説明

金属ナノ粒子を有する抵抗変化メモリ

【課題】抵抗変化メモリ素子の抵抗値のばらつきがなく、動作電圧の制御が可能な抵抗変化メモリ素子を提供する。
【解決手段】第1電極100と、第1電極100上に形成された遷移金属酸化物の抵抗変化層110と、抵抗変化層110上に形成された第2電極130、及び抵抗変化層110内に形成される金属ナノ粒子120を含む抵抗変化メモリ素子であって、フィラメント電流経路140は第2電極130と金属ナノ粒子120間でのみ形成される。これにより、メモリ素子の抵抗値を安定化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粒子を有する抵抗変化メモリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高速化、多機能化が進む中、次世代メモリとして不揮発性、高速性、大容量化が求められている。これらの要求を満たすメモリ素子として抵抗変化メモリが提案されている。
【0003】
抵抗変化メモリは、遷移金属酸化物などの抵抗変化材料を金属電極で挟んだ構造をしており、セットプロセスで電圧印加により抵抗変化膜内にフィラメント電流の経路(フィラメントパス)が形成され低抵抗状態(ON状態)となる。さらにリセットプロセスでは、調整された電圧を印加することにより、電流経路が断裂し高抵抗状態(OFF状態)となる。
【0004】
抵抗変化のメカニズムについて、まだ十分にわかっていないが、現在では以下のように考えられている。セットプロセスでは、抵抗変化膜に印加された電圧によって還元作用が起こり、金属酸化物から金属に変化する。これがフィラメントとなって電流経路が形成され、抵抗値が減少してON状態となる。リセットプロセスにおいては、さらに電流を向上させると、そのジュール熱によって酸化が始まり、フィラメントが消失して再度抵抗が増加し、OFF状態に変化する。このサイクルの繰り返しによって、ONとOFFの状態を実現でき、メモリ効果を実現できるとされている。現在、不揮発性メモリとして、フローティングゲート型やFERAM(強誘電体メモリ)などが主流となっているが、将来の微細化に対して、抵抗変化型メモリは、次世代の不揮発性メモリの有力な候補として注目されている。
【0005】
しかし、この抵抗変化メモリには、さまざまな問題が浮かび上がっている。ON状態における電流経路は、抵抗変化膜中にランダムに形成されるために制御が困難であり、セット電圧やリセット電流、ON/OFF状態の抵抗値が不安定であるため問題となっている。抵抗値等が不安定であると、メモリのセットおよびリセットプロセスでの必要な印加電圧等が一定せず、各プロセスが確実に実行されないおそれがある。この問題を解決するために、数々の提案がされているが、そのひとつの方法として、抵抗変化膜内に金属ナノ粒子を形成し電流経路を制御する技術がすでに報告されている。
【0006】
特許文献1には、抵抗変化膜の中央領域に電流経路を決定づける単一のナノドットを備えた構造が報告されている。特許文献1によれば、単一のナノドットを埋め込むことで抵抗変化メモリ素子のリセット電流を低減させて安定化させ、消費電力を減少させメモリ素子としての信頼性を確保できる、とされている。しかし、抵抗変化膜の中央に金属ナノ粒子が存在する場合には、電流経路を制御することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明と特許文献1の発明とは抵抗変化膜の中に金属ナノ粒子を埋め込む点においては、類似した部分はあるが、特許文献1の発明は1つの半導体メモリセルにつき1つの金属ナノ粒子を抵抗酸化膜の中央に配置するものであり、金属ナノ粒子を配置する位置、方法において根本的に異なる。本発明は1つのメモリセルに対して複数の金属ナノ粒子を含んでいる。また、電流を安定化する目的だけでなく、本発明は動作電圧を制御する目的をも含まれる点においても、特許文献1とは大きく異なる。
【0008】
特許文献2には、絶縁膜上に金属ナノ粒子を配置し、金属ナノ粒子上に抵抗変化膜を積層した構造が開示されている。特許文献2によれば、容易な工程で金属ナノ粒子を形成でき、金属ナノ粒子の位置に微細な電流経路を形成することができる、とされている。
【0009】
特許文献2とは、金属ナノ粒子を内包するフェリチンなど生体超分子を用いる点においては類似の部分があるが、構造においては、金属ナノ粒子下部に抵抗変化膜とは異なる絶縁膜(SiO)を有しており、抵抗変化膜の中にナノ粒子を埋め込むことを提案する本発明とは本質的に異なる構造を有している。なお、すでに開示されている文献と異なり、本発明は実験的実証によって至ったものであることをここに強調する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−116166号公報
