説明

金属蒸着用の容器及びその製造方法

【課題】 蒸発面での溝形成の程度及びパターンを緩和することによって蒸着ボートの有効寿命をさらに延ばす。
【解決手段】 向上した有効寿命及び耐食性を有する金属蒸発用の耐火性容器であって、容器の蒸発面は底面に形成された複数の溝を有する。かかる溝は、1.2mm以上の深さ、1.75mm以上の幅、又は隣接する溝間(又は隣接する溝の中心間)で2.2mm以上の間隔、或いはこれらの組合せを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の真空蒸着用の改良容器に関する。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着は、金属、ガラス及びプラスチックからなる各種の基体上にアルミニウム、銅、亜鉛及びスズのような金属を被覆するための常法である。金属は、通例、当技術分野で一般に「ボート」又は蒸着ボートといわれる金属製又はセラミック製の容器内で抵抗加熱することで気化される。ボートは減圧室内で電源に接続され、ボートに接触して配置された金属装入物が気化するのに十分な制御作業温度に加熱される。
【0003】
真空蒸着法では、蒸着ボート内の金属融液を非常に高い温度(多くの場合には、鋳造作業で通例見られる温度より高い、1200℃以上の温度)に加熱する。これは、金属融液がはるかに攻撃的で腐食性の酸として作用し、蒸着ボートの寿命を縮めることを意味する。加えて、その期間中に加熱、冷却、及び溶融金属への暴露を繰り返しながら運転を行った場合、ボートの寿命はさらに短くなる。
【0004】
長いボート寿命を得るために重要な一要因は、ボートのキャビティ内のスラグ堆積物の湿潤性である。数時間の運転後に、ボート内の金属パッドルの周縁にスラグが堆積し始まる。スラグは溶融金属と耐火性ボートとの反応の副生物であり、通例は蒸着金属に対して濡れを示さない。それは金属パッドルの広がりを阻止し、したがって作業温度を上昇させ、ボートの有効寿命をさらに短くする。ボート及び/又はスラグ表面の濡れを改善することは、蒸着ボートの平均寿命を延ばすための重要な要因であると考えられる。
【0005】
ボートの寿命に影響を及ぼす別の要因は、溶融アルミニウムによる腐食に対する抵抗性である。蒸着中、溶融アルミニウムはボートの表面を腐食し、通例はボートの前方から後方に走ると共にボートの深さ方向に貫入する深い溝を生じる。やがて、これらの溝はアルミニウム融液の広がりをもたらし、蒸着基体上における蒸着層の均一性に影響を及ぼす。その上、溝中へのアルミニウムの過度の蓄積のため、溝は液体アルミニウムのスパッターを生じることがある。アルミニウムのスパッターは蒸着基体に穴をあける。蒸着基体に不均一性が見られた時点、又は金属スパッターのためボートに穴が生じた時点で、ボートを交換するのが通例である。したがって、溝の深さを最小限に抑えるか、又は蒸発面での溝の形成を遅らせば、長い有効ボート寿命を得ることができる。
【0006】
国際公開第2005/049881号には、間接的に長いボート寿命をもたらすことができる、湿潤性の向上した蒸着ボートが開示されている。かかるボートは、0.03〜1mmの深さ、1mmを超える長さ、0.1〜1.5mmの幅及び2.0mm未満の溝間距離をもった複数の溝を有している。
【0007】
図23は、(米国特許第6645572号に記載されているような)先行技術に従って複数の溝を有する蒸着ボートを示す上面図である。この場合、若干の溝はその長さがボートの導電方向と整列しており、残りの溝は大部分の長さについてボートの導電方向と平行に延びている。
【特許文献1】国際公開第2005/049881号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6645572号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
蒸発面での溝形成の程度及びパターンを緩和することで蒸着ボートの有効寿命をさらに延ばすニーズが依然として存在する。本発明者らは、蒸着ボートの溝の深さ及び/又は幅及び/又は間隔を増大させれば、向上した湿潤性を維持しながら蒸発面での溝形成の程度を低下させると共に溝形成パターンを均一化し、それにより先行技術に比べてボートの有効実用寿命を延ばし得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、溶融金属に接触する蒸発面を有し、耐火性ボートの長軸に平行な導電方向を有し、蒸発面に複数の溝を有する、金属蒸着用の耐火性容器であって、溝の各々が1.2mm以上の深さ、1.75mm以上の幅及び2.2mm以上の間隔の1以上を有し、複数の溝の2以上が少なくとも一部の長さについて耐火性ボートの導電性方向と10〜170°の角をなしている耐火性容器に関する。
【0010】
