説明

金属錯体を含む炭素ナノチューブ分散剤

本発明は、(a)炭素ナノチューブ(CNT)と(b)中心金属上に1種以上のリガンドが配位された金属錯体との物理的及び化学的結合によって形成された複合体であって、前記炭素ナノチューブが、金属錯体内の金属と直接的に結合して連結していることを特徴とする複合体を提供する。
また、本発明は、(i)中心金属に1種以上のリガンド(L)が結合された錯イオンと(ii)対イオンとを含む金属錯体を含有する炭素ナノチューブ用分散剤を提供する。
本発明では、金属錯体をCNT分散剤として用いることで、金属錯体が有する多様な特性をCNTにさらに付与でき、分散媒と親和的な物性を持つリガンド及び/又は対イオンを導入して、CNTの分散性を有意に増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素ナノチューブ(カーボンナノチューブ、CNT)に金属錯体から由来する新機能を付与し、分散性を有意に増大させることができる分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブは、1991年日本NECのイイジマ博士が発見して以後、優れた電気伝導性や熱伝導性、高い機械的強度などの固有の性質により高い関心を集めてきた。しかしながら、精製及び分散の困難さなどにより、現在まで商業化された例があまりない。
【0003】
CNTの分散方法としては、機械的な方法、共有結合により分散剤がCNTに付着される方法、非共有結合である分子間引力により分散剤がCNTに付着される方法などに大別される。第一の機械的な方法は、超音波処理やボールミリング方法などがあるが、その効果は一時的であり、長期間持続されない。第二の共有結合によるCNTの変形は、分散性に優れ、恒久的であるが、CNTのπ−電子ネットワークを破壊し、抵抗を増加させる等の固有の物性を弱める(KR2006−0031375)。第三は、非共有結合分子間引力によりCNTと結合される分散剤を用いるものである。この方式は、簡便であり、ナノチューブ固有の性質をそのまま維持できるため、多くの研究が進められている。代表例としては、高分子でCNT表面を包む方法、単分子型界面活性剤であるSDSやオクタデシルアミンなどを用いる方法、DNAなどの核酸高分子を用いる方法、堅い線状オリゴマーの形態からなり、ノンラッピング(non-wrapping)方式により、CNTの表面に付着されて分散性を提供する方法などが知られている。
【0004】
非共有結合型分散剤は、炭素ナノチューブとの結合力の強度及び分散能が比例する特性を持つ。結合力が弱い場合、分散剤が多量使用され、このような分散剤の多量使用は炭素ナノチューブの応用に制限を与えることになる。炭素ナノチューブとの結合力が良いZyvex社のNanosolveの場合、分散性は良いが、合成が難しくて高価である。したがって、炭素ナノチューブに強い結合力を持ちながら、合成が容易であり、安価な分散剤の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2006−0031375号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、金属錯体は、電気的特性、光学的特性、磁気的特性、触媒的特性などが非常に独特であり、その種類が広範囲であるため、各種の化学反応、電磁気機器、光学機器、センサなどに広く用いられる。また、高分子に多様な特性を付与する添加剤としてよく用いられる。このような金属錯体の特性及びCNTの強度、電気的特性が結合されたCNT−金属錯体複合体は、新しい機能を持つ素材になるものと予想されて研究が進められている。しかしながら、CNT−金属錯体は分散性が悪く、研究は電極などの固体相に焦点が当てられており、CNT−金属錯体が分散液中に均一に分散された形態で具現された例はない。
【0007】
すなわち、本発明は上述した問題を考慮して行われた。本発明者らは、炭素ナノチューブの分散剤として、1種以上のリガンド(ligand)が金属に配位された錯イオン及び対イオンからなる金属錯体を使用すれば、炭素ナノチューブ(CNT)及び金属が部分的な電荷移動とπ−πスタッキング(stacking)により強く結合するだけでなく、リガンド及び/又は対イオンにより分散媒と親和的な物性を有するように調節できるので、CNTの分散性を有意に増大できることを見出した。また、合成が容易であり、低価であるため、経済性が図られる。
本発明は、このような発見に基づいたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)炭素ナノチューブ(カーボンナノチューブ、CNT);及び、(b)中心金属上に1種以上のリガンドが配位された金属錯体が、物理的及び化学的結合することにより形成された複合体であって、前記炭素ナノチューブが、金属錯体内の金属と直接的に結合して連結していることを特徴とする複合体を提供する。