【特許文献2】特開2009−65003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記従来の課題を解決するもので抵抗変化メモリ素子の抵抗値を安定させ、信頼性のある抵抗変化メモリ素子を提供することを目的とする。具体的には、金属ナノ粒子の2次元面内における配置、下部電極と上部電極間の厚み方向(垂直方向)における位置、さらには、金属ナノ粒子の密度を制御することにより、動作電圧を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような課題を達成するため、本発明は、第1電極と、前記第1電極上に形成された抵抗変化層、前記抵抗変化層上に形成された第2電極、及び、前記抵抗変化層内に配置され、第2電極とのみフィラメント電流の経路を形成する金属ナノ粒子を含むことを特徴とする抵抗変化メモリ素子を提供する。前記金属ナノ粒子は、前記抵抗変化層内の垂直方向について中央より前記第1電極側に配置されることを特徴とする構造を有する。これにより、フィラメント電流の経路を制御することができるので、抵抗値や動作電圧のばらつきをなくすることができる。
【0013】
本発明において、前記金属ナノ粒子は、フェリチンなど複数のサブユニットが会合した生体超分子に内包された金属または金属化合物により形成することを特徴とする。フェリチンを用いて形成されるナノ粒子は、DNAを設計図として結晶化したものであり、粒径の均一性という観点から、他の化学的な手法に比較して、シャープなサイズ分布を有する。また、鉱物化機能によって、仕事関数の異なる金属を自在に選択することができる。さらに、選択的な粒子の配置が可能となる。
【0014】
本発明によって、メモリ面内の金属ナノ粒子の密度を制御することにより、フィラメント電流の経路の数を制御することが可能となる。その結果、動作電圧の制御を実現することができる。配置する金属ナノ粒子の密度を小さくすると、抵抗変化メモリの抵抗値が増加し、逆に密度を大きくすると、抵抗値は減少する。これに伴って、メモリの動作電圧は、金属ナノ粒子の密度が小さい場合には高く、密度が大きい場合には低くなるので、動作電圧の制御を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1に金属ナノ粒子によりメモリ状態の抵抗値のバラつきを大幅に低減させて、動作信頼性の高いメモリ素子を提供することが可能となる。第2にメモリ素子中の金属ナノ粒子の密度を制御することで、動作電圧やOFF状態の抵抗値を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施形態による抵抗変化素子の断面図である。
【図2】図2は本発明の実施形態による抵抗変化素子の断面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態による抵抗変化素子の断面図である。
【図4】図4は従来技術による抵抗変化素子の断面図である。
【図5】図5は従来技術による抵抗変化素子の断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例による抵抗変化素子の断面図である。
【図7】図7は本発明の実施例によって作製した抵抗変化素子の断面TEM像である。
【図8】図8は本発明の実施例によって作製した抵抗変化素子の繰り返しスイッチングにおける抵抗値を示すグラフである。
【図9】図9は本発明の実施例によって作製した抵抗変化素子の抵抗値(OFF状態)と金属ナノ粒子密度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に関する実施の形態を述べる前に、本発明の原理について説明する。背景技術で説明したように、抵抗変化メモリの問題は、フィラメント電流の経路がランダムに発生するために、抵抗値のばらつきや動作電圧のばらつきが生じることである。そこで、金属ナノ粒子を抵抗変化層内に埋め込む構造が採用される。
【0018】
