説明

金属製外装下地及びこれを用いた外断熱建物の外壁

【課題】 建物外壁に簡易且つ確実に金属製の外装下地を設置することによって外装工事の施工性を向上できるようにする。
【解決手段】 複数の縦レール2に多数のユニット形成用横レール10を載架して形成した金属製格子状のレールユニット1と,長手方向両端をユニット形成用横レール10に連結できるようにした金属製ブリッジ用横レール11とを用いて,縦レール2を柱30にネジ22止めすることによってレールユニット1を間隔を空けて建物外壁に固定し,レールユニット1間の間隔にブリッジ用横レール11を配置して,レールユニット1とブリッジ用横レール10の交互配置によって金属製外装下地Aを形成する。レールユニット1の幅を柱30間の外法寸法とすれば,外装下地Aを芯々寸法によったときの余剰寸法部分が生じないので該部分に対する外装下地の設置を不要化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物に金属製外装下地及びこれを用いた外断熱建物の外壁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種金属製外装下地として,本発明者は,金属製の縦レール(縦胴縁といってもよい)と,該縦レールの上下方向平行に配置する外装材支持用金属製の横レール(横胴縁といってもよい)とによって格子状としたものを提案済みであり,これによれば,建物の柱(間柱を含む。以下同じ)毎の位置に合せて縦レールをネジ,スクリュー釘等によって固定し,該縦レールの上下方向に配置したブラケットに横レールの係合透孔上縁を支持するように,例えば工場乃至現場で格子状のユニットを形成し,これを建物外壁の縦方向及び横方向に並列配置し,然る後にタイル,サイディング等外装材を横レールに設置して外壁を形成するように用いるものとされている。
【0003】
【特許文献1】特願2004−128307号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,外装工事を比較的容易にして確実になし得て,優れた下地強度を確保し,外装材を安定支持する外装下地とすることができ,例えば外断熱建物の外壁に用いることによって,縦レールの厚さ(出幅)の通気空間を形成するとともに建物躯体,例えば柱からの出幅を従前のものと変えないで外断熱層を厚くし建物の断熱性を大きく向上し得る等のメリットを得られるが,例えば上記格子状のユニットを形成したとき,隣接するユニットの各端部における縦レールを柱に対してネジ,スクリュー釘等によって固定する必要が生じるから,ユニットの幅を柱の芯々寸法とし,その各縦レールを柱の芯位置で突合せるように固定する必要が生じるところ,該芯々寸法としたユニットを用いると,建物の等間隔に設置された,特に幅方向最端部に位置する柱に対してユニット端部が芯位置に位置する結果,該柱幅の1/2の余剰幅が残ることになり,該余剰幅の部分にこれをカバーするために端部専用の外装材下地を別途設置する必要が残っており,この点の改良が望まれる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,柱の芯々寸法の制約を受けることなく格子状のユニットを形成することによって最端部の柱においても余剰幅を生じることなくこれをカバーし得るようにして,該余剰幅部分に対する外装下地の設置を不要化して,外装工事の施工性を向上し得るようにした金属製外装下地を提供するにあり,また該金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は,縦レールと外装材を支持する横レールによる格子状のレールユニットと,該レールユニット間にその横レールをそれぞれ連結し同じく外装材を支持するブリッジ用横レールとを用いて,該格子状のレールユニットとブリッジ用横レールとを建物横方向に交互に配置することによって建物幅方向に一連一体の外装下地を形成し得るようにするとともにレールユニットの寸法を芯々寸法とする必要性を解消し,その寸法設定を柱間の外法寸法とし得るようにして余剰幅を生じることなくこれをカバーできるようにして余剰幅に対する外装下地の設置を不要化し得るようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,格子状のレールユニットを形成する金属製の縦レールと該縦レールの上下方向平行に配置する外装材支持用金属製のユニット形成用横レールと,該ユニット形成用横レールをそれぞれ連結するように上記レールユニットと横方向交互に配置する