説明

金属製押出チューブ、その製造方法及びその用途

【課題】緻密でピンホールが殆ど存在せず、破断点伸び率に優れ、しかも折曲げ等の変形に起因する亀裂(クラック)等が生じない樹脂製被膜がその内壁面に形成された金属製押出チューブおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】塑性変形が容易であり、かつ一端が閉塞された金属製胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部と、胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層及び当該下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成された金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上塗り層からなる樹脂被膜と、を備えることを特徴とする金属製押出チューブを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緻密でピンホールが殆ど存在せず、破断点伸び率に優れ、しかも折曲げ等の変形に起因する亀裂(クラック)等が生じないという高度な信頼性を備えた樹脂製被膜がその内壁面に形成された金属製押出チューブ、エアゾール缶およびこの金属製押出チューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、胴部を押して組成変形させることで内部に収容された粘稠な内容物を外に押出すようにした金属製の押出チューブが、種々の食品、薬品および化粧品等を収容するために用いられてきた。
【0003】
金属製押出チューブは、塑性変形が容易な金属製壁からなる胴部と、胴部の一端に連続する肩部および頸部とを備えている。この金属製チューブの胴部の他端は、折締めなどで閉塞されており、口頸部は、キャップにより開放自在に閉塞される。
【0004】
このような金属製押出チューブでは、一端部に施された折締め等から長期間に僅かずつ侵入する外気又は水分(水蒸気)や、胴部を構成する金属が内容物を劣化させたり、あるいは内容物が金属製胴部を腐食させないようにすることが望ましい。従来より、このような金属製押出チューブとして、一端が開放された金属製チューブの内部に、それとほぼ相補形の樹脂製チューブを嵌入し、樹脂製チューブの開放端部から内容物を充填し、次いで金属製チューブを介して加圧・加熱して開放端をヒートシールで封止した押出チューブ、所謂二重チューブ型押出チューブが既に提案されている。しかし、この二重チューブ型の金属製押出チューブは工程数が多いこと、金属製外筒と樹脂製内筒との位置合わせおよび寸法公差の差異調整が困難なことなど、種々の改良点を有しており、製造コストの増大が避け難いため、極めて限られた用途向けにしか採用され得なかった。しかも、この種の押出チューブでは、内部に装着される樹脂製チューブが、その厚さおよび弾性によってもとの形状に復元しようとするため、内容物を完全に排出させることが困難であるという問題があった。
【0005】
また、その胴部内壁面に熱硬化性樹脂塗料を吹きつけ、得られた塗膜を加熱硬化させて熱硬化性樹脂被膜、例えば、エポキシ−フェノール樹脂被膜又はフェノール−ブチラール樹脂被膜を形成した金属製押出チュープも提案されている。しかし、熱硬化性樹脂被膜は、ピンホール防止と折曲げなどの変形に起因するクラックの防止とを併せて実現することは殆ど不可能であった。
【0006】
即ち、熱硬化性樹脂は一般に硬く、折曲げ等の変形を受けた場合にクラック等を生じやすいが、このクラックを生ずる傾向はその膜厚が15μm以上において一層顕著になる。これに加えて、熱硬化性樹脂被膜は、塗膜形成時に塗膜中に混在する気泡等に起因する塗装不良等を発生し、これを加熱硬化させて得た樹脂被膜にピンホールが発生し易いという問題があった。そして、クラック発生を防止するために熱硬化性樹脂被膜を十分に薄くしようとすると、このピンホール発生はさらに著しくなる。ピンホールの発生は塗膜の重ね塗りにより、ある程度軽減できるが、多数回の重ね塗りは塗膜形成工程を複雑なものとする他、完全にピンホールを無くする為に必要な回数の重ね塗りを行なうと、少なくとも20μm以上の合計膜厚となってしまう。したがって、クラック発生を低減できる膜厚範囲内では、塗装不良を防止する為に十分な回数の重塗りが困難であった。
【0007】
換言すれば、常用されている膜厚5〜15μmの熱硬化性樹脂被膜を有する押出チュー
ブでは、樹脂被膜のピンホール発生の防止が困難であり、かつピンホールを無くする為に樹脂被膜の膜厚を20μm以上の値とすると、折曲げなどの変形に起因するクラックを防止できず、その結果として、何れの場合でも金属製胴部あるいは内容物の品質低下を生じさせる。したがって、従来の押出チューブの熱硬化性樹脂被膜には、金属製胴部および内容物に対する保護機能において、改良の余地が残されていた。
【0008】
胴部内壁面に熱硬化性樹脂被膜を有する金属製押出チューブでは、熱硬化性樹脂塗膜を加熱硬化させ、次いで開放端から内容物を収容した後の段階、すなわち、開放端(裾部)を折締めする段階で、気密性を保持する目的でエンドシール材、例えばゴムラテックス等を開放端域内壁に塗布することが必要となる。したがって、この金属製押出チューブでは、折締め工程が複雑となり、生産性に欠けるという問題もあった。
【0009】
また、金属製押出チューブと同様に金属製壁からなる胴部を備える容器としてエアゾール缶がある。エアゾール缶は、通常、金属製壁からなる有底筒状の胴部を有しており、胴部上端には、これに連続する肩部および頸部が設けられ、この頸部には、バルブアッセンブリが設けられている。そして、高圧ガス等の推進剤とともにエアゾール缶内に収容される薬品および化粧品は、バルブアッセンブリの作動により、このバルブアッセンブリを介して外部に噴霧されることとなる。
【0010】
このようなエアゾール缶においても、胴部を構成する金属が内容物を劣化させたり、あるいは内容物が金属製胴部を腐食させないようにすることが望ましく、従来より、胴部および底部内面に、エポキシ−フェノール樹脂、エポキシ−ユリア樹脂、ビニルオルガノ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ナイロン12などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルおよびポリエチレンなどからなる樹脂被膜が設けられていた。
【0011】
しかしながら、このような樹脂被膜においても、塗膜形成時に塗膜中に混在する気泡等に起因する塗装不良等が発生し、得られた樹脂被膜にピンホールが発生し易すかった。このピンホールの発生は塗膜の重ね塗りにより、ある程度軽減できるが、多数回の重ね塗りは塗膜形成工程を複雑なものとし、生産性に欠けるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上説明した従来技術に伴う問題点を解決するためになされたものであり、緻密でピンホールが殆ど存在せず、破断点伸び率に優れ、しかも折曲げ等の変形に起因する亀裂(クラック)等が生じないという高度の信頼性を備え、金属製胴部および内容物に対する保護機能に優れた樹脂製被膜がその内壁面に形成された金属製押出チューブおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明は、別の観点から、緻密でピンホールが殆ど存在せず、金属製胴部および内容物に対する保護機能に優れた樹脂製被膜がその内壁面に形成されたエアゾール缶を提供することを目的としている。
