説明

金属錯体を含む電子素子

本発明は、式(1)の金属錯体を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子と好ましい金属錯体に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属錯体を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子とその使用のために好ましい金属錯体に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、ますます、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体となっている(M.A.aldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、エネルギーとパワー効率における4倍までの増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、三重項発光を示すOLEDにおいて、改善に対する必要性が未だ存在する。このように、効率、駆動電圧および寿命に関して燐光OLEDの物理的特性は、高品質で長寿命のエレクトロルミネセンス素子での三重項エミッターの使用のためには未だ不適切である。これは、比較的短い波長範囲で、たとえば、緑色、特に、青色で発光するOLEDに、特に、あてはまる。それゆえに、工業用途での技術的要請を満足する青色発光三重項エミッターは、これまでは知られていない。
【0003】
先行技術にしたがうと、燐光発光OLEDに使用される三重項エミッターは、特に、イリジウムおよび白金錯体である。しかしながら、これらは、含まれる金属が非常に低い存在量であり、そのため、対応して高価でもある。これら金属の天然資源を保護するために、他の金属を基礎とする入手可能なエミッターを有することが、それゆえ望ましい。通常使用されるイリジウムおよび白金錯体のさらなる欠点は、それらが、通常、金属-炭素結合を有する有機金属錯体であるということである。この型の金属-炭素結合は、いくつかの場合では、合成的な困難性をもって入手可能なだけである。さらに、これらの錯体は、いくつかの場合では、低い熱的安定性を有するだけである。
【0004】
したがって、本発明の目的は、エミッターとして、マトリックス材料として、または、OLEDで使用のための他の機能において適しており、そのため、高い効率と長い寿命をもたらす、簡単に合成的に入手可能な金属錯体の提供である。
【0005】
驚くべきことに、以下に、より詳細に説明されるある種の金属キレート錯体が、この目的を達成し、有機エレクトロルミネセンス素子での使用、特に、発光材料としての使用に関して非常にきわめて適していることが見出された。それらは、長い寿命、高い効率と良好な加熱安定性を示す。さらに、これら錯体の中心原子は、希土類金属であるイリジウムではない。これらの錯体のさらなる優位性は、それらが、簡単に合成的に入手可能ことである。そこで、本発明は、これら金属錯体を含む有機エレクトロルミネセンス素子と好ましい金属錯体に関する。
【0006】
したがって、本発明は、アノード、カソードと少なくとも一つの、式(2)のリガンドLに配位する金属Mを含む、式(1)の化合物を含む電子素子に関する。
【化1】

【化2】

【0007】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Mは、Cu、Ag、Au、Zn、Sn、Pb、Ni、PdまたはPtであり;
Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、P、PR、P(=O)、As、AsR、As(=O)、Sb、SbR、Sb(=O)およびSより成る群から選ばれるか、または、3〜6個の環原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環状基であって、随意に基Yを介して、部分リガンドL1、L2およびL3と互いに共有結合し、1以上の基Rにより置換されてよく;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、AsR、As(=O)R、SbR、Sb(=O)R、O、S、1,2-ビニレンまたは1,2-あるいは1,3-フェニレンから選ばれる二価基であって、夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく;
aは、0または1であり;
bは、1、2または3であり、ここで、b=2または3に対して、添え字aは、1であり;
L1は、1以上の基Rにより置換されてよく、夫々ヘテロ環の部分である中性もしくはアニオン性窒素原子または中性炭素原子を介してMに結合する1〜20個のC原子と少なくとも一つのN原子を有するヘテロ環状基であるか;または、1以上の基Rにより置換されてよく、環外ドナー原子を介してMに結合する1〜20個のC原子を有する環状基もしくはヘテロ環状基であり;
L2、L3は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよく、窒素、燐、硫黄または中性炭素原子を介してMに結合する配位基であって、ここで、L2および/またはL3は、同一であるか異なり、L1であってもよく;
L4は、1以上の基Rにより置換されてよい、金属Mに配位する任意の所望のリガンドであり;ここで、L4は、直接結合または二価基-(Y)-によって、一以上の部分リガンドL1、L2および/またはL3に結合してもよく;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、OH、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ基、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、1以上の基Rで置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、OH、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキ、ヘテロアリールオキシ基、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、または1以上の基Rで置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、Fまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。
【0008】
式(2)のリガンド中の本発明の意味での部分リガンドは、基L1、L2およびL3を意味する、すなわち、各場合に、ポリポダルリガンドの個々のアームは、夫々金属Mに配位し、ブリッジヘッドVを介しておよび随意にYを介して結合することを意味するものと解される。
【0009】
式(1)の構造において、添え字b=2または3は、各場合に2または3個の金属錯体単位が、リガンドL4を介して結合することを意味する。ついで、リガンドL4は、対応して、2または3個の金属Mに同時に結合する。
【0010】
本発明の意味でのドナー原子は、少なくとも一つの遊離電子対を有し、それゆえ、金属原子または金属イオンに結合することができる原子を意味するものと解される。ここで、ドナー原子は、中性か、または負に荷電していてよい。
【0011】
本発明の意味での環外ドナー原子は、環状基もしくはヘテロ環状基L1の部分ではないが、置換基としてL1に結合し、少なくとも一つの遊離電子対を有し、したがって、金属原子または金属イオンに結合することができるドナー原子を意味するものと解される。環外ドナー原子の例は、フェノレートの形態の酸素、チオレートの形態の硫黄、アミン、イミン、アミドまたはイミドの形態の窒素、ホスフィンの形態の燐である。
【0012】
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個のC原子を含み;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。本発明の意味での環状カルベンは、中性のC原子を介して金属に結合する環状基である。ここで環状基は、飽和あるいは不飽和であってよい。ここで好ましいのは、アルジュンゴカルベン、すなわち、二個の窒素原子が、カルベンC原子に結合するカルベンである。
【0013】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜60個のC原子を環構造中に含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp混成のC、NあるいはO原子のような非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により中断されていてもよい構造を意味するものと解される。したがって、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、本発明の意味での芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されてもおり、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖もしくは環状アルキル基またはシリル基により中断される構造も同様である。
【0014】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、上記した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオ-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2,2,2-トリフルオロエチルを意味するものと解される。アルケニル基は、好ましくは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルおよびシクロオクテニルを意味するものと解される。アルキニル基は、好ましくは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルあるいはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基Rにより置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解される。
【0015】
式(1)の金属錯体は、リガンドL4が部分リガンドL1、L2およびL3に結合するか否かにかかわらず、ポリポダルリガンドまたはクリプテートの錯体であり得る。本発明の意味でのポリポダルリガンドは、三個の配位部分リガンドL1、L2およびL3が、基Vを介して互いに結合するリガンドを意味するものと解される。したがって、リガンドLは、さらなるリガンドL4が結合しないか、または、リガンドL4が、部分リガンドL1、L2またはL3の一つに結合するだけであるならば、ポリポダルリガンドである。本発明の意味でのクリプテートは、金属イオンが、錯体を形成するクリプタンドのブリッジにより三次元的に包囲される、クリプタンドと金属イオンの化合物を意味するものと解される。本発明の意味でのクリプタンドは、巨大環状三座リガンドを意味するものと解される。ここで、クリプタンドは、リガンドL4が二または三個の部分リガンドL1、L2および/またはL3に結合するならば、生じることができる。
【0016】
さらに、式(1)の金属錯体中の基Vは、基Vが自由電子対を有するならば、すなわち、たとえば、NまたはPであるならば、Mに配位してもよい。
【0017】
本発明の好ましい具体例では、a=0で、基VはMに配位する。本発明のさらに好ましい具体例では、a=1、すなわち、一個のリガンドL4が存在し、VはMに配位しない。上記に定義したとおり、部分リガンドL1は、中性またはアニオン性窒素原子を介して、もしくは、中性炭素原子を介してMに結合する少なくとも一つのN原子を含み、夫々は、ヘテロ環状基の一部であるか、または、それは、Mに結合する環外ドナー電子を有する環状もしくはヘテロ環状基である。中性炭素原子を介する結合は、カルベンの形態で可能である。ここで、環状もしくはヘテロ環状基は、少なくとも5個で最大20個の環原子を有する。それは、縮合基、すなわち、複数の環が共通の端を介して互いに結合する基である。基L1は、飽和、不飽和芳香族もしくは複素環式芳香族であってよい。本発明の好ましい具体例では、L1は、ヘテロアリール基または環外ドナー電子もしくは環状飽和あるいは不飽和カルベンを有するアリールもしくはヘテロアリール基である。本発明の、特に、好ましい具体例では、アリールもしくはヘテロアリール基は、5個〜14個の芳香族環原子、非常に、特に、好ましくは、5個〜10個の芳香族環原子を有する。
【0018】
本発明の好ましい具体例では、添え字b=1である。
【0019】
式(1)の好ましい化合物は、荷電していない、すなわち、電気的に中性であることを特徴とする。これは、錯体金属イオンMの電荷を補償するように、部分リガンドL1、L2およびL3の電荷、リガンドL4の電荷と架橋単位Vの電荷を選択することにより達成される。
【0020】
式(1)のさらに好ましい化合物は、遷移金属であるならば、価電子すなわち金属原子周囲の最外殻の電子の合計が18であることを特徴とする。この選好は、これらの金属錯体の特別な安定性に基づく。
【0021】
金属Mは、上記に記載される金属であり、ここで、Cuは、好ましくは、Cu(I)の形態であり、Agは、好ましくは、Ag(I)の形態であり、Auは、好ましくは、Au(I)の形態であり、Znは、好ましくは、Zn(II)の形態であり、Snは、好ましくは、Sn(IV)の形態であり、Pbは、好ましくは、Pb(IV)の形態であり、Niは、好ましくは、Ni(0)の形態であり、Pdは、好ましくは、Pd(0)の形態であり、Ptは、好ましくは、Pt(0)の形態である。金属の後ろの括弧内の値は、各場合に、金属の酸化状態を示す。金属Mは、好ましくは、Cu(I)、Ag(I)、Ni(0)、Pd(0)およびPt(0)、特に、好ましくは、Cu(I)およびAg(I)、非常に、特に、好ましくは、Cu(I)より成る群から選ばれる。
【0022】
本発明の好ましい具体例では、L1は、式(3)〜(30)の基から選ばれる。
【化3−1】