【0009】
このとき、前記リガンドは、金属イオンに結合されたまま、炭素ナノチューブと弱いπ−πスタッキング相互作用をしたり、または、炭素ナノチューブと直接結合しないで存在していてもよい。
【0010】
また、本発明は、(i)中心金属に1種以上のリガンド(L)が1≦n≦8の範囲で化学結合された錯イオン;(ii)前記錯イオンの電荷中性条件を満足させる対イオンを含む金属錯体を含有する炭素ナノチューブ用分散剤、前記分散剤を含む炭素ナノチューブ用組成物、前記炭素ナノチューブ用組成物を用いて製造された電気化学装置を提供する。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
炭素ナノチューブ(carbon nanotube:以下、“CNT”という)は、一般の高強度合金に比べ、大きい引張強度を有し、弾性力が良いため、優れた機械的物性を有するだけでなく、電流輸送能力や熱伝達のような電気的特性をも有する。前述した長所に対し、CNTは大きい表面積及び低い密度により強い凝集力を有する。このようなCNTの強い凝集力は、CNTの均一な分散を阻害してCNTの固有な特性を発揮できなくするので、分散剤を投入すべきである。
【0013】
一般に、分散剤は、CNTを分散媒又は媒質に均一に分散させるために、CNTと結合する作用基(1)と、分散媒とよく混和する溶媒親和性作用基(2)とを同時に有するべきである。しかしながら、従来、CNT分散剤は、主にCNTとπ−πスタッキングにより結合する炭化水素系の高分子系分散剤であるので、高分子の低い溶解度及び高い粘度により、CNTを十分に分散できないという問題点がある。また、CNT及び分散剤の結合要因がπ−πスタッキング相互作用によるものなので、使用したい高分子が構造的に不飽和結合を含むべきであると共に、このようなπ−πスタッキング相互作用が相対的に弱いという問題点がある。
【0014】
そこで、本発明では、前述した問題点を発生させる高分子系分散剤の代りに、金属錯体をCNTの分散剤として用いることを特徴とする。
【0015】
本発明の金属錯体は、中心金属に1種以上のリガンドが配位された錯イオンと、錯イオンの電荷中性条件を満足させる対イオンとからなる。このとき、金属は、空の又は充填されたd−軌道を介してCNTと配位結合し得る。
【0016】
さらに、CNT及び中心金属が相互結合する場合、相対的に電子が不足している金属錯イオンは電子受容体(electron-acceptor)の役割をし、相対的に電子が豊富なCNTは電子供与体(electron-donor)の役割をすることで、部分的にこれらの間で電荷移動がなされる。このような電荷移動(CT)は、前述したπ−πスタッキングに比べてより強い結合を形成するので、従来の高分子分散剤の弱い結合能力による問題点を根本的に解決できる。
【0017】
実際に、本発明のCNT−金属錯体の複合体は、π−πスタッキング結合及び電荷移動により結合されており、このような部分的な電荷移動は、従来のπ−電子ネットワークスタッキング結合よりも高い結合エネルギーを有することを計算学的に立証した(図8参照)。
【0018】
本発明のCNTの分散剤として用いられる物質は、公知の通常の金属錯体であり得る。詳しくは、1種以上のリガンドが中心金属に配位された錯イオン及び対イオンを含む金属錯体である。
【0019】
前記金属錯体は、下記の化学式1のように表されるが、これに制限されるものではない。
【0020】
[化学式1]
MLC(I)
式中、Mは、公知の任意の金属であり;
Lは金属に配位されたリガンドであって、xは1≦x≦8の整数であり;
Cは、対イオンである。
【0021】
前記化学式1において、金属は、リガンド(Lx)と配位結合して錯体を形成できるものであれば、特に制限がない。その非制限的な例としては、Fe1+、Ni1+、Zn2+、Cum+、Mnn+、Al3+、Tin+、Crn+、Vn+、Mon+、Ru1+、Rhn+、Pdn+、Ag、Cdn+、Ren+、Osn+、Irn+、Ptn+、Aun+、Snn+、Pbn+、Wn+、又はこれらの組合せなどがある。このとき、l、m、nは、それぞれ2≦l≦3、1≦m≦2、1≦n≦7の整数である。
【0022】
