説明

金属箔エッチッング用レジスト、及び金属箔パターン形成方法

【課題】熱乾燥型レジストインキであって、酸によるエッチング処理に際して、ピンホールの発生を少なくできる金属箔エッチング用レジストの提供、および金属箔パターン形成方法の提供。
【解決手段】金属箔エッチング用レジストは、重量平均分子量6,000〜150,000、酸価60〜250mgKOH/g、ガラス転移温度30〜120℃のアルカリ可溶型樹脂と、該アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して粒径が1.0〜8.0μmの体質顔料粒子を1.0〜35質量部の割合で含む熱乾燥型のグラビア印刷用インキである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属箔エッチッング用レジスト、及び金属箔パターン形成方法に関し、特に、ICタグ用アンテナ回路パターン等の形成に使用される金属箔エッチッング用レジスト、及び金属箔パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICタグ、ICカード等の機能カードが、盗難防止用タグ、出入者チェック用タグ、テレフォンカード、クレジットカード、プリペイドカード、キャッシュカード、IDカード、カードキー、各種会員カード、図書券、診察券、定期券等に使用されはじめており、これらの機能カードにおいては金属箔によりアンテナ回路パターンが設けられている。これらのアンテナ回路パターンとしては、金属箔をエッチング処理して形成する方法が知られているが、エッチング処理に際して使用されるレジスト膜パターンとして、例えば光重合性モノマーとアルカリ可溶性樹脂とからなるフォトレジストインキをグラビア印刷した後、UV硬化して形成する方法(特許文献1)が知られている。
【0003】
しかしながら、フォトレジストインキを使用すると、硬化に際してUV照射装置を必要とする等の生産性に問題がある。そのため生産性の改良を目的として、アルカリ可溶性樹脂を含有する熱乾燥型レジストインキを使用してレジスト膜パターンを形成すると、その詳細な理由は不明であるが、酸によるエッチング処理に際してレジスト膜に金属箔にまで達するピンホールが多数発生し、アンテナ回路パターンが断線するという問題が生じることが判明した。フォトレジストインキにあっては、架橋化等フォトポリマーの凝集性が高く、このようなピンホールは殆ど発生しないだけに、熱乾燥型レジストインキを使用する場合におけるこのような問題を克服することが求められている。
【特許文献1】特許第3,411,514号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この課題の解決を目的とするもので、アルカリ可溶性樹脂をバインダーとする熱乾燥型レジストインキによりレジスト膜パターンを形成しても、酸によるエッチング処理に際して、ピンホールの発生を少なくできる金属箔エッチッング用レジストの提供、および生産性、量産性に優れる金属箔パターン形成方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の金属箔エッチッング用レジストは、重量平均分子量6,000〜150,000、酸価60〜250mgKOH/g、ガラス転移温度30〜120℃のアルカリ可溶型樹脂と、該アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して粒径が1.0〜8.0μmの体質顔料粒子を1.0〜35質量部の割合で含む熱乾燥型のグラビア印刷用インキであることを特徴とする。
【0006】
体質顔料粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする。
【0007】
本発明の金属箔パターン形成方法は、金属箔上に、重量平均分子量6,000〜150,000、酸価60〜250mgKOH/g、ガラス転移温度30〜120℃のアルカリ可溶型樹脂と、該アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して粒径が1.0〜8.0μmの体質顔料粒子を1.0〜35質量部の割合で含む熱乾燥型のインキを使用してグラビア印刷により乾燥膜厚2〜5μmのレジストパターン膜を設けた後、該レジストパターン膜を介して前記金属箔を酸エッチングし、さらに、残存するレジストパターン膜をアルカリで可溶化して除去することを特徴とする。
【0008】