【0014】
本発明は、さらに別の観点から、本発明に係る金属製押出チューブの製造方法を可能とする装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の金属製押出チューブは、塑性変形が容易であり、かつ一端が閉塞された金属製胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部と、胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層及び当該下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディ
スパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成された金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上塗り層からなる樹脂被膜と、を備えることを特徴としている。
【0016】
本発明の金属製押出チューブの製造方法は、塑性変形が容易であり、かつ一端が開放された金属製胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部とを備える内容物収容前の押出チューブの胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層を形成する工程、当該下塗り層上に金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートして均一厚さの塗膜を形成する工程、および前記塗膜を加熱し、前記樹脂製球状微粒子を加熱・融着させて金属接着性熱可塑性樹脂からなる上塗り層を形成する工程を含むことを特徴としている。
【0017】
本発明の金属製エアゾール缶は、有底筒状の胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部と、該口頸部に設けられるバルブアッセンブリと、前記胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層及び当該下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成される金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上下塗り層を有する樹脂被膜と、を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明に係る塗装装置は、上記金属製押出チューブを製造可能とする装置であって、塗装対象である少なくとも一方が開放された金属製筒状体の長軸方向に沿って移動可能であり、筒状体内壁面に対して塗料を噴霧する塗料噴射口を先端に有するノズルを備えた塗装ユニット、および前記塗装ユニットの塗料噴射口と、前記筒状体内壁面との間に、該噴射口を中心とした略円周方向の相対運動を生じさせる駆動ユニット、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の金属製押出チューブおよびその製造方法によれば、胴部内壁面に形成された熱硬化性樹脂からなる下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成された金属接着性熱可塑性樹脂層を有する樹脂被膜を形成している寄与で、緻密でピンホールが殆ど存在せず、破断点伸び率に優れ、しかも折曲げ等の変形に起因する亀裂(クラック)等が生じないという高度な信頼性を備え、金属製胴部および内容物に対する保護機能に優れた樹脂製被膜がその内壁面に形成された金属製押出チューブを提供することができる。
【0020】
また、本発明に係る金属製エアゾール缶およびその製造方法によれば、胴部内壁面に形成された熱硬化性樹脂からなる下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成された金属接着性熱可塑性樹脂層を有する樹脂被膜を形成している寄与で、緻密でピンホールが殆ど存在せず、金属製胴部および内容物に対する保護機能に優れた樹脂製被膜がその内壁面に形成されたエアゾール缶を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る金属製押出チューブは、チューブの外殻部分を構成する金属製本体と、該本体の胴部内壁面に特定の方法で形成された金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上塗り層を有する樹脂被膜とを備えている。ここで、本発明の金属製押出チューブの好ましい一態様を、添付図面を参照して説明する。
【0022】
なお、本明細書では、樹脂被膜を構成する「層」という用語は、1回の塗りにより形成されるもの及び同一樹脂の重ね塗りによって形成されるものを包含し、隣接する2つの「
層」は、互いに異なる樹脂から形成されることを意味する。ただし、隣接する層は、相互の界面が明確でない場合があり、かつ必ずしも強固に接合しているわけではない。
【0023】
図1(A)は本発明の参考例を示す押出チューブの模式的切開縦断面図であり、図2(B)は本発明の押出チューブの樹脂被膜層構造を示す模式的部分拡大図である。図示されるように、この押出チューブ1は、金属製胴部3と、該胴部3の他端に連続する肩部5および口頸部7とからなる金属製本体2、および胴部3の内壁面に形成される樹脂被膜9を備え、高粘度液体又は粘稠物を収容するための容器である。
【0024】
その口頸部7の外周には雄ネジが設けられ、この雄ネジは、押出チューブ1のキャップ15内の雌ネジと、着脱自在に係合する。このような押出チューブ1の金属製本体2は、その胴部3が塑性変形可能な壁部厚さおよび材料からなっている。このような胴部3の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金及び鉛等から選ばれる金属を延展して得られた薄板又は箔を例示できる。本態様では、この胴部3の一端に連続する肩部5及び口頸部7は、胴部3と同一の材料から形成されが、本発明は肩部5及び口頸部7の材質を特に限定しない。
【0025】
このような胴部3の材料の内、多くの用途において、アルミニウム及びその合金類が好ましく、特に好ましいものはアルミニウム金属である。しかしながら、種々の理由から、他の金属、例えば鉛も好適に用いられることがある。例えば、鉛は上記の金属の中でも、軟質で繰返し曲げに耐え、かつ縫い針等の細い尖ったもので容易に穿孔し、この孔からチューブ内容物を絞り出し又は押出す等によって取出せる。したがって、鉛を腐食する環境で長時間保管しない場合には、本体2を鉛で製造することが好ましい場合がある。