【化3−2】

【0023】
式中、使用される記号と添え字は上記と同じ意味を有し、さらに;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり;
Dは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、NR、PR、NR、PR、COO、SO、-C(=O)R、-CR(=NR)または-N(=CR)である。
【0024】
式(3)〜(30)の基は、*により示される位置を介して金属Mに配位する。#で示される位置は、部分リガンドがYまたはVに結合する位置を示す。(#)で示される位置は、部分リガンドがYまたはL4に随意に結合する位置を示す。YまたはL4へのこの型のさらなる結合が存在するならば、対応する記号Xは、Cであり、式(7)、(8)、(9)、(21)および(23)中の基Rは、窒素へ結合しない。
【0025】
好ましくは、各基中の最大三個の記号Xは、Nであり、特に、好ましくは、各基中の最大二個の記号Xは、Nであり、非常に、特に、好ましくは、各基中の最大一個の記号Xは、Nである。特に、好ましくは、すべての記号Xは、Cである。
【0026】
L2とL3は、定義にしたがって、配位する基であり、1以上の基Rにより置換されてもよく、窒素、燐、硫黄、酸素もしくは中性炭素原子を介してMに結合し、ここで、L2とL3は、出現毎に同一であるか異なり、L1である。本発明の好ましい具体例では、L2とL3は、出現毎に同一であるか異なり、窒素、燐もしくは硫黄原子を介してMに結合する配位基であるか、または、同一であるか異なり、L1である。
【0027】
窒素を介してMに結合する好ましい配位基は、-NR、-NR、-CR=NRおよびN=C(Rより成る群から選ばれ、ここで、RとRは、上記と同じ意味を有する。RとRは、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜10個のC原子を有するアルキル基であり、アルキル基が基RもしくはRに結合するかどうかに依存して、一以上の基RとRで置換されてよい。
【0028】
燐を介してMに結合する好ましい配位基は、-PR、-PR(OR)およびP(OR)より成る群から選ばれ、ここで、Rは、上記と同じ意味を有する。Rは、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、一以上の基Rで置換されてよい芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0029】
硫黄を介してMに結合する好ましい配位基は、-Sまたは-SRより成る群から選ばれ、ここで、Rは、上記と同じ意味を有する。Rは、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、一以上の基Rで置換されてよい1〜10個のC原子を有するアルキル基または一以上の基Rで置換されてよい芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。
【0030】
特に、好ましい、式(1)の化合物は、L2が、出現毎に同一であるか異なり、L1であることを特徴とする。非常に、特に、好ましい、式(1)の化合物は、L2とL3が、出現毎に同一であるか異なり、L1であることを特徴とする。
【0031】
本発明のさらに好ましい具体例では、Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、OまたはS、特に、好ましくは、CR、SiR、NR、OまたはS、非常に、特に、好ましくは、CRから選ばれる二価基である。
【0032】
本発明のさらに好ましい具体例では、添え字nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2である。添え字nは、基VがMに配位しないならば、好ましくは、0または1、特に、0である。さらに、nは、基VがMに配位するならば、特に、好ましくは、1または2である。
【0033】
架橋単位Vは、中性あるいは単負荷電あるいは単正荷電であってよい。ここで、Vの電荷は、好ましくは、全体として中性錯体が生じるように、選ばれる。したがって、たとえば、中性架橋単位Vは、一価金属イオンMおよび三個の中性と一個の負荷電(部分)リガンドL1、L2、L3とL4の場合に好ましい。さらに、単負荷電架橋単位Vは、一価金属イオンMおよび四個の中性(部分)リガンドL1、L2、L3とL4の場合に好ましい。さらに、単正荷電架橋単位Vは、一価金属イオンMおよび二個の単負荷電と二個の中性(部分)リガンドL1、L2、L3とL4の場合に好ましい。対応する状況は、金属イオンが異なる価を有するならば、同じ状況が当てはまる。
【0034】
本発明のさらに好ましい具体例では、架橋単位Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、PまたはP(=O)より成る群から選ばれるか、または、Vは、式(31)〜(34)の環状基から選ばれる。
【化4】

【0035】
式中、破線の結合は、各場合に、部分リガンドL1、L2およびL3またはYへの結合を示し、Rは、上記に示される意味を有する。
【0036】
本発明の、特に、好ましい具体例では、架橋単位Vは、CR、N、PまたはP(=O)から選ばれるか、または、Vは、上記言及した式(31)〜(34)の一つの環状基である。
【0037】
本発明の、さらに、好ましい具体例では、L4は、一酸化炭素、一酸化窒素、たとえば、アセトニトリルのようなアルキルシアニド、たとえば、ベンゾニトリルのようなアリールシアニド、たとえば、メチルイソニトリルのようなアルキルイソシアニド、たとえば、ベンゾイソニトリルのようなアリールイソシアニド、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリンのようなアミン、たとえば、トリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンのようなホスフィン、特に、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンもしくはアルキルアリールホスフィン、たとえば、トリメチルホスフィット、トリエチルホスフィットのようなホスフィット、たとえば、トリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ-tert-ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルシンのようなアルシン、たとえば、トリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ-tert-ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンのようなスチビン、たとえば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンのようなヘテロ環含有窒素、カルベン、特に、アルジュンゴカルベン、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物F、Cl、Br、およびI、たとえば、メチル-C≡C、tert-ブチル-C≡Cのようなアルキルアセチリド、たとえば、フェニル-C≡Cのようなアリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、たとえば、メタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソプロパノレート、tert-ブチレート、フェノレートのような脂肪族もしくは芳香族アルコレート、たとえば、メタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、イソプロパンチオレート、tert-ブチルチオレート、チオフェノレートのような脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、たとえば、ジメチルアミド、ジエチルアミド、ジ-イソ-プロピルアミド、モルホリドのようなアミド、たとえば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸のようなカルボキシレートたとえば、ピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドのようなアニオン性窒素含有ヘテロ環から選択される。これらの基中のアルキル基は、好ましくは、C〜C20-アルキル基、特に、好ましくはC〜C10-アルキル基、非常に、特に、好ましくはC〜C-アルキル基である。アリール基は、ヘテロアリール基を意味するものとも解される。これらの基は、上記に定義されるとおりである。
【0038】
部分リガンドL4は、さらに、以下の式(35)〜(61)のリガンドである。
【化5−1】