本発明はさらに、溶融金属に接触する蒸発面に複数の溝を設けることで耐火性ボートの実用寿命を延ばすための方法であって、かかる溝が1.2mm以上の深さ、1.75mm以上の幅及び2.2mm以上の間隔の1以上を有し、複数の溝の2以上が一部の長さについて耐火性ボートの導電性方向と10〜170°の角をなして位置することを含んでなる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書中で使用する「第一の」、「第二の」などの用語は、順序や重要性を表すのではなく、むしろ1つの要素を別の要素から識別するために使用される。また、単数形で記載した用語は数量の限定を表すのではなく、むしろ言及されたものが1以上存在することを表す。さらに、本明細書中に開示されるすべての範囲は端点を含み、独立に結合可能である。
【0012】
本明細書中で使用する、概略を表す言葉は、関係する基本機能の変化を生じることなしに変動し得る任意の数量表現を修飾するために適用できる。したがって、「約」及び「実質的には」のような用語で修飾された値は、場合によっては明記された厳密な値に限定すべきでないことがある。
【0013】
本明細書中で使用する「蒸着ボート」という用語は、蒸着用加熱源を表すため、「耐火性ボート」、「蒸発ボート」、「蒸発容器」、「エバポレーターボート」、或いは単に「容器」又は「ボート」と互換的に使用されることがある。
【0014】
本明細書中で導電方向とは、蒸着ボートの主軸(長軸)に平行な長手方向を意味する。
【0015】
A.本発明のボートの組成:本発明の蒸着ボートの組成に関しては、一実施形態では、蒸着ボートは、二ホウ化チタン、二ホウ化ジルコニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化クロム及びこれらの混合物のような導電性成分と、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、希土類金属の窒化物、アルミナ、シリカ、酸化ホウ素、オキシ窒化ホウ素、希土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、及びこれらの混合物のような非導電性成分とを含んでいる。窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素又は無定形窒化ホウ素或いはその混合物である。混合材料の組成物は、理論密度の約90%以上の密度(%TD)を有している。かかる組成物は、米国特許第3544486号、同第3915900号、同第4528120号、同第5604164号及び米国特許出願公開第2005−0065015号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)を始めとする様々な特許及び刊行物に記載されている。
【0016】
本発明の一実施形態では、ボートは、BN10〜60wt%と、元素Al、Si、Ti、Fe、Co、Ni及びこれらの混合物の窒化物の1種以上0〜60wt%と、Ti、Zr、Al、Cr及びこれらの混合物のホウ化物並びにSi、Ti及びCrの炭化物からなる群から選択される1種以上の電子伝導性物質30〜70wt%との混合材料からなる。一実施形態では、ボートは10〜60wt%のBNと、0〜60%の少なくともAlN又はSiNと、30〜70wt%の少なくとも二ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、ホウ化クロム、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化クロムとを含んでいる。
【0017】
一実施形態では、ボートは、耐火性ホウ化物(主として二ホウ化チタン)と、1種以上の耐火性窒化物(主として窒化ホウ素及び/又は窒化アルミニウム)と、ホウ化物、酸化物、炭化物、窒化物及びこれらの混合物である金属化合物、遷移金属化合物、アルカリ金属化合物及び希土類金属化合物の1種以上約0.10〜25wt%とから実質的になる。
【0018】
一実施形態では、希土類金属化合物は酸化イットリウムから実質的になる。第二の実施形態では、アルカリ金属化合物は酸化カルシウムから実質的になる。本発明の第三の実施形態では、金属化合物は酸化アルミニウムから実質的になる。第四の実施形態では、遷移金属化合物はホウ化鉄から実質的になる。第五の実施形態では、ボートは、a)二ホウ化チタン及び窒化ホウ素、又は二ホウ化チタン、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムと、b)モリブデン、タングステン、タンタル及びニオブから選択される金属と、c)CaO、MgO、Al、TiO、これらの酸化物の化合物、及びY、YAG(Al12)、YAP(AlYO)、YAM(Al)などの希土類酸化物のような酸化物とを含んでいる。一例では、容器ボートは、窒化ホウ素45〜65wt%と、二ホウ化チタン35〜65wt%と、酸化物、炭化物、窒化物及びこれらの混合物のような希土類化合物0.10〜10wt%とから実質的になる。別の例では、容器ボートは10wt%以下の窒化アルミニウム、又は酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び二酸化チタンの1種以上をさらに含んでいる。
【0019】
