説明

金属錯体、高分子化合物及びそれを用いた素子

【課題】溶液安定性に優れた赤色発光材料を提供する。
【解決手段】下記式(1)


[式中、Z1〜Z5は、−C(R*)=又は窒素原子を表す。]で表される金属錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体、高分子化合物及びそれを用いた素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子の発光層に用いる赤色発光材料として、1−フェニルイソキノリン3分子がシクロメタル化配位したイリジウム錯体が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002−44189号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このイリジウム錯体は、溶液安定性が不十分であった。
そこで、本発明は、溶液安定性に優れた赤色発光材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は第一に、下記式(1):
【0006】
【化1】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は、置換基を有していてもよい。
1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、−C(R*)=又は窒素原子を表す。R*は、水素原子又は置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。
mは、1又は2である。]
で表される金属錯体を提供する。
【0007】
本発明は第二に、前記金属錯体の残基を有する金属含有高分子化合物を提供する。
【0008】
本発明は第三に、前記金属錯体又は前記金属含有高分子化合物を含む組成物を提供する。
【0009】
本発明は第四に、前記金属錯体、前記金属含有高分子化合物、又は前記組成物を含む膜を提供する。
【0010】
本発明は第五に、前記金属錯体、前記金属含有高分子化合物、又は前記組成物を含む素子を提供する。
【0011】
本発明は第六に、前記素子を用いた面状光源及び照明を提供する。
【0012】
本発明は第七に、下記式(4):
【0013】
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体と、
下記式(5):
【0014】
【化3】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、前記と同じ意味を有する。]
で表される化合物とを反応させることを含む、
下記式(1c):
【0015】
【化4】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体の製造方法を提供する。
【0016】
本発明は第八に、下記式(6):
【0017】
【化5】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。
e、Rf及びRgは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表される金属錯体と、
下記式(5):
【0018】
【化6】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、前記と同じ意味を有する。]
で表される化合物とを反応させることを含む、
下記式(1c):
【0019】
【化7】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の金属錯体、金属含有高分子化合物及び組成物は、溶液安定性に優れた赤色発光材料(即ち、本発明の金属錯体、金属含有高分子化合物及び組成物のEL発光スペクトルのピーク波長が570〜700nmである赤色発光材料)である。また、この赤色発光材料を用いた有機EL素子は、発光効率が優れる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書中の構造式において、破線で示される結合は、配位結合を示す。また、「金属含有高分子化合物」は、分子中に金属原子及び/又は金属イオンを含む高分子化合物を意味し、「金属非含有高分子化合物」は、分子中に金属原子及び金属イオンを含まない高分子化合物を意味する。
【0022】
<金属錯体>
本発明の金属錯体は、前記式(1)で表される。
前記式(1)で表される金属錯体は、イリジウム原子及び2座配位子から構成されている。
【0023】
前記式(1)中、mは、好ましくは2である。この場合、前記式(1)は、前記式(1c)である。
【0024】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0025】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアルキル基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルキル基の炭素数は、通常、1〜12である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0026】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルコキシ基の炭素数は、通常、1〜12である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0027】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアルキルチオ基は、直鎖、分岐及び環状のいずれでもよい。このアルキルチオ基の炭素数は、通常、1〜12である。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0028】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリール基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団である。この芳香族炭化水素としては、縮合環を持つ化合物、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合した化合物が含まれる。更に、該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0029】
独立した2個以上のベンゼン環が直接又はビニレン基等を介して結合したアリール基としては、下記式:
【0030】
【化8】

[式中、Rhは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は、炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、これらの基の一部の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。複数存在するRhは同一であっても異なっていてもよいが、Rhのうちの少なくとも1個は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。また、Riは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基を表す。複数存在するRiは同一であっても異なっていてもよい。]
で表される基が挙げられる。
【0031】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、tert−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
【0032】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0033】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールアルキル基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0034】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールアルコキシ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルコキシ基としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0035】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールアルキルチオ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0036】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアシル基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0037】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアシルオキシ基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアミド基は、炭素数が、通常、1〜20であり、好ましくは1〜18である。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
【0039】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される酸イミド基とは、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を1個除いて得られる1価の残基を意味する。この酸イミド基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48である。酸イミド基としては、以下の構造式で示される基等が挙げられる。
【0040】
【化9】

[式中、窒素原子から延びた線は結合手を表し、Meはメチル基、Etはエチル基、n−Prはn−プロピル基を表す。以下、同じである。]
【0041】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるイミン残基とは、イミン化合物(即ち、分子内に−N=C−を持つ有機化合物である。その例としては、アルジミン、ケチミン、及びこれらの分子中の窒素原子に結合した水素原子が、アルキル基等で置換された化合物等が挙げられる。)から水素原子1個を除いた1価の残基を意味する。このイミン残基は、通常炭素数2〜20であり、好ましくは2〜18である。
【0042】
イミン残基としては、以下の構造式で示される基等が挙げられる。
【0043】
【化10】

[式中、i−Prはイソプロピル基、n−Buはn−ブチル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。波線で示した結合は、「楔形で表される結合」及び/又は「破線で表される結合」であることを意味する。ここで、「楔形で表される結合」とは、紙面からこちら側に向かって出ている結合を意味し、「破線で表される結合」とは、紙面の向こう側に出ている結合を意味する。]
【0044】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換アミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1個又は2個の基で置換されたアミノ基を意味する。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は、該置換基の炭素数を含めないで、通常、1〜60であり、好ましくは2〜48である。
置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換シリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基を意味する。置換シリル基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ジメチルペンチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、ジメチルオクチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ジメチルノニルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−トリル)シリル基、トリベンジルシリル基、メチルジフェニルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0046】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換シリルオキシ基は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基及び1価の複素環オキシ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルオキシ基を意味する。置換シリルオキシ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基又は1価の複素環オキシ基は、置換基を有していてもよい。
【0047】
置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、イソプロピルジメチルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルペンチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルオクチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ジメチルノニルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ(p−トリル)シリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換シリルチオ基は、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基及び1価の複素環チオ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルチオ基を意味する。置換シリルチオ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基又は1価の複素環チオ基は置換基を有していてもよい。
【0049】
置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリイソプロピルシリルチオ基、イソプロピルジメチルシリルチオ基、ジエチルイソプロピルシリルチオ基、tert−ブチルジメチルシリルチオ基、ジメチルペンチルシリルチオ基、ヘキシルジメチルシリルチオ基、ヘプチルジメチルシリルチオ基、ジメチルオクチルシリルチオ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルチオ基、ジメチルノニルシリルチオ基、デシルジメチルシリルチオ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルチオ基、ラウリルジメチルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ(p−トリル)シリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、メチルジフェニルシリルチオ基、tert−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基等が挙げられる。
【0050】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換シリルアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基及び1価の複素環アミノ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルアミノ基を意味する。置換シリルアミノ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基又は1価の複素環アミノ基は置換基を有していてもよい。
【0051】
置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリ−イソプロピルシリルアミノ基、ジメチル−i−プロピルシリルアミノ基、ジエチル−イソプロピルシリルアミノ基、tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ペンチルジメチルシリルアミノ基、ヘキシルジメチルシリルアミノ基、ヘプチルジメチルシリルアミノ基、オクチルジメチルシリルアミノ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルアミノ基、ノニルジメチルシリルアミノ基、デシルジメチルシリルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルアミノ基、ラウリルジメチルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ(p−トリル)シリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、tert−ブチルジフェニルシリルオアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基等が挙げられる。
【0052】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の炭素数は、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここで、複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、硼素原子等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。
【0053】
1価の複素環基としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリミジル基、C1〜C12アルキルピリミジル基、トリアジル基、C1〜C12アルキルトリアジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられ、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリミジル基、C1〜C12アルキルピリミジル基、トリアジル基、C1〜C12アルキルトリアジル基が好ましい。更に、該1価の複素環基は置換基を有していてもよい。また、1価の複素環基は、1価の芳香族複素環基であることが好ましい。
【0054】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるヘテロアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールオキシ基としては、チエニルオキシ基、C1〜C12アルコキシチエニルオキシ基、C1〜C12アルキルチエニルオキシ基、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イソキノリルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基が好ましい。
前記C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基としては、メトキシピリジルオキシ基、エトキシピリジルオキシ基、プロピルオキシピリジルオキシ基、イソプロピルオキシピリジルオキシ基、ブトキシピリジルオキシ基、イソブトキシピリジルオキシ基、tert−ブトキシピリジルオキシ基、ペンチルオキシピリジルオキシ基、ヘキシルオキシピリジルオキシ基、シクロヘキシルオキシピリジルオキシ基、ヘプチルオキシピリジルオキシ基、オクチルオキシピリジルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシピリジルオキシ基、ノニルオキシピリジルオキシ基、デシルオキシピリジルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシピリジルオキシ基、ラウリルオキシピリジルオキシ基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルキルピリジルオキシ基としては、メチルピリジルオキシ基、エチルピリジルオキシ基、ジメチルピリジルオキシ基、プロピルピリジルオキシ基、1,3,5−トリメチルピリジルオキシ基、メチルエチルピリジルオキシ基、イソプロピルピリジルオキシ基、ブチルピリジルオキシ基、sec−ブチルピリジルオキシ基、イソブチルピリジルオキシ基、tert−ブチルピリジルオキシ基、ペンチルピリジルオキシ基、イソアミルピリジルオキシ基、ヘキシルピリジルオキシ基、ヘプチルピリジルオキシ基、オクチルピリジルオキシ基、ノニルピリジルオキシ基、デシルピリジルオキシ基、ドデシルピリジルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるヘテロアリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールチオ基としては、ピリジルチオ基、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基、イソキノリルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基が好ましい。
【0056】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールアルケニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。
【0057】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表されるアリールアルキニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0058】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される置換カルボキシル基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48であり、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基を意味する。
【0059】
置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0060】
前記式(1)中、R1〜R6、R8、R11〜R20で表される原子、基は、溶解性の観点からは、少なくとも1個は水素原子以外の原子、基であることが好ましく、金属錯体の合成の容易さの観点からは、R2、R3、R12、R13、R16、R17、R18、R19が水素原子以外の原子、基であることが好ましく、R3及びR13が水素原子以外の原子、基であることが特に好ましい。
【0061】
前記式(1)中、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のうち、2個又は3個が窒素原子であることが好ましい。
【0062】
前記式(1)で表される金属錯体としては、配位子の化学安定性が高まるので、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5で表される複数の窒素原子が互いに隣接位に存在しない金属錯体が好ましく、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のうち2個又は3個が窒素原子であり、かつ、該窒素原子が互いに隣接位に存在しない金属錯体がより好ましい。
【0063】
前記式(1)中、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で表される−C(R*)=において、R*で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられる。これらの原子、基は、前記と同じ意味を有する。
【0064】
前記式(1)で表される金属錯体には複数の幾何異性体が考えられるが、前記式(1)で表される金属錯体は、いずれの幾何異性体であってもよい。
【0065】
前記式(1)で表される金属錯体は、配位子となる化合物の合成が容易となり、かつ、発光素子に用いた時の発光効率が良好となるので、前記式(1c)で表される金属錯体が好ましく、下記式(1a)又は(1b):
【0066】
【化11】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、前記と同じ意味を有する。
【0067】
R’は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい。]
で表される金属錯体がより好ましく、前記式(1a)で表される金属錯体が特に好ましい。
【0068】
R’で表されるハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基は、前記と同じ意味を有する。
【0069】
金属錯体を構成する配位子は、金属錯体の発光色、発光強度、発光効率等に影響を与える。前記配位子としては、配位子内におけるエネルギー失活過程を最少にする配位子が好ましい。
【0070】
前記式(1)で表される金属錯体において、添え字mでその数を定義されている2座配位子としては、以下の配位子が挙げられる。
【0071】
【化12】

[式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基である。*は、イリジウム原子との結合部位を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。]
【0072】
Rで表されるハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基は、前記R1〜R6,R8,R11〜R20で説明し例示したものと同じ意味を有する。
【0073】
前記添え字mでその数を定義されている2座配位子となる化合物としては、以下の化合物が好ましい。
【0074】
【化13】

【0075】
【化14】

【0076】
【化15】

【0077】
【化16】

【0078】
【化17】

【0079】
【化18】

【0080】
【化19】

【0081】
【化20】

【0082】
【化21】

【0083】
【化22】

【0084】
前記式(1)で表される金属錯体において、添え字3−mでその数を定義されている2座配位子としては、以下の配位子が挙げられる。
【0085】
【化23】