【0026】
本発明の押出チューブ1では、金属製胴部3の内側に形成された樹脂被膜9は、図2(B)に示すように、胴部3に接触する熱硬化性樹脂層51(下塗り層)と、その内側に形成され、熱硬化性樹脂層上に、金属接着性熱可塑性樹脂53(上塗り層)とを有している。
【0027】
樹脂被膜9を構成する金属接着性熱可塑性樹脂層53を形成するために用いられる接着性熱可塑性樹脂としては、金属接着性ポリオレフィン、例えば:ポリオレフィン幹ポリマーに、ジカルボン酸あるいは不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーをグラフト結合して得られるジカルボン酸グラフト改質ポリオレフィンおよび不飽和カルボン酸グラフト改質ポリオレフィン;1−オレフィンと不飽和カルボン酸が共重合して得られる1−オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体;および上記不飽和カルボン酸グラフト改質ポリオレフィンおよび上記1−オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩(アイオノマー)、等を例示することができる。
【0028】
上記ジカルボン酸グラフト改質ポリオレフィンおよび不飽和カルボン酸グラフト改質ポリオレフィンを製造するために用いられる幹ポリマーは、結晶性単独重合体および結晶性結晶性共重合体の何れであってもよい。
【0029】
また、この幹ポリマーの調製に用いられるモノマーとしては、炭素数1〜6の1−オレフィン、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテン等を例示でき、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら1−オレフィンの内、特に好ましいモノマーとしては、エチレン及びプロピレンを例示できるが、耐熱性が重視される用途向けには4−メチル−1−ペンテンを用いた幹ポリマーが好適な場合がある。
【0030】
また、幹ポリマーは、非晶性共重合体(エラストマー)であってもよく、このような非
晶性共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン非晶性共重合体、エチレン・1−ブテン非晶性共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン非晶性共重合体等を例示することができる。
【0031】
このような幹ポリマーを改質してジカルボン酸グラフト改質ポリオレフィンまたは不飽和カルボン酸グラフト改質ポリオレフィンを調製するために用いられるモノマーとしては、マレイン酸およびノルボルネンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸およびその酸無水物、テトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸等を例示することができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのモノマーを用いたジカルボン酸グラフト改質ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸グラフト改質ポリオレフィン、特に無水マレイン酸グラフト改質低密度ポリエチレンが最も好ましく用いられる。
【0032】
1−オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体は、上述した、炭素数1〜6の1−オレフィンおよびジおよびモノ不飽和カルボン酸を用いて調製することができ、この際、不飽和カルボン酸および1−オレフィンは、各々上述した具体例から1種以上を適宜選択して用いることができる。
【0033】
また、アイオノマーとしては、上述した不飽和カルボン酸グラフト改質ポリオレフィンまたは1−オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体、例えば、メタクリル酸グラフト改質ポリエチレンまたはエチレン/メタアクリル酸共重合体のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩および亜鉛塩等を例示することができる。
【0034】
本発明で用いられるアイオノマーは、2種以上の金属陽イオンが同一の重合体中に含まれていてもよい。また、金属イオンは、アイオノマーの用途に応じて適宜選択することができるが、一般的には、ナトリウムイオン及びカリウムイオンが好ましい。
【0035】
以上説明した接着性ポリオレフィンは、各々単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、接着性ポリオレフィンに、その接着性を実質的に低下させない程度の量で、非改質ポリオレフィンを添加した接着性ポリオレフィン組成物として用いることも可能である。
【0036】
このような接着性ポリオレフィンの内、アイオノマーおよび接着性低密度ポリエチレン、特に無水マレイン酸グラフト改質低密度ポリエチレンが、金属への接着性に特に優れている。
【0037】
このような層構造を有する樹脂被膜9において、特に金属接着性熱可塑性樹脂層53は、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成される。
【0038】
金属接着性熱可塑性樹脂の球状微粒子は、均一粒径で高い球状性を有していることが好ましい。図7は金属接着性熱可塑性樹脂層の形成に好適な接着性熱可塑性樹脂で形成された均一粒子径の球状微粒子の顕微鏡写真であって、何れの粒子も球形又は稍細長い球形(楕球形)であること及びその粒径が高度に均一であることを示している。即ち、図7に表示されている粒子の中には格段に小径の粒子は僅かしか見受けらない。しかも、稜又は頂点等の尖鋭な部分又は屈曲部分が全く見受けられない。
【0039】
本発明で用いられるディスパージョンは、このような球状微粒子を適宜水等の分散媒中に安定的に分散させたものである。このような球状微粒子の分散液は既に市販されており、それらの中から好適なもの、例えば商品名「ケミパール」として三井石油化学工業(株
)から市販されているアイオノマー樹脂球状微粒子の水性分散液(水性ディスパージョン)等を目的に応じて適宜選択して用いれば十分である。
【0040】
ここで、このような球状微粒子ディスパージョンを用いた樹脂被膜9形成工程を含む押出チューブの好ましい製造方法について、図面を参照して説明する。図3は、ディスパージョンを押出チューブ内壁面に塗布するための装置の概念構造図であり、図3において1aは加工対象のアルミニウムチューブであって、一端が開放された胴部3の他端には肩部5および口頸部7が連続して形成されている。
【0041】