【化5−2】

【0039】
式中、使用される記号と添え字は、上記に示される意味を有し、*は、金属Mに配位する位置を示す。(#)で示される位置は、L4が、随意に、-(Y)-を介して、部分リガンドL1、L2またはL3の一つに結合することができる位置を示す。YまたはL1、L2またはL3へのこの型の結合が存在するならば、対応する記号Xは、Cであり、式(38)、(39)、(40)および(55)中の基Rは、窒素に結合しない。
【0040】
式(1)の好ましい構造は、上記言及した選好が同時に生じる構造であり、以下の構造である。
【0041】
L1は、式(3)〜(30)の上記基から選ばれ;
L2、L3は、出現毎に同一であるか異なり、-NR、-NR、-N=C(R、-PR、-PR(OR)、P(OR)、-S、-SRおよびL1より成る基から選ばれ、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、OまたはSから選ばれる二価基であり;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、PまたはP(=O)から選ばれるか;または、Vは、上記式(31)〜(34)の一つの環状基であり;
L4は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、ホスフィット、アルシン、スチビン、中性もしくはアニオン性窒素含有ヘテロ環、カルベン、水素化物、重水素化物、F、Cl、Br、およびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレートまたは上記式(35)〜(61)のリガンドより成る基から選ばれ;
bは、1である。
【0042】
式(1)の、特に、好ましい構造は、以下の構造である:
L1は、式(3)〜(30)の上記基から選ばれ;
L2、L3は、出現毎に同一であるか異なり、L1であり;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、SiR、NR、OまたはSから選ばれる二価基であり;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり;
Vは、CR、CO、N、NR、PまたはP(=O)から選ばれ;または、Vは、上記式(31)〜(34)の基の一つの環状基であり;
L4は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、ホスフィット、アルシン、スチビン、中性もしくはアニオン性窒素含有ヘテロ環、カルベン、水素化物、重水素化物、F、Cl、Br、およびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレートまたは上記式(35)〜(61)のリガンドより成る基から選ばれ;
bは、1である。
【0043】
使用されるその他の記号と添え字は、各場合に、上記に示される意味を有する。
【0044】
本発明の好ましい具体例では、リガンドL4は、直接結合または基-(Y)-を介して少なくとも一つの部分リガンドL1、L2および/またはL3に結合する。したがって、リガンドLは、式(62)〜(66)の一つの構造を有し、ここで、使用される記号と添え字は、上記示される意味を有する。
【化6】

【0045】
式(1)の構造に対するのと同じ選好は、リガンドとして式(62)〜(66)の上記構造を含む錯体にあてはまる。
【0046】
式(62)または(63)の構造中の部分リガンドL4は、特に、好ましくは、同一であるか異なり、部分リガンドL1〜L3の上記定義として、または上記構造(35)〜(61)として定義される。
【0047】
式(64)または(65)の構造中の部分リガンドL4は、特に、好ましくは、-NR-、-N-、-PR-、-P(OR)-、-S-または以下の式(67)〜(90)の部分リガンドとして定義される。
【化7】

【0048】
ここで、使用される記号は上記と同じ意味を有する。#で示される位置は、部分リガンドL4が、随意に-(Y)-を介して二個の部分リガンドL1、L2またはL3に結合する位置を示す。
【0049】
式(66)の構造中の部分リガンドL4は、特に、好ましくは、NまたはPである。
【0050】
さらに好ましい式(1)の化合物または式(62)〜(66)のリガンドを含む錯体または上記好ましい具体例において、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、OもしくはSで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造または1以上の基Rで置換されてよい10〜20個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、またはこれらの基の組み合わせであり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよい。これらの化合物中の記号Rは、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜4個のC原子を有する分岐アルキル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に1以上の基Rで置換されてよい6〜10個の芳香族環原子を有するアリール基もしくは12〜18個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよい。
【0051】
さらに好ましいのは、対称化合物であり、特に、部分リガンドL1とL2が同一であって、同一にも置換された化合物または部分リガンドL1、L2およびL3が同一であって、同一にも置換された化合物である。
【0052】
式(1)の化合物または式(62)〜(66)のリガンドを含む錯体または上記好ましい具体例は、原則として、種々の方法で調製することができるが、以下に記載されるプロセスが特に適していることが判明した。
【0053】
したがって、本発明は、さらに、式(2)のリガンドLの、対応する金属Mの金属塩または金属錯体との反応による式(1)の錯体の製造方法に関する。出発物質として使用することができる適切な銅化合物の例は、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Cu(OAc)、Cu(CO)またはCu(CHCN)PFである。出発物質として使用することができる適切な金化合物の例は、AuHal・SRであり、ここでHalはハロゲンであり、Rは1〜5個のC原子を有するアルキル基である。
【0054】
合成は、熱的、光化学的またはマイクロウェーブ照射により活性化することもできる。これらのプロセスは、高純度で、好ましくは、H−NMRまたはHPLCによる99%超の純度で得ることができる。
【0055】
式(1)の化合物の例は以下に示される化合物である。これらの錯体は、特に、上記説明した合成方法により調製することができる。
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【化8−4】

