表面を作動させ又は滑らかにできる。
【0033】
外部表面を作動させることにより,圧延装置と接触する前の外部表面の粗さよりも,圧延装置に接触した後のほうが,外部表面の粗さは取り除かれる。圧延装置は,溶融物が外部表面に注がれる前に,可動ヒートシンクの可動する外部表面に押し付けられる。したがって,圧延装置は,溶融物が外部の接触面に当たる位置の下流側に配置される。これは,急速に凝固されたストリップの裏面の均一性だけでなく,ヒートシンクの外部表面の均一性も向上させる。
【0034】
ある態様では,圧延装置は,回転自在に取り付けられたローラーを含む。
【0035】
ヒートシンクは,回転可能な車輪の形で提供されてもよい。溶融物は車輪のリムの上に注がれる。圧延装置のローラーは,リムとともに,リムの表面を作動させ,滑らかにする圧延機を形成するように,配置されてもよい。
【0036】
回転可能なローラーが圧延装置として提供される場合,ヒートシンクが第2の回転方向に駆動している間,このローラーは第1の回転方向に駆動することができる。第1の回転方向は,第2の回転方向と逆向きである。ローラーとヒートシンクの間の摩擦によって,ヒートシンクがローラーを駆動させてもよい。結果として2つの反対向きの回転方向が生じる。別の方法として,ローラーを独自の制御の下で独立して駆動させてもよい。
【0037】
ある態様では,外部表面をらせん状に接触させ作動させるように,ヒートシンクが動いている間,ローラーをヒートシンクの第2の回転軸と平行に,外部表面にわたって動かされる。この態様は,外部表面の全幅にわたってムラを軽減するために使用することができる。
【0038】
他の態様として,外部表面の広い領域に接触できるように,ローラーはヒートシンクの第2の回転軸に平行に動いてもよい。2つ以上の鋳造帯が外部表面で提供されるようにヒートシンクが設計されている場合,この方法を使用することができる。
【0039】
ストリップは,ヒートシンクの外部表面上に急速凝固法によって製造された後,凝固した溶融物のひけと外部表面の回転により,外部表面から分離される。ストリップの割れやねじれを避けるために,リールにこのストリップを継続的に巻きつけることができる。
【0040】
少なくとも30kmの長さを有する金属ストリップも同様に本明細書に含まれる。このストリップは,ストリップの端部から少なくとも20kmの位置で,表面粗さRaが0<Raの<0.6となる少なくとも一つの表面を有する。Rは,中心線平均高さである。
【0041】
さらなる態様において,表面粗さを可能な限り低くすることは,本発明の目的ではない。ストリップの品質を良くするために,圧延装置の接触圧力によって調整することができる表面粗さは,長い製造工程でもほぼ一定に保たれる。少なくとも20kmの長さにわたって,表面粗さRaを,0.2<Raは<0.6μm+/−0.2μm,好ましくは+/−0.15μmの範囲内に保持させることができる。
【0042】
このストリップは,長い鋳造時間後であって,ストリップの端から,特にストリップの始まりから少なくとも20kmの距離にある位置で,低い表面粗さを得られるように,本発明の装置と方法で製造される。
【0043】
ある態様では,金属ストリップは,延性があり,かつ非晶質であるか又は延性があり,かつナノ結晶である。ストリップの結晶化又は結晶度は,冷却速度及び/又はストリップの組成により設定することができる。
【0044】
金属ストリップは,例えばTの多数の異なる組成を有してもよい。ここで,Tは,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Nb,Mo,Cr,Zn,S及びZr等の1つ以上の遷移金属であり,Mは,B,Si,C及びPなどの1つ以上のメタロイドである。aは70原子%≦a≦85原子%であり,bは,15原子%≦b≦30原子%である。
【0045】
ナノ結晶のストリップは,FeCuM’M’’Siから組成されてもよい。ここで,Mは,IVa族,Va族,VIa族元素のグループからの1つ以上の元素又は1つ以上の遷移金属であり,M’は,Mn元素,Al元素,Ge元素及び白金元素からの1つ以上の元素であり,M’’は,Co及び/又はNiである。また,式中,a+b+c+d+e+f+g=100原子%であり,それぞれ,0.01≦b≦8,0.01≦c≦10,0≦d≦10,0≦e≦20,10≦f≦25,3≦g≦12,及び17≦f+g≦30である。
【0046】
請求項のいずれかに記載の装置は,T又はFeCuM’M’’Siから成る金属ストリップを生産するのに使用されてもよい。Tに関して,Tは,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Nb,Mo,Cr,Zn,S及びZr等の1つ又は複数の遷移金属であり,Mは,B,Si,C及びPなどの1つ以上のメタロイドである。aは70原子%≦a≦85原子%であり,bは,15原子%≦b≦30原子%である。FeCuM’M’’Siに関して,Mは,IVa族,Va族,VIa族元素のグループからの1つ以上の元素又は遷移金属であり,M’は,Mn元素,Al元素,Ge元素及び白金元素からの1つ以上の元素であり,M’’は,Co及び/又はNiである。また,式中,a+b+c+d+e+f+g=100原子%であり,それぞれ,0.01≦b≦8,0.01≦c≦10,0≦d≦10,0≦e≦20,10≦f≦25,3≦g≦12,17≦f+g≦30である。
【0047】
実施形態については,図面を参照して以下により詳細に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は,急速凝固技術により,金属ストリップを製造する圧延装置の第1の概略図である。
【図2】図2は,図1の装置の第2の概略図である。
【図3】図3は,図1の装置の第3の概略図である。
【図4】図4は,図1の圧延装置の詳細図である。
【図5】図5aは,図1の装置により製造された,ヒートシンクに面しているストリップの裏側の表面粗さを示している。図5bは,比較用ストリップの裏側の表面粗さを示している。
【図6】図6は,重量によって決定されるストリップの厚さの図である。
【図7】図7は,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されたストリップの裏側の中心線平均高さRと,ローラーバニシングされた鋳造帯で製造されたストリップの裏側の中心線平均高さRの比較を示している。