同じく外装材支持用金属製のブリッジ用横レールとを備えてなることを特徴とする金属製外装下地としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,外装下地を上記縦レール,ユニット形成用横レール及びブリッジ用横レールとともに窓,コーナー等にあってレールユニット横幅より短尺寸法部分をカバーして該部分にも一連一体の外装下地を延長して外装材を設置し得るものとするように,これを,上記ユニット形成用横レールをそれぞれ延長するように上記レールユニットの幅調整用にして外装材支持用金属製の延長用横レールを追加的に備えてなることを特徴とする請求項1に記載の金属製外装下地としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記レールユニットを可及的簡易に形成し得るものとするように,これを,上記縦レールが上下に所定ピッチ多数のブラケットを備え且つ上記ユニット形成用横レールが該ブラケット受入係合用の係合透孔を備え,縦レールのブラケットにユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持することによってレールユニットを形成自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製外装下地としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記縦レールのブラケットを共用してブリッジ用横レールを連結し得るものとするように,これを,上記ブリッジ用横レールを,上記ユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持する縦レールのブラケットを共用してユニット形成用横レール係合透孔の外側において該ブラケットに支持することによってユニット形成用横レールを連結自在としてなることを特徴とする請求項3に記載の金属製外装下地としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,更に上記縦レールのブラケットを共用して上記延長用横レールをを連結し得るものとするように,これを,上記延長用横レールを,上記ユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持する縦レールのブラケットを共用してユニット形成用横レール係合透孔の外側において該ブラケットに支持することによってユニット形成用横レールを延長自在としてなることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属製外装下地としたものである。
【0011】
請求項6及び請求項7に記載の発明は,同じく上記に加えて,それぞれ上記縦レールのブラケットを共用したユニット形成用横レールとブリッジ用横レール又は延長用横レールの支持を簡易な構造により確実になし得る好ましい構造のものとするように,請求項6に記載の発明を,上記縦レールのブラケットを,縦レールの底板を切り起し加工して設置した断面略L字状に形成するとともに該ブラケットに内方下向きに係止片を突出して形成し,該係止片を上記ユニット形成用横レールに配置した係止孔にスナップイン係止自在とし且つ縦レールの底板と係止片間にブリッジ用横レールに配置した係合透孔上縁をスライド挟持自在として上記ブラケットを共用して該ブリッジ用横レールをブラケットに支持してなることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属製外装下地とし,請求項7に記載の発明を,上記縦レールの底面と係止片間に上記延長用横レールに配置した係合透孔上縁をスライド挟持自在として上記ブラケットを共用して該延長用横レールをブラケットに支持してなることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属製外装下地としたものである。
【0012】