リガンド(L)は、金属(M)と配位結合可能なものであれば、特に制限がない。これらの非制限的な例としては、フェナントロリン又はフェナントロリン誘導体;サリチル酸又はサリチル酸誘導体;ヒドロキシキノリン又はヒドロキシキノリン誘導体;2,2’−ジピリジル又は2,2’−ジピリジル誘導体;カテコール又はカテコール誘導体;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はエチレンジアミン四酢酸誘導体;アミノ酸又はアミノ酸誘導体;鎖長が1〜24(C〜C24)のアルキルアミン;ポリエチレンイミンなどのポリアミン;鎖長が1〜24(C〜C24)のアルキルカルボン酸、又はこれらの組合せなどがある。このとき、金属に配位されるリガンドは、それぞれ同種又は異種であり、1種以上リガンドを含むことができる。
【0023】
前述した金属(M)及びリガンド(L)が結合して形成される金属錯イオンの非制限的な例としては、[Fe(フェナントロリン)]p+、[Fe(サリチル酸)]q―、[Fe(ヒドロキシキノリン)]q―、[Fe(2,2’−ジピリジル)] p+、[Fe(カテコール)]q―、[Fe(EDTA)]q―、[Fe(グリシン)]q― 、[Co(フェナントロリン)]p+、[Co(フェナントロリン)]p+、[Co(サリチル酸)]q―、[Co(ヒドロキシキノリン)]q―、[Co(2,2’−ジピリジル)]p+、[Co(カテコール)]q―、[Co(EDTA)]q―、[Co(グリシン)]q―、[Cu(フェナントロリン)]p+、[Cu(サリチル酸)]q―、[Cu(ヒドロキシキノリン)]q―、[Cu(2,2’−ジピリジル)] p+、[Cu(カテコール)]q―、[Cu(EDTA)]q―、[Cu(グリシン)]q― 、[Ni(フェナントロリン)]p+、[Ni(サリチル酸)]q―、[Ni(ヒドロキシキノリン)]q―、[Ni(2,2’−ジピリジル)] p+、[Ni(カテコール)]q―、[Ni(EDTA)]q―、[Ni(グリシン)]q―、[Ru(フェナントロリン)]p+、[Ru(サリチル酸)]q―、[Ru(ヒドロキシキノリン)]q―、[Ru(2,2’−ジピリジル)]p+、[Ru(カテコール)]q―、[Ru(EDTA)]q―、[Ru(グリシン)] q―、[Al(ヒドロキシキノリン)]3+などがある。このとき、p、qは、それぞれ0≦p≦3、0≦q≦5の整数である。
【0024】
前記金属錯イオンと結合する対イオンは、金属錯イオンの電荷中性条件を満足させる物質が用いられる。使用可能な対イオンの非制限的な例としては、鎖長が1〜24(C〜C24)のアルキルスルホン酸又はアリールスルホン酸誘導体;ポリスチレンスルホン酸のような高分子スルホン酸;鎖長が1〜24(C〜C24)のアルキル基を含むテトラアルキルアンモニウムイオン;鎖長が1〜24(C〜C24)のアルキル基を含むイミダゾリウム(imidazolium)イオン;BF、PF、(CFSO)などのフッ素系陰イオンなどがある。その他、金属錯イオンの電荷中性条件を満足させるイオンも、本発明の均等範囲に属する。
【0025】
本発明の金属錯体のうち、中心金属を除いたリガンド(L)、対イオン(C)又はこれらの全部は、CNTと未結合の状態で存在したり、或いは、中心金属(M)イオンに結合されたままCNTと弱いπ−πスタッキング相互作用をしたりする。このとき、前述したリガンド(L)、対イオン(C)又はこれらの全部は、使用したい溶媒又は分散媒と同じタイプ(同一系列)の親和的な物性を持つように調節すれば、CNTの分散性を有意に増大させることができる。
【0026】
金属錯体のうち、リガンド、対イオン又はこれらの全部は、使用したい分散媒が有する極性又は非極性と同じタイプ(同一系列)の極性又は非極性作用基を1種以上含むことが好ましい。このとき、極性又は非極性作用基は、公知の任意の極性基又は非極性基を意味するもので、特に制限されない。例えば、非極性作用基は炭化水素類からなる作用基を意味し、極性作用基はヒドロキシル基、カルボキシ基などを含む。
【0027】
前述したように構成される本発明の金属錯体は、CNTが分散された分散液に添加及び混合されることで、優れた分散性を付与し得る。このとき、金属錯体の使用比率は、CNTの特性変化及び分散性程度に基づいて適切に調節できる。一例としては、CNT100重量部に対し、0.01〜2000重量部の範囲であり得る。
【0028】
このように、CNT分散液に金属錯体が導入される場合、CNT及び金属錯体は、相互間に物理的及び/又は化学的に結合され、新規複合体(novel composite compound)を形成する。
【0029】
このような新規複合体は、CNT及び金属錯体が連結している従来の複合体、詳しくは、表面の一部に極性基が人為的に付与されたCNTを用い、CNTの極性基及び金属錯体のリガンドが互いに共有結合されて形成された従来の複合体と、構造及び物性の面において異なる。
【0030】