【0086】
【化24】

[式中、*は、前記と同じ意味を有する。Roは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基である。複数存在するRoは、同一であっても異なっていてもよい。]
【0087】
前記添え字3−mでその数を定義されている2座配位子となる化合物としては、以下の化合物が好ましい。
【0088】
【化25】

【0089】
【化26】

【0090】
【化27】

【0091】
【化28】

【0092】
前記式(1a)で表される金属錯体としては、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0093】
【化29】

【0094】
【化30】

【0095】
【化31】

【0096】
前記式(1b)で表される金属錯体としては、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0097】
【化32】

【0098】
本発明の金属錯体は、一種単独で用いても二種以上を併用してよく、その他の成分と併せて組成物としてもよい。
【0099】
<第一の組成物>
本発明の第一の組成物は、前記金属錯体を含むものである。発光素子を作製に用いた場合に得られる発光素子の発光効率の観点からは、前記金属錯体を一種のみ含むことが好ましく、金属錯体の精製の簡便さの観点からは、前記金属錯体を二種以上含むことが好ましい。
【0100】
本発明の第一の組成物が前記金属錯体を二種以上含む場合、該二種以上の金属錯体の組み合わせとしては、
(i)前記式(1a)で表される金属錯体と前記式(1b)で表される金属錯体との組み合わせ、
(ii)異なる前記式(1a)で表される金属錯体の組み合わせ、
(iii)異なる前記式(1b)で表される金属錯体の組み合わせ、
(iv)前記式(1c)で表される金属錯体と、下記式(1d):
【0101】
【化33】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体との組み合わせ
等が挙げられ、金属錯体の精製がし易いので、前記(iv)の組み合わせが好ましい。
【0102】
前記(iv)の組み合わせにおいて、発光効率が高くなるので、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1c)で表される金属錯体が80〜99.99重量部であることが好ましく、90〜99.99重量部であることがより好ましく、また、前記式(1d)で表される金属錯体が0.01〜20重量部であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましい。
【0103】
その他にも、前記(i)の組み合わせでは、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1a)で表される金属錯体が50〜99.99重量部であることが好ましく、70〜99.99重量部であることがより好ましく、また、前記式(1b)で表される金属錯体が0.01〜50重量部であることが好ましく、0.01〜30重量部であることがより好ましい。
【0104】
本発明の第一の組成物は、金属錯体を合成し易いので、前記金属錯体と、下記式(2)で表される金属錯体、下記式(3)で表される金属錯体、又はこれらの組み合わせとを有する組成物であることが好ましい。
【0105】
【化34】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【0106】
本発明の第一の組成物が、前記式(2)で表される金属錯体及び/又は前記式(3)で表される金属錯体を含む場合、該組成物に含まれる金属錯体の組み合わせとしては、
(v)前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体と、前記式(2)で表される金属錯体との組み合わせ、
(vi)前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体と、前記式(3)で表される金属錯体との組み合わせ、
(vii)前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体と、前記式(2)で表される金属錯体と、前記式(3)で表される金属錯体との組み合わせ、
(viii)前記式(1c)で表される金属錯体と、前記式(1d)で表される金属錯体と、前記式(2)で表される金属錯体との組み合わせ
等が挙げられ、発光効率が良好となるので、前記(v)の組み合わせ及び前記(viii)の組み合わせが好ましい。
【0107】
前記(v)の組み合わせにおいて、金属錯体の合成が簡便になるので、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体が、50〜99.99重量部であることが好ましく、80〜99.99重量部であることがより好ましく、また、前記式(2)で表される金属錯体が、0.01〜50重量部であることが好ましく、0.01〜20重量部であることがより好ましい。
【0108】
また、前記(viii)の組み合わせでは、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1c)で表される金属錯体が、50〜99.98重量部であることが好ましく、80〜99.98重量部であることがより好ましく、また、前記式(1d)で表される金属錯体が、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、前記式(2)で表される金属錯体が、0.01〜49.99重量部であることが好ましく、0.01〜19.99重量部であることがより好ましい。
【0109】
その他にも、前記(vi)の組み合わせでは、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体が、50〜99.99重量部であることが好ましく、80〜99.99重量部であることがより好ましく、また、前記式(3)で表される金属錯体が、0.01〜50重量部であることが好ましく、0.01〜20重量部であることがより好ましい。
【0110】
また、前記(vii)の組み合わせでは、該組み合わせの合計100重量部に対して、前記式(1)、(1a)、(1b)又は(1c)で表される金属錯体が、50〜99.98重量部であることが好ましく、80〜99.98重量部であることがより好ましく、また、前記式(2)で表される金属錯体が、0.01〜49.99重量部であることが好ましく、0.01〜19.99重量部であることがより好ましく、前記式(3)で表される金属錯体が、0.01〜20重量部であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましい。
【0111】
本発明の第一の組成物は、更に、電荷輸送材料、発光材料、溶媒及び分散媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。なお、本発明の第一の組成物に含まれる成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0112】
前記電荷輸送材料は、正孔輸送材料と電子輸送材料とに分類され、更に当該材料は、各々、低分子有機化合物と高分子有機化合物とに分類される。正孔輸送材料とは、主として陽極から発光層への正孔の輸送を担う材料である。電子輸送材料とは、主として陰極から発光層への電子の輸送を担う材料である。
【0113】
前記正孔輸送材料の低分子有機化合物としては、アリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体等、有機EL素子の正孔輸送材料として公知の化合物が挙げられる。具体的には、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸共著、オーム社)102頁及び107頁に記載の化合物が挙げられる。
【0114】
前記正孔輸送材料の高分子有機化合物としては、チエニレン基、ピロールジイル基、2,5−チエニレンビニレン基、p−フェニレンビニレン基、後述する式(8)で表される基等を繰り返し単位として主鎖に含む高分子化合物や、それらの繰り返し単位との共重合体が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。また、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体も前記正孔輸送材料の高分子有機化合物の例として挙げられる。
【0115】
前記電子輸送材料の低分子有機化合物としては、有機EL素子に電子輸送材料として公知の化合物、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体が挙げられる。具体的には、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸共著、オーム社)105頁及び107頁、特開2004−277377号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0116】
前記電子輸送材料の高分子有機化合物としては、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、フルオレンジイル基等を繰り返し単位として主鎖に含む高分子化合物や、それらの繰り返し単位との共重合体が挙げられる。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0117】
前記電荷輸送材料の高分子有機化合物は、前記正孔輸送材料に挙げた高分子化合物の繰り返し単位と前記電子輸送材料に挙げた高分子化合物の繰り返し単位とを有する、正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えた高分子化合物とすることもできる。
【0118】
前記高分子有機化合物としては、置換基を有していてもよいベンゼン環を有する高分子化合物や、特開2003−231741号公報、特開2004−059899号公報、特開2004−002654号公報、特開2004−292546号公報、WO99/54385、WO00/46321、WO02/077060、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸 共著、オーム社)111−113頁等に記載の高分子が挙げられる。
【0119】
前記電荷輸送材料の中でも、金属錯体からの良好な発光を得るためには、該電荷輸送材料の最低三重項励起エネルギーが、金属錯体の最低三重項励起エネルギーよりも大きい化合物が好ましい。
【0120】
前記電荷輸送材料として、高分子有機化合物を用いる場合、該高分子有機化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×103〜1×108であり、より好ましくは1×104〜1×106である。また、前記高分子有機化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1×103〜1×108であり、より好ましくは5×104〜5×106である。
【0121】
前記発光材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられる。
【0122】
前記溶媒、分散媒は、組成物に含まれる固形分を均一に溶解又は分散することができるものであればよく、例えば、塩素系溶媒(クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等)、多価アルコール及びその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、シクロヘキサノール等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、アミド系溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)が挙げられる。
【0123】
本発明の第一の組成物が、溶媒又は分散媒を含む場合であって、該組成物をインクジェット法に適用するときには、ノズルからの蒸発を押さえるために、アニソール、ビシクロヘキシルベンゼン等の高沸点の溶媒を含むことが好ましく、該組成物の25℃における粘度が1〜100mPa・sであることがより好ましい。
【0124】
本発明の第一の組成物が、電荷輸送材料、発光材料、溶媒及び分散媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む場合、該組成物の全体を100重量部に対して、本発明の金属錯体は、通常、0.1〜90重量部であり、好ましくは0.1〜80重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部である。
【0125】
<金属錯体の製造方法>
本発明の金属錯体は、如何なる方法で製造してもよいが、例えば、配位子となる化合物とイリジウム化合物とを溶液中で反応させることにより製造することができる。前記反応において、反応系中に塩基、銀塩化合物が存在していてもよい。
【0126】
前記反応方法としては、J. Am. Chem. Soc. 1984, 106, 6647 ;Inorg. Chem. 1991, 30, 1685;Inorg. Chem. 1994, 33, 545;Inorg. Chem. 2001, 40, 1704;Chem.Lett., 2003, 32, 252. に記載の方法が挙げられる。
【0127】
前記反応における反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間であるが、−78℃〜溶媒の沸点が好ましい。なお、前記反応においてマイクロウェーブ反応装置を使用する場合、溶媒の沸点以上で反応させることができる。
【0128】
前記反応における反応時間は、通常、30分間〜150時間である。なお、前記反応においてマイクロウェーブ反応装置を使用する場合、反応時間は、通常、数分〜数時間である。
【0129】
前記配位子となる化合物は、2−フェニルピリジン誘導体とヘテロ環芳香族化合物とのSuzukiカップリング、Grignardカップリング、Stilleカップリング等により合成することができる。その一例を挙げると、2−フェニルピリジン誘導体とヘテロ環芳香族化合物とを有機溶媒に溶解させ、アルカリ、適切な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下の温度で反応させることにより、前記配位子となる化合物を合成することができる。この合成は、"オルガニック シンセシーズ(Organic Syntheses)"、コレクティブ第6巻(Collective Volume VI)、407-411頁、ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons, Inc.)、1988年;ケミカル レビュー(Chem. Rev.)、第106巻、2651頁(2006年);ケミカル レビュー(Chem. Rev.)、第102巻、1359頁(2002年);ケミカル レビュー(Chem.Rev.)、第95巻、2457頁(1995年);ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.)、第576巻、147頁(1999年)を参考にすることができる。
【0130】
前記ヘテロ環芳香族化合物は、"HOUBEN-WEYL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY 4TH EDITION", 第E9b巻、1頁、GEORG THIEME VERLAG STUTTGART;HOUBEN-WEYL METHODS OF ORGANIC CHEMISTRY 4TH EDITION, 第E9c巻、667頁、GEORG THIEME VERLAG STUTTGART等に記載の方法で合成することができる。
【0131】
前記カップリング反応に用いる触媒としては、パラジウム触媒が好ましい。
前記パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデナセトン)二パラジウム(O)が挙げられ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデナセトン)二パラジウム(O)が好ましい。
前記パラジウム触媒は、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のリン化合物と併用してもよい。
【0132】
前記配位子となる化合物としては、前記添え字mでその数を定義されている2座配位子となる化合物、前記添え字3−mでその数を定義されている2座配位子となる化合物と同様の例が挙げられる。
【0133】
前記添え字mでその数を定義されている2座配位子となる化合物は、例えば、下記のスキームで合成できる。
【0134】
【化35】

【0135】
前記添え字3−mでその数を定義されている2座配位子となる化合物(即ち、前記式(5)で表される化合物)は、例えば、下記のスキームや、特開2008−231042号公報、Advanced Functional Materials 第15巻、387頁(2005年)に記載の方法によって合成できる。
【0136】
【化36】

【0137】
次に、本発明の金属錯体のうち、代表的な金属錯体である前記式(1c)で表される金属錯体の製造方法について、一般式を用いて、具体的に説明する。
【0138】
前記式(1c)で表される金属錯体は、例えば、前記式(4)で表される金属錯体と、前記式(5)で表される化合物とを反応させることを含む方法により、製造することができる。より具体的には、前記式(4)で表される金属錯体に対して2倍モル量の前記式(5)で表される化合物をトリフルオロメタンスルホン酸銀存在下で反応させる。
【0139】
前記式(1c)で表される金属錯体は、例えば、前記式(6)で表される金属錯体と、前記式(5)で表される化合物とを反応させることを含む方法により、製造することもできる。
【0140】
前記式(6)中、Re、Rf、Rgで表されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0141】
前記式(6)で表される金属錯体は、前記式(4)で表される金属錯体の溶液に、アセチルアセトン等の1,3−ジケトンを加え、炭酸ナトリウム等の塩基を添加して反応させることにより、製造することができる。
【0142】
前記式(1d)で表される金属錯体は、例えば、以下のスキームで合成できる。
【0143】
【化37】

