説明

金属ハロゲン化物の還元によって金属組成物を製造するための方法および装置

気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを反応させることにより固体金属組成物を製造するための方法および装置が記載される。この方法は、一般に、気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを非固体状反応生成物を形成するために有効な様式で反応させる工程であって、ここでその金属ハロゲン化物は、式MXを有し、Mは、周期律表の遷移金属、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、およびこれらの組合せより選択される金属であり、Xは、ハロゲンであり、iは0より大きく、そして上記還元剤は、水素、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される気体状還元剤である工程;ならびにこの反応生成物を固化させ、それによってハロゲン化物を実質的に含まないMを含む金属組成物を形成する工程を包含する。別の局面では、金属サブハライドを、気体状還元剤との反応により還元して、非固体反応生成物を形成する、固体金属組成物を製造するための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の支援に対する謝辞)
本発明は、Defense Advanced Research Projects Agencyにより授与された契約書番号MDA972−03−C−0032の下での政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを反応させることにより固体金属組成物を製造するための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、高純度金属組成物を製造ためのそのような方法および装置の使用に関する。本発明は、粉末冶金用途における使用のためのチタン粒子およびその合金を製造するためによく適している。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
チタンのような遷移金属は、地殻中に有り余るほどに存在し、酸化物の形態で(例えば、ルチル型TiOおよびチタン鉄鉱−FeTiOとして)豊富に見出され、非常に有用な特性を有している。特に、チタンは、高い温度においてさえ、低比重、高相対強度、および重量に対する強度の高い比を有する材料を必要とする用途に適した金属である。例えば、チタン金属は、まず航空宇宙用途および防衛用途において、1950年代から構造材料として使用されてきている。その後、チタンは、生物医学的プロテーゼを形成するために化学用途において、およびレジャーおよびスポーツ設備において使用されてきた。さらに、チタンは、一般に非常に耐腐食性であり、そして多くの場合、塩化物および酸に対して安定な表面層を形成する。
【0004】
しかし、多くの他の遷移金属と同様に、チタンは、一般に加工にしにくいと考えられている。その鉱石から抽出して還元することはコストがかかり、そしてその高い融点および酸化特性を鑑みれば、有用な製品に作り上げることは相対的に困難である。さらに、正確に制御された組成および/または微細構造を有する金属粉末が、代表的には、熱間静水圧処理のような粉末冶金技術において必要とされる。チタンのような遷移金属に対しては、特に、その金属が先進粉末冶金製造プロセスのために適するようになっているべきである場合には、精製および粉末調製のための公知技術は、相対的に高価である。
【0005】
2つの商業的な多工程のチタン抽出プロセスが、1990年代初頭まで共存した。KrollプロセスおよびHunterプロセスである。現在は、チタン金属は、代表的には、鉄製のバッチ式レトルト中で四塩化チタンを溶融マグネシウム金属または溶融ナトリウム金属を用いて還元することにより製造される。TiCl(「チッケル(tickel)」)がこのマグネシウム金属還元剤またはナトリウム金属還元剤と混合されるとき、激しい発熱反応が起こり、それによって粗中間体のチタン「スポンジ」が生成される。このスポンジは、代表的には、チタン金属ならびに綿密に混合された汚染物および塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、チタンサブクロライドのような副生成物および上記還元剤中に元々存在した不純物を含む。このチタンスポンジは、次いで再精製され、製造用途のためのチタンインゴットを製造する。スポンジの再精製はまた、代表的には、真空アーク技術の使用のようなコストのかかるプロセスである。
【0006】
多くのチタン製造経路が提案されてきており、そして例示的な経路が表1に列挙されている。それらは、一般に異なる欠点に苦しんでいる。例えば、チタン化合物の化学的還元を必要とする製造経路は、代表的には、高レベルの不純物を含む中間体化合物の形成を含む。純度、分離、酸化および中間体化合物に関連する他の項目が、現在の技術的かつ経済的課題を提示し得る。特に、チタンハロゲン化物を化学的に還元することにより形成される中間体生成物は、ハロゲン化物により非常に汚染されがちである。酸化物、炭素、およびある場合には窒化物のような不純物が、同様に形成され得る。さらに、チタン塩化物のプラズマ熱還元は、非常に高い温度まで加熱することを利用し、従ってそれは非常にエネルギー集約的である。これらのプロセスのすべてはコストがかかるので、それらはまた、不利である。
【0007】
電気化学的プロセスはまた、技術的および経済的不利に悩んでいる。金属Tiを電極上に沈着させることは可能であるが、このような沈着は、代表的には溶融塩システムを使用して行なわれなければならない。これらの電気化学的プロセスは、代表的には金属Tiが沈着した電極を取り除きそして剥がすという高いエネルギーコストおよび労働費を伴う。このようなコストは、電解Ti加工技術を実用化することにおける実質的な経済的障害を表す。さらに、溶融塩プロセスは、代表的には、高い工業的スループットのために高い電流密度を必要とする。しかし、高電流密度は、樹枝状結晶の成長に有利となる傾向がある。結果として、電気的短絡、その溶融体からの分離、および生成物の緻密化のような技術的な項目が、これらの溶融塩プロセスにおいて対処されねばならない。
【0008】
TiOの電気化学的脱酸素化に基づく開発中のプロセスにおいて、例えば、CaClを含む溶融塩化物電解質の使用は、代表的には、残存するカルシウム種と相互混合された微細なTi粉末をもたらす。この粉末が次いで洗浄される場合、顕著な量の表面チタン酸化物が形成され、それを後で除去しなければならない。ほとんどの現在の用途に対して必要とされる約300ppm未満のレベルに酸素を除去することは困難であり、そしてコストがかかるので、さらなる清浄工程および精製工程に対する必要が、顕著に増加したコストを発生させる。
【0009】
【表1】

*Xは、F、Cl、Br、またはIのようなハロゲンであり;eは、電気化学的還元を示し;そしてi、jは異なる値を有する下付き文字を表す。