このアルミニウムチューブ1aは、管状のホルダー31の奥に向けてその内部に収容され、ホルダー31の内側に支承された状態でその長軸Xを中心軸として駆動機構(不図示)によって所定の速度で回転される。アルミニウムチューブ1aの内部にはその軸線Xに略平行に配置され、かつ駆動機構(不図示)によって軸線Xにそって進退動可能な棒状のスプレーガンノズル33が挿入されている。スプレーガンノズル33の内部にはディスパージョンを給送する管路(不図示)が設けられると共に、その先端35はその長軸Xに対して斜交(交角(θ)25〜60度)する平面37が形成され、この平面には複数の噴射孔39が設けられている。
【0042】
このような装置を用いたディスパージョンの塗布では、ノズル33は、樹脂微粒子ディスパージョン貯槽(不図示)から供給されるディスパージョンを噴出孔39から噴射しながらアルミニウムチューブの長軸に沿って移動する。噴射孔39から噴出されるディスパージョンは、平面37の交角に規制されて、軸線Xに対して斜め方向(交角(θ)25〜60度)に、放射状に噴出する。また、ノズルの移動に伴って、アルミニウムチューブ1が、ホルダー31に保持された状態で、軸線Xを中心に回転し、その結果アルミニウムチューブ1a内壁面にある熱硬化性樹脂からなる下塗り層上に金属接着性熱可塑性樹脂からなる樹脂微粒子ディスパージョンを均一に塗布することとなる。
【0043】
このようにして形成された樹脂微粒子ディスパージョン塗膜は、その分散媒を揮散させ、次いで残存する樹脂微粒子を所定温度まで加熱して溶融結合させることによって緻密な樹脂層、即ち金属接着性熱可塑性樹脂層53を形成することができる。
【0044】
なお、金属接着性熱可塑性樹脂層53の厚さは、樹脂微粒子ディスパージョンの微粒子濃度の変更や、例えば樹脂微粒子ディスパージョン塗膜形成工程の繰り返し、分散媒の揮発までの工程の繰り返し、或いは樹脂微粒子加熱融着までの工程の繰り返しによる重ね塗りによって適宜選択できる。したがって、例えば、厚肉の金属接着性熱可塑性樹脂層53は、多数回の重ね塗りを行なうか、特に高濃度のディスパージョンを用いて調製できる。
【0045】
なお、熱可塑性樹脂の優れた点として、熱硬化性樹脂の被膜に比してクラックを生じにくく、肉厚の樹脂被膜を形成できることが挙げられる。金属接着性熱可塑性樹脂層の厚さ上限は、本発明の噴霧塗布装置によれば、通常約250μmまで増加させることができるが、例えば、超臨界二酸化炭素等を分散媒として用いれば、生産性を保持しながら媒体の揮散を格段に迅速化して250μmを遥かに凌ぐ膜厚を実現できる。なお、金属接着性熱可塑性樹脂として、幹ポリマーがエラストマーであるグラフト改質ポリオレフィンを用いれば、金属接着性熱可塑性樹脂層を厚くした場合に、特に亀裂等が発生し難いという利点がある。
【0046】
このようにして形成される樹脂被膜9では、全体の膜厚および各層の層厚は特に限定されないが、上塗り層としての金属接着性熱可塑性樹脂層53が、通常通常平均層厚5〜150μm、好ましくは5〜50mであり、総括膜厚が10μm以上、好ましくは10〜250μmであることが望ましい。
【0047】
このような樹脂被膜9は、平均ピンホール度(厚さ30μm基準)50mA以下、破断点伸び率200%以上及びクラッシャー試験によるクラック発生率0である保護層からなる緻密な被膜である。
【0048】
ここで「緻密」な被膜とは、ピンホール度(厚さ30μm基準)即ち、その面積当たりのピンホール存在率が後記の測定法による測定値(電流値)50mA以下、好ましくは3mA、更に好ましくは20mA以下であることをいう。更に、このピンホール度(厚さ30μm基準)は被膜の厚さ(層厚)と逆相関の関係にあるから、本発明のピンホール度(厚さ30μm基準)はその平均層厚を30μmとした場合の数値とする。
【0049】
また、このような樹脂被膜9は、クラッシャー試験によるクラック発生率0とすることが可能である。なお、ここで「クラック発生率0」とは、工業技術的に実現可能な水準(
統計的水準)で「0」という意味である。極めて低い発現率ではあるが、数学的(論理的
)意味における「0」ではない。
【0050】
以上説明した樹脂被膜9を形成されたアルミチューブ1aは、肩部5および口頸部7にキャップ15を取り付けられ、開放端から内容物を充填される。そして、開放端を折締めし、必要に応じて樹脂被膜9(熱可塑性樹脂層)をヒートシールして押出チューブ1に形成される。
【0051】
図1(C)は本発明の参考例に係る金属製押出チューブにおける樹脂被膜の別の態様を示す模式的断面図であり、この樹脂被膜9は、2種の金属接着剤層、即ちアルミニウム製胴部3の表面に形成される接着性低密度ポリエチエレンからなる金属接着性熱可塑性樹脂層41と、この金属接着性熱可塑性樹脂層41の表面に形成されるアイオノマー系樹脂からなる金属接着性熱可塑性樹脂43とを有している。このような層構造を有する本態様の樹脂被膜9において、これら金属接着性熱可塑性樹脂層41,43の少なくとも何れかは、樹脂微粒子ディスパージョンを用いた上記方法によって形成されている。
【0052】
図2(B)は、本発明に係る金属製押出チューブの態様を示す図である。図示されるように、本態様の押出チューブ1は、参考例と同様の構造を有しており、同様の部分には同様の符号が付されている。そして、特に図2(B)に示されるように、この押出チューブ1の胴部3内壁面に形成される樹脂被膜9は、下塗り層としての熱硬化性樹脂層51と、該熱硬化性樹脂層51の表面に形成される上塗り層としての金属接着性熱可塑性樹脂層53とからなる。
【0053】
樹脂被膜9を構成する熱硬化性樹脂層51を形成する為に用いられる熱硬化性樹脂は、従来より金属製押出チューブ1の製造に用いられている如何なる熱硬化性樹脂であってもよく、例えばエポキシ樹脂およびフェノール樹脂等を用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、さらに具体的にはエポキシ/フェノール樹脂およびフェノール/ブチラール樹脂等を例示することができる。
【0054】
このような熱硬化性樹脂からなる熱硬化性樹脂層51(下塗り層又はプライマーコート)は、従来公知の如何なる方法で形成してもよく、例えば、未硬化の熱硬化性樹脂を含む溶液またはディスパージョンである塗料を、アルミニウムチューブに噴霧塗布して塗膜を形成し、ついでこれを加熱・硬化して形成することができる。
【0055】
また、塗膜形成時には、塗膜が所定厚さに達するまでに少なくとも2回以上に分けて塗料の塗布を行なうことが望ましい。通常、これら塗布は、各操作の間に乾燥処理を挟んで繰り返される。即ち、例えば、第1回塗布操作終了後には、その塗料(被膜剤)中の溶媒
又は分散媒等を揮散除去させる処理(中間乾燥)を行なうことが通常である。なお、液状のプレポリマーからなり、硬化に伴う気体又は液体の副生も生じない塗料であれば揮散除去を要しない場合もある。
【0056】
このように塗布を繰り返し行なうことにより、塗膜の垂れ下がり[通称「ダレ」;サグ(Sag)]防止及びピンホール防止を有効に行なうことができる。即ち、所定の層厚が17〜18μm程度である場合に、この層厚まで1回の塗布でこの層厚とすると、塗料が垂れ下がり、塗膜に波形の変形が生ずると共に、部分的に所定の塗膜厚が実現されないことが往々にしてある。このようなダレは、間に乾燥工程を置いた複数回の塗布によって有効に防止される。