埋め込まれた金属ナノ粒子によってフィラメント電流の経路が制御できる原理は以下のとおりである。抵抗変化層に電圧を印加すると、最初は、面内に均一に電流が流れるが、導電性の金属ナノ粒子には、その電荷が徐々に蓄積される。蓄積された電荷によって、金属ナノ粒子と電極との間の電界が強くなり、金属ナノ粒子の存在しない部分と比較して、フィラメント電流の経路ができやすくなる。従って、金属ナノ粒子を埋め込むことで、フィラメント電流の経路ができる場所を制御することが可能となる。この結果、必要な箇所にフィラメント電流の経路を形成することができ、ばらつきのない安定した抵抗変化や動作電圧の制御が可能となる。
【0019】
金属ナノ粒子は電流が流れ出す電極(電流注入電極)との距離によっても、抵抗変化が起こる電圧が変化することが見出された。この点から、抵抗変化層内の垂直方向について2つの電極の中央ではなく、やや第一電極に近い位置に金属ナノ粒子を配置することによって、フィラメント電流の経路の制御を行うことが可能となる。
【0020】
その原理は以下のとおりである。メモリに電圧を印加した際に発生する、トンネル電流は、トンネル距離に大きく依存する。このため、金属ナノ粒子を第1電極側に配置することで、第1電極から金属ナノ粒子へトンネリングが起こる。一方、金属ナノ粒子と第2電極間では、トンネリングが起こる確率が低くなるため、第1電極から金属ナノ粒子にトンネルした電子は、金属ナノ粒子内に蓄積する。金属ナノ粒子を、抵抗変化層の中央に配置した場合では、第1電極から金属ナノ粒子へのトンネル確率と金属ナノ粒子から第2電極へのトンネル確率は等しくなるためにこのような電子の蓄積は起こりにくくなる。電子が金属ナノ粒子に蓄積する結果、金属ナノ粒子と第2電極間の電界強度は、第1電極と第2電極間の電界強度と比較して高くなる。したがって、図2に示すようにセットプロセスでは、金属ナノ粒子と第2電極間にのみフィラメント電流経路が形成される。
【0021】
なお、前記金属ナノ粒子120と前記第1電極100との間隔は、2nm以上4nm以下であることが好ましい。前記金属ナノ粒子120と前記第2電極130との間隔は、5nm以上10nm以下であることが好ましい。このような間隔を保つことで、フィラメント電流経路の発生場所について制御をより確実に行うことができる。
【0022】
さらに、埋め込む金属ナノ粒子の数、つまり密度を制御することにより、フィラメント電流が発生する電圧を制御することができる。フィラメント電流の経路の数が増えるほど抵抗値は小さく、経路の数が減るほど抵抗値は大きくすることができる。埋め込む金属ナノ粒子の数にフィラメント電流の経路の数は依存するので、金属ナノ粒子の密度制御によってフィラメント電流が発生する電圧、つまり動作電圧を制御することが可能となる。
【0023】
金属ナノ粒子の数が少なすぎると、金属ナノ粒子と第2電極との間だけでなく、第1電極と第2電極との間にランダムにフィラメント電流経路が発生するという問題がある。一方、金属ナノ粒子の数が多すぎると、フィラメント電流経路の発生する金属ナノ粒子がランダムになり、フィラメント電流経路の位置的制御ができなくなる。したがって、金属ナノ粒子の数を制御することが必要である。金属ナノ粒子の数は、所望の制御電圧やセルサイズに応じて選択することできる。本発明によれば、フェリチンを用いて金属ナノ粒子を形成するので、製造過程においてフェリチン溶液の濃度を制御することによって用意に金属ナノ粒子の密度を制御することができる。
【0024】
(実施の形態)
以下、本発明の構造について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明による抵抗変化メモリ素子の断面図である。本発明の抵抗変化素子は、第1電極100と、前記第1電極100上に形成された遷移金属酸化物の抵抗変化層110と、前記抵抗変化層内に形成された金属ナノ粒子120と、前記抵抗変化層上に第2電極130が形成された構造を有する。金属ナノ粒子120は、垂直方向について抵抗変化層110の中央部より第1電極100側に配置する。
【0026】
セットプロセスでは、図2に示すように、金属ナノ粒子120と第2電極130間にフィラメント電流経路140が形成される。セットプロセスで電圧を印加すると、第1電極100から金属ナノ粒子120へトンネリングが起こり、金属ナノ粒子120内にトンネルした電子が蓄積する。この結果、金属ナノ粒子120と第2電極130間の電界強度は、第1電極100と第2電極間130の電界強度と比較して高くなり、金属ナノ粒子120と第2電極130間にフィラメント電流経路140が形成される。
【0027】
リセットプロセスでは、フィラメント電流経路140が断裂しOFF状態となる。本発明では、図3に示すように断裂するフィラメント電流経路150が金属ナノ粒子120と第2電極間130で確実に起こるためにOFF状態の抵抗値を一定にすることができる。