【図8】図8は,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されたストリップの裏側の中心線平均高さRと,ローラーバニシングされた鋳造帯で製造されたストリップの裏側の十点平均高さ(the peak−to−valley heights)Rの比較を示している。
【図9】図9は,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されたストリップから巻きつけられた測定コアとローラーバニシングされた鋳造帯で製造されたストリップから巻きつけられた測定コアの充填率の比較を示す図である。
【図10】図10は,継続的に作動する鋳造帯で製造されたストリップの透磁率の変化を示している。
【図11】図11は,継続的に作動していない鋳造帯で製造されたストリップの透磁率の変化を示している。
【図12】図12は,ローラーバニシングされた鋳造帯でのストリップキャストとローラーバニシングされていない鋳造帯でのストリップキャストに関する,H=15mAでのμsin/μdynの比率の比較を示している。
【図13】図13は,これらのストリップにおいて,正規化した透磁率μ80の比較を示している。
【0049】
図1から図3は,急速凝固技術により,金属ストリップ2を製造する装置1を示す様々な図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
装置1は,回転軸5の周りを時計回りに回転する,車輪4の形状のヒートシンク3を含む。車輪4は,溶融物8が注がれる外部表面7を含むリム6を有している。溶融物8は,容器9に格納されている金属又は合金から成る。装置1は,金属または合金から溶融物8を製造する加熱手段10をさらに含む。
【0051】
装置1は,ローラー12を有する圧延装置11をさらに含む。ローラー12は回転軸13を中心に回転し,加圧の下,ヒートシンク3のリム6の外部表面7に押しつけることができるように配置されている。ローラー12は反時計回り,つまり,車輪4の回転方向と反対に回転する。回転する車輪4とともに,ローラー12は,ローラーバニシングするのに使用される圧延機を形成し,これにより,鋳造プロセス中に,リムの外部表面7が滑らかになる。
【0052】
ローラー12は,車輪4に接して配置されていることから,溶融物8が外部表面7に到達する位置15の上流となる位置14で,外部表面7を作動させる。溶融物8は,滑らかな外部表面7上に注がれ,ローラーバニシングされた滑らかな表面で凝固する。車輪4の回転と,溶融物8の流れにより,溶融物8が凝固して長いストリップ2が製造される。凝固する溶融物8の収縮ボリュームと回転する車輪4によって,ストリップ2は,外部表面7から分離され,図示されていないリールに巻き付けられ得る。
【0053】
ストリップ2の裏面16は,外部表面7の輪郭をほぼ取り入れている。ローラー12が鋳造プロセス時に外部表面7を継続的に作動させる場合,ストリップ2の裏面16を均一に保つことができる。この時製造される長いストリップ2の表面粗さは,初めから終わりまでの間に,ほんのわずかに影響を受ける。ストリップ2の表面は自由に凝固し,外部表面7の輪郭の影響を受けない。
【0054】
図2と図3が示すように,圧延装置11のローラー12は,矢印18により示される,ヒートシンク3の回転軸5に平行する方向に運動してもよい。
【0055】
ローラー12は,リムの別の鋳造帯を作動させるように配置されてもよい。ローラー12は,回転するヒートシンク3と接触しながらヒートシンクの回転軸と平行に運動してもよい。この態様では,リム6又は外部表面7をらせん状に作動させ,平滑化させることができる。
【0056】
図4は,ヒートシンク3の外部表面7と接触するローラー12を有する圧延装置11の作用効果を図式的に表示したものである。
【0057】
ヒートシンク3の回転は,矢印19によって示され,逆方向となるローラー12の回転は,矢印20によって示されている。外部表面7上のローラー12によって加えられる圧力は,矢印21により示されている。この態様では,ローラーは外部表面にわたって送られる。これは,矢印22によって示されている。
【0058】
ローラー12の左側に関して,図4は,外部表面でストリップが形成された後のヒートシンクの外部表面7を示している。ローラー12の右側に関して,図は,ローラー12によってローラーバニシングされた後,表面の粗さが軽減された外部表面7を示している。この方法は,ストリップ製造時と鋳造時で継続して使用することができる。その結果,凝固したストリップ2の裏面16がその全長に沿って滑らかな表面を持つように,溶融物8は常に滑らかな外部表面7と接する。
【0059】
鋳造プロセス中に,ヒートシンクの表面7の作用効果を説明するために,作動している面と作動していない面を直接的に比較する実験が行われた。
【0060】
これらの実験では,一般的に誘導性コアに使用される合金のFeCuNbSi15.5が,選択されている。幾何学的データの比較に加えて,測定コアにより磁気特性の評価ができる。測定コアを生成するために,例えば切断することによって,裂け目が出ないように,選択されるストリップの幅は,25mmである。
【0061】
結果が意図しないパラメータの変動の影響を受けないように,全実験は,1つの鋳造帯で行われる。すなわち,すべての結果が,同一の溶融物,前処理を含む同一のヒートシンク,及び同一の鋳造パラメータに基づいている。変更される唯一の側面は,鋳造帯の位置である。
【0062】
ヒートシンクの表面を作動させるために,‘ローラーバニシング’または‘パニシング’のさらなる具体的な措置が選択される。これは,急速に凝固したストリップの鋳造プロセスのパラメータに適用される。機器は,低送り速度で,ヒートシンクの軸と平行に動く特殊なローラーを有する弾性的に装着されるローリングヘッドを含む。この作用は,図4に示すように,定められた力でヒートシンク3の表面7に押しつけられたローラー12によって行われる。
【0063】
実験の第1段階では,約50000mで25mm幅のストリップが,前述のように継続的に作動している鋳造帯の上に注がれた。
【0064】
次の段階では,比較用のストリップを製造するために,別の50000mのストリップが,作動していない平行帯に注がれた。しかし,このプロセスは,表面の状態が過度に悪化したとして,品質の理由により,約30000mを経て中止された。
【0065】
