説明

金属水素化物を有する水素貯蔵タンク

本発明は、水素吸蔵材への吸収を利用して水素を貯蔵するタンクに関し、該タンクは、長手方向の軸(X)を有し、仕切り空間(2)と、該仕切り空間(2)内に配置された内側構造体(4)とを備え、該内側構造体(4)が、複数のレベル(E1、E2、...En)と、該内側構造体(4)の内部の熱交換システムとを備え、各々のレベル(E1、E2、...En)が、長手方向に沿って向けられた複数の列に分かれた複数の小室(8)を備え、各々の小室が半円筒形であり、水素吸蔵材を中に含んでおり、該物質がその開口より供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属水素化物の形態で水素を貯蔵するためのタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
原油の埋蔵量が減少していることから、とりわけ石油に代わるエネルギー源を探している。代替エネルギー源の担い手として将来性のあるものの1つが水素であり、燃料電池でこれを利用することで電気を生成することができる。
【0003】
水素は、莫大な量を利用することができ、石炭、天然ガスまたは他の炭化水素から生成することが可能であるが、例えば太陽エネルギーまたは風力エネルギーによって生成された電気を利用して、単に水を電気分解するだけで生成することも可能である。
【0004】
水素電池は、例えば自動車などのいくつかの用途では既に利用されているが、とりわけ事前の対策を採る必要があること、および水素の貯蔵が難しいことが原因となってまだそれ程広くは利用されていない。
【0005】
水素は、350から700バールに圧縮された水素として貯蔵することができるが、これにより安全性の問題が生じる。このとき、このような圧力に耐え得るタンクを設ける必要があり、さらにこのようなタンクは、それが車両に搭載される際、衝撃を受ける恐れがあるということに注意すべきである。
【0006】
水素を液体として貯蔵することもできるが、このような貯蔵では低い貯蔵収率しか得ることができず、長時間貯蔵することは不可能である。標準的な圧力と温度の条件下で液体状態から気体状態に移行する水素の体積は、その体積がおよそ800倍増大することになる。液体形態の水素タンクは一般に、機械的な衝撃に対して余り耐性がなく、これは深刻な安全性の問題を提起する。
【0007】
また水素化物としていわゆる「固体」水素を貯蔵する場合もある。このような貯蔵により、高い貯蔵密度が可能になり、適度な水素圧を実現する一方で、その生成から別のエネルギー源への変換までの水素ラインの包括的な収率に対する貯蔵エネルギーの影響力が最小限になる。
【0008】
水素化物としての水素の固体貯蔵の原理は、以下の通りである。ある種の物質、とりわけある種の金属は、水素を吸収して水素化物を形成する能力があり、このような反応を吸収と呼ぶ。形成された水素化物は、再び水素ガスと特定の金属を提供することができる。このような反応を脱着と呼ぶ。吸収と脱着は、水素の分圧と温度によって生じる。
【0009】
金属粉末または基材Mにおける水素の吸収と脱着は、以下の反応に従って行なわれる。
【0010】
【化1】

【0011】
-Mは、金属粉末または基材
-MHxは金属水素化物である。
【0012】
例えば金属粉末が、水素と接触するように置かれて使用されることで吸収現象が生じ、金属水素化物が形成される。水素の放出は、脱着機構に従って行なわれる。
【0013】
水素の貯蔵は、発熱を伴う反応、すなわち熱を放出するのに対して、水素の放出は、吸熱性の反応、すなわち熱を吸収する。
【0014】
とりわけ金属粉末を水素中に迅速に充填する試みがされている。このような迅速な充填を実現するには、この充填中に生成された熱を取り除くことで、金属粉末または基材における水素の吸収が減速するのを阻止しなければならない。水素を取り出す際は、結果的に熱が供給され、冷却および加熱の効率が、充填および取り出しの流速の条件となる。
【0015】
ある意味系統的に、水素化物と金属は共にタンク内では粉末形態であり、10%から30%の密度差がある。
【0016】
このようなタンク内での密度の変化により、2つの結果が生まれる。
- 一方で、吸収-脱着サイクルにおいて粉末粒子内部にストレスが現れ、これにより粉末粒子がより小さな粒に分かれる。このような現象をデクレピテーションと呼ぶ。
- 一方で、水素を吸収する際の粉末粒子の膨張と、脱着における粒の収縮。それゆえこの膨張作用を考慮して粉末より上に自由空間が設けられる。
【0017】
吸収-脱着サイクルの回数が増えると、デクレピテーション現象および膨張現象が原因となって、粉末層が段階的に高密度化する。実際は、デクレピテーションによってさらに微細な粉末が出現し、この微細な粉末は、重力によって粒子の網を通り抜けてタンクの底部に向かって移動する。さらに水素流の速度が十分に速い場合、粒子はタンク内を移動し、配置し直される。さらに粉末層は収縮する傾向にあり、すなわち脱着中にその体積が縮小し、これによりタンクの壁と、水素吸蔵材層の間に何もない空間が残される。粉末の移動は、重力によってこの空間を介して行なわれ、これを満たす。この後の吸収作用において、形成された水素化物の粉末は、流体として作用しない。とりわけタンク内での粉末層のレベルは、先行する吸収作用において達成されたレベルではない。実際には、粒子同士およびタンク壁に対する摩擦が、粉末層が自由に拡張するのを阻止する。粉末粒子の膨張作用はその後、間隙率の大きさを小さくすることによって補償される。水素/水素化物貯蔵材層はしたがって、水素化サイクルの過程において段階的に密度が高くなる。