【0010】
同様に、液体ナトリウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属による四塩化チタンの還元に基づくプロセス(例えば、Armstrongらの特許文献1のプロセスによる)はまた、NaClおよび過剰の反応体のような副生成物が混ざったチタンの微粉末の生成をもたらす。代表的には、このようなプロセスは、清浄なチタンを提供するために、さらなる手段およびプロセス工程(例えば、真空蒸留および浸出という入念なシステム)を必要とする。
【0011】
TiClがMgのような気体状金属により還元される流動床反応器を利用するプロセスが、また開示されている。例えば、Okudairaらに対する特許文献2において、チタンのペレットは、還元剤としてのマグネシウム蒸気またはナトリウム蒸気を用いて蒸気形態の四塩化チタンを還元することにより製造される。しかし、このOkudairaらのプロセスは、凝縮可能な蒸気として例えばMgClを回収するために、高温での還元剤蒸気の注入および連続操作を必要とする。Mgのような蒸気状還元剤中の不純物はまた、少なくともある程度はチタン生成物の中に出現する。さらに、マグネシウムの使用は、Krollプロセスのコストと同様のチタン製造コストを生じる。
【0012】
ひとたびインゴットが形成されると、多数の技術が使用されて複雑な幾何構造を有する部品を製造し得る。例えば、インゴットは、溶融され、型に注がれ、冷却され、そしてその型から取り出され得る。このような注型プロセスは、一般には、型のコストに起因して、小容積の製造運転には適していない。さらに、注型プロセスにより作製される部品の微細構造を制御することは、困難であることがある。あるいは、機械加工技術は、所望の形状の部品を製造するために、インゴットの一部を選択的に取り除くために使用され得る。このインゴットの取り除かれた部分は、当然、廃棄物の源を意味する。複雑な形状をすばやく形成することを可能にする粉末冶金技術が開発されているが、チタン金属粉末は、現在は非常に高価である。インゴット製造に伴うコストのほかに、粉末は、再精製されたインゴットから均一な粉末を製造するための引き続く合金化工程および噴霧工程に関連する付加的なコストを招く。
【特許文献1】米国特許第6,409,797号明細書
【特許文献2】米国特許第4,877,445号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、特にチタンのような遷移金属およびその合金について、高純度の金属組成物の製造に関連するコストを低下させることにおいて有用な技術に対する要求が、当該分野において存在する。さらに、金属ハロゲン化物から高純度の、乾燥し清浄な金属顆粒を直接形成する(金属合金の直接製造を含む)ための代替の商業的に魅力のある方法を提供することにより、金属組成物を製造するための公知のプロセス(これには、ハロゲン化物で汚染された中間体生成物の生成が関与する)に関連する問題を克服する必要性が存在する。より具体的には、引き続く工程を使用してこのような金属をさらに清浄し精製する必要のなく、かつそのコストが、安価な、豊富かつ清浄な還元剤の使用によって実質的に低下される、チタンおよびチタン合金の直接製造のためのプロセスを提供することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の開示)
1種以上の金属ハロゲン化物を還元することにより、実質的にハロゲン化物を含まない固体金属組成物を製造するための改良された方法および装置を提供することにより、先行技術の上述の不利を克服することが本発明の総合的な目的である。
【0015】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、以下に続く記載の中で一部は示され、そして一部は以下の記載を検討する際に当業者に明らかとなるか、または本発明の実施の間の日常的な実験を通して教示され得る。
【0016】
1つの実施形態において、固体金属組成物を製造するための方法が提供され、その方法は、気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを反応させる工程を包含する。その金属ハロゲン化物は、式MXを有し、Mは、周期律表の遷移金属、アルミニウム、またはホウ素を含む金属であり、Xは、ハロゲンであり、iは、0より大きい。その還元剤は、代表的には、気体状であるが、必ずしもそうである必要はなく、そして水素、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せが挙げられ得る。還元剤の組合せ、または金属Mの組合せもまた、使用され得る。結果として、非固体反応生成物が形成され、それは次いで固化され、Mを含有する金属組成物が形成される。この反応生成物は、好ましくは、実質的にハロゲン化物を含まない。別の実施形態では、上記方法により形成される金属組成物は、実質的にハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を含まず、M(還元性元素)を含み、実質的にハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を含まない。
【0017】
さらなる実施形態において、固体金属組成物を製造するための方法が提供され、その方法は、金属サブハライドを気体状還元剤で還元し非固体反応生成物を形成する工程;およびその反応生成物を固化し、それによって実質的にハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を含まない金属を含有する金属組成物を形成する工程、を包含する。
【0018】
別の実施形態において、TiClのようなチタンサブハライドが還元され、非固体反応生成物を形成し、次いでそれは固化されて実質的にハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を含まないTiを含有する金属組成物が形成される。形成される金属組成物は、使用される還元剤および反応条件に依存して、Ti合金であってもよく、または本質的に純粋なTiであってもよい。適切な還元剤としては、例えば、H、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0019】
さらなる実施形態において、チタンハロゲン化物は、非固体反応生成物を形成するために有効な様式でHと反応される。この反応生成物の固化は、実質的にハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を含まないTiを含有する金属組成物の形成をもたらす。再び、この金属組成物は、実質的にチタンから成ってもよく、またはチタン合金であってもよい。
【0020】