請求項8及び請求項9に記載の発明は,上記金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁を提供するように,請求項8に記載の発明を,金属製の縦レールと該縦レールの上下方向平行に外装材支持用金属製のユニット形成用横レールを配置して格子状定尺に形成して建物の断熱材外側に該断熱材を介して躯体に固定したレールユニットと,該レールユニットの上記ユニット形成用横レールを連結する同じく外装材支持用金属製のブリッジ用横レールとを建物幅方向交互に配置することによって設置した金属製外装下地と,該金属製外装下地の上記ユニット形成用横レール及びブリッジ用横レールに設置した外装材とを備えてなることを特徴とする金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁とし,請求項9に記載の発明を,上記ユニット形成用横レールをそれぞれ延長するレールユニットの幅調整用にして外装材支持用金属製の延長用横レールを追加的に窓,コーナー等の端部に用いて,該延長用横レールに追加的に設置した外装材を備えてなることを特徴とする請求項8に記載の金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁としたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,縦レールと外装材を支持する横レールによる格子状のレールユニットと,該レールユニット間にその横レールをそれぞれ連結し同じく外装材を支持するブリッジ用横レールとを用いて,該格子状のレールユニットとブリッジ用横レールとを建物横方向に交互に配置することによって建物幅方向に一連一体の外装下地を形成し得るようにするとともにレールユニットの寸法を芯々寸法とする必要性を解消し,その寸法設定を柱間の外法寸法とし得るようにして余剰幅を生じることなくこれをカバーできるようにして余剰幅に対する外装下地の設置を不要化して,外装工事の施工性を向上し得るようにした金属製外装下地を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,外装下地を上記縦レール,ユニット形成用横レール及びブリッジ用横レールとともに窓,コーナー等にあってレールユニット横幅より短尺寸法部分をカバーして該部分にも一連一体の外装下地を延長して外装材を設置し得るものとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記レールユニットを可及的簡易に形成することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記縦レールのブラケットを共用してブリッジ用横レールを連結し得るものとすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,更に上記縦レールのブラケットを共用して上記延長用横レールを連結し得るものとすることができる。
【0019】
請求項6及び請求項7に記載の発明は,同じく上記に加えて,それぞれ上記縦レールのブラケットを共用したユニット形成用横レールとブリッジ用横レール又は延長用横レールの支持を簡易な構造により確実になし得る好ましい構造のものとすることができる。
【0020】
請求項8及び請求項9に記載の発明は,それぞれ上記金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下図面の例に基づいて本発明を更に具体的に説明すれば,Aは,例えば木造軸組構造の建物に外装を行なうために使用する金属製外装下地であり,該外装下地Aは,金属製の縦レール2と,金属製のユニット形成用横レール10と,金属製のブリッジ用横レール11とを備え,更に本例にあっては金属製の延長用横レール12を備えたものとしてある。
【0022】
上記縦レール2とユニット形成用横レール10は,縦レール2の上下方向平行にユニット形成用横レール10を配置することによって格子状のレールユニット1を形成するものとしてあり,ブリッジ用横レール11は上記ユニット形成用横レール10をそれぞれ連結するように上記レールユニット1と建物幅方向交互に配置するものとし,延長用横レール12は,上記ユニット形成用横レール10をそれぞれ延長するように上記レールユニット1の幅調整用のものとしてあり,またこれらユニット形成用横レール10,ブリッジ用横レール11及び延長用横レール12は,それぞれ外装材23支持用のものとしてある。
【0023】