【0018】
「水素化サイクル」によれば、水素脱着過程が後に続く吸収過程が意味される。
【0019】
粉末層は、多孔性が次第に低下するため、水素化の度に多孔性をさらに低下させる避けがたいストレスが増大し、よって粒子が膨張することでタンクの壁に対するストレスの増加が誘発される。数回のサイクルの後、ストレスは、タンクの壁が塑性変形を受け壊れる恐れのあるようなものである。
【0020】
特許文献1(米国特許出願公開第2005/0211573号明細書)は、水素を水素化物として貯蔵することを目的とした円筒形状のタンクを記載しており、このタンクは、タンクの軸の周りに配置された環状の扇形の形態の小室を備えている。この小室は半径方向の隔室を備えており、その中に水素吸蔵材が設けられる。このような機構により、水素/水素化物吸蔵材の高密度化に起因して外側筐体に対するストレスが現れる。水素化サイクルにおいて、このようなストレスが増大する。数回のサイクルを過ぎると、ストレスによってタンクが壊れる恐れがある。よってこのようなタンクは、入念に監視しなければならない。
【0021】
特許文献1(米国特許出願公開第2005/0211573号明細書)は、タンクの軸に対して平行であり水素吸蔵材内に装填される管を備えた円筒形のタンクを記載しており、この管は熱伝達流体に浸される。このような機構は、吸収-脱着サイクルにおいて水素吸蔵材が拡張する現象に耐えるには十分ではない。実際、タンクの振動または移動の影響を受ける場合には、水素吸蔵材は恐らく、管の一端に蓄積し、管の一部を完全に塞ぎ、すなわち管の内側の面全体に接触するようになる。管のこのような部分で水素吸蔵材が膨張すると、極めて高いストレスが管の壁に対して引き起こされ、これにより管の壁を壊す恐れがある。
【0022】
さらにこのようなタンクは、水素吸蔵材によって塞がれない大きな空間を残す必要があるため、貯蔵体積密度が低い。実際、この水平方向の管状タンクのタイプは、水素化物粒子の膨張が原因で生じるタンクの壁に対する極端なひずみを避けるために、交換器の内部容積の最大でも60%および好ましくは40%しか粉末によって部分的に満たすことしかできない。
【0023】
特許文献2(米国特許出願公開第2004/0129048号明細書)は、金属水素化物として水素を貯蔵する水素タンクを記載している。この円筒形状のタンクは、粉末で満たされた細長い隔室を備える。水が循環する回路を、いくつかのチャネルに設けることで熱を取り除く。
【0024】
一方このようなデバイスは、タンク全体に均一に粉末を分散させることができず、これによりこの構造体を損傷させるストレスを与える可能性がある。一方で熱交換も最適ではない。さらにチャネル構造は、実践するには複雑であり、粉末の充填には時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0211573号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0129048号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
その結果本発明の1つの目的は、水素吸蔵材の高密度化に起因するストレスに対して最適な耐性を呈し、十分な貯蔵体積密度を持つ水素貯蔵タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記に記載された目的は、長手方向軸を有し、格納用の外側筐体と、金属水素化物を分散させるための内側構造体とを備えた水素タンクであって、該構造体は、複数の重ね合わされた段を有し、各々の段が、長手方向軸の方向に延びる複数の小室を有し、そのチャネルが、底部と、2つの側壁と2つの横方向の壁とを有し、この側壁が、底部と厳密に90度を超える角度を形成する、ものによって達成される。
【0028】
換言すると、本発明による小室はフレア形状であり、小室は、その側壁が上に向かって広がるように形成されており、小室の底部に置かれた物質を、(これが最も強力なストレスを与えるものである)、より簡単に上向きに移動させることができ、それゆえ小室の下部にある粉末によって与えられるストレスが緩和される。
【0029】
チャネルの接続部において、側壁の接線が有利に交わり、これによりチャネルの容積を、チャネル内の空間の体積に対して増大させることができる。
【0030】
有利には小室は半円筒形状である。
【0031】
好ましくは側壁および底部の材料は非多孔性である。
【0032】
別の例では、小室が、互いから逸れる平坦な底部と側壁を有することで、広がった形状を形成する。このような形状により、水素吸蔵材の体積密度を上げることができる。
【0033】
