説明

金属錯体組成物及び錯体高分子

【課題】有機電界発光素子の製造に有用な金属錯体組成物、錯体高分子、これを用いた液状組成物、有機薄膜、有機電界発光素子、面状光源及び表示装置の提供。
【解決手段】(1)で表される構造を含む金属錯体と、電荷輸送性材料とを含有する金属錯体組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体組成物及び錯体高分子、並びに、該金属錯体組成物又は該錯体高分子を用いた液状組成物、有機薄膜、有機電界発光素子、面状光源及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、有機EL素子又は有機発光素子ともいう。)は、陽極と陰極との間に蛍光性有機化合物又は燐光性有機化合物を含む有機薄膜を挟持させてなる素子である。有機電界発光素子においては、各電極から有機薄膜に正孔及び電子を注入することにより、有機薄膜中の蛍光性有機化合物又は燐光性有機化合物の励起子が生成され、この励起子が基底状態に戻る際に光が放出される。このような有機電界発光素子として、フェニルピリジン配位子又は中心金属に配位結合した窒素原子のパラ位に置換基を有するフェニルピリミジン配位子を有する有機金属錯体を構成材料として用いたもの等がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2002/02714号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の有機電界発光素子は、発光効率が必ずしも十分であるとはいえず、実用に供するためには未だ改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、十分に高い発光効率を有する有機電界発光素子並びに該有機電界発光素子を用いた面状光源及び表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、該有機電界発光素子の製造に有用な金属錯体組成物及び錯体高分子並びに該金属錯体組成物又は該錯体高分子を用いた液状組成物及び有機薄膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、下記式(1)で表される構造を含む金属錯体と、電荷輸送性材料とを含有する金属錯体組成物を提供する。
【化1】


[式(1)中、Rは置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキル基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。]
【0007】
上記の金属錯体組成物を有機電界発光素子の構成材料として用いることによって、有機電界発光素子の発光効率及び外部量子収率を十分に向上させることが可能となる。なお、かかる効果が奏される理由は、本発明で用いた金属錯体が、室温溶液状態でそもそも高い発光量子収率を示すことに加え、Rが無置換の金属錯体と比較して、固体状態で特に高い発光量子収率を示し、また熱安定性が高く、溶媒に対し可溶性であり、加工性に優れているため、本来の発光性を十分に発揮できるともに、電荷輸送性材料との組成物とすることで、電荷注入性、電荷輸送性が向上することが一因と考えられる。
【0008】
本発明においては、上記電荷輸送性材料として、低分子有機化合物(以下、便宜的に「電荷輸送性材料(A)」という。)を好適に用いることができる。
【0009】
また、上記電荷輸送性材料として、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物(以下、便宜的に「電荷輸送性材料(B)」という。)も好適に用いることができる。
【化2】


[式(2)中、Arはアリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示す。なお、Arで示される基は、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。]
【化3】


[式(3)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を示し、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1である。なお、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。また、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(R)−、−C(=O)−N(R)−若しくは−C(R−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。Rは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を示す。]
【0010】
更に、上記電荷輸送性材料(B)は、上記式(2)で表される構成単位として、下記式(4)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【化4】


[式(4)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、2個のRは同一でも異なっていてもよく、2個のRは同一でも異なっていてもよい。]
【0011】
また、上記電荷輸送性材料(B)は、上記式(2)で表される構成単位として、下記式(5)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【化5】


[式(5)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基又はアラルキル基を示し、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示し、rは0〜3の整数を示す。なお、2個のRは同一であっても異なっていてもよく、また、2個のRが結合して環構造を形成していてもよい。また、Rが複数存在する場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。また、2個のrは同一でも異なっていてもよい。]
【0012】
また、上記電荷輸送性材料(B)は共役系高分子化合物であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の金属錯体組成物が上記電荷輸送性材料(B)を含有する場合、該金属錯体組成物は下記式(6)で表される構造を有する電子輸送性材料(以下、便宜的に「電荷輸送性材料(C)」という。)を更に含有することが好ましい。電荷輸送性材料(B)と電荷輸送性材料(C)とを併用することによって、優れた電子注入及び電子輸送が実現され、その結果、より高い発光効率を示すこと、及び、低電圧駆動が可能となること、の少なくとも一方が達成される。
【化6】


[式(6)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、3個のRは同一であっても異なっていてもよい。]
【0014】
また、本発明は、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体から2個の水素原子を除いた残基である2価の基と、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む錯体高分子を提供する。
【0015】
上記の錯体高分子は、換言すれば、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体から誘導される構成単位と、上記電荷輸送性材料(B)から誘導される構成単位とを有するものであり、上記の金属錯体組成物を有機電界発光素子の構成材料として用いることによって、有機電界発光素子の発光効率を十分に向上させることが可能となるという本発明の金属錯体組成物と同様の効果を有する。更に、該錯体高分子は、有機電界発光素子を製造する際の作業性の観点からも好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記本発明の金属錯体組成物又は錯体高分子と、溶媒とを含有する液状組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記本発明の金属錯体組成物又は錯体高分子を含有する有機薄膜を提供する。
【0018】
上記の液状組成物及び有機薄膜は、本発明の金属錯体組成物又は錯体高分子を含有するため、有機電界発光素子の製造に用いることによってその発光効率を十分に向上させることができ、非常に有用である。
【0019】
また、本発明は、有機薄膜を備える有機電界発光素子であって、上記本発明の金属錯体組成物又は錯体高分子を上記有機薄膜中に含む有機電界発光素子を提供する。
【0020】
上記の有機電界発光素子によれば、本発明の金属錯体組成物又は錯体高分子を上記有機薄膜中に含むため、十分に高い発光効率を達成することができる。
【0021】
また、本発明は、上記本発明の有機電界発光素子を備えた面状光源を提供する。
【0022】
また、本発明は、上記本発明の有機電界発光素子を備えた表示装置を提供する。
【0023】
本発明の面状光源及び表示装置によれば、それぞれ本発明の有機電界発光素子を備えるため、十分に高い発光効率を達成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、十分に高い発光効率を有する有機電界発光素子並びに該有機電界発光素子を用いた面状光源及び表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、該有機電界発光素子の製造に有用な金属錯体組成物及び錯体高分子並びに該金属錯体組成物又は該錯体高分子を用いた液状組成物及び有機薄膜を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味するが、本明細書中の「構成単位」は、「繰り返し単位」(即ち、高分子化合物中に2個以上存在する単位)として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
【0026】
[第1実施形態;金属錯体組成物]
本発明の第1実施形態に係る金属錯体組成物は、下記式(1)で表される構造を含む金属錯体と、電荷輸送性材料とを含有する。
【化7】


[式(1)中、Rは置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキル基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。]
【0027】
まず、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体について詳述する。
【0028】
上記式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜20、更に好ましくは5〜20、特に好ましくは10〜20)のアルキル基である。
【0029】
が置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキル基であると、金属錯体の溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、キシレン等)に対する溶解性が飛躍的に向上するため、合成や精製の操作性の観点から好ましく、特に塗布プロセスを用いた有機電界発光素子の作製の観点からも好ましい。
【0030】
以下にRを具体的に説明する。
置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、1,2−ジニトロエチル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、3,5−テトラメチルシクロヘキシル基が挙げられる。これらの中でも好ましくは、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、3,5−テトラメチルシクロヘキシル基である。
【0031】
また、上記式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5)のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12)のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは2〜15、更に好ましくは2〜10)のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜10)のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数0〜30(好ましくは0〜20、より好ましくは0〜10)のアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜60(好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜12)の1価の複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10)のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10)のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12)のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20、更に好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12)のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60(好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12)の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60(好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12)の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子(好ましくは塩素原子、臭素原子、フッ素原子、より好ましくはフッ素原子)、シアノ基、カルボキシル基又はトリフルオロメチル基を表す。以下、R、R、R、Rで表される基のうち、代表的な基を説明する。
【0032】
置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基及びRの説明において例示された炭素数2〜30のアルキル基が挙げられる。
【0033】
置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、3,4−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、m−クウォーターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。これらの中でも好ましくは、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、p−トリル基、3,4−キシリル基、m−クウォーターフェニル−2−イル基であり、特に好ましくはフェニル基である。これらのアリール基は置換基を有してもよい。さらに、特開2009−149617号公報に記載された以下の式で表される基が挙げられる。
【化8】


