説明

金属加工流体の調製

希釈下で120ナノメートルを上廻る設計された粒径を有する合成金属加工流体としても公知である、油を含有しない金属加工流体。膨脹性の粒径は、以前には油を含有する製品を用いてのみ達成可能であったヘビーデューティーな操作に適している、潤滑度の実質的な増加を生じる。更に、この油を含有しない金属加工潤滑剤は、優れた腐蝕抑制性およびヘビーデューティー操作を可能にする潤滑度を含めて、場合により油を含有する製品のプラスの属性を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連した出願
該当なし
連邦政府のスポンサーによるリサーチまたは開発
該当なし
マイクロフィッシュ/著作権による引用文献
該当なし
【0002】
発明の背景
本発明は、合成金属加工流体としても公知である、油を含有しない金属加工流体に関する。
【0003】
金属加工は、金属加工片を造形し、望ましい設定の幾何学的規格に適合させることとして定義されている。金属加工は、2つの基本的なカテゴリーの機械加工と成形加工とからなる。機械加工は、研磨、旋削、フライス削り、タッピング、ブローチ削りおよびホビングを含む。成形加工は、熱間圧延および冷間圧延、引き抜き、鍛造、型押しおよび打ち抜きを含む。
【0004】
金属加工流体は、本質的に機械加工および成形加工の双方で使用される。この金属加工流体は、工作物と工具との間の潤滑を提供しなければならず、また、機械加工中に発生される熱の除去によって冷却も提供しなければならない。
【0005】
潤滑は、2つの可動面間の摩擦を減少させることとして定義されている。機械加工における2つの主なタイプの潤滑は、流体力学的であり、界面圧力性または極圧性(EP)を有する。流体力学的な潤滑は、液体潤滑剤の皮膜によって可動表面を分離することを包含する。界面潤滑または極圧(EP)潤滑は、複数の表面が共に摩擦される場合に被る摩滅を最少化する。ポリマー潤滑剤は、双方のタイプの潤滑を提供することができる。
【0006】
金属加工流体は、油を含有する区分および油を含有しない区分の2つの主な区分に分級される。油を含有する区分は、ストレート油、水溶性オイルおよび半合成油を有し、これらの全ては、鉱油を一次潤滑剤として利用する。油を含有しない区分は、合成油として公知であり、この合成油は、水性輸送系または希釈剤中で潤滑性を生じる添加剤の組成物を含む。水溶性オイルおよび半合成製品は、市場の80%のシェアを占め、非水性の還元ストレート油の区分は、10%のシェアを占め、一方、合成油は、市場の10%のシェアを占める。
【0007】
存在するタイプの金属加工流体は、利点および欠点を有する。油を含有する製品は、潤滑性が優れており、用途が広範囲であり、および排液を腐蝕からバリヤー保護するという利点を有する。油を含有する金属加工流体の欠点は、水の硬度がしばしば流体の安定性に影響を及ぼし、発泡が高い洗浄力の乳化剤への前記流体の介在のためにしばしば問題となり、前記流体が大きな汚染物負荷を連行し、前記流体がタンクの廃棄および洗浄除去のためによりいっそう費用を必要とし、および前記流体が大きな微生物問題を有することにある。
【0008】
合成油の使用は、微生物的利点に対して環境に由来する種々のファクターのために奨励される。しかし、大部分の消費者は、油を含有する製品を使用することを継続している。それというのも、比較される低い費用で、油を含有する製品の潤滑性は、良好であり、合成に関連した、腐蝕に由来する保守は、増加するからである。油によって提供された保護的バリヤー皮膜を欠く合成排液は、機械加工システムのボルトに腐蝕を生じかつ"凍結させる"可能性があり、保守を困難にする。付加的に、高い潤滑性の性能を有する合成製品は、同じ潤滑性の性能を有する、油を含有する製品と比較した場合に高価である。半合成製品での費用に応じての合成製品の減少された物理的潤滑性は、ヘビーデューティーな操作での合成製品の使用を制限する。
【0009】
発明の要約
本発明の1つの視点は、全く新しい種類の金属加工流体の製品に関する。この新しい化学により、カルボン酸塩と境界潤滑油の脂肪酸とEO/POポリマーとの相乗的配合物は、均質混合され、この場合これらの成分は、反応し、1つの実施態様において、場合により増加された粒径、例外的な潤滑性またはこれら双方を有することができる1つの成分を形成する。付加的に、1つの実施態様に対して使用される希釈液は、不透明であり、オイルベース溶液の外観に似ている。
【0010】
1つの実施態様において、金属加工流体組成物は、0.1〜50体積%に希釈された場合には、120nm以上の体積平均径を有することができる。この組成物は、次の成分:
(a)1つ以上のポリマー潤滑剤;
(b)1つ以上のカルボン酸塩;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤;および
(d)輸送成分を含有する。
【0011】
1つの実施態様は、潤滑性の技術的増加を証明し、一方でなお耐蝕性および微生物的制御を提供する合成金属加工流体であることができる。
【0012】
図面の簡単な説明
該当なし
【0013】
発明の詳細な説明
1つの実施態様において、本発明による金属加工潤滑剤は、0.1〜50体積%に希釈された場合には、125nm以上の体積平均径を有することができる。1つの実施態様において、前記組成物は、次の成分:
(a)1つ以上のポリマー潤滑剤;
(b)1つ以上のカルボン酸塩;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤;および