この方法で製造されたストリップは,幾何学的及び磁気的基準を用いて比較,評価された。幾何学的な評価をするために,サンプルは‘鋳放し’の状態のままとした。磁気特性の評価については,磁気的に意義のあるナノ結晶線材の状態を得るために,巻き鉄心に熱処理を施した。
【0066】
表面パラメータR及びRと測定するコアの充填率が,比較可能な変数として選択された。Rは中心線平均高さであり,Rはピークから谷までの平均的高さである。
【0067】
表面のパラメータは,ヒートシンクに面する,ストリップの側面により決定され,ヒートシンクの表面の摩耗に関する変化を大体は反映する。さらに,充填率は磁気コアの品質基準に不可欠である。
【0068】
図5aは,約39800m経た後の,作動した鋳造帯のストリップの裏面,すなわちヒートシンクに面する側の粗さの値を示している。
【0069】
図5bは,約23,000m経た後の,作動していない鋳造帯の比較用ストリップの裏面(ヒートシンクと面する側)の粗さの値を示している。
【0070】
鋳造パラメータに加えて,ストリップの厚さも相似している場合,調査された変数の同等性は最高になる。これは,検証されたコアの充填率の変化が,表面の粗さとストリップの厚さとの関係によって大きく影響されるためである。
【0071】
ストリップの厚さは,接触式測定において,粗さに起因するエラーを回避するために,重さを量ることによって決定した。重さを量ることにより得られたストリップの厚さの値は,図6に示されている。図6は,ストリップの厚さの値が,どちらの場合も,すべての鋳造帯に沿って,非常によく一致していることを示している。
【0072】
図7は,ストリップの幅のほぼ中央でのストリップの裏面の中心線平均高さRの比較を示している。図7では,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されるストリップと,ローラーバニシングされた鋳造帯で製造されるストリップについて示されている。
【0073】
図8は,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されるストリップと,ローラーバニシングされた鋳造帯で製造されるストリップに関する,およそストリップの幅の中央でのストリップの裏側のピークから谷までの平均的高さRの比較を示している。
【0074】
図7と図8では,表面パラメータRとRの変化が,作動している鋳造帯と作動していない鋳造帯の長さとの関係で,座標に示されている。
【0075】
この比較は,ヒートシンクの外部表面が作動することで,初期に製造された品質を,長い鋳造プロセスにわたって,維持し,時には向上させることができることを示している。対照的に,作動していない鋳造帯の表面は非常に急速に悪化している。
【0076】
また,このような相違点は,測定するコアの充填率を比較可能な変数とみなす場合にも見られる。図9は,ローラーバニシングされていない鋳造帯で製造されるストリップからと,ローラーバニシングされた鋳造帯で製造されるストリップから巻きつけられた,測定コア(直径24.3/13×25mm)の充填率を比較した図である。
【0077】
2つのグループの充填率は,比較的短期間の後にお互いに著しくずれていく。これは,ヒートシンクの表面の品質が少しの変化でさえも,完成品の重要な品質の違いが生じることを示している。
【0078】
ストリップの表面の形成は,それらの磁気特性に影響を与える可能性がある。それは,例えば,ヒステリシス曲線の形状と交流磁界の再磁化プロセスに著しく影響を与える。
【0079】
3つの特性である,H=15mA/cmでのμsin,H=15mA/cmでのμdynそしてμsin/μdynの比率が測定され,評価される。これらの値は,主に50Hzでの漏電遮断機に含まれる計器用変流器のコアの要件に関連している。
【0080】
この目的は,高い確率で高透磁性とすることである。実験によるデータは,異なる透磁率値と比透磁率との間で比較することができる。正規化された値は,μ80(H=15mA/cmでのμdynかつμsin/μdyn=0.8)である。
【0081】
図10と図11の図では,透磁率の変化が,作動している鋳造帯と作動していない鋳造帯ごとに分けて示されている。透磁率μsinは,ほぼ一定している。なぜなら,それは単に合金と熱処理によって理論的に決まるためである。
【0082】
図10は,継続的に作動する鋳造帯で製造されるストリップの透磁率の変化を示している。透磁率は50000mの長さにわたって,少しだけ変化する。
【0083】
図11は,作動していない鋳造帯で製造される比較用ストリップの透磁率の変化を示している。図10とは対照的に,μsinは大幅に減少していることがわかる。これは,比較的短い鋳造帯の長さで著しい障害の影響があったことを示している。
【0084】
透磁率μdynは,μsinよりも変化に強く反応するため,μsin/μdynの比率及び正規化されたμ80は,特に,著しく減少するように,直線的な大幅な低下を示している。
【0085】
図12は,ローラーバニシングされた鋳造帯のストリップ鋳造物とローラーニシングされていない鋳造帯のストリップ鋳造物について,H=15mA/cmでのμsin/μdynの比率を比較した図である。図13は,これらのストリップに関して,正規化された透磁率μ80を比較した図である。両方の値はともに,ローラーバニシングされた鋳造帯のストリップキャストよりもローラーバニシングされていない鋳造帯のストリップ鋳造物の方がより減少している。
【0086】
第1の実験の結果に基づいて,μsin>200000,μsin/μdyn比>0.80,場合によってはμsin/μdyn比>0.85の透磁率の値で,確実にかつ繰り返し,この方法とこの合金で実現できるようである。
【0087】
様々な幾何学的な変数(Ra,Rzと充填率)と磁気変数(μsin,μdyn及びμsin/μdyn比)に基づいて,本発明の製造方法による効率性と製品の品質の均一性は,鋳造プロセス中に,ヒートシンクの表面を継続的に作動させることにより,向上できることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速凝固技術により,金属ストリップ(2)を製造する装置(1)であって,
前記金属ストリップ(2)を製造するために,溶融物(8)が注がれ,凝固する外部表面(7)を有する可動ヒートシンク(3)と,
前記可動ヒートシンク(3)が動いている間に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけることができる圧延装置(11)と,を含む金属ストリップ製造装置。

