説明

金属酸化物触媒

【課題】金属酸化物繊維の集合体で構成され、その集合体が十分な硬度を有することから、取り扱い性に優れた金属酸化物触媒を提供する。
【解決手段】繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成してなる金属酸化物繊維の集合体を含む金属酸化物触媒。繊維状金属酸化物前駆体が焼成により金属酸化物繊維になる時に、金属酸化物前駆体中の水酸基(OH基)が焼成により脱水して金属酸化物となる過程で自己縮合することにより金属酸化物間で架橋を形成し、この結果、金属酸化物繊維同士が繊維状を維持したまま結着し、これにより、高硬度の金属酸化物繊維集合体を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属酸化物触媒に係り、特に、金属酸化物繊維の集合体で構成され、その集合体が十分な硬度を有することから、取り扱い性に優れた金属酸化物触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物、例えば、白金/酸化チタン(Pt/TiO)は、例えば次のような反応の触媒等として工業的に有用な物質である。
(1)COの除去反応(酸化反応):例えば、燃料電池発電システムにおける改質ガス中のCOをCOに変換する水性ガス反応に利用される(CO+HO→CO+H)。
(2)燃焼反応:例えば、熱電式水素センサーは接近した水素を触媒上で燃やす時発生する局部的な温度差を熱電変換材料により電圧信号に変換することで、水素ガスを検知する。このセンサーの中で、水素を燃焼するための反応に利用される。
(3)分解反応:例えば、光触媒ではPt/TiO触媒が良く知られており、有機物の分解反応に利用できる。
【0003】
従来、チタニア等の金属酸化物触媒は、一般的に粒子状で提供されている。しかし粒子状触媒は、比表面積が十分に大きいとは言えず、このため触媒活性も十分ではなく、一方、比表面積を大きくするために粒子径を小さくすると飛散、流出といった問題もあるため、これを解決するものとして繊維状触媒が提供されている。
【0004】
従来、無機物繊維の製造方法として、エレクトロスピニング(以下、「ES法」と称する場合がある。)が知られている。ES法による無機物含有ファイバーの製造方法としては、具体的には、ポリマー質ナノファイバーシートを基材とし、シートを構成するナノファイバー表面に二酸化チタンの微粒子を被着させる方法(特許文献1)や、ポリマーの中に無機物などを囲んで固定させるような方法(特許文献2)が知られている。
【0005】
一方、ゾルゲル法による製造方法も知られている。一般的なゾルゲル法は、溶液から出発し、加水分解、縮重合などの化学反応を経てゲル(ゼリー状の固体)を調製し、これを熱処理することにより内部に残された溶媒を取り除き、さらに緻密化を促進させることによりガラスやセラミックスを得る触媒調製法である。例えば、TiOを調製する場合、特許文献3にあるように、溶液としてTi(OCもしくはTi(OCのようなアルコキシド含有溶液を用いる。Vを調製する場合は、非特許文献1に紹介されるように、VO(OCを溶液化して用いる。ES法を併用して繊維を製造する場合は、これらの溶液と高分子とを混合して原料溶液とする。
【0006】
また、このようにして製造された金属酸化物繊維に白金等の貴金属を担持してその触媒活性を更に高めることも行われている。
【特許文献1】特開2005−264386号公報
【特許文献2】US 2003/0232195号公報
【特許文献3】特開昭62−223323号公報
【非特許文献1】H.Y.Kim et. al. Rev. Adv. Mater. Sci.5(2003)216-219
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属酸化物繊維については、各種の製造方法が知られているが、一般的に提供されている金属酸化物繊維をシート状にして使用する場合、その硬度が十分でないことから、取り扱い性が悪いという欠点がある。
本発明は、金属酸化物繊維の集合体で構成され、その集合体が十分な硬度を有することから、取り扱い性に優れた金属酸化物触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)の金属酸化物触媒は、繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成してなる金属酸化物繊維の集合体を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2の金属酸化物触媒は、請求項1において、集合体の大きさが0.8mm以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の金属酸化物触媒は、請求項1又は2において、集合体の硬度が0.5MPa以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項4の金属酸化物触媒は、請求項1ないし3のいずれか1項において、繊維状金属酸化物前駆体が、ヒドロゲルを含む原料液を繊維状に紡糸して得られることを特徴とする。