(d)輸送成分を有することができる。
【0014】
よりいっそう詳述すれば、前記組成物は、次の成分:
(a)ポリマー潤滑剤としての1つ以上のブロックコポリマー1〜80体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩1〜40体積%;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤1〜20体積%;および
(d)輸送成分1〜97体積%を有することができる。
【0015】
別の実施態様において、前記組成物は、次の成分:
(a)ポリマー潤滑剤としての1つ以上のブロックコポリマー5〜40体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩3〜30体積%;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤2〜12体積%;および
(d)輸送成分18〜90体積%を有することができる。
【0016】
更に、別の実施態様において、前記組成物は、次の成分:
(a)ポリマー潤滑剤としての1つ以上のブロックコポリマー15〜25体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩5〜15体積%;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤3〜8体積%;および
(d)輸送成分52〜77体積%を有することができる。
【0017】
それぞれの成分および該成分の例は、さらに下記に記載されている。
【0018】
ポリマー潤滑剤
ポリマー潤滑剤は、例えばEO/POコポリマーであることができる。EO/POポリマーは、例えば1つ以上の下記のものを有することができる。EO/POコポリマーは、各端部にポリオキシエチレン鎖を有する中心のポリオキシプロピレンブロックを有するブロックコポリマーであることができる。EO/POコポリマーは、各端部にポリオキシプロピレン鎖を有する中心のポリオキシエチレンブロックを有するブロックコポリマーであることができる。EO/POコポリマーは、酸化エチレンおよび酸化プロピレンをエチレンジアミンに連続的に付加することに由来するテトラブロックコポリマーであることができる。EO/POコポリマーは、少なくとも1個の末端ヒドロキシル基を有する酸化エチレン/酸化プロピレンコポリマーであることができる。EO/POコポリマーは、酸化エチレンと酸化プロピレンとのランダムコポリマーの水溶性潤滑剤基本素材であることができる。EO/POコポリマーは、水溶性のポリオキシエチレンアルコールまたはポリオキシプロピレンアルコール、またはこのようなアルコールの水溶性カルボン酸エステルであることができる。EO/POコポリマーは、1個の末端ヒドロキシル基を有する全てのポリオキシプロピレン基のアルコール開始剤による基本素材であることができる。EO/POコポリマーは、一塩基性酸エステルまたは二塩基性酸エステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコールエステル、有機酸でグラフトされたポリアルキレングリコール、燐酸エステル、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはアクリル酸またはメタクリル酸とアクリル酸エステルとのコポリマーであることができる。
【0019】
詳細に検討されたポリマーは、ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコールブロックコポリマー、またはポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマーを含む。
【0020】
カルボン酸塩
部分的に中和されたカルボン酸塩は、網状化のためにポリマー潤滑剤のための親油性成分を提供し、および大きな粒径の設計を規定することが検討されている。前記塩は、例えば本明細書中に記載された任意のアルカリ性剤を用いて遊離カルボン酸、脂肪または油を部分的に中和することによって形成させることができる。前記塩の詳細に検討された陽イオンは、アルカリ金属塩またはアルカノールアミン塩、例えばナトリウム塩(酸を水酸化ナトリウムで処理することによって形成された)を含む。部分的な中和のpHは、使用されるアルカリ性剤に依存する。多数の前記カルボン酸塩は、付加的にそれ自体、境界潤滑作用を十分に提供する。
【0021】
原料として使用されるカルボン酸は、直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和の遊離カルボン酸であることができる。前記酸は、飽和または不飽和であることができ、不飽和の部位は、シス形またはトランス形に構成されていてよい。前記酸は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはカルボン酸のエステル、アミン、アミドまたはエトキシル化誘導体であることができる。他の選択可能な方法によれば、動物または野菜に由来する脂肪または油は、直接に中和されることができ、カルボン酸塩を提供する。
【0022】