【請求項2】
前記圧延装置(11)は,ローラー(12)を含み,
前記ローラー(12)は,回転可能であり,
前記ローラー(12)は,前記可動ヒートシンク(3)が動いている間に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけることができることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。

【請求項3】
前記溶融物(8)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に注がれている間に,
前記圧延装置(11)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に連続的に接触するように構成されていることを特徴とする,請求項1又は請求項2に記載の装置(1)。
前記圧延装置(11)は,前記溶融物(8)が前
【請求項4】
前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)は,前記圧延装置(11)によって平滑化されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項5】
前記圧延装置(11)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)を作動させるのに十分な圧力で,前記外部表面(7)に対して押しつけることができることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項6】
前記可動ヒートシンク(3)は回転軸(5)を中心に回転することができることを特徴とする,請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項7】
前記可動ヒートシンク(3)は,10m/sから50m/sの周速で動くことができることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項8】
前記圧延装置(11)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記回転軸(5)と同方向に動くことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の装置(1)。

【請求項9】
前記圧延装置(11)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)の垂直方向に動くことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項10】
前記可動ヒートシンク(3)は,ローラー又は車輪(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項11】
前記ローラー(12)は前記ローラー(12)の速度を設定する独立した制御装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項12】
前記ローラー(12)は,前記可動ヒートシンク(3)の回転によって駆動するように,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけることができることを特徴とする請求項2から請求項11のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項13】
前記回転するローラー(12)の表面は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)を作動させるのに十分な圧力で,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけることができることを特徴とする請求項2から請求項12のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項14】
前記ローラー(12)は,第1の回転方向(20)を有し,前記可動ヒートシンク(3)は,第2の回転方向(19)を有し,前記第1の回転方向(20)は,前記第2の回転方向(19)と反対向きであることを特徴とする請求項2から請求項13のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項15】
前記ローラー(12)は,前記外部表面(7)とらせん状に接触するように,前記可動ヒートシンク(3)の第2の回転軸(5)と平行に,前記外部表面(7)を動くことを特徴とする請求項2から請求項14のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項16】
前記装置(1)は,前記溶融物(8)を注ぐための容器(9)さらに含む請求項1から請求項15のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項17】
前記コンテナ(9)は,鋳造ノズルであることを特徴とする請求項16に記載の装置(1)。