金属固体組成物を製造するための装置がまた提供される。この装置は、上に記載されたような、金属ハロゲン化物の供給源および還元剤の供給源を備える。この金属ハロゲン化物の供給源および還元剤の供給源と連通している反応器が使用され、上記金属ハロゲン化物と還元剤との間の気相反応を行なって非固体反応生成物を形成するために有効な条件が提供される。また、この反応生成物を固化させて、金属組成物を形成するための手段も、備えられる。例えば、この反応器は、金属ハロゲン化物の供給源と流体連通している第1の反応ゾーン、およびこの第1の反応ゾーンから下流の第2の反応ゾーンから構成され得る。このような場合、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンは、異なる反応温度に維持され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明を詳細に説明する前に、本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうではないと明瞭に述べない限り、複数の指示物を含むことが留意されねばならない。従って、例えば、「反応生成物」への言及は、単一の反応生成物および複数の反応生成物の組合せを含み、「還元剤」は、単一の還元剤および還元剤の混合物を含むなどである。
【0022】
本発明を記載し、請求する際に、以下の術語が、以下に示される定義に従って使用される。
【0023】
「周期律表の4〜7族」におけるような用語「族」は、本明細書中において、the International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)に従って周期律表の1つの縦列を形成する元素の集団をいうために使用される。例えば、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムは、4族のメンバーであり、クロム、モリブデンおよびタングステンは、7族のメンバーである。一般に、用語「遷移金属」とは、周期律表の3〜12族より選択される元素をいう。
【0024】
「任意の」および「必要に応じて」は、引き続いて記載される状況が、起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その結果、その記載は、その状況が起こる例およびそれが起こらない例を含む。
【0025】
用語「微細構造」は、本明細書中において物質の微視的構造をいうために使用され、そして格子構造、結晶化度、転位、結晶粒界などを包含する。
【0026】
成句「ハロゲン化物を実質的に含まない」におけるような用語「実質的に含まない」は、例えば、低濃度のハロゲン化物、例えば約5原子%未満のハロゲン化物、好ましくは約1原子%未満のハロゲン化物を含む組成物をいう。なおさらに、本発明に従う金属組成物は、それらが約0.1原子%未満のハロゲン化物、より好ましくは約0.01原子%未満のハロゲン化物、そして最も好ましくは約0.001原子%未満のハロゲン化物を含むという点で、ハロゲン化物を「実質的に含まない」ことが好ましい。上記金属組成物が少量で存在し得る他の元素(酸素、窒素および炭素が挙げられるがこれらに限定されない)を「実質的に含まない」というように、同じ組成限界がまた、それらの元素についても当てはまる。
【0027】
語句「本質的に純粋なTiまたはTi合金からなる」におけるような、「本質的に〜から成る(consisting essentially)」および「本質的に〜から成る(consists essentially)」は、それらの通常の意味の文脈において使用される。つまり、これらの用語によって、上記金属組成物の基本的特性および新規な特性に物質的に影響を及ぼすさらなる成分が排除されるべきであることを意味する。例えば、ハロゲン化物、酸素、窒素および炭素のような特定の元素の存在に関する場合、これらの用語は、1種以上のこのようなハロゲン化物、酸素、窒素および/または炭素を約0.1原子%未満含む金属組成物をいう。
【0028】
一般に、本発明は、高純度または制御された合金化を有する固体金属組成物を製造するための改良された方法を提供し、その方法は、気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを反応させる工程を包含する。結果として、非固体反応生成物が形成される。固化の後、この反応生成物は、金属組成物を形成する。Krollプロセスのような先行する商業的プロセスとは異なって、本発明のプロセスは、高レベルのハロゲン化物を含む中間体化合物の形成を必要とはしない。結果として、本発明のプロセスにより製造される金属組成物は、代表的には、使用のためのさらなる精製および/または加工を必要としない。一般に、本発明は、遷移金属の任意のハロゲン化物と一緒に実施され得る。特に商業的かつ技術的に意義があるのは、周期律表の4〜7族より選択される金属に関する本発明の実施である。例えば、本発明は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびReからなる群より選択される1種以上の金属を含有する金属組成物を形成するために特に適している。さらに、本発明の実施に特に適している金属ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物が挙げられる。従って、例えば、本発明の方法は、TiCl、TiCl、またはTiClを還元することによりTi金属およびTi合金を製造するため、ZrIを還元することによりZrからZr金属およびZr合金を製造するため、HfIからHf金属およびHf合金を製造するため、そしてVClからVおよびV合金を製造するために使用され得る。
【0029】
代表的には、金属Mは、周期律表の4〜7族より選択される元素であるが、一般に、Mは、遷移金属、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、またはこれらの組合せである。例示的な元素としては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびReが挙げられ、Tiが好ましい。さらに、Xは、F、Cl、Br、Iおよびこれらの組合せより選択され得る。例示的な還元剤としては、水素が挙げられ、その水素は、水素それ自体
であるか、または水素を放出する化合物から生成される水素である。水素を放出する適切な化合物としては、限定することなく、NaH、MgH、AlHおよびこれらの組合せが挙げられる。窒化物の生成を回避するために、この還元剤は窒素を含んではならない。さらに、上記反応は、合金化剤の存在下で行なわれ得る。例えば、遷移金属、V、Zr、Nb、または他の元素(例えば、Al、B、Sn、Fe、Si、またはこれらの組合せ)を含むTi合金は、MXとは異なる蒸発可能な金属ハロゲン化物を使用して形成され得る。本発明の方法で使用される金属ハロゲン化物は、同じハロゲン化物を共有してもよく、ハロゲン化物の組合せまたは異なるハロゲン化物を含有してもよい。
【0030】
多数の異なる反応スキームが利用されて、金属または、より具体的には、チタンベースの組成物が形成され得る。例えば、TiXは、還元剤と反応して、サブハライドTiXを形成し得る。引き続き、TiXは、さらに還元されて、さらなる反応生成物を形成し得る。いくつかの例において、TiXが、反応生成物を形成するための還元のための出発物質または中間物質として使用され得る。