すなわち、CNT用分散剤は、前述したように、一方でCNTと強く結合し、他方で分散媒と同じタイプ(同一系列)の作用基を有するとき、分散媒内でCNTの分散性を向上させることができる。しかしながら、従来の複合体は、CNTと結合する構成要素が金属でなくリガンド(L)である。このようなリガンド(L)は、CNTと結合する作用基として作用するだけで、溶媒親和性作用基として作用できないため、極性又は非極性作用基が導入されたリガンドを使用しても、CNTの分散性の向上はそれ自体が困難であった。また、従来技術では、金属配位錯体内のリガンドと共有結合させるために、CNTの外部表面に酸素部位(moiety)を人為的に形成させる酸化工程がさらに要求された。
【0031】
これに比べ、本発明の新規複合体は、CNT及び金属錯体の金属が直接結合により連結しており、リガンドは金属に配位されたままCNTと結合していないか、或いは、金属に配位された状態でπ−πスタッキングによりCNTと弱く結合される構造的特徴を示す(図1参照)。
【0032】
このとき、リガンド及び/又は対イオンは、CNTと結合していないか、或いは弱い結合状態で存在しているため、分散媒とよく混和される同じタイプ(同一系列)の極性又は非極性作用基を少なくとも1種以上含むようにすることで、分散性を自由に調節できる。
【0033】
また、本発明の金属錯体は、CNTと結合する金属、分散媒と同じタイプ(同一系列)の物性を持つリガンド、対イオンなどを構成要素として各々含むが、これらがCNTとの共有結合を形成しないため、CNTのπ−電子ネットワークを破壊しない。これにより、CNTの変形なしにCNT固有の物性をそのまま発揮できる。
【0034】
さらに、本発明では、複合体の形成時、追加工程が要求されず、金属錯体とCNTの結合によりCNTを正電荷に帯電させるので、これら間の静電気的な反撥力によりCNTバンドル(束)を容易に解くことができる。
【0035】
結果として、本発明の新規複合体は、CNT及び金属錯体内の金属のπ−πスタッキング及び部分的な電荷移動によるCNTとの強い結合を形成することで、物理的安全性が図られる。また、特定の電荷状態に帯電された複合体は、CNTバンドルを容易に解くことができると同時に、分散媒と同じタイプ(同一系列)の極性又は非極性部位が導入されたリガンド及び/又は対イオンを使用することで、CNTの分散性をより有意に向上させることができる(図3参照)。
【0036】
前述した金属錯体と複合体を形成できるCNTは、公知の任意のCNTを特別な制限なしに使用可能である。その非制限的な例としては、単層炭素ナノチューブ(SWNT)、二層炭素ナノチューブ(DWNT)、多層炭素ナノチューブ(MWNT)、バンドル型炭素ナノチューブ又はこれらの混合物であり得る。
【0037】
上記のように、金属錯体がCNT分散液の分散剤として導入される場合、金属錯体は酸の添加により除去できる。このとき、酸は、公知の任意の酸から選択して用いられ、成分及びその使用量等は特に制限がない。
【0038】
本発明は、前述した金属錯体を含む分散剤、CNT及び分散媒を含むCNT組成物を提供する。
【0039】
このとき、前記組成物の組成比は特に制限がない。その一例としては、全組成物100重量部に対し、CNT0.001〜30重量部、分散剤0.001〜50重量部、全体を100重量部にするための残量の範囲の分散媒であり得る。例えば、分散媒は、20〜99.99重量部であり得る。
【0040】
このとき、分散媒は、公知の任意の溶媒及び/又は分散媒が用いられる。その非制限的な例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなどのグリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類;ジメチルスルホキシドなどのヒドロキシルエステル類;アニリン(aniline)、N−メチルアニリンなどのアニリン類;ヘキサン、テルピネオール、クロロホルム、トルエン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。
【0041】
CNT組成物は、バインダ、有機添加剤又はその他の通常の添加剤をさらに含むことができる。
【0042】
本発明のCNT組成物は、CNT自体の特性を損なわず、CNTを分散媒によく分散させることができ、凝集又は分離が発生しないため、優れた分散安全性を示すことができる。
【0043】
特に、本発明では、金属錯体を含むCNT用分散剤の使用時、金属錯体に含まれるリガンド及び/又は対イオンの物性を調節して、CNTの分散性を調節できる。
【0044】
リガンド及び/又は対イオンは、使用したい分散媒と同じタイプ(同一系列)の親和的な極性又は非極性作用基を含むものであり得る。例えば、CNT分散媒が極性溶媒である場合、通常の極性基を一つ以上含むリガンド及び/又は対イオンを使用すれば、CNTの分散性を増大させることができる。これに対し、分散媒が非極性溶媒である場合、炭化水素類などのような非極性基を含むリガンド及び/又は対イオンを用いて、CNT分散性を自由に調節できる。