本例にあって縦レール2,ユニット形成用横レール10及びブリッジ用横レール11,更に延長用横レール12は,金属板,例えば亜鉛鍍金鋼板やそのガルバニウム鋼板等の耐食性に優れた金属板,特に鋼板を用いて,これにロールフォーミング,プレス成形等の塑性加工を施すことによって形成してあり,縦レール2,ユニット形成用横レール10及びブリッジ用横レール11は,それぞれ適宜長さに定尺のものとしてあり,縦レール2は,例えば15cm程度の所定ピッチで建物躯体,本例にあっては柱30に固定するネジ又はスクリュー釘22を通す透孔4を透設した底板3と,該底板3の幅方向左右両端を外側に向けて低突出するように起立配置した後述の通気空間形成用の起立リブ5と,該起立リブ5の長手方向両端同一位置に配置したユニット形成用横レール10を受止め載置する横レール受座6とを備えて形成し,ユニット形成用横レール10及びブリッジ用横レール11,更に延長用横レール12は,それぞれ底板13と,該底板13の幅方向上下両端を上端において上向き傾斜の,下端において水平の連結条14を介してそれぞれ垂直上向きの外装材支持条15とを備えたものとしてあり,このとき該ブリッジ用横レール11及び延長用横レール12は,その断面形状を略同一とするもその底板13及び連結条14を僅かに小さく設定することによって,それぞれ上記ユニット形成用横レール10に対して外側からの嵌挿と該嵌挿状態でのスライドをなし得るようにしてある。
【0024】
このとき本例の縦レール2は,例えば45〜50cm程度としてあり,またユニット形成用横レール10は1.5〜2m程度の長さとして,軸組構造の旧尺乃至メートルのモジュールに従って設置した複数の柱,例えば5本分の柱30の外法寸法に一致するように設定してあり,このときブリッジ用横レール11は45〜50cm程度の長さとして,同じく軸組構造のモジュールに従って設置した2本分の柱30の外法寸法乃至該外法寸法程度にし2本の柱30間に跨る寸法に設定してあり,一方延長用横レール12は上記ユニット形成用横レール10より短く,例えば柱30と窓31間のように上記モジュールを外れた柱30間寸法以下の所定長さのものとしてある。
【0025】
本例にあって縦レール2は,これが上下に所定ピッチ多数のブラケット7を備え且つ上記ユニット形成用横レール10が該ブラケット7受入係合用の係合透孔16を備え,縦レール2のブラケット7にユニット形成用横レール10の係合透孔16上縁を支持することによってレールユニット1を形成自在としてあり,また上記ブリッジ用横レール11,更に本例にあっては延長用横レール12は,それぞれ上記ユニット形成用横レール10の係合透孔16上縁を支持する縦レール2のブラケット7を共用してユニット形成用横レール10係合透孔16の外側において該ブラケット7に支持することによってユニット形成用横レール10を連結自在とし,またユニット形成用横レール10を延長自在としてある。
【0026】
このとき本例のブラケット7は,これを,縦レール2の底板3を切り起し加工して設置した断面略L字状に形成するとともに該ブラケット7に内方下向きに係止片9を突出して形成し,該係止片9を上記ユニット形成用横レール10に配置した係止孔17にスナップイン係止自在とし且つ縦レール2の底板13と係止片9間にブリッジ用横レール11に配置した係合透孔16上縁をスライド挟持自在として上記ブラケット7を共用して該ブリッジ用横レール11をブラケット7に支持したものとしてあり,更に本例にあっては延長用横レール12についても該ブリッジ用横レール11におけると同様に底板13と係止片7間に該延長用横レール12に配置した係合透孔16上縁をスライド挟持自在としてその支持を行なったものとしてある。
【0027】
即ちブラケット7は,縦レール2の底板13にプレスの切り起し加工を施すことによって後加工してその設置を行い,底板13の外側に向けて起立リブ5間に上向きの断面L字状をなすように配置し,本例にあってはその上端を外側に向けて上向き傾斜して,上記各横レール の係合透孔16上縁を受入案内する傾斜受部8を配置したものとしてあり,該ブラケット7は,上記ネジ又はスクリュー釘22を通す底板3に透設した多数の透孔4間に,例えば7〜8cmのピッチをなすように各上下2つのブラケット7を配置したものとしてある。また係止片9は,更にブラケット7に同様な切欠加工を施すことによって内方下向きに突出して形成した舌片状のものとしてあり,本例にあって該係止片9は,これをブラケット7の上記傾斜受部8下端から数mm程度を内方下向きに突出したものとしてある。
【0028】
ユニット形成用横レール10の係合透孔16は,該横レール10の底板13をその長手方向両端部で,上記ブラケット7を受入可能な寸法及び形状にその底板に切欠き加工を施すことによって透設した,例えば矩形のものとしてあり,また本例にあっては,該係合透孔16の上部に,例えば水平細長の係止孔17を透設したものとしてある。このとき係止孔17は,係合透孔16にブラケット7を挿通して,例えば下方にユニット形成用横レール10を横レール受座6に載置するように押下げることによって該ブラケット7の下面が係合透孔16の上縁に対接する寸前に係止片17を受入れることによって該係止片17とスナップイン係止をするように,該係合透孔16との位置関係を規制してその透設を行なったものとしてある。