【化9】

【0034】
上記式中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、これらの置換基の一部の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。複数存在するRは同一であっても異なっていてもよいが、Rのうちの少なくとも1つは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基である。また、Rは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表す。複数存在するRは同一であっても異なっていてもよい。は結合手を表す。
【0035】
置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、1−フェニルアリル基、2−フェニルアリル基、3−フェニルアリル基、3,3−ジフェニルアリル基、1,2−ジメチルアリル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基が挙げられ、好ましくは、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基である。
【0036】
置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキニル基としては、例えば、プロパルギル、3−ペンチニル、エチニル基、メチルエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピレニル基、ヘプチニル基、シクロヘキシルエチニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。該アルキニル基には、1,3−ブタジイニル基等のジイニル基も包含される。
【0037】
置換基を有していてもよい炭素数0〜30のアミノ基としては、例えば、アミノ基(−NH)、ジベンジルアミノ基、ジトリルアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、n−ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニルアミノ基(「C〜C12アルコキシ」とは、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、ジ(C〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル)アミノ基(「C〜C12アルキル」とは、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを示す。以下、同様である。)、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジニルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基フェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキルアミノ基、ジ(C〜C12アルコキシフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C〜C12アルキルフェニル−C〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
【0038】
置換基を有していてもよい炭素数1〜60の1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残基であり、縮合環を有するものも含むが、1価の芳香族複素環基が好ましい。置換基を有していてもよい炭素数1〜60の1価の複素環基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、2−イミダゾピリジニル基、3−イミダゾピリジニル基、5−イミダゾピリジニル基、6−イミダゾピリジニル基、7−イミダゾピリジニル基、8−イミダゾピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、β−カルボリン−1−イル基、β−カルボリン−3−イル基、β−カルボリン−4−イル基、β−カルボリン−5−イル基、β−カルボリン−6−イル基、β−カルボリン−7−イル基、β−カルボリン−6−イル基、β−カルボリン−9−イル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−シラフルオレニル基、2−シラフルオレニル基、3−シラフルオレニル基、4−シラフルオレニル基、1−ゲルマフルオレニル基、2−ゲルマフルオレニル基、3−ゲルマフルオレニル基、4−ゲルマフルオレニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、2−ピリジニル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、2−イミダゾピリジニル基、3−イミダゾピリジニル基、5−イミダゾピリジニル基、6−イミダゾピリジニル基、7−イミダゾピリジニル基、8−イミダゾピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−シラフルオレニル基、2−シラフルオレニル基、3−シラフルオレニル基、4−シラフルオレニル基、1−ゲルマフルオレニル基、2−ゲルマフルオレニル基、3−ゲルマフルオレニル基、4−ゲルマフルオレニル基が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基とは、−OY又は−SYで表される基(Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基を示す)である。
Yの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基が挙げられる。
【0040】
置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリールチオ基とは、−OZ又は−SZで表される基(Zは置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基を示す)である。
Zの例としては、フェニル基、C〜C12アルコキシフェニル基、C〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
【0041】
置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜60の複素環チオ基とは、−OHet又は−SHetで表される基(Hetは置換基を有していてもよい炭素数1〜60の1価の複素環基を示す)である。
Hetの例としては、チエニル基、C〜C12アルコキシチエニル基、C〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、C〜C12アルコキシピロリル基、C〜C12アルキルピロリル基、フリル基、C〜C12アルコキシフリル基、及びC〜C12アルキルフリル基、ピリジニル基、C〜C12アルコキシピリジニル基、C〜C12アルキルピリジニル基、ピペリジニル基、C〜C12アルコキシピペリジニル基、C〜C12アルキルピペリジニル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、C〜C12アルコキシピリジニル基及びC〜C12アルキルピリジニル基が好ましい。
【0042】
上記アシル基の炭素数は通常2〜20であり、2〜18が好ましい。具体的なアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
【0043】
上記アシルオキシ基の炭素数は通常2〜20であり、2〜18が好ましい。具体的なアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0044】
上記置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基としては、その置換シリルの部分が、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基である基が挙げられる。
【0045】
上記Rがアルキル基、並びに、R、R、R及びRがそれぞれアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、1価の複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、複素環オキシ基、又は、複素環チオ基である場合、各基が有していてもよい置換基としては、上述した基に加え、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、チエニル基、ピロリル基、ピリジニル基等の1価の複素環基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等の置換アミノ基、シアノ基が挙げられる。
【0046】
は、上記の中でも水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はフッ素原子であることが更に好ましい。
【0047】
は、上記の中でも水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
【0048】
は、上記の中でも水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
【0049】
は、上記の中でも水素原子、トリフルオロメチル基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
【0050】
また、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が互いに結合して飽和又は不飽和の炭化水素環、或いは、飽和又は不飽和の複素環を形成することも好ましい。
【0051】
また、Rが置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基である場合、特表2005−521210号公報、特表2005−537321号公報、特表2005−537354号公報、特開2008−174499号公報、特表2008−538742号公報に記載のデンドリマー構造をとることも好ましい。
【0052】
上記式(1)で表される構造は、金属錯体の部分構造である。本実施形態に係る金属錯体の全体の構造は、上記式(1)で表される構造を含んでいればよいが、下記式(7)で表される構造であることが好ましい。
【化10】


[式(7)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキル基を示し、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜60の1価の複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基又はトリフルオロメチル基を示し、Lは2座配位子を示し、Qはカウンターイオンを示し、nは1〜3の整数を示し、mは0〜2の整数を示す。なお、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。また、nが1のとき、2個のLは同一でも異なっていてもよい。また、mが2のとき、2個のQは同一でも異なっていてもよい。]
【0053】
上記式(7)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ式(1)中のR、R、R、R及びRと同一の定義、例示であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0054】
nは1〜3の整数を示し、好ましくは2又は3である。nが3のとき、幾何異性体としてフェイシャル体とメリジオナル体があるが、フェイシャル体が好ましい。
【0055】
Lは2座配位子である。この2座配位子としては、中性2座配位子、アニオン性2座配位子が好ましく、アニオン性2座配位子がより好ましく、モノアニオン性2座配位子が特に好ましい。
【0056】
Lは、イリジウム原子との間に、金属−窒素結合及び金属−炭素結合を形成する2座配位子、金属−窒素結合及び金属−酸素結合を形成する2座配位子、金属−酸素結合を2つ形成する2座配位子、又は、金属−窒素結合を2つ形成する2座配位子であることが好ましい。
【0057】
金属−窒素結合及び金属−炭素結合を形成する2座配位子としては、例えば、2−フェニルピリジン誘導体、2−フェニルピリミジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体、1−フェニルイソキノリン誘導体、3−フェニルイソキノリン誘導体、2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジン誘導体、2−チエニルピリジン誘導体、1−フェニルピラゾール誘導体、1−フェニル−1H−インダゾール誘導体、2−フェニルベンゾチアゾール誘導体、2−フェニルチアゾール誘導体、2−フェニルベンゾオキサゾール誘導体、2−フェニルオキサゾール誘導体、2−フラニルピリジン誘導体、2−(2−ベンゾフラニル)ピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、7,8−ベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾ[f,h]キノリン誘導体、ジベンゾ[f,h]キノキサリン誘導体、ベンゾ[h]−5,6−ジヒドロキノリン誘導体、9−(2−ピリジル)カルバゾール誘導体、1−(2−ピリジル)インドール誘導体、1−(1−ナフチル)イソキノリン誘導体、1−(2−ナフチル)イソキノリン誘導体、2−(2−ナフチル)キノリン誘導体、2−(1−ナフチル)キノリン誘導体、3−(1−ナフチル)イソキノリン誘導体、3−(2−ナフチル)イソキノリン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−(2−ナフチル)ピリジン誘導体、6−フェニルフェナントリジン誘導体、6−(1−ナフチル)フェナントリジン誘導体、6−(2−ナフチル)フェナントリジン誘導体、ベンゾ[c]アクリジン誘導体、ベンゾ[c]フェナジン誘導体、ジベンゾ[a,c]アクリジン誘導体、ジベンゾ[a,c]フェナジン誘導体、2−フェニルキノキサリン誘導体、2,3−ジフェニルキノキサリン誘導体、2−ベンジルピリジン誘導体、2−フェニルベンゾイミダゾール誘導体、3−フェニルピラゾール誘導体、4−フェニルイミダゾール誘導体、1−フェニルイミダゾール誘導体、4−フェニルトリアゾール誘導体、5−フェニルテトラゾール誘導体、2−アルケニルピリジン誘導体が挙げられ、好ましくは、2−フェニルピリジン誘導体、2−フェニルピリミジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体、1−フェニルイソキノリン誘導体である。
【0058】
金属−窒素結合及び金属−炭素結合を形成する2座配位子は、国際公開WO2004/085450号パンフレット、国際公開WO2006/075905号パンフレット、国際公開WO2002/44189号パンフレット、国際公開WO2002/45466号パンフレット、国際公開WO2006/046980号パンフレット、国際公開WO2006/059758号パンフレット、特開2006−182772号公報、特開2006−151888号公報、特開2006−151887号公報、特開2006−93665号公報、特開2006−100393号公報、国際公開WO2004/101707号パンフレット、国際公開WO2005/073339号パンフレット、国際公開WO2005/056719号パンフレット、国際公開WO2005/056716号パンフレット、国際公開WO2005/056715号パンフレット、国際公開WO2005/048315号パンフレット、国際公開WO2005/033244号パンフレット、国際公開WO2004/081019号パンフレット、国際公開WO2004/045000号パンフレット、国際公開WO2004/044089号パンフレット、国際公開WO2004/026886号パンフレット、特開2002−234894号公報、特開2002−226495号公報、特開2003−59667号公報、特開2001−345183号公報、特開2001−247859号公報、特開2003−7469号公報、特開2003−73388号公報、特開2003−109758号公報、特開2003−123982号公報、特開2003−133074号公報、特開2003−131464号公報、特開2003−131463号公報、特開2004−107441号公報、特開2004−67658号公報、特開2003−342284号公報、特開2005−29784号公報、特開2005−29783号公報、特開2005−29782号公報、特開2005−23072号公報、特開2005−23071号公報、特開2005−23070号公報、特開2005−2101号公報、特開2005−2053号公報、特開2005−78996号公報、特開2005−68110号公報、特開2005−60374号公報、特開2005−44802号公報、特開2005−29785号公報、特開2005−104843号公報、特開2005−97549号公報、特開2005−220136号公報、特開2005−213348号公報、特開2005−170851号公報、特開2005−163036号公報、特開2005−154396号公報、特開2005−272411号公報、特開2005−327526号公報、特開2005−325048号公報、特開2005−314663号公報、特開2006−13222号公報、特開2006−8688号公報、特開2006−80419号公報、特開2006−76969号公報、国際公開WO2002/15645号パンフレット、国際公開WO2002/02714号パンフレット、国際公開WO2002/064700号パンフレット、国際公開WO2003/033617号パンフレット、国際公開WO2003/000661号パンフレット、国際公開WO2002/081488号、米国特許公開2006/0251923号公報に記載されている。
【0059】
金属−窒素結合及び金属−炭素結合を形成する2座配位子の構造式の例を、以下に示す。なお、以下の構造式中、R’は水素原子又は置換基であり、好ましくは、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はトリフルオロメチル基である。
R’の具体例及び好ましい例は、R〜Rと同様である。
【化11】