【0045】
本発明によりCNTの分散性を調節する方法は、下記の二つの実施形態によりなされるが、これに制限されるものではない。
【0046】
第一は、CNT、分散媒、金属錯体塩を混合するが、金属錯体塩として分散媒と同じタイプ(同一系列)の極性又は非極性作用基を有するリガンド及び/又は対イオンを含むものを使用する方法である。
【0047】
第二は、CNT、分散媒、金属錯体を混合した後、前記分散媒と同じタイプ(同一系列)の物性を持つ極性又は非極性作用基を有する他の分散性対イオン塩を添加して混合する方法である(図2参照)。
【0048】
添加された塩の対イオンの一部は、CNT−金属錯体複合体内の対イオンと交換され、このようなCNT−金属錯体−溶媒親和性対イオンとの複合体形成により、CNTの分散性を増大させることができる(実施例2参照)。このとき、金属錯体が分散媒と同じタイプ(同一系列)の極性又は非極性作用基を有するリガンドを含む場合、前述した効果は倍加され得る。
【0049】
また、結合された金属錯体の種類により、金属錯体から由来する触媒、光学的性質などの機能性をCNTに選択的に付与し得る。
【0050】
前述した第二の実施形態は、CNT分散剤として分散媒と同じタイプ(同一系列)の(非)極性作用基を含有する金属錯体のみを選択的に使用しなければならない限界性、このような金属錯体の高費用の問題などを同時に解決できるため、好ましい。
【0051】
前述したCNT組成物は、スピンコーティング、電気泳動蒸着、インクジェットプリンティング、キャスティング、噴霧、オフセットプリンティングなどの通常のコーティング方法により、導電性膜などを形成できる。
【0052】
また、本発明は、前述したCNT組成物を用いて製造された電気化学装置(電気化学デバイス)を提供する。
【0053】
電気化学装置は、CNTの優れた電気伝導性を必要とする装置であれば、特に制限がない。その非制限的な例としては、全ての種類の1次、2次電池、燃料電池、太陽電池、キャパシタ、電界放出ディスプレイ(FED)の電子銃又は電極、電界発光ディスプレイ、液晶ディスプレイなどの透明電極、有機電界発光素子を形成する発光材料、緩衝材料、電子輸送材料、正孔輸送材料などが挙げられる。
【0054】
実際に、本願発明では、CNT−金属錯体−対イオン複合体を含む伝導性ペーストを用いて、多様な電気化学装置に適用され得る伝導性配線を形成し、このような配線が優れた伝導性を示すことを確認した(図9参照)。
【発明の効果】
【0055】
本発明は、金属錯体を含むCNT用分散剤を提供する。金属錯体は、部分的な電荷移動及びπ−πスタッキングによりCNTと強く結合することで、CNTの表面の極性を増加させることができる。これにより、CNTバンドルが溶液によく分散できる。また、金属錯体内のリガンド及び対イオンを変形及び置換させる方法により、より容易にCNTの分散性を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の炭素ナノチューブ(CNT)−金属錯体−対イオン複合体を模式化した概念図である。
【図2】CNT−金属錯体−対イオン分散溶液の製造過程を示す概略図である。
【図3】CNT−金属錯体−対イオン複合体の分散過程を模式化した概念図である。
【図4】金属錯体の濃度変化によるCNT−フェロイン複合体水分散液の結合前後のUV−Visスペクトルである。
【図5】CNT−フェロイン複合体の結合溶液、上澄み液及び洗浄溶液の状態をそれぞれ示す写真である。
【図6】フェロインの濃度変化によるCNT(200mg)に結合されるフェロインの量(モル)の変化を示すグラフである。
【図7】PSS−Na対イオン分散剤を含むCNT−フェロイン複合体が分散された水分散液の写真である。
【図8】CNT−フェロイン複合体の結合方式を計算プログラムを用いて得たCNT−フェロイン複合体の仮想図である。
【図9】CNT−金属錯体−対イオン複合体から作った伝導性ペーストで印刷された伝導性配線の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0058】
〔実施例1〕
1−1.CNTの調製
CNTとして直径1〜2nm、長さ5〜20μmのSWNT(イルジンナノテック)90体積%を、15Mの濃硝酸で1時間還流した後、濾過し、中性のpHになるまで蒸溜水で数回洗浄してから、凍結乾燥して調製した。
【0059】
1−2.CNT−金属錯体の複合体の形成