金属箔パターンが、ICタグ用アンテナ回路パターンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属箔エッチッング用レジストは、酸によるエッチング処理に際してピンホールの発生が少なく、歩留りの優れたものとでき、また、熱乾燥型のグラビア印刷用インキを使用することにより、フォトレジスト法に比して、生産性、量産性に優れる金属箔パターン形成方法とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明におけるアンテナ回路パターンは、樹脂フィルムからなる基材の片表面又は両表面上に接着剤を介して金属箔をドライラミネート法等によって接着して得られる金属箔積層体に対するエッチング操作により形成される。すなわち、金属箔積層体としては金属箔/接着層/基材、または金属箔/接着層/基材/接着層/金属箔の積層形態が例示される。基材としては、厚さが25〜100μm程度のポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が例示され、金属箔としては、厚さが9〜35μm程度の電解銅箔やアルミニウム箔等が例示され、また、接着層としては、ポリウレタン系接着層等が例示される。
【0011】
本発明の金属箔エッチッング用レジストインキは、金属箔積層体における金属箔表面に、グラビア印刷によりパターン印刷されるものであり、光硬化成分を含有しない所謂「熱乾燥型」のグラビア印刷用インキであり、アルカリ可溶型樹脂をバインダー樹脂とし、アルカリ可溶型樹脂中に疎水化処理された体質顔料粒子を含むものである。
【0012】
アルカリ可溶型樹脂としては、アルカリ水溶液に可溶な重合体であればよく、例えば(メタ)アクリル系樹脂(アクリル樹脂およびメタクリル樹脂を示す。以下、同様)、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等の有機高分子が例示され、中でもエチレン性不飽和二重結合を有した重合性単量体をラジカル重合して得られるものが好ましく、現像性を考慮すると(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
【0013】
エチレン性不飽和二重結合を有したラジカル重合性単量体としては、例えばスチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等のスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類が例示され、また(メタ)アクリル系単量体が例示される。
【0014】
(メタ)アクリル系単量体としては、一般式:CH2 =C(R1 )−COOR2 (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R2 は炭素数1〜12のアルキル基で例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、およびこれらの構造異性体を示す)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが例示される。
【0015】
また、カルボキシル基を含有する単量体である(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸系単量体、フマル酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸、アクリル酸二量体等が例示される。
【0016】
本発明におけるアルカリ可溶型樹脂は、好ましくは上記の単量体を2種以上組み合わせた共重合樹脂とされるとよいが、アルカリ現像性を考慮すると、酸性基、例えばカルボキシル基を含む単量体を共重合成分とする共重合樹脂とするとよい。
【0017】
また、アルカリ可溶型樹脂は、単独、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができ、例えば異なる共重合成分を有する2種類以上のアルカリ可溶型樹脂の組合せ、また、異なる重量平均分子量を有する2種類以上のアルカリ可溶型樹脂の組合せ等が挙げられる。
【0018】
アルカリ可溶型樹脂は、その重量平均分子量が6,000〜150,000、好ましくは8,000〜60,000であり、分子量が6,000未満では耐現像液性が低下する問題があり、また、150,000を超えると現像時間が長くなるので好ましくない。
【0019】
また、アルカリ可溶型樹脂の酸価は、60〜250mgKOH/g、好ましくは80〜250mgKOH/gであり、酸価が60mgKOH/g未満であると現像時間が長くなるので好ましくなく、250mgKOH/gを超えると耐現像液性が低下するので好ましくない。
【0020】
また、アルカリ可溶型樹脂のガラス転移温度(Tg)は30〜120℃、好ましくは40〜100℃であり、Tgが30℃未満であると耐ブロッキング性が悪化するので好ましくなく、120℃を超えると塗膜に割れを生じる可能性があるので好ましくない。
【0021】
なお、重量平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により得られるものであり、酸価はJIS K5601の規定に従い測定されるものである。また、ガラス転移温度(Tg)は、島津製作所製示差走査熱量計(DSC−50)を用いて測定した値である。