[式中、R1〜R6、R8、R11〜R20、Z1〜Z5は、前記と同じ意味を有する。]
【0144】
また、前記式(1d)で表される金属錯体は、以下のスキームでも合成できる。
【0145】
【化38】

[式中、R1〜R6、R8、R11〜R20、Z1〜Z5は、前記と同じ意味を有する。]
【0146】
こうして製造した本発明の金属錯体の同定・分析は、元素分析、NMR分析、MS分析により行うことができる。
【0147】
<金属含有高分子化合物>
本発明の金属含有高分子化合物は、前記金属錯体(例えば、前記式(1)で表される金属錯体)の残基を含む高分子化合物である。本明細書において、「金属錯体の残基」とは、金属錯体からk個(kは1以上の整数である。)の水素原子を取り除いた残りの原子団を意味する。例えば、前記式(1)で表される金属錯体の残基は、前記式(1)で表される金属錯体からk個の水素原子を取り除いた残りの原子団を意味し、好ましくは1〜3価の基である。
【0148】
本発明の金属含有高分子化合物は、非共役系高分子化合物であっても共役系高分子化合物であってもよいが、導電性が高くなるので、共役系高分子化合物が好ましく、主鎖に芳香環を含む共役系高分子化合物がより好ましい。本発明の金属含有高分子化合物が共役系高分子化合物であるとは、該高分子化合物の主鎖における全結合の80〜100%、特には85〜100%、とりわけ90〜100%が共役している高分子化合物を意味する。
【0149】
本発明の金属含有高分子化合物は、発光素子に用いた時の発光効率、寿命が長くなるので、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108であることが好ましく、1×104〜1×107であることがより好ましい。
【0150】
本発明の金属含有高分子化合物としては、導電性が良好となるので、前記式(1)で表される金属錯体の残基と、下記式(7−1)、(7−2)、(7−3)、(7−4)又は(7−5):
【0151】
【化39】

[式中、Y1は、−C(R48)(R49)−、−O−C(R50)(R51)−、−O−、−S−、−B(R52)−、−Si(R53)(R54)−、−P(R55)−、−P(R56)(=O)−又は−N(R57)−を表す。
48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56及びR57は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表される2価の基とを含む高分子化合物が好ましく、前記式(1)で表される金属錯体の残基と前記式(7−1)で表される基とを含む高分子化合物がより好ましい。
【0152】
なお、本発明の金属含有高分子化合物において、前記式(7−1)〜(7−5)で表される基は、高分子化合物の溶解性及び導電性が良好となり、かつ、合成が容易となるので、繰り返し単位として含まれることが好ましい。
【0153】
また、本発明の金属含有高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体の残基は、合成の容易さ及び発光素子に用いた時の発光効率が高くなるので、繰り返し単位に含まれることが好ましい。
【0154】
本発明の金属含有高分子化合物において、「前記式(1)で表される金属錯体の残基」:「前記式(7−1)、(7−2)、(7−3)、(7−4)又は(7−5)で表される2価の基」の重量比は、発光効率、発光色及び導電性が良好となるので、1:2〜1:1000が好ましく、1:3〜1:400がより好ましい。
【0155】
本発明の金属含有高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体の残基が繰り返し単位に含まれる場合、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位の割合は、高分子化合物の合成がし易くなり、かつ、発光素子に用いた時の発光効率が高くなるので、該高分子化合物の0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましく、0.5〜25重量%が特に好ましい。
【0156】
本発明の金属含有高分子化合物において、前記式(7−1)、(7−2)、(7−3)、(7−4)又は(7−5)で表される2価の基を繰り返し単位として含む場合、該繰り返し単位の割合は、合成がし易くなり、かつ、導電性が良好となるので、該高分子化合物の10〜99.99重量%が好ましく、30〜99.99重量%がより好ましく、50〜99.99重量%が特に好ましい。
【0157】
本発明の金属含有高分子化合物において、前記式(1)で表される金属錯体の残基、前記式(7−1)、(7−2)、(7−3)、(7−4)又は(7−5)で表される2価の基は、それぞれ、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0158】
前記式(7−1)〜(7−5)中、R21〜R57で表される基、原子、は、前記と同じ意味を有する。
【0159】
前記式(7−1)及び(7−2)中、Yは、高分子化合物の合成が容易になり、かつ、発光素子に用いた時の発光効率が高くなるので、−C(R48)(R49)−、−O−C(R50)(R51)−、−O−、−S−が好ましく、−C(R48)(R49)−がより好ましい。R48及びR49は、本発明の金属含有高分子化合物を発光素子に用いた場合に得られる発光素子の輝度寿命が優れるので、少なくとも1個は置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、少なくとも1個はC1〜C12アルコキシフェニル基又はC1〜C12アルキルフェニル基であることがより好ましい。
【0160】
前記式(7−1)で表される2価の基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0161】
【化40】

【0162】
【化41】

【0163】
【化42】

[式中、Raは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRaは同一であっても異なっていてもよい。
dは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又は1価の複素環基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0164】
aで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子は、前記と同じ意味を有する。
【0165】
dで表されるアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基又は1価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0166】
前記式(7−2)で表される2価の基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0167】
【化43】

[式中、Raは、前記と同じ意味を有する。]
【0168】
前記式(7−3)で表される2価の基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0169】
【化44】

[式中、Ra及びRdは、前記と同じ意味を有する。]
【0170】
前記式(7−4)で表される2価の基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0171】
【化45】

[式中、Raは、前記と同じ意味を有する。]
【0172】
前記式(7−5)で表される2価の基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0173】
【化46】

[式中、Raは、前記と同じ意味を有する。]
【0174】
本発明の金属含有高分子化合物は、正孔輸送性が良好となるので、下記式(8):
【0175】
【化47】

[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は置換基を有していてもよい。a及びbはそれぞれ独立に、0又は1を示し、0≦a+b≦1である。]
で表される基を更に含んでいてもよい。前記式(8)で表される基は、繰り返し単位として金属含有高分子化合物に含まれることが好ましい。
【0176】
前記式(8)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合した基も含まれる。アリーレン基は置換基を有していてもよい。アリーレン基における置換基を除いた部分の炭素数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜20である。アリーレン基の置換基を含めた全炭素数は、通常、6〜100である。アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、1,1’:4’,1''−ターフェニル−4,4''−ジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ペンタレンジイル基、インデンジイル基、ヘプタレンジイル基、インダセンジイル基、トリフェニレンジイル基、ビナフチルジイル基、フェニルナフタレンジイル基、スチルベンジイル基、フルオレンジイル基等が挙げられる。
【0177】
前記式(8)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4で表される2価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。2価の複素環基の炭素数は、通常、2〜30であり、好ましくは2〜15である。なお、2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。2価の複素環基は、2価の芳香族複素環基であることが好ましい。2価の複素環基としては、ピリジンジイル基、ジアザフェニレン基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、アクリジンジイル基、ビピリジルジイル基、フェナントロリンジイル基等が挙げられる。
【0178】
前記式(8)中、Ar5、Ar6及びAr7で表されるアリール基及び1価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0179】
前記式(8)中、アリーレン基、2価の複素環基、アリール基及び1価の複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基及びニトロ基等が挙げられる。これらの原子、基は、前記と同じ意味を有する。
【0180】
前記式(8)で表される基として、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0181】
【化48】

【0182】
【化49】

【0183】
【化50】

【0184】
【化51】

[式中、Rbは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRbは、同一であっても異なっていてもよい。]
【0185】
−金属錯体の残基の位置−
本発明の金属含有高分子化合物としては、
1.分子鎖の主鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
2.分子鎖の末端に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
3.分子鎖の側鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物;
が挙げられる。
【0186】
分子鎖の主鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物は、例えば、下記式のいずれかで表される。
【0187】
【化52】

[式中、M1及びM2はそれぞれ独立に、金属錯体の残基を表す。p及びqはそれぞれ独立に、重合度を表す。該式中に限り、実線は分子鎖を表す。]
【0188】
前記式(GP−1)において、p≧2の場合、隣り合う2個のM1で表される金属錯体の残基の間(以下、「M1残基間」と言う。)は、直接結合しているか、又は、実線で表される分子鎖を介して結合している。前記式(GP−1)において、p≧3の場合、2個以上あるM1残基間の結合は、同一であっても異なっていてもよい。
【0189】
前記式(GP−2)において、q≧2の場合、隣り合う2個のM2で表される金属錯体の残基の間(以下、「M2残基間」と言う。)は、直接結合しているか、又は、実線で表される分子鎖を介して結合している。前記式(GP−2)において、q≧3の場合、2個以上あるM2残基間の結合は、同一であっても異なっていてもよい。
【0190】
前記M1としては、以下の式で表される金属錯体の残基(2価)が挙げられる。
【0191】
【化53】

【0192】
【化54】

[式中、Rは、前記と同じ意味を有する。]
【0193】
前記M2としては、以下の式で表される金属錯体の残基(3価)が挙げられる。
【0194】
【化55】

【0195】
【化56】

[式中、Rは、前記と同じ意味を有する。]
【0196】
分子鎖の末端に金属錯体の残基を有する高分子化合物は、例えば、下記式で表される。
【0197】
【化57】

[式中、M3は金属錯体の残基を表す。該式中に限り、実線は分子鎖を表す。Lは、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R68)(R69)−、N(R70)−、−B(R71)−、−P(R72)−、−P(=O)(R73)−、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又は置換されていてもよい2価の複素環基を表す。R68、R69、R70、R71、R72及びR73は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。]
【0198】
前記M3としては、以下の式で表される金属錯体の残基(1価)が挙げられる。
【0199】
【化58】

【0200】
【化59】

[式中、Rは、前記と同じ意味を有する。]
【0201】
分子鎖の側鎖に金属錯体の残基を有する高分子化合物としては、金属錯体の残基が1価の基である高分子化合物が挙げられる。
【0202】
前記分子鎖は、例えば、式:−(Ar’)−で表される繰り返し単位を有する。該式中、Ar’は、1〜4個の−L−M3で示される基を有する2価の芳香族基、又は酸素原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子と、1〜4個の−L−M3で示される基とを有する2価の複素環基を表す。L及びM3は前記と同じ意味を有する。Lで表されるアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が−CH2−基を含む場合、該アルキレン基に含まれる−CH2−基の1個以上、該アルケニレン基に含まれる−CH2−基の1個以上、該アルキニレン基に含まれる−CH2−基の1個以上が、それぞれ、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−Si(R74)(R75)−、N(R76)−、−B(R77)−、−P(R78)−又は−P(=O)(R79)−で表される基で置換されていてもよい。R74、R75、R76、R77、R78及びR79は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。Ar’は、−L−M3で示される基以外に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。Ar’が複数の置換基を有する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0203】
前記式中、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78及びR79で表されるアルキル基、アリール基、1価の複素環基及びシアノ基、並びにAr’が有していてもよい置換基であるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基は、前記と同じ意味を有する。
【0204】
Ar’としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0205】
【化60】

【0206】
【化61】

[式中、L、R及びM3は、前記と同じ意味を有する。]
【0207】
Lで表されるアルキレン基は、炭素数が通常1〜30であり、好ましくは1〜15である。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0208】
Lで表されるアルケニレン基は、炭素数が通常2〜30であり、好ましくは2〜15である。アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペンジイル基等が挙げられる。アルケニレン基には、1,3−ブタジエンジイル基等のアルカジエニレン基も含まれる。
【0209】
Lで表されるアルキニレン基は、炭素数が通常2〜30であり、好ましくは2〜15である。アルキニレン基としては、エチニレン基等が挙げられる。アルキニレン基には、三重結合を2個有する基も含まれ、1,3−ブタジイン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
【0210】
Lで表されるアリーレン基及び2価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0211】
Lは、高分子化合物の合成がし易くなり、かつ、発光特性が良好となるので、単結合、−O−、メチレン基、エチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ビニレン基、フェニレン基、ビフェニル−4,4’−ジイル基、及びピリジンジイル基が好ましく、フェニレン基及びピリジンジイル基がより好ましい。
【0212】
本発明の金属含有高分子化合物は、電荷輸送性や電荷注入性等を大きく損なわない金属含有高分子化合物が好ましく、電荷輸送性が優れる共役系金属含有高分子化合物がより好ましい。
【0213】
本発明の金属含有高分子化合物は、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位、及び前記式(7−1)〜(7−5)で表される2価の基を含む繰り返し単位を有する場合、発光特性や電荷輸送特性を損なわない範囲で、その他の繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、前記式(1)で表される金属錯体の残基を含む繰り返し単位、及び前記式(7−1)〜(7−5)で表される2価の基を含む繰り返し単位の合計が、全繰り返し単位の10モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。
【0214】
−金属含有高分子化合物の製造方法−
本発明の金属含有高分子化合物は、例えば、下記式(9)で表される金属錯体と、下記式(12−1)、(12−2)、(12−3)、(12−4)又は(12−5)で表される化合物とを反応させる工程を含む製造方法により合成することができる。
【0215】
【化62】