さまざまな濃度のフェロイン([Fe(フェナントロリン)]SO)水溶液を10mlずつ調製した。前記実施例1−1で調製したSWNTを各溶液に200mgずつ混合し、30分間超音波処理して、複合体([Fe(フェナントロリン)]SO(フェロイン)−SWNT)を形成した。次に、前記各混合液を遠心分離して、固体及び上澄み液を分離した(図5参照)。
【0060】
1−3.伝導性ペーストの形成
前記実施例1−2で作られたフェロイン−SWNT複合体0.2g、エチルセルロース(アルドリッチ)0.6g、ブチルカルビトール(butylcarbitol)3gを混合した後、3−ロールミル(roll mill)を用いて伝導性ペーストを製造した。
【0061】
1−4.伝導性配線回路の形成
前記実施例1−3で製造されたフェロイン−SWNT複合体の伝導性ペーストをスクリーン印刷して、伝導性配線回路を製造した。このときに作られた伝導性配線回路は、300ohm/sqの伝導度を示した(図9参照)。
【0062】
〔実施例2〕
前記実施例1で得られたCNT−フェロイン複合体20mgを、PSS−Na(polystyrene sulfonate-Na)10%水溶液10mlに混合した後、超音波で30分間処理し、複合体([Fe(フェナントロリン)]SO−SWNT−PSSNa)を形成した。上記のように製造されたCNT−フェロイン−PSS複合体は、水溶液によく分散されることを確認できた(図7参照)。
【0063】
〔実施例3〕
3−1.CNT−金属錯体複合体の形成
前記実施例1のSWNTの代りに、平均直径5〜10nm、長さ5〜20μmのMWNT(ナノシェルNanocyl)を用いた以外は、前記実施例1と同様の方法により、MWNT−フェロイン複合体を形成した。
【0064】
3−2.伝導性ペーストの形成
前記実施例3−1で製造されたフェロイン−MWNT複合体0.2gを用いた以外は、前記実施例1−3と同様の方法により、伝導性ペーストを製造した。
【0065】
3−3.伝導性配線回路の形成
前記実施例3−2で製造されたフェロイン−MWNT複合体の伝導性ペーストをスクリーン印刷して、伝導性配線回路を製造した。このとき、製造された伝導性配線回路の伝導度は、500ohm/sqであった。
【0066】
〔実施例4〕
前記実施例3で得られたCNT−フェロイン複合体20mgを、PSS−Na 10%水溶液10mlに混合した後、超音波で30分間処理して、複合体([Fe(フェナントロリン)]SO−MWNT−PSSNa)を形成した。
【0067】
〔実施例5〕
ポリエチレンイミン(PEI、アルドリッチ;数平均分子量60,000)10wt%水溶液100mlにCuCl 5gを混合して、ポリエチレンイミン−Cu(PEI−Cu)錯体水溶液を作った。
製造されたPEI−Cu錯体水溶液100mlに、前記実施例1−1のSWNT200mgを混合して、30分間超音波処理して、複合体(PEI−Cu−SWNT)を形成した。
【0068】
〔実施例6〕
金属塩としてZn(OAc)を用いた以外は、前記実施例5と同様の方法により、複合体(PEI−Cu−SWNT)を形成した。
【0069】
〔実施例7〕
前記実施例1のSWNTの代りに、前記実施例3のMWNTを用いた以外は、前記実施例5と同様の方法により、複合体(PEI−Cu−MWNT)を形成した。
【0070】
〔実施例8〕
金属塩としてZn(OAc)を用いた以外は、前記実施例7と同様の方法により、複合体(PEI−Zn−MWNT)を形成した。
【0071】
〔比較例1〕
金属錯体を用いることなく、前記実施例1−1のCNT(SWNT)及びPSS−Na水溶液を用いた以外は、前記実施例1と同様の方法により遂行した。上記のように製造された分散液は、CNTが一部分散されてはいるが、本願の実施例2及び実施例4〜8の分散液に比べて、沈殿が共存して分散の程度が非常に低化することを確認できた。
【0072】
〔実験例1.CNT−金属錯体複合体の結合エネルギーのシミュレーション〕
本発明によるCNT−金属錯体複合体を計算学的に立証した。
CNT及び金属錯体、例えば、フェロイン間の結合エネルギー及び電荷移動量を計算するために、DFT(Density Functional Theory)機能の一つである PW92局所密度近似法[J.P.Perdew and Y.Wang, Phys.Rev.B, 45, 13244(1992)]を用いて、電子構造計算を行った。このとき、DNP(double numerical plus d-functions)ベーシスセット(basis set)が用いられた。ソルヴェント効果(Solvent effect)を描写するために、COSMO(COnductor-like Screening MOdel)法[F.L.Hirshfeld, Theor. Chim. Acta, 44, 129(1977)]を用い、電荷量はHirshfeld分析法[A.Klamt and G.Schuurmann, J.Chem.Soc., Perkin Trans. 2, 799(1993)]により測定された。全ての計算は、常用DFTプログラムであるDMol3[B.Delley, J.Chem.Phys., 92, 508(1990);B. Delley, J. Chem. Phys., 113、7756(2000)]を用いて行われた。