したがって本発明の主題は、水素吸蔵材に吸収させることによる水素貯蔵タンクであり、該タンクは長手軸を有し、筐体と、筐体内に設けられる内側構造体とを備え、この内側構造体が、複数の段と、内側構造体の内部の熱交換システムとを備え、各々の段が、長手方向に沿って向けられた複数の列に分かれた複数の小室を備え、各々の小室が底部と、2つの側壁と、2つの横方向の壁と、開口とを備え、底部は、開口の下に設けられることが意図されており、同一列の2つの隣接する小室は、1つの共通の横方向の仕切り壁を有し、2つの隣接する列の2つの小室は、それぞれの側壁を介して一体式に作製され、2つの連続する段の間にプレートが設けられ、上方の段のために支持体と、下方の段のためのカバーを形成し、該プレートは、ほぼ水平方向になることが意図されており、各々の小室の開口は、該小室の底部のものより大きな横方向の長さを有し、各々の側壁と底部の間に形成される角度は、厳密に90°を超え、各々の小室は、中に水素吸蔵材を含んでいる。
【0034】
好ましくは水素吸蔵材は、タンクを設置する際に開口から取り込まれる。
【0035】
好ましくは側壁および底部の材料は非多孔性である。
【0036】
例示の一実施形態によると、2つの列の隣接する小室の2つの側壁の間に画定される空間と、支持プレートによって、熱伝達流体が流れるダクトが形成される。
【0037】
別の例示の一実施形態によると、熱伝達流体は、ダクトの中を直接流れ側壁に接触する。
【0038】
有利には各々の小室は、半円筒形状であり、そこから小室が形成される円筒は、円形の断面を有する。
【0039】
小室はまた、平坦な底部とくぼんだまたは平面の側壁を備える場合もある。
【0040】
側壁は、カバープレートの面と交差してよい。
【0041】
別の例示の実施形態において、1つの列の小室の側壁は、1つの部品として作製される。
【0042】
本発明のタンクは、1つの段の複数の小室によって形成された半組立体を備えてよく、該小室は、支持プレートと一体式であり、該半組立体を積み重ねることで内側構造体を形成する。よって各々のダクトは、熱伝達流体の回路にしっかりと接続することができる。
【0043】
代替の一実施形態において、本発明によるタンクは、1つの段の複数の小室によって形成された半組立体を備えることができ、該小室はカバープレートと一体式に形成され、該半組立体を積み重ねることで内側構造体を形成する。このカバーによって小室をきっちりと閉めることができ、内側構造体は、熱伝達流体の槽内に設けられる。
【0044】
横方向の壁が有利には、少なくとも1つの出入り口を備えることで、水素が1つの小室から同一チャネルの他の小室に通過することができる。
【0045】
1つの代替形態では、多孔性の管が、同一の列の小室を通過することで、該小室に水素を供給する。有利にはこの管は、小室の底部にあり、実質的にその対称面内にある。
【0046】
小室は好ましくは、例えばアルミニウムまたは銅などの最適な熱交換率を実現する材料で作製される。
【0047】
また本発明の別の主題は、本発明によるタンクを作製する方法であり、この方法は、
a)小室と全く同じ横断面を有するチャネルを作製するステップと、
b)横方向の仕切り壁(18)をチャネル内に装着し、小室の範囲を定めるステップと、
c)該チャネルと一体式のプレートを作製するステップと、
d)水素吸蔵材を個別に各々の小室に配置するステップと、
e)必要な数の半組立体が形成されるまでステップa)、b)などを繰り返すステップと、
f)該半組立体を積み重ねるステップと、
g)積み重ねたものを筐体内に配置するステップと、
h)水素を供給するステップとを含む。
【0048】
チャネルは、例えば金属シートを折り畳むことによって作製される。
【0049】
例示の一実施形態において、ステップb)の前にステップc)が行なわれ、この場合プレートは、カバーチャネルをしっかりと密閉する。積み重ねられたものは、熱伝達流体の槽内に設けられてよい。
【0050】
例示の一実施形態において、ステップb)において、プレートがチャネルの底部と一体式に作製され、下方の段のカバーを形成する。チャネル同士の間に範囲が決められたダクトと、下方の段のカバーを熱交換システムにしっかりと接続することができる。
【0051】
本発明は、以下の記載および添付の図面を使用することでより適切に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるタンクの内側構造体を見ることができる、本発明によるタンクの例示の一実施形態の部分斜視図である。
【図2】図1の構造体の切り離した1つ段の斜視図である。
【図3A】図2の段の一部の斜視図である。
【図3B】図3Aの1つの小室の斜視図である。
【図4】図3の横断面図である。
【図5】タンクの内側構造体の段の別の例示の実施形態の長手方向の断面図である。
【図6A】本発明による小室の他の例示の実施形態の横断面図である。
【図6B】本発明による小室の他の例示の実施形態の横断面図である。
【図7A】本発明による小室の側壁に対して水素吸蔵材が及ぼすストレスの概略図である。
【図7B】最新技術の小室の側壁に対して水素吸蔵材が及ぼすストレスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1において、本発明による水素タンクの例示の一実施形態を見ることができる。
【0054】
タンクは、水素圧に耐えることができる外側筐体2と、図5に表される水素吸蔵材6を収容するための内側構造体4とを備える。
【0055】