【0031】
プラズマ処理を必要とするプロセスとは異なり、本発明のプロセスは、代表的には、約1500℃未満の温度で行なわれる。いくつかの例では、この反応温度は、約1300℃未満または約1300℃未満、または約1100℃〜1300℃の範囲であり得る。上記金属ハロゲン化物の還元は、通常、気相反応として行なわれるが、上記金属ハロゲン化物は、最初、非気体状形態、例えば液滴および/または固体粒子として提供され得、そして蒸発されて反応を行い得る。同様に、上記還元剤は、その還元剤が蒸発される前は、非気体状形態、例えば液滴で提供され得る。
【0032】
上記反応生成物は、多数の基質表面のいずれかの上に沈着(例えば、固化)され得る。例えば、その基質は、複数の個々の粒子または凝集した粒子から構成され得る。さらに、基質は、上記反応生成物と組成的に同じかまたはそれとは異なる物質から構成され得る。上記反応生成物と組成上異なる場合、その基質物質は、反応生成物より高い融点を有し得る。その基質はまた、その反応生成物から構成され得る。形成される固体金属組成物は、代表的には、複数の粒子の形態で製造されるが、必ずしもそうである必要はない。
【0033】
注記されたように、本発明の金属組成物は、実質的にハロゲン化物を含まない。代表的には、上記金属組成物は、約1原子%以下のハロゲン化物を含む。いくつかの例において、ハロゲン化物は、上記組成物の約0.1原子%以下になる。特定の条件下では、上記金属組成物中のハロゲン化物含量は、約0.01原子%を超えない。さらに、上記組成物は、代表的には、実質的に還元剤およびそれに由来するいかなる元素をも含まない、最適の反応条件は、実質的に酸素、窒素、および炭素ならびにハロゲン化物を含まない複数の粒子から構成される金属組成物を与える。
【0034】
本発明の方法は、特定の反応器設計または反応器構成に特に限定はされず、実際、多数の異なる反応器設計が用いられ得る。例えば、移動床反応器、ロータリーキルン反応器、浮遊層反応器(entrained reactor)、流下壁式反応器(falling wall reactor)、および流動床反応器が、単独でかまたは組み合わせて使用され、本発明の方法が行なわれ得る。代表的には、この反応器は、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンを備え、ここでこの第1の反応ゾーンは、金属ハロゲン化物の供給源と流体連通しており、そしてこの第2の反応ゾーンは、この第1の反応ゾーンの下流にある。この第1の反応ゾーンは、第2の反応ゾーンの下方またはそれと平行して位置し得る。さらに、これらの反応ゾーンは、単一のチャンバ中または異なるチャンバ中に位置し得る。いずれの場合においても、上記第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンは、代表的には、異なる反応温度に維持される。
【0035】
上記金属ハロゲン化物は、気体状形態または非気体状形態で提供され得、そこでは上記金属ハロゲン化物は、(上記気体状金属ハロゲン化物と上記還元剤との間の反応の前に)蒸発され、上記気体状金属ハロゲン化物と上記還元剤との間の反応が行なわれる。例えば、上記金属ハロゲン化物は、蒸発の前に、固体粒子としてかまたは液体として(例えば、液滴形態で)提供され得る。
【0036】
上記反応器は、本発明の反応の結果として形成される任意の副生成物を集めて再使用するように設計され得る。例えば、ハロゲン化副生成物が生成される場合、その副生成物を処理してハロゲンガスを回収するための手段が提供され得る。同様に、上記還元剤由来の元素が副生成物として生成される場合、その副生成物は、処理されて上記還元剤が回収され得る。好ましくは、回収された還元剤は、連続的な様式で上記方法を行なうために再使用される。
【0037】
本発明は、チタン合金のインゴットを形成するための標準的な粉末加工技術の使用を可能にする、高純度のチタン合金の球状粉末または顆粒の製造に特によく適合している。この場合、上記方法全体は、化学的蒸気輸送および引き続くTiの最沈着によるTiの精製、およびAl、V、または上記または以下に注記されるその他の元素と合金を形成するための同時の反応を包含する。本プロセスの1つの重要な局面は、それが、チタン合金粉末を直接製造するための低コストの出発物質、最小のエネルギーおよび証明されたプロセス技術のみを使用することである。1つの実施形態において、上記方法は、容易に利用可能で低コストの出発物質であるTiClを使用し、それを高温で低コストのチタンスポンジ、チタンのスクラップまたは上記床ペレット上の最近沈着されたTiと反応させてインサイチュでチタンサブハライド(TiClおよびTiCl)を発生させる。これらのサブハライドは、次いで不均化され、そして水素との反応によるような反応生成物を形成するために有効な様式で還元され、チタン金属を生成する。概略的には、関与する化学反応としては、
サブハライドの発生:
3TiCl(g) + Ti → 4TiCl(g)
TiCl(g) + Ti → 2TiCl(g)
サブハライドのチタンへの還元または不均化:
4TiCl(g) + 6H(g) → 4Ti + 12HCl(g)
2TiCl(g) + 2H(g) → 2Ti + 4HCl(g)
2TiCl(g)→ TiCl(g) + Ti
が挙げられる。
【0038】
チタン蒸気種についての熱化学的パラメータの実験的に決定された値に基づき、温度の関数としての、TiClとTiとの反応からのチタンサブハライドの発生が計算されており、そして図1に示される。これらの計算は、TiClが、Tiと相対的に低い温度で反応することおよびTiClの分圧は、750℃という低い温度において0.01atmという値に到達し得ることを示す。
【0039】
同様に、HによるTiClの還元に必要な温度が、図2に示されるように計算されている。これらの計算は、薄いコーティング用途のためになされたが、それはTi金属が、750℃という低い温度において沈着され得ることを示す。しかし、商業的生産のために必要とされるチタンの急速沈着のために、そして還元のために必要とされるH/Cl比を低下させるために、少なくとも約1200℃の温度が、一般に必要である。
【0040】
実際は、そしてチタンおよびチタン合金を製造するための本発明の1つの実施形態によれば、チタンサブハライドの形成は、約900°〜1200℃の範囲の温度で、TiClを、チタンスポンジおよび/またはチタンスクラップの熱固定床を通すことにより行なわれ得る。発生される蒸気は、ほとんどTiCl、TiClおよび未反応のTiClである。これらの蒸気は、水素(および合金化目的のために必要とされる場合は、Al、V、または他の前駆体蒸気)と混合され、図3に示されるように、Tiの小さい(直径約100μm)シード粒子を含む上方流動床に直接供給される。この上方流動床は、下方固定床の温度よりも高い温度に維持され得る。本発明に従う均一の直径の、チタンまたはチタン合金粒子(直径0.1〜5mmであるが、好ましくは直径0.5〜2mm)は、この流動床反応器中で生成され、そして抽出される。この気体生成物は、上記反応器の頂部を通って出、そしてコストを最小にし、かつ環境への負担を最小にするために再循環される。得られる金属粉末中のチタンは、投入したチッケルとチタンスポンジおよび/またはチタンスクラップの両方に由来し得ることが注記されるべきである。有利には、これらの両方が、低コストのチタン供給源である。