【0029】
本例にあってブリッジ用横レール11は,ブラケット7を受入れた状態でスライドをなし得るものとするとともに該スライドによってブラケット7底板3と係止片7間の係合透孔16上縁の挟持を行なってブラケット7を共用した支持をなし得るように,その底板13の長手方向両端部に切欠き加工を施すことによって配置してあり,本例にあって該ブリッジ用横レール11は,ユニット形成用横レール10への嵌挿によってそのブラケット7に対する位置が規制されるのを利用し,該位置規制の状態でブラケット7を受入れて長手方向一方にスライドすることによってその係合透孔16上縁の挟持を行なうように,ブラケット7の受入孔18と該係合透孔16とを連続するように配置してあり,受入孔18は該ブリッジ用横レール11の長手方向両端部に縦レール2位置に合せて長手方向同一側にブラケット7を受入可能な寸法と形状に,また係合透孔16は上記位置規制状態で該受入孔18に受入れたブラケット7をスライドしてその係止片9を上縁に対接可能とする寸法と形状に上記受入孔18の長手方向同一の片側にそれぞれ配置し,このとき該係合透孔16と受入孔18とは底板13の切欠き加工によって透設した長手方向に受入孔18を高く,係合透孔16を低い形態の異高にして一連に連続する異高連続孔としてあり,このとき長手方向両端部の一方又は双方,本例においては一方の受入孔18には該受入孔18に底板13を延設するように突出した舌片19を配置して,これをコ字状をなす形状に形成してあり,また係合透孔16はこれを受入孔18と下縁位置を同一として上縁位置を低くして上記異高として受入孔18側を開放した矩形の形状に形成してある。
【0030】
また本例にあって延長用横レール12は,同じくユニット形成用横レール10への嵌挿によってそのブラケット7に対する位置が規制されるのを利用し,該位置規制の状態でブラケット7を受入れて長手方向一方にスライドすることによってその係合透孔16上縁の挟持を行なうように,同様にブラケット7の受入孔18と係合透孔16とを連続して,底板13の長手方向両端部に切欠き加工を施すことによって配置してあり,本例にあっては長手方向両端部にこれらを配置することによってその左右勝手をなくしてユニット形成用横レール10の長手方向双方端部のいずれにおいてもそのブラケット7による支持を可能としてあり,このため該受入孔18を長手方向両側にブラケット7を受入可能な寸法と形状に,また係合透孔16を,同じく上記位置規制状態で受入れたブラケット7をスライドしてその係止片9を上縁に対接可能とする寸法と形状に両側の受入孔18間の中間位置に配置し,このとき係合透孔16と受入孔18とは同様に底板13の切欠き加工によって透設した長手方向に両側の受入孔18を高く,中間の係合透孔16を低い形態の同じく異高にして一連に連続する異高連続孔としてあり,このとき両側の受入孔18にはそれぞれその下方から底板を延設するように残存した舌片19を配置して,該受入孔18を倒コ字状をなす形状としてあり,また係合透孔16は下縁位置を該舌片19の中間としその上縁位置を受入孔18より低くして同じく両側の受入孔18側を開放した矩形の形状に形成してある。
【0031】
以上のように構成した縦レール2とユニット形成用横レール10は,工場乃至現場において上記複数の縦レール2に多数のユニット形成用横レール10を配置して,格子状定尺の金属製のレールユニット1を形成し,該レールユニット1と同じく金属製のブリッジ用横レール11とを建物幅方向交互に配置することによって金属製外装下地Aを建物壁面に設置し,該金属製外装下地Aの上記ユニット形成用横レール10及びブリッジ用横レール11に,タイル,サイディング等適宜の外装材23を設置して建物の外壁を形成すればよく,このとき本例にあっては建物の外断熱の外壁を形成するように,該外装下地Aを図示省略の断熱材の外側に配置して外装材23を設置するようにしてあり,このため本例のレールユニット1は,これを建物の断熱材外側に該断熱材を介して柱30に固定したものとしてある。
【0032】