【化8−5】

【化8−6】

【化8−7】

【0056】
上記錯体は、本発明にしたがって、有機エレクトロルミネッセンス素子(=有機発光ダイオード、OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)等の電子素子中で活性成分として使用される。
【0057】
活性成分は、たとえば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷障壁材料であり、特に、発光材料およびマトリックス材料である。式(1)の化合物または上記好ましい具体例は、以下により詳細に説明するように、これらの機能に対して、特に、発光材料として、特に、良好な特性を示す。
【0058】
したがって、本発明の好ましい具体例では、電子素子は、一以上の式(1)の化合物を含む有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれ、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)である。有機エレクトロルミネセンス素子は、一以上の式(1)の化合物または上記好ましい具体例を含む。
【0059】
有機エレクトロルミネセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層、電子障壁層および/または電荷生成層である。たとえば、励起子障壁機能を有する中間層も、同様に二個の発光層の間に導入されることも可能である。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在する必要がないことに留意する必要がある。
【0060】
本発明の好ましい具体例では、式(1)の化合物または上記好ましい具体例は、発光層中で発光化合物として使用される。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を有し、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの式(1)の化合物または上記好ましい具体例を含む。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発することができる種々の発光化合物が発光層中で使用される。特に、好ましいのは、その3層(3個の発光層)は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 05/011013参照。)ものである。
【0061】
式(1)の化合物または上記好ましい具体例が、発光層中で発光化合物として使用されるならば、好ましくは、一以上のマトリックス材料と併用して使用される。式(1)の化合物または上記好ましい具体例とマトリックス材料を含む混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全体としての混合物を基礎として、式(1)の化合物または上記好ましい具体例を1〜99重量%、好ましくは、2〜90重量%、特に、好ましくは、3〜40重量%、特に、5〜15重量%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全体としての混合物を基礎として、マトリックス材料を99〜1重量%、好ましくは、98〜10重量%、特に、好ましくは、97〜60重量%、特に、95〜85重量%含む。
【0062】
個々にまたは二以上のこれら材料の混合物として使用することのできる本発明による化合物のために適切なマトリックス材料は、たとえば、WO04/013080、WO04/093207、WO06/005627もしくはWO2010/006680にしたがうケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホンであり、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはWO05/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO08/086851開示されたカルバゾール誘導体、たとえば、未公開出願DE102009023155.2およびDE 102009031021.5にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール、たとえば、WO 07/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO05/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 06/117052にしたがうアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、WO 07/063754、WO 08/056746もしくは未公開出願DE102009048791.3にしたがうトリアジン誘導体、EP652273もしくはWO09/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザ-あるいはテトラアザシロール誘導体または、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体である。
【0063】
二以上のルミネッセンス金属錯体を使用することもでき、ここで、より短い波長で発光する金属錯体は、より長い波長で発光する金属錯体のためのコホスト材料として機能する。
【0064】
たとえば、未公開出願DE102009014513.3にしたがう電荷輸送に包含されないホスト材料と一緒に電荷輸送ホスト材料を使用することも、さらに好ましい。
【0065】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(1)の化合物または上記好ましい具体例は、発光層中で発光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含み、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの式(1)の化合物または上記好ましい具体例をマトリックス材料として含む。複数の発光層が存在するならば、上記はそれらにあてはまる。式(1)の化合物または上記好ましい具体例が、発光層中で発光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、それは、好ましくは、一以上の蛍光もしくは燐光材料と組み合わせて使用される。
【0066】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(1)の化合物または上記好ましい具体例は、正孔障壁層中で正孔障壁材料としておよび/または電子輸送層中で電子輸送材料として使用される。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であってよい。
【0067】
本発明のさらに好ましい具体例では、式(1)の化合物または上記好ましい具体例は、正孔輸送層中で正孔輸送材料としておよび/または電子障壁層中で電子障壁材料として使用される。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であってよい。
【0068】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、通常、10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中での気相堆積により適用されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、より低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0069】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用されることを特徴とする。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、それにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0070】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)あるいはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。たとえば、適切な置換により得られる可溶性の化合物が、この目的のためには必要である。
【0071】
たとえば、1以上の層を溶液から適用し、また、1以上の他の層を気相堆積により適用することによるハイブリッドシステムも同様に可能である。したがって、発光層を溶液から適用し、電子輸送層を上に真空気相堆積により適用することもできる。
【0072】
これらのプロセスは当業者に一般的に知られており、当業者により問題なく、式(1)の化合物または上記好ましい具体例を含む電子素子に適用することができる。
【0073】
リガンドL4が、少なくとも一つの部分リガンドL1、L2および/またはL3に結合する上記好ましい化合物、すなわち、式(62)〜(66)のリガンドを含む錯体は、新規であり、それゆえに、本発明のさらなる主題である。
【0074】
したがって、本発明は、さらに、リガンドL‘に配位した金属Mを含む式ML‘の化合物に関し、リガンドL‘は、式(62)〜(66)の一つであり、夫々の部分リガンドL1、L2、L3およびL4が、Mに配位する。
【化9】

【0075】
式中、使用される記号と添え字は、上記に示される意味を有する。ここで、好ましい具体例は、既に上で言及された本発明の具体例である。
【0076】
したがって、本発明は、電子素子中で、式(62)〜(66)の一つのリガンドを含む化合物ML‘の使用に関する。
【0077】
本発明の有機電子素子と本発明の化合物は、先行技術を凌駕する以下の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0078】
1.昇華時に部分的あるいは完全な熱分解を受ける先行技術にしたがう多くの金属錯体とは対照的に、本発明の化合物は、高い熱安定性を有する。
【0079】
2.式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子は、発光材料として、長い寿命を有する。
【0080】
3.有機エレクトロルミネセンス素子での使用に関して、長い寿命を有する青色ルミネセンス錯体が入手可能である。青色ルミネセンス金属錯体は、これまでは、不充分な色座標と、特に、不充分な寿命を伴ってのみ入手可能であったことから、これは、先行技術を凌駕する顕著な進歩である。
【0081】
4.本発明による化合物は、有機エレクトロルミネセンス素子中で使用されると、高い効率と急峻な電流/電圧曲線をもたらす。
【0082】
5.式(1)の化合物は、希少金属イリジウムを基礎としておらず、この金属の資源保存に貢献する。
【0083】
6.錯体は、オルト金属化錯体ではないことから、式(1)の錯体または上記好ましい具体例は、簡単に、高い収率でかつ高い純度で合成により入手可能である。
【0084】
上記した優位性は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0085】
本発明は、次の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、説明に基づいて、本発明による更なる化合物を合成し、これらを電子素子に使用することができ、開示された範囲全体にわたって本発明を実施することができるだろう。
【0086】
例:
以下の合成は、他に断らない限り、無水溶媒中で、保護ガス雰囲気下で行われる。溶媒と試薬は、アルドリッチ(ALDRICH)またはABCRから購入することができる。文献から知られた出発材料に対して以下に示された番号は、これら化合物のCAS番号である。
【0087】
例1:Cu錯体1
【化10】

【0088】
A):トリス(6-フェニルピリジン-2-イル)フルオロメタン
【化11】

【0089】
809mg(4ミリモル)のトリス-tert-ブチルホスフィンと、ついで、674mg(3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、1000mlのTHF中の50.2g(100ミリモル)のトリス(6-ブロモピリジン-2-イル)フルオロメタン[760177-68-2]、61.0g(500ミリモル)のフェニルボロン酸、58.1g(1モル)のフッ化カリウム無水物の混合物に添加され、混合物は、引き続き、還流下、5時間撹拌される。冷却後、300mlの水が反応混合物に添加され、水性相が分離され、有機相は、セライトでろ過され、蒸発乾固される。こうして得られた固形物は、エタノール(約200ml)を添加したクロロホルム(約50ml)から二度再結晶化される。収率:38.5g(78ミリモル)、78%、H-NMRによる純度99.0%。
【0090】
B):Cu錯体1
50mlのTHF中の4.9g(10ミリモル)のトリス(6-フェニルピリジン-2-イル)、1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物が、60℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、20mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。収率:3.9g(6.6ミリモル)、66%、H-NMRによる純度99.5%。
【0091】
以下の化合物が、対応するCu塩を使用して同様に得られる(表)。
【化12】

【0092】
例1:Cu錯体7
【化13】

【0093】
A):(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メタノール
【化14】

【0094】
40.0ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(2.5N)が、150mlのジエチルエーテル中の26.1g(110ミリモル)の2,6-ブロモピリジンの−78℃に冷却された懸濁液に滴下され、混合物は、黄色固形物が生成するまで、−78℃で撹拌される。この溶液は、200mlのジエチルエーテルで滴下希釈され、次いで、80mlのTHF中の23.3g(110ミリモル)のビス(6-メチル-2-ピリジニル)メタノン溶液が、激しく撹拌されながら、一部添加される。0℃まで暖められた後、50mlの水と6mlの氷酢酸の混合物が滴下され、沈殿した固形物は、次いで、吸引ろ過され、25mlのジエチルエーテルで一度、25mlのエタノールで一度洗浄され、真空蒸発される。収率:17.8g(48ミリモル)、48%、H-NMRによる純度98%。
【0095】
B):(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メトキシメタン
【化15】

【0096】
50mlのDMF中の18.5g(50ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メタノールが、50mlのDMF中の1.4g(60ミリモル)の水素化ナトリウムの懸濁液に40℃で添加され、混合物は、さらに30分間撹拌される。8.5g(60ミリモル)のヨウ化メチルと10mlのDMFの混合物が、次いで、添加され、混合物は、室温でさらに20時間撹拌され、5mlのエタノールが滴下され、混合物は、500mlのジクロロメタンで希釈され、有機相は、300mlの水でその度毎に5度洗浄され、有機相は、硫酸マグネシウムで乾燥され、次いで、溶媒が真空中で完全にストリップされる。残留物は、少量の酢酸エチル添加によりエタノールから再結晶化される。収率:16.5g(43ミリモル)、H-NMRによる純度86%。
【0097】
C):(6-(フェニル-2-チオ)ピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メトキシメタン
【化16】