【0028】
また、OFF状態の抵抗値は金属ナノ粒子120を介して流れる第1電極100と第2電極間130のリーク電流により決定されるため、金属ナノ粒子120の密度を減少させることでOFF状態の素子の抵抗値を増加させることができ、金属ナノ粒子120の密度を増加させることでOFF状態の素子の抵抗値を減少させることができる。
【0029】
一方、金属ナノ粒子120を有していない従来技術のメモリ素子の場合、図4に示すように抵抗変化層210内にランダムにフィラメント電流経路240が形成される。しかも、リセットプロセスでは、セット、リセットをスイッチングするたびに断裂するフィラメント電流経路250異なり、図5に示すように、フィラメント電流の経路が確実に消失しないという問題がある。OFF状態でもフィラメント電流の経路が残存する場合もあるためにOFF状態の抵抗値が安定しなかった。
【0030】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0031】
表面に10nmのシリコン酸化膜360を有するシリコン基板370を基板として用いた。上記基板を電子ビーム蒸着装置に入れ電子ビーム蒸着法により、基板表面に5nmの金属チタン膜380を形成した。引き続き、その上部に20nmの白金膜300を形成した。その後、基板上にメタルマスクを用い電子ビーム蒸着法により4nmのニッケル酸化物膜を形成した。
【0032】
上記基板をUV/オゾン処理装置を用いて10分間、115度処理を行った。その後、白金硫化物を内包するフェリチン溶液を上記の基板上に滴下し、10分間放置した。余分な溶液は、遠心機により除去し再びUV/オゾン処理装置により115度で50分間処理を行い、基板表面の有機物を除去した。上記基板上に電子ビーム法により6nmのニッケル酸化物膜を形成した。その後、フォトリソグラフィーを用いたリフトオフプロセスにより基板表面に、20μm角の白金電極330を形成した。
【0033】
フェリチンを用いて金属ナノ粒子を形成することによって、シャープなサイズ分布を有する均一な金属ナノ粒子を得ることができる。フェリチンは24個のサブユニットが自己会合した、直径13nm程度の球殻状タンパク質で、内部に直径7nm程度の空洞を持つ。非常に対称性が良く、一定の条件の下では、2次元や3次元の規則正しい配列を作ることが知られている。フェリチンに内包される金属ナノ粒子の粒径は、フェリチン内部の空洞のサイズに制限されるため、一定の粒径に保たれることとなる。
【0034】
金属ナノ粒子は、フェリチンの鉱物化機能によって、仕事関数の異なる金属または金属化合物を自在に選択することができ、球殻状タンパク質内部に取り込み可能な金属または金属化合物によって形成される。取り込み可能な金属は、Fe、Mn、Co、Ni、Cr、In、Ptなどが挙げられる。金属粒子の粒径はフェリチンなどの球殻状タンパク質の内部の空洞の大きさ、空洞に取り込ませる物質によって選択することができる。フェリチンを用いた場合には最大7nmの粒径とすることができる。フェリチンに白金硫化物を内包させた本実施例では、粒径は約4〜5nmである。
【0035】
フェリチンを用いることで金属ナノ粒子の密度を容易に制御することができる。ここで用いるフェリチンなどの生体分子は、溶媒中に存在しており、この溶媒を抵抗変化層の上に吸着させる。この場合、溶媒の濃度を変化することで、前記抵抗変化層上の金属ナノ粒子の密度を調節することができる。また、さらに精密に位置を制御する場合は、粒子とは反対の電荷をもった膜(たとえば、APTES:アミノプロピルトリエトキシシラン)を電子ビームリソグラフィーなどの方法によってパターニングをして、この膜に吸着させる。
【0036】
抵抗変化層はN i O 、T i O 、H f O 、Z r O 、Z n O 、W O 、C o O のうち少なくともいずれか1つの物質を含むことが望ましい。これらの膜が熱的に安定で、シリコン半導体のデバイス作製プロセスに使われている材料であって、整合性が良く、その他の工程への汚染源にならないためである。
【0037】
第1電極は、A l 、A u 、P t 、R u 、I r 、T i などの金属または金属酸化物で形成されることが望ましい。これらの膜が熱的に安定で、シリコン半導体のデバイス作製プロセスに使われている材料であって、整合性が良く、その他の工程への汚染源にならないためである。
【0038】