【0057】
また、塗膜のピンホール残存確率は塗膜が単一層である場合に最大であり、塗膜を所定膜厚に達するまでに多数回塗布(重ね塗り)することで、最終的に得られる塗膜に形成されるピンホールの発生率を低下させることができる。しかしながら、熱硬化性樹脂による塗装は、即ち、総括膜厚約15μm以上では熱硬化性樹脂層にクラックが生じ易くなるため、重ね塗りによってもその総括膜厚に上限がある。
【0058】
このような塗膜形成操作後、塗膜の硬化(焼付け)操作が行なわれる。エポキシ系塗料を用いた場合、この硬化操作は、通常約250℃の温度(硬化温度)で、5〜10分間行なえば十分である。また、フェノール系塗料を用いた場合、硬化操作は、通常約180℃の温度で略同時間行なえばよい。なお、上記塗膜形成時に繰り返し塗布した場合の中間乾燥は焼付けではなく、温度約100℃で3〜5分間行なえば十分である。
【0059】
本態様では、このようにして形成された熱硬化性樹脂層51の表面に、金属接着性熱可塑性樹脂層53が形成されている。このような層構造を有する本態様の樹脂被膜9においても、金属接着性熱可塑性樹脂53は、樹脂微粒子ディスパージョンを用いた上記方法によって形成されている。
【0060】
このようにして得られた樹脂被膜9も、参考例と同様の膜厚、上塗り層厚および下塗り層厚を有していることが望ましく、かつ前述の態様と同様のピンホール度およびクラッシャー試験特性を期待することができる。
【0061】
また、樹脂被膜9形成後には、前述の態様と同様に、キャップ15を取り付け、開放端から内容物を充填し、ついで開放端を折締めし、必要に応じて樹脂被膜9(熱可塑性樹脂層)をヒートシールして押出チューブ1とすることができる。
【0062】
なお、本態様の金属製押出チューブでは、下塗り層としての熱硬化性樹脂層51と、上塗り層としての金属接着性熱可塑性樹脂層53とは、相互に殆ど接着力が生じていない材料同士で形成することができる。
【0063】
このように、相互に接着力が生じていない材料同士で、熱硬化性樹脂層51および金属接着製熱可塑性樹脂層53を形成した樹脂被膜には、以下のような利点がある。
1)折曲げられる際にも、比較的に小さな力で足りる。その理由は上塗り層と下塗り層との間が分離されていることから、両層が単一の厚い層としては機能しないことにある;
2)折曲げられる際にも、塗膜の割れ等は極めて生じにくい。その原因は最内側(上塗り被膜)に伸び易い接着性熱可塑性樹脂が位置することにある;
3)この構成は従来技術として言及した二重チューブに一見類似しているが、それよりも遥かに生産性良く製造可能である;
4)端部折締めに際して、ヒートシールを行なうと、金属接着性熱可塑性樹脂は融着されるが、熱硬化性樹脂層は接着されない。したがって、筒内に収容される薬剤および化粧料
などの内容物が、金属接着性熱可塑性樹脂層を透過性する物質、例えばアルコール等を含んでいる場合には、金属接着性熱可塑性樹脂層を透過してガス状となった物質が、両層間にまず滞留し、次いで折締めした端部から外部に放出されるようにできる。
【0064】
次に、本発明に係る金属製エアゾール缶は、金属製の缶本体と、該本体の胴部内壁面に特定の方法で形成された金属接着性熱可塑性樹脂層を有する樹脂被膜と、缶本体の口頸部に装着されるバルブアッセンブリとを備えている。ここで、本発明の金属製エアゾール缶の好ましい一態様を、添付図面を参照して説明する。
【0065】
図4(A)は本発明に係る金属製エアゾール缶の好ましい一態様を示す模式的切開縦断面図であり、図4(B)は参考例のエアゾール缶の樹脂被膜層構成を示す模式的部分拡大図であり、図5はバルブアッセンブリが装着されたエアゾール缶の上部拡大断面図である。図示されるように、このエアゾール缶61は、金属製の缶本体62とバルブアッセンブリ69とを備え、内部に収容される溶液、懸濁液等を、同じく内部に収容された高圧ガス等の推進剤の圧力で、バルブアッセンブリ69を介して噴霧するための容器である。
【0066】
このようなエアゾール缶61の缶本体62は、有底筒状の金属製胴部63と、該胴部の先端に連続する肩部65および口頸部67とを有し、胴部63内壁面には樹脂被膜9が形成され、口頸部67にはバルブアッセンブリ69が取り付けられている。
【0067】
バルブアッセンブリ69は、公知構成を有し、バルブハウジング81と、該バルブハウジング81に収容され、かつ弁体89を上方に付勢するスプリング82と、バルブハウジングを閉塞するステムラバー83と、該ステムラバー83を貫通し、下端部が弁体89に当接するステム84とを備えている。バルブハウジング81は、その下端にディップチューブ88が取り付けられ、かつその外周に装着されたパッキン85を介在させて口頸部67に挿入されている。バルブアッセンブリ81は、このような状態で、バルブハウジング81およびステムラバー83を収容しかつ底部がステム84に貫通されたキャップ状の金属製カバー89の下端を口頸部6の外側からかしめることで、口頸部67に固定されている。また、ステム84の上端にはスプレーヘッド90が取り付けられている。
【0068】
このようなエアゾール缶の金属製の本体62は、胴部63、肩部65及び口頸部67が、アルミニウム板、アルミニウム合金板およびスズメッキ鋼板等の金属板で一体的に形成されている。
【0069】
ここで、このような球状微粒子を用いた樹脂被膜9の形成工程を含むエアゾール缶の好ましい製造方法に付いて、図面を参照して説明する。図6は、ディスパージョンを缶本体内壁面に塗布するための装置の概念構造図である。図6において、62は塗装対象の缶本体であり、図4(A)と同様の部分には同様の符号を記載してその説明を省略する。
【0070】
この缶本体62は、回転可能な保持用ジグ(不図示)に保持されて、その長軸Xを中心軸として駆動機構(不図示)によって所定の速度で回転される。缶本体62の内部にはその軸線Xに略平行に配置され、かつ駆動機構(不図示)によって軸線Xにそって進退動可能な棒状のスプレーガンノズル74が挿入されている。スプレーガンノズル74の内部にはディスパージョンを給送する管路(不図示)が設けられると共に、その先端75はその長軸Xに対して斜交(交角(θ)25〜60度)する平面部76が形成され、この平面部には噴射孔77が設けられている。
【0071】
このような装置を用いたディスパージョンの塗布では、ノズル74は、樹脂微粒子ディスパージョン貯槽(不図示)から供給されるディスパージョンを噴出口77から噴射しながらアルミニウムチューブの長軸に沿って上方に移動する。噴射孔77から噴出されるディ
スパージョンは、平面76の交角に規制されて、軸線Xに対して斜め方向(交角(θ)25〜60度)に、放射状に噴出する。また、ノズルの移動に伴って、缶本体62が軸線Xを中心に、保持用ジグの回転によって回転し、その結果、缶本体62内壁面に金属接着性熱可塑性樹脂からなる樹脂微粒子のディスパージョンを均一に塗布することとなる。
【0072】
このようにして形成された樹脂微粒子ディスパージョン塗膜は、次いでその分散媒を揮散させた後、残存する樹脂微粒子を所定温度まで加熱して溶融結合させることによって緻密な樹脂層、即ち金属接着性熱可塑性樹脂層71を形成することができる。