外側筐体2は、表示される例では、長手方向軸Xを有する円形断面の円筒形状である。この形状は、圧力に耐えるのに有利であるが、これに限定するものではなく、外側筐体2は、例えば円環状または正方形の断面を有する場合もある。
【0056】
タンクは、作動中ほぼ水平方向に設けられることが意図されている。したがって軸Xは、水平な位置にある、またはほぼ水平な位置になることが意図されている。
【0057】
本発明において、要素または要素の一部は、それらが図1のタンクの描写において高いまたは低い位置であることが意図される場合、「上方」および「下方」と呼ばれるが、これに限定されるものではない。
【0058】
外側筐体2は、例えばステンレス鋼、アルミニウムまたは編み込まれた複合材料である。筐体が受けることができる圧力レベルは、0から200バールである。
【0059】
一般にタンクは、水素流回路に接続され、この回路が、筐体の長手方向の一端または両端に接続されることで、タンクに水素を充填し、かつそこから水素を取り出す。さらに後に記載する熱交換システムによって、長手方向の一端から他端に熱伝達流体が流れることが保証される。よってタンクは概ね、長手方向に誘導される水素と熱伝達流体の流れに曝される。
【0060】
タンクは、より具体的には内側構造体はしたがって、長手方向の流れに適した構造を有するのが有利である。しかしながら本発明は、別の方向の流れに好適な場合もある。
【0061】
内側構造体4は、複数の重ね合わされた段E1、E2、...Enを備えており、nは、自然数である。
【0062】
各々の段E1、E2、...Enは、平行な列に分かれる複数の小室8を備えており、各々が水素吸蔵材6を中に含む。このように小室を配置することは、水素および熱伝達流体が長手方向に流れることから有利である。
【0063】
小室8は有利には、筐体の長手軸Xに平行な長手方向軸を有するチャネル10から形成される。チャネルは、それぞれの側壁によって隣接しており、この側壁により一体式である。これらは、図2および図3Aに特に見ることができる。
【0064】
チャネルは、底部12と、2つの側壁14と、カバーを備える。
【0065】
表示される例では、チャネルは、それぞれの軸を通過する1つの面に沿って交わる半分の管の形状である。この例示の実施形態では、底部は側壁と同化している。
【0066】
図3Bでは小室8が1つだけ描写されており、各々の側壁14と底部12が、厳密に90°を超える角度αを形成することから小室8は広がった形状であり、膨張したとき水素吸蔵材の粉末が移動し易くなっている。より厳密には、表示される例では壁14に対する接線t14と底部12が、厳密に90°を超える角度を形成する。
【0067】
チャネル10は、それぞれの側壁において互いに接続される。
【0068】
有利には隣接する側壁14の接線が交わり、これによりチャネルの容積を、チャネル同士の間の空間の体積に対して増大させることができ(これは後に記載する)、よって水素吸蔵材のタンクの体積密度が増大する。チャネルが、それぞれの軸を通過する1つの面に沿って交わる半分の管の形状を有する場合、それぞれの側壁の接線は、底部にほぼ直交する。
【0069】
小室8は、チャネル内に装着された横方向の仕切り壁18によってチャネル内で範囲が決められる。このような仕切り壁18によって、水素吸蔵材が長手方向に移動し、チャネルの一端に蓄積するのを防ぐ。有利には横方向の仕切り壁18は、ほぼ同一サイズの小室の範囲を決めるように一定の間隔で配置される。この例示の実施形態では、横方向の仕切り壁18は、半分のディスクの形状である。
【0070】
タンクは、小室に水素を供給し、かつこれを採集するための手段を備えている。例えば横方向の壁18が、少なくとも1つの貫通穴20を備えることで、水素が特定のチャネルの1つの小室から次の小室に流れることができ、水素吸蔵材に水素を充填し、脱着する際に放出された水素を採集することができる。好ましくはこの穴が小さな断面を有することで、1つの小室から他の小室への水素吸蔵材の流れを制限する。有利にはこの穴は仕切り壁の上部に配置され、水素吸蔵材が循環するリスクをさらに下げる。表示される実施形態では、これは仕切り壁18の自由端18.1にあるノッチ20である。水素吸蔵材より上に自由空間25が設けられることで、水素吸蔵材の膨張が補償され、この自由空間25によって、水素が1つの小室8から他の小室に流れることができる。
【0071】
またカバーと横方向の壁の頂部の間の空隙によっても、水素の供給と採集を保証することができる。
【0072】
あるいは同一チャネルの小室8の中に伸びる水素供給管(図示せず)を設けることもできる。この管は、例えば多孔性である。
【0073】
この多孔性の管によって、水素を均一の圧力で同一チャネルの各々の小室内に確実に分散させる。
【0074】
有利には管は、チャネルの下部および/または該チャネルの対称面内に配置されることで、吸収過程における粉末の膨張を妨げない。
【0075】
供給管が実装される場合、横方向の仕切り壁18と管を一体式に作製することができ、このように形成された組立体をチャネルの中に配置することができ、これにより小室の作製を簡素化する。仕切り壁18がまた、長手方向のロッドに一体式に作製されることで、仕切り壁の簡単かつ迅速な配置を可能にすることができる。
【0076】