【0041】
第2の実施形態において、上記TiClは、床中で直接Hにより還元されて、TiClを形成し、引き続き、ほとんど瞬間的にTiに変換される。それに限定する意図はないが、すべてのこれらの反応は、反応器中で同時に起こると考えられる。
【0042】
合金の形成は直接的であり、そして本発明の大きな利点の1つである。AlClまたはVCl(また、低コストの出発物質である)の蒸気をHストリームに添加すると、これらのハロゲン化物の還元が上記床中のチタン顆粒の表面上で起こり、
【0043】
【化1】

に従って、TiAl合金もしくはTiAlV合金(または他の望ましい合金組成物)が形成される。
【0044】
ある場合には、第2の反応体ハロゲン化物の添加は、上記反応全体に対する促進剤として作用し得る。VClが添加される場合が、このような場合である。
【0045】
添加された蒸気の分圧を制御することにより、異なる組成の粉末が製造され得る。このような粉末は、球状形態で製造され得、そして粉末冶金によるさらなる加工のためにすぐに使える状態であり得る。それらに限定されないが、チタン、クロム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、ニオブ、ジルコニウム、バナジウムおよび他の金属合金(例えば、一般式Ti−Miiを有するチタン合金(ここで、MおよびMiiは任意の遷移金属を含む金属である))を含む実に様々な物質の沈着がまた、行なわれ得る。本発明に従って調製され得る他の特に恩恵を受ける合金としては、チタンの場合には、例えば、Ti−V、Ti−Al、およびTi−Al−V合金が挙げられる。より具体的には、このようなチタン合金としては、限定なしに、Ti−Ni−Mo、Ti−Al−Sn、Ti−Al−Mo−V、Ti−Al−Sn−Zr−Mo−Si、Ti−Al−Nb−Ta−Mo、Ti−Al−Sn−Zr−Mo、Ti−Al−Sn−Zr−Moなどのようなα合金またはα相に近い(near alpha)合金;Ti−Al、Ti−Al−V−Sn、Ti−Al−Mo、Ti−Al−Mo−Cr、Ti−Al−Sn−Zr−Mo、Ti−Al−Sn−Zr−Mo−Cr、Ti−V−Fe−Alなどのようなαβ合金;ならびにTi−Mn、Ti−Mo−Zr−Sn、Ti−V−Fe−Al、Ti−V−Cr−Al−Sn、Ti−V−Cr−Al、Ti−Mo−V−Fe−Al、Ti−Al−V−Cr−Mo−Zrなどのようなβ合金が挙げられる。同様に、V,Nb、Wおよび上に注記された他の金属の合金が、本発明のプロセスに従って調製され得る。
【0046】
大気圧での流動床化学気相成長(FB−CVD)反応器の使用は、その流動床中で利用可能な、証明済みの高い熱移動および物質移動に起因して、非常に高効率の金属沈着につながる。大気圧での操作は、沈着プロセスの速度を高め、かつ低圧プロセスと高圧プロセスの両方に伴うコストを最小にする。
【0047】
上記チタンスポンジ(およびスクラップ)中の炭素および窒素のような不純物は、炭化物または窒化物として相対的に安定であるはずであり、気相に輸送されるべきではない。熱化学的な計算によれば、例えば、TiOClの形成が可能であるので、酸素の動向はあまり明瞭ではないが、このような酸素含有化合物の形成は、好まれない。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は、当業者に、本発明の組成物および方法をどのようにして作製しそしてどのようにして使用するかの完全な開示および説明を提供するために含まれる。数字について正確さを確実にするための努力はなしたが、何らかの実験誤差および偏差は、当然、許容されるべきである。そうではないと示されない限り、割合は、重量%であり、温度は℃で測定され、そして圧力は大気圧またはその付近である。すべての成分を、そうではないと示されない限り、市販されている供給源から入手した。
【0049】
金属組成物および金属合金組成物の直接的製造を実証する目的のために、流動床反応器(FBR)を使用した。一般的に図3に示すように、FBRは、床粉末(例えば、約150〜175μmの直径を有するアルミナ、またはSi球)、水素および塩化チタンのようなプロセス気体ならびにアルゴンのようなキャリア気体のための入口、気体状反応体廃棄物のための排気出口、ならびに生成物である金属顆粒を取り除くための生成物出口を備える。必要ではないが、図3にさらに示すように、粒子状供給物質としてチタンスポンジを導入し得る。必要ではないが、FBRの底部に導入されるチタンチップおよびバナジウムチップの混合物のような、このような粒状物の混合物を利用することもまた、可能である。蒸気および/または再昇華蒸気(例えば、再昇華したTiClまたはTiClおよびVCl蒸気)の再循環をもまた、代表的にはアルゴンのような不活性気体とともに、他の入口を通してFBRの底部へ提供した。FBRの加熱を、一般に、FBRの円筒状の壁の外側の周りで包まれたグラファイト感受器(susceptor)の使用により実施した。
【0050】
一般に、FBR操作パラメータを、以下の実施例に記載するように選択した。当業者が理解するように、これらのパラメータは、反応および反応器のタイプを含む種々の因子に依存し、反応速度論および反応器設計の相違に従って、必然的に変更され得る。過度の実験に頼ることなく必要に応じて、このようなパラメータを変更することは、当業者のレベル内である。
【0051】
(実施例1)
(チタン顆粒の製造)
上記のように、Hガス(500cc/分)およびArガス(1200cc/分)を導入し、約7cm/秒の床における線速度を提供することにより、FBRを操作した。約165μmの粉径を有するアルミナ粉末床を使用した。このFBRを、1230〜1250℃の範囲で操作した。再昇華したTiClおよびAr(150cc/分)を、このFBRの底部に導入した。運転番号1および運転番号2に対する結果を、以下の表1に示す。
【0052】
【表2】

(実施例2)
(チタンおよびバナジウム顆粒の製造)
上の実施例1に記載したように、Hガス(500cc/分)およびArガス(1200cc/分)をFBRの底部に導入し、約7cm/秒の線速度を提供することにより、FBRを操作した。約165μmの粒径を有するアルミナ粉末床を使用した。再昇華したTiClおよびAr(150cc/分)を、このFBRの底部に導入した。TiClおよびVClを逐次的にこのFBRに導入した運転番号3に対する結果を、以下の表2に示す。全重量増加は、0.6gであり、これは、約90%の効率(すなわち、全重量増加を、TiおよびV供給量の合計で割ったもの)に対応する。
【0053】
【表3】

(実施例3)
(四塩化バナジウムからのバナジウム顆粒の製造)