【0098】
405mg(2ミリモル)のトリス-tert-ブチルホスフィンと、ついで、337mg(1.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、500mlのTHF中の38.4g(100ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メトキシメタン、41.9g(130ミリモル)のジイソプロピル[2-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル]チオ]フェニルボロネート[620988-03-6]、19.2g(330ミリモル)のフッ化カリウム(無水物)の混合物に添加され、混合物は、引き続き、還流下、5時間撹拌される。冷却後、300mlの水と15mlの氷酢酸が反応混合物に添加され、混合物は、50℃で2時間撹拌され、水性相が分離され、有機相は、セライトでろ過され、蒸発乾固される。こうして得られた固形物は、エタノール(150ml)の添加によりアセトン(20ml)から再結晶化される。収率:27.3g(66ミリモル)、66%、H-NMRによる純度99.0%。
【0099】
D):Cu錯体7
メタノール中1Nの10.0ml(10ミリモル)のナトリウムメトキシド溶液が、50mlのTHF中の4.1g(10ミリモル)の(6-(フェニル-2-チオ)ピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メトキシメタン溶液に添加され、混合物は、40℃で1時間撹拌される。次いで、1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)が添加され、混合物は、さらに24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、50mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。DMSO/イソプロパノールから二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=320℃)中、昇華される。収率:3.4g(7.0ミリモル)、71%、H-NMRによる純度99.8%。
【0100】
例8:Cu錯体8
【化17】

【0101】
A):(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタン
【化18−1】

【0102】
46.6g(350ミリモル)のジメチルアミノサルファトリフルオリドが、300mlのクロロホルム中の37.0g(100ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)メタノール溶液に、撹拌されながら、添加され、次いで、混合物は、還流下1時間撹拌される。反応混合物は、+5℃に冷却された後、500mlの水中の65gの水酸化ナトリウム溶液が、ゆっくりと添加され(注意:発熱反応)、混合物は、さらに30分間撹拌され、水性相が分離され、有機相は、塩化カルシウムで乾燥される。溶媒の真空除去後、油状物は、熱エタノールで100mlにされ、混合物は冷却され、無色の固形物は、吸引ろ過され、30mlのメタノールで一度洗浄され、真空乾燥される。収率:33.1g(8.9ミリモル)、89%、H-NMRによる純度97%。
【0103】
B):(6-ホルミルピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタン
【化18−2】

【0104】
20ml(50ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N)が、200mlのTHF中の16.6g(50ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタンの−78℃に冷却された溶液に迅速に添加され、混合物は、−78℃で10分間撹拌される。次いで、10mlのTHF中の4.4g(60ミリモル)のDMFが一部添加され、混合物は、さらに30分間撹拌され、次いで、室温に暖められる。55mlの1N塩化水素酸が添加され、混合物は、さらに1時間撹拌され、真空中で蒸発乾固される。残留物は、ジクロロメタンで500mlにされ、溶液は100mlの1N水酸化ナトリウム溶液と、次いで、100mlの水で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、有機相は、真空中、約30分間蒸発され、100mlのイソプロパノールが添加され、混合物は、さらに1時間撹拌され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、メタノールで洗浄され、真空乾燥される。収率:10.3g(32ミリモル)、64%、H-NMRによる純度95.0%。
【0105】
C):(6-(ベンズイミダゾール-2-イル)ピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタン
【化19】

【0106】
3.0mlの塩化チオニルが、50mlのジクロロメタン中の12.0gのシリカゲル懸濁液に滴下され、次いで、混合物は、室温で1時間撹拌される。6.4g(20ミリモル)の(6-ホルミルピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタンと2.4g(22ミリモル)のo-フェニレンジアミンの溶液が、引き続き、滴下され、混合物は、さらに6時間撹拌される。50mlのジクロロメタンと50mlのエタノールが添加され、混合物は、シリカゲルで吸引ろ過され、シリカゲルはジクロロメタンですすがれ、有機相は真空蒸発され、残留物は、5mlのトリエチルアミン添加により約50mlのエタノールから再結晶化される。収率:4.9g(12ミリモル)、H-NMRによる純度99.0%。
【0107】
D):Cu錯体8
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、50mlのTHF中の4.1g(10ミリモル)の(6-(ベンズイミダゾール-2-イル)ピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタンと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。アセトニトリルから二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=310℃)中、昇華される。収率:3.3g(7.0ミリモル)、70%、HPLCによる純度99.9%。
【0108】
例9:Cu錯体9
【化20】

【0109】
A):2-(1-メトキシメチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジン
【化21】

【0110】
600mlのトルエン、84.2g(580ミリモル)の1H-イミダゾール-2-イルピリジン[18653-75-3]と14.8g(40ミリモル)の臭化テトラブチルアンモニウムが、400mlの水中の400.0g(10ミリモル)の水素化ナトリウム溶液に、室温で激しく撹拌されながら添加され、次いで、50.0g(621ミリモル)のクロロメチルメチルエーテルと100mlのトルエンが、ゆっくりと滴下され、混合物は、室温でさらに16時間撹拌される。反応混合物は、800mlのトルエンと800mlの水で展開され、有機相は、分離され、硫酸マグネシウムで乾燥され、溶媒は真空除去される。収率:99.0g(90ミリモル)、98%、H-NMRによる純度96%。
【0111】
B):ビス(6-メチルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタノール
【化22】

【0112】
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N)が、500mlのTHF中の18.9g(100ミリモル)の2-(1-メトキシメチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジンの−78℃に冷却された溶液に滴下され、混合物はさらに30分間撹拌される。引き続き、50mlのTHF中の21.2g(100ミリモル)のビス(6-メチル-2-ピリジニ)メタノンが一部添加され、反応混合物は、室温に暖められる。100mlの水と6.0mlの氷酢酸の混合物の添加後、混合物は、さらに1時間撹拌され、有機相は分離され、炭酸カリウムで乾燥され、次いで、真空中蒸発乾固される。収率:23.0g(57ミリモル)、57%、H-NMRによる純度95.0%。
【0113】
C):ビス(6-メチルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタン
【化23】

【0114】
20.1g(50ミリモル)のビス(6-メチルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル)-3H-イミダゾール-4-イル)メタノールが、300mlの氷酢酸中に懸濁される。20mlの水性次亜リン酸(50重量%)と40mlの水性ヨウ化水素酸(57重量%)が、懸濁液に添加され、次いで、反応混合物は、80℃で24時間撹拌される。冷却後、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、20mlの氷酢酸で一度、20mlのメタノールで三度、その度毎に洗浄される。固形物は300mlのジクロロメタン中に懸濁され、100mlの飽和塩化アンモニウム溶液と、次いで、50mlのアンモニア溶液が添加され、混合物は、固形物が溶解するまで撹拌され、有機相は分離され、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、次いで、真空蒸発される。残留物は、酢酸エチルから二度再結晶化される。収率:10.9g(32ミリモル)、64%、H-NMRによる純度99.0%。
【0115】
D):Cu錯体9
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、50mlのTHF中の3.4g(10ミリモル)のビス(6-メチルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタンと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。DMF/EtOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=320℃)中、昇華される。収率:2.1g(5.2ミリモル)、52%、HPLCによる純度99.8%。
【0116】
例10:Cu錯体10
【化24】

【0117】
A):トリス(6-フェニルピリジン-2-イル)ホスフィンオキシド
【化25】

【0118】
809mg(4ミリモル)のトリス-tert-ブチルホスフィンと、ついで、674g(3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、1000mlのTHF中の51.8g(100ミリモル)のトリス(6-ブロモピリジン-2-イル)ホスフィンオキシド[19776-46-9]、61.0g(500ミリモル)のフェニルボロン酸、58.1g(1ミリモル)のフッ化カリウム無水物の混合物に添加され、混合物は、引き続き、還流下、5時間撹拌される。冷却後、300mlの水が反応混合物に添加され、水性相が分離され、有機相は、セライトでろ過され、蒸発乾固される。こうして得られた固形物は、エタノール(約250ml)の添加によりクロロホルム(50ml)から再結晶化される。収率:38.4g(75ミリモル)、75%、H-NMRによる純度99.0%。
【0119】
B):Cu錯体10
50mlのTHF中の5.1g(10ミリモル)のトリス(6-フェニルピリジン-2-イル)ホスフィンオキシドと891mg(10ミリモル)のシアン酸銅(I)の混合物が、60℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、20mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。収率:3.7g(6.2ミリモル)、62%、H-NMRによる純度99.0%。
【0120】
例11:Cu錯体11
【化26】