【請求項18】
前記コンテナ(9)は,加熱手段(10)をさらに含むことを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の装置(1)。

【請求項19】
前記装置(1)は,凝固した前記金属ストリップ(2)を受け取る,受取装置をさらに含む請求項1から請求項18のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項20】
前記圧延装置(11)は,前記ヒートシンクのへこみ強度より低い接触圧力で前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけることができることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項21】
前記圧延装置(11)は,少なくとも20mm幅の接触面にわたって前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に接触することを特徴とする請求項1から請求項20のいずれかに記載の装置(1)。

【請求項22】
急速凝固技術により金属ストリップ(2)を製造する方法であって,
溶融物(8)を供給する工程と,
外部表面(7)を有する可動ヒートシンク(3)を供給する工程と,
外部表面(7)で凝固する溶融物(8)を,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に注ぐ工程と,
前記可動ヒートシンク(3)が動いている間に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して,圧延装置(11)を押しつける工程と,を含む金属ストリップの製造方法。

【請求項23】
前記圧延装置(11)は,前記溶融物(8)が前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に注がれている間に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に連続的に押しつけられることを特徴とする請求項22に記載の方法。

【請求項24】
前記圧延装置(11)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)が平滑化されるように,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に押しつけられることを特徴とする請求項22又は請求項23に記載の方法。

【請求項25】
前記圧延装置(11)は,前記溶融物(8)が前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に注がれている間に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)の粗さを連続的に軽減させるように,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけられることを特徴とする請求項22〜請求項24のいずれかに記載の方法。

【請求項26】
前記圧延装置(11)は,前記溶融物(8)が前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)の上に注がれる前に,前記可動ヒートシンク(3)の前記可動外部面(7)に押しつけられることを特徴とする請求項22〜請求項25のいずれかに記載の方法。