B.高密度物体の形成:一実施形態では、耐火性ボートは、各種の成分からなる混合物を成形して50%以上のTDを有する未焼結物体を形成し、次いでこの物体を型圧縮することで製造される。一実施形態では、未焼結物体を約100〜300MPaの圧力下で約1400℃以上の高密度化温度に加熱することで90%以上のTDが得られる。一実施形態では、一様な密度分布及び一様な等方性ミクロ組織を有する高密度物体を得るため、(例えば、オートクレーブ内で)未焼結物体のあらゆる側面に圧力が加えられる。別の実施形態では、未焼結物体に1800〜2200℃の温度及び1〜100MPaの圧力で熱間静水圧圧縮成形が施される。さらに別の実施形態では、0.5〜200MPaの一軸圧縮成形又は常温静水圧圧縮成形後に熱間圧縮成形が行われる。
【0020】
一実施形態では、未焼結物体は1000℃を超える温度での無圧焼結で高密度化される。別の実施形態では、未焼結物体はスリップキャスティング、テープキャスティング、逃散性型鋳造又は遠心鋳造のような方法で形成される。
【0021】
C.パターン化上面を有する蒸着ボートの形成:焼結工程後、帯のこ、グラインダーなどの当技術分野で公知の工具を用いる手動手段、或いは放電加工(EDM)、放電研削(EDG)、レーザー加工、プラズマ加工、超音波加工、サンドブラスチング、水ジェットなどの代替手段を始めとする各種の手段により、高密度物体は適当なボート形状に形成される。一実施形態では、最終蒸着用途に応じた所望の形態(即ち、ボートの寸法、上面へのキャビティ形成、及びボートの上面のパターン化)を実現するため、機械加工は所定の計算機制御パターン(「CNC」)に従って行われる。
【0022】
ボートの一例では、高密度物体は、50〜200mmの長さ、10〜35mmの幅及び8〜30mmの奥行又は厚さを有すると共に、長さ45〜120mm、幅7〜32mm、深さ0.5〜4mmのキャビティを有するボートに機械加工される。別の実施形態では、ボートは長さ41.275mm(1−5/8″)、幅14.2875mm(9/16″)及び奥行26.9875mm(1−1/16″)の寸法を有する。このボートのキャビティは、34.925mm(1.375″)×11.1125mm(0.4375インチ)×3.175mm(0.125インチ)の寸法を有する。
【0023】
用途に応じ、本発明のボートは図面に示すような各種の形状及び形態を有し得る。一実施形態では、ボートは図1〜2、15及び17に示すように長方形の形状及び長方形の横断面を有している。別の実施形態では、ボートは図13に示すように楕円形の横断面を有し、図16に示すように逆三角形の横断面を有し、図14に示すようにT形の横断面を有し、図18に示すように逆U形又は帽子形の横断面を有し、図19に示すように逆二等辺台形の横断面を有し、或いは図20に示すように二等辺台形の横断面を有する。図21に示すような別の実施形態では、ボートは2つの端部については長方形の横断面を有するが、中央部分は冷却表面積を増大させるために逆二等辺台形をなしている。図22に示すような別の実施形態では、冷却表面積を増大させる目的のため、ボートは2つの端部については長方形の横断面を有するが、中央部分は二等辺台形の横断面を有している。
【0024】
本発明の一実施形態では、本発明のボートは平滑面を有し、その上に溝が形成されている。別の実施形態では、ボートは上面に1以上のキャビティを有し、キャビティの表面上に溝が形成されている。別の実施形態では、例えば2種以上の低融点金属を同時に蒸着するため、ボートは表面に複数のキャビティを有している。キャビティは、図13、15、16、17及び18に示すように様々な形状、形態及び寸法を有し得る。複数のキャビティを有するボートについては、キャビティは同一の又は相異なる形状、形態及び寸法を有し得る。
【0025】
一実施形態では、キャビティは図15に示すような楕円形の横断面を有している。別の実施形態では、キャビティは図16に示すように逆二等辺台形をなしている。さらに別の実施形態では、キャビティは図17に示すようにボートキャビティの中心に最大深さを有する弓形をなしている。第四の実施形態では、キャビティは図13に示すように一定の浅い深さを有している。第五の実施形態では、キャビティは図18に示すようにボートの厚さに比べて比較的深い。
【0026】
一実施形態では、(溶融金属を蒸発させるための)ボートのキャビティ及び/又は上面は、濡れ向上被膜及び/又は耐食被膜として機能する層で被覆される。かかる被膜は、はけ塗装、はけ塗り、吹付け、ロール塗り、浸し塗りなどで施工できる。かかる被膜は、米国特許第6645572号に開示されているような導電性成分組成物からなるか、或いはCaO、MgO、SiO、ZrO、B、Al、TiO、酸化ハフニウム、これらの酸化物の化合物、及びY、YAG(Al12)、YAP(AlYO)、YAM(Al)などの希土類金属酸化物のような酸化物、又はTiN、BN、AlN、Si及びこれらの混合物のような窒化物、又は金属アルコキシド、ケイ素アルコキシド、アルミナ溶液及びシリカ溶液の1種である化合物から選択される非導電性組成物からなり得る。非導電性組成物とは、室温で1500マイクロオーム−cmを超える抵抗率を有し、作業温度で4500マイクロオーム−cmを超える抵抗率を有する組成物を意味する。