本例のレールユニット1は,縦レール2の長さを上記45〜50cm程度,ユニット形成用横レール10の長さを1.5〜2m程度としたことによって,例えば5本の柱30分の幅を有するから,縦レール2を5本用いて,これに上記7〜8cmピッチに,例えば5〜6本のユニット形成用横レール10を用いて構成するものとしてあり,該レールユニット1の形成は,所定本数を並列した縦レール2の各ブラケット7にユニット形成用横レール10を載架してその受入係合用の係合透孔16にブラケット7を受入れ,該横レール10をそれぞれ上記縦レールの横レール受座6に載置するように下方に押下げて,その係合透孔16の上縁をブラケット7によって支持し,同時にその係止孔17に内方下向きの係止片9をスナップイン係止するように行なえばよい。このときレールユニット1は,ユニット形成用横レール10の長さを上記1.5〜2m程度にして軸組構造のモジュールに従って設置された複数の柱30間の外法寸法に設定してあることによって,同じく該モジュールによる5本の柱30の外法寸法の幅のものとなり,従ってモジュールに従って設定された建物の外壁に余剰幅を生じることなく壁面をカバーし得るものとなる。
【0033】
本例のレールユニット1は,例えば建物壁面をなす端部側から5本の柱30に対して縦レール2がそれぞれ対面するように上下方向に配置し,各柱30に各縦レール2をネジ又はスクリュー釘22によって固定し,5本目と6本目の柱30間をブリッジ用横レール11の設置による連結部分として開放し,建物壁面の6本目から更に5本の柱30に対して順次同様に固定して配置し,その間の,上記開放した連結部分の5本目と6本目の柱30間においてブリッジ用横レール11を配置し該ブリッジ用横レール11によって上下にそれぞれユニット形成用横レール10を連結すればよい。このときブリッジ用横レール11は,その長さを上記45〜50cm程度としてあるから,レールユニット1間にあって隣接する柱30間をカバーする。従ってレールユニット1とともに該ブリッジ用横レール11を使用することによって建物壁面には一連一体とされた金属製外装下地Aを形成し,該建物壁面の全面をカバーするに至る。
【0034】
縦レール2のネジ又はスクリュー釘22による固定は,縦レール2の多数の透孔4毎にネジ又はスクリュー釘22を通して柱30に対してその上下方向多数箇所で行うものとし,これによって外装材23の荷重を受けるレールユニット1を強固に建物躯体の柱30に対して固定することができ,また本例の該固定は,各透孔4位置に,例えば硬質樹脂によって断面円弧状とすることによって弾発性を付与したファスナー21をあてがい,該ファスナー21を介して柱30に対してネジ又はスクリュー釘22を螺装することによって行なってあり,これによってファスナー21が縦レール2の上下方向多数の固定箇所において断熱材を強圧し,該断熱材を柱30に密着させる結果,外断熱による優れた断熱性を確保し得るようにしてある。
【0035】
ユニット形成用横レール10に対するブリッジ用横レール11の連結は,レールユニット1のユニット形成用横レール10間にその本数に合せた数のブリッジ用横レール11を架設状に載架するようにして,上記縦レール2のブラケット7を共用した支持を行えばよく,本例にあってはユニット形成用横レール10の端部にブリッジ用横レール11の両端を正面側から押圧するように嵌挿するとともにその受入孔16にブラケット7を受入れ,ブラケット7が係合透孔16側に移動するようにブリッジ用横レール11をスライドして,係止片9によって係合透孔16上縁を挟持するようにすればよく,このとき該ブラケット7にはユニット形成用横レール10が支持されているから,該係止片9による挟持は,ユニット形成用横レール10の底板13を介した縦レール2の底板3との間で強圧的に確実になされるに至る。このとき本例における一方の受入孔18は舌片19を備えているから,ブラケット7は該舌片19を押圧して受入孔18に入るとともにブラケット7がスライドによって係合透孔16に至ることによって舌片19が弾発的に復帰してブラケット7の一方側端に対するストッパーとなり,従って建物の振動等によるブリッジ用横レール11の移動が確実に抑止されて,該ブリッジ用横レール11を常時定位置に保持することができる。
【0036】
軸組構造のモジュールに従う外壁は,上記レールユニット1とブリッジ用横レール10との外装下地Aによって壁面をカバーし得るが,例えば壁面に窓31を設けたときのように,軸組構造のモジュールを維持できず,これ以下の幅寸法による余剰部分が生じるときには,該部分にも外装材23設置のために外装下地を形成することが必要となるから,例外的に生じる該余剰部分に対しては延長用横レール12をレールユニット1のユニット形成用横レール10に設置して該横レール10を延長してその外装材23設置を可能とするようにしてある。
【0037】