【0121】
A):2-[6-(フルオロビス)(6-メチルピリジン-2-イル)メチル]ピリジン2-イル]フェノール
【化27】

【0122】
500mlのTHF中の37.2g(100ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-メチルピリジン-2-イル)フルオロメタン、16.5g(120ミリモル)の2-ヒドロキシフェニルボロン酸[89466-08-0]、17.4g(300ミリモル)のフッ化カリウム(無水物)、263mg(1.3ミリモル)のトリ-tert-ブチルホスフィンと、225mg(1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)の混合物が、還流下、5時間加熱される。冷却後、塩はろ過され、100mlのTHFでその度毎に二度すすがれ、THFは真空除去され、油状の残留物はジクロロメタンで500mlにされ、有機相は、200mlの水でその度毎に三度洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。硫酸マグネシウムがセライトベッドでろ過された後、有機相は、蒸発乾固され、残留物は、酢酸エチル/ヘプタンから再結晶化される。収率:27.4g(71ミリモル)、78%、H-NMRによる純度99.0%。
【0123】
B):Cu錯体11
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、50mlのTHF中の3.9g(10ミリモル)の2-[6-(フルオロビス)(6-メチルピリジン-2-イル)メチル)ピリジン2-イル]フェノールと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。DMF/EtOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=340℃)中、昇華される。収率:1.4g(3.1ミリモル)、31%、NMRによる純度99.5%。
【0124】
例12:Cu錯体12
【化28】

【0125】
A):ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタノン
【化29】

【0126】
80ml(200ミリモル)のn-ブチルリチウム(2.5N)が、500mlのジエチルエーテル中の45.0g(210ミリモル)の2-ブロモ-6-tert-ブチルピリジン[195044-14-5]の−78℃に冷却された懸濁液に滴下され、混合物はさらに、黄色の固形物が生成するまで、−78℃で撹拌される。黄色の固形物は、さらに30分間−78℃で撹拌され、9.2ml(100ミリモル)のN,N-ジメチルカルバモイルクロライド[79-44-7]が引き続き、添加され、反応混合物は、再度さらに30分間−78℃で撹拌される。0℃まで暖められた後、100mlの水と2mlの氷酢酸の混合物が滴下され、混合物は、さらに30分間撹拌され、沈殿した固形物は、次いで、吸引ろ過され、25mlのジエチルエーテルで一度、25mlのエタノールで一度洗浄され、真空乾燥される。収率:19.9g(67ミリモル)、67%、H-NMRによる純度97%。
【0127】
B):ビス(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタノール
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(2.5N)が、200mlのジエチルエーテル中の26.1g(110ミリモル)の2,6-ジブロモ-ブチルピリジン[195044-14-5]の−78℃に冷却された懸濁液に滴下される。この溶液は、200mlのジエチルエーテルで希釈滴下され、150mlのTHF中の29.6g(100ミリモル)のビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタノンが引き続き、激しく撹拌されながら一部添加される。0℃まで暖められた後、50mlの水と6mlの氷酢酸の混合物が滴下され、混合物は、さらに30分間撹拌され、沈殿した固形物は、次いで、吸引ろ過され、25mlのジエチルエーテルで一度、25mlのエタノールで一度洗浄され、真空乾燥される。収率:23.2g(51ミリモル)、51%、H-NMRによる純度98%。
【化30】

【0128】
C):(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)メタノール
【化31】

【0129】
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(2.5N)が、500mlのTHF中の22.7g(50ミリモル)の(6-ブロモピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタノールの−78℃に冷却された溶液に滴下される。混合物はさらに45分間撹拌された後、一酸化炭素の激流が30分間通じられ、反応混合物は、次いで、室温まで暖められ、真空中で蒸発乾固され、残留物は、酢酸エチルで500mlにされ、200mlの水と6mlの氷酢酸が添加され、有機相は分離され、200mlの水で二度その度毎に、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度洗浄され、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥される。溶媒除去後、残留物は、メタノールから再結晶化される。収率:13.8g(33ミリモル)、66%、H-NMRによる純度95%。
【0130】
D):(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタン
【化32】

【0131】
21.0g(50ミリモル)の(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)メタノールが、300mlの氷酢酸中に懸濁される。20mlの水性次亜リン酸(50重量%)と40mlの水性ヨウ化水素酸(57重量%)が、懸濁液に添加され、次いで、反応混合物は、80℃で24時間撹拌される。冷却後、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、20mlの氷酢酸で一度、20mlのメタノールで三度、その度毎に洗浄される。固形物は300mlのジクロロメタン中に懸濁され、100mlの飽和塩化アンモニウム溶液と、次いで、3mlのアンモニア溶液が添加され、混合物は、固形物が溶解するまで撹拌され、有機相は分離され、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、次いで、真空蒸発される。残留物は、メタノールから二度再結晶化される。収率:16.6g(41ミリモル)、41%、H-NMRによる純度98.0%。
【0132】
E):1-(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス-1,1-(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)エタン
【化33】

【0133】
40.0ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(2.5N)が、300mlのTHF中の20.2g(5ミリモル)の(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-メタンの−78℃に冷却された懸濁液に滴下される。混合物はさらに45分間撹拌された後、3.7ml(60ミリモル)のヨウ化メチルが添加され、混合物は、次いで、−78℃でさらに30分間撹拌される。室温までゆっくりと暖められた後、溶媒が真空除去され、残留物は、酢酸エチルで300mlにされ、200mlの飽和塩化アンモニウム溶液が添加され、有機相は分離され、100mlの水でその度毎に二度、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度洗浄され、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥される。溶媒除去後、残留物は、メタノールから再結晶化される。収率:9.7g(23ミリモル)、46%、H-NMRによる純度98.0%。
【0134】
F):Cu錯体12
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、50mlのTHF中の4.2g(10ミリモル)の1-(6-カルボキシピリジン-2-イル)ビス-1,1-(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-エタンと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、60℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。THF/MeOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=340℃)中、昇華される。収率:1.4g(2.9ミリモル)、29%、HPLCによる純度99.8%。
【0135】
例13:Cu錯体13
【化34】

【0136】
A):ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタノール
【化35】

【0137】
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N)が500mlのTHF中の18.9g(100ミリモル)の2-(1-メトキシメチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジンの−78℃に冷却された溶液に滴下され、混合物はさらに30分間撹拌される。150mlのTHF中の29.6g(100ミリモル)のビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)ピリジン溶液が、引き続き、一部添加され、反応混合物は、室温に暖められる。100mlの飽和塩化アンモニウム溶液の添加後、混合物は、さらに15分間撹拌され、有機相は分離され、炭酸カリウムで乾燥され、真空中で蒸発乾固される。収率:32.5g(67ミリモル)、67%、H-NMRによる純度97.0%。
【0138】
B):ビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)-メタン
【化36】

【0139】
24.3g(50ミリモル)のビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタノールが、300mlの氷酢酸中に懸濁される。20mlの水性次亜リン酸(50重量%)と40mlの水性ヨウ化水素酸(57重量%)が、懸濁液に添加され、次いで、反応混合物は、80℃で24時間撹拌される。冷却後、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、20mlの氷酢酸で一度、20mlのメタノールで三度、その度毎に洗浄される。固形物は300mlのジクロロメタン中に懸濁され、100mlの飽和塩化アンモニウム溶液と、次いで、50mlのアンモニア溶液が添加され、混合物は、固形物が溶解するまで撹拌され、有機相は分離され、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、次いで、真空蒸発される。残留物は、酢酸エチルから二度再結晶化される。収率:18.7g(44ミリモル)、88%、H-NMRによる純度99.8%。
【0140】
C):Cu錯体13
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、80mlのTHF中の4.3g(10ミリモル)のビス(6-tert-ブチルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタンと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で14時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。THF/MeOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=330℃)中、昇華される。収率:1.8g(3.7ミリモル)、37%、HPLCによる純度99.8%。
【0141】
例14:Cu錯体14
【化37】