【0027】
一実施形態では、被膜は、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、ケイ化物及びこれらの混合物の1種以上からなる非導電性組成物である。別の実施形態では、被膜は、BN、AlN、ホウ化鉄、TiB、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr、MoC、WC(これらの化合物、誘導体及び混合物を含む)の1種以上の細粉を水、アセトン、アルミナゾルなどに懸濁した懸濁液からなる。第三の実施形態では、非導電性被膜は、General Electric社及びZyp Coatings社のような供給源から商業的に入手できるBNペイントである。第四の実施形態では、導電性被膜は、グリセロールを結合剤としたTiB粉末のペーストからなる。第五の実施形態では、TiB粉末をボートの表面上に散布し、次いでYAGレーザーで照射する。
【0028】
別の実施形態では、被膜は金属アルコキシド及びケイ素アルコキシドから選択される酸化物薄膜層である。第二の実施形態では、被膜層はアルミナゾル(ベーマイトアルミナコロイド溶液)或いはシリカゾル(例えば、テトラエトキシシランTEOS又はテトラメトキシシランTMOS)からなる。第四の実施形態では、被膜はTiC及びアルミナゾルの混合物である。
【0029】
本発明のボートは、図1〜12に示すようにボート表面又はボートキャビティに形成された複数の溝を含んでいる。かかる溝は、別々の溝として独立していてもよく(例えば、図5、6、7、9及び10中の平行溝)、相互に連絡していてもよく(図1、2及び8を参照されたい)、或いは表面上で独立した溝と相互に連絡した溝との組合せをなしていてもよい(図11及び12)。
【0030】
本明細書中で定義される通り、「溝」とはキャビティの1つの寸法(幅又は長さ)を横切って延びる流路である。例えば、直線状又は曲線状の流路或いはキャビティ表面上で自己終結する流路であって、ランダムな幾何学的形状を有するものもあれば、円形(図12)、正方形、長方形、三角形、ダイヤモンド形(図11)、楕円形などの形状を有するものもある。かかる溝は、グラインダーやドリルの使用のような公知の自動又は手動機械的手段、放電加工(EDM)、放電研削(EDG)、レーザー加工、プラズマ加工、超音波加工、サンドブラスチング、水ジェットなどより、ボート表面又はキャビティ表面に形成される。
【0031】
一実施形態では、溝は図12に示すように円形である。別の実施形態では、溝は図5、6、8及び9に示すようなランダムな幾何学的形状を有する。第三の実施形態では、溝は図1〜4、7及び10に示すように直線をなしている。第四の実施形態では、溝は図6に示すようにランダムな線をなしている。第五の実施形態では、溝は導電方向に平行でない方向に沿って形成される(即ち、ボートの主軸と整列していない)。第六の実施形態では、50%以上の溝が互いに交差している。第七の実施形態では、図5及び6に示すように溝は全く交差していない。
【0032】
一実施形態では、図7に示すように、溝は少なくとも一部の長さについて導電方向(ボートの長軸)と10〜170度の角をなしている。「少なくとも一部の長さ」とは、溝の長さの20%以上を意味する。別の実施形態では、溝の長さの40%以上が導電方向と10〜170度の角をなしている。
【0033】
別の実施形態では、図10に示すように、溝は導電方向と20〜160度の角をなしている。第三の実施形態では、図8に示すように、溝の10%以上が導電方向と10〜170度の角をなしている。第四の実施形態では、図8に示すように、溝の50%以上が導電方向と10〜170度の角をなしている。
【0034】
一実施形態では、溝は図8に示すように相互に連絡している。別の実施形態では、図11〜12に示すように、25%以上の溝が相互に連絡している。
【0035】
一実施形態では、溝のみが、溶融金属と接触したボート表面を被覆するために前述したような濡れ向上被膜層及び/又は耐食被膜層(例えば、導電性組成物又は非導電性組成物)で被覆又は充填される。非導電性組成物とは、室温で1500μΩ−cmを超える抵抗率を有し、作業温度で4500μΩ−cmを超える抵抗率を有する組成物を意味する。
【0036】
その例には、BN、AlN、TiB、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr、MoC、WC、これらの誘導体及び混合物、金属アルコキシド、ケイ素アルコキシド及びこれらの混合物があり、これらははけ塗装、はけ塗り、吹付け、ロール塗り、浸し塗りなどで溝上に施工される。
【0037】
本発明者らは、溝の深さを最小にするか、或いは蒸発面での溝の形成を抑制することで、即ち、複数の溝の各々がa)1.2mm以上の深さ、b)1.75mm以上の幅及びc)2.2mm以上の間隔の1以上を有すると規定することで、意外にもボート寿命を延ばし得ることを見出した。