小室は、カバーによって閉鎖される。有利にはこれは、1枚のプレートの形態を有する同一の段の全ての小室に共通するカバーである。
【0077】
したがって横断面図に見られるように、内側構造体は、下方の段の小室用のカバープレートPと、上方の段の小室の支持するカバープレートPを備える。
【0078】
長手方向のダクト26が、プレートPとチャネル10の外面の間に設けられる。表示される例では、このようなダクト26は、概ね二等辺三角形の横断面を有しており、その同じ長さの2つの辺は、くぼんでいる。
【0079】
本発明の構造によって段を互いから隔てることで、粉末形態の水素吸蔵材6が、重力によって下方の段へと落下し、タンクの下部に蓄積するのを阻止する。仕切り壁18によって長手方向の移動の範囲が決められ、側壁14によって横方向の移動が制限される。本発明のおかげで、組み立てたときに既に準備されている水素吸蔵材の分散状態が維持され、これは均一であり、高密度化によるストレスへの耐性が保証される。
【0080】
タンクはまた熱交換器を備えることで、吸収過程において小室8から熱を抽出し、脱着過程では熱を供給する。
【0081】
熱交換器がダクト26内に形成されることで、熱伝達流体が水素吸蔵材にできるだけ近づいて内側構造体4の内部を流れることが可能になる。とりわけ有利には、この流体が直接ダクト26内を流れることで小室8の上側の面に直接接触し、これにより熱の抽出および供給が極めて効率的になる。
【0082】
あるいはパイプを設けることが企図される場合もあり、この場合熱伝達流体はダクト26内を流れる。この場合、熱伝達流体供給システムへの接続が簡単になる。
【0083】
有利にはチャネルが、アルミニウムまたは銅など熱交換係数が高い材料で作製されることで、熱伝達流体と水素吸蔵材との熱の交換が確実になる。このような材料にはさらに、成形し易いという利点もある。好ましくは側壁と底部の材料は非多孔性である。
【0084】
内側構造体は、異なる構造を有する半組立体から作製することができる。
【0085】
図2では、本発明によるタンクの内側構造体4の半組立体28の第1の例示の実施形態を見ることができる。この例示の実施形態では、半組立体28は、これにより小室の内部を完全に耐圧性にし、タンクの残りの部分から独立させるものである。
【0086】
この例では、チャネル10は、例えばそれぞれの軸を通過する1つの面に沿って交わる管から個別に作製され、これにより2つのチャネルを同時に作製することができる。その後横方向の仕切り壁18が、例えば溶接、蝋付けまたは半田付けによってチャネル内に装着される。また折り畳まれた金属シートを使用することも可能であり、その「折り目」は、上方の平坦なプレートに溶接、蝋付けまたは半田付けされる。
【0087】
上記に指摘したように、横方向の仕切り壁18が、多孔性の管、またはロッドに対して事前に組み立てられる場合もあり、この組立体をチャネル内に配置することができる。
【0088】
チャネルはその後、例えば溶接、蝋付けまたは半田付けによってそれぞれの側壁を介して互いに装着されることで、1つの構造体を形成する。
【0089】
水素吸蔵材は、粉末または個体ブロックの形態であってよく、その後各々の小室内に設けられる。
【0090】
その後フランジ(表示されていない)が、溶接、蝋付けまたは半田付けによって管理された雰囲気下で管の端部に装着されることで、チャネルの長手方向端部をしっかりと閉鎖する。
【0091】
その後プレートが、例えば溶接、蝋付けまたは半田付けによって、側壁の上方端部においてチャネルにしっかりと装着される。
【0092】
上記のステップは好ましくは、水素吸蔵材が酸化雰囲気にかなり影響され易いため、グローブボックス内で行なわれることに留意されたい。
【0093】
このようにして作製されたしっかりと固定された組立体は、必要な数の段が達成されるまで積み重ねられる。
【0094】
段は、互いに一体式であっても、そうでなくてもよい。
【0095】
段が互いに対して一体式でない場合、各段に水素を供給するのに柔軟性がある点で有利であり、半組立体を別の半組立体に対して移動させる際の漏出のリスクが制限される。
【0096】
段が互いに対して動かないまま維持される場合、供給回路は剛性であってよく、これによりその構造が簡素化される。
【0097】
その後それぞれのチャネル10の水素回路への接続が行なわれる。
【0098】
図1の例では、タンクが円形の断面を有することで、半組立体は、それらが形成する段によってサイズが異なる。タンクが正方形の断面を有する場合、半組立体は全く同一である。
【0099】
このような半組立体28には、水素吸蔵材がチャネル内にしっかりと密閉されるため、取扱いが簡単であるという利点がある。
【0100】
この例示の実施形態では、したがって内側構造体4の組立ては、「水ケース」タイプの外部構造の中で行なうことができ、内側構造体4は熱伝達流体に浸され、水素回路はチャネルに接続される。外部構造は、熱伝達流体の圧力に耐え、水素圧に対する耐性は、小室事態によって保証される。
【0101】
熱伝達流体がその後ダクト26を満たす。熱交換器が、この流体を移動させるためのデバイス、例えばポンプを備えることで、熱の抽出と供給を向上させる。
【0102】
この組立体はその後、水ケースを形成する筐体内に設けられる。