【0142】
A):ビス(6-フェニルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタノール
【化38】

【0143】
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N)が、500mlのTHF中の18.9g(100ミリモル)の2-(1-メトキシメチル-1H-イミダゾール-2-イル)ピリジンの−78℃に冷却された溶液に滴下され、混合物はさらに30分間撹拌される。150mlのTHF中の33.6g(100ミリモル)のビス(6-フェニル-2-ピリジニル)メタノン[217177-35-0]溶液が、引き続き、一部添加され、反応混合物は、室温まで暖められる。100mlの飽和塩化アンモニウム溶液の添加後、混合物は、さらに15分間撹拌され、有機相は分離され、炭酸カリウムで乾燥され、次いで、真空中で蒸発乾固される。収率:34.2g(65ミリモル)、65%、H-NMRによる純度97.0%。
【0144】
B):ビス(6-フェニルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)-タン
【化39】

【0145】
26.3g(50ミリモル)のビス(6-フェニルピリジン-2-イル)-(1-メトキシメチル-2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタノールが、300mlの氷酢酸中に懸濁される。20mlの水性次亜リン酸(50重量%)と40mlの水性ヨウ化水素酸(57重量%)が、懸濁液に添加され、次いで、反応混合物は、80℃で24時間撹拌される。冷却後、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、20mlの氷酢酸で一度、20mlのメタノールで三度、その度毎に洗浄される。固形物は300mlのジクロロメタン中に懸濁され、100mlの飽和塩化アンモニウム溶液と、次いで、50mlのアンモニア溶液が添加され、混合物は、固形物が溶解するまで撹拌され、有機相は分離され、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄され、有機相は硫酸マグネシウムで乾燥され、次いで、真空蒸発される。残留物は、酢酸エチルから二度再結晶化される。収率:16.2g(34ミリモル)、69%、H-NMRによる純度99.0%。
【0146】
C):Cu錯体14
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、100mlのTHF中の4.7g(10ミリモル)のビス(6-フェニルピリジン-2-イル)-(2-ピリジン-2-イル-3H-イミダゾール-4-イル)メタンと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。THF/MeOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=340℃)中、昇華される。収率:2.4g(4.5ミリモル)、45%、HPLCによる純度99.8%。
【0147】
例15:Cu錯体15
【化40】

【0148】
A):2-ブロモ6-(2,2-ジフェニルピリジン-2-イル)プロピル)ピリジン
【化41】

【0149】
40ml(100ミリモル)のn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N)が、500mlのTHF中の18.4g(100ミリモル)の2,2-エチリデンビスピリジン[29280-41-9]の−78℃に冷却された溶液に滴下され、混合物はさらに30分間撹拌される。100mlのTHF中の20.6g(100ミリモル)の2-ブロモ-6-クロロメチルピリジン[727356-19-6]溶液が、次いで、滴下され、混合物は、−78℃でさらに15分間撹拌される。室温まで暖められた後、溶媒は真空除去され、残留物はジクロロメタンで300mlにされ、有機相は、100mlの水でその度毎に二度洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。残留物は、酢酸エチル/ヘプタンから再結晶化される。収率:19.5g(55ミリモル)、55%、H-NMRによる純度95.0%。
【0150】
B):7-[6-(2,2-ジピリジン-2-イル)プロピル)ピリジン-2-イル]-1-H-インドール
【化42】

【0151】
500mlのTHF中の35.4g(100ミリモル)の2-ブロモ-6-(2,2-ジ-ピリジン-2-イル)プロピル)ピリジン、19.3g(120ミリモル)のインドール-7-イルボロン酸[210889-31-9]、17.4g(300ミリモル)のフッ化カリウム(無水物)、263mg(1.3ミリモル)のトリス-tert-ブチルホスフィンと225mg(1ミリモル)の酢酸パラジウム(II)の混合物が、還流下、5時間加熱される。冷却後、塩は、ろ過され、100mlのTHFでその度毎に二度洗浄され、THFは真空除去され、油状の残留物はジクロロメタンで500mlにされ、有機相は、200mlの水でその度毎に三度洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥される。硫酸マグネシウムがセライトベッドでろ過された後、有機相は、蒸発乾固され、残留物は、酢酸エチル/ヘプタンから再結晶化される。収率:29.3g(75ミリモル)、75%、H-NMRによる純度99.0%。
【0152】
C):Cu錯体15
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、100mlのTHF中の3.9g(10ミリモル)の7-[6-(2,2-ジピリジン-2-イル)プロピル)ピリジン-2-イル]-1-H-インドールと1.0g(10ミリモル)の塩化銅(I)の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。THF/MeOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar、T=340℃)中、昇華される。収率:1.3g(2.9ミリモル)、29%、HPLCによる純度99.7%。
【0153】
例16:Ag錯体
1.3g(10ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンが、100mlのTHF中の10ミリモルのリガンドと2.5g(10ミリモル)の6フッ化リン酸銀の混合物に添加され、混合物は、40℃で24時間撹拌される。反応混合物は、真空中で5mlの体積まで蒸発され、30mlのメタノールが添加され、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、10mlのメタノールでその度毎に三度洗浄され、真空乾燥される。THF/MeOHからの二度の再結晶化後、生成物は、高真空(p=1×10−6mbar)中、昇華される。
【化43】

【0154】
例21:気体相からの有機エレクトロルミネッセンス素子の製造と特性決定
本発明によるエレクトロルミネッセンス素子が、たとえば、WO 05/003253に記載されたとおりに製造することができる。種々のOLEDの結果がここで比較される。基本構造、使用される材料、ドープ度とそれの層厚はより良い比較のために同一である。
【0155】
ここで、以下の素子構造が使用される:
正孔注入層(HIL) 20nmの2,2’,7,7’-テトラキス(ジ-パラ-トリル-アミノ)
スピロ-9,9’-ビフルオレン
正孔輸送層(HTL1) 5nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフ
ェニル)
電子障壁層(EBL) EBM1、10nm
またはEBM2、10nm
発光層(EML) マトリックスM1、M2、M3もしくはM4またはこれらの組み
合わせ40nm、
エミッター:10vol%ドーピング;化合物は、表1参照。
【0156】
電子伝導層(ETL) 20nmのBAlq
カソード 1nmのLiF、100nmAl上。
【0157】
EBL、MおよびTEBの構造は明確さのために、以下に示される。
【化44】

【0158】
これら未だ最適化されないOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトルと電流-電圧-輝度特性線(IUL特性線)から計算された輝度の関数としての外部量子効率(%で測定)が決定される。
【0159】
表1 素子の結果
【表1】