【0038】
一実施形態では、本発明のボートは1.2mm以上の深さ及び1.75mm以上の幅をもった溝を有するものとして特徴づけられる。別の実施形態では、溝は1.5〜5mmの範囲内の深さを有する。第二の実施形態では、1.5mm以上の深さを有する。第三の実施形態では、2mm以上の深さを有する。
【0039】
一実施形態では、本発明のボートは1.0mmの深さ、1mmの幅及び2.5mmの間隔を有する。別の実施形態では、ボートは、図1〜4に示すように(ランダムな線状又は直線状の溝について)隣接する溝同士が1mm(0.039″)以上離隔していることを特徴とする。別の実施形態では、深さ1.5mmの溝が2mm(0.079″)以上離隔している。別の実施形態では、深さ1mmの溝が2.5mm以上離隔している。さらに別の実施形態では、円形、三角形、正方形、長方形又は楕円形の形状を有する深さ1.2mmの隣接溝の中心が1mm以上離隔している。
【0040】
一実施形態では、溶融金属の湿潤性を高めるため、溝は不均等な深さを有する。例えば、ボートのキャビティの中心での溝はボートの縁端付近での溝より深い。一実施形態では、溝は50%以上の深さの差を有する。即ち、最も深い溝は最も浅い溝より50%以上深い。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を例証するために実施例を示すが、これらは本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0042】
例1〜4
いずれの例でも、GE Advanced Ceramics社(ストロングヴィル、米国オハイオ州)から「VaporStar」の商品名で商業的に入手できるエバポレーターボートを使用した。かかるボートを、幅30mm、厚さ10mm及び長さ150mmの総合寸法を有するように機械加工した。溝がボートの長軸と45度の角をなして相互に連絡したパターンをなすようにして、ボートの表面に様々な寸法の溝を機械加工した。溝は、下記の寸法を有するようにして、サンドブラスト技術を用いて機械加工した。
【0043】
【表1】


図1〜2は例3〜4における本発明のボートの斜視図であり、図3〜4はその上面図である。例1及び2は、先行技術の溝付きボートを例示する比較例である。図24(a)〜27(a)は、蒸着前における例1〜4のボートの溝付き部分の上面図を示す写真である。
【0044】
これらの例で製造した蒸発ボートを約1×10−4ミリバールの減圧室内で試験した。直接に電流を流してボートを加熱し、直接加熱で1500℃の温度にした。溝付きパターン中央領域付近にアルミニウム線を供給することで、蒸着用のアルミニウムを連続的に供給した。線供給量は、1時間ずつ8つの期間(8時間の全蒸着時間)について毎分9.5グラムであった。1時間ずつの蒸着期間の間には、ボートを冷却し、軟質プラスチックの剛毛ブラシで軽くブラシ掛けした。このブラシ掛けは、実際の用途での基体ロール交換中におけるボートの典型的な冷却、通気及び清掃を模擬するものであった。蒸着中、ボート温度は、ボートの蒸発面全体にわたる溶融アルミニウムの一様な広がり及び蒸発を維持するように制御した。
【0045】
試験の進行中、アルミニウムの広がりは安定であり、すべてのボートについて一定していた。アルミニウムは、本発明の実施例3〜4では軽度で一様な溝形成をもたらすのに比べ、比較例1〜2のボートでは一層激しい長手方向の溝形成をもたらすことが認められた。8時間の蒸着後、ボートの写真を撮影すると共に、ドロップゲージを用いて溝の最も深い箇所を測定した。
【0046】
表2中で、「試験後の最小厚さ」は、8時間の蒸着期間後における最も深い溝形成箇所でのボートの厚さである。「試験後の最大摩耗深さ」は、最初に機械加工した溝の底面からの摩耗深さ、即ち初期最小厚さから蒸着後の厚さを引いた値である。「初期厚さの%としての摩耗深さ」は、初期最小厚さに対する「試験後の最大摩耗深さ」の百分率として計算される。
【0047】
【表2】


図24(b)〜27(b)は、8時間の蒸着後における例1〜4のボートの上面図を示す写真である。写真に見られる通り、本発明のボートはかなり良い状態に維持されていて、軽度で一様な溝形成はボートに追加の寿命が残されていることを示し、さらに4時間以上にわたり使用可能であると予想される。先行技術の溝寸法を有する蒸着ボートは、写真に見られるように急速に腐食され、一部の溝はボートの長手方向に沿って深く貫入している。
【0048】
例5〜8
これらの例でも、GE Advanced Ceramics社(ストロングヴィル、米国オハイオ州)から「VaporStar」の商品名で商業的に入手できるエバポレーターボートを使用した。かかるボートを、10mm×40mm×132mmの総合寸法を有するように機械加工した。
【0049】