【0022】
このようなアルカリ可溶型樹脂としては、例えばBASFジャパン社製「ジョンクリル67」(Mw=12,500、酸価213mgKOH/g、Tg=73℃)、大成ファインケミカル社製「1AN−1003」(Mw=25,000、酸価70mgKOH/g、Tg=50℃)等が例示される。
【0023】
本発明の金属箔エッチッング用レジストは、このようなアルカリ可溶型樹脂に対して疎水化処理された体質顔料粒子を配合させるものであり、体質顔料粒子としては、シリカ、タルク等が例示される。好ましくはシリカ微粒子であり、粒径が1.0〜8.0μm、好ましくは1.0〜4.0μmのものとするとよい。粒径が1.0μm未満であるとグラビアインキとした際に粘性が高くなり、また、8.0μmを超えると体質顔料粒子の沈降が生じ、インキの安定化に問題が生じるので好ましくない。
【0024】
通常、体質顔料粒子は充填剤として耐ブロッキング性の改良を目的に添加されることが知られているが、疎水化処理されてアルカリ可溶型樹脂中に添加されると、その詳細な理由は不明であるが、アルカリ可溶型樹脂の凝集性の増大に寄与して、酸エッチング処理に対する抵抗性が増し、ピンホールの発生が抑制された優れたレジスト層とできることが判明した。このようなシリカ粒子としては、東ソー・シリカ社製「ニップシールSS−50A」(粒径2.3μm、球状粒子)、水澤化学工業社製「ミズカシルP802Y」(粒径2.4μm)等が例示される。また、タルク粒子としては日本タルク社製「MICROACE P−8」(粒径3.3μm)等が例示される。体質顔料粒子の粒径(個数平均一次粒径)は、走査型電子顕微鏡写真法により求められるものである。
【0025】
体質顔料粒子は、アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して1.0〜35質量部、好ましくは8〜25質量部の割合で配合される。配合割合が1.0質量部未満であると、ピンホールの発生を抑制できず、35質量部を超えると顔料粒子が沈降し、インキの安定性に問題が生じるので好ましくない。
【0026】
本発明の金属箔エッチッング用レジストには、上述した体質顔料粒子の添加効果に影響を与えない範囲で、他に、レジストパターンが見やすいように着色顔料また染料として例えばフタロシアニン ブルー(C.I.ピグメント ブルー 15:3)、マラカイトグリーン等を含有させるとよい。着色顔料はアルカリ可溶型樹脂100質量部に対して2〜45質量部の割合で配合されるとよい。また、他に必要に応じて膜物性をコントロールするためにジブチルフタレート等の可塑剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸価防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を添加してもよい。
【0027】
本発明の金属箔エッチッング用レジストは、上記の各成分をメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、2−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤、または混合溶剤に、ナノミル分散機等を使用して溶解・分散して、固形分が30〜60質量%で、粘度(ザーンカップ#4 10〜60sec(25℃))のグラビア印刷用インキとされる。なお、粘度はRIGOSHA社製粘度計を使用して測定される。
【0028】
次に、本発明の金属箔パターン形成方法について説明する。
【0029】
本発明の金属箔パターン形成方法は、金属箔/接着層/基材、または金属箔/接着層/基材/接着層/金属箔の積層形態の金属箔積層体における金属箔上に、金属箔エッチッング用レジストを使用してグラビア印刷によりレジストパターン膜を形成する。レジストパターン膜は、70〜260℃で熱乾燥されるとよく、乾燥後の膜厚が1〜5μm、好ましくは2〜5μmとされるとよい。膜厚が1μm未満であると塗工が困難であり、また、耐エッチング性が悪化するので好ましくない。また、5μmを超えると密着性が低下したり、また、アルカリでの溶解除去に際して時間がかかり、好ましくない。
【0030】
次に、得られたレジストパターン膜を介して、レジスト膜により被覆されてなく露出した金属箔部を酸エッチング除去する。酸エッチングは塩化第2鉄水溶液または塩酸水溶液中に25〜60℃で浸漬することにより行うとよい。酸エッチングに付した後、残存するレジスト膜はアルカリで可溶化して除去される。レジスト膜除去に際しては2〜20%の水酸化ナトリウム水溶液中に25〜60℃で浸漬することにより行うとよい。
【0031】
酸エッチングに付した後のレジストパターン膜表面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、200倍)で観察すると、本発明におけるレジストパターン膜において確認されるピンホール数は、アンテナパターン1個(総表面積4cm2 )当り10個以下とできる。なお、ピンホールの孔径は10〜100μm程度である。