【化12】


【化13】

【0060】
金属−窒素結合及び金属−酸素結合を形成する2座配位子としては、例えば、ピコリン酸誘導体、ピリジンスルホン酸誘導体、キノリンスルホン酸誘導体、キノリンカルボン酸誘導体が挙げられ、好ましくはピコリン酸誘導体である。これらの2座配位子は、特開2006−16394号公報、特開2006−307210号公報、特開2006−298900号公報、国際公開WO2006/028224号パンフレット、国際公開WO2006/097717号パンフレット、特開2004−111379号公報、特開2005−29785号公報に記載されている。
【0061】
金属−酸素結合を2つ形成する2座配位子としては、例えば、β―ジケトン誘導体、カルボン酸誘導体、トロポロン誘導体が挙げられ、好ましくはβ−ジケトン誘導体である。
これらの2座配位子は、特開2005−35902号公報、特開2004−349224号公報、特開2006−28101号公報、特開2005−29785号公報に記載されている。
【0062】
金属−窒素結合を2つ形成する2座配位子としては、例えば、2,2’−ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、2,2’−ビキノリン誘導体、2,2’−ジピリジルアミン誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリルボレート誘導体、ピラゾール誘導体が挙げられる。これらの2座配位子は、特開2005−298483号公報、特開2006−213720号公報、特開2003−133074号公報に記載されている。
【0063】
Lとして特に好ましい2座配位子は、下記式(8)〜(14)で表される2座配位子である。下記式(8)〜(11)で表される2座配位子はモノアニオン性2座配位子であり、下記式(12)〜(14)で表される2座配位子は中性2座配位子である。
【化14】


[式(8)〜(14)中、R10〜R61は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の1価の複素環基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。R10〜R61は、隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。]
【0064】
10〜R61の具体例は式(1)中のR〜Rと同様であるが、R10〜R61の好ましい例は以下のとおりである。
【0065】
10〜R17、R21〜R24、R37〜R56、R58〜R61は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の複素環基であることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。
【0066】
18及びR20は、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
【0067】
19、R25〜R36は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
【0068】
57は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の複素環基であることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。
【0069】
更に、R10〜R17、R18〜R20、R21〜R24、R25〜R36、R37〜R44、R45〜R52、R53〜R61は、隣接する基同士が互いに結合して飽和又は不飽和の炭素環、飽和又は不飽和の複素環を形成することも好ましい。
【0070】
式(7)に戻り、Qで示されるカウンターイオンとしては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン、パークロレイトイオン、PFイオン、アンモニウムイオン、CFCFCFCOOイオン、SbFイオン、ジシアンアミドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン、ボレートイオン、ホスホニウムイオン、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートイオンが好ましい。
【0071】
また、式(7)中、mは0〜2の整数を示し、mは0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0072】
本発明の金属錯体は、例えば、次の方法で製造することができる。
配位子の前駆体となるフェニルピリミジン誘導体と三塩化イリジウムn水和物とを、2:1〜3:1のモル比で、水を含む溶媒中で混合し加熱すると、二核イリジウム錯体が得られる。この二核イリジウム錯体を、必要に応じて単離し、ピコリン酸やアセチルアセトンと混合した後、加熱することにより反応させると、ヘテロレプティック錯体が得られる。一方、この二核イリジウム錯体を、必要に応じて単離し、前記フェニルピリミジン誘導体と混合した後、加熱することにより反応させるとホモレプティック錯体が得られる。なお、前記フェニルピリミジン誘導体は、公知の合成方法により製造することができる。
【0073】
次に、本実施形態に係る金属錯体組成物に含まれる電荷輸送性材料について説明する。
電荷輸送性材料(以下、「電荷輸送性材料」という場合、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料のいずれとしても用いることができる。)は、低分子有機化合物であっても、高分子有機化合物であってもよく、また、低分子有機化合物及び高分子有機化合物を併用してもよい。また、電荷輸送性材料としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料のいずれでもよく、これらを併用してもよい。
【0074】
正孔輸送性材料としては、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体が挙げられる。
【0075】
電子輸送性材料としては、オキサジアゾール誘導体アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、トリアジン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体が挙げられる。
【0076】
電荷輸送性材料としての低分子有機化合物とは、分子量が1000未満の電荷輸送性材料を意味し、低分子有機EL素子に用いられるホスト化合物、電荷注入輸送化合物が包含される。具体的には、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波夫、村田英幸 共著、オーム社)、107項、月刊ディスプレイ、vol9、No9、2003年、26−30項、特開2004−24400号公報、特開2004−277377号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0077】
また、電荷輸送性材料としては高分子化合物も好ましく用いることができる。この高分子化合物としては、非共役系高分子化合物、及び共役系高分子化合物が挙げられる。
【0078】
上記非共役系高分子化合物とは、主鎖に芳香環を含み、この主鎖に含まれる芳香環同士の結合の80%未満が直接結合、ビニレン基等の共役系結合基、又は不対電子を有する酸素原子、硫黄原子、窒素原子等の原子で結合されている高分子化合物を意味する。
上記共役系高分子化合物とは、主鎖に芳香環を含み、この主鎖に含まれる芳香環同士の結合の80%以上が直接結合、ビニレン基等の共役系結合基、又は不対電子を有する酸素原子、硫黄原子、窒素原子等の原子で結合されている高分子化合物を意味する。上記共役系高分子化合物では、上述の結合形式が、直接結合、不対電子を有する窒素原子であることが好ましく、直接結合であることがより好ましい。
【0079】
上記非共役系高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0080】
上記共役系高分子化合物としては、置換基を有していてもよいフェニレンジイル基、置換基を有していてもよいフルオレンジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾチオフェンジイル基、置換基を有していてもよいジベンゾフランジイル基、又は置換基を有していてもよいジベンゾシロールジイル基を繰り返し単位として主鎖に含む高分子化合物や、それらの基の共重合体等が挙げられる。
【0081】
上記共役系高分子化合物は、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含むことが好ましい。
共役系高分子化合物の場合の好ましい例として、下記式(2)で表される構成単位と下記式(3)で表される構成単位との共重合体が挙げられる。
【化15】


[式(2)中、Arはアリーレン基、2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示す。なお、Arで示される基は、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。]
【化16】


[式(3)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を示し、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1である。なお、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。また、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(R)−、−C(=O)−N(R)−若しくは−C(R−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。Rは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を示す。]
【0082】
上記式(2)中、Arで示されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた残基であり、縮合環を有するものを含む。該アリーレン基は、炭素数が通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜14である。なお、該炭素数には置換基の炭素数は含まない。
【0083】
Arで示されるアリーレン基としては、1,4−フェニレン基(下記式2−001)、1,3−フェニレン基(下記式2−002)、1,2−フェニレン基(下記式2−003)等のフェニレン基;ナフタレン−1,4−ジイル基(下記式2−004)、ナフタレン−1,5−ジイル基(下記式2−005)、ナフタレン−2,6−ジイル基(下記式(2−006)等のナフタレンジイル基;4,5−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基(下記式2−007)等のジヒドロフェナントレンジイル基;フルオレン−3,6−ジイル基(下記式2−008)、フルオレン−2,7−ジイル基(下記式2−009)等のフルオレンジイル基等が挙げられる。これらのアリーレン基を構成する水素原子の一部又は全部は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
【化17】