図7に本発明により作製した抵抗変化メモリ素子の断面を撮影したTEM像を示す。図中、抵抗変化層に内に形成した白金ナノ粒子の一部を矢印で示した。なお、比較例として、前記実施例においてフェリチンを滴下する工程を除き、前記実施例と同様な方法で比較用メモリ素子を作製した。
【0039】
図8は実施例で得られた抵抗変化メモリ素子と比較用のメモリ素子について20サイクル程度繰り返し抵抗変化を行いながらON及びOFF状態の抵抗値を示したものである。なお、セット電圧は3.0V、リセット電圧は1.0Vとした。図8から確認されるように、白金ナノ粒子を含まない比較用のメモリ素子においてはOFF状態の抵抗値に変動が見られた。これに対し、本発明のメモリ素子では、OFF状態の抵抗値に変動が少なく安定していた。
【0040】
図9は上述の方法で作製した抵抗変化メモリの抵抗値(作製直後)と第2電極130下部に存在する金属ナノ粒子120の関係を示している。図9から分かるように、配置する金属ナノ粒子120の密度を減少させると、抵抗変化メモリの抵抗値が増加する傾向が見られた。各プロットにおける電圧は次のとおりである。
【0041】
【表1】

【0042】
このように金属ナノ粒子の密度によってメモリの抵抗値が変化することからフィラメント電流は、金属ナノ粒子120を介して流れていることが確認できる。したがって、金属ナノ粒子120の密度により抵抗変化メモリの抵抗値および動作電圧の制御が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のメモリ素子構造は、不揮発性メモリ分野において、ばらつきのない、動作電圧の制御が可能な高性能なメモリを提供するものである。
【符号の説明】
【0044】
100、200、300 第1電極
110、210、310 抵抗変化層
120、320 金属ナノ粒子
130、230、330 第2電極
140、240 フィラメント電流経路
150、250 断裂したフィラメント電流経路
360 シリコン酸化膜
370 シリコン基板
380 金属チタン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極上に形成された遷移金属酸化物の抵抗変化層と、前記抵抗変化層上に形成された第2電極、及び第2電極とのみフィラメント電流経路を形成する金属ナノ粒子を前記抵抗変化層内に含むことを特徴とする抵抗変化メモリ素子。
【請求項2】
前記金属ナノ粒子は、前記抵抗変化層内の中央部より前記第1電極側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の抵抗変化メモリ素子。
【請求項3】
前記金属ナノ粒子が、フェリチンにより形成されることを特徴とする、請求項2に記載の抵抗変化メモリ素子。
【請求項4】
前記金属ナノ粒子の密度を変えることにより、動作電圧を制御することを特徴とする請求項1、2に記載の抵抗変化メモリ素子。
【請求項5】
抵抗変化層がN i O 、T i O 、H f O 、Z r O 、Z n O 、W O、C o O のうち少なくともいずれか1つの物質を含むことを特徴とする請求項1 に記載の抵抗変化型メモリ素子。
【請求項6】
第1電極は、A l 、A u 、P t 、R u 、I r 、T i などの金属または金属酸化物で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の抵抗変化型メモリ素子。
【請求項7】
抵抗変換物質で形成された酸化層を含むメモリ素子の製造方法であって、
(イ) 第1電極上に第1酸化層を形成する工程と、
(ロ) 前記第1 酸化層表面に金属ナノ粒子を形成する工程と、
(ハ) 前記第1 酸化層及び前記金属ナノ粒子上に、前記第1 酸化層より厚い第2 酸化層を形成する工程と、
(ニ) 前記第2 酸化層上に第2電極を形成する工程
とを含むことを特徴とする抵抗変化型メモリ素子の製造方法。
【請求項8】
前記金属ナノ粒子を形成する工程において、
フェリチン溶液を第1酸化層上に適用し、前記フェリチン溶液のフェリチン濃度を制御することによって金属ナノ粒子の密度を制御することを特徴とする抵抗変化型メモリ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−96714(P2011−96714A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246473(P2009−246473)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【Fターム(参考)】