【0032】
このように、本発明の金属箔エッチッング用レジストは、金属箔上にグラビア塗布形成されてレジスト層としてもよいが、例えばPETフィルム等をキャリアフィルムとし、その上にグラビア印刷によりパターン状のレジスト層を剥離可能に形成して転写シートとしてもよい。この転写シートを使用して金属箔上にレジスト層を形成するには、転写シートにおけるレジスト層面を金属箔上に接着剤層を介するか、または直接積層した後、キャリアフィルムを剥離除去するとよい。これにより、レジスト層を金属箔上に転写形成してもよい。
【0033】
また、本発明の金属箔エッチッング用レジストは、ICタグ用アンテナ回路パターンやポリマー2次電池の集電体における金属箔のパターニングに際して、好ましく使用される。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0035】
(実施例1)
(金属箔エッチッング用レジストの作成)
金属箔エッチッング用レジストとして、下記組成で示されるインキを用意した。
〔インキ組成〕
・ アクリル系樹脂{BASFジャパン社製「ジョンクリル67」(Mw=12,500、酸価213mgKOH/g、Tg=73℃)} ・・・ 33.6質量部
・ 顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:3) ・・・ 3.0質量部
・ シリカ微粒子{東ソー・シリカ社製「ニップシールSS−50A」(粒径2.3μm、球状粒子)} ・・・ 2.0質量部
・ メチルエチルケトン ・・・ 25.8質量部
・ トルエン ・・・ 18.8質量部
・ イソプロピルアルコール ・・・ 16.8質量部
の組成を、ナノミル分散機を使用してインキ化{粘度(ザーンカップ#4 25sec(25℃)}した。
【0036】
次に、膜厚15μmのPETフィルム上に厚み12μmのアルミニウム箔がポリウレタン系接着剤を介して接着され、その積層形態がPETフィルム/ポリウレタン系接着剤層/アルミニウム箔のアルミニウム箔上に、上記で得られたインキをグラビア印刷機を使用して、50m/分でICタグ用アンテナ回路パターンを乾燥膜厚2μmで印刷した。なお、乾燥温度は120℃とした。
【0037】
得られた試料を、45℃の塩化第2鉄水溶液中に浸漬し、パターン状にアルミニウム箔を酸エッチングした後、40℃の5%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、レジスト層を膜状に剥離除去した。その後、中和、水洗、乾燥工程を経て、ICタグ用アンテナ回路パターンを得た。
【0038】
酸エッチング後の各レジスト層表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、200倍)で観察すると、アンテナパターン1個(総表面積4cm2 )あたりのピンホールが10個確認された。また、同様の操作で20個試料を作製(n=20)し、そのレジスト層表面におけるピンホール数を観察し、その平均を求めたところ9.9個であった。また、得られたいずれの回路パターンにおいても、断線は確認できず、歩留りよく、ICタグ用アンテナ回路パターンを製造することができた。
【0039】
(実施例2)
(金属箔エッチッング用レジストの作成)
金属箔エッチッング用レジストとして、下記組成で示されるインキを用意した。
〔インキ組成〕
・ アクリル系樹脂{BASFジャパン社製「ジョンクリル67」(Mw=12,500、酸価213mgKOH/g、Tg=73℃)} ・・・ 33.6質量部
・ 顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:3) ・・・ 3.0質量部
・ シリカ微粒子{東ソー・シリカ社製「ニップシールSS−50A」(粒径2.3μm、球状粒子)} ・・・ 5質量部
・ メチルエチルケトン ・・・ 24.8質量部
・ トルエン ・・・ 16.8質量部
・ イソプロピルアルコール ・・・ 16.8質量部
の組成を、ナノミル分散機を使用してインキ化{粘度(ザーンカップ#4 25sec(25℃)}した。
【0040】
得られたインキを使用して、実施例1と同様にしてレジスト層を形成し、同様にエッチング処理し、ICタグ用アンテナ回路パターンを得た。
【0041】
酸エッチング後の各レジスト層表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、200倍)で観察すると、アンテナパターン1個(総表面積4cm2 )あたり、ピンホールが3個確認された。また、同様の操作で20個試料を作製(n=20)し、そのレジスト層表面におけるピンホール数を観察し、その平均を求めたところ2.4個であった。また、得られたいずれの回路パターンにおいても、断線は確認できず、歩留りよく、ICタグ用アンテナ回路パターンを製造することができた。