【0073】
このようにして形成される樹脂被膜9では、全体の膜厚および各層の層厚は特に限定されないが、下塗り層としての金属接着性熱可塑性樹脂層71が、通常平均層厚5〜100μm、好ましくは5〜20μmであり、上塗り層としての熱可塑性樹脂層73が通常平均層厚5〜150μm、好ましくは5〜100μmであり、総括膜厚が10μm以上、好ましくは10〜250μmに設定することが好ましい。
【0074】
このような樹脂被膜9は、平均ピンホール度(厚さ30μm基準)50mA以下に達する緻密な被膜である。以上説明した樹脂被膜9を形成された缶本体62は、口頸部67に上述したようにバルブアッセンブリ69を固定し、かつ内容物となる液体薬品あるいは化粧料、および高圧ガス(液化ガス)などの推進剤を注入してエアゾール缶61とされる。
【0075】
図4(D)は本発明に係る金属製エアゾール缶における樹脂被膜の態様を示す模式的断面図であり、この樹脂被膜9は、缶本体62の胴部63内壁面に形成される熱硬化性樹脂層96と、該熱硬化性樹脂層96の表面に形成される金属接着性熱可塑性樹脂層97とからなる。
【0076】
樹脂被膜9を構成する熱硬化性樹脂層96を形成するために用いられる熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂およびフェノール樹脂等を用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、さらに具体的にはエポキシ/フェノール樹脂およびフェノール/ブチラール樹脂等を例示することができる。
【0077】
このような熱硬化性樹脂からなる熱硬化性樹脂層96は、従来公知の如何なる方法で形成してもよく、例えば、上記金属製押出チューブ1の樹脂被膜9における層構造の第3態様で説明した方法で形成することが可能である。
【0078】
本態様では、このようにして形成された熱硬化性樹脂層96の表面に形成される金属接着性熱可塑性樹脂層97は、樹脂微粒子ディスパージョンを用いた上記方法によって形成されている。
【0079】
このようにして得られた樹脂被膜95も、参考例と同様の膜厚、上塗り層厚および下塗り層厚を有しており、かつ前述の態様と同様のピンホール度を期待することができる。
このような態様の金属製エアゾール缶1では、缶内に熱硬化性樹脂を腐食させ易い液体、例えば強酸性水溶液を有機分散媒に分散させたエマルジョンなどを導入する場合、この液体に対して経時に安定な、アイオノマー等からなる金属接着製熱可塑性樹脂層97で熱可塑性樹脂層96を保護するようにできるため、樹脂被膜の信頼性をより高くすることができる。
【0080】
そして、このようにして得られた樹脂被膜9は、前述の態様と同様の膜厚、上塗り層厚および下塗り層厚を有していることが望ましく、かつ前述の態様と同様のピンホール度を期待することができる。
【0081】
以上説明した図4(D)に示される態様の樹脂被膜9を有する缶本体62も、口頸部67に上述したようにバルブアッセンブリ69を装着・固定し、かつ内容物となる液体薬品あるいは化粧料、および高圧ガス(液化ガス)等の推進剤を注入してエアゾール缶61とされる。
【実施例】
【0082】
本発明の効果を測定及び評価するには下掲の方法及び基準を用いた:
(1)樹脂被膜厚さ:25μm;
[測定装置]ストランドゲージ[商品名:ストランドゲージ(ストランドゲージエレクトロニクス社製)]
[測定操作]装置の測定端子間に試料片を装着し、測定された電気伝導度を電気特性電流に変換して表示された値で樹脂被膜厚さを測定した:
[試料片]長さ150mm×幅75mm×厚さ0.11mm;
[調整条件]温度27℃×湿度65%RH×1h;
[測定条件]温度25℃×湿度60%RH×時間2h;測定回数6回;その相加平均値を測定値とする;
(2)ピンホール度(厚さ30μm基準) 試料の金属製チューブ(内壁面に被膜済み)にキャップを冠装し、この内部に高電導性の水溶液を充した後に、この金属製チューブの外面に電極を付設すると共に水溶液中にも電極を浸漬して、導通する電流値を測定した:
[測定条件]
印加電圧:DC6V;
水溶液:5%NaCl+1%CuSO+0.05%CHCOOHの混合液。
(3)樹脂被膜強度(層間接着力) 碁盤目試験樹脂被膜の面を扁平化してカッターで縦線及び横線各11本を1mm間隔で切り込むことによって、1mm×1mm目の碁盤目を作成する。この100区画の碁盤目の上に粘着テープを貼付けた後に、粘着テープを急激に引き剥がした際に生じた剥がれ箇所(剥がれ区画)の個数及び分布を測定する。
【0083】
クラッシャー試験被膜付きチューブを縦方向に圧縮した後に引き伸ばして、塗膜に亀裂、割れ及び剥離の有無を測定する。
摩耗試験樹脂被膜表面を扁平化した後に、樹脂被膜の膜の表面をトルエン等の溶剤が含浸されたガーゼで摩擦して塗膜の状況を観察する。
【0084】
[参考例1]
金属チューブとして規格寸法の肩部及び口頸部賦形済みの高純度アルミニウムチューブ(1)を用い、その口頸部側が奥を向くようにホルダー(31)中へ挿入し、その奥に設けられた縮径域開始端に肩部を当接させて固定した。次に、アルミニウムチューブの長軸に平行してその内方に向けて棒状のスプレーガンノズル(33)を挿入した。このスプレーガンの先端は長軸に対して約45度の交差角を有する平面部(37)を有し、この平面部には、その表面に対して略垂直方向に塗料を噴出する噴射孔(39)が設けられていた。
【0085】
ホルダー(31)をその長軸の周囲に回転(1750rpm)させながら、スプレーガンノズル(33)の先端からアルミニウムチューブ(1)の内壁面に対して略45度の方向へ、球状均一粒径の接着性ポリエチレンとしてアイオノマー系樹脂(密度:0.948g/cm;引張強度:355kgf/cm;破断点伸び率:360%;ビカット軟化点:60℃)の均一粒径球状微粒子水性分散液(固形分濃度28重量%;水性分散媒のpH10;粘
度320cP;固形分の平均粒径0.1μm以下;最低成膜温度89℃;)を噴射(0.5〜
1.25g/sec)した。この際、スプレーガンノズル(33)をアルミニウムチューブ(1)
の出口側へ移動させた(線速度270〜340mm/sec)。
【0086】
内壁面に分散液を1回塗布したアルミニウムチューブ(1)を温度120〜150℃で3
〜5分間加熱して緻密な下塗り樹脂層(21:平均膜厚15μm)を形成させた。
その表面に第2回の被膜として非改質の低密度ポリエチレン[MI(190℃;2.16kgf)25g/10分;密度0.915g/cm]を上記と同一操作で上塗りして総括膜
厚約32μmとし、次いで、ホルダー(31)に収容された侭でアルミニウムチューブ(1)を溶着炉内へ移した。溶着炉内で溶着温度150〜155℃で、3〜5分間加熱し、塗布による低密度ポリエチレン微粒子層を溶融して下塗り層(21)に十分に融合させて上塗り層(平均膜厚17μm)を得た。
【0087】
上記の上塗り層の上に、上記と同様の操作で2回、非改質の低密度ポリエチレン微粒子水性分散液を重ね塗りし、各々温度150℃で分散媒を揮散除去し、且つ熱融着させて上塗り層(23)を仕上げ、総括膜厚66μmの樹脂被膜を得た。
【0088】