ユニット形成用横レール10に対する該延長用横レール12による延長は,レールユニット1のユニット形成用横レール10の窓31側端部に,窓31の高さに応じた本数の延長用横レール12をそれぞれ片持ち状に設置するように,上記縦レール2のブラケット7を共用した支持を行えばよく,本例にあっては長手方向一方の受入孔18からブラケット7を受入れ,同様に延長用横レール12を窓31側にスライドして,同じく係止片7によって係合透孔16上縁を挟持するようにすればよい。このときも同様に係止片7による挟持は,ユニット形成用横レール10の底板13を介した縦レール2の底板3との間で強圧的に確実になされるに至る。このとき本例の延長用横レール12も舌片19を備えているから,ブラケット7は舌片19を押圧して受入孔18に入り,該ブラケット7が係合透孔16に至って該舌片19が弾発的に復帰して同じくブラケット7側端のストッパーとなり,同様に該延長用横レール12を常時定位置に保持することができる。
【0038】
外装材23は,これらレールユニット1,ブリッジ用横レール11,必要あるときに使用する延長用横レール12の上下に配置した外装材支持条15に,例えば外装材23背面に配置した係合部24をそれぞれ引掛係合するとともにそれぞれ各横レール10,11又は12に対して接着することによってその設置を行えばよい。
【0039】
従って本例のレールユニット1とブリッジ用横レール11を交互に配置することによって,建物の壁面を全面的にカバーして余剰幅部分の金属製外装下地Aを自ずと形成することができ,建物の外装工事を可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができ,また例外的に窓31等によりモジュール以下の余剰部分が生じるときには,必要に応じて延長用横レール12を配置することによって該部分をも容易にカバーすることができる。
【0040】
また本例の金属製外装下地Aは断熱材23を介してその外側に設置して外断熱の外壁を形成することが可能であり,このとき上記縦レール2に起立リブ5を設置したことによって縦レール2間には該起立リブ5の高さに応じた奥行の狭小化した通気空間が自ずと形成されるから,その分断熱材23を厚くして更に外断熱の断熱性を向上することができる。
【0041】
図中20は,本例にあってブリッジ用横レール11の底板13に透設し該ブリッジ用横レール11のスライド挟持を容易化するように工具や冶具を挿入引掛して一方に引寄せスライドをなし得るようにしたスライド孔を示す。
【0042】
図示した例は以上のとおりとしたが,ユニット形成用横レール乃至これによるレールユニットの幅を,枠組壁構造,RC構造等,軸組構造以外のそれぞれ採用したモジュールに合わせて適宜の幅に設定して壁面をカバーするようにすること,この場合縦レールの固定をスタッド,コンクリート面等の柱以外の構造躯体とすること,外装下地を断熱材を介することなく上記構造躯体に設置すること等を含めて,本発明の実施に当たって,外装下地,レールユニット,その縦レール,ユニット形成用横レール,ブリッジ用横レール,必要に応じて用いる延長用横レール,縦レールのブラケット,係止片,各横レールの受入係合用係合透孔等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り,様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】建物外壁の一部切欠き斜視図である。
【図2】レールユニットの配置状態を示す正面図である。
【図3】レールユニットとブリッジ用レールの関係を示す正面図である。
【図4】ユニット形成用横レールとブリッジ用横レールの関係を示す正面図である。
【図5】ユニット形成用横レールにブリッジ用横レールを設置した状態を示す正面図である。
【図6】縦レールに対してユニット形成用横レールを設置する状態を示す斜視図である。
【図7】ユニット形成用横レールとブリッジ用横レールの関係を示す斜視図である。
【図8】レールユニットに外装材を設置した状態を示す縦断面図である。
【図9】縦レールにおけるブラケット部分の拡大正面図である。
【図10】ユニット形成用横レールの係合透孔と係止孔部分の拡大正面図である。
【図11】ブリッジ用横レールの正面図である。
【図12】窓部分に延長用横レールを設置した状態を示す正面図である。
【図13】ユニット形成用横レールと延長用横レールの関係を示す斜視図である。
【図14】延長用横レールの正面図である。
【符号の説明】
【0044】
A 外装下地
1 レールユニット
2 縦レール
7 ブラケット
9 係止片
10 ユニット形成用横レール
11 ブリッジ用横レール
12 延長用横レール