【0042】
(実施例3)
(金属箔エッチッング用レジストの作成)
金属箔エッチッング用レジストとして、下記組成で示されるインキを用意した。
〔インキ組成〕
・ アクリル系樹脂{BASFジャパン社製「ジョンクリル67」(Mw=12,500、酸価213mgKOH/g、Tg=73℃)} ・・・ 33.6質量部
・ 顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:3) ・・・ 3.0質量部
・ シリカ微粒子{東ソー・シリカ社製「ニップシールSS−50A」(粒径2.3μm、球状粒子)} ・・・ 7質量部
・ メチルエチルケトン ・・・ 24.8質量部
・ トルエン ・・・ 14.8質量部
・ イソプロピルアルコール ・・・ 16.8質量部
の組成を、ナノミル分散機を使用してインキ化{粘度(ザーンカップ#4 25sec(25℃)}した。
【0043】
得られたインキを使用して、実施例1と同様にしてレジスト層を形成し、同様にエッチング処理し、ICタグ用アンテナ回路パターンを得た。
【0044】
酸エッチング後の各レジスト層表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、200倍)で観察すると、アンテナパターン1個(総表面積4cm2 )あたり、ピンホールが2個確認された。また、同様の操作で20個試料を作製(n=20)し、そのレジスト層表面におけるピンホール数を観察し、その平均を求めたところ2.7個であった。また、得られたいずれの回路パターンにおいても、断線は確認できず、歩留りよく、ICタグ用アンテナ回路パターンを製造することができた。
【0045】
(比較例1)
(金属箔エッチッング用レジストの作成)
金属箔エッチッング用レジストとして、下記組成で示されるインキを用意した。
〔インキ組成〕
・ アクリル系樹脂{BASFジャパン社製「ジョンクリル67」(Mw=12,500、酸価213mgKOH/g、Tg=73℃)} ・・・ 33.6質量部
・ 顔料(C.I.ピグメント ブルー 15:3) ・・・ 3.0質量部
・ メチルエチルケトン ・・・ 24.8質量部
・ トルエン ・・・ 21.8質量部
・ イソプロピルアルコール ・・・ 16.8質量部
の組成を、ナノミル分散機を使用してインキ化{(ザーンカップ#4 22sec(25℃)}した。
【0046】
得られたインキを使用して、実施例1と同様にしてレジスト層を形成し、同様にエッチング処理し、ICタグ用アンテナ回路パターンを得た。
【0047】
酸エッチング後の各レジスト層表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、200倍)で観察すると、アンテナパターン1個(総表面積4cm2 )あたり、ピンホールが24個確認された。また、同様の操作で20個試料を作製(n=20)し、そのレジスト層表面におけるピンホール数を観察し、その平均を求めたところ24.0個であった。また、得られた回路パターンには、断線や狭隘化が生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量6,000〜150,000、酸価60〜250mgKOH/g、ガラス転移温度30〜120℃のアルカリ可溶型樹脂と、該アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して粒径が1.0〜8.0μmの体質顔料粒子を1.0〜35質量部の割合で含む熱乾燥型のグラビア印刷用インキであることを特徴とする金属箔エッチッング用レジスト。
【請求項2】
体質顔料粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1記載の金属箔エッチッング用レジスト。
【請求項3】
金属箔上に、重量平均分子量6,000〜150,000、酸価60〜250mgKOH/g、ガラス転移温度30〜120℃のアルカリ可溶型樹脂と、該アルカリ可溶型樹脂100質量部に対して粒径が1.0〜8.0μmの体質顔料粒子を1.0〜35質量部の割合で含む熱乾燥型のインキを使用してグラビア印刷により乾燥膜厚2〜5μmのレジストパターン膜を設けた後、該レジストパターン膜を介して前記金属箔を酸エッチングし、さらに、残存するレジストパターン膜をアルカリで可溶化して除去することを特徴とする金属箔パターン形成方法。
【請求項4】
金属箔パターンが、ICタグ用アンテナ回路パターンであることを特徴とする請求項3記載の金属箔パターン形成方法。

【公開番号】特開2009−76814(P2009−76814A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246627(P2007−246627)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】