図29(a)、30(a)及び31(a)のボートの上面は、320番のサンドペーパーを用いて水研ぎした。図28(a)のボートの上面には、標準砥石車で研削することで深さ0.25mmの研削キャビティを形成した。図30(a)のボートの上面には、Dremel工具を用いて幅約1mm、深さ1mm、間隔約4mmの溝を手動で機械加工することで、導電方向と約45°の角をなす交差パターンを形成した。図31(a)のボートの上面には、Dremel工具を用いて溝を手動で機械加工することで、深さ約1mm、幅1mm、間隔3mmの縦溝を有する先行技術の溝パターンを形成した。
【0050】
例1〜4と同様なアルミニウム蒸着条件下で、5時間にわたりボートを試験した。図31(b)に示す通り、縦溝を有する先行技術のボートには長さ方向に沿って深い溝が生じた。図28(b)及び29(b)に示す通り、最初に研削キャビティ又は平滑面を有する先行技術のボートにも深い溝が生じた。図30(b)は、(十字形パターン及び広い間隔を有する)本発明のボートにおける溝はそれほど深くなく、十字形パターンに沿いながらボートの表面全体にわたり一様に広がっていることを示している。さらに、先行技術のボート(図28b、29b及び31b)に比べ、図30(b)に示す本発明のボートの表面では、5時間の使用中におけるパッドル形状は一様に広がった状態に保たれることも認められた。
【0051】
実施例9
GE Advanced Ceramics社(ストロングヴィル、米国オハイオ州)から「VaporStar」の商品名で商業的に入手できるエバポレーターボートを使用した。かかるボートを、10mm×40mm×132mmの総合寸法を有するように機械加工すると共に、例4のボートと同一の寸法(即ち、1mmの太さ、0.9mmの深さ及び5mmの間隔)を有する溝を形成した。溶融金属に接触する蒸発面及び溝を含め、ボート表面を窒化ホウ素(BN)ペイントで被覆した。BN被覆用ペイントは、General Electric社(米国オハイオ州ストロングヴィル)及びZyp Coatings社(米国テネシー州オークリッジ)を始めとする供給源から商業的に入手できる(例えば、GE社からの水性BN、又はZyp社からのBN Lubricoat(登録商標)Blue)。
【0052】
例4と同様なアルミニウム蒸着条件下でボートを試験した。ボートはかなり良い状態に維持されていて、8時間後における例4のボートと比較しても、軽微で一様な溝形成を示した。試験は全部で17時間にわたって継続され、被膜が溝付きボートの寿命を実質的に延ばすことを示した。
【0053】
以上の説明では、実施例を用いることで、最良の形態を含めて本発明を開示すると共に、すべての当業者が本発明を実施し使用することを可能にする。本発明の特許可能範囲は、特許請求の範囲で定義されていると共に、当業者に想起される他の実施例も包含し得る。かかる他の実施例は、特許請求の範囲中の言葉そのものと異ならない構造要素を有するならば、或いは特許請求の範囲中の言葉そのものと実質的な違いのない同等な構造要素を含むならば、特許請求の範囲内に包含されるものと想定される。
【0054】
本明細書中に引用したすべての文献の開示内容は、援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の蒸着ボートの一実施形態の斜視図である。
【図2】交差する溝同士が比較的離れて配置されている本発明の第二の実施形態を示す斜視図である。
【図3】図1の蒸着ボートの上部蒸発面図である。
【図4】図2の蒸着ボートの上部蒸発面図である。
【図5】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図6】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図7】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図8】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図9】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図10】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図11】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図12】本発明のボートの様々な実施形態を示す上面図である。
【図13】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図14】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図15】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図16】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図17】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図18】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図19】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図20】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図21】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図22】本発明のボートの様々な形状を示す斜視図である。