【0012】
請求項5の金属酸化物触媒は、請求項4において、原料液がヒドロゲルと高分子化合物とを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6の金属酸化物触媒は、請求項1ないし5のいずれか1項において、金属酸化物繊維の繊維径が10〜1,000nmであることを特徴とする。
【0014】
請求項7の金属酸化物触媒は、請求項4ないし6のいずれか1項において、原料液を紡糸する方法がエレクトロスピニング法であることを特徴とする。
【0015】
請求項8の金属酸化物触媒は、請求項1ないし7のいずれか1項において、金属酸化物繊維に対して、0.01〜50重量%の貴金属を担持させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成することにより、高硬度で取り扱い性に優れた金属酸化物触媒を得ることができる。
【0017】
即ち、繊維状金属酸化物前駆体が焼成により金属酸化物繊維になる時に、金属酸化物前駆体中の水酸基(OH基)が焼成により脱水して金属酸化物となる過程で自己縮合することにより金属酸化物間で架橋を形成し、この結果、金属酸化物繊維同士が繊維状を維持したまま結着し、これにより、高硬度の金属酸化物繊維集合体を得ることができる。
【0018】
本発明において、金属酸化物繊維の集合体の大きさは0.8mm以上であることが好ましい(請求項2)。
【0019】
また、集合体の硬度は0.5MPa以上であることが好ましい(請求項3)。
【0020】
ところで、従来のゾルゲル法を利用した金属酸化物繊維の製造では、出発原料として金属のアルコキシドを用いることから、有機溶媒を使用することを必須とし、作業面、コスト、廃液処理等の面において、工業的に不利である。また、ポリマーと無機物とを混合して得た原料溶液が不安定となりやすく、均一な繊維を製造することが困難である。
【0021】
これに対して、ヒドロゲルを出発原料とし、ヒドロゲルを原料液を繊維状に紡糸して繊維状金属酸化物前駆体を得ることにより、得られる金属酸化物に制約を受けることなく、また、有機溶媒を用いることなく、各種用途に有用な金属酸化物触媒を提供することができる(請求項4)。しかも、ヒドロゲルを原料とする場合には、安定した原料溶液を調製することができるため、均一で触媒活性の安定性、信頼性に優れた金属酸化物触媒を製造することができる。
【0022】
この場合、用いる原料液は、ヒドロゲルと高分子化合物とを含むことが好ましい(請求項5)。また、原料液の紡糸は、エレクトロスピニング法により行うことが好ましい(請求項7)。
【0023】
本発明において、金属酸化物繊維の繊維径は10〜1,000nmであることが好ましい(請求項6)。
【0024】
また、得られた金属酸化物繊維に更に貴金属を担持させることにより、より触媒活性に優れた繊維状の金属酸化物触媒を得ることができ、好ましい(請求項8)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の金属酸化物触媒の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の金属酸化物触媒は、繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成してなる金属酸化物繊維の集合体を含むものである。
【0026】
本発明において、繊維状金属酸化物前駆体を製造する方法には特に制限はないが、前述の如く、得られる金属酸化物に制約を受けることなく、また、有機溶媒を用いることなく、均一で触媒活性の安定性、信頼性に優れた金属酸化物触媒を製造することができることから、ヒドロゲルを出発原料とし、ヒドロゲルを含む原料液を繊維状に紡糸して繊維状金属酸化物前駆体を得ることが好ましい。
【0027】
従って、以下においては、ヒドロゲルを出発原料として繊維状金属酸化物前駆体を得る方法について説明するが、本発明において、繊維状金属酸化物前駆体の製造方法は何ら、以下に記載する方法に限定されるものではない。
【0028】
本発明に係るヒドロゲルは、金属に水酸基が結合している物質であり、例えばチタン(Ti)であれば、Ti(OH)n、TiO(OH)mで表される物質である。このようなヒドロゲルは、金属化合物を水に溶解させた溶液に、ヒドロゲルの生成が終了するまでアルカリを添加して、好ましくはpH7〜10、より好ましくはpH8〜9にpHを調整することにより容易に得ることができる。
【0029】