[式中、W1は重合反応性基を表す。R1、R2、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【0216】
【化63】

[式中、W2は重合反応性基を表す。複数存在するW2は、同一であっても異なっていてもよい。Y1、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、前記と同じ意味を有する。]
【0217】
前記式(9)、(12−1)、(12−2)、(12−3)、(12−4)又は(12−5)中、W1及びW2で表される重合反応性基としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基、ホウ酸エステル残基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、モノハロゲン化されたメチル基、−MgX(Xはハロゲン原子を表す)、スタニル基、−B(OH)2、ホルミル基、シアノ基等が挙げられ、−B(OH)2、ホウ酸エステル残基、−MgX、スタニル基、ハロゲン原子が好ましい。
【0218】
前記重合反応性基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくは臭素原子である。
【0219】
前記重合反応性基であるアルキルスルホニルオキシ基としては、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0220】
前記重合反応性基であるアリールスルホニルオキシ基としては、フェニルスルホニルオキシ基、p−トリルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0221】
前記重合反応性基であるアリールアルキルスルホニルオキシ基としては、ベンジルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0222】
前記重合反応性基であるホウ酸エステル残基としては、ジアルキルエステル残基、ジアリールエステル残基、ジアリールアルキルエステル残基等が挙げられ、下記式で表される基が好ましい。
【0223】
【化64】

[式中、#は結合手を表す。]
【0224】
スルホニウムメチル基としては、下記式で表される基が挙げられる。
−CH2+Me2-、−CH2+Ph2-
[式中、Xはハロゲン原子を表し、Phはフェニル基を表す。]
【0225】
ホスホニウムメチル基としては、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2+Ph3-
[式中、Xはハロゲン原子を表す。]
【0226】
ホスホネートメチル基としては、下記式で示される基が挙げられる。
−CH2PO(ORc2
[式中、Xはハロゲン原子を表す。Rcは、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基を表す。]
【0227】
モノハロゲン化されたメチル基としては、モノフルオロメチル基、モノクロロメチル基、モノブロモメチル基、モノヨードメチル基が挙げられる。
【0228】
−MgXとしては、−MgCl、−MgBr、−MgIが挙げられる。
【0229】
スタニル基としては、置換基を有していてもよいスタニル基が挙げられ、スタニル基、トリクロロスタニル基、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリ−n−ブチルスタニル基、トリフェニルスタニル基、トリベンジルスタニル基が挙げられる。
【0230】
前記重合反応性基としては、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる反応においては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アリールアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒、パラジウム触媒を用いる反応においては、アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2が好ましい。
【0231】
本発明の金属含有高分子化合物の製造は、例えば、原料化合物となる、重合反応性基を複数有する化合物を、必要に応じて有機溶媒に溶解し、アルカリや適当な触媒を用い、有機溶媒の融点以上沸点以下で行うことができる。前記金属含有高分子化合物の製造方法としては、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270〜490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、 “オルガニック シンセシーズ(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)等に記載の公知の方法を用いることができる。
【0232】
本発明の金属含有高分子化合物の製造方法において、前記式(9)で表される化合物の重合反応性基と前記式(12−1)〜(12−5)で表される化合物の重合反応性基に応じて、既知の縮合反応を用いることができる。また、重合反応性基を2個以上有する化合物の共存下で重合を行うことにより、共重合体である金属含有高分子化合物を製造することができるし、重合反応性基を3個以上有する化合物を共重合することにより分岐構造を有する金属含有高分子化合物を製造することができる。
【0233】
前記縮合反応が二重結合を生成する反応である場合、その反応としては、特開平5−202355号公報に記載の方法、即ち、ホルミル基を有する化合物とホスホニウムメチル基を有する化合物、又はホルミル基とホスホニウムメチル基とを有する化合物のWittig反応による重合、ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合、モノハロゲン化されたメチル基を2個以上有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウムメチル基を2個以上有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ホルミル基を有する化合物とシアノ基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合等の方法、ホルミル基を2個以上有する化合物のMcMurry反応による重合等の方法が挙げられる。
【0234】
前記縮合反応が三重結合を生成する反応である場合、その反応としては、Heck反応、Sonogashira反応が挙げられる。
【0235】
前記縮合反応が二重結合や三重結合を生成しない反応である場合、その反応としては、対応する原料化合物からSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)錯体により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、適切な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法等が挙げられる。
【0236】
これらの中でも、Wittig反応による重合、Heck反応による重合、Knoevenagel反応による重合、及びSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法及びニッケルゼロ価錯体により重合する方法が、分子量制御がし易くなり、かつ、共重合における組成比制御がし易くなるので、好ましい。
【0237】
本発明の金属含有高分子化合物の製造方法において、重合反応性基W1及びW2が−B(OH)2、ホウ酸エステル残基又はハロゲン原子であり、全原料化合物が有する、ハロゲン原子のモル数の合計(J)と、−B(OH)2及びホウ酸エステル残基のモル数の合計(K)との比が実質的に1(通常、K/Jは、0.7〜1.2)であり、かつ、ニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いて縮合重合することが好ましい。
【0238】
これらの製造方法において、原料化合物としては、ジハロゲン化化合物と、ジホウ酸化合物又はジホウ酸エステル化合物との組み合わせ;ハロゲン−ホウ酸化合物、ハロゲン−ホウ酸エステル化合物等が挙げられる。
【0239】
本発明の金属含有高分子化合物の製造方法では、副反応を抑制するために使用前に十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いて、不活性雰囲気化で反応を進行させることが好ましい。必要に応じて、脱水処理を行ってもよい。但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合にはその限りではない。
【0240】
前記金属含有高分子化合物の製造方法で用いてもよい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0241】
本発明の金属含有高分子化合物の製造方法では、反応を促進するためにアルカリや触媒を添加してもよい。これらのアルカリや触媒は、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。アルカリや触媒を混合する方法としては、反応液をアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリ又は触媒の溶液を添加するか、アルカリ又は触媒の溶液に反応液をゆっくりと添加する方法が挙げられる。
【0242】
前記式(9)で表される化合物は、例えば、前記式(1c)で表される化合物から製造することができる。まず、前記式(1c)で表される化合物を溶媒に溶解させ、N−ブロモスクシンイミドを加えて反応させると、下記式(9a)で表される化合物が生成する。この反応において、塩化メチレン等のハロゲン系炭化水素系溶媒等を用いることができる。
【0243】
【化65】

[式中、R1、R2、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【0244】
−金属非含有高分子化合物−
本発明の第一の組成物は、発光素子の作製に用いる場合に素子作製のコストを下げることができるので、金属非含有高分子化合物を含有していてもよい。本発明の第一の組成物が金属非含有高分子化合物を含む場合、該金属非含有高分子化合物の割合は、前記式(1)で表される金属錯体100重量部に対して、180〜20000重量部が好ましく、400〜3300重量部がより好ましい。
【0245】
前記金属非含有高分子化合物は、非共役系金属非含有高分子化合物であっても共役系金属非含有高分子化合物であってもよいが、導電性が良好となるので、共役系金属非含有高分子化合物が好ましく、主鎖に芳香環を含む共役系金属非含有高分子化合物がより好ましい。
【0246】
前記金属非含有高分子化合物は、発光素子に用いた時の発光効率や寿命等の素子特性が良好となるので、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108であることが好ましく、1×104〜1×107であることがより好ましい。
【0247】
前記金属非含有高分子化合物は、導電性が良好となるので、前記式(7−1)で表される2価の基、前記式(7−2)で表される2価の基、前記式(7−3)で表される2価の基、前記式(7−4)で表される2価の基、前記式(7−5)で表される2価の基、及び、前記式(8)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも一種を繰り返し単位として有することが好ましく、前記式(7−1)で表される2価の基を繰り返し単位として有することがより好ましい。
【0248】
前記金属非含有高分子化合物は、発光素子にした時の電子注入性が良好となるので、更に下記式(10)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0249】
【化66】

[式中、Ar10は2価の含窒素芳香族複素環基を表す。Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。]
【0250】
前記式(10)中、Ar11及びAr12で表されるアリーレン基及び2価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0251】
前記式(10)中、Ar10で表される2価の含窒素芳香族複素環基は、含窒素芳香族複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団であって、前記式(7−1)及び前記式(7−2)においてY1が−N(R57)−である2価の基、及び、前記式(7−3)で表される2価の基ではないものを意味する。前記2価の含窒素芳香族複素環基の炭素数は、通常、2〜30であり、好ましくは2〜15である。なお、2価の含窒素芳香族複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0252】
前記式(10)中、2価の含窒素芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの原子、基は、前記と同じ意味を有する。
【0253】
前記2価の含窒素芳香族複素環基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0254】
【化67】

【0255】
【化68】

【0256】
【化69】

【0257】
【化70】

【0258】
【化71】

【0259】
【化72】

【0260】
【化73】

[式中、Rdは、前記と同じ意味を有する。Rjは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRjは同一であっても異なっていてもよい。]
【0261】
前記金属非含有高分子化合物において、前記式(10)で表される繰り返し単位が、下記式(11)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0262】
【化74】

[式中、Ar11及びAr12は、前記と同じ意味を有する。Ar13はアリール基又は1価の複素環基を表す。Ar11、Ar12及びAr13は置換基を有していてもよい。
6、Z7及びZ8は、それぞれ独立に、−C(Rk)=又は窒素原子を表す。Rkは、水素原子又は置換基を表す。但し、Z6、Z7及びZ8の少なくとも2個は、窒素原子である。]
【0263】
前記式(11)中、Ar13で表されるアリール基及び1価の複素環基は、前記と同じ意味を有する。
【0264】
前記金属非含有高分子化合物は、発光素子に用いた時の駆動電圧を低減できるので、前記式(11)においてZ6、Z7及びZ8が窒素原子であることが好ましい。
【0265】
前記式(11)で表される繰り返し単位として、以下の繰り返し単位が例示される。
【0266】
【化75】

【0267】
【化76】

【0268】
【化77】

【0269】
【化78】

【0270】
【化79】

【0271】
【化80】

【0272】
【化81】

【0273】
【化82】

【0274】
【化83】

【0275】
前記金属非含有高分子化合物の具体例としては、以下の式で表される金属非含有高分子化合物が挙げられる。なお、式中、u1〜u179は、以下の式を満たす数である。
【0276】
【化84】

(式(k−1)中、5≦u1≦95、5≦u2≦95、u1+u2=100)
(式(k−2)中、5≦u3≦99、1≦u4≦95、u3+u4=100)
(式(k−3)中、5≦u5≦99、1≦u6≦95、u5+u6=100)
(式(k−4)中、5≦u7≦95、5≦u8≦95、u7+u8=100)
(式(k−5)中、5≦u9≦95、5≦u10≦95、u9+u10=100)
【0277】
【化85】

(式(k−6)中、5≦u11≦95、5≦u12≦95、u11+u12=100)
(式(k−7)中、5≦u13≦99、1≦u14≦95、u13+u14=100)
(式(k−8)中、5≦u15≦99、1≦u16≦95、u15+u16=100)
(式(k−9)中、5≦u17≦95、5≦u18≦95、u17+u18=100)
(式(k−10)中、5≦u19≦95、5≦u20≦95、u19+u20=100)
【0278】
【化86】

(式(k−11)中、5≦u21≦99、1≦u22≦95、u21+u22=100)
(式(k−12)中、5≦u23≦99、1≦u24≦95、u23+u24=100)
【0279】
【化87】

(式(k−13)中、5≦u25≦95、5≦u26≦95、u25+u26=100)
(式(k−14)中、5≦u27≦99、1≦u28≦95、u27+u28=100)
(式(k−15)中、5≦u29≦99、1≦u30≦95、u29+u30=100)
【0280】
【化88】

(式(k−16)中、5≦u31≦99、1≦u32≦95、u31+u32=100)
(式(k−17)中、5≦u33≦99、1≦u34≦95、u33+u34=100)
(式(k−18)中、5≦u35≦99、1≦u36≦95、u35+u36=100)
【0281】
【化89】

(式(k−19)中、5≦u37≦99、1≦u38≦95、u37+u38=100)
(式(k−20)中、5≦u39≦99、1≦u40≦95、u39+u40=100)
(式(k−21)中、5≦u41≦99、1≦u42≦95、u41+u42=100)
(式(k−22)中、5≦u43≦99、1≦u44≦95、u43+u44=100)
【0282】
【化90】