【化18】


【化19】


[式2−001〜2−009中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。Raは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基又はアラルキル基を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。複数存在するRaは、同一でも異なっていてもよい。]
【0084】
上記式2−001〜2−009中、Rとしては、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、置換アミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基がより好ましい。
【0085】
上記式2−001〜2−009中、Raとしては、アリール基、アルキル基が好ましく、アルキル基、非置換アリール基、又はアルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基で置換されたアリール基がより好ましい。
【0086】
上記式(2)中、Arで示される2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から水素原子2個を除いた残基であり、縮合環を有するものも含む。該2価の芳香族複素環基は、炭素数が通常3〜60であり、好ましくは3〜20である。該炭素数には置換基の炭素数は含まない。
【0087】
Arで示される2価の芳香族複素環基としては、ピリジン−2,5−ジイル基(下記式2−101)、ピリジン−2,6−ジイル基(下記式2−102)等のピリジンジイル基;ピリミジン−4,6−ジイル基(下記式2−103)等のピリミジンジイル基;トリアジン−2,4−ジイル基(下記式2−104);ピラジン−2,5−ジイル基(下記式2−105)等のピラジンジイル基;ピリダジン−3,6−ジイル基(下記式2−106)等のピリダジンジイル基;キノリン−2,6−ジイル基(下記式2−107)等のキノリンジイル基;イソキノリン−1,4−ジイル基(下記式2−108)等のイソキノリンジイル基;キノキサリン−5,8−ジイル基(下記式2−109)等のキノキサリンジイル基;カルバゾール−3,6−ジイル基(下記式2−110)、カルバゾール−2,7−ジイル基(下記式2−111)等のカルバゾールジイル基;ジベンゾフラン−4,7−ジイル基(下記式2−112)、ジベンゾフラン−3,8−ジイル基(下記式2−113)等のジベンゾフランジイル基;ジベンゾチオフェン−4,7−ジイル基(下記式2−114)、ジベンゾチオフェン−3,8−ジイル基(下記式2−115)等のジベンゾチオフェンジイル基;ジベンゾシロール−4,7−ジイル基(下記式2−116)、ジベンゾシロール−3,8−ジイル基(下記式2−117)等のジベンゾシロールジイル基;フェノキサジン−3,7−ジイル基(下記式2−118)、フェノキサジン−2,8−ジイル基(下記式2−119)等のフェノキサジンジイル基;フェノチアジン−3,7−ジイル基(下記式2−120)、フェノチアジン−2,8−ジイル基(下記式2−121)等のフェノチアジンジイル基;ジヒドロアクリジン−2,7−ジイル基(下記式2−123)等のジヒドロアクリジンジイル基;(下記式2−124)で表される2価の基;ピロ−ル−2,5−ジイル基(下記式2−125)等のピロールジイル基;フラン−2,5−ジイル基(下記式2−126)等のフランジイル基;チオフェン−2,5−ジイル基(下記式2−127)等のチオフェンジイル基;ジアゾール−2,5−ジイル基(下記式2−128)等のジアゾールジイル基;トリアゾール−2,5−ジイル基(下記式2−129)等のトリアゾールジイル基;オキサゾール−2,5−ジイル基(下記式2−130)等のオキサゾールジイル基;オキサジアゾール−2,5−ジイル基(下記式2−131);チアゾール−2,5−ジイル基(下記式2−132)等のチアゾールジイル基;チアジアゾール−2,5−ジイル基(下記式2−133)等が挙げられる。これらの2価の芳香族複素環基は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


【化24】


【化25】


【化26】


【化27】


[式2−101〜2−133中のR及びRaは、それぞれ式2−001〜2−009中のR及びRaと同一の定義、例示である。]
【0088】
上記式(2)中、Arで表される、該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基としては、下記式2−201〜2−219で表される基が挙げられる。
【化28】


【化29】


【化30】


【化31】


[式2−201〜2−219中、Rは、式2−001〜2−009中のRと同一の定義、例示である。]
【0089】
上記式(2)で表される構成単位としては、上記式2−001で表される基、上記式2−009で表される基、上記式2−218で表される基又は上記式2−219で表される基からなる構成単位が好ましい。
【0090】
また、本実施形態に係る共役系高分子化合物は、得られる有機電界発光素子の発光効率の観点から、上記式(2)で表される構成単位として下記式(4)で表される構成単位を含むことが好ましく、また、得られる有機電界発光素子の駆動電圧の観点から、上記式(2)で表される構成単位として下記式(5)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【化32】


[式(4)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、2個のRは同一でも異なっていてもよく、2個のRは同一でも異なっていてもよい。]
【化33】


[式(5)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基又はアラルキル基を示し、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示し、rは0〜3の整数を示す。なお、2個のRは同一であっても異なっていてもよく、また、2個のRが結合して環構造を形成していてもよい。また、Rが複数存在する場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。また、2個のrは同一でも異なっていてもよい。]
【0091】
上記式(4)中、Rで示される基としては、電荷輸送性材料の耐熱性と有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、置換アミノ基が好ましく、アルキル基、アラルキル基がより好ましく、アルキル基が更に好ましく、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基が特に好ましい。
【0092】
上記式(4)中、Rで示される基としては、電荷輸送性材料の耐熱性、有機溶媒への溶解性、重合時の反応性の観点から、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アラルキル基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0093】
上記式(4)で表される構成単位としては、下記式4−001〜4−017、4−101〜4−105で表される構成単位が挙げられる。
【化34】


【化35】


【化36】


【化37】

【0094】
上記式(5)中、Rで示される基としては、高分子化合物の耐熱性、有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、アリール基、アルキル基が好ましく、非置換アリール基、又はアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくは置換アミノ基で置換されたアリール基、或いはアルキル基がより好ましく、4−トリル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−(3、7−ジメチルオクチル)フェニル基、3−トリル基、3−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、3−オクチルフェニル基、3−(2−エチルヘキシル)フェニル基、3−(3、7−ジメチルオクチル)フェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−(t−ブチル)フェニル基、3,5−ジヘキシルフェニル基、3,5−ジオクチルフェニル基、3、4−ジヘキシルフェニル基、3,4−ジオクチルフェニル基、4−ヘキシルオキシフェニル基、4−オクチルオキシフェニル基、4−(2’−エトキシエチルオキシ)フェニル基、4−(4’−t−ブチルビフェニル)基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基が特に好ましい。
【0095】
上記式(5)中、Rで示される基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましい。
【0096】
上記式(5)中、rは0〜3の整数を示し、好ましくは0又は1である。特に、2個存在するrのうち一方が0であり他方が1であるか、或いは2個存在するrが共に0であることが好ましく、2個存在するrが共に0であることがとりわけ好ましい。
【0097】
本実施形態に係る電荷輸送性材料が上記式(2)で表される構成単位を含む共役系高分子化合物である場合、該共役系高分子化合物に含まれる上記式(2)で表される構成単位は1種のみであっても2種以上であってもよい。例えば、上記式(2)で表される構成単位として、上記式(4)又は(5)で表される構成単位のいずれか1種のみが含まれていてもよく、また、上記式(4)で表される構成単位と上記式(5)で表される構成単位との双方が含まれていてもよい。更に、上記式(4)で表される構成単位の2種以上及び/又は上記式(5)で表される構成単位の2種以上が含まれていてもよい。
【0098】
次に、上記式(3)で表される構成単位について詳述する。上記式(3)で表される構成単位としては、下記式3−001〜3−004で表される構成単位が挙げられる。
【化38】


[式3−001〜3−004中、Rは、式2−001〜2−009中のRと同一の定義、例示である。]
【0099】
本実施形態に係る電荷輸送性材料が上記式(3)で表される構成単位を含む共役系高分子化合物である場合、該共役系高分子化合物に含まれる上記式(3)で表される構成単位は1種のみであっても2種以上であってもよい。更に、該共役系高分子化合物には、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位の双方が含まれていてもよい。
【0100】
本実施形態に係る電荷輸送性材料が高分子化合物である場合、該高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、10〜10であり、好ましくは10〜10である。ポリスチレン換算の重量平均分子量は、10〜10であり、好ましくは5×10〜5×10である。高分子化合物の数平均分子量が5×10〜5×10であれば、該高分子化合物を含む有機薄膜の加工性が良好となるだけでなく、該有機薄膜の機械的強度も良好となる。
【0101】
本実施形態に係る金属錯体組成物において、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体及び上記電荷輸送性材料は、それぞれ1種であっても2種以上であってもよい。例えば、本実施形態に係る金属錯体組成物が、電荷輸送性材料として、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物を含有する場合、電子注入及び電子輸送の観点から、下記式(6)で表される構造を有する電子輸送性材料(電荷輸送性材料(C))を更に含有することが好ましい。
【化39】