ガス(400cc/分)およびArガス(1200cc/分)をFBRの底部に導入し、約7cm/秒の線速度を提供することにより、FBRを操作した。約165μmの粒径を有するアルミナ粉末床を使用した。このFBRを、1250℃で操作した。VClを逐次的にこのFBRに導入した運転番号4に対する結果を、以下の表3に示す。
【0054】
【表4】

(実施例4)
(チタン/アルミニウム/バナジウム合金の製造)
上記のように、Ti−Al−V合金を製造することの実行可能性を決定するために、検討をおこなった。上記FBRを上記の実施例に従って操作し、そこではTiCl、VClおよびAlClをアルゴンキャリアガスとともにFBRの底部に導入した。約165μmの粒径を有するアルミナ粉末床を使用した。このFBRを、1250℃で操作した。運転番号5および6に対する結果を、以下に表4に示す。
【0055】
【表5】

(実施例5)
(Hを用いる金属四塩化物の直接還元によるTi−V合金の製造)
上記FBRを上記の実施例に従って操作し、そこではTiClおよびVClをアルゴンキャリアガス(混合され、そしてこのFBRの底部に供給される250cc/分の別個の入口で)とともにFBRの底部に導入した。アルゴンガス(250cc/分)およびH(100cc/分)を別個にこの反応器の底部に導入した。約175〜250μmの粒径を有するアルミナ粉末床を使用した。このFBRを、1350℃で操作した。運転番号7〜10に対する結果を、以下に表5に示す。
【0056】
【表6】

(実施例6)
(中央H入口を使用する、Hを用いる金属四塩化物の直接還元によるTi−V合金の製造)
上記FBRを上記の実施例5に従って操作し、そこではTiClおよびVClをアルゴンキャリアガス(混合され、そしてこのFBRの底部に供給される、それぞれ、300cc/分および200cc/分の別個の入口で)とともにFBRの底部に導入した。アルゴンガス(250cc/分)およびH(1500cc/分)を別個にこの反応器の底部に導入した。別個のHストリーム(250cc/分)を上記FBRの中央に導入した。約175〜250μmの粒径を有するアルミナ粉末床を使用した。このFBRを、1350℃で操作した。運転番号11および12に対する結果を、以下に表6に示す。
【0057】
【表7】

*Hを、中央管入口を経由してFBRの中に導入した。
【0058】
(実施例7)
(中央H入口を使用する、Hを用いる金属四塩化物の直接還元によるTi−V合金の製造)
上記FBRを上記の実施例6に従って操作し、そこではTiClおよびVClをアルゴンキャリアガス(混合され、そしてこのFBRの底部に供給される、それぞれ、300cc/分および200cc/分の別個の入口で)とともにFBRの底部に導入した。アルゴンガス(250cc/分)およびH(1500cc/分)を別個にこの反応器の底部に導入した。別個のHストリーム(250cc/分)を上記FBRの中央に導入した。上記床は、約650μmの粒径を有するSi球状粒子を含んでいた。このFBRを、1260℃で操作した。運転番号13に対する結果を、以下に表7に示す。
【0059】
【表8】

*Hを、中央管入口を経由してFBRの中に導入した。
【0060】
本発明が特定の具体的な本発明の実施形態と結びつけて説明されてきたが、上記の記載および実施例は、本発明を例証することを意図されているが、本発明の範囲を限定することは意図されていないことが理解されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更がなされ得、そして等価物が置き換えられ得ること、そしてさらに、他の局面、利点および改変が本発明が関与する分野の当業者に明らかであることが、さらに当業者によって理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、詳細な説明で議論されるような、TiClおよびTiとの平衡におけるチタンサブハライドの分圧を1atmの圧力での温度の関数として示す。
【図2】図2は、詳細な説明で議論されるような、TiClまたはチタン金属組成物を製造するためのHによるTiClの還元を描写する。
【図3】図3は、詳細な説明で議論されるような、Ti合金粉末の製造のための反応器の概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体金属組成物を製造するための方法であって、
(a)気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを、非固体状反応生成物を形成するために有効な様式で反応させる工程であって、
該金属ハロゲン化物は、式
MX
を有し、
Mは、周期律表の遷移金属、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、およびこれらの組合せより選択される金属であり、
Xは、ハロゲンであり、
iは、0より大きく、そして
該還元剤は、水素、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される気体状還元剤である、工程;ならびに
(b)該反応生成物を固化させ、それによってハロゲン化物を実質的に含まないMを含む金属組成物を形成する、工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
Mが、周期律表の4〜7族より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Mが、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびReより選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Mが、Tiである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Xが、F、Cl、Br、Iおよびこれらの組合せより選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
XがClである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記還元剤が、Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記還元剤が、水素を放出する化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水素を放出する化合物が、NaH、MgH、AlHおよびこれらの組合せより選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記工程(a)が、合金化剤またはその前駆体の存在下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記形成される金属組成物が、Tiの合金である、請求項10の記載の方法。
【請求項12】