【0103】
熱交換器はしたがって、比較的簡単に作製される。
【0104】
熱交換器のこの例示の実施形態は、これに限定するものではなく、各々のダクト26において熱伝達流体循環システムへの密接な接続が行なわれる場合もある。
【0105】
図5では、図1の内側構造体を形成する半組立体30の別の例示の実施形態を見ることができる。この例では、チャネルは、連続する溝に折り畳まれた1枚の金属シートから1つの部品として作製され、図5に描写されるチャネルを形成する。半組立体は、熱伝達流体循環ダクト26を気密にし、タンクの残りの部分から独立させるように作製される。
【0106】
その後各々の溝の底部が、例えば溶接または蝋付けによって平坦なプレートに装着される。
【0107】
熱伝達流体循環ダクト26はその後、例えば溶接または蝋付けによって装着されたフランジを利用してしっかりと密閉される。
【0108】
その後上記に説明したように仕切り壁18がチャネル内に装着され、水素吸蔵材6が粉末またはブロックとして各々の小室内に設けられる。
【0109】
半組立体30はその後、必要な数の段に達するまで積み重ねられる。
【0110】
段は、例えばフランジを利用して互いに一体式になることで、熱伝達流体回路に接続される。
【0111】
半組立体の内側構造体はその後、ガス圧に耐性のある筐体2内に配置することができ、水素雰囲気で満たされる。このときダクト26は、熱伝達流体と水素の圧力差に耐えるように形成される。熱交換器回路は、フランジを介して流体循環ダクト26に接続される。
【0112】
図6Aおよび6Bでは、本発明による小室の代替の実施形態を見ることができる。
【0113】
図6Aでは、小室は平坦な底部12'と2つのくぼんだ側壁14'を有しており、接線t14'と底部12'との角度は、厳密に90°を超える。
【0114】
図6Bでは、小室は平坦な底部12"と2つの平面の傾斜した側壁14"を備え、この側壁が、互いから逸れることで広がった開口を形成しており、壁14"と底部12"の角度は、厳密に90°を超える。
【0115】
このような小室には、吸蔵材の体積密度を増大させるという利点がある。実際には小室間のダクト26'、26"の容積が縮小し、これにより小室の容積が増大し、水素吸蔵材の量を増加させることができる。これらの縮小されたサイズのダクト26'によって実現される冷却は、それでも、水素化物を基本とするタンクの大部分の作動条件にとって十分である。
【0116】
一例として、小室内に設けられる物質は、水素を吸蔵するのに使用される1つまたは複数の物質で構成されてよい。このような水素吸蔵物質は、AB、A2B、A2B7、AB2またはAB5などの異なる属から、あるいはこれらの物質の属の混合物から選択することができる。
【0117】
化学式AmBnの可逆的な金属水素化物は、例えばリチウム、カルシウムまたはマグネシウムなどアルカリ性またはアルカリ土類金属、ジルコニウム、チタンなどの第4または第5列の遷移金属またはランタン、セリウムなどの最終的な金属希土類などの安定した水素化物を形成する要素Aと、クロム、コバルト、ニッケルまたは鉄などの大半の遷移金属など標準的な温度と圧力の条件において不安定な水素化物を形成する要素Bとで構成される。
【0118】
このような物質は、体心立方(bcc)構造、面心立方(fcc)あるいはC-14またはC-15タイプの結晶構造を有することができる。
【0119】
例えばこのような物質は、Mg、Mg-Ni、Mg-Cu、Ti-Fe、Ti-Mn、Ti-Ni、Ti-V、Mn-Ni、Ti-V-Cr、Ti-V-Feであってよい。使用される圧力および温度に左右される水素吸収力は、水素吸蔵材によって変化する。
【0120】
他の水素吸蔵材は、例えばアラネート(NaAlH4)などの軽要素との複合的な化学水素化物、例えばLiBH4、NaBH4などのリチウムおよびホウ素ベースの水素化物、あるいはそうでなければイミドまたはアミドなどを本発明に記載される幾何学的構成に使用することもできる。
【0121】
このタンクの作動を以下に説明する。
【0122】
タンクに水素を充填する必要がある場合、例えば多孔性のパイプを介してタンク内に水素が流される。吸収反応は発熱性であるため、熱が放出される。この熱は同時に、ダクト26内を冷却用の熱伝達流体が流れることによって排出され、この流体は小室の外側の面に接触する。より迅速かつより効率的に熱が排出される程、タンクがより迅速に充填される。その後水素が充填された物質が、金属水素化物を形成する。既に説明したように、この物質は、吸収することで膨張し、デクレピテーション現象を起こし、粉末を形成する。
【0123】
タンク内に含まれる水素を使用する必要がある場合、タンク内の水素圧が下げられるまたは熱交換器のダクト26によって水素化物が加熱される。水素が脱着する。このようにして放出された水素は、仕切り壁18の上部に形成されたノッチを介して1つの小室から別の小室へと流れ、タンクの長手方向の端部において採集される。
【0124】
タンクの充填および取り出し温度は、例えば-20℃から400℃の範囲である。充填圧力は、例えば0.1バールから200バールのH2の範囲であり、取り出し圧力は、例えば100バールから0バール(絶対値)の範囲である。
【0125】