ここで用いる金属化合物としては、金属ヒドロゲルを安定に合成できる金属塩を使用することが重要であり、例えば、金属種としては、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、珪素、アルミニウム、亜鉛、錫、マンガン、セリウム、ジルコニウム等が挙げられ、また、塩の種類としては硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。これらのうち、好ましくは塩化物が用いられる。例えば、チタンであれば四塩化チタン(TiCl)、また珪素であれば四塩化珪素(SiCl)等が挙げられる。これらの金属塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。なお、金属種が異なる金属塩を2種以上用いた場合には複合金属酸化物繊維が得られることになる。
【0030】
また、金属塩溶液中の金属塩濃度は、0.1〜95重量%程度であることが好ましい。金属塩溶液中の金属塩濃度は、より好ましくは10〜50重量%である。この濃度が低すぎると、特に工業的規模での実施を行う場合には工業的に処理量が多くなり経済的に好ましくない。
【0031】
また、pH調整に用いるアルカリとしては、特に制限されず、通常はアンモニア水または、各種金属の水酸化物、炭酸塩、酢酸塩等の水溶性金属塩を用いることができる。性能、洗浄性および製造コスト等を考えるとアンモニア水が特に好ましい。
【0032】
金属塩溶液をアンモニア水によりpH調整することにより、沈殿が生成してヒドロゲルを得ることができる。合成されるヒドロゲルの粒径は調製条件によって大きく変化し、金属種、アニオン種、金属塩濃度、沈殿剤(アルカリ)の種類、濃度、温度、pH等の組み合わせによって異なるため、最適な条件を選定する必要がある。特に、調製条件の選定により、粒径1μm以下、特に10〜1,000nm程度の粒分を分散させたヒドロゲルを得ることが好ましい。なお、必要に応じて、分散機または粉砕機等の物理的手段を用いることができる。
ヒドロゲルのゲル粒径は、紡糸により得られる金属酸化物繊維(以下「ナノファイバー」と称す場合がある。)に影響し、得られるナノファイバーの繊維径は、出発原料のヒドロゲルのゲル粒径とほぼ同等となることから、本発明では、原料のヒドロゲルのゲル粒径を測定することにより、繊維径を決定する。即ち、後述の各種触媒用途に好適な繊維径10〜1,000nmのナノファイバーを得るために、このヒドロゲルのゲル粒径は10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。なお、ヒドロゲルの粒径は、後述の実施例の項に記載されるように、レーザ型粒度分布装置(セイシン企業(株)、LMS−24)で測定することができる。
【0033】
本発明においては、このようなヒドロゲルのみを用いて紡糸を行っても良いが、効率よく紡糸しやすくするために、バインダーとしての高分子化合物を併用することが好ましい。この高分子化合物としては、原料液に可溶性であれば良く、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンオキサイド(分子量10万〜100万)、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。このような高分子化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0034】
ヒドロゲルに対する高分子化合物の使用量は、ヒドロゲル:高分子化合物=0.3〜10:1(重量比)であることが好ましく、ヒドロゲル:高分子化合物=0.6〜2:1であることが更に好ましい。この高分子化合物の使用量が少な過ぎると高分子化合物を用いたことによる上記効果を十分に得ることができず、多過ぎると非効率である。なお、高分子化合物は1〜30重量%程度の水溶液として用いることができ、ヒドロゲルに高分子化合物水溶液を混合してなる原料液中の金属濃度としては0.1〜50重量%、好ましくは1〜10重量%となるように、各成分量を調整することが好ましい。
【0035】
このような原料液の紡糸方法としては、特に制限はなく、エレクトロスピニング法、スチームジェット法、APEX(登録商標)技術(Polymer Group. Inc.)法等を採用することができるが、これらのうちエレクトロスピニング法が均一な繊維を調製できることから好ましい。
【0036】
エレクトロスピニング法は、電気の力を利用した繊維化方法として公知の方法であり、図1に示す如く、アースしたターゲット1と、原料液を保持するキャピラリー(ニードル)付きシリンジ2のキャピラリー部分2Aとの間に、直流電源3で原料液側にプラス、ターゲット側にマイナスの直流電圧を印加することにより、ターゲット1に向けて原料液を放出し、ターゲット1上にナノファイバー4の堆積層5を形成する。即ち、キャピラリー2Aの先端の原料液表面に電極と反対符号の電荷が誘発・蓄積される。原料液表面に蓄積された電荷と電場の相互作用により、高い電場(0.5〜1.5kV/cm前後)の下では、原料液はTaylor−Coneと呼ばれる円錐状の形に引き延ばされる。電場が臨界値を超えると、静電気の反発力が表面張力を上回り、原料液の一部がTaylor−Coneから飛び出し、荷電したジェットが射出される。射出されたジェットは、強く帯電しており、電場によりターゲット1へ引き寄せられる。射出されたジェットは体積に対して表面積が大きく、溶媒が効率よく蒸発する。そのため、体積の減少により電荷密度が高くなり、さらに細いジェットへと分裂していく。この過程により、原料液中の液成分がほぼ揮発した、繊維径が数十〜数百ナノメートルオーダーの均一なナノファイバー4からなる堆積層(不織布)5がターゲット1上に形成される。