(式(k−23)中、5≦u45≦95、5≦u46≦95、u45+u46=100)
(式(k−24)中、5≦u47≦95、5≦u48≦95、u47+u48=100)
(式(k−25)中、5≦u49≦95、5≦u50≦95、u49+u50=100)
(式(k−26)中、5≦u51≦95、5≦u52≦95、u51+u52=100)
【0283】
【化91】

(式(k−27)中、5≦u53≦99、1≦u54≦95、u53+u54=100)
(式(k−28)中、5≦u55≦99、1≦u56≦95、u55+u56=100)
(式(k−29)中、5≦u57≦99、1≦u58≦95、u57+u58=100)
(式(k−30)中、5≦u59≦99、1≦u60≦95、u59+u60=100)
【0284】
【化92】

(式(k−31)中、5≦u61≦94、5≦u62≦94、1≦u63≦50、u61+u62+u63=100)
(式(k−32)中、5≦u64≦94、5≦u65≦94、1≦u66≦50、u64+u65+u66=100)
(式(k−33)中、5≦u67≦90、5≦u68≦90、5≦u69≦90、u67+u68+u69=100)
(式(k−34)中、5≦u70≦90、5≦u71≦90、5≦u72≦90、u70+u71+u72=100)
【0285】
【化93】

(式(k−35)中、5≦u73≦94、5≦u74≦94、1≦u75≦50、u73+u74+u75=100)
(式(k−36)中、5≦u76≦94、5≦u77≦94、1≦u78≦50、u76+u77+u78=100)
(式(k−37)中、5≦u79≦90、5≦u80≦90、5≦u81≦90、u79+u80+u81=100)
(式(k−38)中、5≦u82≦90、5≦u83≦90、5≦u84≦90、u82+u83+u84=100)
【0286】
【化94】

(式(k−39)中、5≦u85≦94、5≦u86≦94、1≦u87≦30、u85+u86+u87=100)
(式(k−40)中、5≦u88≦94、5≦u89≦94、1≦u90≦30、u88+u89+u90=100)
(式(k−41)中、5≦u91≦94、5≦u92≦94、1≦u93≦30、u91+u92+u93=100)
(式(k−42)中、5≦u94≦94、5≦u95≦94、1≦u96≦30、u94+u95+u96=100)
【0287】
【化95】

(式(k−43)中、5≦u97≦98、1≦u98≦50、1≦u99≦45、u97+u98+u99=100)
(式(k−44)中、5≦u100≦98、1≦u101≦50、1≦u102≦45、u100+u101+u102=100)
(式(k−45)中、5≦u103≦98、1≦u104≦50、1≦u105≦45、u103+u104+u105=100)
【0288】
【化96】

(式(k−46)中、5≦u106≦98、1≦u107≦50、1≦u108≦45、u106+u107+u108=100)
(式(k−47)中、5≦u109≦98、1≦u110≦50、1≦u111≦45、u109+u110+u111=100)
(式(k−48)中、5≦u112≦98、1≦u113≦50、1≦u114≦45、u112+u113+u114=100)
【0289】
【化97】

(式(k−49)中、5≦u115≦94、5≦u116≦94、1≦u117≦30、u115+u116+u117=100)
(式(k−50)中、5≦u118≦94、5≦u119≦94、1≦u120≦30、u118+u119+u120=100)
(式(k−51)中、5≦u121≦94、5≦u122≦94、1≦u123≦30、u121+u122+u123=100)
(式(k−52)中、5≦u124≦94、5≦u125≦94、1≦u126≦30、u124+u125+u126=100)
【0290】
【化98】

(式(k−53)中、5≦u127≦93、1≦u128≦50、5≦u129≦93、1≦u130≦30、u127+u128+u129+u130=100)
(式(k−54)中、5≦u131≦93、5≦u132≦93、1≦u133≦50、1≦u134≦30、u131+u132+u133+u134=100)
(式(k−55)中、5≦u135≦93、5≦u136≦93、1≦u137≦50、1≦u138≦30、u135+u136+u137+u138=100)
(式(k−56)中、5≦u139≦93、5≦u140≦93、1≦u141≦50、1≦u142≦30、u139+u140+u141+u142=100)
【0291】
【化99】

(式(k−57)中、5≦u143≦93、5≦u144≦93、1≦u145≦50、1≦u146≦30、u143+u144+u145+u146=100)
(式(k−58)中、5≦u147≦89、5≦u148≦89、5≦u149≦89、1≦u150≦30、u147+u148+u149+u150=100)
(式(k−59)中、5≦u151≦89、5≦u152≦89、5≦u153≦89、1≦u154≦30、u151+u152+u153+u154=100)
【0292】
【化100】

(式(k−60)中、5≦u155≦88、5≦u156≦88、5≦u157≦88、1≦u158≦50、1≦u159≦30、u155+u156+u157+u158+u159=100)
(式(k−61)中、5≦u160≦88、5≦u161≦88、5≦u162≦88、1≦u163≦50、1≦u164≦30、u160+u161+u162+u163+u164=100)
(式(k−62)中、5≦u165≦88、5≦u166≦88、5≦u167≦88、1≦u168≦50、1≦u169≦30、u165+u166+u167+u168+u169=100)
(式(k−63)中、5≦u170≦88、5≦u171≦88、1≦u172≦50、5≦u173≦88、1≦u174≦30、u170+u171+u172+u173+u174=100)
(式(k−64)中、5≦u175≦88、5≦u176≦88、1≦u177≦50、5≦u178≦88、1≦u179≦30、u175+u176+u177+u178+u179=100)
【0293】
<第二の組成物>
本発明の第二の組成物は、本発明の金属含有高分子化合物を含む組成物である。本発明の第二の組成物は、電荷輸送材料、発光材料、溶媒及び分散媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。また、本発明の第二の組成物は、前記金属非含有高分子化合物を含んでいてもよい。なお、本発明の第二の組成物に含まれる成分は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0294】
本発明の第二の組成物において、前記電荷輸送材料、前記発光材料、前記溶媒、前記分散媒、及び、前記金属非含有高分子化合物は、特記しない限り、前記第一の組成物と同様である。
【0295】
本発明の第二の組成物が、電荷輸送材料、発光材料、溶媒及び分散媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む場合、該組成物の全体を100重量部に対して、前記金属含有高分子化合物は、通常、0.1〜90重量部であり、好ましくは0.5〜80重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部である。
【0296】
本発明の第二の組成物は、発光素子にした場合に素子作製のコストを下げることができるので、金属非含有高分子化合物を含有していてもよい。本発明の第二の組成物が金属非含有高分子化合物を含む場合、該金属非含有高分子化合物の割合は、前記金属含有高分子化合物100重量部に対して、0.1〜100重量部が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
【0297】
<素子>
本発明の素子は、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物を含む素子であり、例えば、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられ前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物を含む層とを有する素子である。以下、代表的な素子として、本発明の素子が発光素子である場合について説明する。
【0298】
本発明の発光素子は、陽極と陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を有する一層(単層型)又は複数層(多層型)からなる膜とを有する素子である。前記膜を構成する層の少なくとも1層は、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物を含有する。前記膜中の前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物の含有量は、発光層全体に対して、通常、0.1〜100重量%であり、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは0.5〜60重量%である。本発明の発光素子は、前記発光層が、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物を含むことが好ましい。
【0299】
本発明の発光素子が単層型である場合には、前記膜が発光層であり、この発光層が前記金属錯体又は前記高分子化合物を含有する。
【0300】
本発明の発光素子が多層型である場合には、例えば、以下の構成をとる。
(a)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(d)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0301】
本発明の発光素子の陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給し、4.5eV以上の仕事関数を有することが好ましい。
【0302】
陽極の材料には、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができる。陽極の材料としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの導電性金属酸化物と金属との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン類、ポリチオフェン類(PEDOT等)、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物等が挙げられる。
【0303】
本発明の発光素子の陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。
【0304】
陰極の材料としては、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を用いることができ、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等)並びにそのフッ化物及び酸化物、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウム等)並びにそのフッ化物及び酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、合金及び混合金属類(ナトリウム−カリウム合金、ナトリウム−カリウム混合金属、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム混合金属、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銀混合金属等)、希土類金属(イッテルビウム等)等が挙げられる。
【0305】
本発明の発光素子の正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、又は、陰極から注入された電子を障壁する機能を有するものである。
【0306】
正孔注入層及び正孔輸送層の材料としては、公知の材料を使用でき、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、これらを含む重合体等が挙げられる。その他にも、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。これらの材料は一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。また、前記正孔注入層及び前記正孔輸送層は、前記材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0307】
正孔輸送層の成膜方法としては、高分子量の化合物を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0308】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送層に用いる材料を溶解又は均一に分散できる溶媒が好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0309】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0310】
正孔輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0311】
正孔輸送層を発光層に隣接して設ける場合、特に両方の層を塗布法により形成する場合には、2層の材料が混合して素子の特性等に対して好ましくない影響を与えることがある。正孔輸送層を塗布法で形成した後、発光層を塗布法で形成する場合、2層の材料の混合を少なくする方法としては、正孔輸送層を塗布法で形成し、該正孔輸送層を加熱して発光層作製に用いる有機溶媒に対して不溶化した後、発光層を形成する方法が挙げられる。前記加熱の温度は、通常、150〜300℃である。前記加熱の時間は、通常、1分〜1時間である。この場合、加熱により溶媒不溶化しなかった成分を除くため、加熱後、発光層を形成する前に、該正孔輸送層を発光層形成に用いる溶媒でリンスすればよい。加熱による溶媒不溶化が十分に行われた場合は、該リンスが省略できる。加熱による溶媒不溶化が十分に行われるためには、正孔輸送層に用いる高分子量の化合物として分子内に少なくとも一つの重合可能な基を含むものを用いることが好ましい。更に、前記重合可能な基の数が、分子内の構成単位の数に対して5%以上であることが好ましい。
【0312】
上記正孔輸送層に用いる高分子量の化合物の具体例としては、以下の式で表される化合物が挙げられる。なお、式中、v、w、x及びyは、組成比を表す。
【0313】
【化101】