次に、検討されたカルボン酸の例または該カルボン酸の源の例を示す:カプロン酸(ヘキサン酸としても公知)、エナント酸(ヘプタン酸としても公知)、カプリル酸(オクタン酸としても公知)、ペラルゴン酸(ノナン酸としても公知)、イソノナン酸、カプリン酸(デカン酸としても公知)、ネオデカン酸、ラウリン酸(ドデカン酸としても公知)、ステアリン酸(オクタデカン酸としても公知)、アラキジン酸(エイコサン酸としても公知)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸としても公知)、エルカ酸、オレイン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸としても公知)、ベヘン酸(ドコサン酸としても公知)、α−リノレン酸、ドコサヘキサン酸、リシノール酸、酪酸、ラード油、タロー油、バター、ヤシ油、パーム油、綿実油、麦芽油、大豆油、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油およびナタネ油またはカノーラ油。
【0023】
乳化剤または分散剤
水での金属加工流体組成物の希釈は、不透明なエマルジョンを形成する。濃度が10%を上廻ると、エマルジョンは、安定化を必要としうる。乳化剤または分散剤は、設計された大きな粒子のエマルジョンの安定化を提供することが検討されている。
【0024】
乳化剤または分散剤は、次の中の1つ以上であることができる:アルカノールアミド、アルキルアリールスルホネート、アルキルアリールスルホン酸、アミンオキシド、アミドおよびアミン石鹸、ブロックコポリマー、カルボキシル化アルコール、カルボン酸または脂肪酸、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンまたはアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステルおよび油、エトキシル化フェノール、脂肪アミンおよびエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、イミダゾリンおよびイミダゾリン誘導体、リグニンおよびリグニン誘導体、マレイン酸無水物またはコハク酸無水物、メチルエステル、モノグリセリドおよび誘導体、ナフテン酸、オレフィンスルホネート、燐酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、ポリマー(多糖類、アクリル酸、アクリルアミド)、プロポキシル化またはエトキシル化脂肪酸、アルコールまたはアルキルフェノール、第四界面活性剤、サルコシン誘導体、石鹸、ソルビタン誘導体、スクロースおよびグルコースおよび誘導体、油および脂肪酸のスルフェートおよびスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェートおよびスルホネート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、または脂肪酸エステルのスルフェート、ドデシルベンゼンおよびトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレンのスルホネート、アルキルナフタレンのスルホネート、または石油のスルホネート、スルホスクシナメート、スルホスクシネートおよび誘導体、またはトリデシルベンゼンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸。
【0025】
腐蝕抑制成分
油含有製品は、著しく油それ自体に依存し、錆止めのバリヤーコーティングを形成する。油を含有しない製品は、場合により化学的手段により該製品の錆止めを達成しうる。腐蝕抑制剤は、低い濃度で添加した際に金属および合金の腐蝕を停止させるかまたは減速させる化合物である。
【0026】
腐蝕抑制剤の幾つかの機構は、不動態化層(金属への腐蝕物質の接近を停止させる、材料の表面上の薄膜)の形成、レドックス腐蝕系の酸化部分または還元部分の抑制(アノード抑制剤およびカソード抑制剤)、または溶解された酸素の掃気にある。
【0027】
前記群に含まれる多数の異なる物質が存在する。幾つかの例は、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩、ウンデカン二酸またはドデカン二酸またはこれらの塩、C4〜C22カルボン酸またはその塩、硼酸およびその塩、トリトリアゾールおよびその塩、ベンゾトリアゾールおよびその塩、イミダゾリンおよびその塩、アルカノールアミンおよびアミド、スルホネート、ナフテン酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩、燐酸エステルアミン塩、アルカリ金属亜硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、カルボン酸誘導体、アルキルスルホンアミドカルボン酸、アリールスルホンアミドカルボン酸、脂肪サルコシド(fatty sarkosides)、フェノキシ誘導体およびモリブデン酸ナトリウム。
【0028】
アルカリ性剤
アルカリ性剤は、製品の所望のpHを提供し、幾つかの場合には、アルカリ度およびpH緩衝の予約を提供する。アルカリ性剤の例は、第1級アルカノールアミン、第2級アルカノールアミンおよび第3級アルカノールアミン、アミノメチルプロパノール(AMP−95)、ジグリコールアミン(DGA)、モノエタノールアミン(MEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、ブチルエタノールアミン(NBEA)、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)、ジエタノールアミン(DEA)、ブチルジエタノールアミン(NBDEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アルカリ金属水酸化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、金属炭酸塩および金属重炭酸塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウム。1つの実施態様に好ましいアルカリ性剤は、アルカリ金属水酸化物である。