[式(6)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、3個のRは同一であっても異なっていてもよい。]
【0102】
また、本実施形態に係る金属錯体組成物は、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体及び電荷輸送性材料のみからなるものであってもよく、また、上記式(1)で表される構造を有する金属錯体及び電荷輸送性材料以外の構成成分を更に含有してもよい。上記の金属錯体及び電荷輸送性材料以外の構成成分としては、例えば、上記式(1)で表される構造を有する金属錯体以外の発光材料が挙げられる。そのような発光材料としては、公知の化合物が使用でき、具体的には、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体等の低分子化合物等が使用できる。
【0103】
本実施形態に係る金属錯体組成物において、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体及び電荷輸送性材料の各含有量は、組み合わせる金属錯体及び電荷輸送性材料の種類、目的とする特性に応じて調整することができる。上記金属錯体組成物において、上記電荷輸送性化合物を100重量部としたとき、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体の含有量は、通常、0.01〜80重量部であり、好ましくは0.1〜60重量部である。
【0104】
[第2実施形態;錯体高分子]
本発明の第2実施形態に係る錯体高分子は、上記式(1)で表される構造を含む金属錯体から2個の水素原子を除いた残基である2価の基と、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む。なお、該2価の基を与える上記式(1)で表される構造を含む金属錯体、並びに、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位は、それぞれ上記第1実施形態の場合と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
【0105】
本実施形態に係る錯体高分子は、上記構成を有するため、上記第1実施形態に係る金属錯体組成物と同様に、有機電界発光素子の発光効率を十分に向上させることができるという効果を有する。更に、該錯体高分子は、有機電界発光素子を製造する際の作業性の観点からも好ましい。
【0106】
[第3実施形態;液状組成物]
本発明の第3実施形態に係る液状組成物は、上記第1実施形態に係る金属錯体組成物又は上記第2実施形態に係る錯体高分子と、溶媒とを含有する。なお、本明細書において、「液状組成物」とは、素子作製時において液状であるものを意味し、典型的には、常圧(即ち、1気圧)、25℃において液状のものを意味する。また、液状組成物は、一般的には、インク、インク組成物、溶液等と呼ばれることがある。
【0107】
液状組成物に含まれる溶媒としては、該液状組成物中の該溶媒以外の成分を溶解又は分散できるものが好ましい。該溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの溶媒は、1種単独で用いても複数組み合わせて用いてもよい。前記溶媒のうち、ベンゼン環を少なくとも1個以上含む構造を有し、かつ融点が0℃以下、沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含むことが、粘度、成膜性等の観点から好ましい。
【0108】
上記の溶媒の中でも、液状組成物中の溶媒以外の成分の有機溶媒への溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、メチルベンゾエート、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトンがより好ましく、キシレン、アニソール、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキシル、メチルベンゾエートがさらに好ましい。「i−」はイソ−を表す。
【0109】
なお、液状組成物に含まれる溶媒の種類は、1種であっても2種以上であってもよい。
液状組成物に2種の溶媒が含まれる場合、該溶媒の組み合わせの好ましい例としては、粘度及び成膜性の観点から、アニソール及びビシクロヘキシルの組み合わせ、アニソール及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、キシレン及びビシクロヘキシルの組み合わせ、キシレン及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ、メシチレン及びメチルベンゾエートの組み合わせが挙げられる。
【0110】
液状組成物に2種の溶媒が含まれる場合、そのいずれかの溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、沸点が180℃以上の溶媒と沸点が180℃未満の溶媒とを組み合わせることが好ましく、沸点が200℃以上の溶媒と沸点が180℃未満の溶媒とを組み合わせることがより好ましい。また、粘度の観点から、60℃において、液状組成物中の固形分は上記溶媒に対して0.2重量%以上の濃度で溶解することが好ましく、2種の溶媒のうちの一方には、25℃において、液状組成物中の固形分が0.2重量%以上の濃度で溶解することが好ましい。
【0111】
液状組成物に3種の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種又は2種は融点が25℃以上でもよい。成膜性の観点から、3種の溶媒のうちの少なくとも1種は沸点が180℃以上の溶媒であり、少なくとも1種は沸点が180℃未満の溶媒であることが好ましく、3種の溶媒のうちの少なくとも1種の溶媒は沸点が200〜300℃の溶媒であり、少なくとも1種は沸点が180℃未満の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、3種類の溶媒のうちの2種には、60℃において、液状組成物中の固形分が0.2重量%以上の濃度で溶解することが好ましく、3種の溶媒のうちの1種には、25℃において、液状組成物中の固形分が0.2重量%以上の濃度で溶解することが好ましい。
【0112】
液状組成物中の溶媒の割合は、該液状組成物の全重量に対して、通常、1〜99.9重量%であり、好ましくは60〜99.9重量%であり、更に好ましく90〜99.8重量%である。液状組成物の粘度は印刷法によって異なるが、25℃において0.5〜500mPa・sの範囲が好ましく、インクジェットプリント法等の液状組成物が吐出装置を経由する印刷法では、吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止する観点から、粘度が25℃において0.5〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。また、上記第1実施形態に係る金属錯体及び電荷輸送性材料の重量の和、又は上記第2実施形態に係る錯体高分子の重量は、液状組成物中の固形分の合計重量に対して、通常は20〜100重量%であり、好ましくは40〜100重量%である。
【0113】
液状組成物に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、液状組成物に含まれる全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることが更に好ましい。
【0114】
液状組成物に含まれる溶媒以外の成分の溶媒への溶解性の観点から、溶媒の溶解度パラメータと、本発明の組成物に含まれる重合体又は本発明の高分子化合物の溶解度パラメータとの差が10以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。これらの溶解度パラメータは、「溶剤ハンドブック(講談社刊、1976年)」に記載の方法で求めることができる。
【0115】
本実施形態に係る液状組成物は、高分子発光素子等の有機電界発光素子の製造の際に有用である。例えば有機電界発光素子の作製の際に、該液状組成物を用いて成膜する場合、該液状組成物を塗布した後、乾燥により溶媒を除去するだけでよい。なお、乾燥の際には、50〜150℃に加温した状態で乾燥させてもよく、また、10−3Pa程度に減圧して乾燥させてもよい。
【0116】
液状組成物を用いた成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0117】
[第4実施形態;有機薄膜、有機電界発光素子、面状光源及び表示装置]
本発明の第4実施形態に係る有機薄膜は上記第1実施形態に係る金属錯体組成物又は上記第2実施形態に係る錯体高分子を含有する。該有機薄膜は、有機電界発光素子の機能層として有用であり、特に、該有機薄膜を用いて発光層を構成することによって、十分に高い発光効率を有する有機電界発光素子が実現可能となる。以下に、該有機薄膜からなる発光層を備える有機電界発光素子について詳述する。
【0118】
本実施形態に係る有機電界発光素子の層構造としては、以下のa)〜d)の構造が挙げられる。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、「/」は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0119】
電極に隣接して設けた正孔輸送層、電子輸送層のうち、電極からの電荷(正孔・電子)の注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を低下させる効果を有するものは、電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ばれることがある。
【0120】
更に、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記電荷注入層、絶縁層を設けてもよい。また、界面の密着性向上や混合の防止等のために、前記電荷輸送層や発光層の界面に、薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0121】
電荷注入層を設けた有機電界発光素子の層構造としては、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0122】
陽極は、通常、透明又は半透明であり、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜から構成され、それらの中でも透過率が高い材料から構成されることが好ましい。前記陽極の材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。前記陽極の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等の方法を用いることができる。また、前記陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0123】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0124】
正孔注入層に用いられる材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の導電性高分子化合物が挙げられる。
【0125】
正孔注入層に用いられる材料が導電性高分子化合物である場合、該導電性高分子化合物の電気伝導度を向上させるために、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等のアニオンをドープしてもよい。
【0126】
正孔輸送層に用いられる材料としては、上記第1実施形態の説明において例示した正孔輸送性材料が挙げられる。正孔輸送層に用いられる材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しない化合物が好ましく、また可視光に対する吸収が強くない化合物が好適に用いられる。この高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0127】
正孔輸送性材料が高分子化合物である場合、該高分子化合物は正孔輸送性基(芳香族アミノ基、チエニル基等)を該高分子化合物の構成単位及び/又は置換基として含むことが好ましい。
【0128】
正孔輸送層に用いられる正孔輸送性材料の好ましい例としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、更には上記第1実施形態の説明において例示した式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0129】
正孔輸送層の形成方法としては、正孔輸送性材料が低分子化合物である場合には、該低分子化合物及び高分子バインダーを含む混合溶液からの成膜が挙げられる。また、正孔輸送性材料が高分子化合物である場合には、該高分子化合物を含む溶液からの成膜が挙げられる。
【0130】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、正孔輸送層に用いられる材料を溶解させる溶媒であればよい。この溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
【0131】
溶液からの成膜には、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0132】
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮しつつ選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、有機電界発光素子の駆動電圧が高くなることがある。従って、正孔輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0133】
本実施形態に係る有機電界発光素子の発光層には、上記第1実施形態に係る金属錯体組成物又は上記第2実施形態に係る錯体高分子が含まれる。
【0134】
また、発光層には、発光波長を変化させたりするために、ドーパントを添加することができる。ドーパントとしては、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
【0135】
発光層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮して選択すればよいが、通常、2〜200nmである。
【0136】
発光層の形成方法としては、発光層の構成材料を含む溶液を基体の上又は上方に塗布する方法、真空蒸着法、転写法等が挙げられ、塗布に用いる溶液としては上記第3実施形態に係る液状組成物を好適に用いることができる。溶媒としては、上記第3実施形態の説明で例示した溶媒を使用可能であるが、溶液の粘度及び成膜性に加えて下層に対する溶解性等を考慮して溶媒の選択することが好ましい。また、該溶液を基体の上又は上方に塗布するには、スピンコート法、ディップコート法、インクジェットプリント法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スリットコート法等の印刷法を用いることができる。昇華性の低分子化合物の場合は、真空蒸着法を用いることができる。レーザーによる転写や熱転写により、所望の位置に発光層を形成する方法も用いることができる。
【0137】
電子輸送層に用いられる材料としては、上記第1実施形態の説明において例示した電子輸送性材料等が挙げられる。
【0138】
電子輸送性材料が高分子化合物である場合、該高分子化合物は電子輸送性基(オキサジアゾール基、オキサチアジアゾール基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、トリアジル基等)を該高分子化合物の構成単位及び/又は置換基として含むことが好ましい。
【0139】
電子輸送層に用いられる電子輸送性材料の好ましい例としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、更には上記第1実施形態の説明において例示した式(2)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0140】
電子輸送層の形成方法としては、電子輸送性材料が低分子化合物である場合には、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。また、電子輸送性材料が高分子化合物である場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。溶液又は溶融状態からの成膜には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜は、前記溶液からの成膜により正孔輸送層を形成する方法と同様にすればよい。
【0141】
電子輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮して調整すればよいが、ピンホールが発しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、素子の駆動電圧が高くなることがある。
従って、電子輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0142】
電子注入層としては、発光層の種類に応じて、Ca層の単層構造からなる電子注入層、又はCaを除いた周期表IA族とIIA族の金属であり、かつ仕事関数が1.5〜3.0eVの金属及びその金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物からなる群から選ばれる1種又は2種以上で形成された層とCa層との積層構造からなる電子注入層が挙げられる。仕事関数が1.5〜3.0eVの、周期表IA族の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、仕事関数が1.5〜3.0eVの、Caを除いた周期表IIA族の金属及びその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0143】
電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成すればよい。電子注入層の厚さは、1nm〜1μmが好ましい。
【0144】
陰極の材料としては、仕事関数の小さく発光層への電子注入が容易な材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、若しくは上記金属のうち2種以上の合金、又はそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、或いはグラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。前記合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0145】
陰極を2層以上の積層構造とする場合には、前記金属、金属酸化物、金属フッ化物又はこれらの合金を含む層と、アルミニウム、銀、クロム等の金属を含む層とを組み合わせることが好ましい。
【0146】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して選択すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0147】
陰極の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。陰極作製後、有機電界発光素子を保護する保護層を装着してもよい。有機電界発光素子を長期安定的に用いるためには、該有機電界発光素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0148】
保護層としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができる。保護としては、保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が挙げられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子の損傷を防ぐことが容易である。この空間に窒素やアルゴンのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、更に酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分又は硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子に損傷を与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、1つ以上の方策を採ることが好ましい。
【0149】
本実施形態に係る有機電界発光素子は、面状光源、表示装置(セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置)、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。本実施形態に係る有機電界発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の有機電界発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極の一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。更に、前記面状の有機電界発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、面状の照明用光源等として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0150】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0151】
(数平均分子量及び重量平均分子量)
以下の実施例及び比較例において、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.05重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、SECに50μL注入した。SECの移動相としてテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムとして、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSK gel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0152】
H―NMR)
実施例において、単量体のNMR測定は、測定溶媒に重水素化クロロホルムを用い、室温条件下にて行った。
【0153】
また、以下の合成例、実施例及び比較例において、化合物(A)〜(H)、並びに、金属錯体(HK012)、(HK013)、(HK016)〜(HK018)は、それぞれ以下の構造式で表される化合物又は金属錯体を意味する。
【化40】