【0037】
このエレクトロスピニング法において、印加電圧、キャピラリー2Aとターゲット1との距離、原料液の供給流速、原料液組成等を適宜調整することにより、所望の繊維径及び繊維長さのナノファイバーを形成することができる。
【0038】
エレクトロスピニング法における印加電圧は0.5〜1.5kV/cm程度であり、図1のキャピラリー2Aからターゲット1へのナノファイバーの射出距離により、印加する電圧は変わる。通常の操作では、射出距離(キャピラリー2Aとターゲット1との距離)は50〜300mm程度であるため、印加する電圧は5〜30kV程度とすることが好ましい。例えば、射出距離が100mmで高分子化合物としてポリエチレンオキサイドを使用した場合、7〜12kV程度とすれば良好に紡糸することができる。
【0039】
また、キャピラリー2A先端とターゲット1との距離は、印加電圧や原料液の粘性、導電率等によっても異なるが、50〜250mm、特に100〜200mm程度とすることが好ましい。この距離が近過ぎても遠過ぎても、良好なナノファイバーを形成し得ない。また、原料液の供給流速は、使用する高分子化合物にもよるが、例えばポリエチレンオキサイドを用いた場合通常0.1〜10ml/hr、好ましくは0.5〜1ml/hr程度である。この原料液の供給流速についても、大き過ぎても小さ過ぎても良好なナノファイバーを形成し得ない。
【0040】
本発明においては、このようにして得られたナノファイバー、即ち、繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成する。
【0041】
この賦形処理としては、特に制限はないが、例えば、次のような方法を採用することができる。
(1) 図2に示す如く、上述のようにして得られたナノファイバーのシート状の堆積層(以下「ナノファイバーシート」と称す場合がある。)5(図2(a))を、棒状に巻き取り(図2(b))、ナノファイバーの棒状の繊維集合体7を得る(図2(c))。
(2) 上述の如く、ナノファイバーシートを棒状に巻き取る際に、焼成時に焼失するような材料、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂等よりなる芯材を用い、図2(d)のようにこの芯材8を軸としてナノファイバーシートを巻き取る(図2(e))。この場合は、焼成後に管状の繊維集合体が得られる。
(3) 適当な容器内にナノファイバーシートを入れ加圧して賦形する。
(4) ナノファイバーシートを折り畳んで加圧して賦形する。
(5) ナノファイバーのシートを一枚一枚重ねて加圧して賦形する。
(6) ナノファイバーシートを平らにしてその上に(2)で使ったような芯材を同じ間隔で置き、その上に新しいナノファイバーシートをかぶせる。この作業を所定の高さになるまで繰り返し、加圧して賦形する。この場合は、焼成後にスレート状の繊維集合体が得られる。
(7) 図2(a)に(2)で使ったような芯材を図2(d)のようにシートの端に置き所定の厚さの棒を作る。その後、棒とシートの間に図2(f)のように、芯材8を入れてさらに巻く。これらの作業を繰り返して巻き取る。この場合は、焼成後の芯材の大きさの孔が複数できた繊維集合体が得られる(図2(g))。
【0042】
このうち、簡易に形態を形成できることから、またチューブ型、プレート型、バッチ式など様々なタイプの反応器へ容易に充填できることから、上記(1)と(2)の方法が好ましく、特に(1)の方法が好ましい。
【0043】
なお、上述のような賦形処理を行って得られるナノファイバーの集合体は、必要に応じて切断機で切断するなどして適当な大きさ、好ましくは、後述の金属酸化物繊維の集合体の大きさとなるように調整する。
【0044】
このような賦形処理で得られたナノファイバーの集合体は、次いで焼成する。
この焼成温度は、金属酸化物が形成される温度であれば良いが、高すぎても低すぎても触媒活性が低下するため、例えば、チタンヒドロゲルを原料に用いた場合は350〜800℃、特に400〜500℃とすることが好ましい。焼成は通常大気中で行うが、窒素やヘリウムなどの不活性ガスと混合した酸素雰囲気であっても良い。焼成時間は焼成温度によっても異なるが、通常10分〜24hr程度である。
【0045】