【0029】
前記組成物のための検討されたpHは、場合により3または3を上廻り、場合により3〜10、場合により4〜9、場合により4〜8である。
【0030】
他の成分
前記組成物は、消泡剤および/または殺生剤または殺真菌剤ならびに他の任意の常用の添加剤または新規の添加剤を含有していてもよい。
【0031】
輸送成分
分散媒体またはビヒクルとも称される好ましい輸送成分は、主に、場合により完全に、水である。しかし、場合により、前記組成物は、1つ以上の油を、有利に10体積%未満含有していてよい。前記油は、任意の常用の潤滑油であることができる。複合油および水輸送成分が検討される場合には、乳化剤は、水を有する油の安定したエマルジョンを形成させるために使用されてよい。
【0032】
通常入手可能な、油を含有しない製品のプラスの属性は、場合により前記組成物中で維持され、ならびに場合によっては、1つ、1つを上廻る、または全ての次の属性を含む:環境に優しいこと、良好な冷却、良好なチップの取り外し特性または設置特性、長い排液寿命および良好な生物学的耐性。
【0033】
本発明において、金属加工流体組成物は、0.1〜50体積%に希釈した際に、タッピングトルク計測器によって測定した、8000ニュートン−cm-1未満の潤滑度を有することができる。
【0034】
前記組成物は、場合により、少量の油(即ち、10体積%以下の油)を含有する配合物、または本質的に油を含有しないかまたは全く油を含有しない配合中で1つ以上の次の好ましい性質を有することができる:
油を含有する製品の潤滑度、
油を含有する製品が目指してる潤滑度/コストパフォーマンス、
研究者に対する減少された刺激(この刺激は、高いpHの製品に関連する)、
油を含有する製品の錆止めまたは他の錆止め効果、または
アルカノールアミンを含まない化学。
【0035】
粒径
本発明による調製された組成物は、粒子を含有し、下記の実施例に記載されている。大きな粒子は、高い潤滑度を提供するために検討されているが、本発明は、この正確な理論に制限されるものではない。任意の実施態様により検討された粒子は、場合により120〜100000ナノメートル(nm)の体積平均径を有し、他の選択可能な方法によれば、120〜100000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、120〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、120〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、125〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、125〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、125〜2000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、140〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、140〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、140〜2000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、200〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、200〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、200〜2000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、220〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、220〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、220〜2000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、350〜10000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、350〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、350〜2000nmを有する。
【0036】
実施例
前記の記載は、次の実施例を参考してよりいっそう理解することができ、この実施例は、本発明を実施するための方法を説明することを意図するものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0037】
実施例1
【表1】

【0038】