前記合金が、遷移金属、Al、B、またはこれらの組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記合金化剤またはその前駆体が、MXとは異なる蒸発可能な金属ハロゲン化物である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記金属ハロゲン化物が、同じハロゲン化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(a)が、
(a’)TiXと前記還元剤とを反応させて、チタンサブハライドを形成する工程;および
(a’’)工程(a’)で形成された該チタンサブハライドを、前記反応生成物を形成するために有効な様式で、還元する工程、
から構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(a)が、TiXと前記還元剤とを、前記反応生成物を形成するために有効な様式で、反応させることにより行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
前記工程(a)が、少なくともTiXと前記還元剤とを、前記反応生成物を形成するために有効な様式で、反応させることにより行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記工程(a’’)が、合金化剤の存在下で行なわれる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記工程(a)が、約1500℃未満の温度で行なわれる、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(a)が、約1300℃未満の温度で行なわれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記工程(a)が、約1100℃未満の温度で行なわれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記反応生成物が、工程(b)の間に基質の表面上に沈着される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記基質が、複数の粒子から構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、凝集している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記基質が、前記反応生成物とは組成的に異なる物質から構成されている、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記基質が、前記反応生成物よりも高い融点を有する物質から構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記基質が、前記反応生成物から構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記金属組成物が、約0.1原子%以下のハロゲン化物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記金属組成物が、約0.01原子%以下のハロゲン化物を含有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記金属組成物が、約0.001原子%以下のハロゲン化物を含有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記金属組成物が、酸素、窒素、および炭素を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記金属組成物が、前記還元剤およびそれに由来するいかなる元素をも実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記形成される固体組成物が、複数の粒子から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記工程(a)の前に、
前記金属ハロゲン化物を非気体状形態で提供し、そして該金属ハロゲン化物を工程(a)の反応を行なうために蒸発させる工程、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記金属ハロゲン化物が、蒸発前に液体または固体として提供される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記液体が、蒸発前に液滴形態で提供される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記工程(a)の前に、
前記還元剤を非気体状形態で提供し、そして該還元剤を蒸発させて気体状還元剤を形成し、そして前記反応を、前記気体状金属ハロゲン化物と該気体状還元剤との間で起こるように行なう工程、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記金属ハロゲン化物が、蒸発前に、固体粒子または液体の液滴として提供される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化学的気相成長反応器、移動床反応器、ロータリーキルン反応器、振動反応器、浮遊層反応器、流下壁式反応器、流動床反応器、および固定床反応器より選択される反応器を含む装置を使用して行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記反応器が、金属ハロゲン化物の供給源と流体連通している第1の反応ゾーン、および該第1の反応ゾーンから下流の第2の反応ゾーンから構成され、該第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンが、異なる反応温度に維持される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の反応ゾーンが、前記第2の反応ゾーンの下方に位置している、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の反応ゾーンが、前記第2の反応ゾーンと並んで位置している、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記反応ゾーンが、単一のチャンバ中に位置している、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
各反応ゾーンが、異なるチャンバ中に位置している、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