【0160】
例36:溶液からの有機エレクトロルミネッセンス素子の製造と特性決定
LEDは、以下に概説される一般的プロセスにより製造される。これは、もちろん、個々の場合に特別の状況に適合される(たとえば、最適な効率と色を達成するための層厚変化)。
【0161】
OLEDの製造のための一般的プロセス
この型の素子の製造は、ポリマー発光ダイオード(OLED)の製造に基づいており、多くの文献に既に記載されてきた(たとえば、WO 04/037887 A2)。本場合には、本発明の化合物は、上記マトリックスまたはマトリックス材料の組み合わせとともにトルエン、クロロベンゼンもしくはDMF中に溶解される。スピンコーティングにより適用するためには、このような溶液の典型的な固形物含量は、10および25g/lであり、典型的な素子の厚さは80nmである。
【0162】
ここで、以下の構造を有するOLEDが、以下に示す一般的プロセスと同様に製造される。:
PEDOT 20nm(水からスピンコート、バイエル社から購入したPE
DOTポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン)
マトリックス+エミッター 80nm、10重量%のエミッター濃度(トルエン、クロロ
ベンゼンもしくはDMFからスピンコーティングにより適用)
Ba/Ag 10nmのBa/カソードとしての150nmのAg。
【0163】
構造化されたITO基板といわゆるバッファー層(PEDOT、実際はPEDOT:PSS)は、商業的に入手可能である(テクノプリント社からのITO、H.C.Stack,Goslar独からのClevious Baytron P水性分散液としてのPEDOT:PSS)。発光層は、不活性雰囲気中で、本場合にはアルゴン中で、スピンコーティングにより適用され、120℃で10分間加熱される。最後に、バリウムとアルミニウムを含むカソードが、真空気相堆積により適用される。溶液加工素子は、標準方法により特性決定される;言及されたOLEDの例は、未だ最適化されていない。表2は、100cd/mでの効率および電圧と色を示す。
【0164】
表2 素子の結果
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソードと、式(2)のリガンドLに配位する金属Mを含む少なくとも一つの式(1)の化合物を含む電子素子。
【化1】

【化2】

(式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される。
Mは、Cu、Ag、Au、Zn、Sn、Pb、Ni、PdまたはPtであり;
Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、P、PR、P(=O)、As、AsR、As(=O)、Sb、SbR、Sb(=O)およびSより成る群から選ばれるか、または、3〜6個の環原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環状基であって、随意に基Yを介して、部分リガンドL1、L2およびL3と互いに共有結合し、および1以上の基Rにより置換されてよく;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、AsR、As(=O)R、SbR、Sb(=O)R、O、S、1,2-ビニレンまたは1,2-あるいは1,3-フェニレンから選ばれる二価基であって、夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく;
aは、0または1であり;
bは、1、2または3であり、ここで、b=2または3に対して、添え字aは、1であり;
L1は、1以上の基Rにより置換されてよく、夫々ヘテロ環基の部分である中性もしくはアニオン性窒素原子または中性炭素原子を介してMに結合する1〜20個のC原子と少なくとも一つのN原子を有するヘテロ環状基であるか;または1以上の基Rにより置換されてよく、環外ドナー原子を介してMに結合する1〜20個のC原子を有する環状基もしくはヘテロ環状基であり、
L2、L3は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよく、窒素、燐、硫黄または中性炭素原子を介してMに結合する配位基であって、ここで、L2および/またはL3は、同一であるか異なり、L1であってもよく;
L4は、1以上の基Rにより置換されてよい、金属Mに配位する任意の所望のリガンドであり;ここで、L4は、直接結合または二価基-(Y)-によって、一以上の部分リガンドL1、L2および/またはL3に結合してもよく;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1、2または3であり;
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、OH、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、1以上の基Rで置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、OH、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SもしくはCONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ基、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基、1以上の基Rで置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基であり;ここで、2個以上の置換基Rは、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、Fまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり、さらに、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよく;ここで、2個以上の置換基Rは、互いに、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族、複素環式芳香族および/またはベンゾ縮合環構造を形成してもよい。)
【請求項2】
L1は、ヘテロアリール基、または環外ドナー原子もしくは環状、飽和あるいは非飽和カルベンを有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、夫々、これらの基は、1以上の基Rにより置換されてよい、請求項1記載の電子素子。
【請求項3】
L1が、式(3)〜(30)の基から選ばれることを特徴とする、請求項1または2記載の電子素子。
【化3−1】

【化3−2】

(式中、使用される記号は、請求項1に示される意味を有し、さらに:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり:
Dは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、NR、PR、NR、PR、COO、SO、-C(=O)R、-CR(=NR)または-N(=CR)であり;
基は、*により示される位置を介して金属Mに配位し;#で示される位置は、部分リガンドがYまたはVに結合する位置を示し、(#)で示される位置は、部分リガンドがYまたはL4に随意に結合する位置を示す。)
【請求項4】
L2とL3は、1以上の基Rにより置換されてもよく、窒素、燐もしくは硫黄原子を介してMに結合する配位基であるか、または、同一であるか異なり、L1であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の電子素子。
【請求項5】
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、OおよびSより成る基から選ばれる二価基であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の電子素子。
【請求項6】
Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、PまたはP(=O)から選ばれるか、または、Vは、式(31)〜(34)の一つの環状基である、請求項1〜5何れか1項記載の電子素子。
【化4】

(式中、破線の結合は、夫々、部分リガンドL1、L2およびL3またはYへの結合を示し、Rは、請求項1に定義される意味を有する。)
【請求項7】
L4は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ホスフィン、ホスフィット、アルシン、スチビン、窒素含有ヘテロ環、カルベン、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物F、Cl、BrおよびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレートまたは以下の式(35)〜(61)より成る基から選ばれる、請求項1〜6何れか1項記載の電子素子。
【化5−1】

【化5−2】

(式中、使用される記号と添え字は、請求項1および3に示される意味を有し、*は、Mへの配位位置を示し、(#)で示される位置は、L4が、随意に、-(Y)-を介して、部分リガンドL1、L2およびL3の一つに結合してよい位置を示す。)
【請求項8】
使用される記号と添え字に、以下が適用されることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の電子素子:
L1は、請求項3記載の式(3)〜(30)の上記基から選ばれ、
L2、L3は、出現毎に同一であるか異なり、-NR、-NR、-N=C(R、-PR、-PR(OR)、P(OR)、-S、-SRおよびL1より成る基から選ばれ;
Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、BR、SiR、NR、PR、P(=O)R、OまたはSから選ばれる二価基であり;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0、1または2であり;
Vは、B、BR、CR、CO、SiR、N、NR、PまたはP(=O)から選ばれ;または、Vは、請求項6記載の上記式(31)〜(34)の基の一つの環状基であり;
L4は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、ホスフィット、アルシン、スチビン、中性もしくはアニオン性窒素含有ヘテロ環、カルベン、水素化物、重水素化物、F、Cl、Br、およびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレートまたは請求項7記載の上記式(35)〜(61)のリガンドより成る基から選ばれ;
bは、1であり;
使用されるその他の記号と添え字は、請求項1に示される意味を有する。
【請求項9】
リガンドLは、式(62)〜(66)の一つの構造を有し、ここで、使用される記号と添え字は、請求項1に示される意味を有することを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の電子素子:
【化6】

【請求項10】
有機エレクトロルミネッセンス素子(=有機発光ダイオード、OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)より成る群から選ばれる、請求項1〜9何れか1項記載の電子素子。
【請求項11】
式(1)の化合物が、発光層中で、発光化合物として使用されることを特徴とする、請求項1〜10何れか1項記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項12】
式(1)の化合物が、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、アザカルバゾール、バイポーラーマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、トリアジン誘導体、亜鉛錯体、ジアザ-あるいはテトラアザシロール誘導体およびジアザホスホール誘導体から選ばれる一以上のマトリックス材料と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項11記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項13】
式(1)の化合物が、発光層中で、発光化合物のためのマトリックス材料としておよび/または正孔障壁層中で正孔障壁材料としておよび/または電子輸送層中で電子輸送材料としておよび/または正孔輸送もしくは正孔注入層中で正孔輸送材料としておよび/または電子障壁層中で電子障壁材料として使用されることを特徴とする、請求項11または12記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
リガンドL‘に配位した金属Mを含む式ML‘の化合物であって、リガンドL‘が、式(62)〜(66)の一つであり、部分リガンドL1、L2、L3およびL4がMに配位する、化合物。
【化7】

(式中、使用される記号と添え字は、請求項1に示される意味を有する。)
【請求項15】
請求項14記載の化合物の電子素子での使用。
【請求項16】
対応するフリーリガンドが、対応する金属Mの金属塩または金属錯体と反応することを特徴とする、請求項14記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2013−513225(P2013−513225A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541333(P2012−541333)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006821
【国際公開番号】WO2011/066898
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】