第1表中の材料A〜Eを、6061アルミニウムのタッピングを含むタッピングトルク操作に使用した。前記の濃厚物を最初に試験前に7.5体積%の溶液に希釈した。タッピングトルク試験は、金属加工流体の潤滑度性能を定量的に測定することである。このタッピングトルク試験は、D5619に示されたASTM標準法を有する。タッピングトルクは、通常2つの金属表面を一緒に摩擦することによって実施される他の試験よりも良好に工業的な機械加工処理に影響を及ぼす。このタッピングトルクは、金属加工流体(MWF)製品の機械加工性能を実験室内で識別する優れた方法である。タッピングトルクの結果は、現場での機械加工性能と十分に相互関係を有することを証明した。
【0039】
このタッピングトルク計測器は、実際の切削が実施される一方で、MWFsの潤滑度を測定するように設計されている。タッピング操作中に、タッピングトルク計測器は、瞬間トルク250回を切削深さを通してのタップの進みとして測定する。更に、特殊化されたソフトウェアは、データ分析を簡易化する。タッピングトルクは、N−m(ニュートン−メートル)またはN−cm(ニュートン−センチメートル)の単位で表現される。高い潤滑度を有する製品は、低いトルク値を発生させるであろう。反対に、低い潤滑度の製品は、高いトルク値を発生させるであろう。こうして、前記計測器は、製品間の潤滑性能の差を定量化する。
【0040】
タッピングトルク計測器の1つの欠点は、測定された絶対トルク値が使用されたタップの直径に依存し、この直径で変動しうることにある。それ故に、前記の幾何学的効果を取り消すために、潤滑度を単位面積当たりのトルクとして表現することは、効果的であり、1回のタップが1回転するエネルギーが記載される。このための数式は、
E/A = (2’r)/r2
であり、
上記式中、t=トルク値、r=タップの半径、E/A=単位面積当たりのエネルギー量であり、単位は、N−m-1(1メートル当たりのニュートン)またはN−cm-1(1センチメートル当たりのニュートン)である。
【0041】
潤滑度のデータは、第1表中に表されており、E/Aとして識別される。E/A値が低くなると、潤滑度および機械加工の性能は、良好になる。全ての試料は、試験前に水で7.5体積%に希釈されていた。
【0042】
実施例2:
第1表の材料は、ナノメートル単位での体積平均径の測定を含めて粒径の操作に使用された。前記の濃厚物を最初に水で試験前に7.5体積%の溶液に希釈した。粒径計測器は、高性能動的光散乱を使用し、20〜100000ナノメートルの粒径を定量化する。
【0043】
全ての試料は、試験前に7.5体積%に希釈されていた。生じる粒径は、第1表中に示されている。
【0044】
実施例3
第1表からの材料Cを2つの異なる濃度で粒径について試験し、それぞれの濃度で外観およびエマルジョン安定性について評価した。結果は、第2表中に示されており、これは、大きな平均粒径、不透明の外観およびそれぞれの濃度での優れた安定性を示す。大きな粒径は、よりいっそう良好な潤滑剤の特性を示す。典型的な合成MWFsは、希釈した際に、100ナノメートル未満の粒径を有する澄明な溶液を形成する。希釈された試料Cは、典型的な合成MWFsで見られる最大粒径よりも3.5〜20倍大きい粒径を有する。
【0045】
【表2】

【0046】
実施例1〜3から、最適な潤滑度および粒径は、カルボン酸アルカリ金属塩10%とPluronic "R"ブロックコポリマー20%とを組み合わせた試料Cで得られることが判明する。この割合は、最大の体積平均径および最大の潤滑度を生じる。
【0047】
また、前記実施例から、主に、組成物の潤滑度は、体積平均径の関数であることが明らかになる。体積平均径の増加は、潤滑度の増加を生じる。
【0048】
実施例3から、試料Cの増加した濃度は、著しく大きな体積平均径を生じることが判明する。これは、試料Cの高い濃度を安定化するために乳化剤が必要であることを説明するものである。乳化剤なしの場合には、高い濃度の粒径により、不安定な状態で凝集が連続されることは、確実である。本明細書中に記載された現在の好ましい実施態様に対する種々の変更および変形は、当業者にとっては明らかなことであると理解されるべきである。このような変更および変形は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、意図した利点を減少させることなく形成させることができる。それ故に、このような変更および変形は、係属された請求項の記載によって網羅されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜50体積%に希釈された際に125nm以上の体積平均径を有する金属加工流体組成物であって、
(a)1つ以上のポリマー潤滑剤;
(b)1つ以上のカルボン酸塩;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤;および
(d)輸送成分を含有する上記金属加工流体組成物。
【請求項2】
1つ以上の油を10体積%未満含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
輸送成分が水を含有する、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
腐蝕抑制成分を含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