得られた本発明のチューブ(1)に対して、前記の「効果の測定及び評価」欄に示された手順及び条件で各種の測定を行なった結果、下記の結果を得た:
(1)被膜厚さ:66μm;
(2)ピンホール度:10mA(66μm);
(3)被膜強度(層間接着力):1.25kgf/15mm;
(4)碁盤目試験:合格;
(5)クラッシャー試験:合格;
(6)摩耗試験:合格。
【0089】
[参考例2]
参考例1におけると同一のアルミニウムチューブ(1)及び同一の塗装装置を用いて、アルミニウムチューブ(1)の長軸(X)に平行に、その内方に向けて棒状のスプレーガンノズル(33)を挿入した。
【0090】
アルミニウムチューブ(1)を収容したホルダー(31)を駆動装置(不図示)によってその長軸の周囲に回転(1750rpm)させながら、貯槽(不図示)から供給される下塗り塗料として接着性低密度ポリエチレン[密度0.92g/cm;引張強度:83kgf/cm;破断点伸び率:330%;ビカット軟化点:78℃]からなる均一粒径球状微粒子の水性分散液[固形分濃度:40重量%;水性分散媒のpH:9;粘度:5000cP;平均粒径:5μm;最低成膜温度:106℃]を、スプレーガンノズル(33)の先端からアルミニウム
チューブ(1)の内壁面に対して略45度の方向へ噴射(0.65〜1.62g/分)し、か
つ駆動手段(不図示)によってスプレーガンノズル(33)をアルミニウムチューブ(1)の出口側へ移動(線速度270〜340mm/sec)させた。
【0091】
内壁面に分散液を1回塗布したアウミニウムチューブ(1)を温度150℃で2分間加熱して分散媒を揮散させ、次いで温度195℃まで5℃/分 で徐々に上昇させて固形分を
溶融させながら緻密な下塗り層(41:平均膜厚:22μm)を完成した。
【0092】
この下塗り層の上に下記性状の接着性高密度ポリエチレン水性分散液を上記と同一の装置を用いて2回塗布し、各々温度120〜150℃で3〜5分間加熱して上塗り層(43:平均膜厚:30μm)を完成させて総括膜厚52μmの樹脂膜を得た。
【0093】
接着性低密度ポリエチレン水性分散液:固形分濃度27重量%; 水性分散液のpH10;粘度300cP;平均粒径0.1μm以下;原料樹脂の真密度0.946g/cm;引張強
度35083kgf/cm;破断点伸び率360%;ビカット軟化点60℃。
【0094】
得られた本発明のチューブに対して、前記の「効果の測定及び評価」欄に示された手順及び条件で各種の測定を行なった結果、下記の結果を得た:
(1)被膜厚さ:52μm;
(2)ピンホール度:17mA(52μm);
(3)被膜強度(層間接着力):1.26kgf/15mm;
(4)碁盤目試験:合格;
(5)クラッシャー試験:合格;
(6)摩耗試験:合格。
【0095】
[参考例3]
参考例1におけると同一のアルミニウムチューブ(1)及び同一の塗装装置を用いて、アルミニウムチューブ(1)の長軸(X)に平行に、その内方に向けて棒状のスプレーガンノズル(33)を挿入した。
【0096】
アルミニウムチューブ(1)を収容したホルダー(2)を駆動装置(不図示)によってその長軸の周囲に回転(1750rpm)させながら、貯槽(不図示)から供給された球状均一粒径の接着性ポリエチレンとしてアイオノマー系樹脂(密度:0.948g/cm;引張強度:355kgf/cm;破断点伸び率:360%;ビカット軟化点:60℃)の均一粒
径球状微粒子水性分散液(固形分濃度:28重量%;水性分散媒のpH10;粘度320c
P;固形分の平均粒径:0.1μm以下;最低成膜温度:89℃;)を、アルミニウムチューブ(1)の内壁面に対して約45度の角度で噴射(0.5〜1.25g/分)し、かつスプレー
ガンノズル(33)をアルミニウムチューブ(1)の出口側へ移動させた(線速度270〜340mm/sec)。
【0097】
内壁面に分散液を1回塗布したアルミニウムチューブ(1)を温度120〜150℃で3〜5分間加熱して緻密な下塗り層(平均層厚15μm)を形成させた。その表面に第1回目の塗装と同一の均一粒径球状微粒子水性分散液を同一操作で塗り重ねて第2回目の塗装を施し、次いでホルダー(31)に収容された侭でアルミニウムチューブ(1)を溶着炉内へ移した。溶着炉内で溶着温度120〜150℃で3〜5分間加熱して、塗布によるアイオノマー微粒子層を溶融して下塗り層に十分に融合させ、一層からなる総括膜厚30μmの樹脂被膜を得た。
【0098】
得られた押出チューブ(1)に対して、前記の「効果の測定及び評価」欄に示された手順及び条件で各種の測定を行なった結果、下記の結果を得た:
(1)被膜厚さ:30μm;
(2)ピンホール度(厚さ30μm基準):47mA;
(3)被膜強度(層間接着力):1.05kgf/15mm;
(4)碁盤目試験:合格;
(5)クラッシャー試験:合格;
(6)摩耗試験:合格。
【0099】
[実施例1]
参考例1におけると同一のアルミニウムチューブ(1)及び同一の塗装装置を用いて、アルミニウムチューブ(1)の長軸(X)に平行に、その内方に向けて棒状のスプレーガンノズル(33)を挿入した。
【0100】
ホルダー(31)をその長軸の周囲に回転(1750rpm)させながら、スプレーガンノズル(33)の先端からアルミニウムチューブ(1)の内壁面に対して略45度の方向へ、エポキシ・フェノール系塗料[エポキシ成分含有量23重量%;フェノール成分含有量1
0重量%;商品名AON302T−100(田中ケミカル社製)]を噴射(0.4〜1.0
5g/分)し、かつスプレーガンノズル(31)をアルミニウムチューブ(1)の出口側へ移
動させた(線速度270〜340mm/sec)。
【0101】
内壁面に塗料を1回塗布したアルミニウムチューブ(1)を温度90〜110℃で0.3
〜1.0分間中間乾燥し、得られた膜厚約7μmの下塗り層に、上記のエポキシ・フェノ
ール系塗料を用いて上記と同一操作で総括膜厚約15μmまで塗装した。次いで、ホルダー(31)に収容された侭でアルミニウムチューブ(1)を焼付炉内へ移した。焼付炉内で焼付温度210〜270℃で、4〜7分間加熱し、エポキシ・フェノール系熱硬化性樹脂塗料を十分に硬化させて平均膜厚15μmの下塗り層(51)を得た。
【0102】
この下塗り層(51)の上に下記の性状のアイオノマー水性分散液を上記と同一の装置を用いて2回塗布し、各々温度120〜150℃で3〜5分間加熱して接着性ポリオレフィンの上塗り層(53:総括膜厚30μm)を得た。熱硬化性樹脂層(51)厚と接着性ポリ
オレフィン樹脂層(53)厚との和は45μmに達した。
【0103】
アイオノマー水性分散液:固形分濃度27重量%; 水性分散液のpH10;粘度320cP;平均粒径0.1μm以下;原料樹脂の真密度0.95g/cm;引張強度350kgf/cm;破断点伸び350%;ビカット軟化点58℃。
【0104】
この二重層押出チューブの生産性は従来の押出チューブのそれに比して約2倍に達した。得られた押出チューブ(1)に対して、前記の「効果の測定及び評価」欄に示された手順及び条件で各種の測定を行なった結果、下記の結果を得た:
(1)被膜厚さ:下塗り被膜:15μm;上塗り被膜:30μm;
(2)ピンホール度:22mA(45μm);
(3)被膜強度(層間接着力):0kgf/15mm;