【請求項27】
回転可能なローラー(12)は,前記圧延装置(11)として提供され,
前記ローラー(12)の表面は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)を作動させるのに十分な圧力で,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)に対して押しつけられることを特徴とする請求項22〜請求項26のいずれかに記載の方法。

【請求項28】
回転可能な前記ローラー(12)は,前記圧延装置(11)として提供され,
前記ローラー(12)は,第1の回転方向(20)に駆動し,
前記可動ヒートシンク(3)は,第2の回転方向(19)に駆動するものであり,
前記第1の回転方向(20)は,前記第2の回転方向(19)と反対向きであることを特徴とする請求項22〜請求項27のいずれかに記載の方法。

【請求項29】
前記ローラー(12)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)がらせん状に接触するように,前記可動ヒートシンク(3)の第2の回転軸(5)に平行に,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)を動くことを特徴とする請求項22〜請求項28のいずれかに記載の方法。

【請求項30】
凝固した前記金属ストリップ(2)は,リールに継続して巻き取られることを特徴とする請求項22〜請求項29のいずれかに記載の方法。

【請求項31】
前記金属ストリップ(2)は,少なくとも30kmの長さを有し,
前記金属ストリップ(2)の端から少なくとも20kmの地点で,0.6μm未満の表面粗さRaを含む少なくとも1つの表面(16)を有する金属ストリップ(2)。

【請求項32】
前記金属ストリップ(2)の端から少なくとも20kmの地点で0.6μm未満の前記表面粗さRaを含む前記表面(16)は,前記可動ヒートシンク(3)の前記外部表面(7)で凝固する表面であることを特徴とする請求項31に記載の金属ストリップ(2)。

【請求項33】
前記金属ストリップ(2)は,延性があり,非結晶質又はナノ結晶であることを特徴とする請求項31又は請求項32に記載の金属ストリップ(2)。

【請求項34】
前記金属ストリップ(2)は,T,又はFeCuM’M’’Siから成り,
前記Tに関して,aは,70原子%≦a≦85原子%であり,bは,15原子%≦b≦30原子%であり,Tは,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Nb,Mo,Cr,Zn,Sn,及びZrのうちの1つ以上の元素であり,Mは,B,Si,C及びPのうちの1つ以上の元素であって,
前記FeCuM’M’’Siに関して,Mは,IVa族,Va族,VIa族元素のグループからの1つ以上の元素又は1つ以上の遷移金属であり,M’は,Mn,Al,Ge及び白金のうちの1つ以上の元素であり,M’’は,Co及び/又はNiであって,
a+b+c+d+e+f+g=100原子%であり,それぞれ,
0.01≦b≦8,
0.01≦c≦10,
0≦d≦10,
0≦e≦20,
10≦f≦25,
3≦g≦12,
17≦f+g≦30であることを特徴とする請求項31〜請求項33のいずれかに記載の金属ストリップ(2)。

【請求項35】
前記表面粗さRaは0.2μmと0.6μmの間の値であることを特徴とする請求項31〜請求項34のいずれかに記載の金属ストリップ。

【請求項36】
前記表面粗さRaの変化は,少なくとも20kmの長さにわたって,+/−0.2μm未満であることを特徴とする請求項31〜請求項35のいずれかに記載の金属ストリップ。

【請求項37】
又は,FeCuM’M’’Siから金属ストリップ(2)を製造する請求項1〜請求項21のいずれかに記載の装置(1)の使用であって,
前記Tに関して,aは,70原子%≦a≦85原子%であり,bは,15原子%≦b≦30原子%であり,Tは,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Nb,Mo,Cr,Zn,Sn,及びZrのうちの1つ以上の元素であり,Mは,B,Si,C及びPのうちの1つ以上の元素であって,
前記FeCuM’M’’Siに関して,Mは,IVa族,Va族,VIa族元素のグループからの1つ以上の元素又は1つ以上の遷移金属であり,M’は,Mn,Al,Ge及び白金のうちの1つ以上の元素であり,M’’は,Co及び/又はNiであって,
a+b+c+d+e+f+g=100原子%であり,それぞれ,
0.01≦b≦8,
0.01≦c≦10,
0≦d≦10,
0≦e≦20,
10≦f≦25,
3≦g≦12,
17≦f+g≦30,
である装置(1)の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−71348(P2012−71348A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−152510(P2011−152510)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(504227958)ヴァキュームシュメルツェ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (16)
【Fターム(参考)】