15 外装材支持条
16 係合透孔
17 係止孔
23 外装材
30 柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状のレールユニットを形成する金属製の縦レールと該縦レールの上下方向平行に配置する外装材支持用金属製のユニット形成用横レールと,該ユニット形成用横レールをそれぞれ連結するように上記レールユニットと建物幅方向交互に配置する同じく外装材支持用金属製のブリッジ用横レールとを備えてなることを特徴とする金属製外装下地。
【請求項2】
上記ユニット形成用横レールをそれぞれ延長するように上記レールユニットの幅調整用にして外装材支持用金属製の延長用横レールを追加的に備えてなることを特徴とする請求項1に記載の金属製外装下地。
【請求項3】
上記縦レールが上下に所定ピッチ多数のブラケットを備え且つ上記ユニット形成用横レールが該ブラケット受入係合用の係合透孔を備え,縦レールのブラケットにユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持することによってレールユニットを形成自在としてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製外装下地。
【請求項4】
上記ブリッジ用横レールを,上記ユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持する縦レールのブラケットを共用してユニット形成用横レール係合透孔の外側において該ブラケットに支持することによってユニット形成用横レールを連結自在としてなることを特徴とする請求項3に記載の金属製外装下地。
【請求項5】
上記延長用横レールを,上記ユニット形成用横レールの係合透孔上縁を支持する縦レールのブラケットを共用してユニット形成用横レール係合透孔の外側において該ブラケットに支持することによってユニット形成用横レールを延長自在としてなることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属製外装下地。
【請求項6】
上記縦レールのブラケットを,縦レールの底板を切り起し加工して設置した断面略L字状に形成するとともに該ブラケットに内方下向きに係止片を突出して形成し,該係止片を上記ユニット形成用横レールに配置した係止孔にスナップイン係止自在とし且つ縦レールの底板と係止片間にブリッジ用横レールに配置した係合透孔上縁をスライド挟持自在として上記ブラケットを共用して該ブリッジ用横レールをブラケットに支持してなることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属製外装下地。
【請求項7】
上記縦レールの底面と係止片間に上記延長用横レールに配置した係合透孔上縁をスライド挟持自在として上記ブラケットを共用して該延長用横レールをブラケットに支持してなることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属製外装下地。
【請求項8】
金属製の縦レールと該縦レールの上下方向平行に外装材支持用金属製のユニット形成用横レールを配置して格子状定尺に形成して建物の断熱材外側に該断熱材を介して躯体に固定したレールユニットと,該レールユニットの上記ユニット形成用横レールを連結する同じく外装材支持用金属製のブリッジ用横レールとを建物幅方向交互に配置することによって設置した金属製外装下地と,該金属製外装下地の上記ユニット形成用レール及びブリッジ用横レールに設置した外装材とを備えてなることを特徴とする金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁。
【請求項9】
上記ユニット形成用横レールをそれぞれ延長するレールユニットの幅調整用にして外装材支持用金属製の延長用横レールを追加的に窓,コーナー等の端部に用いて,該延長用横レールに追加的に設置した外装材を備えてなることを特徴とする請求項8に記載の金属製外装下地を用いた外断熱建物の外壁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−57326(P2006−57326A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240327(P2004−240327)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(598010447)
【Fターム(参考)】