(4)碁盤目試験:殆ど全区画剥離(下塗り層(U3)と上塗り層(T)との間には接着性が殆
ど認められなかった);
(5)クラッシャー試験(下塗り層と金属面との層間接着性検定):合格;
(6)摩耗試験(下塗り層と金属面との層間接着性検定):合格。
【0105】
[参考例4]
図6に示す形状を有し、かつ胴部(63)の直径が25mmで、壁部厚さが0.4mmの高純度アルミニウム板缶本体(62)を、直立した状態で保持ジグ(不図示)に固定した。次に、缶本体の長軸に平行してその内方に向けて棒状のスプレーガンノズル(74)を挿入した。このスプレーガンノズルの先端は長軸に対して約45度の角度を有して固定される平面部(76)を有しており、この平面部(76)には塗料噴射口(77)が設けられている。
【0106】
次いで、回転ジグで缶本体(62)を回転(1750rpm)させながら、スプレーガンノズル(74)の先端から缶本体内壁面に対して略45度の方向へ球状均一粒径の接着性ポリエチレンとしてアイオノマー系樹脂(密度:0.948g/cm;引張強度:355kg
f/cm;破断点伸び率:360%;ビカット軟化点:60℃)の均一粒径球状微粒子水性分散液(固形分濃度28重量%;分散媒のpH10;粘度320cP;固形分の平均粒径0.1μm以下;最低成膜温度89℃;)を噴射(0.9〜1.6g/sec)させ、かつプレーガ
ンノズル(74)を上方へ移動させた(線速度270〜340mm/sec)。
【0107】
内壁面に分散液を1回塗布した缶本体(62)を温度120〜150℃で3〜5分間加熱して緻密な下塗り樹脂層(71:平均膜厚15μm)を形成させた。次いで、上塗り層を形成する為、その表面に非改質の低密度ポリエチレン[MI(190℃;2.16kgf)
25g/10分;密度0.915g/cm]微粒子を上記と同一操作で塗布し、缶本体(62)を溶着炉内へ移した。溶着炉内で溶着温度150〜155℃にて3〜5分間加熱し、
塗布による低密度ポリエチレン微粒子層を溶融して下塗り被膜(71)に十分に融合させ、上塗り層(73;平均膜厚15μm)を得た。
【0108】
上記の上塗り層(73)の上に、上記と同様の操作で2回、非改質の低密度ポリエチレン微粒子を重ね塗りし、各々温度150℃で熱融着させて上塗り層を仕上げて総括膜厚50μmの樹脂被膜を得た。
【0109】
得られたエアゾール缶に対して、前記の「効果の測定及び評価」欄に示された手順及び条件で各種の測定を行なった結果、下記の結果を得た:
(1)被膜厚さ:50μm;
(2)ピンホール度:14mA(50μm);
(3)被膜強度(層間接着力):1.23kgf/15mm;
(4)碁盤目試験:合格;
(5)摩耗試験:合格。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1(A)は本発明の参考例に係る金属製押出チューブの好ましい一態様を示す模式的縦断面図であり、図1(B)はその樹脂被膜の層構造を示す部分拡大断面図であり、図1(C)は樹脂被膜における層構造の他の好ましい態様を示す部分拡大断面図である。
【図2】図2(A)は本発明のチューブの態様を示す模式的断面図であり、図2(B)はその樹脂被膜における層構造を示す部分拡大断面図である。
【図3】図3は本発明に係る押出チューブの塗装方法を説明するための模式的断面図である。
【図4】図4(A)は本発明参考例に係る金属製エアゾール缶の好ましい一態様を示す模式的縦断面図であり、図4(B)は参考例の樹脂被膜における層構造を示す部分拡大断面図であり、図4(C)は参考例の樹脂被膜における層構造を示す部分拡大断面図であり、図4(D)は本発明に係る樹脂被膜における層構造の態様を示す部分拡大断面図である。
【図5】図5は、本態様のエアゾール缶のバルブアッセンブリの構造を示す部分拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明に係るエアゾール缶の塗装方法を説明するための模式的断面図である。
【図7】図7は本発明の金属接着性熱可塑性樹脂層を形成する為に好適な均一粒径の球状微粒子群の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0111】
1 押出チューブ
2 本体
3 胴部
5 肩部
7 口頸部
15 キャップ
31 ホルダー
33 スプレーガンノズル
39 噴出孔
21、41、43、53、71、78、79、97 金属接着性熱可塑性樹脂層
23、73 熱可塑性樹脂層
51、96 熱硬化性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塑性変形が容易であり、かつ一端が閉塞された金属製胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部と、胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層及び当該下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成された金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上塗り層からなる樹脂被膜と、を備えることを特徴とする金属製押出チューブ。
【請求項2】
塑性変形が容易であり、かつ一端が開放された金属製胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部とを備える内容物収容前の押出チューブの胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層を形成する工程、当該下塗り層上に金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートして均一厚さの塗膜を形成する工程、および前記塗膜を加熱し、前記樹脂製球状微粒子を加熱・融着させて金属接着性熱可塑性樹脂からなる上塗り層を形成する工程を含むことを特徴とする金属製押出チューブの製造方法。
【請求項3】
有底筒状の胴部と、該胴部の他端に連続する肩部および口頸部と、該口頸部に設けられるバルブアッセンブリと、前記胴部内壁面に、熱硬化性樹脂層からなる下塗り層及び当該下塗り層上に、金属接着性熱可塑性樹脂からなる球状微粒子ディスパージョンをスプレーコートし、次いで該粒子を加熱・融着させて形成される金属接着性熱可塑性樹脂層からなる上下塗り層を有する樹脂被膜と、を備えることを特徴とする金属製エアゾール缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−315768(P2006−315768A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214792(P2006−214792)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【分割の表示】特願平9−37036の分割
【原出願日】平成9年2月5日(1997.2.5)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】