【0314】
【化102】

【0315】
【化103】

【0316】
【化104】

【0317】
【化105】

【0318】
【化106】

【0319】
【化107】

【0320】
【化108】

【0321】
【化109】

【0322】

【0323】
本発明の発光素子の電子注入層及び電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、又は、陽極から注入された正孔を障壁する機能を有するものである。
電子注入層及び電子輸送層の材料としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体が挙げられる。これらの材料は一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。また、前記電子注入層及び前記電子輸送層は、前記材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0324】
本発明の発光素子において、電子注入層、電子輸送層の材料として、絶縁体又は半導体の無機化合物も使用することもできる。電子注入層、電子輸送層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。
【0325】
前記絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物、又はアルカリ土類金属のハロゲン化物が挙げられる。
【0326】
アルカリ土類金属カルコゲニドとしては、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、CaSeが好ましい。
【0327】
前記半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、窒化物及び酸化窒化物が挙げられる。
【0328】
これらの材料は一種のみ用いても二種以上を併用してもよい。
【0329】
本発明の発光素子において、陰極と接する膜との界面領域に還元性ドーパントが添加されていてもよい。
【0330】
還元性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
【0331】
本発明の発光素子の発光層は、電圧印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能、注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する。
【0332】
前記発光層は、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物を含有することが好ましく、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物をゲスト材料とするホスト材料を含有させてもよい。
【0333】
前記ホスト材料としては、フルオレン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、ジアリールアミン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、ピラジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物、アリールシラン骨格を有する化合物が挙げられる。前記ホスト材料のT1(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、ゲスト材料のそれより大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことが更に好ましい。前記ホスト材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。また、前記ホスト材料と、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物とを混合して塗布するか、或いは共蒸着等することによって、前記金属錯体、前記高分子化合物又は前記組成物が、前記ホスト材料にドープされた発光層を形成することができる。
【0334】
本発明の発光素子で用いられる各層の形成方法としては、真空蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法等)、スパッタリング法、LB法、分子積層法、塗布法(キャスティング法、スピンコート法、バーコート方、ブレードコート法、ロールコート法、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット法等)等が挙げられる。これらの中では、製造プロセスを簡略化できる点で、塗布法が好ましい。前記塗布法では、本発明の金属錯体又は本発明の高分子化合物を含む塗布液(組成物)を調製し、該塗布液を所望の層(又は電極)上に塗布し、乾燥させることによって、各層を形成することができる。前記塗布液中には、ホスト材料、酸化防止剤、粘度調整剤、バインダーとしての樹脂を含有させてもよい。
【0335】
前記樹脂は溶媒に溶解状態としても分散状態としてもよい。前記樹脂としては、ポリビニルカルバゾール、ポリオレフィン等の高分子化合物が挙げられ、その具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂が挙げられる。
【0336】
本発明の発光素子の各層の厚さは、材料の種類や層構成によって異なるが、数nm〜1μmが好ましい。
【0337】
本発明の発光素子の用途としては、面状光源、照明、サイン、バックライト、ディスプレイ装置、プリンターヘッド等が挙げられる。前記ディスプレイ装置としては、公知の駆動技術、駆動回路等を用い、セグンメント型、ドットマトリクス型等の構成を選択することができる。
【実施例】
【0338】
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0339】
高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、該SECの測定条件は、以下の[測定条件1]又は[測定条件2]のとおりである。
【0340】
[測定条件1]
測定する高分子化合物は、約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、SECに50μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムとして、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本とを直列に繋げて用いた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0341】
[測定条件2]
測定する高分子化合物は、約0.05重量%の濃度でテトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0342】
LC−MSの測定は、下記の方法で行った。測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC−MSの移動相には、特に断りのない限り、アセトニトリルとテトラヒドロフランとを比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0343】
NMRの測定は、下記の方法で行った。測定試料5〜10mgを約0.5mLの重クロロホルム又は重テトラヒドロフランに溶解させて、NMR(バリアン(Varian)製、商品名:MERCURY 300、又はブルカー(Bruker)製、商品名:AVANCE600 TCI cryoprobe)を用いて測定した。
【0344】
MALDI−TOFMSの測定は、以下の[測定方法1]又は[測定方法2]で行った。
【0345】
[測定方法1]
α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸をメタノールに溶解させて飽和溶液を調製し、これをマトリックス溶液とした。測定する高分子化合物約4mgに200μLのクロロホルムを加えて溶解させ、この溶液20μLを200μLのクロロホルムで希釈し、これを試料溶液とした。マトリックス溶液20μLと試料溶液20μLを混合し、これをMALDIプレートに塗布して、MALDI−TOFMSの測定を行った。測定は、MALDI−TOFMS装置: Voyager−DE STR(Applied Biosystems社製)を用いて、測定モード: Reflector、加速電圧: 20kV、レーザー: N2(337nm)で行った。
【0346】
[測定方法2]
1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン約4mgに400μLのテトラヒドロフランを加えて溶解させて調製し、これをマトリックス溶液とした。測定する高分子化合物約0.1mgに200μLのテトラヒドロフランを加えて溶解させて調製し、これを試料溶液とした。マトリックス溶液50μLと試料溶液10μLを混合し、これをMALDIプレートに塗布して、MALDI−TOFMSの測定を行った。測定は、MALDI−TOFMS装置: REFLEX III (Bruker社製)を用いて、測定モード: リフレクトロンモード、加速電圧: 27.5 kV、レーザー: N2(337nm)で行った。
【0347】
<合成例1>(高分子化合物P−1の合成)
ジムロートを接続した200mLセパラブルフラスコに、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジホウ酸エチレングリコールエステル 3.18g(6.0mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 3.06g(5.4mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン 0.44g(0.6mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ社製) 0.82g、及びトルエン60mLを加えた。窒素雰囲気下、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 4.2mgを加え、85℃に加熱した。得られた溶液に、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液 16.3mLを滴下しながら105℃に加熱した後、1.5時間攪拌した。次に、フェニルホウ酸 0.74g、及びビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 4.2mgとトルエン30mLを加え、105℃で17時間攪拌した。得られた溶液から、水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 3.65g及びイオン交換水 36mLを加え、85℃で2時間攪拌した。有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水 80mL(2回)、3重量%酢酸水溶液 80mL(2回)、イオン交換水 80mL(2回)の順番で洗浄した。洗浄した有機層をメタノール 930mLに滴下したところ、沈殿物が生じたので、該沈殿物をろ過した後、乾燥させ、固体を得た。この固体をトルエン 190mLに溶解させて溶液を調製し、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに該溶液を通液し、得られた溶液をメタノール 930mLに滴下したところ、沈殿物が生じたので、沈殿物をろ過後乾燥させ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物P−1(4.17g)を得た。[測定条件1]で測定した高分子化合物P−1のポリスチレン換算の数平均分子量Mnは2.7×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは7.1×105であった。
【0348】
【化110】

【0349】
<実施例1>(金属錯体MC−1の合成・評価)
【0350】
【化111】

【0351】
まず、5-ブロモ-2-フェニルピリジン及び4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジンを、特開2008−179617号公報に記載の方法に従って合成した。
【0352】
窒素気流下、反応容器に5−ブロモ−2−フェニルピリジン(103.0g、440mmol)と脱水ジエチルエーテル1320mLとを量り取り、−67℃に冷却した。これに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.59M、318.2mL、506mmol)を20分かけて滴下した。滴下終了後、得られた溶液を−67℃で1.5時間撹拌し、次いで、ホウ酸トリイソプロピル(95.2g、506mmol)を加え、−67℃で4時間攪拌してから徐々に室温まで昇温させ、終夜攪拌した。反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液440mLと蒸留水500mLとを加えて室温で30分間攪拌した。反応溶液から分液操作で水層を回収し、これに3N塩酸約400mLを加えてpH5に調整したところ、アメ状の沈殿が生じた。反応溶液から上澄みをデカンテーションして除き、この沈澱を蒸留水200mLで2回洗浄した後、メタノール800mLに溶解させて、メタノール溶液を得た。上澄みは酢酸エチル1000mLで2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、このメタノール溶液と合わせて減圧濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加え、水分を共沸除去することにより、薄灰色粉末として化合物L−1(82.9g)を得た。
【0353】
反応容器に、4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジン(137.1g、361mmol)、化合物L−1(82.6g、415mmol)、トルエン(2890mL)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(8.34g、7.22mmol)を量り取り、窒素気流下、50℃で撹拌しながら固形分を溶解させた。得られた溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液(722mL)を加えて、17時間還流させた。反応溶液から有機層を回収し、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液1000mL及び10重量%食塩水100mLで洗浄した。洗浄した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、約400mLに濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をクロロホルム350mLに溶解させ、エタノール(1400mL)を加えて結晶化させた。結晶をろ別回収した後、該結晶をエタノール500mLで洗浄し、乾燥させることにより、化合物L−2(169.2g)を得た。
【0354】
(化合物L−2)
LC−MS(APPI, positive) m/z : 499([M+H]+)
なお、本化合物に対するLC−MSの測定においては、LC−MSの移動相には、約0.1重量%の酢酸を加えたイオン交換水と、約0.1重量%の酢酸を加えたアセトニトリルとを比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。
1H NMR(300MHz、CDCl3
δ 1.42 (s, 18 H), 7.52 (m, 3 H), 7.62 (d, J = 6.8 Hz, 4 H), 7.95 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 8.16 (d, J = 7.3 Hz, 2 H), 8.69 (d, J = 6.8 Hz, 4 H), 9.04 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 10.02 (s, 1 H).
【0355】
【化112】

【0356】
反応容器に、化合物L−2(22.17g、44mmol)、塩化イリジウム三水和物(6.95g、20mmol)、2−エトキシエタノール(96mL)、及び水(32mL)を量り取り、アルゴン気流下、140℃で15時間加熱した。空冷後、得られた混合物をろ別し、残渣をメタノール(150mL)、水(100mL)、メタノール(150mL)の順で洗浄することにより、赤色固体を得た。この赤色固体をクロロホルム(200mL)に溶解させ、エタノール(300mL)を加えて2時間還流させた。空冷後、析出した固体をろ別回収し、エタノールで洗浄した。この操作を3回繰り返した後、得られた固体を集め、減圧乾燥させることにより、金属錯体comlpex 1(20.03g)を得た。
【0357】
反応容器に、金属錯体complex 1(759mg、0.30mmol)、国際公開第2006/062226号パンフレットに記載の方法に従って合成した化合物L−3(330mg、0.61mmol)、及びジグライム(9mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(157mg、0.61mmol)を加え、アルゴン気流下100℃で10時間撹拌した。空冷後、反応混合物に純水(50mL)を加え、生じた沈澱をろ別した。この沈澱にトルエン/ヘキサン(1/2(体積基準))混合溶媒(40mL)を加え、ろ過した。ろ液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液をろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=1/1.5(体積基準))で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノール(50mL)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、金属錯体MC−1(252mg、0.15mmol)を得た。
【0358】
(金属錯体MC−1)
LC−MS(APCI, positive) m/z : 1733([M+H]+)
1H NMR (600MHz、THF−d8)
δ 1.22 (s, 18 H), 1.35 (s, 18 H), 1.38 (s, 18 H), 6.81 (m, 1 H), 6.82 (m, 1 H), 6.86 (m, 1 H), 6.90 (m, 1 H), 6.96 (d, J = 7.1 Hz, 1 H), 7.41 (d, J = 7.1 Hz, 1 H), 7.22 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 7.24 (d, J = 8.2 Hz, 1 H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 4 H), 7.48 (d, J = 8.5 Hz, 4 H), 7.50 (d, J = 8.2 Hz, 4 H), 7.66 (m, 1 H), 7.66 (d, J = 8.2 Hz, 4 H), 7.71 (m, 2 H), 7.74 (s, 1 H), 7.84 (s, 2 H), 7.89 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 7.93 (d, J = 7.9 Hz, 1 H), 8.03 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 8.06 (m, 1 H), 8.29 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 8.38 (d, J = 8.5 Hz, 4 H), 8.41 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 8.43 (d, J = 8.2 Hz, 4 H), 8.67 (s, 1H), 8.99 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 9.21 (m, 1 H), 9.23 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 9.28 (s, 1 H), 9.44 (s,1 H).
【0359】
・金属錯体MC−1のEL発光特性
高分子化合物P−1(92.5重量部)と金属錯体MC−1(7.5重量部)との混合物の1.5重量%キシレン溶液(以下、「組成物A」と言う。)、並びに、下記式:
【0360】
【化113】

で表される繰り返し単位からなり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2.7×105であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が7.9×104である高分子化合物P−5の0.5重量%キシレン溶液(以下、「組成物B」と言う。)を調製した。
【0361】
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、商品名:BaytronP)を用いて、スピンコートにより65nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥させた。
【0362】
次に、組成物Bを用いてスピンコートにより、2000rpmの回転速度で成膜し、窒素ガス雰囲気下180℃で60分間乾燥させた。この基板を室温に戻した後、組成物Aを用いて、スピンコートにより2050rpmの回転速度で成膜した。得られた膜の平均膜厚は約80nmであった。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥させた後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子を作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
【0363】
得られた有機EL素子に電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。この有機EL素子は、約11.7Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は7.38cd/Aであった。
【0364】
・金属錯体MC−1のPL発光特性
高分子化合物P−1(92.5重量部)と金属錯体MC−1(7.5重量部)との混合物の1.0重量%トルエン溶液(以下、「組成物C」と言う。)を調製した。この組成物Cをグローブボックス(MBRAUN社、品番:UNIlab−2000)中の、紫外線防止フィルム(商品名:セイデン(登録商標)クリスタル、品番:1−9112−05)を貼り付けた蛍光灯下で保存した。組成物Cの調製直後、2日後、9日後に、組成物Cをスピンコート法により2000rpmの回転速度で石英ガラス上に成膜し、組成物Cの膜を得た。
【0365】
分光蛍光強度計(日本分光株式会社製、商品名:JASCO FP-6500 spectrofluorometer)を用いて、得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、610nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Cを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後、9日後の組成物Cを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、それぞれ、0.96、0.95であった。
【0366】
<実施例2>(金属錯体MC−2の合成・評価)
【0367】
【化114】