本発明によるタンクによって、および特殊な小室の形状の選択により、水素化物の粉末は、タンクの全容積の40から60%を占めることができ、十分な貯蔵体積密度が実現される。図6Aおよび図6Bに描写されるものなど平坦な底部を有する小室を使用することで貯蔵密度をさらに増大させることが可能であり、これにより小室8の貯蔵容積を増大させることができる。
【0126】
さらに半円筒形、およびより一般的にはフレア形状の小室8によって、矩形断面の小室108の場合、このようなストレスFの集中が生じるのに対して、図7Aに概略的に示されるように小室の底部にストレスFが累積するのを阻止することができる(図7B)。実際、隔室の底部にある粉末の量は、最も密度が高くなり、恐らく壁に対して最大のストレスを及ぼすことになる。さらに小室の底部が極端に広がった形状であることにより、粉末がほぼ自由に広がることが可能である。壁に作用するストレスは、均一であり、振幅が低い。
【0127】
これに対して粉末層が矩形の小室の中に収容される場合、壁がその高さ全体にわたって垂直であるため、壁に作用するストレスは頂部では小さく、摩擦が小さくなり粉末は自由に広がる。一方でストレスは、小室の底部では極めて大きく、この場合物質は、小室の頂部における側壁に対する摩擦力の作用の下に収容される。
【0128】
図7Bの本発明による例示の小室では、半球の隔室の頂部における壁は確実に垂直であるが、同様に隔室の頂部における粉末は恐らく、小さいストレスしか及ぼさないため、このことは不利にならない。
【0129】
さらに内側構造体を作製する方法により、物質が各々の小室に個別に配置され、これにより物質を最適に分散させて製造することが可能になり、この物質は、具体的には横方向の仕切り壁18によって保持される。このような横方向の仕切り壁18によって、タンク内の広範にわたる粉末の移動が阻止され、これにより本発明によるタンクを車両に搭載して、あるいは可動式の用途で利用することが可能になる。
【0130】
本発明はまた、水素化物の層から熱伝達流体に有効な反応熱の伝達を実現することができる。実際、流体と小室の接触面は大きく、これにより熱交換係数が低い流体も、水素吸収および脱着流速の観点から見てその性能に悪影響を及ぼすことなく利用することができる。チャネルの半径によって、最大限の吸収または脱着した水素の流速が調節され、半径はまた、タンクの熱拡散の固有の長さである。この距離が短いと、反応熱の伝達が速くなる。
【0131】
例えば半径は1cmから5cmであり、有利には2cmに等しい。小室の長さは、半径の2倍にほぼ等しい。タンクの幅、長さおよび高さの寸法は、例えば半管の半径の5倍から100倍である。
【0132】
本発明によるタンクは、水素貯蔵を実施する全ての用途に、すなわち大量の貯蔵を実施する分野と、少量の貯蔵を必要とする分野の両方に適用することができる。
【0133】
例えば本発明は、船艇、潜水艦など、例えば自家用車、バス、貨物自動車、建設および農業用の機械ならびに二輪車などの原動力手段用のタンクとして使用することができる。
【0134】
本発明はまた、携帯用電子装置(携帯電話、ポータブルコンピュータ)などの携帯デバイスの電源として利用することもできる。
【0135】
本発明はまた、風車、太陽電池パネルまたは地熱によるエネルギーにより大量に生成された水素を貯蔵する目的で、例えば生成器一式などより大量の水素用の貯蔵システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
2 外側筐体
4 内側構造体
6 水素吸蔵材
8 小室
10 チャネル
12、12'、12" 底部
14、14'、14" 側壁
t14、t14' 接線
18 横方向の仕切り壁
18.1 横方向の仕切り壁の自由端
20 ノッチ
25 自由空間
26、26' ダクト
28、30 半組立体
108 矩形断面の小室の側壁
E1、E2、...En 段
P プレート
F ストレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素吸蔵材に吸収させることによる水素貯蔵タンクであって、該タンクが長手方向軸(X)を有し、外側筐体(2)と、該筐体(2)の中に設けられる内側構造体(4)とを備え、該内側構造体(4)が、複数の段(E1、E2、...En)と、該内側構造体(4)の内部の熱交換システムとを備え、各々の段(E1、E2、...En)が、長手方向に沿って向けられた複数の列に分かれた複数の小室(8)を備え、各々の小室が、底部(12、12'、12")と、2つの側壁(14、14'、14")と、2つの横方向の壁(18)と、開口と備え、該底部は、この開口の下に設けられることが意図されており、同一列の2つの隣接する小室が1つの共通の横方向の仕切り壁(18)を有し、2つの隣接する列の2つの小室(8)が、それぞれの側壁を介して一体式に作製され、2つの連続する段の間にプレート(P)が設けられ、上方の段のための支持体と、下方の段のためのカバーを形成し、該プレート(P)が、ほぼ水平方向になるように意図されており、各々の小室(8)の開口が、該小室の底部のものより大きな横方向の長さを有し、各々の側壁(14、14'、14")と前記底部(10、10'、10")の間に形成される角度が、厳密に90°を超え、各々の小室(8)が水素吸蔵材を中に含んでおり、2つの列の隣接する小室の2つの側壁(14、14'、14")の間に空間が形成され、前記支持プレート(P)が熱伝達流体が流れるダクト(26、26')を形成するタンク。