【化41】

【0154】
[合成例1;金属錯体(HK012)の合成]
<ステップ1;化合物(A)の合成>
2−クロロ−5−n−デシルピリミジン3.89g、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸2.65g、1,2−ジメトキシエタン35ml及び炭酸カリウムの2M水溶液42mlを二口フラスコに入れて溶液を調製した。この溶液にアルゴンガスを20分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィン(0)パラジウム錯体を0.88g入れ、この溶液を、オイルバスを用いてアルゴン雰囲気下で16時間加熱し還流させた。有機層を分離回収し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、化合物(A)を4.1g得た。得られた化合物(A)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.66(s,2H)、8.08−8.15(m,1H)、6.91−7.00(m,2H)、2.63(t,2H)、1.18−1.68(m,16H)、0.88(t,3H).
<ステップ2;化合物(E)の合成>
3塩化イリジウムn水和物800mg、化合物(A)1.58g、2−エトキシエタノール64ml及び水22mlを二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、生成した固体をろ過して化合物(E)を得た。単離収率は57%であった。化合物(E)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 9.03(s,4H)、8.79(s,4H)、6.42(t,4H)、5.25(d,4H)、2.52(m,4H)、2.11(m,4H)、1.18−1.70(m,64H)、0.87(t,12H).
<ステップ3;金属錯体(HK012)の合成>
化合物(E)111mg、ピコリン酸ナトリウム45mg及び2−エトキシエタノール40mlをナスフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でマイクロ波(2450MHz)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧濃縮し固体を得た。この固体をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶し、金属錯体(HK012)を得た。単離収率は74%であった。金属錯体(HK012)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H―NMR(400MHz/CDCl中):δ 8.68−8.72(m,3H)、8.36(d,1H)、8.01(t,1H)、7.83(d,1H)、7.49(dd,1H)、7.26(d,1H)、6.54(dd,1H)、6.47(dd,1H)、5.83(d,1H)、5.60(d,1H)、2.60−2.67(m,2H)、2.39−2.48(m,2H)、1.23−1.60(m,32H)、0.88(t,6H).
【0155】
[合成例2;金属錯体(HK013)の合成]
合成例1と同様にして得られた化合物(E)250mg、アセチルアセトン70.3mg、炭酸ナトリウム149mg及び2−エトキシエタノール50mlをナスフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でマイクロ波(2450MHz)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧濃縮し固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、金属錯体(HK013)を収率48%で得た。得られた金属錯体(HK013)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.73(d,2H)、8.38(d,2H)、6.40(dd,2H)、5.71(d,2H)、5.26(s,1H)、2.69(t,4H)、1.18−1.82(m,38H)、0.88(t,6H).
【0156】
[合成例3;金属錯体(HK016)の合成]
<ステップ1;化合物(B)の合成>
2−クロロ−5−n−デシルピリミジン2.5g、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸2.24g、1,2−ジメトキシエタン22ml及び炭酸カリウムの2M水溶液26mlを二口フラスコに入れて溶液を調製した。この溶液にアルゴンガスを20分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィン(0)パラジウム錯体を0.57g入れた。こうして得られた溶液を、オイルバスを用いてアルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。有機層を分離回収しシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、化合物(B)を2.50g得た。得られた化合物(B)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.73(d,1H)、8.61−8.65(m,3H)、7.30(d,1H)、2.64(t,2H)、1.18−1.70(m,16H)、0.88(t,3H).
<ステップ2;化合物(F)の合成>
3塩化イリジウムn水和物1g、化合物(B)2.28g、2−エトキシエタノール80ml及び水28mlを二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、生成した固体をろ過して化合物(F)を得た。単離収率は55%であった。化合物(F)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 9.07(s,4H)、8.79(s,4H)、8.29(d,4H)、5.64(d,4H)、2.59(m,4H)、2.17(m,4H)、1.18−1.70(m,64H)、0.87(t,12H).
<ステップ3;金属錯体(HK016)の合成>
化合物(F)200mg、ピコリン酸ナトリウム246mg及び2−エトキシエタノール100mlをナスフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下でマイクロ波(2450MHz)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧濃縮し固体を得た。この固体をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶し、金属錯体(HK016)を得た。単離収率は56%であった。金属錯体(HK016)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.65−8.70(m,3H)、8.37(d,1H)、8.29(d,1H)、8.27(d,1H)、8.02(t,1H)、7.80(d,1H)、7.52(t,1H)、7.26(d,1H)、6.15(d,1H)、5.92(d,1H)、2.63−2.67(m,2H)、2.45−2.49(m,2H)、1.25−1.63(m,32H)、0.88(t,6H).
【0157】
[合成例4;金属錯体(HK017)の合成]
<ステップ1;化合物(C)の合成>
2−クロロ−5−n−デシルピリミジン2.5g、3−ビフェニルボロン酸2.14g、1,2−ジメトキシエタン22ml及び炭酸カリウムの2M水溶液27mlを二口フラスコに入れ、溶液を調製した。この溶液にアルゴンガスを20分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィン(0)パラジウム錯体を0.57g入れた。こうして得られた溶液を、オイルバスを用いてアルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。有機層を分離回収しシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、化合物(C)を2.52g得た。化合物(C)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.69(s,1H)、8.64(s,2H)、8.40(d,1H)、7.71(d,3H)、7.55(t,1H)、7.46(t,2H)、7.36(t,1H)、2.62(t,2H)、1.18−1.70(m,16H)、0.88(t,3H).
<ステップ2;化合物(G)の合成>
3塩化イリジウムn水和物1g、化合物(C)2.21g、2−エトキシエタノール80ml及び水28mlを二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、生成した固体をろ過して化合物(G)を得た。単離収率は60%であった。化合物(G)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 9.25(d,4H)、8.71(d,4H)、8.18(d,4H)、7.50(d,8H)、7.32(t,8H)、7.23(t,4H)、6.98(d,4H)、6.04(d,4H)、2.54(m,4H)、2.19(m,4H)、1.18−1.70(m,64H)、0.86(t,12H).
<ステップ3;金属錯体(HK017)の合成>
化合物(G)600mg、アセチルアセトン310mg、炭酸ナトリウム328mg及び2−エトキシエタノール300mlを混合し、アルゴン雰囲気下100℃で16時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧濃縮し固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、金属錯体(HK017)を収率23%で得た。金属錯体(HK017)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.65(d,2H)、8.52(d,2H)、8.21(d,2H)、7.57(d,4H)、7.34(t,4H)、7.23(t,2H)、7.08(d,2H)、6.43(d,2H),5.25(s,1H)、2.71(t,4H)、1.18−1.83(m,38H)、0.87(t,6H).
【0158】
[合成例5;金属錯体(HK018)の合成]
<ステップ1;化合物(D)の合成>
2−クロロ−5−エチルピリミジン5g、4−tert−ブチルフェニルボロン酸6.87g、1,2−ジメトキシエタン40ml及び炭酸カリウムの2M水溶液48mlを二口フラスコに入れ、溶液を調製した。この溶液にアルゴンガスを20分間通気した後、テトラキストリフェニルホスフィン(0)パラジウム錯体を2.0g入れた。こうして得られた溶液を、オイルバスを用いてアルゴン雰囲気下で16時間加熱し還流させた。有機層を分離回収しシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、化合物(D)を4.3g得た。化合物(D)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.63(s,2H)、8.33(d,2H)、7.50(d,2H)、2.66(q,2H)、1.37(s,9H)、1.30(t,3H).
<ステップ2;化合物(H)の合成>
3塩化イリジウムn水和物1g、化合物(D)1.44g、2−エトキシエタノール80ml及び水28mlを二口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で14時間加熱し還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、生成した固体をろ過して化合物(H)を得た。単離収率は92%であった。化合物(H)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 9.28(d,4H)、8.65(d,4H)、7.78(d,4H)、6.89(d,4H)、5.97(d,4H)、2.50(m,4H)、2.20(m,4H)、1.24(t,12H)、0.97(s,36H).
<ステップ3;金属錯体(HK018)の合成>
化合物(H)300mg、アセチルアセトン212mg、炭酸ナトリウム225mg及び2−エトキシエタノール120mlを混合し、アルゴン雰囲気下100℃で16時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧濃縮し固体を得た。この固体をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンの混合溶媒)により分離精製することで、金属錯体(HK018)を収率37%で得た。金属錯体(HK018)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl):δ 8.59(d,2H)、8.50(d,2H)、7.79(d,2H)、6.91(d,2H)、6.23(d,2H)、5.20(s,1H)、2.66−2.78(m,4H)、1.81(s,6H)、1.33(t,6H)、1.07(s,18H).
【0159】
[合成例6;電子輸送性材料(ET−A)の合成]
下記の反応スキームに従って、電子輸送性材料(ET−A)を合成した。
【化42】


