説明

金属強化されたハイブリッド構造

本発明は、請求項1に関する。本発明はまた、本発明の構成要素を製造する方法にも関し、この方法では、金属部分(2)と金属強化材(4)が、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で互いに連結されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド構造を有する構成要素に関する。さらに、本発明は、本発明の構成要素を製造する方法に関する。
【0002】
プラスチック/金属の混成部品(以下、ハイブリッド構造とも称される)は、自動車産業部門において、特に大きな表面積を有する部品用に使用され、例えば、それらは、DE4437773およびEP0721831B1から知られている。しかし、これらのハイブリッド構造は、十分な機械的強度を示さないことがよくある。
【0003】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を示さないハイブリッド構造を有する構成要素を提供することであった。
【0004】
本発明の目的は、特許請求項1による構成要素を用いて達成される。本発明の構成要素の好ましい実施形態は、下位の請求項の2〜6で請求される。
【0005】
本発明の構成要素を用いて、どのような所望の機械的強度も実際に実現できることは、極めて驚くべきことであり、当業者が予期せぬものであった。本発明の構成要素は、製造が簡単であり、低コストである。
【0006】
本発明によれば、本構成要素は、ハイブリッド構造を有する。本発明におけるハイブリッド構造とは、プラスチック/金属の混成部品である。実際には、当業者に周知のどのような金属も、金属として使用することができる。しかし、特に、これらは、例えば、鉄、鋼および/またはアルミニウムなどの溶接可能な金属である。この金属は、ポリマー構成要素に部分的に連結される。この連結は、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合でよい。当業者に周知の通常の重合化合物はどのようなものでも、ポリマー構成要素として使用されてよい。しかし、これらは、特にポリマー、好ましくは特にポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ABSおよび/またはポリプロピレンを含む、特に熱可塑性ポリマーまたはプラスチック混合物である。ポリマー構成要素は、例えばガラス繊維などの強化材を含むことが好ましい。金属部分とポリマー構成要素の間の材料結合を向上させるために、例えば結合材または接着剤層を用いて、金属部分を前処理することができる。この文脈では、ホイルを金属部分上に配列、好ましくは、その上に押し付けまたは圧延することが可能である。次いで、ポリマー構成要素が、金属部分に配置される。好ましくは、ホイルは、ポリマー構成要素の被覆中に溶融し、結合材としての働きをする。
【0007】
しかし、本発明によれば、金属部分は、ポリマー構成要素によって完全には囲まれておらず、ポリマー構成要素によって囲まれていない金属強化材に連結されている少なくとも1つの領域を示す。金属強化材との連結は、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合でよい。しかし、金属強化材は、金属部分に溶接されることが好ましく、溶接部が、レーザ溶接で生成されることが好ましい。レーザ溶接は、溶接中、比較的少量の熱しか生成せず、その結果、溶接中、ポリマー構成要素が損なわれない、またはわずかな範囲が損なわれるだけであるという利点を有する。金属部分および金属強化材を、ポリマー構成要素を通して互いに溶接することも可能である。この場合、レーザ光は、ポリマー構成要素を通り抜ける。この実施形態は、ポリマー構成要素の薄層を有するハイブリッド構造に特に適している。
【0008】
金属部分と金属強化材の間の連結のために、好ましくは溶接のために、特に最も好ましくはレーザ溶接のためにアクセス可能な領域が、金属部分の縁領域内に配置されることが好ましい。別の好ましい実施形態では、この領域は、1つの凹部または複数の凹部を含む。これらの凹部は、連結中、例えばレーザ溶接中に作製することもできる。
【0009】
金属強化材は、本発明の構成要素に所望の機械的特性を与えるために、各々のケースに必要とされるどのような所望の形態を有してもよい。金属強化材は、プロファイル断面を有することが好ましい。
【0010】
本発明の別の主題は、金属部分と金属強化材が、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で互いに連結される本発明の構成要素を製造する方法である。
【0011】
本発明の方法は、簡単に、低コストで実施することができる。
【0012】
金属部分およびポリマー構成要素に関する限り、上記の解説が参照される。
【0013】
本発明によれば、金属部分と金属強化材は、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で互いに連結される。しかし、特に最も好ましくは、連結は、結合または溶接によって達成される材料嵌合であり、特に最も好ましくは、レーザ溶接によって達成される材料嵌合である。レーザ溶接は、発生熱量が少なく、そのためポリマー構成要素が損なわれない、またはわずかな範囲しか損なわれないという利点を有する。
【0014】
金属部分と金属強化材は、金属部分がポリマー構成要素によって囲まれた後で、好ましくは互いに連結され、好ましくは溶接される。
【0015】
好ましい実施形態では、金属部分と金属強化材の材料嵌合連結は、ポリマー構成要素を通して、例えばレーザ光を、ポリマー構成要素を貫通するように方向付けることによって実施される。この文脈においては、上記の解説が参照される。
【0016】
本発明を、図1〜5を参照して、以下に説明する。これらの説明は、例示的なものであり、本発明の全体的な概念を限定するものではない。この説明は、本発明の構成要素および本発明の方法に均等に適用する。
【0017】