【0368】
反応容器に、金属錯体complex 1(760mg、0.30mmol)、国際公開第2002/044189号パンフレットに記載の方法に従って合成した化合物L−4(330mg、0.61mmol)、及びジグライム(9mL)を量り取り、トリフルオロメタンスルホン酸銀(154mg、0.60mmol)を加え、アルゴン気流下100℃で20時間撹拌した。空冷後、反応混合物に純水(50mL)を加え、生じた沈澱をろ別した。この沈澱をクロロホルム/ヘキサン(1/3(体積基準))混合溶媒(50mL)に溶解させ、硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた溶液をろ過し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=1/1.5(体積基準))で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノール(50mL)で洗浄し、減圧乾燥させることにより、金属錯体MC−2(234mg、0.16mmol)を得た。
【0369】
(金属錯体MC−2)
LC−MS(APCI, positive) m/z : 1448([M+H]+)
1H NMR(300MHz、CDCl3
δ 1.13 (s, 9 H), 1.22 (s, 18 H), 1.38 (s, 18 H), 6.85-7.04 (m, 7 H), 7.10 (s, 1 H), 7.40 (m, 9 H), 7.60 (m, 2 H), 7.83 (m, 4 H), 8.09 (d, 1 H), 8.18 (t, 2 H), 8.25 (d, 4 H), 8.35 (d, 4 H), 8.90 (d, 1 H), 9.01 (d, 1 H), 9.09 (d, 1 H), 9.15 (s, 1 H), 9.23 (s, 1 H).
【0370】
・金属錯体MC−2のPL発光特性
高分子化合物P−1(92.5重量部)と金属錯体MC−2(7.5重量部)との混合物の1.0重量%トルエン溶液(以下、「組成物D」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、607nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Dを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後、9日後の組成物Dを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、それぞれ、0.93、0.95であった。
【0371】
<比較例1>(金属錯体M−1の合成・評価)
・金属錯体M−1のPL発光特性
高分子化合物P−1(92.5重量部)と、国際公開第2002/44189号パンフレットに記載の方法に従って合成した下記式:
【0372】
【化115】

で表される金属錯体M−1(7.5重量部)との混合物の1.0重量%トルエン溶液(以下、「組成物E」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、619nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Eを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後、9日後の組成物Eを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値をそれぞれ算出したところ、それぞれ、0.91、0.47であった。
【0373】
<実施例3>(金属錯体MC−1の別合成)
・金属錯体MC−3の合成
【0374】
【化116】

【0375】
反応容器に、金属錯体complex 1(7.34g、3.0mmol)、アセチルアセトン(1.52g、15mmol)、炭酸ナトリウム(3.18g、30mmol)及び2−エトキシエタノール(73mL)を量り取り、アルゴン気流下100℃で6時間撹拌した。空冷後、反応混合物をろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した。洗浄した固体をクロロホルム/ヘキサン(1/1(体積基準))混合溶媒(350mL)に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=1/1(体積基準))で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をクロロホルム/トルエン(1/1(体積基準))混合溶媒(600mL)に溶解させ、再度、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/トルエン=1/1(体積基準))で精製し、溶液を約50mLに濃縮した。生じた沈澱をろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄し、減圧乾燥させることにより、金属錯体MC−3を得た。また、ろ液を約30mLに濃縮し、生じた沈澱をろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄し、減圧乾燥させることにより、金属錯体MC−3を得た。得られた金属錯体MC−3の合計量は、2.73g(2.1mmol)であった。
【0376】
(金属錯体MC−3)
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法2]) m/z : 1287 ([M])
1H NMR(300MHz、CDCl3
δ 1.39 (s, 36 H), 2.02 (s, 6 H), 5.38 (s, 1 H), 6.45 (d, J = 7.8 Hz, 2 H), 6.74 (m, 2 H), 6.87 (m, 2 H), 7.57 (d, J = 7.5 Hz, 8 H), 7.70 (d, J = 7.7 Hz, 2 H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 8.68 (d, J = 7.5 Hz, 8 H ), 9.05 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 9.93 (s, 2 H).
【0377】
・金属錯体MC−1の合成
【0378】
【化117】

【0379】
アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体MC−3(387mg、0.30mmol)、化合物L−3(165mg、0.30mmol)、及びエチレングリコール(15mL)を量りとり、180℃で25時間加熱攪拌した。空冷後、得られた反応溶液をろ過し、残渣を水(10mL)、メタノール(50mL)の順で洗浄した。洗浄した残渣に、トルエン/ヘキサン混合溶媒(30mL)を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン混合溶媒)で精製し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、上記式で表される金属錯体MC−1(91mg、0.05mmol)を得た。
【0380】
<実施例4>(金属錯体MC−5の合成)
・金属錯体MC−4の合成
【0381】
【化118】

【0382】
アルゴン気流下、反応容器に金属錯体MC−1(4.25g、2.5 mmol)とクロロホルム(400mL)を量りとり、金属錯体を溶解させた。これにN−ブロモスクシンイミド (872mg、4.9mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣にクロロホルム/ヘキサン混合溶媒 (100mL)を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン混合溶媒)。溶出した溶液を回収し、溶媒を留去した後に、残渣をメタノールで洗浄することにより、上記式で表される金属錯体(MC−4、3.76g、2.0mmol)を得た。
【0383】
(金属錯体MC−4)
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法1]) m/z : 1890 ([M])
1H NMR (300MHz, THF-d8)
δ 1.27 (s, 18 H), 1.36 (s, 18 H), 1.41 (s, 18 H), 6.95 (m, 4 H), 7.24 (m, 2 H), 7.48 (m, 12 H), 7.69 (m, 5 H), 7.74 (m, 3 H), 7.83 (s, 2 H), 7.99 (d, J = 6.0 Hz, 1 H), 8.09 (m, 3 H ), 8.40 (m, 9 H ), 8.54 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 8.68 (s, 1 H ), 9.05 (m, 1 H ), 9.22 (m, 2 H ), 9.28 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 9.46 (s, 1 H).
【0384】
・金属錯体MC−5の合成
【0385】
【化119】

【0386】
アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体MC−4(2.84g、1.5mmol)、化合物L−5(1.56g、3.3mmol)、水酸化テトラエチルアンモニウム 20重量%水溶液(5.42g、7.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(61mg、0.05mmol)、及びテトラヒドロフラン(90mL)を量りとり、14時間還流した。反応溶液にトルエン(60mL)と水(100mL)を加えて洗浄し、有機層を回収した。この有機層を、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた溶液をろ過し、約50mLに濃縮した。得られた濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)で精製した。溶出した溶液を回収し、溶媒を留去し、得られた残渣に、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒(50mL)を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製し、溶媒を留去した。残渣をトルエンに溶解させ、得られた溶液にアセトニトリルを加え、結晶化することにより精製した。得られた固体を濾別して回収し、上記式で表される金属錯体MC−5(2.85g、1.2mmol)を得た。
なお、化合物L−5はWO02/62226に記載の方法に準じて合成した。
【0387】
(金属錯体MC−5)
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法1]) m/z : 2413 ([M])
1H NMR (600MHz, THF-d8
δ1.26 (s, 18 H) , 1.37 (s, 18 H), 1.38 (s, 18 H), 1.40 (s, 18 H) , 1.42 (s, 18 H), 7.26 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 7.31 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 7.33 (d, J = 8.1 Hz, 2 H), 7.35 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 7.39 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 7.48 (d, J = 8.4 Hz, 4 H), 7.49 (d, J = 8.3 Hz, 4 H), 7.50 (d, J = 8.1 Hz, 4 H), 7.51 (d, J = 8.1 Hz, 4 H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 4 H), 7.68 (d, J = 8.4 Hz, 4 H), 7.69 (d, J = 8.5 Hz, 4 H), 7.72 (d, J = 8.3 Hz, 4 H), 7.74 (m, 4 H), 7.75 (s, 1 H), 7.78 (s, 1 H), 7.88 (s, 2 H), 7.91 (s, 2 H), 7.92 (s, 2 H), 8.10 (m, 1 H), 8.11 (d, J = 6.2 Hz, 1 H), 8.35 (s, 1 H), 8.39 (m, 5 H), 8.44 (d, J = 8.1 Hz, 4 H), 8.56 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 8.69 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 8.73 (s, 1 H), 9.03 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 9.26 (m, 1 H), 9.27 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 9.38 (s, 1 H), 9.51 (s, 1 H).
【0388】
<実施例5>(金属錯体MC−1のPL発光特性 その2)
Aldrich社のポリスチレン(standard for GPC, average Mw=565500)(92.5重量部)と金属錯体MC−1(7.5重量部)との混合物の2.0重量%キシレン溶液(以下、「組成物F」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、610nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Fを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後の組成物Fを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、1.10であった。
【0389】
<実施例6>(金属錯体MC−2のPL発光特性 その2)
Aldrich社のポリスチレン(standard for GPC, average Mw=565500)(92.5重量部)と金属錯体MC−2(7.5重量部)との混合物の2.0重量%キシレン溶液(以下、「組成物G」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Gを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、609nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Gを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後の組成物Gを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、1.05であった。
【0390】
<実施例7>(金属錯体MC−5のPL発光特性)
Aldrich社のポリスチレン(standard for GPC, average Mw=565500)(92.5重量部)と金属錯体MC−5(7.5重量部)との混合物の2.0重量%キシレン溶液(以下、「組成物H」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Hを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、610nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Hを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後の組成物Hを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、0.99であった。
【0391】
<比較例2>(金属錯体M−1のPL発光特性 その2)
Aldrich社のポリスチレン(standard for GPC, average Mw=565500)(92.5重量部)と金属錯体M−1(7.5重量部)との混合物の2.0重量%キシレン溶液(以下、「組成物I」と言う。)を調製した。実施例1の「金属錯体MC−1のPL発光特性」の項において、組成物Cに代えて組成物Iを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜を作製した。得られた膜のフォトルミネッセンススペクトルを測定したところ、620nmにピークを持つ赤色発光が得られた。調製直後の組成物Iを用いて作製した膜における発光のピーク強度を1に規格化して、2日後の組成物Iを用いて作製した膜の発光のピーク強度の相対値を算出したところ、0.76であった。
【0392】
<実施例8>(金属錯体MC−7の合成)
【0393】
【化120】

【0394】
アルゴン気流下、反応容器に、金属錯体MC−6(2.61g、1.9mmol)、化合物L−2(998mg、2.0mmol)、及びエチレングリコール(100mL)を量りとり、11時間還流した。空冷後、反応溶液をろ過し、残渣を水(200mL)、メタノール(50mL)の順で洗浄した。得られた残渣に、クロロホルム/ヘキサン混合溶媒を加えて溶解させた。得られた溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製し、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを更に3回繰り返し、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノールで洗浄し、上記式で表される金属錯体MC−7(65mg、0.036mmol)を得た。
なお、金属錯体MC−6は、特開2008−174499号公報に記載の方法に準じて合成した。
【0395】
(金属錯体MC−7)
MALDI−TOFMS(positive、[測定方法2]) m/z : 1779 ([M])
1H NMR (300MHz, THF-d8)δ 1.33 (s, 18 H), 1.35 (s, 18 H), 1.39 (s, 18 H), 6.79 (t, J = 7.5 Hz, 1 H), 6.88 (t, J = 7.5 Hz, 1 H), 7.01 (d, J = 7.5 Hz, 1 H), 7.16-7.33 (m, 4 H), 7.39-7.55 (m, 14 H), 7.62-7.76 (m, 16 H), 7.82 (s, 4 H), 7.86-8.01 (m, 3 H), 8.32 (m, 5 H), 8.58 (s, 1 H), 8.65 (s, 1 H), 8.97 (d, J = 8.6 Hz, 1 H), 9.11 (d, J = 8.1 Hz, 1 H), 9.21 (m, 1 H), 9.26 (s, 1 H).
【0396】
<実施例9>(高分子化合物PC−1の合成)
100mL4つ口フラスコに、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン 1.33g(2.1mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 1.08g(2.0mmol)、2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ヘキシルフェニル)−1,3,5−トリアジン 0.14g(0.26mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン 0.19g(0.26mmol)、金属錯体MC−4 0.20g(0.10mmol)、及び、トルエン 45mLを加えた。窒素雰囲気下、100℃に加熱した。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 8.2mgを加えた。得られた溶液に、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 9.15gを滴下した後、14時間攪拌した。次に、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン 0.18g(0.28mmol)、トルエン 10mL、及び、イオン交換水 9mLを加えて、105℃で3時間攪拌した。次に、そこに、フェニルホウ酸 0.13g、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 1.8mgとトルエン7mL、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 8mLを加え、105℃で4時間攪拌した。
【0397】
反応溶液から水層を除いた後、そこに、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 0.73g、イオン交換水 15mLを加え、80℃で2時間攪拌した。反応溶液の有機層を水層と分離した後、有機層を3.6重量%塩酸 40mL(2回)、2.5重量%アンモニア水溶液 40mL(2回)、イオン交換水 40mL(5回)の順番で洗浄した。
【0398】
洗浄した有機層をメタノール 500mLに滴下したところ沈殿物が生じたので、沈殿物を濾過後乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン 60mLに溶解させ、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル/アルミナカラムに溶液を通液した。通液された溶出液をメタノール 760mLに滴下したところ沈殿物が生じたので、沈殿物を濾過後乾燥させ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物(以下、「高分子化合物PC−1」と言う。)を1.55g得た。また、[測定条件2]で測定した高分子化合物PC−1のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれMn=1.1×104、Mw=3.4×104であった。
【0399】
【化121】