焼成により、高分子化合物を用いた場合には高分子化合物は焼失し、また、ヒドロゲル中の水酸基は分解して水が放出されることにより金属酸化物のナノファイバーの集合体が得られる。
【0046】
このようにして得られる金属酸化物繊維の集合体を構成する金属酸化物繊維は、触媒としての用途において、繊維径10〜1,000nmであることが好ましく、50〜800nmであることが更に好ましく、100〜500nmであることが特に好ましい。繊維径が太過ぎると均一な繊維となりにくく、細過ぎると焼成後破損しやすい。繊維長については特に制限はない。
【0047】
また、この金属酸化物繊維の集合体の大きさは0.8mm以上、特に1.0mm以上であることが好ましい。集合体の大きさが小さいと折れやすくなるため好ましくない。集合体の大きさが過度に大きいと、焼成後に体積の変化が大きくなるにつれて、集合体の表面が荒れやすく、また、硬度も弱くなる傾向があるため好ましくない。ただし、集合体の大きさの制限は必要なく、触媒として反応器に充填して使用することを考えると、反応器の形状にも依存するが、一般的には30mm以下、好ましくは20mm、特に好ましくは10mm以下であることが好ましい。
【0048】
なお、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、例えば、前述の(1)の方法で棒状の集合体を製造した場合は、この棒状体を長さ方向に直交する方向に切断、焼成した後の断面の直径の長さをさす。この棒状体の直径については、反応器の形状にもよるが、一般的には30mm以下、好ましくは20mm、特に好ましくは10mm以下であることが好ましい。
【0049】
また、前述の(2)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、外径から内径を引いた長さをさす。
また、前述の(3)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、例えば、球状の場合は直径、立方体の場合はシートを圧縮した方向の高さをさす。
また、前述の(4)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、折り畳んで焼成した後のシートを畳んだ方向の高さをさす。
また、前述の(5)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、(4)と同じく重ねて焼成した後のシートの重ねた方向の高さをさす。
また、前述の(6)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、縦軸の長さから孔の長さを引いた高さをさす。
また、前述の(7)の方法で集合体を製造した場合は、金属酸化物繊維の集合体の大きさとは、全体の直径の長さから孔の長さを引いた長さをさす。
【0050】
また、この金属酸化物繊維の集合体の硬度は、0.5MPa以上、特に0.8MPa以上であることが好ましい。集合体の硬度が小さいと、十分な取り扱い性を得ることができない。
一方、集合体の硬度は、金属酸化物よりなることから、通常30MPa以下である。
【0051】
このような比較的硬度の高い集合体を得るために、前述の賦形処理では、以下のような工夫を施すことが好ましい。
1.シートを巻く時は、たるみができないように密に巻く。
2.試料全体に均等に力を入れる。
3.ファイバーをドラム型ターゲット上に集める場合は、図1のb方向に巻く。即ち、 ファイバーの厚さが中心部は厚く、両脇の薄いファイバーシートが得られるので図 1のa方向ではなく図1のbの方向に巻く。
【0052】
なお、金属酸化物繊維の集合体の硬度は、後述の実施例の項で記載するように、硬度測定装置(SHIMADZU,MCTM−500)で測定することができる。
【0053】
また、本発明の金属酸化物触媒は、比表面積と細孔容量が大きいことが特徴であり、比表面積は50m/g以上、特に100m/g以上であることが好ましい。
また、細孔容量(孔径2〜200nmの細孔の容量)は0.5ml/g−金属酸化物触媒以上であることが好ましい。
なお、金属酸化物触媒の比表面積と細孔容量は後述の実施例の項で記載するように、不活性の窒素ガスを用いたBET法(マウンテック社製、HM−Model1210)と窒素吸着法(カンタークローム社製、オートソーブ3B)で測定することができる。
【0054】
本発明の金属酸化物触媒は、繊維状金属酸化物前駆体の賦形処理及び焼成により得られた金属酸化物繊維の集合体のみでも十分に触媒機能を発揮するが、この金属酸化物繊維に貴金属を担持させたものが好ましく、このように貴金属を担持させたものであれば、より一層高い触媒機能を得ることができる。
【0055】
この場合、担持させる貴金属としては特に制限はないが、白金、パラジウム、銀、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、金、オスミウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0056】