具体的には、4−tert−ブチルベンゾニトリル(10.0g)と脱水クロロホルム(75ml)を丸底フラスコにとり、該フラスコ内を窒素ガスで置換した。そこに、撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸(11ml)を加え、室温で48時間撹拌した。
反応終了後、室温まで冷却した後、10重量%アンモニア水(100ml)とイオン交換水(200ml)で1回ずつ反応溶液を洗浄した。取り出した有機層を硫酸マグネシウムで脱水した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒にて、繰り返し再結晶を行うことにより、2,4,6−トリス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(以下、「電子輸送性材料(ET−A)」と言う。)が4.2g得られた。
電子輸送性材料(ET−A)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(300MHz, CDCl) δ 1.40(s,27H), 7.59(d,J = 7.5Hz,6H), 8.68(d,J=7.5Hz 6H).
【0160】
[合成例7;電子輸送性材料(ET−B)の合成]
下記の反応スキームに従って、電子輸送性材料(ET−B)を合成した。
【化43】


具体的には、窒素雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸100g(0.653mol)を混合し、室温で攪拌した。反応溶液に、4−ブロモベンゾニトリル61.93g(0.327mol)を脱水クロロホルム851mlに溶かした溶液を、滴下して加えた。
得られた溶液を95℃まで昇温し、加熱しながら攪拌した後、室温まで冷却し、そこに、希アンモニア水溶液を氷浴下で加えたところ、固体が生じた。この固体を濾別し、水洗後、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧しながら乾燥させ、白色結晶47.8gを得た。
次に、窒素雰囲気下、この白色結晶8.06g(14.65mol)、4−t−ブチルフェニルボロン酸9.15g(49.84mol)、Pd(PPh1.54g(1.32mol)、予め窒素バブリングしたトルエン500ml、及び予め窒素バブリングしたエタノール47.3mlを混合し、攪拌し、加熱して、還流させた。反応溶液に、予め窒素バブリングした2M炭酸ナトリウム水溶液47.3mlを滴下し、更に加熱して、還流させた。反応溶液を、放冷後、分液し、水層を除去し、有機層を、希塩酸、水の順番で洗浄し、分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムに通し、得られた濾液にアセトニトリルを加えたところ、結晶が得られた。この結晶を減圧しながら乾燥させることにより、電子輸送性材料(ET−B)を8.23gの白色結晶として得た。電子輸送性材料(ET−B)のH−NMR分析の結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz/CDCl):δ 1.39(s、27H)、7.52(d、6H)、7.65(d、6H)、7.79(d、6H)、8.82(d、6H).
【0161】
[合成例8;高分子化合物(CP1)の合成]
不活性雰囲気下、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン5.20g、4,4’−ジブロモ−4’’−sec−ブチルトリフェニルアミン5.42g、酢酸パラジウム2.2mg、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン15.1mg、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ製)0.91g及びトルエン70mlを混合し、105℃に加熱した。反応溶液に2M炭酸ナトリウム水溶液19mlを滴下し、4時間還流させた。反応後、ベンゼンボロン酸121mgを加え、更に3時間還流させた。次いで、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物の水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、反応溶液を、水60mlで3回、3重量%酢酸水溶液60mlで4回、水60mlで3回洗浄し、得られたトルエン溶液を、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール約3000mlに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させ、5.25gの高分子化合物(CP1)を得た。高分子化合物(CP1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=1.2×10、Mw=2.6×10であり、ガラス転移温度は89℃であった。高分子化合物(CP1)は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【化44】

【0162】
[合成例9;電荷輸送性材料である高分子化合物(P1)の合成]
不活性ガス雰囲気下、2,5−ジヘキシル−1,4−ベンゼンジホウ酸ビス(ピナコール)エステル(3.13g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(3.47g)、及びトルエン80.0mLを混合し、加熱しながら撹拌した。反応溶液に酢酸パラジウム(II)(2.2mg)、及びトリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(13.4mg)を加え、100℃まで加熱した後に20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.0ml)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(78mg)、酢酸パラジウム(II)(2.2mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(13.4mg)、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(22.0ml)を加え、更に15時間還流させた。反応溶液から水層を除去した後、0.2Mのジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液(70ml)を加え、85℃で2時間撹拌した。室温まで冷却し、水(82ml)で3回、3重量%の酢酸水溶液(82ml)で3回、水(82ml)で3回洗浄し、得られたトルエン溶液をメタノール(1500ml)に滴下したところ沈殿が生じたので、この沈殿をろ取し乾燥させた。十分に乾燥させた沈殿(固体)をトルエン400mlに溶解させ、シリカゲル及びアルミナを充填したカラムに通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(1500ml)に滴下したところ沈殿が生じたので、この沈殿をろ取し乾燥させた。この沈殿(以下、「高分子化合物(P1)」という)の収量は3.52gであった。また、高分子化合物(P1)のポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=3.1×10、Mw=8.5×10であった。高分子化合物(P1)は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【化45】

【0163】
[実施例1;有機電界発光素子1の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(H.C.stark社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)(以下、「CLEVIOS P」という。)の懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、金属錯体(HK017)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/金属錯体(HK017)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層1を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層1の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子1を作製した。
有機電界発光素子1に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は6.4cd/Aであり、そのときの電圧は19.1Vであり、外部量子収率は1.8%であった。得られた結果を表1に示す。
【0164】
[実施例2;有機電界発光素子2の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK017)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料(ET−A)/金属錯体(HK017)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層2を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層2の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子2を作製した。
有機電界発光素子2に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は8.1cd/Aであり、そのときの電圧は17.3Vであり、外部量子収率は2.1%であった。得られた結果を表1に示す。
【0165】
[実施例3;有機電界発光素子3の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−B)、金属錯体(HK017)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料(ET−B)/金属錯体(HK017)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層3を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層3の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子3を作製した。
有機電界発光素子3に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は16.5cd/Aであり、そのときの電圧は14.3Vであり、外部量子収率は4.5%であった。得られた結果を表1に示す。
【0166】
[実施例4;有機電界発光素子4の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、金属錯体(HK018)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/金属錯体(HK018)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層4を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。
1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層4の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子4を作製した。
有機電界発光素子4に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は10.1cd/Aであり、そのときの電圧は17.1Vであり、外部量子収率は2.8%であった。得られた結果を表1に示す。
【0167】
[実施例5;有機電界発光素子5の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK018)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料ET−A/金属錯体(HK018)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層5を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層5の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子5を作製した。
有機電界発光素子5に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は13.1cd/Aであり、そのときの電圧は15.6Vであり、外部量子収率は3.6%であった。得られた結果を表1に示す。
【0168】
[実施例6;有機電界発光素子6の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−B)、金属錯体(HK018)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料(ET−B)/金属錯体(HK018)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層6を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層6の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子6を作製した。
有機電界発光素子6に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は19.1cd/Aであり、そのときの電圧は15.3Vであり、外部量子収率は5.3%であった。得られた結果を表1に示す。
【0169】
[比較例1;有機電界発光素子7の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、下記式:
【化46】