【0073】
CNTをモデリングするために、(6,6)アームチェア型単層ナノチューブを用い、末端の炭素は水素を結合させて安定化させた。結合前後の全ての構造を最適化し、その中の最も安定している形態を選択して図8に示した。フェロインがイオン化した状態を基準とする時(A)、CNT及び錯体と形成される時の結合エネルギーは、0.7eVとして非常に高い値を有する(D)。これは、塩を形成するSO2−負イオンとの結合エネルギ(0.1eV)よりも大きい値である(B)。フェロインのリガンドが分解される反応は非常に不安しているため、起こらないものと予想される(C)。したがって、水溶液中においてイオン化したフェロインは、リガンドが分解されないままCNTと安定している錯体を形成できると判断される。
【0074】
最も安定している錯体(D)の構造としては、2個のフェロインのリガンドであるフェナントロリン分子2個がCNTから約3.1Åの距離に位置するもので、このとき、リガンドのπ−オービタル及びCNTのπ−オービタル間に相互作用があることを、錯体のHOMO(highest occupied molecular orbital)を図示して確認した(E)。このとき、CNTからフェロインへの電荷移動量計算値は、0.5eである(図8参照)。これは、CNT及び金属イオン間に配位結合に相応する結合が存在することを意味するものである。
【0075】
前述した結果からみれば、本発明のCNT−金属錯体は、部分的な電荷移動(charge transfer;CT)により、高い結合エネルギーで結合されていることを類推できる。
【0076】
〔実験例2.複合体の定量〕
実施例1の上澄み液及び混合前の水溶液を各々UV−Visスペクトルで測定した後、510nmでの吸光度から溶液内に存在するフェロインの量を定量した。また、これから、SWNTの表面に結合したフェロインの量を測定した(図4参照)。このとき、5番の実験は、UV−Vis吸光度の有効測定範囲を超えたため、1/2に希釈して測定した。したがって、図4の曲線5で表される吸光度は、前記の測定値を2倍に換算した吸光度である。
【0077】
一方、表1は、フェロインの濃度変化によるCNT(200mg)に結合されるフェロインの量(モル)の変化を定量するために測定した反応前後の510nmでの吸光度データである。
【0078】
実験の結果、フェロインの量の増加により、SWNTの表面に結合されるフェロインの量がしだいに飽和されていくことを観察できた(図6及び表1参照)。
【0079】
また、遠心分離の後に得られたCNT−金属錯体複合体を水溶液で数回洗浄したが、洗浄溶液にフェロインが存在していないことから、フェロインがCNTの表面に非常に強く結合されていることを確認できた(図5参照)。
【0080】
【表1】

【0081】
なお、本発明の詳細な説明では具体的な実施例について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様な変形・実施が可能である。よって、本発明の範囲は、前述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炭素ナノチューブ(CNT);及び、
(b)中心金属上に1種以上のリガンドが配位された金属錯体が、物理的及び化学的結合することにより形成された複合体であって、前記炭素ナノチューブが、金属錯体内の金属と直接的に結合して連結していることを特徴とする、複合体。
【請求項2】
前記リガンドが、前記中心金属に結合されたまま炭素ナノチューブとπ−πスタッキング相互作用をしているか、或いは、炭素ナノチューブと直接的に結合しないで存在していることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記炭素ナノチューブ及び金属錯体が、部分的な電荷移動及びπ−πスタッキングにより結合されることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記金属錯体が、
(i)中心金属に1種以上のリガンド(L)が1≦n≦8の範囲で化学結合された錯イオン;及び、