腐蝕抑制成分が次のもの:カルボン酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩、ウンデカン二酸またはドデカン二酸またはこれらの塩、C4〜C22カルボン酸またはその塩、硼酸、化合物およびその塩、トリトリアゾールおよびその塩、ベンゾトリアゾールおよびその塩、イミダゾリンおよびその塩、アルカノールアミンおよびアミド、スルホネート、ナフテン酸のアルカリ金属塩およびアルカノールアミン塩、燐酸エステルアミン塩、アルカリ金属亜硝酸塩、アルカリ金属炭酸塩、カルボン酸誘導体、アルキルスルホンアミドカルボン酸、アリールスルホンアミドカルボン酸、脂肪サルコシド、フェノキシ誘導体およびモリブデン酸ナトリウムを1つ以上含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
pHが3〜9である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
アルカリ性剤を含有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
アルカリ性剤が次のもの:第1級アルカノールアミン、第2級アルカノールアミンおよび第3級アルカノールアミン、アミノメチルプロパノール(AMP−95)、ジグリコールアミン(DGA)、モノエタノールアミン(MEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、ブチルエタノールアミン(NBEA)、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)、ジエタノールアミン(DEA)、ブチルジエタノールアミン(NBDEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アルカリ金属水酸化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、金属炭酸塩および金属重炭酸塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび重炭酸カリウムを1つ以上含有する、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
アルカリ性剤がアルカリ金属水酸化物である、請求項7または8記載の組成物。
【請求項10】
消泡剤を含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
殺生剤および/または殺真菌剤を含有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーの潤滑剤がブロックコポリマーである、請求項1から11までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ポリマーの潤滑剤が次のもの:各端部にポリオキシエチレン鎖を有する中心のポリオキシプロピレンブロックを有するブロックコポリマー、各端部にポリオキシプロピレン鎖を有する中心のポリオキシエチレンブロックを有するブロックコポリマー、酸化エチレンおよび酸化プロピレンをエチレンジアミンに連続的に付加することに由来するテトラブロックコポリマー、少なくとも1個の末端ヒドロキシル基を有する酸化エチレン/酸化プロピレンコポリマー、酸化エチレンと酸化プロピレンとのランダムコポリマーの水溶性潤滑剤基本素材、水溶性のポリオキシエチレンアルコールまたはポリオキシプロピレンアルコール、またはこのようなアルコールの水溶性カルボン酸エステル、1個の末端ヒドロキシル基を有する全てのポリオキシプロピレン基のアルコール開始剤による基本素材、一塩基性酸エステルまたは二塩基性酸エステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコールエステル、有機酸でグラフトされたポリアルキレングリコール、燐酸エステル、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびアクリル酸またはメタクリル酸とアクリル酸エステルとのコポリマーを1つ以上含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリマーの潤滑剤がポリプロピレングリコールブロックコポリマーである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ポリマーの潤滑剤がポリエチレングリコールブロックコポリマーである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリマーの潤滑剤がポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマーである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
カルボン酸塩がC4〜C22カルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカノールアミン塩、または脂肪酸およびエステルを有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
カルボン酸塩が次のもの:酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、イソノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、α−リノレン酸、リシノール酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ドコサヘキサン酸、エルカ酸、アラキドン酸、ラード油、タロー油、バター、ヤシ油、パーム油、綿実油、麦芽油、大豆油、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油およびナタネ油またはカノーラ油を1つ以上含有する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