【図23】先行技術の蒸着ボートを示す上面図である。
【図24a】比較用ボートの溝パターンを示す写真である。
【図24b】8時間の蒸着後における比較用ボートの溝パターンを示す写真である。
【図25a】比較用ボートの溝パターンを示す写真である。
【図25b】8時間の蒸着後における比較用ボートの溝パターンを示す写真である。
【図26a】本発明のボートの溝パターンを示す写真である。
【図26b】8時間の蒸着後における本発明のボートの溝パターンを示す写真である。
【図27a】本発明のボートの溝パターンを示す写真である。
【図27b】8時間の蒸着後における本発明のボートの溝パターンを示す写真である。
【図28a】蒸着前における(縦溝を有する)比較用ボートのパターンを示す写真である。
【図28b】5時間の蒸着後における図28aのボートの写真である。
【図29a】蒸着前における(溝のない)比較用ボートのパターンを示す写真である。
【図29b】5時間の蒸着後における図29aのボートの写真である。
【図30a】蒸着前における本発明のボートのパターンを示す写真である。
【図30b】5時間の蒸着後における図30aのボートの写真である。
【図31a】蒸着前における(縦溝を有する)比較用ボートのパターンを示す写真である。
【図31b】5時間の蒸着後における図31aのボートの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属に接触する蒸発面を有し、耐火性ボートの長軸に平行な導電方向を有し、蒸発面に複数の溝を有する金属蒸発用の耐火性容器であって、複数の溝の各々が1.2mm以上の深さ、1.75mm以上の幅及び2.2mm以上の間隔の1以上を有し、2以上の溝が20%以上の長さについて耐火性ボートの導電方向と10〜170度の角をなしていることを特徴とする耐火性容器。
【請求項2】
溶融金属に接触する蒸発面を有し、耐火性ボートの長軸に平行な導電方向を有し、蒸発面に複数の溝を有する金属蒸発用の耐火性容器であって、
複数の溝の各々が1.2mm以上の深さ及び1.75mm以上の幅の1以上を有し、
溶融金属に接触する蒸発面の少なくとも一部が少なくとも非導電性組成物を含む層で被覆されている、耐火性容器。
【請求項3】
2以上の溝が25%以上の長さについて耐火性ボートの導電方向と10〜170度の角をなしている、請求項1又は請求項2記載の耐火性容器。
【請求項4】
2以上の溝が50%以上の長さについて耐火性ボートの導電方向と10〜170度の角をなしている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項5】
1以上の溝が耐火性ボートの導電方向に対して垂直であり、溶融金属に接触する蒸発面の一端に位置している、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項6】
複数の溝の2以上が相互に連絡している、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項7】
複数の溝が2.5mm以上の間隔で離隔している、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項8】
複数の溝が1.5mm以上の深さを有する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項9】
複数の溝が2mm以上の幅を有する、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項10】
複数の溝が、2以上の相互に連絡した溝と、耐火性ボートの導電方向と10〜170度の角をなす2以上の溝とを含んでいる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項11】
溶融金属に接触する蒸発面の少なくとも一部が濡れ向上層及び耐食層の1以上で被覆されており、前記1以上の層が酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群の1種以上を含んでいる、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項12】
1以上の層が、ホウ化物、炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物及びこれらの混合物の1種以上を含む非導電性組成物である、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項13】
層が、遷移金属、高融点金属、希土類金属又はアルカリ土類金属の窒化物の1種以上を含んでいる、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項14】