また、貴金属の担持量は、金属酸化物繊維に対して0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜30重量%であることが更に好ましく、0.1〜10重量%であることが特に好ましい。この貴金属担持量が少な過ぎると貴金属を担持したことによる触媒活性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると、シンタリングが起きやすくなり、活性低下の要因となる場合がある。
【0057】
貴金属を担持した金属酸化物触媒は、例えば、前述のヒドロゲルを出発原料として繊維状金属酸化物前駆体を製造する場合の原料液として貴金属成分を含むものを用いること以外は、前述の方法と同様にして製造することができる。
【0058】
即ち、ヒドロゲルに対して、貴金属の塩化物、硝酸塩、錯塩等、例えば塩化物としてはヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(HPtCl・6HO)やヘキサクロロパラジウム酸水和物(HPdCl・nHO)、硝酸塩としては硝酸白金(IV)や硝酸パラジウム(Pd(NO)、錯塩としては、白金エタノールアミン等、を所定の割合で添加混合し、更に必要に応じて前述の高分子化合物水溶液を添加混合したものを原料液として前記と同様に紡糸、賦形処理及び焼成を行えば良い。
【0059】
このような本発明の金属酸化物触媒は、前述のCOの除去反応(酸化反応)、燃焼反応、分解反応等の触媒等として工業的に極めて有用である。
【実施例】
【0060】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0061】
[比較例1]
<ヒドロゲルの調製>
四塩化チタン(和光純薬製)500gを1500gの水中に滴下し、四塩化チタン水溶液を調製した。この四塩化チタン水溶液にアンモニア水(和光純薬製)をpHが8.5で一定になるまで滴下し、沈殿を析出させた。
【0062】
この沈殿物の中で粒径1μm以下の粒子を自然沈降による分級により分取し、これをナノファイバー調製のための原料液(以下「チタンヒドロゲル」と称す。)とした。
【0063】
使用したチタンヒドロゲル内の粒子の粒度分布測定結果は、図3に示す通りである。なお、チタンヒドロゲルの粒度分布測定用の装置にはSEISHIN(Laser Micron Sizer LMS−24)を用いた。
【0064】
<原料液の調製>
得られたチタンヒドルゲルに、ポリエチレンオキサイド(PEO、Sigma−Aldrich製、分子量(Mv):100万)をバインダーとして混合し原料液とした。この時、チタンヒドルゲルとPEO(3.38重量%水溶液)との重量比はチタンヒドルゲル:PEO=0.65:1とした。このチタンヒドロゲル中のTi濃度は3重量%であった。
【0065】
<原料液の紡糸>
原料液をシリンジ(容量10cc)に入れて、図1に示すエレクトロスピニング装置に取り付け、キャピラリー(fine gauge blunt tip、21G)に直流電源を結合し、17kVの直流電圧を印加した。ターゲットとキャピラリーとの距離は200mmとした。原料液の供給流速は0.6ml/hrとした。
得られたナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM、(株)テクネックス工房社製、Tiny−SEM 1710型)で観察した写真を図4(a)に示す。明るくイメージされているのがナノファイバーである。
【0066】
<ナノファイバーの焼成>
紡糸により得られたナノファイバーを大気中、500℃で4時間焼成してチタニアナノファイバーを得た。このチタニアナノファイバーについて、上記と同様にSEM観察した写真を図4(b)に示す。図4(b)のSEM写真において、焼成後でも繊維径200〜800nmのナノファイバー形状を維持していることが分かる。
このナノファイバーの太さは図3の粒度分布測定結果で示したように、出発原料として用いるヒドロゲルの粒子の大きさとほぼ同じであった。
【0067】
なお、この焼成後のナノファイバーを棒状に巻き取ろうとすると硬度が低いために形が崩れてしまった。
【0068】
[実施例1]
比較例1において、紡糸により得られたナノファイバーの堆積層をそのまま焼成して得られるチタニアナノファイバーは硬度が小さいという欠点がある。
従って、この欠点を解決するために、比較例1と同様にして原料液の紡糸により得られたナノファイバーの堆積層を棒状に巻き取り、この棒状体を比較例1と同様の条件で焼成した。
【0069】
なお、ナノファイバーシートの巻き取りに当たっては、厚み約0.1mmのナノファイバーのシートを図2(a)〜(c)に示すように直径約1.6mmの棒状に巻き取り、その後約2mmに切断機により切断し、空気中500℃で4時間焼成し、1.2mmの粒状の金属酸化物触媒を調製した。同様の方法で直径0.6mm、0.7mm、0.8mm、1.9mm、2.4mmの粒状の金属酸化物触媒を調製した。