で表されるイリジウム錯体(American Dye Source, Inc社製、商品名:ADS066GE、以下「ADS066GE」という。)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/ADS066GE=95/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層7を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層7の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子7を作製した。
有機電界発光素子7に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は2.6cd/Aであり、そのときの電圧は16.6Vであり、外部量子収率は0.8%であった。得られた結果を表1に示す。
【0170】
[比較例2;有機電界発光素子8の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−A)、ADS066GEをキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料(ET−A)/ADS066GE=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層8を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層8の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子8を作製した。
有機電界発光素子8に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は6.1cd/Aであり、そのときの電圧は15.7Vであり、外部量子収率は1.9%であった。得られた結果を表1に示す。
【0171】
[比較例3;有機電界発光素子9の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、高分子化合物(P1)、電子輸送性材料(ET−B)、ADS066GEをキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.9重量%(重量比で、高分子化合物(P1)/電子輸送性材料(ET−B)/ADS066GE=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層9を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、130℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層9の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子9を作製した。
有機電界発光素子9に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は9.8cd/Aであり、そのときの電圧は18.1Vであり、外部量子収率は3.0%であった。得られた結果を表1に示す。
【0172】
【表1】

【0173】
[実施例7;有機電界発光素子10の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、電荷輸送性材料である4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−ビフェニル(同仁化学研究所社製、商品名:DCBP,sublimed)(以下、「低分子化合物(CBP)」という。)、金属錯体(HK017)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/金属錯体(HK017)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層10を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層10の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子10を作製した。
有機電界発光素子10に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は3.9cd/Aであり、そのときの電圧は9.0Vであり、外部量子収率は1.0%であった。得られた結果を表2に示す。
【0174】
[実施例8;有機電界発光素子11の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(CBP)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK017)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/電子輸送性材料(ET−A)/金属錯体(HK017)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層11を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層11の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子11を作製した。
有機電界発光素子11に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は9.5cd/Aであり、そのときの電圧は7.8Vであり、外部量子収率は1.9%であった。得られた結果を表2に示す。
【0175】
[実施例9;有機電界発光素子12の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(CBP)、電子輸送性材料(ET−B)、金属錯体(HK017)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/電子輸送性材料(ET−B)/金属錯体(HK017)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層12を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層12の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子12を作製した。
有機電界発光素子12に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は14.9cd/Aであり、そのときの電圧は7.9Vであり、外部量子収率は4.0%であった。得られた結果を表2に示す。
【0176】
[実施例10;有機電界発光素子13の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(CBP)、金属錯体(HK018)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/金属錯体(HK018)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層13を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層13の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子13を作製した。
有機電界発光素子13に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は6.2cd/Aであり、そのときの電圧は8.6Vであり、外部量子収率は1.7%であった。得られた結果を表2に示す。
【0177】
[実施例11;有機電界発光素子14の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(CBP)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK018)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/電子輸送性材料(ET−A)/金属錯体(HK018)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層14を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層14の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子14を作製した。
有機電界発光素子14に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は9.3cd/Aであり、そのときの電圧は7.8Vであり、外部量子収率は2.6%であった。得られた結果を表2に示す。
【0178】
[実施例12;有機電界発光素子15の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(CBP)、電子輸送性材料(ET−B)、金属錯体(HK018)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(CBP)/電子輸送性材料(ET−B)/金属錯体(HK018)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層15を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層15の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子15を作製した。
有機電界発光素子15に電圧を印加したところ、緑色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が1000cd/mでの発光効率は14.9cd/Aであり、そのときの電圧は7.7Vであり、外部量子収率は4.1%であった。得られた結果を表2に示す。
【0179】
【表2】

【0180】
[実施例13;有機電界発光素子16の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、電荷輸送性材料である4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−ビフェニル(オージェック社製、商品名:MCP)(以下、「低分子化合物(mCP)」という)、金属錯体(HK012)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/金属錯体(HK012)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層16を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層16の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子16を作製した。
有機電界発光素子16に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は0.3cd/Aであり、そのときの電圧は16.6Vであり、外部量子収率は0.1%であった。得られた結果を表3に示す。
【0181】
[実施例14;有機電界発光素子17の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(mCP)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK012)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/電子輸送性材料(ET−A)/発光材料(HK012)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層17を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層17の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子17を作製した。
有機電界発光素子17に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は3.8cd/Aであり、そのときの電圧は7.6Vであり、外部量子収率は1.4%であった。得られた結果を表3に示す。
【0182】
[実施例15;有機電界発光素子18の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(mCP)、金属錯体(HK013)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/金属錯体(HK013)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層18を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層18の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子18を作製した。
有機電界発光素子18に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は0.7cd/Aであり、そのときの電圧は13.7Vであり、外部量子収率は0.2%であった。得られた結果を表3に示す。
【0183】
[実施例16;有機電界発光素子19の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(mCP)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK013)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/電子輸送性材料(ET−A)/金属錯体(HK013)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層19を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層19の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子19を作製した。
有機電界発光素子19に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は2.2cd/Aであり、そのときの電圧は8.3Vであり、外部量子収率は0.7%であった。得られた結果を表3に示す。
【0184】
[実施例17;有機電界発光素子20の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(mCP)、金属錯体(HK016)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/金属錯体(HK016)=95/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層20を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層20の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子20を作製した。
有機電界発光素子20に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は0.2cd/Aであり、そのときの電圧は14.8Vであり、外部量子収率は0.1%であった。得られた結果を表3に示す。
【0185】
[実施例18;有機電界発光素子21の作製]
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜をつけたガラス基板に、CLEVIOS Pの懸濁液をのせ、スピンコート法により約65nmの厚みとなるように成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。次に、高分子化合物(CP1)をキシレン(関東化学社製:電子工業用(ELグレード))に0.7重量%の濃度で溶解させ、得られたキシレン溶液をCLEVIOS Pの膜の上にのせ、スピンコート法により約20nmの厚みとなるように成膜し、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、180℃、60分乾燥させた。次に、低分子化合物(mCP)、電子輸送性材料(ET−A)、金属錯体(HK016)をクロロホルム(和光純薬工業社製:蛍光分析用純溶媒)に0.8重量%(重量比で、低分子化合物(mCP)/電子輸送性材料(ET−A)/金属錯体(HK016)=85/10/5)の濃度で溶解させた。得られたクロロホルム溶液を高分子化合物(CP1)の膜の上にのせ、スピンコート法により約80nmの厚みとなるように発光層21を成膜した。そして、酸素濃度及び水分濃度が10ppm以下(重量基準)の窒素雰囲気下で、60℃、10分乾燥させた。1.0×10−4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層21の膜の上にバリウムを約5nm、次いでバリウムの層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子21を作製した。
有機電界発光素子21に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。輝度が100cd/mでの発光効率は2.4cd/Aであり、そのときの電圧は9.8Vであり、外部量子収率は0.7%であった。得られた結果を表3に示す。
【0186】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を含む金属錯体と、電荷輸送性材料とを含有する金属錯体組成物。
【化1】


[式(1)中、Rは置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキル基を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、又はトリフルオロメチル基を表す。なお、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記電荷輸送性材料が低分子有機化合物である請求項1に記載の金属錯体組成物。
【請求項3】
前記電荷輸送性材料が下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物である、請求項1に記載の金属錯体組成物。
【化2】


[式(2)中、Arはアリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示す。なお、Arで示される基は、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。]
【化3】


[式(3)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を示し、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1である。なお、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。また、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(R)−、−C(=O)−N(R)−若しくは−C(R−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。Rは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を示す。]
【請求項4】
前記高分子化合物が、前記式(2)で表される構成単位として、下記式(4)で表される構成単位を含む、請求項3に記載の金属錯体組成物。
【化4】


[式(4)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、2個のRは同一でも異なっていてもよく、2個のRは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項5】
前記高分子化合物が、前記式(2)で表される構成単位として、下記式(5)で表される構成単位を含む、請求項3又は4に記載の金属錯体組成物。
【化5】


[式(5)中、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基又はアラルキル基を示し、Rはアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示し、rは0〜3の整数を示す。なお、2個のRは同一であっても異なっていてもよく、また、2個のRが結合して環構造を形成していてもよい。また、Rが複数存在する場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。また、2個のrは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記高分子化合物が共役系高分子化合物である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の金属錯体組成物。
【請求項7】
下記式(6)で表される構造を有する電子輸送性材料を更に含有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載の金属錯体組成物。
【化6】


[式(6)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。なお、3個のRは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項8】
下記式(1)で表される構造を含む金属錯体から2個の水素原子を除いた残基である2価の基と、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む錯体高分子。
【化7】


[式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキル基を示し、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜60のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数0〜30のアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜60の複素環基、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜60のアリールチオ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環オキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜60の複素環チオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基又はトリフルオロメチル基を示す。なお、R、R、R及びRのうち隣接する基同士が結合して環構造を形成していてもよい。]
【化8】


[式(2)中、Arはアリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示す。なお、Arで示される基は、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。]
【化9】


[式(3)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の芳香族複素環基又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を示し、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を示し、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1である。なお、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、置換基としてアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を有していてもよい。また、Ar、Ar、Ar、Arで示される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで示される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(R)−、−C(=O)−N(R)−若しくは−C(R−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。Rは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を示す。]
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属錯体組成物又は請求項8に記載の錯体高分子と、溶媒とを含有する液状組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属錯体組成物又は請求項8に記載の錯体高分子を含有する有機薄膜。
【請求項11】
有機薄膜を備える有機電界発光素子であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属錯体組成物又は請求項8に記載の錯体高分子を前記有機薄膜中に含む有機電界発光素子。
【請求項12】
請求項11に記載の有機電界発光素子を備えた面状光源。
【請求項13】
請求項11に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。

【公開番号】特開2011−68638(P2011−68638A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186513(P2010−186513)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】