工程(a)の間に形成される副生成物が集められる、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記副生成物が、ハロゲン化物から構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記副生成物が、ハロゲン気体を回収するために処理される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記副生成物が、前記還元剤に由来する元素から構成される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記副生成物が、前記還元剤を回収するために処理される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記還元剤が、Hである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記回収された還元剤が、前記方法を行なうために再使用される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
固体金属組成物を製造するための方法であって、
(a)H、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される気体状還元剤との反応により金属サブハライドを還元して、非固体反応生成物を形成する工程;ならびに
(b)該反応生成物を固化させ、それによってハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を実質的に含まない金属を含有する金属組成物を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項53】
前記金属が、周期律表の4〜7族より選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記金属が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびReより選択される元素である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記金属がTiである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ハロゲン化物が、F、Cl、Br、Iおよびこれらの組合せより選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記ハロゲン化物がClである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記気体状還元剤が、Hを含有する、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
前記金属組成物が、本質的にTiからなる、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記金属組成物が、Ti合金である、請求項52の記載の方法。
【請求項61】
前記工程(a)が、H、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される還元剤を用いてTiClを還元することにより行なわれる、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
固体金属組成物を生成するための方法であって、
(a)Tiハロゲン化物とHとを、非固体反応生成物を形成するために有効な様式で反応させる工程;ならびに
(b)該反応生成物を固化させ、それによってハロゲン化物、酸素、および炭素を実質的に含まないTiを含有する金属組成物を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項63】
前記金属組成物が、本質的に純粋なTiからなる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記金属組成物が、Ti合金である、請求項62の記載の方法。
【請求項65】
固体金属組成物を製造するための方法であって、
(a)気体状金属ハロゲン化物と還元剤とを、非固体反応生成物を形成するために有効な様式で反応させる工程であって、
該金属ハロゲン化物は、式
MX
を有し、
Mは、周期律表の遷移金属、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、およびこれらの組合せより選択され、
Xは、ハロゲンであり、
iは、0より大きく、そして
該還元剤は、水素、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される、工程;ならびに
(b)該反応生成物を固化させ、それによってハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を実質的に含まず、還元元素であるMを含み、そしてハロゲン化物、酸素、窒素、および炭素を実質的に含まない金属組成物を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項66】
金属固体組成物を製造するための装置であって、
式MXを有する金属ハロゲン化物の供給源であって、ここでMは、周期律表の遷移金属、アルミニウム、ケイ素、ホウ素、およびこれらの組合せより選択される金属であり、Xは、ハロゲンであり、そしてiは、0より大きい、金属ハロゲン化物の供給源;
還元剤の供給源であって、ここで該還元剤は、水素、水素を放出する化合物、およびこれらの組合せより選択される気体状還元剤である、還元剤の供給源;
該金属ハロゲン化物および該還元剤と連通している反応器であって、該金属ハロゲン化物と該還元剤との間の気体状反応を行なって非固体反応生成物を形成するために有効な条件を提供する反応器;ならびに
該反応生成物を固化させて、実質的にハロゲン化物を含まないMを含有する金属組成物を形成するための手段、
を備える、装置。
【請求項67】
前記反応器が、前記金属ハロゲン化物の供給源と流体連通している第1の反応ゾーン、および該第1の反応ゾーンから下流の第2の反応ゾーンから構成され、該第1の反応ゾーンおよび第2のゾーンが、異なる反応温度に維持される、請求項66に記載の装置。
【請求項68】
請求項1に記載の方法により製造される固体金属組成物。
【請求項69】
請求項52に記載の方法により製造される固体金属組成物。
【請求項70】
請求項62に記載の方法により製造される固体金属組成物。
【請求項71】
請求項65に記載の方法により製造される固体金属組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505992(P2007−505992A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526892(P2006−526892)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025454
【国際公開番号】WO2005/035807
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(593195026)エスアールアイ インターナショナル (14)
【氏名又は名称原語表記】SRI INTERNATIONAL
【Fターム(参考)】