【0070】
焼成後のナノファイバーの集合体のデジタル写真を図5(a)に示す。また、そのSEM写真を図5(b),(c)に示す。図5(b)は棒状体の外周部分のSEM写真であり、図5(c)は、これを斜めに切断した時の断面図のSEM写真である。図5(b),(c)より、棒状体の外側も内側もナノファイバーの形態を維持しながらファイバーが密集して固定されていることが分かる。
【0071】
この棒状のナノファイバー形成にはチタンヒドロゲルが二酸化チタンになる時、担体として用いられている二酸化チタン表面上に存在する水酸基(OH基)が熱処理によって脱水する過程でself-condensationが起きることによって、二酸化チタン同士に架橋を形成すると考えられる。この現象は棒状の中でも起きていると考えられ、焼成前と同じ棒状の形態を保ちながら棒の中までファイバーとして残っている。
【0072】
<硬度の測定>
このようにして得られた太さ1.2mmの試料の硬度を測定(SHIMADZU、MCTM−500)した結果、1.2MPaの値が得られた。この時は、針は図5のAの方向におりて測定を行った。
棒の太さを変えてファイバーの硬度を調べた結果を図6に示す。図6より、棒状にすることによって、硬度を高めることができることが分かる。
なお、棒の太さを変えた試料を作成するには次のようにした。
まず、均一なシート状のナノファイバーを調製し、平らな場所に置いた。その後、シート状のナノファイバーを同じ幅になるように切断機で切った。つづけて、図2(a)〜(c)に示すように巻いた。この巻く回数を調整して棒の太さを変えた。その後、触媒として反応器に充填しやすくするため約2mmの長さになるように切断した。
【0073】
<比表面積/細孔容積>
このようにして得られる本発明の金属酸化物触媒は、多孔質であることが特徴の一つである。そこで、焼成温度を変え、400℃、500℃、800℃で上記と同様にして焼成して得られた試料について、比表面積と細孔容積を測定し、結果を表1に示した。
【0074】
なお、比表面積の測定(マウンテック社製、HM−Model 1210)は窒素ガスを用いてBET1点法(前処理:250℃、15分)によって行った。また、細孔容量の測定(カンタークローム社製、オートソーブ3B)は窒素吸着法によって行った。測定前に、前処理として250℃で2時間排気を行い、圧力を約1.3Pa以下まで下げた。細孔の容量は試料中に含まれている孔径2〜200nmの大きさの細孔の測定結果である。
【0075】
【表1】

【0076】
なお、この際、800℃で4時間焼成した試料のSEM写真を図7に示す。図7より明らかなように棒状のナノファイバーは800℃で4時間焼成してもナノファイバーの形及び太さは、500℃で焼成した場合とほぼ同じであった。この結果から、高温で焼成してもファイバーの形はほぼ壊れてないまま密集した金属酸化物繊維の集合体であることが分かる。
【0077】
[実施例2]
<Pt担持チタニアナノファイバー集合体の製造>
実施例1と同様にして製造した粒径1μm以下のチタンヒドロゲルに、焼成後、得られるチタニアに対して0.25重量%Pt相当の白金エタノールアミン(エヌ・イー ケムキャット製)を添加して十分に撹拌混合し、更にPEOをバインダーとして混合した。この時、チタンヒドルゲルとPEO(3.38重量%水溶液)の重量比はチタンヒドルゲル:PEO=0.86:1とした。この液を原料液として用いて、実施例1と同様に紡糸、賦形処理、及び、500℃で4時間の焼成を行った。
【0078】
<表面積の測定>
このようにして得られた本発明のPt担持チタニアナノファイバー集合体は高い表面積であることが特徴である。
【0079】
後述の比較例2の方法に従って、従来の沈殿法によって調製したPt担持チタニア粒子と上記で得られたナノファイバー集合体とを試料として下記方法により測定した白金表面積を比較した結果を表2に示す。
【0080】
(白金表面積の測定)
一酸化炭素(CO)パルス法(日本ベル(株)触媒分析装置BEL−CAT−32)によって測定した。使用したCOの純度は10.1%であり、試料は250℃の空気雰囲気で15分間の酸化処理を行った後、水素雰囲気で還元処理を15分間行った。
【0081】
【表2】

【0082】
表2より、沈殿法で調製したPt担持チタニア粒子に比べて、本発明のPt担持チタニアナノファイバーの集合体は白金表面積が約6倍以上に増大していることが分かる。
【0083】
<触媒活性の評価>
上記で得られた本発明のPt担持チタニアナノファイバー集合体と、後述の比較例2の方法に従って調製したPt担持チタニア粒子とについて、水性ガスシフト反応に対する触媒活性の評価を行った。
Pt担持チタニアナノファイバーの集合体又はPt担持チタニア粒子を触媒として、同一体積(4ml)の触媒を用い、それぞれ水素ガスにより450℃で2時間還元処理を行った後、下記組成の原料ガスを導入し、SV=1800(1/hr)で導入し、表2に示す反応温度で気相接触反応を行った。