乳化剤または分散剤は、次のもの:アルカノールアミド、アルキルアリールスルホネート、アルキルアリールスルホン酸、アミンオキシド、アミドおよびアミン石鹸、ブロックコポリマー、カルボキシル化アルコール、カルボン酸または脂肪酸、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンまたはアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステルおよび油、エトキシル化フェノール、脂肪アミンおよびエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、イミダゾリンおよびイミダゾリン誘導体、リグニンおよびリグニン誘導体、マレイン酸無水物またはコハク酸無水物、メチルエステル、モノグリセリドおよび誘導体、ナフテン酸、オレフィンスルホネート、燐酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリオール、ポリマー(多糖類、アクリル酸、アクリルアミド)、プロポキシル化またはエトキシル化脂肪酸、アルコールまたはアルキルフェノール、第四界面活性剤、サルコシン誘導体、石鹸、ソルビタン誘導体、スクロースおよびグルコースおよび誘導体、油および脂肪酸のスルフェートおよびスルホネート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェートおよびスルホネート、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、脂肪酸エステルのスルフェート、ドデシルベンゼンおよびトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホネート、石油のスルホネート、スルホスクシナメート、スルホスクシネートおよび誘導体、またはトリデシルベンゼンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸の中の1つ以上のものである、請求項1から18までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
金属加工流体組成物は、0.1〜50体積%に希釈した際に、タッピングトルク計測器によって測定した、8000ニュートン−cm-1未満の潤滑度を有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
(a)1つ以上のブロックコポリマー1〜80体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩1〜40体積%;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤1〜20体積%;および
(d)輸送成分を含有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の金属加工流体組成物。
【請求項22】
(a)1つ以上のブロックコポリマー5〜40体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩3〜30体積%;
(c)1つ以上の乳化剤または分散剤2〜12体積%;および
(d)輸送成分を含有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の金属加工流体組成物。
【請求項23】
(a)1つ以上のブロックコポリマー15〜25体積%;
(b)1つ以上のカルボン酸塩5〜15体積%;
(c)1つ以上の乳化剤3〜8体積%;
(d)輸送成分を含有する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の金属加工流体組成物。
【請求項24】
120〜100000ナノメートル(nm)、他の選択可能な方法によれば、125〜10000nm、140〜10000nm、他の選択可能な方法によれば、220〜10000nm、他の選択可能な方法によれば、350〜5000nmを有し、他の選択可能な方法によれば、350〜2000nmの体積平均径を有する、請求項1から23までのいずれか1項に記載の金属加工流体組成物。

【公表番号】特表2011−506683(P2011−506683A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538060(P2010−538060)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/085483
【国際公開番号】WO2009/076151
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510162540)ケメタル コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall Corporation
【住所又は居所原語表記】675 Central Avenue, New Providence, NJ 07974, United States of America
【Fターム(参考)】