【0400】
<実施例10>(有機EL素子Xの作製)
高分子化合物P−1(80重量部)と金属錯体MC−1(20重量部)との混合物の1.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物J」と言う。)、並びに、高分子化合物P−5の0.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物K」と言う。)を調製した。
【0401】
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(エイチ・シー・スタルク社、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いて、スピンコートにより65nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥させた。
【0402】
次に、組成物Kを用いてスピンコートにより、2000rpmの回転速度で約20nmの厚みに成膜し、窒素ガス雰囲気下180℃で60分間乾燥させた。こうして得られた基板を室温に戻した後、組成物Jを用いて、スピンコートにより2180rpmの回転速度で約80nmの厚みに成膜した。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥させた後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子Xを作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
【0403】
有機EL素子Xに電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子Xは、約9.3Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は11.1cd/Aであった。
【0404】
<比較例3>(有機EL素子CXの作製)
高分子化合物P−1(80重量部)と金属錯体M−1(20重量部)との混合物の1.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物L」と言う。)を調製した。実施例10において、組成物Jに代えて組成物Lを用いた以外は、実施例10と同様にして、有機EL素子CXを作製した。有機EL素子CXに電圧を印加することにより、620nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子CXは、約7.7Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は5.8cd/Aであった。
【0405】
<合成例2>(高分子化合物P−3の合成)
反応容器に、9,9−ビス(3−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フルオレン 91.83g(124mmol)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン 17.30g(31.6mmol)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N’,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン 51.69g(75.7mmol)、9,9−ビス(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イル)−2,7−ジブロモフルオレン 10.00g(18.9mmol)、及び、トルエン 2112gを加えた。窒素ガス雰囲気下、溶液を90℃に加熱し、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 88.6mgを加えた。次に、そこに、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 436.7gを60分かけて滴下した。20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の滴下開始から5時間、90℃で攪拌した後、フェニルホウ酸 1.54g及びトルエン60gを追加して、更に14時間攪拌した。反応溶液から水層を除いた後、そこに、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 140.3g、イオン交換水 1.20kg、及び、トルエン 1.80kgを加え、40℃で3時間攪拌した。反応溶液の有機層を水層と分離した後、有機層を10重量%塩酸(2回)、3重量%アンモニア水溶液(2回)、イオン交換水(2回)の順番で洗浄した。洗浄した有機層を、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル及びアルミナを充填したカラムに通液し、通過した溶液をメタノールに滴下したところ沈殿物が析出した。沈殿物を濾過して乾燥させ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物(以下、「高分子化合物P−3」と言う。)を204g得た。[測定条件2]で測定した高分子化合物P−3のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=6.4×104、Mw=2.1×105であった。
【0406】
【化122】

【0407】
なお、9,9−ビス(3−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フルオレンは、国際公開第2010/013723号パンフレットに記載の方法に従って合成した。N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N’,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミンは、特開2003−226744号公報に記載の方法に従って合成した。9,9−ビス(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イル)−2,7−ジブロモフルオレンは、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
【0408】
<合成例3>(高分子化合物P−4の合成)
反応容器に、9,9−ビス(3−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フルオレン 15.27g(20.7mmol)、2,7− ビス(N−(4−ブロモフェニル)−N−(4−メチルフェニル)アミノ)−9,9−ジオクチルフルオレン 15.97g(17.5mmol)、9,9−ビス(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イル)−2,7−ジブロモフルオレン 1.33g(3.1mmol)、及び、トルエン 436gを加えた。窒素ガス雰囲気下、溶液を90℃に加熱し、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド 14.4mgを加えた。次に、そこに、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 71.50gを60分かけて滴下した。20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の滴下開始から7時間、90℃で攪拌した後、フェニルホウ酸 0.25g及びトルエン12gを追加して、更に14時間攪拌した。次に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物 11.46g、イオン交換水 120g、トルエン 183gを加え、40℃で3時間攪拌した。反応溶液から水層を除去した後、そこに、イオン交換水 120gを加え、40℃で0.5時間攪拌した。反応溶液の有機層を水層と分離した後、有機層を10重量%塩酸(2回)、3重量%アンモニア水溶液(2回)、イオン交換水(2回)の順番で洗浄した。洗浄した有機層を、あらかじめトルエンを通液したシリカゲル及びアルミナを充填したカラムに通液し、通過した溶液をメタノールに滴下したところ、沈殿物が析出した。沈殿物を濾過して乾燥させ、下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物(以下、「高分子化合物P−4」と言う。)を21.14g得た。[測定条件2]で測定した高分子化合物P−4のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=4.5×104、Mw=2.0×105であった。
【0409】
【化123】

【0410】
なお、2,7− ビス(N−(4−ブロモフェニル)−N−(4−メチルフェニル)アミノ)−9,9−ジオクチルフルオレンは特表2007−512249号公報に記載の方法に従って合成した。
【0411】
<実施例11>(有機EL素子Yの作製)
下記式で表される繰り返し単位を以下のモル比で有する高分子化合物P−2(92.5重量部)と金属錯体MC−1(7.5重量部)との混合物の1.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物M」と言う。)、並びに高分子化合物P−3の0.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物N」と言う。)を調製した。
【0412】
【化124】

【0413】
高分子化合物P−2は、国際公開第2009/157430号パンフレットに記載の方法に従って合成した。[測定条件2]で測定した高分子化合物P−2のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれMn=1.4×105、Mw=3.7×105であった。
【0414】
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(エイチ・シー・スタルク社、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いて、スピンコートにより65nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥させた。
【0415】
次に、組成物Nを用いてスピンコートにより、1200rpmの回転速度で約20nmの厚みに成膜し、窒素ガス雰囲気下180℃で60分間乾燥させた。この基板を室温に戻した後、組成物Mを用いて、スピンコートにより3280rpmの回転速度で約80nmの厚みに成膜した。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥させた後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子Yを作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
【0416】
有機EL素子Yに電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子Yは、約5.2Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は15.8cd/Aであった。
【0417】
<比較例4>(有機EL素子CYの作製)
高分子化合物P−2(92.5重量部)と金属錯体M−1(7.5重量部)との混合物の1.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物O」と言う。)を調製した。実施例11において、組成物Mに代えて組成物Oを用いた以外は、実施例11と同様にして、有機EL素子CYを作製した。有機EL素子CYに電圧を印加することにより、620nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子CYは、約5.2Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は11.6cd/Aであった。
【0418】
<実施例12>(有機EL素子Zの作製)
高分子化合物P−4の0.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物P」と言う。)を調製した。
【0419】
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(エイチ・シー・スタルク社、商品名:CLEVIOS P AI4083)を用いて、スピンコートにより65nmの厚みで成膜を行い、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥させた。
【0420】
次に、組成物Pを用いてスピンコートにより、1050rpmの回転速度で約20nmの厚みに成膜し、窒素ガス雰囲気下180℃で60分間乾燥させた。この基板を室温に戻した後、組成物Mを用いて、スピンコートにより3400rpmの回転速度で約80nmの厚みに成膜した。これを窒素ガス雰囲気下130℃で10分間乾燥させた後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、有機EL素子Zを作製した。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
【0421】
有機EL素子Zに電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子Zは、約5.9Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は15.2cd/Aであった。
【0422】
<実施例13>(有機EL素子XXの作製)
高分子化合物P−2(92.5重量部)と金属錯体MC−5(7.5重量部)との混合物の1.6重量%キシレン溶液(以下、「組成物Q」と言う。)を調製した。実施例12において、組成物Mに代えて組成物Qを用いた以外は、実施例12と同様にして、有機EL素子XXを作製した。有機EL素子XXに電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子XXは、約6.3Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は17.5cd/Aであった。
【0423】
<比較例5>(有機EL素子CXXの作製)
実施例12において、組成物Mに代えて組成物Oを用いた以外は、実施例12と同様にして、有機EL素子CXXを作製した。有機EL素子CXXに電圧を印加することにより、620nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子CXXは、約5.9Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は11.1cd/Aであった。
【0424】
<実施例14>(有機EL素子YYの作製)
高分子化合物PC−1の2.5重量%キシレン溶液(以下、「組成物R」と言う。)を調製した。実施例12において、組成物Mに代えて組成物Rを用いた以外は、実施例12と同様にして、有機EL素子YYを作製した。有機EL素子YYに電圧を印加することにより、615nmにピークを有する赤色のEL発光が得られた。有機EL素子YYは、約5.9Vで1000cd/m2の発光を示し、最大発光効率は17.5cd/Aであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は、置換基を有していてもよい。
1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、−C(R*)=又は窒素原子を表す。R*は、水素原子又は置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、各々、複数存在する場合、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。
mは、1又は2である。]
で表される金属錯体。
【請求項2】
下記式(1c):
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
下記式(1a)又は下記式(1b):
【化3】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、前記と同じ意味を有する。
R’は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい。]
で表される請求項2に記載の金属錯体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体の残基を有する金属含有高分子化合物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体又は請求項4に記載の金属含有高分子化合物を含む組成物。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体を二種以上含む、又は、請求項4に記載の金属含有高分子化合物を二種以上含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体と、
下記式(2)で表される金属錯体、下記式(3)で表される金属錯体、又はこれらの組み合わせ
とを有する、請求項5又は6に記載の組成物。
【化4】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
【請求項8】
更に金属非含有高分子化合物を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記金属非含有高分子化合物が、下記式(7−1)で表される2価の基、下記式(7−2)で表される2価の基、下記式(7−3)で表される2価の基、下記式(7−4)で表される2価の基、下記式(7−5)で表される2価の基、及び、下記式(8)で表される2価の基からなる群から選ばれる少なくとも一種を繰り返し単位として有する、請求項8に記載の組成物。
【化5】

[式中、Y1は、−C(R48)(R49)−、−O−C(R50)(R51)−、−O−、−S−、−B(R52)−、−Si(R53)(R54)−、−P(R55)−、−P(R56)(=O)−又は−N(R57)−を表す。
48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56及びR57は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46及びR47は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
【化6】

[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。Ar5、Ar6及びAr7は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は、置換基を有していてもよい。a及びbは、それぞれ独立に、0又は1であり、0≦a+b≦1である。]
【請求項10】
前記金属非含有高分子化合物が、更に下記式(10)で表される繰り返し単位を有する、請求項9に記載の組成物。
【化7】

[式中、Ar10は2価の含窒素芳香族複素環基を表す。Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表す。]
【請求項11】
前記式(10)で表される繰り返し単位が、下記式(11)で表される繰り返し単位である、請求項10に記載の組成物。
【化8】

[式中、Ar11及びAr12は、前記と同じ意味を有する。Ar13はアリール基又は1価の複素環基を表す。Ar11、Ar12及びAr13は置換基を有していてもよい。
6、Z7及びZ8は、それぞれ独立に、−C(Rk)=又は窒素原子を表す。Rkは、水素原子又は置換基を表す。但し、Z6、Z7及びZ8の少なくとも2個は、窒素原子である。]
【請求項12】
更に電荷輸送材料、発光材料、又はこれらの組み合わせを含む請求項5〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
更に溶媒又は分散媒を含む請求項5〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体、請求項4に記載の金属含有高分子化合物、又は請求項5〜12のいずれか一項に記載の組成物を含む膜。
【請求項15】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体、請求項4に記載の金属含有高分子化合物、又は請求項5〜12のいずれか一項に記載の組成物を含む素子。
【請求項16】
前記素子が発光素子である請求項15に記載の素子。
【請求項17】
請求項16に記載の素子を用いた面状光源。
【請求項18】
請求項16に記載の素子を用いた照明。
【請求項19】
下記式(4):
【化9】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、−C(R*)=又は窒素原子を表す。R*は、水素原子又は置換基を表す。
複数存在するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。]
で表される金属錯体と、
下記式(5):
【化10】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表される化合物とを反応させることを含む、
下記式(1c):
【化11】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体の製造方法。
【請求項20】
下記式(6):
【化12】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。
1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、それぞれ独立に、−C(R*)=又は窒素原子を表す。R*は、水素原子又は置換基を表す。
複数存在するR1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、同一であっても異なっていてもよい。但し、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の少なくとも2個は、窒素原子である。
e、Rf及びRgは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表す。]
で表される金属錯体と、
下記式(5):
【化13】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換カルボキシル基、又はシアノ基を表す。これらの基は置換基を有していてもよい。]
で表される化合物とを反応させることを含む、
下記式(1c):
【化14】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、前記と同じ意味を有する。]
で表される金属錯体の製造方法。

【公開番号】特開2011−105701(P2011−105701A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228318(P2010−228318)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】