図1は、ハイブリッド構造8および金属強化材4を有する、本発明の構成要素1の一実施形態を示す。ハイブリッド構造8は、ポリマー構成要素3、例えばプラスチックで部分的に囲まれた金属部分2から構成される。その縁領域5では、金属部分2は、ポリマー構成要素で囲まれておらず、ここでは、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で金属強化材4に連結することができる。本発明のケースでは、縁領域5と金属強化材4は、特にレーザ溶接で互いに溶接される。
【0018】
図2は、本質的には図1による構成要素を示しているが、この例では、金属部分2は、縁領域にあり、ポリマー構成要素3の中央には存在しないという相違点がある。領域5およびポリマー構成要素3の上部は、互いに同一平面で重なって終端している。このケースにおいても、この領域は、金属強化材4に溶接される。
【0019】
図3は、本発明の構成要素の別の実施形態を示す。本発明のケースでは、金属プレート2は、領域5を除き、ポリマー構成要素3で左右を囲まれている。この縁領域5では、金属プレート2は、好ましくはレーザ溶接によって金属強化材4に溶接される。
【0020】
図4は、本発明の構成要素1の別の実施形態を示す。これは、その上部領域に凹部6を有するポリマー構成要素3で後側が被覆された金属プレート2から構成される。
【0021】
こうした凹部は、プレート2が材料嵌合で、好ましくはレーザ溶接によって強化材4に連結することができる領域5を示す。さらに、プレート2は、金属強化材4および下側領域内の両方に溶接される。溶接は、矢印9で示された方向から実施される。この溶接により、ポリマー構成要素内に参照番号7で示された融合部が残される。
【0022】
図5は、本発明のケースでは、凹部がさらに下に位置し、もはや縁部には存在していないこと以外は、本質的には図4による実施形態を示す。金属部分2と金属強化材4を互いに連結する、レーザを用いて生成された溶接シーム10は、凹部6から見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の構成要素の一実施形態を示す図である。
【図2】図1による構成要素の改変形態を示す図である。
【図3】本発明の構成要素の別の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の構成要素の別の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の構成要素の追加の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 構成要素
2 金属部分
3 ポリマー構成要素
4 金属強化材
5 金属部分と金属強化材を互いに溶接することができる、連結のためのアクセス可能な領域
6 凹部
7 融合部
8 ハイブリッド構造
9 方向
10 溶接シーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド構造(8)を有する構成要素(1)であって、前記構成要素が、少なくとも1つのポリマー構成要素(3)によって部分的に囲まれ、金属強化材(4)に連結された少なくとも1つの領域(5)を示す金属部分(2)を有することを特徴とする、構成要素(1)。
【請求項2】
前記金属強化材(4)が、好ましくは溶接によって、特に好ましくはレーザ溶接によって、材料嵌合を用いて前記金属部分(2)に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記ポリマー構成要素(3)と前記金属部分(2)が、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で互いに連結されることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の構成要素。
【請求項4】
前記領域(5)が、前記金属部分(2)の縁領域内に配列されることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の構成要素。
【請求項5】
前記領域(5)が、凹部(6)であることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の構成要素。
【請求項6】
前記金属強化材(4)が、プロファイル断面を有することを特徴とする、前記請求項の一項に記載の構成要素。
【請求項7】
前記金属部分(2)と前記金属強化材(4)が、ポジティブフィット、非ポジティブフィット、または材料嵌合で互いに連結されることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の構成要素を製造する方法。
【請求項8】
前記金属部分(2)と前記金属強化材(4)が、好ましくはレーザ溶接によって、互いに溶接されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属部分(2)と前記金属強化材(4)が、前記金属部分が前記ポリマー構成要素(3)に連結された後で、互いに連結されることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属部分が、射出成形および/または成形により、前記ポリマー構成要素で囲まれることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属部分(2)と前記金属強化材(4)の間の前記材料嵌合の連結が、前記ポリマー構成要素を通して行われることを特徴とする、前記請求項の一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−526598(P2008−526598A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549913(P2007−549913)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050161
【国際公開番号】WO2006/075010
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505448659)ジョンソン コントロールズ インテリアズ ゲーエムベーハー アンド コー. カーゲー (10)
【Fターム(参考)】