【0084】
(原料ガス組成(容積%))
一酸化炭素:5.55
二酸化炭素:5.55
水素:38.82
スチーム:44.54
窒素:5.55
【0085】
分析用のカラムには、水素、窒素、酸素、一酸化炭素を分析するためにモレキュラーシーブ−5A(GLサイエンス社製)を、メタンと二酸化炭素を分析するためにポラパック−N(GLサイエンス社製)を用いた。これらのカラムを経時的に切り替えるシステムを採用して生成物の分析を行った。
【0086】
一酸化炭素(CO)の転化率は以下のように計算した。
CO転化率=
(反応管入口のCO流量−反応管出口のCO流量)×100/(反応管入口CO流量)
【0087】
反応温度に対するCO転化率の変化及びPt単位重量当たりCO転化量の変化について得られた結果を表3にまとめた。
【0088】
【表3】

【0089】
表3より、本発明のPt担持チタニアナノファイバーの集合体は、沈殿法によって調製したPt担持チタニア粒子と比べて、Pt単位重量当たりのCO転化率が著しく高く、反応温度280℃では約7.3倍のCO転化量を示した。
【0090】
[比較例2]
従来の沈殿法による触媒を以下の手順で調製した。
【0091】
まず、四塩化チタン(和光純薬製)500gを1500gの水中に滴下し、四塩化チタン水溶液を調製した。この四塩化チタン水溶液にアンモニア水(和光純薬製)をpHが一定になるまで滴下し、沈殿を析出させた。得られたチタンスラリー水溶液を蒸発乾固後、300℃で3時間、高温乾燥機で加熱処理してチタニア粒子を得た。得られたチタニア粒子に0.5重量%Pt相当のヘキサクロロ白金酸塩水溶液を添加し、十分に撹拌混合した。このスラリーを130℃で5時間加熱乾燥した後、450℃で2時間マッフル炉で焼成して、Pt担持チタニア粒子を得た。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】エレクトロスピニング装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る賦形処理を説明する模式図である。
【図3】比較例1におけるチタンヒドロゲルの粒度分布測定結果を示すチャートである。
【図4】図4(a)は、比較例1における焼成前のナノファイバーのSEM写真であり、図4(b)は焼成後のナノファイバーのSEM写真である。
【図5】(a)図は棒状の形にして大気中、500℃で4時間焼成した後の棒状の金属酸化物触媒のデジタル写真である。(b)図は、棒状金属酸化物触媒の外周部の走査電子顕微鏡(SEM)写真、(c)図は、棒状の金属酸化物触媒の断面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】実施例1における棒状体の棒の太さと硬度との関係を示すグラフである。
【図7】800℃で焼成して得られた金属酸化物触媒のSEM写真である。
【符号の説明】
【0093】
1 ターゲット
2 シリンジ
2A キャピラリー
3 直流電源
4 ナノファイバー
5 堆積層(ナノファイバーシート)
6 回転ドラム
7 棒状体の繊維集合体
8 芯材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状金属酸化物前駆体の不定形の堆積層を圧密化して賦形処理した後、焼成してなる金属酸化物繊維の集合体を含むことを特徴とする金属酸化物触媒。
【請求項2】
集合体の大きさが0.8mm以上である請求項1に記載の金属酸化物触媒。
【請求項3】
集合体の硬度が0.5MPa以上である請求項1又は2に記載の金属酸化物触媒。
【請求項4】
繊維状金属酸化物前駆体が、ヒドロゲルを含む原料液を繊維状に紡糸して得られる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の金属酸化物触媒。
【請求項5】
原料液がヒドロゲルと高分子化合物とを含む請求項4に記載の金属酸化物触媒。
【請求項6】
金属酸化物繊維の繊維径が10〜1,000nmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の金属酸化物触媒。
【請求項7】
原料液を紡糸する方法がエレクトロスピニング法である請求項4ないし6のいずれか1項に記載の金属酸化物触媒。
【請求項8】
金属酸化物繊維に対して、0.01〜50重量%の貴金属を担持させてなる請求項1ないし7のいずれか1項に記載の金属酸化物触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−62163(P2008−62163A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241735(P2006−241735)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】