(ii)前記錯イオンの電荷中性条件を満足させる対イオン、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記金属錯体を構成する金属が、Fe1+、Ni1+、Zn2+、Cum+、Mnn+、Al3+、Tin+、Crn+、Vn+、Mon+、Ru1+、Rhn+、Pdn+、Ag、Cdn+、Ren+、Osn+、Irn+、Ptn+、Aun+、Snn+、Pbn+、Wn+からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の複合体(このとき、l、m、nは、それぞれ2≦l≦3、1≦m≦2、1≦n≦7の整数である)。
【請求項6】
前記リガンドが、フェナントロリン、サリチル酸、ヒドロキシキノリン、2,2’−ジピリジル、カテコール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アミノ酸、ポリアミン、C〜C24のアルキルアミン及びC〜C24のアルキルカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
前記対イオンが、C〜C24のアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸誘導体、ポリスチレンスルホン酸、C〜C24のアルキル基を含むテトラアルキルアンモニウムイオン、C〜C24のアルキル基を含むイミダゾリウムイオン、BF、PF及び(CFSO)からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の複合体。
【請求項8】
炭素ナノチューブが、単層炭素ナノチューブ(SWNT)、二層炭素ナノチューブ(DWNT)、多層炭素ナノチューブ(MWNT)及びバンドル型炭素ナノチューブからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
【請求項9】
(i)中心金属に1種以上のリガンド(L)が1≦n≦8の範囲で化学結合された錯イオン;及び、
(ii) 前記錯イオンの電荷中性条件を満足させる対イオン、を含む金属錯体を含有することを特徴とする、炭素ナノチューブ用分散剤。
【請求項10】
前記リガンド、対イオン、又はこれらの全部が、炭素ナノチューブを分散させる分散媒が有する極性又は非極性と同一の極性又は非極性作用基を含むことを特徴とする、請求項9に記載の炭素ナノチューブ用分散剤。
【請求項11】
前記金属錯体が、炭素ナノチューブと物理的及び化学的結合して、炭素ナノチューブを正電荷に帯電させることを特徴とする、請求項9に記載の炭素ナノチューブ用分散剤。
【請求項12】
前記金属錯体の使用比率が、炭素ナノチューブ100重量部に対し、0.01〜2000重量部であることを特徴とする、請求項9に記載の炭素ナノチューブ用分散剤。
【請求項13】
(a)金属錯体が、中心金属に1種以上のリガンドが化学結合された錯イオン及び対イオンを含む金属錯体である、請求項9〜請求項12の何れか1項に記載の分散剤;
(b)炭素ナノチューブ;及び、
(c)分散媒を含むことを特徴とする、炭素ナノチューブ組成物。
【請求項14】
前記組成物が、全体組成物100重量部に対し、炭素ナノチューブ0.001〜30重量部、分散剤0.001〜50重量部及び分散媒20〜99.99重量部を含むことを特徴とする、請求項13に記載の炭素ナノチューブ組成物。
【請求項15】
(i) 前記リガンド、対イオン又はこれらの全部が、分散媒が有する極性又は非極性と同一の極性又は非極性作用基を含むか、又は、
(ii)前記分散媒が有する極性又は非極性と同一の極性又は非極性作用基を有する対イオン塩を炭素ナノチューブ組成物にさらに添加及び混合して、
炭素ナノチューブの分散性が向上されていることを特徴とする、請求項13に記載の炭素ナノチューブ組成物。
【請求項16】
前記組成物が、分散媒が有する極性又は非極性と同一の極性又は非極性作用基を含むリガンド及び対イオン塩を同時に使用するものであることを特徴とする、請求項15に記載の炭素ナノチューブ組成物。
【請求項17】
請求項13の炭素ナノチューブ組成物を用いて製造された電極、導電性膜、発光材料、緩衝材料、電子輸送材料及び正孔輸送材料からなる群より選ばれる1種以上を含むことを特徴とする、電気化学装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−523452(P2010−523452A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502036(P2010−502036)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003052
【国際公開番号】WO2008/147137
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】