層が、CaO、MgO、SiO、ZrO、B、Al、TiO、酸化ハフニウム、Y、YAG(Al12)、YAP(AlYO)、YAM(Al)、窒化カルシウム、TiN、BN、AlN、Si、金属アルコキシド、ケイ素アルコキシド、アルミナ溶液、シリカ溶液、これらの化合物、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群の1種以上を含んでいる、請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項15】
複数の溝が濡れ向上層及び耐食層の1以上で被覆されている、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項16】
1以上の層が、ホウ化物、炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物、これらの化合物、これらの誘導体、及びこれらの混合物の1種以上を含む非導電性組成物である、請求項13記載の耐火性容器。
【請求項17】
1以上の層が、BN、AlN、ホウ化鉄、TiB、ZrB、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr、MoC、WC、金属アルコキシド、ケイ素アルコキシド、アルミナ溶液、シリカ溶液、これの化合物、これらの誘導体、及びこれらの混合物の1種以上からなる、請求項13又は請求項14記載の耐火性容器。
【請求項18】
複数の溝が、BN、AlN、SiN並びにこれらの混合物及び誘導体の1種以上を含む1以上の層で被覆されている、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項19】
蒸発面の少なくとも一部が、
BN、AlN、TiB、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr、MoC、WC、これらの化合物、これらの誘導体、及びこれらの混合物の1種以上の細粉、並びに
金属アルコキシド及びケイ素アルコキシドの1種以上から選択される酸化物薄膜層
の1以上で被覆されている、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の耐火性容器。
【請求項20】
複数の溝が、
BN、AlN、TiB、TiC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr、MoC、WC、これらの化合物、これらの誘導体、及びこれらの混合物の1種以上の細粉、並びに
金属アルコキシド及びケイ素アルコキシドの1種以上から選択される酸化物薄膜層
の1以上で被覆されている、請求項18記載の耐火性容器。
【請求項21】
窒化ホウ素又は窒化アルミニウム或いはこれらの混合物約45〜65wt%と、
二ホウ化チタン約35〜65wt%と、
ホウ化物、酸化物、炭化物、窒化物、これらの誘導体、及びこれらの混合物の1種から選択される、金属化合物及び/又はアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物及び/又は遷移金属化合物約0.10〜約25wt%と
から実質的になる、請求項1乃至請求項19のいずれか1項記載の耐火性容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24a】
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【図24b】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29a】
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【図29b】
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【図30a】
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【図30b】
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【図31a】
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【図31b】
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【公開番号】特開2007−138276(P2007−138276A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−343607(P2005−343607)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【復代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
【Fターム(参考)】