【請求項2】
前記熱伝達流体が、前記ダクト(26、26')の中を直接流れ前記側壁(14、14'、14")に接触する、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
各々の小室(8)が半円筒形であり、そこから前記小室が形成される円筒が、円形の断面を有する、請求項1または2に記載のタンク。
【請求項4】
各々の小室(8)が、平坦な底部(12'、12")と、くぼんだまたは平面の側壁(14、14")を備える、請求項1または2に記載のタンク。
【請求項5】
前記側壁(14、14'、14")が前記カバープレート(P)の面に交わる、請求項1から4の一項に記載のタンク。
【請求項6】
1つの列の前記小室(8)の前記側壁が、1つの部品として作製される、請求項1から5の一項に記載のタンク。
【請求項7】
1つの段の複数の小室によって形成される半組立体(30)を備え、前記小室(8)が、前記支持プレートと一体式であり、該半組立体(30)を積み重ねることで前記内側構造体を形成する、請求項1から6の一項に記載のタンク。
【請求項8】
各々のダクト(26)が前記熱伝達流体回路にしっかりと接続される、請求項7に記載のタンク。
【請求項9】
1つの段の複数の小室によって形成される半組立体(28)を備え、前記小室(8)が前記カバープレート(P)と一体式に形成され、該半組立体(28)を積み重ねることで前記内側構造体を形成する、請求項1から6の一項に記載のタンク。
【請求項10】
前記カバー(P)が前記小室(8)をきっちりと閉め、前記内側構造体が、熱伝達流体の槽内に設けられる、請求項9に記載のタンク。
【請求項11】
前記横方向の壁(18)が、少なくとも1つの出入り口を備えることで、水素が1つの小室から同一チャネルの他の小室に通過することができる、請求項1から10の一項に記載のタンク。
【請求項12】
多孔性の管が、同一の列の前記小室(8)を通過することで、前記小室(8)に水素を供給する、請求項1から10の一項に記載のタンク。
【請求項13】
前記管が、前記小室(8)の底部にあり、実質的にその対称面内にある、請求項12に記載のタンク。
【請求項14】
前記小室(8)が、例えばアルミニウムまたは銅などの最適な熱交換率を実現する材料で作製される、請求項1から13の一項に記載のタンク。
【請求項15】
前記水素吸蔵材が、例えばリチウム、カルシウムまたはマグネシウムなどアルカリ性またはアルカリ土類金属、ジルコニウム、チタンなどの第4または第5列の遷移金属またはランタン、セリウムなどの金属希土類などの安定した水素化物を形成する要素Aと、クロム、コバルト、ニッケルまたは鉄などの大半の遷移金属など標準的な条件において不安定な水素化物を形成する要素Bとで構成される少なくとも1つのAmBnタイプの物質で構成される、請求項1から14の一項に記載のタンク。
【請求項16】
請求項1から15の一項に記載のタンクを作製する方法であって、
a)前記小室(8)と全く同じ横断面を有するチャネル(10)を作製するステップと、
b)横方向の仕切り壁(18)を前記チャネル内に装着し、前記小室の範囲を定めるステップと、
c)前記チャネル(10)と一体式のプレート(P)を作製するステップと、
d)前記水素吸蔵材(6)を個別に各々の小室(8)に配置するステップと、
e)必要な数の半組立体(28、30)が形成されるまでステップa)、b)などを繰り返すステップと、
f)前記半組立体(28、30)を積み重ねるステップと、
g)積み重ねたものを筐体内に配置するステップと、
h)水素を供給するステップとを含む方法。
【請求項17】
前記チャネル(10)が、金属シートを折り畳むことによって作製される、請求項16に記載のタンクを作製する方法。
【請求項18】
ステップb)の前にステップc)が行なわれ、前記プレート(P)が、前記カバーチャネル(10)をしっかりと密閉する、請求項16または17に記載のタンクを作製する方法。
【請求項19】
積み重ねられたものが、熱伝達流体の槽内に設けられる、請求項18に記載のタンクを作製する方法。
【請求項20】
ステップb)において、前記プレート(P)が前記チャネル(10)の前記底部と一体式に作製され、下方の段のカバーを形成する、請求項16または17に記載のタンクを作製する方法。
【請求項21】
前記チャネル(10)同士の間に範囲が決められたダクト(26、26')と、下方の段の前記カバー(P)が前記熱交換システムにしっかりと接続される、請求項20に記載のタンクを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2013−511002(P2013−511002A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538320(P2012−538320)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067187
【国際公開番号】WO2011/058044
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】